(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153705
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】トランスファフィーダ
(51)【国際特許分類】
B21D 43/05 20060101AFI20231011BHJP
B30B 13/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
B21D43/05 J
B30B13/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063136
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】000238946
【氏名又は名称】株式会社エイチアンドエフ
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】細川 拓巳
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AA07
4E090AB01
4E090BA01
4E090BA02
4E090CC01
4E090EA01
4E090EB01
4E090EC01
4E090FA02
4E090GA03
4E090HA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】メンテナンスが容易で、シンプルな構造で、金型間の配置位置間のピッチが一定でない場合でもワークを搬送することができるトランスファフィーダを提供する。
【解決手段】トランスファプレス装置に用いられ、フィード方向Fに延びる一対のフィードバー1aと、フィードバー1aを駆動させるフィード駆動部11、リフト駆動部及びクランプ駆動部と、フィードバー1aに一定の間隔をおいて設けられた複数の取付部に取付けられたシフト部2と、ワークの保持部と、を有し、シフト部2が、取付部に着脱自在な基部と、基部に設けられた直動機構と、直動機構に取付けられたテーブル部と、直動機構を駆動させるシフト駆動源と、を有し、保持部がテーブル部に、着脱自在であり、直動機構の駆動に基づいてテーブル部がフィード方向Fに往復移動可能となっているトランスファフィーダ1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスファプレス装置に用いられるトランスファフィーダにおいて、
ワークの搬送方向をフィード方向とし、上下方向をリフト方向とし、フィード方向及びリフト方向に直交する幅方向をクランプ方向とした場合に、
フィード方向に延びる一対のフィードバーと、
前記フィードバーを前記フィード方向に駆動させるためのフィード駆動部と、
前記フィードバーを前記リフト方向に駆動させるためのリフト駆動部と、
前記フィードバーを前記クランプ方向に駆動させるためのクランプ駆動部と、
前記フィードバーに一定の間隔をおいて設けられた複数の取付部に取り付けられたシフト部と、
前記ワークを保持するための保持部と、
を有し、
前記シフト部が、前記取付部に着脱自在となるように取り付けられた基部と、
該基部に設けられた直動機構と、
該直動機構に取り付けられたテーブル部と、
該直動機構を駆動させるためのシフト駆動源と、
を有し、
前記保持部が前記テーブル部に、着脱自在となるように取り付けられており、
前記直動機構の駆動に基づいて前記テーブル部が前記基部に対して前記フィード方向に往復移動可能となっているトランスファフィーダ。
【請求項2】
前記シフト部を複数有し、
複数の前記シフト部が、それぞれ独立に、前記直動機構の駆動に基づいて前記テーブル部が前記基部に対して前記フィード方向に往復移動可能となっている請求項1記載のトランスファフィーダ。
【請求項3】
前記直動機構が、前記フィード方向に延びるネジ軸と、該ネジ軸にボールを介して取り付けられるナット部とを有するボールねじであり、
前記テーブルが前記ナット部に取り付けられており、
前記シフト駆動源が、サーボモータである請求項1記載のトランスファフィーダ。
【請求項4】
前記基部には、フィード方向に延びる案内レール部が設けられ、
前記テーブル部には、前記案内レールに取り付けられ該案内レールに沿って往復移動可能なスライド部が取り付け固定されており、
前記案内レール部が、前記ネジ軸の両側にそれぞれ設けられている請求項3記載のトランスファフィーダ。
【請求項5】
前記シフト部が、一端が前記基部に連結され他端が前記テーブル部に連結されたケーブルベアを更に備え、
前記テーブル部には、エアカプラが設けられており、
配線部が、前記フィードバー内部から前記ケーブルベアを通り、前記エアカプラを介して、前記保持部に連結されている請求項1~4のいずれか1項に記載のトランスファフィーダ。
【請求項6】
前記基部には、前記ケーブルベアを支持するためのケーブルベア用トレイが取り付けられており、
前記ケーブルベア用トレイが、上端が前記基部の側面に取り付けられる鉛直面部と、該鉛直面部の下端に連続する水平面部とからなる側面視L字状である請求項5記載のトランスファフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスファプレス装置に用いられ、メンテナンスが容易であり、シンプルな構造でありながら、金型間の配置位置間のピッチが一定でない場合であってもワークを搬送することができるトランスファフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
トランスファプレス装置は、1台に複数の金型が設置されており、ワークを順次搬送しながら各金型でプレス加工を行うことができる装置である。
