(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153559
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/10 20060101AFI20231011BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231011BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20231011BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N1/00 E
H04N1/00 519
G06T1/00 450B
H04N1/387 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062910
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】藤井 功武
【テーマコード(参考)】
5B047
5C062
5C072
5C076
【Fターム(参考)】
5B047AA01
5B047AB02
5B047BA02
5B047BB02
5B047CB08
5B047CB09
5B047CB12
5B047CB23
5B047DB01
5B047DC07
5B047DC09
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
5C062AC02
5C062AC67
5C062AD02
5C062AE15
5C062AF10
5C072AA01
5C072BA05
5C072CA02
5C072EA04
5C072FB23
5C072LA03
5C072LA08
5C072MA01
5C072MB05
5C072MB08
5C072RA03
5C072RA04
5C072RA07
5C072UA06
5C072WA01
5C072XA01
5C072XA04
5C076AA02
5C076BA06
5C076CA03
(57)【要約】
【課題】センサが原稿と共に原稿抑えを読み取ることによる影響を低減することができる読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】MFP10のコントローラ13は、探索範囲の画像データから特徴画像データを検知した場合は、次の探索範囲を設定し、側端検知処理を繰返す。コントローラ13は、副走査探索長が、フォリオ長未満離れた位置に対応するラインであれば、画像データに対して特徴画像データを連続して検知しない場合に、特徴画像データの検知を終了する。一方、コントローラ13は、副走査探索長が、フォリオ長以上離れた位置に対応するラインであれば、画像データに対して、特徴画像データを検知しない場合に、特徴画像データの検知を終了する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットベッドを有する原稿台と、
原稿抑えと、
センサと、
コントローラと、
を備え、
前記原稿抑えは、前記フラットベッドの上面に載置された原稿を、前記原稿の上から抑えることが可能に構成されており、
前記フラットベッドは光を透過させる性質であり、
前記コントローラは、
前記センサに、副走査方向で移動させながら原稿の読み取りを行わせ、読み取りによって生成された画像データを生成させる読取動作を実行させ、前記原稿抑えが前記原稿を前記フラットベッドの上面で抑えている状態では、前記センサは、前記原稿からの反射光および前記原稿抑えからの反射光を検知することで、前記原稿の読取を行うよう構成されており、
前記コントローラは、
前記読取動作により生成された、副走査方向で所定ライン分の画像データが、原稿の特徴を示す画像データである特徴画像データを含んでいるか否かを検知する原稿検知処理を実行し、
前記原稿検知処理では、
副走査方向で原稿の上流側の端部に対応するラインから前記所定ライン分の画像データに対して前記検知を開始し、前記所定ライン分の画像データから前記特徴画像データを検知した場合は、当該特徴画像データが検知された前記所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も下流のラインの次のラインから、前記所定ライン分の画像データに対する検知を行うことを繰返し、
検知対象となる前記所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も上流のラインが、原稿の前記上流側の端部から副走査方向で所定長未満離れた位置に対応するラインであれば、複数の前記所定ライン分の画像データに対して前記特徴画像データを連続して検知しない場合に、前記特徴画像データの検知を終了し、
検知対象となる前記所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も上流のラインが、原稿の前記上流側の端部から副走査方向で前記所定長以上離れた位置に対応するラインであれば、複数の前記所定ライン分の画像データに対して前記特徴画像データを検知しない場合に、前記特徴画像データの検知を終了し、
前記コントローラは、
前記特徴画像データが検知された前記所定ライン分の画像データのうち、原稿に対応する画像データ以外を除くための削除処理を実行する、
ように構成されている読取装置。
【請求項2】
前記原稿抑えにおける第1位置には、第1部分が含まれており、
前記所定長は、原稿の規格サイズのうち、第1サイズの原稿における副走査方向の長さに対応し、
前記フラットベッドには、原稿の上流側の端部を合わせるための原点が設けられており、
前記原稿抑えが前記原稿を前記フラットベッドの上面で抑えている状態では、前記第1位置は、副走査方向で、前記フラットベッドの原点から前記所定長だけ離れた位置から、副走査方向で、前記所定ライン分に相当する長さの2倍以上離れた位置である、ように構成されている請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記原稿抑えが前記原稿を前記フラットベッドの上面で抑えている状態では、前記第1
