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特開2023-153551構造体設計支援装置、構造体設計支援方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153551
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】構造体設計支援装置、構造体設計支援方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20231011BHJP
【FI】
G06F30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062895
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雅彦
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA05
5B146AA07
5B146DJ02
5B146DJ07
5B146DJ11
5B146DJ14
5B146DJ15
(57)【要約】
【課題】構造体の剛性に及ぼす影響が大きい部品を特定することが可能な、構造体設計支援装置、構造体設計支援方法、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】構造体設計支援装置10は、複数の部品から構成される構造体モデルに設けられた評価点の、第1状態における位置、第2状態における位置、および複数の部品のうちのいずれに属するか、を表す評価点情報を記憶する評価点情報記憶部12と;評価点情報を用いて、前記第1状態と前記第2状態との間での、前記複数の部品のうちの一つである基準部品に対する前記複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値を算出する評価値算出部13と;を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品から構成される構造体モデルに設けられた評価点の、
第1状態における位置、
第2状態における位置、および
前記複数の部品のうちのいずれに属するか、
を表す評価点情報を記憶する評価点情報記憶部と;
前記評価点情報を用いて、前記第1状態と前記第2状態との間での、前記複数の部品のうちの一つである基準部品に対する前記複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値を算出する評価値算出部と;
を備え、
前記評価値算出部は、前記基準部品に属する前記評価点のうち選択された1点を基準点として定め、前記比較部品に属する前記評価点のうち選択された1点である比較点毎に、前記基準点と前記比較点との距離の、前記第1状態と、前記第2状態との間での変化の大きさを表す変化評価値を算出し、
前記変化評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出することを特徴とする構造体設計支援装置。
【請求項2】
前記基準点と前記比較点との間の距離が、予め設定された閾値以下の距離であることを特徴とする請求項1に記載の構造体設計支援装置。
【請求項3】
前記変化評価値が、前記基準点と前記比較点との前記距離の前記第1状態と前記第2状態との間での変化率である、請求項2に記載の構造体設計支援装置。
【請求項4】
前記評価値算出部は、前記基準点について前記比較点毎に算出された前記変化評価値から、前記基準点についての前記比較部品の評価値である基準点評価値を算出し、
前記基準点評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出する、請求項1または2に記載の構造体設計支援装置。
【請求項5】
前記基準点評価値が、前記基準点について前記比較点毎に算出された前記変化評価値の絶対値の平均値である、請求項4に記載の構造体設計支援装置。
【請求項6】
前記部品単位評価値が、前記基準点毎に算出された前記基準点評価値の平均値である、請求項4に記載の構造体設計支援装置。
【請求項7】
前記部品単位評価値が、前記基準点毎に算出された前記基準点評価値の積算値である、請求項4に記載の構造体設計支援装置。
【請求項8】
前記評価値算出部が、複数の前記比較部品のそれぞれについて前記部品単位評価値を算出し、前記部品単位評価値が閾値以上となる前記比較部品を前記基準部品についての対象部品として特定することを特徴とする請求項1または2に記載の構造体設計支援装置。
【請求項9】
前記評価値算出部が、複数の前記比較部品のそれぞれについて前記部品単位評価値を算出し、複数の前記比較部品のうち前記部品単位評価値が大きいものから順に所定数の前記比較部品を前記基準部品についての対象部品として特定することを特徴とする請求項1または2に記載の構造体設計支援装置。
【請求項10】
前記対象部品を識別可能な部品情報を表示する部品情報表示部を、さらに備えることを特徴とする請求項8に記載の構造体設計支援装置。
【請求項11】
前記部品情報は、前記構造体モデルにおける前記対象部品の位置を視認可能に示す画像情報であることを特徴とする請求項10に記載の構造体設計支援装置。
【請求項12】
複数の部品から構成される構造体モデルに設けられた評価点の、
第1状態における位置、
第2状態における位置、および
前記複数の部品のうちのいずれに属するか、
を表す評価点情報を記憶する第1の過程と;
