(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153623
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】温度計測システム、温度計測装置及び温度計測方法
(51)【国際特許分類】
G01J 5/48 20220101AFI20231011BHJP
【FI】
G01J5/48 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063001
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊也
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 諒
【テーマコード(参考)】
2G066
【Fターム(参考)】
2G066AC09
2G066BB02
2G066BC11
2G066BC15
2G066CA02
2G066CA04
2G066CA16
(57)【要約】
【課題】撮影範囲の中の所望の計測対象における温度を適切に計測可能にする温度計測システムを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、温度計測システムは、カメラ、照明部及び処理実行部を備える。カメラは、撮影を行うことにより、撮影範囲において温度及び温度に関連するパラメータのいずれかを検知する。照明部は、光を照射し、カメラと一体又はカメラの近傍に設けられる。処理実行部は、カメラの撮影画像において、温度の計測箇所を指定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影を行うことにより、撮影範囲において温度及び前記温度に関連するパラメータのいずれかを検知するカメラと;
光を照射し、前記カメラと一体又は前記カメラの近傍に設けられる照明部と;
前記カメラの撮影画像において、前記温度の計測箇所を指定する処理実行部と;
を具備する、温度計測システム。
【請求項2】
前記処理実行部は、前記カメラの前記撮影画像において、前記温度の前記計測箇所を複数箇所指定する、請求項1の温度計測システム。
【請求項3】
前記処理実行部は、指定した前記計測箇所のそれぞれの前記温度に関して、対応する閾値を設定し、前記計測箇所のそれぞれの前記温度が閾値を超えているか否かを判定する、請求項1又は2の温度計測システム。
【請求項4】
前記処理実行部は、指定した前記計測箇所のいずれかにおいて前記温度が前記閾値を超えている場合に、警告させる、請求項3の温度計測システム。
【請求項5】
撮影を行うことにより、撮影範囲において温度及び前記温度に関連するパラメータのいずれかを検知するカメラと;
光を照射し、前記カメラと一体に設けられる照明部と;
前記カメラの撮影画像において、前記温度の計測箇所を指定する処理実行部と;
を具備する、温度計測装置。
【請求項6】
カメラによって撮影を行うことにより、前記カメラの撮影範囲における温度及び前記温度に関連するパラメータのいずれかを検知することと;
前記カメラと一体又は前記カメラの近傍に設けられる照明部から光を照射することと;
前記カメラの撮影画像において、前記温度の計測箇所を指定することと;
を具備する、温度計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、温度計測システム、温度計測装置及び温度計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルカメラ等のカメラを用いて、カメラの撮影範囲における温度の計測が、行われている。このようなカメラを用いた温度の計測では、カメラによって撮影された撮影範囲(撮影画像)の全体における温度ではなく、撮影範囲の中の所望の計測対象における温度を適切に計測することが、求められている。例えば、工場等でカメラによる撮影が行われた場合、撮影範囲の中の所定の設備における温度を適切に計測すること等が、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、撮影範囲の中の所望の計測対象における温度を適切に計測可能にする温度計測システム、温度計測装置及び温度計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、温度計測システムは、カメラ、照明部及び処理実行部を備える。カメラは、撮影を行うことにより、撮影範囲において温度及び温度に関連するパラメータのいずれかを検知する。照明部は、光を照射し、カメラと一体又はカメラの近傍に設けられる。処理実行部は、カメラの撮影画像において、温度の計測箇所を指定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、撮影範囲の中の所望の計測対象における温度を適切に計測可能にする温度計測システム、温度計測装置及び温度計測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る温度計測システムの使用状態の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の一例の温度計測システムのシステム構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る温度計測システムの計測箇所指定部によって行われる、カメラによる撮影画像において温度の計測箇所を指定する処理の一例を説明する概略図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る温度計測システムの通知情報生成部によって生成される通知情報の一例を示す概略図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る温度計測システムの処理実行部によって行われる処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の変形例に係る温度計測システムの使用状態の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第2の変形例に係る温度計測システムの使用状態の一例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、第3の変形例に係る温度計測装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の温度計測システム(1)は、カメラ(11)、照明部(12)及び処理実行部(21)を備える。