位置は、副走査方向で、前記フラットベッドの前記原点から、第2サイズの原稿における副走査方向の長さ分離れた位置までの間の位置であり、前記第2サイズは、副走査方向での長さが前記第1サイズよりも大きいサイズである請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記原稿抑えにおける第1位置には、第1部分が含まれており、
前記所定長は、原稿の規格サイズのうち、第1サイズの原稿における副走査方向の長さであり、
前記フラットベッドには、原稿の上流側の端部を合わせるための原点が設けられており、
前記原稿抑えが前記原稿を前記フラットベッドの上面で抑えている状態では、前記第1位置は、副走査方向で、前記フラットベッドの前記原点から前記所定長だけ離れた位置から、副走査方向で、前記所定ライン分に相当する長さの2倍離れた位置から3倍離れた位置までの間の位置である、ように構成されている請求項1に記載の読取装置。
【請求項5】
前記第1部分は、前記原稿抑えに設けられた気体抜け穴である、請求項2~4のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記第1サイズは、フォリオサイズであり、前記第2サイズは、リーガルサイズである、請求項3に記載の読取装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記読取動作により生成された画像データに基づいて、副走査方向で前記原稿の上流側の端部に対応するラインを検知する先端検知処理を実行し、
前記原稿検知処理では、前記先端検知処理により検出された前記上流側の端部に対応するラインから、副走査方向で前記所定ライン毎の画像データに対して、前記検知を開始するように構成されている請求項1~4のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項8】
前記削除処理では、
前記特徴画像データが検知された前記所定ライン分の画像データに基づいて、原稿における下流側の端部に対応するラインの位置を決定し、
決定された前記下流側の端部に対応するラインよりも後の画像データを削除する、ように構成されている請求項1~4のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項9】
フラットベッドを有する原稿台と、
原稿抑えと、
センサと、
コントローラと、
を備え、
前記原稿抑えは、前記フラットベッドの上面に載置された原稿を、前記原稿の上から抑えることが可能に構成されており、
前記フラットベッドは光を透過させる性質であり、
前記センサに、副走査方向で移動させながら原稿の読み取りを行わせ、読み取りによって生成された画像データを生成させる読取動作を実行させ、前記原稿抑えが前記原稿を前記フラットベッドの上面に抑えている状態では、前記センサは、前記原稿からの反射光および前記原稿抑えからの反射光を検知することで、前記原稿の読取を行うよう構成されており、
前記コントローラは、
前記読取動作により生成された画像データに基づいて、前記原稿における副走査方向での上流側の端部に対応するラインを検知する先端検知処理と、
前記読取動作により生成された副走査方向で所定ライン分の画像データが、原稿の特徴
を示す画像データである特徴画像データを含んでいるか否かを検知する原稿検知処理と、を実行し、
前記原稿検知処理では、
前記先端検知処理により検出された前記上流側の端部に対応するラインから、副走査方向で前記所定ライン分の画像データに対して前記検知を開始し、前記所定ライン分の画像データから前記特徴画像データを検知した場合は、当該特徴画像データが検知された前記所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も下流のラインの次のラインから、前記所定ライン分の画像データに対する検知を行うことを繰返し、
検知対象となる前記所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も上流のラインが、原稿の前記上流側の端部から副走査方向で所定長未満離れた位置に対応するラインであれば、複数の前記所定ライン分の画像データに対して前記特徴画像データを連続して検知しない場合に、前記特徴画像データの検知を終了し、
検知対象となる前記所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も上流のラインが、原稿の前記上流側の端部から副走査方向で前記所定長以上離れた位置に対応するラインであれば、複数の前記所定ライン分の画像データに対して前記特徴画像データを検知しない場合に、前記特徴画像データの検知を終了し、
前記コントローラは、
前記特徴画像データが検知された前記所定ライン分の画像データのうち、原稿に対応する画像データ以外を除くための削除処理を実行する、
ように構成されている読取装置。
【請求項10】
前記削除処理では、
前記特徴画像データが検知された前記所定ライン分の画像データに基づいて、原稿における下流側の端部に対応するラインを決定し、
決定された前記下流側の端部に対応するラインよりも後の画像データを削除する、ように構成されている請求項9に記載の読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿台にセットされた原稿を読み取る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フラットベッド式の読取装置において、原稿台にセットされた原稿を、センサにより読み取り、読取り結果に応じて原稿サイズを検知することができる装置が記載されている。読取装置は、フラットベッドにセットされた原稿を原稿抑えにより抑えた状態で、センサによりフラットベッドの下方から光を透過させて原稿を読み取る。そして、読み取り結果に応じて生成された画像データから、原稿サイズを検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサが、原稿と共に、原稿抑えの模様や形状等の部位を読み取ることで、読取装置が、読取られた部位を原稿の一部として認識し、原稿サイズを誤検出する場合がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みたものであり、原稿抑えにより抑えられた原稿をセンサが読み取ることで生成された画像データに基づいて、所定の処理を行う読取装置において、センサが原稿と共に原稿抑えを読み取ることによる影響を低減することができる読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、フラットベッドを有する原稿台と、原稿抑えと、センサと、コントローラと、を備える読取装置に関する発明である。