(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153539
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20231011BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20231011BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
G01F1/66 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062875
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】桑原 大河
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CC13
2F030CF01
2F030CF03
2F035DA04
2F035DA09
2F035DA14
(57)【要約】
【課題】計測流路へのドレンの侵入を抑制できると共に、部品コストや組立工数を低減できるガスメータを提供する。
【解決手段】ガスの流入口11と、ガスの流出口12と、流入口11から流出口12に至るガス流路15と、ガス流路15を流れるガスの流量を計測する超音波量計23とを備え、ガス流路15が、流入口11から下方に延びる流入側流路15Aと、流入側流路15Aから水平方向に延びる水平流路15Cと、水平流路15Cから流出口12へ上方に延びる流出側流路15Bとを備えるガスメータ1であって、超音波流量計23によるガス流量計測領域である計測流路21Mが、流出側流路15Bに設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの流入口と、
ガスの流出口と、
前記流入口から前記流出口に至るガス流路と、
前記ガス流路を流れるガスの流量を計測する流量計と
を備え、
前記ガス流路が、
前記流入口から下方に延びる流入側流路と、
前記流入側流路から水平方向に延びる水平流路と、
前記水平流路から前記流出口へ上方に延びる流出側流路と
を備えるガスメータであって、
前記流量計によるガス流量計測領域である計測流路が、前記流出側流路に設けられているガスメータ。
【請求項2】
前記計測流路が管内に設けられ、前記流量計が取り付けられた管材と、
前記管材を前記流出側流路に縦向きに保持する保持部材と
を備える請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記ガス流路が内部に設けられる筐体を備え、
前記筐体は、
前記筐体の上側を構成して前記保持部材と前記管材と前記流量計とを収納し、底側が開口した上側部と、
前記上側部の底側の開口を閉塞する底側部と
を備え、
前記底側部は、前記上側部との境界部に前記保持部材に対して係合するように設けられたリブを備える請求項2に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記保持部材は、前記管材の軸方向に対して直交する方向に組み合わされ前記管材を挟持する一対のケースを備える請求項2又は3に記載のガスメータ。
【請求項5】
前記保持部材は、
前記水平流路から前記管材の上流端に流れるガスを遮り前記管材の上流端から遠ざかる方向に案内するガイド部を備える請求項2又は3に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
流入口から流出口に至るガス流路がU字状に形成されたガスメータが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。これらのガスメータでは、ガス流路の中間に水平に設けられた計測流路において、超音波流量計によるガスの流量計測が行われる。
【0003】
特許文献1に記載のガスメータでは、ガスメータの底部に貯まったドレンが計測流路内にまであふれることを防止する目的で、ガス流路に通じてドレンを貯留可能なバッファ部が、ガスメータの底部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-186430号公報
【特許文献2】特開2021-117215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大型燃焼設備を有し、べーパーライザー等の強制気化装置が用いられる工場等では、ガス配管へのドレンの排出量が多くなる。そのため、このような環境で使用される従来のガス流路がU字状の業務用大型電子式ガスメータでは、ドレン用の貯留部とガスを貯留部に誘導する誘導通路とが設けられている。そのため、当該ガスメータでは、ドレン用の貯留部と誘導通路とを構成する部品や部材が、部品コストや組立工数の増加を招いている。