カメラ(11)は、撮影を行うことにより、撮影範囲(A1;A1,A2)において温度及び温度に関連するパラメータのいずれかを検知する。照明部(12)は、光を照射し、カメラ(11)と一体又はカメラ(11)の近傍に設けられる。処理実行部(21)は、カメラ(11)の撮影画像において、温度の計測箇所を指定する。このため、温度計測システム(1)を用いることにより、カメラ(11)の撮影範囲(A1;A1,A2)の中の所望の計測対象における温度を、適切に計測可能となる。
【0009】
実施形態の温度計測システム(1)では、処理実行部(21)は、カメラ(11)の撮影画像(A1;A1,A2)において、温度の計測箇所を複数箇所指定する。このため、カメラ(11)の撮影範囲(A1;A1,A2)の中の複数の計測対象のそれぞれについて、温度を適切に計測可能となる。
【0010】
実施形態の温度計測システム(1)では、処理実行部(21)は、指定した計測箇所のそれぞれの温度に関して、対応する閾値を設定し、計測箇所のそれぞれの温度が閾値を超えているか否かを判定する。このため、計測箇所のそれぞれの温度について、対応する計測対象となる設備の使用可能な温度範囲等に基づいた適切な閾値が、設定される。そして、計測箇所のそれぞれに対応する計測対象について、適切に設定された閾値に基づいて、温度が適切である否かを判定可能となる。
【0011】
実施形態の温度計測システム(1)では、処理実行部(21)は、指定した計測箇所のいずれかにおいて温度が閾値を超えている場合に、警告させる。このため、温度計測システム(1)のユーザ等は、計測箇所のいずれかに対応する計測対象で火災の発生等の温度の異常が発生していることを、適切に認識可能になる。
【0012】
実施形態の温度計測装置(8)は、カメラ(11)、照明部(12)及び処理実行部(21)を備える。カメラ(11)は、撮影を行うことにより、撮影範囲(A1;A1,A2)において温度及び温度に関連するパラメータのいずれかを検知する。照明部(12)は、光を照射し、カメラ(11)と一体又はカメラ(11)の近傍に設けられる。処理実行部(21)は、カメラ(11)の撮影画像において、温度の計測箇所を指定する。このため、温度計測装置(8)を用いることにより、カメラ(11)の撮影範囲(A1;A1,A2)の中の所望の計測対象における温度を、適切に計測可能となる。
【0013】
実施形態の温度計測方法では、カメラ(11)によって撮影を行うことにより、カメラ(11)の撮影範囲(A1;A1,A2)における温度及び温度に関連するパラメータのいずれかを検知する。温度計測方法では、カメラ(11)と一体又はカメラ(11)の近傍に設けられる照明部(12)から光を照射する。温度計測方法では、カメラ(11)の撮影画像において、温度の計測箇所を指定する。このため、温度計測方法によって、カメラ(11)の撮影範囲(A1;A1,A2)の中の所望の計測対象における温度を、適切に計測可能となる。
【0014】
以下、実施形態について図面を参照にして説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る温度計測システム1の使用状態の一例を示し、
図2は、
図1の一例の温度計測システム1のシステム構成を示す。
図1及び
図2に示すように、温度計測システム1は処理装置10、カメラ11及び照明部12を備える。
図1及び
図2の一例では、カメラ11及び照明部12は、機器13に搭載され、カメラ11及び照明部12は、互いに対して一体に設けられる。すなわち、カメラ11及び照明部12が一体の機器13が、設けられる。また、
図1等に示すように、カメラ11及び照明部12が一体の機器13が、空間16の天井壁17に設置される。
【0016】
カメラ11は、サーマルカメラである。カメラ11は、空間16において、撮影範囲A1を撮影する。この際、カメラ11は、撮影範囲A1からカメラ11に入射する赤外線(遠赤外線)を捉えることにより、撮影範囲A1を撮影する。このため、カメラ11による撮影によって、撮影範囲A1の撮影画像として、赤外線画像が生成される。また、カメラ11は、結像光学系によって、撮像素子に撮影範囲A1の被写体像を結像する等して、被写体を撮影する。カメラ11は、前述のように撮影を行うことにより、撮影範囲A1からカメラ11に入射する赤外線の強度を、撮影範囲A1における温度に関連するパラメータとして、検知する。
【0017】
照明部12は、空間16において、可視光の波長領域にピーク波長を有する光を、照射範囲B1に照射する。照明部12は、光源として、LED、蛍光灯及び白熱電球等のいずれかを備える。カメラ11による撮影範囲A1の少なくとも一部は、照明部12からの光の照射範囲B1と重なる。
【0018】
図1の一例では、空間16は、工場等において製品を製造する設備が配置される空間であり、カメラ11による撮影範囲A1には、設備E1~E3が配置される。そして、設備E1~E3のそれぞれが配置される位置は、照明部12による光の照射範囲B1に、含まれる。なお、
図1の一例では、照明部12から出射された光は、直接的にはカメラ11に入射しない。すなわち、照明部12からの直射光は、カメラ11に入射しない。ただし、照明部12から出射された後において照射範囲B1で反射した反射光は、カメラ11に入射され得る。また、