そして、ワークの搬送には、いわゆるトランスファフィーダが用いられる。すなわち、トランスファフィーダは、プレス加工の1サイクルが終わると、各金型上のワークを保持し、隣の金型に搬送する機能を有する。
【0003】
かかるトランスファフィーダとしては、例えば、ムービングボルスタのワーク搬送方向両側に配置されたフレームと、ワーク搬送方向に平行に配置される一対のバーと、バーに支承されるフィードキャリアと、バーに設けられるとともに、フィードキャリアをワーク搬送方向に駆動するフィード駆動機構と、フレームに設けられるとともに、一対のバーをリフト方向に駆動して上下動させるリフト駆動機構と、フレームに設けられるとともに、一対のバーをワーク搬送方向に直交するクランプ方向に駆動するクランプ駆動機構と、フィードキャリアに着脱自在に設けられ、ワークを保持するワーク保持具とを備えたプレス機械のワーク搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかるワーク搬送装置においては、バーがリフト方向およびクランプ方向に駆動され、バーに支承されるフィードキャリアがフィード方向に駆動される。
【0004】
また、プレス機械に用いるワーク搬送装置であって、ワーク搬送方向に平行に配置され、ワークを保持するワーク保持具が着脱自在に取り付けられる一対のバーと、取り付けられたワーク保持具をワーク搬送方向に移動するフィード駆動機構と、ボルスタのワーク搬送方向の両側方に配置されたボックスと、ボックスに設けられ、一対のバーを上下方向に移動するリフト駆動機構と、ボックスを上下方向に移動する昇降部と、を備えた、ワーク搬送装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
かかるワーク搬送装置においては、バーがリフト方向およびクランプ方向に駆動され、バーに取り付けられるワーク保持具がフィード方向に駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-153016号公報
【特許文献2】国際公開第2016/063642号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載のワーク搬送装置においては、フィードキャリアをフィード方向に駆動させるためのフィード駆動装置がバー全体に設けられるため、フィードキャリアの駆動に不具合がある場合、バーを全体的に分解する必要がある。
同様に、上記特許文献2記載のワーク搬送装置においては、所定の位置にガイドレールやマグネット板をバー本体に設ける必要があるため、ワーク保持具の駆動に不具合がある場合は、バー本体を全体的に分解する必要がある。
このため、上記特許文献1及び2に記載のワーク搬送装置においては、交換等のメンテナンスに手間がかかるという欠点がある。
また、上記特許文献1記載のワーク搬送装置におけるフィードキャリアや上記特許文献2記載のワーク保持具に求められる移動距離が比較的大きく、その上、高速での移動であり、且つ、ワークを保持するタイミングが合うように移動させる必要があるため、全体の構造が複雑となる欠点がある。
【0007】
一方で、近年のプレス加工においては、金型の形状やワークの形状の複雑化に起因して、金型の配置位置間のピッチ(距離)が一定とならない場合が生じており、この場合においてもワークを搬送可能なトランスファフィーダが求められている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、メンテナンスが容易であり、シンプルな構造でありながら、金型間の配置位置間のピッチが一定でない場合であってもワークを搬送することができるトランスファフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、フィード方向への基本的な駆動をフィードバーが行い、その調整をシフト部が担うこととし、且つ、シフト部をフィードバーから着脱自在とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明は、トランスファプレス装置に用いられるトランスファフィーダにおいて、ワークの搬送方向をフィード方向とし、上下方向をリフト方向とし、フィード方向及びリフト方向に直交する幅方向をクランプ方向とした場合に、フィード方向に延びる一対のフィードバーと、フィードバーをフィード方向に駆動させるためのフィード駆動部と、フィードバーをリフト方向に駆動させるためのリフト駆動部と、フィードバーをクランプ方向に駆動させるためのクランプ駆動部と、フィードバーに一定の間隔をおいて設けられた複数の取付部に取り付けられたシフト部と、ワークを保持するための保持部と、を有し、シフト部が、取付部に着脱自在となるように取り付けられた基部と、該基部に設けられた直動機構と、該直動機構に取り付けられたテーブル部と、該直動機構を駆動させるためのシフト駆動源と、を有し、保持部がテーブル部に、着脱自在となるように取り付けられており、直動機構の駆動に基づいてテーブル部が基部に対してフィード方向に往復移動可能となっているトランスファフィーダである。
【0011】
本発明においては、シフト部を複数有し、複数のシフト部が、それぞれ独立に、直動機構の駆動に基づいてテーブル部が基部に対してフィード方向に往復移動可能となっていることが好ましい。
【0012】
本発明においては、直動機構が、フィード方向に延びるネジ軸と、該ネジ軸にボールを介して取り付けられるナット部とを有するボールねじであり、テーブルがナット部に取り付けられており、シフト駆動源が、サーボモータであることが好ましい。
