(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153561
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】給液装置及び給液装置を備えた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25C 1/25 20180101AFI20231011BHJP
【FI】
F25C1/25 305G
F25C1/25 305F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062912
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】倉谷 利治
(57)【要約】 (修正有)
【課題】給液ポンプとして逆転不可なポンプを用いても、蓄液領域に蓄えられた液体を、清浄性を保った状態で製氷皿に供給することができる給液装置、及びこの給液装置を備えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】蓄液筐体4と、蓄液筐体4内に配置され、製氷皿50へ供給する液体が蓄えられた蓄液領域10と、蓄液筐体4内の蓄液領域10より上方に配置された補助蓄液領域20と、蓄液領域10に蓄えられた液体を補助蓄液領域20に供給する非容積式ポンプである給液ポンプと、補助蓄液領域20内に入側開口42Aが配置され、製氷皿50の上側に出側開口44Aが配置された給液配管40と、を備え、補助蓄液領域20は製氷皿50より上方に配置され、給液ポンプにより蓄液領域10から補助蓄液領域20へ供給された液体は、重力で給液配管40内を流下して製氷皿50に供給される給液装置2、及び給液装置2を備えた冷蔵庫を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄液筐体と、
前記蓄液筐体内に配置され、製氷皿へ供給する液体が蓄えられた蓄液領域と、
前記蓄液筐体内の前記蓄液領域より上方に配置された補助蓄液領域と、
前記蓄液領域に蓄えられた液体を前記補助蓄液領域に供給する非容積式ポンプである給液ポンプと、
前記補助蓄液領域内に入側開口が配置され、前記製氷皿の上側に出側開口が配置された給液配管と、
を備え、
前記補助蓄液領域は前記製氷皿より上方に配置され、
前記給液ポンプにより前記蓄液領域から前記補助蓄液領域へ供給された液体は、重力で前記給液配管内を流下して前記製氷皿に供給されることを特徴とする給液装置。
【請求項2】
前記補助蓄液領域は傾斜した底面を有し、前記底面の傾斜上側に前記蓄液領域から供給される液体の供給口が配置され、前記底面の傾斜下側に前記給液配管の前記入側開口が配置されることを特徴とする請求項1に記載の給液装置。
【請求項3】
前記給液配管は、
前記入側開口を有し、前記蓄液筐体から外側に延びた第1配管と、
前記出側開口を有し、配管筐体内に配置された第2配管と
から構成され、
前記給液ポンプは、前記蓄液筐体内に配置されたポンプ本体が前記配管筐体内に配置された駆動部によりマグネットカップリングを介して非接触に駆動され、
前記蓄液筐体に対して着脱可能な前記配管筐体が前記蓄液筐体に取り付けられた状態において、前記第1配管の前記入側開口と反対側の第1接続部と、前記第2配管の前記出側開口の反対側の第2接続部と、が互いに嵌合し、
前記マグネットカップリングが駆動伝達状態になることを特徴とする請求項2に記載の給液装置。
【請求項4】
前記第1配管は前記蓄液筐体から斜め下側に延び、
前記第2配管の前記第2接続部は弾性を有し、
取り外されていた前記配管筐体を前記蓄液筐体に近接するように略水平に移動させて、前記蓄液筐体に取り付けるとき、
弾性変形した前記第2接続部が、前記第1配管の延びる方向に沿って前記第1接続部の外面を覆うように進んで嵌合状態になり、
前記マグネットカップリングの駆動部側部分がポンプ本体側部分と近接するように進んで駆動伝達状態になることを特徴とする請求項3に記載の給液装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の給液装置を備えた冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷皿に液体を供給する給液装置及びこの給液装置を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫に備えられた製氷皿に液体を供給する給液装置が知られている。このような給液装置では、多くの場合、給液ポンプにより蓄液領域に蓄えられた液体を製氷皿に供給する。その場合、蓄液領域及び製氷皿を繋ぐ流路にカビや雑菌が繁殖するのを抑えるため、蓄液タンク及び製氷皿を外気から遮断された閉じられた流路で繋ぐことが好ましい。しかし、閉じられた流路に液体が残留している場合には、サイフォン現象で液体が逆流する問題が生じる。
