(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153566
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ロータリーピストンエンジン
(51)【国際特許分類】
F01N 1/00 20060101AFI20231011BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20231011BHJP
F01N 13/16 20100101ALI20231011BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20231011BHJP
F02B 55/16 20060101ALI20231011BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
F01N1/00 D
F01N13/08 D
F01N13/16
F01N3/28 311T
F02B55/16 B
B60K13/04 C ZHV
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062921
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 靖
(72)【発明者】
【氏名】須藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大岡 峻
【テーマコード(参考)】
3D038
3G004
3G091
【Fターム(参考)】
3D038BA13
3D038BB01
3D038BC15
3D038BC24
3G004AA01
3G004DA12
3G004FA04
3G004GA04
3G091AA02
3G091AA14
3G091AA27
3G091AB01
3G091AB13
3G091BA09
3G091HA15
3G091HB01
(57)【要約】
【課題】ロータリーピストンエンジンにおいて排気通路をエンジン本体の周辺にコンパクトに且つ安定して配設できる排気構造を提供する。
【解決手段】排気通路に、エンジン本体の第1外側面に固定されて排気ポートから前方に延びる第1排気通路と、エンジン本体の前面に沿って第1排気通路の前端からエンジン幅方向の他方側に延びる第2排気通路と、エンジン幅方向についてエンジン本体の他方側の外側面である第2外側面に沿って第2排気通路のエンジン幅方向の他方側の端部から後方に延びる第3排気通路とを設け、エンジン本体の第2外側面に、第3排気通路を支持する支持部を設け、浄化装置を第3排気通路と支持部との連結位置よりも後方に配設する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びるエキセントリックシャフト回りを回転するロータおよび当該ロータを収容するロータ収容室を有するエンジン本体と、前記エンジン本体から排出された排気が内側を流通する排気通路とを備えるロータリーピストンエンジンにおいて、
前記エンジン本体は、前後方向と直交するエンジン幅方向の一方側の外側面である第1外側面に開口して前記排気通路に排気を導出する排気ポートを備え、
前記排気通路は、前記第1外側面に固定されて前記排気ポートから前方に延びる第1排気通路と、前記第1排気通路の前端から前記エンジン本体の前面に沿って前記エンジン幅方向の他方側に延びる第2排気通路と、前記第2排気通路の前記エンジン幅方向の他方側の端部から前記エンジン本体の前記他方側の外側面である第2外側面に沿って後方に延びる第3排気通路と、前記第3排気通路の後端に接続されて排気を浄化する浄化装置とを備え、
前記エンジン本体の前記第2外側面には、当該第2外側面と前記第3排気通路とを連結して前記第3排気通路を支持する支持部が固定されており、
前記浄化装置は、前記第3排気通路の前記支持部との連結位置よりも後方に配設されている、ことを特徴とするロータリーピストンエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリーピストンエンジンにおいて、
前記エンジン本体は、前記第1外側面に前記第1排気通路を固定する前側固定部と、前記第1外側面の前記前側固定部よりも後方の位置に前記第1排気通路を固定する後側固定部とを備え、
前後方向について、前記第3排気通路と前記支持部との連結位置は、前記前側固定部と前記後側固定部の中間に設定されている、ことを特徴とするロータリーピストンエンジン。
【請求項3】
請求項1に記載のロータリーピストンエンジンにおいて、
前記浄化装置は、前記第3排気通路の後端から前記エンジン幅方向の他方側に湾曲しつ延びるように形成され、
前記エンジン本体の後面に固定される被固定部材と、当該被固定部材と前記浄化装置とを連結して当該浄化装置をそれぞれ支持する第2支持部および第3支持部とをさらに備え、
前記第2支持部と前記浄化装置との連結位置は、前記第3排気通路と前記支持部との連結位置よりも後方であり、
前記第3支持部と前記浄化装置との連結位置は、前記第2支持部と前記浄化装置との連結位置よりも後方且つ前記エンジン幅方向の他方側である、ことを特徴とするロータリーピストンエンジン。
【請求項4】
請求項1に記載のロータリーピストンエンジンにおいて、
前記第2排気通路は、前記第1排気通路と前記第3排気通路とによってのみ支持されている、ことを特徴とするロータリーピストンエンジン。
【請求項5】
請求項1に記載のロータリーピストンエンジンにおいて、
