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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153654
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】塗布材収容具
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A45D33/00 615B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063047
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】谷 仁一
(57)【要約】
【課題】美観性を良好にすると共に、嵌合を効率よく行うことができる塗布材収容具を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る塗布材収容具10は、側面において開口とは反対側に突出するフランジ状の壁部14と、壁部14の天面とは反対側の位置に形成された凸部17を有する第1嵌合部15と、壁部14の天面とは反対側の位置であって且つ第1嵌合部15から離隔した位置に形成されており、凸部17が嵌合する凹部18を有する第2嵌合部16とを備える。一の塗布材収容具10の凸部17が他の塗布材収容具10の凹部18に嵌り、一の塗布材収容具10の凹部18に他の塗布材収容具10の凸部17が嵌まることによって、一の塗布材収容具10と他の塗布材収容具10とが互いに連結される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容された塗布材が露出する開口が形成された天面と、前記天面から前記天面とは交差する方向に延在する側面とを有する塗布材収容具であって、
前記側面において前記開口とは反対側に突出するフランジ状の壁部と、
前記壁部の前記天面とは反対側の位置に形成された凸部を有する第1嵌合部と、
前記壁部の前記天面とは反対側の位置であって且つ前記第1嵌合部から離隔した位置に形成されており、前記凸部が嵌合する凹部を有する第2嵌合部と、
を備え、
一の前記塗布材収容具の前記凸部が他の前記塗布材収容具の前記凹部に嵌り、一の前記塗布材収容具の前記凹部に他の前記塗布材収容具の前記凸部が嵌まることによって、一の前記塗布材収容具と他の前記塗布材収容具とが互いに連結される、
塗布材収容具。
【請求項2】
収容された塗布材が露出する開口が形成された天面と、前記天面から前記天面とは交差する方向に延在する側面とを有する塗布材収容具であって、
前記側面に設けられた壁部と、
前記壁部の前記天面とは反対側の位置に形成された凸部を有する第1嵌合部と、
前記壁部の前記天面とは反対側の位置であって且つ前記第1嵌合部から離隔した位置に形成されており、前記凸部が嵌合する凹部を有する第2嵌合部と、
を備え、
一の前記塗布材収容具の前記凸部が他の前記塗布材収容具の前記凹部に嵌り、一の前記塗布材収容具の前記凹部に他の前記塗布材収容具の前記凸部が嵌まった状態において、前記天面側から見たときに、一の前記塗布材収容具の前記凸部の少なくとも一部が他の前記塗布材収容具の前記壁部によって隠され、他の前記塗布材収容具の前記凸部の少なくとも一部が一の前記塗布材収容具の前記壁部によって隠される、
塗布材収容具。
【請求項3】
前記凸部は、前記凹部に入り込むと共に前記側面に対して傾斜している凸部傾斜部を有し、
前記凹部は、前記凸部傾斜部に対向すると共に前記側面に対して傾斜している凹部傾斜部を有する、
請求項1又は2に記載の塗布材収容具。
【請求項4】
前記凸部は、前記開口の外縁が延びる方向である周方向の一方に突出し、
前記凹部は、前記周方向の他方に凹むように形成されている、
請求項1又は2に記載の塗布材収容具。
【請求項5】
前記凸部と前記壁部との間には間隙部が形成されており、
前記壁部は、前記凹部に繋がる段差部を有する、
請求項1又は2に記載の塗布材収容具。
【請求項6】
前記塗布材は、固形状描画材と、前記固形状描画材を保持するホルダとを含んでおり、
前記ホルダは、溝及び軸部のいずれか一方を有し、
前記塗布材収容具は、前記溝及び前記軸部のいずれか他方を有し、
前記ホルダは、前記溝に前記軸部が嵌合した状態で前記塗布材収容具に対して回転可能に支持される、
請求項1又は2に記載の塗布材収容具。
【請求項7】
前記ホルダは、前記ホルダの端部に形成された一対の突部と、一対の前記突部の間に形成された前記溝とを有し、
前記溝は、前記塗布材収容具の前記軸部が入り込む第1溝部と、前記第1溝部から前記端部とは反対側に延在する第2溝部とを有する、
請求項6に記載の塗布材収容具。
【請求項8】
前記ホルダは、前記ホルダを持ち上げるための棒状体が引っ掛けられる穴部を有する、
請求項6に記載の塗布材収容具。
【請求項9】
前記ホルダは、前記ホルダの端部に形成された一対の突部と、一対の突部の間に形成された前記溝とを有する板状を呈し、
前記ホルダは、前記溝の隣接位置に形成された肉薄部を有する、
請求項6に記載の塗布材収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗布材を収容する塗布材収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布材を収容する塗布材収容具としては従来から種々のものが知られている。実公平2-43289号公報には、塗布材を収容するコンパクトケースが記載されている。コンパクトケースは、化粧料が収容された金皿枠が入り込む凹状の金皿枠収容部を有するケース本体を備える。金皿枠収容部の側壁には、金皿枠を係止するための複数の金皿枠係止部が形成されている。
【0003】
金皿枠係止部は、金皿枠収容部の側壁から突出する平面視半円状の係止突起、及び係止突起から離隔した位置に形成されており金皿枠収容部の側壁において平面視半円状に窪む係止溝とから構成されている。複数の金皿枠のそれぞれは、金皿枠収容部に係合される金皿枠係合部を有する。金皿枠係合部は、各金皿枠の側面から平面視半円状に突出する係合突起、及び各金皿枠の側面において平面視半円状に窪む係合溝とから構成されている。
【0004】
各金皿枠は、ケース本体の金皿枠収容部に上方から嵌め込まれる。このとき、各金皿枠の係合突起が金皿枠収容部の係止溝に係合し、且つ各金皿枠の係合溝に金皿枠収容部の係止突起が係合する。以上の係合突起、係止溝、係合溝、及び係止突起は、ケース本体に金皿枠が嵌め込まれた状態において露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平2-43289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したコンパクトケースでは、ケース本体に金皿枠が嵌め込まれた状態において係合突起及び係止突起等の突起と、係合溝及び係止溝等の溝が視認される。すなわち、平面視半円状の突起及び溝等の嵌合部が視認されるので、塗布材収容具の美観性の点において改善の余地がある。
【0007】
更に、上記の嵌合部が露出する場合、長期間の使用に伴って突起と溝の間に塗布材が噛み込むことが想定される。突起と溝の間に塗布材が噛み込むと、溝に対する突起の嵌合をスムーズに行えなくなるので、塗布材収容具の嵌合を効率よく行えないという問題が生じうる。
【0008】
本開示は、美観性を良好にすると共に、嵌合を効率よく行うことができる塗布材収容具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本開示の一側面に係る塗布材収容具は、収容された塗布材が露出する開口が形成された天面と、天面から天面とは交差する方向に延在する側面とを有する塗布材収容具である。塗布材収容具は、側面において開口とは反対側に突出するフランジ状の壁部と、壁部の天面とは反対側の位置に形成された凸部を有する第1嵌合部と、壁部の天面とは反対側の位置であって且つ第1嵌合部から離隔した位置に形成されており、凸部が嵌合する凹部を有する第2嵌合部と、を備える。一の塗布材収容具の凸部が他の塗布材収容具の凹部に嵌り、一の塗布材収容具の凹部に他の塗布材収容具の凸部が嵌まることによって、一の塗布材収容具と他の塗布材収容具とが互いに連結される。
