(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153767
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】画像取得装置および画像取得方法{IMAGE ACQUISITION DEVICE AND IMAGE ACQUISITION METHOD}
(51)【国際特許分類】
H04N 23/67 20230101AFI20231011BHJP
H04N 23/45 20230101ALI20231011BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20231011BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20231011BHJP
G02B 21/26 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H04N23/67 300
H04N23/45
H04N23/60 500
G02B21/36
G02B21/26
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061407
(22)【出願日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0042246
(32)【優先日】2022-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】513303186
【氏名又は名称】ビューワークス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン ミンギュ
(72)【発明者】
【氏名】カン ユジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン チャンウ
(72)【発明者】
【氏名】ソ キョンリョル
【テーマコード(参考)】
2H052
5C122
【Fターム(参考)】
2H052AD09
2H052AD18
2H052AF14
2H052AF25
5C122EA42
5C122FA09
5C122FA18
5C122FD10
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH18
5C122FH23
5C122HA82
5C122HA88
5C122HB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少なくとも1つのイメージセンサを用いて焦点位置が異なる複数の画像を取得し、複数の画像を重畳して拡張被写界深度画像を生成する画像取得装置および画像取得方法を提供する。
【解決手段】画像取得装置1は、サンプル14が載せられたスライド12が搭載されるステージ10、対物レンズ20、対物レンズを介して入射されたサンプルからの光を少なくとも2つに分離するビーム分割部30、分離された光からサンプルの画像を取得する少なくとも2つのイメージセンサ部40、44、イメージセンサ部が取得した画像を合成して合成画像を生成する画像生成部及びステージ又は対物レンズと、イメージセンサ部と画像生成部の作動と、を制御する主制御部を有する。ステージは、対物レンズの光軸に対して少なくとも第1方向に相対移動でき、少なくとも2つのイメージセンサ部は、1回の撮影でサンプルに対する互いに異なる焦点位置における画像を夫々取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルが載せられたスライドが搭載されるステージ;
前記サンプルに対向して配置される対物レンズ;
前記対物レンズを介して入射された前記サンプルからの光を少なくとも2つに分離して伝達するビーム分割部;
前記ビーム分割部により分離された光から前記サンプルの画像を取得する少なくとも2つのイメージセンサ部;
前記イメージセンサ部から取得された画像を合成して合成画像を生成する画像生成部;および
前記ステージまたは前記対物レンズと、前記イメージセンサ部と、前記画像生成部とが作動するのを制御する主制御部;
を含み、
前記ステージは、前記対物レンズの光軸に対して少なくとも第1方向に相対移動が可能であり、前記少なくとも2つのイメージセンサ部は、1回の撮影で前記サンプルに対する互いに異なる焦点位置における画像をそれぞれ取得することを特徴とする、画像取得装置。
【請求項2】
前記主制御部は、前記ステージの前記第1方向への相対移動と前記対物レンズの前記サンプルに対する距離を制御し、前記対物レンズの前記サンプルに対する第1距離と第1FOVで前記サンプルに対する第1FOV画像が複数の前記イメージセンサ部により取得され、前記対物レンズの前記サンプルに対する第2距離と前記第1FOVと少なくとも一部の領域が重畳する第2FOVで前記サンプルに対する第2FOV画像が複数の前記イメージセンサ部により取得されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の画像取得装置。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像を用いて前記合成画像を生成することを特徴とする、請求項2に記載の画像取得装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、
前記第1FOVと前記第2FOVが重畳する重畳領域を考慮して、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像をそれぞれ分割し、分割領域別に分割画像を生成する画像分割部、および
前記分割画像を合成して前記合成画像を生成する画像合成部を含むことを特徴とする、請求項3に記載の画像取得装置。
【請求項5】
前記画像生成部は、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像における異なる焦点位置における画像の品質を評価して評価値を算出し、前記評価値を加重値として前記合成画像を生成することを特徴とする、請求項3に記載の画像取得装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、
前記第1FOV画像の前記分割画像を前記分割領域別に予備合成して第1予備合成画像を生成し、前記第2FOV画像の前記分割画像を前記分割領域別に予備合成して第2予備合成画像を生成する画像前処理部、
前記第1予備合成画像と前記第2予備合成画像を臨時格納するバッファ、および
前記バッファに臨時格納された前記第1予備合成画像と前記第2予備合成画像を合成して前記合成画像を生成する画像後処理部を含むことを特徴とする、請求項4に記載の画像取得装置。
【請求項7】
前記画像前処理部は、前記分割画像の品質を評価して評価値を算出し、前記分割画像の前記評価値を加重値として前記第1予備合成画像または前記第2予備合成画像を生成することを特徴とする、請求項6に記載の画像取得装置。
【請求項8】
前記主制御部は、
前記対物レンズの前記サンプルに対する第1距離と第1FOVで前記サンプルに対する第1FOV画像が複数の前記イメージセンサ部により取得されるように制御し、
前記第1FOV画像の少なくとも一部の領域を焦点算出領域として前記焦点算出領域における焦点を評価し、第2FOVにおける前記対物レンズの前記サンプルに対する第2距離を算出して前記対物レンズの位置を調整することを特徴とする、請求項1に記載の画像取得装置。
【請求項9】
前記画像生成部は、前記サンプルに対する同一のFOVにおける互いに異なる焦点位置における複数の画像の品質を評価して評価値を算出し、前記評価値を加重値として前記合成画像を生成することを特徴とする、請求項1に記載の画像取得装置。
【請求項10】
前記画像生成部は、前記合成画像として拡張被写界深度画像を生成し、前記拡張被写界深度画像は、周波数フィルタまたは畳み込みフィルタが適用されたものであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の画像取得装置。
【請求項11】
サンプルが載せられたスライドが搭載されるステージ;
前記サンプルに対向して配置される対物レンズ;
前記対物レンズを介して前記サンプルの画像を取得する少なくとも1つのイメージセンサ部;
前記イメージセンサ部から取得された焦点位置が異なる複数の画像を合成して拡張被写界深度画像を生成する画像生成部;および
