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<図1>
  • 特開-可撓性強化特徴を有する細長医療器具 図1
  • 特開-可撓性強化特徴を有する細長医療器具 図2
  • 特開-可撓性強化特徴を有する細長医療器具 図3
  • 特開-可撓性強化特徴を有する細長医療器具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015357
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】可撓性強化特徴を有する細長医療器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
A61M25/00 632
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022185637
(22)【出願日】2022-11-21
(62)【分割の表示】P 2020562101の分割
【原出願日】2019-01-29
(31)【優先権主張番号】62/623,180
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518271846
【氏名又は名称】トランジット サイエンティフィック,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【弁理士】
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】フォジティク,ショーン・ピー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可撓性強化特徴のシリーズをその長さに沿って有する細長管状要素を含む、細長医療装置を提供する。
【解決手段】細長管状要素20の各可撓性強化特徴30mは、カットの周方向シリーズを含むことができる。1つの可撓性強化特徴のカットは長手方向に隣接した可撓性強化特徴のカットに対してオフセットされている。可撓性強化特徴は2つ又はそれ以上の交互配置型のセットへグループ化され、周方向カットの各セットは周方向カットの次のセットに対してオフセットされていてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長管状要素であって、外面を画定している壁及び当該細長管状要素の長さを貫いて延びているルーメンを有する細長管状要素と、
前記細長管状要素の長さの一部分に沿って前記外壁を貫いて形成されている隣接した周方向カットのシリーズであって、当該隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の周囲を周って少なくとも90度の但し180度未満の弧を画定していて、別の周方向カットと周方向に整列しており、当該隣接した周方向カットのシリーズは以下を含み、即ち、
周方向カットの第1のセットであって、当該周方向カットの第1のセットの各周方向カットの弧は、当該周方向カットの第1のセットの隣接した周方向カットの弧から約90度又はそれ以下だけオフセットされている、周方向カットの第1のセット、及び、
周方向カットの第2のセットであって、当該周方向カットの第2のセットの各周方向カットの弧は、当該周方向カットの第2のセットの隣接した周方向カットの弧から約90度又はそれ以下だけオフセットされており、当該周方向カットの第2のセットは前記周方向カットの第1のセットと交互配置されていて、前記周方向カットの第1のセットから回転オフセットされている、周方向カットの第2のセット、
を含む、隣接した周方向カットのシリーズと、
を備えている細長医療装置。
【請求項2】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも112.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項3】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも135度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項4】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも157.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項5】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも165度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項6】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも172.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項7】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って約170度の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットの各周方向カットの弧は、当該第1のセットの隣接した周方向カットの弧から約60度又はそれ以下だけオフセットされている、細長医療装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットの各周方向カットの弧は、当該第1のセットの隣接した周方向カットの弧から約30度又はそれ以下だけオフセットされている、細長医療装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.030インチ(762μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
【請求項11】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.020インチ(508μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
【請求項12】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.010インチ(254μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記細長管状要素はハイポチューブを備えている、細長医療装置。
【請求項14】
請求項13に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはステンレス鋼を備えている、細長医療装置。
【請求項15】
請求項13に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはニチノールを備えている、細長医療装置。
【請求項16】
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記細長管状要素はポリマーを備えている、細長医療装置。
【請求項17】
ハイポチューブであって、外面を画定している壁及び当該管状要素の長さを貫いて延びているルーメンを有するハイポチューブと、
