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  • 特開-無人飛行体及び飛行方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153653
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】無人飛行体及び飛行方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/22 20060101AFI20231011BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20231011BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20231011BHJP
   B64D 9/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B64D1/22
B64C27/08
B64C39/02
B64D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063046
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】長野 龍平
(72)【発明者】
【氏名】武田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】元村 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】山中 孝文
(57)【要約】
【課題】ロープで荷物を接続した状態で安全に離着陸を実行できる無人飛行体及び飛行方法を提供する。
【解決手段】複数の回転翼を備え、荷物2をロープ3によって吊り下げで搬送する無人飛行体1であって、現在位置を検出する座標検出部と、現在高度を検出する高度検出部と、前記座標検出部及び前記高度検出部による検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラと、を備える。無人飛行体1は、離着陸高度Hまで上昇すると共に、設定された離間方向Aに、設定された離隔距離Wだけ移動して上昇する離陸動作を、フライトコントローラの制御によってロープ3がたるんだ状態で実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体であって、
現在位置を検出する座標検出部と、
現在高度を検出する高度検出部と、
前記座標検出部及び前記高度検出部による検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラと、を備え、
前記荷物が接地された状態で維持される離着陸高度まで上昇すると共に、設定された離間方向に、設定された離隔距離だけ移動して上昇する離陸動作を、前記フライトコントローラの制御によって前記ロープがたるんだ状態で実行することを特徴とする無人飛行体。
【請求項2】
複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体であって、
現在位置を検出する座標検出部と、
現在高度を検出する高度検出部と、
前記座標検出部及び前記高度検出部による検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラと、を備え、
前記荷物が接地する離着陸高度まで下降した後、設定された離間方向に、設定された離隔距離だけ移動して着陸する着陸動作を、前記フライトコントローラの制御によって前記ロープがたるんだ状態で実行することを特徴とする無人飛行体。
【請求項3】
前記離着陸高度は、前記ロープのロープ長をL、前記離隔距離をW、水平方向の誤差をE、鉛直方向の誤差をEとそれぞれした場合、{L-(W+E}^(1/2)-Eよりも低い値に設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の無人飛行体。
【請求項4】
複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体の飛行方法であって、
現在位置、現在高度及び飛行方向の検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラの制御によって、前記無人飛行体は、前記荷物が接地された状態で維持される離着陸高度まで上昇すると共に、設定された離間方向に、設定された離隔距離だけ移動して上昇する離陸動作を前記ロープがたるんだ状態で実行することを特徴とする飛行方法。
【請求項5】
複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体の飛行方法であって、