前記評価点情報を用いて、前記第1状態と前記第2状態との間での、前記複数の部品のうちの一つである基準部品に対する前記複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値を算出する第2の過程と;
を有し、
前記第2の過程で、
前記基準部品に属する前記評価点のうち選択された1点を基準点として定め、前記比較部品に属する前記評価点のうち選択された1点である比較点毎に、前記基準点と前記比較点との距離の、前記第1状態と、前記第2状態との間での変化の大きさを表す変化評価値を算出し、
前記変化評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出することを特徴とする構造体設計支援方法。
【請求項13】
コンピュータを、
複数の部品から構成される構造体モデルに設けられた評価点の、
第1状態における位置、
第2状態における位置、および
前記複数の部品のうちのいずれに属するか、
を表す評価点情報を記憶する評価点情報記憶部と;
前記評価点情報を用いて、前記第1状態と前記第2状態との間での、前記複数の部品のうちの一つである基準部品に対する前記複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値を算出する評価値算出部と;
として機能させ、かつ、
前記基準部品に属する前記評価点のうち選択された1点を基準点として定め、前記比較部品に属する前記評価点のうち選択された1点である比較点毎に、前記基準点と前記比較点との距離の、前記第1状態と、前記第2状態との間での変化の大きさを表す変化評価値を算出し、
前記変化評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出するように、前記評価値算出部を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体設計支援装置、構造体設計支援方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種構造体の設計段階において、構造体の評価、解析を行うための構造体設計支援装置が各種提案されている。構造体設計支援装置としては、一般にはコンピュータが利用されており、コンピュータに構造体の評価、解析を行わせるためのプログラムや、そのプログラムを実装したシステムが提案されている。このような構造体設計支援装置では、設計対象となる構造体の全体もしくは構造体を構成する各部品を小領域(要素)に分割して表現したモデルを構築し、このモデルを利用して外力の印加に対する応答をシミュレーションし、得られた結果を利用して、設計を行っている。
【0003】
例えば、特許文献1には、構造体を構成する各部品への外力の印加による他の部品との相対的な位置関係の変化に着目した構造解析の技術が記載されている。具体的には、特許文献1には、複数の部品から構成される構造体に設けられた評価点の、第1状態における位置、第2状態における位置、および前記複数の部品のうちのいずれに属するか、を表す評価点情報を取得する評価点情報取得部と;前記評価点情報取得部が取得した前記評価点情報を用いて、基準部品に属する第1の評価点と、前記第1の評価点が属する前記基準部品とは異なる比較部品に属する第2の評価点との位置関係の、前記第1状態と、前記第2状態との間での変化の大きさを表す評価値を算出する評価値算出部と;を備える構造体設計支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6278122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、評価点同士(節点同士)の評価値を基に接合すべき部分を特定するので、構造体の剛性に及ぼす影響が小さい箇所(例えば、局所的な相対変位は大きいが,部品同士の相対変位は大きくない箇所)を特定してしまう場合がある。また構造体への実際の対策は節点同士を締結せず、部品同士を締結する。そのため、構造体の剛性に及ぼす影響が大きい部品を特定することができる技術が求められている。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みなされた発明であり、構造体の剛性に及ぼす影響が大きい部品を容易に特定することが可能な、構造体設計支援装置、構造体設計支援方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の一態様に係る構造体設計支援装置は、
複数の部品から構成される構造体モデルに設けられた評価点の、
第1状態における位置、
第2状態における位置、および
前記複数の部品のうちのいずれに属するか、
を表す評価点情報を記憶する評価点情報記憶部と;
前記評価点情報を用いて、前記第1状態と前記第2状態との間での、前記複数の部品のうちの一つである基準部品に対する前記複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値を算出する評価値算出部と;
を備え、
前記評価値算出部は、前記基準部品に属する前記評価点のうち選択された1点を基準点として定め、前記比較部品に属する前記評価点のうち選択された1点である比較点毎に、前記基準点と前記比較点との距離の、前記第1状態と、前記第2状態との間での変化の大きさを表す変化評価値を算出し、
前記変化評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出することを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)に記載の構造体設計支援装置は、前記基準点と前記比較点との間の距離が、予め設定された閾値以下の距離であることを特徴としてもよい。
