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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153719
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】小魚捕集器
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/18 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A01K97/18
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022070407
(22)【出願日】2022-04-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】521510198
【氏名又は名称】佐野 完二
(72)【発明者】
【氏名】佐野 完二
(57)【要約】
【課題】本発明は、素早く且つ容易に釣り上げた小魚から釣針を外して、確実に小魚を容器に収容することができる小魚捕集器を提供することを目的とする。
【解決手段】釣り上げた小魚を収容する容器10と、容器10に取り付けられた釣針外し具20とを備えた小魚捕集器1であって、容器10は針外し具20が取り付けられた第1の面11と第2の面12を少なくとも有し、第2の面12には中心線に向かって徐々に縁の高さが低くなる釣糸誘導部15が形成され、釣針外し具20は、容器10の第1の面11に取り付けられるベース部材23と、ベース部材23に植設された一対のガイド部材21、22とを有し、一対のガイド部材は小魚が通り抜けない程度の幅で離間する狭小部24と、該狭小部から遠ざかるにしたがって幅が広がるテーパー部25を形成してなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り上げた小魚を収容する容器と、該容器に取り付けられた釣針外し具とを備えた小魚捕集器であって、
前記容器は、前記釣針外し具が取り付けられた第1の面と、該第1の面に対向する第2の面を少なくとも有し、前記第2の面には中心線に向かって徐々に縁の高さが低くなる釣糸誘導部が形成され、
前記釣針外し具は、前記容器の前記第1の面に取り付けられるベース部材と、該ベース部材に植設された一対のガイド部材とを有し、前記一対のガイド部材は、小魚が通り抜けない程度の幅で離間する狭小部と、該狭小部から遠ざかるにしたがって幅が広がるテーパー部とを形成してなることを特徴とする小魚捕集器。
【請求項2】
前記一対のガイド部材は、それぞれ直径4~8mmのパイプ材または棒材からなり、一方のガイド部材が略く字状、他方のガイド部材が略逆く字状に屈曲形成され、それぞれが離間して形成される狭小部の間隙が1.0~3.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の小魚捕集器。
【請求項3】
前記容器は、前記第1の面および前記第2の面を有して上下方向に開口する枠体と、該枠体の下側に取り付けられる有底収容体とを有し、
前記枠体と前記有底収容体は着脱可能に嵌合されることを特徴とする請求項1または2に記載の小魚捕集器。
【請求項4】
前記有底収容体は、前記枠体に嵌合する開口縁部と、底面部と、前記開口縁部と前記底面部とに連設された側面部とを有し、
前記底面部の大きさは前記開口縁部の大きさよりも小さく形成され、かつ、前記底面部が前記枠体内に収納可能であることを特徴とする請求項3に記載の小魚捕集器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り上げた小魚から釣針を容易に外して、直ちにその小魚を収容することができる小魚捕集器に関する。
【背景技術】
【0002】
ワカサギのように水中を群れで回遊する小魚の釣果は、ポイントに魚が回遊してきたときに、いかに素早い動作で多く釣るかによって決まる。特に、魚から釣針を効率的に外して、魚を容器に取り込み、釣針に餌を付けて次のキャスティングをスピーディーに行うことが求められる。
【0003】