原稿抑えは、フラットベッドの上面に載置された原稿を、原稿の上から抑えることが可能に構成されており、フラットベッドは光を透過させる性質であり、コントローラは、センサに、副走査方向で移動させながら原稿の読み取りを行わせ、読み取りによって生成された画像データを生成させる読取動作を実行させ、原稿抑えが原稿をフラットベッドの上面で抑えている状態では、センサは、原稿からの反射光および原稿抑えからの反射光を検知することで、原稿の読取を行うよう構成されている。コントローラは、読取動作により生成された、副走査方向で所定ライン分の画像データが、原稿の特徴を示す画像データである特徴画像データを含んでいるか否かを検知する原稿検知処理を実行し、原稿検知処理では、副走査方向で原稿の上流側の端部に対応するラインから所定ライン分の画像データに対して検知を開始し、所定ライン分の画像データから特徴画像データを検知した場合は、当該特徴画像データが検知された所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も下流のラインの次のラインから、所定ライン分の画像データに対する検知を行うことを繰返し、検知対象となる所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も上流のラインが、原稿の上流側の端部から副走査方向で所定長未満離れた位置に対応するラインであれば、複数の所定ライン分の画像データに対して特徴画像データを連続して検知しない場合に、特徴画像データの検知を終了し、検知対象となる所定ライン分の画像データのうち、副走査方向の最も上流のラインが、原稿の上流側の端部から副走査方向で所定長以上離れた位置に対応するラインであれば、複数の所定ライン分の画像データに対して特徴画像データを検知しない場合に、特徴画像データの検知を終了する。コントローラは、特徴画像データが検知された所
定ライン分の画像データのうち、原稿に対応する画像データ以外を除くための削除処理を実行する。
【0007】
上記構成では、コントローラは、読取動作により生成された副走査方向で所定ライン分の画像データから、特徴画像データを含んでいるか否かを検知し、所定ライン分の画像データが特徴画像データを含んでいると検知した場合は、副走査方向において次の所定ライン分の画像データに対する特徴画像データの検知を行うことを繰返す。検知対象となる所定ライン分の画像データの位置が、原稿の上流側の端部に対応する画像データから副走査方向で所定長さ未満の位置であれば、複数の所定ライン分の画像データに対して、特徴画像データを連続して検知しない場合に、特徴画像データの検知を終了する。一方で、検知対象となる所定ライン分の画像データの位置が、原稿の上流側の端部に対応する画像データから副走査方向で所定長以上の位置であれば、複数の所定ライン分の画像データに対して、特徴画像データを検知しない場合に、特徴画像データの検知を終了する。これにより、副走査方向の長さが所定長以下であることで後端よりも後ろに位置する原稿抑えの部位を、センサが検出し易い原稿に対しては、特徴画像データの検知対象となる所定ライン分の画像データの位置が、所定長以上の位置となることで、特徴画像データを含んでいないと1回判断されれば、検知が終了される。その結果、原稿の下流側の端部よりも後ろの画像データが原稿に対応する画像データから削除され、センサが、原稿と共に原稿抑えを読み取ることによる影響を低減することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、読取装置において、センサが原稿と共に原稿抑えを読み取ることによる影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】原稿台のフラットベッドを説明する図である。
【
図4】コントローラにより実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図6】
図4のS11で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図8】
図4のS14で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図9】
図4のS17で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態に係る読取装置を、MFP10を例に説明する。
図1に示すMFP10は、フラットベッド型のスキャナである。MFP10は、
図1,
図2,
図3に示されるように、通信IF11と、ユーザIF12と、コントローラ13と、スキャナ14と、プリンタ15と、メモリ17と、原稿台20と、原稿カバー22とを備えている。IFは、インタフェースの略称である。
【0011】
通信IF11は、PC等の外部装置とMFP10とを通信可能に接続するインタフェースである。通信IF11は、例えば、LANインタフェース、及びUSBインタフェースが含まれる。ユーザIF12は、ユーザとコントローラ13との間に介在するインタフェ
ースであり、具体的には、液晶ディスプレイや、液晶ディスプレイ上のタッチパネルである。
【0012】
コントローラ13は、不図示のCPU、ROM、RAMを備えている。CPU31は、ROMに記憶されたプログラムに従う処理を実行する。RAMは、フラッシュメモリ又はEEPROMにより構成されていてもよい。MFP10が有するコントローラ13は一つに限定されず、複数のコントローラ13を有していてもよい。この場合において、後述する各所を、各コントローラ13が分散して実行するものであってもよい。
【0013】
図2,
図3に示されるように、原稿台20は、原稿がセットされる面であるフラットベッド21を有している。フラットベッド21は、例えば、ガラス等により形成されており、光を透過させる性質である。
