IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 佐合 則夫の特許一覧

<>
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図1
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図2
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図3
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図4
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図5
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図6
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図7
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図8
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図9
  • 特開-薬塗布機能付き孫の手 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153457
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】薬塗布機能付き孫の手
(51)【国際特許分類】
   A61M 35/00 20060101AFI20231011BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61M35/00 Z
A61H7/00 300B
A61H7/00 300K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062742
(22)【出願日】2022-04-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】594018658
【氏名又は名称】佐合 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100101627
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 宜延
(72)【発明者】
【氏名】佐合 則夫
【テーマコード(参考)】
4C100
4C267
【Fターム(参考)】
4C100AA07
4C100BB01
4C100CA01
4C100DA05
4C100EA07
4C267AA62
4C267BB40
4C267CC01
(57)【要約】
【課題】服を着たままでも、独りで背中等の所望箇所へ塗り薬を塗布できる薬塗布機能付き孫の手を提供する。
【解決手段】柄1の一端寄り内面1bに基端部31を固着して、先端部32が該柄の一端171へ向かって柄1から離れるように成形された板バネ部材3と、該板バネ部材3の先端部外面側に塗り薬Mを付ける受面51が設けられた塗り薬用の受座Mと、前記板バネ部材3のバネ弾性に抗して、対向する前記柄1の内面1b側へと動かした該板バネ部材の先端部32に在る被制止部分4を、その状態のままで制止維持する係止手段6と、前記柄1の一端部17に複数立設して前記受座5を取り囲み、且つ前記制止維持の状態で、前記受面51よりも突端21が突き出す孫の手用の掻爪2と、前記柄1の他端部16側に設けられ、前記被制止部分4の制止維持を解除する操作部69と、を具備し、該制止維持の解除に伴い、前記板バネ部材3が弾性復元力で復帰して、前記受面51が前記掻爪2の突端21よりも突出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄の一端寄り内面に基端部を固着して、先端部が該柄の一端へ向かって柄から離れるように成形された板バネ部材と、
該板バネ部材の先端部外面側に塗り薬を付ける受面が設けられた塗り薬用の受座と、
前記板バネ部材のバネ弾性に抗して、対向する前記柄の内面側へと動かした該板バネ部材の先端部に在る被制止部分を、その状態のままで制止維持する係止手段と、
前記柄の一端部に複数立設して前記受座を取り囲み、且つ前記制止維持の状態で、前記受面よりも突端が突き出す孫の手用の掻爪と、
前記柄の他端部側に設けられ、前記被制止部分の制止維持を解除する操作部と、を具備し、
該制止維持の解除に伴い、前記板バネ部材が弾性復元力で復帰して、前記受面が前記掻爪の突端よりも突出することを特徴とする薬塗布機能付き孫の手。
【請求項2】
