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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153432
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】レーザ加工装置及びレーザ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/064 20140101AFI20231011BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20231011BHJP
【FI】
B23K26/064 A
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147177
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 行男
(72)【発明者】
【氏名】新井 敏成
(72)【発明者】
【氏名】竹下 琢郎
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA02
4E168CA06
4E168CA07
4E168CB22
4E168DA26
4E168DA38
4E168DA45
4E168DA60
4E168EA11
(57)【要約】
【課題】光の強度分布を均一化する光学系を用いることなく、強度分布を均一にすることができる。
【解決手段】レーザ光を出射する光源と、複数の画素がマトリクス状に配置された反射型液晶素子と、光源と反射型液晶素子との間の光路中及び反射型液晶素子と加工対象物との間の光路中に配置された偏光ビームスプリッタと、偏光ビームスプリッタと反射型液晶素子との間の光路中に設けられており、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板と、反射型液晶素子で反射されたレーザ光を前記加工対象物に結像させる結像光学系と、を備え、レーザ光を加工対象物に照射して加工対象物を加工する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を加工対象物に照射して前記加工対象物を加工するレーザ加工装置において、
レーザ光を出射する光源と、
複数の画素がマトリクス状に配置された反射型液晶素子と、
前記光源と前記反射型液晶素子との間の光路中及び前記反射型液晶素子と前記加工対象物との間の光路中に配置された偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタと前記反射型液晶素子との間の光路中に設けられており、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板と、
前記反射型液晶素子で反射されたレーザ光を前記加工対象物に結像させる結像光学系と、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
レーザ光の強度プロファイルを測定する測定部と、
前記反射型液晶素子を制御する制御部であって、前記測定部の測定結果に基づいて、レーザ光で加工を行う加工領域に照射されるレーザ光の強度分布が均一になるように、前記画素毎に印加する電圧を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
前記測定部は、前記光源と前記偏光ビームスプリッタとを結ぶ直線上であって、前記偏光ビームスプリッタの後方に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項4】
前記光源と前記偏光ビームスプリッタとの間に設けられており、前記光源から出射されたレーザ光の一部を前記測定部に向けて反射する反射部を備えた
ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記加工領域の周囲に、前記加工領域に照射されるレーザ光より強度の弱いレーザ光が照射される第1照射領域を配置し、前記加工領域及び前記第1照射領域に同時にレーザ光を照射するように、前記反射型液晶素子を制御する
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記加工領域及び前記第1照射領域の少なくとも一方と重なる第2照射領域であって、前記加工領域に照射されるレーザ光より強度が弱く、前記第1照射領域に照射されるレーザ光より強度が強いレーザ光が照射される第2照射領域を配置し、前記加工領域、前記第1照射領域及び前記第2照射領域に同時にレーザ光を照射するように、前記反射型液晶素子を制御する
ことを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記加工領域は、2つの線が交わってできた角を有し、
前記第2照射領域は、前記角に重ねて配置される
ことを特徴とする請求項6に記載のレーザ加工装置。
【請求項8】
前記加工領域は、2つの線が交わってできた角を有し、
前記第2照射領域は、前記角に隣接するように前記第1照射領域に重ねて配置される
ことを特徴とする請求項6に記載のレーザ加工装置。
【請求項9】
前記第2照射領域は、前記加工領域の対角線を挟んで前記角毎に複数設けられる
ことを特徴とする請求項8に記載のレーザ加工装置。
【請求項10】
光源から出射したレーザ光を、偏光ビームスプリッタで反射させ、1/4波長板を通過させ、反射型液晶素子で反射させ、前記1/4波長板及び前記偏光ビームスプリッタを順に通過させて加工対象物に照射することで前記加工対象物を加工するレーザ加工方法であって、
