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特開2023-153571消耗品管理機能付きナースコールシステム
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  • 特開-消耗品管理機能付きナースコールシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153571
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】消耗品管理機能付きナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20231011BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61G12/00 E
H04M9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062926
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】樋口 拓人
【テーマコード(参考)】
4C341
5K038
【Fターム(参考)】
4C341LL10
5K038AA06
5K038BB01
5K038DD14
5K038FF01
5K038GG05
(57)【要約】
【課題】 消耗品を各病室や複数の備品庫に置くようにした場合に、確認するための工数がコストを増大することなく消耗品の使用状況を把握できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 各病室単位または複数の病室に対応する消耗品置き場単位で消耗品が置かれている場所を設定し、この場所におけるナースコールの回数を消耗品の使用数と判断して表示する。ここで、ナースコールの呼び出しに対して医療従事者が呼び出しの行われた病室を訪問する可能性が高いことから、消耗品が置かれている場所におけるナースコールの回数が消耗品の使用数として判断されるので、医療従事者等が各場所に消耗品の在庫を確認しに行くことによる工数を削減することができ、既に設置されているナースコールシステムの呼出履歴を利用して消耗品の使用数が判断され、各場所に重量センサ等を設置する必要がなくなるので、コストを削減することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病室のベッド近傍に設置されており、患者からの呼び出しを受け付けるナースコール子機と、
前記ナースコール子機を消耗品置き場単位で一つのグループとして記憶する記憶部と、前記ナースコール子機で呼び出しが行われた回数を前記消耗品置き場単位でカウントする親機制御部と、前記親機制御部でカウントされた回数を消耗品の使用数として表示する表示部とを有するナースコール親機と、
を備えたことを特徴とする消耗品管理機能付きナースコールシステム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記消耗品置き場単位で消耗品の在庫数を示す消耗品在庫数情報を記憶しており、前記親機制御部は、前記消耗品在庫数情報から前記消耗品の使用数である消耗品使用数情報を減算して前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の消耗品管理機能付きナースコールシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病室に入室する度に使用される消耗品の使用状況や在庫状況を管理する機能を備えた消耗品管理機能付きナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。このナースコールシステムは、病院の患者が看護師などの医療従事者のサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師のサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、単に「患者」と記載する)が呼出ボタンなどを操作することによって医療従事者や介護師(以下、単に「医療従事者」と記載する)を呼び出すことができるようになされたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムは、病室のベッド近傍に設置されるナースコール子機と、ナースステーションに設置されるナースコール親機と、病室の出入口付近の廊下側に設置される廊下灯と、通話やデータの送受信に関する制御を行う制御器とを備えて構成されている。また、上述した構成に加えて、医療従事者が携行する携帯端末(例えば、PHS(Personal Handy phone System)端末など)およびPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)を備えたナースコールシステムも提供されている。
【0004】