このとき、基部に、フィード方向に延びる案内レール部が設けられ、テーブル部に、案内レールに取り付けられ該案内レールに沿って往復移動可能なスライド部が取り付け固定されており、案内レール部が、ネジ軸の両側にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明においては、シフト部が、一端が基部に連結され他端がテーブル部に連結されたケーブルベア(登録商標)を更に備え、テーブル部に、エアカプラが設けられており、配線部が、フィードバー内部からケーブルベアを通り、エアカプラを介して、保持部に連結されていることが好ましい。
【0014】
本発明においては、基部に、ケーブルベアを支持するためのケーブルベア用トレイが取り付けられており、ケーブルベア用トレイが、上端が基部の側面に取り付けられる鉛直面部と、該鉛直面部の下端に連続する水平面部とからなる側面視L字状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトランスファフィーダにおいては、シフト部のテーブル部が基部に対してフィード方向に往復移動可能となっているので、当該シフト部により、ワークの搬送位置を調整することができる。すなわち、フィード方向への基本的な駆動をフィードバーが行い、金型の配置位置に合わせた精密な搬送位置の調整をシフト部が担うことができる。これにより、シフト部のフィードバー方向へのストロークを小さくすることができるので、シフト部自体を小型化することができる。
したがって、トランスファフィーダによれば、シンプルな構造でありながら、金型の配置位置間のピッチが一定でない場合であっても、保持部同士が干渉することなく、ワークを搬送することが可能となる。
ちなみに、金型の配置位置間のピッチが一定でない場合、上記特許文献2記載のワーク搬送装置においては、ワークを搬送することができず、上記特許文献1記載のワーク搬送装置においては、各フィードキャリアの単独移動制御が可能であるものの、エラー等により、隣合うフィードキャリア間で干渉する恐れがある。
【0016】
また、上記トランスファフィーダは、シフト部自体を大きく移動させるものではないので、高速での搬送が可能となり、ワークを保持するための制御もシンプルとすることができる。
また、シフト部がフィードバーから着脱自在となっているので、メンテナンスが容易である。例えば、フィード方向におけるシフト部の駆動に不具合がある場合は、フィードバー全体を分解することなく、不具合のあるシフト部のみを交換すればよい。
また、シフト部によるワークの搬送位置の調整が不要な場合は、シフト部を取り外して、一般の保持部を用いることにより、フィードバーに付与される重量負荷を軽減することができる。
【0017】
本発明のトランスファフィーダにおいては、複数のシフト部が、それぞれ独立に、直動機構の駆動に基づいてテーブル部が基部に対してフィード方向に往復移動可能となっている場合、金型の配置位置間のピッチに応じた搬送位置の調整が各シフト部で可能となるため、使用可能な金型の形状等の制限を大幅に緩和することができる。すなわち、金型の設計の自由度をより向上させることができる。
【0018】
本発明のトランスファフィーダにおいては、直動機構としてボールねじを用い、シフト駆動源としてサーボモータを用いることにより、比較的軽量で、シンプルな構造でありながら、テーブル部の位置を高精度で制御することができる。
このとき、案内レール部をネジ軸の両側にそれぞれ設け、これに、スライド部を介して、テーブル部を案内させることにより、テーブル部に保持部が付与されたとしても、該保持部の重量に基づくブレ等を抑制し、テーブル部をスムーズに移動させることが可能となる
【0019】
本発明のトランスファフィーダにおいては、配線部を、フィードバー内部からケーブルベアを通り、エアカプラを介して、保持部に連結させることにより、シフト部毎に配線がまとめられるので、ワークの搬送時に、配線部が邪魔になることを抑制することができる。
また、配線部の混雑に起因するエラーが発生することを防止することができる。
このとき、基部に、鉛直面部と、水平面部とからなる側面視L字状であるケーブルベア用トレイを取り付けることにより、ケーブルベアを当該ケーブルベア用トレイに収容させることで、ケーブルベアを支持することができ、ワークの搬送時に、ケーブルベアが邪魔になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るトランスファフィーダが取り付けられたトランスファプレス装置を示す概略正面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るトランスファフィーダの一部を示す斜視図である。
【
図3(a)】
図3(a)は、
図2に示すトランスファフィーダにおける駆動部のA1矢視図である。
【
図3(b)】
図3(b)は、
図2に示すトランスファフィーダにおける駆動部のB1矢視図である。
【
図4(a)】
図4(a)は、
図3(a)に示す駆動部のA2矢視図である。
【
図4(b)】
図4(b)は、
図3(b)に示す駆動部のB2矢視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るフィードバーのシフト部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すシフト部とフィードバーと配線部との関係を説明するための斜視説明図である。
【
図7】
図7の(a)は、本実施形態に係るトランスファフィーダにおいて、金型の配置位置間のピッチが一定でない場合のフィード前の金型との位置関係を説明するための上面図であり、
