(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153703
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】ソーセージ状ペットフードの製造方法およびソーセージ状ペットフード
(51)【国際特許分類】
A23K 10/26 20160101AFI20231011BHJP
A23K 50/48 20160101ALI20231011BHJP
A23K 40/30 20160101ALI20231011BHJP
【FI】
A23K10/26
A23K50/48
A23K40/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063127
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】517430037
【氏名又は名称】株式会社フロム
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】徳永 淳
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA04
2B150AA06
2B150AB04
2B150AE16
2B150AE26
2B150BE04
2B150CD06
(57)【要約】
【課題】ペットの食欲を増進させることのできるソーセージ状ペットフードの製造方法およびソーセージ状ペットフードを提供する。
【解決手段】ソーセージ状ペットフードを製造するに際し、ソーセージ状ペットフードの原料に、凍らせたボーンブロスを加えて練混する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーセージ状ペットフードを製造するに際し、ソーセージ状ペットフードの原料に、凍らせたボーンブロスを加えて練混する工程を含むことを特徴とするソーセージ状ペットフードの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記ボーンブロスの含有割合を5重量%以上15重量%以下としたことを特徴とするソーセージ状ペットフードの製造方法。
【請求項3】
ソーセージ状ペットフードにおいて、5重量%以上15重量%以下のボーンブロスを含有することを特徴とするソーセージ状ペットフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーセージ状ペットフードの製造方法およびソーセージ状ペットフードに関するものである。より詳しくは、犬や猫等、ペットの食欲を増進させることのできるペットフード用のソーセージおよびその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットフード、例えばドッグフードは一般的に総合栄養食といわれ、それだけを与えれば問題なく生存できるフードとなっている。
しかし、ペットフードはコストや保存性の面での問題もあり、食いつきの悪いペット(犬、猫等)も多い。そのため、何かをトッピングしたり、すべてを手作りに切り替えるなど、苦労している飼い主も多い。
【0003】
一方、ソーセージ(ウインナーを含む)は通常、原料(主として肉)をミンチし、練りこんで粘度を生じさせた後、羊腸などのケーシングに充填することで製造される。この際、ジューシー感を出すために水を加えて練り込むことが知られている(例えば特許文献1の明細書0002段落、0018段落等)。
また、粘度を生む練りこみ工程の際、脂が解けないよう、原料に対して10%ほどの氷を加えて練りこむことも行われている(例えば特許文献2の明細書0007段落等)。
【0004】
しかし、例えばこれら文献に記載のソーセージは、人間が食するには良いかも知れないが、ペットフード用としては必ずしも適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4061509号公報
【特許文献2】特許第4640875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ペットの食欲を増進させることのできるソーセージ状ペットフードの製造方法およびソーセージ状ペットフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のソーセージ状ペットフードの製造方法は、
ソーセージ状ペットフードを製造するに際し、ソーセージ状ペットフードの原料に、凍らせたボーンブロスを加えて練混する工程を含むことを特徴とする。
【0008】
このソーセージ状ペットフードの製造方法は、上記の方法であるので、従来知られているソーセージの製造工程において水あるいは氷に代えて凍らせたボーンブロスを加えることができる。ボーンブロスは、骨ないし骨つき肉を煮込んだ出汁である。常温ではゼラチン状であるが、本発明では凍らせたボーンブロスを用いることで練混工程で脂が溶け難いようにすることができる。
【0009】
本発明のソーセージ状ペットフードの製造方法によれば、練混工程で脂が溶け難く、かつ常温時ではボーンブロスがゼラチン状となっていて取り扱いやすいソーセージ状ペットフードを得ることができる。
そして、ペットに給餌する際には、このソーセージ状ペットフードを加温すると、ボーンブロスが溶けて多くの肉汁が出る。したがって、例えば、ドライフード等と混ぜたりトッピングすると全体に香りと水分が浸透する。結果、食いつきのよい、温かいペットフードを簡単にペットに与えることができるようになる。
【0010】
以上のように、本発明のソーセージ状ペットフードの製造方法によれば、ペットの食欲を増進させることのできるソーセージ状ペットフードを製造することができる。
【0011】
このソーセージ状ペットフードの製造方法においては、