【0009】
(3)上記(2)に記載の構造体設計支援装置は、
前記変化評価値が、前記基準点と前記比較点との前記距離の前記第1状態と前記第2状態との間での変化率であってもよい。
【0010】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の構造体設計支援装置は、
前記評価値算出部は、前記基準点について前記比較点毎に算出された前記変化評価値から、前記基準点についての前記比較部品の評価値である基準点評価値を算出し、
前記基準点評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出してもよい。
【0011】
(5)上記(4)に記載の構造体設計支援装置は、前記基準点評価値が、前記基準点について前記比較点毎に算出された前記変化評価値の絶対値の平均値であってもよい。
【0012】
(6)上記(4)または(5)に記載の構造体設計支援装置は、
前記部品単位評価値が、前記基準点毎に算出された前記基準点評価値の平均値であってもよい。
【0013】
(7)上記(4)または上記(5)に記載の構造体設計支援装置は、
前記部品単位評価値が、前記基準点毎に算出された前記基準点評価値の積算値である、。
【0014】
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つに記載の構造体設計支援装置は、
前記評価値算出部が、複数の前記比較部品のそれぞれについて前記部品単位評価値を算出し、前記部品単位評価値が閾値以上となる前記比較部品を前記基準部品についての対象部品として特定してもよい。
【0015】
(9)上記(1)~(7)のいずれか1つに記載の構造体設計支援装置は、
前記評価値算出部が、複数の前記比較部品のそれぞれについて前記部品単位評価値を算出し、複数の前記比較部品のうち前記部品単位評価値が大きいものから順に所定数の前記比較部品を前記基準部品についての対象部品として特定してもよい。
【0016】
(10)上記(8)または(9)に記載の構造体設計支援装置は、
前記対象部品を識別可能な部品情報を表示する部品情報表示部を、さらに備えてもよい。
【0017】
(11)上記(10)に記載の構造体設計支援装置は、
前記部品情報は、前記構造体モデルにおける前記対象部品の位置を視認可能に示す画像情報であってもよい。
【0018】
(12)本発明の一態様に係る構造体設計支援方法は、
複数の部品から構成される構造体モデルに設けられた評価点の、
第1状態における位置、
第2状態における位置、および
前記複数の部品のうちのいずれに属するか、
を表す評価点情報を記憶する第1の過程と;
前記評価点情報を用いて、前記第1状態と前記第2状態との間での、前記複数の部品のうちの一つである基準部品に対する前記複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値を算出する第2の過程と;
を有し、
前記第2の過程で、
前記基準部品に属する前記評価点のうち選択された1点を基準点として定め、前記比較部品に属する前記評価点のうち選択された1点である比較点毎に、前記基準点と前記比較点との距離の、前記第1状態と、前記第2状態との間での変化の大きさを表す変化評価値を算出し、
前記変化評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出することを特徴とする。
【0019】
(13)上記(12)に記載の構造体設計支援方法は、
前記基準点と前記比較点との間の距離が、予め設定された閾値以下の距離であってもよい。
【0020】
(14)上記(12)または(13)に記載の構造体設計支援方法は、
前記変化評価値が、前記基準点と前記比較点との前記距離の前記第1状態と前記第2状態との間での変化率であってもよい。
【0021】
(15)上記(12)~(14)のいずれか1つに記載の構造体設計支援方法は、
前記第2の過程で、前記基準点について前記比較点毎に算出された前記変化評価値から、前記基準点について前記比較部品の評価値である基準点評価値を算出し、
前記基準点評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出してもよい。
【0022】
(16)上記(15)に記載の構造体設計支援方法は、
前記基準点評価値が、前記基準点について前記比較点毎に算出された前記変化評価値の絶対値の平均値であってもよい。
【0023】
(17)上記(15)または(16)に記載の構造体設計支援方法は、
前記部品単位評価値が、前記基準点毎に算出された前記基準点評価値の平均値であってもよい。
【0024】
(18)上記(15)または(16)に記載の構造体設計支援方法は、
前記部品単位評価値が、前記基準点毎に算出された前記基準点評価値の積算値であってもよい。
【0025】
(19)上記(12)~(18)のいずれか1つに記載の構造体設計支援方法は、
前記第2の過程で、
複数の前記比較部品のそれぞれについて前記部品単位評価値を算出し、前記部品単位評価値が閾値以上となる前記比較部品を前記基準部品についての対象部品として特定してもよい。
【0026】
(20)上記(12)~(18)のいずれか1つに記載の構造体設計支援方法は、
前記第2の過程で、複数の前記比較部品のそれぞれについて前記部品単位評価値を算出し、複数の前記比較部品のうち前記部品単位評価値が大きいものから順に所定数の前記比較部品を前記基準部品についての対象部品として特定してもよい。
