(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153351
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】管理装置、管理プログラム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/105 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q10/105
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136115
(22)【出願日】2023-08-24
(62)【分割の表示】P 2022082003の分割
【原出願日】2017-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁
(57)【要約】
【課題】個人的な申請が容易に安心して安全に行える管理装置を実現すること。
【解決手段】記憶部には、届出申請選択メニューの届出申請項目に応じて予め標準の承認主体と代替の承認主体を記憶されている。利用者により選択された前記届出申請項目に応じた前記標準の承認主体と、1以上の代替の承認主体を含む承認主体選択メニューを出力する(S103)。利用者により選択された承認主体に対して承認依頼を通知する(S110)。選択された承認主体による前記承認依頼の判定に基づいて、届出申請について承認又は非承認の申請結果を判断する(S115)。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力部と、記憶部と、制御部を具備し、
前記記憶部は、利用者の行動履歴を記憶し、
前記制御部は、前記利用者が提出した届出申請について、前記行動履歴に基づいて前記届出申請についての承認可否の判断を出力する学習済みモデルを利用し、
前記出力部は、前記制御部の判断に基づいて前記承認可否の結果を出力する
管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、
利用者の前記行動履歴は、届出申請項目ごとに複数の履歴項目が重み付けと共に設定された重み付け行動履歴であり、
前記学習済みモデルは、前記届出申請項目と、利用者の前記重み付け行動履歴に基づいて、結果を出力する
管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理装置であって、
前記記憶部は、利用者の過去の顔画像を記憶し、
前記届出申請は、利用者が当該届出申請を行った時点の利用者の顔画像を含み、
前記学習済みモデルにより前記届出申請についての判断を出力するように機能させられる前記制御部は、前記届出申請に含まれる前記顔画像と前記過去の顔画像に基づいて、前記届出申請について承認又は非承認の前記申請結果を判断する
管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の管理装置であって、
前記顔画像は、前記利用者端末に付属のカメラにより撮像された前記利用者の申請時の顔画像である
管理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の管理装置であって、
前記届出申請は、前記利用者が操作する利用者端末により前記管理装置に入力される
管理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の管理装置であって、
前記学習済みモデルは、前記届け出申請についての前記承認可否の判断とともに当該判断の理由を出力するように構成され、
前記出力部は、前記承認可否の結果と前記判断の理由を出力する
管理装置。
【請求項7】
管理装置に、
利用者の行動履歴を記憶するステップと、
前記利用者が提出した届出申請について、前記行動履歴に基づいて前記届出申請についての承認可否の判断を出力する学習済みモデルを利用するステップと、
前記利用するステップにおける前記届出申請についての判断に基づいて前記承認可否の結果を出力するステップと、
を実行させるための管理プログラム。
【請求項8】
管理装置が実行する管理方法であって、
利用者の行動履歴を記憶するステップと、
前記利用者が提出した届出申請について、前記行動履歴に基づいて前記届出申請についての承認可否の判断を出力する学習済みモデルを利用するステップと、
前記利用するステップにおける前記届出申請についての判断に基づいて前記承認可否の結果を出力するステップと、
を含む管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理プログラム及び管理方法に関する。具体的には、従業者の勤務時間の集計や、各種の届出申請の処理を効率化する管理装置において、給与前払い等の個人的な申請が容易に安心して安全に行える管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や官公庁を含む種々の組織において、就業に関する各種の申請制度は、その制度の利用の促進が望まれている。申請制度の利用促進のために情報技術(IT:Information Technology)を応用したシステムを組織に導入することが考えられ、一部では実施されている。しかしながら、申請制度に関係した情報システムには、従来、以下に述べるような課題があった。給料の前払いの申請を一例として、従来技術の課題について述べる。
【0003】
従来、パートタイマー・アルバイト従業者に対して、正社員に対する月末締め翌月10日払い、といった給与支給サイクルでは満足せず、逐次給与の前払いを行えるシステムが必要とされていた。
【0004】
