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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153523
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】車両の運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/34 20060101AFI20231011BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B60Q1/34 A
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062845
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀口 陽宣
【テーマコード(参考)】
3K339
5H181
【Fターム(参考)】
3K339AA25
3K339BA09
3K339BA22
3K339CA12
3K339EA09
3K339GB01
3K339GB21
3K339JA21
3K339JA22
3K339KA13
3K339KA27
3K339MA02
3K339MA04
3K339MA07
3K339MA10
3K339MB01
3K339MB04
3K339MB05
3K339MB06
3K339MC02
3K339MC18
3K339MC21
3K339MC41
3K339MC43
3K339MC48
3K339MC58
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF22
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】自車両が何れの交差点で曲がるのかを相手車両の運転者に明確に表示することができるようにする。
【解決手段】運転支援装置1は、ウインカ駆動部31とカメラユニット23と運転支援制御部11とを備え、ウインカ駆動部31は自車両Mに設けられているウインカランプLwを所定周期Tで点滅させ、カメラユニット23は自車両Mの周辺環境情報を取得し、運転支援制御部11は予め設定されている目標進行路が現在の自車走行路から前方の交差点で交差する交差路方向に設定されている場合、この交差点手前の予め設定されている点滅開始距離L1からウインカ駆動部31を駆動させる。運転支援制御部11はウインカ駆動部31を異なる点滅周期Tの駆動信号で駆動させる点滅周期可変部を有しており、この点滅周期可変部は自車両Mが交差点に近づくに従い点滅周期Tを短く設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に設けられているウインカランプを所定周期で点滅させるウインカ駆動部と、
前記自車両の周辺環境情報を取得する環境情報取得部と、
予め設定されている目標進行路が現在の自車走行路から前方の交差点で交差する交差路方向に設定されている場合、該交差点手前の予め設定されている点滅開始距離から前記ウインカ駆動部を駆動させる制御部と
を備える車両の運転支援装置において、
前記制御部は、前記ウインカ駆動部を異なる点滅周期の駆動信号で駆動させる点滅周期可変部を有し、
前記点滅周期可変部は、前記自車両が前記交差点に近づくに従い前記点滅周期を短く設定する
ことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
前記点滅周期可変部は、前記環境情報取得部で前記自車両に追従する後続車を検出した場合、曲折方向のウインカランプの前記点滅周期を前記自車両が前記交差点に近づくに従い短く設定する
ことを特徴とする請求項1記載の車両の運転支援装置。
【請求項3】
前記点滅周期可変部は、前記環境情報取得部が前記自車両を前記交差路で曲折させる手前の他の交差路に交差車両を検出した場合、該自車両が該他の交差路を通過するまでは、曲折方向の前記ウインカランプの前記点滅周期を長く設定する
ことを特徴とする請求項1記載の車両の運転支援装置。
【請求項4】
前記点滅周期可変部は、前記環境情報取得部で前記自車両に追従する後続車を検出し、且つ前記自車両を前記交差路で曲折させる手前の他の交差路に交差車両を検出した場合、曲折方向の後ウインカランプの前記点滅周期を前記自車両が前記交差点に近づくに従い短く設定し、曲折方向の前ウインカランプの前記点滅周期を該自車両が前記他の交差路を通過するまでは長く設定する
ことを特徴とする請求項1記載の車両の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御部は減速制限制御部を更に有し、
前記減速制限制御部は、前記環境情報取得部が前記自車両を前記交差路で曲折させる手前の他の交差路に交差車両を検出した場合、該他の交差路を通過するまでの減速度を制限する
ことを特徴とする請求項3或いは4記載の車両の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両が自動運転により交差点を曲がろうとする際のウインカランプの点滅周期を、曲がろうとする交差点に近づくに従って短く設定するようにした車両の運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の運転支援装置として、運転者(操作者)が目的地をセットすると、現在地から目的地までの走行ルートを設定し、その全部又は一部を運転者に代わって自動的に走行させるものがある。一般道路における自動運転に際しては、カメラ等のセンシングデバイスにより自車両周辺の走行環境を認識し、先行車や後続車の有無の有無等を常時監視する。