フラットベッド21には、原稿の位置合わせ用の原点24が設けられている。原点24は、フラットベッド21において、原稿が有する4つの角のうち一つの角が、突合される位置である。なお、
図3では、原点24を、フラットベッド21の左上の角としているが、これに限らない。
【0014】
スキャナ14は、原稿台20にセットされた原稿を読み取ることで、スキャンデータを生成する。スキャナ14は、イメージセンサ18や、不図示のAD変換器、2値化部、及び回転回路を有している。本実施形態では、イメージセンサ18は、コンタクトイメージセンサ(Contact Image Sensor)である。
【0015】
イメージセンサ18は、主走査方向Xに沿った1ラインを読み取るセンサであり、主走査方向Xと直行する副走査方向Yに移動可能に設けられている。
図3で示されるように、フラットベッド21における副走査方向長H2は、フォリオサイズでの原稿よりも大きいリーガルサイズの原稿の副走査方向長に対応する長さである。本実施形態では、フォリオサイズを、「215.9mm×317.5mm」の原稿サイズとして扱っている。リーガルサイズを、「215.9mm×355.mm」の原稿サイズとして扱っている。フォリオサイズが第1サイズの一例であり、リーガルサイズが第2サイズの一例である。
【0016】
原稿カバー22は、原稿台20にセットされた原稿をフラットベッド21の上方から抑える部材である。原稿カバー22における原稿と向かい合う側の面には原稿抑え23が配置されている。イメージセンサ18は、フラットベッド21の下方に設けられている。イメージセンサ18は、上方のフラットベッド21に向けて光を照射し、その反射光を受光し、受光量に応じた画像データの一群を、アナログ信号としてシリアル出力する読取動作を実行する。読取動作毎にシリアル出力されるアナログ信号の一群は、1ライン分の読取画像を表すデータに対応する。原稿抑え23は、例えば、樹脂により形成された厚みの薄いシート状の部材である。原稿抑え23には、原稿抑え23を厚み方向、すなわち上下方向、に貫通する気体抜け穴25A,25Bが形成されている。
図3では、原稿カバー22を開位置から閉位置へと変化させることで、原稿抑え23が原稿をフラットベッド21の上面で抑えている状態での、気体抜け穴25A,25Bの位置を破線により示している。
【0017】
図3に示されるように、原稿抑え23が原稿をフラットベッド21の上方で抑えている状態では、気体抜け穴25Aが位置する第1位置は、副走査方向Yで、原点24からフォリオサイズの原稿での副走査方向Yでの長さであるフォリオ長H1分離れたれた位置よりも遠くに位置している。具体的には、第1位置は、副走査方向Yで、原点24からフォリオ長H1よりも所定ライン分(後述する探索範囲Hd)に相当する長さの2倍離れた位置から、所定ライン分に相当する長さの3倍離れた位置である。本実施形態では、所定ラインは、イメージセンサ18の32ライン分に相当し、その長さは、約「2.8mm」である。
【0018】
次に、コントローラ13が、原稿のサイズを検出するために実行する処理を、
図4を用いて説明する。
図4に示される処理は、コントローラ13が、通信IF11を介した外部装置からの指令又はユーザIF12を通じた読取命令を契機に実行する処理である。まずは、原稿台20にフォリオサイズの原稿M1がセットされた場合を例に説明を行う。
図3に示されるように、原稿台20にフォリオサイズの原稿M1がセットされた場合、気体抜け穴25A,25Bの位置は、副走査方向Yにおいて原稿M1よりも下流側に位置することとなる。
【0019】
ステップ10(以下、ステップを単に「S」とも記載する。)では、先端探索範囲FRに含まれる画像データD1を読み取る。
図5は、S10でイメージセンサ18により読み取られた先端探索範囲FRの画像データを示している。原点Q1は、原稿台20の原点24に対応する画素である。なお、
図5では説明を容易にするため、先端探索範囲FR以外の画像データを破線により示している。言い換えると、破線で示された画像データは、S10で実際には読取られることのないデータである。
【0020】
MFP10の読み取り可能範囲は、原点24、すなわち原点Q1から、副走査方向Yでは、リーガルサイズの副走査方向長よりも大きく、主走査方向Xでは、リーガルサイズの主走査方向長よりも大きい範囲である。図示していないが、それぞれ、リーガルサイズよりも数mm大きいものとする。
【0021】
先端探索範囲FRは、原点Q1を含む範囲であり、MFP10の読み取り可能範囲における、副走査方向Yでの最上流から所定ライン分下流までに対応する範囲である。コントローラ13は、読取解像度に応じた一定速度でイメージセンサ18を副走査方向Yに移動させ、イメージセンサ18に、一定時間間隔で読取動作を実行させる。スキャナ14のAD変換器は、イメージセンサ18により読取動作毎に読取られたアナログのデータを、アナログ・ディジタル変換してディジタルの画像データを生成する。コントローラ13は、AD変換器から入力された変更後の画像データD1を、メモリ17に記憶する。コントローラ13は、メモリ17に記憶された画像データに対してガンマ補正等の画像処理を施す。これにより、メモリ17には、先端探索範囲FRに含まれる画像データD1が、読取動作の繰返しに応じて蓄積される。また、AD変換器から出力された画像データD1は、二値化部にも入力される。二値化部は、ライン毎の画像データを二値化し、二値化後の画像データをコントローラ13に出力する。二値化後の画像データは、各画素の諧調値が二値(「0」又は「1」)で表されるデータである。
【0022】
S11では、S10で読み取られた先端探索範囲FRに含まれる画像データD1に対して、先端検知処理を実行する。
図6は、S11で実行される先端検知処理を説明するフローチャートである。
【0023】
S30では、S10で読み取られた先端探索範囲FRの画像データD1を対象として、上エッジ直線式を算出する。「上エッジ」は、先端探索範囲FRに含まれる画像データD1のうち、副走査方向Yで上流側の端部に対応するエッジ画素である。なお、エッジ画素の検出は、周知の画像処理を用いることで検出することができる。具体的には、原稿M1から読取られた画像データD1は2値化(1or0)データであるため、先端探索範囲FRに含まれる画像データD1のうち、副走査方向Yで上流側の端部に位置し、かつ諧調値が「1」であるものを上エッジとして検出する。「上エッジ直線式」は、上エッジが主走査方向Xに延びる形状L1の近似式である。本実施形態では、上エッジが、画像データにおける、副走査方向Yで原稿M1の上流側の端部に対応するラインの一例である。
