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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153568
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】窒化アルミニウム焼結体
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/582 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
C04B35/582
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062923
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】則武 賢信
(72)【発明者】
【氏名】笠島 崇
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】菱田 智子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大貴
(57)【要約】
【課題】高い熱伝導性と高い体積抵抗率を有する窒化アルミニウム焼結体を提供する。
【解決手段】本明細書によって開示される窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウムを主成分とし、希土類元素とアルミニウムとを含む複合酸化物と、窒化ジルコニウムと、を含み、25℃における熱伝導率が150W/m・K以上であり、600℃における熱伝導率が60W/m・K以上であり、かつ、600℃における体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化アルミニウムを主成分とし、
希土類元素とアルミニウムとを含む複合酸化物と、
窒化ジルコニウムと、を含み、
25℃における熱伝導率が150W/m・K以上であり、
600℃における熱伝導率が60W/m・K以上であり、かつ、600℃における体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下である、窒化アルミニウム焼結体。
【請求項2】
前記窒化アルミニウムの質量を100としたとき、前記複合酸化物の質量aと、前記窒化ジルコニウムの質量bとが、下記式(1)(2)を満たす、請求項1に記載の窒化アルミニウム焼結体。
0<a≦10・・・(1)
0<b≦3・・・(2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、窒化アルミニウム焼結体に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物(例えば半導体ウェハ)を吸着保持しつつ加熱する静電チャックは、例えば、成膜装置(CVD成膜装置、スパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。このような静電チャックに用いられるセラミック材料として、窒化アルミニウムが挙げられる。窒化アルミニウムの焼結体は、機械強度、耐熱衝撃性に優れ、体積抵抗率及び熱伝導率が高く、特にハロゲン系ガス及びハロゲン系プラズマに対して高い耐食性を示すことが知られている。
【0003】
近年、半導体の製造は、半導体集積回路の微細化や高密度化を図るため、600℃以上の高温で行われるようになってきており、静電チャックに用いられるセラミック材料には、高温領域における高い熱伝導性と高い体積抵抗率が求められるようになっている。しかし、窒化アルミニウム焼結体の体積抵抗率は、このような高温領域では1.0×10Ω・cm以下まで低下する。
【0004】
高温領域での体積抵抗率の低下を抑制できるセラミック材料として、マグネシウム(Mg)を含む窒化アルミニウムの結晶粒子と、希土類元素とアルミニウム(Al)とを含む複合酸化物と、MgとAlとを含む複合酸窒化物の粒子と、を含む窒化アルミニウム質焼結体が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6496092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体集積回路に関する技術動向を踏まえると、高温領域において高い熱伝導性と高い体積抵抗率を有するセラミック部材へのニーズは今後も増大すると予想される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウムを主成分とし、希土類元素とアルミニウムとを含む複合酸化物と、窒化ジルコニウムと、を含み、25℃における熱伝導率が150W/m・K以上であり、600℃における熱伝導率が60W/m・K以上であり、かつ、600℃における体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下である。