前記ステージが前記対物レンズの光軸に対して第1方向に相対移動するように制御し、少なくとも一部の領域が重畳する第1FOVと第2FOVで互いに異なる焦点位置の第1FOV画像と第2FOV画像が前記イメージセンサ部により取得されるように制御する制御部;
を含む、画像取得装置。
【請求項12】
前記画像生成部は、前記第1FOVと前記第2FOVが重畳する重畳領域を考慮して、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像を分割して分割領域別に分割画像を生成し、前記重畳領域に属する前記分割画像を用いて前記重畳領域に対する前記拡張被写界深度画像を生成することを特徴とする、請求項11に記載の画像取得装置。
【請求項13】
少なくとも1つのイメージセンサ部が、ステージに搭載されたスライドのサンプルに対して、複数の焦点位置に対する複数の画像を取得する画像取得ステップ;および
画像生成部が、前記複数の画像を合成して合成画像を生成する画像合成ステップ;
を含む、画像取得方法。
【請求項14】
前記イメージセンサ部が複数備えられ、
前記画像取得ステップは、同一のFOVに対して前記サンプルに対する互いに異なる焦点位置の画像を取得する複数の前記イメージセンサ部により行われることを特徴とする、請求項13に記載の画像取得方法。
【請求項15】
前記画像取得ステップは、第1FOVで前記イメージセンサ部により第1FOV画像が取得され、前記第1FOVと少なくとも一部の領域が重畳する第2FOVと第1FOVの焦点位置とは異なる焦点位置で前記イメージセンサ部により第2FOV画像が取得されることで行われることを特徴とする、請求項13に記載の画像取得方法。
【請求項16】
前記画像合成ステップは、
前記第1FOVと前記第2FOVの重畳領域を考慮して、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像を分割領域別に分割して分割画像を生成するステップ;および
前記分割画像を用いて前記重畳領域に対する前記合成画像を生成するステップ;を含むことを特徴とする、請求項15に記載の画像取得方法。
【請求項17】
前記画像合成ステップは、前記分割画像の品質を評価して評価値を算出し、前記分割画像の前記評価値を加重値として前記合成画像を生成することを特徴とする、請求項16に記載の画像取得方法。
【請求項18】
前記画像取得ステップは、1つのFOVに対して互いに異なる焦点距離を有する複数の前記イメージセンサ部により行われ、
前記画像合成ステップは、
前記第1FOV画像の前記分割画像を前記分割領域別に予備合成して第1予備合成画像を生成し、前記第2FOV画像の前記分割画像を前記分割領域別に予備合成して第2予備合成画像を生成するステップ、および
前記第1予備合成画像と前記第2予備合成画像を合成して前記合成画像を生成するステップを含むことを特徴とする、請求項16に記載の画像取得方法。
【請求項19】
前記画像合成ステップは、
前記サンプルに対する同一のFOVにおける互いに異なる焦点位置における複数の画像の品質を評価して評価値を算出し、前記評価値を加重値として前記合成画像を生成することを特徴とする、請求項13に記載の画像取得方法。
【請求項20】
前記画像生成部が前記合成画像に周波数フィルタまたは畳み込みフィルタを適用して画像鮮明度を向上させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13~19のいずれか一項に記載の画像取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像取得装置および画像取得方法に関する。より詳細には、本発明は、サンプルに対する拡張被写界深度画像を取得することができる画像取得装置および画像取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被写界深度(depth of field、DOF)とは、焦点が鮮明になる深さの範囲をいい、拡張被写界深度画像とは、焦点が合う深さの範囲が広い画像をいう。被写界深度は、レンズの焦点距離とレンズ口径およびカメラと被写体の距離に応じて決められる。
【0003】
顕微鏡と連動して用いられるスキャン装置が知られている。一例として、スライドスキャナ(Slide Scanner)は、1つまたは複数のスライドを自動でスキャンしてイメージを格納および観察分析が可能な装置であり、様々な前臨床実験や病理検査における組織サンプルの画像取得に用いられている。
【0004】
スライドスキャナを用いてデジタルスライド画像を取得する際に、画像焦点の正確度を高めることが重要である。一般に、デジタルスライド画像を取得するための組織サンプルの場合は4μm以内の厚さを有し、細胞サンプルの場合は数十μmの厚さを有する。
【0005】
ここで、組織サンプルまたは細胞サンプルの撮影時に被写体の被写界深度を高めることが重要である。ところが、このために対物レンズの倍率を20~40倍レベルに拡大する場合、対物レンズの被写界深度が約1μm内外となり、組織サンプルの厚さに比べて被写界深度が小さいという問題がある。
【0006】
このように対物レンズの被写界深度が組織サンプルの厚さに比べて小さいという問題を解決できるように、従来技術の場合、前述した対物レンズの被写体の被写界深度(例えば、約1μm内外)よりも厚い被写体を撮影するために、1つのFOV(Field of View)に対して焦点高さが異なる画像を複数枚撮影する。次に、各画像において焦点が最もよく合う部分が再び組み合わせられるように画像処理して1枚の拡張被写界深度(Extended DOF)画像を生成する。
【0007】
しかしながら、このような従来の方法は、1枚の拡張被写界深度画像を取得するために同一領域を何度も撮影しなければならないため、多くの時間がかかるという短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0047971号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、少なくとも1つのイメージセンサを用いて焦点位置が異なる複数の画像を取得し、複数の画像を重畳して拡張被写界深度画像を提供する画像取得装置および画像取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、サンプルが載せられたスライドが搭載されるステージ;前記サンプルに対向して配置される対物レンズ;前記対物レンズを介して入射された前記サンプルからの光を少なくとも2つに分離して伝達するビーム分割部;前記ビーム分割部により分離された光から前記サンプルの画像を取得する少なくとも2つのイメージセンサ部;前記イメージセンサ部から取得された画像を合成して合成画像を生成する画像生成部;および前記ステージまたは前記対物レンズと、前記イメージセンサ部および前記画像生成部の作動を制御する主制御部;を含み、前記ステージは、前記対物レンズの光軸に対して少なくとも第1方向に相対移動が可能であり、前記少なくとも2つのイメージセンサ部は、1回の撮影で前記サンプルに対する互いに異なる焦点位置における画像をそれぞれ取得することを特徴とする、画像取得装置を提供する。
【0011】
一実施形態において、前記主制御部は、前記ステージの前記第1方向への相対移動と前記対物レンズの前記サンプルに対する距離を制御し、前記対物レンズの前記サンプルに対する第1距離と第1FOVで前記サンプルに対する第1FOV画像が複数の前記イメージセンサ部により取得され、前記対物レンズの前記サンプルに対する第2距離と前記第1FOVと少なくとも一部の領域が重畳する第2FOVで前記サンプルに対する第2FOV画像が複数の前記イメージセンサ部により取得されるようにすることができる。
【0012】
また、前記画像生成部は、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像を用いて前記合成画像を生成することができる。
【0013】
一実施形態において、前記画像生成部は、前記第1FOVと前記第2FOVが重畳する重畳領域を考慮して、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像をそれぞれ分割し、分割領域別に分割画像を生成する画像分割部、および前記分割画像を合成して前記合成画像を生成する画像合成部を含む。
【0014】