前記第1排気通路、前記第2排気通路および前記第3排気通路は、ステンレス製の板金部品である、ことを特徴とするロータリーピストンエンジン。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のロータリーピストンエンジンにおいて、
前記エンジン本体は、前記ロータを1つだけ有する1ロータ式のロータリーピストンエンジンであり、前記ロータを囲むロータハウジングと、前記ロータハウジングの前後方向の両側に設けられる一対のサイドハウジングとを備え、
前記排気ポートは、前記一対のサイドハウジングにそれぞれ一つずつ設けられている、ことを特徴とするロータリーピストンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーピストンエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用エンジン等では、排気を浄化するための浄化装置が排気通路に設けられるとともに、排気を車外等まで導くために長尺な排気通路が用いられており、排気通路の重量は大きく、排気通路をエンジン本体の周辺に安定して支持することが求められる。
【0003】
特許文献1には、排気通路を安定して支持することを目的として、エンジン本体の一側面からこの側面に沿って所定の方向に延びるように排気通路が配設され、エンジン本体に連結される変速機に、浄化装置(特許文献1における触媒コンバータ)の下流側の排気通路が固定される構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載用エンジン等では、上記のように排気通路を安定して支持することに加えて、排気通路をエンジン本体の周辺にコンパクトに配設することが求められる。特に、ハイブリッド車両では、エンジンに加えて、車両の駆動源としてのモータや発電機を車両に搭載せねばならないため、排気通路をコンパクトに配設することが強く求められる。これに対して、特許文献1の構造では排気通路がエンジン本体から一方向に延びるように配設されており、この延出方向について排気通路の占有面積が大きくなる。このように、特許文献1の構造では、排気通路をエンジン本体の周辺にコンパクトに配設する点で改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ロータリーピストンエンジンにおいて排気通路をエンジン本体の周辺にコンパクトに且つ安定して配設できる排気構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、前後方向に延びるエキセントリックシャフト回りを回転するロータおよび当該ロータを収容するロータ収容室を有するエンジン本体と、前記エンジン本体から排出された排気が内側を流通する排気通路とを備えるロータリーピストンエンジンにおいて、前記エンジン本体は、前後方向と直交するエンジン幅方向の一方側の外側面である第1外側面に開口して前記排気通路に排気を導出する排気ポートを備え、前記排気通路は、前記第1外側面に固定されて前記排気ポートから前方に延びる第1排気通路と、前記第1排気通路の前端から前記エンジン本体の前面に沿って前記エンジン幅方向の他方側に延びる第2排気通路と、前記第2排気通路の前記エンジン幅方向の他方側の端部から前記エンジン本体の前記他方側の外側面である第2外側面に沿って後方に延びる第3排気通路と、前記第3排気通路の後端に接続されて排気を浄化する浄化装置とを備え、前記エンジン本体の前記第2外側面には、当該第2外側面と前記第3排気通路とを連結して前記第3排気通路を支持する支持部が固定されており、前記浄化装置は、前記第3排気通路の前記支持部との連結位置よりも後方に配設されている、ことを特徴とする。
【0008】
この構成では、排気通路のうち排気ポートから延びる部分(第1排気通路、第2排気通路、第3排気通路)が、エンジン本体の第1外側面と前面と第2外側面とに沿って延びており、排気通路がエンジン本体を囲むようにこれの外側面に沿って配設されている。そのため、排気通路がエンジン本体の周囲にコンパクトに配設できる。
【0009】
しかも、この構成では、エンジン本体の互いに対向する第1外側面と第2外側面とに排気通路が支持されている。そのため、排気通路をエンジン本体に安定して支持することができる。また、浄化装置が、排気通路(第3排気通路)を第2外側面に支持する支持部と第3排気通路との連結位置よりも後方に配設されており、浄化装置よりも上流側の排気通路と浄化装置とが、支持部と第3排気通路の連結位置と排気通路(第1排気通路)と第1外側面の固定位置とを結ぶラインの前と後とに分かれて配設されている。そのため、エンジン本体にかかる排気通路の前後方向の重量バランスを均等に近づけて浄化装置を含む排気通路を安定してエンジン本体に支持することができる。
【0010】
上記構成において、好ましくは、前記エンジン本体は、前記第1外側面に前記第1排気通路を固定する前側固定部と、前記第1外側面の前記前側固定部よりも後方の位置に前記第1排気通路を固定する後側固定部とを備え、前後方向について、前記第3排気通路と前記支持部との連結位置は、前記前側固定部と前記後側固定部の中間に設定されている(請求項2)。
【0011】
この構成によれば、エンジン本体にかかる排気通路の前後方向の重量バランスをより均等に近づけることができる。
【0012】
上記構成において、好ましくは、前記浄化装置は、前記第3排気通路の後端から前記エンジン幅方向の他方側に湾曲しつ延びるように形成され、前記エンジン本体の後面に固定される被固定部材と、当該被固定部材と前記浄化装置とを連結して当該浄化装置をそれぞれ支持する第2支持部および第3支持部とをさらに備え、前記第2支持部と前記浄化装置との連結位置は、前記第3排気通路と前記支持部との連結位置よりも後方であり、前記第3支持部と前記浄化装置との連結位置は、前記第2支持部と前記浄化装置との連結位置よりも後方且つ前記エンジン幅方向の他方側である(請求項3)。
