IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ みずほ情報総研株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社エステックの特許一覧

<>
  • 特開-土質判定装置 図1
  • 特開-土質判定装置 図2
  • 特開-土質判定装置 図3
  • 特開-土質判定装置 図4
  • 特開-土質判定装置 図5
  • 特開-土質判定装置 図6
  • 特開-土質判定装置 図7
  • 特開-土質判定装置 図8
  • 特開-土質判定装置 図9
  • 特開-土質判定装置 図10
  • 特開-土質判定装置 図11
  • 特開-土質判定装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153657
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】土質判定装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/02 20060101AFI20231011BHJP
   G09B 29/00 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
E02D1/02
G09B29/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063051
(22)【出願日】2022-04-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-19
(71)【出願人】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391051049
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下元 正義
(72)【発明者】
【氏名】永田 亮
(72)【発明者】
【氏名】神谷 潤
(72)【発明者】
【氏名】笠間 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】永田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】谷内 貴史
(72)【発明者】
【氏名】青山 智哉
【テーマコード(参考)】
2C032
2D043
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HC14
2C032HC27
2D043AA00
2D043AC01
(57)【要約】
【課題】判定対象土の土質名を判定すること。
【解決手段】土質判定装置は、制御部と、補助記憶装置と、を備える。補助記憶装置は、学習済みモデルを記憶している。学習済みモデルは、土の自然含水密度及び土の湿潤密度と土質名を対応付けたデータである。制御部は、判定対象土の自然含水密度、及び判定対象土の湿潤密度を学習済みモデルに入力する。学習済みモデルは、判定対象土の土質名を出力する。制御部は、判定対象土の土質名をユーザ端末に出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
制御部と、を備えた土質判定装置であって、
前記記憶部は、土に含まれる水分量を示す値及び前記土の湿潤密度を土質名に対応付け
た対応データを記憶し、
前記制御部は、
判定対象土に含まれる水分量を示す値及び前記判定対象土の湿潤密度を取得し、
前記判定対象土に含まれる水分量を示す値及び前記判定対象土の湿潤密度を用いて前記対応データから前記判定対象土の前記土質名を抽出し、
前記判定対象土の前記土質名をユーザ端末に出力する、土質判定装置。
【請求項2】
前記対応データは、前記土に含まれる水分量を示す値及び前記土の湿潤密度を用いて統計的処理に基づいて生成された学習済みモデルである、請求項1に記載の土質判定装置。
【請求項3】
前記土に含まれる水分量を示す値は、前記土の単位体積当たりの水分量であり、
前記判定対象土に含まれる水分量を示す値は、前記判定対象土の単位体積当たりの水分量である、請求項1又は請求項2に記載の土質判定装置。
【請求項4】
前記対応データを第1対応データとすると、
前記記憶部は、前記土の特性であって前記土に含まれる水分量を示す値及び前記土の湿潤密度とは異なる前記土の特性を前記土質名に対応付けた第2対応データを記憶し、
前記制御部は、
前記判定対象土の前記特性を取得し、
前記判定対象土の前記特性を用いて前記第2対応データから前記判定対象土の前記土質名を抽出し、
前記第1対応データから抽出した前記判定対象土の前記土質名と前記第2対応データから抽出した前記判定対象土の前記土質名とが一致する前記土質名を、前記判定対象土の前記土質名と判定する、請求項1又は請求項2に記載の土質判定装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記土質名、前記土に含まれる水分量を示す値及び前記土の湿潤密度に、固化材の種類に応じた改良土の強度を対応付けた強度データを記憶し、
前記制御部は、
前記判定対象土の前記土質名、前記判定対象土に含まれる水分量を示す値及び前記判定対象土の湿潤密度を用いて前記固化材の種類に応じた前記改良土の強度を前記強度データから抽出し、
前記判定対象土の前記土質名、前記判定対象土に含まれる水分量を示す値、前記判定対象土の湿潤密度、及び前記固化材の種類に応じた前記改良土の強度を前記ユーザ端末に出力する、請求項1又は請求項2に記載の土質判定装置。
【請求項6】
前記記憶部は、位置情報に、当該位置情報で表される場所の周辺情報を対応付けた周辺