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、計測流路へのドレンの侵入を抑制できると共に、部品コストや組立工数を低減できるガスメータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガスメータは、ガスの流入口と、ガスの流出口と、前記流入口から前記流出口に至るガス流路と、前記ガス流路を流れるガスの流量を計測する流量計とを備え、前記ガス流路が、前記流入口から下方に延びる流入側流路と、前記流入側流路から水平方向に延びる水平流路と、前記水平流路から前記流出口へ上方に延びる流出側流路とを備えるガスメータであって、前記流量計によるガス流量計測領域である計測流路が、前記流出側流路に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、計測流路へのドレンの侵入を抑制できると共に、部品コストや組立工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスメータを示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すガスメータを側方から示す側面図である。
【
図4】
図4は、流量計ユニットを示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係る流量計ユニットを示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、実施形態は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るガスメータ1を示す正面図である。この図に示すように、ガスメータ1は、正面視で矩形状の箱型のボディ10を備える。このボディ10の上面には、上流側のフレキ管(図示省略)が接続される流入口11と、下流側のフレキ管(図示省略)が接続される流出口12とが設けられている。流入口11は、正面から見てガスメータ1の左寄りに設けられ、流出口12は、正面から見てガスメータ1の右寄りに設けられている。
【0012】
ボディ10の正面には、表示部13と、復帰ボタン14とが設けられている。表示部13は、ボディ10の正面の中央上寄りに設けられ、復帰ボタン14は、正面から見て表示部13の左側に設けられている。復帰ボタン14は、後述の遮断弁16(
図3参照)が閉じた時に遮断弁16を開くためのボタンである。
【0013】
図2は、
図1に示すガスメータ1を側方から示す側面図である。この図に示すように、ボディ10は、正面パネル10Aと、ボディ本体10Bと、底部カバー10Cとを備える。正面パネル10Aとボディ本体10Bとが相互に締結され、これらと底部カバー10Cとが相互に締結されている。また、相互に締結された正面パネル10A及びボディ本体10Bの一方側(正面から見た場合の左側)の側面には、遮断弁16を覆うカバー10Dが取り付けられている。
【0014】
図3は、
図2の3-3断面図である。この図に示すように、ガスメータ1のボディ10内には、流入口11から流出口12に至るU字状のガス流路15が形成されている。ガス流路15は、正面から見て左側に位置する流入側流路15Aと、正面から見て右側に位置する流出側流路15Bと、流入側流路15Aと流出側流路15Bとを接続する水平流路15Cとにより構成されている。流入側流路15Aは、流入口11からボディ10の底部へ下方に延び、水平流路15Cは、ボディ10の底部において、流入側流路15Aの下端側から流出口12の鉛直下方の位置まで水平に延びている。そして、流出側流路15Bは、水平流路15Cと流出口12とを連通するように延びている。
【0015】
正面パネル10A(
図2参照)とボディ本体10Bとにより、筐体の上側部が構成されている。また、底部カバー10Cにより、筐体の底側部が構成されている。この底部カバー10Cにより、筐体の底部が閉塞されている。
【0016】
ガスメータ1は、遮断弁16と流量計ユニット20とを備える。遮断弁16は、流入側流路15Aに設けられており、異常時に流入側流路15Aを遮断してガス流路15へのガスの流入を阻止する遮断動作を実行する。この遮断弁16の遮断動作は、復帰ボタン14(
図1参照)の操作により解除される。
【0017】
流量計ユニット20は、流出側流路15Bを構成する複数(本実施形態では3個)の管材21A,21B,21C(
図4参照)と、複数の管材21A,21B,21Cをボディ10に固定するホルダ22と、超音波流量計23とを備える。複数の管材21A,21B,21Cは、矩形筒型の管材であり、ガスメータ1の正面側から背面側に並べて配されている。これらの複数の管材21A,21B,21Cは、相互に平行に配され、各々、縦向きに配されている。
【0018】
複数の管材21A,21B,21Cの下端(上流端)は、水平流路15Cに面して配されており、水平流路15Cを流れるガスが、当該下端から複数の管材21A,21B,21Cに流入する。ここで、複数の管材21A,21B,21Cの下端には、フィルタ24が設けられており、管材21A,21B,21Cへの異物の混入がフィルタ24により阻止される。また、複数の管材21A,21B,21Cの上端(下流端)は、流出口12に面して配されており、複数の管材21A,21B,21Cを通じて上昇したガスが、流出口12から下流側のフレキ管(図示省略)へ流出する。