例えば、特許文献1の金銭支払いシステム及び方法では、銀行システムを用いた金銭支払いシステムで、労働者の希望するタイミングで希望する金額を交付する技術であり、労働者は、適当なタイミングで前貸希望データを銀行システムに提供し、前貸希望データには労働者が希望する金銭の額が含まれ、銀行システムは、労働者のそれまでの累計給与であって未だ社内ローン資金交付されていない残余の金額の範囲内において労働者の口座に振り込む内容で、すなわち、銀行システムは労働者からの希望に応じて給与日前の任意のタイミングで給与の前払いを行い労働者の要求を満たす技術が開示されている。
【0005】
また例えば、特許文献2の口座振込システムでは、口座振替費用の最小化をはかり、自動的に従業者に利用可能額を通知すると共に随時希望日払い要求を受付可能とし、締日精算処理の必要がない口座振替システムの提供を課題とし、予め雇用企業の預金口座を従業者が利用見込みの複数個所の金融機関、支店に開設した複数の口座情報と、該口座情報毎の振込先別振込金額範囲別手数料と、給与締日、給与支給日及び希望日払いの受付締切り時間とからなる締切算定情報を企業情報マスターファイルに記録しておき、労働実績トランザクションファイル及び利用申込トランザクションファイルの各データに締切算定情報に基づいて算定した有効期限日時を記録すると共に、振込情報出力に際して振込手数料が最適となる仕向け金融機関口座の選択機能を備える技術が開示されている。
【0006】
さらに例えば、特許文献3の管理装置及び管理方法では、労働者に対して、迅速に給与の前払い処理を行うことが可能な労働者への給与の払出を管理するための管理装置を提供することを課題とし、ATMにおける労働者への給与の払出を管理するための管理装置であって、当該労働者がATMにより入力した所定金額の払出の要求に応じて、当該所定金額が当該労働者の払出可能金額以下であるか否かにより要求に対する払出の可否を判定し、判定の結果が可である場合、ATMにおける当該労働者への払出を実行させ、労働者が労働を提供する企業から金融機関に入金された預託資金額を記憶しておき、当該労働者への払出の可否の判定は、上記所定金額がさらに当該預託資金額以下である場合に可と判定される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-253010号公報
【特許文献2】特開2010-20535号公報
【特許文献3】特開2016-33829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上掲の特許文献1,2,3には、パートタイマー・アルバイト従業者への、給与前払いを行えるシステムについて記載がある。しかしながらこれらのシステムは、いずれも、実労働時間の集計を確認しつつ、容易に給与前払いの申請が行えるシステムではないので、従業者にとって利便性がよくなかった。また、給与前払といった個人的な事柄を申請するにあたって、直属の上司には承認を得るのを躊躇うという意見もあった。そのため、この様な様々な従業者に対して配慮して考えられたはずの給与前払いシステムも、未だ利用率は低水準に留まっていた。
【0009】
さらに、給与前払いに限らず、個人的な事柄で会社に届出する場合に、パワハラ、セクハラ等を気にするあまり、承認者に個人的な事情を説明したくないと感じたり、承認者等から情報が漏れる可能性を気にしたりして、容易には届出申請を出せずにいる従業者も少なくない。
【0010】
これらの個人的な届出申請を、特別な外部のシステムの導入により解決しようとしても、やはり情報漏洩の心配や、そもそもの利用シーンが限られることから、申請制度の利用の拡大は見込めない。
【0011】
本発明は、上述の実情に鑑みてなされたものであって、給与前払い等の個人的な申請が容易に安心して安全に行える就業管理装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、本発明の下記(1)~(11)に記載の態様により達成される。
(1)
出力部と、記憶部と、制御部を具備し、
前記出力部は、就業に関わる届出申請を利用者が提出するための届出申請選択メニューを出力し、
前記記憶部は、前記届出申請選択メニューの届出申請項目に応じて予め標準の承認主体と代替の承認主体を記憶し、
前記出力部は、利用者により選択された前記届出申請項目に応じた前記標準の承認主体と、1以上の代替の承認主体を含む承認主体選択メニューを出力し、
前記出力部は、前記承認主体選択メニューを用いて利用者により選択された承認主体に対して承認依頼を通知し、
前記制御部は、前記選択された承認主体による前記承認依頼の判定に基づいて、前記届出申請について承認又は非承認の申請結果を判断し、
前記出力部は、前記制御部の判断に基づいて前記申請結果を出力する
就業管理装置。
【0013】
上記(1)に記載の就業管理装置によれば、
利用者が通常用いる就業管理装置において申請する内容によっては、承認者を選ぶことが出来るので、安心して個人的な申請等がおこなえる。したがって、給与前払い等の個人的な申請が容易に安心して安全に行える就業管理装置が実現する。
【0014】
(2)
上記(1)に記載の就業管理装置であって、
前記記憶部は、利用者の行動履歴を記憶し、
前記代替の承認主体の一つは、前記届出申請項目と、利用者の前記行動履歴に基づいて、前記届出申請についての判断を出力するよう、コンピュータを機能させるための第1の学習済みモデルである
就業管理装置。
【0015】
上記(2)に記載の就業管理装置によれば、
利用者が個人的な内容の申請を行うにあたって、判断等が学習済みモデル(人工知能)により行われるので、情報の漏洩の心配も無く、安心しておこなえる。
【0016】
(3)
出力部と、記憶部と、制御部を具備し、
前記出力部は、就業に関わる届出申請を利用者が提出するための届出申請選択メニューを出力し、
前記記憶部は、利用者の行動履歴を記憶し、
前記制御部は、利用者により選択された前記届出申請選択メニューの届出申請項目と、利用者の前記行動履歴に応じて前記届出申請に対する承認主体を決定し、
