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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153560
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】平海苔束の結束装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20231011BHJP
   B65B 27/08 20060101ALI20231011BHJP
   B65B 13/20 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A23L17/60 103Z
B65B27/08 Z
B65B13/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062911
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】392024699
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100086092
【弁理士】
【氏名又は名称】合志 元延
(72)【発明者】
【氏名】川島 一美
【テーマコード(参考)】
3E052
4B019
【Fターム(参考)】
3E052AA33
3E052BA11
3E052CA20
3E052CB03
3E052CB05
3E052CB07
3E052DA07
3E052GA08
3E052HA01
3E052JA01
3E052JA14
4B019LT71
(57)【要約】
【課題】第1に、平海苔束の結束が、確実かつ安定的に支障なく実現され、第2に、その際、平海苔束への負荷,ダメージ,損傷発生も回避される、平海苔束の結束装置を提案する。
【解決手段】この平海苔束Aの結束装置1は、海苔の生産工程で使用され、コンベア2,プレス板3,結束機4,押し出し部材5等を、有している。コンベア2は、平海苔束Aを載せて前方に搬送する。プレス板3は、下位のベース位置と上位のトップ位置との間で、昇降動可能である。そして搬送停止された平海苔束Aを、ベース位置より上で乗り移らせ、積載,上昇して、トップ位置でプレス受けとの間でプレス圧縮する。結束機4は、圧縮された平海苔束Aを、プレス板3と共に結束帯で結束する。押し出し部材5は、圧縮,結束,降下された平海苔束Aを結束帯と共に、プレス板3から押し出し,抜き出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔の生産工程で使用される平海苔束の結束装置であって、コンベア,プレス板,結束機,押し出し部材を、有しており、
該コンベアは、平海苔束を一束ずつ載せて前方に搬送し、
該プレス板は、下位のベース位置と上位のトップ位置との間で昇降動可能であり、搬送停止された平海苔束を、ベース位置より上で乗り移らせ,積載,上昇して、トップ位置でプレス受けとの間で下側からプレス圧縮し、
該結束機は、圧縮された平海苔束を、該プレス板と共に結束帯で結束し、
該押し出し部材は、圧縮,結束,降下された平海苔束を結束帯と共に、該プレス板から押し出し,抜き出し、もって、結束帯で結束された平海苔束を得ること、を特徴とする平海苔束の結束装置。
【請求項2】
請求項1において、該コンベアは、ひもコンベアよりなり、該結束機は、圧縮された平海苔束を、上下左右にわたり結束帯で巻回して結束し、その際、該プレス板も共に結束すること、を特徴とする平海苔束の結束装置。
【請求項3】
請求項1において、該プレス板は、左右に分割されており、該押し出し部材は、分割された該プレス板間の間隔を前後に往復動可能となっていること、を特徴とする平海苔束の結束装置。
【請求項4】
請求項1において、該プレス板は、前端部下に補助プレス板を備えており、該補助プレス板は、該プレス板に対し、密接位置と離反位置とに上下変位可能であり、