【0010】
この一側面に係る塗布材収容具は、側面において塗布材が露出する開口とは反対側に突出するフランジ状の壁部と、壁部における天面とは反対側の位置に形成された凸部を有する第1嵌合部と、壁部における天面とは反対側の位置に形成された凹部を有する第2嵌合部とを備える。一の塗布材収容具の第1嵌合部の凸部は他の塗布材収容具の第2嵌合部の凹部に嵌合し、一の塗布材収容具の第2嵌合部の凹部には他の塗布材収容具の第1嵌合部の凸部が嵌合する。更に、一の塗布材収容具の凸部が他の塗布材収容具の凹部に嵌り、一の塗布材収容具の凹部に他の塗布材収容具の凸部が嵌まることによって、一の塗布材収容具と他の塗布材収容具とが互いに連結される。従って、一の塗布材収容具の凹部及び凸部のそれぞれに他の塗布材収容具の凸部及び凹部のそれぞれが嵌合した状態において天面側に位置する一対のフランジ状の壁部の少なくとも一部が互いに接触又は近接するので、各塗布材収容具の凹部及び凸部を天面側から視認しづらくすることができる。すなわち、凹部及び凸部の少なくとも一部がフランジ状の壁部によって隠された状態とすることができる。よって、天面側から見た場合における塗布材収容具の美観性を良好にできる。更に、凹部及び凸部の少なくとも一部がフランジ状の壁部によって隠されるので、凹部及び凸部に塗布材が噛み込むことを抑制できる。従って、長期的に塗布材収容具を使用した場合であっても、塗布材の噛み込みを抑制できるので、塗布材収容具における嵌合を効率よく行うことができる。
【0011】
[2]本開示の別の側面に係る塗布材収容具は、収容された塗布材が露出する開口が形成された天面と、天面から天面とは交差する方向に延在する側面とを有する塗布材収容具である。塗布材収容具は、側面に設けられた壁部と、壁部の天面とは反対側の位置に形成された凸部を有する第1嵌合部と、壁部の天面とは反対側の位置であって且つ第1嵌合部から離隔した位置に形成されており、凸部が嵌合する凹部を有する第2嵌合部と、を備える。一の塗布材収容具の凸部が他の塗布材収容具の凹部に嵌り、一の塗布材収容具の凹部に他の塗布材収容具の凸部が嵌まった状態において、天面側から見たときに、一の塗布材収容具の凸部の少なくとも一部が他の塗布材収容具の壁部によって隠され、他の塗布材収容具の凸部の少なくとも一部が一の塗布材収容具の壁部によって隠される。
【0012】
この別の側面に係る塗布材収容具は、側面に設けられた壁部と、壁部の天面とは反対側に形成された凸部を有する第1嵌合部と、壁部の天面とは反対側に形成された凹部を有する第2嵌合部とを備える。一の塗布材収容具の凸部が他の塗布材収容具の凹部に嵌り、一の塗布材収容具の凹部に他の塗布材収容具の凸部が嵌まった状態において、一の塗布材収容部の凸部の少なくとも一部、及び他の塗布材収容具の凸部の少なくとも一部が天面側から隠されている。従って、前述した一側面に係る塗布材収容具と同様、各塗布材収容具の凹部及び凸部を天面側から視認しづらくすることができ、凹部及び凸部の少なくとも一部が壁部によって隠された状態とできるので、美観性を良好にできる。更に、凹部及び凸部の少なくとも一部が壁部で隠されることにより凹部及び凸部に塗布材が噛み込むことを抑制できるので、長期的に塗布材収容具を使用した場合であっても塗布材収容具における嵌合を効率よく行うことができる。
【0013】
[3]上記[1]又は[2]に記載の塗布材収容具において、凸部は、凹部に入り込むと共に側面に対して傾斜している凸部傾斜部を有してもよく、凹部は、凸部傾斜部に対向すると共に側面に対して傾斜している凹部傾斜部を有してもよい。この場合、側面に対して傾斜する方向から凹部傾斜部に凸部傾斜部を挿入できるので、凹部に対する凸部の嵌合をよりスムーズに行うことができる。
【0014】
[4]上記[1]~[3]のいずれかに記載の塗布材収容具において、凸部は、開口の外縁が延びる方向である周方向の一方に突出してもよく、凹部は、周方向の他方に凹むように形成されていてもよい。この場合、当該周方向に沿って凹部に凸部を嵌合でき、側面方向、すなわち天面に平行な方向に塗布材収容具を移動させて凹部に凸部を嵌合できるので、塗布材収容具における嵌合を更に容易に行うことができる。
【0015】
[5]上記[1]~[4]のいずれかに記載の塗布材収容具において、凸部と壁部との間には間隙部が形成されていてもよく、壁部は、凹部に繋がる段差部を有してもよい。この場合、一の塗布材収容具の間隙部に他の塗布材収容具の段差部を進入させて凹部に対する凸部の嵌合を行える。従って、一の塗布材収容具に対する他の塗布材収容具の嵌合により位置決めをすることができる。
【0016】
[6]上記[1]~[5]のいずれかに記載の塗布材収容具において、塗布材は、固形状描画材と、固形状描画材を保持するホルダとを含んでもよい。ホルダは、溝及び軸部のいずれか一方を有してもよい。塗布材収容具は、溝及び軸部のいずれか他方を有してもよい。ホルダは、溝に軸部が嵌合した状態で塗布材収容具に対して回転可能に支持されてもよい。この場合、ホルダ及び塗布材収容具のいずれか一方に設けられた溝に他方に設けられた軸部が嵌合することにより、塗布材収容具に対してホルダを回転可能に支持できる。このとき、塗布材収容具に対して塗布材のホルダが回転可能とされているので、この回転によって塗布材収容具からのホルダの取り外しを容易に行うことができる。
【0017】
[7]上記[6]に記載の塗布材収容具において、ホルダは、ホルダの端部に形成された一対の突部と、一対の突部の間に形成された溝とを有してもよい。溝は、塗布材収容具の軸部が入り込む第1溝部と、第1溝部から端部とは反対側に延在する第2溝部とを有してもよい。この場合、第1溝部から端部の反対側に延びる第2溝部が形成されていることにより、一対の突部の軸部を挟むときの弾性力を適度にすることができる。従って、溝が間に形成された一対の突部の弾性力を適度にすることが可能となるので、塗布材収容具に対するホルダの装着を容易に行うことができる。
【0018】
[8]上記[6]又は[7]に記載の塗布材収容具において、ホルダは、ホルダを持ち上げるための棒状体が引っ掛けられる穴部を有してもよい。この場合、指等の棒状体を穴部に引っ掛けてホルダを持ち上げることができるので、塗布材収容具からのホルダの取り外しを一層容易に行うことができる。
【0019】
[9]上記[6]~[8]のいずれかに記載の塗布材収容具において、ホルダは、ホルダの端部に形成された一対の突部と、一対の突部の間に形成された溝とを有する板状を呈してもよい。ホルダは、溝の隣接位置に形成された肉薄部を有してもよい。この場合、溝の隣接位置に板状のホルダの肉薄部が形成されるので、溝に嵌まり込んだ軸部の回転抵抗を適度にすることができる。従って、塗布材収容具に対するホルダの回転操作を一層スムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、美観性を良好にすると共に、塗布材収容具における嵌合を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る塗布材収容具が収容される収容ケースの例を示す斜視図である。
図2図1の収容ケース、複数の塗布材収容具及び枠体を示す斜視図である。
図3】複数の塗布材収容具を示す斜視図である。
図4】塗布材収容具の第1嵌合部、第2嵌合部及び壁部を示す斜視図である。
図5図4とは異なる方向から見た第1嵌合部、第2嵌合部及び壁部を示す斜視図である。
図6】第1嵌合部、第2嵌合部及び壁部を開口とは反対側から見た底面図である。
図7】複数の塗布材収容具を嵌合している状態を示す底面図である。
図8】複数の塗布材収容具が嵌合された状態を示す底面図である。
図9】第2実施形態に係る塗布材収容具、ホルダ及び固形状描画材を示す斜視図である。
図10図9の塗布材収容具を示す斜視図である。
図11図9のホルダを示す斜視図である。
