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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153529
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20231011BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062857
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優花
(72)【発明者】
【氏名】アーマド アズリ
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 功介
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 篤
(72)【発明者】
【氏名】羽生 悟志
(72)【発明者】
【氏名】新海 善弘
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC29
(57)【要約】
【課題】多数の利用者が利用する施設を適切に清掃することができる情報処理装置および情報処理方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る情報処理装置10は、所定の施設を利用する利用者を特定する利用者特定部21と、特定された利用者の行動履歴を取得する行動履歴取得部25、25Aと、取得した行動履歴に基づき、利用者の汚れ度合いを判定する判定部26と、判定された汚れ度合いに応じて、利用者に対する清掃情報を生成する情報生成部27と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の施設を利用する利用者を特定する利用者特定部と、
特定された前記利用者の行動履歴を取得する行動履歴取得部と、
取得した行動履歴に基づき、前記施設または前記利用者の汚れ度合いを判定する判定部と、
判定された汚れ度合いに応じて、前記施設または前記利用者に対する清掃情報を生成する情報生成部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記行動履歴取得部は、前記利用者が前記施設を利用前の所定時間における該利用者の行動履歴を取得し、
判定された前記利用者の汚れ度合いが所定基準を満たしていない場合、
前記情報生成部は、前記施設の利用前に、前記利用者に対する清掃を行うための前記清掃情報を生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記行動履歴取得部は、少なくとも前記所定時間に移動した前記利用者の位置履歴と、前記位置履歴に対応する地域の環境情報とから推定される前記行動履歴を取得する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記施設における前記利用者の状況を撮影した映像を取得する映像取得部を備え、
前記行動履歴取得部は、前記施設を利用中における前記利用者の撮影映像から前記行動履歴を取得し、
前記施設の中に、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域が存在する場合、
前記情報生成部は、前記施設の利用後に、前記領域に対する清掃を行うための前記清掃情報を生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置が備える制御部が、
所定の施設を利用する利用者を特定するステップと、
特定された前記利用者の行動履歴を取得するステップと、
取得した行動履歴に基づき、前記施設または前記利用者の汚れ度合いを判定するステップと、
判定された汚れ度合いに応じて、前記施設または前記利用者に対する清掃情報を生成するステップと、を実行する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カラオケボックスやホテルの客室、公民館の会議室などは、比較的公共性の高い施設であるため、適切な清掃を実現することが望まれている。特許文献1には、屋内の領域についての特性と汚染物質による当該領域の汚染量との関係を示す関係情報を記憶する記憶部と、屋内の一領域についての特性を含む入力情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された入力情報と前記関係情報とに基づいて前記一領域の汚染量を推定する推定部とを備えた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6726884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した施設では、多数の利用者が利用するため、利用後にその都度、施設内を清掃する必要がある。