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特開2023-153680車載装置、車両管理システムおよび車両状況判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153680
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】車載装置、車両管理システムおよび車両状況判定方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
G08G1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063086
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山根 元太
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC27
5H181EE12
5H181EE13
(57)【要約】
【課題】車両の安全性をより高める。
【解決手段】車両に搭載される車載装置であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断する車両状況判定部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得する取得部と、
前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断する車両状況判定部とを備える、車載装置。
【請求項2】
前記自然環境情報以外の車両関連情報には、前記車両の走行状態に関する走行情報、および前記車両における監視結果を示す監視情報の少なくともいずれか一方が含まれる、請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記車載装置は、さらに、
前記車両状況判定部の判断結果に基づいて、所定の処理を行う制御部を備える、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定の処理として、前記判断結果の内容に応じて、前記車両関連情報の前記車載装置への送信頻度を変更する、請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記自然環境に起因する前記車両の状況の種類ごとに、前記自然環境情報、および前記自然環境情報以外の前記車両関連情報を選択し、取得する、請求項1または請求項2に記載の車載装置。
【請求項6】
前記状況は、太陽光の眩しさによる視界不良であり、
前記取得部は、現在日時を示す情報、前記車両の進行方向を示す情報、および前記車両の走行予定経路を示す情報を選択する、請求項5に記載の車載装置。
【請求項7】
前記状況は、低μ路における前記車両の滑りであり、
前記取得部は、外気温を示す情報、ABS(Anti-lock Braking System)の作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を選択する、請求項5に記載の車載装置。
【請求項8】
前記状況は、雪道かつ登り勾配を有する道路における前記車両の立ち往生であり、
前記取得部は、外気温を示す情報、前記車両の走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を選択する、請求項5に記載の車載装置。
【請求項9】
前記状況は、アンダーパスにおける冠水であり、
前記取得部は、前記車両の走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択する、請求項5に記載の車載装置。
【請求項10】
前記状況は、急斜面の側道における崖崩れへの前記車両の巻き込みであり、
前記取得部は、前記車両の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択する、請求項5に記載の車載装置。
【請求項11】
前記状況は、河川の水位上昇による、橋の上に位置する前記車両の水没であり、
前記取得部は、前記車両の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択する、請求項5に記載の車載装置。
【請求項12】
車両に搭載される車載装置と、
前記車両の外部における外部装置とを備え、
前記外部装置は、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報を取得して前記車載装置へ送信し、
前記車載装置は、前記自然環境情報以外の車両関連情報を取得し、前記外部装置から受信した前記自然環境情報と、取得した前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断する、車両管理システム。
【請求項13】
車両に搭載される車載装置における車両状況判定方法であって、
前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得するステップと、
取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断するステップとを含む、車両状況判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載装置、車両管理システムおよび車両状況判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の安全性を高めるための技術が開発されている。たとえば、特開2005-313658号公報(特許文献1)には、以下のような車両事故防止システムが開示されている。すなわち、車両事故防止システムは、事故査定情報を事故査定情報入力部から入力し、事故情報分析部で事故状況を分析して、事故当時の車両の進行方向を含む分析結果を事故データベースにデータベース化する。そして、車両事故防止システムは、車両の現在位置と進行方向から何れの事故発生地点に接近しているかを検知し、該当する事故発生地点において進行方向が同じで、類似の車両による事故発生履歴を検索し、該当する事故があった場合は、それに基づいて運転者に注意を促す警報を出し、実際の道路状況に即した注意を運転者に与えることで、事故の発生を未然に防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-313658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1に記載の技術を超えて、車両の安全性をより高めることのできる技術が求められる。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車両の安全性をより高めることが可能な車載装置、車両管理システムおよび車両状況判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断する車両状況判定部とを備える。