前記加工対象物の位置に測定部を設け、前記光源からレーザ光を出射して前記測定部でレーザ光の強度プロファイルを測定し、
前記光源からレーザ光を出射し、かつ、前記強度プロファイルに基づいて前記反射型液晶素子の各画素に印加する電圧を制御して、前記加工対象物のうちのレーザ光で加工を行う加工領域に強度分布が均一のレーザ光を照射する
ことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項11】
光源から出射したレーザ光を、偏光ビームスプリッタで反射させ、1/4波長板を通過させ、反射型液晶素子で反射させ、前記1/4波長板及び前記偏光ビームスプリッタを順に通過させて加工対象物に照射することで前記加工対象物を加工するレーザ加工方法であって、
前記光源からレーザ光を出射し、前記偏光ビームスプリッタを通過した光又は前記光源と前記偏光ビームスプリッタとの間に設けられた反射部により反射された光が入射する測定部でレーザ光の強度プロファイルを測定しつつ、前記強度プロファイルに基づいて前記反射型液晶素子の各画素に印加する電圧を制御して、前記加工対象物のうちのレーザ光で加工を行う加工領域に強度分布が均一のレーザ光を照射する
ことを特徴とするレーザ加工方法。
【請求項12】
前記加工領域にレーザ光を照射するのと同時に、前記加工領域の周囲の第1照射領域に前記加工領域に照射されるレーザ光より強度の弱いレーザ光を照射するように、前記反射型液晶素子を制御する
ことを特徴とする請求項10又は11に記載のレーザ加工方法。
【請求項13】
前記加工領域及び前記第1照射領域にレーザ光を照射するのと同時に、前記加工領域及び前記第1照射領域の少なくとも一方と重なる第2照射領域に前記加工領域に照射されるレーザ光より強度が弱く、前記第1照射領域に照射されるレーザ光より強度が強いレーザ光を照射するように、前記反射型液晶素子を制御する
ことを特徴とする請求項12に記載のレーザ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置及びレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多階調の露光パターンを発生させるDMDと、第一のレンズと開口しぼりと第二のレンズからなるテレセントリック光学系で構成され、DMDを照明する照明光学系と、テレセントリック光学系によりDMDとシャインフルーフの条件を満足するようテレセントリック光学系の光軸に対して所定の角度斜めに傾けて設置された平面光源と、露光パターンを感光材に結像する投影光学系とからなり、照明光学系の光軸がDMDに垂直な投影光学系の光軸に対してDMDの各マイクロミラーの傾動角の2倍の角度だけ傾いて設定された露光光学系と、DMDの各マイクロミラー毎に感光材の露光位置で露光光学系の光強度の面内分布を測定するモニタ光学系と、モニタ光学系で測定した露光光学系の光強度の面内分布を均一にする補正テーブルN(x,y)、モニタ光学系の照明ムラを均一にする補正テーブルM(x,y)を記憶した記憶手段と、感光材を除去して得られる設計値の深さと光量の関係を表す感度曲線、および感光材の露光パターンのテーブルG(x,y)を入力し、テーブルG(x,y)を感度曲線を参照して感度補正露光パターンのテーブルR(x,y)に変換すると共に、DMDの各マイクロミラー毎に対応した照明ムラを均一にし感光材の直線性を補正した制御値のテーブルS(x,y)=R(x,y)×N(x,y)×M(x,y)を求める制御値算出手段と、制御値算出手段で求めた制御値によりDMDの各マイクロミラー毎を制御する空間光変調器制御手段と、を備えた露光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3799614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1に記載の発明では、DMDを用いるため、ロッドインテグレータ等により照度分布が均一化された平面光源を用いない場合には、加工対象物に照射される光の強度が均一化されず、加工精度が低下するおそれがある。また、引用文献1に記載の発明では、DMDに変えて反射型液晶パネルを用いてもよいことが開示されているが、やはり、照度分布が均一化された平面光源を用いない場合には、加工対象物に照射される光の強度が均一化されない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、露光パターン生成部を照明する光の強度分布を均一化する照明光学系を用いることなく、強度分布を均一にすることができるレーザ加工装置及びレーザ加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るレーザ加工装置は、例えば、レーザ光を加工対象物に照射して前記加工対象物を加工するレーザ加工装置において、レーザ光を出射する光源と、複数の画素がマトリクス状に配置された反射型液晶素子と、前記光源と前記反射型液晶素子との間の光路中及び前記反射型液晶素子と前記加工対象物との間の光路中に配置された偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタと前記反射型液晶素子との間の光路中に設けられており、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板と、前記反射型液晶素子で反射されたレーザ光を前記加工対象物に結像させる結像光学系と、を備えたことを特徴とする。これにより、露光パターン生成部を照明する光の強度分布を均一化する照明光学系を用いることなく、強度分布を均一にすることができる。なお、露光パターン生成部とは、反射型液晶素子、DMD、マスク、スリット等を含む概念であり、本発明では露光パターン生成部として反射型液晶素子を用いる。
