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特開2023-153809エピトープを特定するための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153809
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】エピトープを特定するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20231011BHJP
   C40B 40/10 20060101ALI20231011BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20231011BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20231011BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20231011BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20231011BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20231011BHJP
   C12N 9/00 20060101ALN20231011BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C40B40/10
C07K19/00
C12Q1/02
C12Q1/68
C12N15/113 130Z
C12N15/31
C12N9/00
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023114885
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2019567577の分割
【原出願日】2018-06-08
(31)【優先権主張番号】62/516,977
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503146324
【氏名又は名称】ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ハージ デズフリアン,モハマド
(72)【発明者】
【氏名】エレッジ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】クラ,トマシュ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】疾患に対する療法およびワクチンを開発するために、T細胞に特異的な標的抗原を特定するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】一態様では、MHCクラスIまたはMHCクラスII分子により発現および提示される1つまたは複数の候補抗原をコードする外因性核酸;グランザイムB(GzB)活性の分子レポーター;ならびにc)カスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ(CAD)媒介DNA分解、CADノックアウト、またはカスパーゼノックアウト(例えば、カスパーゼ3ノックアウト)の外因性阻害剤を含む抗原提示細胞(APC)が提供される。別の態様では、細胞傷害性リンパ球またはNK細胞に対する抗原提示細胞によって認識された抗原提示の検出のためのシステムが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)MHCクラスIまたはMHCクラスII分子により発現および提示される1つまた
は複数の候補抗原をコードする外因性核酸、
b)グランザイムB(GzB)活性の分子レポーター、ならびに
c)カスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ(CAD)媒介DNA分解、CADノ
ックアウト、またはカスパーゼノックアウトの外因性阻害剤
を含む抗原提示細胞(APC)。
【請求項2】
前記外因性核酸が、任意選択で、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、
またはトランスポゾンを介して、前記APCのゲノム中に安定的に導入されている、請求
項1に記載のAPC。
【請求項3】
前記外因性核酸の両側に、所定のプライマー認識配列が隣接している、請求項1または
2に記載のAPC。
【請求項4】
前記GzB活性の分子レポーターが、検出分子に連結したGzB切断部位(VGPD、
配列番号1)を含む融合ポリペプチドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のA
PC。
【請求項5】
前記分子レポーターが、改変された赤外蛍光タンパク質、膜係留CREリコンビナーゼ
、抗体ベースのGzB活性のレポーター、ER保持ベースのGzB活性のレポーター、細
胞表面検出可能ベースのGzB活性のレポーター、またはこれらの組合せを含む、請求項
4に記載のAPC。
【請求項6】
前記分子レポーターが、膜係留CREリコンビナーゼを含み、前記APCが、LoxP
部位が両側に隣接している逆位CREレポーターをさらに含み、任意選択で、前記外因性
核酸が、CRE活性化プライマー認識配列の近位に位置する、請求項4または5に記載の
APC。
【請求項7】
前記CAD媒介DNA分解の外因性阻害剤が、発現可能な形態でカスパーゼ活性化デオ
キシリボヌクレアーゼ阻害剤(ICAD)遺伝子をコードする核酸、CADもしくはカス
パーゼ3を標的とする阻害性核酸、カスパーゼ3の低分子阻害剤、化学的DNAse阻害
剤、またはカスパーゼ3のペプチドもしくはタンパク質阻害剤であるか、または前記カス
パーゼノックアウトが、カスパーゼ3ノックアウトである、請求項1から6のいずれか一
項に記載のAPC。
【請求項8】
i)内因性MHC分子を発現せず、外因性MHC分子を発現するように操作されており
、ならびに/またはii)K 562細胞、HEK 293細胞、HEK 293 T細
胞、U2OS細胞、MelJuso細胞、MDA-MB231細胞、MCF7細胞、NT
ERA2細胞、LN229細胞、樹状細胞、および一次自己B細胞からなる群から選択さ
れる、請求項1から7のいずれか一項に記載のAPC。
【請求項9】
前記候補抗原が、8、9、10、11、20、30、50、100、200、または3
00アミノ酸長未満であるかまたはそれに等しい、請求項1から8のいずれか一項に記載
のAPC。
【請求項10】
前記候補抗原が、300アミノ酸長を超える、請求項1から8のいずれか一項に記載の
APC。
【請求項11】
候補抗原をコードする前記外因性核酸が、感染性生物またはヒトのDNAに由来する、
請求項1から10のいずれか一項に記載のAPC。
【請求項12】
前記ヒトDNAが、がん細胞から得られる、請求項11に記載のAPC。
【請求項13】
前記感染性生物が、ウイルス、細菌、真菌、プロトゾア、および多細胞寄生生物からな
る群から選択される、請求項11に記載のAPC。
【請求項14】
各APCが、候補抗原をコードし、それによって、MHCクラスIおよび/またはMH
CクラスII分子により発現および提示される候補抗原のライブラリーを表す、様々な外
因性核酸を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のAPCのライブラリー。
【請求項15】
前記外因性核酸が、感染因子またはヒトDNAに由来する、請求項14に記載のライブ
ラリー。
【請求項16】
約10から約1014個の個々の候補抗原を含む、請求項14または15に記載のラ
イブラリー。
【請求項17】
検出分子に連結したGzB切断部位(VGPD、配列番号1)を含む融合ポリペプチド
を含む、グランザイムB活性の分子レポーター。
【請求項18】
前記検出分子が、酵素、検出可能な標識、抗体結合性抗原、またはアフィニティータグ
である、請求項17に記載の分子レポーター。
【請求項19】
前記検出可能な標識が、赤外蛍光タンパク質(IFP)、核酸増幅標的、抗体によって
認識される組成物、ERから放出される組成物、および細胞表面に存在する組成物からな
る群から選択される、GzB切断後に検出可能なものである、請求項18に記載の分子レ
ポーター。
【請求項20】
前記IFPが、前記GzB切断部位によって機能的に分離したN断片(N-IFP)お
よびC断片(C-IFP)を含み、さらに、C-IFPのN末端側に位置する緑色蛍光タ
ンパク質のN断片(N-GFP)と、N-IFPのC末端側に位置する緑色蛍光タンパク
質のC断片(C-GFP)が両側に隣接し、その結果、前記N-GFPとC-GFPは構
成的に活性である、請求項13に記載の分子レポーター。
【請求項21】
前記酵素が、CREリコンビナーゼであり、前記融合ポリペプチドが、前記GzB切断
部位によって分離された原形質膜付着ペプチドに機能的に連結した前記CREリコンビナ
ーゼを含む、請求項18に記載の分子レポーター。
【請求項22】
アフィニティータグが、前記GzB切断部位のC末端側に位置するFlagエピトープ
であり、その結果、前記エピトープが、前記GzB部位が切断されるとM1 Flag抗
体によってのみ認識され、任意選択で、前記flagエピトープのC末端側に位置するG
FPをさらに含む、請求項17に記載の分子レポーター。
【請求項23】
小胞体(ER)保持シグナルおよび抗体結合原形質膜タンパク質を含み、前記GzB部
位の切断によって、前記ER保持シグナルが除去され、任意選択で、前記抗原が、CD4
0、CD4、CD19、CD20、またはタグ付けされたタンパク質であり、任意選択で
、前記タグが、Mycタグ、Flagタグ、HAタグ、またはヒスチジンタグである、請
求項18に記載の分子レポーター。
【請求項24】
請求項17から23のいずれか一項に記載の分子レポーターをコードする核酸。
【請求項25】
抗原提示細胞におけるグランザイムB活性の検出のためのシステムであって、
a)原形質膜付着ペプチドに機能的に連結したCREリコンビナーゼを含む融合ポリペ
プチドであり、前記CREリコンビナーゼと膜付着ペプチドがGzB切断部位によって分
離されている、融合ポリペプチド、
b)ヘッドトゥヘッド方向でGFPおよびRFPをコードし、LoxP部位が両側に隣
接している核酸配列を含むCRE活性のレポーター、ならびに/または
c)LoxP部位が両側に隣接している不活性プライマーを含むCRE活性プライマー
認識配列の近位に位置する、発現可能な形態の候補抗原をコードする核酸配列であって、
前記LoxP部位のCRE誘導転位によって、機能的プライマー認識配列が生じる、核酸
配列
を含む、システム。
【請求項26】
細胞傷害性リンパ球またはNK細胞に対する抗原提示細胞によって認識された抗原提示
の検出のためのシステムであって、
a)
i.細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞に対して、MHCクラスIおよび/
またはMHCクラスII分子により発現および提示される候補抗原をコードする外因性核
酸、
ii.請求項17から24のいずれか一項に記載のグランザイムB(GzB)の活性
の分子レポーターまたは請求項25に記載のグランザイムBの活性を検出するためのシス
テム、および
iii.CAD媒介分解の阻害剤
を含む抗原提示細胞(APC)、ならびに
b)細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞を含む、システム。
【請求項27】
前記CAD媒介分解の阻害剤が、CAD媒介DNA分解の外因性阻害剤、CADノック
アウト、またはカスパーゼノックアウトであり、任意選択で、前記カスパーゼノックアウ
トが、カスパーゼ3ノックアウトであるか、またはCAD媒介DNA分解の前記外因性阻
害剤が、発現可能な形態でカスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤(ICAD
)遺伝子をコードする核酸、CADもしくはカスパーゼ3を標的とする阻害性核酸、カス
パーゼ3の低分子阻害剤、またはカスパーゼ3のペプチドもしくはタンパク質阻害剤であ
る、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記抗原提示細胞が、K 562細胞、HEK 293細胞、HEK 293 T細胞
、U2OS細胞、MelJuso細胞、MDA-MB231細胞、MCF7細胞、NTE
RA2a細胞、樹状細胞、および一次自己B細胞からなる群から選択される、請求項27
に記載のシステム。
【請求項29】
前記細胞傷害性リンパ球が、細胞傷害性CD4 T細胞および細胞傷害性CD8 T細
胞からなる群から選択される、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞が、目的の抗原受容体を発現するよう
に改変されている、請求項26から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞が、非細胞傷害性CD4 T細胞から
T細胞受容体を発現するように改変された細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞であ
る、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞によって認識される抗原を特定するための方
法であって、
a)請求項1から16のいずれか一項に記載の抗原提示細胞(APC)またはAPCの
ライブラリーを、抗原認識に適した条件下で、1つまたは複数の細胞傷害性T細胞(CT
L)および/またはNK細胞と接触させるステップと、
b)前記APCにおけるグランザイムB活性をアッセイすることによって、認識された
抗原を発現するAPCを特定するステップであって、適切な対照と比較したグランザイム
B活性の増加が、前記APCが前記細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞によって認
識された抗原を発現することを示す、ステップと、
c)ステップb)で特定された前記APCから、前記認識された抗原をコードする核酸
を単離するステップと
を含む方法。
【請求項33】
細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞によって認識される抗原を特定するための方
法であって、
a)請求項23に記載の抗原提示細胞(APC)またはAPCのライブラリーを、抗原
認識に適した条件下で、1つまたは複数のCTLと接触させるステップであって、前記G
zB部位の切断によって、前記ER保持シグナルが取り除かれ、前記原形質膜への輸送の
ために前記ERから前記原形質膜タンパク質を放出させる、ステップと、
b)前記APCを、前記原形質膜タンパク質に結合する抗体と接触させることによって
、認識された抗原を発現するAPCを単離し、抗体が結合したAPCを精製するステップ
と、
c)ステップb)で単離された前記APCから、前記認識された抗原をコードする核酸
を単離するステップと
を含む方法。
【請求項34】
ステップc)で単離された前記核酸をシークエンシングするステップをさらに含む、請
求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞が、対象の生体試料から得られる、請求
項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記生体試料が、血液、腫瘍、健康な組織、腹水液、自己免疫の位置、腫瘍浸潤、ウイ
ルス感染部位、病変、口腔粘膜、および皮膚からなる群から選択される、請求項35に記
載の方法。
【請求項37】
前記生体試料が、前記対象における感染部位または自己免疫反応性部位から得られる、
請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞傷害性T細胞が、CD4またはCD8細胞である、請求項30から37のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞が、目的の抗原受容体を発現するように
改変されている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞が、非細胞傷害性CD4 T細胞からT
細胞受容体を発現するように改変されている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記特定するステップb)が、対照のものと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5
倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少
なくとも1000倍またはそれを超えて増加する、前記APCにおける蛍光シグナルの検
出によるものである、請求項32から40に記載の方法。
【請求項42】
前記特定するステップb)が、フローサイトメトリーまたはアフィニティー精製による
ものである、請求項32から41に記載の方法。
【請求項43】
前記特定するステップb)が、蛍光活性化細胞選別(FACS)またはアフィニティー
精製によるものである、請求項32から42に記載の方法。
【請求項44】
前記単離するステップc)が、PCR増幅によるものである、請求項32から43に記
載の方法。
【請求項45】
前記シークエンシングが、パイロシークエンシングまたは次世代シークエンシングによ
るものである、請求項33から44に記載の方法。
【請求項46】
前記APCのライブラリーが、少なくとも5,000種の異なる候補抗原を含む、請求
項32から45に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2017年6月8日に出願した米国仮特許出願第62/516,977号の
利益を主張する。前述の内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の権利
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与される助成金番号第AI116833号の
下に政府の支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
T細胞、例えば、細胞傷害性T細胞に特異的な標的抗原を特定するための方法および試
薬が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0004】
細胞媒介性免疫応答に基づく免疫療法による手法は、例えば、がん、自己免疫疾患、感
染性疾患などの疾患を処置するのに有効であり得る。しかしながら、病原細胞によって発
現され、免疫応答をモジュレートするのに役割を果たす抗原は特定するのが困難である。
したがって、疾患に対する療法およびワクチンを開発するために、T細胞に特異的な標的
抗原を特定するための方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、a)MHCクラスIまたはMHCクラスII分子により発現および提示さ
れる1つまたは複数の候補抗原をコードする外因性核酸;b)グランザイムB(GzB)
活性の分子レポーター;ならびにc)カスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ(CA
D)媒介DNA分解、CADノックアウト、またはカスパーゼノックアウト(例えば、カ
スパーゼ3ノックアウト)の外因性阻害剤を含む抗原提示細胞(APC)が本明細書に記
載される。
【0006】
本発明の任意の態様に適用することができ、および/または本明細書に記載の任意の他
の実施形態と組み合わせることができる多数の実施形態がさらに提供される。例えば、様
々な実施形態では、外因性核酸は、任意選択で、レンチウイルスベクター、レトロウイル
スベクター、またはトランスポゾンを介して、APCのゲノム中に安定的に導入されてい
る。様々な実施形態では、外因性核酸の両側に、所定のプライマー認識配列が隣接してい
る。様々な実施形態では、GzB活性の分子レポーターは、検出分子に連結したGzB切
断部位(VGPD、配列番号1)を含む融合ポリペプチドを含み、例えば、分子レポータ
ーは、改変された赤外蛍光タンパク質、膜係留CREリコンビナーゼ、抗体ベースのGz
B活性のレポーター、ER保持ベースのGzB活性のレポーター、細胞表面検出可能ベー
スのGzB活性のレポーター、またはこれらの組合せを含む。様々な実施形態では、分子
レポーターは、膜係留CREリコンビナーゼを含み、APCは、LoxP部位が両側に隣
接している逆位CREレポーターをさらに含み、任意選択で、外因性核酸は、CRE活性
化プライマー認識配列の近位に位置する。様々な実施形態では、CAD媒介DNA分解の
外因性阻害剤が、発現可能な形態でカスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤(
ICAD)遺伝子をコードする核酸;CADまたはカスパーゼ3を標的とする阻害性核酸
;カスパーゼ3の低分子阻害剤;化学的DNAse阻害剤;またはカスパーゼ3のペプチ
ドもしくはタンパク質阻害剤であるか、またはカスパーゼノックアウトがカスパーゼ3ノ
ックアウトである。様々な実施形態では、APCは、i)内因性MHC分子を発現せず、
外因性MHC分子を発現するように操作されており、ならびに/またはii)K 562
細胞、HEK 293細胞、HEK 293 T細胞、U2OS細胞、MelJuso細
胞、MDA-MB231細胞、MCF7細胞、NTERA2細胞、LN229細胞、樹状
細胞、および一次自己B細胞からなる群から選択される。様々な実施形態では、候補抗原
は、8、9、10、11、20、30、50、100、200、または300アミノ酸長
未満であるかまたはそれに等しい。様々な実施形態では、候補抗原は、300アミノ酸長
を超える。様々な実施形態では、候補抗原をコードする外因性核酸は、感染性生物または
ヒトのDNAに由来する。様々な実施形態では、ヒトDNAは、がん細胞から得られる。
様々な実施形態では、感染性生物は、ウイルス、細菌、真菌、プロトゾア、および多細胞
寄生生物からなる群から選択される。
【0007】
別の態様では、各APCが、候補抗原をコードし、それによって、MHCクラスIおよ
び/またはMHCクラスII分子により発現および提示される候補抗原のライブラリーを
表す、様々な外因性核酸を含む、上記のAPCなどのAPCのライブラリーが本明細書に
記載される。
【0008】
上記のように、本発明の任意の態様に適用することができ、および/または本明細書に
記載の任意の他の実施形態と組み合わせることができる多数の実施形態がさらに提供され
る。例えば、様々な実施形態では、外因性核酸は、感染因子またはヒトDNAに由来する
。様々な実施形態では、ライブラリーは、約10から約1014個の個々の候補抗原を
含む。
【0009】
別の態様では、検出分子に連結したGzB切断部位(VGPD、配列番号1)を含む融
合ポリペプチドを含む、グランザイムB活性の分子レポーターが本明細書に記載される。
【0010】
上記のように、本発明の任意の態様に適用することができ、および/または本明細書に
記載の任意の他の実施形態と組み合わせることができる多数の実施形態がさらに提供され