前記操作部に接続した前記係止手段の軸材が前記柄に沿ってその他端部から一端部まで延在すると共に、該一端部側に在る該軸材の先端域に強磁性体のチップが固着され且つ前記被制止部分が永久磁石で形成されるか、又は前記一端部側に在る該軸材の先端域に永久磁石のチップが固着され且つ前記被制止部分が強磁性体で形成されて、
該被制止部分を前記チップの至近距離へと動かし、その被制止部分と該チップとの磁力吸引によって、該被制止部分を対向する柄の一端側内面へ当接又は近接させて制止維持する一方、前記操作部で前記チップを前進又は後退させて該磁力吸引を弱める前記係止手段の解除で、前記板バネ部材が弾性復元力で復帰して、前記受面が前記掻爪の突端よりも突出する請求項1記載の薬塗布機能付き孫の手。
【請求項3】
前記操作部に一方の端部を取付けた前記係止手段の紐状体が、前記柄に沿ってその他端部から一端部まで該柄の外面沿いに延在し、さらに該柄の一端近くに設けた透孔を通って該紐状体の他方の端部が前記被制止部分に取付けられて、
前記操作部にて、前記紐状体を前記柄の一端部から他端部の方向へと引っ張ることにより、前記板バネ部材のバネ弾性に抗して、前記先端部に在る被制止部分を対向する前記柄の内面側へと動かし、その状態を制止維持する一方、該制止維持の解除に伴い、前記板バネ部材の弾性復元力によって前記先端部が前記柄から離れ、前記受面が前記掻爪の突端よりも外方へ突出する請求項1記載の薬塗布機能付き孫の手。
【請求項4】
蓋部の天面が蓋中央に向けて窪むか又は膨らむ有蓋筒状体にして、該蓋部で前記受面を被って、前記受座に着脱自在に取付けられるキャップを、さらに具備する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薬塗布機能付き孫の手。
【請求項5】
軸状部からなる前記掻爪の軸径以上になる筒内径が備わる有底筒状体にして、該掻爪に着脱自在に被着されてなる掻爪用補具を、さらに具備する請求項4記載の薬塗布機能付き孫の手。
【請求項6】
前記柄が、その長手方向途中で一端側柄部と他端側柄部に分割され、且つ該他端側柄部が一端側柄部に対し傾動可能に連結されてなる請求項5記載の薬塗布機能付き孫の手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背中などを掻くことができるのにとどまらず、独りで塗り薬を手の届かない背中に塗ることも可能な薬塗布機能付き孫の手に関する。
【背景技術】
【0002】
孫の手は、独りでも手の届かない背中など掻くことができるが、痒み止め等の塗り薬を背中などの必要な所へ塗るのが難しい。こうしたことから薬を塗布する機能を備えた薬塗布機能付き孫の手がいくつか提案されてきた(例えば特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5941212号公報
【特許文献2】実用新案登録第3214618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、特許文献1は、第一に、チューブ等に入った軟膏を軟膏充填室へ移し替える手間がかかり、第二に移し替えた軟膏は使用後に該軟膏充填室に多く残ってしまう虞がある。第三に薬塗布を必要とする背中の箇所へもっていく途中で、導通孔から軟膏が漏れ出てしまう虞もある。
特許文献2は、回転部に軟膏などの塗り薬を塗布して、その薬を背中等に塗ることになるが、回転部が露出しているので、肌着や服等を着たままで薬を塗るとなると、塗る場所へ運ぶ途中で薬が肌着等に付着してしまう。着たまま手軽に薬を塗るのが難しく、特に服を脱ぐと寒い冬場などは使用しづらい問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するもので、服を着たままでも、独りで背中等の所望箇所へ塗り薬を塗布できる薬塗布機能付き孫の手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、第1発明の要旨は、柄の一端寄り内面に基端部を固着して、先端部が該柄の一端へ向かって柄から離れるように成形された板バネ部材と、該板バネ部材の先端部外面側に塗り薬を付ける受面が設けられた塗り薬用の受座と、前記板バネ部材のバネ弾性に抗して、対向する前記柄の内面側へと動かした該板バネ部材の先端部に在る被制止部分を、その状態のままで制止維持する係止手段と、前記柄の一端部に複数立設して前記受座を取り囲み、且つ前記制止維持の状態で、前記受面よりも突端が突き出す孫の手用の掻爪と、前記柄の他端部側に設けられ、前記被制止部分の制止維持を解除する操作部と、を具備し、該制止維持の解除に伴い、前記板バネ部材が弾性復元力で復帰して、前記受面が前記掻爪の突端よりも突出することを特徴とする薬塗布機能付き孫の手にある。