しかし、施設利用前の利用者の施設外での行動により、施設内に花粉や汚れなどの異物が持ち込まれたり、施設利用中の利用者の施設内での飲食など行動によって汚れが生じたりし、清掃する領域が異なるため、施設を適切に清掃する改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多数の利用者が利用する施設を適切に清掃することができる情報処理装置および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、所定の施設を利用する利用者を特定する利用者特定部と、特定された利用者の行動履歴を取得する行動履歴取得部と、取得した行動履歴に基づき、施設または利用者の汚れ度合いを判定する判定部と、判定された汚れ度合いに応じて、施設または利用者に対する清掃情報を生成する情報生成部と、を備える。
【0007】
また、本発明に係る情報処理方法は、情報処理装置が備える制御部が所定の施設を利用する利用者を特定するステップと、特定された利用者の行動履歴を取得するステップと、取得した行動履歴に基づき、施設または利用者の汚れ度合いを判定するステップと、判定された汚れ度合いに応じて、施設または利用者に対する清掃情報を生成するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多数の利用者が利用する施設を適切に清掃することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。
図2図2は、第一実施形態に係る情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、第二実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。
図4図4は、第二実施形態に係る情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る情報処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。本発明に係る情報処理装置は、多数の利用者が利用可能な施設(例えば、ホテルの客室やカラオケボックス)における利用者の行動履歴から施設内を清浄・快適に保つために、施設利用前(入室前)の利用者または利用後の施設に対する適切な清掃処理を制御するものである。
【0011】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置10は、上記した施設(例えば、ホテルの客室)内に利用者が汚れを持ち込むことを防止するために、該施設に入室前の利用者の行動履歴から利用者の汚れ度合いを判定し、利用者に対する適切な清掃処理を行う。図1に示すように、情報処理装置10は、コンピュータを用いて構成されており、例えばサーバ装置により実現できる。なお、情報処理装置10を複数のコンピュータを用いて構成してもよい。その場合、図1の一部の機能ブロックをあるコンピュータが処理し、その他の機能ブロックを他のコンピュータが処理する、といったように、機能別に処理を分散してもよい。
【0012】
情報処理装置10は、図1に示すように、通信部11と、表示部12と、記録部13と、入力部14と、制御部20とを有する。制御部20は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)であり、情報処理装置10の全体を制御する。制御部20の詳細については後述する。
【0013】
通信部11は、通信インターフェイスであり、制御部20の制御により、他の装置と通信することで、各種データの送受信をするよう構成される。通信部11は、例えば、インターネット回線を利用して、不図示の他の情報管理装置から環境情報(地図情報、汚染情報(花粉地域、悪臭発生地域など)、感染情報(疾病感染者の有無など)、気象情報)を取得する。この場合、全国すべての情報を受信するのではなく、施設の利用者が利用前に移動した位置履歴に基づき、利用者が移動した地域の環境情報(立ち寄った他の施設内や室内に関する情報などを含む)を受信することが好ましい。また、環境情報の一つとして、利用者が立ち寄った他の施設(店舗や交通機関を含む)の混雑情報や、他の施設の施設情報(例えば、店舗のトイレの清掃状態に関する情報や、トイレの手洗い自動水栓の開閉情報)を受信してもよい。