データを記憶し、
前記制御部は、
前記判定対象土を採集した場所の位置情報を用いて前記周辺データから前記判定対象土を採集した場所の前記周辺情報を抽出し、
前記判定対象土を採集した場所の前記周辺情報を前記ユーザ端末に出力する、請求項1又は請求項2に記載の土質判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、土質判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のように、地盤改良を行う際には、地盤改良を行う現場の土と固化材とを混合させることで改良土を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-26661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
土質、固化材の種類、及び固化材の量に応じて改良土の強度は変化する。土質に応じて固化材の種類、及び固化材の量を定めるために、地盤改良を行う現場の土を判定対象土として判定対象土の土質名を判定したい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する土質判定装置は、記憶部と、制御部と、を備えた土質判定装置であって、前記記憶部は、土に含まれる水分量を示す値及び前記土の湿潤密度を土質名に対応付けた対応データを記憶し、前記制御部は、判定対象土に含まれる水分量を示す値及び前記判定対象土の湿潤密度を取得し、前記判定対象土に含まれる水分量を示す値及び前記判定対象土の湿潤密度を用いて前記対応データから前記判定対象土の前記土質名を抽出し、前記判定対象土の前記土質名をユーザ端末に出力する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、判定対象土の土質名を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】土質判定システムの概略構成図である。
図2】土質判定システムで行われる制御を示すシーケンスである。
図3】入力画面の一例を示す図である。
図4】入力画面の一例を示す図である。
図5】湿潤密度と自然含水密度との相関を示す図である。
図6】Cの有無とΦの有無との組み合わせに対応付けられた土質名を示す図である。
図7】感触に対応付けられた土質名を示す図である。
図8】コンシステンシー限界に対応付けられた土質名を示す図である。
図9】周辺データの一例を示す図である。
図10】強度データの一例を示す図である。
図11】出力画面の一例を示す図である。
図12】出力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、土質判定装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、土質判定システム10は、ユーザ端末11と、土質判定装置51と、を備える。
【0009】
<ユーザ端末>
ユーザ端末11は、端末用制御部12と、補助記憶装置15と、入力部16と、表示部17と、位置測定部18と、通信装置19と、を備える。ユーザ端末11としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、及びパーソナルコンピュータを挙げることができる。本実施形態において、ユーザ端末11は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯通信端末である。
【0010】
端末用制御部12は、プロセッサ13と、端末用記憶部14と、を備える。プロセッサ13としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びDSP(Digital Signal Processor)を挙げることができる。端末用記憶部14は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。端末用記憶部14は、処理をプロセッサ13に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。端末用記憶部14、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。端末用制御部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である端末用制御部12は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0011】
補助記憶装置15は、記憶されたデータを書き換え可能な不揮発性記憶装置である。補助記憶装置15としては、例えば、ソリッドステートドライブやフラッシュメモリを用いることができる。フラッシュメモリは、eMMC(embedded Multi Media Card)などのフラッシュメモリを利用した記憶媒体を含む。補助記憶装置15には、端末側プログラムPG1が記憶されている。端末側プログラムPG1は、端末用記憶部14に読み込まれて、プロセッサ13によって実行される。
【0012】
入力部16は、ユーザの操作を受け付けて、入力信号として出力する部材である。本実施形態の入力部16は、タッチパネルである。入力部16は、ユーザの操作が入力された位置を検出し、位置を示す情報を入力信号として出力する。ユーザの操作は、例えば、タッチ操作、タップ操作、スライド操作、スワイプ操作、ピンチ操作である。入力部16としては、マウス、キーボード、音声入力に用いるマイクが用いられてもよい。
【0013】