前記出力部は、前記制御部により決定された承認主体に対して承認依頼を通知し、
前記制御部は、前記選択された承認主体による前記承認依頼の判定に基づいて、前記届出申請について承認又は非承認の申請結果を判断し、
前記出力部は、前記制御部の判断に基づいて前記申請結果を出力する
就業管理装置。
【0017】
上記(3)に記載の就業管理装置によれば、
利用者が通常用いる就業管理装置において申請する内容によっては、就業管理装置側が適切な承認者を決定するので、安心して個人的な申請等がおこなえる。したがって、給与前払い等の個人的な申請が容易に安心して安全に行える就業管理装置が実現する。
【0018】
(4)
上記(3)に記載の就業管理装置であって、
前記承認主体は、前記届出申請項目と、利用者の前記行動履歴に基づいて、前記届出申請についての判断を出力するよう、コンピュータを機能させるための第1の学習済みモデルである
就業管理装置。
【0019】
上記(4)に記載の就業管理装置によれば、
利用者が個人的な内容の申請を行うにあたって、判断等が学習済みモデル(人工知能)により行われるので、情報の漏洩の心配も無く、安心しておこなえる。
【0020】
(5)
上記(3)又は(4)に記載の就業管理装置であって、
前記制御部は、前記届出申請項目と、利用者の前記行動履歴に基づいて、前記届出申請に対する承認主体を出力するよう、コンピュータを機能させるための第2の学習済みモデルの出力に基づいて前記承認主体を決定する
就業管理装置。
【0021】
上記(5)に記載の就業管理装置によれば、
利用者が個人的な内容の申請を行うにあたって、判断等が学習済みモデル(人工知能)により行われるので、情報の漏洩の心配も無く、安心しておこなえる。
【0022】
(6)
上記(1)から(5)のいずれかに記載の就業管理装置であって、
利用者の前記行動履歴は、前記届出申請項目ごとに複数の履歴項目が重み付けと共に設定された重み付け行動履歴であり、
前記第1の学習済みモデル及び/又は前記第2の学習済みモデルは、前記届出申請項目と、利用者の前記重み付け行動履歴に基づいて、結果を出力する
就業管理装置。
【0023】
上記(6)に記載の就業管理装置によれば、
学習済みモデル(人工知能)による申請結果の判断が的確に行われるようになる。
【0024】
(7)
上記(1)から(6)のいずれかに記載の就業管理装置であって、
前記届出申請は、利用者が届け出申請を行った時点の利用者の顔画像の情報を含み、
前記制御部は、前記顔画像に基づいて、前記届出申請について承認又は非承認の前記申請結果を判断する
就業管理装置。
【0025】
上記(7)に記載の就業管理装置によれば、
利用者の顔画像から、健康状態を考慮した判断をすることができる。
【0026】
(8)
上記(1)から(6)のいずれかに記載の就業管理装置であって、
前記届出申請項目は、給与の前払い申請であり、
前記制御部は、前記承認依頼の前に、利用者の現在の給与期間内での実労働時間の集計と、実労働時間に応じた実給与額を算出する
就業管理装置。
【0027】
上記(8)に記載の就業管理装置によれば、
利用者が容易に現時点での実給与額を把握することができる。この場合、実給与額の前払い申請は、前記実給与額以内の支払い希望額を入力し、さらに、支払い希望日を入力して行われてもよい。
【0028】
(9)
上記(1)から(6)のいずれかに記載の就業管理装置であって、
前記届出申請項目は、生理休暇の申請、妊産婦の健康診査時間申請、養育時間申請、会社持ち株会の退会又は一部解約申請、他の要配慮情報又は機微情報に係る申請のうち、いずれか1つである
就業管理装置。
【0029】
上記(9)に記載の就業管理装置によれば、
利用者が個人的な内容の申請を、安心して行える。
【0030】
(10)
コンピュータを、出力部と、記憶部と、制御部として機能させるためのプログラムであって、
前記出力部は、就業に関わる届出申請を利用者が提出するための届出申請選択メニューを出力し、
前記記憶部は、前記届出申請選択メニューの届出申請項目に応じて予め標準の承認主体と代替の承認主体を記憶し、
前記出力部は、利用者により選択された前記届出申請項目に応じた前記標準の承認主体と、1以上の代替の承認主体を含む承認主体選択メニューを出力し、
前記出力部は、前記承認主体選択メニューを用いて利用者により選択された承認主体に対して承認依頼を通知し、
前記制御部は、前記選択された承認主体による前記承認依頼の判定に基づいて、前記届出申請について承認又は非承認の申請結果を判断し、
前記出力部は、前記制御部の判断に基づいて前記申請結果を出力する
ように機能させるためのプログラム。
【0031】
(11)
コンピュータを、出力部と、記憶部と、制御部として機能させるためのプログラムであって、
前記出力部は、就業に関わる届出申請を利用者が提出するための届出申請選択メニューを出力し、
前記記憶部は、利用者の行動履歴を記憶し、
前記制御部は、利用者により選択された前記届出申請選択メニューの届出申請項目と、前記利用者の行動履歴に応じて前記届出申請に対する承認主体を決定し、
前記出力部は、前記制御部により決定された承認主体に対して承認依頼を通知し、
前記制御部は、前記選択された承認主体による前記承認依頼の判定に基づいて、前記届出申請について承認又は非承認の申請結果を判断し、
前記出力部は、前記制御部の判断に基づいて前記申請結果を出力する
ように機能させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、給与前払い等の個人的な申請が容易に安心して安全に行える就業管理装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施形態に係る就業管理システムの構成例を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係る就業管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る就業管理装置の機能ブロック図である。