【0014】
また、通信部11は、NFC(Near Field Communication)と呼ばれる近距離無線通信技術を用いて、利用者がそれぞれ所持する利用者端末装置から利用者に関する情報を受信することもできる。この場合、利用者に関する情報には、利用者が本施設を利用する所定時間(例えば12時間)前に移動してきた位置情報の履歴(位置履歴)や各地域に滞在した時間、さらには利用者を特定するための識別情報などが含まれる。また、利用者端末装置は、例えば、利用者が所持した状態で移動できるスマートフォンや携帯電話、タブレットPCが挙げられるが、これらに限るものではない。
【0015】
表示部12は、制御部20の制御により、各種情報を表示する表示機器、例えばディスプレイである。この表示部12には、例えば、情報処理装置10が生成した利用者または施設内に対する清掃情報(どの領域を清掃する、どのような手法で清掃するなど)を表示することができる。また、表示部12を設けずに、情報処理装置10とは別の装置(例えば、従業員スタッフ(清掃専用スタッフを含む)の端末装置や表示装置、他のコンピュータの表示部など)に情報処理装置10の情報を表示(出力)してもよい。
【0016】
記録部13は、各種情報を記憶するものであり、例えば、メモリカードなどの記録媒体や、HDDやSSDなどの不揮発性の外部記録媒体を用いることができる。記録部13は、通信部11を介して、他の情報管理装置や利用者端末装置からそれぞれ取得した利用者が移動した地域の環境情報や、利用者の位置履歴などを記録する。また、記録部13は、利用者が本施設の利用を予約した際に、利用者を特定するための識別情報を入力してもよい。
【0017】
入力部14は、各種操作指示を入力するためのものであり、例えば、キーボードや、タッチパネル、音声入力装置などを用いることができる。
【0018】
制御部20は、利用者特定部21と、記録制御部22と、位置情報取得部23、環境情報取得部24と、行動履歴取得部25と、判定部26と、情報生成部27と、出力制御部28とを有する。
【0019】
利用者特定部21は、施設を利用しようとする利用者を特定する。利用者特定部21は、例えば、施設利用を予約した際に記録部13に記録(登録)された利用者の識別情報と、施設利用時に利用者が提示した該利用者の識別情報とを比較して、これらが一致していれば利用者が本人であると特定する。識別情報は、特に限定するものではなく、例えば文字列からなる利用者が設定したパスワードでも良いし、指紋、虹彩、声紋などの生体情報を用いても良い。また、利用時に提示される識別情報は、利用者の操作により情報処理装置10の入力部14から入力されても良いし、利用者端末装置から通信部11を介して、情報処理装置10に入力されてもよい。また、不図示のデバイスを用いて生体情報が入力されてもよい。
【0020】
記録制御部22は、各種情報を記録部13に記録させる制御を行う。記録制御部22は、利用者ごとに識別番号を付し、識別番号により利用者に関する各種情報を記録するように制御する。また、例えば、施設内に複数のカメラを備えている場合には、このカメラが撮影した映像を任意の方式のコーデックで符号化して、例えばMP4形式などの任意のファイル形式に変換して記憶してもよい。
【0021】
位置情報取得部23は、利用者が施設を利用する所定時間(例えば12時間)前に移動してきた利用者の位置情報の履歴(位置履歴)を取得する。より詳しくは、利用者の位置履歴として、利用者端末装置から該利用者端末装置の位置履歴を取得する。利用者端末装置は、例えばGNSS衛星からのGNSS信号を受信することで、利用者端末装置(利用者)の位置情報を定期的に検知して利用者端末装置に記憶している。位置情報取得部23は、利用者の同意の下、例えば、利用時に通信部11を介して、利用者端末装置から利用前の所定時間における利用者の位置履歴を取得する。なお、取得した位置履歴により、利用者が特定の地域(位置)に滞在した時間情報も取得することができる。
【0022】