このようなナースコールシステムは、患者がナースコール子機の呼出操作部を操作した場合に、ナースコール子機からナースコール親機へ呼出信号を出力し、呼出信号を入力したナースコール親機にてスピーカから報知音を鳴らしたり、患者毎に設けたランプを点灯/点滅させたり、表示部に呼び出しが行われたことを表示させたりして、呼び出しを報知するようにしている。
【0005】
また、このようなナースコールシステムでは、患者が呼び出しを行った日時や医療従事者が呼び出しに対する応答を行った日時等を呼出履歴として記録することが行われることがあった。
【0006】
ところで、患者からの呼び出しに応答した医療従事者や巡視している医療従事者は、病室に入室する際に手袋やエプロン、マスク等の消耗品を使用している。これらの消耗品は感染予防の観点から病室を訪問する度に新しいもの、または消毒したものを使用する必要があった。
【0007】
また、これらの消耗品がナースステーションや備品庫などの特定の場所に置かれているときには、定期的にこの場所で消耗品の在庫状況を確認するだけでこれらの消耗品の使用状況を把握することが可能であった。ここで、使い捨ての手袋を収容している箱等に、重量センサを配置し、この箱から手袋を取り出す動作を行ったことによって減少した重量の変化を重量センサが検知することにより手袋の使用状況を確認する技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-77907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、消耗品を各病室や複数の備品庫に置くようにした場合、消耗品の使用状況を確認するためには、医療従事者等が定期的に各場所を見て回る必要があるため工数がかかってしまうという問題があった。また、特許文献1に記載の技術では、各場所に重量センサ等を設置しなければならなくなるため、コストが増大してしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、消耗品を各病室や複数の備品庫に置くようにした場合に、確認するための工数がコストを増大することなく消耗品の使用状況を把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明では、各病室単位、または、複数の病室に対応する消耗品置き場単位で消耗品が置かれている場所を設定し、この場所におけるナースコールの回数を消耗品の使用数と判断して通知するようにしている。
【0012】
また、本発明の他の態様によれば、消耗品の在庫数から使用数を減算して残りの消耗品の数を通知したり、残りの消耗品の数が予め設定した閾値を下回ったときに消耗品が残り少ないことを通知したりするようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、ナースコールの呼び出しに対して医療従事者が呼び出しの行われた病室を訪問する可能性が高いことから、消耗品が置かれている場所におけるナースコールの回数が消耗品の使用数として判断されるので、医療従事者等が各場所に消耗品の在庫を確認しに行くことによる工数を削減することができる。また、既に設置されているナースコールシステムの呼出履歴を利用して消耗品の使用数が判断され、各場所に重量センサ等を設置する必要がなくなるので、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態による消耗品管理機能付きナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】ナースコール親機の記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図3】ナースコール親機の表示部に表示される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による消耗品管理機能付きナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、ナースコール子機1、廊下灯2、制御機3、ナースコール親機4、携帯端末用主装置5、構内交換機(PBX)6、無線基地局7、携帯端末(例えば、PHS端末やスマートホンなど)8を備えて構成されている。
【0016】
ナースコール子機1は、病室の各ベッドサイドの壁面に埋め込み設置されるウォールユニットと、このウォールユニットに接続され、呼出操作部を備えるハンド形子機とにより構成される。ここで、ウォールユニットに呼出操作部を備えるようにしても良いし、ハンド形子機に加えて、またはハンド形子機に代えて握り押しボタンをウォールユニットに接続するようにしても良い。
【0017】
ナースコール子機1の呼出操作部が操作されると、ナースコール子機1は呼出信号を生成して出力する。ここで、呼出信号には、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報が含まれる。この子機識別情報としては、ナースコール子機1が設置されているベッドのベッド番号などの情報が用いられる。