第2発明の薬塗布機能付き孫の手は、第1発明で、操作部に接続した前記係止手段の軸材が前記柄に沿ってその他端部から一端部まで延在すると共に、該一端部側に在る該軸材の先端域に強磁性体のチップが固着され且つ前記被制止部分が永久磁石で形成されるか、又は前記一端部側に在る該軸材の先端域に永久磁石のチップが固着され且つ前記被制止部分が強磁性体で形成されて、該被制止部分を前記チップの至近距離へと動かし、その被制止部分と該チップとの磁力吸引によって、該被制止部分を対向する柄の一端側内面へ当接又は近接させて制止維持する一方、前記操作部で前記チップを前進又は後退させて該磁力吸引を弱める前記係止手段の解除で、前記板バネ部材が弾性復元力で復帰して、前記受面が前記掻爪の突端よりも突出することを特徴とする。第3発明の薬塗布機能付き孫の手は、第1発明で、操作部に一方の端部を取付けた前記係止手段の紐状体が、前記柄に沿ってその他端部から一端部まで該柄の外面沿いに延在し、さらに該柄の一端近くに設けた透孔を通って該紐状体の他方の端部が前記被制止部分に取付けられて、前記操作部にて、前記紐状体を前記柄の一端部から他端部の方向へと引っ張ることにより、前記板バネ部材のバネ弾性に抗して、前記先端部に在る被制止部分を対向する前記柄の内面側へと動かし、その状態を制止維持する一方、該制止維持の解除に伴い、前記板バネ部材の弾性復元力によって前記先端部が前記柄から離れ、前記受面が前記掻爪の突端よりも外方へ突出することを特徴とする。第4発明の薬塗布機能付き孫の手は、第1~第3発明で、蓋部の天面が蓋中央に向けて窪むか又は膨らむ有蓋筒状体にして、該蓋部で前記受面を被って、前記受座に着脱自在に取付けられるキャップを、さらに具備することを特徴とする。第5発明の薬塗布機能付き孫の手は、第4発明で、軸状部からなる前記掻爪の軸径以上になる筒内径が備わる有底筒状体にして、該掻爪に着脱自在に被着されてなる掻爪用補具を、さらに具備することを特徴とする。第6発明の薬塗布機能付き孫の手は、第5発明で、柄が、その長手方向途中で一端側柄部と他端側柄部に分割され、且つ該他端側柄部が一端側柄部に対し傾動可能に連結されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の薬塗布機能付き孫の手は、板バネ部材と受座と被制止部分と係止手段と掻爪と操作部とを備えて、孫の手として使用できるだけでなく、独りでも背中等の手が届かない所望箇所へ塗り薬を無駄なく塗布でき、しかも服を着たままで且つ塗り薬で肌着などを汚すことなく実施できるなど、優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1の薬塗布機能付き孫の手の全体正面図である。
図2図1の板バネ部材が弾性復帰し、元の状態に戻った全体斜視図である。
図3】受面に塗り薬を付けた状態にした図2の部分拡大斜視図である。
図4】(イ)が図3の板バネ部材の拡大図、(ロ)が(イ)のIV-IV線断面図である。
図5】(イ)が図1の板バネ部材の拡大斜視図、(ロ)が(イ)のV-V線断面図である。
図6図1に折曲調節部を付加した全体正面図と、その円内拡大図である。
図7】実施形態2の薬塗布機能付き孫の手で、(イ)がその全体正面図、(ロ)が(イ)のVII-VII線断面図である。
図8図7(イ)の板バネ部材が弾性復元力で復帰した全体正面図である。
図9】実施形態3の薬塗布機能付き孫の手の全体正面図である。
図10図9の被制止部分をバネ部材のバネ弾性に抗して柄に内面側へと動かし、制止維持の状態とした孫の手の全体正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る薬塗布機能付き孫の手について詳述する。
図1図10は本発明の薬塗布機能付き孫の手の一形態で、図1,図2は実施形態1の薬塗布機能付き孫の手の正面図、図3図2の部分拡大斜視図、図4は(イ)が図3の板バネ部材の拡大図、(ロ)が(イ)のIV-IV線断面図、図5は(イ)が図1の板バネ部材の拡大斜視図、(ロ)が(イ)のV-V線断面図、図6図1に折曲調節部を付加した正面図、図7は実施形態2の薬塗布機能付き孫の手で、(イ)がその正面図、(ロ)が(イ)のVII-VII線断面図、図8図7(イ)の板バネ部材が弾性復元力で復帰した正面図、図9,図10は実施形態3の薬塗布機能付き孫の手の正面図を示す。尚、図面を判り易くするため、図1の掻爪用補具9、図2のキャップ8、及び図7図10の柄1で断面表示するハッチングを省き、且つ発明要部を強調図示する。また本発明に直接関係しない構成部分や部材等は省略する。
【0010】
(1)実施形態1
薬塗布機能付き孫の手は、柄1と掻爪2と板バネ部材3と被制止部分4と受座5と係止手段6とを具備する(図1図6)。
柄1は孫の手用としての棒状体で、一端部17に掻爪2が設けられる。柄1は、操作部69が近くに在る他端161を使用者が手で握って、肩の上方から掻爪2を腰近くの下方へ向かわせて背中のかゆい場所にまで届く長さがある。ここでの柄1は、図3のような横断面長方形にして、一端部17側を平面視円板状に大きくする。
【0011】