密接位置では、該プレス板と連動して平海苔束をプレス圧縮可能であり、離反位置では、該プレス板との間に形成される隙間を利用して、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し,抜き出しが可能となっていること、を特徴とする平海苔束の結束装置。
【請求項5】
請求項1において、該プレス板は、ミリ単位の肉厚が薄い薄板よりなり、もって、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し,抜き出しに際し、該プレス板による負荷が緩和されること、を特徴とする平海苔束の結束装置。
【請求項6】
請求項5において、該プレス板は、平海苔束の横幅に比し、同程度以下から若干狭い程度の横幅よりなり、もって、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し,抜き出しに際し、該プレス板による負荷が緩和されること、を特徴とする平海苔束の結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔の生産工程で使用される、平海苔束の結束装置に関する。すなわち、折曲されない平海苔のままの海苔束を、結束する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海苔(乾海苔)の生産工程では、生海苔摘採,水洗,抄き,脱水,乾燥等の前工程の後、検査,カウント集積,(折曲),結束等の後工程を辿って、海苔が生産されて出荷されている。
後工程において、乾燥後に検査された平海苔は、例えば10枚等の海苔束としてカウント集積された後、代表的には二つ折りに折曲され、結束されて出荷されている。
このような従来例1(代表例,一般例)に対し、海苔束を折曲,結束することなく、平らに広げた平海苔のまま結束,出荷する従来例2も、マーケットニーズにより増加しつつある。50枚や100枚の平海苔束として、結束,出荷する従来例2も、最近増加してきている。
すなわち、生産,出荷された海苔は、事後、2次乾燥、そして焼き海苔,味付け海苔等の2次加工に供されることも多く、その際、前述した折曲,結束していた従来例1においては、結束を解き折曲を再度伸ばして、元の平海苔として乾燥,加工に供されていた。
これに対し、このような伸ばす手間を省くべく、平海苔のまま結束,出荷する従来例2も多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
このように折曲することなく、平海苔のまま結束,出荷する従来例2の装置としては、例えば次の特許文献1,2中に示されたものが挙げられる。
【特許文献1】特開2006-101809号公報
【特許文献2】特開2006-101810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《従来技術》
特許文献1,2の平海苔束の束ね装置(結束装置)は,所定のエレベータ,支持板,圧縮板,束ね紙送り装置(チャッカー),シリンダ等を組み合わせた構造よりなる。
そして、平海苔の結束部分がプレス圧縮されない部分プレスよりなるので、結束部分が膨れた状態で結束されてしまい、海苔へのダメージ,損傷が懸念される。更に、複数のシリンダを駆動源とするので、プレス安定性等にも懸念がある。
そこで、従来例2の平海苔束の結束装置については、更に新たな構造のものの出現が切望されている状況にある。新たな平海苔束の結束装置の開発が、課題となっていた。
【0005】
《本発明について》
本発明の平海苔束の結束装置は、このような実情に鑑み、斯かる課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、平海苔束の結束が、確実に安定的に支障なく実現され、第2に、その際、平海苔束へのダメージ,損傷も回避される、平海苔束の結束装置を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1の平海苔束の結束装置は、海苔の生産工程で使用され、コンベア,プレス板,
結束機,押し出し部材を、有している。該コンベアは、平海苔を一束ずつ載せて前方に搬送する。
該プレス板は、下位のベース位置と上位のトップ位置との間で昇降動可能であり、搬送停止された平海苔束を、ベース位置より上で乗り移らせ,積載,上昇して、トップ位置でプレス受けとの間で下側からプレス圧縮する。