【0003】
そして、走行ルートが右折、或いは左折側の交差路方向に設定されている場合は、交差路手前で右折、或いは左折する側のウインカランプを点滅させて、交差路から自車両が走行している車線に進入しようとする他の車両や後続車に進路変更の意思を表示する。そのため、ウインカランプの点滅により、自車両が進む方向を周辺の車両や歩行者等事前に認識させる必要がある。
【0004】
これは、自動運転による車線変更の際にも同様で、例えば、特許文献1(特開2020-166393号公報)には、自車両が車線変更するに際し、事前に車線変更側のウインカランプを点滅させて、車線変更する旨を後続車や周辺の車両に伝える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-166393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自車両が車線変更する際にウインカランプの点滅を開始させるタイミング、及び交差点を右左折しようとする際にウインカランプの点滅を開始させるタイミングは、何れも法律で定められている。従って、自動運転においても、交差点を右左折するに際しては、法律の規定に従い、右左折しようとする交差点手前の予め規定されている位置(例えば、30[m])からウインカランプの点滅を開始させる必要がある。
【0007】
しかし、例えば、左通側通行規制の道路で、自車両が自動運転において左折しようとするに際し、左折しようとする交差点の手前に他の交差点がある場合に問題が生じる。すなわち、他の交差点の交差路から他の車両が、自車両の走行車線に進入しようとしている場合、当該他の車両の運転車に対し、近づいてくる車両(自車両)は他の交差点から当該交差路に進入すると誤認されてしまう可能性がある。
【0008】
他の車両の運転者が上述したように誤認した場合、近づいてくる車両(自車両)が当該他の交差点を通過するよりも前に、他の車両を車線に進入させてしまう可能性がある。その結果、自車両は、他の車両との干渉を回避するため、急ブレーキを作動させることとなり、双方の運転者を慌てさせてしまうことになる。
【0009】
本発明は、自車両が何れの交差点で曲がるのかを相手車両の運転者に明確に表示することができて、相手車両の運転者に対して曲折する交差点を誤認させることのない車両の運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、自車両に設けられているウインカランプを所定周期で点滅させるウインカ駆動部と、前記自車両の周辺環境情報を取得する環境情報取得部と、予め設定されている目標進行路が現在の自車走行路から前方の交差点で交差する交差路方向に設定されている場合、該交差点手前の予め設定されている点滅開始距離から前記ウインカ駆動部を駆動させる制御部とを備える車両の運転支援装置において、前記制御部は、前記ウインカ駆動部を異なる点滅周期の駆動信号で駆動させる点滅周期可変部を有し、前記点滅周期可変部は、前記自車両が前記交差点に近づくに従い前記点滅周期を短く設定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ウインカランプの点滅周期を自車両が曲折する交差点に近づくに従い短く設定するようにしたので、自車両が何れの交差点で曲がるのかを明確に表示することができ、相手車両の運転者に曲折する交差点を誤認させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】運転支援装置の概略構成図
図2A】右左折時走行制御ルーチンを示すフローチャート(その1)
図2B】右左折時走行制御ルーチンを示すフローチャート(その2)
図2C】右左折時走行制御ルーチンを示すフローチャート(その3)
図3】ウインカ制御Iサブルーチンを示すフローチャート
図4】ウインカ制御IIサブルーチンを示すフローチャート
図5】ウインカ制御IIIサブルーチンを示すフローチャート
図6】回避行動Iサブルーチンを示すフローチャート
図7】通過前減速制限制御サブルーチンを示すフローチャート
図8】回避行動IIサブルーチンを示すフローチャート
図9】回避行動IIIサブルーチンを示すフローチャート
図10】自動運転により左折しようとする際のウインカランプの点灯状態を示す俯瞰図
図11】自動運転により右折しようとする際のウインカランプの点灯状態を示す俯瞰図
図12】ウインカランプの点滅周期を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。尚、本実施形態では、便宜的に走行車線は左側通行が規定されている道路で説明する。従って、走行車線が右側通行に規定されている道路では、左右を逆に読み替えて適用する。
【0014】
図1において、自車両Mに搭載されている運転支援装置1は、自動運転時における車速制御、操舵制御等の走行に必要な運転支援を実行する運転支援制御部11を有している。この運転支援制御部11は、CPU、RAM、ROM、書き換え可能な不揮発性メモリ(フラッシュメモリ又はEEPROM)、及び周辺機器を備えるマイクロコントローラで構成されている。ROMにはCPUにおいて各処理を実行させるために必要なプログラムや固定データ等が記憶されている。又、RAMはCPUのワークエリアとして提供され、CPUでの各種データが一時記憶される。尚、CPUはMPU(Microprocessor)、プロセッサとも呼ばれている。又、CPUに代えてGPU(Graphics Processing Unit)やGSP(Graph Streaming Processor)を用いても良い。或いはCPUとGPUとGSPとを選択的に組み合わせて用いても良い。
【0015】