表示部17としては、例えば、液晶ディスプレイ、及び有機エレクトロルミネッセンスディスプレイを挙げることができる。表示部17には、入力部16が重ねて設けられており、入力部16と表示部17とでタッチスクリーンを構成している。
【0014】
位置測定部18は、ユーザ端末11の位置を測定する。ユーザ端末11の位置は、ユーザ端末11の経緯度である。位置測定部18は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から送信される衛星信号を受信する。位置測定部18は、衛星信号を用いて位置を測定する。
【0015】
通信装置19は、通信網N1を通じて情報の送受信を行うことができる通信インターフェースである。通信装置19は、通信網N1を通じて、土質判定装置51と情報の送受信を行うことができる。
【0016】
<土質判定装置>
土質判定装置51は、制御部52と、補助記憶装置55と、通信装置56と、を備える。土質判定装置51は、サーバーである。
【0017】
制御部52は、プロセッサ53と、サーバー用記憶部54と、を備える。プロセッサ53としては、例えば、CPU、GPU、及びDSPを挙げることができる。サーバー用記憶部54は、RAM及びROMを含む。サーバー用記憶部54は、処理をプロセッサ53に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。サーバー用記憶部54、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部52は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部52は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0018】
補助記憶装置55は、記憶されたデータを書き換え可能な不揮発性記憶装置である。補助記憶装置55としては、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、及びフラッシュメモリが挙げられる。補助記憶装置55は、土質判定プログラムPG2を記憶している。土質判定プログラムPG2は、サーバー用記憶部54に読み込まれて、プロセッサ53によって実行される。補助記憶装置55は、学習済みモデルD1と、第1データD2と、第2データD3と、第3データD4と、周辺データDB1と、強度データDB2と、を記憶している。補助記憶装置55は、学習済みモデルD1、周辺データDB1、及び強度データDB2を記憶する記憶部である。
【0019】
通信装置56は、通信網N1を通じて情報の送受信を行うことができる通信インターフェースである。通信装置56は、通信網N1を通じて、ユーザ端末11と情報の送受信を行うことができる。
【0020】
土質判定システム10は、例えば、地盤改良を行う際に用いられる。地盤改良では、地盤改良を行う現場の土と固化材とを混合することによって改良土を形成する。改良土の強度は、土質、固化材の種類、及び固化材の量に応じて変化する。土質に応じた固化材の種類、及び固化材の量を選定するために地盤改良の現場から採集した土の土質名を土質判定装置51が判定する。そして、土質判定装置51が判定した土質名をユーザ端末11に出力することによって、ユーザに土質名を提供する。本実施形態において、土質判定装置51による土質名の判定対象となる土は、地盤改良を行う現場で採集される土である。この土を判定対象土と称する。以下、判定対象土の土質名を判定する際に土質判定システム10で行われる制御について説明する。土質判定システム10で行われる制御は、端末用制御部12が端末側プログラムPG1を実行するとともに制御部52が土質判定プログラムPG2を実行することで行われる。一例として地盤改良を行う現場の土を判定対象土とする場合について説明するが、判定対象土はどのような土であってもよい。
【0021】
<土質判定システムで行われる制御>
図2に示すように、ステップS1において、端末用制御部12は、表示部17に入力画面を表示させる。詳細にいえば、ユーザによるユーザ端末11の操作によって端末用制御部12が端末側プログラムPG1を実行すると、表示部17に入力画面が表示される。
【0022】
図3及び図4に示すように、端末用制御部12は、入力画面として、位置表示部21と、入力表示部24と、予測部36と、を表示部17に表示させる。位置表示部21は、ユーザ端末11の位置が表示される箇所である。位置表示部21には、地図22が表示される。この地図22に重畳して表示されるアイコン23によってユーザ端末11の位置が表される。地図22は、ピンチ操作によって拡大及び縮小が可能であってもよい。
【0023】
入力表示部24は、情報を入力するための項目が表示される領域である。入力表示部24の各項目には、判定対象土の土質名を判定するのに必要となる情報が入力される。入力表示部24は、位置更新部25と、反映部26と、緯度入力部27と、経度入力部28と、ID入力部29と、湿潤密度入力部30と、自然含水比入力部31と、C入力部32と、Φ入力部33と、感触入力部34と、コンシステンシー限界入力部35と、を備える。図3及び図4に示すように、入力画面の表示内容が表示部17に収まりきらない場合、ユーザの操作によって表示内容をスクロール可能であってもよい。
【0024】
位置更新部25は、ユーザからの操作を受け付けてユーザ端末11の位置を更新するものである。例えば、位置更新部25がユーザによってタップ操作されると、端末用制御部12は位置測定部18から位置情報を取得する。位置測定部18から位置情報を取得すると、端末用制御部12は位置表示部21のアイコン23の位置を更新する。位置情報は、ユーザ端末11の経緯度を示す情報である。
【0025】