また、前記画像生成部は、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像における異なる焦点位置における画像の品質を評価して評価値を算出し、前記評価値を加重値として前記合成画像を生成することができる。
【0015】
一実施形態において、前記画像生成部は、前記第1FOV画像の前記分割画像を前記分割領域別に予備合成して第1予備合成画像を生成し、前記第2FOV画像の前記分割画像を前記分割領域別に予備合成して第2予備合成画像を生成する画像前処理部、前記第1予備合成画像と前記第2予備合成画像を臨時格納するバッファ、および前記バッファに臨時格納された前記第1予備合成画像と前記第2予備合成画像を合成して前記合成画像を生成する画像後処理部を含むことができる。
【0016】
また、前記画像前処理部は、前記分割画像の品質を評価して評価値を算出し、前記分割画像の前記評価値を加重値として前記第1予備合成画像または前記第2予備合成画像を生成することができる。
【0017】
一実施形態において、前記主制御部は、前記対物レンズの前記サンプルに対する第1距離と第1FOVで前記サンプルに対する第1FOV画像が複数の前記イメージセンサ部により取得されるように制御し、前記第1FOV画像の少なくとも一部の領域を焦点算出領域として前記焦点算出領域における焦点を評価し、第2FOVにおける前記対物レンズの前記サンプルに対する第2距離を算出して前記対物レンズの位置を調整することができる。
【0018】
一実施形態において、前記画像生成部は、前記サンプルに対する同一のFOVにおける互いに異なる焦点位置における複数の画像の品質を評価して評価値を算出し、前記評価値を加重値として前記合成画像を生成することができる。
【0019】
一実施形態において、前記画像生成部は、前記合成画像として拡張被写界深度画像を生成し、前記拡張被写界深度画像は、周波数フィルタまたは畳み込みフィルタが適用されたものであってもよい。
【0020】
また、本発明は、サンプルが載せられたスライドが搭載されるステージ;前記サンプルに対向して配置される対物レンズ;前記対物レンズを介して前記サンプルの画像を取得する少なくとも1つのイメージセンサ部;前記イメージセンサ部から取得された焦点位置が異なる複数の画像を合成して拡張被写界深度画像を生成する画像生成部;および前記ステージが前記対物レンズの光軸に対して第1方向に相対移動するように制御し、少なくとも一部の領域が重畳する第1FOVと第2FOVで互いに異なる焦点位置の第1FOV画像と第2FOV画像が前記イメージセンサ部により取得されるように制御する制御部;を含む、画像取得装置を提供する。
【0021】
一実施形態において、前記画像生成部は、前記第1FOVと前記第2FOVが重畳する重畳領域を考慮して、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像を分割して分割領域別に分割画像を生成し、前記重畳領域に属する前記分割画像を用いて前記重畳領域に対する前記拡張被写界深度画像を生成することができる。
【0022】
また、本発明は、少なくとも1つのイメージセンサ部が、ステージに搭載されたスライドのサンプルに対して、複数の焦点位置に対する複数の画像を取得する画像取得ステップ;および画像生成部が、前記複数の画像を合成して合成画像を生成する画像合成ステップ;を含む、画像取得方法を提供する。
【0023】
一実施形態において、前記イメージセンサ部が複数備えられ、前記画像取得ステップは、同一のFOVに対して前記サンプルに対する互いに異なる焦点位置の画像を取得する複数の前記イメージセンサ部により行われることができる。
【0024】
一実施形態において、前記画像取得ステップは、第1FOVで前記イメージセンサ部により第1FOV画像が取得され、前記第1FOVと少なくとも一部の領域が重畳する第2FOVと第1FOVの焦点位置とは異なる焦点位置で前記イメージセンサ部により第2FOV画像が取得されることで行われることができる。
【0025】
また、前記画像合成ステップは、前記第1FOVと前記第2FOVの重畳領域を考慮して、前記第1FOV画像と前記第2FOV画像を分割領域別に分割して分割画像を生成するステップ;および前記分割画像を用いて前記重畳領域に対する前記合成画像を生成するステップ;を含むことができる。
【0026】
また、前記画像合成ステップは、前記分割画像の品質を評価して評価値を算出し、前記分割画像の前記評価値を加重値として前記合成画像を生成することができる。
【0027】
一実施形態において、前記画像取得ステップは、1つのFOVに対して互いに異なる焦点距離を有する複数の前記イメージセンサ部により行われ、前記画像合成ステップは、前記第1FOV画像の前記分割画像を前記分割領域別に予備合成して第1予備合成画像を生成し、前記第2FOV画像の前記分割画像を前記分割領域別に予備合成して第2予備合成画像を生成するステップ、および前記第1予備合成画像と前記第2予備合成画像を合成して前記合成画像を生成するステップを含むことができる。
【0028】
また、前記画像合成ステップは、前記サンプルに対する同一のFOVにおける互いに異なる焦点位置における複数の画像の品質を評価して評価値を算出し、前記評価値を加重値として前記合成画像を生成することができる。
【0029】
一実施形態において、前記画像取得方法は、前記画像生成部が前記合成画像に周波数フィルタまたは畳み込みフィルタを適用して画像鮮明度を向上させるステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施形態によれば、1回の撮影でサンプルに対する複数の被写界深度画像を取得して画像を合成することでスキャニング速度を向上させることができる。
【0031】
また、本発明の一実施形態によれば、連続する撮影におけるFOVを重畳させ、被写界深度を異にしてFOVが重畳する領域でさらに多い被写界深度画像を取得することができるため、画像合成の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1実施形態による画像取得装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による画像取得装置において、異なる焦点位置における複数の画像を重畳して取得することを示す図である。
【
図3】
図2の状態で取得された画像の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による画像取得装置の画像生成部の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による画像取得装置の画像生成部の他の実施形態を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示された画像生成部における画像合成過程を例示する図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による画像取得装置において、画像生成部の画像後処理部における拡張被写界深度画像の処理過程の一例を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態による画像取得装置の画像取得方法を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第1実施形態による画像取得装置および方法において、連続するFOVが2/3ずつ領域が重畳する場合を例示する図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による画像取得装置の構成を示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による画像取得装置を介して取得された画像を用いて拡張被写界深度画像を生成する過程を概念的に示す図である。
【
図12】本発明の第2実施形態による画像取得装置を介して取得された互いに異なる焦点位置の画像サンプルを例示する図である。
【
図13】本発明の第2実施形態による画像取得装置において、連続する撮影における焦点設定のための方策を説明する図である。
【
図14】本発明の第2実施形態による画像取得装置の画像取得方法を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第3実施形態による画像取得装置の構成を示す図である。
【
