(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153656
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】放射状グラデーション固形化粧料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20231011BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20231011BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20231011BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20231011BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20231011BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231011BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/02
A61Q1/00
A61K8/29
A61K8/19
A61K8/37
A61K8/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063049
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】500470840
【氏名又は名称】アサヌマ コーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】工藤 将史
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC441
4C083AC442
4C083BB11
4C083BB21
4C083CC11
4C083DD04
4C083DD05
4C083DD21
4C083EE06
4C083FF01
4C083FF05
4C083FF06
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、優れた審美性を有する化粧料を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明の色の異なる2種以上の粒子を含む放射状グラデーション固形化粧料であって、前記粒子のそれぞれは0.2mm以上の平均粒子径を有しており、少なくとも1種の粒子が中心点から放射状に濃度勾配のある方向を有する、放射状グラデーション固形化粧料によって解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色の異なる2種以上の粒子を含む放射状グラデーション固形化粧料であって、前記粒子のそれぞれは0.2mm以上の平均粒子径を有しており、少なくとも1種の粒子が中心点から放射状に濃度勾配のある方向を有する、放射状グラデーション固形化粧料。
【請求項2】
放射状グラデーション固形化粧料に含まれるそれぞれの粒子の含有量が、同じ又は異なる請求項1に記載の、放射状グラデーション固形化粧料。
【請求項3】
前記放射状グラデーション固形化粧料の上方からの形状が、円形、楕円形、正方形、長方形、及び三角形からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の放射状グラデーション固形化粧料。
【請求項4】
(1)0.2mm以上の平均粒子径を有する、少なくとも2種の色の異なる粒子を造粒する工程、
(2)2つ以上の区分を有する充填ユニットに粒子を充填する工程であって、1種以上の粒子を充填ユニットの中心点を含む第1区分に、そして1種以上の粒子を充填ユニットの第1区分の外側を取り囲む第2区分に充填する工程、
(3)充填ユニットから、第1区分の粒子及び第2区分の粒子を、第1区分と第2区分との仕切りのない化粧容器に移動させる工程、
(4)化粧容器の粒子に攪拌棒を略垂直に挿入し、中心点を中心に円形に回転させ、第1区分の粒子及び第2区分の粒子の境界をグラデーション状にする工程、
(5)前記グラデーション状の粒子を圧迫成形する工程、
を含む、放射状グラデーション固形化粧料の製造方法。
【請求項5】
(1)0.2mm以上の平均粒子径を有する、少なくとも3種の色の異なる粒子を造粒する工程、
(2)3つ以上の区分を有する充填ユニットに粒子を充填する工程であって、1種以上の粒子を充填ユニットの中心点を含む第1区分に、1種以上の粒子を充填ユニットの第1区分の外側を取り囲む第2区分に、そして1種以上の粒子を充填ユニットの第2区分の外側を取り囲む第3区分に、充填する工程、
(3)充填ユニットから、第1区分の粒子、第2区分の粒子、及び第3区分の粒子を、第1区分、第2区分、及び第3区分のそれぞれの間に仕切りのない化粧容器に移動させる工程、
(4)化粧容器の粒子に攪拌棒を略垂直に挿入し、中心点を中心に円形に回転させ、第1区分の粒子、第2区分、及び第3区分の粒子のそれぞれの境界をグラデーション状にする工程、
(5)前記グラデーション状の粒子を圧迫成形する工程、
を含む、請求項4に記載の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法。
【請求項6】
それぞれの区分に2種以上の色の異なる粒子を含む、請求項4又は5に記載の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法。
【請求項7】