図7の(b)は、本実施形態に係るトランスファフィーダにおいて、金型の配置位置間のピッチが一定でない場合のフィード後の金型との位置関係を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0022】
本発明に係るトランスファフィーダは、トランスファプレス装置に用いられ、フィード方向、リフト方向及びクランプ方向の三次元に移動可能な、いわゆる三次元トランスファフィーダである。
なお、本明細書においては、ワークの搬送方向を「フィード方向」とし、上下方向を「リフト方向」とし、フィード方向及びリフト方向に直交する幅方向を「クランプ方向」としている。
また、「上流側」とは、ワークの搬送方向(フィード方向)における上流側を意味し、「下流側」とは、ワークの搬送方向(フィード方向)における下流側を意味する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るトランスファフィーダが取り付けられたトランスファプレス装置を示す概略正面図である。なお、
図1中、紙面左側が上流側であり、紙面右側が下流側である。
すなわち、ワーク(図示しない)は矢印Aの方向に搬送される。
トランスファプレス装置100は、ベッド3と、ベッド3の上面に取り付けられたボルスタ3aと、ベッド3の四隅に立設されたアプライト4と、アプライト4に支持されるクラウン5と、クラウン5に内蔵された駆動機構(図示しない)と、駆動機構に吊設されたスライド6と、スライド6の下面に取り付けられた複数の上金型7aと、上金型7aに対応するようにボルスタ3aの上面に取り付けられた複数の下金型7bと、ワーク(図示しない)を搬送するためのトランスファフィーダ1とを有する。
なお、上金型7aとそれに対応する下金型7bとの組み合わせを単に「金型」ともいう。
ここで、駆動機構としては特に限定されないが、例えば、クランク機構を用いた機械式、液体に圧力をかけて動作させる液圧式、サーボモータを用いたサーボモータ式等の駆動機構を採用することができる。
なお、トランスファプレス装置100の構造は、公知であるので、各構成の詳細な説明については省略する。
【0024】
トランスファプレス装置100においては、駆動機構が上死点にあるスライド6を下死点まで下降移動させることにより、それぞれの上金型7aと下金型7bとの間でワークがプレスされる。
そして、プレス加工後、駆動機構は下死点にあるスライド6を上死点まで上昇移動させる。
トランスファプレス装置100においては、このサイクルが繰り返し行われる。
【0025】
このとき、プレス加工後、次のプレス加工が施されるまでの間に、トランスファフィーダ1は、プレス加工が施された各下金型7b上のワークを、下流側の隣に位置する下金型7bに同時に搬送する。これにより、ワークは、各金型で順次プレス加工が施されることになる。
なお、新たなワークの最上流側に位置する下金型7bへの搬入、及び、最下流側に位置する下金型7b上のワークのトランスファ装置100の外への搬出は、別途、公知の搬送ロボット(図示しない)により行われる。
【0026】
図2は、本実施形態に係るトランスファフィーダの一部を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すトランスファプレス装置の一部を取り出したものであり、具体的には、ベッド3、ボルスタ3a、トランスファフィーダ1及びアプライト4の一部を取り出して示したものである。なお、スライド6、上金型7a、下金型7b、手前側のアプライト4、トランスファフィーダ1のうち保持部等の記載を省略している。
図2に示すように、トランスファフィーダ1は、フィード方向Fに延びる一対のフィードバー1aと、フィードバー1aをフィード方向Fに駆動させるためのフィード駆動部11と、フィードバー1aをリフト方向Lに駆動させるためのリフト駆動部と、フィードバー1aをクランプ方向Cに駆動させるためクランプ駆動部と、フィードバー1aに一定の間隔をおいて設けられた複数の取付部に取り付けられたシフト部2と、ワークを保持するための保持部(
図6参照)と、を有する。
【0027】
一対のフィードバー1aは、何れも、中空の細長い四角柱状であり、後述する配線部が内蔵されている。
そして、一対のフィードバーの上面には、何れも、後述するシフト部2を取り付けるための取付部が設けられる。なお、シフト部2を取り付け可能とした位置が取付部であり、具体的には、例えば、シフト部2をボルト等の取付具で取り付けるための取付穴を設けた位置周辺が取付部1bとなる(
図6参照)。
かかる取付部1bは、フィードバー1aの任意の位置に設けることができる。
例えば、金型の位置に対応するように所定の間隔をおいて配置することが好ましい。
なお、シフト部を取り外して使う場合等、保持部を直接フィードバー1aに取り付けるためのネジ穴をフィードバー1aの任意の位置に更に設けてもよい。
【0028】
フィード駆動部11は、フィード本体部11aと、フィード本体部11aの下端に設けられたフィードガイド部11cと、フィードバー1aの先端部分に取り付け固定され、フィード方向Fに延びるフィードレール部11bと、フィード本体部11aに取り付けられたフィード用サーボモータ11dとを有する。
フィード駆動部11においては、フィードレール部11bにフィードガイド部11cが取り付けられており、フィード用サーボモータ11dの駆動により、フィードレール部11bが、フィードバー1aと一体となって、フィードガイド部11cに対して、フィード方向Fに移動するようになっている。
すなわち、フィード駆動部11は、フィードバー1aをフィード方向Fに移動させる。
【0029】
図3(a)は、