【0003】
これに対処するため、蓄液タンク及び製氷皿を繋ぐ閉じられた流路を有する給液装置において、給液ポンプとして、ギアポンプをはじめとする正逆転可能な容積式ポンプを採用した製氷装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の製氷装置では、容積式ポンプである給液ポンプを逆転させ、閉じられた流路に残留した液体を給液タンクに回収して、サイフォン現象による逆流を防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、給液ポンプの製造コストやメンテナンス性を考慮すると、容積式ポンプよりも、広く使われている非容積式ポンプを用いるのが好ましい。しかし、蓄液タンク及び製氷皿を繋ぐ閉じられた流路に非容積式ポンプを採用した場合、非容積式ポンプは逆転させることができないので、流路に残留した液体を除去することができない。
【0006】
サイフォン現象が生じるのを防ぐため、流路を形成する配管に外気を導入する開口を設けると、開口を介して、流路にカビや雑菌が繁殖する虞がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、給液ポンプとして逆転不可なポンプを用いても、蓄液領域に蓄えられた液体を、清浄性を保った状態で製氷皿に供給することができる給液装置、及びこの給液装置を備えた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の給液装置は、
蓄液筐体と、
前記蓄液筐体内に配置され、製氷皿へ供給する液体が蓄えられた蓄液領域と、
前記蓄液筐体内の前記蓄液領域より上方に配置された補助蓄液領域と、
前記蓄液領域に蓄えられた液体を前記補助蓄液領域に供給する非容積式ポンプである給液ポンプと、
前記補助蓄液領域内に入側開口が配置され、前記製氷皿の上側に出側開口が配置された給液配管と、
を備え、
前記補助蓄液領域は前記製氷皿より上方に配置され、
前記給液ポンプにより前記蓄液領域から前記補助蓄液領域へ供給された液体は、重力で前記給液配管内を流下して前記製氷皿に供給されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、補助蓄液領域へ供給された液体が、重力で給液配管内を流下して製氷皿に供給される。よって、給液ポンプを停止して製氷皿への給液を終了したとき、蓄液領域から製氷皿まで連続する液体の繋がりが補助蓄液領域で途切れ、給液配管内の液体は全て製氷皿へ流出する。よって、給液ポンプとして、逆転ができない非容積式ポンプを採用しても、給液配管に外気を導入する開口を設けることなく、サイフォン現象による逆流を防ぐことができる。また、サイフォン現象が生じないように縁切りを行う補助蓄液領域は、蓄液領域と同様に蓄液筐体内に配置されているので、外部の環境による汚染を受けることがない。
【0010】
以上のように、本発明によれば、給液ポンプとして逆転不可なポンプを用いても、蓄液領域に蓄えられた液体を、清浄性を保った状態で製氷皿に供給することができる給液装置を提供できる。
【0011】
また、本発明の給液装置では、
前記補助蓄液領域は傾斜した底面を有し、前記底面の傾斜上側に前記蓄液領域から供給される液体の供給口が配置され、前記底面の傾斜下側に前記給液配管の前記入側開口が配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、蓄液領域から供給される液体の供給口が、補助蓄液領域の傾斜した底面の傾斜上側に配置され、給液配管の前記入側開口が傾斜下側に配置されている。これにより、給液ポンプを停止して製氷皿への給液を終了したとき、補助蓄液領域内の液体を、全て給液配管を介して製氷皿へ供給できる。よって、補助蓄液領域に液体が残存しないので、補助蓄液領域の清浄性を保つことができる
【0013】
また、本発明の給液装置では、