前記ボーンブロスの含有割合を5重量%以上15重量%以下とするのが望ましい。
このように構成すると、ペットの食いつきを増大させることができると同時に取り扱い易いソーセージ状ペットフードを得ることができる。
ボーンブロスの含有割合が5重量%未満であると、ドライフード等と混ぜたりトッピングした際の肉汁の量及び香りが少なくなってペットの食いつきが大きくは増大しない。
一方、ボーンブロスの含有割合が15重量%を越えると、ソーセージ内部で保水できず、ケーシングから水分が染み出てしまい、形状が保ちづらくなる。ふにゃふにゃの状態に近づき、取り扱いにくくなる。
これに対し、ボーンブロスの含有割合を5重量%以上15重量%以下とすることで、ペットの食いつきを増大させることができると同時に取り扱い易いソーセージ状ペットフードを得ることができる。
【0012】
また、上記課題を解決するために本発明のソーセージ状ペットフードは、
ソーセージ状ペットフードにおいて、5重量%以上15重量%以下のボーンブロスを含有することを特徴とする。
【0013】
本発明のソーセージ状ペットフードによれば、次のような作用効果が得られる。
ペットに給餌する際には、このソーセージ状ペットフードを加温すると、ボーンブロスが溶けて多くの肉汁が出る。したがって、例えば、ドライフード等と混ぜたりトッピングすると全体に香りと水分が浸透する。結果、食いつきのよい、温かいペットフードを簡単にペットに与えることができるようになる。
【0014】
以上のように、本発明のソーセージ状ペットフードによれば、ペットの食欲を増進させることができる。
【0015】
しかも、ボーンブロスの含有割合が5重量%以上15重量%以下となっているので、ペットの食いつきを増大させることができると同時に取り扱い易いソーセージ状ペットフードを得ることができる。
【0016】
なお、本発明はボーンブロスよりも量的に少ない水や氷の添加を完全に排除することを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】図(1)(2)(3)はそれぞれ本発明に係るソーセージ状ペットフードの実施例1,2,3の成分表を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るソーセージ状ペットフードの製造方法およびソーセージ状ペットフードの一実施の形態および一実施例について説明する。なお、本発明は、これら実施の形態ないし実施例に限定されるものではない。
【0019】
この実施の形態のソーセージ状ペットフードの製造方法ないしソーセージ状ペットフードは、牛肉、豚肉、馬肉、めん羊肉、山羊肉等の畜肉及び家兎、家禽肉等の食肉、および代替肉を原料肉とし、これに凍らせたボーンブロスを加える以外は通常のソーセージ類の製造方法に従って行うこともできる。例えば、食肉をチョッパーで約3~5mmの大きさにひき、凍らせたボーンブロス、食塩、調味料、香辛料等を加えてサイレントカッターを用いて練り肉とする。これを羊腸、豚腸、牛腸、コラーゲンケーシング、合成ケーシング等のケーシングに詰め、表面を乾燥させてスモークし、殺菌を目的として湯煮、蒸気等による加熱を行い、冷却することで製造することもできる。
【0020】
人間が食する一般的なソーセージは例えば上記のように食塩、調味料、香辛料、亜硝酸等の添加物を加えるが、ペットは塩分等を必要としない。また、ペットの健康を考慮するとともに、冷凍での保管を前提とすれば、食肉及び代替肉の主原料の他はボーンブロスのみを加える方法で製造することが望ましい。
【0021】
また、ケーシングとしては、山羊腸を用いることが望ましい。山羊腸は羊腸に比して丈夫で保水性が高いため、山羊腸を使用することが望ましい。
【0022】
なお、人間が食する一般的なソーセージはスモークする事が多いが、ソーセージ状ペットフードは、冷凍での保管を行うことが多いため、ノンスモークで製造することが望ましい。ただしスモークの行程を否定するものではない。
【0023】
<実施例1>
主原料(牛肉)90重量部、凍らせたボーンブロス10重量部をチョッパーにかけた後、カッターでカッティングしてペースト状とし、これを充填機を用いてケーシングに詰め、次いで、加熱、冷却を行ってソーセージ(本発明のソーセージ状ペットフード)を製造した。
この実施例1のソーセージに関し、近赤外線反射法による成分分析を福島県食品生産協同組合に依頼して得られた結果を
図1(1)に示す。
【0024】
<実施例2>
主原料(豚肉)90重量部、凍らせたボーンブロス10重量部をチョッパーにかけた後、カッターでカッティングしてペースト状とし、これを充填機を用いてケーシングに詰め、次いで、加熱、冷却を行ってソーセージ(本発明のソーセージ状ペットフード)を製造した。
この実施例2のソーセージに関し、近赤外線反射法による成分分析を福島県食品生産協同組合に依頼して得られた結果を
図1(2)に示す。
【0025】
<実施例3>
主原料(馬肉)90重量部、凍らせたボーンブロス10重量部をチョッパーにかけた後、カッターでカッティングしてペースト状とし、これを充填機を用いてケーシングに詰め、次いで、加熱、冷却を行ってソーセージ(本発明のソーセージ状ペットフード)を製造した。
この実施例3のソーセージに関し、近赤外線反射法による成分分析を福島県食品生産協同組合に依頼して得られた結果を
図1(3)に示す。
【0026】
以上のような実施例のソーセージ状ペットフードを電子レンジで加温しボーンブロスを溶かして肉汁とし、ドライフード上にトッピングして本件出願人の飼い犬に与えたところ、いずれの実施例についても、従来市販されているソーセージをドライフード上にトッピングして与えた場合に比べて、著しく食いつきが増大した。
【0027】
以上、本発明の一実施の形態および一実施例について説明したが、本発明は上記の実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。