【0013】
この構成によれば、浄化装置が異なる3つの位置で支持されることで浄化装置を安定して支持することができる。
【0014】
上記構成において、好ましくは、前記第2排気通路は、前記第1排気通路と前記第3排気通路とによってのみ支持されている(請求項4)。
【0015】
この構成によれば、第1排気通路と第3排気通路との間に位置する第2排気通路がエンジン本体に固定されないので、第1、第2および第3排気通路の熱膨張・熱収縮を許容できこれら通路に付与される熱応力を低減できる。
【0016】
上記構成において、好ましくは、前記第1排気通路、前記第2排気通路および前記第3排気通路は、ステンレス製の板金部品である(請求項5)。
【0017】
この構成によれば、排気通路を鋳物部品で構成する場合に比べて排気通路を軽量化できる。
【0018】
上記構成において、前記エンジン本体としては、前記ロータを1つだけ有する1ロータ式のロータリーピストンエンジンであり、前記ロータを囲むロータハウジングと、前記ロータハウジングの前後方向の両側に設けられる一対のサイドハウジングとを備え、前記排気ポートは、前記一対のサイドハウジングにそれぞれ一つずつ設けられているものが挙げられる(請求項6)。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のロータリーピストンエンジンによれば、排気通路をエンジン本体の周辺にコンパクトに且つ安定して配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るエンジンの概略構成を示したシステム図である。
【
図2】エンジンを含むパワートレインシステムの概略平面図である。
【
図3】パワートレインシステムの概略正面図である。
【
図6】
図5のVI-VI線における断面図の一部を示した概略図である。
【
図7】
図2の矢印Y1の方向から見たパワートレインシステムの一部を示した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(エンジンの全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るロータリーピストンエンジン1の概略構成を示したシステム図である。以下では、ロータリーピストンエンジン1を単にエンジン1という。
図2はエンジン1を含み車両に搭載されるパワートレインシステム200の概略平面図、
図3はパワートレインシステム200の概略正面図、
図4はエンジン1の概略側面図である。なお、
図2では、後述する吸気通路3の図示は省略している。
【0022】
本実施形態に係るエンジン1は、車両に搭載される。例えば、エンジン1は、モータを車輪の駆動源として備えるハイブリッド車両に搭載される。本実施形態では、車両に搭載される、モータ等を含むパワートレインシステム200にエンジン1が組み込まれている。具体的に、パワートレインシステム200は、
図2に示すように、エンジン1と、発電機202、減速機203と、モータ201とを有する。発電機202は、エンジン1により駆動されて発電し、バッテリ(不図示)を充電する。モータ201は、バッテリからの給電によって回転する。減速機203は、モータ201の回転を減速して車輪に伝達する。本実施形態では、エンジン1は、上記のように発電機202を駆動する装置として利用される。
【0023】
エンジン1は、エンジン本体10と、エンジン本体10に導入される吸気が内側を流通する吸気通路3と、エンジン本体10から排出される排気が内側を流通する排気通路5と、排気通路5を流れる排気の一部を吸気通路3に還流するEGR装置4とを備える。
【0024】
(エンジン本体)
エンジン本体10は、1ロータ式である。エンジン本体10は、所定の方向に延びるエキセントリックシャフト12と、エキセントリックシャフト12回りを回転するロータ11と、ロータ11を収容するロータ収容室Rとを有する。エンジン本体10は、ロータ11の外周を囲むロータハウジング13と、ロータハウジング13の上記所定の方向の両側(つまりロータ11の回転軸に沿う方向の両側)に設けられる一対のサイドハウジング14、14とを有する。ロータ収容室Rは、ロータハウジング13と2つのサイドハウジング14、14により区画されている。ロータハウジング13は、2ノードのペリトロコイド曲線に沿う内周面を有する。ロータ11は、エキセントリックシャフト12に対して遊星回転運動してロータハウジング13の内周面に沿って回転する。
【0025】
エンジン本体10は、一方のサイドハウジング14のロータハウジング13と反対側(上記所定の方向について)に連結されて、フライホイールが収容されるリアカバー20を有する。エンジン本体10は、他方のサイドハウジング14のロータハウジング13と反対側(上記所定の方向について)に連結されるフロントカバー22を有する。
【0026】
エンジン1は、上記所定の方向が略水平方向と一致する姿勢つまりロータ11の回転軸およびエキセントリックシャフト12が略水平方向に延びる姿勢で車両に搭載される。以下の説明では、上記所定の方向(エキセントリックシャフト12の長手方向およびロータ11の回転軸に沿う方向)を前後方向という。この所定の方向(前後方向)は、請求項の「前後方向」に相当する。また、以下では、この前後方向について、リアカバー20が設けられる側を後、フロントカバー22が設けられる側を前、として説明を行う。また、以下では、エンジン1が車両に搭載された状態での上下方向を単に上下方向とし、エンジン本体10を後方から見たときの左右方向を単に左右方向として説明する。この左右方向は、請求項の「エンジン幅方向」に相当する。