【0024】
S31では、S10で読み込まれた先端探索範囲FRの画像データD1を対象として、
左エッジ直線式を算出する。「左エッジ」は、先端探索範囲FRに含まれる画像データD1のうち、主走査方向Xで左側の端部に対応するエッジ画素である。「左エッジ直線式」は、左エッジが副走査方向Yに延びる形状L2の近似式である。
【0025】
S32では、S10で読み込まれた先端探索範囲FRの画像データD1を対象として、右エッジ直線式を算出する。「右エッジ」は、先端探索範囲FRに含まれる画像データD1のうち、主走査方向Xで右側の端部に対応するエッジ画素である。「右エッジ直線式」は、右エッジが副走査方向Yに延びる形状L3の近似式である。
【0026】
S33では、S30~S32で直線式が算出された各形状L1~L3の交点である上側2頂点P1,P2の座標を算出する。具体的には、上側頂点P1は上エッジ直線式と左エッジ直線式との交点として算出することができる。上側頂点P2は上エッジ直線式と右エッジ直線式との交点として算出することができる。
【0027】
S34では、原稿M1の傾き角を算出する。S34で算出される傾き角は、主走査方向Xを基準(即ち、0度)とした場合の、上エッジ直線式の傾きに応じた角度である。S34の処理を終了すると、
図4のS12に進む。
【0028】
S12では、S11での先端検知処理で検出された2頂点P1,P2の座標と傾き角とを、メモリ17に記憶する。
【0029】
S13では、原稿M1に対して、探索範囲Hdを設定し、イメージセンサ18に探索範囲Hdの画像データを読み取らせる。
図7は、各探索範囲で原稿M1から読み取られた画像データD1を示しており、探索範囲Hdを破線により示している。探索範囲Hdは、副走査方向Yで所定ライン分(例えば、32ライン分)の範囲である。また、探索範囲Hdのうち、先端検知後に最初に読取りが行われる探索範囲Hd_1は、S11の先端検知処理で検出された上エッジの位置を基準として、副走査方向Yで所定ライン分の範囲である。以下では、S13で読み取られる所定ライン分の画像データを、「探索範囲Hdの画像データ」と記載する。なお、各探索範囲Hdを区別する場合は、S13での処理が行われた回数を示す識別子「n」を付す。
【0030】
図4のS14では、S13で読み込まれた探索範囲Hdの画像データに対して側端検知処理を実行する。側端検知処理は、探索範囲Hdの画像データから、原稿M1が含まれていることを示す特徴画像データを検知する処理である。側端検知処理では、探索範囲Hdの画像データから特徴画像データを検知した場合は、現在の探索範囲Hdにおける副走査方向Yで最も下流のラインの次のラインから新たな探索範囲Hdを設定して、画像データに対する検知を繰返す。
図8は、S14で実行される側端検知処理の詳細を示すフローチャートである。
【0031】
S40では、探索範囲Hd_1の画像データに、原稿の右辺を読み取ることで得られた複数のエッジ画素からなる疑似直線、便宜上、右エッジ直線と呼ぶ、が含まれているか否かを判断する。右エッジ直線が含まれている場合(S40:YES)、S46に進み、原稿なしフラグを初期化する。右エッジ直線は、原稿M1が原稿台20にセットされている場合、探索範囲Hdの画像データのうち、主走査方向Xで原稿M1の右辺に相当するエッジ画素による直線であり、特徴画像データの一例である。「原稿なしフラグ」は、探索範囲Hdの画像データに特徴画像データが含まれているか否かを示すフラグである。原稿なしフラグが初期値であれば、探索範囲Hdの画像データに特徴画像データが含まれていることを示している。一方、S40を否定判断すると、S41に進む。
【0032】
S41では、探索範囲Hd_1の画像データに、原稿の左辺を読み取ることで得られた
複数のエッジ画素からなる疑似直線である左エッジ直線が含まれているか否かを判断する。左エッジ直線は、原稿M1が原稿台20にセットされている場合、探索範囲Hdの画像データのうち、主走査方向Xで原稿M1の左辺に相当するエッジ画素による直線であり、特徴画像データの一例である。左エッジ直線が含まれている場合(S41:YES)、S46に進み、原稿なしフラグを初期化する。一方、S41を否定判断すると、S42に進む。なお、「エッジ直線」「直線」と記載しているが、正確な直線を意味するものではなく、直線と見なしてよい程度の、複数の画素の集合、という意味である。
【0033】
次に、S42,S43,S44では、探索範囲Hd_1の画像データに含まれる右領域A1、左領域A2、中央領域A3に対して、エッジ画素の密度を示す画素密度が判定値TH1以上であるか否かを判断する。探索範囲Hd_1の右領域A1は、探索範囲Hd_1に含まれる画像データのうち、S33で算出された右側の上側頂点P2のX座標を含む範囲である。探索範囲Hd_1の左領域A2は、探索範囲Hd_1に含まれる画像データのうち、S33で算出された左側の上側頂点P1のX座標を含む範囲である。中央領域A3は、主走査方向Xで、左右の各上側頂点P1,P2からの距離が同じ点のX座標を含む範囲である。各領域A1~A3は、主走査方向Xでの長さが定められており、例えば、主走査方向Xでの長さが、1cmである矩形領域である。
【0034】
後述するように、原稿M1に対して、探索範囲Hdが下流側に変更されると(S13)、変更後の探索範囲Hdに対しても、S42~S44の処理が行われる。探索範囲Hd_2以降の領域A1~A3の範囲は、S33で算出された2頂点P1,P2の各座標と、S34で算出された傾き角とを考慮して算出される。
【0035】
まず、S42では、探索範囲Hd_1の画像データに含まれる右領域A1の画素密度が判定値TH1以上であるか否かを判断する。右領域A1における画素密度が判定値TH1以上であれば、S46に進む。一方、S42を否定判断すると、S43に進む。原稿M1からの反射光をイメージセンサ18が読み取った画像データが右領域A1に含まれる場合は、画素密度は判定値TH1以上になる。一方で、原稿抑え23からの反射光をイメージセンサ18が読み取った画像データのみが右領域A1に含まれる場合は、基本的には、画素密度は判定値TH1未満になる。更に、原稿抑え32の、気体抜け穴25Aからの反射光をイメージセンサ18が読み取った画像データが右領域A1に含まれる場合は、画素密度は判定値TH1以上になる。