現在位置、現在高度及び飛行方向の検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラの制御によって、前記無人飛行体は、前記荷物が接地する離着陸高度まで下降した後、設定された離間方向に、設定された離隔距離だけ移動して着陸する着陸動作を前記ロープがたるんだ状態で実行することを特徴とする飛行方法。
【請求項6】
複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体の操縦方法であって、
前記ロープのロープ長をL、設定された離隔距離をW、前記無人飛行体による水平方向の検出誤差をE、前記無人飛行体による鉛直方向の検出誤差をEとそれぞれした場合、{L-(W+E}^(1/2)-Eよりも低い値に設定された離着陸高度まで前記無人飛行体を下降させた後、設定された離間方向に前記離隔距離だけ移動させて着陸させる操縦方法。
【請求項7】
複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体の操縦方法であって、
前記ロープのロープ長をL、設定された離隔距離をW、前記無人飛行体による水平方向の検出誤差をE、前記無人飛行体による鉛直方向の検出誤差をEとそれぞれした場合、{L-(W+E}^(1/2)-Eよりも低い値に設定された離着陸高度まで前記無人飛行体を上昇させた後、設定された離間方向に前記離隔距離だけ移動させて上昇させる操縦方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数回転翼を備える無人飛行体及び飛行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の回転翼を備えた無人飛行体は、ドローンやマルチコプターと称され、荷物の運搬等の様々な分野での利用が計画・実践されている。無人飛行体による荷物の搬送として、荷物をロープで吊り下げて運搬する形態が知られている(例えば、特許文献1参照)。この搬送方法は、荷物のサイズが無人飛行体の足(スキッド)の内側に収まらない大きさである場合に特に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-200123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スキッド内に荷物が収まらない場合、ロープを伸ばした状態で荷物とドローンを固定する必要があった。離陸した後、ドローンの位置によってはロープが伸び、ドローンに対し鉛直方向以外の力がかかり、飛行が不安定になるリスクがあった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消し、ロープで荷物を接続した状態で安全に離着陸を実行できる無人飛行体及び飛行方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無人飛行体は、複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体であって、現在位置を検出する座標検出部と、現在高度を検出する高度検出部と、前記座標検出部及び前記高度検出部による検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラと、を備え、前記荷物が接地された状態で維持される離着陸高度まで上昇すると共に、設定された離間方向に、設定された離隔距離だけ移動して上昇する離陸動作を、前記フライトコントローラの制御によって前記ロープがたるんだ状態で実行する。
また、本発明の無人飛行体は、複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体であって、現在位置を検出する座標検出部と、現在高度を検出する高度検出部と、 前記座標検出部及び前記高度検出部による検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラと、を備え、前記荷物が接地する離着陸高度まで下降した後、設定された離間方向に、設定された離隔距離だけ移動して着陸する着陸動作を、前記フライトコントローラの制御によって前記ロープがたるんだ状態で実行する。
さらに、本発明の無人飛行体において、前記離着陸高度は、前記ロープのロープ長をL、前記離隔距離をW、水平方向の誤差をE、鉛直方向の誤差をEとそれぞれした場合、{L-(W+E}^(1/2)-Eよりも低い値に設定される。
また、本発明の飛行方法は、複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体の飛行方法であって、現在位置、現在高度及び飛行方向の検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラの制御によって、前記無人飛行体は、前記荷物が接地された状態で維持される離着陸高度まで上昇すると共に、設定された離間方向に、設定された離隔距離だけ移動して上昇する離陸動作を前記ロープがたるんだ状態で実行する。