【0027】
(21)上記(19)または(20)に記載の構造体設計支援方法は、
前記対象部品を識別可能な部品情報を表示する第3の過程を、さらに備えてもよい。
【0028】
(22)上記(21)に記載の構造体設計支援方法は、
前記部品情報は、前記構造体モデルにおける前記対象部品の位置を視認可能に示す画像情報であってもよい。
【0029】
(23)本発明の一態様に係るプログラムは、
コンピュータを、
複数の部品から構成される構造体モデルに設けられた評価点の、
第1状態における位置、
第2状態における位置、および
前記複数の部品のうちのいずれに属するか、
を表す評価点情報を記憶する評価点情報記憶部と;
前記評価点情報を用いて、前記第1状態と前記第2状態との間での、前記複数の部品のうちの一つである基準部品に対する前記複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値を算出する評価値算出部と;
として機能させ、かつ、
前記基準部品に属する前記評価点のうち選択された1点を基準点として定め、前記比較部品に属する前記評価点のうち選択された1点である比較点毎に、前記基準点と前記比較点との距離の、前記第1状態と、前記第2状態との間での変化の大きさを表す変化評価値を算出し、
前記変化評価値に基づいて、前記部品単位評価値を算出するように、前記評価値算出部を機能させることを特徴とする。
【0030】
(24)上記(23)に記載のプログラムは、
前記基準点と前記比較点との間の距離が、予め設定された閾値以下の距離であってもよい。
【0031】
(25)上記(23)または(24)に記載のプログラムは、
前記変化評価値が、前記基準点と前記比較点との前記距離の、前記第1状態と前記第2状態との間での変化率であってもよい。
【0032】
(26)上記(23)~(25)のいずれか1つに記載のプログラムは、
前記基準点に対する前記比較点毎に算出された前記変化評価値から、前記基準点に対する前記比較部品の評価値である基準点評価値を算出し、
前記基準点評価値に基づいて、前記基準部品に対する前記比較部品の前記評価値を算出してもよい。
【0033】
(27)上記(26)に記載のプログラムは、
前記基準点評価値が、前記基準点について前記比較点毎に算出された前記変化評価値の絶対値の平均値であってもよい。
【0034】
(28)上記(26)または(27)に記載のプログラムは、
前記部品単位評価値が、前記基準点毎に算出された前記基準点評価値の平均値であってもよい。
【0035】
(29)上記(26)または(27)に記載のプログラムは、
前記部品単位評価値が、前記基準点毎に算出された前記基準点評価値の積算値であってもよい。
【0036】
(30)上記(23)~(29)のいずれか1つに記載のプログラムは、
前記評価値算出部が、
複数の前記比較部品のそれぞれについて前記部品単位評価値を算出し、前記部品単位評価値が閾値以上となる前記比較部品を前記基準部品についての対象部品として特定してもよい。
【0037】
(31)上記(23)~(29)のいずれか1つに記載のプログラムは、
前記評価値算出部が、複数の前記比較部品のそれぞれについて前記部品単位評価値を算出し、複数の前記比較部品のうち前記部品単位評価値が大きいものから順に所定数の前記比較部品を前記基準部品についての対象部品として特定してもよい。
【0038】
(32)上記(30)または(31)に記載のプログラムは、
前記対象部品を識別可能な部品情報を表示する部品情報表示部として、前記コンピュータを機能させてもよい。
【0039】
(33)上記(32)に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラムは、
前記部品情報は、前記構造体モデルにおける前記対象部品の位置を視認可能に示す画像情報であってもよい。
【0040】
(34)本発明の一態様に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
上記(23)~(33)のいずれか1つに記載のプログラムを記録する。
【発明の効果】
【0041】
本発明の上記態様によれば、構造体の剛性に及ぼす影響が大きい部品を特定することが可能な、構造体設計支援装置、構造体設計支援方法、プログラムおよび記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の第1実施形態に係る構造体設計支援装置10の構成を示す概略ブロック図である。
図2】第1実施形態における評価値算出部13の動作を説明するフローチャートである。
図3図2のステップS4のサブルーチンを説明するフローチャートである。
図4】第1実施形態における式(3)の「jは、F0m,i,j≦αを満たすj」を説明する図である。
図5】実施例における構造体設計支援装置10による表示例を示す図である。
図6図5の表示例を別の視点から見た図である。
図7】節点同士で評価した結果を示す図である。
図8図7の結果を別の視点から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、第1実施形態について説明する。なお、以下の実施形態においては、構造体の設計段階における構造解析の目的の一例として、構造体の剛性を向上させることを目的として説明している。しかし、構造体の設計段階における構造解析の目的としては、構造体の剛性の向上に限らず、軽量化のために構造体の剛性を低下させることや、構造体の衝突解析等、ニーズに合わせた構造体の解析を行うことができる。