【0036】
S43では、探索範囲Hd_1の画像データにおける左領域A2の画素密度が判定値TH1以上であるか否かを判断する。左領域A2における画素密度が判定値TH1以上であれば、S46に進む。一方、S43を否定判断すると、S44に進む。
【0037】
S44では、探索範囲Hd_1の画像データにおける中央領域A3の画素密度が判定値TH1以上であるか否かを判断する。中央領域A3における画素密度が判定値TH1以上であれば、S46に進む。本実施形態では、S42,S43,S44で判断される画素密度が判定値TH1以上である画像データが、特徴画像データの一例である。
【0038】
S46で原稿なしフラグを初期化すると、S50に進み、状態フラグを「原稿あり」を示す値に設定する。即ち、現在設定されている探索範囲Hdに特徴画像データが含まれていることを検知する。S50を終了すると、
図4のS15に進む。
【0039】
なお、S40~S44の処理をいずれも否定判断した場合(S44:NO)、S45に進み、原稿なしフラグに「1」をプラスする。S47では、原稿M1に対する副走査探索長YHが、フォリオサイズでの副走査方向Yでの長さを示すフォリオ長H1よりも大きいか否かを判断する。「副走査探索長YH」は、探索済みの探索範囲Hdにおける、副走査
方向Yでの総長さである。例えば、設定された探索範囲が「探索範囲Hd_1」であれば、副走査探索長YHは、探索範囲Hdでの副走査方向長(例えば、32ライン分)になり、設定された探索範囲が「探索範囲Hd_2」であれば、副走査探索長YHは、探索範囲Hdでの副走査方向長を2倍した長さになる。
【0040】
副走査探索長YHがフォリオ長未満であるため、S47を否定判断すると、S49に進み、原稿なしフラグの値が2以上であるか否かを判断する。ここでは、原稿なしフラグは、「1」であるため、S50に進み、状態フラグを、「原稿あり」に設定する。即ち、副走査探索長YHがフォリオ長H1未満である期間では、探索範囲Hdから特徴画像データを2回連続して検知ない場合に、初めて、状態フラグが「原稿なし」に設定される。本実施形態では、コントローラ13が、S14で実行する処理が原稿検知処理の一例である。
【0041】
S50の処理を終了すると、
図4のS15に進み、状態フラグが「原稿あり」を示す値に設定されているため(S15:YES)、S19に進み、S13で設定された探索範囲Hdが、原稿台20の最終ラインに相当する位置であるか否かを判断する。探索範囲Hd_1は原稿台20の最終ラインではないため、S19を否定判断し、S20に進む。
【0042】
S20では、現在、設定されている探索範囲Hd_1での画像データである所定ライン分の画像データをメモリ17に記憶し、S13に進む。S13では、探索範囲Hd_1における副走査方向Yで下流側の端部から所定ライン分の画像データを、次の探索範囲Hd_2として設定し、設定された探索範囲Hd_2から画像データを読み取る。S14では、新たに読み取られた探索範囲Hd_2の画像データに対して、側端検知処理を実行する。
【0043】
以下、状態フラグが「原稿あり」に設定されていることを条件に、S14での側端検知処理が繰り返えされ、原稿M1に対する副走査探索長YHが増加していく。副走査探索長YHがフォリオ長H1よりも短い場合(S47:NO)、原稿なしフラグが2以上にならない限り(S49)、状態フラグは「原稿あり」に設定され、新たなに設定された探索範囲Hdの画像データに対して、S14での側端検知処理が実行される。
【0044】
一方、
図7に示されるように、S13で、原稿M1の下流側の端部よりも後を対象とする探索範囲Hd_Nが設定されると、探索範囲Hd_Nには原稿M1が存在しないため、S40~S44の条件が否定判断される。探索範囲Hd_Nが設定されたときの副走査探索長YHは、フォリオ長H1よりも大きいため(S47:YES)、S48に進み、状態フラグを、「原稿なし」を示す値に設定する。即ち、副走査探索長YHがフォリオ長H1を超えた場合は、状態フラグを「原稿なし」に設定する条件が、特徴画像データを2回連続で検出しない場合から、特徴画像データを1回でも検出しない場合に変更される。
【0045】
なお、
図7では、説明を容易にするため、原稿M1に対する側端検知処理が終了される探索範囲Hd_Nよりも副走査方向Yで下流側に探索範囲Hd’_N+1を記載している。探索範囲Hd’_N+1は、イメージセンサ18が気体抜け穴25Aに対応する画像データDhを読み取ると想定する場合の探索範囲Hdである。副走査探索長YHがフォリオ長H1よりも大きくなった後の探索範囲Hd_Nは、イメージセンサ18が気体抜け穴25Aに対応する画像データDhを読み取ると想定する場合の探索範囲Hd‘_N+1よりも副
走査方向Yで上流側の位置になる。
【0046】
仮に、探索範囲Hd‘_N+1に対して、
図8で示した側端検知処理を実行してしまうと、気体抜け穴25Aからの反射光をイメージセンサ18が読み取った画像データDhが右領域A1に含まれるため、コントローラ13は、S42を肯定判断し、原稿ありと判断することとなる(S50)。そのため、コントローラ13は、原稿台20にフォリオサイ
ズよりも副走査方向長が長い原稿がセットされていると誤検知してしまうこととなる。一方、本実施形態では、コントローラ13は、副走査探索長YHがフォリオ長以上であれば(S47:YES)、1度でも原稿なしを判断すると、イメージセンサ18が探索範囲Hd’_N+1で原稿抑え23の気体抜け穴25Aを読み取るよりも前に、側端検知処理を
終了する。
【0047】
図4のS15では、状態フラグが「原稿なし」を示しているため(S15:NO)、S16に進み、イメージセンサ18に、原稿M1の後端探索範囲RRに含まれる画像データを読み取らせる。本実施形態では、「後端探索範囲RR」を、側端検知処理が終了された探索範囲Hd(
図7では、探索範囲Hd_N)と、一つ前の探索範囲Hd(探索範囲Hd_N―1)とを足した範囲に設定している。これに限らず、後端探索範囲RRは、側端検知処理が終了した探索範囲Hdにおける副走査方向Yで下流側の端部のラインを基準として、上流側に所定ライン分の範囲として設定するものであってもよい。
