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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015353
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/211 20210101AFI20230124BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230124BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230124BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20230124BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20230124BHJP
   H01M 10/655 20140101ALI20230124BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20230124BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/658
H01M10/655
H01M50/293
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185572
(22)【出願日】2022-11-21
(62)【分割の表示】P 2019543570の分割
【原出願日】2018-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2017182241
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】松村 舞子
(57)【要約】
【課題】低温環境で使用できる新たな蓄電池を提供する。
【解決手段】電池セルは、扁平状の電池本体、断熱部、及び放熱部を有する。断熱部は、平面視において電池本体の少なくとも一部と重なる。放熱部は、電池本体の側面の少なくとも一部に沿って設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状の電池本体と、
平面視において前記電池本体の少なくとも一部と重なる断熱部と、
前記電池本体の側面の少なくとも一部に沿って設けられた放熱部と、を有する電池セルが複数積層され、
前記電池セルは、
前記電池本体を封止する封止材を有し、
前記封止材は、前記電池本体の側面の周辺に位置する周辺部を有し、
前記放熱部は、前記封止材の前記周辺部の少なくとも一部であり、
前記断熱部は、粘着材を介して、平面視において前記電池本体がある部分の前記封止材に設けられ、
複数の前記電池セルは、隣接する前記電池セルそれぞれが互いに対向する、前記断熱部が設けられている面で接着材を介して積層される、電池モジュール。
【請求項2】
前記電池セルは、
枠体を有し、
前記封止材は、前記電池本体の側面の周辺に位置する周辺部を有し、
前記枠体は前記周辺部を保持し、
前記放熱部は前記枠体である、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記電池セルの前記放熱部の熱伝導率は 0.4W/mK 以上 0.6W/mK 以下である、請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池セルの前記断熱部の熱伝導率は 0.02W/mK 以上0.05W/mK以下である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記電池セルの前記断熱部は複数の空隙を有する、請求項1乃至4いずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記電池セルの前記断熱部は、前記電池本体の上面側及び下面側の双方に設けられている、請求項1乃至5いずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記電池セルの前記封止材は、前記電池本体の上面側と下面側の双方に凸となる部分が存在するように前記電池本体を封止する、請求項1乃至6いずれか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池が様々な用途で利用されている。例えば、蓄電池は、電動機付き自転車や小型の飛行物体(ドローンなど)などの機械を駆動するために利用されている。
【0003】
蓄電池に関する先行技術として、例えば特許文献1や特許文献2がある。特許文献1は、ラミネートフィルムの貼着部分への応力集中が抑制されるラミネート型二次電池を開示している。特許文献2は、枠体に載置されたフィルム外装電池を複数個積層することで構成される電池モジュールを開示している。特許文献3は、単電池セルを積層させた組電池装置を開示している。特許文献3の組電池装置では、互いに対向する単電池セルそれぞれに放熱用の熱伝導部材が設けられている。さらに、単電池セル間で熱が伝導することを防ぐため、熱伝導部材の間に断熱層が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-317312号公報