【0027】
パワートレインシステム200は、エンジン1、発電機202、減速機203、モータ201がこの順で前方から並ぶように構成されている。具体的に、エンジン1の後面つまりリアカバー20の後面に発電機202が連結され、発電機202の後面に減速機203が連結され、減速機203の後面にモータ201が連結されている。
【0028】
本実施形態では、エンジン1は、エンジン1の上記の前後方向(エキセントリックシャフト12の長手方向およびロータ11の回転軸に沿う方向)が車幅方向と一致し、上記左右方向が車両前後方向と一致する姿勢で車両に搭載される。なお、
図1のエンジン本体10の図は、これを前方から見たときの概略断面図である。また、
図2はパワートレインシステム200を上方から見たときの図であり、
図3はパワートレインシステム200を前方から見たときの図であり、
図4はパワートレインシステム200のうちのエンジン1の周辺部分を右方から見たときの図である。
【0029】
エンジン本体10には、吸気通路3に接続されて吸気通路3内の吸気をロータ収容室Rに導入する吸気ポート16、および、排気通路5に接続されてロータ収容室Rから排気を排気通路5に導出する排気ポート15が形成されている。吸気ポート16は、ロータ収容室Rの右側上部に開口しており、排気ポート15はロータ収容室Rの右側下部に開口している。つまり、エンジン本体10は、ロータ11が前方から見て時計回りに回転し、ロータ収容室Rの右側上部、左側上部、左側下部、右側下部の各領域がそれぞれ概ね吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の実施領域となるように構成されている。換言すると、エンジン1は、上下方向について、各行程の実施領域が上記の位置になるように車両に搭載される。
【0030】
吸気ポート16および排気ポート15は、それぞれ2つずつエンジン本体10に設けられている。エンジン本体10は、サイドポート式のロータリーピストンエンジンであり、吸気ポート16および排気ポート15はサイドハウジング14に形成されている。具体的に、2つのサイドハウジング14の上部には、それぞれ1つずつ吸気ポート16が形成されており、各吸気ポート16は、各サイドハウジング14の右側面(右側の外側面)の上部に開口している。また、2つのサイドハウジング14の下部にそれぞれ1つずつ排気ポート15が形成されており、各排気ポート15は、各サイドハウジング14の右側面の下部に開口している。2つの排気ポート15は、前後方向についてほぼ対称な形状を有し、2つのサイドハウジング14の右側面のほぼ同じ高さ位置に開口している。同様に、2つの吸気ポート16は、前後方向についてほぼ対称な形状を有し、2つのサイドハウジング14の右側面のほぼ同じ高さ位置に開口している。
【0031】
エンジン本体10には、ロータ収容室R内に燃料を噴射する燃料噴射装置17と、ロータ収容室R内に形成された燃料と空気の混合気を添加する点火プラグ18とが取り付けられている。燃料噴射装置17は、ロータ収容室Rの上端(詳細には上端から点火プラグ18側にオフセットした位置)を臨むように取り付けられており、点火プラグ18は、ロータ収容室Rの左下部を臨むように取り付けられている。
【0032】
(吸気通路)
吸気通路3には、吸気中に含まれる異物を除去するエアクリーナ31と、吸気通路3を開閉してエンジン本体10(ロータ収容室R)に導入される吸気の量を調整可能なスロットル弁32とが、上流側からこの順に設けられている。スロットル弁32はスロットルバルブケース33に収容されており、スロットルバルブケース33に固定されたアクチュエータ34によって駆動される。吸気通路3のうちスロットルバルブケース33よりも下流側の部分は、2つの吸気ポート16、16と連通して吸気をこれら2つの吸気ポート16、16に分配するインテークマニホールド38を構成している。インテークマニホールド38は、各サイドハウジング14の右側面における吸気ポート16の開口部付近から上方に延びる姿勢でエンジン本体10の右側面に固定されている。
【0033】
吸気通路3のエアクリーナ31よりも下流側の部分には、当該部分を通過する吸気の流量を検出するエアフロメータセンサSN1が設けられている。また、インテークマニホールド38には、これを通過するガスの温度である吸気温を検出する吸気温センサSN2が設けられている。
【0034】
(排気通路)
排気通路5は、2つの排気ポート15と連通して内側でこれら排気ポート15から導出された排気が合流する排気マニホールド52と、排気マニホールド52の下流端から下流側(排気ガスの流れ方向について)に延びる下流側排気通路53とを備えている。また、排気通路5は、排気を浄化するための浄化装置51を備える。排気通路5の詳細構造および排気通路5の支持構造については後述する。
【0035】
(EGR装置)
EGR装置4は、排気通路5と吸気通路3とを連通するEGR通路40を備える。EGR通路40には、EGR通路40を流れる排気であるEGRガスを冷却するEGRクーラ41と、EGR通路40を開閉してインテークマニホールド38に導入されるEGRガスの量を調整するEGR弁42とが、上流側(EGRガスの流れ方向について)からこの順に設けられている。EGR弁42はEGRバルブケース43に収容されており、EGRバルブケース43に固定されたEGRバルブアクチュエータ44によって駆動される。
【0036】
EGR装置4は、エンジン本体10の右方に配設されている。具体的には、