この運転支援制御部11の入力側に、自動運転を行う際に必要とするパラメータを取得する手段として、ナビゲーションシステム21、車両情報受信部22、カメラユニット23、後方検知ユニット24、及び自車両Mの車速(自車速)を検出する車速センサ25等が接続されている。尚、カメラユニット23と後方検知ユニット24とが、本発明の周辺環境情報を取得する環境情報取得部に対応している。
【0016】
ここで、ナビゲーションシステム21は、測位電波受信部を有しており、この測位電波受信部で受信したGNSS(Global Navigation Satellite System )等の測位衛星からの位置信号に基づいて、位置情報(緯度、経度等の座標)を取得し、運転者が設定した目的地までの走行ルートを高精度道路地図データベース21aに格納されている、高精度な道路地図情報(ダイナミックマップ)上に表示させると共に、取得した車両位置の座標上に自車両Mの現在位置を重ねる。
【0017】
この道路地図情報には、自車両Mを自動運転させる際に必要とする、静的地図情報及び動的地図情報を備えている。静的地図情報としては、道路や構造物の形状や車線情報等がある。又、動的地図情報としては、各道路における交通規制、事故、渋滞、車両、歩行者等の刻々と変化する情報が含まれており逐次更新されて、静的情報に重ね合わされて構成される。
【0018】
又、車両情報受信部22は、受信アンテナを介して自車両M周辺の車両情報を、車々間通信や路車間通信等を利用して受信する。
【0019】
カメラユニット23は、CCDやCMOS等を撮像素子とするメインカメラ23a及びサブカメラ23bからなるステレオカメラと、画像処理ユニット(IPU)23cとを有し、両カメラ23a,23bで撮像した自車両M前方の走行環境情報をIPU23cにて所定に画像処理して、運転支援制御部11へ送信する。
【0020】
後方検知ユニット24は、後方検知センサ24aと後続車検出部24bとを備えている。後方検知センサ24aは、後方の所定センシング領域をセンシングして後方環境情報を取得する。この後方検知センサ24aは、動画カメラ、超音波センサ、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ、ライダー(Light Detection And Ranging)等のうち少なくとも一つで構成されている。尚、動画カメラは、ステレオカメラに限らず、単眼カメラであってもよい。又、後続車検出部24bは、後方検知センサ24aで取得した後方環境情報に基づき、自車両Mに追従する後続車Sの有無、及び自車両Mと後続車Sとの車間距離等を調べる。
【0021】
一方、運転支援制御部11の出力側に、ウインカ駆動部31、電動パワーステアリング(EPS)駆動部32、パワー駆動部33、及びブレーキ駆動部34が接続されている。ウインカ駆動部31は前左右ウインカランプLfl,Lfr、及び後左右ウインカランプLrl,Lrrを点滅動作させる。尚、以下においては、各ウインカランプLfl,Lfr,Lrl,Lrrを総称して「Lw」と記載する場合もある。
【0022】
EPS駆動部32は電動パワーステアリング(EPS)を駆動させる。パワー駆動部33は駆動源(エンジンや電動モータ等)を駆動させる。又、ブレーキ駆動部34はブレーキユニットに供給して制動力を発生させるブレーキ液圧を調整する。
【0023】
運転者がナビゲーションシステム21に目的地を入力すると、このナビゲーションシステム21は、自車両Mの現在位置と目的地までの走行ルートを道路地図上に設定する。運転支援制御部11は、自車両M前方の所定距離の範囲に走行ルートに沿って自車両Mを自動運転させるための目標進行路を設定する。その際、例えば、図10に示すように、目標進行路が、前方において左折方向に設定されている場合、運転支援制御部11は、自車両Mが左折地点の手前においてウインカ駆動部31に左前後ウインカランプLfl,Lrlを点滅させるON信号を送信する。左前後ウインカランプLfl,Lrlを点滅させることで、自車両M周囲の車両等に、自車両Mが左折しようとしていることを報知する。
【0024】
又、図11に示すように、目標進行路が右折方向に設定されている場合も同様に、運転支援制御部11は、自車両Mが右折地点の手前においてウインカ駆動部31に右前後ウインカランプLfr,Lrrを点滅させるON信号を送信する。右前後ウインカランプLfr,Lrrを点滅させることで、自車両Mが右折しようとしていることを周囲に報知する。
【0025】
ところで、自車両Mが右折或いは左折しようとする場合にウインカランプLfr,Lrr、或いはLfl,Lrlを、右折或いは左折しようとする交差点の何メートル手前から点滅を開始しなければならないかは、予め法律で定められている。従って、運転支援制御部11は、カメラユニット23やナビゲーションシステム21の地図情報に基づき、自車両Mが予め決められた交差点手前の距離に達したと判定した場合、ウインカ駆動部31にON信号を送信する。
【0026】
この場合、運転支援制御部11は、自車両Mが左折しようとする交差点手前の予め設定されている点滅開始距離(例えば、30[m])に到達したときウインカ駆動部31に対して、左前後ウインカランプLfl,Lrlに対するON信号を送信する。その結果、左前後ウインカランプLfl,Lrlの点滅が開始する。その際、例えば、図10では、点滅開始距離と左折しようとする交差点との間に、1つ或いは複数の交差路が存在し、その少なくとも一つの交差路から車両(交差車両)Iが、自車両Mの走行する車線に進入しようとしている場合がある。
【0027】