前記粒子が油分及び粉体を含む混合物から造粒される、請求項4~6のいずれか一項に記載の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射状グラデーション固形化粧料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料を、多色で色づけることによって、カラフルで審美的な美しさを有する化粧料が開発されている。更に、多色の境界をグラデーションとすることによっても審美性を向上させている。例えば、特許文献1には、第1の化粧料の色から第2の化粧料の色へとグラデーション状に変化するように形成された油性固形化粧料が開示されている。また、特許文献2には、グラデーション模様を有する多色固形化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-70449号公報
【特許文献2】特開2007-261950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの化粧料のグラデーションは、1つの色から他の1つの色へのグラデーションであり、更に優れた審美性を有する化粧料の開発が期待されていた。
本発明の目的は、優れた審美性を有する化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、優れた審美性を有する化粧料について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、粒子形状の放射状グラデーションを有する固形化粧料が、優れた審美性を示すことを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]色の異なる2種以上の粒子を含む放射状グラデーション固形化粧料であって、前記粒子のそれぞれは0.2mm以上の平均粒子径を有しており、少なくとも1種の粒子が中心点から放射状に濃度勾配のある方向を有する、放射状グラデーション固形化粧料、
[2]放射状グラデーション固形化粧料に含まれるそれぞれの粒子の含有量が、同じ又は異なる[1]に記載の、放射状グラデーション固形化粧料、
[3]前記放射状グラデーション固形化粧料の上方からの形状が、円形、楕円形、正方形、長方形、及び三角形からなる群から選択される、[1]又は[2]に記載の放射状グラデーション固形化粧料、
[4](1)0.2mm以上の平均粒子径を有する、少なくとも2種の色の異なる粒子を造粒する工程、(2)2つ以上の区分を有する充填ユニットに粒子を充填する工程であって、1種以上の粒子を充填ユニットの中心点を含む第1区分に、そして1種以上の粒子を充填ユニットの第1区分の外側を取り囲む第2区分に充填する工程、(3)充填ユニットから、第1区分の粒子及び第2区分の粒子を、第1区分と第2区分との仕切りのない化粧容器に移動させる工程、(4)化粧容器の粒子に攪拌棒を略垂直に挿入し、中心点を中心に円形に回転させ、第1区分の粒子及び第2区分の粒子の境界をグラデーション状にする工程、(5)前記グラデーション状の粒子を圧迫成形する工程、を含む、放射状グラデーション固形化粧料の製造方法、
[5](1)0.2mm以上の平均粒子径を有する、少なくとも3種の色の異なる粒子を造粒する工程、(2)3つ以上の区分を有する充填ユニットに粒子を充填する工程であって、1種以上の粒子を充填ユニットの中心点を含む第1区分に、1種以上の粒子を充填ユニットの第1区分の外側を取り囲む第2区分に、そして1種以上の粒子を充填ユニットの第2区分の外側を取り囲む第3区分に、充填する工程、(3)充填ユニットから、第1区分の粒子、第2区分の粒子、及び第3区分の粒子を、第1区分、第2区分、及び第3区分のそれぞれの間に仕切りのない化粧容器に移動させる工程、(4)化粧容器の粒子に攪拌棒を略垂直に挿入し、中心点を中心に円形に回転させ、第1区分の粒子、第2区分、及び第3区分の粒子のそれぞれの境界をグラデーション状にする工程、(5)前記グラデーション状の粒子を圧迫成形する工程、を含む、[4]に記載の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法、
[6]それぞれの区分に2種以上の色の異なる粒子を含む、[4]又は[5]に記載の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法、及び
[7]前記粒子が油分及び粉体を含む混合物から造粒される、[4]~[6]のいずれかに記載の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の放射状グラデーション固形化粧料によれば、粒子形状の放射状グラデーションを提供することができる。また、本発明の放射状グラデーション固形化粧料は2種以上の粒子を組み合わせたグラデーションを含み、更に優れた審美性を示すことができる。本発明の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法によれば、容易に粒子の放射状グラデーションを作製することができる。また、2区分の放射状グラデーションに加えて、3区分以上の放射状グラデーションを容易に作成することができる。また、1つの区分に2種以上の粒子を含む放射状グラデーションも容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の放射状グラデーション固形化粧料の2つの実施態様を示した写真(A及びB)である。
【
図2】本発明のグラデーション固形化粧料の「粒子が中心点から放射状に濃度勾配のある方向を有する」ことを示した写真(A)、及び中心点の態様を例示した図(B~E)である。