図3に示すように、EGR弁42を内蔵するEGRバルブケース43およびEGRバルブアクチュエータ44は、エンジン本体10の右方で且つインテークマニホールド38の後方に配設されている。EGRクーラ41はエンジン本体10の右方で且つ上下方向についてインテークマニホールド38と排気マニホールド52の間の位置に、前後方向に延びる姿勢で配設されている。EGRクーラ41は、冷却水とEGRガスとの熱交換によってEGRガスを冷却する水冷式のクーラである。EGRクーラ41には、冷却水をEGRクーラ41内に導入するための冷却水導入パイプ41bと、EGRクーラ41から冷却水を導出するための冷却水導出パイプ41aとが取り付けられている。
【0037】
(排気通路および排気通路の支持構造の詳細)
排気通路5の詳細構造および排気通路5の支持構造の詳細について説明する。
図5は、エンジン1の後部を左方から見た概略側面図である。
図6は、
図5のVI-VI線における断面図の一部を示した概略図である。
図7は、
図2の矢印Y1の方向から見たパワートレインシステム200の一部を示した概略斜視図である。
【0038】
以下の排気マニホールド52の説明では、排気ガスの流れ方向についての上流、下流を単に上流、下流という。また、サイドハウジング14の右側面に形成された各排気ポート15、15の開口端を、それぞれ単に開口端という。また、2つのサイドハウジング14のうち前側に位置するサイドハウジング14を前側サイドハウジング14Aといい、前側サイドハウジング14Aに形成された排気ポート(つまり2つの排気ポート15、15のうち前側の排気ポート)を前側排気ポート15Aという。また、2つのサイドハウジング14のうち後側に位置するサイドハウジング14を後側サイドハウジング14Bといい、後側サイドハウジング14Bに形成された排気ポート(つまり2つの排気ポート15、15のうち後側の排気ポート)を後側排気ポート15Bという。
【0039】
上記のように、排気通路5は、排気ポート15、15と連通する排気マニホールド52と、排気マニホールド52よりも下流側の部分を構成する下流側排気通路53とを備えている。
【0040】
排気マニホールド52は、エンジン本体10の右側の外側面である右側面10Aに沿って後側排気ポート15Bから前方に延びている。排気マニホールド52は、その後端部において後側排気ポート15Bと連通しており、前後方向の中間部分において前側排気ポート15Aと連通している。排気マニホールド52の前端部分は、右斜め前方に膨出する形状を有している。つまり、排気マニホールド52の前端部分は左方に湾曲しており、排気マニホールド52はその前端部分においてエンジン本体10の前方に回り込んでいる。
【0041】
下流側排気通路53は、エンジン本体10の前面10Bに沿って排気マニホールド52の前端(下流端)から左方に延びる第1通路部53Aと、エンジン本体10の左側の外側面である左側面10Cに沿って第1通路部53Aの左端から後方に延びる第2通路部53Bと、第2通路部53Bの後端(下流端)に左方に湾曲するように接続された浄化装置51と、浄化装置51の左端から左方に延びる第3通路部53Cとを有する。第1通路部53Aは、排気マニホールド52の前端部分から左方に延びた後、左斜め上方に延びている。第2通路部53Bは、エンジン本体10の左側面10Cの上部に沿って延びている。
【0042】
浄化装置51は、触媒作用によって排気を浄化する触媒装置51Aと、触媒装置51Aよりも下流側に配設されて排気中の微粒子を捕集するフィルタ装置51Bと、触媒装置51Aとフィルタ装置51Bとをつなぐ連結通路51Cとで構成されている。詳細には、触媒装置51Aは、触媒が担持された触媒本体と、これを収容するケース部材とを有する。同様に、フィルタ装置51Bは、フィルタとして機能する本体部と、これを収容するケース部材とを有する。触媒装置51Aとしては、例えば、三元触媒が担持されたものが用いられる。
【0043】
排気通路5は、ステンレス製の板金部品である。具体的に、排気マニホールド52、第1通路部53A、第2通路部53B、第3通路部53C、浄化装置51の連結通路51C、触媒装置51Aのケース部材およびフィルタ装置51Bのケース部材は、いずれもステンレス製であり、板金により製造されている。
【0044】
ここで、左右方向について右側が請求項の「一方側」に相当し左側が請求項の「他方側」に相当する。そして、上記のエンジン本体10の右側面10Aは請求項の「第1外側面」に相当し、左側面10Cは請求項の「第2外側面」に相当する。また、排気マニホールド52は請求項の「第1排気通路」に相当し、第1通路部53Aは請求項の「第2排気通路」に相当し、第2通路部53Bは請求項の「第3排気通路」に相当する。
【0045】
(排気マニホールドの固定構造)
排気マニホールド52は、エンジン本体10の右側面10Aに固定されている。
【0046】
具体的に、排気マニホールド52は、エンジン本体10の右側面10Aに沿って延びる板状の取付部52Gを有する。エンジン本体10の右側面10Aには、取付部52Gが固定される4つのスタッドボルト101が取り付けられている。取付部52Gには、スタッドボルト101に対応する位置にそれぞれ貫通孔が形成されている。排気マニホールド52は、取付部52Gの各貫通孔にそれぞれスタッドボルト101が挿通されてスタッドボルト101にナット91が螺合されることでエンジン本体10の右側面10Aに固定されている。
【0047】
4つのスタッドボルト101のうち2つのスタッドボルト101は、後側排気ポート15Bの上方と下方とにそれぞれ配設されており、後側サイドハウジング14Bの右側面から右方に突出している。以下では、適宜、後側排気ポート15Bの上方と下方とに配設された2つのスタッドボルト101を、それぞれ後側スタッドボルト101B、101Bという。2つの後側スタッドボルト101B、101Bは、前後方向について互いに同じ位置に配設されている。