【0007】
本開示の車両管理システムは、車両に搭載される車載装置と、前記車両の外部における外部装置とを備え、前記外部装置は、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報を取得して前記車載装置へ送信し、前記車載装置は、前記自然環境情報以外の車両関連情報を取得し、前記外部装置から受信した前記自然環境情報と、取得した前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断する。
【0008】
本開示の車両状況判定方法は、車両に搭載される車載装置における車両状況判定方法であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得するステップと、取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断するステップとを含む。
【0009】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車両の安全性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る車両管理システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る車載装置を備える車載通信システムの構成を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車載装置における通信制御部により選択される車両関連情報の具体例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る車載装置における制御部による車両関連情報の送信頻度の変更動作のシーケンスの一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る車載装置が車両状況判断を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る車載装置の変形例1が車両状況判断を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る車載装置における通信制御部による車両関連情報の送信頻度の変更動作のシーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本開示の実施の形態に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断する車両状況判定部とを備える。
【0013】
このような構成により、車両のおかれる現在の自然環境、および当該車両のその他の関連情報をリアルタイムに把握して、自然環境に起因する現在または近い将来の当該車両の状況を判断することができる。したがって、車両の安全性をより高めることができる。
【0014】
(2)前記自然環境情報以外の車両関連情報には、前記車両の走行状態に関する走行情報、および前記車両における監視結果を示す監視情報の少なくともいずれか一方が含まれてもよい。
【0015】
このような構成により、車両の現在の状況をより的確に把握することができるため、自然環境に起因する現在または近い将来の当該車両の状況をより正確に判断することができる。
【0016】
(3)前記車載装置は、さらに、前記車両状況判定部の判断結果に基づいて、所定の処理を行う制御部を備えてもよい。
【0017】
このような構成により、外部装置からの判断結果に基づいて、たとえば、車両に生じ得る状況を運転者に事前に通知したり、車両の走行を制御したりすることにより、事故の発生を事前に防ぐことができる。
【0018】
(4)前記制御部は、前記所定の処理として、前記判断結果の内容に応じて、前記車両関連情報の前記車載装置への送信頻度を変更してもよい。
【0019】
このような構成により、たとえば、車両の走行に不都合な状況が生じる可能性が高いほど、車両関連情報の送信頻度を上げることにより、当該状況に関する判断を短い周期で行うことができ、一方、当該状況が生じる可能性が低いほど、車両関連情報の送信頻度を下げて、車載ネットワークにおける通信量の増加および通信帯域の逼迫等を防ぐことができる。
【0020】
(5)前記取得部は、前記自然環境に起因する前記車両の状況の種類ごとに、前記自然環境情報、および前記自然環境情報以外の前記車両関連情報を選択し、取得してもよい。
【0021】
このような構成により、車両の状況の判断に用いられない車両関連情報の送信を避けて、車載ネットワークにおける通信量の増加および通信帯域の逼迫等を防ぐことができる。
【0022】
また、車載装置が上記のような構成であり、かつ車両の状況の判断結果に応じて、車両関連情報の送信頻度を変更する構成である場合、たとえば、車両のある状況の種類に対応する車両関連情報の組に関しては送信頻度を上げて、当該車両の他の状況の種類に対応する車両関連情報の組に関しては通常の送信頻度で送信を行うことにより、車載ネットワークにおける通信量の増加および通信帯域の逼迫等をより適切に防ぐことができる。特に、車両関連情報の種類が多い場合において、効果が大きい。
【0023】
(6)前記状況は、太陽光の眩しさによる視界不良であり、前記取得部は、現在日時を示す情報、前記車両の進行方向を示す情報、および前記車両の走行予定経路を示す情報を選択してもよい。