る。例えば、様々な実施形態では、レポーターは、FRETペアを形成する蛍光色素のペ
ア、または、蛍光物質のうちの1つがクエンチされる;インタクトな蛍光物質ではない、
例えば、それ自体が蛍光を発することが可能な完全なタンパク質ではない;および/もし
くはロイコ色素ではない、例えば、2つの化学形態間(そのうちの1
つは無色である)を切り替えることができる色素ではない蛍光色素のペアを含まない。様
々な実施形態では、検出分子は、酵素、検出可能な標識、抗体結合性抗原、またはアフィ
ニティータグである。様々な実施形態では、検出可能な標識は、赤外蛍光タンパク質(I
FP)、核酸増幅標的、抗体によって認識される組成物、ERから放出される組成物、お
よび細胞表面に存在する組成物からなる群から選択される、GzB切断後に検出可能なも
のである。様々な実施形態では、IFPは、GzB切断部位によって機能的に分離したN
断片(N-IFP)およびC断片(C-IFP)を含み、さらに、C-IFPのN末端側
に位置する緑色蛍光タンパク質のN断片(N-GFP)と、N-IFPのC末端側に位置
する緑色蛍光タンパク質のC断片(C-GFP)が両側に隣接し、その結果、N-GFP
とC-GFPは構成的に活性である。様々な実施形態では、酵素は、CREリコンビナー
ゼであり、融合ポリペプチドは、GzB切断部位によって分離された原形質膜付着ペプチ
ドに機能的に連結したCREリコンビナーゼを含む。様々な実施形態では、アフィニティ
ータグは、GzB切断部位のC末端側に位置するFlagエピトープであり、その結果、
このエピトープは、GzB部位が切断されるとM1 Flag抗体によってのみ認識され
、任意選択で、このflagエピトープのC末端側に位置するGFPをさらに含む。様々
な実施形態では、分子レポーターは、小胞体(ER)保持シグナルおよび抗体結合原形質
膜タンパク質を含み、GzB部位の切断によって、ER保持シグナルが除去され、任意選
択で、抗原は、CD40、CD4、CD19、CD20、またはタグ付けされたタンパク
質であり、任意選択で、タグは、Mycタグ、Flagタグ、HAタグ、またはヒスチジ
ンタグである。
【0011】
別の態様では、本明細書に記載の分子レポーターをコードする核酸が提供される。
【0012】
別の態様では、抗原提示細胞におけるグランザイムB活性の検出のためのシステムであ
って、a)原形質膜付着ペプチドに機能的に連結したCREリコンビナーゼを含む融合ポ
リペプチドであり、CREリコンビナーゼと膜付着ペプチドがGzB切断部位によって分
離されている、融合ポリペプチド;b)ヘッドトゥヘッド方向でGFPおよびRFPをコ
ードし、LoxP部位が両側に隣接している核酸配列を含むCRE活性のレポーター;な
らびに/またはc)LoxP部位が両側に隣接している不活性プライマーを含むCRE活
性プライマー認識配列の近位に位置する、発現可能な形態の候補抗原をコードする核酸配
列であって、LoxP部位のCRE誘導転位によって、機能的プライマー認識配列が生じ
る、核酸配列を含む、システムが本明細書に記載される。
【0013】
同様に、別の態様では、細胞傷害性リンパ球またはNK細胞に対する抗原提示細胞によ
って認識された抗原提示の検出のためのシステムであって、a)i)細胞傷害性リンパ球
および/またはNK細胞に対して、MHCクラスIおよび/またはMHCクラスII分子
により発現および提示される候補抗原をコードする外因性核酸;ii)本明細書に記載の
グランザイムB(GzB)の分子レポーターまたは本明細書に記載のグランザイムBの活
性を検出するためのシステム;およびiii)CAD媒介分解の阻害剤を含む抗原提示細
胞(APC);ならびにb)細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞を含む、システ
ムが本明細書に記載される。
【0014】
上記のように、本発明の任意の態様に適用することができ、および/または本明細書に
記載の任意の他の実施形態と組み合わせることができる多数の実施形態がさらに提供され
る。例えば、様々な実施形態では、CAD媒介分解の阻害剤は、CAD媒介DNA分解の
外因性阻害剤、CADノックアウト、またはカスパーゼノックアウト(例えば、カスパー
ゼ3ノックアウト)であり、任意選択で、カスパーゼノックアウトは、カスパーゼ3ノッ
クアウトであるか、またはCAD媒介DNA分解の外因性阻害剤は、発現可能な形態でカ
スパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤(ICAD)遺伝子をコードする核酸;
CADまたはカスパーゼ3を標的とする阻害性核酸;カスパーゼ3の低分子阻害剤;また
はカスパーゼ3のペプチドもしくはタンパク質阻害剤である。様々な実施形態では、抗原
提示細胞は、K 562細胞、HEK 293細胞、HEK 293 T細胞、U2OS
細胞、MelJuso細胞、MDA-MB231細胞、MCF7細胞、NTERA2a細
胞、樹状細胞、および一次自己B細胞からなる群から選択される。様々な実施形態では、
細胞傷害性リンパ球は、細胞傷害性CD4 T細胞および細胞傷害性CD8 T細胞から
なる群から選択される。様々な実施形態では、細胞傷害性リンパ球および/またはNK細
胞は、目的の抗原受容体を発現するように改変されている。様々な実施形態では、細胞傷
害性リンパ球および/またはNK細胞は、非細胞傷害性CD4 T細胞からT細胞受容体
を発現するように改変された細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞である。
【0015】
別の態様では、細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞によって認識される抗原を特
定するための方法であって、a)本明細書に記載される抗原提示細胞(APC)またはA
PCのライブラリーを、抗原認識に適切な条件下で、1つまたは複数の細胞傷害性T細胞
(CTL)および/またはNK細胞と接触させるステップと;b)APCにおけるグラン
ザイムB活性をアッセイすることによって、認識された抗原を発現するAPCを特定する
ステップであって、適切な対照と比較したグランザイムB活性の増加が、APCが細胞傷
害性T細胞および/またはNK細胞によって認識された抗原を発現することを示す、ステ
ップと、c)ステップb)で特定されたAPCから、認識された抗原をコードする核酸を
単離するステップとを含む方法が本明細書に記載される。
【0016】
同様に、別の態様では、細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞によって認識される
抗原を特定するための方法であって、a)本明細書に記載される抗原提示細胞(APC)
またはAPCのライブラリーを、抗原認識に適切な条件下で、1つまたは複数のCTLと
接触させるステップであって、GzB部位の切断によって、ER保持シグナルが取り除か
れ、原形質膜への輸送のためにERから原形質膜タンパク質を放出させる、ステップと;
b)APCを、原形質膜タンパク質に結合する抗体と接触させることによって、認識され
た抗原を発現するAPCを単離し、抗体が結合したAPCを精製するステップと;c)ス
テップb)で単離されたAPCから、認識された抗原をコードする核酸を単離するステッ
プとを含む方法が本明細書に記載される。
【0017】
上記のように、本発明の任意の態様に適用することができ、および/または本明細書に
記載の任意の他の実施形態と組み合わせることができる多数の実施形態がさらに提供され
る。例えば、様々な実施形態では、方法は、単離された核酸をシークエンシングするステ
ップをさらに含む。様々な実施形態では、細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞は、
対象の生体試料から得られる。様々な実施形態では、生体試料は、血液、腫瘍、健康な組
織、腹水液、自己免疫の位置、腫瘍浸潤、ウイルス感染部位、病変、口腔粘膜、および皮
膚からなる群から選択される。様々な実施形態では、生体試料は、対象における感染部位
または自己免疫反応性部位から得られる。様々な実施形態では、細胞傷害性T細胞は、C
D4またはCD8細胞である。様々な実施形態では、細胞傷害性T細胞および/またはN
K細胞は、目的の抗原受容体を発現するように改変されている。様々な実施形態では、細
胞傷害性T細胞および/またはNK細胞は、非細胞傷害性CD4 T細胞からT細胞受容
体を発現するように改変されている。様々な実施形態では、特定するステップb)は、対
照のものと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも
25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍またはそれを超
えて増加するAPCにおける蛍光シグナルの検出によるものである。様々な実施形態では
、特定するステップは、フローサイトメトリーまたはアフィニティー精製を使用して実施
される。様々な実施形態では、特定するステップは、蛍光活性化細胞選別(FACS)ま
たはアフィニティー精製を使用して実施される。様々な実施形態では、単離するステップ
は、PCR増幅によって実施される。様々な実施形態では、シークエンシングは、パイロ
シークエンシングまたは次世代シークエンシングによって実施される。様々な実施形態で
は、APCのライブラリーは、少なくとも5,000種の異なる候補抗原を含む。
【0018】
定義
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、この冠詞の文法上の目的物の1つ
または複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「1つの要
素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
【0019】
「単離された」によって、ネイティブな状態で見出される場合に、通常それを伴う成分
を、程度に差はあっても、含まない材料を意味する。「単離する」は、もとの供給源また
は環境からの分離の程度を表す。例えば、単離された細胞は、動物から取り除かれ、培養
皿または別の動物に置くことができる。単離されたとは、他のすべての細胞から取り除か
れていることを必ずしも必要としない。
【0020】
単離された細胞集団に関連する用語「単離された集団」は、本明細書で使用する場合、
その自然環境(例えば、体内)から得られ、細胞の混合集団または異種集団から除去およ
び分離された(例えば、自然環境からの除去プロセスにおいて、もしくはその除去に次い
で、またはその両方の組合せで)細胞の集団を指す。一部の実施形態では、単離された集
団は、そこから細胞が単離されるかまたはエンリッチされた異種集団と比較して、実質的
に純粋な細胞の集団である。一部の実施形態では、単離された集団は、所望の細胞(例え
ば、細胞傷害性リンパ球)および夾雑細胞を含む細胞の異種集団と比較して、実質的に純
粋な細胞の集団である、単離された細胞の集団である。このような細胞は、最初に、成体
からまたは未熟な対象(例えば、誕生から、または胎児(embryo)もしくは胎児(
developing fetus)から18歳以下、または1歳以下、または1カ月以
下、または1日以下)から単離され得る。
【0021】
特定の細胞集団に関連する用語「実質的に純粋」は、全細胞集団を構成する細胞に関連
して、少なくとも約50%、60%、70%、または75%、好ましくは少なくとも約8
5%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%純粋な細
胞の集団を指す。言い換えれば、細胞の集団に関する用語「実質的に純粋」または「本質
的に精製された」は、約20%未満、より好ましくは約15%、10%、8%、7%未満
、最も好ましくは約5%、4%、3%、2%、1%未満、または1%未満しか夾雑細胞を
含有しない細胞集団を指す。
【0022】
抗原提示細胞(APC)は、MHCクラスIおよび/またはMHCクラスIIによって
免疫細胞(例えば、細胞傷害性免疫細胞)に抗原を提示することができる任意の細胞であ
る。APCは、本明細書において、APC標的、標的細胞、または標的APCとも称され
る。本明細書に記載される通りに使用されるAPCは、APCのゲノム中に安定的に挿入
された外因性核酸の発現によって候補抗原を提示するように改変されている。一部の実施
形態では、APCは、本明細書に記載される候補抗原をコードするライブラリーを調製す
るのに好適な細胞(例えば、HEK293、HEK293T、U20S、K562、Me
lJuso、MDA-MB231、MCF7、NTERA2a、樹状細胞および一次(自
己)B細胞)である。
【0023】
細胞および対象は、この用語が本明細書で使用される場合、典型的には、ヒトである。
しかしながら、非ヒト動物であるものに由来する対象および細胞も使用を想定される。用
語「非ヒト動物」は、これらに限定されないが、哺乳動物(例えば、ヒツジ、イヌ、ウシ
、ウマ、ニワトリ、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)、霊長類、イヌ科
の動物、ウマ科の動物、ウシ属の動物、ネコ科の動物、ブタ)および非哺乳動物である両
生類、爬虫類などを含むすべての脊椎動物を含む。本明細書に記載の細胞は、この文脈で
またはその他の箇所で、本明細書に記載の任意のこのような対象から単離することができ
る。非ヒト霊長類も可能な供給源である。専門家は、APCと細胞傷害性リンパ球が同じ
種の対象に由来するべきであることを認識するであろう。
【0024】
本明細書で使用する場合、用語「抗原」は、宿主生物において免疫応答を誘導すること
が可能な分子、具体的には、T細胞によって認識される分子を指す。一部の実施形態では
、抗原はペプチドである。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「候補抗原」は、本明細書に記載のスクリーニング方法
における使用を意図した、APC標的中に導入される外因性核酸によってコードされるペ
プチドを指す。本明細書に記載されるライブラリーは、導入された候補抗原を含む標的細
胞を含む。
【0026】
「外因性」は、この用語が本明細書において使用される場合、細胞の外側または外部に
起因する物質を指す(例えば、細胞のゲノム中に挿入された細胞の外側に由来する核酸は
、外因性核酸と考えられる)。
【0027】
用語「核酸」、「核酸配列」、「核酸分子」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書
において互換的に使用することができ、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態、デオ
キシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれか、またはそのアナログを指し
、天然に存在するヌクレオチドおよび/または改変されたヌクレオチドを含み得る。ポリ
ヌクレオチドは、任意の三次元構造を有する場合があり、知られているか知られていない
かにかかわらず、任意の機能を実施する可能性がある。ポリヌクレオチドの非限定例とし
て、遺伝子、遺伝子断片、エクソン、イントロン、DNA、RNA、cDNA(相補的D
NA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、rRNA(リボゾームRNA)、shRN
A(低分子ヘアピン型RNA)、snRNA(核内低分子RNA)、snoRNA(核小
体低分子RNA)、miRNA(マイクロRNA)、ゲノムDNA、合成DNA、合成R
NA、および/またはtRNA、組換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プ
ラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、制御領域、任意の配列の単離され
たRNA、核酸プローブ、およびプライマーが挙げられる。核酸分子は、直鎖状であって
も環状であってもよい。
【0028】
「ベクター」、「クローニングベクター」および「発現ベクター」は、本明細書で使用
する場合、ポリヌクレオチド配列(例えば、外来の遺伝子)を宿主細胞に導入して、宿主
を形質転換させ、導入された配列の発現(例えば、転写および翻訳)を促進することがで
きるビヒクルを指す。それぞれ、それが連結してる別の核酸を輸送することが可能な核酸
分子を指す。好ましいベクターは、それらが連結する核酸分子の自己複製および/または
発現を可能とするものである。それらが作動可能に連結する遺伝子の発現を支持すること
が可能なベクターは、「発現ベクター」と称される。ベクターとして、プラスミド、ファ
ージ、ウイルスなどが挙げられる。
【0029】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書で互換的に使
用することができ、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指し、これらは、コードされ
たおよびコードされていないアミノ酸、化学的または生化学的に修飾されたまたは誘導体
化されたアミノ酸、ならびに修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含むことが
できる。この用語は、これらに限定されないが、N末端メチオニン残基を有するか有さな
いかにかかわらず、異種アミノ酸配列との融合タンパク質、異種およびネイティブリーダ
ー配列との融合物;免疫学的にタグ付けされたタンパク質;検出可能な融合パートナーと
の融合タンパク質、例えば、融合パートナーとして、蛍光タンパク質、βガラクトシダー
ゼ、ルシフェラーゼなどを含む融合タンパク質などを含む融合タンパク質を含む。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「ライブラリー」は、遺伝子材料のコレクション、本明
細書で使用する場合、候補抗原をコードする核酸のコレクションを指す。用語「ライブラ
リー」は、個々の細胞が、核酸のライブラリーを集合的に含有し、おそらくは発現する、
細胞(APC)のコレクションも指す場合がある。一部の実施形態では、標的APCのラ
イブラリーは、例えば、病原体、病原体に感染した細胞、がん細胞、自己免疫疾患に関与
する(例えば、標的とされる)細胞、および/または健康な対象由来の細胞のいずれかに
由来する複数のペプチドを含み、これらのペプチドは、MHCクラスIおよび/またはM
HCクラスII分子により提示されるように、標的細胞の表面に呈される。
【0031】
用語「T細胞」および「Tリンパ球」は、本明細書において互換可能であり、同義的に
使用される。例として、これらに限定されないが、ネイティブT細胞、セントラルメモリ
ーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0032】
用語「形質導入」は、本明細書で使用する場合、ベクターを使用する、外来の核酸の細
胞中への導入を指す。
【0033】
用語「トランスフェクション」は、本明細書で使用する場合、組換えDNA技術を使用
する、外来の核酸の細胞中への導入を指す。用語「形質転換」は、「外来の」(すなわち
、外部の、外因性の、または細胞外の)遺伝子、DNAまたはRNA配列の宿主細胞への
導入を意味し、その結果、宿主細胞は、導入された遺伝子または配列を発現し、導入され
た遺伝子または配列によってコードされたタンパク質または酵素などの所望の物質を生成
することとなる。本明細書に記載の細胞を形質転換するための1つのこのような方法は、
形質導入によるものである。導入された遺伝子または配列は、「クローニングされた」ま
たは「外来の」遺伝子または配列と呼ばれる場合もあり、細胞の遺伝機構によって使用さ
れる、スタート、ストップ、プロモーター、シグナル、分泌、または他の配列などの、調
節または制御配列を含んでもよい。遺伝子または配列は、非機能性配列または公知の機能
を有さない配列を含んでもよい。導入されたDNAまたはRNAを受容および発現する宿
主細胞は「形質転換され」ており、「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞
に導入されたDNAまたはRNAは、宿主細胞と同じ属または種の細胞、異なる属または
種の細胞を含む、任意の供給源から生じ得る。
【0034】
用語「検出分子」は、これらに限定されないが、放射性同位体、蛍光体、化学発光体、
発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、染料、金属イオン、金属ゾ
ル、リガンド(例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンまたはヘプタン)など
を含む、検出されることが可能な分子を指す。検出分子として使用するのに好適な例示的
な検出可能な分子として、アフィニティータグおよび検出可能な標識が挙げられる。検出
可能な標識の例は、限定されることなく、蛍光体、化学発光体、および発色団である。
【0035】
用語「発色団」は、検出可能な範囲で蛍光を呈することが可能である物質またはその部
分を指す。
【0036】
用語「アフィニティータグ」は、アフィニティータグに結合し、検出可能なシグナル(
例えば、蛍光化合物またはタンパク質)をもたらす分子を使用して検出することができる
標的に結合され得るペプチドセグメントを示すために、本明細書において使用される。原
則として、それに対して抗体または他の特異的結合剤が利用可能である任意のペプチドま
たはタンパク質をアフィニティータグとして使用することができる。
【0037】
用語「反応混合物」は、本明細書で使用する場合、候補抗原を含む標的細胞のライブラ
リーが、細胞傷害性リンパ球を含む生体試料と接触する液体媒体を指す。これは、例えば
、候補抗原を含む標的細胞のライブラリーが、最初に、細胞傷害性リンパ球を含む生体試
料と接触し、次にいずれかの洗浄ステップが、標的細胞上の候補抗原と試料中の細胞傷害
性リンパ球の間の非特異的または低親和性結合を除去するように設計された反応混合物を
含む。所望の場合、反応混合物の厳密な条件を改変して、候補抗原と試料中の細胞傷害性
リンパ球の間での複合体形成に影響を及ぼすことができる。
【0038】
本明細書で使用する場合、用語「特異的結合」、「特異的に結合する」などは、反応混
合物中で、他の分子または部分に対して、第2の結合分子または部位に優先的に結合する
(共有結合または非共有結合により)第1の結合分子または部分の能力を指す。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「決定する」、「測定する」、「評価する」、および「
アッセイする」は互換的に使用され、文脈が別段に明示していなければ、定量的決定と定
性的決定の両方を含む。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「試料」または「生体試料」は、その自然環境から単離
され、免疫細胞(例えば、細胞傷害性リンパ球を含むなど)を含有する生体材料を指す。
試料または生体試料は、組織試料または生体液試料を含んでもよい。生体液として、これ
らに限定されないが、例えば、血液、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、洗浄液、および白血球