図16】本発明の第3実施形態による画像取得装置を用いて画像を取得する過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して詳しく説明する。先ず、各図面の構成要素に参照符号を付するに際し、同一の構成要素に対しては他の図面上に表示される際にも可能な限り同一の符号を付するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するに際し、公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。また、以下に本発明の好ましい実施形態を説明するが、本発明の技術的思想は、これに限定または制限されず、当業者により変形されて多様に実施可能であることはいうまでもない。
【0034】
図1は、本発明の第1実施形態による画像取得装置の構成を示す図である。
【0035】
本発明の第1実施形態による画像取得装置1は、スキャニングの対象となるサンプル14が載せられたスライド12が搭載されるステージ10と、サンプル14からの光が入力されるレンズ20、22と、レンズ20、22を通過した光を分離して出力するビーム分割部30と、ビーム分割部30により分離された光からサンプルの画像をそれぞれ取得する第1イメージセンサ部40および第2イメージセンサ部44と、第1イメージセンサ部40および第2イメージセンサ部44により取得された画像を用いて拡張被写界深度画像を生成する画像生成部60と、全体作動を制御する主制御部50と、を含む。前記レンズ20、22は、サンプル14に対向して配置される対物レンズ20と、結像のためのチューブレンズ22と、を含むことができる。
【0036】
ステージ10は、主制御部50の制御により、第1方向(一例として、以下、第1方向は、
図1のx軸方向と説明される)に移動可能である。ただし、本発明の実施において、ステージ10は固定され、対物レンズ20をx軸方向に移動するか、または別の光学構造物を備えて光軸21が移動するように構成されてもよい。ステージ10と画像取得のための光軸21は、x軸方向に相対移動が可能であるものと理解することができる。
【0037】
対物レンズ20は、主制御部50の制御により、第2方向(一例として、以下、第2方向は、
図1のz軸方向と説明される)に移動可能である。対物レンズ20のz軸方向の移動によりサンプル14内での焦点位置が可変することができる。場合によっては、ステージ10をz軸方向に移動して焦点位置が可変するように構成されることも可能である。
【0038】
ビーム分割部30は、対物レンズ20に入力されたサンプル14からの光を第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44に分割して提供する。ビーム分割部30は、ビームスプリッタ(beam splitter)またはプリズムのような光学部材で構成されることができる。
【0039】
第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44は、それぞれ第1イメージセンサ42と第2イメージセンサ46を備え、第1イメージセンサ42と第2イメージセンサ46は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)のようなイメージ素子で構成されることができる。また、第1イメージセンサ42と第2イメージセンサ46は、ラインスキャン(line scan)またはエリアスキャン(area scan)方式のいずれか1つを適用することができる。
【0040】
本発明の第1実施形態において、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44のサンプル14に対する焦点位置が異なるように設定される。すなわち、サンプル14に対して第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44の焦点位置が異なるように設定され、第1イメージセンサ部40により取得される画像と第2イメージセンサ部44により取得される画像は、サンプル14内での異なる焦点位置における画像である。
【0041】
画像生成部60は、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44により取得された画像にフォーカススタッキング(focus stacking)を適用した拡張被写界深度画像を生成する。また、画像生成部60は、主制御部50の制御によりステージ10がx軸方向に順次移動しつつ、複数のFOV(field of view)で取得された画像に基づいて、サンプル14に対する拡張被写界深度画像を生成することができる。
【0042】
一方、
図1の例示ではステージ10がx軸方向に移動することを例示しているが、ステージ10がx軸に垂直な水平方向(すなわち、x軸とz軸に垂直なy軸方向)に移動し、ステージ10のy軸方向の移動に沿ってスキャニングを行うことも可能であることはいうまでもない。また、x軸方向とy軸方向の移動に沿ったx-y平面におけるスキャニングが可能である。ただし、以下の説明では、ステージ10がx軸方向に移動することを例示して説明する。
【0043】
図2は、本発明の第1実施形態による画像取得装置において、異なる焦点位置における複数の画像を重畳して取得することを示す図であり、
図3は、
図2の状態で取得された画像の一例を示す図である。
【0044】
図2の(a)、(b)、(c)は、ステージ10をx軸方向に沿って左側にそれぞれ所定距離だけ移動させた状態であり、移動距離は、対物レンズ20を介して取得される画像のFOVサイズの1/2である。また、
図2の(a)および(c)において、対物レンズ20からスライド12の上面までの距離は、z1として同一であり、
図2の(b)において、対物レンズ20からスライド12の上面までの距離は、z1とは異なるz2である。
図2の(a)および(c)において、第1イメージセンサ部40に入力される画像のサンプル内での焦点位置はf11であり、第2イメージセンサ部44に入力される画像のサンプル内での焦点位置はf21である。一方、
図2の(b)において、第1イメージセンサ部40に入力される画像のサンプル内での焦点位置はf12であり、第2イメージセンサ部44に入力される画像のサンプル内での焦点位置はf22である。
図2における図面符号16は、サンプル14内に含まれた組織や細胞を意味する。
【0045】
図2の(a)および
図3の(a)を参照すれば、第1FOVにおいて、第1イメージセンサ部40は、焦点位置f11に応じた画像(P1)を取得し、第2イメージセンサ部44は、焦点位置f21に応じた画像(Q1)を取得する。それぞれの画像(P1、Q1)は、その後の撮影における画像と重畳する部分がFOVの1/2であるため、それぞれ2つの分割画像(P1a、P1b、Q1a、Q1b)に分割されることができる。
【0046】
参考に、本発明の説明または請求の範囲において、イメージセンサ部40、44が第1FOVで取得する画像を「第1FOV画像」と称し、イメージセンサ部40、44が第2FOVで取得する画像を「第2FOV画像」と称することができる。これは、第3FOVや第4FOVにおける場合も同様である。
【0047】
図2の(b)および
図3の(b)を参照すれば、第2FOVにおいて、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44は、焦点位置f12と焦点位置f22に応じた画像(P2、Q2)を取得する。これらの画像(P2、Q2)は、それぞれ2つの分割画像(P2a、P2b、Q2a、Q2b)に分割されることができる。
【0048】
第1FOVと第2FOVが重畳する領域では、焦点位置が互いに異なる4つの分割画像(P1b、Q1b、P2a、Q2a)が取得される。画像生成部60は、この4つの分割画像(P1b、Q1b、P2a、Q2a)をフォーカススタッキングして当該領域に対する拡張被写界深度画像を生成することができる。すなわち、本発明によれば、FOVが重畳するようにステージ10を光軸21に対して相対移動させつつサンプル14に対する画像を取得することで、複数の焦点位置におけるサンプル画像を容易に取得することができる。ステージ10を固定した状態で対物レンズ20の高さを繰り返し調整することに比べて、ステージ10の移動と対物レンズ20の高さの調節を互いに組み合わせて行うことで、複数の焦点位置におけるサンプル画像の取得時間を短縮することができる。また、
図1のように複数のイメージセンサ部40、42を備えることで、互いに異なる焦点位置におけるサンプル画像の個数が増加する。
【0049】
同様の方式で、
図2の(c)および