【発明の効果】
【0008】
本明細書によって開示される窒化アルミニウム焼結体によれば、高温領域において高い熱伝導性と高い体積抵抗率を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
(1)本明細書によって開示される窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウムを主成分とし、希土類元素とアルミニウムとを含む複合酸化物と、窒化ジルコニウムと、を含み、25℃における熱伝導率が150W/m・K以上であり、600℃における熱伝導率が60W/m・K以上であり、かつ、600℃における体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下である。
【0010】
窒化アルミニウムは、酸素原子が窒素原子の位置に置換固溶することにより欠陥(空孔)が生じ、体積抵抗率が低下することが知られている。窒化アルミニウム焼結体の製造工程において、希土類元素を含む希土類酸化物粉末を窒化アルミニウム粉末に添加して焼成すると、希土類元素とアルミニウムとを含む複合酸化物が生成する。この過程で、窒化アルミニウムに固溶した酸素が希土類元素と反応するため、窒化アルミニウムから固溶酸素が取り除かれる。窒化ジルコニウムの存在により、希土類酸化物の分散性が向上し、窒化アルミニウム中の固溶酸素を取り除く反応が促進されて、欠陥の発生が抑制されると考えられる。また、窒化ジルコニウム中のジルコニウム原子の一部が窒化アルミニウム中に固溶され、これにより、欠陥に由来する窒化アルミニウムの格子歪みが緩和されると考えられる。これらの作用により、窒化アルミニウム焼結体の体積抵抗率の低下が抑制される。
【0011】
また、従来のマグネシウムを含む窒化アルミニウム焼結体では、マグネシウムが酸化マグネシウムとして窒化アルミニウムの結晶中に入り込み、熱伝導率を低下させてしまうことがある。しかし、窒化ジルコニウムは、窒化アルミニウム焼結体中に、熱伝導率に悪影響を与えない形態で存在しているため、高い熱伝導率が維持されると考えられる。
【0012】
このような窒化アルミニウム焼結体は、常温に近い温度領域と600℃の高温領域との双方で高い熱伝導率が得られ、かつ、600℃の高温領域において、ジョンソン・ラーベック力により対象物を吸着する静電チャックに必要とされる1.0×10Ω・cmから1.0×1012Ω・cmの体積抵抗率を実現できる。このような窒化アルミニウム焼結体は、特に、ジョンソン・ラーベック力型の静電チャックのためのセラミック材料として好適である。
【0013】
(2)上記(1)の窒化アルミニウム焼結体において、前記窒化アルミニウムの質量を100としたとき、前記複合酸化物の質量aと、前記窒化ジルコニウムの質量bとが、下記式(1)(2)を満たすことが好ましい。
【0014】
0<a≦10・・・(1)
【0015】
0<b≦3・・・(2)
【0016】
複合酸化物や窒化ジルコニウムが過剰に存在すると、これらの成分により形成された粒界相が窒化アルミニウム粒子の表面を覆い、窒化アルミニウムの粒子同士が接触する領域が少なくなる。これにより、体積抵抗率や熱伝導率が低下することが懸念される。希土類元素とアルミニウムとを含む複合酸化物と窒化ジルコニウムの量とが上記の範囲内である場合に、高い体積抵抗率および熱伝導率を確保できる。
【0017】
[実施形態の詳細]
本明細書によって開示される技術の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
本実施形態の窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウム(AlN)を主成分とし、希土類元素(R)及びアルミニウム(Al)を含む複合酸化物(以下、「R-Al複合酸化物」と略記することがある)と、窒化ジルコニウム(ZrN)と、を含む。
【0019】
窒化アルミニウム焼結体は、70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上の窒化アルミニウムを含有している。
【0020】
R-Al複合酸化物に含まれる希土類元素(R)としては、例えばイットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ホルミウム(Ho)、ガドリニウム(Gd)、ネオジウム(Nd),サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ルテチウム(Lu)が挙げられる。このうち、イットリウムを特に好ましく用いることができる。