図12図9のホルダを示す側面図、及び塗布材収容具を示す縦断面図である。
図13図9のホルダを示す正面図である。
図14図9のホルダの一対の突部及び溝を拡大した側面図である。
図15】変形例に係る複数の塗布材収容具、枠体及び収容ケースを示す斜視図である。
図16】(a)及び(b)は、図15の塗布材保持具の第1嵌合部、第2嵌合部及び壁部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本開示に係る塗布材収容具の実施形態について図面を参照しながら説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る塗布材収容具10を収容する収容ケース100を示す斜視図である。塗布材収容具10は、塗布材Mを収容する。塗布材収容具10は中皿とも称される。本開示において、「塗布材」とは、塗布対象である被塗布部に塗布されるものを示している。「塗布材」は、例えば、化粧料、又は描画材であってもよい。「被塗布部」とは、塗布材によって塗布される対象のものを示しており、例えば、塗布材収容具10の使用者の肌、眉、眉毛、髪、又は紙等が挙げられる。また、本実施形態において、「塗布具」は、例えば、パフ、スポンジ、チップ、含浸体若しくはブラシ等の化粧料塗布具、又は、筆若しくは文房具等であってもよい。
【0024】
本実施形態において、塗布材Mは、固形状、半固形状、軟固形状、又はムース状を呈する。例えば、塗布材Mは、アイカラー、リップ、アイブロウ、パウダーファンデーション、化粧直しパウダー、コンシーラー、チーク、又はベースメイク等であってもよい。収容ケース100は、一例として、パレット化粧品である。この場合、収容ケース100はメイクパレットとも称される。
【0025】
図1に示されるように、収容ケース100は、矩形板状を呈する。収容ケース100は、例えば、ケース本体1を有する。ケース本体1の内部には、例えば、複数の塗布材収容具10が収容される。ケース本体1は、収容ケース100の長手方向である第1方向D1、収容ケース100の短手方向である第2方向D2、及び収容ケース100の厚さ方向である第3方向D3に延在している。第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は、互いに交差(一例として直交)している。
【0026】
ケース本体1は、複数の塗布材収容具10が配置される本体部2と、本体部2を開放又は閉止する蓋部3とを備える。本体部2は、例えば、矩形状を呈する。本体部2は、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3に延在する板状を呈する。ケース本体1は、本体部2の第2方向D2の一方側にヒンジ4を有する。
【0027】
蓋部3は、ヒンジ4を介して本体部2に対して揺動自在とされている。これにより、本体部2の開放及び閉止が可能となる。本体部2は、第2方向D2におけるヒンジ4とは反対側の箇所に蓋部3を止める止め部2bを有する。例えば、本体部2において止め部2bは、第1方向D1に沿って延びる凸状とされている。
【0028】
以下では、本体部2に対して蓋部3が設けられる方向(第3方向D3の一方側)を上、上側又は上方、蓋部3に対して本体部2が設けられる方向(第3方向D3の他方側)を下、下側又は下方、として説明する。しかしながら、これらの方向は、説明の便宜上のものであり、部品の配置位置等を限定するものではない。
【0029】
蓋部3は、例えば、矩形板状を呈する。蓋部3は、本体部2の上側に設けられる。蓋部3は、蓋部3の短手方向の一方側に本体部2に止められる凸部3bを有する。例えば、凸部3bは、止め部2bの上面に形成された穴部2f(図2参照)に入り込む。穴部2fに凸部3bが入り込むことにより、蓋部3は、本体部2を封止した状態で本体部2に止められる。例えば、蓋部3は、本体部2に対向する内面3cを有する。一例として、内面3cは鏡面である。この場合、蓋部3には鏡3dが取り付けられており、蓋部3に取り付けられた鏡3dが蓋部3の内面3cを構成している。
【0030】
例えば、収容ケース100は、塗布材収容具10をケース本体1に固定する枠体5を有する。図2は、ケース本体1、塗布材収容具10及び枠体5を示す分解斜視図である。図1及び図2に示されるように、枠体5は、塗布材収容具10を露出する開口5bが形成された枠状を呈する。
【0031】
収容ケース100において、例えば、枠体5の開口5bの内側に複数の塗布材収容具10が固定される。枠体5の開口5bの内側において、例えば、複数の塗布材収容具10が第1方向D1に沿って並べられると共に第2方向D2に沿って並べられる。第1方向D1に沿って並ぶ塗布材収容具10の数、及び第2方向D2に沿って並ぶ塗布材収容具10の数は変更可能である。
【0032】
本体部2は、第2方向D2におけるヒンジ4とは反対側の部分に第2方向D2に窪む凹部2cを有する。例えば、本体部2では凹部2cの外面に止め部2bが形成されている。止め部2bの上面には上方に開口する穴部2fが形成されており、穴部2fには前述した蓋部3の凸部3bが入り込む。穴部2fに凸部3bが入り込むと、穴部2fの内部で凸部3bが係合することにより、蓋部3が本体部2を閉塞した状態で本体部2に係合する。蓋部3が本体部2に係合している状態において、止め部2bが第2方向D2の内側に押されると、穴部2fの内部における凸部3bの係合が解除されることにより、本体部2から蓋部3を開けて塗布材収容具10を開放することが可能となる。枠体5は、下方に突出する突部5cを有する。突部5cは、本体部2における穴部2fよりも第2方向D2の内側の空間に入り込む。塗布材収容具10を保持する枠体5の突部5cが当該空間に入り込むことにより、本体部2に塗布材収容具10が収容される。
【0033】
枠体5は、例えば、上面5dと、下面5fと、開口5bを画成する内側面5gと、内側面5gとは反対側を向く外側面5hとを有する。一例として、上面5d及び下面5fのそれぞれは平坦状とされている。枠体5は、ケース本体1に載せられる爪部5jを上面5dに有する。
【0034】
例えば、枠体5は、第1方向D1に沿って並ぶ一対の爪部5jを有し、各爪部5jがヒンジ4に隣接する本体部2の縁部2gに載せられる。例えば、爪部5jは第3方向D3に弾性変形可能とされており、爪部5jに指等を引っ掛けることによってケース本体1(本体部2)から枠体5を外すことができる。
【0035】
枠体5は、内側面5gにおいて下方に突出する突部5kと、上方から枠体5を見たときに内側面5gから枠体5の内側に突出する突出部5mとを有する。例えば、枠体5は、複数の突部5k、及び複数の突出部5mを有する。突出部5mは、複数の突部5kの少なくともいずれかに形成されている。突出部5mは、塗布材収容具10に嵌合する部位である。
【0036】
本開示において「嵌合」とは、複数のものが互いに嵌り合うことを示している。「嵌合」は、複数のものが完全に嵌り合うことに限られず、複数のものの間に隙間が形成された状態で嵌り合うこと、すなわち、間にクリアランスが形成された状態で複数のものが嵌り合うこと(すきまばめ、しまりばめ、又は中間ばめとも称される)を含んでいる。例えば、突出部5mが塗布材収容具10に嵌合することによって枠体5に塗布材収容具10が保持される。
【0037】
次に、塗布材収容具10について詳細に説明する。図3は、塗布材収容具10を示す斜視図である。図2及び図3に示されるように、例えば、複数の塗布材収容具10は、互いに大きさが異なる第1塗布材収容具10Aと第2塗布材収容具10Bとを含んでいる。例えば、第1塗布材収容具10Aの第1方向D1への長さは、第2塗布材収容具10Bの第1方向D1への長さよりも長い。なお、塗布材収容具10の種類としては、上記第1塗布材収容具10A及び第2塗布材収容具10Bに限られず、例えば、第1塗布材収容具10Aの第1方向D1への長さよりも更に長い塗布材収容具10が設けられていてもよく、特に限定されない。本実施形態では、互いに異なる大きさ、又は互いに異なる形状を有する複数種類の塗布材収容具10を自在に嵌合及び連結させることが可能である。