該結束機は、圧縮された平海苔束を、該プレス板と共に結束帯で結束する。該押し出し部材は、圧縮,結束,降下された平海苔束を結束帯と共に、該プレス板から押し出し,抜き出す。もって、結束帯で結束さ平海苔束を得ること、を特徴とする。
【0007】
請求項2については。次のとおり。
請求項2の平海苔束の結束装置は、請求項1において、該コンベアは、ひもコンベアよりなる。該結束機は、圧縮された平海苔束を、上下左右にわたり結束帯で巻回して結束し、その際、該プレス板も共に結束すること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。
請求項3の平海苔束の結束装置は、請求項1において、該プレス板は、左右に分割されており、該押し出し部材は、分割された該プレス板間の間隔を往復動可能となっていること、を特徴とする、
【0008】
請求項4については次のとおり。
請求項4の平海苔束の結束装置は、請求項1において、該プレス板は、前端部下に補助プレス板を備えている。そして該補助プレス板は、該プレス板に対し、密接位置と離反位置とに上下変位可能である。
そして密接位置では、該プレス板と共に連動して、平海苔束をプレス圧縮可能である。離反位置では、該プレス板との間に形成される間隔を利用して、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し、抜き出しが可能となること、を特徴とする。
請求項5については、次のとおり。
請求項5の平海苔束の結束装置は、請求項1において、該プレス板は、ミリ単位の肉厚が薄い薄板よりなる。もって、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し,抜き出しに際し、該プレス板による負荷が緩和されること、を特徴とする。
請求項6については、次のとおり。
請求項6の平海苔束の結束装置は、請求項5において、該プレス板は、平海苔束の横幅に比し、同程度以下から若干狭い程度の横幅よりなる。もって、結束帯下部の該プレス板下からの押し出し,抜き出しに際し、該プレス板による負荷が緩和されること、を特徴とする装置。
【0009】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)この平海苔束の結束装置は、海苔の生産工程で使用される。
(2)そしてまず平海苔束が、結束機下に搬入される。なお、プレス板と補助プレス板は、結束機下のベース位置にある。補助プレス板は、プレス板に対し離反位置にある。押し出し部材は、前進位置にある。
(3)それから平海苔束は、結束機に向け上昇される。すなわちプレス板と、密接位置に変位した補助プレス板とが、下位のベース位置から上昇し、平海苔束を積載して更に上昇する。
(4)そして平海苔束は、プレス圧縮された後、結束される。すなわち、プレス板と補助プレス板が、トップ位置で停止して平海苔束をプレス圧縮する。それから結束機が、圧縮された平海苔束をプレス板と共に、結束帯で結束する。
その間、押し出し部材が、前進位置から後退位置へと移動する。
(5)圧縮,結束された平海苔束は、降下される。すなわち、プレス板と補助プレス板が降下し、平海苔束も降下する。事後、補助プレス板は、密接位置から離反位置へと変位する。
(6)しかる後、平海苔束が結束帯と共に、プレス板から押し出し,抜き出しされる。すなわち押し出し部材が、後退位置から前進位置に移動することにより、結束帯で結束された平海苔束が、押し出し,抜き出しされる。
(7)なお、このような押し出し,抜き出しに際し、結束帯下部は、プレス板と離反位置の補助プレス板との間に形成された隙間を利用して、プレス板下からの押し出し,抜き出しされる。
(8)ところで、プレス板の前端部下に補助プレス板を配したこと、更に、プレス板を薄い肉厚としたこと、平海苔束以下の横幅としたこと等によって、プレス板下からの押し出し,抜き出しに際し、プレス板による負荷が一層緩和される。平海苔束下部や特に結束帯下部に対する負荷が、緩和される。
(9)以上のように本発明の結束装置は、平海苔束について、(a)下側からのプレス圧縮、(b)プレス板と共にする結束、(c)プレス板からの押し出し,抜き出し、等を特徴とする。