掻爪2は、横断面長方形の棒状から前記柄1の一端部17が平面視円板状に大きく広がるが、その円板状部17の内面1bに起立固定させたピン状体である。円板状部17の円周縁に沿って複数(ここでは4本)の掻爪2を立設させ、背中等の手が届かない所を掻くことができる孫の手とする。ピン状の掻爪2が、受座5を取囲むようにして、柄1の一端部17になる円板状部17に複数起立する。本実施形態は、木製柄1の円板状部17に金属製ピンを起立固定したが、例えば、木製柄1の円板状部17に設けた孔に竹串等で作ったピン状の掻爪2を突き刺し、該掻爪2と柄1とを接着固定してもよい。また掻爪2を太くして、柄1と一体のより手の形に近づけた樹脂成形品でもよい。
【0012】
板バネ部材3は、柄1の一端171寄り内面1bに基端部31を固着して、先端部32が該柄1の一端171へ向かって反って柄1から離れるように成形された板バネ部品である(図2)。この成形形状に力を加えると変形し、力を取り除けば元の形に戻る性質を有する板バネ部材3になっている。
本実施形態は、いわゆるぱっちん止めのヘアクリップの片側部分を用いた図4(イ)のような板バネ部材3である。基端部31から平行に延びる一対の細帯板部の先端部分を強制的に寄せ合わせて、この寄せ合わせ箇所を止具34で固着した板バネ部材3である。符号30は止具34の固着によって出来た孔空き部である。基端部31から先端部32へ向かう長手方向を、柄1の他端部16から一端部17へ向かう長手方向に合わせるようにして、板バネ部材3が柄1の内面1bに固定される。
詳しくは、柄1の内面1bに板バネ部材3の基端部31をビスVで固定し、一端171に向けて先端部32が図2のように柄1の内面1bから湾曲状に浮き上って離れる。中間板部33の外面33aが、止具34の固着によって図4(ロ)のごとく横断面が逆ハの字状になっている。そのため、中間板部33が単に水平に二つ並ぶのと違って、図4(イ)の止具34付近の先端部32に上から力を加えて変形させるには大きな力がいる。一方、図4から図5のごとく力を加えていって先端部32に係る板バネ部材3の背面33bが柄1の内面1bへ距離h1から距離h2へと近づくと、中間板部33がほぼ水平になり、加える力も少なくて済む。尚、本発明では、掻爪2が起立する側の柄1の面を柄1の内面1bといい、柄1の内面1bと対向する板バネ部材3の面を背面3bという。
【0013】
被制止部分4は、板バネ部材3のバネ弾性に抗して、対向する前記柄1の内面1b側へと動かすことができる該板バネ部材3の先端部32に在る部分である。被制止部分4は、柄1の内面1bと対向する該先端部32の部分に担わせてもよいし、先端部32の背面32bに一体化させた別部品としてもよい。
ここでは、先端部32の板バネ部材背面3b側に永久磁石で形成された略方形体の別部品たる被制止部分4を、図2のごとく結合剤jで先端部32に結合一体化している。被制止部分4の永久磁石は、磁力が強力なNd,Sm等のレアアースを含む希土類磁石や希土類鉄磁石が好ましく、本実施形態もこれらの永久磁石を採用する。
【0014】
受座5は、板バネ部材3の先端部外面3a側に塗り薬Mを付ける受面51が設けられた塗り薬用の受部である。ここで、塗り薬Mとは患部の皮膚に塗る薬で、軟膏,クリーム,ゲル等がある。受座5は板バネ部材3の先端部32を加工形成したものでもよいが、本実施形態は図3のように、先端部32の外面3aに受面51を有する別体の盤状受座5を固着して、これを先端部32に一体化する。板バネ部材3に外力が加わってない図2の状態で、平面の受面51を下方へ向け且つ略水平にして、板バネ部材先端部32に受座5が固着される。
【0015】
係止手段6は、板バネ部材3のバネ弾性に抗して、対向する柄1の内面1b側へと動かした該板バネ部材3の先端部32に在る被制止部分4を、その状態のままで制止維持する係止器具である。
本実施形態は、軸材61と軸受62とコイルバネ63とチップ64とを備えた係止手段6とする。掻爪2が在る面とは反対側になる柄1の外面1a側に、係止手段6の軸材61が柄1に沿ってその他端部16から一端部17まで延在すると共に、一端部17側の該軸材61の先端域611に強磁性体の塊状チップ64が固着される。チップ64には、鉄,ニッケル,コバルト及びその合金などのように磁石に強く引き付けられる強磁性体が採用される。
軸材61の挿通保持部62となる軸受が、図1のごとく板バネ部材3を柄1に固定した地点から円板状部17になる地点までの一端部17寄りに二箇所に設けられ、また、操作部69近くの他端161寄りに一箇所設けられる。これらは柄1の外面1a側に設けられ、各軸受62の軸孔に、軸材61が挿通し且つ図1の紙面左右方向へ進退動自在に該軸受62に支持される。一端部17寄りに設けた二箇所の軸受62間には、図1のごとくコイルバネ63が介挿され、且つ軸材61に固着した鍔619を該コイルバネ63のバネ弾性力で他端161側に配する軸受62へ押付けるようにして、軸材3が保持される。この状態下で、軸材61の先端に設けた強磁性体のチップ64が円板状部17の中央外面1aに当接し、且つ操作部69と他端161寄りに設けた軸受62との間に、軸材61をなお図1の左方へ進出できる余裕代分612が確保される。