従来、ワカサギ、稚鮎、キビナゴなど体長が5~15cm程度の細長型の魚を釣り上げた際、魚から釣針を簡単に取り外す道具が各種考案されている。例えば、微小隙間を空けてペンシルキャップ状の突起を複数立設し、その微小隙間に魚の掛かった針を糸ごと通して引き上げることで、微小隙間を通過できない魚の口先を釣針が引きちぎって針が外れるように構成された針外し具が知られている(特許文献1)。また、板状部材を切欠いて形成されたテーパー状の導入溝と、この導入溝の基端と近接した略円形の開口部と、導入溝の基端と開口部との間に挟まれた掛止部とを備えた釣針外し具が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1507141号公報
【特許文献2】特開2002-306042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているような針外し具は、立設された複数の突起の幅の範囲内に釣糸を手繰り寄せれば、微小隙間に導入されて、魚から釣針を取り外ことができる。ところが、素早く針外し作業を行う際に、必ずしもその突起の幅の範囲内に釣糸を導くことができない。そのため、釣糸(道糸)から枝状に接続される複数のエダス(ハリス)を1本ずつ指でつまんで針外し具の微小隙間に導いて、エダスの先端の釣針に掛かった小魚を外す作業になってしまうので、素早い針外し作業ができない。さらに、この針外し具を釣り用バケツの片面に取り付けると、複数の突起や微小隙間が対向面側の縁よりも低い位置になる。そのため、エダスの先の釣針に魚が掛かった状態の釣糸を手前側に引き寄せると、魚が対向面側の縁を乗り越える際に釣針から魚が外れたり、釣針が縁に引っ掛かったりしてしまうおそれがある。
【0006】
また、特許文献2に開示されている釣針外し具は、ハの字状に形成された幅広の切欠部の中央に導入溝が設けられているので、比較的容易に釣糸を導入溝に導くことができる。ところが、この釣針外し具を用いると、導入溝に針がかりした魚の釣糸を通して釣針を指でつまんで1つずつ掛止部に掛止し、開口部から釣針の軸を押下することによりって魚を外す作業が必要になる。したがって、特許文献1の針外し具と同様に、素早い針外し作業ができない。さらに、この針外し具は円形状の枠体の内部に切欠部や導入溝が設けられ、その下側に回収容器が置かれるため、特許文献1の針外し具と同様に、釣糸を手前側に引き寄せると、魚が枠体を乗り越える際に釣針から魚が外れたり、釣針が縁に引っ掛かったりしてしまうおそれがある
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、個々のエダスや釣針を持つことなく、素早く且つ容易に釣り上げた小魚から釣針を外して、確実に容器に収容することができる小魚捕集器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、釣り上げた小魚を収容する容器と、該容器に取り付けられた釣針外し具とを備えた小魚捕集器であって、前記容器は、前記釣針外し具が取り付けられた第1の面と、該第1の面に対向する第2の面を少なくとも有し、前記第2の面には中心線に向かって徐々に縁の高さが低くなる釣糸誘導部が形成され、前記釣針外し具は、前記容器の前記第1の面に取り付けられるベース部材と、該ベース部材に植設された一対のガイド部材とを有し、前記一対のガイド部材は、小魚が通り抜けない程度の幅で離間する狭小部と、該狭小部から遠ざかるにしたがって幅が広がるテーパー部とを形成してなることを特徴とする。
【0009】
このような小魚捕集器によれば、個々のエダスや釣針を持つことなく、釣糸を手前に引き寄せるだけで、釣糸、エダスおよび釣った小魚が狭小部に素早くに導かれると共に、釣り上げた小魚から釣針を容易に外して、確実に容器に収容することができる。また、釣糸導入部の下端が釣針外し具よりも十分に低い位置に来るので、スムーズに引き寄せることができる。
【0010】
本発明において、前記一対のガイド部材はそれぞれ直径4~8mmのパイプ材または棒材からなり、一方のガイド部材が略く字状、他方のガイド部材が略逆く字状に屈曲形成され、それぞれが離間して形成される狭小部の間隙が1.0~3.0mmであることが望ましい。