前記給液配管は、
前記入側開口を有し、前記蓄液筐体から外側に延びた第1配管と、
前記出側開口を有し、配管筐体内に配置された第2配管と
から構成され、
前記給液ポンプは、前記蓄液筐体内に配置されたポンプ本体が前記配管筐体内に配置された駆動部によりマグネットカップリングを介して非接触に駆動され、
前記蓄液筐体に対して着脱可能な前記配管筐体が前記蓄液筐体に取り付けられた状態において、前記第1配管の前記入側開口と反対側の第1接続部と、前記第2配管の前記出側開口の反対側の第2接続部とが互いに嵌合し、
前記マグネットカップリングが駆動伝達状態になる。
【0014】
本発明によれば、蓄液領域、給液ポンプのポンプ本体、補助蓄液領域及び第1配管を有する蓄液筐体と、給液ポンプの駆動部及び第2配管を有する配管筐体とが着脱可能に構成されるので、給液装置の保守、洗浄を容易に行うことができる。特に、給液配管を第1配管及び第2配管に分割し、給液ポンプにマグネットカップリングを採用することにより、蓄液筐体と配管筐体とを容易に着脱することができる。
【0015】
また、本発明の給液装置では、
前記第1配管は前記蓄液筐体から斜め下側に延び、
前記第2配管の前記第2接続部は弾性を有し、
取り外されていた前記配管筐体を前記蓄液筐体に近接するように略水平に移動させて、前記蓄液筐体に取り付けるとき、
弾性変形した前記第2接続部が、前記第1配管の延びる方向に沿って前記第1接続部の外面を覆うように進んで嵌合状態になり、
前記マグネットカップリングの駆動部側部分がポンプ本体側部分と近接するように進んで駆動伝達状態になることを特徴とする。
【0016】
給液ポンプが停止したとき、第1配管内に液体が残存しないように、第1配管は蓄液筐体から斜め下側に延びる。一方、マグネットカップリングのポンプ本体側部分及び駆動部側部分を駆動伝達可能なように配置にするには、配管筐体を略水平に蓄液筐体に近接するように移動させていく必要がある。このとき、第2接続部が弾性変形するので、配管筐体を略水平に移動させても、第2接続部を第1配管の延びる方向に沿って第1接続部の外面を覆うように進ませることができる。
【0017】
これにより、配管筐体を略水平に移動させるだけで、確実に、第1配管及び第2配管を嵌合させるとともに、マグネットカップリングのポンプ本体側部分及び駆動部側部分を駆動伝達可能なように配置することができる。
【0018】
上記の給液装置を備えた冷蔵庫でも、同様に、上記の給液装置による様々な効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明では、給液ポンプとして逆転不可なポンプを用いても、蓄液領域に蓄えられた液体を、清浄性を保った状態で製氷皿に供給することができる給液装置、及びこの給液装置を備えた冷蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明の1つの実施形態に係る給液装置を模式的に示す側面断面図であって、蓄液筐体と配管筐体とが分離した状態を示す図である。
【
図1B】本発明の1つの実施形態に係る製氷皿への給液装置を模式的に示す側面断面図であって、配管筐体が蓄液筐体に取り付けられる途中の状態を示す図である。
【
図1C】本発明の1つの実施形態に係る製氷皿への給液装置を模式的に示す側面断面図であって、配管筐体が蓄液筐体に取り付けられた状態を示す図である。
【
図2】給液ポンプのポンプ本体と駆動部とを繋ぐマグネットカップリングの構造を模式的に示す側面断面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態に係る給液装置において、蓄液領域の液体が製氷皿へ供給されるところを模式的に示す側面断面図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態に係る給液装置において、蓄液領域の液体の製氷皿への供給が停止した状態を模式的に示す側面断面図である。
【
図5】本発明の1つの実施形態に係る給液装置を備えた冷蔵庫を模式的に示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する冷蔵庫は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。以下の記載及び図面では、冷蔵庫が水平面に設置された場合を想定して、上下方向を示してある。
【0022】