【
図4】実施形態に係るデータベースの構成例を示す説明図(その1)である。
【
図5】実施形態に係るデータベースの構成例を示す説明図(その2)である。
【
図6】実施形態における届出申請項目と行動DBの項目との関連付けの一例を示す図である。
【
図7】実施形態における利用者携帯端末の画面例を示す説明図である。
【
図8】実施形態における利用者携帯端末の画面例を示す説明図である。
【
図9】実施形態における給与前払申請の届出承認処理例を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態における人工知能(AI)による判断の説明図である。
【
図11】他の実施形態における届出申請処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0035】
[第一の実施形態]
以下では、まず、本実施形態に係る就業管理システム1の全体構成を説明した後、次に、利用者(従業者)が給与の前払い申請を行った場合の就業管理システム1の動作について説明する。なお、給与の前払い申請は届出申請の一例である。
【0036】
図1は、本実施形態に係る就業管理システム1の構成例を示す概略図である。
図1中の就業管理装置100はネットワークNに接続され、社内の他の装置と通信可能である。例えば、複数の管理者PC220、複数の利用者PC210、複数の就業管理端末(タイムレコーダ)230等と、データ送受信可能となっている。
【0037】
また、
図1の就業管理システム1はWeb版であり、管理者PC220と利用者PC210はそれぞれ就業管理装置100の生成するWeb画面上で、各種届出申請処理をおこなう。就業管理装置100には、具体的には、WEB/APIサーバ、DBサーバ、メールサーバ等から構成される就業管理サーバ110に加えて、各種のデータベース(DB)120が含まれている。
【0038】
就業管理端末230は、打刻部231とカメラ232を備えており、内部に打刻部231が生成した打刻情報を記録する記録部(不図示)や打刻情報を逐次又は定期的に就業管理装置100にアップロードするための通信部(不図示)を具備する。カメラ232は、就業管理端末230の正面を向いており、打刻部231が作動するタイミング等で打刻者の顔画像を撮像する。撮像された顔画像は、就業管理端末230内で一時的に記録され、就業管理装置100にアップロードされる。
【0039】
図1の破線より左側が、社内のネットワークを示しており、右側は社外のネットワークを示している。詳細には社内のイントラネット、社外のインターネット、さらに広域通信網や、その間のファイヤーフォール等が構成されているが、省略している。社外の機器として、複数の利用者携帯端末240は、利用者のスマートフォン等のいわゆる「スマートデバイス」であり、支店や外部の店舗等で働く従業者やパートアルバイト従業者に、就業情報の入力や、各種届出申請を社外からでも行えるようになっている。ただし、本発明の実施例としてWebにより提供する就業管理システム1では、社内であっても社外でも、同様の機能を有しているものとする。また、図示しないが、社内には他に各フロアの往来や人物の存在を記録するセンサーや、特定の室内への入室、退室を管理する入退室管理端末や、他の機器が直接または(監視盤等に集中管理されて)間接的に接続されている。
【0040】
図2は、就業管理システム1の内部構成例を示すブロック図である。就業管理システム1の代表的な構成要素である、就業管理装置100と、管理者PC220と、利用者PC210のブロック図を示している。なお、社外の利用者携帯端末240のブロック図も、利用者PC210と(通信が広域回線用の無線となることを除き)同様である。
【0041】
図2に示すように、就業管理装置100、管理者PC220、利用者PC210はネットワークNを介して相互に情報通信可能に接続されている。就業管理装置100は通信部113、制御部111、記憶部112、データベース120を有する。
【0042】
図2に示すように、利用者PC210は通信部213、制御部211、記憶部212、出力部215、入力部214を有する。管理者PC220も利用者携帯端末240も、利用者PC210と同様の構成である。
【0043】
図3は、就業管理装置100の機能ブロック図である。本実施形態の各種処理を就業管理装置100に実行させるためのソフトウェアプログラムが記憶部112に展開され、制御部111により実行されることにより、
図3に示す各機能ブロックが実現する。なお、前記ソフトウェアプログラムは、その展開及び実行前は、記憶部112に記憶されていてもよいし、ネットワークNを介してダウンロードされてもよい。各機能ブロックの詳細は、
図9のフローに対応して後述する。
【0044】
図4は、データベース120の構成例を示す説明図(その1)である。就業管理装置100は典型的に、承認DB120a,勤怠DB120b,給与DB120cを含んでいる。これらは、
図4に示すように、各種データが社員番号毎や、届出項目毎に、ソートされて記録されていて、適宜記録や変更されている。
【0045】
承認DB120aは、従業者が提出した届出申請ごとに、当該申請の承認者を記録している。また、承認DB120aは、従業者ごとに、当該従業者がした申請に対するデフォルト(通常設定)の承認者を記憶する。デフォルトの承認者は、届出申請項目(届出や申請の種類)ごとに規定されていてもよい。また、デフォルトの承認者は、従業者ごとでありかつ申請の種類ごとに規定されていてもよい。承認DB120aは、デフォルトの承認者のほかに、届出申請ごとに代替承認可能な承認者を記憶する。
【0046】