【0011】
このような構成にすることで、一対のガイド部材によって形成される狭小部に釣針が引っ掛かったり、釣針とエダスとの繋ぎ目(チモト)が狭小部を通過できなかったりすることがなく、確実に釣った魚だけを釣針から外すことができる。
【0012】
また、本発明において、容器は第1の面および第2の面を有して上下方向に開口する枠体と、該枠体の下側に取り付けられる有底収容体とを有し、枠体と有底収容体は着脱可能に嵌合していることが望ましい。
【0013】
さらに、有底収容体は、枠体に嵌合する開口縁部と底面部と側面部とを有し、底面部の大きさは開口縁部の大きさよりも小さく形成され、かつ、底面部が枠体内に収納可能であることが望ましい。
【0014】
このような構成にすることで、本発明の小魚捕集器を運搬する際に嵩張ることなくコンパクトにバッグ等へ収納することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、個々のエダスや釣針を持つことなく、素早く且つ容易に釣り上げた小魚から釣針を外して、確実に容器に収容することができる。加えて、釣糸導入部の下端が釣針外し具よりも十分に低い位置に来るので、スムーズに引き寄せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】 本発明の実施形態にかかる小魚捕集器の外観斜視図である。
図2】 本発明の実施形態にかかる小魚捕集器の平面図である。
図3図2に示した小魚捕集器の断面図である。
図4】 本発明にかかるガイド部材の好ましい構成を説明するための断面図である。
図5】 本発明の実施形態にかかる容器を分離した状態を示す図である。
図6】 本発明の実施形態にかかる小魚捕集器の不使用時にコンパクト化するときの説明図である。
図7】 本発明の他の実施形態にかかる小魚捕集器の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態にかかる小魚捕集器の外観斜視図であり、図2は、その平面図である。図1もしくは図2に示すように、本形態の小魚捕集器1は、釣り上げた小魚を収容する容器10と、容器10に取り付けられた釣針外し具20とを備えている。容器10は、上方が開口して内部に水Wや魚を蓄えられる中空有底の入れ物であり、第1の面11に釣針外し具20が取り付けられている。第1の面11に対向する第2の面12には中心線CLに向かって徐々に縁の高さが低くなる釣糸誘導部15が形成されている。
【0019】
容器10の第2の面12は、正面視で略Y字状に切欠き形成されており、一対の傾斜面15a、15bと、中心線CLに沿って下方に延出する溝部15cを含む釣糸誘導部15を有している。本形態において、溝部15cの下端が釣糸導入部15の最下点15dとなる。一対の傾斜面15a、15bが成す角度θ1は60度~140度であることが望ましい。溝部15cの幅は釣り上げた小魚が容易に通過できる程度の幅、例えば15~30mmであることが望ましく、長さは0~50mmであることが望ましい。なお、溝部15cは必ずしも設ける必要がなく、一対の傾斜面15a、15bの交差部が中心線CL上にほぼ位置すればよい。また、一対の傾斜面15a、15bおよび溝部15cは、釣糸30を引き寄せる際に釣針32が引っ掛からないように、すべての角部を曲面状に加工しておくことが望ましい。
【0020】
本形態において、容器10は上下に分離可能に構成され、第1の面11および第2の面12を有して上下方向に開口する枠体10aと、枠体10aの下側に取り付けられる有底収容体10bとを有し、枠体10aと有底収容体10bは着脱可能に嵌合している。
【0021】