図3の(c)を参照すれば、第1イメージセンサ部40は画像(P3)を、第2イメージセンサ部44は画像(Q3)を取得する。画像生成部60は、分割画像(P2b、Q2b、P3a、Q3a)をフォーカススタッキングすることで、第2FOVの右側領域に対する拡張被写界深度画像を生成することができる。また、画像生成部60は、第2FOVの左側領域に対して分割画像(P1b、Q1b、P2a、Q2a)で生成した拡張被写界深度画像と、第2FOVの右側領域に対して分割画像(P2b、Q2b、P3a、Q3a)で生成した拡張被写界深度画像とを継ぎ合わせて、第2FOVに対する拡張被写界深度画像を生成することができる。このような過程を繰り返すと、サンプル14の全体または要求部分に対する拡張被写界深度画像が生成される。
【0050】
一方、本発明の実施において、
図2の(c)において、対物レンズ20からスライド12の上面までの距離は、z1でもなく、z2でもない他の値であってもよく、それにより、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44が取得する画像の焦点位置も異なってもよい。
【0051】
また、ステージ10がx軸方向に移動する距離も、FOVの1/2ではなく、FOVの1/3または1/4のように他の値であってもよい。ステージ10がx軸方向に移動する距離を減少させると、重畳する画像の個数をさらに増加させることができる。例えば、ステージ10がx軸方向に移動する距離をFOVの1/3とし、対物レンズ20のサンプル14またはスライド12に対する距離を異にして連続する3回の撮影が行われると、最初のFOVの最後の1/3領域に対しては画像が3回重畳する。
図1のように2つのイメージセンサ部40、44が備えられる場合、最初のFOVの最後の1/3領域に対しては焦点位置が異なる6つの分割画像が存在することになり、フォーカススタッキングによる拡張被写界深度画像の品質が向上することができる。
【0052】
図4は、本発明の第1実施形態による画像取得装置の画像生成部の構成を示すブロック図である。
【0053】
画像生成部60は、画像入力部62、画像分割部64、バッファ66、および画像合成部68を含むことができる。
【0054】
画像入力部62は、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44から取得された画像の入力を受ける。
【0055】
画像分割部64は、連続する撮影におけるFOVの重畳部分またはステージ10の移動距離とFOVの幅を考慮して、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44から入力された画像をそれぞれ分割する。
図2および
図3の例示の場合、画像分割部64は、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44から入力された画像をそれぞれ2つに分割する。
【0056】
バッファ66には、画像分割部64により分割された分割画像が臨時格納される。一実施形態において、バッファ66は、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44から入力された画像を分割した分割画像をFOVの順序通りに格納することができる。
【0057】
画像合成部68は、FOVの分割領域に属する複数の焦点位置が異なる分割画像をバッファ66から伝達を受け、フォーカススタッキングして合成する。一実施形態において、FOVの特定の分割領域に該当する分割画像がバッファ66に全て格納された後、画像合成部68は、特定の領域に対する分割画像を合成することができる。また、画像合成部68は、分割領域別に生成された合成画像をステッチ(stitching)して1つの拡張被写界深度画像として生成することができる。画像合成部68により合成された画像は、別の格納装置に格納されるか、または外部の視覚ディスプレイなどに出力されることができる。
【0058】
図5は、本発明の第1実施形態による画像取得装置の画像生成部の他の実施形態を示すブロック図であり、
図6は、
図5に示された画像生成部における画像合成過程を例示する図である。
【0059】
図5に示された画像生成部60の構成は、
図4に示された画像生成部60の構成と一部対応する。
図5および
図6を参照すれば、画像生成部60は、画像入力部62、画像前処理部65、バッファ66、画像後処理部67、および画像出力部69を含む。
【0060】
画像入力部62は、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44からFOVの移動に沿って順次取得された画像の入力を受ける。
【0061】
画像前処理部65は、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44から伝達された画像をそれぞれ分割して分割画像として生成し、FOVの分割領域別に分割画像を予備合成する。FOVの分割領域に対する予備合成画像は、バッファ66に格納される。
【0062】
図6を参照すれば、第1FOVにおいて、第1イメージセンサ部40から入力された画像(P1)と、第2イメージセンサ部44から入力された画像(Q1)とが、画像前処理部65に入力される。画像前処理部65は、入力された画像(P1、Q1)を連続するFOVの重畳領域に応じて分割し、分割画像(P1a、P1b、Q1a、Q1b)を生成する。その後、画像前処理部65は、第1FOVの分割領域別に分割画像を合成する。例示において、分割画像(P1a、Q1a)が合成された第1予備合成画像(R1a)と、分割画像(P1b、Q1b)が合成された第1予備合成画像(R1b)とが生成され、第1バッファ66aに格納される。すなわち、第1FOVのサンプルに対する画像が2つに分割され、それぞれの分割された領域における焦点位置が異なる2つの画像が1つの予備合成画像に合成され、第1バッファ66aに格納される。
【0063】
次に、第2FOVにおいて、第1イメージセンサ部40により取得された画像(P2)と、第2イメージセンサ部44により取得された画像(Q2)とが、画像前処理部65に入力される。画像前処理部65は、入力された画像(P2、Q2)を連続するFOVの重畳領域に応じて分割し、分割画像(P2a、P2b、Q2a、Q2b)を生成する。その後、画像前処理部65は、第2FOVの分割領域別に分割画像を合成する。例示において、分割画像(P2a、Q2a)が合成された第2予備合成画像(R2a)と、分割画像(P2b、Q2b)が合成された第2予備合成画像(R2b)とが生成され、第2バッファ66bに格納される。すなわち、第2FOVのサンプルに対する画像が2つに分割され、それぞれの分割された領域における焦点位置が異なる2つの画像が1つの予備合成画像に合成され、第2バッファ66bに格納される。
【0064】
画像後処理部67は、バッファ66に格納された第1予備合成画像と第2予備合成画像を用いて拡張被写界深度画像(S)を生成する。第1FOVと第2FOVが重畳する領域に対する分割画像(P1b、Q1b、P2a、Q2a)の合成による拡張被写界深度画像(S)の生成は、画像後処理部67が第1予備合成画像(R1b)と第2予備合成画像(R2a)を合成することで行われることができる。
【0065】
図2における第3FOVに対する画像は、画像前処理部65を経て第1バッファ66aに格納されることができ、第3FOVと第2FOVが重畳する領域に対する拡張被写界深度画像も、上述したような方法により生成されることができる。
【0066】
一実施形態において、画像前処理部65は、同一領域に対する分割画像を合成する際に、各分割画像の評価値を加重値として考慮することができる。分割画像の評価値は、画像の画質または焦点の一致可否に対するものであってもよい。一例として、分割画像の評価値としては、ブレナーグラジエント(Brenner gradient)、トレネンバウムグラジエント(Trenenbaum gradient)、エネルギ-ラプラス(energy laplace)などを用いることができる。また、分割画像の評価値は、各分割画像の全体領域または一部の関心領域を対象に算出されることができる。分割画像の全体領域を対象に評価値を算出する場合(例えば、全体領域の平均的な焦点値を算出)、全体的な鮮明度は多少低下し得るが、品質の均一性を確保することができる。分割画像の中央部分を対象に評価値を算出する場合、歪みが発生する可能性が高い外郭部分を無視するという短所はあるが、高い鮮明度を得ることができる。サンプル内の細胞核が関心領域であれば、細胞核を検知し、細胞核を中心に画像の評価値を算出することで最適な鮮明度を得ることができる。