【特許文献2】国際公開第2014/196331号
【特許文献3】特開2012-084347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電池は、低温環境では正常に動作しないことがある。そのため、低温環境で使用される蓄電池は、低温な外気の影響を防ぐための断熱が必要となる。一方で、蓄電池には、その内部で発生する熱を外部に放熱することも求められる。本発明者は、低温環境で使用できる新たな蓄電池を開発した。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、低温環境で使用できる新たな蓄電池を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池モジュールは、
扁平状の電池本体と、
平面視において前記電池本体の少なくとも一部と重なる断熱部と、
前記電池本体の側面の少なくとも一部に沿って設けられた放熱部と、を有する電池セルが複数積層され、
前記電池セルは、
前記電池本体を封止する封止材を有し、
前記封止材は、前記電池本体の側面の周辺に位置する周辺部を有し、
前記放熱部は、前記封止材の前記周辺部の少なくとも一部であり、
前記断熱部は、粘着材を介して、平面視において前記電池本体がある部分の前記封止材に設けられ、
複数の前記電池セルは、隣接する前記電池セルそれぞれが互いに対向する、前記断熱部が設けられている面で接着材を介して積層される。
【0008】
本発明の電池モジュールは、本発明の電池セルが複数積層されたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、低温環境で使用できる新たな蓄電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0011】
図1】実施形態1に係る電池セルの一例を示す斜視図である。
図2】枠体に収容された電池セルを例示する図である。
図3】断熱部が電池セルの上面側と下面側の双方に設けられるケースを例示する図である。
図4】封止材による封止のバリエーションを例示する図である。
図5】電池本体と重なりなおかつ封止材の周辺部とは重ならないように設けられている断熱部を例示する図である。
図6】袋状の封止材を例示する図である。
図7】実施形態2に係る電池モジュールを例示する斜視図である。
図8】実施形態2に係る電池モジュールの YZ 平面図である。
図9】各電池セルの上面に断熱部が設けられるケースを例示する図である。
図10】枠体を利用して積層された電池セルで構成される電池モジュールの斜視図である。
図11】枠体を利用して積層された電池セルの AB 断面図である。
図12】筐体に収容された電池モジュールを例示する図である。
図13】周辺部の一部が降り曲がった状態で筐体に収容されている電池モジュールを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、特に説明する場合を除き、ブロック図における各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表している。
【0013】
図1は、実施形態1に係る電池セルの一例を示す斜視図である。電池セル100は、その内部に扁平状の電池本体110を有する。例えば電池本体110の形状は、直方体である。ただし、電池本体110の形状は厳密な直方体である必要はなく、例えば直方体の各辺や頂点が面取りされた形状でもよい。
【0014】
なお、電池本体110の形状は、扁平状、すなわち上面や下面から平面視した電池本体110の面(図1において XY 平面視した電池本体110の面)の辺の長さが電池本体110の厚さ(図1における Z 方向の大きさ)よりも大きければよく、直方体に限定されない。上面や下面から平面視した電池本体110の面の形状は、任意の形状(例えば楕円形など)とすることができる。また、電池本体110の上面と下面の大きさは同一でなくてもよい。
【0015】
電池セル100は、リチウムイオン電池などの2次電池のセルであり、封止材140によって電池本体110を封止した構造を有している。封止材140は、電池本体110を封止する部材である。例えば封止材140は、ラミネートフィルムである。この場合、電池本体110は、封止材140によってラミネート封止されている。例えば電池本体110は、封止材140を構成する2枚のフィルムの間に封止されている。そして、このフィルムは、電池本体110の全周に渡って電池本体110よりも外側にはみ出している。以下このように、電池本体110よりも外側にはみ出している部分を、封止材140の周辺部(符号142)と呼ぶ。言い換えれば、周辺部142は、封止材140のうち、電池本体110の側面の周辺に位置する部分である。また、周辺部142は、封止材140を構成する2枚のフィルムが、電池本体110を介さずに対向している部分である。
【0016】
電池セル100はさらに、断熱部120、放熱部、電極160を有する。断熱部120は、少なくとも封止材140より熱伝導率が低い部材で構成されている。