環境情報取得部24は、利用者の位置履歴に基づき、利用者が移動した地域の環境情報を取得する。より詳しくは、環境情報取得部24は、通信部11を介して、外部の情報管理装置から、利用者の位置履歴に基づき利用者が移動した地域の環境情報を取得する。この環境情報は、利用者が移動した地域の地図情報や、汚染情報(花粉地域、悪臭発生地域など)、感染情報(疾病感染者の有無など)、気象情報を含む。環境情報取得部24は、汚染情報として、利用者が移動した地域ごとに花粉飛散量に関する情報や、悪臭の有無および臭気の種類やレベルに関する情報を取得してもよい。また、環境情報取得部24は、利用者が移動した位置に病院がある場合に、感染情報として当該病院がある地域の疾病(例えばインフルエンザ)の感染率に関する情報を取得してもよい。環境情報取得部24は、例えば、利用者が移動した位置にある店舗のトイレがある場合、このトイレの清掃状態に関する情報や、その時刻におけるトイレの手洗い自動水栓の開閉情報を取得してもよい。
【0023】
行動履歴取得部25は、利用者の位置履歴と、位置履歴にそれぞれ対応する環境情報とから利用者の行動履歴を推定して取得する。行動履歴取得部25は、例えば、位置履歴から導かれる移動速度と、その位置履歴に対応する地図情報とから利用者が歩行しているか、乗り物に乗っているか、ある施設内に買い物などで滞在しているかといった利用者の各行動を推定し、これら行動履歴を取得することができる。さらに、行動履歴取得部25は、例えば、利用者が歩行する道路の汚染情報として花粉飛散量の多い場合、利用者は花粉地域を歩行しているといった利用者の行動を推定することができる。また、行動履歴取得部25は、利用者が移動した位置に対応する地図情報として店舗のトイレがある場合、利用者がトイレに立ち寄ったと推定できる。さらに、このトイレの清掃状態から綺麗なトイレまたは綺麗でないトイレに立ち寄ったと推定できる。さらに、利用者がトイレに立ち寄った時刻に対応する手洗い自動水栓の開閉情報により、利用者が手を洗ったか否かを推定できる。
【0024】
判定部26は、取得した利用者の行動履歴に基づき、該利用者の汚れ度合いを判定する。より詳しくは、判定部26は、利用者の行動履歴から利用者自身の汚れ、または施設内に持ち込む恐れがある汚れ、といった汚れ度合いが所定基準を満たしているか否かを判定する。例えば利用者が花粉地域を歩行した行動履歴から利用者および衣服には花粉が付着していると推定され、この地域に滞在した時間が長いほど利用者および衣服には多くの花粉が付着する。この場合には、判定部26は、例えば、該当する地域に滞在した時間が所定時間よりも短ければ、所定基準を満たしていると判定してもよい。また、判定部26は、例えば、利用者がトイレに寄った行動履歴から利用者の手が汚れていると推定される。この場合には、判定部26は、利用者が手を洗った行動履歴があれば、利用者の手が汚れていない(清浄である)ため、所定基準を満たしていると判定してもよい。
【0025】
情報生成部27は、判定された汚れ度合いに応じて利用者に対する清掃情報を生成する。より詳しくは、情報生成部27は、利用者の汚れに適した清掃情報を生成する。利用者および衣服に花粉が付着していると判定された場合、情報生成部27は、例えば、施設利用前(入室前)に利用者をエアシャワー室に案内し、噴射される空気の流れで付着した花粉を払い落とす清掃情報を生成する。この場合、花粉の付着量によって、エアシャワーの利用時間を異ならせてもよい。また、利用者が手洗いをしておらず手が汚れていると判定された場合、情報生成部27は、例えば、施設利用前(入室前)に利用者を手洗いに案内して手洗いやアルコール液消毒を促す清掃情報を生成する。一方、利用者が概ね清浄な状態(汚れていない状態)と判定された場合には、何も清掃をしないという清掃情報を生成してもよいし、簡単な手洗いを促してもよい。生成される清掃情報は、これらに限るものではなく、例えば、悪臭発生地域を移動して衣服に悪臭が付着していると判定された場合には、施設利用前に消臭スプレーやアルコール消毒液を衣服に噴霧してもよい。また、例えば、所定の疾患(インフルエンザ)の感染率が高い地域の病院に立ち寄って、感染リスクがある場合には、施設利用前に手洗いやアルコール液消毒、検温を促してもよい。さらに、利用者の利用前に行動履歴により、これらを適宜組み合わせた清掃情報を生成してもよい。
【0026】
出力制御部28は、情報生成部27が生成した利用者に対する清掃情報を表示部12に出力する。また、出力制御部28は、通信部11を介して、従業員スタッフが保持しているスタッフ端末装置(不図示)に出力してもよい。表示部12またはスタッフ端末装置に出力された清掃情報に基づき、従業員スタッフは、施設利用前に利用者に対する適切な清掃を実施することができ、施設内に汚れが持ち込まれることを防止して、施設を清浄な状態に保つことができる。
【0027】
次に、制御部20における処理の流れについて説明する。図2は、第一実施形態に係る情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0028】