【0016】
操作部69が柄1の他端161側に設けられており、前記被制止部分4の制止維持を解除する係止手段6の一部分になっている。本実施形態の操作部69は、柄1の他端部16を握った手でタッチし易く、さらに操作し易いように、他端部16近くに配される軸材61の端部分を軸径よりも太くして形成する。
【0017】
かくして、板バネ部材3に外力が加わってない図2の状態下、板バネ部材先端部32の外面3aたる下面に、上方へ向けて外力を加えていくと、板バネ部材3が図4の状態から図5の状態へと変化していく。この外力は、板バネ部材先端部32に一体の被制止部分4を前記チップ64の至近距離へと動かす力になっている。被制止部分4と円板状部17の中央外面1aに置かれた図1に示すチップ64とが至近距離になり、磁力吸引によって、該被制止部分4が対向する柄1の一端側内面1bへ当接(又は近接)すると、外力を取り除いても制止維持される。図5の状態になった板バネ部材3は既述のごとく強力な磁力吸引がいらずして、被制止部分4を対向する柄1の一端側内面1bへ当接させて制止維持できる。該制止維持の状態下で、受座5の四方を取り囲む四本の掻爪2は、突端21が受面51よりも図1の符号αの分だけ突き出す。孫の手として使用できる状態になる。
【0018】
一方、図1の状態から、操作部69でチップ64を進出させて被制止部分4から離すことにより被制止部分4とチップ64との前記磁力吸引が弱まる。この磁力吸引力の弱まりが制止維持の解除となって、板バネ部材3が弾性復元力で復帰する。受面51が、図2のごとく符号βの分だけ掻爪2の突端21よりも突出する状態になる。
具体的には、柄1を持った手の指で、操作部69をコイルバネ63の弾性に抗して図1の左方へ押す。すると、軸材61を介して、円板状部17の中央外面1aに置かれていたチップ64が図2のように柄1の一端171へと進出し、該チップ64と被制止部分4との距離が離れる。離れると両者の磁力吸引が弱まる。この制止維持の解除に伴い、板バネ部材3が弾性復元力で図5の状態から図4の状態へ戻り、図2でいえば、略水平になった受面51が掻爪2の突端21よりも突出する。
図1の受面51に痒み止め等の塗り薬Mを塗り、その後、柄1の他端161を握って、肩の上方から下着と首との間に先端部32を挿入し、独りでも服を着たままで手が届かない背中の箇所へ薬Mを塗ることができる。
【0019】
ここで、前記軸材61に固着した鍔619をコイルバネ63の弾性力で他端161側に配する軸受62へ押付けたが、軸材61に固着した鍔619をコイルバネ63の弾性力で一端171側に配する軸受62へ押付けてもよい(図9参照)。斯かる場合、操作部69でチップ64を図1の右方へ後退させて、磁力吸引を弱める前記制止維持の解除となる。
また、既述のごとく、強磁性体のチップ64が固着され且つ被制止部分4を永久磁石で形成したが、永久磁石のチップ64が固着され且つ被制止部分4を強磁性体で形成するのでもよい。
【0020】
さらに、柄1が、その長手方向途中で一端側柄部1Aと他端側柄部1Bに分割され、且つ一端側柄部1Aに対し該他端側柄部1Bが傾動可能に連結された薬塗布機能付き孫の手とすることができる。
例えば、一端側柄部1Aと他端側柄部1Bとに分割した両者を折曲調節部19を用いて、一端側柄部1Aに対し他端側柄部1Bを下動可能に連結した柄1である。図6のように一端側柄部1Aの端部分と他端側柄部1Bの端部分が、紙面手前と紙面奥側にある一対の折曲調節部用板片191で挟着保持される。一端側柄部1Aは板片191に固定される一方、他端側柄部1Bには、板片191に設けた弧状孔1910から突出するガイドピン192が立設する。他端側柄部1Bと一体のガイドピン192が弧状孔1910の孔内に膨らむ凸部1911を乗り越えて、鎖線位置から実線位置へと移動停止して、一端側柄部1Aに対し他端側柄部1Bの下動角度を図6の鎖線位置から実線位置へと切替使用できる薬塗布機能付き孫の手にする。一端側柄部1Aに対し他端側柄部1Bが角度を変えられるよう、軸材61も二分割して、双方を可撓性のゴム製接続部材614等で連結対応している。
【0021】
加えて、本実施形態はキャップ8と掻爪用補具9とを備える。
キャップ8は、蓋部81の天面811が蓋中央に向けて窪むか又は膨らむ有蓋筒状体で、図2のような瓶のふた形状になっている。必要に応じて用いられるキャップ8であり、蓋部81で前記受座5の受面51を被って、側周部82が受座周側面52に被着し、受座5に着脱自在に取付けられる。
掻爪用補具9は、掻爪2の軸径以上になる筒内径が備わる筒部92を有するサック形状品である。必要に応じて、掻爪2の先端へその筒口側から被せて掻爪2に着脱自在に被着される掻爪用補具9になっている。ここでは、図1のような縦長有底筒状体に係る底部91の外面に、金属類に比べて低熱伝導度を有する発泡樹脂物(又は豚毛集合物)等の小物93を固着一体化させた掻爪用補具9とする。
