(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153766
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】渦流れバッフルを備えた熱交換器
(51)【国際特許分類】
F01P 11/08 20060101AFI20231011BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20231011BHJP
F01P 3/20 20060101ALI20231011BHJP
F28F 9/22 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
F01P11/08 E
F01P7/16 504A
F01P3/20 F
F01P7/16 504B
F28F9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060825
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】2204982.9
(32)【優先日】2022-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2304598.2
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】523123156
【氏名又は名称】カミンズ・インコーポレイテッド・(イービーユー)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェームズ・ウェルチ
【テーマコード(参考)】
3L065
【Fターム(参考)】
3L065DA03
(57)【要約】
【課題】本開示は、内燃機関システムの冷却システムを提供する。
【解決手段】少なくとも一つの実施形態で、内燃機関システムの冷却システムが設けられる。当該冷却システムは、内燃機関システムを流れるエンジンクーラント流体の流路および方向を画定するためのエンジン冷却回路と、エンジン冷却回路に沿って位置し、エンジンクーラント流体から作動流体に熱を移動させるように構成された熱交換アセンブリを含み、当該熱交換アセンブリが内部空洞を画定するシェルと、内部空洞の中に配置され、作動流体を受け取るように構成されたコアと、エンジンクーラント流体の主流路およびバイパス流路と、を含み、コアが、バイパス流路におけるバッフルを含み、当該バッフルが、コアの端部に結合された基部と、湾曲部が、エンジンクーラント流体のバイパス流がバイパス流路に沿って流れ続けるのを阻止するように基部から延在する湾曲部とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関システムの冷却システムであって、
前記内燃機関システムを流れる、エンジンクーラント流体の流路および方向を画定するエンジン冷却回路と、
前記エンジン冷却回路に沿って位置し、前記エンジンクーラント流体から作動流体へと熱を移動させるよう構成された熱交換アセンブリを有しており、前記熱交換アセンブリは、
内部空洞を画定するシェル、
前記内部空洞内に配置され、前記作動流体を受け取るように構成されたコアと、
前記エンジンクーラント流体の主流路およびバイパス流路と、
を含み、
前記コアが、前記バイパス流路におけるバッフルを含み、前記バッフルは、
前記コアの端部に結合された基部と、
湾曲部が、前記エンジンクーラント流体のバイパス流が前記バイパス流路に沿って流れ続けることを妨げるように、前記基部から延在する前記湾曲部と、
を含む、前記冷却システム。
【請求項2】
前記湾曲部が前記エンジンクーラント流体の前記バイパス流路の中に延在し、バイパス流方向に凹状に湾曲している、請求項1に記載の前記冷却システム。
【請求項3】
前記湾曲部が、前記バイパス流において、前記エンジンクーラント流体の主流の圧力よりも高い圧力の領域を生成するように構成された、請求項2に記載の前記冷却システム。
【請求項4】
前記湾曲部が前記バイパス流で渦を生成するように構成された、請求項2または3に記載の前記冷却システム。
【請求項5】
前記湾曲部が前記バッフルの下流の前記バイパス流の大きさを減少させるように構成された、請求項2~4のいずれか一項に記載の前記冷却システム。
【請求項6】
前記湾曲部が前記バイパス流方向の前記バイパス流の流速を減少させるように構成された、請求項2~5のいずれか一項に記載の前記冷却システム。
【請求項7】
前記バッフルが前記コアと一体形成された、請求項1~6のいずれか一項に記載の前記冷却システム。
【請求項8】
前記基部が前記コアの前記端部の表面に平行な方向に延在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の前記冷却システム。