制御部20は、施設を利用する利用者を特定する(ステップS11)。詳しくは、制御部20は、利用者特定部21により、例えば、施設利用を予約した際に記録部13に記録(登録)された利用者の識別情報と、施設利用時に利用者が提示した該利用者の識別情報とを比較して、これらが一致していれば利用者が本人であると特定する。
【0029】
次に、制御部20は、施設利用前の所定時間(12時間)における利用者の位置履歴と、各位置(地域)に滞在した滞在時間を取得する(ステップS12)。詳しくは、制御部20は、位置情報取得部23により、利用者の位置履歴として、利用者が保持する利用者端末装置から該利用者端末装置の位置履歴を取得する。この利用者端末装置は、例えばGNSS衛星からのGNSS信号を受信することで、利用者端末装置(利用者)の位置情報を定期的に検知して利用者端末装置に記憶している。このため、制御部20は、例えば施設利用契約に基づく利用者の同意の下、位置情報取得部23により通信部11を介して、利用者端末装置から利用前の所定時間における利用者の位置履歴を取得する。なお、この場合、取得した位置履歴により、利用者が各位置(地域)に滞在した滞在時間に関する情報も取得することができる。
【0030】
次に、制御部20は、利用者が滞在した各位置の環境情報を取得する(ステップS13)。詳しくは、制御部20は、環境情報取得部24により通信部11を介して、外部の情報管理装置から、利用者の位置履歴に基づき利用者が移動した地域の環境情報を取得する。この環境情報は、利用者が移動した地域の地図情報や、汚染情報、感染情報、気象情報を含む。
【0031】
次に、制御部20は、利用者の位置履歴、滞在時間、環境情報から利用者の行動履歴を推定して取得する(ステップS14)。詳しくは、制御部20は、行動履歴取得部25により、例えば、位置履歴から導かれる移動速度と、その位置履歴に対応する地図情報とから利用者が歩行しているのか、乗り物に乗っているのか、ある施設内に買い物などで滞在しているのかといった利用者の各行動を推定し、これら行動履歴を取得する。また、制御部20は、行動履歴取得部25により、例えば、利用者が歩行する道路の花粉情報から、利用者は花粉地域を歩行しているといった利用者の行動履歴を取得する。また、制御部20は、行動履歴取得部25により、利用者が移動した位置に対応する地図情報として店舗のトイレがある場合、トイレに立ち寄ったという利用者の行動履歴を取得する。
【0032】
次に、制御部20は、利用者の行動履歴から利用者の汚れ度合いを判定する(ステップS15)。具体的には、制御部20は、判定部26により、取得した利用者の行動履歴に基づき、該利用者の汚れ度合いが所定基準を満たしているか否かを判定する(ステップS16)。詳しくは、判定部26は、利用者の行動履歴から利用者自身の汚れ、または施設内に持ち込む恐れがある汚れ、といった汚れ度合いが所定基準を満たしているか否かを判定する。例えば利用者が花粉地域を歩行した行動履歴に基づき、利用者および衣服には花粉が付着していると推定される。この場合、制御部20は、判定部26により、例えば、該当する地域に滞在した時間が所定時間よりも短ければ、所定基準を満たしていると判定することができる。また、例えば、利用者がトイレに寄った行動履歴に基づき、利用者の手は汚れていると推定される。この場合、制御部20は、判定部26により、トイレの後に利用者が手を洗った行動履歴があれば、利用者の手が汚れていない(清浄である)ため、所定基準を満たしていると判定することができる。
【0033】
この判定において、汚れ度合いが所定基準を満たしていれば(ステップS16;Yes)、制御部20は処理を終了する。そして、この場合には利用者に対する特別な清掃がなされることなく、利用者は施設の利用(入室)が許可される。一方、汚れ度合いが所定基準を満たしていなければ(ステップS16;No)、制御部20は処理をステップS17に移動する。
【0034】
次に、制御部20は、利用者に対する清掃情報を生成する(ステップS17)。詳しくは、制御部20は、情報生成部27により、利用者に対して該利用者の汚れに適した清掃情報を生成する。例えば、利用者および衣服に付着した花粉が所定基準を満たしていないと判定された場合、情報生成部27は、施設利用前(入室前)に利用者をエアシャワー室に案内し、噴射される空気の流れで付着した花粉を払い落とす清掃情報を生成する。また、利用者が手洗いをしておらず手が汚れているため、所定基準を満たしていないと判定された場合、情報生成部27は、施設利用前(入室前)に利用者を手洗いに案内して手洗いやアルコール液消毒を促す清掃情報を生成する。
【0035】