前記ハイポチューブの長さの一部分に沿って前記外壁を貫いて形成されている隣接した周方向カットのシリーズであって、当該隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記ハイポチューブの周囲を周って少なくとも150度の但し180度未満の弧を画定していて、別の周方向カットと周方向に整列しており、当該隣接した周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記ハイポチューブの前記長さに沿って互いから約0.020インチ(508μm)以内の間隔を空けて位置づけられており、当該隣接した周方向カットのシリーズは以下を含み、即ち、
周方向カットの第1のセットであって、当該周方向カットの第1のセットの各周方向カットの弧は、当該周方向カットの第1のセットの隣接した周方向カットの弧から約60度又はそれ以下だけオフセットされている、周方向カットの第1のセット、及び、
周方向カットの第2のセットであって、当該周方向カットの第2のセットの各周方向カットの弧は、当該周方向カットの第2のセットの隣接した周方向カットの弧から約60度又はそれ以下だけオフセットされており、当該周方向カットの第2のセットは前記周方向カットの第1のセットと交互配置されていて、前記周方向カットの第1のセットから回転オフセットされている、周方向カットの第2のセット、
を含む、隣接した周方向カットのシリーズと、
を備えている細長医療装置。
【請求項18】
請求項17に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記ハイポチューブの前記周囲を周って少なくとも165度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットの各周方向カットの前記弧は、当該第1のセットの前記隣接した周方向カットの前記弧から約45度又はそれ以下だけオフセットされている、細長医療装置。
【請求項20】
請求項17又は請求項18に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットの各周方向カットの前記弧は、当該第1のセットの前記隣接した周方向カットの前記弧から約30度又はそれ以下だけオフセットされている、細長医療装置。
【請求項21】
請求項17から請求項20の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記ハイポチューブの前記長さに沿って互いから約0.010インチ(254μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
【請求項22】
請求項17から請求項21の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはステンレス鋼を備えている、細長医療装置。
【請求項23】
請求項17から請求項21の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはニチノールを備えている、細長医療装置。
【請求項24】
請求項17から請求項23の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットは前記第2のセットから約90度又はそれ以下だけ回転オフセットされている、細長医療装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001]「可撓性強化特徴を有する細長医療器具」(ELONGATED MEDICAL INSTRUMENTS WITH FLEXIBILITY-ENHANCING
FEATURES)と題された米国仮特許出願第62/623,180号(「180号仮出願」の出願日である2018年1月29日に対する優先権の恩典を求める主張をこれにより行う。180号仮出願の開示全体をこれにより本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示は、概括的には、細長医療装置であってその長さに沿った1つ又はそれ以上の場所に可撓性を強化する特徴を有する細長医療装置に、及び細長医療装置の長さに沿った可撓性強化特徴の配設に関する。本開示による幾つかの実施形態は、ハイポチューブのための可撓性強化特徴に、及び可撓性強化特徴を含んでいるハイポチューブに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ハイポダーミックチューブ(皮下チューブ)又は「ハイポチューブ」は、様々な目的に有用である。医療装置業界では、ハイポチューブは患者の解剖学的構造を通したカテーテルの導入を容易にすることができる。ハイポチューブは様々な長さと約0.120インチ(3.048mm)(11ゲージ)から0.005インチ(127μm)(36ゲージ)までの範囲の様々な外径を有するものが製造され得る。
【0004】
[0004]医療用ハイポチューブは、一般的にステンレス鋼(例えば、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼など)から形成される。ステンレス鋼ハイポチューブは、カテーテルの、被術者の解剖学的構造を通って滑走する(例えば、押す、追尾する、及びトルクを与える)能力を高めることができるかもしれないが、特に曲がりくねった経路を通って推し進められるときに捩れる傾向のあることで知られている。ニチノールもハイポチューブを形成するために使用されてきた。ニチノールハイポチューブは捩れに強い一方で、ステンレス鋼ハイポチューブよりも製造するのに遥かに費用がかかる(特に、発展的工程及び少量製造時)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第62/623,180号
【特許文献2】米国特許出願第16/174,205号
【発明の概要】
【0006】
[0005]本開示による細長医療装置は、細長管状要素であってその長さに沿って可撓性強化特徴のシリーズ(a series of flexibility enhancing features)を有する細長管状要素を含んでおり、それら特徴は可撓性強化特徴の「長手方向シリーズ」と呼称されてもよい。
【0007】
[0006]細長管状要素は、強化された可撓性から恩恵を享受することのできる細長管状要素を含め、何れの適切な型式の細長管状要素を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、細長管状要素はハイポチューブを備えていてもよい。ハイポチューブは、ステンレス鋼(例えば、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼など)の様な何れの適切な材料から形成されていてもよい。ここに開示されている様にハイポチューブの周囲の一部分を周って延びる隣接したカットのシリーズの様な可撓性強化特徴を含んでいるステンレス鋼ハイ
ポチューブなら、従来のステンレス鋼ハイポチューブよりも捩れる可能性が低くなるのではないだろうか。本開示によるハイポチューブは、更に、限定するわけではないが、いわゆる「ニチノール」(ニッケルチタン国防省海軍武器研究所)相変化合金の様なニッケル-チタン合金を含め、様々な他の金属系合金の何れかから形成されることもできるだろう。他の実施形態では、本開示による細長医療装置の細長管状要素はポリマーから形成されることもできるだろう。細長管状要素が形成される材料に関係なく、それは管状要素の外面を画定する壁と管状要素の長さの少なくとも一部分を貫いて延びるルーメンを含んでいる。