【請求項9】
前記内部空洞と流体結合され、入口ポートに前記エンジンクーラント流体を供給するように構成された前記入口ポートと、前記内部空洞に流体結合された出口ポートをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の前記冷却システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記冷却システム、及び、
エンジンブロックと、前記熱交換アセンブリの下流の前記エンジン冷却回路に沿って位置したエンジンオーバーヘッドとを含むエンジンを備える、
エンジンシステム。
【請求項11】
前記エンジン冷却回路を通じて前記エンジンクーラント流体を循環させるように構成されたポンプをさらに備える、請求項10に記載の前記エンジンシステム。
【請求項12】
前記エンジンの下流の前記エンジン冷却回路上に位置するターボチャージャーをさらに備える、請求項10または11に記載の前記エンジンシステム。
【請求項13】
前記ターボチャージャーの下流の前記エンジン冷却回路上に位置しており、前記エンジンクーラント流体を受け取り且つ貯蔵するように構成されたクーラントリザーバーをさらに備える、請求項12に記載の前記エンジンシステム。
【請求項14】
前記熱交換アセンブリの上流の前記冷却回路上に位置し、前記熱交換アセンブリに供給された前記エンジンクーラント流体を管理するように構成されたバルブをさらに備える、請求項10~13のいずれか一項に記載の前記エンジンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、内燃機関システムの冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関システムでは、熱交換アセンブリ(また、熱交換器としても言及される)を利用する冷却システムは、熱をクーラントから熱交換アセンブリのコアを経由して流れる別の流体へと分散させることにより、クーラントの温度を低下させる。しかしながら、熱交換アセンブリのコアに接触することなく、熱交換アセンブリを通過するクーラント(例えば、バイパス流)は、熱伝達に寄与しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バイパス流を最小化または減少させる一つの解決策は、熱交換アセンブリのコアと壁の間の隙間を、減少させるまたは遮断するために、熱交換アセンブリのコアにバッフル、例えばゴム製のバッフル、を取り付けることである。しかしながら、バイパス流を妨げるように、熱交換アセンブリの壁に十分に近い熱交換アセンブリのコアにバッフルを取り付けることは、厳しい寸法公差を要求し、製造と組み立ての困難さを潜在的に生じさせる。コアの大きさを増加させるなどのその他の解決策は、製造コストの増加につながる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
さまざまな実施形態が、内燃機関システムの冷却システムにおける、バイパス流を管理するためのアセンブリおよび方法に関連している。様々な実施形態において、熱交換アセンブリはバイパス流を減少させるための湾曲部を有するバッフルを含んでいる。そのようなアセンブリや方法の様々な実施形態や実装形態は、熱交換アセンブリのコア周りのバイパス流を減少させるために設けられてもよく、冷却効率を高められる可能性を有している。
【0005】
少なくとも一つの実施形態で、内燃機関システムの冷却システムが設けられる。当該冷却システムは、内燃機関システムを流れるエンジンクーラント流体の流路および方向を画定するためのエンジン冷却回路と、エンジン冷却回路に沿って位置し、エンジンクーラント流体から作動流体に熱を移動させるように構成された熱交換アセンブリを含み、当該熱交換アセンブリが内部空洞を画定するシェルと、内部空洞の中に配置され、作動流体を受け取るように構成されたコアと、エンジンクーラント流体の主流路およびバイパス流路と、を含み、コアが、バイパス流路におけるバッフルを含み、当該バッフルが、コアの端部に結合された基部と、湾曲部が、エンジンクーラント流体のバイパス流がバイパス流路に沿って流れ続けるのを阻止するように基部から延在する湾曲部とを含む。
【0006】
前述の全般の記載と後述の詳細な記載の両方が、あくまでも代表的、説明的であり、本発明の教示内に制限されるものではないということは理解されるべきである。
【0007】
本開示は、添付する図と併せて、以下の詳細な説明からさらに十分に理解され始め、本開示において同一の符号は、別段の指示がない限り、同一の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的実施形態に従った、熱交換アセンブリを含む冷却システムのブロック図である。