【0007】
レーザ光の強度プロファイルを測定する測定部と、前記反射型液晶素子を制御する制御部であって、前記測定部の測定結果に基づいて、レーザ光で加工を行う加工領域に照射されるレーザ光の強度分布が均一になるように、前記画素毎に印加する電圧を制御する制御部と、を備えてもよい。これにより、光源から出射される光の強度プロファイルが経時的に変化しても、定期的にプロファイラで強度プロファイルを測定し、測定結果に基づいて反射型液晶素子を制御することができる。
【0008】
前記測定部は、前記光源と前記偏光ビームスプリッタとを結ぶ直線上であって、前記偏光ビームスプリッタの後方に設けられていてもよい。これにより、強度プロファイルを常時測定し、レーザ光の面強度を常時補正することができる。
【0009】
前記光源と前記偏光ビームスプリッタとの間に設けられており、前記光源から出射されたレーザ光の一部を前記測定部に向けて反射する反射部を備えてもよい。これにより、偏光の影響を受けずにレーザ光の強度プロファイルを常時測定し、レーザ光の面強度を常時補正することができる。
【0010】
前記制御部は、前記加工領域の周囲に、前記加工領域に照射されるレーザ光より強度の弱いレーザ光が照射される第1照射領域を配置し、前記加工領域及び前記第1照射領域に同時にレーザ光を照射するように、前記反射型液晶素子を制御してもよい。これにより、周囲とメイン加工部の温度差を小さくして加工領域から外側に逃げていく熱を抑え、微細加工、特に線等の狭い領域の加工を行うことができる。
【0011】
前記制御部は、前記加工領域及び前記第1照射領域の少なくとも一方と重なる第2照射領域であって、前記加工領域に照射されるレーザ光より強度が弱く、前記第1照射領域に照射されるレーザ光より強度が強いレーザ光が照射される第2照射領域を配置し、前記加工領域、前記第1照射領域及び前記第2照射領域に同時にレーザ光を照射するように、前記反射型液晶素子を制御してもよい。これにより、温度勾配を細かく制御し、微細加工、特に線等の狭い領域の加工を行うことができる。
【0012】
前記加工領域は、2つの線が交わってできた角を有し、前記第2照射領域は、前記角に重ねて配置されてもよい。これにより、熱が逃げやすい加工領域の角近傍の温度が他に比べて低くならないように温度勾配を制御することができる。
【0013】
前記加工領域は、2つの線が交わってできた角を有し、前記第2照射領域は、前記角に隣接するように前記第1照射領域に重ねて配置されてもよい。これにより、熱が逃げやすい加工領域の角近傍の温度が他に比べて低くならないように温度勾配を制御することができる。
【0014】
前記第2照射領域は、前記加工領域の対角線を挟んで前記角毎に複数設けられてもよい。これにより、より細かい温度制御が可能になる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係るレーザ加工方法は、例えば、光源から出射したレーザ光を、偏光ビームスプリッタで反射させ、1/4波長板を通過させ、反射型液晶素子で反射させ、前記1/4波長板及び前記偏光ビームスプリッタを順に通過させて加工対象物に照射することで前記加工対象物を加工するレーザ加工方法であって、前記加工対象物の位置に測定部を設け、前記光源からレーザ光を出射して前記測定部でレーザ光の強度プロファイルを測定し、前記光源からレーザ光を出射し、かつ、前記強度プロファイルに基づいて前記反射型液晶素子の各画素に印加する電圧を制御して、前記加工対象物のうちのレーザ光で加工を行う加工領域に強度分布が均一のレーザ光を照射することを特徴とする。これにより、露光パターン生成部を照明する光の強度分布を均一化する照明光学系を用いることなく、強度分布を均一にすることができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係るレーザ加工方法は、例えば、光源から出射したレーザ光を、偏光ビームスプリッタで反射させ、1/4波長板を通過させ、反射型液晶素子で反射させ、前記1/4波長板及び前記偏光ビームスプリッタを順に通過させて加工対象物に照射することで前記加工対象物を加工するレーザ加工方法であって、前記光源からレーザ光を出射し、前記偏光ビームスプリッタを通過した光又は前記光源と前記偏光ビームスプリッタとの間に設けられた反射部により反射された光が入射する測定部でレーザ光の強度プロファイルを測定しつつ、前記強度プロファイルに基づいて前記反射型液晶素子の各画素に印加する電圧を制御して、前記加工対象物のうちのレーザ光で加工を行う加工領域に強度分布が均一のレーザ光を照射することを特徴とする。これにより、露光パターン生成部を照明する光の強度分布を均一化する照明光学系を用いることなく、強度分布を均一にすることができる。また、プロファイラで常時強度プロファイルを測定し、その結果に基づいて連続的に反射型液晶素子を制御し、レーザ光の面強度を常時補正することができる
【0017】
前記加工領域にレーザ光を照射するのと同時に、前記加工領域の周囲の第1照射領域に前記加工領域に照射されるレーザ光より強度の弱いレーザ光を照射するように、前記反射型液晶素子を制御してもよい。これにより、周囲とメイン加工部の温度差を小さくして加工領域から外側に逃げていく熱を抑え、微細加工、特に線等の狭い領域の加工を行うことができる。