(本発明の1つの実施形態に係る給液装置)
図1Aから
図1Cは、本発明の1つの実施形態に係る給液装置2を模式的に示す側面断面図であって、
図1Aは蓄液筐体4と配管筐体6とが分離した状態を示す図であり、
図1Bは、配管筐体6が蓄液筐体4に取り付けられる途中の状態を示す図であり、
図1Cは、配管筐体6が蓄液筐体4に取り付けられた状態を示す図である。
図2は、給液ポンプ30のポンプ本体32と駆動部34とを繋ぐマグネットカップリング36の構造を模式的に示す側面断面図である。
【0023】
はじめに、
図1Aから
図2を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る給液装置2の構造を説明する。本発明の1つの実施形態に係る給液装置2は、蓄液筐体4及び配管筐体6を備える。蓄液筐体4及び配管筐体6は、互いに着脱可能になる。
【0024】
<蓄液筐体>
蓄液筐体4の内部の下側には、製氷皿50に供給する液体を蓄える蓄液領域10が配置されている。製氷皿50に供給する液体として、飲料水をはじめとする任意の液体を用いることができる。蓄液筐体4の内部の蓄液領域10より上方の位置に、補助蓄液領域20が配置されている。
【0025】
蓄液筐体4の内部には、更に、蓄液領域10に蓄えられた液体を補助蓄液領域20に供給する給液ポンプ30のポンプ本体32が配置されている。ポンプ本体32のインペラ32Aの回転軸に、マグネットカップリング36のポンプ本体側部分36Aが取り付けられている。後述するように、ポンプ本体32のインペラ32Aが、マグネットカップリング36を介して配管筐体6に配置された駆動部34により駆動される。
【0026】
ポンプ本体32は蓄液領域10内に位置し、吸込口が蓄液領域10に蓄えられた液体の中に開口している。ポンプ本体32の吐出口には、ポンプ出側配管38が接続されている。ポンプ出側配管38の出側の端部は補助蓄液領域20に開口しており、蓄液領域10に蓄えられた液体を補助蓄液領域20に供給する給液口38Aを形成している。
【0027】
補助蓄液領域20は、傾斜した底面22を有し、底面22の傾斜上側に供給口38Aが配置されている。一方、底面22の傾斜下側に、入側開口42Aを有する第1配管42が接続されている。入側開口42Aは、第1配管42の上流側の端部開口であり、液体を補助蓄液領域20から製氷皿50は供給する給液配管40の上流側の端部開口となる。
図1Aに示すように、第1配管42は、底面22の傾斜に沿って斜め下側に延び、所定の長さで終端している。これにより、第1配管42は、蓄液筐体4から外側に延びて形成されている。また、第1配管42の入側開口42Aと反対側の下流側の端部領域を、第1接続部42Bと称する。
【0028】
<配管筐体>
配管筐体6の内部には、上記の第1配管42とともに給液配管40を構成する第2配管44が配置されている。第2配管44の下流側の端部開口が、製氷皿50の上側に配置された出側開口44Aとなる。第2配管44の出側開口44Aと反対側の上流側の端部領域を第2接続部44Bと称する。出側開口44Aから第2配管44は略垂直に延びており、その上側で略90度曲がり、第2接続部44Bが形成されている。
図1Aに示すように、配管筐体6が蓄液筐体4に取り付けられていない状態では、第2接続部44Bは略水平な方向に延びる。
【0029】
配管筐体6が蓄液筐体4に取り付けられた状態では、第1配管42の第1接続部42Bと第2配管44の第2接続部44Bとが互いに嵌合した状態となる。第2接続部44Bは、第1接続部42Bと嵌合する先端部44B1と弾性部44B2とから構成されている。これにより、第2接続部44Bは弾性を有する。弾性部44B2は、シリコンをはじめとする柔軟性に富む樹脂材料で形成することが好ましい。配管筐体6を蓄液筐体4に取り付けるとき、弾性部44B2が弾性変形することにより、第2続端部44Bが斜めに傾き、斜め下側に延びた第1接続部42Bとスムーズに嵌合することがきる。
【0030】
配管筐体6の内部の下側には、電動モータである給液ポンプ30の駆動部34が配置されている。駆動部34の駆動軸には、マグネットカップリング36の駆動部側部分36Bが取り付けられている。配管筐体6が蓄液筐体4に取り付けられたとき、駆動部34の駆動軸と、ポンプ本体32のインペラ32Aの回転軸とが同軸上に並ぶように配置されている。
【0031】
<マグネットカップリング>