【0008】
[0007]可撓性強化特徴の長手方向シリーズは、細長管状要素の可撓性を強化するやり方で構成され及び配設されている。各可撓性強化特徴は、細長管状要素の長手方向軸に垂直に、細長管状要素を周る周方向の場所の一部分を周って配設されたカットのシリーズ(即ち、複数のカット若しくは2つ又はそれ以上のカット)を備えていてもよく、その様なカットのシリーズは、カットの「周方向シリーズ」及び「周方向に整列したカット」と呼称されてもよい。様々な実施形態では、各可撓性強化特徴は、2つのカット、3つのカット、4つのカットなどの、カットの周方向シリーズを含むことができる。集合的には、その様な可撓性強化特徴を画定するカットの周方向シリーズは、細長管状要素の周囲の大半を周って延びていてもよく(但し、周囲を完全に一周しているわけではない、というのもその様な配設なら細長管状要素が分断されてしまうからである)、そしてなおも細長管状要素に細長医療器具としての又は細長医療器具の一部としての意図された使用を実現し易くするうえで十分な構造的完全性を保持させることができる。
【0009】
[0008]その様な可撓性強化特徴のカットの各周方向シリーズを画定するカットの弧長は、互いに同じであってもよい。また、可撓性強化特徴のカットの周方向シリーズのカットと交互する細長管状要素の中実領域、又は隣接する周方向に整列したカット間の各中実領域の周方向距離又は弧長もまた同じ長さを有していてもよい。代替形として、或る特定の可撓性強化特徴の隣接する周方向に整列したカットの弧長は互いに異なっていてもよく、及び/又は隣接する周方向に整列したカット間の中実領域の弧長は互いに異なっていてもよい。
【0010】
[0009]1つの可撓性強化特徴のカットは、長手方向に隣接した可撓性強化特徴のカットに対してオフセットされていてもよい。このような回転オフセット又は周方向オフセットは、固定されていて定義されたパターンに従っていてもよい。可撓性強化特徴は、2つ又はそれ以上の交互配置型のセットへグループ化され、周方向カットの各セットが周方向カットの次のセットに対してオフセットされていてもよい。幾つかの実施形態では、グループの毎n番目(例えば、2番目、3番目、4番目、5番目、など)の可撓性強化特徴(例えば、n1、n2、n3、など)が、当該グループのその先行する可撓性強化特徴(例えば
、n0、n1、n2、など)に対して第1の固定された回転オフセットだけ回転オフセット
されていてもよい。限定するわけではないが、可撓性強化特徴のシリーズの可撓性強化特徴の第1のセットはシリーズの全ての奇数番号の可撓性強化特徴を含み、一方、隣接した可撓性強化特徴のシリーズの可撓性強化特徴の第2のセットはシリーズの全ての偶数番号の可撓性強化特徴を含んでいてもよい。
【0011】
[0010]各可撓性強化特徴のカットは、その直前の可撓性強化特徴のカットから、第1の回転オフセットとは異なる第2の回転オフセットだけ回転オフセットされていてもよく、したがって、細長管状要素の長さに沿ったシリーズ内の可撓性強化特徴の各セットは、可撓性強化特徴の1つおきのセットに対して第2の回転オフセットだけ回転オフセットされていてもよい。幾つかの実施形態では、可撓性強化特徴の1つのセット(即ち、毎n番目の可撓性強化特徴、例えばn=3として、1番目、4番目、7番目などの可撓性強化特徴)の第1の回転オフセットは、可撓性強化特徴の異なるセット(毎n番目+1の可撓性強
化特徴、例えばn=3として、2番目、5番目、8番目などの可撓性強化特徴;毎n番目+2の可撓性強化特徴、例えばn=3として、3番目、6番目、9番目などの可撓性強化特徴;など)の第1の回転オフセットとは異なっていてもよい。
【0012】
[0011]半ランダム又はランダムにオフセットされている可撓性強化特徴、又は互いに対してランダムな回転オフセットを有しているように見える可撓性強化特徴、を有する細長医療装置も本開示の範囲内である。
【0013】
[0012]細長管状要素に可撓性強化特徴を画定するための方法も開示されている。その様な方法は、細長管状要素がレーザー切断装置の中へ導入されレーザー切断装置を通って長手方向に動かされてゆくというレーザー切断技法を採用していてもよい。より具体的には、駆動要素又はいわゆる「チャック」が、細長管状要素にその長さの一部分に沿って係合し、細長管状要素をレーザー切断装置に通して動かしてゆくようになっていてもよい。レーザー切断装置を通る細長管状要素の進みは増分的であってもよい。増分毎に、レーザー切断装置のレーザーと一線にある細長管状要素の特定の周囲を周ってカットの周方向シリーズが作成されるようになっていてもよく、例えば、細長管状要素を回転させるなどによってカットの周方向シリーズが作成されてもよい。
【0014】
[0013]幾つかの実施形態では、レーザー切断装置の駆動要素が、レーザー切断装置を通って進むことのできる距離又はその「進行の長さ」又は「到達距離の長さ」に沿った最終位置に到達した際、駆動要素が細長管状要素を係合解除しその進行の長さに沿ったその初期位置へ戻り細長管状要素に再係合する前に作成される最終カットの弧長は、同じ周方向シリーズ内の他のカットの弧の長さ及び駆動要素がレーダー切断装置内でその初期位置からその最終位置まで進む間に画定される他の可撓性強化特徴の弧の長さに比して縮小されてもよい。当該カットの長さの縮小は、結果的に、細長管状要素内の可撓性強化特徴の長手方向シリーズを画定するのに要する時間量の相応した減少をもたらすことになる。幾つかの実施形態では、この技法は、得られる細長医療装置の可撓性への重大な影響なしにレーザー切断時間を40%も短縮させることが示された。
【0015】
[0014]当業者には、次の説明、添付図面、及び付随の特許請求の範囲の考察を通して、開示されている主題の他の態様並びに開示されている主題の様々な態様の特徴及び利点が明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示による細長医療装置の或る実施形態の一部分の斜視図である。
図2】本開示による細長医療装置の或る実施形態の一部分の機械製図である。
図3】本開示による細長医療装置の或る実施形態の可撓性を説明している。
図4】本開示による細長医療装置を製造する方法の表現を提供している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0020]図1及び図2を参照すると、本開示による細長医療装置の諸実施形態が描かれており、図1は、湾曲構成又は曲げ構成にある細長医療装置10の一部分の部分斜視図を提供しており、図2は、直線構成にある細長医療装置10の一部分の機械製図を提供している。描かれている様に、細長医療装置10は、細長管状要素20、細長管状要素20の長さに沿って配設された複数の可撓性強化特徴30、並びに他の随意的な特徴を含んでいる。
【0018】
[0021]細長管状要素20は、細長くて形状が管状をしている壁22によって画定されている。壁22は、外面23及び外面23とは反対側の内面24を含んでいる。壁22の外面23は細長管状要素20の外部を画定するとともに細長管状要素20をその一部となす
細長医療装置10の外部を画定している。壁22の内面24は、細長管状要素20の及び随意的には細長管状要素20をその一部となす細長医療装置10の長さの少なくとも一部分を貫いて延びるルーメン25を画定している。幾つかの実施形態では、ルーメン25は、細長管状要素20の及び随意的には細長管状要素20をその一部となす細長医療装置10の全長を貫いて延びていてもよい。