図2に示すトランスファフィーダにおける駆動部のA1矢視図であり、
図3(b)は、
図2に示すトランスファフィーダにおける駆動部のB1矢視図である。
なお、
図3(a)及び
図3(b)においては、必要に応じて外枠等を透過させて図示している。
クランプ駆動部13は、フィードバー1aの上流側端部近傍に取り付けられた上流側クランプ駆動部131と、フィードバー1aの下流側端部近傍に取り付けられた下流側クランプ駆動部132とからなる。
すなわち、フィードバー1aは、その両側でクランプ方向Cに駆動される。
【0030】
図3(a)に示すように、上流側クランプ駆動部131は、一方側のフィードバー1aに取り付けられた第1上流側クランプ支持部131aと、該第1上流側クランプ支持部131aに取り付けられた第1上流側クランプガイド部131cと、ベッド3に内蔵され、クランプ方向Cに延びる第1上流側クランプベルト部131bと、第1上流側クランプベルト部131bを駆動するための第1上流側クランプ駆動プーリ131dとを有する構造体、及び、他方側のフィードバー1aに取り付けられた第2上流側クランプ支持部131aと、該第2上流側クランプ支持部131aに取り付けられた第2上流側クランプガイド部131cと、ベッド3に内蔵され、クランプ方向Cに延びる第2上流側クランプベルト部131bと、第2上流側クランプベルト部131bを駆動するための第2上流側クランプ駆動プーリ131dとを有する構造体、を含む。
なお、一方側のフィードバー1aに取り付けられた構造体と、他方側のフィードバー1aに取り付けられた構造体とは対照となっていること以外は同じで構造である。
上流側クランプ駆動部131においては、第1上流側クランプベルト部131b及び第2上流側クランプベルト部131bが同期して反対方向に駆動するようになっている。これにより、第1上流側クランプガイド部131c及び第2上流側クランプガイド部131cが、それぞれ対応するフィードバー1aと一体となって、クランプ方向Cに移動するようになっている。
【0031】
図3(b)に示すように、下流側クランプ駆動部132は、一方側のフィードバー1aに取り付けられた第1下流側クランプ支持部132aと、該第1下流側クランプ支持部132aに取り付けられた第1下流側クランプガイド部132cと、クランプ方向Cに延びる第1下流側クランプベルト部132bと、第1下流側クランプベルト部132bを駆動するための第1下流側クランプ駆動プーリ132dとを有する構造体、及び、他方側のフィードバー1aに取り付けられた第2下流側クランプ支持部132aと、該第2下流側クランプ支持部132aに取り付けられた第2下流側クランプガイド部132cと、クランプ方向Cに延びる第2下流側クランプベルト部132bと、第2下流側クランプベルト部132bを駆動するための第2下流側クランプ駆動プーリ132dとを有する構造体、を含む。なお、一方側のフィードバー1aに取り付けられた構造体と、他方側のフィードバー1aに取り付けられた構造体とは対照となっていること以外は同じで構造である。
下流側クランプ駆動部132においては、第1下流側クランプベルト部132b及び第2下流側クランプベルト部132bが同期して反対方向に駆動するようになっている。これにより、第1下流側クランプガイド部132c及び第2下流側クランプガイド部132cが、それぞれ対応するフィードバー1aと一体となって、クランプ方向Cに移動するようになっている。
したがって、クランプ駆動部13においては、上流側クランプ駆動部131及び下流側クランプ駆動部132が同期して、フィードバー1aをクランプ方向Cに往復移動させることが可能となっている。
【0032】
図4(a)は、
図3(a)に示す駆動部のA2矢視図であり、
図4(b)は、
図3(b)に示す駆動部のB2矢視図である。なお、
図4(a)及び
図4(b)においては、必要に応じて外枠等を透過させて図示している。
リフト駆動部12は、フィードバー1aの上流側端部近傍に取り付けられた上流側リフト駆動部121と、フィードバー1aの下流側端部近傍に取り付けられた下流側リフト駆動部122とからなる。
すなわち、フィードバー1aは、その両側でリフト方向Lに駆動される。
【0033】
図4(a)に示すように、上流側リフト駆動部121は、上流側クランプ駆動部131を下から支持するように設けられたリフト方向Lに延びる一対の上流側ラック121aと、該上流側ラック121aにそれぞれ取り付けられた上流側ピニオン121bと、上流側ピニオン121bを回動させるための上流側リフト駆動モータ121d(
図3(a)参照)と、を有する。
一対の上流側ピニオン121bは、何れも、非回転部分がベッド3内部に固定されており、上流側リフト駆動モータ121dにより歯車部分が回転自在となっている。そして、一対の上流側ピニオン121bは、歯車部分が互いに噛合されている。これにより、上流側リフト駆動モータ121dが上流側ピニオン121bを回転させると、一対の上流側ピニオン121bは、互いに反対方向に回転するので、一対の上流側ラック121aは、上流側クランプ駆動部131と一体となって、リフト方向Lの同じ方向に移動するようになっている。
【0034】
図4(b)に示すように、下流側リフト駆動部122は、下流側クランプ駆動部132を吊持するように設けられたリフト方向Lに延びる一対の下流側ラック122aと、該下流側ラック122aにそれぞれ取り付けられた下流側ピニオン122bと、下流側ピニオン122bを回動させるための下流側リフト駆動モータ122d(
図3(b)参照)と、を有する。
一対の下流側ピニオン122bは、何れも、非回転部分が隣合うアプライト4に架設されたフレームFRに固定されており(