除去試料が挙げられる。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「病原体」は、別の生物(例えば、動物および植物)に
おいて、他の生物に直接感染することによって、または別の生物において疾患を引き起こ
す薬剤を生成すること(例えば、病原体毒素などを生成する細菌)によって、疾患を引き
起こす、微生物を含む生物を指す。本明細書で使用する場合、病原体として、これらに限
定されないが、細菌、プロトゾア、真菌、線形動物、ウイロイドおよびウイルス、または
これらの任意の組合せが挙げられ、各病原体は、それ自体によってまたは別の病原体と共
同で、これらに限定されないが、哺乳動物(これらに限定されないが、ヒトを含む)を含
む脊椎動物において疾患を誘発することが可能である。本明細書で使用する場合、用語「
病原体」は、免疫無防備状態ではない宿主において、通常病原性ではない場合のある微生
物も包含する。
【0042】
用語「免疫細胞」は、本明細書で使用する場合、これらに限定されないが、抗原提示細
胞、B細胞、好塩基球、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、好酸球、顆粒球、ヘルパーT細胞
、白血球、リンパ球(例えば、細胞傷害性リンパ球)、マクロファージ、マスト細胞、記
憶細胞、単球、ナチュラルキラー細胞、好中球、食細胞、プラズマ細胞およびT細胞を含
む、哺乳動物免疫系の細胞を指す。
【0043】
用語「免疫応答」は、本明細書で使用する場合、これらに限定されないが、先天免疫、
体液性免疫、細胞免疫、免疫、炎症性応答、後天的(獲得)免疫、自己免疫、および/ま
たは過活動免疫を含む免疫を指す。
【0044】
用語「哺乳動物」は、本明細書で使用する場合、限定されないが、ヒトおよび非ヒト霊
長類、例えば、チンパンジーおよび他の猿人類および他のサル種;家畜動物、例えば、ウ
シ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマ;飼育哺乳動物、例えば、イヌおよびネコ;マウス、
ラットおよびモルモットなどを含むげっ歯類の実験動物などを含む哺乳綱のクラスの任意
のメンバーを指す。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。よって、オスである
かメスであるかにかかわらず、胎児と同様に、成体および新生児対象も、この用語の範囲
内に含まれることを意図する。
【0045】
用語「腫瘍」は、本明細書で使用する場合、悪性であるか良性であるかにかかわらず、
すべての新生細胞の成長および増殖、ならびにすべての前がん性およびがん性の細胞およ
び組織を指す。
【0046】
用語「がん」および「がん性」は、本明細書で使用する場合、典型的には、無秩序な細
胞成長により特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を指し、またはそれを説明す
る。がんの例としては、これらに限定されないが、B細胞リンパ腫(ホジキンリンパ腫お
よび/または非ホジキンリンパ腫)、脳腫瘍、乳がん、結腸がん、肺がん、肝細胞がん、
胃がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、泌尿器系のがん、甲状
腺がん、腎臓がん、癌腫、黒色腫、頭頚部がん、脳がん、および前立腺がん(これらに限
定されないが、アンドロゲン依存性前立腺がんおよびアンドロゲン非依存性前立腺がんを
含む)が挙げられる。
【0047】
「適切な対照」は、この用語を本明細書で使用する場合、1つまたは複数の重要な因子
を除いて、そうでなければ実験反応と同様に処理される対照反応を指す。対照は、活性化
分子(例えば、活性化細胞傷害性リンパ球)に曝露されない以外は同一である細胞であり
得る。あるいは、対照は、活性化分子に曝露されるが、レポーター分子を欠如する細胞で
あり得る(そうでなければ、実験細胞と同一であり得る)。適切な対照は、熟練の技術者
によって決定される。
【0048】
例示的実施形態が、参照される図面において例証される。本明細書で開示される実施形
態および図面は、限定的というよりはむしろ例示的とみなされるべきであることを意図す
る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】T細胞抗原の系統的特定の例示的手法の外観を示す図である。
図2図2Aおよび2Bは、CTL-標的相互作用に対する例示的陽性対照を示すグラフである。図2Aは、7-AAD染色によって決定されるように、CTLが標的細胞を認識し、対照ペプチドではないIV9でパルスして標的細胞を死滅させることを示す。図2Bは、LDH放出によって測定されるように、3つの異なるプロモーター由来のIV9ペプチドを含有する56個のアミノ酸ペプチド(56量体とも称される)の発現により、効率的な抗原提示およびIV9 CTLによる死滅が導かれることを示す。
図3】例示的なGzB活性の蛍光発生レポーターを示すグラフである。 蛍光発生GzBレポーターを発現するGFP標識標的細胞を、IV9 CTLとの共培養前に、対照ペプチドまたは同種のIV9ペプチドでパルスした。GzB活性は、標的細胞における赤外蛍光タンパク質シグナルを測定することによって検出される。
図4-1】図4Aおよび4Bは、同種の抗原を呈する標的細胞のエンリッチメントを実施する再構築実験を示す図である。図4Aは、再構築実験の概略図を示す。図4Bは、様々な割合で、対照抗原を呈する標的細胞中にスパイクされた場合に同種の抗原を呈する標的細胞のフォールドエンリッチメントを示す。
図4-2】図4-1と同様である。
図5-1】図5Aおよび5Bは、スクリーニングにおけるCTL抗原の検出を示す図である。図5Aは、スクリーニングの概略図を示す。図5Bは、インプットライブラリーに対して、スクリーニング後に対照(非標的)および同種の(標的)ペプチドのqPCRによって検出されたフォールドエンリッチメントを示す。Rep1およびRep2は、2つの独立した生物学的複製である。
図5-2】図5-1と同様である。
図6-1】図6Aおよび6Bは、例示的なGzB活性のCreレポーターの開発を示す図である。図6Aは、DNAにコードされたペプチドを発現する抗原提示細胞(APC)が、その細胞表面のMHC I分子に、ペプチドに由来するエピトープを提示することを示す。T細胞は、T細胞受容体(TCR)を介してこの複合体を認識すると、パーフォリンとグランザイムを分泌する免疫シナプスを形成する。グランザイムはAPCに侵入し、以前に膜に結合したCreリコンビナーゼを切断する。Creリコンビナーゼは、3’プライマー部位の方向を逆転させ、DNAがコードするペプチドの生産的PCR増幅を可能とする。図6Bは、膜係留Creを発現し、NK細胞によって送達されたGzBに曝露された標的細胞におけるCre媒介逆位(Cre活性)の検出結果を示す。逆位レポーターカセットに特異的なプライマーを使用するqPCRによってCre活性を検出した。NK細胞で処理した細胞と対照の未処理細胞に由来するゲノムDNAを精製し、逆転頻度をqPCRによって定量し、各試料におけるレポーターの存在量(逆位非依存性qPCRプライマーを使用して定量した)に対して正規化した。Cre活性に関するレポーターのみを発現する標的細胞(Creなしの対照)では、GzB送達の際に検出可能なCre活性が実証されなかった。
図6-2】図6-1と同様である。
図7-1】図7Aおよび7Bは、例示的な抗体ベースのGzB活性のレポーターの開発を示す図である。図7Aは、抗体ベースのレポーター手法の概略図を示す。一般的に、レポーター物質は、GzB切断部位の前にFlagエピトープを含有する。GzB切断後に、Flagエピトープは、タンパク質のN末端に特異的なFlagエピトープを認識したM1抗体による認識にアクセス可能である。図7Bは、NK細胞によるGzBの送達の有無にかかわらず、GzBレポーターを発現する標的細胞由来の細胞溶解物に関して、M1 Flag抗体を使用するウエスタンブロッティング解析の結果を示す。レポーターとその後のGzB送達の存在下で、抗体標的の劇的な増加が観察される。
図7-2】図7-1と同様である。
図8】IV9 T細胞のスクリーニング結果のグラフ表示である。各ドットは、ライブラリーの1つのペプチドに対する2つの生物学的複製のそれぞれにおけるフォールドエンリッチメントを表す。数値標識で特定したドットは、IV9 T細胞の公知の標的を含有するすべてのペプチドである。
図9】解析によって発見されたモチーフを列挙するチャートである。IV9エピトープは、このモチーフ解析によって特定した。IV9のスクリーニング由来の100個の最もエンリッチされたペプチドに関するMEME解析によって特定された最上位のエンリッチされたモチーフは、正確なIV9エピトープ(ILKEPVHGV)を含有する。
図10】CD4 TCRに関するGzBレポーターを使用した実験においてGzBレポーターを活性化した標的細胞のパーセンテージを示す表である。一次CD8+ T細胞は、Ob1A.12 TCRまたは対照のTCRのいずれかを発現するようにレンチウイルスによって改変された。次いで、改変されたT細胞を、Ob1A.12 TCRの標的抗原または突然変異体の対照抗原を呈する標的細胞と混合した。Ob1A.12 TCRを発現することにより、GzBレポーターを使用して検出することができるMHC IIに関連して、同種のMBPペプチドの特異的認識がもたらされた。
図11】IFPを利用するGzbレポーターの線形概略図である。レポーターは、GzB切断配列を含有する、リンカーによって分割された二等分のIFPの部分を含有する。IFPカセットの全体は、分割されたGFPがその両側に隣接している。
図12】レポーター活性化のメカニズムの概略図である。活性化の前に、レポーターは、リンカー配列によって成熟を抑制した二等分のIFPを含む。GzB切断に際し、リンカーが放出され、二等分のIFPが一緒になって、活性な蛍光IFPを形成する。構築物のNおよびC末端において分割されたGFPにより、構成的GFP蛍光がもたらされ、タンパク質全体を安定化させる助けとなる。
図13-1】例示的GzB IFPレポーターのヌクレオチド(配列番号2)およびアミノ酸(配列番号33)配列を示す図である。
図13-2】図13-1と同様である。
図13-3】図13-1と同様である。
図14】GFPの活性化とRFPの損失による蛍光検出によるよりもむしろqPCRによる、Creの存在に関するレポーターカセットの逆位事象の検出を促進するために設計されたqPCRプライマーを示す図である。
図15-1】GFPの活性化とRFPの損失によりCre活性の蛍光検出を可能とする、Creの存在に関する例示的レポーターカセットのヌクレオチド(配列番号3)およびアミノ酸(配列番号34)配列を示す図である。
図15-2】図15-1と同様である。
図15-3】図15-1と同様である。
図16】NLV2 TCRに関するCMVのゲノムワイドスクリーニングの結果を示すグラフである。CMVゲノムにわたって28個のアミノ酸ごとに並べて表示された2,882個の56アミノ酸長のペプチドを、2つの異なるDNAバーコードでコードした。散布図の各ドットは、1つのペプチド配列に対応する2つのバーコードの性能を示す。数値標識に関連して特定した上部右側角の2つのドットは、NLV2 TCR(NLVPMVATV(配列番号4))の公知の標識を含有するライブラリーにおける2つだけのエピトープである。
図17】患者のT細胞に関するウイルス叢-ワイドスクリーニングの結果を示すグラフである。206のウイルス種のゲノムにわたって28個のアミノ酸ごとに並べて表示された93,904個の56アミノ酸長のペプチドを、NLVペプチドの存在下で増殖させた患者のT細胞に関してスクリーニングした。散布図の各ドットは、スクリーニングの2つの生物学的複製のそれぞれにおける1つのペプチドの性能を示す。数値標識「24741」および「24742」に関連して特定した2つのドットは、NLVエピトープ(NLVPMVATV(配列番号4))を含有するライブラリーにおける2つだけのエピトープである。数値標識「32255」および「32256」に関連して特定した2つのドットは、図18に示す試料T細胞のうちの2%によって標的とされるUL123(IE1)タンパク質から重複する56量体をコードする。
図18】ウイルス叢-ワイドスクリーニングで発見した新規エピトープの検証を示すグラフである。陰性対照のペプチド、公知のpp65 NLVペプチド、または新たに発見されたIE1(UL123)ペプチドを負荷したHLA-A2四量体を使用して、ウイルス叢-ワイドスクリーニングで使用したT細胞集団を染色した。インプット集団のCD8-陽性T細胞の27.7%がNLVペプチドを認識したが、一方、2.1%がIE1エピトープを認識した。
図19】CMVゲノム-ワイドライブラリー対ポリクローナルメモリーT細胞を使用するライブラリースクリーニングの結果を示すグラフである。CMV-陽性、HLA-A2陽性のドナー由来のメモリーT細胞を使用して、CMVゲノムにわたって28個のアミノ酸ごとに並べて表示された2,882個の56アミノ酸長のペプチドをスクリーニングした。各ドットは、特定の56アミノ酸ペプチドをコードする2つの独立したDNAバーコードの性能を表す。エンリッチされた2つの重複する56アミノ酸ペプチドを有するペプチドを数値標識に関連して特定する。
図20】TCR結合の並べて表示した突然変異誘発の特徴付けの結果を示すグラフである。NLVエピトープ(NLVPMVATV(配列番号4))に対して増殖したT細胞をNLVエピトープとその両側に隣接する2つのアミノ酸の網羅的突然変異誘発ライブラリーに対してスクリーニングした。ヒートマップの各ボックスは、エピトープの野生型バージョンと比較して、この突然変異体がどのように実施されたかを示す濃淡および値と共に、1つの突然変異体を表す。
図21】TCR標識の検出が、複数回のスクリーニングで改善されることを示すグラフである。各ドットは、IV9特異的TCRによる1回目(左パネル)または2回目(右パネル)のスクリーニング後の所与のペプチドに関する2つのDNAバーコードの性能を表す。数値標識に関連して特定した6個のドットは、TCRの公知の標識である、抗原ライブラリーにおける6個のペプチドを示す。
図22】腫瘍特異的TCRのシグナルノイズ解析の結果を示すグラフである。NLV特異的CMV TCR(ウイルスのTCR)およびMAGE-A3腫瘍特異的TCR(親和性が増強されなかった、腫瘍TCR)をドナーのCD8 T細胞中に導入した。同種の抗原の非存在下(対照)または存在下(+抗原)におけるMHC適合細胞の認識を測定し、TCRに相当する性能を実証した。
図23】突然変異体ICADの過剰発現によって、アポトーシスの間のDNA分解が妨げられることを示す図である。突然変異体ICADの過剰発現を有さない(対照)またはそれを有する(ICAD)標的細胞をアポトーシス誘導剤である、カンプトテシンおよびスタウロスポリンで処理した。ゲノムDNAを精製し、対照細胞でアポトーシスが誘導された場合には、特徴的DNAスミアとラダーが示されたが、突然変異体ICADの存在下では示されなかった。
図24】突然変異体ICADの発現により、スクリーニング設定における抗原カセット回収が増強されることを示すグラフである。シークエンシングによって回収された抗原カセット数を抗原回収の有効性を計算するために選別した細胞数と比較した。各バーは、過剰に発現した突然変異体ICADの非存在下(ICADなし)または存在下(ICAD)で実施した1回のスクリーニング複製における抗原回収パーセントを示す。
図25】操作したプロテアーゼレポーターの設計および試験の結果を示す図である。レポータータンパク質(CD4)をGFPに融合し、C末端KKXXモチーフの付加によってER中に保持した。TEVプロテアーゼ(右のパネル)の発現によって、抗CD4 APC抗体による染色によって検出されるように、ER保持モチーフを切断することによるCD4の表面発現の増加がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
免疫応答は、いくつかの「分子プレイヤー」に関与する複雑なプロセスである。しかし
ながら、免疫応答の基本的部分の1つは、CTLによるエピトープ/抗原の認識である。
エピトープは、主要組織適合複合体(MHC)によって、細胞膜に提示されるタンパク質
またはタンパク質の断片である。大きなタンパク質は、特異的な酵素によって数百もの短
いペプチド断片に分断されるが、これらの断片のうちのほんの少しによって免疫応答が誘
発されることになる。
【0051】
T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)とAPCによって提示される抗原などの抗原との
間の生産的相互作用は、非常に稀であり、百万個の標的細胞のうちの1つよりも少ない中
で生じる場合が多い。所与のT細胞によって認識される抗原は、典型的には、非常に低い
頻度、例えば、100,000個の抗原中1またはそれより少ない頻度で存在する。さら
に、所与の抗原を呈するすべての標的細胞が、その同種のT細胞、特に混合したT細胞集
団の所与の特異性に遭遇する訳ではない。したがって、抗原およびそのエピトープとのT
細胞受容体の相互作用を特定するための努力は、T細胞受容体とエピトープ/抗原の複雑
な混合物の中で、このような稀な事象を検出することが不可能であるため、T細胞応答の
直接的測定に基づく相互作用の個々または少数のペアに焦点を当ててきた(例えば、生理
学的に関連するおよび/またはゲノムスケールの解析)。さらに、既存の手法は、抗原提
示細胞によるMHCへのペプチドの内因性処理および負荷を可能とすることができない結
果をもたらす、非細胞系プラットフォームに焦点を当てる。よって、このような非細胞ベ
ースのプラットフォームによって特定された標的抗原は、実際に、in vivoで機能
的に呈される傾向が少ない。
【0052】
この問題を解決するために、T細胞、例えば、細胞傷害性T細胞に特異的な抗原のハイ
スループットな発見を可能とするエレメントの組合せを使用して、再生可能な方式でバッ
クグラウンドノイズを超える相互作用シグナルを特定する方式および提示するAPCと相
互作用を駆動する抗原の回収を可能とする方式で、このような稀な相互作用を検出するた
めの組成物および方法が、本明細書において提供される。このような組成物および方法は
、これらがロースループットの問題ならびにハイスループット(例えば、ゲノム-ワイド
)スケール、かつモジュール様式の複雑な抗原ライブラリーを使用して、T細胞受容体-
エピトープ/抗原の相互作用の感受性かつ強固な検出を可能とすることによって、偏った
T細胞受容体-エピトープ/抗原の発見の問題を克服するため、特に有用である。
【0053】
一般的に、本明細書において提供される組成物および方法は、認識されたAPCのマー
カー/読出しを使用して、候補抗原を提示する標的APCからDNAを単離することによ
って、細胞傷害性リンパ球によって認識される抗原を特定し、それによって、多種多様な
可能な抗原断片(例えば、試験抗原のライブラリー)から免疫応答を活性化することがで
きる抗原の特定を可能とするのに有用である。遺伝子材料をAPC中に送達し(例えば、
ウイルスベクターにより)、MHCクラスIおよび/またはMHCクラスII分子におけ
る発現および提示に関する1つまたは複数の候補抗原をコードする。複数のAPCへの送
達された遺伝子材料のライブラリーにより、標的APCのライブラリーが生じる。ライブ
ラリーをスクリーニングして、本明細書に記載の方法によって、細胞傷害性リンパ球によ
り生産的に認識される抗原を特定することができる。それによって、APCまたはAPC
のライブラリーは、MHCクラスIまたはMHCクラスII分子により発現および提示さ
れる1つまたは複数の候補抗原をコードする外因性核酸を含む。外因性核酸は、APCの
ゲノムに(例えば、ベクター、例えば、ウイルスベクター、またはトランスポゾンを介し
て)安定的に導入することができる。一部の実施形態では、挿入された外因性核酸は、上
流と下流の両方に、所定のプライマー認識配列(本明細書において、フランキングプライ
マー認識配列と称される)を有する。これらの配列によって、APCから認識される抗原
の後の特定が容易になる。
【0054】
APCは、細胞傷害性リンパ球による抗原認識を示す分子レポーターを含有するように
さらに改変されてもよい。生産的な抗原認識は、例えば、応答するT細胞を直接測定する
よりもむしろ抗原認識から生じる活性の検出によって特定される。例えば、細胞傷害性T
細胞の活性の代用の尺度、例えば、ELISPOTによって測定されるIFN-γ分泌は
、典型的には、T細胞の相互作用を調査するためにこの技術分野において使用される。し
かしながら、これらの態様の尺度は、CTLのin vivoでの機能に対して不確かな
関連性を有し(Sekaly、JEM 205(1): 7(2008))、TCR-エピトープ/抗原結合を
直接的に特定しない。対照的に、本明細書に記載の改変されたAPCによって、プロテア
ーゼ様グランザイムB(GzB)を含有する細胞傷害性顆粒の放出などの、APCの細胞
傷害性リンパ球媒介改変によって引き起こされる生産的抗原認識のレポーターの検出によ
って、細胞傷害性リンパ球の結合の特定が可能となる。これは、APCの、APCによっ
て提示された抗原に結合することが可能なT細胞受容体を発現する細胞傷害性リンパ球と
の接触の際、および抗原認識に適した条件下で接触した場合に生じる。これは、APCの
検出されたT細胞の改変が、細胞溶解の誘導に関与するため、機能的に関連するT細胞の
活性も特定する。例えば、細胞傷害性リンパ球による生産的抗原認識により、APCにお
ける細胞溶解に関与するセリンプロテアーゼであるGzBの活性がもたらされ、これは、
1%の偽のシグナルレベルでさえ真の陽性をマスクするのに十分であるため、バックグラ
ウンドノイズを最小限にして、真の陽性シグナルの特定を可能とすることが本明細書にお
いて実証される。一部の実施形態では、GzBレポーターは、GzBの蛍光発生レポータ
ーである。一部の実施形態では、GzBレポーターは、光学的に検出可能なシグナルを生
じないが、例えば、アフィニティー精製によって、CTLによって認識される抗原を発現
するAPCの単離を可能とする細胞表面シグナルを生じる。一部の実施形態では、GzB
レポーターによって生成される検出可能なシグナルを使用して、その発現された抗原が細
胞傷害性リンパ球によって生産的に認識されるAPCをエンリッチする。
【0055】
生産的抗原認識のマーカーにより、シグナルノイズの増強によって、候補抗原の複雑さ
が増すことになる(すなわち、シグナルがT細胞の標的を補正するライブラリーに含まれ
得る候補抗原の数を特定するのに成功することができる)。例えば、T細胞受容体-抗原
の相互作用分析の伝統的方法と異なり、百万個の標的細胞に対してアッセイすることがで
きる候補抗原の複雑さは、5k(すなわち、5,000)を超えるか、10k、15k、
20k、25k、30k、35k、40k、45k、50k、55k、60k、65k、
70k、75k、80k、85k、90k、95k、100k、105k、110k、1
15k、120k、125k、130k、135k、140k、145k、150k、1
55k、160k、165k、170k、175k、180k、185k、190k、1
95k、200k、210k、220k、230k、240k、250k、260k、2
70k、280k、290k、300k、310k、320k、330k、340k、3