【0038】
第1塗布材収容具10Aの一部の構成は、第2塗布材収容具10Bの一部の構成と同一である。従って、以下では、第1塗布材収容具10A及び第2塗布材収容具10Bを識別する必要がない場合には、第1塗布材収容具10A及び第2塗布材収容具10Bを塗布材収容具10として説明する。
【0039】
塗布材収容具10は、収容された塗布材Mが露出する開口10bを有し、開口10bは上方に向けられる。開口10bの外縁は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に延びている。本実施形態では、開口10bの外縁が延びる方向を周方向と称する。塗布材収容具10は、上方に向けられる天面11と、第1方向D1又は第2方向D2に向けられる側面12と、天面11とは反対側を向く底面13とを有する。天面11には、収容された塗布材Mが露出する開口10bが形成されている。上方から見た場合において、天面11は、角部が丸められた矩形枠状を呈する。上方から見た場合における天面11の内側に塗布材Mが収容されている。
【0040】
側面12は、天面11から天面11とは交差する方向に延在している。側面12には、壁部14と、壁部14の下部に位置する第1嵌合部15と、壁部14の下部における第1嵌合部15とは異なる位置に設けられた第2嵌合部16とを備える。例えば、側面12は、第1方向D1に向けられる第1側面12bと、第2方向D2に向けられる第2側面12cとを含んでいる。
【0041】
第1側面12b及び第2側面12cのそれぞれには、少なくとも1つの第1嵌合部15及び少なくとも1つの第2嵌合部16が形成されている。第1側面12bにおいて第1嵌合部15及び第2嵌合部16は第2方向D2に沿って並んでおり、第2側面12cにおいて第1嵌合部15及び第2嵌合部16は第1方向D1に沿って並んでいる。
【0042】
例えば、第2塗布材収容具10Bの第1側面12b及び第2側面12cのそれぞれには1つの第1嵌合部15、及び1つの第2嵌合部16が形成されている。例えば、第1塗布材収容具10Aの第1側面12bには1つの第1嵌合部15、及び1つの第2嵌合部16が形成されている。これに対し、第1塗布材収容具10Aの第2側面12cには2つの第1嵌合部15、及び2つの第2嵌合部16が形成されている。
【0043】
壁部14は、側面12において突出している。すなわち、壁部14は、上方から見た場合(平面視)における塗布材収容具10の外側(開口10bとは反対側)に突出するフランジ状を呈する。平面視において、壁部14は、第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに延在する。
【0044】
例えば、壁部14は、上方から見た場合における塗布材収容具10の全周に設けられている。一例として、壁部14は、下方に向けられる下面14bと、平面視における塗布材収容具10の外側に向けられる外面14cと、外面14c及び天面11の間に位置する湾曲面14dとを有する。
【0045】
第1嵌合部15は他の塗布材収容具10の第2嵌合部16に嵌合する部位であり、第2嵌合部16は他の塗布材収容具10の第1嵌合部15に嵌合する部位である。第1嵌合部15及び第2嵌合部16は、側面12から突出している。例えば、側面12に対する第1嵌合部15の最大突出量、及び側面12に対する第2嵌合部16の最大突出量は、側面12に対する壁部14の最大突出量よりも大きい。例えば、側面視(第3方向D3に交差する方向から見た場合、又は第1方向D1及び第2方向D2のいずれかから見た場合)において、第1嵌合部15はL字状を呈し、第2嵌合部16は矩形状を呈する。以下では、第1嵌合部15及び第2嵌合部16の詳細について説明する。
【0046】
図4は、第1嵌合部15及び第2嵌合部16を拡大した斜視図である。図5は、第1嵌合部15及び第2嵌合部16を下方から見た斜視図である。図6は、第1嵌合部15及び第2嵌合部16を下方から見た底面図である。図4図6に示されるように、第1嵌合部15は、側面12から突出する第1突出部15bと、第1突出部15bから上方に突出する第2突出部15cと、第1突出部15bから周方向に突出する凸部17とを有する。
【0047】
第1突出部15bは、例えば、側面12から矩形状に突出する。一例として、第1突出部15bは、下方に向けられる下面15b1と、周方向及び第3方向D3に延在する外面15b2と、第2嵌合部16とは反対側を向く側面15b3とを有する。下面15b1、外面15b2及び側面15b3は、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。
【0048】
一例として、第2突出部15cは、上方に向けられる上面15c1と、周方向及び第3方向D3に延在する外面15c2と、第2嵌合部16側を向く第1側面15c3と、第2嵌合部16とは反対側を向く第2側面15c4とを有する。例えば、外面15c2は第1突出部15bの外面15b2と面一であり、第2側面15c4は第1突出部15bの側面15b3と面一である。上面15c1、外面15c2、第1側面15c3及び第2側面15c4は、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。
【0049】
第2嵌合部16は、第1嵌合部15から離隔するにつれて側面12からの突出量が大きくなるように傾斜する傾斜突出部16bと、傾斜突出部16bの第1嵌合部15とは反対側から周方向に延びる天面部16cと、天面部16cから第1嵌合部15とは反対側且つ側面12から離隔するように突出する突起部16dと、突起部16d及び側面12の間に形成された凹部18とを有する。
【0050】
一例として、傾斜突出部16bは、下面16b1と、第1嵌合部15から離隔するに従って側面12からの突出量が大きくなるように側面12に対して傾斜する傾斜面16b2とを有する。傾斜面16b2の上端は壁部14の下面14bに接続されている。下面16b1及び傾斜面16b2は、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。
【0051】
天面部16cは、下面16c1と、周方向及び第3方向D3に延在する外面16c2とを有する。例えば、外面16c2は壁部14の外面14cと面一であってもよいし、外面16c2と壁部14の外面14cとの間に微小な段差が形成されていてもよい。例えば、側面12に対する外面16c2の高さは、側面12に対する壁部14の外面14cの高さと同一であってもよいし、側面12に対する壁部14の外面14cの高さより僅かに低くてもよい。下面16c1及び外面16c2は、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。
【0052】
例えば、第2嵌合部16は、突起部16dの根元部分において第2嵌合部16が肉薄となるように湾曲する湾曲部16fを有する。湾曲部16fは、天面部16cと突起部16dとの間に形成されている。湾曲部16fは、天面部16cと突起部16dとの間で窪むように湾曲している。その結果、湾曲部16fを起点とした突起部16dの可撓性(側面12に接近、及び側面12から離隔する方向への可撓性)を高めることができる。
【0053】
例えば、第2嵌合部16は、突起部16dの根元部分において第1嵌合部15とは反対側を向く面16jを有する。突起部16dは、例えば、傾斜部16gと、傾斜部16gから第1嵌合部15とは反対側に延在する延在部16hとを有する。傾斜部16gは、一例として、下面16g1と、湾曲部16fから側面12に対して離隔する方向に延びる傾斜面16g2と、上面16g3とを有する。
【0054】
下面16g1、傾斜面16g2及び上面16g3は、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。例えば、延在部16hは、下面16h1と、周方向及び第3方向D3に延在する外面16h2と、上面16h3とを有する。下面16h1、外面16h2及び上面16h3は、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。