このような場合、交差車両Iの運転者は相手車両(自車両M)がどの交差点で左折しようとしているか明確に判断できない。そのため、交差車両Iの運転者が、相手車両(自車両M)は、実際に左折しようとする交差点の手前の交差路を曲がると思い込んで、自車両Mの走行車線に飛出した場合、運転支援制御部11は衝突を回避しようと、ブレーキ駆動部34に緊急ブレーキ(AEB:Autonomous Emergency Braking)信号を送信して、緊急停止させる等、運転者を慌てさせることになる。
【0028】
このことは、図11に示すように、自車両Mが右折しようとする際に、上述した自車走行路側の交差車両Iに加え、対向車線側の交差路から交差車両I'が右折しようと、 自車両Mの走行している車線に飛出す場合も同様に発生する可能性がある。更に、自車両Mが交差点を右折しようとするに際し、対向車線を対向車Fが走行している場合、当該対向車Fの運転者は相手車両(自車両M)どの交差点を右折するのかが判断できず、不安感を抱いてしまう場合もある。
【0029】
加えて、図10、或いは図11に示すように、自車両Mを後続車Sが追従している場合、後続車Sの運転者は先行車(自車両M)が左後ウインカランプLrl、或いは右後ウインカランプLrrを点滅させた状態で走行していると、先行車(自車両M)がどの交差点で曲がろうとしているかが解らず、後続車Sの運転者を苛立たせてしまうことになる。
【0030】
そのため、本実施形態では、前側、及び後側のウインカランプLwの点滅周期を状況に応じて可変させることで、交差車両I(又はI')、対向車F、後続車Sに自車両Mの曲がろうとしている交差点を視覚的な感覚で報知するようにしている。
【0031】
運転支援制御部11で実行する、右左折時のウインカランプLwの点滅周期を可変させる制御は、具体的には、図2A図2Cに示す右左折時走行制御ルーチンの流れの中で実行される。
【0032】
このルーチンでは、先ず、ステップS1で、運転支援制御部11が、ナビゲーションシステム21で設定した走行ルートに基づいて設定した目標進行路を読込む。次いで、ステップS2へ進み、目標進行路が右折、或いは左折方向に設定されているか、直進方向に設定されているかを調べる。そして、右折、或いは左折方向に設定されている場合は、ステップS3へ進む。又、目標進行路が直進方向に設定されている場合は、ルーチンを抜ける。
【0033】
ステップS3へ進むと、目標進行路に設定した、自車両Mが右折、或いは左折する交差点を認識する。この交差点の認識は、ナビゲーションシステム21の地図情報から取得する。或いはカメラユニット23で取得した自車両M前方の環境情報に基づいて認識する。
【0034】
次いで、ステップS4へ進み、認識した自車両Mが右折、或いは左折する交差点から手前の点滅開始距離(例えば、30[m])までの間に、自車走行路につながる交差路があるか否かを調べる。この交差路があるか否かは、ナビゲーションシステム21の地図情報、或いはカメラユニット23で取得した、自車両M前方の環境情報に基づいて判定する。
【0035】
そして、交差路が無い場合は、ステップS6へジャンプする。又、交差路が認識されている場合は、ステップS5へ進む。ステップS5では、交差路に自車走行路の方向へ進入しようとする車両(交差車両)I(又はI')が存在するか否かを調べる。交差車両I(又はI')が存在するか否かは、カメラユニット23で取得した、自車両M前方の環境情報に基づき、周知のテンプレートマッチング処理や特徴点検出処理等を用いて認識する。
【0036】
そして、交差車両が検出されていない場合はステップS6へ進む。又、交差車両I(又はI')が検出されている場合は、ステップS13へジャンプする。ステップS6へ進むと、自車両Mから所定範囲内を走行する後続車Sの有無を調べる。後続車Sの有無は、後方検知ユニット24の後続車検出部24bからの情報に基づいて調べる。そして、後続車なしの場合はステップS7へ進み、後続車Sが検出されている場合はステップS8へ分岐する。
【0037】
ステップS7へ進むと、運転支援制御部11は標準ウインカ制御処理を実行してステップS9へ進む。運転支援制御部11で実行する標準ウインカ制御処理は、先ず、目標進行路が曲がろうとしている方向のウインカランプLwを点滅させるべく、ウインカ駆動部31に標準点滅周期のON信号を送信して、曲がる方向の前後ウインカランプ(図10では左前後ウインカランプLfl,Lrl、図11では右前後ウインカランプLfr,Lrr)を一定周期(例えば、90点滅周期/60[sec])で動作させる。その結果、自車両Mは、所定点滅開始距離から標準点滅周期で曲折(右折、或いは左折)側のウインカランプLwを点滅させて、交差点を曲がる。
【0038】
又、ステップS6からステップS8へ分岐すると、ウインカ制御Iを実行させてステップS11へ進む。このウインカ制御Iでは、図3に示すウインカ制御Iサブルーチンが実行される。尚、図3、後述する図4、及び図5での処理が、本発明の点滅周期可変部に対応している。
【0039】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS31で、自車位置から目標進行路に設定されている右折或いは左折する交差点までの到達距離Lkを算出する。この到達距離Lkはナビゲーションシステム21の地図情報、或いはカメラユニット23で取得した、自車両M前方の環境情報に基づいて算出する。
【0040】
次いで、ステップS32へ進み、到達距離Lkと第1しきい距離L1とを比較する。この第1しきい距離L1は、上述した点滅開始距離であり、例えば、30[m]である。ステップS32では到達距離Lkが第1しきい距離L1に達するまで待機する。そして、到達距離Lkが第1しきい距離L1に達した場合(Lk≦L1)、ステップS33へ進む。ステップS33では、到達距離Lkと第2しきい距離L2とを比較する。この第2しきい距離L2は、例えば20[m]である。
【0041】