【0021】
R-Al複合酸化物では、希土類元素とアルミニウムとが所定の比率で複合化されて、ガーネット型(RAl12)、ペロブスカイト型(RAlO)、モノクリニック型(RAl)等の結晶構造を形成する。中でも、体積抵抗率の高いガーネット型の結晶構造を有するR-Al複合酸化物が好ましい。希土類元素としてイットリウムを用いた場合、R-Al複合酸化物としては、YAl12(YAG),YAlO(YAP),YAl(YAM)といった結晶構造が形成される。
【0022】
本実施形態の窒化アルミニウム焼結体は、25℃における熱伝導率が150W/m・K以上であり、600℃における熱伝導率が60W/m・K以上であり、かつ、600℃における体積抵抗率が1.0×10Ω・cm以上1.0×1012Ω・cm以下である。
【0023】
窒化アルミニウム焼結体の体積抵抗率は、常温(20℃)では1.0×1014Ω・cm以上と高いものの、600℃以上の高温では1.0×10Ω・cm以下まで低下する。その原因の一つは、酸素原子が窒素原子の位置に置換固溶することにより欠陥(空孔)が生じ、結晶格子が歪むことにある。
【0024】
窒化アルミニウム焼結体の製造工程において、希土類元素を含む希土類酸化物粉末と窒化ジルコニウム粉末とを窒化アルミニウム粉末に添加して焼成すると、希土類元素とアルミニウムとを含む複合酸化物が生成する。この過程で、窒化アルミニウムに固溶した酸素が希土類元素と反応するため、窒化アルミニウムから固溶酸素が取り除かれる。窒化ジルコニウムの存在により、希土類酸化物の分散性が向上し、窒化アルミニウム中の固溶酸素を取り除く反応が促進されて、欠陥の発生が抑制されると考えられる。また、窒化ジルコニウム中のジルコニウム原子の一部が窒化アルミニウム中に固溶され、欠陥に由来する窒化アルミニウムの格子歪みが緩和されると考えられる。このように、窒化アルミニウム中の欠陥の発生が抑制され、格子歪みが緩和されることにより、窒化アルミニウム焼結体の体積抵抗率の低下が抑制される。
【0025】
また、従来のマグネシウムを含む窒化アルミニウム焼結体では、マグネシウムが酸化マグネシウムとして窒化アルミニウムの結晶中に入り込み、熱伝導率を低下させてしまうことがある。しかし、窒化ジルコニウムは、窒化アルミニウム焼結体中に、熱伝導率に影響を与えない形態で存在しているため、高い熱伝導率が維持されると考えられる。
【0026】
窒化ジルコニウムは、焼成の条件等により、一部または全部が炭素を含む炭窒化ジルコニウム(Zr(C、N))に変化する場合があるが、そのような場合であっても、炭素を含まない窒化ジルコニウム(ZrN)が含まれている場合と同様の効果を得ることができる。
【0027】
窒化アルミニウムの質量を100としたとき、R-Al複合酸化物の質量aと、窒化ジルコニウムの質量bとが、下記式(1)(2)を満たすことが好ましい。
【0028】
0<a≦10・・・(1)
【0029】
0<b≦3・・・(2)
【0030】
R-Al複合酸化物や窒化ジルコニウムが過剰に存在すると、これらの成分により形成された粒界相が窒化アルミニウム粒子の表面を覆い、窒化アルミニウムの粒子同士が接触する領域が少なくなる。これにより、体積抵抗率や熱伝導率が低下することが懸念される。R-Al複合酸化物と窒化ジルコニウムの量が上記の範囲内である場合に、高い体積抵抗率および熱伝導率を確保できる。
【0031】
上記の構成の窒化アルミニウム焼結体の製造方法の一例を、以下に示す。
【0032】
まず、窒化アルミニウム粉末と、希土類元素酸化物粉末と、窒化ジルコニウム粉末とを、目的とする組成となるように秤量する。秤量した粉末を混合し、得られた混合物をプレス成形し、得られた成形体を焼成することによって、窒化アルミニウム焼結体が得られる。
【0033】
原料粉末の混合は、湿式、乾式を問わず、回転型ボールミル、振動型ボールミル、ビーズミル、高速撹拌等による公知の方法で行うことができる。溶媒を添加して湿式混合を行った場合は、混合後に乾燥を行って、原料混合粉末を得ることができる。
【0034】
プレス成形は、金型成形法、冷間静水圧加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)法、スリップキャスト法、押出成形法等、公知の成形方法で行うことができる。これらの方法を組み合わせて行ってもよい。例えば、金型プレスにより一軸加圧成形を行った後に、静水圧処理を行って、成形体を得ることができる。このようにすれば、より均質で緻密な成形体を得ることができる。
【0035】
焼成は、例えば、不活性ガス雰囲気中において、1000℃以上2000℃以下で行うことが好ましい。焼成は、常圧で行ってもよいが、ホットプレス法により加圧下で行うことが好ましい。このようにすれば、より均質で緻密な焼結体を得ることができる。