【0018】
前記加工領域及び前記第1照射領域にレーザ光を照射するのと同時に、前記加工領域及び前記第1照射領域の少なくとも一方と重なる第2照射領域に前記加工領域に照射されるレーザ光より強度が弱く、前記第1照射領域に照射されるレーザ光より強度が強いレーザ光を照射するように、前記反射型液晶素子を制御してもよい。これにより、温度勾配を細かく制御し、微細加工、特に線等の狭い領域の加工を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光の強度分布を均一化する照明光学系を用いることなく、強度分布を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】レーザ加工装置1の構成を模式的に示す図である。
図2】レーザ加工装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図3】レーザ加工装置1による加工処理の流れを示すフローチャートである。
図4】照射領域A及び加工領域Bの一例を示す図である。
図5】照射領域A、加工領域B及び第1照射領域Cの一例を示す図である。
図6】照射領域A、加工領域B、第1照射領域C及び第2照射領域Dの一例を示す図である。
図7】照射領域A、加工領域B、第1照射領域C及び第2照射領域Dの一例を示す図である。
図8】照射領域A、加工領域B、第1照射領域C及び第2照射領域Dの一例を示す図である。
図9】レーザ加工装置2の構成を模式的に示す図である。
図10】レーザ加工装置2による加工処理の流れを示すフローチャートである。
図11】レーザ加工装置3の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明のレーザ加工装置は、レーザ光を加工対象物に照射して加工対象物を加工する装置である。
【0022】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明のレーザ加工装置1の構成を模式的に示す図である。レーザ加工装置1は、主として、光源部10と、光学系20と、観察部30と、プロファイラ41と、を有し、加工対象物Wにレーザ光を照射する。図1では、レーザ光の経路を二点鎖線で示している。
【0023】
光源部10は、主として、光源11と、光アイソレータ12と、拡大光学系13と、を有する。光源11は、レーザ光を出射するものであり、例えば半導体レーザである。光源11は、パルス幅がナノ秒台のナノ秒レーザである。また、光源11から出射されるレーザ光は、特定の電界方向及び磁界方向に振動している直線偏光である。光源部10は、図示しない光学系を含み、光源11から出射する光を偏光ビームスプリッタ25(後に詳述)の偏光分離面に対してS偏光にしている。
【0024】
なお、光源11は、一般的にアッテネータ(図示せず)を有するが、本実施の形態では反射型液晶素子21により光の強度分布を均一化する(後に詳述)ため、アッテネータは必須ではない。
【0025】
光源11から出射されたレーザ光は、拡大光学系13で拡大される。拡大光学系13は、例えばビームエキスパンダであり、レーザ光のビーム径を拡大する。光源11と拡大光学系13との間には、戻り光による光源11の損傷を防ぐ光アイソレータ12が設けられている。ただし、光アイソレータ12は必須ではない。
【0026】
光学系20は、主として、反射型液晶素子21と、フィールドレンズ22と、チューブレンズ23と、1/4波長板24と、偏光ビームスプリッタ25と、対物レンズ26と、を有する。なお、フィールドレンズ22は必須ではない。
【0027】
偏光ビームスプリッタ25は、光源11と反射型液晶素子21との間の光路中及び反射型液晶素子21と加工対象物Wとの間の光路中に配置されている。フィールドレンズ22、チューブレンズ23、及び1/4波長板24は、偏光ビームスプリッタ25と反射型液晶素子21との間の光路中に設けられている。対物レンズ26は、偏光ビームスプリッタ25と加工対象物Wとの間の光路中に設けられている。
【0028】
光源11から出射され、拡大光学系13で拡大されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ25に入射する。偏光ビームスプリッタ25は、例えば、誘電体多層膜をコートした直角プリズムを2つ貼り合わせたものであり、P偏光を透過し、S偏光を反射させる。光源11から出射され、偏光ビームスプリッタ25に入射するレーザ光はS偏光であるため、偏光ビームスプリッタ25で反射する。
【0029】
偏光ビームスプリッタ25で反射された光は、1/4波長板24に入射する。1/4波長板24は、位相差をλ/4(90°)与えることで直線偏光を円偏光に変換する部材である。S偏光は、1/4波長板24を通過することで円偏光に変換され、チューブレンズ23を介して反射型液晶素子21に入射する。
【0030】
反射型液晶素子21は、例えばLCOS(Liquid crystal on silicon)パネルであり、複数の画素がマトリクス状に配置されている。反射型液晶素子21は、画素電極が二次元配列されたシリコン基板と透明基板との間に液晶が挟みこまれており、画素毎に印加する電圧を制御する、すなわち画素毎に位相変調をすることが可能である。
【0031】
反射型液晶素子21で反射された円偏光は、フィールドレンズ22及びチューブレンズ23を通過し、1/4波長板24で円偏光から直線偏光もしくは楕円偏光に変更され、偏光ビームスプリッタ25に入射する。
【0032】