【0055】
第1嵌合部15の凸部17は、周方向の一方(例えば第2嵌合部16側)に突出している。凸部17は、第2嵌合部16の凹部18に入り込む部位である。凸部17と壁部14との間には間隙部10cが形成されている。凸部17は、例えば、側面12に対向する内面17bと、内面17bとは反対側を向く外面17cと、下面17dと、上面17fとを有する。
【0056】
内面17b、外面17c、下面17d及び上面17fは、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。内面17bは、一例として、周方向及び第3方向D3に延びる延在部17b1と、延在部17b1に対して側面12から離隔するように傾斜する凸部傾斜部17b2とを有する。凸部傾斜部17b2は、側面12に対して傾斜しており、凹部18に入り込む部位である。側面12(凸部17が対向する側面12)に対する凸部傾斜部17b2の傾斜角度は鋭角である(90°より小さい)。
【0057】
第2嵌合部16の凹部18は、周方向の他方(例えば第1嵌合部15側)に凹むように形成されている。凹部18は、例えば、傾斜面16g2とは反対側(側面12側)を向く凹部傾斜部18bを有する。凹部傾斜部18bは、側面12に対して傾斜している。壁部14は、凹部18につながる段差部14fを有する。段差部14fは、側面12から凹部18の内側に盛り上がっている。例えば、凹部18は、凹部傾斜部18b、面16j、側面12、及び段差部14fによって画成されている。側面12(凹部18が対向する側面12)に対する凹部傾斜部18bの傾斜角度は鋭角である(90°より小さい)。従って、凹部18に対する凸部17(凸部傾斜部17b2)の挿入を一層容易に行うことが可能である。
【0058】
次に、第1嵌合部15及び第2嵌合部16を用いた塗布材収容具10の組立方法について図7及び図8を参照しながら説明する。図7及び図8では、複数の塗布材収容具10の底面13を示している。まず、図7に示されるように、複数の塗布材収容具10同士を第3方向D3に交差する方向(例えば第2方向D2)に沿って互いに対向するように配置する。
【0059】
複数の塗布材収容具10の第3方向D3への高さを揃える。このとき、例えば複数の塗布材収容具10の底面13を平坦な載置面の上に置くことによって複数の塗布材収容具10の第3方向D3への高さが揃えられる。そして、図7及び図8に示されるように、一の塗布材収容具10の第1嵌合部15を他の塗布材収容具10の第2嵌合部16に嵌合させると共に、一の塗布材収容具10の第2嵌合部16を他の塗布材収容具10の第1嵌合部15に嵌合させる。
【0060】
このとき、第1嵌合部15の凸部17を第2嵌合部16の凹部18に嵌合させる。例えば、凸部17の凸部傾斜部17b2が凹部18に入り込み、凹部傾斜部18bが凸部傾斜部17b2に対向した状態で凹部18に凸部17が嵌合する。このとき、一の壁部14の少なくとも一部が他の壁部14の少なくとも一部に接触する。以上の手順によって、第1方向D1又は第2方向D2に沿って並ぶ複数の塗布材収容具10を互いに容易に連結させることが可能である。
【0061】
複数の塗布材収容具10を互いに連結した後には、例えば、複数の塗布材収容具10に対して上方から枠体5を嵌めることによって複数の塗布材収容具10が枠体5に固定される。なお、枠体5から複数の塗布材収容具10を外すときには、枠体5から複数の塗布材収容具10を下方に抜くことによって複数の塗布材収容具10が枠体5から外される。また、複数の塗布材収容具10及び枠体5をケース本体1の本体部2に収容した後に、収容ケース100の組み立てが完了する。
【0062】
次に、本実施形態に係る塗布材収容具10から得られる作用効果について説明する。図1図3及び図8に示されるように、塗布材収容具10は、側面12において塗布材Mが露出する開口10bとは反対側に突出するフランジ状の壁部14と、壁部14における開口10bとは反対側の位置に形成された凸部17を有する第1嵌合部15と、壁部14における天面11とは反対側の位置に形成された凹部18を有する第2嵌合部16とを備える。一の塗布材収容具10の第1嵌合部15の凸部17は他の塗布材収容具10の第2嵌合部16の凹部18に嵌合し、一の塗布材収容具10の第2嵌合部16の凹部18には他の塗布材収容具10の第1嵌合部15の凸部17が嵌合する。
【0063】
更に、一の塗布材収容具10の凸部17が他の塗布材収容具10の凹部18に嵌り、一の塗布材収容具10の凹部18に他の塗布材収容具10の凸部17が嵌まることによって、一の塗布材収容具10と他の塗布材収容具10とが互いに連結される。本実施形態では、一の塗布材収容具10の凸部17が他の塗布材収容具10の凹部18に嵌り、一の塗布材収容具10の凹部18に他の塗布材収容具10の凸部17が嵌まった状態において、一の塗布材収容具10のフランジ状の壁部14の少なくとも一部が、他の塗布材収容具10のフランジ状の壁部14の少なくとも一部に接触(又は近接)する。例えば、平面視における塗布材収容具10の隅部以外の部分において一対の壁部14が互いに接触する。
【0064】
従って、一の塗布材収容具10の凹部18及び凸部17のそれぞれに他の塗布材収容具10の凸部17及び凹部18のそれぞれが嵌合した状態において天面11側に位置する一対のフランジ状の壁部14の少なくとも一部が互いに接触又は近接するので、各塗布材収容具10の凹部18及び凸部17を天面11側から視認しづらくすることができる。すなわち、凹部18及び凸部17の少なくとも一部がフランジ状の壁部14によって隠された状態とすることができる。よって、天面11側から見た場合における塗布材収容具10の美観性を良好にできる。
【0065】
更に、凸部17及び凹部18の少なくとも一部がフランジ状の壁部14によって隠されるので、凹部18及び凸部17に塗布材Mが噛み込むことを抑制できる。従って、長期的に塗布材収容具10を使用した場合であっても、塗布材Mの噛み込みを抑制できるので、塗布材収容具10における嵌合を効率よく行うことができる。
【0066】
前述したように、凸部17は、凹部18に入り込むと共に側面12に対して傾斜している凸部傾斜部17b2を有してもよい。凹部18は、凸部傾斜部17b2に対向すると共に側面12に対して傾斜している凹部傾斜部18bを有してもよい。この場合、側面12に対して傾斜する方向から凹部傾斜部18bに凸部傾斜部17b2を挿入できるので、凹部18に対する凸部17の嵌合をよりスムーズに行うことができる。
【0067】
前述したように、凸部17は、開口10bの外縁が延びる方向である周方向の一方に突出してもよく、凹部18は、周方向の他方に凹むように形成されていてもよい。この場合、当該周方向に沿って凹部18に凸部17を嵌合でき、側面方向、すなわち天面11に平行な方向に塗布材収容具10を移動させて凹部18に凸部17を嵌合できるので、塗布材収容具10における嵌合を更に容易に行うことができる。
【0068】
図5に示されるように、凸部17と壁部14との間には間隙部10cが形成されていてもよく、壁部14は、凹部18に繋がる段差部14fを有してもよい。この場合、一の塗布材収容具10の間隙部10cに他の塗布材収容具10の段差部14fを進入させて凹部18に対する凸部17の嵌合を行える。従って、一の塗布材収容具10に対する他の塗布材収容具10の嵌合により位置決めすることができる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る塗布材収容具20について説明する。図9及び図10に示されるように、塗布材収容具20は、塗布材収容具10と同様、枠体5に保持可能とされており、例えば、塗布材収容具10と共にケース本体1に収容される。塗布材収容具20は、塗布材収容具10と同様、天面11、側面12、底面13、壁部14、第1嵌合部15及び第2嵌合部16を備える。塗布材収容具20の一部の構成は、塗布材収容具10の一部の構成と同様である。従って、以下では、塗布材収容具10と重複する部分の説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0070】