図2参照)、下流側リフト駆動モータ122dにより歯車部分が回転自在となっている。そして、一対の下流側ピニオン122bは、歯車部分が互いに噛合されている。これにより、下流側リフト駆動モータ122dが下流側ピニオン122bを回転させると、一対の下流側ピニオン122bは、互いに反対方向に回転するので、一対の下流側ラック122aは、下流側クランプ駆動部132と一体となって、リフト方向Lの同じ方向に移動するようになっている。
したがって、リフト駆動部12においては、上流側リフト駆動部121及び下流側リフト駆動部122が同期して、フィードバー1aをリフト方向Lに往復移動させることが可能となっている。
【0035】
これらのことにより、トランスファフィーダ1は、三次元的に移動し、ワークを搬送させている。
具体的には、一対のフィードバー1aは、まず、クランプ駆動部13によりワークを保持するために内側方向に移動し、ワークを保持する。
次いで、リフト駆動部12によりワークを持ち上げるために上昇し、フィード駆動部11により隣の金型まで搬送するために下流側に移動し、リフト駆動部12によりワークをその金型に配置するために下降する。
そして、ワークを解放した後、クランプ駆動部13によりワークから退避ために外側方向に移動し、フィード駆動部13により上流側に移動して元の位置に戻る、という一連のサイクルで駆動する。
【0036】
シフト部2は、各フィードバー1aそれぞれに、一定の間隔をおいて複数設けられる。
なお、一方側のフィードバー1aに取り付けられている複数のシフト部2は、後述の
図5に示すシフト部と全て同じ構造であり、他方側のフィードバー1aに取り付けられている複数のシフト部2は、
図5に示すシフト部と面対称になっていること以外は、全て同じ構造となっている。
また、各シフト部2は、互いに独立しており、フィードバー1aの取付部1bに対して、それぞれが着脱自在となるように取り付けられている。
【0037】
これにより、例えば、シフト部2のフィード方向Fへの駆動に不具合がある場合は、フィードバー1a全体を分解することなく、不具合のあるシフト部2のみを交換すればよいので、メンテナンスが容易となる。
また、シフト部2同士が独立しているので、互いに干渉することを容易に防止することができる。
また、シフト部2によるワークの搬送位置の調整が不要な場合は、シフト部2を取り外して、一般の保持部を取付部に取り付けることにより、フィードバー1aに付与される重量負荷を軽減することができる。
【0038】
図5は、本実施形態に係るフィードバーのシフト部を示す斜視図であり、
図6は、
図5に示すシフト部とフィードバーと配線部との関係を説明するための斜視説明図である。
図5及び
図6に示すように、シフト部2は、上面視矩形状の基部21と、該基部21に設けられた直動機構25と、該直動機構25に取り付けられたテーブル部22と、該直動機構25を駆動させるためのシフト駆動源23と、一端が基部21に連結され他端がテーブル部22に連結されたケーブルベア24とを有する。
【0039】
基部21は、例えば、フィードバー1aの取付部1bに、ボルト等の取付具により取り付けられる(
図6参照)。
なお、取付具を取り外すことにより、基部21は、フィードバー1aから簡単に取り外すことができる。
すなわち、基部21は、フィードバー1aに対して、着脱自在となっている。
また、基部21は、中央に上面視矩形状の開口部21aが設けられている。
これにより、基部21を極力軽量化することができるので、着脱がより容易となる。
【0040】
基部21においては、その上面に、直動機構25が設けられている。
直動機構25は、開口部21aに配置され、フィード方向Fに延びるネジ軸25aと、該ネジ軸25aにボールを介して取り付けられるナット部25bとを有する。
すなわち、直動機構25は、ネジ軸25aの回転に基づいて、ナット部25bがネジ軸25aに沿って移動する、いわゆるボールねじとなっている。
シフト部2においては、直動機構25としてボールねじを採用することにより、比較的軽量であり、且つ、シンプルな構造とすることができる。
また、直動機構25のネジ軸25aを回転駆動させるためのシフト駆動源23としては、サーボモータが好適に用いられる。この場合、ネジ軸25aの回転駆動を制御することが可能となる。
【0041】
基部21においては、ネジ軸25a(開口部21a)の両側に、フィード方向Fに延びる案内レール部26aがそれぞれ設けられている。すなわち、一対の案内レール部26aは、ネジ軸25aと平行となるように設けられている。
そして、案内レール26aには、当該案内レール26aに沿って往復移動可能なスライド部26bが取り付けられている。
【0042】
テーブル部22は、板状であり、その裏面の略中央に、上述した直動機構25のナット部25bが取り付け固定されている。
また、テーブル部22は、その裏面の両側に、上述したスライド部26bが取り付け固定されている。
したがって、シフト部2においては、直動機構25により、テーブル部22及び後述する保持部30を基部21に対してフィード方向Fに往復移動させることが可能となり、且つ、シフト駆動源23であるサーボモータにより、テーブル部22及び後述する保持部30の位置を高精度で制御することが可能となっている。
また、テーブル部22の往復移動が、案内レール部26aにより案内されるので、テーブル部22に保持部等の重量が付与されたとしても、ブレ等を抑制し、テーブル部22をスムーズに往復移動させることが可能となる。
【0043】
テーブル部22においては、クランプ方向Cにおける内側に向けて突出するように、保持部30が取り付けられている。
かかる保持部30は、テーブル部22に対して着脱自在となっており、例えば、上述した取付部1bに基部21が取り付けられる場合と同様に、テーブル部22にボルト等の取付具により取り付けられる。