反映部26は、ユーザからの操作を受け付けて緯度入力部27及び経度入力部28にユーザ端末11の位置を反映するものである。例えば、反映部26がユーザによってタップ操作されると、端末用制御部12はアイコン23の緯度を緯度入力部27に反映する。反映部26がユーザによってタップ操作されると、端末用制御部12はアイコン23の経度を経度入力部28に反映する。緯度入力部27には、ユーザによって任意の緯度が入力可能であってもよい。経度入力部28には、ユーザによって任意の経度が入力可能であってもよい。
【0026】
ID入力部29には、ユーザが任意のIDを入力することができる。このIDは、入力表示部24の各項目に入力された情報と紐付けられる。即ち、IDは、入力表示部24の各項目に入力された情報を管理するために用いられる。
【0027】
湿潤密度入力部30は、判定対象土の湿潤密度[g/cm]を入力する箇所である。湿潤密度入力部30には、ユーザによって任意の値が入力可能である。ユーザは、判定対象土の湿潤密度を測定することで得られた値を湿潤密度入力部30に入力する。判定対象土の湿潤密度は、例えば、湿潤密度試験によって測定することができる。
【0028】
自然含水比入力部31は、判定対象土の自然含水比[%]を入力する箇所である。自然含水比入力部31には、ユーザによって任意の値が入力可能である。ユーザは、判定対象土の自然含水比を測定することで得られた値を自然含水比入力部31に入力する。判定対象土の自然含水比は、例えば、含水比試験によって測定することができる。
【0029】
C入力部32は、判定対象土のCの有無を入力する箇所である。Cは、粘着力を意味する。図4に示す例では、ラジオボタンによってCの有無を選択可能にしている。ユーザは、判定対象土のCの有無を確認する。Cの有無は、例えば、判定対象土が乾燥した状態で崩れ易いか否かによって判断することができる。ユーザは、判定対象土が乾燥した状態で崩れ易い場合、Cが無いと判断することができる。ユーザは、判定対象土が乾燥した状態で崩れ難い場合、Cが有ると判断することができる。
【0030】
Φ入力部33は、判定対象土のΦの有無を入力する箇所である。Φは、内部摩擦角を意味する。図4に示す例では、ラジオボタンによってΦの有無を選択可能にしている。ユーザは、判定対象土のΦの有無を確認する。Φの有無は、例えば、判定対象土を団子状や筒状などの形状に固めた際に形状が維持され易いか否かによって判断することができる。ユーザは、判定対象土を固めた際に形状が維持され易い場合、Φが無いと判断することができる。ユーザは、判定対象土を固めた際に形状が維持され難い場合、Φが有ると判断することができる。
【0031】
感触入力部34は、判定対象土の感触を入力する箇所である。感触入力部34は、予め定められた選択肢から1つを選択して入力する箇所である。選択肢としては、第1選択肢~第6選択肢が設定されている。第1選択肢は「指でこするとざらざらとした感触がある」である。第2選択肢は「指でこすると砂粒以外にざらざらとした感触がある」である。第3選択肢は「指でこすると砂粒以外は細粒分が指紋に刷り込まれる」である。第4選択肢は「指で触ると粘着性が有り、指でこするとベタっとする感じ」である。第5選択肢は「手でつかむとボリュームの割には軽い」である。第6選択肢は「強制的に攪拌すると水っぽくなる。ボリュームの割には軽い」である。図4に示す例では、プルダウンによって選択肢が表示される。ユーザは、プルダウンによって表示された第1選択肢~第6選択肢のうち判定対象土の感覚に最も近いものを選択する。
【0032】
コンシステンシー限界入力部35は、判定対象土のコンシステンシー限界を入力する箇所である。コンシステンシー限界入力部35は、予め定められた選択肢から1つを選択して入力する箇所である。選択肢としては、第1選択肢~第6選択肢が設定されている。第1選択肢は「容器に入れて傾けるとサラサラ崩れる」である。第2選択肢は「団子状には形を変えられる」である。第3選択肢は「棒状にするとすぐに切れてしまう」である。第4選択肢は「棒状にすると切れやすい」である。第5選択肢は「棒状に形を変えられる」である。第6選択肢は「指でつぶすと泥状化する」である。図4に示す例では、プルダウンによって選択肢が表示される。ユーザは、プルダウンによって表示された第1選択肢~第6選択肢のうち判定対象土のコンシステンシー限界に最も近いものを選択する。
【0033】
予測部36は、ユーザからの操作を受け付けることによって土質判定装置51に判定対象土の判定を要求する箇所である。例えば、入力表示部24の各項目を入力した状態で予測部36をタップ操作すると、土質判定装置51に対して入力表示部24の各項目に入力された情報に基づいて土質名の判定が要求される。
【0034】
図2に示すように、土質判定装置51に判定対象土の判定が要求されると、ステップS2において、端末用制御部12は、位置情報、湿潤密度情報、自然含水比情報、及び付加情報を土質判定装置51に送信する。位置情報は、緯度入力部27に入力された緯度及び経度入力部28に入力された経度を示す情報である。湿潤密度情報は、湿潤密度入力部30に入力された湿潤密度を示す情報である。自然含水比情報は、自然含水比入力部31に入力された自然含水比を示す情報である。付加情報は、C入力部32に入力されたCの有無を示す情報、Φ入力部33に入力されたΦの有無を示す情報、感触入力部34に入力された選択肢を示す情報、及びコンシステンシー限界入力部35に入力された選択肢を示す情報を含む。
【0035】
次に、ステップS3において、制御部52は、ステップS2でユーザ端末11から送信された位置情報、湿潤密度情報、自然含水比情報、及び付加情報を受信する。これにより、制御部52は、位置情報、判定対象土の自然含水比、判定対象土の湿潤密度、判定対象土のCの有無、判定対象土のΦの有無、判定対象土の感触、及び判定対象土のコンシステンシー限界を取得する。