例えば、塗布材収容具20は、塗布材Mそのものではなく、描画材Sを保持するホルダ30を収容する。描画材Sは、塗布材であってもよいし、塗布具であってもよい。一例として、描画材Sは塗布材の一種であり、第2実施形態において塗布材は描画材S及び後述するホルダ30を含んでいる。本実施形態では、描画材Sが固形状描画材であるものとして説明する。塗布材収容具20は、天面11を有する箱状を呈する。塗布材収容具20は、ホルダ30を収容する収容空間20bを有する。一例として、平面視における塗布材収容具20の形状は長方形状である。
【0071】
収容空間20bは、例えば、第1方向D1(平面視における塗布材収容具20の短手方向)に沿って互いに対向する一対の第1内側面21と、第2方向D2(平面視における塗布材収容具20の長手方向)に沿って互いに対向する第2内側面22と、ホルダ30が載置される底面23とによって画成されている。例えば、第1内側面21及び第2内側面22は湾曲面を介して互いに接続されており、第2内側面22及び底面23は湾曲面を介して互いに接続されている。例えば、第1内側面21及び底面23は湾曲面を介して互いに接続されている。
【0072】
一例として、塗布材収容具20は、底面23に形成された穴部25を有する。穴部25には、ホルダ30の描画材Sとは反対側の部分が入り込む。例えば、穴部25は、平面視における底面23の片側に形成されており、底面23を貫通している。この穴部25にホルダ30の少なくとも一部が入り込むことにより、塗布材収容具20により確実にホルダ30を収容可能である。更に、塗布材収容具20の厚さ方向A3における厚さを小さくすることが可能となる。
【0073】
塗布材収容具20は、ホルダ30を支持する軸部26を有する。一例として、軸部26は、丸棒状を呈する。例えば、軸部26は、平面視における塗布材収容具20の長手方向の片側において塗布材収容具20の短手方向に沿って延在している。一例として、軸部26は、塗布材収容具20の厚さ方向に沿って穴部25に対向している。この場合、軸部26は穴部25の直上に設けられる。
【0074】
次に、ホルダ30について説明する。図11は、ホルダ30を示す斜視図である。図12は、ホルダ30が挿し込まれる塗布材収容具20の断面図である。図11及び図12に示されるように、例えば、ホルダ30は、端面30bに描画材Sが収容される開口30cを有する板状を呈する。
【0075】
例えば、ホルダ30は、塗布材収容具20の軸部26に連結される連結部31と、ホルダ30の連結部31とは反対側に位置しており開口30cが形成された描画材保持部32と、連結部31及び描画材保持部32の間に位置する中間部33とを有する。例えば、ホルダ30は、長手方向A1、長手方向A1に交差する短手方向A2、並びに、長手方向A1及び短手方向A2の双方に交差する厚さ方向A3に延在している。連結部31、中間部33及び描画材保持部32は、この順で長手方向A1に沿って並んでいる。
【0076】
描画材保持部32は描画材Sを収容する収容空間32bを有し、収容空間32bは開口30cのホルダ30の内側に形成されている。収容空間32bには、描画材Sに食い込む突部32fが設けられている。突部32fは、収容空間32bを画成する描画材保持部32の内面から突出する部位である。例えば、描画材保持部32は複数(一例として6個(3個×2))の突部32fを有し、複数の突部32fは短手方向A2に沿って並んでいる。例えば、2個の突部32fが厚さ方向A3に沿って互いに対向している。
【0077】
一例として、描画材保持部32は、中間部33から端面30bまで延在する側面32cと、短手方向A2を向く端面32dとを有する。側面32cは、端面30bに向かうに従って描画材保持部32が薄くなるように長手方向A1に対して傾斜している。端面32dは、中間部33から端面30bまで延びており、例えば、端面30bを上底とする台形状を呈する。
【0078】
中間部33は、ホルダ30を持ち上げるための棒状体が引っ掛けられる穴部33bを有する。棒状体は、ホルダ30を持ち上げるときに穴部33bに挿入される棒状体である。棒状体が穴部33bに挿入された状態でホルダ30は軸部26を支点として持ち上げられる。一例として、棒状体は指である。この場合、穴部33bの大きさは、人の指が嵌まる程度の大きさとされている。また、中間部33は、長手方向A1及び短手方向A2の双方に延在する側面33cと、長手方向A1及び厚さ方向A3の双方に延在する端面33dとを有する。穴部33bは、側面33cに形成されている。
【0079】
一例として、穴部33bは、ホルダ30(中間部33)を第3方向D3に貫通する貫通孔である。例えば、穴部33bは、短手方向A2に沿って延びる長軸、及び長手方向A1に沿って延びる短軸を有する形状を呈する。一例として、穴部33bは、楕円形状を呈する。しかしながら、穴部33bの形状は、例えば、多角形状であってもよく、特に限定されない。
【0080】
図13は、ホルダ30を示す正面図である。図14は、連結部31を拡大した側面図である。図12図14に示されるように、連結部31は、塗布材収容具20の軸部26が入り込む溝34を有する。ホルダ30は、溝34に軸部26が嵌合した状態で塗布材収容具20に対して回転可能に支持される。
【0081】
ホルダ30、及びホルダ30から突出する描画材Sの長手方向A1への長さは、塗布材収容具20の収容空間20bの第2方向D2への長さよりも短い。ホルダ30の短手方向A2への長さは、収容空間20bの第1方向D1への長さよりも短い。ホルダ30の溝34は、短手方向A2に沿って延在すると共に、長手方向A1の端部30dにおいて開口している。従って、収容空間20bの短手方向に延びる軸部26に短手方向A2に延在する溝34を嵌合させることにより、ホルダ30は塗布材収容具20に対して軸部26を中心として回転可能に支持される。
【0082】
例えば、ホルダ30は、連結部31の長手方向A1の端部30dに形成された一対の突部35を有する。溝34は、一対の突部35の間において長手方向A1に沿って延びている。溝34は、軸部26が入り込む第1溝部36と、第1溝部36から端部30dとは反対側に延在する第2溝部37とを有する。
【0083】
ホルダ30は、溝34の隣接位置に形成された肉薄部38と、肉薄部38においてホルダ30を厚さ方向A3に貫通する穴部39とを有する。例えば、肉薄部38及び穴部39は、穴部33b及び突部35の間に設けられる。第3方向D3から見た場合において、例えば、穴部39は肉薄部38の内側に設けられる。短手方向A2に沿ってホルダ30を見た場合において、肉薄部38は第2溝部37の厚さ方向A3の両側に形成されている。すなわち、第2溝部37及び肉薄部38は厚さ方向A3に沿って並んでいる。
【0084】
一例として、一対の突部35は溝34に対して互いに対称な形状とされている。例えば、突部35は、肉薄部38から長手方向A1に突出する部位である。突部35は、厚さ方向A3の外側(溝34とは反対側)に位置する外面35bと、溝34を画成する内面35cとを有する。外面35b及び内面35cの間にホルダ30の端部30dが形成されている。
【0085】
例えば、外面35bは、肉薄部38から厚さ方向A3の端部側に延びる第1湾曲面35b1と、第1湾曲面35b1の肉薄部38とは反対側の端部から長手方向A1に湾曲する第2湾曲面35b2と、第2湾曲面35b2から長手方向A1に延びる延在面35b3と、延在面35b3から厚さ方向A3の中央側に湾曲する第3湾曲面35b4とを有する。
【0086】
溝34は、第1溝部36から見て第2溝部37とは反対側(端部30d側)に位置する第3溝部40を有してもよい。突部35の内面35cは、端部30dから長手方向A1に延びる第1内面35c1と、第1内面35c1から厚さ方向A3の中央側に斜めに延びる傾斜面35c2と、傾斜面35c2から長手方向A1に延びる第2内面35c3とを有する。
【0087】