また、本発明の飛行方法は、複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体の飛行方法であって、現在位置、現在高度及び飛行方向の検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラの制御によって、前記無人飛行体は、前記荷物が接地する離着陸高度まで下降した後、設定された離間方向に、設定された離隔距離だけ移動して着陸する着陸動作を前記ロープがたるんだ状態で実行する。
また、本発明の操縦方法は、複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体の操縦方法であって、前記ロープのロープ長をL、設定された離隔距離をW、前記無人飛行体による水平方向の検出誤差をE、前記無人飛行体による鉛直方向の検出誤差をEとそれぞれした場合、{L-(W+E}^(1/2)-Eよりも低い値に設定された離着陸高度まで前記無人飛行体を下降させた後、設定された離間方向に前記離隔距離だけ移動させて着陸させる。
また、本発明の操縦方法は、複数の回転翼を備え、荷物をロープによって吊り下げで搬送する無人飛行体の操縦方法であって、前記ロープのロープ長をL、設定された離隔距離をW、前記無人飛行体による水平方向の検出誤差をE、前記無人飛行体による鉛直方向の検出誤差をEとそれぞれした場合、{L-(W+E}^(1/2)-Eよりも低い値に設定された離着陸高度まで前記無人飛行体を上昇させた後、設定された離間方向に前記離隔距離だけ移動させて上昇させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、離陸動作時にロープが伸びきり、伸びきったロープから無人飛行体に対して鉛直方向以外の強い力が作用することを防止できるため、ロープで荷物を接続した状態で安全に離陸動作を実行できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る無人飛行体の離着陸動作を説明する説明図である。
図2】本発明に係る無人飛行体の離着陸動作を説明する説明図である。
図3】本発明に係る無人飛行体の離着陸動作を説明する説明図である。
図4】本発明に係る無人飛行体の構成を示すブロック図である。
図5図4に示す操縦端末に設けられた表示部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0010】
本実施形態の無人飛行体1は、図1乃至図3を参照すると、離着陸時に荷物2を吊り下げるロープ3のロープ長Lに基づいて設定された離着陸高度Hで離隔距離Wだけ水平移動を行う。図1乃至図3において、(a)は無人飛行体1の離着陸を側方から見た図であり、(b)は無人飛行体1の離着陸を上空から見た図である。本実施形態は、荷物2を吊り下げる繊維ロープ、ワイヤーロープ、チェーン、テープ等の荷物2と無人飛行体1を繋ぐ役割をもつ物をロープ3と総称する。なお、ロープ3は、弛んだ際にも無人飛行体1の回転翼と接触しないように剛性・密度を選定することが好ましい。
【0011】
(離陸動作)
図1に示すように、着陸している状態の無人飛行体1に対して、荷物2は、設定された離間方向Aに、設定された離隔距離W(m)だけ離れた地面に配置し、ロープ3によって無人飛行体1と荷物2とを接続する。離間方向Aは、無人飛行体1の運営を管理する管理者によって設定される方向であり、図1では無人飛行体1に対して西方向が設定されている。離隔距離Wは、無人飛行体1の運営を管理する管理者によって設定される無人飛行体1と荷物2との間隔であり、予め設定された最低離隔W(m)以上でロープ3のロープ長Lよりも短い値に設定される。
【0012】
次に、無人飛行体1は、離陸指示を受け付けると、図2に示すように、荷物2が接地された状態で維持される離着陸高度Hまで鉛直上方に上昇する。離着陸高度Hは、ロープ3のロープ長Lと、離隔距離Wと、水平方向の誤差E(m)と、鉛直方向の誤差E(m)と基づいて算出される。水平方向の誤差Eは、無人飛行体1による座標の検出誤差や制御誤差である。鉛直方向の誤差Eは、無人飛行体1による高度の検出誤差や制御誤差である。
【0013】
離着陸高度Hは、{L-(W+E}^(1/2)-Eを基準高度Hとして算出し、例えば、予め設定された値を減算したり、予め設定された1未満の係数を乗算したりすることで、基準高度Hよりも低い値に算出される。これにより、無人飛行体1が離着陸高度Hまで上昇しても、ロープ3は、たるんだ状態が維持されることになる。
【0014】
次に、無人飛行体1は、離間方向Aに、離着陸高度Hを維持した状態で離隔距離Wだけ水平移動する。この水平移動でも、ロープ3は、たるんだ状態が維持され、無人飛行体1は、図3に示すように、ロープ3がたるんだ状態で荷物2の鉛直上方に位置することになる。その後、無人飛行体1は、鉛直上方に上昇して、設定された目的地の座標まで飛行する。