【0036】
次に、ステップS4において、制御部52は、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度から土質名を推定する。自然含水密度は、判定対象土の単位体積当たりの水分量[g/cm]である。制御部52は、以下の(1)式に基づき判定対象土の自然含水比から判定対象土の自然含水密度を算出する。自然含水密度は、判定対象土の水分量を示す値である。
【0037】
【数1】
制御部52は、判定対象土の湿潤密度、及び(1)式から算出した判定対象土の自然含水密度を学習済みモデルD1に入力する。そして、学習済みモデルD1から出力された土質名を判定対象土の土質名と推定する。言い換えれば、制御部52は、判定対象土の土質名の候補を、学習済みモデルD1を用いて抽出する。土は、土を形成する土粒子の大きさによって複数の土質名に分類することができる。土粒子が小さくなるほど土粒子同士の間の間隙が多くなる。間隙が多くなるほど土に含まれる水が多くなる。従って、土の自然含水密度及び土の湿潤密度と土質名とは相関がある。学習済みモデルD1は、この相関を用いて土の自然含水密度及び土の湿潤密度と土質名とを対応付けた第1対応データである。学習済みモデルD1は、統計的処理に基づいて生成されている。
【0038】
学習済みモデルD1は、教師なし学習によって生成されていてもよい。この場合、土の自然含水密度及び土の湿潤密度を学習データとして用いる。教師なし学習では、土の自然含水密度及び土の湿潤密度からグループ構造が導出されるため、グループ構造に土質名を対応付ければよい。
【0039】
学習済みモデルD1は、教師あり学習によって生成されていてもよい。この場合、土の自然含水密度及び土の湿潤密度に土質名を対応付けた学習データを用いる。本実施形態では、二分木を用いて学習済みモデルD1を生成している。
【0040】
図5は、縦軸を土の自然含水密度、横軸を土の湿潤密度として土質名に応じてプロットを行った図である。土質名としては砂、細砂、シルト混じり砂、粘土混じり砂、シルト質砂、粘土質砂、砂質シルト、シルト、粘土質シルト、砂質粘土、シルト質粘土、粘土、砂混じり粘性土、有機質シルト、有機質粘土、黒ボク、ローム、及び粘土質ロームを挙げることができる。図5では、図示の都合上、砂、シルト混じり砂、シルト質砂、砂質シルト、粘土質シルト、シルト質粘土、粘土、有機質粘土、及びロームのみを図示している。
【0041】
土の自然含水密度と土の湿潤密度には、湿潤密度が小さくなるほど自然含水密度が大きくなる相関があることを把握できる。土の自然含水密度と土の湿潤密度には、線形の相関がある。土の自然含水比と土の湿潤密度にも相関が存在するが、土の自然含水比と土の湿潤密度との相関は非線形である。土に含まれる水分量を示す値として自然含水密度を用いることで、二分木を用いて学習済みモデルD1を生成する際に、学習データから特徴を抽出しやすくなる。
【0042】
学習済みモデルD1は、土の自然含水密度及び土の湿潤密度で表される平面上での土質名を表す領域を表しているといえる。図5では、砂を表す領域A1、シルト混じり砂を表す領域A2、シルト質砂を表す領域A3、砂質シルトを表す領域A4、粘土質シルトを表す領域A5、シルト質粘土を表す領域A6、粘土を表す領域A7、ロームを表す領域A8、及び有機質粘土を表す領域A9を図示している。各領域A1~A9は、他の領域A1~A9に重なり合っている。二分木によって領域A1~A9を導出すると、各領域A1~A9同士が重なり合わない。しかしながら、土の自然含水密度及び土の湿潤密度で表される平面上に土質名に応じてプロットを行うと、複数の土質名が混在して存在する範囲が存在する。このような範囲については、混在する土質名の両方の領域A1~A9に含まれるように、二分木によって導出された領域の調整を行っている。これにより、図5に示すような領域A1~A9を得ることができる。図5では、図示の都合上、砂、シルト混じり砂、シルト質砂、砂質シルト、粘土質シルト、シルト質粘土、粘土、有機質粘土、及びロームのそれぞれに対応する領域A1~A9のみを図示している。学習済みモデルD1は、図示されていない土質名に対応する領域を含む。
【0043】
制御部52は、上記した学習済みモデルD1を用いて、土質名を推定する。制御部52は、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度から判定対象土が属する領域A1~A9を判定する。制御部52は、判定対象土が属する領域A1~A9が1つであれば、当該領域A1~A9が対応する土質名を判定対象土の土質名として推定する。制御部52は、判定対象土が属する領域A1~A9が複数であれば、それらの領域A1~A9に対応する複数の土質名を判定対象土の土質名として推定する。制御部52は、判定対象土が属する領域A1~A9が存在しない場合、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度から所定範囲に領域A1~A9が存在するか否かを判定する。例えば、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度が図5の点P1で表されるとする。この場合、点P1の属する領域A1~A9が存在しないため、点P1を中心とする所定範囲A10に領域A1~A9が存在するか否かが判定される。図5の例であれば、所定範囲A10に粘土質シルトに対応する領域A5が存在するため、判定対象土の土質名として粘土質シルトが推定されることになる。所定範囲A10としては、例えば、湿潤密度や自然含水比の測定誤差に基づいて設定される。制御部52は、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度から所定範囲に領域A1~A9が存在しない場合、判定対象土に対応する土質名は存在しないと判定する。