【0017】
断熱部120は、その内部に複数の空隙を有する部材とすることが好適である。複数の空隙は互いに独立していてもよい。また、少なくとも2つの空隙が互いに繋がっていてもよい。内部に複数の空隙を有する断熱部120は、例えばニトリル系合成ゴムなどの多孔質材料で形成される。ただし、断熱部120は多孔質材料以外の材料(例えば、ポリウレタン)で形成されてもよい。
【0018】
断熱部120の熱伝導率は、0.02W/mK 以上とすることが好適である。また、断熱部120の熱伝導率は、0.05W/mK以下とすることが好適である。
【0019】
断熱部120は、XY 平面視において電池本体110の少なくとも一部と重なるように設けられる。断熱の観点からは、断熱部120は、XY 平面視において電池本体110と略同一の面積を有し、なおかつ電池本体110の略全域と重なるように設けられることが好適である。
【0020】
断熱部120の厚みは 2mm 以上とすることが好適である。また、断熱部120の厚みは 3mm 以下 とすることが好適である。なお、断熱部120の厚みは、均一であってもよいし、不均一であってもよい。例えば、電池セル100を使用した際に電池セル100内の温度分布が不均一になる場合、その温度分布に合わせて断熱部120の厚みを不均一にすることが好適である。具体的には、比較的高温になる電池セル100内の領域と平面視において重なる断熱部120の領域の厚みを、比較的薄くする。一方、比較的低温になる電池セル100内の領域と重なる断熱部120の領域の厚みを、比較的厚くする。
【0021】
例えば平面視において、断熱部120の中心部の厚みを、他の部分よりも薄くする。これは、後述するように周辺部142が放熱部として機能する場合、周辺部142による放熱の効果により、電池セル100のうち周辺部142に近い部分(断熱部120の中心部から遠い部分)は、周辺部142から遠い部分(断熱部120の中心部に近い部分)よりも温度が低くなりやすいためである。その他にも例えば、運用前に電池セル100のテストを行って電池セル100内の温度分布を予め把握しておき、その温度分布によって断熱部120の厚みの分布を決定してもよい。
【0022】
断熱部120の平面形状は、図1に示した長方形に限定されず、任意の形状とすることができる。また、断熱部120は、平面視において複数の開口部を有していてもよい。
【0023】
断熱部120は、封止材140に直接取り付けられていてもよいし、別の部材を解して封止材140に取り付けられていてもよい。前者の場合、例えば断熱部120は、封止材140に溶着される。後者の場合、例えば断熱部120は、両面テープなどの粘着材料で封止材140に取り付けられる。
【0024】
放熱部は、電池本体110から発生する熱を電池セル100の外部へ放熱する役割を持つ部材である。例えば放熱部は、空気、金属などで形成される。放熱部の熱伝導率は 0.4W/mK 以上とすることが好適である。また、放熱部の熱伝導率は 0.6W/mK 以下とすることが好適である。特に、放熱部の熱伝導率は 0.5W/mK とすることが好適である。
【0025】
放熱部は、電池本体110の側面の少なくとも一部に沿って設けられる。例えば、電池本体110の側面全周に亘って放熱部が設けられる。
【0026】
図1において、放熱部は、封止材140によって構成されている。具体的には、封止材140が電池本体110の側面の周辺に位置する周辺部142を有し、この周辺部142が放熱部として機能している。なお、放熱部は、周辺部142の一部であってもよいし、全部であってもよい。放熱部として機能する周辺部142は、YX 平面視において、電池セル100全体の面積の20%以上の面積を有することが好適である。
【0027】
封止材140がラミネートフィルムで構成されており、周辺部142が放熱部として機能する場合、ラミネートフィルムは、金属材料(例えば、アルミニウム)を含むことが好適である。例えばラミネートフィルムは、熱圧着のための樹脂層と、放熱のための金属層とが積層された構造を有する。金属層の厚みは、ラミネートフィルム全体の 20% 以上とすることが好適である。また、金属層の厚みは、ラミネートフィルム全体の 50% 以下とすることが好適である。
【0028】
放熱部は、封止材140の周辺部142以外のもので構成されてもよい。例えば電池セル100を枠体に収容し、この枠体の一部が放熱部として機能するようにしてもよい。枠体は、例えば樹脂など、熱伝導率が高い部材で形成されることが好適である。
【0029】
図2は、枠体に収容された電池セル100を例示する図である。図2において、枠体10は、電極160を保持するように形成されている。また、枠体10は、周辺部142を全周に亘って保持するように形成されている。ただし、枠体10は、必ずしも周辺部142を全周に亘って保持する必要はなく、周辺部142の一部のみを保持するように形成されてもよい。枠体10は軽量なものが好ましい。具体的には、単位体積当たりの重量が 1g 程度であることが好適である。
【0030】