【0015】
以上のように、無人飛行体1の離陸時の一連の動作は、ロープ3は、たるんだ状態で行われる。従って、ロープ3で荷物2を接続した状態でも、ロープ3から鉛直方向以外の力が作用することなく、無人飛行体1は、安全に離陸を行うことができる。
【0016】
なお、無人飛行体1は、図1に示す状態から、図2に示す状態を経由することなく、図3に示す状態まで、離着陸高度Hを超えて上昇させることなく、斜めに上昇させても良い。この場合でも、無人飛行体1の離陸時の一連の動作は、ロープ3は、たるんだ状態で行われる。
【0017】
(着陸動作)
目的地の座標まで到着すると、無人飛行体1は、図3に示すように、荷物2が接地する離着陸高度Hまで高度を下げる。離着陸高度Hまで高度を下げることで、ロープ3は、たるんだ状態となる。
【0018】
次に、無人飛行体1は、図2に示すように、離間方向B(本実施形態では、東方向)に、離着陸高度Hを維持した状態で離隔距離Wだけ水平移動する。この水平移動でも、ロープ3は、たるんだ状態が維持される。
【0019】
次に、無人飛行体1は、下降し、図1に示すように、荷物2に対して、離間方向Bに、設定された離隔距離W(m)だけ離れた地面に着陸する。これにより、無人飛行体1は、荷物2から予め設定された最低離隔W(m)以上離れて着陸されることになる。
【0020】
以上のように、無人飛行体1の着陸時の一連の動作は、ロープ3は、たるんだ状態で行われる。従って、ロープ3で荷物2を接続した状態でも、ロープ3から鉛直方向以外の力が作用することなく、無人飛行体1は、安全に着陸を行うことができる。
【0021】
なお、無人飛行体1は、図3に示す状態から、図2に示す状態を経由することなく、図1に示す状態まで、離着陸高度Hを超えて上昇させることなく、斜めに下降させても良い。この場合でも、無人飛行体1の着陸時の一連の動作は、ロープ3は、たるんだ状態で行われる。
【0022】
無人飛行体1は、図4を参照すると、複数のロータユニット4と、送受信部5と、座標検出部6と、高度検出部7と、方位検出部8と、電子スピードコントローラ(以下、ESCと称す)9と、フライトコントローラ(以下、FCと称す)10と、を備える。また、無人飛行体1は、これらの構成に電源を供給する図示しないバッテリを搭載している。
【0023】
ロータユニット4は、モータ41と、ロータ42と、を備える。回転翼であるロータ42は、モータ41の回転軸に取り付けられ、モータ41の回転駆動に伴って回転する。ロータ42の回転によって揚力が発生し、無人飛行体1は、飛行可能となる。
【0024】
送受信部5は、パソコン等の情報処理装置からなる管理端末20から送信される飛行ルート・離着陸時の条件設定等の各種飛行情報や、プロポ等のラジコンの操縦端末30からの各種操縦情報を受信する機能を有している。送受信部5の通信方法は、特に制限はない。
【0025】
座標検出部6は、無人飛行体1の現在位置(緯度・経度)を検出する。高度検出部7は、無人飛行体1の現在高度を検出する。方位検出部8は、無人飛行体1の機体方向を検出する。座標検出部6、高度検出部7、方位検出部8はとしては、GPS信号を使用するGPSセンサ、レーザーあるいはミリ波を使用する距離センサ、気圧センサ、イメージセンサ、方位磁石等の各種センサを単体もしくは組み合わせで用いることができる。
【0026】
ESC9は、の制御によって、モータ41の回転速度(回転数)を制御するコントローラである。
【0027】
FC10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには無人飛行体1の飛行を制御するための制御プログラムが記憶されている。ESC9は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、無人飛行体1の飛行制御を行い、上述の離着陸動作を実行する。
【0028】
FC10は、各種の飛行情報を記憶する飛行情報記憶部11、離着陸高度Hを算出する離着陸高度算出部12として機能する。
【0029】
飛行情報記憶部11は、例えば、電源が切れても情報が保持されるラッシュメモリで構成される。飛行情報記憶部11は、飛行ルートと、離着陸情報と、を含む飛行情報が記憶される。
【0030】
飛行ルートは、出発地及び目的地の座標と、飛行経路及び指定高度と、を含む情報である。飛行ルートは、送受信部5によって管理端末20や操縦端末30から受信されたものが飛行情報記憶部11に記憶される。
【0031】
離着陸情報は、離隔距離Wと、離間方向A、Bと、ロープ3のロープ長Lと、を含む。離隔距離W、離間方向A、B、ロープ3のロープ長Lは、送受信部5によって管理端末20や操縦端末30から受信されたものが飛行情報記憶部11に記憶される。なお、離隔距離Wは、離陸動作と着陸動作とで異なる距離に設定しても良い。また、離陸動作の離間方向A、Bと、着陸動作時の離間方向Bとは、同じ方向に設定しても、異なる方向に設定しても良い。