【0024】
このような構成により、取得する車両関連情報を制限した上で、車両の運転者において太陽光の眩しさによる視界不良が生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0025】
(7)前記状況は、低μ路における前記車両の滑りであり、前記取得部は、外気温を示す情報、ABS(Anti-lock Braking System)の作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を選択してもよい。
【0026】
このような構成により、取得する車両関連情報を制限した上で、低μ路における車両の滑りが生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0027】
(8)前記状況は、雪道かつ登り勾配を有する道路における前記車両の立ち往生であり、前記取得部は、外気温を示す情報、前記車両の走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を選択してもよい。
【0028】
このような構成により、取得する車両関連情報を制限した上で、雪道かつ登り勾配を有する道路における車両の立ち往生が生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0029】
(9)前記状況は、アンダーパスにおける冠水であり、前記取得部は、前記車両の走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択してもよい。
【0030】
このような構成により、取得する車両関連情報を制限した上で、アンダーパスにおける冠水が生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0031】
(10)前記状況は、急斜面の側道における崖崩れへの前記車両の巻き込みであり、前記取得部は、前記車両の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択してもよい。
【0032】
このような構成により、取得する車両関連情報を制限した上で、急斜面の側道における崖崩れへの車両の巻き込みが生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0033】
(11)前記状況は、河川の水位上昇による、橋の上に位置する前記車両の水没であり、前記取得部は、前記車両の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報を選択してもよい。
【0034】
このような構成により、取得する車両関連情報を制限した上で、河川の水位上昇による、橋の上に位置する車両の水没が生じる可能性についての判断を行うことができる。
【0035】
(12)本開示の実施の形態に係る車両管理システムは、車両に搭載される車載装置と、前記車両の外部における外部装置とを備え、前記外部装置は、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報を取得して前記車載装置へ送信し、前記車載装置は、前記自然環境情報以外の車両関連情報を取得し、前記外部装置から受信した前記自然環境情報と、取得した前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断する。
【0036】
このような構成により、外部装置において把握可能な、車両のおかれる現在の自然環境、および当該車両において取得されるその他の関連情報をリアルタイムに把握して、自然環境に起因する現在または近い将来の当該車両の状況を判断することができる。したがって、車両の安全性をより高めることができる。
【0037】
(13)本開示の実施の形態に係る車両状況判定方法は、車両に搭載される車載装置における車両状況判定方法であって、前記車両のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報である車両関連情報と、前記自然環境情報以外の車両関連情報とを取得するステップと、取得した、前記自然環境情報と前記自然環境情報以外の車両関連情報とに基づいて、前記自然環境に起因する前記車両の状況を判断するステップとを含む。
【0038】
このような方法により、車両のおかれる現在の自然環境、および当該車両のその他の関連情報をリアルタイムに把握して、自然環境に起因する現在または近い将来の当該車両の状況を判断することができる。したがって、車両の安全性をより高めることができる。
【0039】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0040】
[車両管理システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る車両管理システムの構成を示す図である。図1を参照して、車両管理システム301は、1または複数の車載装置101と、外部装置の一例である管理サーバ151とを備える。車載装置101は、車両10に搭載される。
【0041】
車載装置101は、車両10に関する車両関連情報を取得する。車両関連情報は、たとえば車両10の現在の状況に関連する情報であり、車両10のおかれる自然環境を判断するための自然環境情報、車両10の走行状態に関する走行情報、または車両10における監視結果を示す監視情報である。
【0042】
自然環境情報は、たとえば、現在日時、車両10の周辺の外気温、および車両10の走行予定経路の地形等を示す。走行情報は、たとえば、車両10の現在位置、進行方向および走行予定経路等を示す。監視情報は、たとえば、車両10のワイパーの作動状況、ABS(Anti-lock Braking System)の作動状況、加速度センサの計測値、およびタイヤのスリップ量等を示す。
【0043】
より詳細には、車載装置101は、自然環境情報と自然環境情報以外の車両関連情報とを取得し、取得した複数の車両関連情報に基づいて、当該車載装置101に対応する車両10のおかれる自然環境に起因する、現在または近い将来の車両10の状況を判断する車両状況判断を行う。
【0044】