【
図2】例示的実施形態に従った、例えば、
図1の冷却システム中に用いられてもよい、取り外されたシェルと熱交換アセンブリの斜視図である。
【
図3】シェルが取り外された
図2の熱交換アセンブリの平面図である。
【
図4】
図3で見られる、熱交換アセンブリのディテールAの斜視図である。
【
図5】熱交換アセンブリのディテールAの側面図である。
【
図6】
図2の熱交換アセンブリのディテールBの図であり、例示的実施形態に従って、熱交換アセンブリを流れるエンジンクーラント流体を示している。
【
図7】
図2の線7-7に沿って切断された、熱交換アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0010】
以下は、内燃機関システムの冷却システムを設ける方法、機器、アセンブリの実装形態、およびそれらの方法、機器、アセンブリの実施に関連した様々な概念のより詳細な説明である。冷却システムは、エンジンクーラント液から作動流体へと熱を移動させるように構成された熱交換アセンブリを含む。上述され、以下でより詳細に論じられる様々な概念は、記載された概念が特定の何らかの実施方法に制限されないため、数々の任意の実装形態で実施されてもよい。明確な実装形態および応用の例示は図字するために初めに設けられる。
I.概観
【0011】
本明細書で記載された様々な実装形態は、内燃機関システムの冷却システムと関連する。当該冷却システムは、エンジンクーラント流体を含むエンジン冷却回路を含んでいる。当該冷却システムはまた、当該エンジン冷却回路に沿った熱交換アセンブリも含む。当該熱交換アセンブリは、エンジンクーラント流体から作動流体へと熱を移動させるように構成されている。熱交換アセンブリは、内部空洞を画定するシェルと、内部空洞内に配置され、作動流体を受け取るように構成されたコアと、内部空洞と流体結合され、内部空洞にエンジンクーラント流体を供給するように構成された入口ポートと、内部空洞と流体結合された出口ポートと、コアの端に結合された基部および基部から延在する湾曲部を含むバッフルと、を含む。
II.冷却システム
【0012】
図1は、例示的実施形態に従ってエンジンシステム100を示したブロック図を示している。当該エンジンシステム100はエンジン冷却回路102と熱交換アセンブリ118を有する、冷却システム101を含む。当該エンジンシステム100はまた、エンジンブロック106およびエンジンオーバーヘッド108を有するエンジン104、ターボチャージャー110、クーラントリザーバー112、ポンプ114、バルブ116、熱交換アセンブリ118、クーラントフィルタ144、を含んでもよい。さらに以下で論ぜられるように、当該エンジン冷却回路102は、内燃機関システムを流れるエンジンクーラント流体の流路及び方向を画定する。いくつかの実施形態において、流路は、エンジンシステム100のコンポーネントと流体接続されたチャネル(例えば、流路の入口、流路の出口、導管など)を含む。いくつかの実施形態において、エンジンクーラント流体は、グリコールベースのクーラント、水、またはほかのクーラント流体を含んでもよい。その他の実施形態において、エンジンクーラント流体はサーマルオイルまたは他の種類の伝熱流体である。“上流”および“下流”という用語は、エンジンシステム100を指すとき、エンジン冷却回路102を流れるエンジンクーラント流体の方向に言及しているということに注意すべきである。
【0013】
図1を参照すると、エンジンシステム100はエンジン104を含んでいる。当該エンジン104は任意の型の内燃機関であってもよい。したがって、当該エンジン104はガソリン、天然ガス、またはディーゼルエンジン、ハイブリッドエンジン(例えば、内燃機関と電動モータの組み合わせ)、および/またはその他の最適なエンジンであってもよい。上記エンジン104はエンジンブロック106を含む。当該エンジンブロック106は一つ以上のエンジンのシリンダーを少なくとも部分的に画定してもよい。一つ以上のシリンダーは、内燃機関のシリンダー内で一つ以上のピストンが動くことができるように構成される。上記エンジン104はまた、エンジンオーバーヘッド108を含む。当該エンジンオーバーヘッド108はエンジンブロック106の上に位置しており、例えば、吸気バルブ、排気バルブ、または一つ以上のカムシャフトを含んでもよい。
【0014】
