IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーピー化成株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-包装用容器の蓋体 図1
  • 特開-包装用容器の蓋体 図2
  • 特開-包装用容器の蓋体 図3
  • 特開-包装用容器の蓋体 図4
  • 特開-包装用容器の蓋体 図5
  • 特開-包装用容器の蓋体 図6
  • 特開-包装用容器の蓋体 図7
  • 特開-包装用容器の蓋体 図8
  • 特開-包装用容器の蓋体 図9
  • 特開-包装用容器の蓋体 図10
  • 特開-包装用容器の蓋体 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153535
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】包装用容器の蓋体
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
B65D47/08 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062871
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】寺西 誠
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084DA03
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC09
3E084GA08
3E084GB12
3E084JA10
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】剛性を保持しつつ視認性も備え、しかも、独特な審美性を有した包装用容器の蓋体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂製のシート材を成形してなる包装用容器の蓋体であって、天面が平面である平面視多角形状の天板部と、天板部の周囲に多面的に連設される側壁部と、側壁部の下端周囲に水平方向に連設されるフランジ部とを備え、隣合う側壁部同士の縦の連設部において天板部側の上部隅角は、頂部が下向きな逆三角形状に隅切した上段面取り部で構成する一方、縦の連設部においてフランジ部側の下部隅角は、頂部が上向きな三角形状に隅切した下段面取り部で構成し、上段面取り部は、外方への正曲面とする一方、下段面取り部は、内方への負曲面とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂製のシート材を成形してなる包装用容器の蓋体であって、
天面が平面である平面視多角形状の天板部と、
該天板部の各辺に連設される側壁部と、
該側壁部の下端周囲に水平方向に連設されるフランジ部とを備え、
隣合う前記側壁部同士の縦の連設部において前記天板部側の上部隅角は、
頂部が下向きな逆三角形状に隅切した上段面取り部で構成する一方、
前記縦の連設部においてフランジ部側の下部隅角は、
頂部が上向きな三角形状に隅切した下段面取り部で構成し、
前記上段面取り部は、外方に膨らむ正曲面とする一方、
前記下段面取り部は、内方に凹む負曲面とした
ことを特徴とする包装用容器の蓋体。
【請求項2】
隣合う側壁部同士の縦の連設部は、上段面取り部と下段面取り部の間に平面状に隅切した中間面取り部を有する請求項1記載の包装用容器の蓋体。
【請求項3】
隣合う側壁部同士の縦の連設部は、上段面取り部と下段面取り部の間に直線状に角張った出角部を有する請求項1記載の包装用容器の蓋体。
【請求項4】
隣合う側壁部同士の縦の連設部は、上段面取り部と下段面取り部同士が互いの頂部を直結してなる請求項1記載の包装用容器の蓋体。
【請求項5】
フランジ部は、隣合う側壁部同士の縦の連設部の延長線上に突条のリブを有し、該リブを下段面取り部の底辺部とT字状に交差させた請求項1から4のうち何れか一項記載の包装用容器の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱可塑性樹脂製のシート材を成形してなる包装用容器の蓋体に係り、収容物の視認性が良好で、剛性も保持し、さらに他の蓋体にはない審美性も付与することができる構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで広く利用されている熱可塑性樹脂製の包装用容器は、その容器に収納する食材を保護するとともに、容器を積み重ねて陳列する際でも耐荷重性が重視されるため、容器本体のみならず蓋体にも座屈しない剛性が求められる。一般的に包装用蓋体の剛性を向上させるためには、蓋体の天面、側壁に補強用のリブを付設することが多い。しかしながら、これらの箇所にリブを付設すると、容器内の食材の視認性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-30887号公報
【特許文献2】特開2014-141270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、蓋体の剛性を維持するための一手段として側壁部に複数の垂直方向のリブが形成されている。しかしながら側壁部にリブが設けられることによって側面方向からの視認性に劣るという課題がある。特許文献2に記載の発明では、同様に蓋体の側壁部にリブが設けられているので、側面方向からの視認性に劣っている。