【
図3】2区分を有する充填ユニット(搬送治具)の模式図である。
【
図4】2区分を有する充填ユニット(搬送治具)の2つの実施態様(A及びB)、3区分を有する充填ユニット(搬送治具)の1つの実施態様(C)を示した模式図である。
【
図5】3区分を有する充填ユニット(搬送治具)及び攪拌棒の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1]放射状グラデーション固形化粧料
本発明の放射状グラデーション固形化粧料は、色の異なる2種以上の粒子を含む放射状グラデーション固形化粧料であって、前記粒子のそれぞれは0.2mm以上の平均粒子径を有しており、少なくとも1種の粒子が中心点から放射状に濃度勾配のある方向を有する。
【0009】
含まれる粒子の種類は、2種以上であれば、特に限定されることはなく、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、21種、22種、23種、24種、25種、26種、27種、28種、29種、又は30種などが挙げられる。しかしながら、多すぎると各粒子の色が混合され色調が不明確になったり、きれいな放射状グラデーションが得られなくなることがある。
【0010】
前記粒子の平均粒子径は、0.2mm以上であれば、特に限定されるものではないが、下限は好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、最も好ましくは0.6mm以上である。上限も特に限定されるものではないが、好ましくは6mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下、最も好ましくは2.5mm以下である。前記の範囲であることにより審美的な放射状グラデーションを作製することができる。
平均粒子径は、画像解析ソフトを用いて測定することができる。化粧料中の全粒子の平均粒子径を測定することも可能であり、特定の色の粒子の平均粒子径を測定することも可能である。
【0011】
本発明の放射状グラデーション固形化粧料に含まれるそれぞれの粒子の含有量は、同じ含有量でもよく、それぞれの粒子ごとに異なっていてもよい。例えば、
図1(A)に示される放射状グラデーション固形化粧料では、赤の粒子<ピンクの粒子<白の粒子の順に含有量が多くなっている。例えば、赤の粒子、ピンクの粒子、及び白の粒子の含有量を同じにすることも可能である。しかし、この場合、中心に配置する粒子の色の中心からの距離が長くなり、目立ってしまう、一般的には、周辺の色の粒子の含有量を増加させた方が、きれいな放射状のグラデーションを得ることができる。
粒子の含有量は、特に限定されるものではないが、化粧料全量に対して、下限は2%以上であり、好ましくは5%以上であり、更に好ましくは7%以上であり、最も好ましくは10%以上である。上限は例えば70%以下であり、好ましくは50%以下であり、より好ましくは45%以下であり、更に好ましくは40%以下である。前記上限と下限は、それぞれを組み合わせることができる。また含有量の百分率は、重量%でもよいが、
図1(A)の写真から計算される面積%でもよいが、面積での特定が好ましい。面積で粒子の含有量を特定する場合は、画像解析によって含有量を特定することができる。
【0012】
本発明の放射状グラデーション固形化粧料の粒子の色は、特に限定されるものではないが、例えば赤、黄赤、黄、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫などの色調、白、及び黒が挙げられる。これらの色を組み合わせてグラデーションを作製することにより、
図1及び2に示すように、様々な印象を与える、優れた審美性の固形化粧料を得ることができる。
【0013】
《放射状グラデーション》
本発明のグラデーション固形化粧料は、少なくとも1種の粒子が中心点から放射状に濃度勾配のある方向を有する。すなわち、本発明の放射状グラデーション固形化粧料は、粒子による放射状グラデーションを有している。粒子による放射状グラデーションは、
図1及び2に示すように、目視で確認することができる。
また、例えば以下の方法によって「1種の粒子が中心点から放射状に濃度勾配のある方向を有する」ことを確認することができる。
図2(A)を用いて説明する。固形化粧料の上面の中心点から外部に引いた直線状に、直径1cmの2つの円を設定する。この2つの円の間隔は、例えば1cm~2cm(具体的には、例えば1cm、1.5cm、又は2cm)とする。2つの円の間隔は、それぞれの円の中心の間隔を測定すればよい。
図2においては、円1及び円2の間隔、円2及び円3の間隔が1.5cmである。
また、固形化粧料の中心点から外部に引いた直線が2cm以下の場合、2つの円の間隔が1cm以下となる場合がある。この場合は、2つの円の間隔は、例えば中心点から外部に引いた直線の1/3とすればよい。例えば前記直線が1.8cmの場合、2つの円の間隔は0.6cmとすればよい。この場合、2つの円の一部が重なるが、「1種の粒子が濃度勾配のある方向を有する」ことを確認することができる。
【0014】
本明細書において「中心点」とは、固形化粧料が円形である場合、円の中心でもよい(
図2B)。しかしながら、円の中心からずれていてもよい。例えば、
図2Cに示すように、固形化粧料の円の中心からずれた「中心点」を中心として、破線で示す円形の中に放射状グラデーションを有してもよい。更に、
図2Dに示すように、正方形の固形化粧料の場合、正方形の重心を中心点として、破線で示す円形の中に放射状グラデーションを有してもよい。更に、正方形の固形化粧料の場合、重心以外を中心点として、放射状グラデーションを形成することもできる。更に、長方形の固形化粧料の場合、重心を中心点とすることもできるが、