たとえば、車載装置101は、自然環境情報の示す現在日時、および走行情報の示す車両10の走行予定経路に基づいて、車両10の運転者において太陽光の眩しさによる視界不良が生じる可能性を判断し、判断結果に基づいて所定の処理を行う。当該走行予定経路は、一例として、車両10の現在位置から数km先の走行予定経路である。
【0045】
たとえば、車載装置101は、太陽光の眩しさによる視界不良が生じる可能性があると判断した場合、車両10に搭載されたモニタ等に判断結果の内容を表示したり、走行予定経路を変更したりする処理を行う。
【0046】
[車載通信システム]
図2は、本開示の実施の形態に係る車載装置を備える車載通信システムの構成を示す図である。図2を参照して、車載通信システム201は、車両10に搭載され、車載装置101と、車外通信装置102と、複数の機器103とを備える。
【0047】
機器103は、センサ、アクチュエータ、カメラ、ナビゲーション装置、自動運転処理ECU(Electronic Control Unit)、ADAS(Advanced Driving Assistant System)ECU、ワイパー制御デバイス、エンジン制御デバイス、AT(Automatic Transmission)制御デバイス、HEV(Hybrid Electric Vehicle)制御デバイス、ブレーキ制御デバイス、シャーシ制御デバイス、ステアリング制御デバイスおよび計器表示制御デバイス等である。
【0048】
また、機器103は、たとえば、定期的または不定期に、自己の機器103の動作状況、または車両10に関する計測結果等を示す車両関連情報を車載装置101へ送信する。機器103から送信される車両関連情報は、上述した、自然環境情報、走行情報および監視情報の3種類のうちのいずれか1つに相当する。
【0049】
機器103は、車両関連情報の送信において、たとえば、当該車両関連情報と、当該車両関連情報の内容に応じたID(Identification)との組を車載装置101へ送信する。
【0050】
具体的には、ナビゲーション装置である機器103は、たとえば、車両10の進行方向を示す情報と進行方向に対応するIDとの組、車両10の走行予定経路を示す情報と走行予定経路に対応するIDとの組、および当該走行予定経路の地形を示す情報と地形に対応するIDとの組を車載装置101へ送信する。進行方向を示す情報および走行予定経路を示す情報の各々は、走行情報に相当する。また、走行予定経路の地形を示す情報は、自然環境情報に相当する。
【0051】
また、車速センサである機器103は、たとえば、車速を計測し、計測結果を示す情報と車速に対応するIDとの組を車載装置101へ送信する。車速を示す情報は、走行情報に相当する。
【0052】
車載装置101は、複数の機器103と接続されており、各機器103と通信を行うことが可能である。車載装置101は、たとえば、各機器103の動作を制御する統合ECU、またはゲートウェイ装置である。
【0053】
車載装置101は、複数の車内通信部11と、記憶部12と、処理部13と、車外入出力部14と、車両状況判定部15とを備える。処理部13は、取得部21と、制御部22とを含む。車内通信部11、処理部13、車外入出力部14および車両状況判定部15の一部または全部は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。記憶部12は、たとえば不揮発性メモリである。
【0054】
取得部21は、各機器103から送信された車両関連情報を取得する。より詳細には、複数の車内通信部11は、複数の機器103にそれぞれ対応し、各車内通信部11は、対応する機器103との間で通信を行う。車内通信部11は、対応する機器103からの車両関連情報とIDとの組を受信し、受信した組を処理部13へ出力する。
【0055】
処理部13における取得部21は、車内通信部11から出力された車両関連情報とIDとの組を受けると、当該組を記憶部12に保存する。このとき、取得部21は、新たに受けた組に含まれるIDと同一のIDを含む組が記憶部12に保存済である場合、保存済である組の車両関連情報を更新する。
【0056】
取得部21は、たとえば、自然環境に起因する車両10の状況の種類ごとに、1または複数の自然環境情報、および自然環境情報以外の1または複数の車両関連情報のデータセットを選択し、取得する。より詳細には、取得部21は、選択したデータセットを構成する、1または複数の自然環境情報、および自然環境情報以外の1または複数の車両関連情報を各機器103から取得する。
【0057】
図3は、本開示の実施の形態に係る車載装置における通信制御部により選択される車両関連情報の具体例を示す図である。図3を参照して、たとえば、記憶部12には、複数のデータセットと、データセットに基づいて車載装置101により判断される車両10の状況の種類と、データセットを構成する車両関連情報の内容と、各内容に対応するIDとの対応関係を示す対応テーブルTが保存されている。
【0058】
具体的には、データセット「1」は、車両関連情報として、現在日時を示す情報、車両10の進行方向を示す情報、および車両10の走行予定経路を示す情報を含む。現在日時を示す情報、進行方向を示す情報、および走行予定経路を示す情報は、それぞれ、ID「1」~「3」に対応する。
【0059】
データセット「2」は、車両関連情報として、外気温を示す情報、ABSの作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報を含む。外気温を示す情報、ABSの作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報は、それぞれ、ID「4」~「7」に対応する。
【0060】
データセット「3」は、車両関連情報として、外気温を示す情報、車両10の走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報が含まれる。外気温を示す情報、走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報は、それぞれ、ID「4」「8」「6」「7」に対応する。
【0061】