図1のエンジンシステム100は、エンジンブロック106の下流のターボチャージャー110を含む。当該ターボチャージャー110はエンジンブロック106の燃焼によって生成された排気ガスを受け取る。いくつかの実施形態において、当該ターボチャージャー110は特定の操作の状況下でエンジントルクとブースト圧を減少させるため、ターボチャージャー110からの排気ガスの少なくとも一部を選択的に迂回させることができるバイパスを含む。当該ターボチャージャー110はエンジン冷却回路102上に位置してもよく、エンジン冷却回路102によって、上記エンジンからエンジンクーラント液を受け取るように構成される。当該エンジンクーラント液は内部コンポーネント(例えば、ベアリング、スピンドルなど)を潤滑にするために上記ターボチャージャーによって利用されてもよい。
【0015】
図1のエンジンシステム100は、エンジンオーバーヘッド108の下流のエンジン冷却回路102に位置したクーラントリザーバー112(例えば、パン、オイルパンなど)と、ターボチャージャー110を含む。当該クーラントリザーバー112は、エンジン冷却回路を通ってターボチャージャー110およびエンジンオーバーヘッド108と流体結合されており、エンジン冷却回路からエンジンクーラント流体を受け取り且つ貯蔵するように構成されている。
【0016】
クーラントリザーバー112に受け取られて貯蔵されたエンジンクーラント流体は後に冷却システム内を再循環してもよい。例えば、エンジンシステム100はクーラントポンプ114を含む。いくつかの実施形態において、当該クーラントポンプ114はクーラントリザーバー112の下流に配置されている。当該クーラントポンプ114はエンジン冷却回路102を通じてエンジンクーラント流体が循環するように構成されている。
【0017】
図1のエンジンシステム100はまた、エンジン冷却回路102に位置したバルブ116(例えば、レギュレータバルブなど)を含む。当該バルブ116はクーラントポンプ114の下流に位置してもよい。いくつかの実施形態において、上記バルブ116はエンジン冷却回路を通って流れるエンジンクーラント流体の量を制御する。より詳細には、上記バルブ116は、以下でさらに詳細に論じられているように、熱交換アセンブリ118を流れるエンジンクーラント流体の量を制御する。上記バルブ116は、エンジンクーラント液が熱交換アセンブリ118へと流れることを制限するまたは妨げることによって、エンジンクーラント流体を制御してもよい。
【0018】
図1の熱交換アセンブリ118は、バルブ116の下流に位置しており、エンジンクーラント流体を冷やし、作動流体を熱するように、エンジン冷却回路102中のエンジンクーラント流体から、熱エネルギーを作動流体へと移動させるように構成されている。
図2は、例示的実施形態に従った、熱交換アセンブリ118の一例の斜視図である。
図3は
図2の熱交換アセンブリ118の側面図である。
図4は、
図3に見られる、熱交換アセンブリ118のディテールAの斜視図である。
図5は熱交換アセンブリ118のディテールAの側面図である。
図6は、例示的実施形態に従った、
図2の熱交換アセンブリ118を流れるエンジンクーラント流体の図である。
【0019】
図1のエンジンシステム100はまた、クーラントフィルタ144(例えば、オイルフィルタ)などを含んでもよい。当該クーラントフィルタ144はエンジン104と熱交換アセンブリ118の間に位置してもよい。クーラントフィルタ144は、エンジンクーラント液がエンジンクーラント液フィルタ144(例えば、熱交換アセンブリ118から流れてくるなど)に侵入するよりも、エンジン冷却液144がクーラントフィルタ144へと抜ける方が少ない粒子を含むように、エンジンクーラント液からのフィルタ144の粒子(例えば、煤、金属粒子など)によって構成されている。このようにして、クーラントフィルタ144はまた、クーラントフィルタ144の下流のエンジン104に対する粒子の侵入を抑制または減少させ、クーラントフィルタ144によって、エンジン104のためのメンテナンスの操作の寿命、またはエンジン104のためのより少ないメンテナンスを促進する。
III.例示的な熱交換アセンブリの構成
【0020】
図2、6、7を参照すると、熱交換アセンブリ118はシェル120(例えば、筐体、ケーシング、囲いなど)を含む。当該シェル120は、熱交換アセンブリ118の内部のコンポーネントを纏着する。このようにして、シェル120は熱交換アセンブリ118の内部のコンポーネントを保護し、内燃機関システムの他のコンポーネントが高温に曝されることを減少させる。
【0021】
熱交換アセンブリ118の内部のコンポーネントを纏着することによって、シェル120は内部空洞122を画定する。当該内部空洞122は、ポンプ114によりエンジン冷却回路を通じて供給されるエンジンクーラント流体を受け取るように構成されている。詳細には、当該内部空洞122は入口ポート124を経由してエンジンクーラント流体を受け取る。入口ポート124は、バルブ116などの、エンジン冷却回路上に位置する上流のコンポーネントと流体連通している。いくつかの実施形態において、入口ポート124は、シェル120の端部121(例えば、