【0005】
このように、この種の包装用容器は専ら蓋体を通じて収容物が視認され、例えば刺身や惣菜などは視覚に訴えて購買意欲を喚起することが重要である。したがって、真上からだけでなく、斜め上からや真横からなど、あらゆる方向の視認性を確保し、収容物の全体像を把握できることが必要であるところ、さらに、他の容器との差別化や識別性を考慮すれば、蓋体の形態も独特な意匠で形成されることが好ましい。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、剛性を保持しつつ視認性も備え、しかも、独特な審美性を有した包装用容器の蓋体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために本発明では、熱可塑性樹脂製のシート材を成形してなる包装用容器の蓋体であって、天面が平面である平面視多角形状の天板部と、該天板部の周囲に連設される側壁部と、該側壁部の下端周囲に水平方向に連設されるフランジ部とを備え、隣合う前記側壁部同士の縦の連設部において前記天板部側の上部隅角は、頂部が下向きな逆三角形状に隅切した上段面取り部で構成する一方、前記縦の連設部においてフランジ部側の下部隅角は、頂部が上向きな三角形状に隅切した下段面取り部で構成し、前記上段面取り部は、外方に膨らむ正曲面とする一方、前記下段面取り部は、内方に凹む負曲面とするという手段を用いた。
【0008】
当該手段によれば、視認性について、天板部が平面であることにより真上から見たときに良好であることはもちろん、側壁部(の中途)にはリブ等が存在しないため、いわば全面ガラス張りの状態となり、斜め上からや真横からなど、全方向の視認性が確保される。
【0009】
また、剛性については、隣合う側壁部同士の縦の連設部が重要な部分であるところ、本発明では、その上下隅角を上段面取り部と下段面取り部とで構成し、しかも、これらの面取り部の輪郭を逆三角形及び三角形としているため、 トラス構造と同様に、安定的に高強度が得られ、曲げや捻れなどに対する耐力が高まり、リブによらずとも剛性を保持することができる。
【0010】
さらに、本発明では、上段面取り部と下段面取り部を、それぞれ正負の曲面で構成しているため、一種のレンズ効果が得られ、独特な審美性を醸し出す。
【0011】
なお、隣合う側壁部同士の縦の連設部は、上段面取り部と下段面取り部の間に平面状に隅切した中間面取り部を有することもあり、これによって視認性及び剛性を保持しつつ、審美性に変化を付与することができる。
【0012】
これとは別に、上段面取り部と下段面取り部の間に直線状に角張った出角部を有することでも、前記中間面取り部による場合とは異なる審美性を付与することができるうえ、出角部の長さを調整することで、剛性を保ったまま蓋体(側壁部)の高さを大きくすることも可能となる。
【0013】
さらに、上段面取り部と下段面取り部同士が互いの頂部を直結してなる場合には、上述した中間面取り部や出角部を有するものよりも全体の審美性をシンプルとすることができる。
【0014】
他方、フランジ部については、隣合う側壁部同士の縦の連設部の延長線上に突条のリブを有し、該リブを下段面取り部の底辺部とT字状に交差させることで、当該リブによって側壁部とフランジ部の一体感が高まり、曲げや捻りに対する剛性がより向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、隣合う前記側壁部同士の縦の連設部において、天板部側の上部隅角とフランジ部側の下部隅角を、それぞれ逆三角形状と三角形状とに隅切しているので、全体の視認性を保持しつつ、トラス構造による優れた剛性が得られ、しかも、これら上下の面取り部を正負の曲面としたので、独特な審美性を有した包装用容器の蓋体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の斜視図
図2】同、平面図
図3】同、側面図
図4】同、実施例1に係る要部拡大平面図
図5】同、A-A線端面図
図6】同、実施例2に係る要部拡大平面図
図7】同、B-B線端面図
図8】同、実施例3に係る要部拡大平面図
図9】同、C-C線端面図
図10】同、蓋体による閉蓋状態を示す嵌合部分の端面図
図11】同、蓋体による閉蓋状態を示す非嵌合部分の端面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る包装用容器の斜視図であり、蓋体10と容器本体10を分離して示したものである。また、図2は平面図、図3は側面図である。蓋体10は容器本体20の開口縁部に外側から装着するフランジ部11を有すると共に、このフランジ部11の周縁にスカート部12が垂設され、さらに、スカート部12の要所に本体嵌合部21に外嵌合する凹状の蓋体嵌合部13が形成され、容器本体20に載置する等した収容物を保護する部分を、天板部1と、その周囲に連設され、隣合う同士も連設された側壁部2とで構成している。
【0018】
天板部1は、全体が平面で構成され、この実施形態では平面視長方形状としている。そして、天板部1の四辺に対応して、その周囲に四面の側壁部2が連設されている。また、側壁部2の下部にフランジ部11を水平方向に周設している。なお、天板部1の平面視形状は長方形に限らず正方形でも良く、その他多角形を採用することができる。
【0019】