【0048】
残りの2つのスタッドボルト101、101は、後側スタッドボルト101B、101Bよりも前方に配設されている。後側スタッドボルト101Bの前方に設けられた2つのスタッドボルト101、101は、前側排気ポート15Aの上方と下方とにそれぞれ配設されており、前側サイドハウジング14Aの右側面から右方に突出している。以下では、適宜、前側排気ポート15Aの上方と下方とに配設された2つのスタッドボルト101を、それぞれ前側スタッドボルト101A、101Aという。2つの前側スタッドボルト101A、101Aは、前後方向について互いに同じ位置に配設されている。
【0049】
後側排気ポート15Bの上方に位置する後側スタッドボルト101Bと、前側排気ポート15Aの上方に位置する前側スタッドボルト101Aとは、上下方向について同じ位置に配設されている。後側排気ポート15Bの下方に位置する後側スタッドボルト101Bと、前側排気ポート15Aの下方に位置する前側スタッドボルト101Aとは、上下方向について同じ位置に配設されている。
【0050】
上記の2つの後側スタッドボルト101Bは、請求項の「後側固定部」に相当し、上記の2つの前側スタッドボルト101Aは、請求項の「前側固定部」に相当する。
【0051】
(下流側排気通路の固定構造)
排気マニホールド52と下流側排気通路53とは、フランジ部を介して連結されている。具体的に、排気マニホールド52の前端(下流端)にはフランジ部52Fが設けられている。下流側排気通路53の上流端つまり第1通路部53Aの右端にはフランジ部53Fが設けられている。排気マニホールド52と下流側排気通路53とは、これらフランジ部52F、53Fがボルトとナットにより連結されることで連結されている。
【0052】
また、下流側排気通路53は、前ブラケット400によってエンジン本体10の左側面10Cに連結(支持)されているとともに、中間ブラケット500および後ブラケット600によって、ジェネレータハウジングケース230に連結(支持)されている。ジェネレータハウジングケース230は、発電機202および減速機203の各本体部を収容するケースであり、エンジン本体10の後面にボルトにより固定されている。なお、前ブラケット400は請求項の「支持部」に相当し、中間ブラケット500は請求項の「第2支持部」に相当し、後ブラケット600は請求項の「第3支持部」に相当する。また、ジェネレータハウジングケース230は、請求項の「被固定部材」に相当する。
【0053】
具体的に、前ブラケット400は、4つのブラケット(第1ブラケット401、第2ブラケット402、第3ブラケット403、第4ブラケット404)を有する。
【0054】
第1ブラケット401は、エンジン本体10の左側面10Cに沿って前後方向に延びる板状の取付部401Aと、取付部401Aの前縁から前斜め左方に湾曲する延出部401Bと、延出部401Bの前縁(左縁)から前方に延びる縦壁部401Cとを有する。
【0055】
第1ブラケット401の取付部401Aは、エンジン本体10の左側面10Cに固定されている。具体的に、エンジン本体10の左側面10Cには、第1ブラケット401の取付部401Aひいては前ブラケット400が固定される前ブラケット用被固定部111が設けられている。前ブラケット用被固定部111はエンジン本体10のリアカバー20の左側面の上下中央に設けられている。第1ブラケット401の取付部401Aは、ボルト92によりこの前ブラケット用被固定部111に固定されている。
【0056】
第2ブラケット402は、第1ブラケット401の縦壁部401Cの左側面に沿って延びる板状の縦壁部402Aと、縦壁部402Aの上縁から左方に延びる横壁部402Bとを有する。第2ブラケット402の縦壁部402Aは第1ブラケット401の縦壁部401Cにボルト93により固定されている。
【0057】
第3ブラケット403は、第2通路部53Bの左側面から下方に延びる縦壁部403Aと、縦壁部403Aの下縁から左方に延びる横壁部403Bとを有する。第4ブラケット404は、第2通路部53Bの右側面から下方に延びる縦壁部404Aと、縦壁部404Aの下縁から左方に延びて第3ブラケット403の横壁部403Bに接する横壁部404Bとを有する。第4ブラケット404の横壁部404Bは、第2通路部53Bの下方を通って第2通路部53Bよりも左方の位置まで延びている。第3ブラケット403の横壁部403Bと第4ブラケット404の横壁部404Bと第2ブラケット402の横壁部402Bとは上下方向に重ね合わせられて共通のボルト94により固定されている。
【0058】
第3ブラケット403の縦壁部403Aの上部は、第2通路部53Bの後端部の左側面に溶接により固定されており、第4ブラケット404の縦壁部404Aは第2通路部53Bの後端部の右側面に溶接により固定されている。
【0059】
このように、本実施形態では、第2通路部53Bの後端部に溶接により固定された第3ブラケット403および第4ブラケット404と、これら第3ブラケット403および第4ブラケット404にボルト94により固定された第2ブラケット402と、第2ブラケット402にボルト92により固定された第1ブラケット401とを含む前ブラケット400が、前ブラケット用被固定部111に固定されることで、第2通路部53Bの後端部は前ブラケット400によってエンジン本体10に支持されている。
【0060】