そして、到達距離Lkが未だ第2しきい距離L2に達していない場合(Lk>L2)、ステップS34へ進み、長点滅周期Tlで点滅周期Tを設定して(T←Tl)、ステップS38へ進む。
【0042】
その後、到達距離Lkが第2しきい距離L2に達すると(Lk<L2)、ステップS35へ分岐し、到達距離Lkと第3しきい距離L3とを比較する。この第3しきい距離L3は、例えば10[m] である。
【0043】
そして、到達距離Lkが未だ第3しきい距離L3に達していない場合(Lk>L3)、ステップS36へ進み、標準点滅周期Tnで点滅周期Tを設定して(T←Tn)、ステップS38へ進む。その後、到達距離Lkが第3しきい距離L3に到達した場合(Lk≦L3)、ステップS37へ分岐し、短点滅周期Tsで点滅周期Tを設定して(T←Ts)、ステップS38へ進む。
【0044】
図12に示すように、上述したステップS7で設定される点滅周期、及びステップS34で設定される点滅周期Tは標準点滅周期Tnである。本実施形態では、この標準点滅周期Tnを、点灯時間と消灯時間とを同じとして、例えば、90点滅周期/60[sec]とした場合、長点滅周期Tlが60点滅周期/60[sec]、短点滅周期Tsが120点滅回数/60[sec]に設定されている。ただし、これは例示であり、Tl>Tn>TSの関係を有していれば、点滅周期Tは運転者等の認識度に応じて最良の状態に適宜設定する。
【0045】
その後、ステップS34,S36,S37の何れかからステップS38へ進むと、目標進行路は交差点を左折する方向に設定されているか(図10参照)、右折する方向に設定されているか(図11参照)を調べる。そして、目標進行路が左折方向に設定されている場合、ステップS39へ進み、左前後ウインカランプLfl,Lrlを点滅周期Tで点滅させるON信号をウインカ駆動部31に送信して、図2BのステップS11へ進む。又、目標進行路が右折方向に設定されている場合、ステップS40へ分岐し、右前後ウインカランプLfr,Lrrを点滅周期Tで点滅させるON信号をウインカ駆動部31に送信して、ステップS11へ進む。
【0046】
その結果、交差路に交差車両I(又はI')は存在していないが、後続車Sが自車両Mに追従している場合、自車両Mが曲がろうとする交差点までの到達距離Lkが、第1しきい距離L1から第2しきい距離L2の間では、曲折方向のウインカランプLwの点滅周期Tが長点滅周期Tlで設定されるため、後続車Sの運転者に、先行車(自車両M)が曲がろうとしている交差点まで未だ余裕があると視覚的に認識させることができる。
【0047】
その後、自車両Mが曲がろうとする交差点までの到達距離Lkが、第2しきい距離L2から第3しきい距離L3の間では、曲折方向のウインカランプLwの点滅周期Tが標準点滅周期Tnで設定されるため、後続車Sの運転者に、先行車(自車両M)が曲がろうとしている交差点に近づいていることを視覚的に認識させることができる。
【0048】
更に、自車両Mが曲がろうとする交差点までの到達距離Lkが、第3しきい距離L3よりも短くなると曲折方向のウインカランプLwの点滅周期Tが短点滅周期Tsで設定されるため、後続車Sの運転者に、先行車(自車両M)は次の交差点で曲がろうとしていると云うことを容易に予測させることができる。その結果、後続車Sの運転者を苛立たせることなく、運転支援制御部11は、自車両Mを曲がろうとする交差点まで安全に走行させることができ、当該交差点をスムーズに曲がらせることができる。
【0049】
又、ステップS8からステップS11へ進むと、後続車Sが自車両Mの右折、或いは左折するタイミングを認識しているか否かを調べる。後続車Sが自車両Mの右折、或いは左折するタイミングを認識しているか否かは、後方検知ユニット24の後続車検出部24bで取得した後続車情報に基づいて算出した自車両Mと後続車Sとの車間距離、及び相対車速に基づいて判定する。
【0050】
その際、自車両Mがウインカ制御Iを実行したにも拘わらず後続車Sが減速せず、自車両Mに接近している場合、後続車Sは自車両Mの右折、或いは左折するタイミングを認識していないと判定し、ステップS12へ進む。又、後続車Sが自車両Mに追従して減速している場合、後続車Sは自車両Mの右折、或いは左折するタイミングを認識していると判定し、ステップS9へ進む。
【0051】
ステップS12で実行される回避行動Iは、図6に示す回避行動Iサブルーチンに従って処理される。このサブルーチンでは、先ず、ステップS61で自車両Mと後続車Sとの車間距離を監視し、その変化を算出する。車間距離の変化は後方検知ユニット24の後続車検出部24bで取得した、演算周期毎の後続車Sとの車間距離の差分から算出する。
【0052】
そして、ステップS62へ進み、後続車Sが自車両Mに接近している場合、追突される可能性ありと判定し、ステップS63へ進む。又、後続車Sと自車両Mとの車間距離が狭められていない場合、追突される可能性はないと判定して、図2AのステップS9へ進む。ステップS63へ進むと、追突回避制御を実行して、図2AのステップS9へ進む。
【0053】
ステップS63では、追突回避制御は追突を回避するための目標進行路を再構築する。目標進行路の再構築は、例えば、本来の目標進行路に従った右折、或いは左折する交差点の先の、右折、或いは左折する交差点を検索して、新たな目標進行路を構築する。或いは、自車両Mが走行している走行路の車線が複数車線の場合、後続車Sとは異なる車線に車線変更する目標進行路を構築する等がある。そして、追突回避制御を実行した後、図2AのステップS9へ進む。
【0054】
一方、ステップS5で交差路に交差車両I(又はI')ありと判定されてステップS13へ分岐すると、上述したステップS6と同様、自車両Mから所定範囲内を走行する後続車Sの有無を調べる。そして、後続車なしの場合はステップS14へ進み、後続車Sが検出されている場合はステップS15へ分岐する。
