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▶ 松永 義文の特許一覧

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  • 特開-旅程関連書籍選出システム 図1
  • 特開-旅程関連書籍選出システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153639
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】旅程関連書籍選出システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231011BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063025
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】520068995
【氏名又は名称】松永 義文
(72)【発明者】
【氏名】松永 義文
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】旅の感動を大きくするための読書を意識づけるため、旅程に関連し、観光地名をキーとして、ゆかりの有名人とその関連作品を選出する旅程関連書籍選出システムを提供する。
【解決手段】旅程関連書籍選出システムの一種である旅程関連書籍検索システム1は、観光地と該観光地ゆかりの有名人およびその関連作品を関係づけた「観光地_有名人_作品」データベース2を有し、図書館司書や書店員、読書家、その他信頼のできる登録者4へのインターネット5を介したWEBアンケートシステム3により得られた回答を元に「観光地_有名人_作品」データベース2を構築・更新する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観光地と該観光地ゆかりの有名人、および該有名人の関連作品を対応付けたデータベースを持つことを特徴とする旅程関連書籍選出システム
【請求項2】
請求項1の有名人、および該有名人関連作品が、あらかじめ登録した登録者による推薦情報が集計されて取得されることを特徴する旅程関連書籍選出システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
書籍検索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
書店や図書館で提供されているWeb上での書籍検索システムでは、書誌情報(書名、著者名、出版社名、出版年)等を入力して候補書籍のリストを表示できるようになっている。また、図書館所蔵書籍については、日本十進分類や件名を使って、内容に関わる検索もできる場合がある。さらに、このような書籍検索書システムの中には、新聞や雑誌に書籍の広告が出た場合、その掲載日などの情報から検索できるようにする等、利用者の便宜向上を目的とした個別の対応技術を搭載することを特徴とする発明もある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公報 特許第5392850号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある観光地にゆかりの有名人が書いた小説があるかというような、探索対象が複雑あるいは曖昧な場合には、検索キーを検討・工夫して試行錯誤を繰りかえさなくてはならない非効率があるが、旅に関して、とりわけ旅先/旅程にまつわる人物の関わる書籍の検索を効率化する技術は考えられてこなかった。
【0005】
旅先に関連する書籍は大きく2つに区分できる。
1つめは、都市や観光地(以下まとめて「観光地」と称する)の自然・文化・歴史に関連した書籍である。市販のガイドブックや美術館・博物館の案内本なども含める。この1つめの書籍を以下「ガイドブック」と総称することとする。
2つめは、その観光地ゆかりの有名人に関連した書籍で、その有名人についての伝記、その有名人の表した作品などである。なお、ここでの書籍とは、広義の図書を指すものとし、絵画や、音楽、映画等の作品も含めるものとする。この2つめの書籍を以下「作品」と総称することとする。
【0006】
ガイドブックは、図書館の蔵書検索システムやインターネットでも、都市名や観光地名を検索キーとして候補を探すことが比較的容易にできる。候補の中から、通常の目的では、出版年月の新しい書籍がより注目されることになる。
作品は、著者が判明している場合は、ガイドブック同様探しやすいが、そもそも旅先に関連してゆかりの有名人の名前が旅程に記載されているとは限らず、気が付かない場合も多いため、作品検索は困難であり、通常は必要性すら意識に上がってこない。
【0007】
旅程とは、国内の空港や駅、バスターミナル等から出発して国内の空港や駅、バスターミナル等に帰ってくるまでのスケジュールであって、訪れる観光地や移動方法/時間、食事、宿泊先などが記載されているものであるとする。旅行会社などの募集型企画ツアーなどに参加する場合、出発のおよそ1週間前頃に最終的に提供される。また、個人旅行の場合は、自ら計画した旅の最終スケジュールということになる。
【0008】
一方、旅をより知的なものとする、すなわち、旅先について事前に学んだことを実際に確認することによって発生する感動を大きくし、旅先に関連した知識の記憶定着を図ることでの知的成長を図り、旅先において、その時点で仕事上等で抱えている問題解決に有効なヒントを思いつく頻度を大きくするなど、旅から知的効果を得ようとする場合、旅先にゆかりの書籍を読むということは有用な手段となる。