50k、360k、370k、380k、390k、400k、410k、420k、4
30k、440k、450k、460k、470k、480k、490k、500k、6
00k、700k、800k、900k、1000k、1100k、1200k、130
0k、1400k、1500k、1600k、1700k、1800k、1900k、2
000k、もしくはそれを超えるか、または包括的に、この間の任意の範囲(例えば、1
00Kから2000K)の標的細胞であり得る。各細胞が特有のペプチドを呈する、ラン
ダムペプチドのライブラリーなどの一部の抗原ライブラリー形式では、スクリーニングす
ることができる抗原は、1×10の桁(すなわち、数億)から1×10またはそれを
超える桁である。
【0056】
本明細書に記載の組成物および方法に従ってスクリーニングすることができる抗原の増
強された複雑さに加えて、方法および組成物は、好ましくは、抗原回収の効率を増加させ
るために、DNA分解(例えば、カスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ(CAD)
媒介DNA分解)の阻害剤も含むAPCも含むことができる。目的のCTLによって認識
される抗原は、生産的抗原認識によってマークされた、改変されたAPCからこれらを回
収することができる場合(例えば、T細胞受容体により結合した同種の抗原をコードする
外因性核酸の配列を得ること)にのみ特定され得る。しかしながら、CTLによって誘導
される細胞溶解によって、抗原同一性の効率的回収を妨げるDNA分解が開始される。D
NA分解の阻害剤を含まなければ、生産的抗原認識によってマークされる100個の改変
されたAPCから、およそ1個の単一の抗原(すなわち、100個の改変されたAPCの
うちの1個が提示している抗原または1%の効率)を特定することができる。以下でさら
に記載されるように、DNA分解の阻害剤、例えば、CAD媒介DNA分解の阻害剤を含
むことによって、抗原回収は少なくとも5倍(すなわち、5%の効率)増加し、抗原回収
の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%
、50%、もしくはそれを超えるか、または包括的にその間の任意の範囲(例えば、5%
~50%)であり得る。よって、本発明の方法を使用して、5%を超える、例えば、50
%またはそれより高い回収(100%は理論限界である)を達成することができる。
【0057】
スクリーニングすることができる多数の抗原および個々の実験における抗原回収の効率
によって、本明細書に記載の方法は、少数のT細胞しか必要とせず、したがって、ex
vivoで、直接的に、限定数のT細胞を試料に適用することができる。
【0058】
本明細書に記載されるように改変された複数のAPCも本明細書において提供され、こ
こで、APCは、候補抗原をコードする様々な外因性核酸を含み、その結果、APCは、
候補抗原のライブラリーを集合的に提示する。一部の実施形態では、各APCは、単一の
核酸を、おそらく複数の複製において、含有し、かつ発現させ、それによって、MHCク
ラスIおよび/またはMHCクラスIIの分子により単一の候補抗原を提示する。他の実
施形態では、各APCは、異なる候補抗原を発現する一握りの異なる核酸を、おそらく複
数の複製において、含有し、かつ発現させ、それによって、MHCクラスIおよび/また
はMHCクラスIIの分子によりいくつかの候補抗原(例えば、2、3、4、5、6、ま
たはそれを超える)を提示する。
【0059】
好ましくは、ライブラリーに関するAPCは、同じ細胞型(例えば、改変の前にクロー
ンであるように)に由来する。本明細書に記載の様々な実施形態では、ライブラリーは、
単離された細胞集団および/または実質的に純粋な細胞集団である、複数のAPCから構
成される。好適な細胞の例として、限定されないが、K 562細胞、HEK 293細
胞、HEK 293 T細胞、U2OS 細胞、MelJuso細胞、MDA-MB23
1細胞、MCF7細胞、NTERA2a細胞、樹状細胞、および一次自己B細胞が挙げら
れる。
【0060】
本明細書に記載の方法では、一般的に、APC、またはその複数は、抗原認識に好適な
条件下で、細胞傷害性リンパ球によって接触される。一部の実施形態では、APC標的を
含む反応試料を目的の細胞傷害性リンパ球を含む生体試料と混合し、インキュベートして
、同種の抗原を呈する任意の標的細胞の細胞傷害性リンパ球による認識を可能とする。認
識に際し、細胞傷害性リンパ球は、検出可能な方式で、標的細胞を改変する(例えば、死
滅プロセスを開始させるために、セリンプロテアーゼであるグランザイムB(GzB)を
含有する細胞傷害性顆粒を放出する)。このように改変される細胞が特定され、同種の抗
原をコードする外因性核酸がそこから単離される。単離された外因性核酸のシークエンシ
ングによって認識された抗原が特定される。候補抗原のライブラリーを発現する複数のA
PCを用いて使用されるこの方法を使用して、所与の細胞傷害性リンパ球に特異的な標的
抗原を包括的に特定することができる。追加の詳細および代表的実施形態を以下にさらに
記載する。
【0061】
組成物および方法の使用
CTLは、細胞内の病原体によって感染した細胞を認識すると長く理解されてきており
、HIVを含む多くの感染性疾患の制御に必須である。一方、自己抗原の異常なCTLに
よる認識は、1型糖尿病を含む自己免疫疾患を引き起こし得る。腫瘍免疫学における最近
の進歩では、CTLの別の重要な機能:腫瘍を認識し、除去するそれらの能力が強調され
ている。この機能は、養子T細胞移入および免疫チェックポイント遮断などの有望な免疫
療法に対する基礎として機能し、以前に難治性がんを有した患者のサブセットの持続的治
癒をもたらす。主要な進行中の課題は、これらの状況のそれぞれにおいて、抗原に駆動さ
れるT細胞の活性の特徴付けである。
【0062】
保護的および病原性T細胞応答を理解することは、より広範な患者を助けるために、免
疫療法を改善することができるバイオマーカーまたは共介入の発見を知らせるために重要
である。本明細書に開示された技術を使用して、公平なプロファイリングのために保護的
または病原性T細胞応答を特徴付けるのと同様に、目的のT細胞の標的抗原を特定するこ
とができる。
【0063】
目的のTCRの標的抗原の特定
本明細書で実証されるように、単離されたT細胞クローンの標的を特定するためにこの
技術を直接的に適用することができる。さらに、DNAシークエンシングによって特定さ
れる目的のTCRの標的を特定するために使用することができる。この手法は、CD4ま
たはCD8 T細胞のいずれかから生じるTCRに適用され得る。これらのTCR配列を
合成し、一次T細胞中に導入し、次に、本発明者らのプラットフォームでスクリーニング
することができる。注目すべきことに、TCRをシークエンシングするための技術は劇的
に改良されており、このプラットフォームに対する多くの他の適用を明らかにする見込み
がある。
【0064】
自己免疫疾患
ハイスループットシークエンシングにおける進歩によって、潜在的な病原性T細胞クロ
ーンまたは患者内で増殖されるかもしくは1型糖尿病、多発性硬化症、強直性脊椎炎、再
生不良性貧血、大顆粒リンパ球性白血病、多発性筋炎、甲状腺炎、および心筋症などの疾
患を有する患者を通して保存されるTCRの特定が可能となった。これらのT細胞によっ
て認識される抗原を特定するための既存の方法は、TCR配列が公知である場合であって
も、公平な抗原の発見を可能とするスループットを欠いている。これらのT細胞および/
またはTCRを本明細書に記載の方法において使用し、これらの標的抗原を特定すること
ができる。このことにより、病因への見識が得られ、バイオマーカーが与えられ、病原性
自己免疫反応を特異的に抑制する標的療法に対するとびらが開かれることになる。
【0065】
がんの免疫療法
がんの免疫療法の分野における、主要な、際立った課題は、生産的抗腫瘍免疫を媒介す
る腫瘍抗原を特定することである。腫瘍浸潤由来のT細胞クローンを単離して、腫瘍浸潤
のTCRシークエンシングによって、腫瘍特異的T細胞のオリゴクローナル増殖を実証し
た。患者の腫瘍における体細胞突然変異から生じる新規タンパク質断片を含有する患者の
特異的新生抗原ライブラリーが作製され得る。次いで、腫瘍特異的T細胞を、これらの新
生エピトープの認識に関して系統的にスクリーニングし、非突然変異腫瘍抗原の認識に関
してゲノムワイドにスクリーニングすることができる。生産的抗腫瘍免疫を理解すること
によって、免疫療法の成功を増進するバイオマーカーおよび共介入の開発を導くことがで
きる。
【0066】
保護的または病原性T細胞応答の公正なプロファイリング
本明細書に記載の技術を適用して、T細胞の混合集団の特異性を特定することができる
。このことにより、目的の特異的クローンまたはTCRが未だ特定されていない場合でも
、保護的または病原性T細胞応答の特徴付けが可能となる。
【0067】
上記の状況のそれぞれにおけるT細胞の集団に、このプラットフォームを適用すること
ができる。例えば、このプラットフォームは、1型糖尿病患者から単離したバルクT細胞
をスクリーニングし、患者のT細胞によって認識される膵臓の自己抗原の完全なセットを
特定するために使用することができる。同様に、T細胞に浸潤するポリクローナル腫瘍を
スクリーニングして、抗腫瘍免疫において認識される突然変異および非突然変異腫瘍抗原
の範囲をプロファイリングすることができる。
【0068】
感染性疾患からの保護
T細胞は、広範な感染性疾患に対する保護を媒介すると考えられる。例えば、MHCク
ラスIの対立遺伝子HLA-B57とHIVの選ばれた対照の間には強い関連があり、ウ
イルス対照の有望な決定として、CD8 T細胞と特異的標的抗原を関係させる。本明細
書に開示される技術を使用して、特定の臨床帰結、例えば、制御されたマラリアへの曝露
またはHIVの選ばれた対照に対する免疫を有する患者におけるCTL特異性を系統的に
プロファイリングして、保護の相関関係を特定し、ワクチン設計についての情報を与える
ことができる。
【0069】
このプラットフォームは、有効なT細胞エピトープの特徴を特定することによって、ワ
クチン設計の改良にも寄与することができる。一部のアルゴリズムは、MHC分子に対す
るペプチドの親和性を予測するために存在するが、T細胞によって生産的に認識される傾
向がより強い特定のペプチドを作製する他の特徴についての理解は存在しない。本明細書
に開示される技術によって、標的細胞によって生産的に呈され、かつ患者のT細胞によっ
て認識される多数のT細胞エピトープの発見が可能となる。これらのエピトープについて
研究し、効果的なT細胞エピトープの特性を明らかにすることができる。次いで、この知
識を、最適化ワクチンを生成するため、ならびにがんおよび感染性疾患(例えば、HIV
、サイトメガロウイルス感染症、およびマラリア)におけるT細胞療法に適用することが
できる。
【0070】
細胞傷害性リンパ球およびNK細胞
一部の実施形態では、細胞傷害性リンパ球は、細胞傷害性T細胞である。これらは、C
D4またはCD8のいずれであってもよい。細胞傷害性T細胞は、その内因性受容体を発
現することができるか、または目的の外因性抗原受容体を発現するように改変されてもよ
い。一部の実施形態では、外因性受容体は、細胞傷害性の活性を有さないT細胞(例えば
、非細胞傷害性CD4 T細胞)に由来する。T細胞の特異性は、そのT細胞受容体の配
列に含有される。1つのT細胞に由来するTCRを別のT細胞に導入することによって、
新たなTCRの特異性を移行しながら、レシピエント細胞のエフェクター機能を保持する
ことができることが実証されてきた。これは、一般的にTCR療法の基礎である。さらに
、CD8 T細胞に由来するTCRは、ドナーCD4細胞中に導入された場合に、CD4
T細胞のエフェクター機能を駆動することができる(Ghorashian et al., J Immunol,
194(3): 1080-1089(2015))。本明細書で実証されるように、CD4 T細胞に由来
するTCRをドナーCD8細胞中に移行させることにより、MHCクラスIIに提示され
、CD4 TCRによって認識される抗原に対して、GzB媒介性細胞傷害性の活性を与
えることができる(本明細書の図10を参照のこと)。一部の実施形態では、外因性T細
胞受容体は、ヘルパーT細胞(Th1またはTh2)または調節T細胞に由来する。天然
のキラー細胞などの他の種類の細胞傷害性細胞をアッセイにおいて使用し、これらの細胞
が認識する因子を特定することができる。この方法において使用される細胞傷害性リンパ
球は、クローン集団または混合集団であり得る。あるいは、またはさらに、CTLに対し
て、T細胞受容体を発現するように操作されたナチュラルキラー(NK)細胞を使用する
ことができる。
【0071】
細胞傷害性リンパ球またはNK細胞は、種々の供給源から得ることができる。典型的には
、細胞傷害性リンパ球は、生体試料から得られる。
【0072】
試料
一部の実施形態では、「反応試料」は、標的細胞または候補抗原を含む標的細胞のライ
ブラリーを含む。反応試料は、標的細胞表面の候補抗原と目的の試料中のT細胞の間の複
合体形成を促進するために、追加の緩衝液、塩、浸透物質なども含むことができる。
【0073】
「生体試料」は、細胞傷害性リンパ球または抗原提示細胞などの目的の細胞を含む、目
的の体液または組織を指す。例示的な実施形態では、生体試料は、細胞傷害性T細胞(C
TL)および/またはナチュラルキラー細胞を含む。生体試料は、生体試料が目的の細胞
を含む限り、個体の任意の器官または組織から得ることができる。器官または組織は、健
康であってもよく、または罹患されていてもよい。一部の実施形態では、生体試料は、自
己免疫の位置、自己免疫反応の部位、腫瘍浸潤、ウイルス感染、または病変に由来する。
【0074】
一部の実施形態では、生体試料は、生体粒子または望ましくない細胞を除去するために処
理される。血液または他の生体試料から細胞を除去するための方法は当技術分野において
周知であり、例えば、遠心分離、超遠心分離、免疫選択、または沈降などを含み得る。生
体試料の一部の非限定例として、血液試料、尿試料、精液試料、リンパ液試料、脳脊髄液
試料、血漿試料、血清試料、膿試料、羊水試料、体液試料、便試料、生検試料、針吸引生
検試料、綿棒試料、うがい薬試料、口腔粘膜試料、がん試料、腫瘍試料、腫瘍浸潤、組織
試料(例えば、皮膚)、細胞試料、関節液試料、またはこのような試料の組合せが挙げら
れる。本明細書に記載の方法では、生体試料が、血液または組織生検(例えば、腫瘍、自
己免疫または他の病理)であることが好ましい。
【0075】
APCの改変
APCは、トランスフェクションまたは遺伝子改変によるなどによって操作されて、候
補抗原をコードする外因性核酸を発現する。APCは、遺伝子、タンパク質、化学標識、
レポーター分子をコードする外因性核酸などの目的の組成物の発現を下方調節および/ま
たは上方調節するようにさらに改変されてもよい。
【0076】
上記のように、APCは、細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞による抗原認識
を示す分子レポーターを含有するようにさらに改変されてもよい。生産的抗原認識は、例
えば、応答するT細胞を直接的に測定するよりもむしろ、抗原認識から生じる活性の検出
によって特定される。一部の実施形態では、本明細書でさらに記載される1つまたは複数
のGazBベースのレポーターなどのGzB活性のレポーターが使用される。
【0077】
本明細書に記載の方法および組成物では、APCは、DNA分解の阻害剤をさらに含ん
でもよい。一部の実施形態では、阻害剤は、CADによって直接的にDNA分解を遮断す
る。GzBは、カスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ(CAD)によるゲノムDN
Aのヌクレオソーム間の分解を導く、標的細胞におけるカスパーゼ活性化を開始する。こ
のゲノムDNAの分解は、CAD媒介DNA分解の阻害剤を提供することによって、いく
つかの企図された方式で遅延または阻害され得る。例えば、アポトーシスの間のDNAの
分解を遮断する、カスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼのタンパク質阻害剤(IC
AD)を使用することができる。例えば、一部の実施形態では、細胞は、活性GzBによ
って媒介されるゲノムDNAの分解を阻害するためにカスパーゼ活性化デオキシリボヌク
レアーゼのタンパク質阻害剤(ICAD)を発現するように改変されてもよい。一部の実
施形態では、APC標的を操作して、ICADを過剰発現されるか、または活性の増加し
たICADの突然変異体を発現させる。
【0078】
一部の実施形態では、ICADは、カスパーゼによる切断に対する耐性を与える突然変
異(例えば、D117Eおよび/またはD224E)を含有し、そうでなければ、本明細
書において、カスパーゼ耐性突然変異体と称される(Sakahira et al., Arch Biochem Bi
ophys. 2001 Apr 1;388(1):91-9;Enari et al., Nature. 1998 Jan 1;391(6662):43-50
;Sakahira et al., Nature. 1998 Jan 1;391(6662):96-9を参照のこと)。ICAD前駆
体(DNA断片化因子サブユニットアルファまたはDFFAとしても知られる)の例示的
配列は、NP_004392.1(アイソフォーム1)をコードするGenBank受託
番号NM_004401.2(転写バリアント1);およびNP_998731.1(ア
イソフォーム2)をコードするGenBank受託番号NM_213566.1(転写バ
リアント2)で利用可能である。例示的な成熟ICAD配列は以下の通りである;D11
7およびD224の残基は、上の場合には以下の通りである:
【0079】
【化1】
【0080】
あるいはまたはさらに、細胞は、CADノックアウト(例えば、CRISPRを使用す
るCAD遺伝子の破壊;例示的参照遺伝子配列は、RefSeqGene NG_029
098.1、範囲5001~17026にある)またはノックダウン(例えば、shRN
A、siRNA、LNA、またはアンチセンスなどの阻害性核酸を使用する)を含み得る
。化学的または低分子DNAse阻害剤、例えば、核酸と相互作用するタンパク質を阻害
するミリン、MRE11ヌクレアーゼの細胞浸透性阻害剤、またはエチジウムブロマイド
のようなインターカレーション染料も使用することができる。
【0081】
カスパーゼ阻害を使用して、ICADの切断およびアポトーシスの間に生じるCADの
活性化を妨げることもできる。カスパーゼ3は、DFF45(DNA断片化因子-45)
/ICAD(カスパーゼ活性化DNAseの阻害剤)を切断して、活性酵素CADを放出
させることによってDNA分解を開始させる(Wolf et al., J Biol Chem. 1999 Oct 22;
274(43):30651-6)。よって、細胞は、カスパーゼ3ノックアウト(例えば、CRISP
Rを使用するカスパーゼ3遺伝子の破壊;例示的な参照遺伝子配列は、RefSeqGe
ne番号NC_000004.12、範囲184627696~184649475の補
体にある)またはノックダウン(例えば、shRNA、siRNA、LNA、またはアン
チセンスなどの阻害性核酸を使用する)を含み得る。ヒトカスパーゼ3に関する例示的配
列は、NP_004337.2(カスパーゼ3アイソフォームのプレプロタンパク質)を
コードするGenBankのNM_004346.3(転写バリアント1)にあり;他の
アイソフォームを使用することもできる。化学的または低分子カスパーゼ阻害剤を使用す
ることもできる(例えば、Z-VAD-FMK(ベンジルオキシカルボニル-Val-A
la-Asp(OMe)-フルオロメチルケトン);Z-DEVD-FMK;Ac-DE
VD-CHO;Q-VD-Oph(キノリル-Val-Asp-OPh);M826(Ha
n et al., The Journal of Biological Chemistry (277):30128-30136 (2002));Chu et
al., J. Med. Chem., 2005, 48 (24), pp 7637-7647に記載されるN-ベンジリザチンス
ルホンアミドアナログ;Chen et al., J. Med. Chem., 2006, 49 (5), pp 1613-1623に記
載されるイソキノリン-ー1,3,4-トリオン誘導体);およびカスパーゼのタンパク
質またはペプチド阻害剤(例えば、哺乳動物のXIAP(GenBank Refseq
: NP_001158.2)またはCowpox CrmA(GenBank Ref
seq: NP_001158.2)。カスパーゼ3は、この目的のための重要なカスパ
ーゼであるが、カスパーゼ3の非存在下では、アポトーシスの間にCADが活性化されな
いことを示すレポートが公開されており(Tang et a., J Biol Chem. 1998 Oct 30;273(4
4):28549-52)、カスパーゼ3の阻害剤が例示され、他のレポートでは、他のカスパーゼ
がICADを切断することができると判定した。よって、他のカスパーゼの阻害剤、例え
ば、汎カスパーゼ阻害剤、またはエグゼキューショナーカスパーゼ(カスパーゼ6または
7)もしくはイニシエーターカスパーゼ(カスパーゼ2、8、9、または10)の阻害剤
を使用することもできる。一部の実施形態では、カスパーゼ阻害剤は、カスパーゼ3と、
同様に他のカスパーゼ、例えば、カスパーゼ6、7、2、8、および/または9を阻害す
ることになる。
【0082】
所望の改変を作出するために種々の方法が利用可能である。典型的には、ベクターを使
用して、核酸を細胞中に導入する。
【0083】
外因性遺伝子を標的哺乳動物細胞中に移行させる(例えば、形質転換により)のに有用
な多くのこのようなベクターは、本明細書に記載のAPCおよびライブラリーを作製する
のに利用可能である。ベクターは、エピソームベクター、例えば、プラスミド、サイトメ
ガロウイルス、アデノウイルスなどのウイルス由来のベクターであってもよく、または、
例えば、MMLV、HIV-1、ALVなどのレトロウイルス由来のベクターなど、相同
組換えまたはランダム組込みによって、標的細胞のゲノムに組み込まれてもよい。HIV
またはFIV gag配列に基づくものなどのレンチウイルスベクターを、ヒト幹細胞の
静止期などの非分裂細胞にトランスフェクトすることもできる(Uchida et al.(1998)P
.N.A.S.95(20): 11939-44を参照のこと)。一部の実施形態では、レトロウイルスと適
切なパッケージング細胞株の組合せにも使用を見出すことができ、ここで、カプシドタン
パク質は、標的細胞に感染するのに機能的である。通常、細胞とウイルスは、培養培地中
で少なくとも約24時間インキュベートされることになる。次いで、細胞は、いくつかの
適用で、例えば、24~73時間、または少なくとも2週間短い間隔で、培養培地中で成
長させられ、解析前に5週間またはそれより長い間成長させられてもよい。共通して使用
されるレトロウイルスは「欠陥を有し」、すなわち、生産的感染に必要なウイルスタンパ
ク質を生成することができない。ベクターの複製には、パッケージング細胞株中での成長
が必要とされる。
【0084】