【0055】
ステップS14へ進むと、ウインカ制御IIを実行してステップS16へ進む。又、ステップS15へ分岐すると、ウインカ制御IIIを実行してステップS19へ進む。
【0056】
ステップS14で実行されるウインカ制御IIは、図4に示すウインカ制御IIサブルーチンに従って処理される。
【0057】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS41で、交差車両I(又はI')が進入しようとしている交差点を自車両Mが通過したか否かを調べる。この交差点の通過は、カメラユニット23で取得した、自車両M前方の環境情報に基づき到達距離を予測することで、通過したか否かを判定する。
【0058】
そして、自車両Mは未だ交差点の手前を走行していると判定した場合、ステップS42へ進み、点滅周期Tを標準点滅周期Tnで設定して(T←Tn)、ステップS44へ進む。そしてい、自車両Mが交差車両I(又はI')が進入しようとしている交差点を通過した場合、ステップS43へ分岐し、点滅周期Tを短点滅周期Tsで設定して(T←Ts)、ステップS44へ進む。
【0059】
ステップS42、或いはステップS43からステップS44へ進むと、目標進行路は交差点を左折する方向に設定されているか否かを調べる。そして、目標進行路が左折方向に設定されている場合は、ステップS45へ進む。又、目標進行路が右折方向に設定されている場合はステップS46へ分岐する。
【0060】
ステップS45へ進むと、ウインカ駆動部31に対し、左前後ウインカランプLfl,Lrlを点滅周期Tで点滅させるON信号を送信して、ステップS16へ進む。又、ステップS46へ進むと、ウインカ駆動部31に対し、右前後ウインカランプLfr,Lrrを点滅周期Tで点滅させるON信号を送信して、ステップS16へ進む。
【0061】
すると、運転支援制御部11は、自車両Mの走行路に進入しようとする交差車両I(又はI')を認識している交差路の交差点に近づいた後、通過するまでは、曲折方向のウインカランプLwが標準点滅周期Tn(図12参照)で点滅させる。ウインカランプLwが、この点滅周期Tで点滅していることにより、交差車両I(又はI')の運転者に対し、近づいてくる相手車両(自車両M)は、自車両(交差車両I又はI')の交差路を通過すると視覚的に把握させることができる。
【0062】
その後、交差車両I(又はI')が進入しようとする交差路を通過し、曲折方向のウインカランプLwの点滅周期Tが短点滅周期Ts(図12参照)で点滅する。そのため、相手車両(自車両M)に追従する方向へ交差車両I(又はI')が走行している場合、先行車(自車両M)が曲がろうとする交差路が近づいていると視覚的に把握させることができ、追突されることを未然に防止することができる。
【0063】
そして、図2CのステップS16へ進むと、通過前減速制限制御処理を実行してステップS17へ進む。この通過前減速制限制御処理は、図7に示す減速前通過制限制御サブルーチンに従って実行される。尚、このサブルーチンでの処理が、本発明の減速制限制御部に対応している。
【0064】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS71で自車両Mから交差車両I(又はI')が進入しようとする交差点までの距離を、カメラユニット23で取得した、自車両M前方の環境情報に基づいて算出する。次いで、ステップS72で、交差車両I(又はI')の交差路を通過する際の自車速(通過時車速)を設定する。この通過時車速は交差車両I(又はI')が、相手車両(自車両M)は交差車両I(又はI')の交差路、或いはその手前の交差路を曲がるだろうと誤認させることのない車速であり、30~20[Km/h]等予め設定されている。
【0065】
その後、ステップS73へ進み、ステップS71で算出した交差車両I(又はI')の交差点までの距離とステップS72で設定した通過時車速、及び車速センサ25で検出した現在の自車速に基づいて、現在の自車速から通過時車速に減速させるまでの減速度勾配を設定する。そして、ステップS74へ進み、この減速勾配に従って自車速の減速度を制限する車速制御を実行して、ステップS75へ進む。
【0066】
その結果、交差路から自車走行路に進入しようとする交差車両I(又はI')の運転者に対しては、近づいてくる相手車両(自車両M)のウインカランプLwの点滅を視覚的に認識させることができる。しかも、相手車両(自車両M)が通過する際の車速(自車速)が大きく減速することなく通過するため、相手車両(この場合は自車両M)は、自車両(この場合は交差車両I又はI')の手前、或いは自車両(交差車両I又はI')の交差路で曲がるだろうという思い込みを排除することができる。
【0067】
その後、ステップS75へ進むと、自車両Mが交差車両I(又はI')の交差路を通過するまでステップS74の車速制御を繰り返し実行する。そして、運転支援制御部11が、自車両Mは交差車両I(又はI')の交差路を通過したと判定したとき、ステップS76へ進み、減速勾配による減速制限を解除して、図2CのステップS17へ進む。
【0068】
図2CのステップS17では、交差車両I(又はI')の運転者が自車両Mの通過を待っているか否かを推定する。交差車両I(又はI')の運転者が自車両Mの通過を待っているか否かは、例えば、カメラユニット23で取得した、自車両M前方の環境情報に基づいて監視する交差車両I(又はI')の挙動から推定する。即ち、交差車両I(又はI')が交差路で停止している場合は、自車両Mの通過を認識していると推定する。又、交差車両I(又はI')が自車走行路方向へ移動している場合は、自車両Mが交差車両I(又はI')の交差路或いはその手前の交差路を右折、或いは左折すると勘違いしていると推定する。