【0048】
S17では、S16で読み取られた後端探索範囲RRの画像データに対して後端検知処理を実行する。
図9は、S17で実行される詳細な処理を示すフローチャートである。
図10は、原稿M1から側端検知処理により読取られた画像データを示している。
図10では、説明を容易にするために、後端探索範囲RRに含まれない画像データ(即ち、実際にはイメージセンサ18により読取られていない画像データ)を破線により示している。
【0049】
S60では、後端探索範囲RRの画像データから原稿の下流側の端部を読み取ることで得られた複数のエッジ画素からなる疑似直線、便宜上、下エッジ直線と呼ぶ、の直線式を算出する。
図10に示されるように、下エッジ直線は、後端探索範囲RRに含まれるエッジ画素のうち、副走査方向Yで下流側の端部に位置するエッジ画素である。下エッジ直線の直線式は、後端探索範囲RRに含まれる下エッジ直線の形状L4の近似式である。本実施形態では、下エッジ直線が、原稿M1における下流側の端部に対応するラインの位置の一例である。
【0050】
S61では、後端探索範囲に含まれる画像データから原稿M1の傾き角と、下側2頂点P3,P4の座標を算出する。S61で算出される原稿M1の傾き角は、主走査方向Xを基準とした下エッジ直線の傾きを示す角度である。下側頂点P3は、下エッジ直線を通る点のうち、主走査方向Xでの座標が上側頂点P1と同じになる点である。下側頂点P4は、下エッジ直線を通る点のうち、主走査方向Xでの座標が上側頂点P2と同じになる点である。
【0051】
S62では、先端検知処理で算出された傾き角と、後端検知処理で算出された傾き角とが同じ角度であるか否かを判断する。S62を肯定判断すると、S63に進み、後端検知処理が成功と判断する。S64では、S62で一致が確認された傾き角と、S12でメモリ17に記憶された上側2頂点P1,P2の座標、及び下側2頂点P3,P4の座標とを不図示の回転回路に設定することで、画像データD1から原稿領域をトリミングする。
図10において、画像データD1のうち、ハッチングが付されていない箇所が原稿領域であり、ハッチングが付された箇所が、後端探索範囲RRに含まれる画像データのうち、トリミングにより除去される画像データである。
図10に示されるように、トリミングにより抽出される画像データにおける副走査方向長は、フォリオ長H1に応じた長さである。本実施形態では、コントローラ13が実行するS64の処理が削除処理の一例である。
【0052】
図4のS18に進み、原稿M1の副走査方向長を、S64でトリミングされた画像データD1を用いて決定する。S18の処理を終了すると、
図4の処理を終了する。一方、後端検知処理において、傾き角が一致していないと判断すると(S62:NO)、S65に
進み、後端検知処理が失敗であると判断する。この場合、後端探索範囲RRの画像データから原稿領域がトリミングされることなく、
図4のS18に進む。S18では、画像デー
タD1から原稿M1の副走査方向長を決定し、
図4の処理を終了する。なお、S64での原稿領域のトリミングが実行される場合、及び実行されない場合のいずれにおいても、
図10に示されるように、側端検知処理が終了された探索範囲Hd_Nは、気体抜け穴25Aに対応する画像データDhが含まれると想定される探索範囲Hd_N’+1よりも副走
査方向Yで上流側にあるため、後端探索範囲RRには、気体抜け穴25Aに対応する画像データDhが含まれていない。
【0053】
次に、原稿台20にフォリオサイズよりも副走査方向長が短いレターサイズの原稿M2をセットした場合を例に説明を行う。以下では、原稿M2を読み取ることで得られる画像データに符号D2を付す。
図4のS14では、S13で読み取られた探索範囲Hd_1での画像データに対して側端検知処理を実行する。
図11に示されるように、原稿M2から読取られた画像データに対して、S14での側端検知処理が繰返し実行されることで、原稿M2に対して設定される探索範囲Hdが副走査方向Yで下流側に移動し、副走査探索長YHが増加していく。副走査探索長YHがフォリオ長H1よりも短い期間では、S40~S44のいずれかの条件が肯定判断される。そのため、S50で、状態フラグを「原稿あり」に設定し、新たに設定された探索範囲Hdの画像データに対して側端検知処理が実行される。
【0054】
一方、
図11に示されるように、原稿M2の下流側の端部よりも後の探索範囲Hd_M-1が設定されると、探索範囲Hd_M-1には原稿M2が存在しないため、S40~S44の条件が否定判断され、S45で原稿なしフラグに1をプラスする。この例では、副走査探索長YHは、フォリオ長H1よりも短く(S47:NO)、S49に進み、原稿なしフラグが2未満であるため(S49:NO)、S50に進む。S50では、状態フラグを、「原稿あり」に設定し、
図4のS15に進む。S15を肯定判断して、S19に進むと、探索範囲Hd_M―1が最終ラインではないため(S19:NO)、S20に進む。S13で、次の探索範囲Hd_Mの画像データをイメージセンサ18に読み取らせ、S14の側端検知処理を行う。
【0055】
探索範囲Hd_Mには原稿M2が存在しないため、S40~S44の条件が否定判断され、S45で原稿なしフラグに1をプラスすることで原稿なしフラグが2に設定される。副走査探索長YHは、フォリオ長H1よりも短く(S47:NO)、S49に進み、原稿なしフラグが2以上であるため(S49:YES)、S48に進み、状態フラグを「原稿なし」に設定する。即ち、副走査方向Yの長さがフォリオ長H1よりも短い原稿M2に対しては、副走査探索長YHがフォリオ長H1となる前に、原稿なしの判定が2回連続して行われ、状態フラグが「原稿なし」に設定される。
【0056】
図4のS15では、状態フラグが「原稿なし」を示しているため(S15:NO)、S16に進み、イメージセンサ18に、原稿M2の後端探索範囲RRに含まれる画像データを読み取らせる。S17では、S16で読み取られた後端探索範囲RRの画像データに対して後端検知処理を実行する。
【0057】
原稿M2の副走査方向長は、フォリオ長H1よりも短いため、
図11に示されるように、後端探索範囲RR(Hd_M―1+Hd_M)は、気体抜け穴25に対応する画像データDhが含まれると想定される位置よりも上流側に設定されている。そのため、後端探索範囲RRには気体抜け穴25に対応する画像データDhが含まれていない。