データセット「4」は、車両関連情報として、車両10の走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報が含まれる。走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報は、それぞれ、ID「8」「9」に対応する。
【0062】
データセット「5」は、車両関連情報として、車両10の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報が含まれる。走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報は、それぞれ、ID「10」「9」に対応する。
【0063】
データセット「6」は、車両関連情報として、車両10の走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報が含まれる。走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報は、それぞれ、ID「10」「9」に対応する。
【0064】
なお、対応テーブルTは、上述したデータセット「1」~「6」以外のデータセットを含む構成であってもよいし、上述したデータセット「1」~「6」の一部を含まない構成であってもよい。
【0065】
取得部21は、対応テーブルTを参照して、選択したデータセットを構成する複数の車両関連情報を各機器103に要求する。
【0066】
取得部21は、車両関連情報を要求する旨を示す情報要求の機器103への送信を、定期的または不定期に行う。定期的に行う場合、情報要求の送信周期すなわちデータセットの取得周期は、異なるデータセット間において同一であってもよいし、互いに異なる周期であってもよい。
【0067】
また、取得部21は、取得周期が同一である複数のデータセットに対応する情報要求を、同一のタイミングで送信してもよいし、互いに異なるタイミングで送信してもよい。
【0068】
たとえば、取得部21は、たとえば記憶部12に保存されている、車両関連情報のIDと機器103のIDとの対応関係を示す情報を参照し、選択したデータセットを構成する複数の車両関連情報にそれぞれ対応する機器103へ情報要求をユニキャストする。なお、取得部21は、選択したデータセットを構成する複数の車両関連情報のIDを示す情報要求を各機器103へマルチキャストする構成であってもよい。
【0069】
再び図2を参照して、車載装置101における車両状況判定部15は、記憶部12におけるデータセットに基づいて、当該車載装置101を搭載する車両10の車両状況判断を行い、判断結果を示す判断結果情報を処理部13へ出力する。
【0070】
処理部13における制御部22は、車両状況判定部15から受けた判断結果情報に基づいて所定の処理(以下、処理Pとも称する。)を行う。制御部22による処理Pの具体例については後述する。
【0071】
[車両状況判断の具体例]
再び図3を参照して、車両状況判定部15は、記憶部12におけるデータセット「1」が更新された場合、たとえば、データセット「1」に含まれる現在日時を示す情報に基づいて、太陽の位置および高度を推定する。また、車両状況判定部15は、データセット「1」に含まれる、進行方向を示す情報、および走行予定経路を示す情報と、推定した太陽の位置および高度とに基づいて、車両10の運転者において太陽光の眩しさによる視界不良が生じる可能性について判断する。
【0072】
また、車両状況判定部15は、記憶部12におけるデータセット「2」が更新された場合、データセット「2」に含まれる、外気温を示す情報、ABSの作動状況を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報に基づいて、低μ路による車両滑りが生じる可能性について判断する。
【0073】
また、車両状況判定部15は、記憶部12におけるデータセット「3」が更新された場合、データセット「3」に含まれる、外気温を示す情報、走行予定経路の勾配を示す情報、加速度センサの計測値を示す情報、およびタイヤのスリップ量を示す情報に基づいて、雪道かつ登り勾配を有する道路における車両10の立ち往生が生じる可能性について判断する。
【0074】
また、車両状況判定部15は、記憶部12におけるデータセット「4」が更新された場合、データセット「4」に含まれる、走行予定経路の勾配を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報に基づいて、アンダーパスにおける冠水が生じる可能性について判断する。
【0075】
また、車両状況判定部15は、記憶部12におけるデータセット「5」が更新された場合、データセット「5」に含まれる、走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報に基づいて、急斜面の側道における崖崩れへの車両10の巻き込みが生じる可能性について判断する。
【0076】
また、車両状況判定部15は、記憶部12におけるデータセット「6」が更新された場合、データセット「6」に含まれる、走行予定経路の地形を示す情報、およびワイパーの作動状況を示す情報に基づいて、河川の水位上昇による、橋の上に位置する車両10の水没が生じる可能性について判断する。
【0077】
車両状況判定部15は、上述した各種類の車両10の状況について、たとえば、当該状況が生じる可能性を複数の段階に分けて判断する。具体的には、車両状況判定部15は、当該状況が生じる確率が閾値Th1未満である場合は危険の度合いが「低」であると判断し、当該確率が閾値Th1以上かつ閾値Th2(>Th1)未満である場合は危険の度合いが「中」であると判断し、当該確率が閾値Th2以上である場合は危険の度合いが「高」であると判断する。
【0078】
そして、車両状況判定部15は、たとえば、判断した車両10の状況、および当該状況が生じる可能性、すなわち危険の度合いを示す判断結果情報を処理部13へ出力する。
【0079】
なお、車両状況判定部15は、2つの閾値Th1,Th2を用いて3段階の危険の度合いを判断する構成に限らず、2または4以上の段階に分けて危険の度合いを判断してもよい。
【0080】