【0032】
また、離着陸情報は、離着陸高度Hを含む。離着陸高度Hは、離着陸高度算出部12によって算出されたものが飛行情報記憶部11に記憶される。
【0033】
離着陸高度算出部12は、ロープ3のロープ長Lと、離隔距離Wと、水平方向の誤差Eと、鉛直方向の誤差Eと基づいて離着陸高度Hを算出する。水平方向の誤差Eは、座標検出部6における検出誤差及びFC10による水平方向の制御誤差である。鉛直方向の誤差Eは、高度検出部7における検出誤差及びFC10による鉛直方向の制御誤差である。荷物2の大きさや形状によってロープ3の取り付け位置が異なるため、ロープ長Lにも誤差が生じるが、この誤差も水平方向の誤差Eや鉛直方向の誤差Eに含めると良い。
【0034】
離着陸高度算出部12は、{L-(W+E}^(1/2)-Eを基準高度Hとして算出し、基準高度Hから予め設定された値を減算、もしくは予め設定された1未満の係数を乗算することで、を基準高度Hよりも低い値の離着陸高度Hを算出する。
【0035】
離着陸高度算出部12は、管理端末20に設けても良い。この場合、離着陸高度Hは、送受信部5によって管理端末20から受信されたものが飛行情報記憶部11に記憶される。
【0036】
FC10は、飛行情報記憶部11に記憶された各種の飛行情報に基づいて、無人飛行体1の飛行を制御する。これにより、無人飛行体1は、設定された飛行ルートでの飛行や、上述した離着陸動作を自律的に実行することができる。
【0037】
無人飛行体1の飛行動作の一部もしくは全部は、操縦端末30による操縦に切り換えることができる。上述した離着陸動作を操縦端末30による操縦に切り換えた場合、無人飛行体1は、離隔距離W、離間方向A、B及び離着陸高度Hと、離着陸時の実動作情報とを操縦端末30に送信し、操縦端末30による操縦をアシストする。
【0038】
離着陸時の実動作情報は、高度検出部7によって検出された現在高度を含む。また、離着陸時の実動作情報は、現在高度が離着陸高度Hに到達(離陸時は上昇によって、着陸動作時は下降によって)した後に、座標検出部6によって検出された移動距離及び移動方向である。
【0039】
図5は、操縦端末30に設けられた表示部31の一例である。表示部31は、離隔距離W、離間方向A、B及び離着陸高度Hと、離着陸時の実動作情報とを並べて表示するアシスト表示欄を備える。これにより、操縦端末30を操作する操作者は、離隔距離W、離間方向A、B及び離着陸高度Hに基づいて、無人飛行体1を操縦し、離着陸動作を安全に実行することができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態は、複数の回転翼(ロータ42)を備え、荷物2をロープ3によって吊り下げで搬送する無人飛行体1であって、現在位置を検出する座標検出部6と、現在高度を検出する高度検出部7と、座標検出部6及び高度検出部7による検出結果に基づいて飛行動作を制御するフライトコントローラ(FC)10と、を備える。無人飛行体1は、離着陸高度Hまで上昇すると共に、設定された離間方向Aに、設定された離隔距離Wだけ移動して上昇する離陸動作を、FC10の制御によってロープ3がたるんだ状態で実行する。
この構成により、離陸動作時にロープ3から無人飛行体1に対して鉛直方向以外の強い力が作用することを防止できるため、ロープ3で荷物2を接続した状態で安全に離陸動作を実行できる。
【0041】
また、本実施形態において、無人飛行体1は、離着陸高度Hまで下降した後、設定された離間方向Bに、設定された離隔距離Wだけ移動して着陸する着陸動作を、FC10の制御によってロープ3がたるんだ状態で実行する。
この構成により、着陸動作時にロープ3が伸びきり、伸びきったロープ3から無人飛行体1に対して鉛直方向以外の強い力が作用することを防止できるため、ロープ3で荷物2を接続した状態で安全に着陸動作を実行できる。
【0042】
さらに、本実施形態において、離着陸高度Hは、ロープ3のロープ長L、離隔距離W、水平方向の誤差E、鉛直方向の誤差Eを用いて、式{L-(W+E}^(1/2)-Eで算出した基準高度Hよりも低い値に設定される。
この構成により、ロープ3がたるんだ状態で離着陸動作を実行できる。
【0043】
以上、実施形態をもとに本発明を説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0044】
1 無人飛行体
2 荷物
3 ロープ
4 ロータユニット
5 送受信部
6 座標検出部
7 高度検出部
8 方位検出部
9 電子スピードコントローラ(ESC)
10 フライトコントローラ(FC)
11 飛行情報記憶部
12 離着陸高度算出部
20 管理端末
30 操縦端末
31 表示部
41 モータ
42 ロータ
図1
図2
図3
図4
図5