次に、制御部20は、出力制御部28により、生成した利用者に対する清掃情報を表示部12に出力する(ステップS18)。これにより、表示部12に出力された清掃情報に基づき、従業員スタッフは、施設利用前に利用者に対する適切な清掃を実施することができ、施設内に汚れが持ち込まれることを防止して、施設を清浄な状態に保つことができる。なお、制御部20は、出力制御部28により通信部11を介して、従業員スタッフが保持しているスタッフ端末装置にそれぞれ出力してもよい。この構成では、直接従業員スタッフに清掃の指示をすることができる。
【0036】
(第二実施形態)
この第二実施形態では、上記した施設(例えば、カラオケボックスの客室)内に入室して該施設を利用する利用者の行動履歴から施設内の汚れ度合いを判定し、施設に対する適切な清掃処理を行う。図3及び図4を参照して、第二実施形態に係る情報処理装置10Aについて説明する。図3は、第二実施形態に係る情報処理装置のブロック図である。図4は、第二実施形態に係る情報処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。情報処理装置10Aは、基本的な構成は第一実施形態の情報処理装置10と同様である。以下の説明においては、情報処理装置10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。第二実施形態では、情報処理装置10Aがカメラ15を有する点と、制御部20Aが映像取得部29を有する点と、行動履歴取得部25Aおよび判定部26Aの構成および処理とが、第一実施形態と異なる。
【0037】
カメラ15は、客室内に複数設置されて該客室内を撮影する。カメラ15は、部屋の大きさに合わせて設置する台数を増減することができる。カメラ15は、例えば、利用者が入室してから退出するまでの間、映像を常時撮影する。カメラ15は、撮影時の客室内の音声を収音するマイクを備えてもよい。カメラ15は、撮影した映像(音声)を情報処理装置10の映像取得部29へ出力する。映像は、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。なお、本実施形態では、情報処理装置10Aがカメラ15を備えた構成としたが、例えば、施設の客室にカメラが設置されている場合には、このカメラの撮影映像を映像取得部29に出力してもよい。
【0038】
映像取得部29は、客室における利用者の様子を撮影した映像を取得する。映像取得部29は、複数のカメラ15が出力したそれぞれの映像を取得する。映像取得部29は、制御部20が備える内部メモリに、映像取得部29が取得した各カメラ15の一定時間分の映像を、それぞれ更新しながら一時的に記録する。
【0039】
行動履歴取得部25Aは、映像取得部29が取得したカメラ15の撮影映像から利用者の行動履歴を取得する。すなわち、行動履歴取得部25Aは、撮影映像に基づき、客室に入室してから退出するまで、利用者がどこに座っていたか、どこを通過したか、何を飲食したか、何に触れたかなどといった利用者の行動履歴を取得する。また、行動履歴取得部25Aは、例えば、客室外のトイレに利用者が移動した場合には、上記した位置履歴とトイレの手洗い自動水栓の開閉情報とから、利用者がトイレで手を洗った行動を取得できる。本実施形態では、行動履歴取得部25Aは、特に、利用者が施設内(客室)を汚した、または汚す可能性が高い行動を取得する。具体的には、施設内(客室)で飲食物(特に液体や粘性の高いもの)をこぼしたり、汚れた手で施設内(客室)の機器(操作端末や照明スイッチなど)や備品(マイクやソファなど)に接触したかといった行動履歴を取得することが好ましい。
【0040】
判定部26Aは、取得した利用者の行動履歴に基づき、施設内(客室内)の汚れ度合いを判定する。一般に、利用者の客室内での行動によって客室内の汚れ度合いが変化し、また視認できない感染リスクのある汚れが残留することもある。退室までの所定期間(例えば利用者が入退室を繰り返す場合、個々の入退室ごとに所定期間を設定してもよい)における利用者の移動位置から、移動・滞在の頻度(時間、回数)の高い客室内の領域を特定する。また、利用者の行動状況から、所定の行動(客室内の機器、備品への接触、飛沫など)があった客室内の領域を特定する。この場合、所定の行動は、客室内の機器、備品への接触、飛沫などの可能性があればよく、飲食、会話などの行動の種別で判定してもよい。
【0041】