また、車両状況判定部15は、自然環境に起因する車両10の状況および危険の度合いに加えて、たとえば、当該状況が生じ得るエリア、時刻、および当該状況への対処法のうちの少なくともいずれか1つを判断結果情報に含めてもよい。
【0081】
[車載装置による処理Pの具体例]
(運転者への通知)
処理部13における制御部22は、たとえば、判断結果情報の示す危険の度合いが「中」または「高」である場合に処理Pを行い、当該危険の度合いが「低」である場合は処理Pを行わない。
【0082】
また、制御部22は、たとえば、車両状況判定部15からの判断結果情報の示す危険の度合いに応じて異なる内容の処理Pを行う。
【0083】
具体的には、制御部22は、判断結果情報の示す危険の度合いが「中」である場合、たとえば、当該判断結果情報の内容が車両10におけるモニタに表示されるように、ナビゲーション装置である機器103に対応する車内通信部11へ制御情報を出力する。
【0084】
また、制御部22は、判断結果情報の示す危険の度合いが「高」である場合、たとえば、当該判断結果情報の内容が車両10におけるモニタに表示され、かつ当該内容が音声により出力されるように、ナビゲーション装置である機器103に対応する車内通信部11へ制御情報を出力する。
【0085】
車内通信部11は、制御部22から出力された制御情報を受けると、当該制御情報を自己に対応する機器103、すなわちナビゲーション装置へ送信する。
【0086】
ナビゲーション装置である機器103は、車載装置101から送信された制御情報を受信すると、当該制御情報に従い、判断結果情報の内容をモニタに表示したり、音声出力を行ったりする。
【0087】
(走行予定経路の変更)
制御部22は、たとえば、判断結果情報の示す危険の度合いが「高」である場合、処理Pとして、当該判断結果情報の示す状況が生じ得るエリアを迂回するように、車両10の走行予定経路を変更させるための制御情報を、ナビゲーション装置である機器103に対応する車内通信部11へ出力してもよい。
【0088】
車内通信部11は、制御部22から出力された制御情報を受けると、当該制御情報を自己に対応する機器103、すなわちナビゲーション装置へ送信する。
【0089】
ナビゲーション装置である機器103は、たとえば、車載装置101から送信された制御情報を受信すると、当該制御情報に従って車両10の走行推奨経路の変更を行う。
【0090】
[動作の流れ]
次に、車両管理システム301における各装置の動作の流れについて図面を用いて説明する。
【0091】
車両管理システム301における各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態でまたは通信回線を介して流通する。
【0092】
(車両関連情報の送信頻度の変更(車載装置による処理Pの具体例))
図4は、本開示の実施の形態に係る車載装置における制御部による車両関連情報の送信頻度の変更動作のシーケンスの一例を示す図である。図4では、1つの機器103を代表的に示している。
【0093】
図4を参照して、制御部22は、処理Pとして、車両状況判定部15からの判断結果情報の内容に応じて、機器103から車載装置101への車両関連情報の送信頻度を変更してもよい。たとえば、制御部22は、データセットごとに、機器103から車載装置101への車両関連情報の送信頻度を変更する。
【0094】
具体的には、まず、車載装置101は、情報要求をデータセット「1」に対応する各機器103へ送信する(ステップS11)。
【0095】
次に、各機器103は、車載装置101から情報要求を受信して、最新の車両関連情報を車載装置101へ送信する(ステップS12)。
【0096】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「低」であると判断する(ステップS13)。
【0097】
次に、車載装置101は、ステップS11において情報要求を送信したタイミングから第1の所定時間後に、情報要求を各機器103へ送信する。ここでは、第1の所定時間は1秒であるとする(ステップS14)。
【0098】
次に、各機器103は、車載装置101から情報要求を受信して、最新の車両関連情報を車載装置101へ送信する(ステップS15)。
【0099】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「低」であると判断する(ステップS16)。
【0100】
次に、車載装置101は、ステップS14において情報要求を送信したタイミングから第1の所定時間後に、情報要求を各機器103へ送信する(ステップS17)。
【0101】
次に、各機器103は、車載装置101から情報要求を受信して、最新の車両関連情報を車載装置101へ送信する(ステップS18)。
【0102】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「中」であると判断する(ステップS19)。
【0103】
この場合、車載装置101における制御部22は、データセット「1」の取得頻度すなわち機器103から車載装置101への車両関連情報の送信頻度を変更し、取得部21に指示する。取得部21は、制御部22の指示に従い、たとえば、ステップS17において情報要求を送信したタイミングから第2の所定時間後に、情報要求を各機器103へ送信する。ここでは、第2の所定時間は0.5秒であるとする(ステップS20)。
【0104】
次に、各機器103は、車載装置101から情報要求を受信して、最新の車両関連情報を車載装置101へ送信する(ステップS21)。
【0105】
ステップS22~ステップS24の動作は、それぞれステップS19~ステップS21の動作と同様である。
【0106】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「高」であると判断する(ステップS25)。
【0107】
この場合、車載装置101における制御部22は、上述したように、判断結果情報の示す状況が生じ得るエリアを迂回するように、車両10の走行予定経路を変更させるための制御情報をナビゲーション装置に対応する車内通信部11へ出力する等の処理Pを行う(ステップS26)。
【0108】