【0036】
本実施形態の窒化アルミニウム焼結体によれば、600℃の高温領域で高い熱伝導率が得られ、かつ、ジョンソン・ラーベック力により対象物を吸着する静電チャックに必要とされる1.0×10Ω・cmから1.0×1012Ω・cmの体積抵抗率を実現できる。このような窒化アルミニウム焼結体は、600℃以上の高温で対象物を処理するために用いられる、ジョンソン・ラーベック力型の静電チャックのためのセラミック材料として、極めて好適である。
【0037】
また、本実施形態の窒化アルミニウム焼結体は、25℃においても高い熱伝導率を示す。このような窒化アルミニウム焼結体を例えば静電チャックの材料として用いると、高温での対象物の処理プロセスの終了後の冷却プロセスの時間を短縮することができる。
【0038】
<試験例>
1.試料の作製
窒化アルミニウム粉末と、酸化イットリウム粉末と、窒化ジルコニウム粉末とを、窒化アルミニウム焼結体が目的の組成(表1参照)となるように秤量した。溶媒としてエタノールを使用し、秤量した原料粉末を加え、ボールミルにより混合して乾燥することにより、混合粉末を調製した。得られた混合粉末を、金型プレスによりプレス圧力12MPaで一軸加圧成形し、さらに147MPaの静水圧処理を行い、直径60mm、厚さ9mm程度の円盤状の成形体を作製した。作製した成形体をカーボン製のダイスに詰め、窒素雰囲気中において、焼結温度1830℃、保持時間2時間、圧力4.4MPaでホットプレス法により焼結し、窒化アルミニウム焼結体を得た。
【0039】
2.試験方法
(1)質量比
上記1で得られた窒化アルミニウム焼結体を粉砕した粉末を、放射光X線回折装置により測定し、回折パターンをWPPF(Whole Powder Pattern Fitting)法により定量分析して、焼結体中のR-Al複合酸化物、窒化ジルコニウム、炭窒化ジルコニウム、および酸化マグネシウムの質量比を算出した。
【0040】
(2)熱伝導率
JIS-R1611に準じて、上記1で得られた窒化アルミニウム焼結体から試料片を切り出して加工し、レーザフラッシュ法により熱伝導率を測定した。
【0041】
(3)体積抵抗率
JIS-C2141に準じて、上記1で得られた窒化アルミニウム焼結体から試料片を切り出して加工し、直流三端子法により、窒素雰囲気下600℃で体積抵抗率を測定した。
【0042】
3.結果
各試験例について、窒化アルミニウム焼結体の組成、および熱伝導率と体積抵抗率の測定値を表1に示した。なお、表1において、R-Al複合酸化物、窒化ジルコニウム、炭窒化ジルコニウム、および酸化マグネシウムの質量比は、窒化アルミニウムの質量を100としたときの値である。
【0043】
【表1】
【0044】
R-Al複合酸化物と窒化ジルコニウムとを含み、R-Al複合酸化物の質量比aが0<a≦10を満たし、窒化ジルコニウムの質量比bが0<b≦3を満たす試験例1から7の窒化アルミニウム焼結体は、熱伝導率が25℃で150W/m・K以上、600℃で60W/m・K以上であり、常温、高温のいずれにおいても高い熱伝導率を示した。また、600℃において、1.0×10Ω・cm以上の高い体積抵抗率を示した。窒化ジルコニウムが炭窒化ジルコニウムに変化した試験例8の窒化アルミニウム焼結体も、高い熱伝導率と高い体積抵抗率を示した。
【0045】
これに対し、窒化ジルコニウムおよび酸化マグネシウムのいずれも含まない試験例9の窒化アルミニウム焼結体は、600℃における体積抵抗率が1.8×10Ω・cmに達していなかった。試験例9では、窒化アルミニウム中に生じた欠陥(空孔)により、体積抵抗率が低下したと考えられる。
【0046】
また、酸化マグネシウムを含む試験例13および14の窒化アルミニウム焼結体は、600℃で1.0×10Ω・cm以上の高い体積抵抗率を示したものの、熱伝導率は試験例1から8の窒化アルミニウム焼結体よりも劣っていた。この原因は、酸化マグネシウムの一部が窒化アルミニウムの結晶中に入り込んで欠陥を生じさせ、熱伝導率に悪影響を与えたためであると考えられる。
【0047】
また、R-Al複合酸化物の質量比が12.4%である試験例12、および、窒化ジルコニウムの質量比が5.0%である試験例10、11の窒化アルミニウム焼結体は、いずれも、600℃における体積抵抗率が1.8×10Ω・cmに達していなかった。この原因は以下のようであると考えられる。
【0048】
焼成中に、窒化アルミニウム粒子の表面に窒化アルミニウム以外の化合物の相(粒界相)が形成されるが、R-Al複合酸化物や窒化ジルコニウムが過剰に含まれていると、この粒界相によって窒化アルミニウム粒子の表面が覆われてしまい、窒化アルミニウム粒子同士が直接接触している部分が少なくなってしまう。このことが、体積抵抗率の低下を招くと考えられる。