釣針外し具20は、容器10の第1の面11に取り付けられるベース部材23と、このベース部材23に植設された一対のガイド部材21、22とを有している。一対のガイド部材21、22は、ワカサギ等の小魚が通り抜けない程度の幅で離間する狭小部24と、狭小部24から遠ざかるにしたがって幅が広がるテーパー部25とを形成している。ベース部材23は、木材、樹脂材、金属材などの素材で形成され、容器10の第1の面11に締結部材や接着剤によって固定したり、磁石やクリップ金具等で着脱可能に取り付けたりすることができる。このベース部材23の中央部には、略く字状に屈曲形成された第1のガイド部材21と、略逆く字状に屈曲形成された第2のガイド部材22が、所定の間隔(狭小部24)を空けて植設されている。狭小部24の間隔は、1.0~3.0mmが望ましい。一般に、ワカサギ等の小魚用の釣針は0.5号~3号が用いられ、幅は3~4mm程度である。また、釣針とエダスとの繋ぎ目(チモト)の厚みは0.7~1.3mm程度ある。また、体長が5~15cm程度の細長型の魚の胴の厚みは3~18mm程度ある。したがって、狭小部24の間隔が1.0mm未満になると1.0mm以上のチモトが引っ掛かったり、釣針が引っ掛かったりして、スムーズな作業が行えない。逆に、狭小部24の間隔が3.0mmを超えると、胴の厚みが少ない小魚がすり抜けてしまう虞れがある。それゆえ、狭小部24の間隔は、1.0~3.0mmが望ましい。
【0022】
本形態において、第1のガイド部材21と第2のガイド部材22が形成するテーパー部25の開き角θ2は60度~160度であることが望ましい。開き角θ2が60度未満になると一対のガイド部材21、22の先端部の間隔、すなわち間口の幅が狭くなり、釣糸30を効率よく引き寄せることができなくなる。また、開き角θ2が160度を超えるほどに間口の幅が広くなっても、釣糸30の効率よい引き寄せができなくなる。
【0023】
図3は、図2に示した小魚捕集器の中心線CLに沿って側面視した断面図である。図3に示すように、テーパー部25と狭小部24の合流点26と、容器10に形成された釣糸導入部15の最下点15dの高さの差(落差h)およびその距離kを、釣糸30を効率よく引き寄せる観点から、それぞれ所定長さに設定することが望ましい。すなわち、落差hは4~10cmとすることが望ましく、距離kは6~12cmとすることが望ましい。
【0024】
本形態において、一対のガイド部材21、22は、それぞれ直径4~8mmのパイプ材または棒材から構成されている。かかる構成が望ましい理由を、図4を参照して説明する。図4(a)は本形態にかかるガイド部材21、22の断面拡大図であり、図4(b)は参考例にかかるガイド部材21’、22’の断面拡大図である。いずれの図においても狭小部24の間隔は1.0~3.0mmの範囲内で同じにしているが、図4(a)のガイド部材21、22の直径を6mmとし、図4(b)のガイド部材21’、22’の直径を12mmとして拡大視している。
【0025】
図4(a)に示すように、釣糸30を引き寄せることで釣り上げた小魚を狭小部24に導いたとき、小魚は狭小部24を通過することができず、強く釣糸30を引き寄せると、釣針が小魚の口を切り裂いて魚から外れて、釣針と釣糸30のみが狭小部24を通り抜け、小魚は狭小部24を抜けずに下方の容器10b内へ落下する。
【0026】
一方、図4(b)に示すようにガイド部材21’、22’の直径が所定寸法よりも大きいと、小魚を狭小部24に導いたとき、釣糸30を引っ張ることで魚から釣針が外れても、魚の頭部が狭小部24に嵌まってしまい、魚が下方へ落下しないことがある。魚が狭小部24に残ったまま更に釣糸を引き寄せると、次の魚と干渉してスムーズな取り込みに支障をきたしてしまう。したがって、ガイド部材21、22の直径は、ターゲットとする小魚の体長を考慮して4~8mmであることが望ましい。
【0027】
なお、図4(a)に示したガイド部材21、22は、軽量化の観点から中空のパイプ材を用いているが、中実の棒材を用いてもよい。
【0028】
また、本形態において、一対のガイド部材21、22は一端がベース部材23に強固に植設され、その植設された根元部分からテーパー部25側に向かって所定の長さの狭小部24が形成されている。そのため、狭小部24を介して小魚から釣針を外す際に、一対のガイド部材21、22に応力が加わったとしても、狭小部24の間隔が変化することはない。したがって、狭小部24の間隔は1.0~3.0mmの範囲内で設定された間隔に維持されるので、小魚が狭小部24をすり抜けることなく、確実に釣針を外せて、小魚を容器10に取り込むことができる。
【0029】