【0044】
図2に示すように、次に、ステップS5において、制御部52は、付加情報から土質名を絞り込む。詳細にいえば、制御部52は、ステップS4で推定された土質名を付加情報で絞り込むことによって、判定対象土の土質名を判定する。制御部52は、判定対象土のC及び判定対象土のΦの組み合わせによる土質名の抽出、判定対象土の感触による土質名の抽出、及び判定対象土のコンシステンシー限界による土質名の抽出の3つの抽出手法によって土質名の絞り込みを行う。また、ステップS5において、制御部52は、判定対象土の土質分類を判定する。
【0045】
図6に示すように、Cの有無とΦの有無との組み合わせには、土質名、及び土質分類が対応付けられている。この対応付けを規定したデータが第1データD2である。C及びΦには、土質名及び土質分類との相関がある。C無とΦ有との組み合わせ、C有とΦ有との組み合わせ、及びC有とΦ無との組み合わせのそれぞれには、土質名及び土質分類が対応付けられている。C無とΦ無との組み合わせには、土質名及び土質分類が対応付けられていない。Cの有無及びΦの有無は、土の特性であって、土に含まれる水分量を示す値及び土の湿潤密度とは異なる土の特性である。Cの有無及びΦの有無と土質名とを対応付けた第1データD2は、第2対応データである。
【0046】
図7に示すように、土の感触と土質名及び土質分類には相関がある。この相関を用いて、感触の第1選択肢~第6選択肢のそれぞれには土質名、及び土質分類が対応付けられている。この対応付けを規定したデータが第2データD3である。土の感触は、土の特性であって、土に含まれる水分量を示す値及び土の湿潤密度とは異なる土の特性である。土の感触と土質名とを対応付けた第2データD3は、第2対応データである。
【0047】
図8に示すように、土のコンシステンシー限界と土質名及び土質分類には相関がある。この相関を用いて、土のコンシステンシー限界の第1選択肢~第6選択肢のそれぞれには土質名、及び土質分類が対応付けられている。この対応付けを規定したデータが第3データD4である。土のコンシステンシー限界は、土の特性であって、土に含まれる水分量を示す値及び土の湿潤密度とは異なる土の特性である。土のコンシステンシー限界と土質名とを対応付けた第3データD4は、第2対応データである。第1データD2、第2データD3、及び第3データD4を記憶する補助記憶装置55は、第2対応データを記憶する記憶部である。
【0048】
土質分類は、土質名に対応付けられた分類である。土質名が定まることによって土質分類は定まる。土質分類としては、砂、砂質土、シルト、粘性土、有機質土、黒ボク、及びロームを挙げることができる。土質分類には、赤ボクが含まれていてもよい。土質分類の砂は、砂、細砂、シルト混じり砂、粘土混じり砂の土質名に対応付けられている。土質分類の砂質土は、シルト質砂、及び粘土質砂の土質名に対応付けられている。土質分類のシルトは、砂質シルト、シルト、及び粘土質シルトの土質名に対応付けられている。土質分類の粘性土は、砂混じり粘性土、砂質粘土、シルト質粘土、及び粘土の土質名に対応付けられている。土質分類の有機質土は、有機質シルト、及び有機質粘土の土質名に対応付けられている。土質分類の黒ボクは、粘土質シルト、有機質シルト、シルト、有機質粘土、シルト質粘土、及び黒ボクの土質名に対応付けられている。土質分類のロームは、ローム、及び粘土質ロームの土質名に対応付けられている。土質分類の赤ボクは、粘土の土質名に対応付けられている。
【0049】
制御部52は、ステップS3で取得した判定対象土のCの有無及び判定対象土のΦの有無から、Cの有無とΦの有無との組み合わせに対応する土質名を抽出する。制御部52は、C無とΦ無との組み合わせであれば、判定対象土に対応する土質名が存在しないと判定する。制御部52は、ステップS3で取得した判定対象土の感触の選択肢から、感触の選択肢に対応する土質名を抽出する。制御部52は、ステップS3で取得した判定対象土のコンシステンシー限界の選択肢から、コンシステンシー限界の選択肢に対応する土質名を抽出する。制御部52は、付加情報による3つの抽出手法のうち2つ以上の抽出手法で抽出された土質名によって、ステップS4で推定された土質名の絞り込みを行う。制御部52は、ステップS4で推定された土質名と、3つの抽出手法のうち2つ以上の抽出手法で抽出された土質名とが一致する土質名を判定対象土の土質名と判定する。判定対象土の土質名は、複数であってもよいし、単数であってもよい。即ち、判定対象土の土質名は、単数に絞り込まれなくてもよい。制御部52は、判定対象土の土質名に対応する土質分類を判定対象土の土質分類として抽出する。
【0050】
図2に示すように、次に、ステップS6において、制御部52は、位置情報から周辺情報を抽出する。周辺情報は、周辺データDB1から抽出することができる。
図9に示すように、周辺データDB1は、過去に施工が行われた場所の位置情報と、当該施工が行われた際に得られた周辺情報とを対応付けたデータベースである。周辺情報としては、例えば、土質特性情報、搬入路情報、硬質地盤情報、特殊ヘッド情報、地下水位情報、転石・地中障害情報、エアー有無情報、施工機械情報、及びエリア特性情報が挙げられる。土質特性は、位置情報で示される場所の土質の特性に関する情報である。搬入路情報は、位置情報で示される場所周辺の交通に関する情報である。硬質地盤情報は、位置情報で示される場所の硬質地盤に関する情報である。特殊ヘッド情報は、位置情報で示される場所で施工の際に用いられた特殊ヘッドに関する情報である。地下水位情報は、位置情報で示される場所の地下水位に関する情報である。転石・地中障害情報は、位置情報で示される場所の転石・地中障害に関する情報である。エアー有無情報は、位置情報で示される場所の地中に存在する空洞に関する情報である。施工機械情報は、位置情報で示される場所での施工時に用いられた施工機械を示す情報である。エリア特性情報は、位置情報で示される場所の周辺に関する情報であって施工に関連がある情報である。
