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特開2023-153740疎水性物質を含有する繊維組成物およびその用途
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  • 特開-疎水性物質を含有する繊維組成物およびその用途 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153740
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】疎水性物質を含有する繊維組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/277 20060101AFI20231011BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20231011BHJP
   D03D 9/00 20060101ALI20231011BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20231011BHJP
   D03D 15/527 20210101ALI20231011BHJP
   D03D 15/20 20210101ALI20231011BHJP
   D03D 15/54 20210101ALI20231011BHJP
   D01F 6/62 20060101ALI20231011BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231011BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20231011BHJP
   C09D 133/14 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
D06M15/277
D03D1/00 Z
D03D9/00
D03D15/283
D03D15/527
D03D15/20 100
D03D15/54
D01F6/62 302A
C09J201/00
C09D201/00
C09D133/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023042135
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】111110233
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523097558
【氏名又は名称】王▲チュン▼凱
【氏名又は名称原語表記】TSUNG-KAI WANG
【住所又は居所原語表記】18F.-2, No. 387, Fulin Rd., Xitun Dist., Taichung City , Taiwan
(71)【出願人】
【識別番号】523097569
【氏名又は名称】王登洋
【氏名又は名称原語表記】DENG-YANG WANG
【住所又は居所原語表記】18F.-2, No. 387, Fulin Rd., Xitun Dist., Taichung City , Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王▲チュン▼凱
(72)【発明者】
【氏名】王登洋
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、非金属糸と撥水材料とを備える、疎水性物質を含有する繊維組成物を提供する。
【解決手段】非金属糸12は、適切な長さおよび重量を有し、かつ、外周面が少なくとも撥水材料14または撥水材料14を混合して形成された繊維組成物で被覆される。非金属糸の重量が300デニール以下であるモノフィラメント糸である。本発明は、左右方向に間隔をあけて配置された複数の繊維(横糸)組成物と、上下方向に間隔をあけて配置された複数の繊維(横糸に対する垂直する縦糸)組成物とを採用し、横糸と縦糸とを織り交ぜて適切な網目(メッシュ)を有する織物10を形成する。織布には、粘着剤または撥水材料14を塗布することによって、網として使用する場合、雨よけ効果と大気汚染防止効果が優れる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性物質を含有する繊維組成物であって、
少なくとも、非金属糸と撥水材料とを備え、
前記非金属糸は、適切な長さおよび重量を有し、
前記撥水材料は、前記非金属糸の外周面を被覆する、または、前記非金属糸に混合される、
ことを特徴とする疎水性物質を含有する繊維組成物。
【請求項2】
前記非金属糸は、ポリエステル繊維および各孔構造に複数の染色粉末を分散させたポリエステル繊維からなる群から選べられる1つであり、前記複数の染色粉末の色は、黒色、紫色および緑色からなる群から選べられる1つである、ことを特徴とする請求項1に記載の疎水性物質を含有する繊維組成物。
【請求項3】
前記非金属糸の重量が300デニール以下のモノフィラメント糸である、ことを特徴とする請求項2に記載の疎水性物質を含有する繊維組成物。
【請求項4】