なお、これまでの説明では電池本体を封止材で封止したもの(図2における電池セル100)を電池セルと呼んでいるが、電池本体を封止材で封止したものとこれを収容する枠体(図2における電池セル100及び枠体10)を合わせて電池セルと呼んでもよい。以下では説明の都合上、これまでの説明と同様に、枠体を含めず、電池本体を封止材で封止したものを電池セルと呼ぶ。
【0031】
電極160は、電池本体110と接続されている電極であり、封止材140の外側に引き出されている。なお図1では、XY 平面視において、電池セル100の1つの短辺に2つの電極160が並べて設けられている。しかし、電極160が設けられる位置は任意である。例えば、電池セル100の1つの長辺に2つの電極160が並べて設けられてもよいし、対向する2つの短辺それぞれに電極160が1つずつ設けられてもよいし、対向する2つの長辺それぞれに電極160が1つずつ設けられてもよい。
【0032】
<作用・効果>
本実施形態の電池セル100には、平面視において電池本体110の少なくとも一部と重なる位置に断熱部120が設けられている。この断熱部120により、低温の外気が電池本体110に及ぼす影響を少なくすることができる。よって、電池セル100の低温特性を向上させることができる。
【0033】
また、本実施形態の電池セル100には、電池本体110の側面の少なくとも一部に沿って、放熱部が設けられている。この放熱部により、電池本体110によって発生する熱を外部に逃がすことができるため、電池本体110が高温になることを防ぐことができる。
【0034】
さらに、電池セル100において、断熱部120と放熱部は、離間した位置に設けられている。こうすることで、断熱部120と放熱部が互いに干渉して断熱又は放熱の効率が下がることを防ぐことができる。
【0035】
<電池セル100のその他のバリエーション>
図1の断熱部120は、電池セル100の上面側(-Z 側)に設けられている。しかし、断熱部120は、電池セル100の下面側(+Z 側)に設けられてもよいし、電池セル100の上面側と下面側の双方に設けられてもよい。
【0036】
図3は、断熱部120が電池セル100の上面側と下面側の双方に設けられるケースを例示する図である。上面側に設けられる断熱部120と下面側に設けられる断熱部120は、同じ大きさであってもよいし異なる大きさであってもよい。またこれらの断熱部120は、平面視において少なくとも一部が重なるように配置されてもよいし、平面視において重ならないように配置されてもよい。
【0037】
図1において、封止材140は、YZ 平面視において電極160よりも凸となる部分が電池本体110の上面側と下面側の双方に存在するように、電池本体110を封止している。しかし、封止材140は、YZ 平面視において電極160よりも凸となる部分が電池本体110の上面側と下面側のいずれか一方にのみ存在するように電池本体110を封止してもよい。
【0038】
図4は、封止材140による封止のバリエーションを例示する図である。図4(a)では、YZ 平面視において電極160よりも凸となる部分が電池本体110の上面側のみに存在する。一方、図4(b)では、YZ 平面視において電極160よりも凸となる部分が電池本体110の下面側のみに存在する。
【0039】
図4のように、YZ 平面視において電極160よりも凸となる部分が電池本体110の上面側と上面側のいずれか一方にのみ存在する場合においても、断熱部120は、電池本体110の上面側と下面側のどちらか一方に設けられてもよいし、双方に設けられてもよい。
【0040】
ここで、断熱部120が、YZ 平面視において電極160よりも凸とはならない側に設けられるとする。図5は、YZ 平面視において電極160よりも凸とはならない側に断熱部120が設けられるケースを例示する図である。このケースでは、平面視において周辺部142と重なる位置に断熱部120を設けることも可能である。ただし、断熱と放熱の兼ね合いから、断熱部120は、電池本体110と重なりなおかつ封止材140の周辺部とは重ならないように設けられることが好適である(図5参照)。なお、断熱の観点から、断熱部120は、電池本体110の略全域と重なるように設けられることが好適である。
【0041】
封止材140は、前述したように2枚のフィルムで構成されるものに限定されない。例えば封止材140は、袋状のフィルムで構成されてもよい。図6は、袋状の封止材140を例示する図である。封止材140は、電池セル100を入れる前の状態において、4辺の内の1つのみが開いている。そして、この開口部分から電池セル100を挿入し、この開口部分を封止する(例えばラミネート封止する)ことによって、電池セル100が封止された電池セル100を形成する。
【0042】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る電池モジュール200を例示する斜視図である。電池モジュール200は、複数の電池セル100を積層することで構成されている組電池である。
【0043】
図8は、実施形態2に係る電池モジュール200の YZ 平面図である。図8の各電池セル100には、図3に示した電池セル100と同様に、上面側と下面側の双方に断熱部120が設けられている。さらに図8において、隣接する2つの電池セル100は、粘着材150(以下、粘着材)を介して積層されている。粘着材は、例えば両面テープである。
