(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153398
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20231005BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20231005BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20231005BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231005BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/9789
A61K8/99
A61Q19/00
A61Q1/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137525
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2022153315の分割
【原出願日】2018-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】黄田 千尋
(57)【要約】
【課題】
グリセリルグルコシドと、特定の植物及び/又はその抽出物を併用することにより、保湿効果が相乗的に向上する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】
本発明は、
下記(A)及び(B)を含有する皮膚外用剤
(A)グリセリルグルコシド
(B)カカオの果実を乳酸桿菌( Lactobacillus)を用いて発酵した後、ろ過して得られ
るろ液
を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)を含有する皮膚外用剤。
(A)グリセリルグルコシド
(B)カカオの果実を乳酸桿菌(Lactobacillus)を用いて発酵した後、ろ過して得られるろ液
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリルグルコシドと、特定の植物及び/又はその抽出物を併用してなる皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
グリセリルグルコシドは、高い保湿効果を有することが知られている(特許文献1)。カシアを含有する皮膚外用剤が高い保湿効果、美肌効果及び肌荒れ効果を発揮し得ることが知られている(特許文献2)。スイカズラ抽出物が皮膚外用剤に配合し得ることが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-222496号公報
【特許文献2】特開2004-323468号公報
【特許文献3】特開2012-001527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、グリセリルグルコシドと、特定の植物及び/又はその抽出物を併用することにより、保湿効果が相乗的に向上する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
下記(A)及び(B)を含有する皮膚外用剤
(A)グリセリルグルコシド
(B)カカオの果実を乳酸桿菌( Lactobacillus)を用いて発酵した後、ろ過して得られるろ液
を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の皮膚外用剤は、グリセリルグルコシドと特定の植物及び/又はその抽出物を併用して用いることにより、保湿効果が相乗的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、グリセリルグルコシドとカカオの果実を乳酸桿菌( Lactobacillus)を用いて発酵した後、ろ過して得られるろ液を併用することにより、皮表角層水分量が相乗的に向上することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品等のいずれの用途にも用いられ得る。
【0010】
グリセリルグルコシドは、化粧料に配合し得るものであれば製造方法は、合成、微生物による発酵等方法を問わない。具体的には、α体、β体、或いはこれらの混合物のいずれも用いることができる。
【0011】
本発明の皮膚外用剤には、カカオの果実を乳酸桿菌( Lactobacillus)を用いて発酵した後、ろ過して得られるろ液を配合する。市販のActive Concepts社製のACB COCOA BIOFERMENTを用いることもできる。
【0012】
本発明における上述のカカオの果実を乳酸桿菌( Lactobacillus)を用いて発酵した後、ろ過して得られるろ液の皮膚外用剤への配合量としては、好ましくは0.00001~5質量%、特に0.0001~1質量%の範囲である。この範囲であれば、製剤及び製剤中の植物カカオの果実を乳酸桿菌( Lactobacillus)を用いて発酵した後、ろ過して得られるろ液の経時安定性に影響を及ぼすことが無く、より高い効果を発揮させることができる。
【0013】
本発明の皮膚外用剤には上述の必須成分の他に、必要に応じて通常皮膚外用剤に配合される、水性成分、油性成分、保湿剤、色素、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防黴剤、アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏の剤型で用いることができる。また、本発明の皮膚外用剤は、製造方法を問わない。
【実施例0015】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0016】
まず、使用した各成分の調製例を示す。
【0017】
[グリセリルグルコシド]
グリセリルグルコシドとして、辰馬本家酒造社製のα-GGを用いた。
【0018】
[カカオ]
カカオとして、Active Concepts社製のACB COCOA BIOFERMENTを用いた。
【0019】
[保湿効果試験方法]
表1に示した試料を調製し、皮表角層水分量の測定を行った。
【0020】
[測定方法]
(1)馴化
被験者は左右前腕内側部を洗浄後、水分をふき取り、温度21±0.5℃、湿度50±5%に調整された室内で15分間安静にし、馴化を行った。
(2)塗布
左右前腕内側部に3cm×3cmの領域を記し、ピペットを用いて9μLを滴下し、指サックをした指で均一に塗布した。
(3)測定
塗布前及び塗布後60分後の皮表角層水分量をSKICON-200EXを用いて測定した。皮表角層水分量は塗布前の水分量を100とした場合の相対値を算出し、表1及び表2に示した。皮表角層水分量は、測定当日の気温、湿度等の影響を受けやすいため、一群の試料は同日に評価し、塗布前の測定も試料を塗布した部位での測定値を相対値の基準とした。
【0021】
【0022】
表1に示した通り、試料9を塗布することにより、試料7、試料8を単独(それぞれの有効成分量は倍量となる)で塗布した場合と比較して、皮表角層水分量増加効果が相乗的に向上していた。
【0023】
[実施例1]化粧水
(1)エタノール 15.0(質量%)
(2)ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.3
(3)香料 0.1
(4)精製水 全量を100とする量
(5)クエン酸 0.02
(6)クエン酸ナトリウム 0.1
(7)グリセリン 1.0
(8)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(9)グリセリルグルコシド(東洋精糖社製) 0.3
(10)カカオ 0.03
製法:(1)に(2)及び(3)を溶解する。溶解後、(4)~(8)を順次添加した後、十分に攪拌し、(9)、(10)を加え、均一に混合する。
【0024】
[実施例2]クレンジング料
(1)スクワラン 81.0(質量%)
(2)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 15.0
(3)精製水 全量を100とする量
(4)グリセリルグルコシド(東洋精糖社製) 0.2
(5)カカオ 0.5
製法:(1)と(2)を均一に溶解する。これに、(3)~(5)を順次加え、均一に混合する。
【0025】
[実施例3]パック
(1)精製水 全量を100とする量(質量%)
(2)ポリビニルアルコール 12.0
(3)エタノール 17.0
(4)グリセリン 5.0
(5)ポリエチレングリコール(平均分子量1000) 2.0
(6)グリセリルグルコシド(東洋精糖社製) 0.2
(7)カカオ 0.2
(8)香料 0.1
製法:(2)と(3)を混合し、80℃に加温した後、80℃に加温した(1)に溶解する。均一に溶解した後、(4)と(5)を加え、攪拌しながら冷却を開始する。40℃まで冷却し、(6)~(8)を加え、均一に混合する。