【0018】
廊下灯2は、各病室の出入口近傍の廊下側に設置される。この廊下灯2は、表示装置を備え、病室内の患者名が表示されるとともに、病室内の患者がナースコール子機1を用いて医療従事者の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。なお、表示装置は、液晶ディスプレイなどの電子的なものであっても良いし、患者名などの情報を記載したプレートと表示灯とを組み合わせたものであっても良い。
【0019】
制御機3は、廊下灯2とナースコール親機4との間に設置されており、通話やデータの送受信に関する制御を行う。ナースコール親機4は、患者(ナースコール子機1)からの呼び出しを報知するとともに、患者からの呼び出しに応答するためのものであり、ナースステーションなどに設置される。
【0020】
携帯端末用主装置5は、PBX6を介して、医療従事者が所持する携帯端末8との間で通話やデータの送受信に関する制御を行う。この携帯端末用主装置5は、例えば病院内の通信センターなどに設置され、ナースコール親機4と接続されている。無線基地局7は、携帯端末8との間で通話やデータの無線通信をするためのものであり、PBX6と接続されている。
【0021】
また、図1に示すように、ナースコール親機4は、親機制御部41、親機インターフェース42、報知部43、応答操作部44、記憶部45、表示部46を備えて構成されている。
【0022】
親機制御部41は、ナースコール親機4の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU、RAM、ROMなどにより構成されている。親機インターフェース42は、制御機3に接続されており、ナースコール親機4と制御機3とを電気的に接続する。また、親機インターフェース42は、携帯端末用主装置5に接続されており、ナースコール親機4と携帯端末用主装置5とを電気的に接続する。これにより、ナースコール親機4は、ナースコール子機1から出力された呼出信号を、廊下灯2および制御機3を介して入力する。
【0023】
報知部43は、スピーカなどの音声出力装置やディスプレイなどの表示装置、ランプなどの点灯装置の少なくとも一つの装置により構成されている。ここで、親機インターフェース42が制御機3から呼出信号を入力した場合には、親機制御部41は報知部43を動作させる。このとき、親機制御部41は、入力した呼出信号に含まれる子機識別情報に基づいて呼び出しが行われている場所(すなわちベッド番号)を表示装置や点灯装置により報知しつつ、スピーカから報知音を出力する。ここで、本実施形態のナースコールシステムでは、ナースコール親機1以外に携帯端末8でも報知が行われるが、これについては後述する。
【0024】
応答操作部44は、ハンドセットなどにより構成されており、医療従事者がハンドセットをオフフックすることで操作される。報知部43が動作している状態で応答操作部44が操作されると、親機制御部41は、報知部43の動作を停止させるとともに、応答信号を生成する。親機制御部41によって生成された応答信号は、親機インターフェース42により制御機3および廊下灯2を介してナースコール子機1へ出力される。
【0025】
記憶部45は、ナースコール子機1の子機識別情報を示すベッド番号と、そのベッド番号によって特定されるベッドを使用する患者を示す患者情報と、患者からの呼び出しを報知する携帯端末8を示す携帯端末番号とを関連付けて記憶している。ここで、ベッド番号情報は、病室の番号を示す病室番号情報とその病室に設置されているベッド数に応じて設定される番号情報とによって構成される。例えば、病室番号101に4床のベッドが設置されている場合、ベッド番号情報は101-1、101-2、101-3、101-4となる。
【0026】
ここで、親機インターフェース42が制御機3から呼出信号を入力した場合に、親機制御部41は報知部43を動作させるとともに、記憶部45を参照して呼び出しを行ったナースコール子機1の子機識別情報であるベッド番号、そのベッド番号に関連付けて記憶されているチーム情報および患者情報を抽出する。また、親機制御部41は、記憶部45を参照して子機識別情報に関連付けて記憶されている携帯端末番号を抽出し、この携帯端末番号に従って呼出信号を親機インターフェース42により携帯端末用主装置5へ出力する。ここで、親機インターフェース42により出力される呼出信号には、呼び出し先である携帯端末8の識別情報が付加される。これにより、携帯端末用主装置5およびPBX6は、呼び出し先である携帯端末8を指定して呼び出しを行う。
【0027】
このように、ナースコール親機4にて報知が行われるとともに、携帯端末8にて報知が行われ、ナースコール親機4の応答操作部44の操作により応答が行われると、親機制御部41は、報知部43の動作を停止させるとともに、応答信号を生成する。親機制御部41によって生成された応答信号は、親機インターフェース42により制御機3および廊下灯2を介してナースコール子機1へ出力される。また、応答信号は携帯端末用主装置5にも出力され、携帯端末用主装置5は呼び出しを行った携帯端末8の報知を停止する。