なお、取得部21は、データセットごとに車両関連情報を取得する構成に限らず、たとえば、定期的または不定期に、すべての車両関連情報を取得してもよい。この場合、取得部21は、たとえば、取得した複数の車両関連情報を複数のデータセットに分けて記憶部12に保存する。そして、車両状況判定部15は、記憶部12における各データセットを用いた車両状況判断を行う。
【0109】
図5は、本開示の実施の形態に係る車載装置が車両状況判断を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。図5を参照して、まず、車載装置101は、車両状況判断に用いるべきデータセットを選択する(ステップS101)。
【0110】
次に、車載装置101は、選択したデータセット(以下、対象データセットとも称する。)に対応する各機器103へ情報要求を送信する。ここでは、情報要求の送信が定期的に行われるとする(ステップS102)。
【0111】
次に、車載装置101は、各機器103から送信された車両関連情報とIDとの組を受信する(ステップS103)。
【0112】
次に、車載装置101は、受信した各車両関連情報すなわち対象データセットに基づいて、車両10の車両状況判断、具体的には、たとえば、車両10の状況および危険の度合いを判断する(ステップS104)。
【0113】
車載装置101は、危険の度合いが「低」である場合(ステップS105でYES)、情報要求の送信周期Tを初期値に設定する。情報要求の送信周期Tの初期値は、たとえば1秒であるとする。ここで、車載装置101は、情報要求の送信周期Tを後述するように0.5秒に変更した後、危険の度合いが「低」であると判断した場合には、送信周期Tを1秒に戻す(ステップS106)。
【0114】
一方、車載装置101は、判断した危険の度合いが「中」である場合(ステップS105でNOおよびステップS108でYES)、たとえば、判断結果の内容を車両10におけるモニタに表示し、かつ情報要求の送信周期Tを変更する処理Pを行う。たとえば、車載装置101は、情報要求の送信周期Tを1秒から0.5秒へ変更する。ここで、車載装置101は、情報要求の送信周期Tを0.5秒に変更済である場合には、送信周期Tの値を維持する(ステップS109)。
【0115】
次に、車載装置101は、情報要求を送信したタイミングから送信周期Tの時間が経過するまで待機し(ステップS107でNO)、送信周期Tの時間が経過すると(ステップS107でYES)、対象データセットに対応する各機器103へ情報要求を送信する(ステップS102)。
【0116】
他方、車載装置101は、判断した危険の度合いが「高」である場合(ステップS108でNO)、たとえば、判断結果の内容を車両10におけるモニタに表示するとともに当該内容を音声により出力し、かつ車両の走行推奨経路を変更する等の処理Pを行う(ステップS110)。
【0117】
[変形例1]
車両管理システム301は、車載装置101における機器103から自然環境情報を取得する代わりに、管理サーバ151が自然環境情報を取得し、車載装置101へ送信する構成であってもよい。
【0118】
より詳細には、図1および図2を参照して、管理サーバ151は、自然環境情報を取得し、外部ネットワーク161経由で当該車載装置101へ送信する。自然環境情報は、たとえば、太陽の位置および高度を推定するための元情報、天候情報、ならびに、地形等を示す地図情報のうちの少なくともいずれか1つである。
【0119】
車両10において、車外通信装置102は、WiFi(登録商標)またはLTE(登録商標)(Long Term Evolution)等の通信方式に従って、図示しない無線基地局と無線通信を行うことにより、図1に示す外部ネットワーク161経由で管理サーバ151と通信を行う。
【0120】
車外通信装置102は、管理サーバ151から送信された自然環境情報を外部ネットワーク161経由で受信すると、当該自然環境情報を車載装置101へ送信する。
【0121】
車載装置101における車外入出力部14は、車外通信装置102から送信された自然環境情報を受信すると、当該自然環境情報を処理部13へ出力する。
【0122】
処理部13における取得部21は、車外入出力部14から出力された自然環境情報を受けると、当該自然環境情報を記憶部12に保存する。
【0123】
車両状況判定部15は、記憶部12に保存されたデータセット、すなわち、管理サーバ151からの自然環境情報、および1または複数の機器103からの、自然環境情報以外の車両関連情報に基づいて、車両10の車両状況判断を行い、判断結果を示す判断結果情報を処理部13へ出力する。なお、車両状況判定部15は、管理サーバ151からの自然環境情報、ならびに各機器103からの、自然環境情報および自然環境情報以外の車両関連情報に基づいて車両状況判断を行う構成であってもよい。
【0124】
図6は、本開示の実施の形態に係る車載装置の変形例1が車両状況判断を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。図6は、雪道かつ登り勾配を有する道路における車両10の立ち往生が生じる可能性についての判断例を示している。
【0125】
図6を参照して、まず、車載装置101は、対象データセットとして、機器103からの、車両10の現在位置、車両10の走行予定経路を示す情報および加速度センサの計測値を示す情報と、管理サーバ151からの地図情報とを取得する(ステップS51)。
【0126】
次に、車載装置101は、取得した各情報を参照し、車両10の現在位置から5km等の一定範囲内に、たとえば高度500m以上の危険を誘発する地形状況が存在し(ステップS52でYES)、かつ加速度センサの値が0.2G等の所定の閾値Th11未満である場合(ステップS53でYES)、路面がかなり滑りやすくなっており、危険の度合いが「高」であると判断する(ステップS54)。
【0127】
一方、車載装置101は、取得した各情報を参照し、車両10の現在位置から5km等の一定範囲内に、たとえば高度500m以上の危険を誘発する地形状況が存在し(ステップS52でYES)、また、加速度センサの値が0.2G等の所定の閾値Th11以上(ステップS53でNO)かつ0.4G等の閾値Th12未満である場合(ステップS54でYES)、路面がある程度滑りやすくなっており、危険の度合いが「中」であると判断する(ステップS56)。