【0019】
ホルダ22は、複数の管材21A,21B,21Cを保持する樹脂ケースであり、ボディ10内の正面から見て右側(流出口12の下方)の位置に嵌め込まれている。このホルダ22は、正面から見て左右に組み合わされる左側ケース221と右側ケース222とを備える。これらの左側ケース221と右側ケース222とは、正面から見て左右に組み合わせられて複数の管材21A,21B,21Cを挟持する。ホルダ22の詳細については後述する。
【0020】
超音波流量計23は、複数の管材21A,21B,21Cのうちの少なくも一つ(本実施形態では管材21B)に対応して設けられ、管材21B内を流れるガスの流量を超音波の伝播時間に基づいて計測する。具体的には、超音波流量計23は、一対の超音波素子231を備え、管材21B内には、並列された複数の整流板(図示省略)により並列された複数の計測流路21Mが形成されている。一方の超音波素子231は、管材21B内の計測流路21Mに超音波を出射し、当該超音波が計測流路21Mを通じて他方の超音波素子231に伝播する。それに対して、他方の超音波素子231は、管材21B内の計測流路21Mに超音波を出射し、当該超音波が計測流路21Mを通じて一方の超音波素子231に伝播する。超音波流量計23が備える制御回路(図示省略)は、一方の超音波素子231から他方の超音波素子231への超音波の伝播時間と、他方の超音波素子231から一方の超音波素子231への超音波の伝播時間との差に基づいて、各計測流路21M内のガスの流量を算出する。
【0021】
図4は、流量計ユニット20を示す分解斜視図である。この図に示すように、ホルダ22を構成する左側ケース221と右側ケース222とは、左右に組み合わせられて複数の管材21A,21B,21Cを挟持する。
【0022】
左側ケース221は、正面側の側板221Aと、背面側の側板221Bと、左側の側板221Cと、上側の平板221Dと、下側の平板221Eとを備える。正面側の側板221Aと背面側の側板221Bとは、縦長の長方形状の部分と、当該長方形状の部分の下端の右側から下方に延びる縦長の長方形状の部分とで構成されている。左側の側板221Cは、正面側の側板221Aの上部と背面側の側板221Bの上部とを接続する横長の長方形状の板材である。
【0023】
上側の平板221Dは、正面側の側板221Aと背面側の側板221Bと左側の側板221Cの下端とを接続する板材である。この上側の平板221Dには、複数のU字状の溝221Fが形成されている。複数の溝221Fは、正面側から背面側に並べて設けられている。複数の溝221Fは、上側の平板221Dの右端から左側へ凹むように上側の平板221Dに形成されている。複数の溝221Fのそれぞれには、管材21A,21B,21Cの何れかの上部が嵌め込まれる。ここで、管材21A,21B,21Cの上部には、環状のリブ21Dが形成されている。このリブ21Dが、上側の平板221Dにおける溝221Fの周縁部に対して上側から係合する。
【0024】
下側の平板221Eは、正面側の側板221Aの下部と背面側の側板221Bの下部とを接続する板材である。この下側の平板221Eには、複数のU字状の溝221Gが形成されている。複数の溝221Gは、正面側から背面側に並べて設けられている。複数の溝221Gは、下側の平板221Eの右端から左側へ凹むように下側の平板221Eに形成されている。複数の溝221Gのそれぞれには、管材21A,21B,21Cの何れかの下部が嵌め込まれる。ここで、管材21A,21B,21Cの下部には、環状のリブ21Eが形成されている。このリブ21Eが、下側の平板221Eにおける溝221Gの周縁部に対して下側から係合する。
【0025】
右側ケース222は、正面側の側板222Aと、背面側の側板222Bと、右側の側板222Cと、上側の平板222Dと、下側の平板222Eとを備える。正面側の側板222Aと背面側の側板222Bとは、縦長の長方形状に形成されている。右側の側板222Cは、正面側の側板222Aの全体と背面側の側板222Bの全体とを接続する長方形状の板材である。
【0026】
上側の平板222Dは、正面側の側板222Aの上部と背面側の側板222Bの上部と右側の側板222Cの上部とを接続する板材である。この上側の平板222Dには、複数のU字状の溝222Fが形成されている。複数の溝222Fは、ガスメータ1の正面側から背面側に並べて設けられている。複数の溝222Fは、上側の平板222Dの左端から右側へ凹むように上側の平板222Dに形成されている。複数の溝222Fのそれぞれには、管材21A,21B,21Cの何れかの上部が嵌め込まれる。上述したように、管材21A,21B,21Cの上部には、環状のリブ21Dが形成されており、このリブ21Dが、上側の平板222Dにおける溝222Fの周縁部に対して上側から係合する。
【0027】