【0058】
次に、原稿台20にフォリオサイズよりも副走査方向長が長いリーガルサイズの原稿M3をセットした場合を例に説明を行う。以下では、原稿M3を読み取ることで得られる画
像データに符号「D3」を付す。
図4のS14では、S13で読み取られた探索範囲Hdの画像データに対して側端検知処理を実行する。
図12に示されるように、画像データD3に対して、S14での側端検知処理が繰り返えされることで、副走査探索長YHが増加していく。本実施例では、原稿M3の下流側の端部に対応する探索範囲Hd_Kが設定される場合も、探索範囲Hd_Kに原稿M3が存在するため、S40~S44の条件が肯定判断され、S46で原稿なしフラグが初期化される。S50で、状態フラグが「原稿あり」に設定される。
図4のS15を肯定判断して、S19に進むと、探索範囲Hd_Kが最終ラインであるため(S19:YES)、S18に進む。S18では、画像データD3から、副走査方向長を決定する。
【0059】
この例では、原稿M3は、フラットベッド21の下流側の端部まで達しているため、原稿抑え23の気体抜け穴25はイメージセンサ18により読取られることはない。そのため、画像データD3には気体抜け穴25の画像データDhが含まれていない。
【0060】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することができる。
イメージセンサ18が、原稿と共に、原稿よりも下流側に位置する気体抜け穴25Aを読み取る前に側端検知処理を終了し、気体抜け穴25Aが読み取られることによる影響を低減することができる。
また、原稿が、右エッジ直線の検出(S40)、左エッジ直線の検出(S41)の少なくとも片方がしづらい、厚み、縁の形状、材質などの特徴を持つ場合がある。また原稿が、テキストやイメージなどの記載が、ページ面の一部の範囲に偏っている、という特徴を持つ場合がある。S40~S44のいずれかがYESであればS46に進む構成にしたことで、前記した特徴を持つ原稿であっても、状態フラグを「原稿あり」を示す値に設定している(S50)。また、原稿の副走査方向のサイズがフォリオ以上であるならば、S40~S44のいずれもがNOであれば、さらに側端検知処理(S14)を実行することなく、状態フラグを「原稿なし」を示す値に設定している(S48)。すなわち、前記した特徴を持つ原稿であっても、後端検知処理(S17)にて、副走査方向で、原稿の後端よりも上流の画像データをトリミングしてしまうことや、原稿の後端よりも遥かに下流の画像データをトリミングしてしまうことなく、原稿の後端を含む探索範囲Hd内の画像データをトリミングすることができる(S64)。
【0061】
フォリオサイズの原稿をフラットベッド21にセットした場合、レターサイズ原稿をフラットベッド21にセットした場合、リーガルサイズ原稿をフラットベッド21にセットした場合、いずれの場合も、気体抜け穴25Aが読み取られることによる影響を低減することができる。
【0062】
コントローラ13は、側端検知処理において、先端検知処理により検出された上流側の端部に対応する上エッジから、副走査方向Yで所定ライン毎の画像データに対して、検知を開始するように構成されている。これにより、側端検知処理における検知開始位置を、画像データにおける原稿領域の端部から開始することができる。
【0063】
コントローラ13は、後端検知処理において、特徴画像データが検知された所定ライン分の画像データに基づいて、原稿における下流側の端部に対応するラインの位置を決定し、決定された下流側の端部に対応するラインよりも後の画像データを削除する。これにより、トリミングにより画像データから抽出する原稿領域の後端を精度よく定めることができる。
【0064】
(その他の実施形態)
本実施形態で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能
である。
上述の実施形態では、原稿抑え23の気体抜け穴25Aがイメージセンサ18により読取られることによる影響を低減させたが、これに限らない。原稿抑え23の特定の部分の形状が、特定の部分からの反射光をイメージセンサ18が読取ることで生成された画像データがA1に含まれる場合、画素密度がTH1以上になるような形状であっても、特定の部分の位置を、気体抜け穴25Aと同様の、探索範囲Hd_Nに含まれない位置である構造にしておき、コントローラ13が、上述の実施形態に示した処理を実行するようにすれば、原稿抑え23の特定の部分がイメージセンサ18により読取られることによる影響を低減させることができる。また、原稿抑え23の特定の部分に、原稿カバー22の影が透過しており、特定の部分からの反射光をイメージセンサ18が読取ることで生成された画像データがA1に含まれる場合、画素密度がTH1以上になるような構成であっても、特定の部分の位置を、気体抜け穴25Aと同様の、探索範囲Hd_Nに含まれない位置である構造にしておき、コントローラ13が、上述の実施形態に示した処理を実行するようにすれば、原稿抑え23の特定の部分がイメージセンサ18により読取られることによる影響を低減させることができる。
【0065】
上述の実施形態では、第1サイズの原稿は、フォリオサイズの原稿であり、第2サイズの原稿はリーガルサイズの原稿であった。これに限らず、第1サイズの原稿はフォリオサイズ以外の原稿であってもよい。この場合において、S47で、副走査探索長YHを、対象となる原稿の副走査長に応じた長さと比較し、肯定判断したらS48に進み、否定判断したらS49に進めばよい。この場合において、第2サイズの原稿は、第1サイズの原稿よりも副走査方向長が長い原稿であればよい。
【0066】
読取装置としてMFP10を説明したことは一例である。これに代えて、読取装置は、スキャナ14のみを有し、プリンタ15を有さない装置であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…MFP、13…コントローラ、17…メモリ、18…イメージセンサ、20…原稿台、21…フラットベッド、22…原稿カバー、25A,25B…気体抜け穴、YH…副走査探索長、FR…先端探索範囲、Hd…探索範囲、RR…後端探索範囲、X…主走査方向、Y…副走査方向