もって、平海苔束や結束帯への摩擦,負荷が緩和され、そのダメージ,損傷が防止される。
【発明の効果】
【0010】
《第1の効果》
第1に、平海苔束の結束が、確実かつ安定的に支障なく実現される。
本発明の平海苔束の結束装置では、平海苔束を、(a)下側から全体的にプレス圧縮し、(b)プレス板と共に結束してから、(c)プレス板から押し出し,抜き出す等、これ迄にない(a),(b),(c)の独特の方式を採用したこと、を特徴とする。
そして、補助プレス板,プレス板の肉厚,幅の設定等も加わり、平海苔束や結束帯への負荷が緩和されつつ、平海苔束の結束が、確実かつ安定的に支障なくスムーズに実現される。
【0011】
《第2の効果》
第2に、平海苔束へのダメージ,損傷が回避される。
本発明の平海苔束の結束装置では、上述したように、平海苔束や結束帯への負荷が緩和されつつ、結束が実現される。もって結束に際し、平海苔束について、破れ,しわ,乱れ,散乱,折曲,湾曲,変形,破損等々が発生することは、回避される。
平海苔束について、品質上,取り扱い上,見栄え上、問題が生じることがなく、ダメージ発生は回避される。平らに広げられたままの海苔であり、ダメージを受けやすい平海苔束ではあるが、その損傷は回避される。
このように、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る平海苔束の結束装置について、発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図は正面説明図、(2)図は側面説明図である。
図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、工程全体の正面説明図である。そして(1)図は第1行程、(2)図は第2工程、(3)図は第3工程を示す。
図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、工程全体の正面説明図である。そして(1)図は第4工程、(2)図は第5工程を示す。
図4】同発明を実施するための形態の説明に供し、結束機による結束工程の側面説明図である。そして(1)図,(2)図,(3)図は、工程1,2,3を示す
図5】同発明を実施するための形態の説明に供し、結束機による結束工程の側面説明図である。そして(1)図,(2)図,(3)図は、工程4,5,6を示す。
図6】同発明を実施するための形態の説明に供し、結束機による結束工程の側面説明図である。そして、(1)図,(2)図は、工程7,8を示す。
図7】同発明を実施するための形態の説明に供する。そして(1)図,(2)図は正面説明図であり、結束された平海苔束について、(1)図は、プレス板からの押し出し,抜き出し前を示し、(2)図は、プレス板からの押し出し,抜き出し後を示す。 (3)図,(4)図は側面説明図であり、結束された平海苔束について、(1)図は、プレス板からの押し出し,抜き出し前を示し、(2)図は、プレス板からの押し出し,抜き出し後を示す。 (5)図,(6)図は斜視説明図であり、平海苔束について、(5)図は結束前を、(6)図は結束後を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
《本発明の概要》
本発明の概要については、次のとおり。
本発明の平海苔束Aの結束装置1は、海苔の生産工程で使用され、コンベア2,プレス板3,結束機4,押し出し部材5等を、有している。
コンベア2は、平海苔束Aを一束ずつ載せて、前方に搬送する。
プレス板3は、下位のベース位置Bと上位のトップ位置Cとの間で、昇降動可能である。そして、搬送停止された平海苔束Aを、ベース位置Bより上で乗り移らせ,積載,上昇して、トップ位置Cで、プレス受けとの間で下側からプレス圧縮する。
結束機4は、圧縮された平海苔束Aを、プレス板3と共に結束帯Dで結束する。
押し出し部材5は、圧縮,結束,降下された平海苔束Aを結束帯Dと共に、プレス板3から押し出し,抜き出す。もって、結束帯Dで結束された平海苔束Aを得ること、を特徴とする。
本発明の概要については、以上のとおり。以下、このような本発明について詳述する。
【0014】