多くのウイルスベクターまたはウイルス関連ベクターが当技術分野で公知である。この
ようなベクターを、細胞への核酸構築物のキャリアとして使用することができる。レトロ
ウイルスおよびレンチウイルスのベクターを含む構築物は、細胞への感染または形質導入
のために、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、またはヘルペス単純ウイル
ス(HSV)などのような非複製の欠陥ウイルスゲノム中に組み込まれ、パッケージング
されてもよい。ベクターは、細胞ゲノム中に組み込まれても組み込まれなくてもよい。使
用され得るウイルスベクターとして、これらに限定されないが、SINレンチウイルスベ
クター、レトロウイルスベクター、泡沫状ウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AA
V)ベクター、ハイブリッドベクターおよび/またはプラスミドトランスポゾン(例えば
、スリーピングビューティートランスポゾン系)またはインテグラーゼベースのベクター
系が挙げられる。代替の実施形態と関連して使用され得る他のベクターは、当業者にとっ
て明らかであろう。
【0085】
構築物は、所望の場合、トランスフェクションのためのウイルス配列を含んでもよい。
あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター、例えば、EPVおよびEBVベ
クター中に組み込まれてもよい。
【0086】
本明細書に記載のベクターの挿入された材料は、発現制御配列がそのポリヌクレオチド
配列の転写および翻訳を制御および調節する場合、発現制御配列に作動可能に連結され得
る。用語「作動可能に連結した」は、発現されるポリヌクレオチド配列の前に適切な開始
シグナル(例えば、ATG)を有すること、ならびに発現制御配列の制御下でのポリヌク
レオチド配列の発現、およびポリヌクレオチド配列によってコードされる所望のポリペプ
チドの産生を可能にする正しいリーディングフレームを維持すること含む。一部の例では
、挿入された材料の転写は、発現が意図される細胞型において、組換え遺伝子の発現を制
御するプロモーター配列(または他の転写調節配列)の制御下においてである。挿入され
た材料が、天然に存在する形態のタンパク質の転写を制御する配列と同じであるかまたは
異なる転写調節配列の制御下にあり得ることも理解されるであろう。一部の例では、プロ
モーター配列は、細胞の合成機構によって認識されるか、または合成機構に導入され、特
定の遺伝子の転写を開始するのに必要とされる。
【0087】
プロモーター配列は、「組織特異的プロモーター」であってもよく、これは、プロモー
ターとして作用する、すなわち、プロモーターに作動可能に連結した、選択された核酸配
列の発現を調節する核酸配列を意味し、特定の細胞内での選択された核酸配列の発現に影
響を及ぼす。この用語は、主に1つの組織内で選択された核酸の発現を調節するが、他の
組織では発現を同様に引き起こさない、いわゆる「リーキー」プロモーターも網羅する。
【0088】
APCの細胞型は特に制限されない。基本的な必要条件は、APCが、MHC I上の
抗原を内因的に処理および提示すること(例えば、プロテアソームの発現、TAP輸送体
の発現、およびMHC分子の適当なフォールディングと輸送)ができることである。この
ことは、ほとんどすべてのヒト細胞および他の哺乳動物細胞について真であると考えられ
る。本発明のシステムは、内因性抗原の処理対する必要性を回避する単鎖MHC-ペプチ
ド融合体と共に使用することもできる(Yu et al., Immunol 168(7): 3145-3149(2002))
。しかしながら、これには、ライブラリーのサイズの増大が必要であり、ペプチドが内因
的に再現されるかどうかに関する情報を失う場合がある。APCは、例えば、それに対す
る方法が当技術分野で周知である、レンチウイルス/レトロウイルスによる形質導入また
はトランスフェクションによって、外因性DNAを細胞中に効率的に導入する能力も有す
るべきである。
【0089】
本明細書に記載のIFPベースのGzBレポーター系に関して、APCは、IFPタン
パク質が成熟して蛍光を発することができるものである。よって、細胞は、これらの細胞
株におけるIFP成熟に関する重要な補因子である、十分なレベルのビリベルジンを発現
する。ビリベルジンは、外因的にも補充することができ(例えば、内因性ビリベルジンの
発現を増加させることによって、またはビリベルジンを細胞に添加することによって)、
追加の細胞が使用されるのを可能とする。IFPレポーターに基づく発現に好適な細胞は
、当技術分野で周知であり、限定されないが、HEK 293T、MelJuso、MD
A-MB231、MCF7、およびNTERA2を含む。これは、LN229細胞、一次
ニューロン、および肝細胞においても機能することが文献で報告されている(Yu et al.,
Nature Communications 5:3626(2014))。
【0090】
自己スクリーニングのために、一次樹状細胞および一次B細胞を使用することができる
。IFPベースのレポーターが使用される場合、必要に応じて、補充されたビリベルジン
を使用することができる。ビリベルジンは、当技術分野で周知の方法を使用して、必要に
応じて細胞に供給され得る。
【0091】
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物および方法のAPCは、MHC欠損であ
り、すなわち、内因性MHCを発現しない。このことにより、APCによって発現される
ように操作される、特異的に選択されたMHC対立遺伝子に制限されるT細胞応答のプロ
ファイリングが可能となる。例えば、単一のMHC対立遺伝子を導入することにより、検
出される任意の応答がこの1つの対立遺伝子に表われ、よって、いずれのさらなる逆重畳
の必要性もなく、結果を解釈することができる。このような結果は、内因性MHC対立遺
伝子のセットが存在する場合には、容易に得られない。これは、異なる患者由来のT細胞
または目的の新たなMHCに導入することによって異なるMHC対立遺伝子を有するT細
胞をプロファイリングするために、同じ標的細胞の再使用も可能とする。そうすることに
より、他の抗原を認識するT細胞によるバックグラウンド死滅活性も低減されることも、
本明細書において決定された。標的細胞におけるMHC発現のレベルが、T細胞活性化の
バックグラウンド速度に影響を及ぼす。MHC欠乏標的細胞で始めることによって、シグ
ナルノイズを最適化するために、表面のMHC量を微調整することが可能である。一部の
実施形態では、K 562細胞、HEK 293細胞、HEK 293 T細胞、U2O
S細胞、MelJuso細胞、MDA-MB231細胞、MCF7細胞、NTERA2a
細胞、樹状細胞、および一次自己B細胞が使用される。
【0092】
よって、本明細書に記載の組成物および方法は、T細胞、NK細胞、および細胞認識に
関してプロテアーゼを送達する任意の他の細胞に適用することができる。本明細書の実施
例の項で詳述する実験により、CD8+ T細胞の抗原とナチュラルキラー細胞による認
識を与える因子を特定するための方法の実行可能性が実証される。CD4+ T細胞の抗
原は、細胞傷害性CD4 T細胞を直接スクリーニングすることによって、または非毒性
CD4 T細胞由来のTCRを細胞傷害性CTL(例えば、CD8 T細胞)(できる限
りCD4の同時発現と共に)中に導入することによって、特徴付けることができる。
【0093】
APC標的のライブラリー
例えば、MHC標的細胞中に導入される候補抗原のライブラリーの作製において、コー
ドされたポリペプチドの発現に関する配列の大きな、ゲノムスケールのライブラリーの構
築のための一般的方法は、熟練の技術者に公知である。このような方法の一部の例は、そ
の内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、Xu GJ, Kula T, Xu Q, Li MZ,
Vernon SD, Ndung’u T, et al. Comprehensive serological profiling of human popul
ations using a synthetic human virome. Science. 2015;348(6239);Larman HB, Zhao
Z, Laserson U, Li MZ, Ciccia A, Gakidis MA, et al. Autoantigen discovery with a
synthetic human peptidome Nat Biotechnol. 2011;29(6):535-41. Epub 2011/05/24. do
i: 10.1038/nbt.1856. pmid:21602805;Zhu J, Larman HB, Gao G, Somwar R, Zhang Z,
Laserson U, Ciccia A, Pavlova N, Church G, Zhang W, Kesari S, Elledge SJ. Protei
n interaction discovery using parallel analysis of translated ORFs(PLATO).Nat Bi
otechnol. 2013 Apr;31(4):331-4. doi: 10.1038/nbt.2539に見出される。
【0094】
複数の候補抗原を含むAPC標的細胞のライブラリーも本明細書において提供される。
一部の実施形態では、標的細胞は、本明細書に記載のものなど、活性化APCの特定に有
用な1つまたは複数のレポーター構築物をさらに含む。一部の実施形態では、レポーター
は、グランザイムB活性に感受性である。一部の実施形態では、APC標的細胞は、CA
D媒介DNA分解の阻害剤をさらに含む。多数の代表例が本明細書に記載される。例えば
、一部の実施形態では、標的細胞は、ゲノムDNAの分解を阻害するためにGzBによっ
て活性化されるカスパーゼの外因性阻害剤、または本明細書に記載のものなどのCADも
しくはカスパーゼのノックアウトをさらに含む。例えば、一部の実施形態では、GzBに
よって活性化されるカスパーゼ活性化DNAse(CAD)は、カスパーゼ活性化デオキ
シリボヌクレアーゼ阻害剤(ICAD)またはその突然変異体によって阻害される。一部
の実施形態では、ICADの突然変異はD117Eであり、117位のアスパラギン酸が
グルタミン酸で置換されている。一部の実施形態では、ICADは突然変異D224Eを
さらに含み、ここで、224位のアスパラギン酸がグルタミン酸で置換されている。一部
の実施形態では、ICADのアイソフォームは、GenBank受託番号O00273-
2に開示された配列を有する。ICADの他のアイソフォームもまた、本明細書に記載の
組成物および方法において、受容可能な結果生じるであろう。一部の実施形態では、外因
性阻害剤は野生型である。
【0095】
一部の実施形態では、候補抗原は、ゲノムDNAによってコードされる。ゲノムDNA
は、対象(例えば、ヒト)からもしくは感染生物またはそれらの組合せから単離されても
よい。一部の実施形態では、対象は健康である。一部の実施形態では、対象は疾患である
。一部の実施形態では、感染生物は、これらに限定されないが、細菌、ウイルス、細菌、
真菌、プロトゾア、および多細胞寄生生物を含む病原体である。一部の実施形態では、そ
れらからライブラリーが作製される複数の候補抗原は、健康な対象または疾患(例えば、
これらに限定されないが、がん、自己免疫疾患、心血管疾患、感染性疾患などを含む疾患
)を有する対象のゲノムに由来する、実質的に完全な抗原のセットを表す。一部の実施形
態では、複数の候補抗原は、病原体もしくは病原体の群、ウイルス、細菌、または真菌(
例えば、すべての病原性ウイルス、細菌または真菌)に由来する実質的に完全なペプチド
のセットを表す。
【0096】
一部の実施形態では、限定されないが、オープンリーディングフレーム(ORF)コレ
クション、ゲノム-ワイドペプチドライブラリー、および適用特異的カスタムライブラリ
ーなどの抗原ライブラリーを使用することができる。一部の実施形態では、候補抗原のゲ
ノム-ワイド検出が使用される。一部の実施形態では、ライブラリーは、ヒトのプロテオ
ームを並べて表示するもの(例えば、45アミノ酸の重複を有する90個のアミノ酸断片
におけるヒトプロテオーム全体にわたって259,345個のペプチドを含むもの)など
のヒトゲノム-ワイドペプチドライブラリーである。一部の実施形態では、ライブラリー
は、ウイルス叢を並べて表示するもの(例えば、28アミノ酸の重複を有する56個のア
ミノ酸断片においてヒトに感染すると注釈を付けられたすべてのウイルスのプロテオーム
にわたって並べて表示する93,904個のペプチドを含むもの)などのウイルス叢-ワ
イドライブラリーである。一部の実施形態では、ライブラリーは、CMVプロテオームを
並べて表示するもの(例えば、28アミノ酸の重複を有する56個のアミノ酸断片におい
て、確認および予測されたヒトサイトメガロウイルスタンパク質のすべてにわたって並べ
て表示する5764個のペプチドを含むもの)などのCMVゲノム-ワイドペプチドライ
ブラリーである。
【0097】
抗原は、DNAレベルの単一の複製でコードされることが最も多いであろう。抗原は、
典型的には、細胞当たり10から1,000個の分子で、MHCにおいて生成、処理、お
よび提示されるであろう。しかしながら、細胞表面に単一のペプチドであっても、細胞傷
害性リンパ球によって生産的に認識され得るため、このシステムは、非常に低い複製数の
表面発現抗原に対しても機能的である。
【0098】
様々な実施形態では、候補抗原を含む標的細胞のライブラリーは、約10から約10
14個の標的細胞を含む。
【0099】
一部の実施形態では、各標的細胞は、特有の候補抗原をコードする。あるいは、一部の
実施形態では、標的細胞は、細胞当たり、1つ以上の特有の候補抗原、例えば、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、1
9、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80
、85、90、95、100個、もしくはそれを超えるか、または包括的に、この間の任
意の範囲(例えば、5~10個)の候補抗原をコードすることができる。細胞当たり複数
の抗原を使用する場合に、スクリーニングによってより高いバックグラウンドが生じる場
合、方法は、細胞当たりたった1つの抗原(好ましくは、第1のパスから再度クローニン
グされた抗原)を有する2回目のスクリーニングを実施するステップを含むことができる
【0100】
例示的な実施形態では、ライブラリーは、約1×10から約1014個の標的細胞、
約1×10から約1014個の標的細胞、約1×10から約1014個の標的細胞、
約1×10から約1014個の標的細胞、約1×10から約1014個の標的細胞、
約1×10から約1014個の標的細胞、約1×10から約1014個の標的細胞、
約1×10から約1014個の標的細胞、約1×1010から約1014個の標的細胞
、約1×1011から約1014個の標的細胞、約1×1012から約1014個の標的
細胞、約1×1013から約1014個の標的細胞、または約1×1014個の標的細胞
のうちの任意の1つまたは複数を含む。本明細書に記載の標的細胞のライブラリーは、少
なくとも約10から約1014個の候補抗原を提供し、ここで、十分量の標的細胞は、
有効なライブラリースクリーニングのために特有の候補抗原を含む。一部の実施形態では
、10から10,000個の間の代表が使用され、各候補抗原は、10~10,000個
の細胞によって提示されることを意味する。
【0101】
様々な実施形態では、各標的細胞は、約10から約1014分子の候補抗原を含む。
例示的な実施形態では、各標的細胞は、候補抗原の約1×10から約1014個の複製
、候補抗原の約1×10から約1014個の複製、候補抗原の約1×10から約10
14個の複製、候補抗原の約1×10から約1014個の複製、候補抗原の約1×10
から約1014個の複製、候補抗原の約1×10から約1014個の複製、候補抗原
の約1×10から約1014個の複製、候補抗原の約1×10から約1014個の複
製、候補抗原の約1×1010から約1014個の複製、候補抗原の約1×1011から
約1014個の複製、候補抗原の約1×1012から約1014個の複製、候補抗原の約
1×1013から約1014個の複製、または候補抗原の約1×1014個の複製を含む
【0102】
様々な実施形態では、候補抗原は、約21から約150ヌクレオチド長である核酸によ
ってコードされる。さらなる実施形態では、候補抗原は、約24から約150ヌクレオチ
ド長、約30から約150ヌクレオチド長、約40から約150ヌクレオチド長、約50
から約150ヌクレオチド長、約60から約150ヌクレオチド長、約70から約150
ヌクレオチド長、約80から約150ヌクレオチド長、約90から約150ヌクレオチド
長、約100から約150ヌクレオチド長、約110から約150ヌクレオチド長、約1
20から約150ヌクレオチド長、約130から約150ヌクレオチド長、約140から
約150ヌクレオチド長または約150ヌクレオチド長である核酸によってコードされる
。一部の実施形態では、候補抗原をコードするORFまたは核酸は、150ntよりも長
い。
【0103】
一部の実施形態では、標的細胞の表面に呈される候補抗原は、少なくとも8、9、10
、または11アミノ酸長であり;他の実施形態では、候補抗原は、少なくとも20、少な
くとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少な
くとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200
、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なく
とも450アミノ酸長であるかまたはそれより長い。発現の際に、より長い抗原(例えば
、数百個のアミノ酸)を、標的細胞の表面に呈される8~11個のアミノ酸の短いペプチ
ドにプロセシングする。
【0104】
一部の実施形態では、候補抗原は、完全なORF(例えば、数百アミノ酸長)である。
全長候補抗原は、APCの表面に必ずしも完全に呈されない。代わりに、このような抗原
は細胞によって発現され、細胞表面に呈されるより短いペプチドに内因的に処理される。
次いで、このような長い候補抗原をコードする核酸を有するAPCの特定の後に、特定さ
れた候補の様々な断片についてさらにスクリーニングしてもよい。
【0105】
様々な実施形態では、候補抗原は、約1fMから約100μM、約1pMから約100
μM、約100nMから約100μM、約1μMから約100μM、約1μMから約10
μM、約1pMから約100nM、約1pMから約10nM、約1pMから約5nMのK
で、リンパ球に結合する。一部の実施形態では、候補抗原は、1mMのKで、リンパ
球に結合する。
【0106】
抗原を特定するための標的細胞のスクリーニングライブラリー
候補抗原は、細胞傷害性リンパ球に対するMHCクラスIまたはクラスII分子におけ
る提示のためのAPCのライブラリーにおいて発現される。次いで、このライブラリーを
、反応混合物中などのこれらの同種の抗原を提示する任意の標的細胞の認識に好適な条件
下で、目的の細胞傷害性リンパ球(例えば、CTL)の試料と混合する。認識の際に、リ
ンパ球は、標的細胞の死滅プロセスを開始する(例えば、CTLは、セリンプロテアーゼ
であるグランザイムB(GzB)を含有する細胞傷害性顆粒を放出する)。標的細胞にお
いて開始された死滅プロセスのレポーター(例えば、細胞内のGzB活性)を使用して、
認識された標的細胞からゲノムDNAを単離する。次いで、呈され、認識された抗原をコ
ードする核酸が特定される(例えば、PCR増幅と次世代シークエンシングによって)。
【0107】
さらに、T細胞(例えば、CTL)に対して特異的な抗原を特定するための候補抗原を
含む標的細胞のライブラリーをスクリーニングするための方法が本明細書に記載される。
この方法は、(i)本明細書に記載される標的細胞のライブラリーを準備するステップと
、(ii)標的細胞のライブラリーを細胞傷害性T細胞(CTL)を含む生体試料と接触
させるステップと、(iii)CTLに結合した標的細胞を単離するステップであって、
標的細胞における候補抗原の結合によって所望の特性が生じる、ステップと、(iv)C
TLに特異的に結合し、所望の効果を生じる抗原を含む単離された標的細胞からDNAを
単離するステップとを含む。一部の実施形態では、この方法は、試料中のCTLに特異的
な候補抗原をエンリッチするステップ(例えば、PCR増幅を介して)および特定するス
テップ(例えば、シークエンシングを介して)をさらに含む。一部の実施形態では、本明
細書に記載されるスクリーニングのための方法は反復性である。このように、標的CTL
に対して特異的な候補抗原を特定することができる。
【0108】
様々な実施形態では、所望の特性として、これらに限定されないが、物理的に検出可能
な変化、化学的に検出可能な変化、光学的に検出可能な変化またはこれらの組合せのうち
のいずれか1つまたは複数が挙げられる。一部の実施形態では、所望の特性は、標的結合
活性もしくは標的結合に誘導される活性、例えば、触媒活性もしくは改変された触媒活性
;阻害活性、活性化活性、もしくは阻害活性もしくは活性化活性の改変;活性を切り替え
る構造もしくは活性を切り替える構造の改変;または協同活性であってもよい。
【0109】
認識されたAPCの特定
一部の実施形態では、GzBプロテアーゼ活性は、認識されたAPCのマーカーとして
使用される。GzBは、細胞傷害性リンパ球によって認識されたAPC中に分泌される細
胞傷害性プロテアーゼである。GzBは、APCにおいて、カスパーゼ活性とアポトーシ
スを誘発する。以前の研究は、細胞溶解性の死滅の間に標的細胞中に放出されたGzBに
よって、GzB標的のタンパク質分解が完了され、レポーターの基礎として作用する強固
な酵素活性を示すことを実証した。GzB活性を検出するために、本明細書に記載のもの
など、GzB活性の分子レポーターを使用することができる。GzBのこのようなレポー
ターは、典型的には、一般的なアポトーシス経路では活性化されない。細胞傷害性Tリン
パ球によって分泌される他のプロテアーゼ(グランザイムA、K、M)または標的細胞中
に分泌される、T細胞中に操作されたTEVプロテアーゼなどの他の酵素もしくはプロテ
アーゼなどの、認識されたAPCの他のマーカーを使用することができることを、当業者
は認識するであろう。
【0110】
本明細書に記載のレポーター分子を使用して、グランザイムB活性の増加を示すことが
できる。一部の実施形態では、方法は、レポーター分子の検出可能な標識からのシグナル
を定量するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、定量したシグナルに基づいて
、標的細胞集団をエンリッチするステップを含む。一部の実施形態では、方法は、所望の
特性を有する1つまたは複数の候補抗原中に、1つまたは複数の変異を導入するステップ
を含む。
【0111】
一部の実施形態では、方法は、上記の接触させるステップ、単離するステップおよび特
定するステップのうちの1つまたは複数を反復的に繰り返すステップを含む。方法は、例
