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  • 特開-魚体計測シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153711
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】魚体計測シート
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/02 20200101AFI20231011BHJP
   A01K 97/00 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
G01B3/02
A01K97/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063157
(22)【出願日】2022-04-05
(71)【出願人】
【識別番号】522137644
【氏名又は名称】株式会社サイトー
(71)【出願人】
【識別番号】522137471
【氏名又は名称】株式会社あっちこっち商会
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100160543
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 正晴
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 修男
(72)【発明者】
【氏名】黒田 靖史
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽子
【テーマコード(参考)】
2B109
2F061
【Fターム(参考)】
2B109FA10
2F061AA16
2F061GG01
2F061JJ02
2F061VV41
(57)【要約】
【課題】 本発明は、釣った直後の魚であっても高い精度で計測が可能な魚体計測シートを提供する。
【解決手段】 本発明の魚体計測シートは、魚体の載置面が吸水性材料を含む。好ましくは、本発明の魚体計測シートは、前記吸水性材料が、多孔質材料である。好ましくは、本発明の魚体計測シートは、前記吸水性材料が、PVA系吸水材料、ウレタン系吸水材料、ポリオレフィン系吸水材料、繊維系吸水材料、又はこれらの組合せである。好ましくは、本発明の魚体計測シートは、厚みが、3mm~30mmの範囲であり、前記載置面に、計測用の目盛を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚体の載置面が吸水性材料を含む、魚体計測シート。
【請求項2】
前記吸水性材料が、多孔質材料である、請求項1に記載の魚体計測シート。
【請求項3】
前記吸水性材料が、PVA系吸水材料、ウレタン系吸水材料、ポリオレフィン系吸水材料、繊維系吸水材料、又はこれらの組合せである、請求項1に記載の魚体計測シート。
【請求項4】
前記吸水性材料が、PVAスポンジである、請求項1に記載の魚体計測シート。
【請求項5】
厚みが、0.5mm~30mmの範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の魚体計測シート。
【請求項6】
前記載置面に、計測用の目盛を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の魚体計測シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚体の長さを計測するためのシートに関する。
【背景技術】
【0002】
釣りの愛好家の間では、釣果を示す1つの指標として、釣り上げた魚の魚体の長さを計測することが行われている。
【0003】
計測は、一般に、釣り上げた魚の魚体を、直接、地面や船内の平らな部分に横たえ、魚体の長さ方向に沿って、巻き尺を直線状に引き延ばし、魚体の頭部先端から尾鰭部後端までの長さを測り、目盛りを読み取ることで行われる。しかし、このような計測では、作業性が悪く、正確な計測が困難となる。
【0004】
特許文献1は、計測時の魚体を自然な姿勢に延ばして精度の高い計測を行うことができ、かつ計測時あるいは撮影時の魚体から失われる水分を低減して、魚が弱りにくく損傷しにくく、携帯しやすいように小さくまとめることができる魚体計測メジャーを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-220414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の魚体計測メジャーは、釣った直後の魚を載せて計測を行おうとすると、魚が暴れて精度の高い計測が難しい場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、釣った直後の魚であっても高い精度で計測が可能な魚体計測シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、以下の態様を有する本発明により、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