図7に見られる側壁など)と結合(例えば取り付けられる、固定される、溶接される、締結される、鋲着される、接着される、結合される、ピンで固定される、など)されている。その他の実施形態では、入口ポート124は、シェル120の端部と一体形成されている。
【0022】
熱交換アセンブリ118はまた、出口ポート126を含む。当該出口ポート126はエンジン冷却回路上に位置する下流のコンポーネントと流体連通されている。いくつかの実施形態において、出口ポート126は、入口ポート124に対応する端部の反対の、シェル120のもう一方の端部123と結合(例えば取り付けられる、固定される、溶接される、締結される、鋲着される、接着される、結合される、ピンで固定される、など)されている。いくつかの実施形態において、出口ポート126はシェル120のもう一方の端部と一体形成されている。
【0023】
熱交換アセンブリ118はコア128を含む。当該コア128は、内部空洞122の中に配置され、作動流体を受け取るように構成される。当該作動流体はエンジンクーラント流体を冷やすために用いられる。例えば、内部空洞122を通過するエンジンクーラント流体はエンジンによって熱せられる。熱せられたエンジンクーラント液が内部空洞122を流れるため、熱せられたエンジンクーラント流体はコア128と接触し、コア128を通って流れる作動流体に熱を移動させる。したがって、エンジンクーラント流体はエンジンに到達するよりも前に冷やされる。様々な実施形態によれば、作動流体は例えば冷却剤(R245aまたは地球温暖化係数(GWP)の低い代替品など)、エタノール、トルエン、その他の炭化水素系作動流体、その他のハイドロフルオロカーボン系作動流体、または水など、任意の様々な種類の流体を含むことができる。いくつかの実施形態において、コア128はコア128を貫いて延在する複数のチャネルを通じて作動流体を受け取る。
【0024】
上記のように、エンジンクーラント流体は内部空洞122を通過する。内部空洞122を流れるエンジンクーラント流体の一部は主流130として定義される。当該主流130は、主流方向133に、入口ポート124から出口ポート126に向かって流れるように構成される。このようにして、出口ポート126は主流130(例えばクーラントの主流130や、オイルの主流130など)を冷却システムの下流のコンポーネントに供給するように構成される。しかしながら、いくつかの実施形態において、主流130は主流方向133とは反対方向に流れるように構成されてもよい(例えば、出口ポート126から入口ポート124など。)。
【0025】
エンジンクーラント流体の主流130は主流路132に沿って流れる。当該主流路132はシェル120とコア128の間の領域として画定され、入口ポート124から出口ポート126にまで延在する。主流130は主流路132に沿って流れるため、熱せられたエンジンクーラント流体はコア128に接触し、コア128を流れる作動流体に、熱を移動させる。
【0026】
主流130は主流路132に沿って流れる一方で、主流130は主流路132から逸れていてもよい。特に、主流130はバイパス流134を画定するために、主流132から逸れていてもよい。エンジンクーラント流体のバイパス流134は、バイパス流路136に沿って流れる。いくつかの実施形態において、バイパス流路136は、入口ポート124に最も近いコア128の端部125と、シェル120の間の領域である。
図6を参照すると、バイパス流路136は、バイパス流方向127およびコア128周りの主流路132から上方に延在する。いくつかの実施形態において、バイパス流路136は主流132と垂直である。このようにして、バイパス流路136は主流路132から逸れる。特に、バイパス流路136は主流路132から逸れ、コア128周りの上方にこのように延在するため、コア128は、熱がバイパス流134からコア128に移動するのを促進させることができない。
【0027】
図2~6を参照すると、熱交換アセンブリ118はバッフル138(例えば、プレートや突起など)を含む。いくつかの実施形態において、バッフル138はコア128と一体形成されている。しかしながら、バッフル138は代わりに、コア128に結合した、独立しているコンポーネントであってもよい。当該バッフル138は基部140を含む。当該基部140はコア128の端部と結合されているか、または一体形成されている。より詳細には、基部140は入口ポート124に最も近いコア128の端部125と結合されていてもよいし、または一体形成されていてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、基部140はコア128の端部の表面と平行な方向に延在している。