【0051】
制御部52は、ステップS3で得られた位置情報によって表される地点から所定距離の範囲を検索範囲とみなす。例えば、ステップS3で得られた位置情報によって表される地点を中心とし、半径を所定距離とする円形の範囲を検索範囲とみなす。所定距離としては、ユーザが設定可能であってもよいし、予め定められた範囲であってもよい。所定距離としては、例えば、1[km]~10[km]の範囲で任意に設定することができる。制御部52は、周辺データDB1を検索することによって検索範囲内の位置を表す位置情報を抽出する。制御部52は、当該位置情報に対応付けられた周辺情報を、判定対象土を採集した場所の周辺情報として抽出する。
【0052】
図2に示すように、次に、ステップS7において、制御部52は、土質名、自然含水密度及び湿潤密度から固化材の種類に応じた改良土の強度を抽出する。改良土の強度は、強度データDB2から抽出することができる。
【0053】
図10に示すように、強度データDB2は、土質名、土の湿潤密度、及び土の自然含水密度に、固化材の種類、固化材の単位体積当たりの量、及び改良土の強度を対応付けたデータベースである。強度データDB2は、過去に行われた地盤改良の結果をデータベース化したものである。適宜、固化材の種類、固化材の単位体積当たりの量、及び改良土の強度を配合試験結果と称する。
【0054】
制御部52は、判定対象土の土質名、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度に合致する条件の配合試験結果を強度データDB2から検索する。判定対象土の土質名、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度に合致する条件とは、判定対象土に類似する土を抽出できる条件である。制御部52は、判定対象土の土質名と一致する土の土質名、判定対象土の湿潤密度から第1所定範囲に含まれる土の湿潤密度、判定対象土の自然含水密度から第2所定範囲内に含まれる土の自然含水密度の組み合わせを抽出する。制御部52は、当該組み合わせに対応付けられた配合試験結果を抽出する。この配合試験結果は、判定対象土を用いた改良土の強度の予測値ともいえる。第1所定範囲、及び第2所定範囲は任意に設定することができる。第1所定範囲及び第2所定範囲としては、判定対象土と類似する土を用いた配合試験結果を抽出できるように設定される。
【0055】
図2に示すように、次に、ステップS8において、制御部52は、土質判定装置51により得られた情報をユーザ端末11に出力する。制御部52は、ステップS5で得られた土質名を示す情報、ステップS5で得られた土質分類を示す情報、ステップS6で得られた周辺情報、及びステップS7で得られた配合試験結果を、通信網N1を介してユーザ端末11に出力する。制御部52は、土質分類の黒ボクに対応する土質名についてはユーザ端末11への出力を行わないようにしてもよい。同様に、土質分類に赤ボクが含まれる場合には、土質分類の赤ボクに対応する土質名についてはユーザ端末11への出力を行わないようにしてもよい。この場合、土質分類の黒ボク及び赤ボクに対応する土質名については、周辺データDB1を構築する際の情報として取り扱われる。
【0056】
次に、ステップS9において、端末用制御部12は、表示部17に出力画面を表示させる。出力画面には、土質判定装置51の出力結果が表示される。
図11及び図12に示すように、端末用制御部12は、出力画面として、土質分類表示部42と、土質名表示部43と、周辺情報表示部44と、強度表示部45と、を表示部17に表示させる。図11及び図12に示すように、出力画面の表示内容が表示部17に収まりきらない場合、ユーザの操作によって表示内容をスクロール可能であってもよい。また、出力画面の表示内容を複数に分割し、分割した表示内容をユーザの操作によって切り替えられるようにしてもよい。
【0057】
土質分類表示部42には、ステップS5で抽出された土質分類が表示される。
土質名表示部43には、ステップS5で抽出された土質名が表示される。制御部52は、付加情報による3つの抽出手法のうち3つの抽出手法で抽出された土質名と、2つの抽出手法で抽出された土質名と、を区別して表示してもよい。例えば、制御部52は、土質名の表示態様を変更してもよい。図11に示すように、2つの抽出手法で抽出された土質名を括弧書きで表記してもよいし、3つの抽出手法で抽出された土質名と、2つの抽出手法で抽出された土質名とで表示色を変更してもよい。
【0058】
周辺情報表示部44には、ステップS6で得られた周辺情報が表示される。図11に示す例では、土質特性、及び搬入路の表示を行っているが、表示部17にはステップS6で抽出された周辺情報の全てが表示される。
【0059】
強度表示部45には、ステップS7で得られた配合試験結果が表示される。図12に示すように、配合試験結果は、横軸を固化材の単位体積当たりの配合量、縦軸を改良土の強度とするグラフによって表示されてもよい。配合試験結果は、テキストで表示されてもよい。
【0060】
<本実施形態の効果>
(1)制御部52は、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度を用いて学習済みモデルD1から判定対象土の土質名を抽出している。制御部52は、判定対象土の土質名をユーザ端末11に出力する。ユーザは、ユーザ端末11を確認することによって判定対象土の土質名を把握できる。