保持部30としては、例えば、ワークを把持するグリッパーが用いられる(
図6参照)。
なお、保持部30は、クランプ方向Cを軸として回転可能なチルト機構を有していてもよい。この場合、傾斜しているワークを、その傾斜に合うようにグリッパーを回転させて、ワークを把持することが可能となる。
【0044】
テーブル部22においては、エアカプラ27が設けられている。このため、エアカプラ27は、テーブル部22と共に、基部21に対して往復移動することになる。
また、テーブル部22及び基部21には、保持部30とは反対側に突出するように、ケーブルベア24が取り付けられている。具体的には、ケーブルベア24は、一端が基部21に取り付け固定されたケーブルベア用トレイ34に連結され、他端がテーブル部22に連結されている。
【0045】
ここで、ケーブルベア用トレイ24aは、ケーブルベア24を支持するためのものであり、上端が基部21の側面に取り付けられる鉛直面部34aと、当該鉛直面部34aの下端に連続する水平面部34bとからなる側面視L字状となっている。
したがって、シフト部2の基部21がフィードバー1aの上面に取り付けられると、ケーブルベア用トレイ24aの鉛直面部34aは、フィードバー1aの側面に沿うように配置される。
【0046】
シフト部2においては、配線部28が、フィードバー1a内部からケーブルベア24を通り、エアカプラ27を介して、保持部30に連結されている。このように、シフト部2毎に配線がまとめられているので、ワークの搬送時に、配線部28が邪魔になることを抑制することができる。
また、配線部28の混雑に起因するエラーが発生することを防止することができる。
また、ケーブルベア24がケーブルベア用トレイ34に収容されているので、ケーブルベア24を支持することができ、ワークの搬送時に、ケーブルベア24が邪魔になることを防止することができる。また、シフト部脱着の際にケーブルベア24が邪魔になることも防止することができる。
【0047】
図7の(a)は、本実施形態に係るトランスファフィーダにおいて、金型の配置位置間のピッチが一定でない場合のフィード前の金型との位置関係を説明するための上面図であり、
図7の(b)は、本実施形態に係るトランスファフィーダにおいて、金型の配置位置間のピッチが一定でない場合のフィード後の金型との位置関係を説明するための上面図である。
なお、
図7の(a)及び(b)においては、下金型7bと、一方側のフィードバー1aのみ示す。
また、他方側のフィードバーは図示しないが、一方側のフィードバーと同じ動きをしている。
また、
図7の(a)及び(b)において、下金型7bは、5か所に配置されており、これらを上流側から便宜的に、第1下金型7b1、第2下金型7b2、第3下金型7b3、第4下金型7b4,第5下金型7b5という。第1下金型7b1と第2下金型7b2との配置位置間のピッチは1200mm、第2下金型7b2と第3下金型7b3との配置位置間のピッチは1100mm、第3下金型7b3と第4下金型7b4との配置位置間のピッチは1000mm、第4下金型7b4と第5下金型7b5との配置位置間のピッチは700mmとしている。
【0048】
一方、フィードバー1aには、両端に保持部30が直接取り付けられており、両端の保持部30の間の4か所に、一定の間隔となるように、シフト部2が取り付けられている。そして、直接取り付けられた保持部30及びシフト部2は、等間隔(約1000mm)で配置されており、上流側から便宜的に、第1保持部30a、第1シフト部2a、第2シフト部2b、第3シフト部2c、第4シフト部2d、第2保持部30bという。
【0049】
図7の(a)に示すように、トランスファフィーダ1のフィード前においては、各シフト部の保持部30が、下金型7bの位置に合わせて移動している。
具体的には、第1シフト部2aの保持部30が、第1下金型7b1に合わせて、第1シフト部2aの中央に位置しており、第2シフト部2bの保持部30が、第2下金型7b2に合わせて、第2シフト部2bの中央より下流側に位置しており、第3シフト部2cの保持部30が、第3下金型7b3に合わせて、第3シフト部2cの最下流側に位置しており、第4シフト部2dの保持部30が、第4下金型7b4に合わせて、第4シフト部2dの最下流側に位置している。なお、第2保持部30bは、第5下金型7b5に合わせて位置している。
【0050】
この状態から、トランスファフィーダ1をフィードさせた場合、フィード後においては、各シフト部の保持部30を、下金型7bの位置に合わせて移動させる。
具体的には、第1シフト部2aの保持部30が、第2下金型7b2に合わせて、第1シフト部2aの保持部30を下流側に移動させており、第2シフト部2bの保持部30が、第3下金型7b3に合わせて、第2シフト部2bの最下流側に移動させており、第3シフト部2cの保持部30が、第4下金型7b4に合わせて、第3シフト部2cの最下流側の位置に維持されており、第4シフト部2dの保持部30が、第5下金型7b5に合わせて、第4シフト部2dの中央に移動させている。なお、第1保持部30aは、第1金型7b1に合わせて位置する。
【0051】
そして、トランスファフィーダ1を元の位置に戻す際には、逆の動きが行われる。
このように、トランスファフィーダ1においては、シフト部2の保持部30が、フィードバー1aに対してフィード方向に往復移動可能となっているので、当該シフト部2がワークの搬送位置を調整することにより、金型の配置位置間のピッチが一定でない場合であっても、ワークを搬送することが可能となっている。
これにより、使用可能な金型の形状や配置位置等の制限を緩和することができ、金型の設計の自由度をより向上させることができる。