【0028】
一方、報知が行われた携帯端末8により応答が行われると、応答信号は、携帯端末8から無線基地局7、PBX6、携帯端末用主装置5、ナースコール親機4、制御機3、廊下灯2を介してナースコール子機1へ出力される。ここで、応答信号を入力した携帯端末用主装置5は、他の携帯端末8の報知を停止する。また、親機制御部41は、呼び出しが行われた日時を示す呼出日時情報と、その呼び出しに対して応答した携帯端末8の携帯端末番号と、応答した日時を示す応答日時情報とを呼出履歴情報として記憶部45に記録する。また、応答信号を入力したナースコール親機4は、親機制御部41にて報知部43の動作を停止させる。
【0029】
また、記憶部45は、消耗品置き場情報、消耗品使用数情報、および、別途入力した消耗品在庫数情報に基づいて消耗品管理情報が記憶されている。消耗品置き場情報は、上述した病室番号情報に基づいて記憶される。ここで、消耗品置き場が各病室に設置されている場合には、本実施形態のように消耗品置き場情報が病室番号情報と一致しており、同じ病室に設置されているナースコール子機1を1つのグループとして記憶している。なお、消耗品置き場が複数箇所に設置されている場合には、消耗品置き場情報が複数の病室番号情報により構成される。この場合、複数の病室番号情報は、消耗品置き場からの距離や医療従事者の動線により設定されることが好ましい。
【0030】
また、消耗品使用数情報は、消耗品置き場情報によって特定される病室番号毎に、その病室内に設置されているナースコール子機1による呼出回数と一致する。消耗品在庫数情報は、図示しない操作部によって入力された消耗品の在庫数情報から消耗品使用数情報を減算した値である。図2に示す例では、初期に入力された消耗品在庫数情報は50であり、消耗品置き場情報101では、消耗品使用数情報が15、消耗品在庫数情報が35となる。また、消耗品置き場情報102では、消耗品使用数情報が21、消耗品在庫数情報が29となる。また、消耗品置き場情報103では、消耗品使用数情報が8、消耗品在庫数情報が42となる。また、消耗品置き場情報104では、消耗品使用数情報が10、消耗品在庫数情報が40となる。
【0031】
表示部46は、上述したように取得された消耗品管理情報を表示する。親機制御部41は、記憶部45を参照して消耗品置き場情報、消耗品使用数情報、および、消耗品在庫数情報を抽出し図3に示すような画面を表示部46に表示させる。
【0032】
なお、本実施形態では、消耗品使用数情報および消耗品在庫数情報を取得して表示するようにしているが、必須な情報は消耗品使用数情報であり、消耗品在庫数情報は必要に応じて表示すれば良い。ここで、消耗品使用数情報のみが表示される場合には、医療従事者等がおおまかな在庫数を知っておく必要がある。
【0033】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、各病室単位または複数の病室に対応する消耗品置き場単位で消耗品が置かれている場所を消耗品置き場情報として設定し、この場所におけるナースコールの回数を消耗品の使用数と判断して表示部に表示するようにしている。
【0034】
これにより、ナースコールの呼び出しに対して医療従事者が呼び出しの行われた病室を訪問する可能性が高いことから、消耗品が置かれている場所におけるナースコールの回数が消耗品の使用数として判断されるので、医療従事者等が各場所に消耗品の在庫を確認しに行くことによる工数を削減することができる。また、既に設置されているナースコールシステムの呼出履歴を利用して消耗品の使用数が判断され、各場所に重量センサ等を設置する必要がなくなるので、コストを削減することができる。
【0035】
なお、前述した実施形態では、消耗品の使用数等をナースコール親機4に設けた表示部46に表示するようにしているが、これに限定されない。例えば、医療従事者が携行する携帯端末8に消耗品の使用数等を表示するようにしても良い。
【0036】
また、前述した実施形態では、消耗品の使用数や消耗品の在庫数を表示しているだけであるが、これに限定されない。例えば、消耗品の使用数が所定の値以上となった場合や、消耗品の在庫数が所定の値以下となった場合にナースコール親機4や携帯端末8にて通知を行うようにしても良い。これにより、医療従事者は消耗品の使用数や在庫数の表示を常に確認する必要がなくなる。
【0037】
また、消耗品を補充する場合、消耗品の使用数のみを表示するときには、消耗品の使用数をリセットするようにしても良い。また、消耗品を補充する場合、消耗品の在庫数を表示するときには、補充された数量を入力することで在庫数を更新するようにしても良い。
【0038】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 ナースコール子機
2 廊下灯
3 制御機
4 ナースコール親機
5 携帯端末用主装置
6 PBX
7 無線基地局
8 携帯端末
41 親機制御部
42 親機インターフェース
43 報知部
44 応答操作部
45 記憶部
46 表示部
図1
図2
図3