当該基部140はまた、コア128とシェル120の間の隙間を減らすように、あらかじめ決められた位置でコア128と結合されてもよい。このようにして、バイパス流路136の直径はバッフル138の下流部137において減少し、バイパス流路136の直径の減少によって、バイパス流方向におけるバイパス流134が制限される。しかしながら、当該バッフル138はまた、流れの干渉を減少させるために、当該バッフル138がシェル120と分離するように設置されてもよい。いくつかの実施形態において、基部140は板金を有している。したがって、当該基部140は、固定に関する課題を引き起こし、操作中に外れるおそれのある、ゴム製のバッフルを使用する他のシステムと比べて、コア128に対してより確実に固定され得る。
【0029】
上記バッフル138は湾曲部142を含む。湾曲部142は、基部140から延在する。特に、湾曲部142はエンジンクーラント流体のバイパス流路136の内部に延在しており、バイパス流方向127において凹状に湾曲している。このようにして、湾曲部142は、バッフル138の上流部139と比べたとき、下流部137でのバイパス流路136の大きさ(例えば、バイパス流路の直径、バイパス流路の幅など)を減少させることにより、バイパス流方向127のバイパス流134を減少させる(例えば、妨げる、制限するなど)ように構成されている。例えば、バイパス流134が湾曲部142に到達したとき、バイパス流134の一部は、湾曲部142によって受け取られ(例えば、集中させられ、取り込まれ、集められるなど)、下流部137に向かい、バイパス流路136に沿って流れ続けることを妨げられる。さらに、湾曲部142はバイパス流134に渦131を生成するように構成される。湾曲部142がバイパス流134に渦を生成するため、バイパス流134の経路は、上流部139と比べて下流部137において減少する。湾曲部142の湾曲部分で渦131を生成することにより、湾曲部142はバイパス流方向127でのバイパス流134を減少させる。このようにして、熱伝達に寄与しないエンジンクーラント流体のバイパス流134は減少する。
【0030】
上で記載されたように、
図2~6の熱交換アセンブリ118内で、湾曲部142はバイパス流方向127にて凹状に曲げられている。バイパス流方向127にて凹状に曲げられることにより、湾曲部142は、バイパス流134の少なくとも一部を、主流路132に戻すよう構成されている。例えば、バイパス流134が湾曲部142によって受け取られるとき、湾曲部142は、バイパス流134内で、エンジンクーラント流体の主流130の圧力よりも圧力が高い領域を生成するよう構成される。従って、バイパス流134が、概して、圧力の高い領域から圧力が低い領域への方向に流れるため、圧力の高い領域が、バイパス流方向127においてバイパス流134を減少させ、少なくとも一部のバイパス流134が、バイパス流方向の反対方向に(例えば、主流路132の方などに)流れることを引き起こす。さらに、バッフル138は、バイパス流方向127でのバイパス流134の流速を減少させるように構成される。湾曲部142がバイパス流134を受け取り、バイパス流方向127のバイパス流134を妨げるため、バイパス流134の流速は減少し、バイパス流134の一部が主流130に戻る。
IV.例示的な実施形態の構成
【0031】
本明細書は様々な実装形態の詳細を含んでいる一方で、これらの実装形態は、特許請求の範囲に制限されて解釈されるべきではなく、むしろ特定の実装形態に特有である特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実装形態の文脈において本明細書で記載された複数の特徴はまた、単一の実装形態で組み合わせて実装されることもできる。反対に、単一の実施形態の文脈で記載される様々な特徴はまた、複数の実施形態において別々に実装されることもでき、または任意の適当なサブコンビネーションにおいて実装されることもできる。さらに、複数の特徴が、特定の組み合わせで作用するように記載されることもあるし、そのように出願当初の特許請求の範囲に記載されることさえあるが、場合によっては、特許請求の範囲に記載された組み合わせからの一つ以上の特徴が、その組み合わせから削除されることができ、また特許請求の範囲に記載された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形形態を指向していてもよい。
【0032】