図1の一例では、カメラ11は、照明部12と一体に設けられ、空間16の天井壁17に配置される。このため、カメラ11での撮影によって、設備E1~E3等の複数の設備が示される俯瞰画像が、撮影画像として生成される。
【0019】
処理装置10は、処理実行部21、データ記憶部22、通信インタフェース23及びユーザインタフェース24を備え、処理実行部21は、計測箇所指定部25、温度算出部26、判定部27及び通知情報生成部28を備える。計測箇所指定部25、温度算出部26、判定部27及び通知情報生成部28のそれぞれは、処理実行部21によって行われる処理の一部を行う。処理装置10では、処理実行部21等は、通信インタフェース23を介して、機器13を含む他の装置及び機器等と通信する。
【0020】
ある一例では、処理装置10は、スマートフォン等の端末装置又はコンピュータから構成され、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。処理装置10では、プロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。処理装置10は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。また、処理装置10は、記憶媒体を1つのみ備えてもよく、記憶媒体を複数備えてもよい。処理装置10では、プロセッサ又は集積回路が処理実行部21として機能し、記憶媒体がデータ記憶部22として機能する。
【0021】
処理装置10では、記憶媒体等に記憶されるプログラム等をプロセッサ等が実行することにより、処理実行部21による後述の処理が行われる。ある一例では、処理装置10において、プロセッサ等によって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、処理装置10のプロセッサ等は、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。
【0022】
また、別のある一例では、処理装置10は、複数のコンピュータから構成される。この場合、複数のコンピュータのプロセッサ等が協働して、処理実行部21による処理を行う。また、別のある一例では、処理装置10は、クラウド環境のサーバから構成される。クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。処理装置10となるクラウド環境のサーバでは、仮想プロセッサ等が処理実行部21として機能し、仮想プロセッサ等によって、処理実行部21による処理が行われる。そして、クラウドメモリが、データ記憶部22として機能する。
【0023】
温度計測システム1のユーザ等は、ユーザインタフェース24において、操作を入力可能である。そして、処理装置10のユーザインタフェース24では、温度計測システム1のユーザ等へ情報を通知可能である。ユーザインタフェース24では、例えば、画面表示、音声の発信、及び、光の点灯等のいずれかによって、情報が通知される。ある一例では、ユーザインタフェース24は、タッチパネルを備える。そして、タッチパネルにおいて操作を入力可能であるとともに、タッチパネルに情報等が表示される。なお、ユーザインタフェース24は、処理装置10とは別体で設けられてもよい。
【0024】
処理実行部21は、カメラ11による撮影によって取得された撮影データを、通信インタフェース23を介して、カメラ11から受信する。撮影データには、カメラ11に入射する赤外線を捉えることにより撮影された撮影範囲A1の撮影画像が、含まれる。また、撮影データには、撮影範囲A1における温度に関連するパラメータの検知結果が、含まれる。撮影範囲A1における温度に関連するパラメータの検知結果としては、例えば、撮影範囲A1からカメラ11へ入射する赤外線の強度の検知結果が、取得される。
【0025】
ここで、カメラ11による撮影画像は、多数の画素(ピクセル)から構成される。そして、撮影画像を構成する画素のそれぞれでは、撮影範囲A1の対応する箇所が示される。処理実行部21は、撮影画像を構成する画素のそれぞれについて、撮影範囲A1の対応する箇所からカメラ11に入射する赤外線の強度を、取得する。すなわち、処理実行部21は、カメラ11による撮影画像について、1つの画素ごとに、撮影範囲A1の対応する箇所からカメラ11に入射する赤外線の強度を、取得する。
【0026】
計測箇所指定部25は、カメラ11による撮影画像において、温度の計測箇所を指定する。計測箇所指定部25は、赤外線を捉えた撮影画像において、温度の計測箇所を1箇所のみ指定してもよく、温度の計測箇所を複数箇所指定してもよい。ある一例では、計測箇所指定部25は、例えば、温度計測システム1のユーザ等によってユーザインタフェース24において入力される操作に基づいて、計測箇所を指定する。
【0027】
ある一例では、撮影範囲A1に中の1つ以上の計測対象について、温度の計測が行われる。そして、計測対象のそれぞれについて、カメラ11による撮影画像での位置情報が、データ記憶部22に記憶される。計測箇所指定部25は、計測対象のそれぞれについての撮影画像での位置情報を、データ記憶部22から読取る。そして、計測箇所指定部25は、読取った位置情報に基づいて、温度の計測対象のそれぞれが示される箇所を、温度の計測箇所として、撮影画像において指定する。本一例のようにして計測箇所が指定される場合、空間16でのカメラ11による撮影範囲A1、及び、温度の計測対象となる設備等の空間16での配置等は、経時的に変化しないものとする。
【0028】
また、別のある一例では、処理実行部21は、赤外線を捉えた前述の撮影画像に加えて、撮影範囲A1からカメラ11に入射する可視光を捉えた可視光画像を取得する。可視光画像では、赤外線画像である撮影画像と同一の撮影範囲A1が、撮影される。本一例では、計測箇所指定部25は、可視光を捉えた可視光画像を画像処理することにより、赤外線画像となる撮影画像において、温度の計測対象が示される箇所を特定する。この際、計測箇所指定部25は、例えば、可視光画像においてエッジ検出処理等を行うことにより、可視光画像において1つ以上の計測対象のそれぞれが示される箇所を、検出する。そして、計測箇所指定部25は、検出した計測対象のそれぞれの箇所に対応する箇所を、赤外線画像となる撮影画像において特定する。これにより、赤外線画像となる撮影画像において、温度の計測対象となる設備等のそれぞれが示される箇所が、特定される。