【0044】
図1は、第1実施形態に係る構造体設計支援装置10の構成を示す概略ブロック図である。構造体設計支援装置10は、複数の部品からなる構造体の剛性を仮想モデル(以下、構造体)を用いて評価する。当該構造体は、例えば、溶接、かしめ、ボルトなどにより接合された、複数の部品から組み立てられている。構造体設計支援装置10は、評価点情報取得部11、評価点情報記憶部12、評価値算出部13、部品情報表示部14を有する。
【0045】
評価点情報取得部11は、評価対象となる構造体モデルに設けられた評価点の、第1状態における位置、第2状態における位置、および構造体を構成するいずれの部品に属するか、を表す評価点情報を取得する。第1状態は、例えば、構造体モデルに外部からの荷重が負荷されていない状態である。第1状態は、構造体モデルに変形が生じていない状態であってもよい。第2状態は、例えば、構造体モデルに外部からの荷重が負荷されている状態(例えば、想定される最大の荷重が加えられている状態)である。第2状態は、構造体モデルの固有モードの変形が生じている状態であってもよい。評価点は、例えば、各状態における構造体の変形を有限要素法で解析したときの有限要素法における要素の頂点(節点)である。評価点情報は、構造体モデルを有限要素法で解析することで算出される。なお、評価点情報は、例えば、有限要素法以外の数値シミュレーションにより算出されたものであってもよい。
【0046】
評価点情報記憶部12は、評価点情報取得部11が取得した評価点情報を記憶する。すなわち、評価点情報記憶部12は、複数の部品から構成される構造体モデルに設けられた評価点の、第1状態における位置、第2状態における位置、および複数の部品のうちのいずれに属するか、を表す評価点情報を記憶する。評価値算出部13は、第1状態と第2状態との間での、複数の部品のうちの一つである基準部品に対する前記複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値を算出する。評価値算出部13による部品単位評価値の算出方法の詳細は、後述する。
【0047】
部品情報表示部14は、例えば、評価値算出部13が算出した部品単位評価値を濃淡で表した構造体モデルの三次元画像を生成し、表示する。なお、部品単位評価値を濃淡ではなく、カラーで表してもよい。また、生成した三次元画像を表す画像データ、または画像信号を出力してもよいし、部品単位評価値を出力してもよい。
部品情報表示部14は、評価値算出部13が特定した締結対象となる対象部品の識別可能な部品情報を表示してもよい。対象部品の特定方法の詳細は、後述する。部品情報は、部品名などの文字情報であってもよいし、構造体モデルにおける対象部品の位置を視認可能に示す画像情報であってもよい。
【0048】
(評価値の算出方法)
図2は、評価値算出部13の動作を説明するフローチャートである。図2では、第1状態が、構造体モデルに荷重がかかっていない非荷重状態であり、第2状態が、構造体モデルに想定する最大の荷重がかかっている最大荷重状態である場合を例に説明する。以下の例は、本発明の一例であり、第1状態は、非荷重状態に限定されない。同様に、第2状態は、最大荷重状態に限定されない。
【0049】
評価値算出部13は、評価点情報記憶部12が記憶している評価点情報に含まれる評価点各々について、ステップS1からS8の処理を行う(ステップS1~S8)。ステップS1において、基準部品と比較する比較部品mを設定する。ステップS2において、基準部品に属する評価点のうち選択された1点を基準点(評価点)iとして定める(例えば初期値i=0)。ステップS3において、評価値算出部13は、評価点情報記憶部12から、基準点iの、第1状態の位置(X座標、Y座標、Z座標)と第2状態の位置とを読み出す。次に、ステップS4において、評価値算出部13は、比較部品m(基準点iが属する部品以外の部品)に属する評価点のうち選択された1点である比較点(評価点)j毎に、基準点(評価点)iと比較部品mの比較点(評価点)jの距離の変化率を算出する。基準点iに対する比較部品mの比較点jの距離の変化率は、基準点と比較点との距離の、第1状態と、第2状態との間での変化の大きさを表す「変化評価値」の例である。評価値算出部13は、この変化評価値に基づいて、部品単位評価値を算出する。
【0050】
ステップS5において、評価値算出部13は、ステップS4で基準点について比較点毎に算出された変化評価値から、基準点についての比較部品mの評価値である基準点評価値を算出する。具体的には、評価値算出部13は、基準点iについて(比較部品mにおける)比較点j毎に算出された距離の変化率(変化評価値)の絶対値の平均値を算出する。変化評価値(例えば、距離の変化率)の絶対値の平均値は、「基準点評価値」の例である。次に、評価値算出部13は、未処理の基準点iがあるかどうかを判定する(ステップS6)。未処理の基準点iがある場合(ステップS6にてYES)は、評価値算出部13は、ステップS2に戻り、未処理の基準点iのうち1点を選択し、再度ステップS2~S5の処理を行う。未処理の基準点iが無ければ(ステップS6にてNO)、ステップS7に進む。
【0051】