【0019】
[0022]細長管状要素20の壁22の厚さは、細長管状要素20が形成される材料及び細長管状要素の他の寸法(例えば、その外径(OD)、その内径(ID)など)と共に、細長医療器具10の使用中に細長管状要素20のルーメン25が開いた状態を保ち、更にはその断面(ルーメン25の中心を通って長手方向軸に垂直に取る)の形状(例えば、真円度など)を実質的に保持することを可能にさせるのに十分な構造的完全性を細長管状要素20に付与する。加えて、壁22の厚さは、細長医療器具10の使用中の(例えば、細長医療器具10がその長さに沿って撓む、湾曲するなどした際の)細長管状要素20の捩れ及びルーメン25のへこみを防止することができる。この様に、壁22は、細長管状要素20をその一部となす細長医療装置10の使用中に、細長管状要素20のルーメン25を通る流体(例えば、液体、気体など)の流れの如何なる中断も防ぐ厚さを有するものとすることができる。様々な実施形態では、細長管状要素20の壁22は、約0.0015インチ(約38μm)~約0.006インチ(約150μm)の厚さ(即ち、細長管状要素20の半径に沿った距離)を有していてもよい。
【0020】
[0023]壁22の厚さに加え、細長管状要素20のOD及びIDは何れの適切な測定値を有していてもよい。実施例として、細長管状要素20のID又は細長管状要素20のルーメン25の直径は、約0.002インチ(約50μm)~約0.070インチ(約1.8mm)であってもよく、細長管状要素20のODは約0.005インチ(約125μm)~約0.080インチ(約2mm)であってもよい。
【0021】
[0024]細長管状要素20は、幾つかの実施形態では、適当な金属又は金属系合金から形成され得るハイポチューブを備えていてもよい。その様な材料の例としては、限定するわけではないが、ステンレス鋼(例えば、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼など)及びニッケル-チタン合金が挙げられ、その可撓性が温度に依存して変化する(例えば、大気温度では可撓性であり高温(例えば体温など)では剛性であるなどの)ニッケル-チタン合金も含められる。代わりに、細長管状要素20はポリマーから形成されていてもよい。
【0022】
[0025]引き続き図1及び図2を参照して、本開示による細長医療装置10の各可撓性強化特徴30は、カット32a、32bなどを備え、更にそれらカットは本明細書では個別的に「カット32」と呼称されることもあれば集合的に「カット32」と呼称されることもある。各カット32は、細長管状要素20の壁21の外面23から細長管状要素20の壁22の内面24に向かって延びていてもよい。カット32は、壁22の厚さを部分的に貫いて延びていてもよいし、又は壁22の厚さを完全に貫いて延びていてもよい。
【0023】
[0026]各可撓性強化特徴30は、カット32a、32bなど(即ち、複数のカット32若しくは2つ又はそれ以上のカット32)の周方向シリーズを備えていてもよい。様々な実施形態では、各可撓性強化特徴30は、2つのカット32、3カット32、4カット32、などのカットの周方向シリーズを含むことができる。集合的には、その様な可撓性強化特徴30を画定するカット32a、32bなどの周方向シリーズは、細長管状要素20の周囲の大半を周って延びていて、カット32の周方向シリーズの隣接したカット32aとカット32bなどの間には細長管状要素40のギャップ又は中実領域34a、34bなどが位置している。各中実領域34a、34bなどは、本明細書では個別的に「中実領域34」と呼称されることもあれば、中実領域34a及び34bなどは本明細書では集合的
に「中実領域34」と呼称されることもある。幾つかの実施形態では、可撓性強化特徴30を画定するカット32a、32bなどは、集合的に、細長管状要素20の周囲の約75%又はそれ以上を周って延び、細長管状要素20の中実領域34a、34bなどは細長管状要素20を周る当該特定の周囲の約25%又はそれ以下を画定していてもよい。別のオプションとして、可撓性強化特徴30のカット32a、32bなどの周方向シリーズは、細長管状要素20の周囲の約80%又はそれ以上を周って延び、細長管状要素20の中実領域34a、34bなどは、細長管状要素20を周る当該特定の周囲の約20%又はそれ以下を画定していてもよい。代わりに、可撓性強化特徴30のカット32a、32bなどの周方向シリーズは、細長管状要素20の周囲の約90%又はそれ以上を周って延び、細長管状要素20の中実領域34a、34bなどは、細長管状要素20を周る当該特定の周囲の約10%又はそれ以下を画定していてもよい。他の実施形態では、可撓性強化特徴30のカット32a、32bなどの周方向シリーズは、細長管状要素20の周囲の約95%又はそれ以上を周って延び、細長管状要素20の中実領域34a、34bなどは、細長管状要素20を周る当該特定の周囲の約5%又はそれ以下を画定していてもよい。更に他の実施形態では、可撓性強化特徴30のカット32a、32bなどの周方向シリーズは、細長管状要素20の周囲の約98%又はそれ以上を周って延び、細長管状要素20の中実領域34a、34bなどは、細長管状要素20を周る当該特定の周囲の約2%又はそれ以下を画定していてもよい。別のオプションとして、可撓性強化特徴30のカット32a、32bなどの周方向シリーズは、細長管状要素20の周囲の約99%又はそれ以上を周って延び、細長管状要素20の中実領域は、細長管状要素20を周る当該特定の周囲の約1%又はそれ以下を画定していてもよい。上記値の何れかの間にあるカット領域の範囲及び中実領域の範囲も本開示の範囲内にある。
【0024】
[0027]可撓性強化特徴30のカットの各周方向シリーズを画定するカット32a、32bなどの弧長は互いに同じであってもよい。一例として、各可撓性強化特徴30は、周方向に整列したカット32aと32bの対を含んでいていてもよい。各対の周方向に整列したカット32aと32bは、細長管状要素20の周囲を周って直径方向に互いに反対側の弧を画定していてもよい。対の各カット32a、32bによって画定されている弧は、細長管状要素20の周囲を周って180度未満である(即ち、周方向に整列したカット32aと32bの対は、細長管状要素の周囲を完全に一周して延びているわけではない)。その様な対の各カット32a、32bの弧は、細長管状要素20の周囲を周って少なくとも90度、少なくとも112.5度、少なくとも135度、少なくとも157.5度、少なくとも165度、約170度、又は少なくとも172.5度で延びていてもよい。
【0025】