【0067】
例えば、
図6における分割画像(P1b)の評価値がZ1であり、分割画像(Q1b)の評価値がZ2である場合、Z1とZ2を加重値としてそれぞれの分割画像のピクセル値に乗じた結果を加算することで、分割画像(P1b、Q1b)を合成した第1予備合成画像(R1b)を生成することができる。分割画像それぞれの評価値または予備合成画像の評価値は、バッファ66の画像評価値格納部66a2、66b2に格納されることができる。また、画像後処理部67における活用のために、分割画像の合成後に生成された予備合成画像の評価値(Z1a、Z1b、Z2a、Z2b)が再び算出されて格納されることも可能である。
【0068】
画像後処理部67が第1予備合成画像と第2予備合成画像を合成して拡張被写界深度画像(S)を生成するに際しても、画像前処理部65が分割画像を合成する際に用いた方式を同様に適用することができる。
【0069】
一実施形態において、バッファ66は、1回の撮影時のFOVが重畳する回数、言い換えれば、x軸方向へのFOVの幅と、連続する撮影におけるステージ10のx軸方向への相対移動距離との比を考慮して備えられることができる。
図1~
図6の実施形態では重畳回数が「2」であるため、バッファ66は、第1バッファ66aと第2バッファ66bの2つを使用するものとして構成されることができる。また、第1バッファ66aと第2バッファ66bの大きさは、連続的に入力される分割画像数を考慮して設定されることができる。
【0070】
一実施形態において、バッファ66は、円形バッファ(circular buffer)で実現されることも可能である。円形バッファを用い、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44から入力された画像を画像前処理部65が前処理し、バッファのポインタ(pointer)の移動に沿って順次格納すると、メモリの繰り返し割り当ておよび解除を繰り返さなくてもよいという長所がある。
【0071】
一方、画像後処理部67は、拡張被写界深度画像(S)を生成するに際し、第1予備合成画像と第2予備合成画像を合成した後、合成された画像に対して周波数フィルタを適用することが可能である。一例として、前記周波数フィルタは、ハイパスフィルタ(high pass filter)であってもよい。
【0072】
一実施形態において、画像後処理部67は、複数の焦点位置を有する画像を合成した後、合成された画像にフーリエ変換(Fourier transform)を適用して周波数領域に変換し、低周波数成分を除去した後、逆フーリエ変換(Inverse Fourier transform)を行うことで高周波画像を取得することができる。このような過程により、画像における焦点が合わない部分または鮮明でない部分を除去することができる。
【0073】
一実施形態において、画像後処理部67は、畳み込みフィルタ(convolution filter)を適用し、低周波成分が除去された高周波画像を取得することも可能である。GPU(Graphics Processing Unit)を用いた並列処理またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いたリアルタイム処理において、畳み込みフィルタを適用することが有利である。画像後処理部67は、畳み込み形態のフィルタを用いて低周波のぼやけた画像(blurred image)を生成し、原画像からぼやけた画像を除去することで、その差分画像である高周波画像を取得することができる。畳み込みのためのカーネル(kernel)の大きさは、対物レンズの倍率、イメージセンサのピクセルピッチ(Pixel Pitch)、スキャニングするサンプルの種類に応じて異なり得る。
【0074】
一実施形態において、画像後処理部67は、分割画像を合成して一次拡張被写界深度画像を生成した後、一次拡張被写界深度画像に対して複数のカーネルを用いて様々な周波数帯域の画像を抽出し、差分画像である高周波画像を一次拡張被写界深度画像に加重値を適用して合成することで、最終的な拡張被写界深度画像を生成することができる。
【0075】
図7は、本発明の第1実施形態による画像取得装置において、画像生成部の画像後処理部における拡張被写界深度画像の処理過程の一例を示す図である。
【0076】
図7を参照すれば、画像後処理部67は、分割画像を合成して一次拡張被写界深度画像(S1)を生成する。画像後処理部67は、少なくとも1つのカーネルを用いて低周波のぼやけた画像(S1a、S1b)を生成し、一次拡張被写界深度画像からぼやけた画像(S1a、S1b)を差し引いた差分画像を用いて最終的な拡張被写界深度画像(S)を生成することができる。一実施形態において、画像後処理部67は、一次拡張被写界深度画像(S1)からぼやけた画像(S1a、S1b)を差し引いて生成した差分画像に加重値を適用し、加重値が適用された差分画像を一次拡張被写界深度画像(S1)に合成して最終的な拡張被写界深度画像(S)を生成することができる。また、画像後処理部67は、カーネルの大きさを小さくして一次拡張被写界深度画像(S1)内での境界領域を抽出した補助画像(S1c)を一次拡張被写界深度画像(S1)に追加的に合成することで、合成画像における鮮明度を増大させることができる。
【0077】
図8は、本発明の第1実施形態による画像取得装置の画像取得方法を示すフローチャートであり、
図9は、本発明の第1実施形態による画像取得装置および方法において、連続するFOVが2/3ずつ領域が重畳する場合を例示する図である。
【0078】
サンプルが載せられたスライド12をステージ10に搭載し、スライド12に対するスキャニングを開始する。
【0079】
第1位置において、対物レンズ20の第1FOVに応じたサンプルの画像をイメージセンサ部40、44を介して取得する(S10)。第1位置は、ステージ10またはスライド12に対する対物レンズ20の水平面上での位置(x軸方向の位置またはx軸およびy軸方向の位置)と垂直方向への位置(z軸位置)に特定されることができる。対物レンズ20を介して取得された画像は、ビーム分割部30により分離され、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44に伝達されることができる。また、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44がそれぞれ取得する画像のFOVは同一であり、サンプルにおける焦点位置は互いに異なり得る。
【0080】
画像生成部60は、連続するFOVの重畳領域を考慮して、第1FOVに応じて取得された画像を分割してバッファ66に格納する(S12)。
【0081】
第2位置において、対物レンズ20の第2FOVに応じたサンプルの画像をイメージセンサ部40、44を介して取得する(S14)。第2位置においてステージ10またはスライド12に対する対物レンズ20の水平面上での位置は、第2FOVと第1FOVが少なくとも一部の領域で重畳する位置である。例えば、ステージ10がx軸方向にFOVの1/2だけ移動する場合、第1FOVと第2FOVは、x軸方向に1/2の領域が重畳する。また、第2位置において対物レンズ20の垂直方向への位置(z軸位置)は、第1位置におけるz軸位置とは異なるように設定されることができ、これにより、第2FOVでイメージセンサ部40、44が取得する画像の焦点位置は、第1FOVとは異なることになる。
【0082】
画像生成部60は、連続するFOVの重畳領域を考慮して、第2FOVに応じて取得された画像を分割してバッファ66に格納する(S16)。
【0083】
画像生成部60は、第1FOVに応じて取得された画像と第2FOVに応じて取得された画像において重畳する領域の分割画像を用いて拡張被写界深度画像を生成する(S18)。
【0084】
S12ステップにおいて、画像生成部60は、第1FOVに応じて第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44により取得された画像を連続するFOVの重畳領域を考慮してそれぞれ分割する。一実施形態において、画像生成部60は、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44の分割された画像を分割領域別に合成して第1予備合成画像を生成し、バッファ66に格納することができる。
【0085】