【0009】
しかしガイドブック的なものは随時インターネット検索可能なものも多く、知りたい情報の観点からはピンポイントとなり(つまり書籍全体を読むという対象ではなく)、あとからいくらでも手軽に確認できるため、記憶して自らの知の成長の証とする意識は薄れがちである。そこで、あとから簡単に確認できるガイドブック的な対象ではなく、時間をかけて味わう「作品」こそ、旅から知的効果を得るために推奨すべきものであるとなる。しかし、既に述べた通り、該当する作者名が明確にならないと効果的な検索は難しい。
【0010】
発明が解決する中心的な課題とは、旅程に書かれている観光地をキーとして、その地ゆかりの有名人とその有名人の関連した作品を選出するシステムの実現である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
観光地と該観光地ゆかりの有名人ならびにその有名人関連作品を関係づけた「観光地_有名人_作品」データベースを持つことを特徴とする、旅程関連書籍検索システムを実現する。
【0012】
ここで、「ゆかりの」とは、
・その有名人の生誕地である、その生家が残っていることもある
・子供時代を過ごした地である
・学んだ学校のある地である
・作品制作活動に励んだ地である(有名人によっては複数の地がある)
・その名を関した博物館や美術館、記念館がある
・その有名人の作品が中心の1つである博物館や美術館、記念館がある
・晩年などを過ごした地である
・作品の舞台となったところである
などの、連関性を指す。
【0013】
このゆかりの有名人(特に著作家)および該有名人の関連した味わうべき代表作品(特に観光地の歴史や文化が色濃く出ているもの)について、図書館司書や読書家、その他信頼のできる登録者へのアンケートで推薦を依頼する。アンケートはWEB上で行い(図2)、自動集計され、「観光地_有名人_作品」データベースが自動で構築される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、旅程に沿って、訪問予定地ゆかりの有名人の作品を簡単に検索でき、出発前に読む(味わう)ことで、脳に予備知識やイメージが宿り、旅先での感動をより大きなものとでき、新たな知識を得る点での知的成長にもつなぎ、さらには、仕事や学業で遭遇している課題を解決するヒントにも恵まれやすい状況(外からの情報が内なる脳の情報と反応する契機を多くする状態)を作りやすくなる。
【0015】
また、実際の旅(身の旅)が実施できなくても、読書によって空想や知的空間の旅(心の旅)ができるので、具体的な観光地を意識しながら学ぶという1つの読書法としても、読書推進に寄与できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】発明の全体構成
図2】有名人とその作品情報の収集方法
図3】「観光地_有名人_作品」データベースを使った書籍検索イメージ
図4】WEBアンケート依頼画面イメージ
図5】身の旅(従来の企画ツアー)と心の旅(読書ツアー)の関係
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の全体構成を図1に示した。旅の企画担当者6は、インターネット5に接続した本発明である旅程関連書籍検索システム1にアクセスし、「観光地_有名人_作品」データベース2から、旅の企画として訪れる観光地をキーにして、ゆかりの有名人とその作品を検索する。
「観光地_有名人_作品」データベース(最初は空)は、1作品ごとにレコードが起こされていて、少なくとも、観光地名(都市名、地域名、観光地名など)、有名人名、作品(有名人が関係するまたは表した図書等)という3つのフィールドを持つ(図2)。観光地から有名人、有名人から作品、有名人から観光地、観光地から作品、作品から有名人、作品から観光地検索も可能となる。
【0018】
図3に、実際の検索プロセスを示した。旅程から訪問予定の観光地名をピックアップし(総数N)、観光地名リストKn(1≦n≦N)を作成する。「観光地_有名人_作品」データベースに対し、観光地名を検索キーとしてN回の検索を繰り返す。検索結果は図3では最終的にLに収められる。
【0019】
対応する有名人が存在していない場合はもとより、データ数が不足している場合でも(図3では、有名人数か各作品数がそれぞれ3を下回る状況であれば)、WEBアンケートで、複数人の登録回答者に、有名人とその作品(書誌情報、概要含む)を推薦してもらう。登録回答者とは、データベース構築・利用主体があらかじめ定めた人たちであって、図書館司書、書店員、読書家、その他信頼できる登録者が含まれる。なお、WEBアンケートのシステムについては今日多く利用されており、一般的なものを適用すればよい。
【0020】
これを旅程企画が発生するごとに繰り返していくことで、「観光地_有名人_作品」データベース2が完成してゆく。
【実施例0021】
たとえばイギリスのスコットランドのツアーで、観光地エジンバラゆかりの有名人とその作品を探す場合、まだデータベースに無いまたは量的に不十分であるときは、エジンバラゆかりの有名人とその作品の推薦(有名人数a人以内、各b冊以内の作品の推薦)をWEBアンケートを登録者に依頼する。図4の例では、a=3、b=3でアンケート画面イメーが設計されている。
【0022】
各回答者によって、たとえば、コナンドイルの「シャーロックホームズの事件簿」「失われた世界」、J.K.ローリングの「ハリーポッターと賢者の石」、スティーブンソン「ジキル博士とハイド氏」「宝島」のように、3人の作家と各著作品が選出される。この際、具体的にどの書籍が該当しているのかを明らかにするために、出版社、出版年、増刷回数などの書誌情報と、400文字程度の概要を添えてもらうものとする。また、この書籍が、全国の図書館で借りれるかどうか、国立国会図書館の検索システムを使って確認してもらう。また、書籍は、できるだけ観光地を文化的・歴史的に背景にしているものを優先的に取り上げてもらうものとする。