[0028]可撓性強化特徴30のカット32の周方向シリーズのカット32a、32bなどと交互する細長管状要素20の中実領域34a、34bなど、又は周方向に整列したカット32a、32bなどの間の各中実領域34a、34bの周方向距離又は弧長、もまた互いと同じ弧又は同じ長さを有していてもよい。先の段落に説明されている諸実施形態では、周方向に整列したカット32aと32bの間の中実領域34aと34bもまた、細長管状要素20の周囲を周って直径方向に互いに反対側の弧を画定していてもよい。個々には、周囲を周って少なくとも90度で延びている周方向に整列したカット32aと32bの間の各中実領域34a、34bの弧は90度未満ということになり、周囲を周って少なくとも112.5度で延びている周方向に整列したカット32aと32bの間の各中実領域34a、34bの弧は67.5度未満ということになり、周囲を周って少なくとも135度で延びている周方向に整列したカット32aと32bの間の各中実領域34a、34bの弧は45度未満ということになり、周囲を周って少なくとも157.5度で延びている周方向に整列したカット32aと32bの間の各中実領域34a、34bの弧は22.5度未満ということになり、周囲を周って少なくとも165度で延びている周方向に整列したカット32aと32bの間の各中実領域34a、34bの弧は15度未満ということになり、周囲を周って約170度で延びている周方向に整列したカット32aと32bの間
の各中実領域34a、34bの弧は約10度ということになり、周囲を周って少なくとも172.5度で延びている周方向に整列したカット32aと32bの間の各中実領域34a、34bの弧は7.5度未満ということになるだろう。
【0026】
[0029]代替形として、或る特定の可撓性強化特徴30の周方向に隣接したカット32a、32bなどの弧及び弧長は、互いに異なっていてもよく、及び/又は、周方向に隣接したカット32a、32bなどの間の中実領域34a、34bの弧長は互いに異なっていてもよい。
【0027】
[0030]1つの可撓性強化特徴30のカット32は、長手方向に隣接した可撓性強化特徴30のカット32に対してオフセットされていてもよい。その様な回転オフセットは、細長管状要素20の可撓性強化特徴の長手方向シリーズに沿って固定されていて定義されたパターンに従っていてもよい。幾つかの実施形態では、可撓性強化特徴30のシリーズの隣接した可撓性強化特徴30は、2つ又はそれ以上の交互配置型のセットへグループ化されていて、可撓性強化特徴30の各セット35mが可撓性強化特徴30の次のセット35nに対してオフセットされていてもよい。限定するわけではないが、図1及び図2に描写されている様に、隣接した可撓性強化要素30のシリーズのうちの可撓性強化特徴30の第1のセット35mは、シリーズのうちの全ての奇数番号の可撓性強化特徴30を含み、一
方、隣接した可撓性強化特徴30のシリーズのうちの可撓性強化特徴30の第2のセット35nは、シリーズのうちの全ての偶数番号の可撓性強化特徴30を含んでいてもよい。
別の言い方をすれば、セット35nの毎n番目(例えば、2番目、3番目、4番目、5番
目、など)の可撓性強化特徴30n1、30n2などのカット32は、セット35nの先行す
る可撓性強化特徴30n0、30n1などに対して第1の固定された回転オフセットだけ回転オフセットされていてもよい。
【0028】
[0031]第1の回転オフセットの量、又は可撓性強化特徴30のシリーズ内の隣接した可撓性強化特徴30の間の回転オフセットの量、又はシリーズのうちの可撓性強化特徴30の1つ又はそれ以上の他のセット35と交互配置されている可撓性強化特徴30のセット35内の順次的な可撓性強化特徴30の間の回転オフセットの量は、約90度又はそれ以下(即ち、細長管状要素の周囲を周る周回又は回転の4分の1又はそれ以下)であってもよい。2つの隣接した又は順次的な可撓性強化特徴30が60度又はそれ以下、45度又はそれ以下、又は、30度又はそれ以下のより小さい周方向オフセットを有している可撓性強化特徴30のシリーズも同じく本開示の範囲内にある。
【0029】
[0032]図1及び図2によって描写されている様な幾つかの実施形態では、隣接した周方向カットのシリーズは、周方向オフセットの2つ又はそれ以上のセットを有していてもよい。別の言い方をすれば、各可撓性強化特徴30(例えば、可撓性強化特徴30n0など)のカット32は、その直前の可撓性強化特徴30(例えば、可撓性強化特徴30m0など)のカット32から、第1の回転オフセットとは異なる第2の回転オフセットだけ回転オフセットされていてもよいということであり、よって、細長管状要素20の長さに沿ったシリーズ内の可撓性強化特徴30の各セット35(例えば、セット35nなど)は、可撓性
強化特徴30の1つおきのセット35(例えば、セット35mなど)に対して、第2の回
転オフセットだけ回転オフセットされていてもよい。幾つかの実施形態では、可撓性強化特徴30の1つのセット35(即ち、毎n番目の可撓性強化特徴30、例えばn=3として、1番目、4番目、7番目、などの可撓性強化特徴30)の第1の回転オフセットは、可撓性強化特徴30の異なるセット35(即ち、毎n番目+1の可撓性強化特徴、例えばn=3として、2番目、5番目、8番目、などの可撓性強化特徴30;毎n番目+2の可撓性強化特徴30、例えばn=3として、3番目、6番目、9番目、などの可撓性強化特徴30;など)の第1の回転オフセットとは異なっていてもよい。例えば、セット35同士は、0度より大きく180度より小さい回転だけ(例えば、約90度だけ、約120度
だけ、約150度だけ、など)回転オフセットされていてもよい。
【0030】
[0033]可撓性強化特徴30のシリーズ内の隣接した可撓性強化特徴30の各対は、互いの0.030インチ(762μm)以内、互いの0.020インチ(508μm)以内、互いの0.010インチ(254μm)以内、又は更には互いの0.005インチ(127μmm)以内で長手方向に離間されていてもよい。隣接した可撓性強化特徴30間の間隔は一定していてもよいし、それはパターンが変化していてもよいし、又はそれはランダムである(例えば、可撓性強化特徴30の各隣接対などの間で距離が異なっているなどの)ように見えてもよい。隣接した可撓性強化特徴30の間の長手方向距離、又は可撓性強化特徴30のシリーズのピッチは、可撓性強化特徴30のシリーズが沿って配置される細長医療装置10の部分の可撓性を定義することになる。各カット32の幅は、隣接した可撓性強化特徴30がどれほど接近して互いに隣接に位置づけられ得るかを決めることになり(例えば、より細いカット32を有する可撓性強化特徴30は、より幅広のカット32を有する可撓性強化特徴30よりも密なピッチ又は高いピッチで位置づけられることができる、など)、カット32の幅、ひいてはカットが画定する可撓性強化特徴30の幅もまた細長医療装置10の可撓性に影響を及ぼすことになる。
【0031】
[0034]幾つかの実施形態では、隣接した可撓性強化特徴30のシリーズは、細長管状要素20の実質的な部分の長さに沿って延びていてもよい。他の実施形態では、可撓性強化特徴30の1つ又はそれ以上のシリーズが、細長管状要素30の長さに沿った比較的狭い区分に形成されていてもよい。
【0032】
[0035]細長管状要素の又はその一部分の可撓性を強化する、細長管状要素の壁を貫く周方向カットは、細長管状要素20の遠位端又は遠位端近傍の特徴40を画定する長手方向カット42と組み合わせて使用されていてもよい。細長管状要素20の壁を貫いて長手方向に延びるカット42によって画定され得る特徴の様々な実施形態が、2018年10月29日に出願され「筋付けのための拡張式区分を有する外骨格装置」(EXOSKELETON DEVICE WITH EXPANDABLE SECTION FOR SCORING)と題された米国特許出願第16/174,205号(「205号出願」)に開示されている。205号出願の開示全体をこれにより本明細書に援用する。
【0033】