えば、1、2、3、または4回以上のスクリーニングするステップを含んでもよい。
【0112】
グランザイムB活性のレポーター
さらに、その例が本明細書に記載される、グランザイムB活性の分子レポーター、また
、分子レポーターをコードする核酸、また、核酸および/または分子レポーターを含む細
胞(例えば、APC)が本明細書で提供される。
【0113】
グランザイムB(GzB)は、CTLによって、標的細胞中に分泌されるプロテアーゼ
である。GzBは、エフェクターカスパーゼおよび下流のカスパーゼ基質を含む基質のセ
ットを切断し、標的細胞においてアポトーシスを誘発する。
【0114】
一部の実施形態では、レポーターは、検出分子に連結したGzB切断部位(例えば、V
GPD、配列番号1)を含む融合ポリペプチドを含む。この用語は、Gzbのこのような
レポーターを参照して本明細書で使用されるため、「検出分子」は、Gzb切断部位の切
断によって遊離する分子であり、酵素活性、結合活性、または光の放出などの活性を有す
る。切断によって活性化されると、本明細書に記載のものなどのアッセイによって、活性
を検出することができる(例えば、検出可能な標識の検出、CREなどの酵素活性の検出
、またはアフィニティータグの検出)。GzBは、タンパク質分解切断のアスパラギン酸
N末端を有する、P4からP1アミノ酸、Ile/Val、Glu/Met/Gln、P
ro/Xaaを含有する基質を優先する。P1’では非帯電アミノ酸が好ましく、P2’
ではSer、Ala、またはGlyが好ましい。好ましくは、使用されるGzB切断配列
は、GzBによって切断されるが、カスパーゼによっては切断されないもの、例えば、V
GPD(配列番号1;Choi and Mitchison, PNAS, 110(16): 6488-6493(2013))である。
一部の実施形態では、他のGzB切断配列、例えば、Casciola-Rosen et al., Journal o
f Biological Chemistry, 282(7):4545-4552(2007)に記載されるIETD(配列番号6)
が使用される。
【0115】
一般的に、レポーターは、レポーターのGzB媒介切断の後にのみ、蛍光シグナルなど
の検出可能なシグナルをもたらす。これにより、CTLによって認識され、GzBを受容
した細胞の単離が可能となる。
【0116】
一部の実施形態では、検出分子は、赤外蛍光タンパク質(IFP)である。一部の実施
形態では、IFPは、GzB切断部位によって機能的に分離されたN断片(N-IFP)
およびC断片(C-IFP)を含み、さらに、C-IFPのN末端側に位置する緑色蛍光
タンパク質のN断片(N-GFP)、およびN-IFPのC末端側に位置する緑色蛍光タ
ンパク質のC断片(C-GFP)がその両側に隣接し、その結果、N-GFPとC-GF
Pは、構成的に活性な(蛍光)分子を形成する。これの一実施形態を図11~13に示す
。特に、図11および12は、レポーターとそれが機能する機構を示す図である。図13
は、レポーター分子の核酸とコードされたアミノ酸配列である。本発明者らのレポーター
における不活性IFPは、それ自体、分割GFPと融合される(図11)。分割GFPは
、構成的に蛍光であり、レポーターの存在についてのマーカーをもたらす。これはまた、
切断の活性化前および後の両方でIFPを安定化させるために作用する。しかしながら、
GFP自体は切断されず、GzBの存在に対して応答しない。この不活性IFPは、To e
t al. PNAS 112(11): 3338-3343(2015)に記載されるように、野生型IFPを分割し、N
末端半分とC末端半分を逆位させ、N末端半分とC末端半分をリンカーで分離することに
よって作製した。リンカーは、このタンパク質の2つの半分が、適当にフォールディング
して活性な蛍光IFPとなるのを妨げる。しかしながら、リンカー領域の切断の際に、I
FPの半分は、一緒になって成熟し、蛍光であるタンパク質を生じることができる。
【0117】
このGzBレポーターでは、IFPの半分の間のリンカーを、GzBによって特異的に
切断されるが、他のプロテアーゼによっては切断されないアミノ酸配列で置き換える。結
果として、各細胞の成熟IFPシグナルを定量することによって、GzB活性を検出する
ことができる。GzBは、CTLによって送達される外部プロテアーゼであり、不活性I
FPタンパク質の部分を分離するリンカーを切断することによってレポーターを活性化す
ることができる。レポーターにおけるGFPは切断されず、構成的蛍光シグナルをもたら
す。
【0118】
用語「機能的に分離される」は、GzB切断部位を指すために本明細書で使用され、こ
れは、切断部位で分子の部分を分離し、それによって分子を不活性化することを指し、こ
こで、切断によって機能(蛍光)が促進または回復される。一般的に、レポーターは、F
RET対を形成するか、またはフルオロフォアのうちの1つがクエンチされる発色団の対
を含まない。
【0119】
CTLによって生産的に認識される、標的細胞におけるGzB活性の検出を可能にする
目的を果たすいくつかの代替のGzBレポーターが企図される。これらのレポーターを個
別にまたは上述の蛍光発生的プロテアーゼレポーターと組み合わせて使用して、CTLに
よって認識される標的細胞を単離することができる。例えば、GFPまたはmCHerr
y由来の小さな16アミノ酸のペプチド(GFP11)を使用して、GFPまたはmCH
erryを欠くペプチドを活性化することができる。このペプチドはタンパク質に融合さ
れるが(ここでは、これは不活性である)、グランザイムの切断によって遊離されると活
性化される。例えば、Kamiyama et al., Nat Commun. 2016;7: 11046を参照のこと。
【0120】
一部の実施形態では、分子レポーターはアフィニティータグ(例えば、flagエピト
ープ)である。検出は、GzBに対する基質として作用する、レポーターのGzBによる
切断後にのみ明らかになる抗体標的に対する染色に基づく。アフィニティータグは、Gz
B切断部位に対してC末端に位置してもよく、その結果、タグは、GzB部位の切断にお
いてのみ機能的である(例えば、M1 flag抗体によって認識されるFlagエピト
ープ)。一実施形態が図7Aに例証される。切断の前に、内部のタグ(例えば、Flag
エピトープ)は、M1 Flag抗体によって認識されず、N末端のFlagエピトープ
のみを認識する。しかしながら、GzB切断後に、タグは、C末端切断断片のN末端に曝
露され、適切な結合パートナー(例えば、M1抗体)を使用して染色することができる。
一部の実施形態では、分子レポーターは、内部タグの近位に位置するGFPをさらに有す
る。一部の実施形態では、GFPは、タグのC末端に位置する。
【0121】
一部の実施形態では、分子レポーターは、GzB切断部位を含むリンカーを有する小胞
体(ER)保持配列に連結した血漿膜タンパク質である。インタクトである場合、レポー
ターは、ER内に保持される。リンカーの切断により、ER保持配列の放出、および血漿
膜へのタンパク質の輸送がもたらされ、ここで、タンパク質は、細胞外に適用された抗体
(またはその抗原結合性断片)によって認識され得る。この抗体を使用して、認識された
エピトープを発現するAPCを単離または精製することができる。この手法によって、タ
ンパク質分解シグナルを、エピトープのアクセシビリティ、例えば、細胞表面におけるレ
ポータータンパク質の存在に変換した。抗原は、グランザイム切断によって抗体または他
の結合部分にアクセス可能となるが、これは、抗原が特有の結合部位を生じるかまたはそ
の位置を変化させる(細胞内、またはタンパク質内で)ためである。結合することが可能
となる任意の結合タンパク質を使用することができ、例えば、それらのうちの1つが会合
を妨げるタンパク質に融合する、相互作用するタンパク質の対を使用することができる。
遮断セグメントのグランザイム切断により、その結合パートナーによって、タンパク質の
検出が可能となる。抗体の代わりに、核酸アプタマーも使用することができる。
【0122】
このことは、レポータータンパク質に対する蛍光抗体などのアフィニティー試薬(FA
SCに結合したもの)により、またはアフィニティーカラム(例えば、MACS細胞分離
カラム)におけるGzB陽性細胞の直接的捕捉により、GzB陽性細胞の単離を可能とす
る。結果として、CD4、CD19、CD20、CD40、またはこれらに限定されない
が、Mycタグ、Flagタグ、HAタグ、およびヒスチジンタグなどの他のタンパク質
のタグ付けされたバージョンを含む、細胞表面に内因的に存在しない任意のレポータータ
ンパク質を使用することができる。例えば、Kimple, M.E., Brill, A.L., Pasker, R.L.(
2013)Overview of Affinity Tags for Protein Purification. Curr Protoc Protein Sci
. 73: Unit-9.9を参照のこと。
【0123】
一部の実施形態では、検出分子は酵素である。融合ポリペプチドは、原形質膜付着ペプ
チド(例えば、MGVKVLFALICIAVAEASSGSSGDYKDDDDKPV
QPMALIVLGGVAGLLLFIGLGIFFCVRCRHRRRQ(配列番号7
))に機能的に連結した酵素(例えば、CREリコンビナーゼ)を含み、その結果、発現
されると、融合タンパク質であるタンパク質が、発現細胞の原形質膜でのみ見出される。
酵素および膜付着タンパク質は、GzB切断部位によって分離され、その結果、切断の際
に、酵素が原形質膜から放出される。この一例は、本明細書の実施例の項に記載されるC
reリコンビナーゼプロテアーゼレポーターである。Creリコンビナーゼは、膜付着ペ
プチドによって膜に係留した場合に不活性であるが、GzB切断によって活性化され、C
reを放出して核に侵入し、そこでCre活性のレポーターを活性化する。一部の実施形
態では、APC核内のレポーターはLoxPレポーターのCre媒介組換えを利用して、
活性を示す。一部の実施形態では、Cre活性は、細胞レポーターの活性化を介して検出
される。この手法では、認識された標的細胞におけるCre活性がレポーター遺伝子(G
FP、ピューロマイシンなど)をオンにし、例えば、FACSによって、または抗生物質
の選択により、細胞の単離を可能とする。次いで、まさにこれらの細胞に由来するゲノム
DNAを単離することができる。GFP/RFP逆位カセットは、Cre活性に応答して
蛍光シグナルを発する細胞レポーターの一例である。一部の実施形態では、LoxPレポ
ーターの組換えにより、認識された細胞における抗原カセットのPCR増幅が可能となる
プライマー構造が生じる。生産的に認識される抗原は、細胞傷害性細胞による処理後に標
的細胞に由来するPCR産物のIlluminaシークエンシングによって特定すること
ができる。この手法は、図6Aに図示される。本明細書の組成物および方法において、検
出分子として使用するのに有用な他の酵素は、TEVプロテアーゼ、および転写因子であ
る。一部の実施形態では、膜付着シグナルペプチドは、MALPVTALLLPLALL
LHAARPSQ(配列番号8)である。
【0124】
さらに、APCにおけるグランザイムB活性の検出のためのシステムが本明細書に記載
される。このようなシステムは、グランザイムB活性を示すために相互作用する2つの別
個のレポーティング構築物を利用することができる。このシステムは、好ましくは、本明
細書に記載の原形質膜付着ペプチドに連結したCREリコンビナーゼを含む融合ポリペプ
チドを含有し、ここで、CREリコンビナーゼと膜付着ペプチドはGzB切断部位によっ
て分離されている。システムは、本明細書に記載されるCRE活性のレポーターをさらに
含有することができる。CRE活性のレポーターは、ヘッドトゥヘッド方向でGFPおよ
びRFPをコードし、LoxP部位が両側に隣接している核酸配列であってもよい。この
システムは、LoxP部位が両側に隣接している不活性プライマーを含むCRE活性プラ
イマー認識配列の近位に位置する、発現可能な形態の候補抗原をコードする核酸配列であ
って、LoxP部位のCRE誘導転位によって、機能的プライマー認識配列が生じる、核
酸配列を、代わりにまたはさらに含有してもよい。このCRE媒介逆位事象は、PCRお
よびシークエンシングによって、ゲノムDNAにおいて直接的に検出することができる。
この手法では、Cre媒介逆位事象によって、抗原提示カセットのPCR増幅を可能にす
る適当なプライマー方向が生じことができる。標的細胞のすべてに由来するゲノムDNA
(いずれの選別もなく)を抽出することができ、このバルクgDNAからのPCRによっ
て、GzBを受容し、Creを活性化し、抗原提示カセットを囲むプライマーを逆位させ
る標的細胞のみから抗原提示カセットを増幅することになる。この手法をqPCRで使用
して、図6の概念証明実験において逆位事象の頻度を定量した。これら2つの手法は、個
別にまたは組み合わせて使用することができる。
【0125】
標識
本明細書に記載のレポーター分子中に組み込まれ得る好適な検出分子として、限定され
ないが、放射性同位体、蛍光体、化学発光体、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵
素阻害剤、染料、金属イオン、金属ゾルが挙げられる。
【0126】
任意の蛍光ポリペプチド(本明細書において、蛍光標識とも称される)は、検出可能な
標識として使用するのに好適であり得る。好適な蛍光ポリペプチドは、定性的(陽性/陰
性)および定量的(蛍光に相当する程度)に評価することができる検出可能なシグナルを
容易にもたらすことになるものであろう。
【0127】
例示的蛍光ポリペプチドとして、これらに限定されないが、黄色蛍光タンパク質(YF
P)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、GFP、mRFP、RFP(t二量体2)、H
CREDなど、またはその任意の突然変異体(例えば、蛍光の増強または、発光スペクト
ルのシフトをもたらすように改変された蛍光タンパク質)、アナログ、または誘導体が挙
げられる。さらに好適な蛍光ポリペプチド、および本明細書で列挙したものの具体例は、
当技術分野で提供され、周知である。
【0128】
ビオチンベースの標識も、本明細書に開示される方法において使用を見い出す。標的分
子のビオチン化は周知であり、例えば、タンパク質、核酸、炭水化物、カルボン酸のビオ
チン化のためのアミン反応性およびチオール反応性薬剤を含む多数のビオチン化剤が公知
である;例えば、これによって、参照により本明細書に組み込まれるchapter 4, Molecul
ar Probes Catalog, Haugland, 6th Ed. 1996を参照のこと。ビオチン化された物質は、
検出可能に標識されたビオチン結合パートナー、例えば、アビジンまたはストレプトアビ
ジンの結合によって検出することができる。同様に、多数のヘプテニル化試薬も公知であ
る。
【0129】
使用するのに好適な例示的アフィニティータグとして、これらに限定されないが、単球
アダプタータンパク質(MONA)結合ペプチド、T7結合ペプチド、ストレプトアビジ
ン結合ペプチド、ポリヒスチジントラクト、タンパク質A(Nilsson et al, EMBO J. 4:
1075(1985);Nilsson et al, Methods Enzymol .198:3(1991))、グルタチオンSトラン
スフェラーゼ(Smith and Johnson, Gene 67:31(1988))、Glu-Glu アフィニティータグ
(Grussenmeyer et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7952(1985))、サブスタンスP
、FLAGペプチド(Hopp et al, Biotechnology 6: 1204(1988))、または他の抗原エ
ピトープもしくは結合ドメインが挙げられる。一般的に、Ford et al, Protein Expressi
on and Purification 2:95(1991)を参照のこと。アフィニティータグをコードするDNA
分子は、供給業者(例えば、Pharmacia Biotech、Piscatawa
y、N.J.)から入手可能である。
【0130】
活性化APCにおける抗原の特定
さらに、細胞傷害性リンパ球に対する抗原提示細胞による認識された抗原提示の検出の
ためのシステムが本明細書で提供される。このシステムは、候補抗原をコードする外因性
核酸を含有する抗原提示細胞、または複数の抗原提示細胞を含有し、候補抗原は、本明細
書に記載されるように、細胞傷害性リンパ球に対して、MHCクラスIおよび/またはM
HCクラスII分子により発現および提示される。このシステムは、本明細書に記載され
るグランザイムB活性の分子レポーター、または本明細書に記載されるグランザイムB活
性を検出するためのシステムをさらに含有する。一部の実施形態では、このシステムは、
本明細書に記載される細胞傷害性リンパ球をさらに含有する。一部の実施形態では、この
システムの抗原提示細胞は、CAD媒介DNA分解の阻害剤、例えば、発現形態のICA
D遺伝子をさらに含む。
【0131】
本明細書に記載されるように、細胞傷害性リンパ球により認識された標的APCで提示
された生産的抗原認識により、APC内に認識可能な変化が生じる。このような変化の検
出は、APCの特定およびそれが発現した抗原の最終的決定において使用される。認識さ
れた標的細胞の特定およびその抗原の特定は、そのレポーターを検出し、それによって特
定された細胞を単離および/または選別するハイスループットシステムの使用によって達
成され得る。
【0132】
本明細書に記載される単離するステップおよび/または選別するステップは、当技術分
野で公知の種々の方法および/またはデバイス、例えば、フローサイトメトリー(例えば
、蛍光活性化細胞選別(FACS)またはラマンフローサイトメトリー)、蛍光顕微鏡、
光ピンセット、マイクロピペット、アフィニティー精製およびミクロ流体磁気分離デバイ
スおよび方法を使用して行うことができる。一部の実施形態では、検出可能に標識された
標的細胞が蛍光標識された標的細胞である場合、FASCを利用して、1つまたは複数の
蛍光シグナルに基づいて細胞を定性的に選別することができる。例示的実施形態では、候
補抗原を含む標的細胞がそれらの同種のT細胞に特異的に結合する場合、標的細胞は、赤
外蛍光シグナル(例えば、標的細胞によってコードされた活性化IFP-GFP融合タン
パク質からの)を発光することになる。FACSを使用して、赤外蛍光シグナルに基づい
て、未結合細胞から結合タンパク質を選別してもよい。1つまたは複数の選別ゲートまた
は閾値レベルを、1つまたは複数の検出分子に関連して利用して、広範な標的細胞-T細
胞相互作用に対する定量的選別を提供してもよい。さらに、スクリーニングのストリンジ
ェンシーは、例えば、標的の濃度をモジュレートし、選別ゲートの位置を設定することに
よって、定量的に制御することができる。
【0133】
例えば、蛍光シグナルが、細胞傷害性リンパ球(例えば、CTL)に対する候補抗原の
結合アフィニティーに関連する場合、選別ゲートおよび/またはストリンジェンシー条件
を調整して、標的に対する所望のアフィニティーまたは所望のアフィニティー範囲を有す
る抗原を選択してもよい。一部の場合には、最も高いアフィニティーの抗原を候補抗原配
列の特定のライブラリーから単離することが望ましい場合もある。しかしながら、他の場
合には、結合アフィニティーが特定範囲内にある候補抗原が単離されてもよい。
【0134】
認識された抗原を有するとして特定された細胞を処理して、外因性核酸を単離すること
ができる。一部の実施形態では、外因性核酸は、公知のプライマー配列(例えば、核酸の
APCへのトランスフェクションから公知)を使用するPCR増幅によって単離される。
あるいは、RT-PCRを使用して、抗原カセットの転写形態を増幅することができる。
抗原がエピソーム的に(ウイルスゲノムまたはプラスミドの一部として)発現される場合
、エピソームDNAは、抗原提示カセットを単離する方法として捕捉することができる。
特異的に認識された抗原の決定は、DNAシークエンシングなどのハイスループットシス
テムの使用によって達成することができる。
【0135】
蛍光ベースのシークエンシング方法論を含む、いくつかのDNAシークエンシング技法
が公知である(例えば、Birren et al., Genome Analysis: Analyzing DNA, 1, Cold Spr
ing Harbor, N.Y.を参照のこと)。一部の実施形態では、当技術分野で理解される自動シ
ークエンシング技法が利用される。一部の実施形態では、本明細書に記載のハイスループ
ットシステムは、分割アンプリコンの並列シークエンシング(例えば、PCT国際公開第
2006/084132号パンフレット)をもたらす方法を使用する。一部の実施形態で
は、DNAシークエンシングは、並列オリゴヌクレオチド伸長(例えば、米国特許第5,
750,341号明細書、および米国特許第6,306,597号明細書を参照のこと)
によって達成される。シークエンシング技法の追加の例として、チャーチポロニー技術(
Mitra et al.,2003,Analytical Biochemistry 320,55-65;Shendure et al.,2005 Scienc
e 309,1728-1732;米国特許第6,432,360号明細書;米国特許第6,485,9
44号明細書および米国特許第6,511,803号明細書)、454ピコタイターパイ
ロシーケンシング技術(Margulies et al.,2005 Nature 437,376-380;米国特許出願公開
第2005/0130173号明細書)、Solexa単一塩基付加技術(Bennett et a
l.,2005,Pharmacogenomics,6,373-382;米国特許第6,787,308号明細書;米国特
許第6,833,246号明細書)、Lynx大規模並列シグネチャーシークエンシング
技術(Brenner et al.,(2000).Nat.Biotechnol.18:630-634;米国特許第5,695,9
34号明細書;米国特許第5,714,330号明細書)、およびAdessiPCRコ
ロニー技術(Adessi et al.(2000).Nucleic Acid Res.28,E87;国際公開第000189
57号パンフレット)が挙げられる。
【0136】
次世代シークエンシング(NGS)方法は、古いシークエンシング方法に比べて低コス
トを目標に大規模並列でハイスループットな戦略を共通の特徴として共有する(例えば、
Voelkerding et al.,Clinical Chem.,55:641-658,2009;MacLean et al.,Nature Rev.Mic
robiol.,7:287-296を参照のこと)。NGS方法は、典型的には、テンプレート増幅を使
用するものとそうでないものに広く分けることができる。増幅を必要とする方法としては
、454技術プラットフォームとしてRocheにより市販されているパイロシーケンシ
ング(例えば、GS 20およびGS FLX)、ILLUMINA(商標)により市販
されているSolexaプラットフォーム、およびAPPLIED BIOSYSTEM