ステップS7では、評価値算出部13は、基準点毎に算出され基準点評価値から部品単位評価値を算出する。具体的には、評価値算出部13は、比較部品mについて各基準点iの(基準点評価値を積算して)積算値(部品単位評価値)Emを算出する。積算値Eは、基準点評価値に基づいて算出された部品単位評価値の例である。ステップS8において、評価値算出部13は、比較部品mに未処理の部品があるかどうかを判定する。比較部品mに未処理の部品がある場合(ステップS8にてYES)は、評価値算出部13は、処理はステップS1に戻り、未処理の比較部品mのうち1つを選択して再度ステップS2~S7を行う。比較部品mに未処理の部品が無ければ(ステップS8にて)、評価値算出部13は、処理を終了する。以下、ステップS4~S8について具体的に説明する。
【0052】
図3は、図2のステップS4のサブルーチンのフローチャートである。以下、ステップS4に示す処理について説明する。ステップS11では、評価値算出部13は、比較部品mの評価点(比較点)jを設定する(例えば初期値j=0)。ステップS12において、評価値算出部13は、評価点情報記憶部12から、比較部品mの比較点jの、第1状態(ここでは、非荷重状態)と第2状態(ここでは、最大荷重状態)の位置とを読み出す。次に、評価値算出部13は、ステップS3およびステップS12で読み出した位置を用いて、基準部品の基準点iと、比較部品mの比較点jとの第2状態での距離F0m,i,jを算出する(ステップS13)。例えば、第1状態での基準部品の基準点iのX座標がXであり、Y座標がYであり、Z座標がZであり、第1状態での比較部品mの比較点jのX座標がXmjであり、Y座標がYmjであり、Z座標がZmjであるとき、距離F0m,i,jは、下記の式(1)により算出される。
【0053】
【数1】
【0054】
評価値算出部13は、ステップS13にて算出した距離F0m,i,jが、予め設定した閾値α以下であるか否かを判定する(ステップS14)。閾値α以下でないと判定したときは(ステップS14にてNO)、処理はステップS17に進む。ステップS17では、評価値算出部13は、比較部品mの比較点jに未処理のものがあるかどうか判定する。比較部品mの比較点jに未処理のものがあれば(ステップS17にてYES)、ステップS11に戻り、比較部品mの未処理の比較点jのうち1点を選択して処理を行う。比較部品mの比較点jに未処理のものがなければ(ステップS17にてNO)、ステップS5の処理を行う。
【0055】
一方、ステップS14にて、閾値α以下であると判定したときは(ステップS14にてYES)、評価値算出部13は、ステップS3およびステップS12で読み出した位置を用いて、基準部品の基準点iと、比較部品mの比較点jとの第2状態での距離F1m,i,jを算出する(ステップS15)。例えば、第2状態での基準部品の基準点iのX座標がX1iであり、Y座標がY1iであり、Z座標がZ1iであり、最大荷重状態での比較部品mの比較点jのX座標がX1miであり、Y座標がY1miであり、Z座標がZ1miであるとき、距離F1m,i,jは、下記の式(2)により算出される。
【0056】
【数2】
【0057】
評価値算出部13は、距離F0m,i,jから距離F1m,i,jへの変化率dFm,i,j=(F1m,i,j-F0m,i,j)/F0m,i,jを算出する(ステップS16)。 部品同士の元々の距離が大きいほど距離の変化量が大きくなるが、変化評価値として、距離F0m,i,jから距離F1m,i,jへの変化率dFm,i,jを用いることで、この距離の影響を低減することができる。
【0058】
次に、処理はステップS17に進む。ステップS17では、評価値算出部13は、比較部品mの比較点jに未処理のものがあるかどうか判定する。比較部品mの比較点jに未処理のものがあれば(ステップS17にてYES)、ステップS11に戻り、比較部品mの未処理の比較点jのうち1点を選択して処理を行う。比較部品mの比較点jに未処理のものがなければ(ステップS17にてNO)、ステップS5の処理を行う。
【0059】
次に、ステップS5について説明する。ステップS5では、評価値算出部13は、基準部品の基準点iについて算出した距離の変化率dFm,i,jの絶対値の、比較部品mの比較点jに関する平均値を基準点評価値Emiとして算出する。基準点評価値Emiは、下記の式(3)により算出される。
【0060】
【数3】
【0061】
ただし、jは、F0m,i,j≦αを満たすjであり、nは、F0m,i,j≦αを満たすjの個数である。すなわち、nは、閾値αに基づいて定まる値である。
【0062】
特異な値となる接点が存在すると部品同士の評価値が影響しやすい。式(3)で示される絶対値の平均値を基準点評価値Emiとして用いることで、特異な値を有する接点の影響を低減することができる。
【0063】
次に、処理はステップS6に進む。ステップS6では、基準点評価値Emiを算出していない未処理の基準点iがあるかどうかを判定する。未処理の基準点iがある場合(ステップS6にてYES)、ステップS2に戻り、評価値算出部13は、未処理の基準点iのうちの1点を設定し、再度ステップS3~S5までの処理を行い、その点についての基準点評価値Emiを算出する。未処理の基準点iが無い場合(ステップS6にてNO)、ステップS7の処理を行う。
【0064】
ステップS7において、評価値算出部13は、基準点毎に算出された基準点評価値Emiに基づいて部品単位評価値Eを算出する。ここでは、部品単位評価値Eは、基準点毎に算出された基準点評価値Emiの積算値である。具体的には、下記式(4)により計算される。式(4)中のlは、基準点iの総数である。
【0065】
【数4】
【0066】
相対変位が大きい部品に対し補強などができればそれだけ剛性に寄与する。部品単位評価値Eを基準点評価値Emiの積算値とすることで、相対変位が大きい部品が分かるので、より剛性に寄与する部品を特定しやすい。
【0067】