勤怠DB120bは、就業管理装置100が就業管理端末230から受信した利用者(就業者)の打刻情報や顔画像を利用者ごとに記憶する。顔画像は、後述する行動DB120dに記憶される設計でもよい。顔画像は、撮像時刻と共に記憶される。
【0047】
図5は、データベース120の構成例を示す説明図(その2)である。就業管理装置100はさらに、行動DB120dを含んでいる。行動DB120dは
図5に示すように、社内のネットワークNに接続された各種の機器等から、様々なデータが記録され、適宜項目仕分けされて追記されている。また、項目仕分けされた各データは、後述するAI(Artificial Intelligence:人工知能)、または機械学習によって、互いに関連性を解析・分析できるようになっている。
【0048】
図6に、本実施形態における届出申請項目と行動DBの項目との関連付けの一例を示す。データベース120は、
図6に示すような、従業者が就業管理システム1を利用して申請可能な届出申請項目と、行動DB120dに記録された各種データとの関連付けを、重み付けと共に記憶する。この重み付けは届出申請項目と行動DB項目との関連付けごとに設定される。
【0049】
重み付けは、重要度であり、後述するAIによる申請の承認/否認の判断に用いられる。重み付けを設定するのは、就業管理システム1の運用開始当初は管理者が行う。就業管理システム1の運用が長期間になると、AIによる申請の承認/否認の判断に対する管理者のレビューを行い、当該レビューに基づいて再設定される。再設定は複数回行われてもよい。
【0050】
図6中において、届出申請項目は、「給与前払い申請」「事故遅刻申請」「特別休暇申請」の3種が示されているが、これは一例に過ぎず、このほかに届出申請項目があってもよい。これらに紐付く行動DB項目も一例である。また、紐付いた行動DB項目それぞれに設定された重みが「低(W1)」から「中(W2)」「高(W3)」までの3段階としているのも一例である。3段階でなくてもよい。
【0051】
以下では、本実施形態に係る就業管理システム1の動作を説明するために、利用者が給与の前払い申請を行った場合について、
図7ないし
図9を参照しながら説明する。動作の説明において、利用者は利用者の操作等を説明する際、利用者が社外からアクセスされる利用者携帯端末240を使って操作するものとする。
【0052】
図7及び
図8は、利用者携帯端末240の画面例を示す説明図である。
図9は、給与前払い申請の届承認処理例を示すフローチャートである。なお、以下で「承認者」と記述しているものはAIを含むものとする。
【0053】
図7(1)は利用者携帯端末240が就業管理システム1の提供するWebページにアクセスした状態を示している。利用者携帯端末240の画面241において、利用者は予め割り当てられた社員番号とともに、初期状態で設定したパスワードをテキスト入力部2411に入力し、ログインの操作釦部2412を押下して、就業管理装置100に対しての届出申請等を行う。
【0054】
利用者が上記操作を行うと、利用者携帯端末240は入力された社員番号とパスワードを就業管理装置100に送信する(ステップS101)。
図7に示すような申請メニューは、申請メニュー出力部101が利用者携帯端末240に出力する。
【0055】
図7(2)は、ログイン後の画面241の一例を示す。図示のように、利用者がログインすると、上段に氏名が表示され、画面241の操作部2413には各種届出等の処理の選択メニュー(メインメニュー)が表示される。下段にはメッセージが表示され、特別な本人宛のメッセージ等は、「お知らせ0件」の部分が「お知らせ1件」となって点滅する等により、注意喚起し、利用者が押下するとお知らせが表示される。
【0056】
図7(3)を参照すると、
図7(2)のメインメニューから「届出処理」を選択した場合に表示される、さらに詳細な届出処理のサブメニューの一例が示されている。
【0057】
図7(3)において利用者が給与前払い申請を押下した場合、画面241は
図8(1)に示す画面に遷移する。現在の前払い限度額が表示され、前払い希望額、希望振込日がテキスト入力できる状態となり、さらに、通知欄2414に現在の承認者が表示される。下段には、「申請」釦2415或いは「承認者を変える」釦2416があり、テキスト入力して申請するか、先に承認者を変えるか、何れかを選択する。テキスト入力後に承認者を変更してもよい。
【0058】
利用者が上記操作を行うと、就業管理装置100は受信している社員番号とパスワードに基づいて給与DB120cに照会し、前払い限度額を算出する(ステップS102)。就業管理装置100は算出した前払い限度額と承認者を利用者携帯端末240に通知する(ステップS103)。これを受信した利用者携帯端末240は
図8(1)に示すような画面241を表示する(ステップS104)。
【0059】
図8(1)において「承認者を変える」釦2416を押下すると、
図8(2)に示すような画面に遷移する。
図8(2)に示すように、承認者を変える候補が、承認者候補表示2417に表示され、夫々を選択して押下出来る様になっている。本実施形態においては、ここで選択可能な承認者に、自然人のほかに「人工知能」も含まれ、承認DB120aが記憶するデフォルトの承認者のほか、代替承認可能な承認者も含まれる。
図8(2)の画面において、利用者が承認者候補表示2417中の何れかの釦を押下すると、
図8(1)の画面に戻って、通知欄2414が選択した承認者に変更された状態で表示される。
【0060】
利用者が上記操作を行うと、利用者携帯端末240は承認者変更がある場合に(ステップS105,Yes)、利用者に承認者を選ばせ(ステップS106)、
図8(2)に示したような画面241を表示する。
【0061】
図8(1)において、利用者が「申請」釦2415を押下すると、就業管理装置100が判断するか、若しくは承認者の判断により、承認可否の申請結果が通知される。
図8(3)に、承認された場合の、承認された旨の申請結果の通知の一例を示す。さらに、