図2Eに示すように、重心以外を中心点として、破線で示す円形の中に放射状グラデーションを形成することもできる。
【0015】
例えば、円1及び円2における赤の粒子の含有率(面積率)が、それぞれ70%及び20%であり、円1に対する円2の含有率(面積率)の減少率は50%である。また、円1及び円2における濃いピンクの粒子の含有率(面積率)が、それぞれ30%及び45%であり、正方形1に対する正方形2の含有率(面積率)の増加率は15%である。また、円1及び円2における薄いピンクの粒子の含有率(面積率)が、それぞれ0%及び35%であり、円1に対する円2の含有率(面積率)の増加率は35%である。円1及び円2における、赤の粒子、濃いピンクの粒子、及び薄いピンクの粒子はグラデーションを示しており、円1と円2の方向において少なくとも1種の粒子が濃度勾配のある方向を有している。
【0016】
更に、円2及び円3における赤の粒子の含有率(面積率)が、それぞれ20%及び10%であり、円2に対する円3の含有率(面積率)の減少率は10%である。また、円2及び円3における濃いピンクの粒子の含有率(面積率)が、それぞれ45%及び25%であり、円2に対する円3の含有率(面積率)の減少率は20%である。また、円2及び円3における薄いピンクの粒子の含有率(面積率)が、それぞれ35%及び65%であり、円2に対する円3の含有率(面積率)の増加率は30%である。円2及び円3における、赤の粒子、濃いピンクの粒子、及び薄いピンクの粒子はグラデーションを示しており、円1と円2の方向において少なくとも1種の粒子が濃度勾配のある方向を有している。
【0017】
前記含有率(面積率)の減少率又は増加率は、グラデーションが得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上であり、最も好ましくは20%以上である。
従って、本発明の放射状グラデーション固形化粧料は、好ましくは1.5cm離れた2つの直径1cmの円の、少なくとも1つの粒子の面積を比較した場合、減少率又は増加率が5%以上である2つの円を有している。
【0018】
本発明の放射状グラデーション固形化粧料は、粒子を含む固形化粧料である限りにおいて特に限定されるものではないが、例えばチーク、フェイスパウダー、ハイライター、アイブロウ、ファンデーション、ブロンザー、又はアイシャドウが挙げられる。
前記、放射状グラデーション固形化粧料の上方からの形状は、グラデーションが形成できる限りにおいて特に限定されるものではないが、長方形、正方形、円形、楕円形、十角形、九角形、八角形、七角形、六角形、五角形、四角形、星形、ハート型、涙型又は三角形が挙げられる。
【0019】
[2]放射状グラデーション固形化粧料の製造方法
本発明の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法は、(1)0.2mm以上の平均粒子径を有する、少なくとも2種の色の異なる粒子を造粒する工程、(2)2つ以上の区分を有する充填ユニット(搬送治具)に粒子を充填する工程であって、1種以上の粒子を充填ユニット(搬送治具)の中心部の第1区分に、そして1種以上の粒子を充填ユニット(搬送治具)の第1区分の外側を取り囲む第2区分に充填する工程、(3)充填ユニット(搬送治具)から、第1区分の粒子及び第2区分の粒子を、第1区分と第2区分との仕切りのない化粧容器に移動させる工程、(4)化粧容器の粒子に攪拌棒を略垂直に挿入し、中心点を中心に円形に回転させ、第1区分の粒子及び第2区分の粒子の境界をグラデーション状にする工程、(5)前記グラデーション状の粒子を圧迫成形する工程、を含む。
【0020】
本発明の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法は、充填ユニットに3つ以上の区分を設定して実施することができる。
本発明の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法は、(1)0.2mm以上の平均粒子径を有する、少なくとも3種の色の異なる粒子を造粒する工程、(2)3つ以上の区分を有する充填ユニット(搬送治具)に粒子を充填する工程であって、1種以上の粒子を充填ユニット(搬送治具)の中心部の第1区分に、1種以上の粒子を充填ユニット(搬送治具)の第1区分の外側を取り囲む第2区分に、そして1種以上の粒子を充填ユニット(搬送治具)の第2区分の外側を取り囲む第3区分に、充填する工程、(3)充填ユニット(搬送治具)から、第1区分の粒子、第2区分の粒子、及び第3区分の粒子を、第1区分、第2区分、及び第3区分のそれぞれの間に仕切りのない化粧容器に移動させる工程、(4)化粧容器の粒子に攪拌棒を略垂直に挿入し、中心点を中心に円形に回転させ、第1区分の粒子、第2区分、及び第3区分の粒子のそれぞれの境界をグラデーション状にする工程、(5)前記グラデーション状の粒子を圧迫成形する工程、を含む。
本発明の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法によれば、充填ユニットに4つ以上の区分、(例えば5つの区分、6つの区分、7つの区分、8つの区分、9つの区分、10の区分)を設定することによって、4つ以上のグラデーションを容易に作製することができる。
【0021】
本発明の放射状グラデーション固形化粧料の製造方法によれば、1つの区分に2種以上の色調の異なる粒子を含んでもよい。2種以上の色調の異なる粒子を含むことによって、