ここで、上記のように第1ブラケット401の延出部401Bは、前ブラケット用被固定部111に固定される取付部401Aの前縁から前斜め左方に湾曲して延びている。これに伴い、第1ブラケット401の縦壁部401C、これに固定される第2ブラケット402、および第2ブラケット402に固定される第3ブラケット403の横壁部403Bと第4ブラケット404の横壁部404Bは、取付部401Aよりも前方に位置している。これより、第2通路部53Bと前ブラケット400との連結位置P1は、リアカバー20よりも前側の位置となっている。また、この第2通路部53Bと第1ブラケット401(前ブラケット400)との連結位置P1は、前後方向について前側スタッドボルト101A、101Aの位置X1と後側スタッドボルト101B、101Bの位置X2の中間に位置している。
【0061】
中間ブラケット500は、2つのブラケット(第5ブラケット501、第6ブラケット502)を有する。
【0062】
第5ブラケット501は、ジェネレータハウジングケース230の上面に沿って左右方向に延びる板状を有する。
【0063】
第5ブラケット501の右端部は、ジェネレータハウジングケース230に固定されている。具体的に、ジェネレータハウジングケース230の外側面230Aには、第5ブラケット501の右端部ひいては中間ブラケット500が固定される中間ブラケット用被固定部232が設けられている。より詳細には、ジェネレータハウジングケース230は、前方から見たときにエンジン本体10の下部から左方に突出するデフケース231を備える。デフケース231の内側には、減速機203の本体部のうちの主としてデファレンシャルギアが収容される。中間ブラケット用被固定部232は、デフケース231の上面231Aに設けられている。なお、デフケース231は、左方に膨出する形状を有しており、デフケース231の上面231Aは、前方から見たときに、エンジン本体10の左側面10Cから左斜め下方に湾曲している。第5ブラケット501の右端部は、中間ブラケット用被固定部232にボルト95により固定されており、第5ブラケット501は中間ブラケット用被固定部232から左方に延びている。
【0064】
第6ブラケット502は、第5ブラケット501の上面に沿って左斜め前方に延びる板状の横壁部502Aと、横壁部502Aの幅方向の両縁から上方に立ち上がる一対の縦壁部502Bとを有する。各縦壁部502Bは、横壁部502Aの各縁から上方に延びた後左斜め前方に延びている。
【0065】
第6ブラケット502の横壁部502Aは第5ブラケット501の左端部にボルト96により固定されており、第6ブラケット502の各縦壁部502Bの前縁は、連結通路51Cの右側面に溶接により固定されている。
【0066】
このように、本実施形態では、連結通路51Cの右側面に溶接により固定された第6ブラケット502と、第6ブラケット502にボルト96により固定された第5ブラケット501を含む中間ブラケット500が、中間ブラケット用被固定部232に固定されることで、連結通路51Cは中間ブラケット500によってジェネレータハウジングケース230に連結(支持)されている。
【0067】
後ブラケット600は、2つのブラケット(第7ブラケット601、第8ブラケット602)を有する。
【0068】
第7ブラケット601は、左右方向に延びる横壁部601Aと、横壁部601Aの前および左縁から下方に延びる縦壁部601Bとを有する。
【0069】
第7ブラケット601の右端部は、ジェネレータハウジングケース230に固定されている。具体的に、ジェネレータハウジングケース230のうちのデフケース231の上面231Aには、中間ブラケット用被固定部232の左斜め後方となる位置に、第7ブラケット601ひいては後ブラケット600が固定される後ブラケット用被固定部233が設けられている。第7ブラケット601の右端部は、後ブラケット用被固定部233にボルト95により固定されており、第7ブラケット601は後ブラケット用被固定部233から左方に延びている。
【0070】
第8ブラケット602は、第7ブラケット601の上面に沿って延びる板状の横壁部602Aと、横壁部602Aの前縁から上方に立ち上がる縦壁部602Bとを有する。
【0071】
第8ブラケット602の横壁部602Aは第7ブラケット601の横壁部601Aに溶接により固定されており、第8ブラケット602の縦壁部502Bはフィルタ装置51Bの右側面に溶接により固定されている。
【0072】
このように、本実施形態では、フィルタ装置51Bの右側面に溶接により固定された第8ブラケット602と、第8ブラケット602に溶接により固定された第7ブラケット601を含む後ブラケット600が、後ブラケット用被固定部233に固定されることで、連結通路51Cは後ブラケット600によってジェネレータハウジングケース230に支持されている。
【0073】
ここで、各ブラケット400、500、600と下流側排気通路53との連結位置は、これら3つの連結位置に囲まれる領域内に下流側排気通路53の重心P10が位置するように設定されている。
【0074】
具体的に、中間ブラケット500と連結通路51Cとの連結位置P2(具体的に、第6ブラケット502の各縦壁部502Bと連結通路51Cとの固定位置)は、前ブラケット400と第2通路部53Bとの連結位置P1よりも後方に位置し、後ブラケット600とフィルタ装置51Bとの連結位置(具体的に、第8ブラケット602の縦壁部602Bとフィルタ装置51Bとの固定位置)は、中間ブラケット500と連結通路51Cの連結位置P2よりも後方且つ左方に位置している。そして、下流側排気通路53の重心P10は、これら連結位置P1、P2、P3をつなぐ3角形の領域X内に位置している。なお、本実施形態では、下流側排気通路53の重心P10は、触媒装置51Aに存在する。
【0075】