【0022】
次に、本薬塗布機能付き孫の手の一使用法について説明する。
まず、常態の係止手段6は図1の状態にある。コイルバネ63の付勢によって鍔619が軸受62に当たって係止され、軸材61の右端に配された操作部69が図1の右端軸受62よりも右方に在る。図1で、軸材61の左端に配されたチップ64は円板状部17の略中央外面1aに当接する。
そして、板バネ部材3に外力を加えていない図2のような姿態で、該板バネ部材3が柄1の内面1bから離れた位置に在るときは、板バネ部材3のバネ弾性に抗して受面51へ紙面下方から手による外力を上方へ加え、被制止部分4を図1のごとく柄1の内面1bへ当てる。後は、被制止部分4と該チップ64との磁力吸引によって、外力をなしにしても該被制止部分4を制止維持する状態が保たれる。斯かる状態下で、掻爪2はその突端21が受面51よりも突き出す図1のごとくとなり、孫の手として使用できる。
【0023】
また、痒み止め等の塗り薬Mを背中の所定場所へ塗ろうとする時は、図1の状態にある受面51へ塗り薬Mを塗布する。そして、塗布機能付き孫の手の他端161側を手に持って、肌着と首との間から受面51が身体側に向くようにして、背中へ柄1の一端部17側を挿入していく。続いて、痒い箇所を掻爪2で確かめた後、コイルバネ63のバネ弾性に抗して、操作部69をチップ64側へ向けて手で押す。すると、チップ64が被制止部分4から離れて、被制止部分4との磁力吸引が弱まる結果、板バネ部材3の弾性復元力で図2の状態になる。掻爪2に囲まれて引っ込んでいた受面51が飛び出し、痒い箇所に受面51上の薬Mを塗ることができる所望の薬塗布機能付き孫の手になる。
尚、前記操作部69は、手で押すのを止めれば、コイルバネ63の復元力で元の図1の状態へと戻る。
【0024】
(2)実施形態2
本実施形態は、図7,図8ごとくの薬塗布機能付き孫の手である。図7図1に対応し、図8図2に対応する。
係止手段6は実施形態1の軸材61に代わって屈曲自在の紐状体65を用いる。操作部69に一方の端部652を取付けた係止手段6の紐状体65が、柄1の他端部16から一端部17まで該柄1の外面1a沿いに延在し、さらに該柄1の一端171近くに設けた透孔10を通って該紐状体65の他方の端部651が被制止部分4に取付けられる。透孔10は円板状部17のほぼ中央に穿設される。
【0025】
実施形態1の軸受62に相当する紐状体65の挿通保持部62が、図7のごとく円板状部17近くと他端161寄りとの二箇所で、柄1の外面1aに設けられ、両挿通保持部62の孔に紐状体65が挿通し進退動自在に保持される。操作部69にて、紐状体65を柄1の一端部17から他端部16の方向へと引っ張ることにより、板バネ部材3のバネ弾性に抗して、先端部32に在る被制止部分4を対向する前記柄1の内面1b側へと動かし、その状態を制止維持できる。
詳しくは、他端161の傍に図7に示すU字溝660を有する板片状の引掛け部66が設けられる。板バネ部材3のバネ弾性に抗して、先端部32に在る被制止部分4を対向する柄1の内面1b側へと引っ張って動かした紐状体65には、引掛け部66を越えた地点にストッパ片659が取付け固定されている。引掛け部66よりも柄1の他端161側に該ストッパ片659が配された状態を保って、紐状体65をU字溝660内へその溝口から挿入し、板バネ部材3の復元力が働いても、図7(ロ)のごとくストッパ片659が引掛け部66に係止されるよう設定する。かくのごとくして、被制止部分4を対向する柄1の内面1b側へと動かした図7のような状態が制止維持される。
【0026】
一方、該制止維持の解除に伴い、板バネ部材3の弾性復元力によって先端部32が柄1から離れると、受面51が掻爪2の突端21よりも外方へ突出する図8の状態になる。制止維持の解除は、図7の操作部69を例えば上方へ持ち上げて、ストッパ片659をU字溝660から外すことによってなし得る。U字溝660からストッパ片659が外れると、板バネ部材3が弾性復元力で図8の状態に戻る。U字溝660から外れたストッパ片659は、紐状体65が図8の左側へ移動するのに伴って挿通保持部62近くへと動く。
ちなみに、図8の状態から図7の状態へと移す場合は、操作部69を使い、板バネ部材3のバネ弾性に抗して、ストッパ片659を引掛け部66に係止させるだけである。本実施形態は板バネ部材3のバネ弾性だけを利用して、図7図8の姿態変換を可能にする。実施形態1におけるチップ64や被制止部分4を強磁性体や永久磁石で形成するに及ばない。コイルバネ63も不要になる。
他の構成は、実施形態1と同様でその説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0027】
(3)実施形態3
本実施形態は、図9,図10ごとくの薬塗布機能付き孫の手である。図9図2に対応し、図10図1に対応する。