前記撥水材料がパーフルオロアルキルエチルアクリレート共重合体である、ことを特徴とする請求項1に記載の疎水性物質を含有する繊維組成物。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の繊維組成物で構成された網であって、
左右方向に間隔をあけて配置された複数の前記繊維組成物と、
上下方向に間隔をあけて配置された複数の前記繊維組成物と、を備え、
前記左右方向に間隔をあけて配置された複数の前記繊維と、前記上下方向に間隔をあけて配置された複数の前記繊維とを織り交ぜて網目を形成する、ことを特徴とする網。
【請求項6】
第1被覆層を更に備え、前記第1被覆層が粘着剤で構成され、前記網目を有する網の両面、前記網目を有する網の両面のうちのいずれか1つの片面、および前記繊維組成物の表面からなる群から選べられる1つを被覆する、ことを特徴とする請求項5に記載の網。
【請求項7】
第2被覆層を更に備え、前記第2被覆層が撥水剤で構成され、前記網目を有する網の片面、前記網目を有する網の両面のうちのいずれか1つの片面、および前記繊維の表面からなる群から選べられる1つを被覆する、ことを特徴とする請求項5に記載の網。
【請求項8】
第2被覆層を更に備え、前記第2被覆層が撥水剤で構成されかつ前記第1被覆層を被覆する、ことを特徴とする請求項6に記載の網。
【請求項9】
前記網が2300~3600網目を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の網。
【請求項10】
前記網が2300~3600網目を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物の糸に関し、特に、疎水性物質を含有する繊維組成物、および織布材料および網などの技術に適用した用途。
【先行技術】
【0002】
地表の大気は、人間の呼吸に必要な酸素を提供している。普段の生活では、工場から排出された排ガスや粉塵、人々の生活で発生した排ガスや粉塵、および自動車から発生した排ガスや粉塵はいずれも大気汚染の原因である。浮遊粒子、ほこりおよび粉塵は、家庭生活の環境を汚染することに加え、人々の呼吸器系の健康と植物呼吸のメカニズムにも影響を与える。
【0003】
市販の網戸ネット(gauze、ガーゼ、メッシュ構造)は、主に蚊が室内に侵入するのを防ぐ道具として使用されており、換気効果があるが、その網戸のメッシュ構造は、砂やほこりが室内に入るのを防ぐことができず、雨水の室内への侵入も防ぐことができない。
【0004】
家庭の生活環境をきれいにするために、金属ワイヤーで編まれた網戸メッシュ構造の内外面に静電ナノフィルム層を設け、環境中の浮遊粒子を遮断できかつ撥水性と換気性を有する技術が開発された。しかし、このメッシュ本体の表面に設けられた静電ナノフィルム層は、長時間に持たず、風や太陽にさらされた後性能が劣化する問題のほか、製造コストが高いという問題もある。そのため、複数の網戸用糸と各網戸用糸の外側を被覆するポリアクリル酸ナトリウムで構成された高分子吸水体が開発され、高分子吸水体の水膨潤性と無水収縮特性により糸隙間の開閉を実現でき、防水および通気効果を実現できた。しかし、このポリアクリル酸ナトリウム材料は、高温および太陽光に耐えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、低コスト、空気中の粉塵および水(雨水)を遮断できかつ通気性を有する、疎水性物質を含有する繊維組成物およびその用途を提供することである。
【0006】
本発明のもう一つの目的は、優れた耐用年数を有する、疎水性物質を含有する繊維組成物およびその用途を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、網に適用できかつ農業における植栽分野に適用することができる、疎水性物質を含有する繊維組成物およびその用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも、非金属糸と撥水材料とを備える、疎水性物質を含有する繊維組成物を提供する。非金属糸は、適切な長さおよび重量を有し、かつ、外周面が少なくとも撥水材料または撥水材料を混合して形成された繊維組成物で被覆される。前記非金属糸の重量が300デニール以下であるモノフィラメント糸である。本発明は、左右方向に間隔をあけて配置された複数の繊維(横糸)組成物と、上下方向に間隔をあけて配置された複数の繊維(横糸に対する垂直する縦糸)組成物とを採用し、横糸と縦糸とを織り交ぜて適切な網目(メッシュ)を有する織物を形成する。織布には、粘着剤または撥水材料を塗布することによって、網をとして使用することが可能であり、雨よけ効果と大気汚染防止効果が優れる。
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の好ましい実施形態における繊維組成物を示す図である。
図2図1の2-2方向の断面図である。
図3】本発明の別の実施形態における繊維組成物を示す図である。
図4】本発明の織布の構造を示す図である。
図5】本発明の織布の片面に第1被覆層を塗布した状態を示す構造図である。
図6】本発明の織布の両面に第1被覆層を塗布した状態を示す構造図である。
図7図4の構造に1つの第2被覆層を塗布した状態を示す構造図である。
図8図5の構造に2つの第2被覆層を塗布した状態を示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図2に示すように、本発明は、疎水性物質を含有する繊維組成物を開示しており、前記繊維は、少なくとも、非金属糸12と撥水材料14とを備える。