図8(4)には、承認却下(否認)された場合の、承認却下された旨の申請結果の通知の一例が示されている。
【0062】
図8(1)の画面241を用いて、利用者が申請を実行した場合(ステップS107)、利用者携帯端末240は、就業管理装置100に、前払い額、振込み日、承認者の情報を含む申請情報を送信する(ステップS108)。前払い申請に関する情報を含む申請情報を受信した就業管理装置100は、当該申請情報がAI承認を希望する情報を含むか否かを確認する(ステップS109)。ここで、AI承認を希望する情報は、
図8(2)において承認者候補表示2417に示された候補のうち、「人工知能」を利用者が選択した場合に申請情報に含まれる情報である。
【0063】
人工知能による承認(ステップS113)については後述する。利用者が自然人の承認者を選択した場合、就業管理装置100は当該承認者に承認依頼を通知する(ステップS110)。承認者の管理者PC220は承認依頼を受信すると(ステップS111)、承認者が承認/非承認、その他を判定した上で、承認者の操作に基づいて承認判定を就業管理装置100に送信する(ステップS112)。
【0064】
承認判定を受信した就業管理装置100は(ステップS114)、当該承認判定に基づいて、承認するか非承認(否認)とするかを判断する(ステップS115)。非承認の場合は申請却下通知を(ステップS116)、承認の場合は申請許可通知を(ステップS117)、就業管理装置100は、利用者携帯端末240に送信する。さらに、承認の場合は給与先払い処理も実行する(ステップS117)。利用者携帯端末240では届出申請の申請結果を受信する(ステップS118)。
【0065】
このようにして、本実施形態の説明例では、給与支払日前の、給与前払いの届出申請は、従業者PC210や利用者携帯端末(スマホ)240から利用者が入力し、直接の上司などデフォルトの承認者ではない代替承認者を利用者の選択により選択可能である。したがって、給与前払いに代表される、従業者の個人的事情による届出申請について、通常の承認者の承認が不要で、プライバシーの保護にも繋がり、容易で安心で安全な処理であるため、利用率も向上して、従業者の利便性も向上する。
【0066】
なお、給与前払いの限度額算出に際して、保険料、割賦支払額、給与天引き型貯蓄の減算、報奨金、交通費の加算、を含んでもよい。さらに、給与以外の項目に、退職金積み立て額の加算を含んでもよい。
【0067】
なお、上記説明例においては、届出申請項目を給与前払い申請としたが、種々の事情を考慮すべき届出申請はこれに限定されず、生理休暇の申請、妊産婦の健康診査時間申請、養育時間申請、会社持ち株会の退会又は一部解約申請、他の要配慮情報又は機微情報に係る申請のうち、いずれか1つであってもよい。あるいは、これらの組み合わせであってもよい。このほか、個人的な事情による届出申請があってもよい。
【0068】
また、上記就業管理装置100からは、他の就業に係る届出申請については、通常通りの承認ルートで承認が行われる。即ち、就業に係る申請は、申請内容に応じて、予め承認ルートが設定されていて、承認ルートの一次承認者は、基本的には申請者の直属の上司である。ただし、上司であっても、正社員とは限らない。アルバイト長という管理職もある。この様な状況であるため、従業者の個人的な情報に関する届出申請の際は、直属の上司に承認を得るのを躊躇うことがあり、上記構成が有効である。
【0069】
[AI承認について]
本実施形態においては、就業管理装置100は管理者PC220への承認だけでなく、就業管理装置100自体が管理者に代わって代替承認者になり、従業者の行動データを記録した行動DB120dを参照し、給与前払いのための勤怠データの承認や、時間外勤務の申請承認等、給与前払いに関わる事柄について、行動DB120dからネガティブな要素を見出さない限り、従業者の勤怠データの仮承認をおこなうようにプログラムされ、その結果、給与前払いの届出申請も承認することができる。
【0070】
図10を参照しながら、本実施形態における人工知能(AI)による判断を説明する。
図10中の小円で示されているものは仮想的なコンピュータのノードであり各ノードがニューラルに接続してネットワークを構成している。就業管理装置100の制御部111にこのようなネットワークを構築し、届出申請情報に含まれる届出申請項目と、行動DB120dのデータ項目を入力パラメータとして、承認/非承認の承認可否、その他を出力とした機械学習を予め行って、学習済みモデルを得る。この学習済みモデルは、後述する入力パラメータを入力すると、制御部111に演算を指令して、承認/非承認の承認可否、その他という所定の出力を返すプログラムである。
【0071】
入力パラメータには、届出申請に利用者が入力した申請の理由や、外部環境データを含んでもよい。その他に、勤怠DB120b、人事DB(不図示)のデータ項目を含んでもよい。ここで、行動DB120dのデータ項目や外部環境のパラメータの例を示すと、勤怠DB120bからは、勤怠データ、時間外勤務実績承認の有無、有給休暇使用履歴、特別休暇使用履歴をパラメータとして抽出してもよい。
【0072】
行動DB120dからは、在席履歴、メール送受信、PCログオン・ログオフ、内線通話有無、外線通話有無、内線通話声量・声調、外線通話声量・声調、申請時顔画像、定期健康診断結果をパラメータとして抽出してもよい。人事DB(不図示)からは、性別、年齢、勤務年数、家族情報(子の年齢、その他情報・介護の場合は親の年齢その他情報他)、住所、通勤経路、乗車駅、降車駅、勤務評価データ、昇進試験データをパラメータとして抽出してもよい。
【0073】
外部環境(ここでは、リアルタイムに変化する情報とする)からは、天気、気温、降雨情報、災害情報、交通情報、Jアラート情報をパラメータとして抽出してもよい。
【0074】