図1に示すような優れた審美性を有する固形化粧料を得ることができる。1つの区分に含まれる色調の異なる粒子の種類は、限定されるものではないが、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種などが挙げられる。しかしながら、多すぎると各粒子の色が混合され色調が不明確になったり、きれいなグラデーションが得られなくなることがある。
【0022】
《工程1》
前記工程1では、0.2mm以上の平均粒子径を有する、少なくとも1種(1種以上)の色調の異なる粒子を造粒する。前記粒子は、色調が異なり、固形化粧料に使用できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、粉体及び油分を含む。
【0023】
粉体としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、無機粉体(例えば、無機体質顔料、又は無機顔料)、有機粉体(例えば、有機体質粉体、又は有機顔料)、光輝性粉体(パール剤又はラメ剤)、金属粉体、又はそれらを組み合わせた複合粉体が挙げられる。
【0024】
無機体質顔料としては、限定されるものではないが、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、アルミナ、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成金雲母、酸化セリウム、窒化ホウ素、硫酸Ba、硫酸Ca、金属セッケンとしてステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、又はウンデシレン酸亜鉛が挙げられるが、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機顔料としては、限定されるものではないが、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、マンガンバイオレット、又はコンジョウを挙げることができるが、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
有機体質粉体としては、限定されるものではないが、セルロース末、デンプン、ナイロン末、シリコーン、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、又はポリ乳酸が挙げられる。
有機顔料としては、例えば赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色305号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号及び青色404号や、更に赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号又は青色1号を挙げることができるが、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの有機顔料のジルコニウムレーキ、バリウムレーキ、又はアルミニウムレーキを用いることもできる。
【0026】
前記パール剤としては、限定されるものではないが、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、ベンガラ・酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン被覆アルミナフレーク、酸化チタン被覆シリカフレーク、シリカ被覆アルミニウム、酸化鉄・シリカ被覆アルミニウム、シリカ被覆鉄を挙げることができる。
ラメ剤としては、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、エポキシ樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、ウレタン樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂被覆アルミニウム末を挙げることができる。
【0027】
前記金属粉体としては、限定されるものではないが、アルミニウム末、白金、金、銀、又は銅が挙げられる。
【0028】
粉体は、表面処理を施されたものでもよい。具体的には、前記粉体がフッ素化合物、シリコーン化合物、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、金属石鹸、界面活性剤、又は水溶性高分子等で表面処理されたものを用いることができる。
【0029】
前記油分は、粉体と混合して造粒物を製造できる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えばエステル油、炭化水素油、エーテル油、脂肪族アルコール、高級脂肪酸、動植物油、シリコーン、又はテルペン油を挙げることができる。
【0030】
エステル油としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2-オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、又は12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンセチルエーテル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ネオペンタン酸イソデシル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル又は酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンイソセチルエーテル等を挙げることができる。