【0012】
前記非金属糸12は、例えば、ポリエステル(polyester)繊維で構成され、適切な長さ、断面積および重量を有し、かつ重量が300デニール(denier)以下のモノフィラメント糸である。
【0013】
前記非金属糸12には、延伸プロセスにおいて複数の染色粉末またはカラーマスターバッチを混合することができる。これによって、色を有するモノフィラメント糸を形成することができる。前記複数の染色粉末またはカラーマスターバッチの色は、例えば、黒色、紫色または緑色のいずれか1つである。なお、別の実施形態では、前記ポリエステル(polyester)繊維の非金属糸12は、延伸プロセスにおいて複数の染色粉末またはカラーマスターバッチを混合しなくてもよい。この場合、透明(光透過性を有する)のモノフィラメント糸を形成することができる。
【0014】
前記撥水材料14は、非金属糸12の外側(外周面)(図1および図2を参照)を被覆し、または延伸プロセスにおいて前記非金属糸12に前記撥水材料14を分散させる(図3Aを参照)ことで繊維組成物を形成することができる。これによって、前記繊維には疎水性の効果を付与するとともに、耐日光性、耐高温性および耐水性を実現して用年数を延ばすことができる。被覆プロセスでは、水、パーフルオロアルキルエチルアクリレート共重合体(perfluoroalkyl ethyl acrylate copolymer)およびジプロピレングリコールメチルエーテル(dipropylene glycol methyl ether)の混合溶液を前記非金属糸12に含浸させることで、パーフルオロアルキルエチルアクリレート共重合体である撥水剤が前記非金属糸12の外側にコーティング(被覆)する。パーフルオロアルキルエチルアクリレート共重合体は、市販のものを使用することができる。なお、本発明は、市販されている他種類の撥水剤で撥水性を付与しても良いが、パーフルオロアルキルエチルアクリレート共重合体を使用するのが好ましい。
【0015】
図4を参照されたい。本発明は、左右方向に間隔をあけて配置された複数の繊維(横糸)組成物と、上下方向に間隔をあけて配置された複数の繊維(横糸に対する垂直する縦糸)組成物とを採用して、縦糸と横糸とを織り交ぜて適切な網目(メッシュ構造)を有する織布10を形成することができる。本発明は、織機を使用して前記網目(メッシュ構造)を有する織布10を作製することができる。前記織布10の網目数は、2300~3600である。
【0016】
前記織布10の耐久性および2300~3600網目構造により、空気中の浮遊粒子、ほこりまたは砂粒子などの通過を効果的に遮断することができ、かつ約50%の空気流通性(通気性)を有する。これによって、前記織布10を農業用植栽シールドとして葉、花、果物への大気汚染を効果的に防止する同時に、空気循環の効果を得ることができる。前記織布10を建設業界に使用する網として使用する場合、室内の空気汚染を防ぐ同時に、空気循環を保つことができる。
【0017】
図5および図6を参照されたい。前記網目を有する織布10は、粘着剤で構成された第1被覆層16を更に備え、前記第1被覆層16は、圧延、加熱および乾燥で形成され、前記網目を有する織布10の片面(図4を参照)、前記網目を有する織布10の両面(図5を参照)、または各繊維組成物の表面を被覆する。これによって、前記網目を有する織布10は、垂れ下がった形をせずに硬く、織り込み構造を維持することができる。その後の使用では、自由度および向上した優れる撥水効果を得られる。前記第1被覆層16の粘着剤は、酢酸エチルエステルである。
【0018】
図7および図8を参照されたい。前記網目を有する織布10は、撥水剤で構成された第2被覆層18を更に備え、前記第2被覆層18は、圧延、加熱および乾燥方式で形成され、前記第1被覆層16の表面に被覆する。これによって、本発明の撥水効果がさらに向上し、網戸として使用する場合、窓を閉めずに雨が降っても、雨水が網戸に付着しにくく、室内に雨水の浸透に心配する必要がない。また、網戸に付着したほこりを簡単に水洗いしたり、雨水で取り除いたりすることができる。なお、前記第2被覆層18は、被覆層14の基本成分を有するので、パーフルオロアルキルエチルアクリレート共重合体を塗布することで前記第1被覆層16の表面に被覆することができる。
【0019】
なお、網目を有する織布10は、前記第1被覆層16および前記第2被覆層18を同時に備えなくても、本発明は撥水性の効果を有する。
【0020】
本発明は、高分子ポリマーのモノフィラメント非金属糸12を基材として使用し、外側が撥水剤を被覆して形成された繊維組成物であり、耐紫外線性、退色しにくい耐候性に優れ、通常のポリアクリル酸ナトリウム材料が高温に耐えられず、金属性糸の日晒し弱いや高コストなどの問題を解決することができる。
【0021】
本発明の前記非金属糸12は、延伸時に撥水材料14を混入させて形成された構造であり、撥水材料14が前記非金属糸12の外側を被覆して形成された構造よりも、撥水効果が優れる。
【符号の説明】
【0022】
12 非金属糸
14 撥水材料
10 織布
16 第1被覆層
18 第2被覆層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】