[0036]或る特定の実施形態では、本開示による細長医療装置10は、互いに約0.010インチ(254μm)離間されている可撓性強化特徴30のシリーズを有するハイポチューブを備えた細長管状要素20を含んでおり、周方向に整列したカット32の対の各カット32a、32bがハイポチューブの周囲を周って約165度から約172.5度にわたって延びている。全ての奇数番号(例えば、3番目、5番目、7番目、など)の可撓性強化特徴30(例えば、可撓性強化特徴30m1、30m2、など)は、先行する奇数番号(例えば、1番目、3番目、5番目、など)の可撓性強化特徴30(例えば、可撓性強化特徴30m0、30m1、など)から約30度だけ回転オフセットされている。全ての偶数番号(例えば、4番目、6番目、8番目、など)の可撓性強化特徴30(例えば、可撓性強化特徴30n1、など)は、先行する偶数番号(例えば、2番目、4番目、6番目、など)の可撓性強化特徴30(例えば、可撓性強化特徴30n0、など)から約30度だけ回転オフセットされている。こうして、奇数番号の可撓性強化要素30のセット35mは、偶数番
号の可撓性強化特徴30のセット35nから回転オフセット(例えば約90度)されてい
る。より具体的には、2番目の可撓性強化特徴30n0は1番目の可撓性強化特徴30m0(0度にある)から約90度だけオフセットされ(約90度にあり)、3番目の可撓性強化特徴30m1は2番目の可撓性強化特徴30n1から約-60度だけオフセットされ(約30度にあり)、4番目の可撓性強化特徴30n2は3番目の可撓性強化特徴30m2から約90度だけオフセットされ(約120度にあり)、5番目の可撓性強化特徴30m3は4番目の可撓性強化特徴30n2から約-60度だけオフセットされ(約60度にあり)、などとな
っている。
【0034】
[0037]ステンレス鋼ハイポチューブを備える細長管状要素20を有する細長医療装置10の可撓性強化特徴30は、細長医療装置10を、従来式に配設された可撓性強化特徴を有する類似の細長医療装置に比べ、捩れる可能性の低いものにすることができるだろう。図3は、細長医療装置10のその様な実施形態であって、本明細書に開示されている様に構成され配設される可撓性強化特徴30(図1及び図2)を含んでいる細長医療装置10の実施形態の可撓性を示している。
【0035】
[0038]その様な細長医療装置10は、カテーテルの有用性を高めるためにカテーテルの周りの外骨格装置として使用されてもよい。例えば、細長医療装置10は、カテーテルに増強された剛性を付与することができ、バルーンカテーテル(例えば、血管形成術バルーンなど)に被術者の脈管構造又は内部器官の内側表面に筋をつけさせることのできる特徴をその遠位端又は遠位端近傍に含むことができ(例えば、205号出願によって開示されている装置)、又はバルーンカテーテルに被術者の身体内の或る特定の場所(例えば、被術者の脈管構造、内部器官、など)への薬物又は他の物質の送達(例えば、注入など)を制御させることのできる特徴をその遠位端又は遠位端近傍に含むことができる。
【0036】
[0039]これより図4を参照して、細長管状要素20に可撓性強化特徴30を画定するための方法の或る実施形態が開示される。その様な方法は、細長管状要素20がレーザー切断装置100の中へ導入されレーザー切断装置100を通って長手方向に動かされてゆくというレーザー切断技法を採用していてもよい。より具体的には、レーザー切断装置100の駆動要素110又はいわゆる「チャック」が、細長管状要素20にその長さの一部分に沿って係合し、細長管状要素20をレーザー切断装置100に通して動かしてゆくようになっていてもよい。レーザー切断装置100を通っての各進行行程の間に、駆動要素110は初期位置PIから最終位置PFまで動くことができる。レーザー切断装置100を通る細長管状要素20の進みは増分的であってもよい。各増分の長さは、隣接した可撓性強化特徴30が互いから隔てられる距離に又は隣接した可撓性強化特徴30のピッチに対応していてもよい。
【0037】
[0040]レーザー切断装置100のレーザー120は、各可撓性強化特徴30を画定するカット32a、32bの周方向シリーズを細長管状要素20の長さに沿って画定することのできるレーザービームを生成するようになっていてもよい。より具体的には、駆動要素110が細長管状要素20をレーザー切断装置100に通して搬送してゆく際の各増分時に、細長管状要素20の長さに沿った或る場所がレーザー120と一線になる位置まで進められると、当該位置に又は細長管状要素20の特定の周囲を周って、周方向に整列したカット32a、32bなどの各シリーズが画定されるようになっていてもよい。カット32a、32bなどの各周方向シリーズは、細長管状要素20がレーザー切断装置100内で回転されるのにつれて、及び/又はレーザー120が管状要素120の周りを動くのにつれて、作成されるようになっていてもよい。各カット32a、32bなどの幅は、レーザー120によって生成されるレーザービームの幅に対応していて、レーザービームの幅は調節できるようになっていてもよい。
【0038】
[0041]レーザー切断装置の駆動要素110がレーザー切断装置100を通ってその進行の最終位置PFに到達した際、駆動要素110が細長管状要素20を係合解除しその進行
の長さに沿ったその初期位置PIへ戻り細長管状要素20に再係合する前に作成される最
終カット32bFの弧長は、同じ周方向シリーズ内の他のカット32aFの弧の長さに比して縮小されてもよい。結果として、レーザー切断装置100を通しての駆動要素110の各進行行程に伴って形成される最終の可撓性強化特徴30F(例えば、駆動要素110が
長さ数インチ(例えば、6インチ(15.24cm)、12インチ(30.48cm)、
など)とされる経路に沿って進行しながら画定される何百又は更には何千もの可撓性強化特徴30の中からの1つ)のみが、その周方向に整列した単数又は複数のカット32に比べ、及び駆動要素110の同じ進行行程中に画定される他の可撓性強化特徴30のカット32に比べ、短い最終カット32bFを含むことになる。こうして、当該カット32bFの長さの縮小の比率は、細長管状要素20に可撓性強化特徴30の長手方向シリーズを画定するのに要する時間量における相応の減少をもたらすことができ、なおかつこの技法は、得られる細長医療装置10(図1図3)の可撓性に重大な影響を与えることもない。
【0039】
[0042]上記の説明及び添付図面は、数例の特定の実施形態に限定されているが、説明され描かれている特定の実施形態は付随の特許請求の範囲の何れかの請求項の範囲を限定するものと解釈されてはならない。異なる実施形態からの特徴同士が組み合わせて採用されてもよい。開示されている主題に対する追加、削除、及び修正で、特許請求の範囲による範囲内に入る全ての追加、削除、及び修正は、特許請求の範囲によって網羅されるものとする。
【符号の説明】
【0040】
10 細長医療装置
20 細長管状要素
22 壁
23 外面
24 内面
25 ルーメン
30、30m0、30m1、30m2、30n0、30n1、30F 可撓性強化特徴
32、32a、32b、32aF、32bF 周方向カット
34、34a、34b 中実領域
35m、35n 可撓性強化特徴のセット
40 細長管状要素
42 長手方向カット
100 レーザー切断装置
110 駆動要素
120 レーザー
I 初期位置
F 最終位置
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長管状要素であって、外面を画定している壁及び当該細長管状要素の長さを貫いて延びているルーメンを有する細長管状要素と、