【0029】
本一例では、計測箇所指定部25は、温度の計測対象のそれぞれが示される箇所として特定した箇所を、温度の計測箇所として、撮影画像において指定する。なお、温度の計測箇所の指定において、可視光画像の画像処理等は、例えば、データ記憶部22に記憶されるアルゴリズムに基づいて、行われる。また、温度の計測箇所の指定において、可視光画像の画像処理等は、データ記憶部22に記憶される学習モデルを用いて、行われてもよい。この場合、計測対象となる設備等が示される可視光画像を学習データとして用いてモデルを学習させ、学習モデルが生成される。
【0030】
図3は、赤外線を捉えたカメラ11による撮影画像において、温度の計測箇所を指定する処理の一例を説明する。
図3の一例では、計測箇所指定部25は、赤外線を捉えた撮影範囲A1の撮影画像I1において、温度の計測箇所を枠F1~F3のそれぞれで囲む。これにより、撮影画像I1において、枠F1~F3のそれぞれで囲まれた箇所が、温度の計測箇所として、指定される。ここで、撮影画像I1において、枠F1によって囲まれた計測箇所では、温度の計測対象の1つである設備E1が示され、枠F2によって囲まれた計測箇所では、温度の計測対象の設備E1とは別の1つである設備E2が示され、枠F3によって囲まれた計測箇所では、温度の計測対象の設備E1,E2とは別の1つである設備E3が示され。このため、
図3の一例では、カメラ11による撮影画像I1において、設備E1~E3のそれぞれが示される箇所が、温度の計測箇所として、指定される。
【0031】
温度算出部26は、撮影画像において指定された温度の計測箇所のそれぞれについて、温度を算出する。この際、温度算出部26は、撮影範囲A1での温度に関連するパラメータの検知結果に基づいて、指定された計測箇所のそれぞれについて、温度を算出する。ある一例では、撮影範囲A1での温度に関連するパラメータの検知結果として、カメラ11による撮影画像の1つの画素ごとに、撮影範囲A1の対応する箇所からカメラ11に入射する赤外線の強度が、取得される。そして、データ記憶部22には、カメラ11に入射する赤外線の強度と温度との関係を示す関係データが、記憶される。本一例では、指定された計測箇所のそれぞれの温度の算出は、温度に関連するパラメータである前述の赤外線の強度の検知結果、及び、関係データに基づいて、行われる。
【0032】
計測箇所のある1つについて温度を算出する場合、温度算出部26は、その計測箇所に含まれる1つ以上の画素のそれぞれに対して、赤外線の強度の検知結果、及び、関係データに基づいて、温度を算出する。そして、計測箇所に含まれる画素が1つの場合は、1つの画素の温度が、計測箇所の温度として算出される。また、計測箇所に含まれる画素が複数の場合は、複数の画素の温度の平均値が、計測箇所の温度として算出される。他の計測箇所についても、同様にして、温度が算出される。
【0033】
なお、温度算出部26は、赤外線の強度の検知結果及び関係データに基づいて前述のようにして算出された計測箇所のそれぞれの温度を、補正してもよい。ここで、カメラ11による撮影範囲A1の中でも、カメラ11の画角の中央部に比べて、カメラ11の画角の端部は、カメラ11からの距離が長い。このため、同一の設備でも、カメラ11の画角の中央部に配置される場合に比べて、カメラ11の画角の端部に配置される場合は、カメラ11による撮影画像においてその設備が示される箇所に含まれる画素数が、少ない。したがって、計測箇所のそれぞれについて算出された温度を、その計測箇所に対応する計測対象の撮影範囲A1における位置に基づいて補正することにより、計測箇所のそれぞれの温度が、さらに適切に導出される。
【0034】
ある一例では、温度算出部26は、温度の計測箇所のある1つについて、その計測箇所に対応する計測対象がカメラ11の画角の中央部に位置する状態を、仮想状態と規定する。そして、仮想状態でカメラ11による撮影が行われた場合の撮影画像において、その計測箇所に対応する計測対象が示される箇所を、仮想箇所と規定する。温度算出部26は、仮想状態での撮影画像において仮想箇所に含まれる画素数を、算出する。仮想状態の撮影画像において仮想箇所に含まれる画素数は、カメラ11の位置情報、画角及び解像度、及び、計測箇所に対応する計測対象とカメラ11との間の撮影範囲A1における距離等に基づいて、算出される。
【0035】
計測箇所に対応する計測対象とカメラ11との間の距離は、カメラ11の設置高さを含むカメラ11の位置情報、計測箇所に対応する計測対象の高さ情報、計測箇所に対応する計測対象までのカメラ11の画角の中心からの水平方向に沿った距離等に基づいて、導出可能である。そして、温度算出部26は、仮想状態での撮影画像において仮想箇所に含まれる画素数と実際の撮影画像において計測箇所に含まれる画素数とを比較し、比較結果に基づいて、算出した計測箇所の温度を補正する。本一例では、計測箇所のある1つについて、撮影画像におけるその計測箇所の位置に基づいて、すなわち、カメラ11の画角におけるその計測箇所に対応する計測対象の位置に基づいて、温度が補正される。なお、他の計測箇所についても、同様にして、温度を補正可能である。
【0036】
また、カメラ11の画角の端部に計測対象が位置する場合、カメラ11の撮影画像において、その計測対象に対応する計測箇所が、1つの画素より小さくなることがある。この場合、撮影画像において、計測箇所が存在する1つの画素は、計測箇所及び計測箇所以外の部分から構成される。撮影画像において1つの画素より小さい計測箇所に関しては、温度算出部26は、計測箇所が存在する1つの画素の温度を算出する。そして、計測箇所が存在する1つの画素における計測箇所の占有率を算出する。そして、温度算出部26は、計測箇所が存在する1つの画素の温度、及び、計測箇所が存在する1つの画素における計測箇所の占有率に基づいて、計測箇所の温度の計測値を算出する。