【0031】
炭化水素油としては、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワレン、プリスタン、ワセリン、又はマイクロクリスタリンワックスを挙げることができる。
【0032】
前記脂肪族アルコールとしては、直鎖状の飽和アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はベヘニルアルコール)、分岐状の飽和アルコール(例えば、イソステアリルアルコール、又はオクチルドデカノール)、又は不飽和アルコール(例えば、オレイルアルコール)などの炭素数が12~22のアルコール(いわゆる高級アルコール)を挙げることができる。
【0033】
前記高級脂肪酸としては、直鎖状の飽和脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸)、分岐状の飽和脂肪酸(例えば、イソステアリン酸)、不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ウンデシレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)、トール酸、ラノリン酸などを挙げることができる。
【0034】
前記動植物油としては、例えばオレンジラフィー油、ホホバ油、サトウキビロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ミツロウ、セラック、ラノリン、モンタンロウ等の動植物性ロウ類、アボガド油、トウモロコシ油、月見草油、パーシック油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、シナモン油、アーモンド油、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、ミッドオレイックひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、卵黄油、ミンク油、牛脂、豚脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、及び藻類油、並びにそれらの分別油、硬化油、及びエステル交換油を挙げることができる。
【0035】
前記エーテル油としては、アルキル-1,3-ジメチルブチルエーテル、ノニルフェニルエーテルを挙げることができる。
【0036】
前記シリコーンとしては、限定されるものではないが、ジメチコン、メチルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、(ステアロキシメチコン/ジメチコン)コポリマー、シクロペンタシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、メチコン、ハイドロゲンジメチコン等を挙げることができる。
【0037】
好ましい油分としては、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ワセリン、ネオペンタン酸イソデシル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、スクワラン、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、カルナウバロウ、ミツロウ、又はセチルアルコールが挙げられる。
【0038】
工程2における充填前の造粒物(粒子)の主要な含有物は、前記粉体及び油分である。造粒物に対する粉体の含有量は、特に限定されるものではないが、下限は、例えば50重量%以上であり、好ましくは55重量%であり、更に好ましくは60重量%であり、更に好ましくは65重量%であり、更に好ましくは70重量%であり、更に好ましくは75重量%であり、更に好ましくは80重量%である。上限は、例えば95重量%であり、好ましくは90重量%であり、更に好ましくは85重量%である。前記下限と上限とは、適宜組み合わせることができる。
造粒物に対する油分の含有量は、特に限定されるものではないが、下限は、例えば5重量%以上であり、好ましくは10重量%であり、更に好ましくは15重量%である。上限は、例えば50重量%であり、好ましくは45重量%であり、更に好ましくは40重量%である。前記下限と上限とは、適宜組み合わせることができる。
【0039】
造粒前の混合物は、前記粉体及び油分に更に造粒溶媒を含む。造粒溶媒を含むことによって、粉体及び油分の混錬を容易にし、造粒に適した混合物を得ることができる。
造粒溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、エタノール、水、アセトン、シクロペンタシロキサン、イソプロパノール、水添ポリイソブテン、又はイソドデカンが挙げられる。
造粒前の混合物に対する造粒溶媒の含有量は、例えば0~50重量%であり、好ましくは1~45重量%である。なお、造粒溶媒は、造粒後にほとんど揮発するため、充填前の造粒物(粒子)の主要な含有物は、前記粉体及び油分となる。
【0040】