《コンベア2等について》
まず、図1図2図3を参照して、結束装置1のコンベア2等について、説明する。
コンベア2は、平海苔束Aを一束ずつ載せて、前方に搬送する。平海苔束Aは、前工程のカウント集積工程から、折り曲げない平海苔のまま、50枚や100枚等の束に集積されて供給される(図7の(5)図も参照)。
1枚の平海苔は、長さ210mm(~230mm、更には275mm)×幅190mm(~200mm)程度の寸法で、略長方形の薄いシート状をなす。
コンベア2は、ひもコンベアよりなる。そして、少なくとも結束機4下に至るまで配設されている。2本のひも間の左右幅間隔は、平海苔束Aの左右幅より狭くなっている。図1の(1)図中、6は、コンベア2の駆動機構のモータである。
図1に示したように、コンベア2について、結束機4下の手前に整列部7が配設されている。
整列部7は、コンベア2の左右外側にそれぞれ配された一対のセンター合わせ板よりなり、平海苔束Aについて、左右幅中心がプレス板3中心を通るように、センター合わせする。センサ8が、搬送されてきた平海苔束Aの到達を検出すると、コンベア2が一時停止して、整列部7がセンター合わせする。図1の(1)図中、9は、整列部7の駆動機構のモータである。
コンベア2等については、以上のとおり。
【0015】
《プレス板3について(その1)》
次に、図1図2図3等を参照して、結束装置1のプレス板3について、その概要を説明する。
プレス板3は、下位のベース位置Bと上位のトップ位置Cとの間で、昇降動可能である。もって、搬送停止された平海苔束Aを、ベース位置Bより若干上で乗り移らせ、積載,上昇して、トップ位置Cでプレス圧縮する。
このようなプレス板3について、更に詳述する。センサ10が、搬送されてきた平海苔束Aの結束位置到達を検出すると、コンベア2が停止し、平海苔束Aが結束機4下の結束位置で停止する。
それからプレス板3が、それ迄の下位のベース位置Bから上昇することにより、平海苔束Aを停止したコンベア2上から乗り移らせる。そして、平海苔束Aを積載して上昇し、トップ位置Cで停止してプレス圧縮する。プレス受けとして、図示例では結束機4の下面板11が利用されている。
図1の(1)図中、12は、プレス板3の駆動機構13のモータであり、駆動機構13にはカム14が用いられている。
なお、プレス板3によるプレス圧縮に関しては、例えば、エンコーダを使用した検出制御に基づき、モータ12の回転をインバータ制御することにより、トップ位置Cそしてプレス圧が、適切に選択,設定,一定化され、管理,維持される。サーボモータやパルスモータの使用も考えられる。
プレス板3の概要については、以上のとおり。
【0016】
《結束機4について》
次に、図1図4図6等を参照して、結束装置1の結束機4について、説明する。
結束機4は、結束位置のコンベア2上方に、立設,配置されている。そして、プレス板3にて圧縮された平海苔束Aを、プレス板3と共に結束帯Dで結束する。
すなわち結束機4は、圧縮された平海苔束Aを、その前後中央で上下左右にわたり結束帯Dで巻回して結束し、その際、プレス板3も共に結束する。結束帯Dとしては、幅広帯状の紙テープが使用される。
【0017】
このような結束機4について、更に詳術する。結束機4としては、紙幣束,シート束,その他の結束用の市販,公知の帯掛機が使用される(例えばストラパック株式会社製のOB-360N帯掛機)。
結束機4による結束工程について、図4図6の例を説明する。図中Eは、結束帯D用のロール紙やテープ紙、15は、送り出し用兼巻き戻し用のローラー、16は、溶着,切断部である。
図4の(1)図の工程の初期状態から、→図4の(2)図の工程で、ロール紙Eが送り出されて、周囲へとガイドされる。→それから図4の(3)図の工程では、平海苔束Aがプレス板3に積載される。
→次に、図5の(1)図の工程では、積載,上昇された平海苔束Aが、プレス板3と結束機4下面板11間で、プレス圧縮される。→そして図5の(2)図の工程で、ロール紙Eが巻き戻されることにより、→図5の(3)図の工程で、ロール紙Eが結束帯Dとなって、平海苔束Aやプレス板3を、巻き回し,締め付け,結束する。
もって結束帯Dは、溶着切断部16にて、一端部と他端部間が熱溶着シールされると共に、端が切断される。