【0037】
また、本実施形態では、前述のように、カメラ11による撮影範囲A1の少なくとも一部が、照明部12からの光の照射範囲B1と重なる。このため、照明部12から出射された光が、温度の計測箇所のいずれかに対応する設備等の計測対象において反射し、計測箇所のいずれかに対応する計測対象からの反射光が、カメラ11に入射する可能性がある。ここで、温度の計測箇所のある1つに対応する計測対象からの反射光がカメラ11に入射する場合、その計測対象からカメラ11に入射する赤外線の強度は、計測対象からの反射光がカメラ11に入射しない場合とは、異なる可能性がある。このため、反射光が対応する計測対象からカメラ11に入射する計測箇所については、カメラ11に入射する反射光の影響を考慮して温度を補正することにより、その計測箇所の温度がさらに適切に導出される。
【0038】
ある一例では、対応する計測対象から反射光がカメラ11に入射する計測箇所のある1つについて、以下のようにして、温度が補正される。すなわち、その計測箇所に対応する計測対象からカメラ11に入射する反射光に関する情報が、データ記憶部22に記憶される。計測対象からカメラ11に入射する反射光に関する情報には、計測対象からの反射光のカメラ11での強度についての情報、及び、計測対象からの反射光に起因するカメラ11での赤外線の強度の変化についての情報等が、含まれる。本一例では、温度算出部26は、計測箇所について、カメラ11に入射する反射光に関する情報に基づいて、算出した温度を補正する。これにより、計測箇所について、カメラ11に入射する反射光の影響を除外した温度が、導出される。なお、反射光がカメラ11に入射する他の計測箇所についても、同様にして、温度を補正可能である。
【0039】
また、
図1の一例では、照明部12からの直射光がカメラ11に入射しないが、カメラ11と照明部12との位置関係によっては、カメラ11に照明部12からの直射光が入射し得る。照明部12からの直射光がカメラ11に入射する場合、カメラ11に入射する赤外線の強度は、直射光がカメラ11に入射しない場合とは、異なる可能性がある。このため、計測箇所のそれぞれについて、カメラ11に入射する直射光の影響を考慮して温度を補正することにより、さらに適切な温度が導出される。
【0040】
ある一例では、照明部12からカメラ11に入射する直射光に関する情報が、データ記憶部22に記憶される。照明部12からカメラ11に入射する直射光に関する情報には、照明部12からの直射光のカメラ11での強度についての情報、及び、照明部12からの直射光に起因するカメラ11での赤外線の強度の変化についての情報等が、含まれる。本一例では、温度算出部26は、計測箇所のそれぞれについて、カメラ11に入射する直射光に関する情報に基づいて、算出した温度を補正する。これにより、計測箇所のそれぞれについて、カメラ11に入射する直射光の影響を除外した温度が、導出される。
【0041】
温度算出部26は、計測箇所のそれぞれの温度に関して、赤外線の強度の検知結果及び関係データに基づいて前述のように算出した算出値、又は、算出値を前述のようにして補正した補正値を、計測値として導出する。判定部27は、計測箇所のそれぞれの温度についての計測値を取得し、計測箇所のそれぞれの温度について、取得した計測値に基づいて、判定を行う。
【0042】
判定部27は、撮影画像において指定された温度の計測箇所のそれぞれの温度に関して、対応する閾値を設定する。計測箇所のそれぞれの温度について閾値は、例えば、その計測箇所に対応する計測対象となる設備等の使用可能な温度範囲に基づいた値に、設定される。ある一例では、
図3の一例のように、撮影画像において枠F1~F3のそれぞれで囲まれた計測箇所が、指定される。そして、枠F1で囲まれた計測箇所では、対応する計測対象である設備E1の使用可能な温度範囲に基づいた値に、枠F2で囲まれた計測箇所では、対応する計測対象である設備E2の使用可能な温度範囲に基づいた値に、枠F3で囲まれた計測箇所では、対応する計測対象である設備E3の使用可能な温度範囲に基づいた値に、それぞれ、温度についての閾値が設定される。
【0043】
計測箇所のそれぞれの温度についての閾値が前述のように設定されるため、複数の計測箇所について温度が計測される場合、複数の計測箇所では、設定される温度の閾値が、互いに対して異なる値になり得る。ただし、複数の計測箇所について温度が計測される場合でも、ある1つの計測箇所についての温度の閾値が、別のある1つの計測箇所についての温度の閾値と同一の値になることも、あり得る。ある一例では、判定部27は、例えば、温度計測システム1のユーザ等によってユーザインタフェース24において入力される操作に基づいて、計測箇所のそれぞれの温度についての閾値を設定する。別のある一例では、計測箇所のそれぞれの温度についての閾値がデータ記憶部22に記憶され、判定部27は、計測箇所のそれぞれの温度についての閾値を、データ記憶部22から読取った値に設定する。
【0044】
また、計測箇所のある1つの温度について、以下のようにして閾値が設定されてもよい。ある一例では、判定部27は、計測箇所のある1つに関して、温度の時間変化(時間履歴)を取得する。そして、判定部27は、その計測箇所について、温度の時間変化に基づいて、温度についての閾値を設定する。また、判定部27は、計測箇所のある1つについて、温度の時間変化に基づいて、温度についての閾値をリアルタイムの値から更新(再設定)してもよい。
【0045】