魚体の載置面が吸水性材料を含む、魚体計測シート。
《態様2》
前記吸水性材料が、多孔質材料である、態様1に記載の魚体計測シート。
《態様3》
前記吸水性材料が、PVA系吸水材料、ウレタン系吸水材料、ポリオレフィン系吸水材料、繊維系吸水材料、又はこれらの組合せである、態様1又は2に記載の魚体計測シート。
《態様4》
前記吸水性材料が、PVAスポンジである、態様1~3のいずれか一項に記載の魚体計測シート。
《態様5》
厚みが、0.5mm~30mmの範囲である、態様1~4のいずれか一項に記載の魚体計測シート。
《態様6》
前記載置面に、計測用の目盛を有する、態様1~5のいずれか一項に記載の魚体計測シート。
【発明の効果】
【0009】
本発明の魚体計測シートによれば、釣った直後の魚であっても載置面上で暴れることなく計測ができるため、高い精度で魚体の大きさを計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の魚体計測シートの1つの実施形態を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の魚体計測シートは、魚体の載置面が吸水性材料を含む。
【0012】
特許文献1の魚体計測メジャーは、魚を載置するシート部材に、塩化ビニールシート等の水分をはじく素材を用いており、これにより魚体に付着した水分を奪わずに、魚体の損傷を抑制するとしている。実際に、特許文献1のような魚体計測シートでは、魚体はとても活きのよい状態を維持するため、シート部材上で計測するには魚を押さえつけたり、魚が大人しくなるタイミングを待ったりする必要がある。
【0013】
それに対して、本発明者らは、載置面を吸水性材料で構成し、そこに水を吸収させた状態で用いた場合には、釣った直後の魚であっても、載置面において飛び跳ねたり暴れたりすることなく、眠ったように大人しくなることを発見した。これにより、この本発明の魚体計測シートは、釣った直後の魚であっても載置面上で暴れることなく計測ができるため、高い精度で魚体の大きさを計測することができることが分かった。
【0014】
計測される魚の種類は特に限定されない。本発明者らは、アオハタ、スズキ、クロダイ等の海水魚、イワナ、トラウト等の川魚を含む様々な魚について、本発明の魚体計測シートを用いたところ、いずれの魚についても載置面上で暴れることなく計測ができた。
【0015】
本発明の魚体計測シートの魚体の載置面は、吸水性材料から実質的に構成することもできるが、本発明の有利な効果が得られる範囲であれば、吸水性材料以外の材料も含むことができる。
【0016】
本発明の魚体計測シートで用いられる吸水性材料は、釣った直後の魚を載置させたときに魚が暴れないのであれば特にその種類等に限定はされない。例えば、吸水性材料は、繊維製品、スポンジ等の多孔質材料であってもよく、多孔質材料は、連続気泡又は独立気泡の多孔質材料であることができる。多孔質材料は、素材自体に吸水性ではなかったとしても、多孔質であることによって吸水できる材料であってもよい。
【0017】
多孔質材料の比重(g/cm)は、0.50以下、0.40以下、0.35以下、0.30以下、0.25以下、0.20以下、0.15以下、又は0.10以下であってもよい。このような範囲の比重を有する多孔質材料は、適度な柔軟性を有しており、魚体計測シートとして適切となる。
【0018】
例えば、吸水性材料は、PVA系吸水材料、ウレタン系吸水材料、ポリオレフィン系吸水材料、繊維系吸水材料であってもよい。
【0019】
PVA系吸水材料は、ポリビニルアルコール又はその誘導体を含む吸水性材料であれば特に限定されない。PVA系吸水材料としては、PVAのフィルム、シート、マット等であってもよい。PVA系吸水材料は、PVAスポンジであることが特に好ましい。そのようなPVA系吸水材料としては、洗車用クロス、キッチンクロス等に用いられる通常のPVAスポンジを挙げることができる。これらの材料は、容易に持ち運びが可能であり、魚体計測シートを構成するのに非常に好適である。本発明者らの検討によれば、様々な吸水材料の中でも特に、PVA系吸水材料を用いた場合に、特に魚が暴れなくなった。この理由は、必ずしも明らかではないが、PVA系吸水材料は、極めて高い吸収性を有しており、吸水した状態で表面性状が特に水々しい状態となるためと考えられる。