図2においては、配管筐体6が蓄液筐体4に取り付けられて、マグネットカップリング36のポンプ本体側部分36A及び駆動部側部分36Bが駆動伝達状態になるところを示す。ポンプ本体32のインペラ32Aの回転軸に取り付けられたマネットカップリング36のポンプ本体側部分36Aは磁性を有する。駆動部34の駆動軸に取り付けられたマグネットカップリング36の駆動部側部分36Bは、ポンプ本体側部分36AとSN逆の極性の磁性を有する。これにより、ポンプ本体32のインペラ32Aの回転軸には、ポンプ本体側部分36A及び駆動部側部分36Bの間の磁力により、駆動部34の駆動力が非接触な状態で伝達されるようになる。
【0032】
図2に示す状態から、蓄液筐体4を、略水平に配管筐体6から離間する方向(図面で左側)
に移動させることにより、蓄液筐体4を配管筐体6から取り外すとともに、マグネットカップリング36を構成するポンプ本体側部分36Aと駆動部側部分36Bとを離間させることができる。一方、取り外された蓄液筐体4を、略水平に配管筐体6に近接する方向(図面で右側)に移動させることにより、蓄液筐体4を駆動筐体6に取り付けるとともに、マグネットカップリング36を駆動伝達状態に配置することができる。
【0033】
<蓄液筐体及び配管筐体の組立>
次に、順に
図1Aから
図1Cを参照しながら、取り外されていた配管筐体6を蓄液筐体4に取り付けるところを説明する。
図1Aに示す状態から、配管筐体6を略水平に蓄液筐体4に近接する方向(矢印A参照)に移動させることにより、配管筐体6の上側の装入部6Aが、蓄液筐体4のガイド孔に挿入される。ガイド孔により位置をガイドされながら、配管筐体6を更に蓄液筐体4に近接させていくと、配管筐体6に配置された第2配管44の第2接続部44Bの先端が、蓄液筐体4に配置された第1配管42の第1接続部42Bの先端と当接する。
【0034】
第1接続部42B及び第2接続部44Bの先端が当接した状態から、配管筐体6を更に蓄液筐体4に近接するように押し込んでいくところを、
図1Bに示す。
図1Bの矢印Aに示すように、配管筐体6を略水平に押し込んでいくと、マグネットカップリング36の駆動部側部分36Bが、ポンプ本体側部分36Aと近接するように、矢印Aの方向に進む。そして、
図1Cに示すように、配管筐体6の当接面6Bが蓄液筐体4の当接面4Bに当接する位置に達すると、マグネットカップリング36は駆動力伝達状態となる。
【0035】
第1接続部42B及び第2接続部44Bの先端が当接した状態から、
図1Bの矢印Aに示すように、配管筐体6を略水平に押し込んでいくと、第2接続部44Bの弾性部42B2が弾性変形する。そして、
図1Bの矢印Bに示すように、第2接続部44Bの先端部42B1が、斜め下側に延びた第1配管42の延びる方向に沿って、第1接続部42Bの外面を覆うように進んでいく。そして、
図1Cに示すように、配管筐体6の当接面6Bが蓄液筐体4の当接面4Bに当接する位置に達すると、第1配管42の第1接続部42Bと第2配管44の第2接続部44Bとが完全に嵌合した状態となる。
【0036】
これにより、配管筐体6が蓄液筐体4に取り付けられ、給液ポンプ30のマグネットカップリング36が駆動力伝達状態となり、第1配管42と第2配管44が嵌合して、給液配管30が一体化された状態となる。よって、本実施形態に係る給液装置2が稼働可能な状態となる。
【0037】
本実施形態では、給液配管40で液体が漏れるのを防ぐ観点から、下流側の第2接続部44Bが、上流側の第1接続部42Bの外面を覆うようにして嵌合している。ただし、これに限られるものではなく、第1接続部42B及び第2接続部44Bの間のシール性が確保できれば、第1接続部42Bが第2接続部44Bの外面を覆うように嵌合する場合もあり得るし、第1接続部42B及び第2接続部44Bの端部が当接するようにして接続する場合もあり得る。何れの場合でも、第2接続部44Bが弾性を有することにより、配管筐体6を略水平に移動させても、斜め下側に延びた第1接続部42Bとスムーズに嵌合、接合することができる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る給液装置2において、給液配管40は、入側開口42Aを有し、蓄液筐体4から外側に延びた第1配管42と、出側開口44Aを有し、配管筐体6内に配置された第2配管44とから構成され、給液ポンプ30は、蓄液筐体4内に配置されたポンプ本体32が配管筐体6内に配置された駆動部34によりマグネットカップリング36を介して非接触に駆動され、蓄液筐体4に対して着脱可能な配管筐体6が蓄液筐体4に取り付けられた状態において、第1配管42の入側開口42Aと反対側の第1接続部42Bと、第2配管44の出側開口44Aの反対側の第2接続部44Bと、が互いに嵌合し、マグネットカップリング36が駆動伝達状態になる。