S16ステップにおいて、画像生成部60は、第2FOVに応じて第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44により取得された画像を連続するFOVの重畳領域を考慮してそれぞれ分割する。一実施形態において、画像生成部60は、第1イメージセンサ部40と第2イメージセンサ部44の分割された画像を分割領域別に合成して第2予備合成画像を生成し、バッファ66に格納することができる。
【0086】
S18ステップにおいて、画像生成部60は、第1FOVと第2FOVが重畳する領域に対する第1予備合成画像と第2予備合成画像を合成して拡張被写界深度画像を生成することができる。
【0087】
仮に、
図9に示すように、連続するスキャニングにおいてスライド12がx軸方向にFOVの1/3だけ移動する場合であれば、第1FOVと第2FOVは、領域の2/3が重畳する。また、後続の第3FOVを考慮すれば、第1FOVのx軸方向への最後の1/3に該当する領域は、第1FOV、第2FOV、および第3FOVにより撮影された画像が全て存在することになる。この場合、画像生成部60は、重畳する領域を考慮して、第1FOV、第2FOV、および第3FOVにより撮影された画像を3つにそれぞれ分割し、重畳する領域に該当する分割画像を全て用いて当該領域に対する拡張被写界深度画像を生成することができる。
図9において、第1FOV、第2FOV、および第3FOVにおける対物レンズ20のスライド12またはサンプル14に対する相対的な高さは同一または異なるように設定されることができる。
図1に示すように、イメージセンサ部40、44が2つ備えられる場合であれば、第1、第2、第3FOVが全て重畳する領域では、総6個の焦点位置が異なる分割画像が存在することができる。
【0088】
また、前記バッファ66は、重畳領域の大きさを考慮して複数備えられることができ、それぞれのバッファの大きさは、必要に応じて増減することができる。第1FOVと第2FOVが1/2重畳する場合、バッファは、第1FOVおよび第2FOVそれぞれのために個別的に備えられることができる(すなわち、バッファが2つ備えられる)。後続の第3FOVの画像情報は、第1FOVのためのバッファに連続して格納されることができ、第3FOVに後続の第4FOVの画像情報は、第2FOVのためのバッファに連続して格納されることができる。連続するFOVが2/3重畳する場合には、第1FOV、第2FOV、および第3FOVのためのバッファがそれぞれ備えられ、総3つのバッファが備えられることができる。
【0089】
また、一実施形態において、バッファ66は、円形バッファとして備えられることができる。
【0090】
S18ステップにおいて、画像生成部60は、複数の焦点位置を有する分割画像を合成した後に周波数フィルタを適用することができる。
【0091】
また、S10~S18ステップは、繰り返し行われることができ、画像生成部60は、分割領域別に生成された拡張被写界深度画像を繋ぎ合わせ、サンプルの所定領域または全体領域に対する1つの拡張被写界深度画像を生成して出力することも可能である。
【0092】
図10は、本発明の第2実施形態による画像取得装置の構成を示す図である。
【0093】
本発明の第2実施形態による画像取得装置1’は、第1実施形態による画像取得装置1の構成と同様に、スライド12が搭載されるステージ10、対物レンズ20、およびチューブレンズ22を含み、ビーム分割部30’および3つのイメージセンサ部40、44、48を含むという点で一部の差がある。
【0094】
ビーム分割部30’は、対物レンズ20とチューブレンズ22を介して伝達されたサンプル14からの光を3つに分割する。一実施形態において、ビーム分割部30’は、複数のプリズムを結合して構成することができる。ただし、本発明の実施において、ビーム分割部30’の構成は、様々な方式で実現されてもよい。例えば、複数のダイクロイックミラー(dichroic mirror)を介して順次に画像の一部を反射し透過する方式でビーム分割部30’を構成することも可能である。
【0095】
ビーム分割部30’により分割された画像は、第1イメージセンサ部40、第2イメージセンサ部44、および第3イメージセンサ部48に伝達される。第1イメージセンサ部40、第2イメージセンサ部44、および第3イメージセンサ部48が取得するサンプル14に対するそれぞれの画像は、サンプル14内で異なる焦点位置となるように設定される。これにより、第1イメージセンサ部40、第2イメージセンサ部44、および第3イメージセンサ部48によりそれぞれ取得される画像のサンプル14における焦点位置が互いに異なる。画像生成部60には、互いに異なる焦点位置のサンプル14の画像が伝達される。
【0096】
第2実施形態による画像取得装置1’を介して取得された画像は、
図2~
図8を参照して説明したように処理されることで拡張被写界深度画像が生成されることができる。すなわち、第1実施形態による画像取得装置1は、1つのFOVで2つの焦点位置が異なる画像を取得するが、第2実施形態による画像取得装置1’は、1つのFOVで3つの焦点位置が異なる画像を取得することができる。これにより、画像生成部60により生成される拡張被写界深度画像の品質が向上することができる。また、本発明の実施において、ビーム分割部30、30’が画像を4つ以上に分割し、イメージセンサ部もそれに相応する個数が備えられることも可能である。
【0097】
一方、第2実施形態による画像取得装置1’は、1つのFOVで3つの焦点位置に応じたサンプルの画像を取得することができるため、FOVの重畳に応じた画像の分割なしに拡張被写界深度画像を生成するように作動することができる。
【0098】
この場合、
図4に示された画像生成部60の構成において、画像分割部64が備えられなくてもよい。
【0099】
また、複数の焦点位置が異なるサンプル14の画像を拡張被写界深度画像に合成する際に、前記画像生成部60は、複数の画像の品質を評価して評価値を算出し、その評価値を加重値としてそれぞれの焦点位置に対する画像に適用することで拡張被写界深度画像を生成することも可能である。
【0100】
また、
図4に示された画像生成部60におけるバッファ66を備えることなく、画像入力部62に入力された画像が直ちに画像合成部68に伝達され、複数の焦点位置が異なる画像をフォーカススタッキングして合成画像を生成することができる。
【0101】
第2実施形態による画像取得装置1’は、サンプル14を連続的にスキャニングする際に、連続する撮影において(例えば、第1FOVの撮影後、第2FOVの撮影において)重畳領域が存在しないか、またはステッチのための最小限の重畳領域が設定されることができる。重畳領域を最小とすることで、サンプル14に対する迅速なスキャニングを可能にする。
【0102】
図11は、本発明の第2実施形態による画像取得装置を介して取得された画像を用いて拡張被写界深度画像を生成する過程を概念的に示す図であり、
図12は、本発明の第2実施形態による画像取得装置を介して取得された互いに異なる焦点位置の画像サンプルを例示する図である。
【0103】
図11を参照すれば、第1イメージセンサ部40、第2イメージセンサ部44、および第3イメージセンサ部48が同一のFOV内で同時に対物レンズ20を介して取得するサンプル14の画像は、互いに異なる焦点位置を有する。第1イメージセンサ部40、第2イメージセンサ部44、および第3イメージセンサ部48は、
図12に例示したように、それぞれ焦点位置f1、f2、f3における画像を取得し、画像生成部60は、1つのFOV内での互いに異なる焦点位置の画像を用いて1つの拡張被写界深度画像(S)を生成することができる。
【0104】
画像生成部60は、拡張被写界深度画像(S)を生成するに際し、第1イメージセンサ部40、第2イメージセンサ部44、および第3イメージセンサ部48により取得された画像をフォーカススタッキングして合成した後、合成された画像に対して周波数フィルタを適用することができる。一例として、前記周波数フィルタは、ハイパスフィルタ(high pass filter)であってもよい。一実施形態において、画像生成部60は、複数の焦点位置を有する画像を合成した後、合成された画像にフーリエ変換(Fourier transform)を適用して周波数領域に変換し、低周波数成分を除去した後、逆フーリエ変換(Inverse Fourier transform)を行って高周波画像を取得することで画像の鮮明度を向上させることができる。一実施形態において、画像生成部60は、畳み込みフィルタ(convolution filter)を適用し、低周波成分が除去された高周波画像を取得することも可能である。このような画像の周波数フィルタの適用については、