【0061】
(2)第1対応データは、土の自然含水密度及び土の湿潤密度を学習データとして生成された学習済みモデルD1である。学習済みモデルD1を用いることで、土の自然含水密度及び土の湿潤密度から得られた土質名の特徴を用いて、土質名の抽出を行うことができる。
【0062】
(3)学習済みモデルD1は、土の自然含水密度及び土の湿潤密度と土質名とを対応付けている。制御部52は、判定対象土の自然含水密度及び判定対象土の湿潤密度を学習済みモデルD1に入力することによって判定対象土の土質名を抽出できる。土の自然含水密度と土の湿潤密度とは、線形の相関があるため、土質名の判定を行いやすい。特に、二分木を用いて学習済みモデルD1を生成する場合、領域の分割を行いやすい。このため、土質名の判定精度を向上させることができる。
【0063】
(4)制御部52は、学習済みモデルD1によって抽出された土質名を付加情報によって絞り込んでいる。これにより、土質名の判定精度を向上させることができる。
(5)制御部52は、付加情報による3つの抽出手法のうち2つ以上の抽出手法で抽出された土質名による絞り込みを行っている。付加情報による土質名の絞り込みは、ユーザによる選択に基づいて行われるため、ユーザによるばらつきが生じるおそれがある。3つの抽出手法のうち2つ以上の抽出手法で抽出された土質名を判定対象土の土質名とすることで、ユーザによるばらつきを原因として、抽出される土質名に差異が生じることを抑制できる。
【0064】
(6)制御部52は、判定対象土の土質名、判定対象土の自然含水密度、及び判定対象土の湿潤密度から固化材の種類に応じた改良土の強度を抽出する。制御部52は、改良土の強度をユーザ端末11に出力する。ユーザは、ユーザ端末11を確認することによって固化材の種類、及び固化材の量に応じた改良土の強度の予測値を把握できる。
【0065】
(7)制御部52は、判定対象土を採集した場所の周辺情報を抽出する。制御部52は、周辺情報をユーザ端末11に出力する。ユーザは、ユーザ端末11を確認することによって周辺情報を把握できる。土質判定システム10が地盤改良に用いられる場合、判定対象土を採集した場所の周辺について施工に関する情報を得ることができる。
【0066】
<変更例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
・制御部52は、判定対象土を採集した場所の周辺情報を抽出しなくてもよい。この場合、補助記憶装置55には、周辺データDB1が記憶されていなくてもよい。
・制御部52は、配合試験結果を抽出しなくてもよい。この場合、補助記憶装置55には、強度データDB2が記憶されていなくてもよい。
【0068】
・制御部52は、付加情報による3つの抽出手法の全てで抽出された土質名によって、ステップS4で推定された土質名の絞り込みを行ってもよい。制御部52は、ステップS4で判定対象土の土質名として推定された土質名のうち、3つの抽出手法で抽出された土質名を判定対象土の土質名であると判定するといえる。
【0069】
・制御部52は、付加情報による3つの抽出手法のうち1つ以上の抽出手法で抽出された土質名による絞り込みを行ってもよい。制御部52は、ステップS4で判定対象土の土質名として推定された土質名のうち、1つ以上の抽出手法で抽出された土質名を判定対象土の土質名であると判定するといえる。
【0070】
・制御部52は、判定対象土の土質分類を抽出しなくてもよい。
・制御部52は、ステップS4によって得られた土質名を判定対象土の土質名と判定してもよい。即ち、付加情報による絞り込みを行わなくてもよい。この場合、学習済みモデルD1は、対応データである。
【0071】
・土質判定プログラムPG2は、ユーザ端末11で実行されてもよい。この場合、ユーザ端末11が土質判定装置となる。実施形態で制御部52が行っていた処理は、端末用制御部12で行われることになる。
【0072】
・自然含水密度の算出は、端末用制御部12が行ってもよい。この場合、端末用制御部12は、自然含水比情報に代えて、自然含水密度を示す自然含水密度情報を土質判定装置51に送信すればよい。
【0073】
・学習済みモデルD1は、土の自然含水比及び土の湿潤密度を学習データとして用いて生成されたものであってもよい。土の自然含水比[%]は、土に含まれる水分量を示す値である。土の自然含水比は、土に含まれる水分量を割合で示す値である。土の自然含水比と土の湿潤密度には非線形の相関がある。このため、非線形の相関から土質名の特徴を抽出できるアルゴリズムを用いて学習済みモデルD1を生成することができる。この場合、制御部52は、判定対象土の自然含水比及び判定対象土の湿潤密度を用いて土質名の抽出を行う。
【0074】
・第1対応データは、土の自然含水密度及び土の湿潤密度を土質名に対応付けたデータであればよく、学習済みモデルD1とは異なるデータであってもよい。例えば、機械学習とは異なる統計処理によって第1対応データは生成されていてもよい。
【0075】
・学習済みモデルD1、第1データD2、第2データD3、第3データD4、周辺データDB1、及び強度データDB2は、それぞれ別々の記憶部に記憶されていてもよい。
・制御部52は、ステップS4で、判定対象土が属する領域A1~A9が存在しない場合、判定対象土に対応する土質名が存在しないと判定してもよい。
【符号の説明】
【0076】
D1…対応データ、及び第1対応データである学習済みモデル、D2…第2対応データである第1データ、D3…第2対応データである第2データ、D4…第2対応データである第3データ、11…ユーザ端末、51…土質判定装置、52…制御部、55…記憶部としての補助記憶装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12