【0039】
本実施形態によれば、蓄液領域10、給液ポンプ30のポンプ本体32、補助蓄液領域20及び第1配管42を有する蓄液筐体4と、給液ポンプ30の駆動部34及び第2配管44を有する配管筐体6とが着脱可能に構成されるので、給液装置2の保守、洗浄を容易に行うことができる。特に、給液配管40を第1配管42及び第2配管44に分割し、給液ポンプ30にマグネットカップリング36を採用することにより、蓄液筐体4と配管筐体6とを容易に着脱することができる。
【0040】
更に、第1配管42は蓄液筐体4から斜め下側に延び、第2配管44の第2接続部44Bは弾性を有し、取り外されていた配管筐体6を蓄液筐体4に近接するように略水平に移動させて、蓄液筐体4に取り付けるとき、弾性変形した第2接続部44Bが、第1配管42の延びる方向に沿って第1接続部42Bの外面を覆うように進んで嵌合状態になり、マグネットカップリング36の駆動部側部分36Bがポンプ本体側部分36Aと近接するように進んで駆動伝達状態になる。
【0041】
給液ポンプ30が停止したとき、第1配管42内に液体が残存しないように、第1配管42は蓄液筐体4から斜め下側に延びる。一方、マグネットカップリング36のポンプ本体側部分36A及び駆動部側部分36Bを駆動伝達可能なように配置にするには、配管筐体6を略水平に蓄液筐体4に近接するように移動させていく必要がある。このとき、第2接続部44Bが弾性変形するので、配管筐体6を略水平に移動させても、第2接続部44Bを第1配管42の延びる方向に沿って第1接続部42Bの外面を覆うように進ませることができる。
【0042】
これにより、配管筐体6を略水平に移動させるだけで、確実に、第1配管42及び第2配管44を嵌合させるとともに、マグネットカップリング36のポンプ本体側部分36A及び駆動部側部分36Bを駆動伝達可能なように配置することができる。
【0043】
(給液装置における液体の流れ)
図3は、本発明の1つの実施形態に係る給液装置2において、蓄液領域10の液体が製氷皿50へ供給されるところを模式的に示す側面断面図である。
図4は、本発明の1つの実施形態に係る給液装置2において、蓄液領域10の液体の製氷皿50への供給が停止した状態を模式的に示す側面断面図である。次に、
図3及び
図4を参照しながら、給液装置2における液体の流れを説明する。
【0044】
図3に示すように、給液ポンプ30を稼働させると、蓄液領域10に蓄えられた液体が上方に位置する補助蓄液領域20へ供給される。給液ポンプ30として、低コストでメンテナンス性に優れた非容積式ポンプが用いられる。更に詳細には、渦巻ポンプをはじめとする遠心ポンプや、軸流ポンプをはじめとするプロペラポンプを採用することができる。補助蓄液領域20へ供給された液体は、重力により、斜面である底面22に沿って流れ、入側開口42Aから給液配管40に流入する。そして、液体は給液配管40内を流下して、出側開口44Aから製氷皿50に供給される。
【0045】
給液配管40の断面積は、補助蓄液領域20の流れに直交する方向の断面積に比べて小さいので、ある程度、補助蓄液領域20内で液体が滞留するようになる。補助蓄液領域20内に滞留する液体の容量は、給液ポンプ30の吐出量、補助蓄液領域20の容積、給液配管40の内径(断面積)等によって定まる。適切な容量となるように、給液ポンプ30の吐出量、補助蓄液領域20の容積、給液配管40の内径(断面積)等を定めるのが好ましい。補助蓄液領域20内に滞留する液体の容量として、50cc以上200cc以下の範囲を例示することができる。
【0046】
補助蓄液領域20の底面22が傾斜しており、補助蓄液領域20に接続された給液配管40の第1配管42が、底面22が傾斜に沿って斜め下側に延びるので、補助蓄液領域20に供給された液体が効率的に流れて、製氷皿50に供給される。底面22の水平面に対する傾斜角度としては、10度以上30度以下の範囲を例示できる。第1配管42が延びる傾斜角度は、底面22の傾斜角度と一致している場合だけでなく、底面22の傾斜角度よりも小さい場合も、大きい場合もあり得る。何れの場合も、第1配管42は、水平や垂直でなく、斜め下側に延びるのが好ましい。