また、判定部27は、計測箇所のある1つの温度について、互いに対して異なる複数の値を、閾値として設定可能であってもよい。この場合、判定部27は、その計測箇所に対応する計測対象となる設備の状態に基づいて、複数の値から対応する1つを閾値として選択する。例えば、判定部27は、計測箇所のある1つの温度についての閾値の設定において、その計測箇所に対応する計測対象となる設備が稼働しているか否かについての情報を取得する。そして、計測箇所に対応する設備が稼働している場合は、設備が稼働していない場合に比べて、計測箇所の温度についての閾値が、高い値に設定される。なお、他の計測箇所の温度についても、同様にして、閾値を設定等することが可能である。
【0046】
判定部27は、1つ以上の計測箇所のそれぞれについて、温度(温度の計測値)が閾値を超えているか否かを判定する。すなわち、いずれの計測箇所でも温度が設定された閾値以下であるか否かが、判定される。通知情報生成部28は、計測箇所のそれぞれの温度についての計測結果、及び、計測箇所のそれぞれの温度についての判定部27での判定結果を取得する。そして、通知情報生成部28は、取得した計測結果及び判定結果に基づいて、通知情報を生成し、ユーザインタフェース24等によって生成した通知情報を通知させる。
【0047】
判定部27による判定において、いずれの計測箇所でも温度が閾値以下であると判定された場合は、通知情報生成部28は、計測箇所のそれぞれの温度の計測結果、及び、計測箇所のそれぞれの温度が閾値以下であるか否かについての判定結果等を、通知情報において通知させる。一方、いずれかの計測箇所で温度が閾値を超えていると判定された場合は、通知情報生成部28は、計測箇所のそれぞれの温度の計測結果、及び、計測箇所のそれぞれの温度が閾値以下であるか否かについての判定結果等に加えて、温度が閾値を超えている計測箇所を示す警告情報を、通知情報において通知させる。
【0048】
図4は、通知情報生成部28によって生成される通知情報の一例を示す。
図4の一例では、ユーザインタフェース24のタッチパネル又は表示画面等への表示によって、通知情報が通知される。
図4の一例では、
図3の一例と同様に、カメラ11による撮影画像I1において、枠F1~F3のそれぞれで囲まれた箇所が、すなわち、設備E1~E3のそれぞれが示される箇所が、温度の計測箇所として指定される。そして、通知情報では、3つの計測箇所のそれぞれの温度の計測結果、及び、3つの計測箇所のそれぞれの温度が閾値以下であるか否かについての判定結果が、示される。
図4の一例では、枠F1,F2,F3で囲まれた計測箇所の温度の計測値が、それぞれ、100℃、80℃、100℃であることが、通知情報において示される。
【0049】
図4の一例では、枠F1,F2,F3で囲まれた計測箇所の温度について、閾値が、それぞれ、110℃、100℃、90℃に設定される。通知情報では、判定部27での判定結果として、枠F1,F2のそれぞれで囲まれた計測箇所の温度は閾値以下であり、かつ、枠F3で囲まれた計測箇所の温度は閾値を超えていることが、示される。また、
図4の一例では、枠F3で囲まれた計測箇所の温度が閾値を超えていることを示す警告情報が、通知情報に含まれる。そじて、
図4の一例では、警告情報として、撮影画像I1において枠F3で囲まれた計測箇所が、赤色等の他の部分とは異なる色で示される。なお、
図4では、枠F3で囲まれた計測箇所、すなわち、その計測箇所に対応する計測対象である設備E3が示される箇所を、赤色のハッチングで示す。また、警告情報は、音声又は対応する警告ランプの点灯等によって、通知されてもよい。
【0050】
図5は、処理実行部21によって行われる処理の一例を示す。
図5の一例の処理は、定期的に行われてもよく、ユーザインタフェース24での操作等に基づいて行われてもよい。
図5の一例の処理を開始すると、処理実行部21は、前述のように、撮影範囲A1における温度に関連するパラメータの検知結果として、撮影範囲A1からカメラ11へ入射する赤外線の強度の検知結果を取得する(S51)。そして、処理実行部21の計測箇所指定部25は、前述した例のいずれかと同様にして、カメラ11による撮影画像において、温度の計測箇所を指定する(S52)。そして、温度算出部26は、前述した例のいずれかと同様にして、指定した計測箇所のそれぞれについて、温度の計測値を導出する(S53)。この際、赤外線の強度の検知結果及び関係データに基づいて前述のように算出した算出値、又は、算出値を前述のようにして補正した補正値が、計測値として導出される。
【0051】
そして、判定部27は、指定した計測箇所のそれぞれについて、温度の計測値が閾値以下であるか否かを判定する(S54)。計測箇所のそれぞれの温度についての閾値は、前述した例のいずれかと同様にして、設定される。いずれの計測箇所でも温度の計測値が閾値以下である場合は(S54-Yes)、通知情報生成部28は、計測箇所のそれぞれの温度の計測結果、及び、計測箇所のそれぞれの温度が閾値以下であるか否かについての判定結果等を、通知情報において通知させる(S55)。一方、いずれかの計測箇所で温度の計測値が閾値を超えている場合は(S54-No)、通知情報生成部28は、計測箇所のそれぞれの温度の計測結果、及び、計測箇所のそれぞれの温度が閾値以下であるか否かについての判定結果等に加えて、温度が閾値を超えている計測箇所を示す警告情報を、通知情報において通知させる。なお、通知情報は、前述した例のいずれかと同様にして、通知される。
【0052】