より詳しくは、判定部26Aは、利用者の行動履歴から、施設内に汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域があるか、すなわち、特別な清掃処理が必要な程度に汚れた領域があるかを判定する。例えば利用者が飲み物や粘性の高い食べ物(ケーキなど)を床にこぼしてしまった場合には、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域があると判定される。また、例えば、利用者がトイレで手を洗わずに客室に戻り、汚れた手で施設内(客室)の機器や備品(マイクやソファ)に接触した場合、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域があると判定される。
【0042】
次に、図4を用いて、情報処理装置10Aにおける処理の流れについて説明する。制御部20Aは、施設を利用する利用者を特定する(ステップS21)。こちらは、図2で説明したステップS11と同様な処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0043】
次に、制御部20Aは、施設利用中の施設内の撮影映像を取得する(ステップS22)。詳しくは、制御部20Aは、映像取得部29により、施設内(客室)における利用者の様子を撮影した映像を取得する。なお、本実施形態においても、利用者の位置履歴や、施設内の手洗い自動水栓の開閉情報などの環境情報は取得してもよい。
【0044】
次に、制御部20Aは、取得した撮影映像から利用者の行動履歴を取得する(ステップS23)。詳しくは、制御部20Aは、行動履歴取得部25Aにより、カメラ15の撮影映像から利用者の行動履歴を取得する。すなわち、制御部20Aは、撮影映像に基づき、所定時間ごとに、利用者がどこに座っていたか、どこを通過したか、何を飲食したか、何に触れたかなどといった利用者の行動履歴を取得する。また、制御部20Aは、例えば、客室外のトイレに利用者が移動した位置履歴と、このトイレの手洗い自動水栓の開閉情報とから、利用者がトイレで手を洗ったか否かの行動履歴を取得することができる。また、制御部20Aは、特に利用者が施設内(客室)を汚した、または汚す可能性が高い行動履歴を取得することが好ましい。
【0045】
次に、制御部20Aは、利用者の行動履歴から施設内の汚れ度合いを判定する(ステップS24)。具体的には、制御部20Aは、判定部26Aにより、取得した利用者の行動履歴に基づき、施設内に汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域があるか否かを判定する(ステップS25)。詳しくは、判定部26Aは、特別な清掃処理が必要な程度に汚れた領域があるかを判定する。例えば利用者が飲み物や粘性の高い食べ物(ケーキなど)を床にこぼしてしまった場合には、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域があると判定される。また、例えば、利用者がトイレで手を洗わずに客室に戻り、その汚れた手で施設内(客室)の機器や備品(マイクやソファ)に接触した場合、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域があると判定される。これに対して、例えば、利用者がトイレで手を洗って客室に戻った場合には、手が汚れるまでの所定時間に限り、その手で施設内(客室)の機器や備品に接触したとしても、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域はないと判定される。
【0046】
この判定において、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域がなければ(ステップS25;No)、制御部20Aは処理を終了する。そして、この場合には施設(客室)に対する特別な清掃は不要であるので、通常の清掃処理が実施される。一方、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域があれば(ステップS25;Yes)、制御部20Aは処理をステップS26に移動する。
【0047】
次に、制御部20Aは、該当する領域に対する清掃情報を生成する(ステップS26)。詳しくは、制御部20Aは、情報生成部27により、該当する領域の汚れに適した清掃情報を生成する。制御部20Aは、例えば汚れが多い(付着し易い、拡散し易い)領域や、人体へのリスクが高いと推測される領域から優先して清掃する清掃情報を生成する。制御部20Aは、汚れの種別、汚れの領域に応じて、清掃方法(吸引、拭取り、消毒液噴霧、空気清浄など)を変えて清掃情報を生成する。例えば、利用者が床に飲食物をこぼした場合には、情報生成部27は、カーペットの部分交換や洗浄をする清掃情報を生成する。また、利用者が手洗いをせずに客室に戻った場合には、それ以降に利用者が接触した機器や備品をすべてアルコール消毒液でふき取り清掃する清掃情報を生成する。