図示のごとく先端部32のバネ部材背面3b側に、逆L字形の鉤状フック41の被制止部分4が固着される。ここでは、受座5にフック41を固着したが、本発明の先端部32に該フック41を固着したとみなす。
そして、実施形態1と同じ軸受62が柄1の外面1aの同じ位置に三箇所設けられ、掻爪2が在る面とは反対側になる柄1の外面1a側で、各軸受62に挿通させた軸材61が前記柄1に沿ってその他端部16から一端部17まで延在する。さらに、一端部17側の該軸材61の先端域611に、チップ64に代わって図9ごとくのL字形係止具68が固着される。また、一端部17寄りに設けた二箇所の軸受62間には、実施形態1と同様のコイルバネ63が介挿されるが、軸材61に固着した鍔619を該コイルバネ63の弾性力で一端部17側に配する軸受62へ押付ける。この状態下で、軸材61の先端域611に設けた係止具68が円板状部17の略中央に配される。該中央には実施形態2の透孔10よりも大きな透孔10が設けられる。
【0028】
かくのごとくして、板バネ部材3に外力を加えていない図9のような姿態で、該板バネ部材先端部32が柄1の内面1bから離れた位置に在るときは、板バネ部材3のバネ弾性に抗して受面51へ図9の紙面下方からその外力を上方へ加える。すると、フック41が係止具68の下面傾斜部に鎖線図示のごとく当たって、該係止具68がコイルバネ63の弾性に抗して軸材61を図9の右方へ移動させ、最終的に図10のごとくフック41が係止具68上に載って係止状態になる。この状態にすれば、外力をなしにしても該被制止部分4を制止維持する状態に保つ。フック41たる被制止部分4は、当初の図9から図10へ進行することによって、柄1の一端171側内面1bに近接(又は当接)する。斯かる状態下で、掻爪2はその突端21が受面51よりも突き出す図10のごとくとなり、孫の手として使用可能になる。
尚、軸材61を上述した図9の右方へ移動させるのに、使用者が操作部69を右方へ引っ張ってもよい。ちなみに、フック41が係止具68上に載った係止状態の後、操作部69の右方への引っ張りや手などによる前記外力を取り除けば、コイルバネ63の復元力で係止具68は図9に示す元の状態に戻る。
【0029】
また、痒み止め等の塗り薬Mを背中の所定場所へ塗りたい時は、図10の状態にある受面51へ塗り薬Mを塗布する。この状態にした塗布機能付き孫の手の他端161側を手に持って、肌着と首との間から受面51が身体側に向くようにして、背中へ柄1の一端部17側を挿入していく。そして、痒い箇所を掻爪2で確かめた後、操作部69をコイルバネ63のバネ弾性に抗して図10の右方へ引っ張ると、係止具68が同図右方へ動くことによって、該係止具68からフック41が外れ落ち、板バネ部材3の弾性復元力で図9の状態になる。掻爪2に囲まれて引っ込んでいた受面51が飛び出し、痒い箇所に受面51上に在る薬Mを塗ることができる薬塗布機能付き孫の手になる。
他の構成は、実施形態1と同様でその説明を省く。実施形態1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0030】
(4)効果
このように構成した薬塗布機能付き孫の手は、板バネ部材3と受座5と被制止部分4と係止手段6と掻爪2と操作部69を備えて、係止手段6で、板バネ部材3のバネ弾性に抗して、対向する柄1の内面1b側へと動かした板バネ部材先端部32に在る被制止部分4を、その状態のままで制止維持でき、該制止維持の状態で、掻爪2が受面51よりも突端21が突き出すので、孫の手として使用できる(図1,図7,図10)。孫の手として使用する際、受座5は掻爪2よりも引っ込んでいるので邪魔にならない。
【0031】
また、図1,図7,図10の状態を保って、受面51に痒み止め等の塗り薬Mを付けた状態にした薬塗布機能付き孫の手にすれば、独りでも背中の痒い箇所に薬Mを容易に塗ることができる。しかも、特許文献2と違って、衣類を着たままでも汚さずに必要箇所への薬Mの塗布が可能になる。
例えば、図1図7で、受面51に痒み止め等の塗り薬Mを塗り終えた後、柄1の他端161側を握って、肩の上方から下着と首との間に先端部32を挿入する。そして、痒い箇所がどこかを掻爪2でさぐって確認する。この過程で、受面51に塗った塗り薬Mはこれを取囲む掻爪2によって護られているので、不必要に身体や下着等を汚さない。
次に、痒い箇所を掻爪2で確認後、図1であれば操作部69を一端部17側へ押す。図7であれば操作部69を使って引掛け具からストッパ片659を外す。すると、図1図7の状態から板バネ部材3が弾性復元力で復帰して、図2図8のごとく受面51が掻爪2の突端21よりも突出する。すると、受面51に付けた塗り薬Mが痒い箇所の背中の肌面に付き、他端161を握った手を多少動かせば必要箇所全てに薬Mを塗布できる。
しかも、予め使う分だけ受面51に薬Mを塗布するだけで済み、特許文献1と違って、無駄がない。
【0032】