上記のように、下流側排気通路53は、その上流端において排気マニホールド52に固定され、その第2通路部53Bの後端部において前ブラケット400を介してエンジン本体10に固定される。一方、下流側排気通路53のうち第1通路部53Aはエンジン本体10に直接固定されておらず、第1通路部53Aは、排気マニホールド52と第2通路部53Bによってのみ支持されている。
【0076】
(作用等)
以上のように、上記実施形態では、排気マニホールド52がエンジン本体10の右側面10Aに沿い、第1通路部53Aがエンジン本体10の前面10Bに沿い、第2通路部53Bがエンジン本体の左側面10Cに沿って延びており、排気マニホールド52のうち排気ポート15から延びる部分が、エンジン本体10の3方向の外側面に沿うようにエンジン本体10の周囲にコンパクトに配設されている。そのため、エンジン本体10の周囲のレイアウト性を高めることができる。特に、上記実施形態では、排気ポート15が開口して排気マニホールド52が設けられるエンジン本体10の右側面が車両の前後方向の前方を向くように車両に搭載される。そのため、排気通路5がエンジン本体10の車両前後方向の前方に占める面積を小さく抑えることができ、エンジン本体10の車載位置の自由度を高めることができる。
【0077】
しかも、上記実施形態では、排気マニホールド52がスタッドボルト101によりエンジン本体10の右側面10Aに支持され、第2通路部53Bが前ブラケット400によりエンジン本体10の左側面10Cに支持されている。つまり、排気通路5がエンジン本体10の互いに対向する外側面10A、10Cに支持されている。そのため、排気通路5をエンジン本体10に安定して支持することができる。
【0078】
また、浄化装置51が、第2通路部53Bをエンジン本体10の左側面10Cに支持する前ブラケット400と排気通路5との連結位置P1よりも後方に配設されている。これより、浄化装置51よりも上流側の排気通路5と、浄化装置51とが、第2通路部53Bと前ブラケット400との連結位置P1と、排気マニホールド52とエンジン本体10との連結位置(前側スタッドボルト101Aと後側スタッドボルト101Bの前後中央の位置)とを結ぶラインX3を挟んで前と後とに分かれて配設されている。具体的に、そのため、エンジン本体にかかる排気通路の前後方向の重量バランスを均等に近づけることができ、浄化装置51を含む排気通路5を安定してエンジン本体10に支持することができる。
【0079】
特に、上記実施形態では、第2通路部53Bと前ブラケット400との連結位置P1が、前後方向について前側スタッドボルト101A、101Aの位置X1と後側スタッドボルト101B、101Bの位置X2の中間に位置している。そのため、エンジン本体10にかかる排気通路5の前後方向の重量バランスをより均等に近づけることができる。
【0080】
また、上記実施形態では、第2通路部53Bの後端(下流端)から左方に湾曲する浄化装置51が、エンジン本体10の後面に固定されるジェネレータハウジングケース230に中間ブラケット500および後ブラケット600によって支持されており、重量の大きい浄化装置51を安定して支持できる。しかも、浄化装置51と中間ブラケット500の連結位置P2が、浄化装置51の上流側の排気通路5である第2通路部53Bを支持する前ブラケット400と第2通路部53Bの連結位置P1よりも後方に設定され、浄化装置51と後ブラケット600の連結位置P3が、浄化装置51と中間ブラケット500の連結位置P2よりも後方且つ左方に設定されている。従って、浄化装置51を互いに異なる3つの位置で支持でき、浄化装置51を確実に安定して支持できる。
【0081】
また、第1通路部53Aが、エンジン本体10に直接固定されておらず排気マニホールド52と第2通路部53Bとによってのみ支持されている。そのため、排気マニホールド52、第1通路部53Aおよび第2通路部53Bを熱膨張・熱収縮させることができる。まり、第1通路部53Aの変位によって排気マニホールド52あるいは第2通路部53Bは熱膨張・熱収縮することが許容される。従って、これら各部の熱応力を低減することができる。
【0082】
また、上記実施形態では、排気マニホールド52、第1通路部53A、第2通路部53Bがいずれもステンレスの板金製であり、これらを鉄等の鋳物製にする場合に比べて軽量化することができる。
【0083】
(変形例)
上記実施形態では、エンジン本体10の後面に固定されて上記中間ブラケット500および後ブラケット600が固定される部材が、ジェネレータハウジングケース230の場合を説明したが、この部材はジェネレータハウジングケース230に限られない。
【0084】
上記実施形態では、ロータリーピストンエンジンが1つのロータ11のみを有する1ロータタイプである場合を説明したが、複数のロータ11を有するロータリーピストンエンジンに上記構成を適用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
3 吸気通路
5 排気通路
10 エンジン本体
10A エンジン本体の右側面(第1外側面)
10B エンジン本体の前面
10C エンジン本体の左側面(第2外側面)
11 ロータ
13 ロータハウジング
14 サイドハウジング
15 排気ポート
51 浄化装置
52 排気マニホールド(第1排気通路)
53A 第1通路部(第2排気通路)
53B 第2通路部(第3排気通路)
101A 前スタッドボルト(前側固定部)
101B 後スタッドボルト(後側固定部)
230 ジェネレータハウジングケース(被固定部材)
400 前ブラケット(支持部)
500 中間ブラケット(第2支持部)
600 後ブラケット(第3支持部)
R ロータ収容室