【0044】
実施形態1で述べたように、断熱部120は、電池セル100の上面側と下面側のいずれか一方にのみ設けられてもよい。電池セル100の上面側及び下面側のいずれか一方にのみ断熱部120が設けられる場合、複数の電池セル100はいずれも、同じ側に断熱部120を有することが好ましい。図9は、各電池セル100の上面に断熱部120が設けられるケースを例示する図である。図9の電池セル100は、断熱部120が上側のみに設けられている点で、図3に示した電池セル100と異なる。このように各電池セル100の同じ側の面に断熱部120を設けることで、隣接する2つの電池セル100の間に必ず断熱部120が位置するようになる。よって、隣接する2つの電池セル100の間で熱が伝わることを防ぐことができる。
【0045】
ここで、複数の電池セル100が積層された状態を維持する方法は、粘着材150を利用して電池セル100同士を固定する方法に限定されない。例えば、隣接する電池セル100それぞれが互いに対向する面に断熱部120を有する場合、互いに対向する断熱部120の面を係り合わせてもよい。この場合、互いに対向する断熱部120の面が係り合うように、断熱部120の面を加工しておく。例えば、断熱部120に凹凸形状を設け、一方の断熱部120において凸の部分が、他方の断熱部120において凹の部分にはまるように加工する。なお、面同士が互いに係り合うようにする加工には、その他の様々な加工を採用できる。その他にも例えば、電池モジュール200を構成する複数の電池セル100をテープ等で括ることによって、電池セル100が積層された状態を維持してもよい。
【0046】
電池セル100は、枠体10を利用して積層されてもよい。図10は、枠体10を利用して積層された電池セル100で構成される電池モジュール200の斜視図である。また、図11は、図10の AB 断面図である。
【0047】
枠体10を利用する場合、例えば隣接する2つの枠体10において、一方の枠体10の一部と他方の枠体10の一部を係り合わせる(例えば、一方の枠体10の一部が、他方の枠体10の一部を把持する)ことによって、複数の枠体10が積層された状態を維持することができる。その他にも例えば、隣接する2つの枠体10の間に粘着材150を設けることで、これらが積層された状態を維持してもよい。また、電池モジュール200をテープ等で括ることにより、枠体10が積層された状態を維持してもよい。
【0048】
電池モジュール200は、筐体に収容されてもよい。図12は、筐体に収容された電池モジュール200を例示する図である。図12において筐体20に収容されている電池モジュール200は、図8で例示した電池モジュールである。放熱の観点から、筐体20には空気が通る孔を設けることが好適である。この孔は、筐体20の各面に均一に、できるだけ多く設けられることが好適である。
【0049】
筐体20に収容する際、封止材140の周辺部142の一部が折り曲がった状態になってもよい。図13は、周辺部142の一部が折り曲がった状態で筐体20に収容されている電池モジュール200を例示する図である。図13において筐体20に収容されている電池モジュール200は、図8で例示した電池モジュールである。こうすることで、筐体20の大きさ(電池モジュール200の大きさ)を小さくすることができる。
【0050】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考態様の例を付記する。
1. 扁平状の電池本体と、
平面視において前記電池本体の少なくとも一部と重なる断熱部と、
前記電池本体の側面の少なくとも一部に沿って設けられた放熱部と、を有する電池セル。
2. 前記電池本体を封止する封止材を有し、
前記封止材は、前記電池本体の側面の周辺に位置する周辺部を有し、
前記放熱部は前記周辺部の少なくとも一部である、1.に記載の電池セル。
3. 前記電池本体を封止する封止材と、枠体とを有し、
前記封止材は、前記電池本体の側面の周辺に位置する周辺部を有し、
前記枠体は前記周辺部を保持し、
前記放熱部は前記枠体である、1.又は2.に記載の電池セル。
4. 前記放熱部の熱伝導率は 0.4W/mK 以上 0.6W/mK 以下である、1.から3.いずれか一つに記載の電池セル。
5. 前記断熱部の熱伝導率は 0.02W/mK 以上0.05W/mK以下である、1.から4.いずれか一つに記載の電池セル。
6. 前記断熱部は複数の空隙を有する、1.から5.いずれか一つに記載の電池セル。
7. 前記断熱部は、前記電池本体の上面側及び下面側の双方に設けられている、1.から6.いずれか一つに記載の電池セル。
8. 前記電池本体の上面側と下面側の双方に凸となる部分が存在するように前記電池本体を封止する封止材を有する、1.から7.いずれか一つに記載の電池セル。
9. 1.から8.いずれか一つに記載の電池セルが複数積層された電池モジュール。
【0051】
この出願は、2017年9月22日に出願された日本出願特願2017-182241号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
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図13