入力パラメータには上記したものに限らず、定義データ、逐次AIにより自動生成されるデータを含んでもよい。定義データからは、社内ルール、法令遵守ポリシー、承認ポリシーをパラメータとして抽出してもよい。
【0075】
逐次AIにより自動生成されるデータからは、履歴データに蓄積される過去データ、過去の否認データ、過去の否認以前の行動データ、過去の承認後のレビューデータ、承認可否判定時の例外定義データをパラメータとして抽出してもよい。本発明ではこれらを総合して行動履歴データという。
【0076】
さらに本実施形態においては、
図10に示すように、仮想コンピュータノードのネットワークを入力層と中間層に分ける。中間層において、上述の入力パラメータのうち、行動DB120dのデータ項目のそれぞれが持つ重み(
図6)が演算に用いられる。
【0077】
具体的には、利用者の行動DB項目の特徴量に届出申請項目に応じた重み付けがされる。例えば、給与前払い申請の場合、利用者の「就業時間データ」の特徴量にW3の重みが付されたものが、AIによる判定のパラメータに用いられる。
【0078】
以上のように構成した本実施形態によれば、例えば、承認者が不在の場合の、時間外勤務の承認が無い状態で、満額の給与前払いを申請したとすると、勤怠承認者(申請の承認者ではない)の勤務データを確認し、勤怠承認者が不在等、承認できない場合には、時間外勤務の承認有無の重みがW3からW2に減じ、それにより、救済され得る。即ち、時間外勤務の承認有無は、給与前払い申請においては重みがW3と重要度高に該当し、時間外勤務の承認無しであれば、給与前払い申請の承認可否判断に対して重大なネガティブステータス(否認の理由として単独で成立する)が割り振られるが、例外定義データに、上記の勤怠承認者の不在を例外定義されていて、それにより救済によりW3項目のネガティブステータスの中間出力の点数を減らし、総合的に予め定めた承認可否の判断閾値に比較して、出力点が下回れば、承認の可と判定する。
【0079】
また、これらの承認可否の履歴データが蓄積される結果、ディープラーニングにより各データの因果関係(重み付け)や将来事象を推定し、承認可否判定に反映させることを、AIが学習する。
なお、行動履歴データの個々の内容自体を、勤怠承認可否判断のアルゴリズムのリバースエンジニアリングによる確認のために、再度読み出すことは出来ないように記録するのが良い。(プライバシー保護のため、行動履歴データ流出・盗用による、悪意・不正利用を防止するため)
【0080】
本実施形態では、給与前払いの申請を示したが、他の申請項目として、事故遅刻の申請では、リアルタイム(若しくは一定時間以内の)交通渋滞、路線事故のデータをインターネット経由で外部サイトから入手することで、代替承認としてAIが承認をおこなっても、容易に承認可否の判断がおこなえる。逆に、個々にインターネット環境にない(外部サイトへの就業時間中の閲覧が認められていない)管理者が承認可否を判断するよりも、極めて合理的に承認可否の判定ができるのは言うまでもない。
【0081】
[第二の実施形態]
本実施形態は、第一の実施形態とシステム構成は同様のものを採用できる。第一の実施形態では代替承認者を利用者が選択する構成としたが、本実施形態では、就業管理装置100の制御部111が代替承認者を選択する。
図11のフローチャートに本実施形態の情報処理の流れを示す。
【0082】
この場合、
図7に示したようなユーザインターフェースを用いた利用者の操作に基づいて、利用者携帯端末240や利用者PC210が届出申請情報を就業管理装置100に送信すると(ステップS201)、就業管理装置100が、届出申請情報に含まれる届出申請項目に基づいて承認者を決定する(ステップS202)。
【0083】
上述のように承認DB120aには、届出申請項目ごとにデフォルトの承認者が記憶されているので、制御部111はこれに基づいて決定してもよい。あるいは、その他の演算処理に基づいて承認者を決定してもよい。例えば、デフォルトの承認者が逐次承認を出せないような状況にあることが行動DB120dにより判明した場合は代替承認者を選択するという処理をする。あるいは、例えば、
図10に示した機械学習済みの学習済みモデルに類似した学習済みモデルに基づいて決定してもよい。この場合、当該学習済みモデルは、届出申請項目と、行動DB120dのデータ項目を入力パラメータに入力すると、制御部111に演算を指令して、代替承認者という所定の出力を返すプログラムである。代替承認者にはAIも含まれる。
【0084】
AIにより承認者を決定する場合、届出申請項目が給与前払い申請である場合のほか、生理休暇の申請、妊産婦の健康診査時間申請、養育時間申請、会社持ち株会の退会又は一部解約申請、他の要配慮情報又は機微情報に係る申請等の場合、代替承認者にAIを選択する可能性が高くなるように機械学習させると、センシティブな届出申請の場合は自然人でないAIが選択される可能性が高まるので、利用者にとって安心して利用しやすい就業管理システムが実現する。
【0085】
就業管理装置100又は制御部111が決定した承認者がAIによる承認でなく自然人の承認者であった場合(ステップS203,No)、就業管理装置100は当該承認者に承認依頼を通知する(ステップS204)。承認者の管理者PC220は承認依頼を受信すると(ステップS205)、承認者が承認/非承認、その他を判定した上で、承認者の操作に基づいて承認判定を就業管理装置100に送信する(ステップS206)。
【0086】
承認判定を受信した就業管理装置100は(ステップS208)、当該承認判定に基づいて、承認するか非承認(否認)とするかを判断する(ステップS209)。非承認の場合は申請却下通知を(ステップS210)、承認の場合は申請許可通知を(ステップS211)、就業管理装置100は、利用者携帯端末240に送信する。さらに、承認の場合は承認に係る処理も実行してもよい。利用者携帯端末240又は利用者PC210では届出申請の申請結果を受信する(ステップS212)。