【0128】
他方、車載装置101は、車両10の現在位置から5km等の一定範囲内に、たとえば高度500m以上の危険を誘発する地形状況が存在しないか(ステップS52でNO)、または加速度センサの値が閾値Th12以上である場合(ステップS55でNO)、危険の度合いが「低」であると判断する(ステップS57)。
【0129】
[変形例2]
機器103は、車載装置101から情報要求を受信するたびに車両関連情報を車載装置101へ送信する構成に限らず、自律的に車両関連情報を車載装置101へ送信する構成であってもよい。
【0130】
図7は、本開示の実施の形態に係る車載装置における通信制御部による車両関連情報の送信頻度の変更動作のシーケンスの一例を示す図である。図7では、1つの機器103を代表的に示している。図7を参照して、制御部22は、処理Pとして、車両状況判定部15からの判断結果情報の内容に応じて、機器103から車載装置101への車両関連情報の送信周期Tを当該機器103に指示する構成であってもよい。
【0131】
具体的には、まず、各機器103は、第1の所定時間の送信周期Tで、データセット「1」を構成する最新の車両関連情報を車載装置101へ送信する。ここでは、第1の所定時間は1秒であるとする(ステップS11)。
【0132】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「低」であると判断する。この場合、車載装置101は、現在の送信周期Tを維持し、情報要求を送信しない(ステップS12)。
【0133】
次に、各機器103は、ステップS11において車両関連情報を送信したタイミングから第1の所定時間後に、最新の車両関連情報を各機器103へ送信する(ステップS13)。
【0134】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「低」であると判断する。この場合、車載装置101は、現在の送信周期Tを維持し、情報要求を送信しない(ステップS14)。
【0135】
次に、各機器103は、ステップS13において車両関連情報を送信したタイミングから第1の所定時間後に、最新の車両関連情報を各機器103へ送信する(ステップS15)。
【0136】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「中」であると判断する(ステップS16)。
【0137】
この場合、車載装置101における制御部22は、データセット「1」の取得頻度すなわち機器103から車載装置101への車両関連情報の送信頻度を変更し、取得部21に指示する。取得部21は、制御部22の指示に従い、たとえば、送信周期Tを第2の所定時間に変更すべき旨を示す情報要求を各機器103へ送信する。ここでは、第2の所定時間は0.5秒であるとする(ステップS17)。
【0138】
次に、各機器103は、車載装置101から情報要求を受信して、車両関連情報の送信周期Tを第2の所定時間に変更する。各機器103は、ステップS15において車両関連情報を送信したタイミングから第2の所定時間後に、最新の車両関連情報を各機器103へ送信する(ステップS18)。
【0139】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「中」であると判断する。この場合、車載装置101は、現在の送信周期Tを維持し、情報要求を送信しない(ステップS19)。
【0140】
次に、各機器103は、ステップS18において車両関連情報を送信したタイミングから第2の所定時間後に、最新の車両関連情報を各機器103へ送信する(ステップS20)。
【0141】
次に、車載装置101は、各機器103からの車両関連情報であるデータセット「1」に基づいて車両状況判断を行い、危険の度合いが「高」であると判断する(ステップS21)。
【0142】
この場合、車載装置101における制御部22は、上述したように、判断結果情報の示す状況が生じ得るエリアを迂回するように、車両10の走行予定経路を変更させるための制御情報をナビゲーション装置に対応する車内通信部11へ出力する等の処理Pを行う(ステップS22)。
【0143】
[変形例3]
車載装置101は、機器103による車両関連情報の送信動作を、周期的な送信と情報要求に対する応答送信との間で切り替える構成であってもよい。
【0144】
たとえば、車載装置101における制御部22は、車両状況判定部15により危険の度合いが「低」であると判断された場合、取得部21に指示して第1の情報要求を各機器103へ送信させることにより、当該各機器103から車両関連情報を周期的に送信させる。
【0145】
そして、制御部22は、車両状況判定部15により危険の度合いが「中」であると判断した場合、取得部21に指示して第2の情報要求を各機器103へ送信させることにより、当該各機器103に、車両関連情報の周期的な送信を停止させ、かつ車載装置101からの次回以降の情報要求に応答して車両関連情報を送信させる。
【0146】
[変形例4]
車載装置101は、管理サーバ151等の外部装置から受信した更新データに基づいて、上述のような各処理の内容を変更する構成であってもよい。
【0147】
より詳細には、たとえば、取得部21は、車外通信装置102および車外入出力部14経由で外部装置から受信した更新データに基づいて、記憶部12のデータを更新する。
【0148】
車両状況判定部15は、記憶部12における更新後のデータに基づいて、たとえば、上述のような各閾値の値を変更する。また、車両状況判定部15は、記憶部12における更新データ、たとえば更新後の対応テーブルTに基づいて、車両状況判断の内容を変更する。
【0149】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0150】
10 車両
11 車内通信部
12 記憶部
13 処理部
14 車外入出力部
15 車両状況判定部
21 取得部
22 制御部
101 車載装置
102 車外通信装置
103 機器
151 管理サーバ
161 外部ネットワーク
201 車載通信システム
301 車両管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7