仮に、本形態のようにパイプ材又は棒材からなる一対のガイド部材21、22の一端をベース部材23に植設せずに、薄板状の平板をガイド部材とし、それらを近接させて狭小部を形成した場合、釣糸と共に小魚を引き込むと薄板状の一対のガイド部材が上下に変位して狭小部の間隔が広くなり、小魚が狭小部をすり抜けることがある。その点、本形態によれば上述のように狭小部24の間隔は、多少の応力が加わっても実質的に変化しないので、確実に釣針を外せて、小魚を容器10に取り込むことができる。
【0030】
次に、図5および図6に基づいて、本実施形態にかかる小魚捕集器1の容器10について詳細に説明する。図5は、容器10を枠体10aと有底収容体10bとに分離した状態を示す図であり、図6は、当該小魚捕集器1の不使用時に、コンパクト化するときの説明図である。
【0031】
図5に示すように、容器10は上下に分離可能に構成され、上下方向に開口する枠体10aと、枠体10aの下側に取り付けられる有底収容体10bとを有し、枠体10aと有底収容体10bは着脱可能に嵌合される。枠体10aは、相互に対向する第1の面11および第2の面12、それらに直交する第3の面13および第4の面14を備え、天井面や底面が無く、上下方向に開口している。第1の面11には、上述したように、釣針外し具20が取り付けられ、第2の面12には釣糸導入部15が形成されている。枠体10aは木材や樹脂材等で形成されるが、木材の場合は表面を防水塗装することが望ましい。また、少なくとも第2の面12の釣糸導入部15の縁は、釣糸を引き寄せる際に釣針が引っ掛かることがないようにR面取りされている。枠体10aの下側には有底収容体10bと嵌合する嵌合部16が形成されている。本形態において、嵌合部16は第1~第4の面の板厚よりも薄く形成され、有底収容体10bの開口縁部17の内側に嵌まって、枠体10aと有底収容体10bが一体化される。
【0032】
有底収容体10bは、開口縁部17と、底面部18と、開口縁部17と底面部18とに連設された側面部19とを有している。この有底収容体10bの中には、釣りをしている際に釣り上げた魚や水が収容されるので、樹脂材や防水塗装した木材で形成するのが望ましい。開口縁部17は枠体10aの嵌合部16と嵌合するため、嵌合部16とほぼ同じ大きさで同じ形状であるが、本形態において、底面部18の大きさは開口縁部17の大きさよりも小さく形成されている。また、底面部18の形状は開口縁部17の形状と相似形であることが望ましいが、角部を丸めた小判型や楕円形状であってもよい。そして、側面部19は開口縁部17と底面部18とに連設されるため、側面視で上底よりも下底が短い台形状を呈している。
【0033】
このように、容器10を枠体10aと有底収容体10bで分離可能に構成することで、捕獲した有底収容体10b内の小魚が一杯になって他の容器に小魚を移したり、水中の酸素不足を解消するために水を入れ替えたりするとき、両者を分離して、有底収容体10bのみを操作すればよいので、簡単に魚の移し替えや水の入れ替えができる。
【0034】
本形態にかかる小魚捕集器1を釣りに使用しないとき、図6(a)、(b)に示すように、枠体10aを上下反転させて、枠体10aの嵌合部16に有底収容体10bの底面部18を挿入することができる。底面部18の大きさは、開口縁部17に嵌合する嵌合部16の大きさよりも小さいので、図6(b)に示すように、有底収容体10bの一部が枠体10aの中に収納され、全体の高さは3/4ないし2/3程度に低くなり、小魚捕集器1をコンパクトにして持ち運びできる。なお、枠体10aには釣針外し具20が取り付けられているので、底面部18が釣針外し具20に当接して抜け落ちることはない。
【0035】
次に、本形態にかかる小魚捕集器1を用いて、釣り上げた小魚から釣針を外して、容器10に収容する一連の動作を、図1を参照して説明する。
【0036】
ワカサギなどの小型の回遊魚を釣る仕掛けは、ポイントの水深に対応する長さの釣糸(道糸)30が釣り竿の穂先から導出され、釣糸30の先端にはオモリが付けられ、オモリの手前側に複数本のエダスがほぼ等間隔に延出している。各エダスの先端には0.5号~3号の釣針が結び付けられ、各釣針にエサが付けられる。この仕掛けをポイントに投入して、当たりがあると釣糸30を引き上げる。近年は電動リール付きのロッドが多く用いられ、巻き取りスイッチを押せば、容易に釣糸30を手元まで引き寄せることができる。なお、釣り人は椅子に座って釣りをするが、小魚捕集器1を両脚の間に設置しておくとよい。