こうした基本的な構成を有する蓋体10において、本発明の特徴部分は、天板部1の四隅からフランジ部11に向かう高さ方向のコーナー部、即ち、隣合う側壁部2が連設する縦の連設部3にあり、この連設部3を上段と下段で向きが異なる三角形状、且つ、凹凸が異なる曲面構成としたことが最大の特徴である。この連設部3の構成は複数のバリエーションがあるため、それぞれの実施例1~3を図4図9にしたがって説明する。
【実施例0020】
図4は、実施例1に係る蓋体10のコーナー部を示す要部拡大平面図であり、図5は、そのA-A線断面図である。この実施例1では、隣合う側壁部2の縦の連設部3を上段の面取り部4と下段の面取り部5とで構成している。これらの平面視形状は図4から明らかなように、上段面取り部4については、天板部1の隅角を含めて隅切してなり、頂部4aが下向きな逆三角形状を呈している。これに対して下段面取り部5は、フランジ部3の内側(連設部3側)の隅角を含めて隅切してなり、頂部5aが上向きな三角形状を呈している。
【0021】
これらの面取り部4・5は、その輪郭だけではなく、断面形状にも特徴を有する。即ち、これらの断面形状は図5の示したように、逆三角形状の輪郭で区画される上段面取り部4は外方に膨らむ正曲面とする一方、三角形状の輪郭で区画される下段面取り部5は内方に凹む負曲面としている。
【0022】
そして、この実施例1特有の構成として、上段面取り部4と下段面取り部5の間には、平面状の中間面取り部6を形成している。なお、この実施例1では、下段面取り部5の頂部5a側の一部を湾曲させずに平面として中間面取り部6としている。したがって、下段面取り部5は、実施例1において厳密には台形状である。
【実施例0023】
図6図7は実施例2を示しており、側壁部2の縦の連設部3を逆三角形状の上段面取り部4と三角形状の下段面取り部5で構成することと、上段面取り部4を正曲面とする一方、下段面取り部5を負曲面とすることは実施例1と同じである。しかしながら、この実施例2では、上段面取り部4と下段面取り部5の間に、各頂部4a・5aを直線状に結ぶ出角部7を設けている。
【実施例0024】
一方、図8図9は実施例3を示しており、ここでは上段面取り部4と下段面取り部5の間に何も形成せず、互いの頂部4a・5aを直結している。その他、これら面取り部4・5の平面視形状や断面形状は実施例1・2と同じである。
【0025】
これら実施例1~3の何れもが、視認性や剛性について同じ作用効果を奏する。つまり、この実施形態では、天板部1が平面であることによって、真上から見たときの視認性が良好であることはもちろん、側壁部2(の中途)にはリブ等が存在しないため、いわば全面ガラス張りの状態となり、斜め上からや真横からなど、全方向の視認性が確保される。
【0026】
また、剛性については、隣合う側壁部2同士の縦の連設部3を逆三角形状の上段面取り部4と三角形状の下段面取り部5とで構成したことで、トラス構造と同様に、安定的に高強度が得られ、曲げや捻れなどに対する耐力が高まり、リブによらずとも剛性を保持することができる。
【0027】
そして、上段面取り部4と下段面取り部5のそれぞれを曲面としていることで、ある種のレンズ効果により、独特な審美性を醸し出すのである。しかも、上段面取り部4と下段面取り部5の間の中間面取り部6や出角部7の有無により、実施例1~3は互いに異なった審美性を発揮する。
【0028】
なお、上記構成によって、視認性と審美性は満足されるのであるが、剛性をさらに向上させるために、フランジ部11に突条のリブ8を形成している。この場合、リブ8は、側壁部2の縦の連設部3の延長線上(当該連設部3の中心線上と同義であり、上下面取り部4・5の各頂部4a・5aを通過する仮想線9上)に形成する。より好ましくは、リブ8は、溝などを介さず、その一端を連設部3における下段面取り部5の底辺に直結する。これにより、リブ8と下段面取り部5が連続することで、フランジ部11と側壁部2の一体感が高まって全体の剛性も向上する。
【0029】
ところで、上記蓋体10は容器本体20を閉蓋する際、図10に示すように、蓋体嵌合部13が容器本体20の開口縁部の下面に係合する外嵌合構造を採用しており、スカート部12の複数箇所に蓋体嵌合部13を設けることで全体の嵌合力を高め、不用意に蓋体10が開蓋しないようにしている。
【0030】
このような外嵌合構造において蓋体10を開蓋する場合、蓋体10に指を掛けやすい部分、つまり、四つの角を起点とすることが多い。そこで、本発明では、上述した突条のリブ8の形成基線とした連設部3の延長線上には蓋体嵌合部13を形成しないこととした(図5図7図9の各端面図参照)。これにより、図11に示したように、スカート部12における連設部3の延長線上は蓋体嵌合部13が形成されない非嵌合部となるため、ここを起点として蓋体10を開蓋しやすくなる。
【0031】
特に、本実施形態では、スカート部12の非嵌合部を摘まみ上げて開蓋する際、リブ8によってフランジ部11の変形が抑制され、しかも、リブ8の直結によるフランジ部11と側壁部2の一体感によって、スカート部12の非嵌合部を摘まみ上げる力がフランジ部11と側壁部2とに伝達され、開蓋が容易となる。
【符号の説明】
【0032】
1 天板部
2 側壁部
3 連設部
4 上段面取り部
4a 頂部
5 下段面取り部
5a 頂部
6 中間面取り部
7 出角部
8 突条のリブ
9 仮想線
10 蓋体
11 フランジ部
12 スカート部
13 蓋体嵌合部
20 容器本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11