本実施形態では、カメラ11は、撮影範囲A1における温度に関連するパラメータとして、撮影範囲A1からカメラ11に入射する赤外線の強度を検知する。また、光を照射する照明部12がカメラ11と一体に設けられる。カメラ11が照明部12と一体であるため、カメラ11での撮影によって、複数の設備が示される俯瞰画像を取得可能となり、複数の設備が含まれる撮影範囲A1において、温度に関するパラメータを検知可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、処理実行部21は、カメラ11の撮影画像において、温度を計測する計測箇所を指定する。このため、撮影範囲A1の中の所望の計測対象に対応する箇所を、撮影画像において計測箇所として処理実行部21に指定させることにより、撮影範囲A1の中の所望の計測対象の温度を、適切に計測可能となる。例えば、工場等でカメラ11による撮影が行われた場合、撮影範囲A1の中の所定の設備に対応する箇所を、撮影画像において計測箇所として処理実行部21に指定させることにより、その所定の設備の温度を、適切に計測可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、処理実行部21は、カメラ11の撮影画像において、温度の計測箇所を複数箇所指定する。このため、撮影範囲A1の中の所望の複数の計測対象のそれぞれについて、温度を適切に計測可能となる。例えば、撮影範囲A1に配置される複数の設備のそれぞれについて、温度を計測するものとする。撮影範囲A1の中の計測対象となる複数の設備のそれぞれに対応する箇所を、撮影画像において計測箇所として処理実行部21に指定させることにより、撮影範囲A1の中の複数の設備のそれぞれの温度を、適切に計測可能となる。
【0055】
前述のように、本実施形態では、撮影範囲A1に複数の計測対象(複数の設備)が位置する状態にカメラ11を設けることにより、1つのカメラ11を用いて、複数の計測対象のそれぞれの温度を計測可能となる。すなわち、温度に関連するパラメータを検知するカメラ11を、複数の計測対象(複数の設備)のそれぞれに対して1つずつ設けることなく、複数の計測対象のそれぞれの温度を計測可能となる。このため、複数の計測対象のそれぞれについて温度を計測する場合でも、カメラ11の台数を削減可能となる。これにより、複数の計測対象のそれぞれについて温度を計測する場合でも、温度計測システム1のシステム構成が複雑にならず、温度計測システム1におけるコスト等を削減可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、処理実行部21は、指定した計測箇所のそれぞれの温度に関して、対応する閾値を設定する。そして、処理実行部21は、計測箇所のそれぞれの温度が閾値を超えているか否かを判定する。このため、計測箇所のそれぞれの温度について、対応する計測対象となる設備の使用可能な温度範囲等に基づいた適切な閾値が、設定される。そして、計測箇所のそれぞれに対応する計測対象について、適切に設定された閾値に基づいて、温度が適切である否かを判定可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、処理実行部21は、指定した計測箇所のいずれかにおいて温度が閾値を超えている場合に、警告情報を通知させる等して、警告させる。これにより、温度計測システム1のユーザ等は、計測箇所のいずれかに対応する設備で火災の発生等の温度の異常が発生していることを認識可能になるとともに、いずれの設備において温度の異常が発生しているか等を、警告情報に基づいて、認識可能となる。したがって、工場等の複数の設備が配置される場所において、火災対策を含む安全対策を適切に行うことが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、カメラ11を照明部12と一体に設けることにより、照明部12からの直射光が入射しない位置に、カメラ11を容易に配置可能となる。また、照射範囲B1からの反射光が入射しない位置、又は、カメラ11へ入射する赤外線強度への照射範囲B1からの反射光の影響を定まっている位置等に、カメラ11を容易に配置可能となる。
【0059】
(変形例)
なお、温度計測システム1には、カメラ11が複数設けられてもよい。
図6に示す第1の変形例では、温度計測システム1に、カメラ11及び照明部12が搭載される前述の機器13が複数設けられる。本変形例では、2つの機器13A,13Bが設けられる。そして、機器13Aでは、カメラ11A及び照明部12Aが一体に設けられ、機器13Bでは、カメラ11B及び照明部12Bが一体に設けられる。
図6の一例では、カメラ11Aによる撮影範囲A1に、設備E1~E3が配置され、設備E1~E3のそれぞれが配置される位置は、照明部12Aによる光の照射範囲B1に、含まれる。そして、設備E2は、カメラ11Bによる撮影範囲A2、及び、照明部12Bによる光の照射範囲B2にも、含まれる。
【0060】
本変形例では、処理装置10の処理実行部21は、撮影範囲A1における温度に関連するパラメータの検知結果として、撮影範囲A1からカメラ11Aへ入射する赤外線の強度の検知結果を取得するとともに、撮影範囲A2における温度に関連するパラメータの検知結果として、撮影範囲A2からカメラ11Bへ入射する赤外線の強度の検知結果を取得する。これにより、本変形例でも前述の実施形態等のいずれかと同様にして、撮影範囲A1,A2のそれぞれにおける所望の計測対象の温度を計測可能である。
【0061】
例えば、処理実行部21は、前述の実施形態等のいずれかと同様にして、カメラ11Aによる撮影画像において、設備E1,E3のそれぞれが示される箇所を、温度の計測箇所として指定する。そして、処理実行部21は、撮影範囲A1からカメラ11Aへ入射する赤外線の強度の検知結果に基づいて、カメラ11Aでの撮影画像において設備E1,E3のそれぞれが示される計測箇所の温度を、前述の実施形態等のいずれかと同様にして、計測可能である。
【0062】
また、本変形例では、設備E2は、カメラ11Aの撮影範囲A1及びカメラ11Bの撮影範囲A2の両方に含まれる。そして、処理実行部21は、カメラ11Aでの赤外線の強度の検知結果及び関係データに基づいて、カメラ11Aでの撮影画像において設備E2が示される計測箇所の温度を、前述のようにして算出可能である。また、処理実行部21は、カメラ11Bでの赤外線の強度の検知結果及び関係データに基づいて、カメラ11Bでの撮影画像において設備E2が示される計測箇所の温度を、前述のようにして算出可能である。ここで、設備E2は、カメラ11Aの画角の端部に配置されるのに対して、カメラ11Bの画角の中央部に配置される。このため、撮影画像における計測箇所の位置に基づいた計測箇所の温度についての前述の補正を行わない場合、処理実行部21は、カメラ11Bでの撮影画像において設備E2が示される計測箇所の温度を、設備E2の温度の計測値として採用する。また、カメラ11Bでの撮影画像において設備E2が示される計測箇所の温度について、閾値以上であるか否かが、判定される。