【0037】
釣糸30を引き寄せる際、ロッドを持たない方の手で釣糸30を小魚捕集器1の釣糸誘導部15およびテーパー部25に導く。そうすると、図1に示すように、釣糸30は溝部15cおよび狭小部24に誘導される。やがて、針に掛かった小魚が現れ、さらに釣糸30を引き込むと、小魚は溝部15cを通過する。このとき、釣糸30にはある程度のテンションがかかっており、かつ、溝部15cよりも高い位置にある狭小部24に向かって引き込まれるので、小魚は溝部15cをスムーズに通過する。
【0038】
さらに釣糸30を引き込むと、図4(a)に示したように小魚の頭部が一対のガイド部材21、22で形成された狭小部24に挟まる。小魚は狭小部24を通過することができないので、続けざまに釣糸30を引き寄せると、釣針が小魚の口を切り裂いて魚から外れて、釣針と釣糸30のみが狭小部24を通り抜け、小魚は狭小部24を抜けずに下方の有底収容体10b内へ落下する。そして、次のエダスの釣針に掛かった小魚も同様に、釣糸30を引き寄せることで、狭小部24にて釣針が小魚の口を切り裂いて魚から外れて、小魚を有底収容体10bへ取り込むことができる。
【0039】
このように、本形態にかかる小魚捕集器1を用いれば、個々のエダスや釣針を持つことなく、釣糸30を手前に引き寄せるだけで、釣り上げた小魚が次々と釣針から外れると共に、容器10に収容することができる。そして、素早く針外し作業が完了すれば、次のキャスティングまでの所要時間が短縮され、好機を逸することが少なくなる。
【0040】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において実施することが可能である。
【0041】
例えば、上述の実施形態において、容器10は、枠体10aと有底収容体10bとを別体に構成し、それらを嵌合させて一体化させた例を示したが、図7に示すように分離ができない容器40を用いてもよい。
【0042】
図7は、本発明の他の実施形態にかかる小魚捕集器1’の斜視図であり、図1に示した実施形態と共通の構成には同じ符号をつけて、説明は省略する。図7において、容器40は、釣針外し具20が取り付けられた第1の面11と、第1の面11に対向する第2の面12と、それらに直交する第3の面13、第4の面14ならびに底面18を有し、第2の面12には釣糸誘導部15が形成されている。この容器40は、複数に分離せずに一体的な容器であり、かかる容器40を用いた小魚捕集器1’であっても、上記実施形態と同様に、個々のエダスや釣針を持つことなく、素早く且つ容易に釣り上げた小魚から釣針を外して、確実に容器40に収容することができる。加えて、釣糸導入部15の下端が釣針外し具よりも十分に低い位置に来るので、スムーズに引き寄せることができる。
【0043】
また、上記実施形態において、釣針外し具20の一対のガイド部材21、22がベース部材23に平行に植設され、一定間隔で離間する狭小部24を形成する例を示したが、一対のガイド部材21、22を平行に配置せず、平面視または側面視で非平行に配置して、第1狭小部24aの間隔が徐々に広くなるようにしてもよい。釣り上げる小魚の体長は必ずしも均一ではなく、5~15cm程度でバラツキがあり、その胴の厚みも体長によって異なる。そこで、ガイド部材21、22を非平行に配置することで、小魚の個体差に応じて適宜の狭小部24aにて、釣り上げたすべての小魚を確実かつ容易に釣針から外して、容器10内へ収容することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 小魚捕集器
1’ 小魚捕集器
10 容器
10a 枠体
10b 有底収容体
11 第1の面
12 第2の面
15 釣糸誘導部
15a 傾斜面
15b 傾斜面
15c 溝部
16 嵌合部
17 開口縁部
18 底面部
19 側面部
20 釣針外し具
21 第1のガイド部材
22 第2のガイド部材
23 ベース部材
24 狭小部
25 ガイド部
30 釣糸(道糸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7