反射型液晶素子21で位相変調されない場合には、反射型液晶素子21で反射された光は、1/4波長板24を通過することで全てP偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ25を全て透過する。
【0033】
反射型液晶素子21の画素の液晶分子が電圧に応じて起き上がり位相変調された場合には、楕円偏光である反射光が1/4波長板24を通過することで、偏光ビームスプリッタ25に入射する光のうちのP偏光の割合、すなわち偏光ビームスプリッタ25を透過する光の強度が電圧に応じて変化する。
【0034】
チューブレンズ23及び対物レンズ26は、反射型液晶素子21で反射されたレーザ光を加工対象物Wに結像させる結像光学系である。チューブレンズ23及び対物レンズ26は公知であるため、説明を省略する。
【0035】
なお、図1に示す例では、チューブレンズ23が1/4波長板24とフィールドレンズ22との間に設けられており、偏光ビームスプリッタ25を通過した光が1/4波長板24を通過した後でチューブレンズ23を通過して反射型液晶素子21に入射するが、チューブレンズ23の配置はこれに限られない。例えば、チューブレンズ23を偏光ビームスプリッタ25と1/4波長板24との間に設け、偏光ビームスプリッタ25を通過した光がチューブレンズ23を通過した後で1/4波長板24を通過して反射型液晶素子21に入射してもよい。
【0036】
加工対象物Wは、図示しないステージに載置されている。このステージには、加工対象物Wに変えて、プロファイラ41も載置される。プロファイラ41は、例えばCCD等の2次元光センサであり、レーザ光のビーム径や空間的な強度分布である強度プロファイルを測定する。
【0037】
観察部30は、加工後の加工対象物Wの表面を観察するものであり、主として、撮像部31と、照明32と、ビームスプリッタ33、34と、チューブレンズ35と、を有する。
【0038】
撮像部31は、例えばカメラであり、レンズ及び撮像素子を有する。ビームスプリッタ33、34及びチューブレンズ35は、撮像部31と加工対象物Wとの間の光路中に設けられている。
【0039】
照明32からの光は、ビームスプリッタ34でビームスプリッタ33に向けて反射され、ビームスプリッタ33で加工対象物Wに向けて反射され、加工対象物Wに照射される。加工対象物Wで反射された光は、ビームスプリッタ33でビームスプリッタ34に向けて反射され、ビームスプリッタ34を通過し、チューブレンズ35で撮像部31に集光される。
【0040】
ビームスプリッタ33は、偏光ビームスプリッタ25と加工対象物Wとの間の光路を覆う位置(観察位置)と、光路から退避した位置(退避位置)との間で移動可能に設けられている。図1では、ビームスプリッタ33は観察位置に配置されている。ビームスプリッタ33は、撮像部31で加工対象物Wを撮像するときには観察位置に配置され、加工対象物Wを加工するときには退避位置に配置される。
【0041】
図2は、レーザ加工装置1の電気的な構成を示すブロック図である。レーザ加工装置1は、主として、制御部101、記憶部102、入力部103、出力部104、通信部105を含んで構成される。
【0042】
制御部101は、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスであり、記憶部102に格納されたプログラムにしたがって動作し、各部の制御を行う。
【0043】
また、制御部101は、光源11、反射型液晶素子21、撮像部31、照明32、ビームスプリッタ33、プロファイラ41等と接続されている。
【0044】
制御部101は、主な機能部として、反射型液晶素子21を制御する液晶制御部101aと、プロファイラ41を制御して測定されたレーザ光の強度プロファイルを取得するプロファイル取得部101bと、観察部30を制御する観察制御部101cと、を有する。制御部101の各機能部が行う処理については、後に詳述する。
【0045】
記憶部102は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等であり、制御部101によって実行されるプログラム等を保持するとともに、制御部101のワークメモリとして動作する。入力部103は、キーボードやマウス等の入力デバイスを含む。出力部104は、ディスプレイ等である。通信部105は、ネットワークや記憶媒体を介して他の機器(例えば、検査装置)からデータを取得して制御部101に送信すると共に、ネットワーク等を介して制御部101が生成したデータを他の機器に送信する。
【0046】
図2に示すレーザ加工装置1の構成は、本実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、例えば一般的な情報処理装置が備える構成を排除するものではない。レーザ加工装置1の構成要素は、処理内容に応じてさらに多くの構成要素に分類されてもよいし、1つの構成要素が複数の構成要素の処理を実行してもよい。
【0047】
次に、レーザ加工装置1による加工処理について説明する。この加工処理は、主として制御部101によって行われる。図3は、加工処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
まず、レーザ光を加工対象物Wに照射する処理に先立ち、ステージにプロファイラ41を載置して光源11からレーザ光を出射し、プロファイラ41にレーザ光を照射する。プロファイル取得部101bは、プロファイラ41から出力された信号を取得し、レーザ光の強度プロファイルを測定する(ステップS10)。ここで測定される強度プロファイルは、光源11から出射されるレーザ光の特性だけでなく、チューブレンズ23、1/4波長板24、偏光ビームスプリッタ25等の光学系の特性の影響を加味した強度プロファイルである。