図7を参照して前述した画像処理過程が適用されることも可能である。
【0105】
図13は、本発明の第2実施形態による画像取得装置において、連続する撮影における焦点設定のための方策を説明する図である。
【0106】
図13の(a)を参照すれば、第1FOVで焦点位置f1、f2、f3の複数の画像が第1~第3イメージセンサ部40、44、48を介して取得される。第1FOVで取得された画像中の連続する第2FOV側の一部の領域は、焦点算出領域(FA)として活用される。主制御部50は、焦点算出領域(FA)における画像の焦点を評価し、第2FOVにおける焦点距離を算出して対物レンズ20を調整することができる。
図13の(b)を参照すれば、対物レンズ20のz軸の高さが調整され、第2FOVでは焦点位置f1’、f2’、f3’における画像を取得することができる。
【0107】
一実施形態において、第2FOVは、第1FOVに後続する部分であるか、または第1FOVと一部の領域が重畳することができる。第1FOVの焦点算出領域(FA)に属する細胞や組織を撮影しようとする場合であれば、第2FOVは、第1FOVの焦点算出領域(FA)を含んで設定されることができる。これを利用すると、焦点を算出するための別のカメラやイメージセンサを備えなくても、サンプル14に含まれた細胞や組織を撮影するための焦点の調節が可能であるという長所がある。
【0108】
図14は、本発明の第2実施形態による画像取得装置の画像取得方法を示すフローチャートである。
【0109】
サンプル14が載せられたスライド12をステージ10に搭載し、スライド12に対するスキャニングを開始する。
【0110】
同一のFOV内の互いに異なる焦点位置の複数の画像をイメージセンサ部40、44、48を介して取得する(S20)。対物レンズ20を介したサンプルからの光は、ビーム分割部30’により3つの光に分割され、第1~3イメージセンサ部40、44、48に伝達される。第1~3イメージセンサ部40、44、48は、サンプルに対する異なる焦点位置における画像を取得し、取得された画像は、画像生成部60に伝達される。
【0111】
画像生成部60は、複数の画像をフォーカススタッキングを適用して合成する(S22)。
【0112】
画像生成部60は、合成された画像の鮮明度を向上させる(S24)。一実施形態において、画像生成部60は、合成された画像に前述した周波数フィルタまたは畳み込みフィルタを適用し、画像鮮明度を向上させた拡張被写界深度画像を生成することができる。
【0113】
後続の撮影のために、主制御部50は、S20ステップで取得された複数の画像の焦点算出領域(FA)の画像焦点を評価し、後続FOVのための焦点を算出する(S26)。
【0114】
主制御部50は、ステージ10を対物レンズ20に対して水平面上で相対移動させ、対物レンズ20を垂直方向に移動させて焦点を変更し、後続FOVに応じた画像を取得するように制御してS20~S26ステップを繰り返す。
【0115】
図15は、本発明の第3実施形態による画像取得装置の構成を示す図であり、
図16は、本発明の第3実施形態による画像取得装置を用いて画像を取得する過程を説明する図である。
【0116】
本発明の第3実施形態による画像取得装置1’’は、第1実施形態による画像取得装置1の構成と同様に、スライド12が搭載されるステージ10、対物レンズ20、チューブレンズ22、画像生成部60、および主制御部50を含み、別のビーム分割部30を備えることなく1つのイメージセンサ部40のみを備えるという点で差がある。
【0117】
図16を参照すれば、主制御部50は、連続する撮影においてFOVが重畳するようにステージ10を対物レンズ20に対して相対移動させ、サンプル14内での焦点位置が異なるように対物レンズ20のz軸方向の高さを制御する。
図16の(a)は、第1FOVに対して焦点位置をf1として画像を取得することを示し、
図16の(b)および(c)は、ステージ10をx軸方向に沿って左側に第1FOVのx軸方向の大きさの1/3だけずつ移動させつつ、焦点位置がf2とf3となるように調整して第2FOVおよび第3FOVの画像を取得することを示す。これにより、第1FOV、第2FOV、および第3FOVで取得された画像は、重畳する領域が存在する。
【0118】
画像生成部60は、FOVの重畳領域を考慮して、第1FOV、第2FOV、および第3FOVで取得された画像を分割する。
図16の(d)を参照すれば、第1FOVの画像(P1)は、3つの分割画像(P1a、P1b、P1c)に分割され、第2FOVの画像(P2)は、3つの分割画像(P2a、P2b、P2c)に分割され、第3FOVの画像(P3)は、3つの分割画像(P3a、P3b、P3c)に分割される。第1FOVの画像(P1)の3番目の分割画像(P1c)に該当する分割領域には、分割画像(P2b)と分割画像(P3a)が重畳して存在する。
【0119】
画像生成部60は、3つの分割画像(P1c、P2b、P3a)を合成し、周波数フィルタを適用することで、当該領域に対する拡張被写界深度画像を生成する。このような過程を繰り返して分割領域別に生成された拡張被写界深度画像を連結すると、サンプル14の全体または関心領域に対する拡張被写界深度画像を生成することができる。
【0120】
図16では、FOVの1/3サイズだけx軸方向にステージ10を対物レンズ20に対して相対移動させ、連続するFOVの重畳領域がFOVの2/3となるものを例示したが、ステージ10の相対移動距離は、1/2、1/4、1/5などのように多様に設定可能であることはいうまでもない。一実施形態において、画像生成部60は、バッファ66をFOVの分割領域の個数を考慮して備えることができ、前記バッファ66は、円形バッファであってもよい。
【0121】
以上の説明では、1つのFOVに対して1つ~3つのイメージセンサ部を介して1つ~3つの焦点位置に応じたサンプル画像を取得し、後続の撮影においてFOVが1/2または2/3が重畳し、1つのFOVの特定の分割領域に重畳する分割画像の個数が3つ、4つ、6つであるものを例示した。1つのFOVに対して互いに異なる焦点位置の画像を取得するイメージセンサ部は4つ以上であってもよく、連続するFOVの重畳に応じてFOVの特定の分割領域に重畳する分割画像の個数は2つ以上であってもよい。すなわち、M個(Mは1以上の自然数)のイメージセンサ部で、1つのFOVにおける連続するFOVの重畳回数をN回(Nは1以上の自然数)とすると、特定の分割領域における重畳する分割画像の個数はM×Nとなる。画像生成部60は、M×N個の分割画像を用いて、特定の分割領域に対する拡張被写界深度画像を生成することができる。
【0122】
また、以上の説明では複数の画像を用いて拡張被写界深度画像を生成することを主に説明したが、本発明により取得された互いに異なる焦点位置の画像を利用すると、サンプル14に対する三次元画像を生成することも可能である。すなわち、画像生成部60は、互いに異なる焦点位置の複数の画像を用いてサンプル14に対する三次元画像を生成することができる。
【0123】
また、以上の説明において、第1~第3実施形態に区分して説明された画像取得装置および方法は、互いに組み合わせて適用することも可能である。
【0124】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものにすぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正、変更、および置換が可能である。したがって、本発明に開示された実施形態および添付された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施形態および添付された図面により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、後述の特許請求の範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内の全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0125】
1、1’、1’’ ・・・画像取得装置
10 ・・・ステージ
12 ・・・スライド
20 ・・・対物レンズ
22 ・・・チューブレンズ
30、30’、30’’ ・・・ビーム分割部
40、44、48 ・・・イメージセンサ部
50 ・・・主制御部
60 ・・・画像生成部