【0020】
ウレタン系吸水材料及びポリオレフィン系材料は、ポリウレタン系材料及びポリオレフィン系材料を含む吸水性材料であれば特に限定されない。ウレタン系吸水材料及びポリオレフィン系材料の軟質又は硬質の多孔質材料が知られており、これらのいずれも吸水性を有する範囲で用いることができる。ウレタン系材料としては、ポリウレタン又はその誘導体を含む吸水性材料であれば特に限定されず、ポリオレフィン系材料としても、ポリエチレン、ポリプロピレン又はそれらの誘導体を含む吸水性材料であれば特に限定されない。
【0021】
繊維系吸水材料としては、繊維を含む吸水性材料であれば特に限定されないが、例えばセルローズ系繊維材料、合成セーム側又は天然セーム革等の皮革材料等を挙げることができる。セルローズ系吸水材料としては、洗車用クロス、キッチンクロス等に用いられる通常のセルローズスポンジを特に挙げることができる。
【0022】
本発明の魚体計測シートは、実質的に1枚のシートで構成することができ、畳んだり、ロール状にしたりして持ち運ぶことができる。そのため、本発明の魚体計測シートは、携帯性を高めることができ、釣り場に容易に持ち運びが可能であり、また魚釣り用の船にも容易に持ち運びが可能である。
【0023】
本発明の魚体計測シートの厚みは、給水させた状態で、例えば0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、又は3mm以上であってもよく、30mm以下、20mm以下、10mm以下、8mm以下、又は5mm以下であってもよい。このような範囲の厚みを有していることで、シートの適度な柔軟性を確保することができる。
【0024】
本発明の魚体計測シートの大きさは、給水させた状態で、例えば0.05m以上、0.1m以上、0.2m以上、又は0.3m以上以上であってもよく、3.0m以下、2.0m以下、1.0m以下、又は0.5m以下であってもよい。このような範囲の大きさを有していることで、シートの持ち運びが容易で、かつある程度の大きさの魚体を載置できるようになる。
【0025】
本発明の魚体計測シートは、載置面に、計測用の目盛を有するができる。ここで、目盛とは、大きさを直感的に理解できるものであってもよく、センチ単位又はインチ単位の絶対的な目盛である必要はない。ただし、本発明の魚体計測シートは、絶対的に大きさを計測することができる目盛を有していることが好ましい。
【0026】
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例0027】
水を含ませた状態の厚さ約1mmのPVAスポンジ製の魚体計測シート(図1)に、船釣りで釣った直後のアオハタを載せたところ、船上で暴れていたアオハタの動きが止まり、容易に魚体のサイズを計測することができた。
【0028】
アオハタをシートから動かし、船上のデッキ部分に移動させたところ、再度、アオハタが船上で暴れた。そのアオハタを再度、魚体計測シート上に移動させたところ、またアオハタの動きが止まった。
【0029】
次に、鮮魚店の生簀で泳いでいたクロダイ及びメジナを購入し、各種のシートにこれらの魚を載置して、その動きを観察した。
【0030】
試験するために、図1のPVAスポンジ製の魚体計測シート(実施例1);ポリプロピレン繊維で構成された吸水マット(実施例2、クリーンテックス・ジャパン株式会社、吸水玄関マット ウォーターホースTライト);レーヨンを85質量%で含む吸水クロス(実施例3、レック株式会社、すっと吸水クロス);セルローズ繊維で構成された吸水マット(実施例4、株式会社ワイズ、キッチンセルローズ吸水マット);ポリウレタンスポンジで構成された水取りスポンジ(実施例5、八ッ矢工業株式会社、水取りスポンジ15032);合成セーム革クロス(実施例6);ペット用シート(実施例7);及び料理用ポリビニルアルコール製脱水シート(実施例8)を用意した。
【0031】
これらの上に、上記の2種類の魚を載置したところ、実施例1のシートにおいて最も魚が暴れないことが分かった。次に、魚が暴れにくいシートは、実施例3、実施例4及び実施例6のシートであった。これらのシートは、非常に高い吸水性を有しており、水を含ませると表面が高い含水率になるために、魚が暴れないと考えられる。
【0032】
他の実施例のシートも、地面又は樹脂製の硬質のボードに載置した場合と比較すると、魚は暴れにくかった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の魚体計測シートは、釣った直後の魚であっても高い精度で計測が可能であり、産業上の利用性が高い。

図1