例えば、第3溝部40は、厚さ方向A3に沿って並ぶ一対の第1内面35c1、厚さ方向A3に沿って並ぶ一対の傾斜面35c2、及び厚さ方向A3に沿って並ぶ一対の第2内面35c3によって画成される。例えば、軸部26は、一対の第2内面35c3を押し広げると共に一対の第2内面35c3を第1溝部36に向かって乗り越えて第1溝部36に入り込む。
【0088】
突部35の内面35cは、第2内面35c3の端部30dとは反対側の端部からホルダ30の長手方向A1の内側(図14では上側)に延びる湾曲面35c4と、湾曲面35c4の端部30dとは反対側の端部からホルダ30の長手方向A1の内側に延びる延在面35c5とを有する。例えば、湾曲面35c4は円弧状を呈しており、湾曲面35c4の曲率半径は軸部26の半径と同程度である。厚さ方向A3に沿って並ぶ一対の湾曲面35c4によって軸部26が入り込む第1溝部36が画成される。
【0089】
延在面35c5は、長手方向A1に沿って延在している。例えば、延在面35c5の長手方向A1の一端は、肉薄部38の長手方向A1の中央に達している。厚さ方向A3に沿って並ぶ一対の延在面35c5によって第2溝部37が画成される。一対の延在面35c5の湾曲面35c4とは反対側の端部同士は湾曲面35c6を介して互いに接続されている。湾曲面35c6は、ホルダ30の長手方向A1の内側に湾曲している。一例として、短手方向A2に沿ってホルダ30を見た場合において湾曲面35c6は円弧状を呈する。
【0090】
次に、第2実施形態に係る塗布材収容具20及びホルダ30から得られる作用効果について説明する。塗布材Mは、描画材Sと、描画材Sを保持するホルダ30とを含む。ホルダ30は溝34を有し、塗布材収容具20は軸部26を有する。ホルダ30は、溝34に軸部26が嵌合した状態で塗布材収容具20に対して回転可能に支持される。従って、ホルダ30に設けられた溝34に軸部26が嵌合することにより、塗布材収容具20に対してホルダ30を回転可能に支持できる。このとき、塗布材収容具20に対して塗布材のホルダ30が回転可能とされているので、この回転によって塗布材収容具20からのホルダ30の取り外しを容易に行うことができる。
【0091】
ホルダ30は、ホルダ30の端部30dに形成された一対の突部35と、一対の突部35の間に形成された溝34とを有する。溝34は、塗布材収容具20の軸部26が入り込む第1溝部36と、第1溝部36から端部30dとは反対側に延在する第2溝部37とを有する。よって、第1溝部36から端部30dの反対側に延びる第2溝部37が形成されていることにより、一対の突部35の軸部26を挟むときの弾性力を適度にすることができる。従って、溝34が間に形成された一対の突部35の弾性力を適度にすることが可能となるので、塗布材収容具20に対するホルダ30の装着を容易に行うことができる。
【0092】
ホルダ30は、ホルダ30を持ち上げるための棒状体が引っ掛けられる穴部33bを有する。この場合、指等の棒状体を穴部33bに引っ掛けてホルダ30を持ち上げることができるので、塗布材収容具20からのホルダ30の取り外しを一層容易に行うことができる。
【0093】
ホルダ30は、ホルダ30の端部30dに形成された一対の突部35と、一対の突部35の間に形成された溝34とを有する板状を呈し、ホルダ30は、溝34の隣接位置に形成された肉薄部38を有する。よって、溝34の隣接位置に板状のホルダ30の肉薄部38が形成されるので、溝34に嵌まり込んだ軸部26の回転抵抗を適度にすることができる。従って、塗布材収容具20に対するホルダ30の回転操作を一層スムーズに行うことができる。
【0094】
(変形例)
続いて、変形例に係る塗布材収容具60について図15及び図16を参照しながら説明する。変形例に係る塗布材収容具60は、壁部64、第1嵌合部65及び第2嵌合部66の構成が前述した塗布材収容具10(壁部14、第1嵌合部15及び第2嵌合部16)とは異なっている。
【0095】
図15に示されるように、塗布材収容具60は、前述した枠体5とは異なる枠体55に固定される。枠体55の一部の構成は、枠体5の一部の構成と同一である。従って、以下の説明では、枠体55の構成について枠体5と重複する部分の説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0096】
枠体55は、内側面5gにおいて下方に突出する突部55kと、上方から枠体55を見たときに内側面5gから枠体55の内側に突出する突出部55mとを有する。枠体55は、第1方向D1に沿って並ぶ4つの突部55k、及び第1方向D1に沿って並ぶ4つの突出部55mを有する。突出部55mは、各突部55kに形成されている。突出部55mは塗布材収容具60の第2嵌合部66に嵌合する部位である。
【0097】
複数の塗布材収容具60は、互いに大きさが異なる第1塗布材収容具60Aと第2塗布材収容具60Bとを含んでいる。第1塗布材収容具60Aの大きさ、及び第2塗布材収容具60Bの大きさのそれぞれは、例えば、前述した第1塗布材収容具10Aの大きさ、及び第2塗布材収容具10Bの大きさのそれぞれと同様である。第1塗布材収容具60Aの一部の構成は、第2塗布材収容具60Bの一部の構成と同一である。従って、以下では、第1塗布材収容具60A及び第2塗布材収容具60Bを識別する必要がない場合に、第1塗布材収容具60A及び第2塗布材収容具60Bを塗布材収容具60として説明する。
【0098】
塗布材収容具60は、側面12に形成された壁部64と、壁部64の下方に位置する第1嵌合部65と、壁部64の下方における第1嵌合部65とは異なる位置に設けられた第2嵌合部66とを備える。例えば、第2塗布材収容具60Bの第1側面12b及び第2側面12cのそれぞれには1つの第1嵌合部65、及び1つの第2嵌合部66が形成されている。例えば、第1塗布材収容具60Aの第1側面12bには1つの第1嵌合部65、及び1つの第2嵌合部66が形成されている。これに対し、第1塗布材収容具60Aの第2側面12cには2つの第1嵌合部65、及び2つの第2嵌合部66が形成されている。
【0099】
図16(a)は、第1方向D1を向く第1側面12bに形成された壁部64、第1嵌合部65及び第2嵌合部66を示す斜視図である。図16(b)は、第2方向D2を向く第2側面12cに形成された壁部64、第1嵌合部65及び第2嵌合部66を示す斜視図である。壁部64は、例えば、周方向及び第3方向D3に延在する外面64cと、外面64c及び天面11の間に位置する湾曲面64bとを有する。
【0100】
第1嵌合部65は側面12から突出しており、第2嵌合部66は側面12から窪んでいる。例えば、側面12に対する第1嵌合部65の最大突出量は、側面12に対する第2嵌合部66の最大凹み量と同程度である。側面視において、第1嵌合部65及び第2嵌合部66のそれぞれは矩形状を呈する。
【0101】
一の塗布材収容具60の第1嵌合部65は他の塗布材収容具60の第2嵌合部66に嵌合し、一の塗布材収容具60の第2嵌合部66は他の塗布材収容具60の第1嵌合部65に嵌合する。例えば、第1嵌合部65は、側面12に対して湾曲する第1湾曲部65bと、第1湾曲部65bから平面視における塗布材収容具60の外側に突出する凸部67とを有する。
【0102】
例えば、第1湾曲部65bは、側面12から凸部67に向かって湾曲している部分である。第2嵌合部66は、側面12に対して湾曲する第2湾曲部66bと、第2湾曲部66bから平面視における塗布材収容具60の内側に窪む凹部68とを有する。第2湾曲部66bは、側面12から凹部68に向かって湾曲している部分である。
【0103】
凸部67は、第2嵌合部66の凹部68に入り込む部位である。凸部67は、例えば、壁部64の下方において周方向に延在する上面67bと、上面67bの壁部64とは反対側の端部において周方向及び第3方向D3に延在する外面67cと、周方向に向けられる側面67dと、下面67fとを有する。上面67b、外面67c、側面67d及び下面67fは、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。
【0104】