【0087】
AI承認である場合は(ステップS203,Yes)、後述するように行動DB120dを含むデータベース120を解析して承認判定を出力する(ステップS207)。なお、制御部111は、AI承認の場合は自己装置に承認依頼を通知する。
【0088】
[AI承認について]
本実施形態のAI承認、すなわちステップS207の「行動DB解析承認判定出力」処理は、以下に説明する演算処理を就業管理装置100の制御部111の実行によりなされる。
【0089】
第一の実施形態では給与の前払い申請を例に説明した。そこで、本実施形態では病欠の届出を利用者が就業管理システム1に提出する場合を例に説明する。病欠の届出も本就業管理システム1が扱う届出申請の一つである。
【0090】
病欠の届出の際、利用者PC210又は利用者携帯端末240は、機器に付属のカメラ(不図示)で申請時の利用者の顔画像を撮像し、申請情報に添付する。就業管理装置100が申請時の顔画像の添付がなければ、申請情報の送信が不可能なように、申請メニュー(
図7、
図8に示したユーザインターフェース)を設計してもよい。申請情報には、顔画像のほかに、あるいは顔画像に代えて、画像撮像時の赤外線量から解析した体温を含んでもよい。
【0091】
制御部111は、届出申請情報に含まれる顔画像と、データベース120が記憶する利用者の過去の顔画像を比較することにより、顔色や目の充血状態といった体調に関連する情報を得る。この比較は、画像のパターンマッチングにより実現してもよい。そして、制御部111は、体調に関する情報に基づいて、承認又は非承認、その他の承認判定を出力する。
【0092】
この場合、利用者が就業管理端末230で打刻をするたびに撮像した顔画像の累積データを用いて、体調の分析、健康状態の判断と、届出申請に対する承認判定がなされるので、精度の高い承認判定が得られる。また、制御部111は、蓄積した顔画像を分析することにより、所定の期間内(数日/数週間)に急速にやせたことが判明した場合に、承認判定をしてもよい。
【0093】
さらに、制御部111は、体調の分析に行動DB120dに蓄積される外部環境パラメータを用いてもよい。例えば、気圧データと体調不良に有意な相関が見られる利用者に対しては、低気圧の際に承認判定がなされやすいようにする。
【0094】
なお、以上に説明した処理によらず、第一の実施形態のAI承認によりステップS207が実現されてもよい。この場合、就業管理装置100の学習済みモデルは、届出申請項目が「病欠の届出」であり「申請時の顔画像」の添付がされている場合、承認者にAIを選択する決定を出力する尤度が高めに設定されていてもよい。画像解析は機械学習済みモデルによる出力が比較的安定しているため、この構成によれば、業務効率の改善が実現する。
【0095】
また、本実施形態のAI承認は、
図11に示すフローチャートに先立って、利用者が就業管理端末230で打刻をしたタイミングで実行されてもよい。制御部111は、利用者が退勤の際に上記AI承認を実行し、体調不良を検知したり、所定の期間内(数日/数週間)に急速にやせたことが判明したりした場合に、病欠に係る届出申請を提出するよう利用者に促す、あるいは自動で届出申請を提出するようにしてもよい。この構成によれば、業務効率の改善が実現する。
【0096】
[その他の変形例]
さらに、上記実施形態のいずれかにおいて、一旦利用者が選択した代替承認者が、自分で承認するか、AIに承認を依頼するかを選択してもよい。若しくは、AIの承認判断を代替承認者が通知を受け、その判断結果を鑑みて、代替承認者が最終的な承認判断をしてもよい。
【0097】
なお、代替承認者の選択は、一次承認者に加えて、二次、最終承認者であってもよく、その何れかの代替承認者が、AIであってもよい。
【0098】
また、代替承認者は、承認DBの社員マスタに代替承認権限を付与されていて、代替承認者による承認レベルに応じて、届出申請内容の許可レベルを異ならせてもよい。
【0099】
さらに、代替承認者としてのAIの承認判断の結果によって、他の代替承認者が最終判断をした場合に、その判断が異なる場合には、その最終判断結果をも、行動DBに記録され、後のAI分析やAIの代替承認の際の判断を得るためのデータとして活用されるようにしてもよい。
【0100】
また本技術に係る就業管理装置、及びプログラムは、単体のコンピュータにより実行されてもよいし、複数のコンピュータが連動することで実行されてもよい。すなわち社員行動情報の取得、承認レベルの設定等が、単体のコンピュータにより実行される場合と、各処理が異なるコンピュータにより実行される場合とのいずれもが有り得る。また所定のコンピュータによる各処理の実行は、当該処理の一部または全部を他のコンピュータに実行させその結果を取得することを含む。例えば本技術に係る就業管理装置及びプログラムは、クラウドコンピューティングの構成にも適用することが可能である。
【0101】
以上説明した本発明に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0102】
また、本発明は、請求の範囲及び明細明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は技術的思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う就業管理装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の技術は、企業や団体等の従業者の勤怠や給与を管理する就業管理システムにおいて、好適に利用できるものである。
【符号の説明】
【0104】
1 就業管理システム
100 就業管理装置(サーバ)
210 利用者PC
220 管理者PC
230 就業管理端末(タイムレコーダ)
240 利用者携帯端末(スマホ)