S(商標)により市販されているSupported Oligonucleotide
Ligation and Detection(商標)(SOLiD)プラットフォ
ームが挙げられる。単一分子シークエンシングとしても知られている非増幅手法は、HE
LICOS BIOSYSTEMS(商標)により市販されているHELISCOPEプ
ラットフォーム、およびVISIGEN(商標)、OXFORD NANOPORE T
ECHNOLOGIES LTD.、およびPACIFIC BIOSCIENCES(
商標)によりそれぞれ市販されている最新のプラットフォームによって例示される。
【0137】
パイロシーケンシング(Voelkerding et al.,Clinical Chem.,55:641-658,2009;MacLe
an et al.,Nature Rev.Microbial.,7:287-296;米国特許第6,210,891号明細書
;米国特許第6,258,568号明細書)では、テンプレートDNAが断片化され、末
端修復され、アダプターにライゲーションされ、アダプターに相補的なオリゴヌクレオチ
ドを保有するビーズで単一のテンプレート分子を捕捉することによってin-situで
クローン的に増幅される。単一のテンプレート型を保有する各ビーズは、油中水型マイク
ロベシクルに区画され、テンプレートは、エマルジョンPCRと称される技法を使用して
クローン的に増幅される。エマルジョンは、増幅後に破壊され、ビーズは、シークエンシ
ング反応の間にフローセルとして機能ピコタイタープレートの個々のウェルに堆積される
。4つのdNTP試薬のそれぞれの順序付けられた反復導入が、シークエンシング酵素お
よびルシフェラーゼなどの発光レポーターの存在下でフローセルに起こる。適切なdNT
Pがシークエンシングプライマーの3’末端に付加される事象では、得られるATPの産
生により、CCDカメラを使用して記録されるウェル内の発光の破壊が引き起こされる。
400塩基より多いかまたはそれに等しいリード長を達成することが可能であり、10
の配列リードを達成することができ、最大5億塩基対(Mb)の配列となる。
【0138】
SOLEXA/ILLUMINAプラットフォーム(Voelkerding et al.,Clinical Ch
em.,55:641-658,2009;MacLean et al.,Nature Rev.Microbial.,7:287-296;米国特許第
6,833,246号明細書;米国特許第7,115,400号明細書;米国特許第6,
969,488号明細書)では、シークエンシングデータは、より短い長さのリードの形
態で作製される。この方法では、1本鎖断片化DNAは末端修復されて、5’-リン酸化
平滑末端を生成し、続いて、単一A塩基が断片の3’末端にクレノウ媒介的に付加される
。A-添加は、オリゴヌクレオチドアンカーでちりばめられるフローセルの表面にテンプ
レートアダプター分子を捕捉するためにその後に使用されるT-オーバーハングアダプタ
ーオリゴヌクレオチドの付加を容易にする。アンカーは、PCRプライマーとして使用さ
れるが、テンプレートの長さと他の近くのアンカーオリゴヌクレオチドへの近さのため、
PCRによる伸長は、分子の「アーチ形成」に至り、隣接するアンカーオリゴヌクレオチ
ドとハイブリダイズし、フローセルの表面にブリッジ構造を形成する。DNAのこれらの
ループは、変性され切断される。次いで、フォワード鎖は、可逆色素ターミネーターを用
いてシークエンスされる。取り込まれたヌクレオチドの配列は、dNTP添加の次のサイ
クルの前に除去される蛍光体およびブロックのそれぞれで、取込み後の蛍光を検出するこ
とによって決定される。配列リード長は、解析ラン当たり10億の塩基対を超える全体の
アウトプットで、36ヌクレオチドから50を超えるヌクレオチドの範囲である。
【0139】
SOLID(商標)技術(Voelkerding et al.,Clinical Chem.,55:641-658,2009;MacL
ean et al.,Nature Rev.Microbial.,7:287-296;米国特許第5,912,148号明細書
;米国特許第6,130,073号明細書)を使用する核酸分子のシークエンシングもま
た、テンプレートの断片化、オリゴヌクレオチドアダプターのライゲーション、ビーズへ
の付着、およびエマルジョンPCRによるクローン増幅に関与する。これに続いて、テン
プレートを保有するビーズが、ガラスフローセルの誘導体化表面に固定され、アダプター
オリゴヌクレオチドに相補的なプライマーがアニーリングされる。しかしながら、このプ
ライマーは、3’伸長のために利用するよりもむしろ、2つのプローブ特異的塩基、続い
て6つの縮重塩基と4つの蛍光標識のうちの1つを含有するインターロゲーションプロー
ブへのライゲーションのための5’リン酸基を提供するために代わりに使用される。SO
LID(商標)システムでは、インターロゲーションプローブは、各プローブの3’末端
に2つの塩基と5’末端に4つの蛍光体のうちの1つとの16の可能な組合せを有する。
蛍光体の色、よって、各プローブの同一性は、特定の色-空間コードスキームに対応する
。複数(通常は7)回のプローブアニーリング、ライゲーション、および蛍光体検出の後
に、変性、次いで、初期プライマーに対して1つの塩基でオフセットされるプライマーを
使用する2回目のシークエンシングを行う。この方法では、テンプレート配列はコンピュ
ータで再構築することができ、テンプレート塩基は2度インターロゲーションされて、高
い精度が得られる。配列リード長は、平均で35個のヌクレオチドであり、全体のアウト
プットは、シークエンシングのラン当たり40億の塩基を超える。
【0140】
ある特定の実施形態では、ナノ細孔シークエンシング(例えば、Astier et al.,J.Am.C
hem.Soc.2006 Feb 8;128(5)1705-10を参照のこと)が用いられる。ナノ細孔シークエンシ
ングの背後にある理論は、ナノ細孔が導電性流体中に浸漬され、電位(電圧)がこれに印
加されたときに起こるものに関係している。これらの条件下で、ナノ細孔を通るイオンの
伝導による僅かな電流を観察することができ、電流の量は、ナノ細孔の大きさに非常に敏
感である。核酸の各塩基がナノ細孔を通過するため、4つの塩基のそれぞれと別個のナノ
細孔を通る電流の大きさに変化が起こり、それによって、決定されるべきDNA分子のシ
ークエンスが可能となる。
【0141】
ある特定の実施形態では、HELICOS BIOSCIENCES(商標)によるH
ELISCOPE(商標)(Voelkerding et al.,Clinical Chem.,55:641-658,2009;Mac
Lean et al.,Nature Rev.Microbial.,7:287-296;米国特許第7,169,560号明細
書;米国特許第7,282,337号明細書;米国特許第7,482,120号明細書;
米国特許第7,501,245号明細書;米国特許第6,818,395号明細書;米国
特許第6,911,345号明細書;米国特許第7,501,245号明細書)が用いら
れる。テンプレートDNAが断片化され、蛍光標識を保有する最終的なアデノシンにより
3’末端でポリアデニル化される。変性されたポリアデニル化テンプレート断片は、フロ
ーセルの表面のポリ(dT)オリゴヌクレオチドにライゲーションされる。捕捉されたテ
ンプレート分子の最初の物理的位置は、CCDカメラによって記録され、次いで、標識が
切断され、洗い流される。シークエンシングは、ポリメラーゼおよび蛍光標識されたdN
TP試薬の一連の添加によって達成される。取込み事象は、dNTPに対応する蛍光体シ
グナルを生じ、シグナルは、各回のdNTP添加の前に、CCDカメラによって捕捉され
る。配列リード長は、解析ラン当たり10億の塩基対を超える全体のアウトプットで、2
5~50ヌクレオチドの範囲である。
【0142】
Ion Torrent技術は、DNAの重合の間に放出される水素イオンの検出に基
づくDNAシークエンシング方法である(例えば、Science 327(5970):1190(2010);米国
特許出願公開第2009/0026082号明細書;同第2009/0127589号明
細書;同第2010/0301398号明細書;同第2010/0197507号明細書
;同第2010/0188073号明細書;および同第2010/0137143号明細
書を参照のこと)。マイクロウェルは、シークエンシングされるテンプレートDNA鎖を
含有する。マイクロウェルの層の下は、過敏性ISFETのイオンセンサーである。すべ
ての層は、エレクトロニクス産業において使用されるものと同様のCMOSの半導体チッ
プ内に含有されている。dNTPが成長する相補性鎖に組み込まれる場合、水素イオンが
放出され、過敏性イオンセンサーを誘発する。ホモポリマーの反復がテンプレート配列中
に存在する場合、複数のdNTP分子は単一サイクル中に組み込まれる。これは、放出さ
れた水素の対応する数と、比例してより高い電子シグナルにつながる。この技術は、改変
ヌクレオチドまたは光学部品が使用されない点で、他のシークエンシング技術とは異なる
。Ion Torrentシーケンサーの塩基当たりの精度は、ラン当たり約100Mb
の生成で、50塩基のリードについて約99.6%である。リード長は100塩基対であ
る。長さが5反復のホモポリマー反復についての精度は約98%である。
【0143】
本明細書に記載の方法に関して使用するために採用することができる別の例示的核酸シ
ークエンシング手法は、STRATOS GENOMIC、Inc.によって開発され、
XPANDOMERS(商標)の使用に関与する。このシークエンシングプロセスは、典
型的には、テンプレート指向合成によって生産される娘鎖を提供することを含む。娘鎖は
、一般的に、個々のサブユニットが、テザー、少なくとも1つのプローブまたは核酸塩基
残基、および少なくとも1つの選択的に切断可能な結合を含む、標的核酸のすべてまたは
一部の連続ヌクレオチド配列に対応する配列に結合された複数のサブユニットを含む。選
択的に切断可能な結合が切断されて、娘鎖の複数のサブユニットよりも長い長さのXPA
NDOMER(商標)を得る。XPANDOMER(商標)は、典型的には、標的核酸の
すべてまたは一部の連続するヌクレオチド配列に対応する配列における遺伝情報を解析す
るためのテザーおよびレポーターエレメントを含む。次いで、XPANDOMER(商標
)のレポーターエレメントが検出される。XPANDOMER(商標)に基づく手法に関
するさらなる詳細は、例えば、2008年6月19日に出願された「拡張によるハイスル
ープット核酸シークエンシング(HIGH THROUGHPUT NUCLEIC A
CID SEQUENCING BY EXPANSION)」と題する米国特許出願公
開第2009/0035777号明細書に記載されており、これは、全体として参照によ
り本明細書に組み込まれる。
【0144】
他の最新の単一分子シークエンシング法は、VISIGEN(商標)プラットフォーム
(Voelkerding et al.,Clinical Chem.,55:641-58,2009;米国特許第7,329,492
号明細書;米国特許出願第11/671956号明細書;米国特許出願公開第11/78
1166号明細書)を使用する合成によるリアルタイムシークエンシングを含み、VIS
IGENプラットフォームでは、固定され、プライムされたDNAテンプレートが、蛍光
修飾されたポリメラーゼおよび蛍光アクセプター分子を使用する鎖拡張に供されて、塩基
添加時の検出可能な蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を生じる。
【0145】
本明細書において別段に定義されていなければ、本出願に関連して使用される化学およ
び技術用語は、当業者に理解される通常の意味を有する。Allen et al., Remington: The
Science and Practice of Pharmacy 22nd ed., Pharmaceutical Press (September 15,
2012);Hornyak et al., Introduction to Nanoscience and Nanotechnology, CRC Press
(2008);Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biolo
gy 3rd ed., revised ed., J.Wiley & Sons (New York, NY 2006);Smith, March's Adva
nced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 7th ed., J.Wiley & So
ns (New York, NY 2013);Singleton, Dictionary of DNA and Genome Technology 3rded
., Wiley-Blackwell (November 28, 2012);およびGreen and Sambrook, Molecular Clon
ing: A Laboratory Manual 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spri
ng Harbor, NY 2012)は、本出願で使用される用語の多くへの一般的な指針を当業者に提
供する。抗体をどのようにして調製するかについての参考文献に関しては、Greenfield,
Antibodies A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Press (Cold Spring Ha
rbor NY, 2013);Kohler and Milstein, Derivation of specific antibody-producing t
issue culture and tumor lines by cell fusion, Eur.J.Immunol.1976 Jul, 6(7):511-9
;Queen and Selick, Humanized immunoglobulins、米国特許第5,585,089号明
細書(1996 Dec);およびRiechmann et al., Reshaping human antibodies for therapy
, Nature 1988 Mar 24, 332(6162):323-7を参照のこと。さらに、文脈によって別段に要
求されていなければ、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含むものとする。
【0146】
操作例において以外、または別段に示されていない場合、本明細書で使用される成分ま
たは反応条件についての量を表すすべての数は、すべての例で、用語「約」によって修飾
されているものと理解すべきである。用語「約」は、本発明を説明するために使用する場
合、パーセンテージに関しては、±5%を意味する。
【0147】
一観点では、本明細書に記載される組成物、方法、およびその各構成成分は、必須であ
り、必須であろうとなかろうと特定されていない要素の包含についてもオープンである(
「含む(comprising)」)。一部の実施形態では、組成物、方法またはその各
構成成分についての記載に含まれる他の要素は、その基本的および新規の特徴に物質的に
影響を及ぼさないものに限定される(「から本質的になる(consisting es
sentially of)」)。これは、記載された方法内のステップおよびその中の
組成物および構成成分に等しく適用される。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成
物、方法、およびその各構成成分は、構成成分、組成物または方法に対して本質的要素と
思われないいずれの要素にも排他的であることが意図される(「からなる(consis
ting of)」)。
【0148】
特定されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、例えば、本発明と関連して使用
され得るこのような刊行物に記載される方法論を記載および開示するために、参照により
明示的に本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日の前のそれらの開
示についてのみ提供される。これに関してはいずれも、先行発明のせいで、または任意の
他の理由でも、本発明者らがこのような開示に先行する権利を有さないことの自認として
解釈されるべきではない。日付けについてのすべての記載またはこれらの文書の内容につ
いてのすべての表現は、本出願に利用可能な情報に基づき、これらの文書の日付けまたは
内容の正しさについてのいかなる自認も構成しない。
【0149】
本発明は、以下の実施例によってさらに例証されるが、これらはさらなる限定として解
釈されるべきではない。
【実施例0150】
材料および方法
以下の材料および方法を本明細書の実施例において使用した。
T細胞の調製
IV9エピトープを認識するクローンT細胞(HIV Polのアミノ酸309~31
7、ILKEPVHGV)は、Bruce Walkerにより好意で提供された。T細
胞を10%のFBS(Gibco)、1%のペニシリン-ストレプトマイシン(Gibc
o)、および50U/mlのヒト組換えIL-2(Roche)を含むRPMI中で培養
した。抗CD3(OKT3、0.1ug/ml)の存在下で、20E6で照射した(50
Gy)同種間PMBCを用いて1E6のT細胞を培養することによって、T細胞を増殖さ
せた。
【0151】
TCRの再生のために、RosetteSep CD8 T細胞精製キット(Stem
Cell)を使用して、ドナーの血液から一次CD8 T細胞を精製した。1E6のT細
胞を、抗CD3/抗CD28磁気ビーズ(Invitrogen)を使用して活性化し、
同時に、目的のTCRとZesty Green(Zsg)蛍光マーカーをコードするレ
ンチウイルスベクターで形質導入した。形質導入した細胞を、5日後に、Zsgシグナル
(FITC channel)に基づくFACS(BD FACSAria(商標) I
I)で選別した。
【0152】
NK細胞を、RosetteSep NK細胞精製キット(StemCell)を使用
してドナーの血液から精製し、RPMIおよび10%のFBS中100U/mlのIL-
2中で24時間活性化した。
【0153】
細胞傷害性アッセイ
Hmy2.CIR-HLA-A2標的細胞を、製造業者のプロトコールに従ってCFS
E(Invitrogen)で標識し、10ug/mlのIV9ペプチド(NeoBio
Lab)または対照のペプチド(NeoBioLab)で1時間パルスした。細胞をPB
Sで3回洗浄した。 5E4の標的細胞を、96ウェルプレートのウェルごとに播種し、
10倍過剰のIV9 T細胞と混合し、300gで2分間スピンダウンさせ、37℃で4
時間インキュベートした。細胞をピペッティングすることによって再懸濁させ、1:20
希釈の7-AAD(BD Biosciences)で10分間インキュベートした。標
的細胞を、CFSE染色(FITC)によって特定し、死細胞をPerCP-Cy5.5
チャネル(BD FACSAria(商標) II)において検出した。LDHアッセイ
では、インキュベーション4時間後の上清を回収し、製造業者のプロトコール(Pier
ce)に従って処理した。
【0154】
蛍光発生GzBレポーター
蛍光発生GzBレポーターを、iTEV-HO1ベクター(To et al. PNAS 112(11):
3338-3343(2015))におけるTEV切断部位を、GzB切断配列(VGPDFGR(配列
番号9)で置き換えることによって作製した。Choi, P.J. and Mitchison, T.J.(2013)PN
AS 110(15): 6488-6493)。新たなレポーターを、pHAGE TRexハイグロマイシ
ンレンチウイルス発現ベクター中にクローニングし、約1のMOIでHEK293T細胞
中に形質導入した。細胞を、200ug/mlのハイグロマイシンで4日間選択した。標
的細胞を、GFPシグナルに基づいて、T細胞から識別し、レポーターの活性化を、AP
C-Cy7チャネル(BD FACSAri(商標)a II)における蛍光の増加によ
って検出した。
【0155】
GzB活性のCreレポーター
シグナルペプチド(MALPVTALLLPLALLLHAARPSQ(配列番号8)
)、flagタグ(DYKDDDDK(配列番号10))、CD8膜貫通ドメイン、Gz
B切断部位(VGPDFGR(配列番号9))、およびCreリコンビナーゼを含有する
膜係留Cre融合体をコードする構築物を作製した。この構築物を合成し(IDT)、p
ENTRベクター(ThermoFisher)中にクローニングし、次いで、レンチウ
イルスのpHAGE CMV hygro destinationベクター中にクロー
ニングし、レンチウイルスの形質導入によってK562標的細胞中に導入した。Cre活
性のレポーターとして、ヘッドトゥヘッド方向でGFPおよびRFPを含有し、loxP
部位が両側に隣接しているベクターを使用した。これは、GFPの活性化とRFPの損失
によるCre活性の蛍光検出を可能にする、Creの存在に関するレポーターカセットで
ある。さらに、qPCRプライマー(図14に図示した、図15に示す配列)を設計し、
蛍光検出よりもqPCRによって同じ逆位事象の検出を可能にした。このレポーターカセ
ットをpHAGE CMVレンチウイルスベクターにクローニングし、レンチウイルスの
形質導入によって(200ug/mlで4日間のハイグロマイシン選択)レポーター細胞
中に導入した。最後に、カスパーゼ耐性D117E ICAD遺伝子を、レンチウイルス
の形質導入によって(40ug/mlで5日間のブラストサイジン選択)標的細胞中に導
入した。標的細胞を、2:1過剰の活性化一次NK細胞と4時間混合した。GeneJE
T(商標)精製キットを使用して、ゲノムDNAを精製し、Creレポーターの逆位を、
逆位特異的プライマーを使用するqPCRによるPCR増幅産物の定量によって定量した
。逆位カセットは、他の内容では、Cre活性の蛍光検出のためにRFPとGFPをそれ
自体に含有したが、この実験では蛍光シグナルを全く使用しなかった。シグナルを、方向
にかかわらずレポーターカセットを定量したプライマーのセットに対して正規化した。
【0156】
抗体ベースのGzBレポーター
HAタグ(YPYDVPDYA(配列番号11))、GzB切断部位(VGPD(配列
番号1))、Flagタグ(DYKDDDDK(配列番号10))、およびGFPの融合
体をコードする構築物を合成し(IDT)、pENTRベクター(ThermoFish
er)にクローニングし、次いで、GatewayクローニングによってpHAGE T
rex neo発現ベクターにクローニングした。HEK293T細胞に、発現ベクター
または対照空ベクターをトランスフェクトし、次いで、一次NK細胞と2時間共培養した
。細胞溶解液を採取し、4~12%のBis-Trisゲルにランし、M1抗Flag抗
体(Sigma Aldrich)でブロッティングした。
【0157】
CD4 TCR試験
P2A配列によって分離したOB1a.12 TCRのアルファおよびベータ鎖(MB
Pペプチドに特異的)を、pHAGE EF1a-PGK-Zsgベクターにクローニン
グした。対照として、IV9ペプチドを標的とするTCRのアルファおよびベータ鎖(Ko