【0023】
以降は、「観光地_有名人_作品」データベース2を、たとえば観光地名の検索キー「エジンバラ」で検索すると、コナンドイル、J.K.ローリング、スティーブンソン、など登録された有名人とその各作品が検索される。
【0024】
この「観光地_有名人_作品」データベース2があれば、旅程の企画担当者は、旅程とともに、旅程に登場する観光地ゆかりの有名人の関係する書籍リストを、旅の参加者(個人旅行の場合は自分自身)に提供することができる。その際、候補の数が多い場合は、旅程の全体で10冊などの選出制限方針をたてて、候補を選択する。
【0025】
企画を繰り返せば繰り返すほど、このデータベースは豊かになってゆく。
【0026】
本発明では、WEBアンケートを利用しての複数の専門家による推薦システムによって、最終的に旅人に事前教示する作品をデータベースに登録するが、その理由は偏りを回避し、作品の妥当性を確保するためである。旅程等企画者(個人旅行の場合は本人)が推薦対象として判断する際には、最終的にはその内容が少なくとも不適切ではないことは確認しなければならない。増刷が繰り返されていてロングランである、世界各国の翻訳されている広がりを持つ、等のフィルターを掛けるなど、読者に貴重な心の旅(読書)の時間にしてもらうために欠かせない点である。
また、アンケートによる推薦方式とすることで、同じ有名人や作品が複数の人によって推薦される可能性がある。この重複が多い作品は推薦順位の上位に置くようにしてもよい。
なお、事前登録された複数の専門家は、その数によっては、あるいは得意な領域(たとえば日本人作家が得意とか、アフリカの作家が得意とか)によって、観光地ごとに、所定数に制限されてアンケートを行うようにしてもよい。
【0027】
世界/日本の作家と作品事典などのレファレンスブックと呼ばれるものからの自動抽出、インターネット上の検索を工夫して候補を抽出等の方法も考えられるが、旅行者に提供するための内容の適切性を確保する目的から、最初からその目的を示して収集した情報を活用するというアンケート方式を採用する。
【0028】
ツアー参加者には、最終旅程の提供より前に、WEB上等でこの事前学習用の推薦読書情報が提示される。読書期間を十分とるためである。利用者は、最寄りの図書館などで書籍を借り出して読む(音楽の場合は聴く)。出発前のこの読書期間こそ心の旅である。図書館が遠いまたは近隣図書館に蔵書が無く取り寄せに時間がかかるなどの事情がある人などには、希望に応じて、旅行の企画主体者または販売者が、有料で書籍等を購入して送付するサービスを行う場合があってもよい。なお、出発前に読書時間が確保できなかった場合は、ツアーからの帰宅後に振り返りの一環で読む場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
(0015)で既に記述したが、発明の意義の理解を得やすいように、旅行会社などによる従来の企画ツアーに参加して、直接身体を移動させる旅を、改めて「身の旅」と呼ぶことにする。ここでは、通常の個人旅も含むこととする。身の旅とは、通常の「リアルな旅」に相当する。代理によるオンラインまたはオンデマンドの仮想旅行についても、それが本番(準備段階ではない)という理解で、自身の身体移動は無いものの、身の旅として位置づけるものとする。
【0030】
これに対して、旅の準備段階での読書期間を、改めて「心の旅」期間と呼ぶことにする。心の旅とは、読書によって、心が空想し、過去の知見を学ぶことのできる旅のことである。感染症の蔓延や政情など社会情勢によっては、外出や旅行の自粛が呼びかけられたり、また特に海外については、出入国が厳しく制限されたりすることもある。このような時には、いくら旅行会社がよい企画を提案しても、利用がかなわないことも多くなる。
【0031】
身の旅を前提に、その前段階として心の旅がある、というのが基本構図ではあるが、心の旅は、独立させて考えることもできる。また、将来の「身の旅」候補を、先に「心の旅」企画として提供することも可能になるので、「身の旅」と「心の旅」の連携をとってより知的な旅を実現することも可能となる。
【0032】
旅行会社のみならず、図書館でテーマ展示を行う際の支援手段となる。たとえば、「イギリス スコットランドを旅しよう!」企画展示として、実際のコーナーに関連する書籍を配置する、というようなことである。このコーナーは、実際のものを実写または仮想的に作成したものを使って、インターネット上に展示することも可能であるので、旅行会社と図書館が協調して価値を作る対象ともなる。
【0033】
なお、この心の旅期間に、心の旅支援サービスとして、読んだ本の読書メモ作成支援サービス、読んだ本を管理するパーソナルライブラリーサービス、同一の心の旅の参加者で同一の本を読んだ人を対象にした相互コミュニケーション機会設定サービスなどを提供することで、心の旅をより深く刻んで知的成長を促す価値を生むことも設計しやすくなる。
【符号の説明】
【0034】
1 観光地をキーにして有名人と作品を検索・編集するシステム
2 「観光地_有名人_書籍」データベース
21 有名人と作品のリスト(イメージ)
3 観光地ゆかりの有名人と作品についてのWEBアンケートシステム
31 WEBアンケート依頼画面(イメージ)
4 WEBアンケート回答者(複数の専門家)
5 インターネット
6 旅の企画担当者
図1
図2
図3
図4
図5