【0049】
次に、ステージに加工対象物Wを載置して光源11からレーザ光を出射し、かつ、液晶制御部101aにより反射型液晶素子21を制御して、加工対象物Wにレーザ光を照射する(ステップS12)。
【0050】
ここで、液晶制御部101aが行う処理について詳細に説明する。図4は、照射領域A及び加工領域Bの一例を示す図である。照射領域Aは、加工対象物Wのうちの、反射型液晶素子21で反射されたレーザ光が照射され得る領域である。反射型液晶素子21のすべての領域で光が反射された場合には、照射領域A全体にレーザ光が照射される。
【0051】
加工領域Bは、加工対象物Wのうちのレーザ光で加工を行う領域であり、照射領域Aに含まれる。液晶制御部101aは、加工領域Bにのみレーザ光が照射されるように、反射型液晶素子21の各画素に印加する電圧を制御する。加工領域Bに照射される光の強度は、加工対象物Wを加工可能な加工閾値を上回る強度の光である。
【0052】
また、液晶制御部101aは、プロファイル取得部101bにより取得された強度プロファイルに基づいて、加工領域Bに照射されるレーザ光の強度分布が均一になるように、反射型液晶素子21の各画素に印加する電圧を制御する。すなわち、液晶制御部101aは、レーザ光が弱い部分については1/4波長板24で直線または楕円偏光に変換された後の光(偏光ビームスプリッタ25に入射する光)のうちのP偏光の割合が高くなるように、レーザ光が強い部分については1/4波長板24で直線または楕円偏光に変換された後の光のうちのP偏光の割合が低くなるように、各画素の印加電圧を調整して、偏光ビームスプリッタ25を通過するP偏光の量を画素によらず一定にする。これにより、加工領域Bに照射されるレーザ光の強度分布が均一になる。
【0053】
図3の説明に戻る。制御部101は、加工対象物Wへのレーザ照射が全て終了したかを判定する(ステップS14)。加工対象物Wへのレーザ照射が全て終了していない場合(ステップS14でNO)には、制御部101は、処理をステップS12に戻す。
【0054】
加工対象物Wへのレーザ照射が全て終了した場合(ステップS14でYES)には、観察制御部101cは、ビームスプリッタ33を観察位置に移動させ、照明32から光を照射して、撮像部31で加工対象物Wを撮像することで、加工対象物Wを観察する(ステップS16)。そして、制御部101は、加工処理を終了する。
【0055】
本実施の形態によれば、反射型液晶素子21に印加する電圧を画素毎に制御し、偏光ビームスプリッタ25を通過するP偏光の量を画素によらず一定にすることで、光の強度分布を均一化する照明光学系を用いることなく、強度分布を均一にすることができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、光源部10が光源11と、光アイソレータ12と、拡大光学系13とを有したが、光源部10の構成はこれに限られない。拡大光学系13の代わりに、光源11の出射光を均一な照度の照明光とする照明光学系を設けてもよい。照明光学系は、例えば、ロッドレンズやクリティカル照明レンズ群を有する。この照明光学系によりレーザ光がトップハットビームに整形され、レーザ光のエネルギーを効率よく使用することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、プロファイラ41としてCCDを用いたが、プロファイラ41の形態はこれに限られず、例えばパワーメータを用いることもできる。この場合には、光源11から出射された光の一部を反射型液晶素子21で反射させ、反射する部分を変えながらパワーメータで光強度を測定すればよい。
【0058】
また、本実施の形態では、プロファイラ41で強度プロファイルを測定してから、その測定結果に基づいて反射型液晶素子21を制御したが、予め光源11から出射される光の強度プロファイルが分かっている場合にはプロファイラ41は不要である。液晶制御部101aは、予め取得しておいた強度プロファイルに基づいて反射型液晶素子21を制御すればよい。ただし、光源11から出射される光の強度プロファイルが経時的に変化する可能性があるため、定期的にプロファイラ41で強度プロファイルを測定し、測定結果に基づいて反射型液晶素子21を制御することが望ましい。
【0059】
<第1の実施の形態の変形例1>
本発明の第1の実施の形態では、液晶制御部101aは、加工領域Bにのみレーザ光が照射されるように、反射型液晶素子21の各画素に印加する電圧を制御したが、レーザ光の照射領域はこれに限られない。
【0060】
本変形例は、加工領域Bの周囲に第1照射領域Cを設ける形態である。図5は、照射領域A、加工領域B及び第1照射領域Cの一例を示す図である。
【0061】
第1照射領域Cは、加工領域Bの周囲に配置されており、加工領域Bに照射されるレーザ光より強度の弱いレーザ光が照射される領域である。第1照射領域Cに照射される光の強度は、加工対象物Wを加工可能な加工閾値を下回る。液晶制御部101aは、加工領域Bの周囲に第1照射領域Cが形成されるように、反射型液晶素子21を制御する。
【0062】
ナノ秒レーザである光源11を用いる熱加工においては、加工領域Bと加工領域B以外との間に温度差が生じ、その温度勾配が大きいため、加工のための熱が加工領域Bから外側へ逃げてしまう。その結果、加工領域Bの中心近傍と周辺近傍では加工状況に差が生じるおそれがある。
【0063】