【0047】
製氷皿50に規定量の液体が供給された後、給液ポンプ30の稼働が停止する。補助蓄液領域20の底面22が傾斜し、第1配管42が斜め下側に延び、更に下流側の第2配管44が略垂直に延びるので、基本的に、補助蓄液領域20に供給された液体は、全て製氷皿50に流れ落ちる。よって、
図4に示すように、液体は、蓄液領域10からポンプ本体32を経て、ポンプ出側配管38の矢印Cで示す位置までは満たされているが、補助蓄液領域20や給液配管40に残存していない。これにより、補助蓄液領域20や給液配管40の清浄性を保つことができる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る給液装置2は、蓄液筐体4と、蓄液筐体4内に配置され、製氷皿50へ供給する液体が蓄えられた蓄液領域10と、蓄液筐体4内の蓄液領域10より上方に配置された補助蓄液領域20と、蓄液領域10に蓄えられた液体を補助蓄液領域20に供給する非容積式ポンプである給液ポンプ30と、補助蓄液領域20内に入側開口42Aが配置され、製氷皿50の上側に出側開口44Aが配置された給液配管40と、を備え、補助蓄液領域20は製氷皿50より上方に配置され、給液ポンプ30により蓄液領域10から補助蓄液領域20へ供給された液体は、重力で給液配管40内を流下して製氷皿50に供給される。
【0049】
補助蓄液領域20へ供給された液体は、重力で給液配管40内を流下して製氷皿50に供給される。よって、給液ポンプ30を停止して製氷皿50への給液を終了したとき、蓄液領域10から製氷皿まで連続する液体の繋がりが補助蓄液領域20で途切れ、給液配管40内の液体は全て製氷皿50へ流出する。よって、給液ポンプ30として、逆転ができない非容積式ポンプを採用しても、給液配管40に外気を導入する開口を設けることなく、サイフォン現象による逆流を防ぐことができる。また、サイフォン現象が生じないように縁切りを行う補助蓄液領域20は、蓄液領域10と同様に蓄液筐体4内に配置されているので、外部の環境による汚染を受けることがない。
【0050】
よって、本実施形態に係る給液装置2では、給液ポンプ30として逆転不可なポンプを用いても、蓄液領域10に蓄えられた液体を、清浄性を保った状態で製氷皿50に供給することができる。
【0051】
本実施形態に係る給液装置2では、特に、補助蓄液領域20は傾斜した底面22を有し、底面22の傾斜上側に蓄液領域10から供給される液体の供給口38Aが配置され、底面22の傾斜下側に給液配管40の入側開口42Aが配置されている。
【0052】
これにより、給液ポンプ30を停止して製氷皿50への給液を終了したとき、補助蓄液領域20内の液体を、全て給液配管40を介して製氷皿50へ供給できる。よって、補助蓄液領域20内に液体が残存しないので、補助蓄液領域20の清浄性を保つことができる。
【0053】
(本発明の1つの実施形態に係る給液装置を備えた冷蔵庫)
図5は、本発明の1つの実施形態に係る給液装置2を備えた冷蔵庫100を模式的に示す側面断面図である。冷蔵庫100では、冷凍室102及び冷蔵室104を備え、給液装置2
が冷蔵室104に配置され、製氷皿50が冷凍室102内に配置されている。ファン108により庫内の気体が流動し、蒸発器106を通過して冷却された冷気が冷凍室102に流入する。給液装置2により製氷皿50に供給された液体は、この冷気で冷却されて凍結し氷が生成される。
【0054】
この給液装置2を備えた冷蔵庫100においても、上記の給液装置2による様々な効果を奏することができる。
【0055】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0056】
2 給液装置
4 蓄液筐体
4A 当接面
6 配管筐体
6A 装入部
6B 当接面
10 蓄液領域
20 補助蓄液領域
22 底面
30 給液ポンプ
32 ポンプ本体
32A インペラ
34 駆動部
36 マグネットカップリング
36A ポンプ本体側部分
36B 駆動部側部分
38 ポンプ出側配管
38A 供給口
40 給液配管
42 第1配管
42A 入側開口
42B 第1接続部
44 第2配管
44A 出側開口
44B 第2接続部
44B1 先端部
44B2 弾性部
50 製氷皿
100 冷蔵庫
102 冷凍室
104 冷蔵室
106 蒸発器
108 ファン
MA 被駆動磁石
MB 駆動磁石