下側の平板222Eは、正面側の側板222Aの下部と背面側の側板222Bの下部と右側の側板222Cの下部とを接続する板材である。この下側の平板222Eには、複数のU字状の溝222Gが形成されている。複数の溝222Gは、正面側から背面側に並べて設けられている。複数の溝222Gは、下側の平板222Eの左端から右側へ凹むように下側の平板222Eに形成されている。複数の溝222Gのそれぞれには、管材21A,21B,21Cの何れかの下部が嵌め込まれる。上述したように、管材21A,21B,21Cの下部には、環状のリブ21Eが形成されており、このリブ21Eが、下側の平板222Eにおける溝222Gの周縁部に対して下側から係合する。
【0028】
ここで、上下のリブ21D,21Eが、上側の平板221D,222Dと下側の平板221E,222Eを挟み込むように、上側のリブ21Dが上側の平板221D,222Dに対して上側から係合し、下側のリブ21Eが下側の平板221E,222Eに対して下側から係合している。これにより、複数の管材21A,21B,21Cが上側の平板221D,222D、及び下側の平板221E,222Eに対して上下方向に位置決めされた状態で固定されている。
【0029】
左側ケース221と右側ケース222とは、以下のように組み合わされる。まず、正面側の側板221Aの右端と正面側の側板222Aの左端とが突き合わされ、背面側の側板221Bの右端と背面側の側板222Bの左端とが突き合わされる。また、上側の平板221Dの右端と上側の平板222Dの左端とが突き合わされ、下側の平板221Eの右端と下側の平板222Eの左端とが突き合わされる。溝221Fと溝222Fとが左右に対向して矩形状の開口を形成し、この開口に管材21A,21B,21Cの上部が嵌め込まれる。また、溝221Gと溝222Gとが左右に対向して矩形状の開口を形成し、この開口に管材21A,21B,21Cの下部が嵌め込まれる。
【0030】
ここで、複数の管材21A,21B,21Cの下端側(上流端側)は、溝221G,222Gにより形成される開口を通じて、下側の平板221E,222Eから下方に突出している。また、複数の管材21A,21B,21Cの上端側(下流端側)は、溝221F,222Fにより形成される開口を通じて、上側の平板221D,222Dから上方に突出している。これにより、下側の平板221E,222Eよりも下側の空間と、上側の平板221D,222Dよりも上側の空間とが、複数の管材21A,21B,21Cにより連通されている。
【0031】
図5は、
図1の5-5断面図である。この図に示すように、底部カバー10Cの上端の開口縁部に複数のリブ10E,10F,10Gが形成されている。複数のリブ10E,10F,10Gは、ホルダ22の下端に対して係合するように設けられている。具体的には、正面パネル10A及びボディ本体10Bは、ホルダ22の正面側、右側、及び背面側を囲繞しているが、ホルダ22の下端に対して係合していない。また、底部カバー10Cの上端は、正面パネル10A及びボディ本体10Bの下端に突き合わされているが、底部カバー10Cは、ホルダ22を囲繞しておらず、ホルダ22の下端に対して係合してもいない。それに対して、複数のリブ10E,10F,10Gは、ホルダ22の上端の開口縁部から開口の内側へ張り出すことにより、ホルダ22の下端に対して係合している。リブ10Eは、ホルダ22の正面側の下端に対して係合し、リブ10Fは、ホルダ22の右側の下端に対して係合し、リブ10Gは、ホルダ22の背面側の下端に対して係合している。
【0032】
ところで、大型燃焼設備を有する工場等の大量にガスを使用する施設では、ベーパーライザー等の強制気化装置が用いられることが多い。このような施設では、ガス配管へのドレン排出量が多くなり、ドレンを多く含むガスが、ガスメータを流れることになる。ここで、ガスメータの計測流路へのドレンの侵入を抑制することがガスの流量計測の精度向上の観点から好ましい。
【0033】
そこで、
図3に示すように、本実施形態に係るガスメータ1では、流量計ユニット20の複数の管材21A,21B,21Cが、ガス流路15における流出側流路15Bを構成するように、水平流路15Cと流出口12との間に設けられている。
【0034】
流入口11からガス流路15に流入したガスは、流入側流路15Aを下降し、ボディ10の底部において90°方向転換して水平流路15Cを流れ、流量計ユニット20の下方において90°方向転換して複数の管材21A,21B,21Cの入口に至る。即ち、本実施形態に係るガスメータ1では、計測流路21Mを流入側流路15Aや水平流路15Cではなく、流出側流路15Bに設定することにより、流入口11から計測流路21Mの入口に至るまでの距離を長くしている。それに加えて、流入口11から計測流路21Mの入口に至るまでのガスの流動を、下降、90°の方向転換、ボディ10の底部での水平方向への移動、上側への90°の方向転換と複雑にしている。これによって、ガスが流入口11から計測流路21Mの入口に至るまでの間に、ガスからのドレンの分離を促進し、ドレンの計測流路21Mへの侵入を抑制している。
【0035】