【0052】
また、トランスファフィーダ1においては、フィード方向への基本的な駆動をフィードバー1aが行い、下金型7bの位置に応じた精密な搬送位置の調整をシフト部2が担うことになる。すなわち、シフト部2自体を大きくスライドさせるものではないので、高速での搬送が可能となり、ワークを保持するための制御もシンプルとすることができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0054】
本実施形態に係るトランスファフィーダ1は、
図2に示すように、フィード駆動部11と、リフト駆動部12と、クランプ駆動部13とを有しているが、これらの駆動部の構造は、
図1に示す構造に限定されない。
また、フィード駆動部11、リフト駆動部12及びクランプ駆動部13に用いられる駆動源は、特に限定されず、サーボモータ、DCモータ、リニアモータ等であってもよい。
【0055】
本実施形態に係るトランスファフィーダ1においては、シフト部2がボルトで取付部1bに取り付けられているが、取付け手段はこれに限定されない。例えば、クランパー等で取り付けてもよい。
同様に、保持部30は、テーブル部22にボルト等の取付具により取り付けられているが、取付け手段はこれに限定されない。
例えば、クランパー等で取り付けてもよい。
【0056】
本実施形態に係るトランスファフィーダ1においては、シフト部2がフィードバー1aに直接取り付けられているが、スライド機構を介して取り付けられていてもよい。
すなわち、フィードバー1aにレールを設け、該レールに沿ってスライド可能となるようにシフト部2を取り付けることも可能である。
【0057】
本実施形態に係るトランスファフィーダ1においては、シフト部2の直動機構25として、ボールねじを採用しているが、ラックアンドピニオン等であってもよい。
また、ネジ軸25aを回転駆動させるためのシフト駆動源23として、サーボモータを採用し、ネジ軸25aの回転駆動を制御しているが、これに限定されず、エンコーダ付きDCモータ等を採用して制御してもよい。
【0058】
本実施形態に係るトランスファフィーダ1においては、シフト部2のテーブル部22に取り付けられる保持部30として、グリッパーが用いられているが、これに限定されず、フィンガー、バキュームカップ等であってもよい。
【0059】
本実施形態に係るトランスファフィーダ1においては、フィードバー1aに4基のシフト部2が設けられているが、シフト部2の取付数は特に限定されない。
また、フィードバー1aには、シフト部2のみが取り付けられていてもよく、シフト部2と通常の保持部とが混在するように取り付けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のトランスファフィーダ1は、トランスファプレス装置において、ワークを搬送するための装置として利用できる。
本発明のトランスファフィーダによれば、メンテナンスが容易であり、シンプルな構造でありながら、金型間の配置位置間のピッチが一定でない場合であってもワークを搬送することができる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・トランスファフィーダ
11・・・フィード駆動部
11a・・・フィード本体部
11b・・・フィードレール部
11c・・・フィードガイド部
11d・・・フィード用サーボモータ
12・・・リフト駆動部
121・・・上流側リフト駆動部
121a・・・上流側ラック
121b・・・上流側ピニオン
121d・・・上流側リフト駆動モータ
122・・・下流側リフト駆動部
122a・・・下流側ラック
122b・・・下流側ピニオン
122d・・・下流側リフト駆動モータ
13・・・クランプ駆動部
131・・・上流側クランプ駆動部
131a・・・第1上流側クランプ支持部,第2上流側クランプ支持部
131b・・・第1上流側クランプベルト部,第2上流側クランプベルト部
131c・・・第1上流側クランプガイド部,第2上流側クランプガイド部
131d・・・第1上流側クランプ駆動プーリ,第2上流側クランプ駆動プーリ
132・・・下流側クランプ駆動部
132a・・・第1下流側クランプ支持部,第2下流側クランプ支持部
132b・・・第1下流側クランプベルト部,第2下流側クランプベルト部
132c・・・第1下流側クランプガイド部,第2下流側クランプガイド部
132d・・・第1下流側クランプ駆動プーリ,第2下流側クランプ駆動プーリ
1a・・・フィードバー
1b・・・取付部
100・・・トランスファプレス装置
2・・・シフト部
21・・・基部
21a・・・開口部
22・・・テーブル部
23・・・シフト駆動源
24・・・ケーブルベア
25・・・直動機構
25a・・・ネジ軸
25b・・・ナット部
26a・・・案内レール部
26b・・・スライド部
27・・・エアカプラ
28・・・配線部
2a・・・第1シフト部(シフト部)
2b・・・第2シフト部(シフト部)
2c・・・第3シフト部(シフト部)
2d・・・第4シフト部(シフト部)
3・・・ベッド
30・・・保持部
30a・・・第1保持部(保持部)
30b・・・第2保持部(保持部)
34・・・ケーブルベア用トレイ
34a・・・鉛直面部
34b・・・水平面部
3a・・・ボルスタ
4・・・アプライト
5・・・クラウン
6・・・スライド
7a・・・上金型
7b・・・下金型
7b1・・・第1下金型(下金型)
7b2・・・第2下金型(下金型)
7b3・・・第3下金型(下金型)
7b4・・・第4下金型(下金型)
7b5・・・第5下金型(下金型)
C・・・クランプ方向
F・・・フィード方向
FR・・・フレーム
L・・・リフト方向