そのため、加工領域Bの外側に第1照射領域Cを配置し、加工領域Bと第1照射領域Cとにレーザ光を同時照射することで、周囲とメイン加工部の温度差を小さくし、温度勾配を小さくする。その結果、加工領域Bから外側に逃げていく熱を抑えることにより、微細加工、特に線等の狭い領域の加工を行うことができる。
【0064】
ナノ秒レーザを用いて熱加工を行う場合には、1回の照射で加工を行わなければならない。しかしながら、従来のDMDを用いる装置では、加工領域Bと第1照射領域Cとに異なる強度のレーザ光を同時照射することはできない。それに対し、本実施の形態のように画素毎に階調制御が可能な反射型液晶素子21を用いることで、異なる強度のレーザ光を同時に照射することが可能になる。
【0065】
<第1の実施の形態の変形例2>
本変形例は、加工領域B及び第1照射領域Cと重なる第2照射領域Dを設ける形態である。図6は、照射領域A、加工領域B、第1照射領域C及び第2照射領域Dの一例を示す図である。
【0066】
第2照射領域Dは、加工領域B及び第1照射領域Cと重なる位置に配置されており、加工領域Bに照射されるレーザ光より強度が弱く、第1照射領域Cに照射されるレーザ光より強度が強いレーザ光が照射される領域である。第2照射領域Dに照射される光の強度は、加工対象物Wを加工可能な加工閾値を下回る。液晶制御部101aは、加工領域Bの周囲に第1照射領域Cが形成され、かつ、加工領域B及び第1照射領域Cと重なる位置に第2照射領域Dが形成されるように、反射型液晶素子21を制御する。
【0067】
加工領域Bが2つの線が交わってできた角を有する場合には、第2照射領域Dは、加工領域Bの角に重ねて配置される。図6に示すように、加工領域Bが矩形形状である場合には、第2照射領域Dは、加工領域Bの4つの角に重ねて配置される。角の部分は最も熱が逃げやすいため、加工領域Bの角に重ねて第2照射領域Dを配置することで、加工領域Bの角近傍の温度が他に比べて低くならないように温度勾配を制御することができる。その結果、微細加工、特に線等の狭い領域の加工を行うことができる。
【0068】
なお、第2照射領域Dの形状及び大きさはこれに限られない。例えば、第2照射領域Dは円形状でもよい。また、加工領域Bが2つの線が交わってできた角を有しない場合には、温度を下げたくない位置の近傍に第2照射領域Dを配置すればよい。その結果、温度勾配を精密に制御することが可能となり、微細加工の精度が向上する。
【0069】
<第1の実施の形態の変形例3>
本変形例は、第1照射領域Cと重なる(加工領域Bとは重ならない)第2照射領域Dを設ける形態である。図7は、照射領域A、加工領域B、第1照射領域C及び第2照射領域Dの一例を示す図である。
【0070】
液晶制御部101aは、加工領域Bの周囲に第1照射領域Cが形成され、かつ、第1照射領域Cと重なる位置に第2照射領域Dが形成されるように、反射型液晶素子21を制御する。第2照射領域Dは、加工領域Bの角に隣接するように第1照射領域Cに重ねて配置される。特に、本変形例では、第2照射領域Dは、加工領域Bの各角に1つずつ設けられており、加工領域Bの対角線d上に配置されている。
【0071】
加工領域Bの角に隣接して第2照射領域Dを配置することで、熱が逃げやすい加工領域Bの角近傍の温度が他に比べて低くならないように温度勾配を制御することができる。その結果、微細加工、特に線等の狭い領域の加工を行うことができる。
【0072】
<第1の実施の形態の変形例4>
本変形例は、変形例3と同様に、第1照射領域Cと重なる(加工領域Bとは重ならない)第2照射領域Dを設ける形態であるが、第2照射領域Dの位置及び数が異なる。図8は、照射領域A、加工領域B、第1照射領域C及び第2照射領域Dの一例を示す図である。
【0073】
液晶制御部101aは、加工領域Bの周囲に第1照射領域Cが形成され、かつ、第1照射領域Cと重なる位置に第2照射領域Dが形成されるように、反射型液晶素子21を制御する。第2照射領域Dは、加工領域Bの角に隣接するように第1照射領域Cに重ねて配置される。特に、本変形例では、第2照射領域Dは、加工領域Bの各角に複数(ここでは、2つずつ)設けられており、加工領域Bの対角線dを挟んで配置されている。この場合にも、熱が逃げやすい加工領域Bの4隅近傍の温度が他に比べて低くならないように温度勾配を制御することができる。特に、第2照射領域Dの数を増やすことで、より精密な温度制御が可能となる。
【0074】
なお、第2照射領域Dの数は図示した形態に限られず、例えば加工領域Bの各角に3こずつ設けられていてもよい。この場合、第2照射領域Dは、対角線d上に1つ、対角線dを挟んで2つ配置されていてもよい。
【0075】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、プロファイラ41をステージに載置したが、プロファイラ41の設置位置はこれに限られない。
【0076】
本発明の第2の実施の形態は、プロファイラ41を偏光ビームスプリッタ25より後方に設ける形態である。以下、第2の実施の形態にかかるレーザ加工装置2について説明する。なお、第1の実施の形態に係るレーザ加工装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
図9は、本発明のレーザ加工装置2の構成を模式的に示す図である。レーザ加工装置1は、主として、光源部10と、光学系20と、観察部30と、プロファイラ41と、を有し、加工対象物Wにレーザ光を照射する。
【0078】