凹部68は、壁部64の下端から平面視における塗布材収容具60の内側に窪む上面68bと、上面68bから下方に延在する内面68cと、内面68cの周方向の端部から側面12に向かって延びる内側面68dとを有する。上面68b、内面68c及び内側面68dは、例えば、湾曲面を介して互いに接続されている。例えば、凹部68の壁部64とは反対側(下側)は開放されている。
【0105】
第1嵌合部65及び第2嵌合部66を用いた塗布材収容具60の組立方法については、まず前述と同様、複数の塗布材収容具60の第3方向D3への高さを揃える。そして、一の塗布材収容具60の第1嵌合部65を他の塗布材収容具60の第2嵌合部66に嵌合させると共に、一の塗布材収容具60の第2嵌合部66を他の塗布材収容具60の第1嵌合部65に嵌合させる。
【0106】
このとき、第1嵌合部65の凸部67を第2嵌合部66の凹部68に嵌合させる。例えば、凹部68に凸部67が嵌合するときに、凹部68に凸部67の略全体が入り込んだ状態となる。その結果、一の塗布材収容具60の凸部67の少なくとも一部が他の塗布材収容具60の壁部64(より具体的には、壁部64における凹部68の上の部分)によって隠され、他の塗布材収容具60の凸部67の少なくとも一部が一の塗布材収容具60の壁部64によって隠される。本変形例では、各凹部68に各凸部67が嵌合したときに、天面11側から、一の塗布材収容具60の凸部67、及び他の塗布材収容具60の凸部67が視認不能とされている。
【0107】
以上、変形例に係る塗布材収容具60は、側面12に設けられた壁部64と、壁部64の天面11とは反対側に形成された凸部67を有する第1嵌合部65と、壁部64の天面11とは反対側に形成された凹部68を有する第2嵌合部66とを備える。一の塗布材収容具60の凸部67が他の塗布材収容具60の凹部68に嵌り、一の塗布材収容具60の凹部68に他の塗布材収容具60の凸部67が嵌まった状態において、一の塗布材収容具60の凸部67の少なくとも一部、及び他の塗布材収容具60の凸部67の少なくとも一部が天面11側から隠されている。
【0108】
従って、塗布材収容具60では、前述した塗布材収容具10と同様、各塗布材収容具60の凹部68及び凸部67を天面11側から視認しづらくすることができ、凹部68及び凸部67の少なくとも一部が壁部64によって隠された状態とできるので、美観性を良好にできる。更に、凹部68及び凸部67の少なくとも一部が壁部64で隠されることにより凹部68及び凸部67に塗布材Mが噛み込むことを抑制できるので、長期的に塗布材収容具60を使用した場合であっても塗布材収容具60における嵌合を効率よく行うことができる。従って、塗布材収容具60からは塗布材収容具10と同様の効果が得られる。
【0109】
以上、本開示に係る塗布材収容具の種々の実施形態及び変形例について説明した。しかしながら、本開示に係る塗布材収容具は、前述の各実施形態又は変形例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において変形し、又は他のものに用いられるものであってもよい。すなわち、塗布材収容具を構成する各部の構成、形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0110】
例えば、前述の実施形態では、塗布材収容具20が軸部26を備え、軸部26が嵌合する溝34をホルダ30が備える例について説明した。しかしながら、塗布材収容具が溝を備え、当該溝に嵌合する軸部をホルダが備えていてもよい。また、前述の実施形態では、肉薄部38においてホルダ30を厚さ方向A3に貫通する穴部39を有するホルダ30について説明した。しかしながら、ホルダの形状、大きさ、材料、数及び配置態様についても適宜変更可能である。例えば、塗布材収容具は、上記の穴部39に代えて、貫通しない穴部を有するホルダを備えてもよい。例えば、前述の実施形態では、肉薄部38が穴部33bと突部35の間に設けられるホルダ30について説明した。しかしながら、ホルダの肉薄部の位置についても上記の位置に限られず適宜変更可能である。
【0111】
例えば、前述の実施形態では、壁部14、第1嵌合部15及び第2嵌合部16を備える塗布材収容具10について説明した。しかしながら、壁部14、第1嵌合部15及び第2嵌合部16の少なくともいずれかを有しない塗布材収容具であってもよい。例えば、本開示に係る塗布材収容具は、前述した第2実施形態のように、
塗布材が、固形状描画材と、固形状描画材を保持するホルダとを含んでおり、
ホルダは、溝及び軸部のいずれか一方を有し、
塗布材収容具は、溝及び軸部のいずれか他方を有し、
ホルダは、溝に軸部が嵌合した状態で塗布材収容具に対して回転可能に支持される、塗布材収容具、
であってもよい。
【0112】
例えば、前述した実施形態では、複数の塗布材収容具10が枠体5に固定され、枠体5がケース本体1に固定される収容ケース100について説明した。しかしながら、収容ケースの構成は適宜変更可能である。例えば、枠体5を有しない収容ケースであってもよく、1又は複数の塗布材収容具が直接収容される収容ケースであってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…ケース本体、2…本体部、2b…止め部、2c…凹部、2f…穴部、2g…縁部、3…蓋部、3b…凸部、3c…内面、3d…鏡、4…ヒンジ、5…枠体、5b…開口、5c…突部、5d…上面、5f…下面、5g…内側面、5h…外側面、5j…爪部、5k…突部、5m…突出部、10…塗布材収容具、10A…第1塗布材収容具、10B…第2塗布材収容具、10b…開口、10c…間隙部、11…天面、12…側面、12b…第1側面、12c…第2側面、13…底面、14…壁部、14b…下面、14c…外面、14d…湾曲面、14f…段差部、15…第1嵌合部、15b…第1突出部、15b1…下面、15b2…外面、15b3…側面、15c…第2突出部、15c1…上面、15c2…外面、15c3…第1側面、15c4…第2側面、16…第2嵌合部、16b…傾斜突出部、16b1…下面、16b2…傾斜面、16c…天面部、16c1…下面、16c2…外面、16d…突起部、16f…湾曲部、16g…傾斜部、16g1…下面、16g2…傾斜面、16g3…上面、16h…延在部、16h1…下面、16h2…外面、16h3…上面、16j…面、17…凸部、17b…内面、17b1…延在部、17b2…凸部傾斜部、17c…外面、17d…下面、17f…上面、18…凹部、18b…凹部傾斜部、20…塗布材収容具、20b…収容空間、21…第1内側面、22…第2内側面、23…底面、25…穴部、26…軸部、30…ホルダ、30b…端面、30c…開口、30d…端部、31…連結部、32…描画材保持部、32b…収容空間、32c…側面、32d…端面、33…中間部、33b…穴部、33c…側面、33d…端面、34…溝、35…突部、35b…外面、35b1…第1湾曲面、35b2…第2湾曲面、35b3…延在面、35b4…第3湾曲面、35c…内面、35c1…第1内面、35c2…傾斜面、35c3…第2内面、35c4…湾曲面、35c5…延在面、35c6…湾曲面、36…第1溝部、37…第2溝部、38…肉薄部、39…穴部、40…第3溝部、55…枠体、55k…突部、55m…突出部、60…塗布材収容具、60A…第1塗布材収容具、60B…第2塗布材収容具、64…壁部、64b…湾曲面、64c…外面、65…第1嵌合部、65b…第1湾曲部、66…第2嵌合部、66b…第2湾曲部、67…凸部、67b…上面、67c…外面、67d…側面、67f…下面、68…凹部、68b…上面、68c…内面、68d…内側面、100…収容ケース、A1…長手方向、A2…短手方向、A3…厚さ方向、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、M…塗布材、S…描画材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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図16