前記細長管状要素の長さの少なくとも一部に沿って前記壁を貫いて形成されているカットの第1のセットであって、当該カットの第1のセットの各第1のカットの弧は、当該カットの第1のセットの隣接した第1のカットの弧から0度より大きく約90度までの第1の回転角度だけオフセットされている、カットの第1のセット
前記細長管状要素の前記長さの前記少なくとも一部に沿って前記壁を貫いて形成され、前記カットの第1のセットと交互配置されているカットの第2のセットであって、当該カットの第2のセットの各第2のカットの弧は、当該カットの第2のセットの隣接した第2のカットの弧から0度より大きく約90度までの第2の回転角度だけオフセットされており、当該カットの第2のセットはオフセット角度で前記カットの第1のセットから回転方向にオフセットされて各第1のカットと直近の遠位の第2のカットとの間の第1のオフセット角度が当該直近の遠位の第2のカットと別の直近の遠位の第1のカットとの間の第2のオフセット角度とは異なる、カットの第2のセット
備えている細長医療装置。
【請求項2】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接したカットのシリーズの各カットは、前記細長管状要素を周って少なくとも112.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項3】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接したカットのシリーズの各カットは、前記細長管状要素を周って少なくとも135度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項4】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接したカットのシリーズの各カットは、前記細長管状要素を周って少なくとも157.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項5】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接したカットのシリーズの各カットは、前記細長管状要素を周って少なくとも165度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項6】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接したカットのシリーズの各カットは、前記細長管状要素を周って少なくとも172.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項7】
請求項1に記載の細長医療装置において、
前記隣接したカットのシリーズの各カットは、前記細長管状要素を周って約170度の弧を画定している、細長医療装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記第1の回転角度は、約60度又はそれ以下である、細長医療装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記第1の回転角度は、約30度又はそれ以下である、細長医療装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記カットのシリーズの隣接したカットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.030インチ(762μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
【請求項11】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記カットのシリーズの隣接したカットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.020インチ(508μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
【請求項12】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記カットのシリーズの隣接したカットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.010インチ(254μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記細長管状要素はハイポチューブを備えている、細長医療装置。
【請求項14】
請求項13に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはステンレス鋼を備えている、細長医療装置。
【請求項15】
請求項13に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはニチノールを備えている、細長医療装置。
【請求項16】
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記細長管状要素はポリマーを備えている、細長医療装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
[0042]上記の説明及び添付図面は、数例の特定の実施形態に限定されているが、説明され描かれている特定の実施形態は付随の特許請求の範囲の何れかの請求項の範囲を限定するものと解釈されてはならない。異なる実施形態からの特徴同士が組み合わせて採用されてもよい。開示されている主題に対する追加、削除、及び修正で、特許請求の範囲による範囲内に入る全ての追加、削除、及び修正は、特許請求の範囲によって網羅されるものとする。
〔態様1〕
細長管状要素であって、外面を画定している壁及び当該細長管状要素の長さを貫いて延びているルーメンを有する細長管状要素と、
前記細長管状要素の長さの一部分に沿って前記外壁を貫いて形成されている隣接した周方向カットのシリーズであって、当該隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の周囲を周って少なくとも90度の但し180度未満の弧を画定していて、別の周方向カットと周方向に整列しており、当該隣接した周方向カットのシリーズは以下を含み、即ち、
周方向カットの第1のセットであって、当該周方向カットの第1のセットの各周方向カットの弧は、当該周方向カットの第1のセットの隣接した周方向カットの弧から約90度又はそれ以下だけオフセットされている、周方向カットの第1のセット、及び、
周方向カットの第2のセットであって、当該周方向カットの第2のセットの各周方向カットの弧は、当該周方向カットの第2のセットの隣接した周方向カットの弧から約90度又はそれ以下だけオフセットされており、当該周方向カットの第2のセットは前記周方向カットの第1のセットと交互配置されていて、前記周方向カットの第1のセットから回転オフセットされている、周方向カットの第2のセット、
を含む、隣接した周方向カットのシリーズと、
を備えている細長医療装置。
〔態様2〕
態様1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも112.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