前記造粒物(粒子)に、その他の成分を含むこともできる。その他の成分としては、水(例えば、イオン交換水)、保湿剤(例えば、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ポリオキシプロピレン(9)グリセリルエーテル、ジヒドロキシプロピルアルギニン溶液、トリメチルグリシン、濃グリセリン、ソルビット、キシリトール、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、セラミド類、又は加水分解ケラチン)、着色剤(例えば、顔料、又は色素)、粘度調整剤(例えば、メチルセルロース、ポリエチレングリコール)、乳化剤(例えば、モノステアリン酸グリセリン)、パール光沢付与剤(例えば、ジステアリン酸グリコール、又はジステアリン酸エチレングリコール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム)、植物エキス類(例えば、カミツレエキス)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム)、防腐助剤(例えば、ファノキシエタノール、ペンチレングリコール、カプリル酸グリセリル、又は1,2-ヘキサンジオール)、ビタミン剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤(EDTA-2Na)、pH調整剤(例えば、クエン酸、又は酒石酸)が挙げられる。その他の成分の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば0~20重量%であり、好ましくは0~10重量%である。
【0041】
造粒方法は、特に限定されるものではなく、攪拌造粒法、押出造粒法、流動層造粒法、又は転動造粒法などが挙げられる。
【0042】
前記造粒物(粒子)の平均粒子径は、0.2mm以上であれば、特に限定されるものではないが、下限は好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上、更に好ましくは0.5mm以上、最も好ましくは0.6mm以上である。上限も特に限定されるものではないが、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、更に好ましくは3mm以下、最も好ましくは2mm以下である。前記の範囲であることにより審美的なグラデーションを作製することができる。
本明細書において、製造工程における造粒物(粒子)の「平均粒子径」は、例えばレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を用いることができる。
【0043】
《工程2》
工程2は、2つ以上の区分を有する充填ユニットに粒子を充填する工程であって、1種以上の粒子を充填ユニットの中心部の第1区分に、そして1種以上の粒子を充填ユニットの第1区分の外側を取り囲む第2区分に充填する(
図3、
図4A、
図4B)。例えば、3区分の充填ユニットの場合、1種以上の粒子を充填ユニットの中心部の第1区分に、そして1種以上の粒子を充填ユニットの第1区分の外側を取り囲む第2区分に、そして、1種以上の粒子を充填ユニットの第2区分の外側を取り囲む第3区分に充填する(
図4C)。
第1区分、第2区分、及び第3区分の形状は、特に限定されるものではなく、例えば円形でもよく、楕円形でもよい。また、第1区分、第2区分、及び第3区分において、それらの形状を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
図3、
図4A、及び
図4Bに2つの区分を有する充填ユニットを示す。充填ユニットの第1区分(B相)に1種以上の粒子を充填し、第2区分(A相)に1種以上の粒子を充填する。基本的に第1区分の粒子の色調と、第2区分の粒子の色調は異なっており、それによってグラデーションを作製することができる。なお、第1区分に2種以上の粒子を充填し、第2区分に2種以上の粒子を充填する場合は、第1区分の一部の粒子の色調と、第2区分の一部の粒子の色調が、同じであってもよい。
図1Aに示すグラデーション固形化粧料の場合、第1区分に赤色:薄赤色の粒子を2:1の割合で含む混合粒子を充填する。また、第2区分に薄赤色:白色の粒子を1:2の割合で含む混合粒子を充填する。
【0045】
図4Cに3つの区分を有する充填ユニットを示す。充填ユニットの第1区分(C相)に1種以上の粒子を充填し、第2区分(B相)に1種以上の粒子を充填し、第3区分(A相)に1種以上の粒子を充填する。基本的に第1区分の粒子の色調と、第2区分の粒子の色調と第3区分の粒子の色調は異なっており、それによってグラデーションを作製することができる。なお、第1区分に2種以上の粒子を充填し、第2区分に2種以上の粒子を充填し、第3区分に2種以上の粒子を充填する場合は、第1区分の一部の粒子の色調、第2区分の一部の粒子の色調、及び第3区分の一部の粒子の色調が、同じであってもよい。
図1Bに示すグラデーション固形化粧料の場合、第1区分に黄色の粒子を充填する。また、第2区分に濃桃色:薄桃色を2:1の割合で含む混合粒子を充填する。そして、第3区分に薄桃色:白色の粒子を1:2の割合で含む混合粒子を充填する。
【0046】
1つの区分に2種以上の粒子を含む場合、それぞれの区分に含まれる粒子の割合は、特に限定されるものではないが、下限は好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上であり、更に好ましくは15重量%以上である。上限も特に限定されないが、好ましくは95重量%以下であり、より好ましくは90重量%以下であり、更に好ましくは85重量%以下であり、最も好ましくは80重量%以下である。前記の下限と上限は、適宜組み合わせることができる。
【0047】