本明細書で用いるとき、用語「実質的に」(substaintially)「概して」(generally)「ほぼ」(approximately)、および類似した用語は、本開示の特許発明の対象に関する、当業者によって共通および容認された語法に応じた、広い意味を有することを意図している。上述した用語が、本開示における特徴の範囲が設けられる明確な数値範囲に制限されずに、特定の特徴の説明が記載され、特許請求の範囲で述べられることを許すことを意図しているということが、本開示を審査する当業者によって理解されるべきである。従って、上述した用語は、記載され、特許請求の範囲で述べられた特許発明の非実質的または重要でない、修正または変更が、添付された請求の範囲内で検討されるということを示すように解釈されるべきである。
【0033】
本明細書で使用される用語「結合された」(coupled)および類似した用語は、2つのコンポーネントを、直接的あるいは非直接的に、互いに組み合わせていることを意味する。そのような組み合わせは、2つのコンポーネント、または2つのコンポーネントと互いに単一の本体単体として一体連結された任意の追加的な中間コンポーネントによって得られてもよく、2つのコンポーネント、または2つのコンポーネントと互いに接続された任意の追加的な中間コンポーネントによって得られてもよい。
【0034】
本明細書で使用される用語「流体結合された」(fluidly coupled to)および類似した用語は、2つのコンポーネントあるいは物体が、2つのコンポーネントあるいは物体に干渉してもしなくても、空気、還元剤、空気還元混合物、排気ガス、炭化水素、などの流体が流れてもよい、2つのコンポーネントまたは物体の間に形成される経路を有することを意味する。流体継手または流体連通を可能にする構成の実施例は、パイプ、チャネル、あるいは、単一のコンポーネントまたは物体から別の単一のコンポーネントまたは物体への流体の流れを可能にするのに適した任意の他のコンポーネントを含んでもよい。
【0035】
様々な実施例の実施形態に示された様々なシステムの構造または配置が、あくまでも例示であり、そのままの意味に制限されるものではないということに注意するということが重要である。記載された実装形態の趣旨および/または範囲の中で現れる全ての変更または修正は、保護されるよう望まれている。いくつかの特徴は必ずしも必要でなくてもよく、また様々な特徴を欠いている実装形態は、本開示の範囲内で、後述する特許請求の範囲によって画定する範囲として考えられてもよい。
【0036】
また、用語「または」(or)は、用語「または」が一つ、いくつか、またはリストの全ての要素をリストの要素と結びつけるために使用されるとき、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)、要素がリストアップされた文脈で用いられる。「少なくともX、Y、Z」というフレーズのような接続的な文言は、明確に別の方法で主張されない限り、項目、用語などが任意のX、Y、Z、XとY、XとZ、YとX、またはXおよびYおよびZ(すなわち、X、Y、Zの任意の組み合わせ)であってもよいことを伝えるために通常用いられるような文脈で、さもなければ理解される。したがって、そのような接続的な文言は特に断りのない限り、特定の実施形態が各々存在する少なくともXの一つ、少なくともYの一つ、少なくともZの一つを必要とすることを含むことを、一般的には意図していない。
【0037】
さらに、本明細書での数値範囲の使用は、特に断りのない限り、数値範囲における最小値および最大値を含む。さらに、数値範囲は特に断りのない限り、必ずしも数値範囲内の中間値の算入を必要とするわけではない。
【0038】
様々な実施形態に示された、様々なシステムの構造または配置および様々な技術に従った操作が、あくまでも例示であり、そのままの意味に制限されるものではないということに注意するということが重要である。記載された実装形態の範囲および/または趣旨の中で現れる全ての変更または修正が、保護されるよう望まれている。いくつかの特徴は必ずしも必要でなくてもよいと理解されるべきであり、また様々な特徴を欠いている実装形態は、本開示の範囲内で、後述する特許請求の範囲によって画定する範囲として考えられてもよい。
【符号の説明】
【0039】
100 ・・内燃機関システム
101 ・・冷却システム
102 ・・エンジン冷却回路
104 ・・エンジン
106 ・・エンジンブロック
108 ・・エンジンオーバーヘッド
110 ・・ターボチャージャー
112 ・・クーラントリザーバー
114 ・・ポンプ
116 ・・バルブ
118 ・・熱交換アセンブリ
120 ・・シェル
122 ・・内部空洞
124 ・・入口ポート
126 ・・出口ポート
128 ・・コア
130 ・・主流
131 ・・渦
132 ・・エンジンクーラント流体の主流路
134 ・・バイパス流
136 ・・エンジンクーラント流体のバイパス流路
138 ・・バッフル
140 ・・基部
142 ・・湾曲部
【外国語明細書】