加えて、本実施形態で用いた板バネ部材3は、肌に薬Mを塗る動作過程で図4(ロ)のように中間板部33が逆ハの字状にして、そのバネ圧が強力になっているので、肌面へ薬Mを円滑に塗ることができる。一方、肩の上方から痒い箇所まで薬Mを付けた受座5を運ぶまでの図1の状態にある板バネ部材3は、図5(ロ)のごとく中間板部33が水平にしてバネ弾性が弱まっているので、小さな磁力吸引力でも図1の状態を保つことができる。本発明にとっては極めて理にかなった板バネ部材3になる。
【0033】
このように、本薬塗布機能付き孫の手は、自分で手が届かない背中の箇所に痒み止めなどの薬Mを円滑に塗ることができ、独り暮しの人等にとって極めて優れものになる。さらに、孫の手の掻爪2で予め痒い場所を特定してから受面51を掻爪2の突端21よりも突出させるので、確実にその痒い箇所にピンポイントで薬Mを塗ることができる。
しかも、特許文献2と違って、服を着たままで背中の必要箇所へのみ薬Mを簡単に塗ることができるので、とりわけ寒い季節に服,肌着を脱ぐ必要がなく、使い勝手に優れた薬塗布機能付き孫の手となっている。
【0034】
そして、図1図7の状態から図2図8への変化は、板バネ部材3の弾性復元力を用いるので、新たな動力源を要しない。
また、柄1の他端161側に操作部69が設けられるので、背中等の痒い箇所を確認後、他端161を持った手の指を少し動かして操作するだけで、図1図7の状態から図2図8の受面51を突出させる状態変化が簡単にできる。
【0035】
さらに、実施形態2では、紐状体65の他方の端部651が被制止部分4に取着されると、操作部69にて、紐状体65を柄1の一端部17から他端部16の方向へと引っ張ることにより、板バネ部材3のバネ弾性に抗して、先端部32に在る被制止部分4を対向する柄1の内面1b側へと動かし、その状態を制止維持できる。また、引掛け部66からストッパ片659を外せば、制止維持の解除になり、板バネ部材3の弾性復元力によって先端部32が柄1から離れ、受面51を掻爪2の突端21よりも外方へ突出させることができる。実施形態1のように、被制止部分4やチップ64を永久磁石や強磁性体にするに及ばない。コイルバネ63も不要で、薬塗布機能付き孫の手は構成も単純化して低コスト化できる。
【0036】
さらにいえば、柄1が、その長手方向途中で一端側柄部1Aと他端側柄部1Bに分割され、且つ該他端側柄部1Bが前記一端側柄部1Aに対し傾動可能に連結されていると、例えば図6のように他端161側柄1部を屈折させ、背中の肩甲骨等を首尾よく乗り越えるようにして使用できる。
また、受座5に天面51が窪む図2の右側キャップ8が取着されると、天面51に付けた塗り薬Mを背中の必要箇所だけに集中させて上手く塗ることができる。また、受座5に天面51が膨らむ図2の左側キャップ8が取着されると、天面51に付けた塗り薬Mを背中の必要箇所へ円滑に塗り広げることができる。
加えて、図1に示す掻爪用補具9を掻爪2に被着すれば、掻爪2に掻爪用補具9の分の高さが加わって、掻爪2よりも高く調節できる。そして、背中等には掻爪2に代わって低熱伝導度の小物93が当たるので、冬季などでの使用時に肌が冷たく感じるのを回避できる。
以上のごとく、本薬塗布機能付き孫の手は、上述した種々の優れた効果を発揮し、極めて有益である。
【0037】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。柄1,掻爪2,板バネ部材3,被制止部分4,受座5,係止手段6,キャップ8,掻爪用補具9,塗り薬M等の形状,大きさ,個数,材料,材質等は用途に合わせて適宜選択できる。本発明の要旨を備える限り、本発明の範囲に含まれる。例えば、実施形態1は、操作部69を手で図1の左方へ押してチップ64を図2の状態へと前進させて被制止部分4から離し、またコイルバネ63の復元力でチップ64を図1の状態へ戻したが、DCソレノイドの可動鉄芯の先端にチップ64を固着し、スイッチによる操作部69で該チップ64を進退動させて、図1図2のチップ64を行き来させることもできる。また本実施形態は、強制的に寄せ合せた一対の細帯板部の先端部分を止具34の固着によって図4(ロ)のごとく逆ハの字状にしたが、該止具34を用いずに、孔空き部30を有する平板片にポンチ等で凹ませる歪みを入れて図4(ロ)ごとくの逆ハの字状にしてもよい。板バネ部材3はこの形状に限らない。薬も痒み止めの薬に限らない。
【符号の説明】
【0038】
1 柄
1A 一端側柄部
1B 他端側柄部
1b 内面
10 透孔
16 他端部
17 一端部(円板状部)
171 一端
2 掻爪
3 板バネ部材
31 基端部
32 先端部
32 先端部外面
4 被制止部分
5 受座
51 受面
6 係止手段
61 軸材
62 挿通保持部(軸受)
64 チップ
65 紐状体
8 キャップ
9 掻爪用補具
M 薬(塗り薬)
T 薬塗布機能付き孫の手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10