次に、ステップS8において、評価値算出部13は、未処理の比較部品mがあるかどうかを判定する。未処理の比較部品mがある場合(ステップS8にてYES)、ステップS1に戻り、評価値算出部13は、評価値Eを算出していない未処理の比較部品mを設定する。その後、ステップS2~ステップS7まで処理を行い、設定した比較部品mの評価値Eを算出する。比較部品mに未処理のものなければ(ステップS8にてNO)、ステップS1からS8のループを、すなわち処理を終了する。
【0068】
図4は、図3のステップS14、すなわち式(3)における「jは、F0m,i,j≦αを満たすj」を説明する図である。図4は、構造体を構成する部品(基準部品)A1と、部品(比較部品m)B1とを含む断面である。部品A1には、評価点a1からa7が設けられており、部品B1には、評価点b1からb6が設けられている。図4は、評価対象である基準点(評価点)a4の評価値を算出するときを説明する図である。破線で示した円Cは、評価点a4を中心とする半径αの球の断面である。半径αの球(円C)が評価領域にあたり、半径αの球(円C)の内部にある点が基準点評価値Emiを算出する際に使用する評価点となる。このとき、評価値算出部13は、評価点a4が属する部品以外の部品(図4では、部品B1)に属する評価点(図4では、評価点b1からb6)のうち、距離F0m,i,jがα以下である評価点b3,b4に関して、式(2)の右辺(すなわち、距離F1m,i,jと距離F0m,i,jとの差を、距離F0m,i,jで割った値の絶対値の平均値)を演算することで、基準点評価値Emiを算出する。
【0069】
なお、閾値αの値は、対象部品、有限要素法のメッシュ、設計のフェーズ等に応じた変数とする。閾値αは、予め設定されていてもよいし、構造体設計支援装置10を操作するオペレータによって設定されてもよい。閾値αの値は、構造の変更が可能な大きさに応じた値となっていることが望ましい。評価値算出部13は、構造の変更が可能な大きさに応じた閾値αを予め記憶しており、構造の変更が可能な大きさをオペレータが指定すると、その記憶に従って、オペレータが指定した大きさに応じた閾値αを決定するようにしてもよい。また、閾値αの数値は、設計の目的に応じて設定することができる。例えば、各部品の一体化を検討する場合は、閾値αが10mm~200mmであることが好ましい。また、部品や骨格を追加することを検討する場合は、閾値αは、100mm~4000mmが好ましい。
【0070】
なお、評価領域は、構造変更が可能な範囲とすることが望ましい。そのため、球や六面体などの幾何学的範囲を指定しても良いし、複数部品のみを選び、その部品間のみを評価領域としても良い。また、上記の組み合わせでも良い。ただし、評価領域に入る解析点の数を確保するため、概ね解析点間の距離に対して4倍以上の直径を持つ球より大きいことが望ましい。また、設計の段階によって取り得る構造変更の大きさが異なるため、評価領域の大きさをそれに合わせることで種々の設計段階で活用できると考えられる。
【0071】
また、基準点評価値Emiは、式(3)により算出されるとしたが、これに限らない。たとえば、以下の式(5)や式(6)により算出してもよい。
【0072】
【数5】
【0073】
【数6】
【0074】
式(5)では、各点間の評価値をべき乗(m乗)している。これにより、弱部をより強調した値をとることが可能であると期待できる。式(6)では、各点間の評価値に変形前の距離や距離変化を用いた補正係数を掛けている。これにより、構造上の弱部をより正確に探索できると期待できる。
【0075】
また、部品単位評価値Eは、式(4)により算出されるとしたが、これに限らない。たとえば、以下の式(7)により算出してもよい。
【0076】
【数7】
【0077】
式(7)では、基準点評価値Emiの平均値を算出している。即ち、式(7)で算出されるEは基準点毎に算出された基準点評価値Emiの平均値である。これにより、特異な基準点評価値Emiの影響を低減することができる。
【0078】
また、基準点評価値Emiを算出する際に、「jは、F0m,i,j≦αを満たすj」としたが、これに代えて、「比較点jは、予め決められた部品に属する比較点j」という条件を用いてもよい。また、「jは、F0m,i,j≦αを満たすj」と、「比較点jは、予め決められた部品に属する比較点j」との両条件を満たすという条件を用いてもよいし、両条件のいずれかを満たすという条件を用いてもよい。さらに、これらの条件において、予め決められた部品は、1つであってもよいし、複数であってもよいし、対象の基準点i毎に予め決められていてもよいし、対象の基準点iが属する部品毎に予め決められていてもよい。
【0079】
なお、比較点jの数を限定して計算してもよい。たとえば、評価点付近の有限要素法のメッシュの細かさに応じて比較点jの数を限定することが考えられる。また、評価点付近の有限要素法のメッシュの細かさに応じて、評価領域の大きさや形を変えてもよい。
【0080】
このように、構造体設計支援装置10は、評価点情報を用いて、第1状態と第2状態との間での、複数の部品のうちの一つである基準部品に対する複数の部品の他の一つである比較部品の位置関係の変化の大きさを表す部品単位評価値Eを算出する。
【0081】
これにより、第1状態から第2状態に変わった時に、基準部品と比較部品との間で相対変位が大きい部品が検出される。第1状態から第2状態に時に、基準部品と比較部品との間で相対変位が大きい部品は、構造体の剛性に与える影響が大きい部品である。そのため、この部品を強化することで、構造体の剛性が上がることが期待できる。よって、構造体の剛性を上げるために適した部品を、より容易に検出することができる。