特に、計測流路21Mを構成する管材21Bを水平流路15Cと流出口12との間に、縦向きに設けることにより、計測流路21Mの入口の下方において、ガスが上方に90°の方向転換を行うことから、ガスからのドレンの分離を促進できる。さらに、計測流路21Mが縦向きであることにより、ドレンが計測流路21M内に侵入した場合でも、ドレンが垂下する。従って、計測流路21Mの超音波素子231の反射面にドレンが滞留することを抑制できる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係るガスメータ1では、ガスが流入口11から計測流路21Mの入口に至るまでの間にガスからのドレンの分離を促進できることにより、ガス流路15の途中にドレン用の貯留部や誘導通路を設けることなく、計測流路21Mへのドレンの侵入を抑制できる。従って、ドレン用の貯留部や誘導通路を構成する部品や部材を不要にでき、部品コストや組立工数を低減できる。
【0037】
また、本実施形態に係るガスメータ1では、超音波流量計23が取り付けられた管材21B及びその両側の管材21A,21Cが、ボディ10とは別体の部品であるホルダ22により流出側流路15Bに縦向きに保持されている。これにより、ボディ10に管材21A,21B,21Cや超音波流量計23を保持するための構造を設けることなく、管材21A,21B,21Cを縦向きに流出側流路15Bに設けることができる。従って、ボディ10の構造の複雑化を伴うことなく、計測流路21Mへのドレンの侵入を抑制できる。
【0038】
また、
図5に示すように、本実施形態に係るガスメータ1では、ボディ10の底側部を構成する底部カバー10Cが、ボディ10の上側部を構成する正面パネル10A及びボディ本体10Bとの境界部にリブ10E,10F,10Gを備える。これらのリブ10E,10F,10Gがホルダ22の下端に対して係合する。これにより、流量計ユニット20を正面パネル10Aとボディ本体10Bとの間に設置し、その後、底部カバー10Cを正面パネル10A及びボディ本体10Bに対して締結固定するという組立作業により、流量計ユニット20をボディ10内に位置決めした状態で組み込むことができる。
【0039】
また、
図4に示すように、ホルダ22は、左側ケース221と右側ケース222とを備え、これらが管材21A,21B,21Cの軸方向に対して直交する方向に組み合わされて管材21A,21B,21Cを挟持する。これにより、管材21A,21B,21Cを左側ケース221と右側ケース222との間に挟み込み、その後、ホルダ22をボディ10内に組み込むという組立作業により、管材21A,21B,21Cを左右に位置決めした状態でボディ10内に縦向きに組み込むことができる。
【0040】
図6は、他の実施形態に係る流量計ユニット200を示す正面断面図である。この図に示すように、本実施形態に係る流量計ユニット200では、ホルダ22の左側ケース221にガイド部221Hが設けられている。このガイド部221Hは、下側の平板221Eの左端から斜め下方に延びる板材である。
【0041】
ガイド部221Hは、水平流路15Cと管材21A,21B,21Cの下端(上流端)の入口との間を遮るように設けられている。また、ガイド部221Hは、下方にかけて管材21A,21B,21C側に近づくように傾斜しており、水平流路15Cから管材21A,21B,21Cの入口に流れるガスを管材21A,21B,21Cの入口から遠ざかる方向に案内する。これにより、水平流路15Cから計測流路21Mの入口に至るガスの流動が、ボディ10の底部での水平方向への移動、上方への鋭角の方向転換となる。これによって、水平流路15Cから計測流路21Mの入口に至るまでの間に、ガスからのドレンの分離を促進でき、ドレンの計測流路21Mへの侵入を抑制できる。
【0042】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【0043】
例えば、上記実施形態では、複数の管材21A,21B,21Cを設けて複数の流出側流路15Bを形成したが、単数の管材により単数の流出側流路15Bを形成してもよい。また、超音波流量計23を複数の管材21A,21B,21Cのうちの一つ(管材21B)に設けたが、超音波流量計23を複数の管材21A,21B,21Cの全てに設けたり、管材21A,21Cに設けたりしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、流入側流路15Aとして、途中で曲がっている流路を例に挙げたが、流入側流路15Aを直進する流路としてもよい。同様に、流出側流路15Bについても、途中で曲がっている流路としてもよく、直進する流路としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 ガスメータ
10 ボディ(筐体)
10A 正面パネル(上側部)
10B ボディ本体(上側部)
10C 底部カバー(底側部)
10E リブ
10F リブ
10G リブ
11 流入口
12 流出口
15 ガス流路
15A 流入側流路
15B 流出側流路
15C 水平流路
21B 管材
21M 計測流路
22 ホルダ(保持部材)
23 超音波流量計(流量計)
221 左側ケース(ケース)
221H ガイド部
222 右側ケース(ケース)