→そして図6(1)図の工程で、結束された平海苔束Aとプレス板3とが降下されると共に、次のロール紙Eが送り出される。→もって図6の(2)図の工程で、結束された平海苔束Aが、プレス板3から押し出し,抜き出されると共に(図7の(1)図~(4)図も参照)、次の平海苔束A待ちの状態となる。
結束機4については、以上のとおり。
【0018】
《押し出し部材5について》
次に、図1図2図3等を参照して、結束装置1の押し出し部材5について、説明する。
押し出し部材5は、圧縮,結束,降下された平海苔束Aを結束帯D共に、プレス板3から押し出し,抜き出す。プレス板3は、左右に分割されており、押し出し部材5は、分割されたプレス板3間の間隔を、前後に往復動可能となっている。
【0019】
このような押し出し部材5について、更に詳述する。まず、図示のプレス板3は,中央板3,サイド板3,サイド板3に、3分割されており、それぞれ間に間隔が形成されている(図1の(2)図の側面図を参照)。
そして、2本の押し出し部材5が、形成された2本の間隔内を、それぞれ前進位置F(図2の(1図),(2)図,図3の(2)図等を参照)と、後退位置G(図2の(3)図,図3の(1)図等を参照)とに、モータ等を備えた駆動機構により往復移動可能となっている。
そこで押し出し部材5は、平海苔束Aがまだ圧縮されていない工程では、前進位置Fにある。(図2の(1)図,(2)図)。→それから、平海苔束Aが上昇,圧縮,結束されると、前進位置Fから後退位置Gに後退移動する(図2の(3)図)。
→そして、平海苔束Aが降下してくると(図3の(1)図)、→後退位置Gから前進位置Fへと前進することにより、プレス板3から、平海苔束Aを結束帯Dと共に押し出し,抜き出す(図3の(2)図)(図7の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。→もって、結束帯Dで結束された平海苔束Aが得られる。
押し出し部材5については、以上のとおり。
【0020】
《補助プレス板17について》
次に、図1図2図3図7の(1)図~(4)図等を参照して、結束装置1の補助プレス板17について、説明する。
前述したメインのプレス板3は、前端部下にサブの補助プレス17を備えている。そして補助プレス板17は、プレス板3に対し密接位置Hと離反位置Jとに、上下変位可能である。
密接位置Hでは、プレス板3と共に連動する。離反位置Jでは、プレス板3との間に形成される隙間を利用して、結束帯Dの下部D´の押し出し,抜き出しが行われる。
【0021】
このような補助プレス板17について、更に詳述する。まず、図示のプレス板3は、前述したように中央板3,サイド板3に,サイド板3に3分割されているので、3個の補助プレス板17が、それぞれについて、その前端部下に付設されている。
そして、3個の補助プレス板17は、それぞれ、プレス板3下に密着した密接位置H(図2の(2)図,(3)図を参照)と、プレス板3下から離反して隙間が形成される離反位置J(図2の(1)図,図3の(1)図,(2)図を参照)とに、上下変位可能となっている。
もって密接位置Hでは、プレス板3と共に連動して、平海苔束Aをプレス圧縮可能である。
これに対し離反位置Jでは、プレス板3との間に形成される上下隙間を利用して、それまでプレス板3をも結束していた結束帯Dの下部D´について、プレス板3下からの押し出し,抜き出しが、行われる(図3の(1)図を参照)(図7の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。
図1の(1)図中、18は、補助プレス板17の駆動機構19のカムである。この駆動機構19は、前述したプレス板3の駆動機構13のモータ12を共用し、1台のモータ12で、それぞれのカム14,18を介することにより、プレス板3と補助プレス板17が、共働して駆動されるようになっている。
従って、それぞれのトップ位置Cそしてプレス圧の設定,管理,維持については、プレス板3について前述した所に準じるが、上述した共働駆動の面からも、これらがより適切に行われるようになる。
補助プレス板17については、以上のとおり。
【0022】
《プレス板3について(その2)》