【0082】
また、本実施形態では、更に以下の処理を行ってもよい。評価値算出部13が、複数の比較部品mのそれぞれについて部品単位評価値Eを算出し、部品単位評価値Eが閾値以上となる比較部品mを基準部品についての対象部品として特定する。閾値は、目標とする構造体の剛性に応じて、適宜設定することができる。
また、評価値算出部13は、複数の比較部品mのそれぞれについて部品単位評価値Eを算出し、複数の比較部品mのうち部品単位評価値Eが大きいものから順に所定数の比較部品mを基準部品についての対象部品として特定してもよい。所定数は、目標とする構造体の合成に応じて適宜設定することができる。
特定された対象部品は、補強などの対象となる部品となる。この結果を、部品情報表示部14に表示させる。すなわち、部品情報表示部14は、対象部品を表示する機能を有する。
【0083】
これにより、第1状態から第2状態に変わった時に、剛性に与える影響が大きい部品がより精密に特定される。状態が変わった時に、周辺の部品との相対変位が大きい部品は、構造体の剛性を下げてしまっている可能性がある。そのため、この部品を強化することで、構造体の剛性がより上がることが期待できる。また、部品の強化は、他の小さな部材を追加して接合したりすることで行えるため、板厚を増やすなどの部品の強化よりも増加する重量が少ないことが多い。よって、構造体の重量増を抑えつつ、より剛性を上げるために適した部品を、容易に検出できる。
【0084】
また、本評価手法を実施し、対象部品を求め、そこへ対策を実施するというプロセスを繰り返し実施することにより、より良い構造を設計することができる。繰り返し実施することで、初期の段階では荷重が伝達されていない部品も働き始め、隠れていた対策すべき部品を見つけることができる。
【0085】
また、ある段階の評価に基づいて部材を追加/変更し、部材を追加/変更前の構造体と部材を追加/変更後の構造体とを比較して評価することができる。たとえば、最適結合材、最適板厚、他部品へ悪影響がないか等を前後で比較することができる。比較するプロセスを繰り返し実施することにより、より良い構造を設計することができる。
【0086】
以上説明した本実施例の各ステップは、構造体設計支援装置10が自動的に行うように構成されていてもよい。
【0087】
また、図1における構造体設計支援装置10の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより構造体設計支援装置10を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0088】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0089】
(実施例1)
実施例1では、構造体の一例として車体について、構造体設計支援装置10により解析した例を示す。本実施例では、第1状態は、構造体モデルである車体Bに変形が生じていない状態である。第2状態は、車体ねじり変形の固有モードの変形が生じている状態である。
【0090】
図5は、構造体設計支援装置10による表示例を示す図である。図6は、図5の表示例を別の視点から見た図である。図5および図6の表示例は、第1状態が構造体モデルである車体Bに変形が生じていない状態であり、第2状態が車体ねじり変形の固有モードの変形が生じている状態であるときの車体に対する解析を構造体設計支援装置10が行い、表示したときの表示例である。図5および図6の表示例は、αを100mmとして計算している。図5および図6に示すように、基準部品と空間ひずみが大きい部品は濃淡が濃く表示される。図6に示すように、構造体設計支援装置10を用いることで締結すべき部品を濃淡が濃い部品として容易に特定することができる。
【0091】
図7は、部品ごとではなく、特許第6278122号公報に記載の方法、即ち節点同士で評価した結果を示す図である。図8は、図7の結果を別の視点で見た図である。図7および図8に示すように、空間歪の高い部分が分かるが、どの部品と締結すべきかが明確ではない。図7および図8の場合は、例えばブラケット、ルーフレールアウタなど、締結すべき部品をさらに検討しなければならない。
【0092】
このように、構造体設計支援装置10による部品単位評価値Eを用いることで、締結すべき部品を容易に特定することができる。また、部品単位評価値Eが大きな値となっている部品を強化することで、剛性を効率良く向上させることができる。さらに、部品単位評価値Eが大きな値となっている部品の強化の方法を、接合の強化とすることで、より剛性を効率良く向上させることができる。すなわち、構造体設計支援装置10は、構造体の重量増を抑えつつ剛性を上げるために適した部品を、より容易に検出することができる。
【0093】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の各態様は、各種構造体の設計段階において、構造体の評価、解析を行うための構造体設計支援装置、構造体設計支援方法、プログラムおよび記録媒体に広く適用できる。本発明の各態様により、構造体の剛性に及ぼす影響が大きい部品を容易に特定する容易ことができる構造体設計支援装置、構造体設計支援方法、プログラムおよび記録媒体の実現が可能となる。
【符号の説明】
【0095】
10 構造体設計支援装置
11 評価点情報取得部
12 評価点情報記憶部
13 評価値算出部
14 部品情報表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8