【0069】
そして、交差車両I(又はI')が自車両Mの通過を待っていると推定した場合は、ステップS9へ進む。又、交差車両I(又はI')が勘違いしていると推定した場合は、ステップS18へ進む。ステップS18では、回避行動IIを実行してステップS9へ進む。この回避行動IIは、図8に示す回避行動IIサブルーチンに従って実行される。
【0070】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS81で交差車両I(又はI')の挙動を検出する。交差車両I(又はI')の挙動は、カメラユニット23で取得した、自車両M前方の環境情報で捕捉した交差車両I(又はI')の演算周期毎の移動量に基づいて調べる。次いで、ステップS82へ進み、交差車両I(又はI')の何れかが自車両Mの走行路(自車走行路)に飛出しているか否かを調べる。そして、交差車両I(又はI')が交差路内に留まっている場合は、飛出す可能性がないと判定し、図2AのステップS9へ進む。又、交差車両I(又はI')の何れかが自車走行路に飛出している場合は、ステップS83へ進む。
【0071】
ステップS83では、衝突回避制御を実行して、図2AのステップS9へ進む。この衝突回避制御は、先ず、飛出している交差車両I(又はI')の挙動から、交差車両I(又はI')が進もうとする方向(図10図11のように、右折、直進、左折の何れか)を調べる。
【0072】
そして、例えば、図10に示す交差車両Iが左折しようとしている場合、運転支援制御部11は自車両Mを交差車両Iに追従させるべく、ブレーキ駆動部34へ制動信号を送信し、自車両Mを減速させて、図2AのステップS9へ進む。又、その際、現在の自車速と自車両Mの位置から交差車両Iまでの距離との関係から、急減速させても衝突する可能性が高いと判定した場合、運転支援制御部11は衝突を回避する新たな目標進行路を再構築して、図2AのステップS9へ進む。
【0073】
目標進行路の再構築は、例えば、図10に示すように、交差車両Iが走行している交差路に対向車線が設定されている場合、目標進行路を当該対向車線方向へ左折する方向に再構築する。或いは、自車走行路の道路が片側二車線の場合は、センターライン側の車線に進路変更する目標進行路を再構築し、その後、左折が可能な場合は元の目標進行路に戻すようにしても良い。
【0074】
一方、図10において、交差車両Iが直進、或いは右折しようとしている場合、運転支援制御部11は、交差車両Iの飛出しを検出した後、ブレーキ駆動部34に制動信号を送信して減速を開始する。そして、運転支援制御部11は、交差車両Iが自車両Mの走行路(自車走行路)の横断を確認した後、減速を緩める信号をブレーキ駆動部34へ送信した後、当初の目標進行路に沿って自車両Mを走行させる。
【0075】
一方、図11に示す交差車両I'のように、対向車線側の交差路から対向車線に飛出しているが、自車進行路側には飛出していないため、ステップS82から図2AのステップS9へ進む。これに対して、交差車両I'が右折、或いは直進する場合は自車走行路に飛出すため、ステップS82からステップS83へ進む。この場合、交差車両I'が右折する場合は、上述した交差車両Iが左折する場合と同様、運転支援制御部11は自車両Mを交差車両I'に追従させるべく、ブレーキ駆動部34へ制動信号を送信し、自車両Mを減速させて、図2AのステップS9へ進む。
【0076】
その際、現在の自車速と自車両Mの位置から自車進行路に飛出した交差車両I'までの距離との関係から、急減速させても衝突する可能性が高い場合、運転支援制御部11は、衝突を回避する新たな目標進行路を再構築して、図2AのステップS9へ進む。
【0077】
この目標進行路の再構築は、例えば、自車走行路の道路が片側二車線で、交差車両I'が右折しようとしている場合は、路肩側の車線に進路変更する目標進行路を再構築して交差車両I'との衝突を回避する。一方、交差車両I'が直進しようとしている場合は、自車両Mを急減速させながらセンターラインよりに目標進行路を設定して、交差車両I'との衝突を回避する。
【0078】
又、ステップS15でのウインカ制御IIIは、図5に示すウインカ制御IIIサブルーチンに従って実行される。
【0079】
このサブルーチンでは、先ず、ステップS51で、曲折(右折、或いは左折)する側の前ウインカランプLfl或いはLfrをウインカ制御IIサブルーチンで設定した点滅周期Tで点滅させる。次いで、ステップS52へ進み、曲折(右折、或いは左折)する側の後ウインカランプLrl或いはLrrをウインカ制御IIIサブルーチンで設定した点滅周期Tで点滅させる。そして、図2CのステップS19へ進む。
【0080】
このように、本実施形態では、前方に交差車両I(又はI')が認識され、後方に後続車Sが検出されている場合、曲折方向の前側と後側のウインカランプLwを異なる点滅周期で点滅させるようにした。そのため、交差車両I(又はI')と後続車Sとに対して、自車両Mが曲折する交差点を明確に表示させることができる。
【0081】
ステップS19へ進むと、通過前減速制限制御処理を実行してステップS20へ進む。この通過前減速制限制御処理は、図7に示す減速前通過制限制御サブルーチンに従って実行される。尚、このサブルーチンについては既に説明したので、ここでの説明は省略する。
【0082】