次に、図1図7の(1)図~(4)図を参照して、プレス板3の肉厚や横幅について、説明する。
まずプレス板3は、肉厚がミリ単位、例えば2mm以上~5mm以下の薄板よりなる。もって、結束帯Dの下部D´のプレス板3下からの押し出し,抜き出しに際し、プレス板3による負荷の緩和機能を発揮する。
すなわち、結束された平海苔束Aおよび結束帯Dを、プレス板3下から押し出し,抜き出す際、平海苔束A下部、特に結束帯Dの下部D´が、プレス板3にて負荷荷重を受けることが、緩和,減少される。プレス板3の肉厚が薄いので、肉厚が厚い場合に比べ負荷荷重が緩和,減少され、もって押し出し,抜き出しが容易化する(図7の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。
又、プレス板3は、平海苔束Aの横幅に比し、同程度以下から~若干狭い程度の横幅よりなる。もって、結束帯Dの下部D´のプレス板3からの押し出し,抜き出しに際し、プレス板3による負荷の緩和機能を発揮する。
すなわち、結束された平海苔束Aおよび結束帯Dを、プレス板3下から押し出し,抜き出す際、平海苔束A下部、特に結束帯Dの下部D´が負荷加重を受けることが、緩和,減少される。プレス板3の横幅が狭いので、横幅が広い場合に比べ負荷加重が緩和,減少され、もって、押し出し,抜き出しが容易化する(図7の(3)図→(4)図も参照)。
プレス板3の肉厚や横幅については、以上のとおり。
【0023】
《作用等》
本発明は、以上説明したように構成されている。そこで、以下の第1工程~第5工程を辿る。
(1)本発明の平海苔束Aの結束装置1は、海苔を平海苔のまま曲げないで出荷する、海苔の生産工程で使用される。
【0024】
(2)まず、図2の(1)図の第1工程において、平海苔束Aが搬送されてくる(図1の(1)図,図7の(5)図も参照)。
すなわち、前工程でカウント集積された例えば100枚束の平海苔束Aが、コンベア2にて搬入され、整列部7にてセンター合わせされる(図1も参照)。
プレス板3と補助プレス板17は、結束機A下でコンベア2下の下位のベース位置Bに位置する。補助プレス板17は、プレス板3に対し離反位置Jにある。押し出し部材5は、前進位置Fにある。
そしてセンサ10が、搬入されてきた平海苔束Aを検出すると、コンベア2が停止し、1束の平海苔束Aが結束位置で停止する。
【0025】
(3)それから、図2の(2)図の第2工程において、平海苔束Aは、結束機4に向け上昇される。
すなわちプレス板3と、密接位置Hに変位した補助プレス板17とが、下位のベース位置Bから上昇し、平海苔束Aを積載して、上位の結束機4に向け更に上昇する(モータ12正転)。押し出し部材5は、前進位置Fにある。
【0026】
(4)そして、図2の(3)図の第3工程において、平海苔束Aは、プレス圧縮された後、結束される。
すなわち、プレス板3と密接位置Hの補助プレス板17とが、トップ位置Cで停止し、プレス受けである結束機4の下面板11との間で、積載する平海苔束Aをプレス圧縮する(モータ12一時停止)。
それから、結束機4が作動し、もって圧縮された平海苔束Aを、プレス板3と共に結束帯Dで結束する(図4図5も参照)。その間、プレス板3下に形成された下位空間を、押し出し部材5が、それ迄の前進位置Fから後退位置Gへと移動する。
【0027】
(5)しかる後、図3の(1)図の第4行程において、圧縮,結束された平海苔束Aが、降下される(図6の(1)図も参照)。
すなわちプレス板3と、密接位置Hの補助プレス板17とが、それ迄のトップ位置Cから降下し(モータ12逆転)、コンベア2の直上で停止する(モータ12停止)。もって積載,結束された平海苔束Aも、降下,停止される。
事後、補助プレス板17は、それまでの密接位置Hから離反位置Jへと変位し、プレス板3との間に隙間が形成される。
【0028】
(6)もって、図3の(2)図の第5工程において、平海苔束Aが結束帯Dと共に、プレス板3から押し出し,抜き出される(図7の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。