充填ユニットへの粒子の充填は、それぞれの区分に充填する粒子(混合粒子)を、ホッパーから第1区分及び第2区分に同時に又は順番に充填する。充填物が従来の粉体である場合は、充填ユニットに粉体を充填する場合、ホッパー内で粉体を対流させる必要があった。しかし、本発明においては、充填物が粒子であるため、自然落下に近い態様で粒子を充填ユニットに充填することができる。例えば、ホッパーからのエアーの供給量は、1.0MPa以下で可能であり、好ましくは0.5MPa以下である。なお、空気圧が高すぎると、造粒物(粒子)が、破壊されることがあり、好ましくない。
【0048】
《工程3》
工程3においては、充填ユニットから、それぞれの区分の粒子を、それぞれの区分の仕切りのない化粧容器に移動させる。区分を有する充填ユニットの下方を開放し、区分の仕切りを有さない化粧容器へ、そのまま移動させればよい。
化粧容器の形状は、グラデーション固形化粧料の形状に応じて、適宜選択することができるが、例えば長方形、正方形、円形、楕円形、十角形、九角形、八角形、七角形、六角形、五角形、四角形、星形、ハート型、涙型又は三角形が挙げられる。化粧容器としては、金皿、樹脂皿、又はジャー容器などが挙げられる。
【0049】
《工程4》
工程4においては、化粧容器の粒子に攪拌棒を略垂直に挿入し、中心点を中心に円形に回転させ、各区分の粒子のそれぞれの境界をグラデーション状にする。化粧容器の中の各区分の粒子の境界は、最初は混じり合っていないが、攪拌棒の回転によって、色調の異なる粒子が混合され放射状のグラデーションが形成される。
攪拌棒の数は、1つ以上あればよいが、攪拌の効率を上げるために、好ましくは2つ以上であり、より好ましくは3つ以上であり、更に好ましくは4つ以上であり、更に好ましくは5つ以上であり、更に好ましくは6つ以上である。例えば
図5に示すように、例えば円盤に6本の攪拌棒を取り付け、回転されることにより効率的に放射状のグラデーションを形成することができる。
回転の回数は、例えば、1~200rpmであり、好ましくは10~100rpmである。回転時間も適宜調整できるが、例えば1~10秒であり、好ましくは3~6秒である。
回転が強すぎたり、及び/又は回転時間が長すぎると、粒子が混合されすぎるため、審美的なグラデーションが得られないことがある。しかしながら、当業者は、審美的なグラデーションを得るために、振動数及び時間を適宜選択することができる。
【0050】
《工程5》
工程5においては、前記グラデーション状の粒子を圧迫成形する。圧迫成形法は、特に限定されるものではなく、エアシリンダー若しくは油圧シリンダーによるプレス、又はサーボモーターによるプレスを用いることができる。
【実施例0051】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0052】
《実施例1》
本実施例では、2つの区分を有する充填ユニットを用い、それぞれの区分に2種の造粒物を充填し、グラデーション固形化粧料を作製した。原料を表1に示す。原料の比率は、重量%である。
【表1】
【0053】
前記原料1~8の粉体を混合して、赤色、薄赤色、及び白色の3種の粉体混合物を作製した。粉体混合物の色は、原料5~7の粉体の含有量によって調整した。原料9~12を添加して均一に混合した。4種の粉体油分混合物100重量部に対して、それぞれエチルアルコールを20~40重量部の範囲で添加し均一に混合した。得られた混合物を押出造粒機を用いて造粒し、乾燥させてエチルアルコールを揮発させた。造粒物の平均粒子径は1.0mmであった。
赤色及び薄赤色の造粒物をそれぞれ2:1の割合で混合した混合粒子1を調製した。また、薄赤色及び白色の造粒物をそれぞれ1:2の割合で混合した混合粒子2を調製した。混合粒子1を充填ホッパーに充填し、そして混合粒子2を別の充填ホッパーに充填した。それぞれの充填ホッパーから仕切りのない搬送治具(化粧容器))に、混合粒子1(
図4Aの「B相」)及び混合粒子2(
図4Aの「A相」)を載せた。仕切りを除去し、攪拌棒のついた円盤を回転(50rpm)させ、境界をぼかし、境界にグラデーションを作製した。グラデーションの作製された混合粒子を、プレス機を用いて圧迫成形し、固形化粧料を得た(
図1A)。
【0054】
《実施例2》
本実施例では、3つの区分を有する充填ユニットを用い、それぞれの区分に3種の造粒物を充填し、グラデーション固形化粧料を作製した。原料を表2に示す。原料の比率は、重量%である。
【表2】
【0055】
前記原料1~10の粉体を混合して、黄色、濃桃色、薄桃色、及び白色の4種の粉体混合物を作製した。粉体混合物の色は、原料5~9の粉体の含有量によって調整した。原料11~14を添加して均一に混合した。5種の粉体油分混合物100重量部に対して、それぞれエチルアルコールを20~40重量部の範囲で添加し均一に混合した。得られた混合物を押出造粒機を用いて造粒し、乾燥させてエチルアルコールを揮発させた。造粒物の平均粒子径は1.0mmであった。
黄色の粒子1を調製した。また、濃桃色及び薄桃色の造粒物をそれぞれ2:1の割合で混合した混合粒子2を調製した。薄桃色及び白色の造粒物それぞれ1:2の割合で混合して混合粒子3を調製した。粒子1を充填ホッパーに充填し、混合粒子2を別の充填ホッパーに充填し、混合粒子3を別の充填ホッパーに充填した。それぞれの充填ホッパーから仕切りのない搬送治具(化粧容器))に、混合粒子1(
図4Cの「C相」)、混合粒子2(
図4Cの「B相」)、粒子3(
図4Cの「A相」)を載せた。仕切りを除去し、攪拌棒のついた円盤を回転(10-100rpmの幅)させ、境界をぼかし、境界にグラデーションを作製した。グラデーションの作製された混合粒子を、プレス機を用いて圧迫成形し、固形化粧料を得た(
図1B)。
本発明の放射状グラデーション固形化粧料は、チーク、フェイスパウダー、ハイライター、アイブロウ、ファンデーション、ブロンザー、又はアイシャドウとして使用することができる。