ステップS20へ進むと、交差車両I(又はI')の運転者、及び後続車Sの運転者が自車両Mを認識しているか否かを調べる。すなわち、ウインカ制御IIIによりウインカを点滅させて、交差車両I(又はI')と後続車Sとに対し、自車両Mの右折、或いは左折する交差路に進行するタイミングを表示しているにもかかわらず、交差車両I(又はI')の何れかが自車走行路に飛出しており、或いは後続車Sとの車間距離が狭まっている場合、或いはその両方の場合、ステップS21へ進み、回避行動IIIを実行して、図2AのステップS9へ進む。又、交差車両Iと後続車Sとの双方が自車両Mを認識していると判定した場合は、そのまま図2AのステップS9へ進む。
【0083】
ステップS21での回避行動IIIは、図9に示す回避行動IIIサブルーチンに従って実行される。このサブルーチンでは、先ず、ステップS91で飛び出している交差車両I又はI'の挙動を、上述した図8のステップS81と同様の処理を実行して検出する。次いで、ステップS92へ進み、自車両Mと後続車Sと車間距離の変化を、上述したステップS61と同様の処理を実行して検出する。
【0084】
その後、ステップS93へ進み、交差車両I(又はI')が自車両Mの走行路(自車走行路)に飛出しているか否かを調べる。そして、交差車両I(又はI')の何れかが飛出していると判定した場合はステップS94へ進む。又、交差車両I(又はI')が交差路内に留まっていると判定した場合は、飛出す可能性がないと判定し、ステップS95へ分岐する。
【0085】
ステップS94へ進むと、後続車Sから自車両Mが追突を受ける可能性を調べる。そして、後続車Sと自車両Mとの車間距離が狭められていない場合は追突される可能性はないと判定して、ステップS96へ分岐する。又、後続車Sが自車両Mに接近している場合は追突される可能性ありと判定し、ステップS98へ進む。ステップS96へ進むと、交差車両I(又はI')との衝突を回避する制御を、上述したステップS83と同様に実行して、図2AのステップS9へ進む。
【0086】
又、ステップS93からステップS95へ分岐すると、上述したステップS94と同様に、後続車Sから自車両Mが追突を受ける可能性を調べる。そして、自車両Mは後続車Sから追突される可能性はないと判定した場合は、図2AのステップS9へ進む。一方、自車両Mは後続車Sに追突される可能性ありと判定した場合は、ステップS97へ進む。ステップS97では後続車Sとの追突回避制御を、上述したステップS63と同様に実行して、図2AのステップS9へ進む。
【0087】
又、ステップS94からステップS98へ進むと、後続車Sから追突を受けない車間距離を確保した状態で、交差車両I(又はI')との衝突回避制御を実行して、図2AのステップS9へ進む。このステップS98における交差車両I(又はI')との衝突回避制御は、上述したステップS83と同様の処理を実行して行う。
【0088】
そして、ステップS12,S18,S21の何れかから、図2AのステップS9へ進むと、運転支援制御部11からEPS駆動部32に対する操舵信号から自車両Mの右折、或いは左折が完了したか否かを調べ、右折、或いは左折が完了するまで右左折時の走行制御を継続させる。そして、自車両Mの右折或いは左折が完了した判定した場合、ステップS10へ進み、運転支援制御部11はウインカ駆動部31に対してウインカOFF信号を送信し、ウインカの点滅を終了させてルーチンを抜ける。
【0089】
このように、本実施形態では、目標進行路に従って前方の交差点を右折、或いは左折するに際し、手前の交差路に交差車両I(又はI')を検出した場合、当該交差車両I(又はI')の手前では曲がる側のウインカランプLwの点滅周期Tを長くし、交差車両Iを通過した際に、通常の点滅周期Tに切換え、更に、自車両Mが曲がる交差路手前までは点滅周期Tを短くした。これにより、交差車両I(又はI')の運転者に対して、自車両Mは少なくとも交差車両I(又はI')を通過するまでは曲がらないと云うことを、視覚的に明示することができる。
【0090】
その結果、交差車両I(又はI')の運転者に対し、自車両Mが曲がろうとする交差点を誤認させることがなく、交差車両I(又はI')の飛出しを未然に防止することができる。従って、交差車両I(又はI')の飛び出しにより運転者を慌てさせることが無くなる。又、自車両Mが右折する際には、対向車Fに対しても自車両Mが曲がろうとする交差点を視覚的に明示することができる。
【0091】
更に、交差車両I(又はI')が万一自車走行路に飛出した場合や後続車Sが自車両Mに接近した場合、運転支援制御部11は衝突や追突を回避する回避行動を実行させるようにしたので、衝突や追突から自車両Mの搭乗者を保護することができる。
【0092】
尚、本発明は、上述した実施形態に限るものではなく、例えば、ウインカランプLwの点滅周期Tは、4段階以上に区分されていても、連続的に可変できるものであつても良い。又、交差車両I(又はI')や後続車Sの挙動は、車両情報受信部22で受信した車々間通信や路車間通信からの情報に基づいて取得するようにしても良い。
【符号の説明】
【0093】
1…運転支援装置、
11…運転支援制御部、
21…ナビゲーションシステム、
21a…高精度道路地図データベース、
22…車両情報受信部、
23…カメラユニット、
23a…メインカメラ、
23b…サブカメラ、
24…後方検知ユニット、
24a…後方検知センサ、
24b…後続車検出部、
25…車速センサ、
31…ウインカ駆動部、
32…EPS駆動部、
33…パワー駆動部、
34…ブレーキ駆動部、
F…対向車、
I,I'…交差車両、
Lfl,Lfr…前左右ウインカランプ、
Lrl,Lrr…後左右ウインカランプ、
L1…点滅開始距離(第1しきい距離)、
L2…第2しきい距離、
L3…第3しきい距離、
Lk…到達距離、
Lw…ウインカランプ、
M…自車両、
S…後続車、
T…点滅周期、
Tl…長点滅周期、
Tn…標準点滅周期、
Ts…短点滅周期
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12