【0063】
また、ある変形例では、
図6の変形例と同様に、機器13A,13Bが設けられる。そして、照明部12A,12Bのいずれかからの光が、設備E2において反射する。設備E2からの反射光は、カメラ11Aに入射するが、カメラ11Bに入射しない。本変形例では、カメラ11Aに入射する反射光の影響を除外する計測箇所の温度についての前述の補正を行わない場合、処理実行部21は、カメラ11Bでの撮影画像において設備E2が示される計測箇所の温度を、設備E2の温度の計測値として採用する。また、カメラ11Bでの撮影画像において設備E2が示される計測箇所の温度について、閾値以上であるか否かが、判定される。
【0064】
第1の変形例等でも、処理実行部21は、カメラ11A,11Bのそれぞれの撮影画像において、温度を計測する計測箇所を指定する。このため、撮影範囲A1,A2のそれぞれの中の所望の計測対象に対応する箇所を、カメラ11A,11Bの対応する一方による撮影画像において計測箇所として処理実行部21に指定させることにより、撮影範囲A1,A2のそれぞれの中の所望の計測対象の温度を、適切に計測可能となる。すなわち、第1の変形例等でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0065】
また、
図7に示す第2の変形例では、カメラ11及び照明部12が、互いに対して別体で設けられる。ただし、本変形例では、照明部12は、カメラ11の近傍に配置される。カメラ11が照明部12の近傍に配置されるため、本変形例でも、カメラ11での撮影によって、複数の計測対象(複数の設備)が示される俯瞰画像を取得可能となり、複数の計測対象が含まれる撮影範囲A1において、温度に関するパラメータを検知可能となる。
【0066】
また、本変形例でも、処理実行部21は、カメラ11の撮影画像において、温度を計測する計測箇所を指定する。このため、撮影範囲A1の中の所望の計測対象に対応する箇所を、撮影画像において計測箇所として処理実行部21に指定させることにより、撮影範囲A1の中の所望の計測対象の温度を、適切に計測可能となる。すなわち、第2の変形例等でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0067】
なお、第2の変形例等のように、カメラ11が照明部12と別体である場合、カメラ11は、必ずしも天井壁17に配置される必要はない。ある変形例では、空間16の側壁の鉛直上側の端に、カメラ11が配置される。ただし、この場合も、照明部12は、天井壁17においてカメラ11の近傍に配置される。
【0068】
また、前述した実施形態等では、カメラ11は、撮影範囲A1における温度に関連するパラメータを検知するが、ある変形例では、撮影範囲A1における温度を検知する構成であってもよい。この場合、カメラ11による撮影範囲A1における温度の検知結果を、処理実行部21が取得する。本変形例では、カメラ11に画像処理を行うプロセッサ又は集積回路等が内蔵される。そして、カメラ11のプロセッサ等での画像処理によって、撮影範囲A1からカメラ11に入射する赤外線の強度についての情報が、撮影範囲A1の温度についての情報に変換される。本変形例では、カメラ11のプロセッサ等は、例えば、撮影画像の1つの画素ごとに、撮影範囲A1の対応する箇所からカメラ11に入射する赤外線の強度を取得する。そして、カメラ11のプロセッサ等は、撮影画像の1つの画素ごとに、取得した赤外線の強度に基づいて、温度を算出する。
【0069】
また、前述の実施形態等では、処理実行部21による処理は、カメラ11及び照明部12とは別体のコンピュータ等のプロセッサ又は集積回路、又は、クラウド環境の仮想プロセッサ等によって行われるが、これに限るものではない。
図8に示す第3の変形例では、カメラ11、照明部12が搭載される温度計測装置8に、処理実行部21による前述の処理を行うプロセッサ又は集積回路が搭載される。本変形例でも、カメラ11は、照明部12と一体に設けられる。そして、処理実行部21は、カメラ11の撮影画像において、温度を計測する計測箇所を指定する。このため、撮影範囲A1の中の所望の計測対象に対応する箇所を、撮影画像において計測箇所として処理実行部21に指定させることにより、撮影範囲A1の中の所望の計測対象の温度を、適切に計測可能となる。すなわち、第3の変形例等でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0070】
なお、
図8の一例では、データ記憶部22となる記憶媒体が温度計測装置8に搭載されるが、処理実行部21は、処理に用いるデータ及びアルゴリズム等を、温度計測装置8とは別体のコンピュータ等に搭載された記憶媒体から取得してもよい。また、
図8の一例では、ユーザインタフェース24が温度計測装置8とは別体で設けられるが、ユーザインタフェース24が温度計測装置8に搭載されてもよい。
【0071】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、照明部は、カメラと一体又はカメラの近傍に設けられる。そして、カメラの撮影画像において、温度の計測箇所が指定される。これにより、撮影範囲の中の所望の計測対象における温度を適切に計測可能にする温度計測システム、温度計測装置及び温度計測方法を提供することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…温度計測システム、8…温度計測装置、10…処理装置、11(11A,11B)…カメラ、12(12A,12B)…照明部、21…処理実行部、25…計測箇所指定部、26…温度算出部、27…判定部、28…通知情報生成部、A1,A2…撮影範囲、B1,B2…照射範囲。