〔態様3〕
態様1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも135度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
〔態様4〕
態様1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも157.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
〔態様5〕
態様1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも165度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
〔態様6〕
態様1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って少なくとも172.5度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
〔態様7〕
態様1に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記細長管状要素の前記周囲を周って約170度の弧を画定している、細長医療装置。
〔態様8〕
態様1から態様7の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットの各周方向カットの弧は、当該第1のセットの隣接した周方向カットの弧から約60度又はそれ以下だけオフセットされている、細長医療装置。
〔態様9〕
態様1から態様7の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットの各周方向カットの弧は、当該第1のセットの隣接した周方向カットの弧から約30度又はそれ以下だけオフセットされている、細長医療装置。
〔態様10〕
態様1から態様9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.030インチ(762μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
〔態様11〕
態様1から態様9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.020インチ(508μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
〔態様12〕
態様1から態様9の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記細長管状要素の前記長さに沿って互いから約0.010インチ(254μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
〔態様13〕
態様1から態様12の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記細長管状要素はハイポチューブを備えている、細長医療装置。
〔態様14〕
態様13に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはステンレス鋼を備えている、細長医療装置。
〔態様15〕
態様13に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはニチノールを備えている、細長医療装置。
〔態様16〕
態様1から態様12の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記細長管状要素はポリマーを備えている、細長医療装置。
〔態様17〕
ハイポチューブであって、外面を画定している壁及び当該管状要素の長さを貫いて延びているルーメンを有するハイポチューブと、
前記ハイポチューブの長さの一部分に沿って前記外壁を貫いて形成されている隣接した周方向カットのシリーズであって、当該隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記ハイポチューブの周囲を周って少なくとも150度の但し180度未満の弧を画定していて、別の周方向カットと周方向に整列しており、当該隣接した周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記ハイポチューブの前記長さに沿って互いから約0.020インチ(508μm)以内の間隔を空けて位置づけられており、当該隣接した周方向カットのシリーズは以下を含み、即ち、
周方向カットの第1のセットであって、当該周方向カットの第1のセットの各周方向カットの弧は、当該周方向カットの第1のセットの隣接した周方向カットの弧から約60度又はそれ以下だけオフセットされている、周方向カットの第1のセット、及び、
周方向カットの第2のセットであって、当該周方向カットの第2のセットの各周方向カットの弧は、当該周方向カットの第2のセットの隣接した周方向カットの弧から約60度又はそれ以下だけオフセットされており、当該周方向カットの第2のセットは前記周方向カットの第1のセットと交互配置されていて、前記周方向カットの第1のセットから回転オフセットされている、周方向カットの第2のセット、
を含む、隣接した周方向カットのシリーズと、
を備えている細長医療装置。
〔態様18〕
態様17に記載の細長医療装置において、
前記隣接した周方向カットのシリーズの各周方向カットは、前記ハイポチューブの前記周囲を周って少なくとも165度の但し180度未満の弧を画定している、細長医療装置。
〔態様19〕
態様17又は態様18に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットの各周方向カットの前記弧は、当該第1のセットの前記隣接した周方向カットの前記弧から約45度又はそれ以下だけオフセットされている、細長医療装置。
〔態様20〕
態様17又は態様18に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットの各周方向カットの前記弧は、当該第1のセットの前記隣接した周方向カットの前記弧から約30度又はそれ以下だけオフセットされている、細長医療装置。
〔態様21〕
態様17から態様20の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記周方向カットのシリーズの隣接した周方向カットは、前記ハイポチューブの前記長さに沿って互いから約0.010インチ(254μm)以内の間隔を空けて位置づけられている、細長医療装置。
〔態様22〕
態様17から態様21の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはステンレス鋼を備えている、細長医療装置。
〔態様23〕
態様17から態様21の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記ハイポチューブはニチノールを備えている、細長医療装置。
〔態様24〕
態様17から態様23の何れか一項に記載の細長医療装置において、
前記第1のセットは前記第2のセットから約90度又はそれ以下だけ回転オフセットされている、細長医療装置。
【外国語明細書】