【0048】
次に、制御部20Aは、出力制御部28により、生成した利用者に対する清掃情報を表示部12に出力する(ステップS27)。こちらも上記したステップS18と同様な処理であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10、10Aは、所定の施設を利用する利用者を特定する利用者特定部21と、特定された利用者の行動履歴を取得する行動履歴取得部25、25Aと、取得した行動履歴に基づき、施設または利用者の汚れ度合いを判定する判定部26、26Aと、判定された汚れ度合いに応じて、施設または利用者に対する清掃情報を生成する情報生成部27と、を備えるため、多数の利用者が利用する施設を適切に清掃することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る情報処理装置10において、行動履歴取得部25は、利用者が施設を利用前の所定時間における該利用者の行動履歴を取得し、判定された利用者の汚れ度合いが所定基準を満たしていない場合、情報生成部27は、施設の利用前に、利用者に対する清掃を行うための清掃情報を生成するため、施設利用前に利用者に対する適切な清掃を実施することができる。このため、施設内に汚れが持ち込まれることを防止し、施設を清浄な状態に保つことができる。
【0051】
また、本実施形態に係る情報処理装置10において、行動履歴取得部25は、少なくとも所定時間に移動した利用者の位置履歴と、位置履歴に対応する地域の環境情報とから推定される行動履歴を取得するため、施設の利用前における利用者の行動履歴を精度良く取得することができる。
【0052】
本実施形態に係る情報処理装置10Aにおいて、行動履歴取得部25Aは、施設を利用中における利用者の撮影映像から行動履歴を取得し、施設の中に、汚れ度合いが所定基準を満たしていない領域が存在する場合、情報生成部27は、施設の利用後に、領域に対する清掃を行うための清掃情報を生成するため、施設内で特別に清掃が必要な領域の有無を判定することができ、施設を迅速かつ適切に清掃することができる。
【0053】
これまで本発明に係る情報処理装置について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。図示した情報処理装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0054】
情報処理装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0055】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0056】
本実施形態では、実際に施設を利用する利用者の利用前後の行動履歴に基づき、利用者自身または施設内の清掃情報を生成したが、利用者には、当該施設の従業員スタッフを含めてもよい。この場合、例えば、従業員スタッフの勤務時間開始の所定時間前の行動履歴に基づき、従業員スタッフ自身の清掃を勤務前に行うことができるため、施設内に不要な汚れが持ち込まれることを防止できる。
【0057】
本実施形態では、生成された清掃情報を表示部に出力して、清掃内容を従業員スタッフに通知する構成を説明したが、例えば清掃機能や自走機能を備えた自動清掃ロボットに清掃情報を出力して、清掃内容を自動清掃ロボットに実行させてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、利用施設として、ホテルやカラオケボックスの客室を例示したが、これに限るものではなく、不特定多数または特定多数の人が利用できる施設であれば、電車やバスなどの移動体であってもよい。
【0059】
また、本実施形態では、施設利用前の利用者の行動履歴と、利用中の行動履歴とに分けて説明したが、各実施形態を組み合わせて、利用者の利用前および利用中の行動履歴からそれぞれ清掃情報を生成する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10、10A 情報処理装置
11 通信部
12 表示部
15 カメラ
20、20A 制御部
21 利用者特定部
23 位置情報取得部
24 環境情報取得部
25、25A 行動履歴取得部
26、26A 判定部
27、 情報生成部
28、 出力制御部
図1
図2
図3
図4