レーザ加工装置2では、光源11と偏光ビームスプリッタ25とを結ぶ光路の延長線上であって、偏光ビームスプリッタ25の後方(偏光ビームスプリッタ25からみて光源11の反対側)にプロファイラ41が設けられている。言い換えれば、光源11とプロファイラ41との間に偏光ビームスプリッタ25が設けられている。
【0079】
光源11から照射されるレーザ光はS偏光であるが、実際には軸が少し傾いている場合が多い。また、偏光ビームスプリッタ25がP偏光を透過し、S偏光を反射させる特性も100%でない場合も多い。したがって、光源11から出射されたレーザ光の大部分は偏光ビームスプリッタ25で反射されるが、一部は偏光ビームスプリッタ25を透過する。偏光ビームスプリッタ25を透過したレーザ光は、プロファイラ41に入射する。
【0080】
図10は、レーザ加工装置2による加工処理の流れを示すフローチャートである。
ステージに加工対象物Wを載置して光源11からレーザ光を出射し、加工対象物Wにレーザ光を照射しつつ、強度プロファイルを測定する(ステップS11)。
【0081】
ステップS11では、プロファイル取得部101bは、プロファイラ41から出力された信号を取得し、レーザ光の強度プロファイルを測定する。また、ステップS11では、液晶制御部101aは、測定された強度プロファイルに基づいて反射型液晶素子21を制御して、加工対象物Wにレーザ光を照射する。つまり、プロファイラ41は連続して強度プロファイルを測定し、液晶制御部101aは、強度プロファイルが測定される毎に連続して反射型液晶素子21を制御する。
【0082】
制御部101は、加工対象物Wへのレーザ照射が全て終了したかを判定する(ステップS14)。加工対象物Wへのレーザ照射が全て終了していない場合(ステップS14でNO)には、制御部101は、処理をステップS11に戻す。
【0083】
加工対象物Wへのレーザ照射が全て終了した場合(ステップS14でYES)には、観察制御部101cは、撮像部31で加工対象物Wを撮像することで、加工対象物Wを観察する(ステップS17)。そして、制御部101は、加工処理を終了する。
【0084】
本実施の形態によれば、プロファイラ41で常時強度プロファイルを測定し、その結果に基づいて連続的に反射型液晶素子21を制御し、レーザ光の面強度を常時補正することができる。
【0085】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態は、プロファイラ41を偏光ビームスプリッタ25の前方に設ける形態である。以下、第3の実施の形態にかかるレーザ加工装置3について説明する。なお、第1、2の実施の形態に係るレーザ加工装置1、2と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0086】
図11は、本発明のレーザ加工装置3の構成を模式的に示す図である。レーザ加工装置1は、主として、光源部10と、光学系20と、観察部30と、プロファイラ41と、反射部42とを有し、加工対象物Wにレーザ光を照射する。
【0087】
反射部42は、光源部10と偏光ビームスプリッタ25との間に設けられている。本実施の形態では、反射部42が拡大光学系13と偏光ビームスプリッタ25との間に設けられているが、光源11と偏光ビームスプリッタ25との間に反射部42が設けられていればよく、例えば光アイソレータ12と偏光ビームスプリッタ25との間に反射部42が設けられていてもよい。
【0088】
反射部42は、光源11から出射されたレーザ光の一部をプロファイラ41に向けて反射する。プロファイラ41は、連続して強度プロファイルを測定し、制御部101は前記強度プロファイルが測定される毎に反射型液晶素子21を制御する。レーザ加工装置3による加工処理の流れは、レーザ加工装置2と同様であるため、説明を省略する。
【0089】
本実施の形態によれば、構成を追加することなく、加工対象物Wの加工と同時に強度プロファイルを測定することができる。また、プロファイラ41で常時強度プロファイルを測定し、その結果に基づいて連続的に反射型液晶素子21を制御し、レーザ光の面強度を常時補正することができる。特に、偏光ビームスプリッタ25を透過する前のレーザ光の強度プロファイルを測定することで、偏光の影響を受けずにレーザ光の強度プロファイルを常時測定することができる。
【0090】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0091】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略平行とは、厳密に平行の場合には限られない。また、例えば、略矩形形状とは、厳密に矩形形状の場合には限られない。また、例えば、単に平行、直交、同一等と表現する場合において、厳密に平行、直交、同一等の場合のみでなく、略平行、略直交、略同一等の場合を含むものとする。
【符号の説明】
【0092】
1、2、3:レーザ加工装置
10 :光源部
11 :光源
12 :光アイソレータ
13 :拡大光学系
20 :光学系
21 :反射型液晶素子
22 :フィールドレンズ
23 :チューブレンズ
24 :1/4波長板
25 :偏光ビームスプリッタ
26 :対物レンズ
30、30A:観察部
31 :撮像部
32 :照明
33、34:ビームスプリッタ
35 :チューブレンズ
41 :プロファイラ
42 :反射部
101 :制御部
101a :液晶制御部
101b :プロファイル取得部
101c :観察制御部
102 :記憶部
103 :入力部
104 :出力部
105 :通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11