すなわち押し出し部材5が、後退位置Gから前進位置Fへと移動することによって、結束帯Dで結束された平海苔束Aが、前方へと押し出し,抜き出される(図6の(2)図,図7の(6)図も参照)。そして、例えばコンベア2上に排出される。
押し出し,抜き出しが完了すると、プレス板3と補助プレス板17は、コンベア2下のベース位置Bへの復帰する(モータ12更に逆転)。
【0029】
(7)なお、このような平海苔束Aや結束帯Dのプレス板3からの押し出し,抜き出しに際し、結束帯Dの下部D´の押し出し,抜き出しについては、次のとおり。
結束帯Dの下部D´は、プレス板3と離反位置Jの補助プレス板17との間に形成された隙間を利用して、プレス板3下からスムーズに押し出し,抜き出される(図3の(1)図を参照)(図7の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。
【0030】
(8)又、プレス板3に関し、前端部下に補助プレス板17を配したこと、又、薄い肉厚製としたこと、更に、平海苔束Aの横幅以下の横幅としたこと等によって、プレス板3下からの押し出し,抜き出しに際し、プレス板3による負荷が一段と緩和される(図7の(1)図→(2)図、および、(3)図→(4)図も参照)。
すなわち、平海苔束A下部や特に結束帯Dの下部D´が、プレス板3にて摩擦,負荷荷重を受けることが、緩和,減少される。
【0031】
(9)さて、本発明の平海苔束Aの結束装置1は、以上述べたように、(a)平海苔束Aを下側から全体的にプレス圧縮し、(b)プレス板3と共に結束してから、(c)プレス板3から押し出し,抜き出す等、特徴的な独特の方式を採用してなる。,
もって、これら(a),(b),(c)により、平海苔束Aが、確実かつ安定的に結束可能となる。平海苔束や結束帯Dへの負荷荷重も緩和され、平海苔束Aへのダメージ,損傷発生が防止される。
【0032】
《その他》
なお第1に、本発明の下部プレス方式については、次の通り。
一般的なプレス機は、上部プレス方式よりなり、プレス板3が対象物を上方からプレスする。これに対し本発明の結束装置1のプレス板3は、対象物の平海苔束Aを下方からプレスする、下部プレス方式を採用したことを特徴とする(図2図3を参照)。
プレス後は、結束帯Dでプレス板3と共に結束された平海苔束Aを、プレス板3から引き出し,抜き出すことになる。
その際、一般的な上部プレス方式では、結束帯Dで平海苔束Aを持ち上げ,吊り上げることが必要となるので、平海苔束Aについての負荷が大で、ダメージ,損傷発生の虞がある。
これに対し本発明は、下部プレス方式を採用したので、引き出し,抜き出しに際し、平海苔束Aを持ち上げ,吊り上げる必要がなく、負荷が緩和され平海苔束Aのダメージ,損傷が回避される。
【0033】
なお第2に、結束帯Dの複数使用に関しては、次の通り。
上述した実施例では、結束帯Dが1本使用されているが、本発明の結束装置1はこれによらず、複数本の結束帯Dを使用することも可能である。
特に、平海苔の長さ寸法が例えば275mmと長い場合、これを束ねた平海苔束Aの散け,散乱防止の観点から、例えば2本使用する事が考えられる。すなわち2本の結束帯Dを用い、平海苔束Aに平行に巻き付け,結束する事が考えられる。
ところで、その2回目(2本目)の結束装置1の工程は、前述した1回目(1本目)の工程に準じるが、1回目結束終了後、平海苔束Aを押し出し部材5で、2回目結束対応位置まで押動移動させておいてから、再度、プレス板3にて平海苔束Aを上昇させる。そして2回目の結束を行い、プレス板3そして平海苔束Aを降下させて、2回結束された平海苔束Aを、押し出し部材5により押し出し,抜き出す。
【符号の説明】
【0034】
A 平海苔束
B ベース位置
C トップ位置
D 結束帯
D´結束帯下部
E ロール紙
F 前進位置
G 後退位置
H 密接位置
J 離反位置
1 結束装置
2 コンベア
3 プレス板
中央板
サイド板
サイド板
4 結束機
5 押し出し部材
6 モータ
7 整列部
8 センサ
9 モータ
10 センサ
11 下面板
12 モータ
13 駆動機構
14 カム
15 ローラー
16 溶着切断部
17 補助プレス板
18 カム
19 駆動機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7