lowo、W. et al.(1999)Journal of Immunology, 162:7525-7533)を、同じベクターにク
ローニングした。抗CD3/抗CD28磁気ビーズ(Invitrogen)で再度刺激
した一次CD8 T細胞を、OB1a.12または対照のTCRを発現するレンチウイル
スで形質導入した。5日後に、Zsg陽性T細胞をFACSによって選別した。OB1a
.12または対照のT細胞を、蛍光GzBレポーターを単独で発現するHEK293T細
胞と、またはMBPペプチドもしくはMBPペプチドの突然変異体を有する単鎖MHCI
I構築物と共培養した。GzBレポーターの活性化をFACSによって4時間後に検出し
た。
【0158】
混合実験
IV9エピトープを含有する56アミノ酸の断片(GAKALTDIVPLTREAE
LELAENKEILKEPVHGVYYDSAKELIAEVQKQGLDQWTYQ
;配列番号12)を、pHAGE CMVピューロレンチウイルス発現ベクターにクロー
ニングした。蛍光発生GzBレポーターを発現するHEK293T細胞をレンチウイルス
で形質導入しこのIV9エピトープを発現させるか、または対照のレンチウイルス(MO
I約1)で形質導入し、1ug/mlのピューロマイシンで3日間選択した。IV9構築
物を発現する細胞を、製造業者のプロトコール(Invitrogen)に従って、Ce
llTrace(商標)のバイオレット細胞色素で標識し、様々な比で未標識対照細胞と
混合し、96ウェルプレートに播種した。12時間成長させた後、10:1の比のIV9
T細胞を添加し、細胞を4時間共培養した。細胞をピペッティングすることによって再
懸濁させ、GFP、APC-Cy7、およびDAPI(バイオレット色素)について、フ
ローサイトメトリー(BD FACSAria(商標) II)によって解析した。
【0159】
IV9 T細胞のスクリーニング
10種のHIV株の完全なプロテオームにわたって並べて表示する、56アミノ酸の断
片をコードする2494オリゴのライブラリーを合成した(Agilent)。 ライブ
ラリーは、以下のプライマーを使用して増幅させ:
HIV_lib_F 5’ ggggacaagtttgtacaaaaaagcagg
ctcaAGAATTCTCCGTGGC(配列番号13)
HIV_lib_R 5’ ggggaccactttgtacaagaaagctgg
gtcagctagttaCACTCGAGAGCTCAC(配列番号14)
pDONR221ベクターにクローニングした。大文字のセクションは、本発明者らの抗
原カセットに直接的に相補的である領域を示す(小文字はPCRによって付加されている
オーバーハングである)。次いで、LRクロナーゼを使用して、ライブラリーをpHAG
E CMV N-FlagHA IRES puro destinationベクター
にクローニングした。30E6の標的細胞の2つの複製(GzBレポーターとICADを
発現するHEK293T)を、MOIが約0.2のHIVペプチドライブラリーで形質導
入し、1ug/mlのピューロマイシンで3日間選択した。各複製からの3E6の標的細
胞を、10E6の活性化IV9 T細胞と12時間共培養した。細胞をピペッティングす
ることによって再懸濁させ、GzBレポーターを活性化する標的細胞をFACSによって
選別した。ゲノムDNAを、GeneJET(商標)キット(Thermo)を使用して
、選別した細胞と3E6の予め選別した対照から精製した。ペプチドカセットを以下のプ
ライマーを使用して増幅させ:
T_sell_PCR1_F 5’ CCAGTCAGGTGTGATGCTCGGGG
ATCCAGGAATTCAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCTCA(配列番
号15);T_cell_PCR1_R 5’ CGAGCTTATCGTCGTCAT
CCCCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGTCA(配列番号16)、1ul
のPCR1産物を、以前に記載したように(Xu, et al., (2015)Science, 348(6239), a
aa0698)、2回のライブラリーprep PCRのためのテンプレートとして使用し、産
物をプールし、ゲル抽出し、Illumina MiSeqのシングルエンド300bp
のシークエンシングにかけた。リードを、BWAを使用してアラインメントし、インプッ
ト周波数に対する選別した集団における各ペプチドの存在量を計算した。
【0160】
CMVのサブライブラリースクリーニング
このスクリーニングは、以下の修正を含む上記IV9 T細胞スクリーニングとして実
施した。簡潔には、NLV2 TCR(Schub et al., J Immunol、183:6819-6830(2009)
)を、gBlock断片(IDT)として合成し、pHAGE EF1a Zsg DE
STレンチウイルスベクターにクローニングし、レンチウイルスにパッケージングし、一
次CD8 T細胞中に形質導入した。 二連の、CMV Merlin株の完全なプロテ
オームをコードする5,784オリゴのライブラリーを、放出可能なマイクロアレイ(T
wist Biosciences)で合成し、pHAGE CMV NFlagHA
puro DESTレンチウイルスベクターにクローニングし、レンチウイルスにパッケ
ージングし、およそ0.5のMOIで(1ug/mlのピューロマイシンで3日間選択し
た)、HLA-A2標的細胞(MHC Null HEK293T/dmICAD-bs
d/iGzB-hyg/HLA-A2)中に形質導入した。
【0161】
10E6のCMV標的細胞の3つの複製を、50E6のNLV2 T細胞と12時間共
培養し、その後、IFP陽性標的細胞を選別した(FACSAria(商標) II)。
選別した細胞を、500gで5分間スピンダウンさせ、gDNAを、GeneJET(商
標)ゲノムDNA精製キット(Thermo)を使用して抽出した。シークエンシングア
ダプターとマルチプレックスインデックスを、上記IV9 T細胞のスクリーニングにつ
いて記載したように、3回のPCRにおいて添加し、試料を、Illumina MiS
eqのハイスループットシークエンシングにかけた。リードを、BWAを使用してアライ
ンメントし、インプット周波数に対する選別した集団における各ペプチドの存在量を計算
した。
【0162】
細菌叢-ワイドスクリーニング
このスクリーニングは、以下の修正を含む上記IV9 T細胞スクリーニングとして実
施した。 簡潔には、pp65特異的一次T細胞は、Kim Lyerlyによって好意
で提供された。VirScanライブラリー(Xu et al. Science、348(6239), aaa0698(
2015))を、pHAGE CMV NFlagHA puro DESTレンチウイルス
ベクターにクローニングし、レンチウイルスにパッケージングし、およそ0.5のMOI
で(1ug/mlのピューロマイシンで3日間選択した)、HLA-A2標的細胞(MH
C Null HEK293T/dmICAD-bsd/iGzB-hyg/HLA-A
2)に形質導入した。
【0163】
120E6のウイルス叢標的細胞の4つの複製を、120E6のT細胞と12時間共培
養し、その後、IFP陽性標的細胞を選別した(FacsAria(商標) II)。選
別した細胞を、500gで5分間スピンダウンさせ、gDNAを、GeneJET(商標
)ゲノムDNA精製キット(Thermo)を使用して抽出した。シークエンシングアダ
プターとマルチプレックスインデックスを、上記IV9 T細胞のスクリーニングについ
て記載したように、3回のPCRにおいて添加し、試料を、Illumina MiSe
qのハイスループットシークエンシングにかけた。リードを、BWAを使用してアライン
メントし、インプット周波数に対する選別した集団における各ペプチドの存在量を計算し
た。
【0164】
CMVライブラリー対ライブラリースクリーニング
このスクリーニングは、以下の修正を含む上記CMVサブライブラリースクリーニング
として実施した。メモリーT細胞を、ドナー番号224のPBMC(76E6の開始細胞
、Astarte Biologicals)から精製し、前記したように増殖させた。
【0165】
30E6のCMV標的細胞の4つの複製を、25E6のT細胞と8時間共培養し、その
後、IFP陽性標的細胞を選別し(FacsAria(商標) II)、上記のように処
理した。
【0166】
タイリング突然変異誘発スクリーニング
このスクリーニングは、以下の修正を含む前記IV9 T細胞スクリーニングとして実
施した。簡潔には、pp65特異的一次T細胞は、Kim Lyerlyによって好意で
提供された。二連の、4つのT細胞エピトープ(pp65エピトープ:NLVPMVAT
Vを含む)の単一アミノ酸突然変異体の完全なセットをコードする3,376オリゴ(C
TL_mut ライブラリー)のライブラリーを、放出可能なマイクロアレイ(Twis
t Biosciences)で合成し、pHAGE CMV NFlagHA pur
o DESTレンチウイルスベクターにクローニングし、レンチウイルスにパッケージン
グし、およそ0.2のMOIで(1ug/mlのピューロマイシンで3日間選択した)、
HLA-A2標的細胞(MHC Null HEK293T/dmICAD-bsd/i
GzB-hyg/HLA-A2)中に形質導入した。
【0167】
25E6のCTL_mut標的細胞の3つの複製を、25E6のT細胞と12時間共培
養し、その後、IFP陽性標的細胞を選別し(FacsAria(商標) II)し、上
記のように処理した。
【0168】
2回の選択スクリーニング
このスクリーニングは、以下の修正を含む上記IV9 T細胞スクリーニングとして実
施した。簡潔には、IV9特異的「HA」TCR(Kolowos et al., J Immunol 162:7525
-7533 1999)を、gBlock断片(IDT)として合成し、pHAGE EF1a Z
sg DESTレンチウイルスベクターにクローニングし、レンチウイルスにパッケージ
ングし、一次CD8 T細胞中に形質導入した。
【0169】
5E6の標的細胞の3つの複製を、40E6の「HA」T細胞と10時間共培養し、そ
の後、IFP陽性標的細胞を選別し(FacsAria(商標) II)し、上記のよう
に処理した。
【0170】
2回目の選択を実施するために、3つのスクリーニング複製のそれぞれに由来するPC
R1産物を、pHAGE CMV NFlagHA puro DESTベクターにバッ
ククローニングし、レンチウイルスにパッケージングし、およそ0.2のMOIで、HL
A-A2標的細胞中に形質導入した。3つの再クローニングライブラリーのそれぞれを発
現する5E6の標的細胞の1つの複製を、25E6の「HA」T細胞と10時間共培養し
、その後、IFP陽性標的細胞を選別し(FacsAria(商標) II)し、上記の
ように処理した。以下のシークエンシングおよびリードアラインメント、1回および2回
の選択後に回収したペプチドの存在量を、選択前のインプットライブラリーと比較した。
【0171】
スクリーニング最適化の詳細
IFP陽性細胞の単離後にゲノムDNAを保存するために、選別した細胞を常に氷上で
維持し、スピンダウンさせ、選別の4時間以内に凍結させた。
【0172】
標的検出の最適なシグナルノイズを与えるために、各スクリーニングの直前に最適化実
験を実施した。簡潔には、公知のT細胞抗原(パルスしたペプチド、最終10ug/ml
)の存在下または非存在下で、MHC適合標的細胞(iGzBレポーターを発現する)を
、スクリーニングに使用したT細胞の連続希釈物と4時間共培養した。レポーターの活性
化を、フローサイトメトリーによって、各条件下で決定し、バックグラウンド活性化(パ
ルスした抗原が非存在)とオンターゲット活性化(パルスした抗原が存在)の比を計算し
た。最適なT細胞:標的細胞の比を、ライブラリースクリーニングのために選択した。
【0173】
複数の抗原を呈する細胞数を低減するために、標的細胞を、0.2~0.5の感染多重
度(MOI)のレンチウイルスライブラリーで形質導入した。
【0174】
抗原配列の強固な検出を与えるために、試料を、選別した細胞の数の少なくとも2倍の
深度にシークエンシングした(すなわち、100,000個の細胞がFACSによって選
別された場合、1つの試料に対して200,000のリード)。
【0175】
FACSによるT細胞と標的細胞の明確な分離を可能にするために、標的細胞を、T細
胞との共培養の前に、CellTrace(商標)バイオレット色素(Invitrog
en)で染色する。
【0176】
[実施例1]
ハイスループットシークエンシングによって複雑なライブラリーからT細胞抗原を特定す
るための組成物および方法
T細胞の標的抗原を包括的に、ゲノム-ワイドに特定するための組成物および方法が本
明細書に開示される。この手法では、標的細胞のMHCクラスI分子における提示に対す
る、候補抗原のレンチウイルスによる送達が使用される。次いで、標的細胞のこのライブ
ラリーを、目的の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の試料と混合し、CTLに、同種の抗
原を呈する任意の標的細胞を認識する時間を与える。認識に際し、CTLは、死滅プロセ
スを開始させるために、セリンプロテアーゼであるグランザイムB(GzB)を含有する
細胞傷害性顆粒を放出する。細胞内GzB活性のレポーターを使用して、認識された標的
細胞からゲノムDNAを単離する。最後に、PCR増幅と次世代シークエンシング(NG
S)によって、これらの細胞が呈した抗原の包括的な特定が可能となる。このことにより
、CTLのインプット集団によって認識された抗原の定量的なシークエンシングリードア
ウトがもたらされる。この手法は、図1に例証される。
【0177】
細胞傷害性T細胞に特異的な候補抗原を特定するための方法が、CTLの同種の抗原を
呈する標的細胞を強固にエンリッチすることができることを実証するために、概念証明実
験を実施した。開発および試験の目的のために、HLA A0201に制限されたHI
V polペプチドIV9(Pol残基476~484)に非常に特異的なCTLクロー
ンを入手した。CTLクローンは、同種であるが対照ではないペプチドでパルスしたMH
C適合標的細胞において、膜透過性についての7-AAD染色によって検出されるように
、アポトーシスを誘導することができた(図2A)。
【0178】
遺伝子によってコードされる候補抗原を、標的細胞によって、MHC I分子上に、効
率的に提示することができ、標的細胞ライブラリーの作製が可能となる。同種のIV9配
列を含有するHIV polの56アミノ酸断片の単一の複製のレンチウイルスによる発
現が、IV9ペプチドの効率的処理と提示を可能にするかどうかを決定するための試験を
実施した。LDH放出細胞傷害性アッセイによって決定したように、この断片の発現は、
IV9 CTLによる標的細胞の認識を与えるのに十分であったことが観察された(図2
B)。このことは、標的細胞ライブラリーの作製の実行可能性を実証した。
【0179】
CTLによって生産的に認識された標的細胞からDNAを単離するために、標的細胞に
おける生産的抗原認識に対するレポーターアッセイを開発した。GzBプロテアーゼ活性
を、認識された標的細胞のリードアウト/マーカーとして使用した。GzBは、CTLに
よって、認識された標的細胞中に分泌される細胞傷害性プロテアーゼであり、カスパーゼ
活性化とアポトーシスを誘発する。GzBのレポーターは、一般的なアポトーシス経路に
よって活性化されず、このことは、CTLによって、死滅した標的細胞のみが単離される
ことを意味する。このことにより、本明細書に記載の方法における抗原に依存しないバッ
クグラウンドノイズが低減される。以前の研究により、細胞傷害性の死滅の間に、標的細
胞中に放出されたGzBにより、GzB標的の完全なタンパク質分解がもたらされことが
実証され、このことは、レポーターの基礎として作用する強固な酵素活性を示唆した。
【0180】
GzB活性を検出するために、To et al. PNAS 112(11): 3338-3343(2015)に記載され
た研究に基づいて、新たな蛍光発生GzBレポータータンパク質を開発し、2つのドメイ
ン間の拘束ペプチドリンカーによって成熟することができない改変された赤外蛍光タンパ
ク質を作製した。このリンカーのタンパク質分解による切断によって、タンパク質の適当
なフォールディングが可能となり、最大1000倍の蛍光の増加が生じる。To et al. PN
AS 112(11): 3338-3343(2015)は、このレポーターを使用して、カスパーゼの活性とTE
Vプロテアーゼの活性を検出することに成功した。本明細書に記載されるようにレポータ
ーを改変して、代わりに、GzB切断を検出した。このレポーターの試験として、蛍光発
生GzBレポーターを安定して発現する標的細胞を作製した。IV9 CTLとの共培養
により、IV9でパルスしたが、対照ではパルスしていない標的細胞における赤外蛍光タ
ンパク質シグナルの増加が導かれ(図3)、GzB活性の効率的検出と一致した。
【0181】
本明細書に記載のプラットフォームによって、CTLの同種の抗原を呈する標的細胞を
エンリッチすることができることを実証するために、再構築実験を実施した。GzBレポ
ーターを発現し、IV9ペプチドを呈する標的細胞を、バイオレット細胞染色で標識した
。次いで、これらの細胞を、GzBレポーターをまた発現するが、対照ペプチドを呈さな
い未染色標的細胞と混合した。対照細胞に対する様々な比のIV9の提示を使用して、複
雑さの増した抗原ライブラリーをシミュレーションした。混合した細胞をIV9 CTL
と共培養し、GzBレポーターを活性化した標的細胞を単離した。バイオレット染色を使
用して、GzBレポーターを活性化したすべての標的細胞の中で、IV9ペプチドを呈す
る標的細胞のエンリッチメントを計算した。この実験は、図4に例証される。
【0182】
実験の結果を図4Bに表し、同種のIV9抗原を呈する標的細胞の強力なエンリッチメ
ントを実証する。1:1000の初期希釈を使用した場合(本発明者らが試験した最も低
い希釈)、同種の抗原を呈する標的細胞の21倍のエンリッチメントが観察された。この
条件で、1,000個の異なる抗原のライブラリーをシミュレーションし、このプラット
フォームを使用して、候補の非常に複雑なライブラリーから標的を特定することができる
ことを実証する。
【0183】
この手法と適用することに対する最終ステップは、認識された標的細胞のゲノムDNA
からインタクト抗原のライブラリーの回収を可能とすることである。しかしながら、Gz
Bは、標的細胞においてカスパーゼ活性化を開始し、カスパーゼ活性化デオキシリボヌク
レアーゼ(CAD)によるゲノムDNAのヌクレオソーム間の分解を引き起こす。CAD
は、通常、カスパーゼ基質である、CADのタンパク質阻害剤(ICAD)によって不活
性化されるが、カスパーゼ耐性(D117E)ICADの過剰発現は、アポトーシスの間
にDNAの分解を遮断することが示されている(Sakahira et al., Nature. 1:391(6662
):96-9. 1998)。レンチウイルスによる形質導入と選択によって、カスパーゼ耐性D11
7E ICAD遺伝子を発現するように改変された標的細胞を使用した。得られた結果は
、この戦略によって、アポトーシス細胞からのインタクトなゲノムDNAの回収が可能と
なることを実証する。
【0184】
このプラットフォームによって、複雑な抗原ライブラリーからCTL標的をエンリッチ
するのに成功できることを実証するために、T細胞クローンの標的に対するスクリーニン
グを実施した。56アミノ酸ステップで10種のHIV株の完全なプロテオームにわたっ
て並べて表示する2,494ペプチド断片のライブラリーを作製した。このライブラリー
をレンチウイルスベクターにクローニングし、本発明者らのGzBレポーターと変異D1
17EおよびD224Eを有する突然変異体ICADを発現する標的細胞中に導入した。
次いで、標的細胞のライブラリーを、IV9 CTLクローンと終夜共培養し、GzBレ
ポーターを活性化した標的細胞をFACSによって単離した。インプットおよび選別した
細胞のゲノムDNA由来の抗原カセットを増幅するためにPCRを実施し、選別した細胞
における選択したペプチドのエンリッチメントを定量するためにqPCRを実施した。こ
の実験は、図5Aに例証され、結果を図5Bに示す。IV9 CTL抗原をコードするペ
プチドの有意かつ再生可能なエンリッチメントが観察され、一方、対照抗原は有意にエン
リッチされなかった。このことは、このプラットフォームを使用して、CTLの標的に対
して、複雑な抗原ライブラリーをスクリーニングすることができること、およびこれらの
標的細胞が、次世代シークエンシングを使用することによって包括的に検出され得ること
を実証する。
【0185】
[実施例2]
ハイスループットシークエンシングによる複雑なライブラリーからのT細胞抗原の特定
このプラットフォームを使用して、複雑な抗原ライブラリーからCTL標的を発見する
ことができることを実証するために、目的のT細胞クローンの標的に対する再構築スクリ
ーニングを実施した。56アミノ酸ステップで10種のHIV株の完全なプロテオームに
わたって並べて表示する2,494ペプチド断片をコードするライブラリーを作製した。
このライブラリーをレンチウイルスベクターにクローニングし、本発明者らのGzBレポ
ーターと変異D117EおよびD224Eを有する突然変異体ICADを発現する標的細
胞中に導入した。次いで、標的細胞のライブラリーを、IV9 CTLクローンと終夜共
培養し、GzBレポーターを活性化した標的細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)によ
って単離した。インプットおよび選別した細胞のゲノムDNA由来の抗原カセットを増幅
するためにPCRを使用し、T細胞クローンによって認識された細胞においてエンリッチ
された抗原を特徴付けるためにIlluminaシークエンシングを実施した。
【0186】
図8は、この実験の2つの生物学的複製にわたって、本発明者らのライブラリーの各ペ
プチドを選別した後のフォールドエンリッチメントをプロットする。数値の注釈を付けて
プロットしたペプチドは、使用されたIV9 CTLクローンの公知の標的エピトープを
含有する。最も強力で最も再生可能なエンリッチメントは、IV9エピトープを含有する
ペプチドに対するものであり、ほとんどすべてのこのようなペプチドに少なくとも中程度
のエンリッチメントが存在する。さらに、このスクリーニングにおいて最もエンリッチさ
れたペプチドについての公平なモチーフ解析によって、最も出現するモチーフとして、正
確なIV9エピトープが明らかとなった(図9)。まとめると、これらのデータは、この
組成物および方法を使用して、非常に複雑な抗原プールからT細胞標的を正確に特定する
ことができることを実証する。
【0187】
[実施例3]
CD4 T細胞に対するGzBレポーターの適用
この手法を使用して、それ自身が細胞傷害活性を有さないCD4 T細胞または他のT
細胞の標的を特定することができることを実証するためのステップも得た。これは、目的
のT細胞受容体(TCR)を一次CD8 T細胞中に導入することによって達成すること
ができる。次いで、細胞傷害性T細胞は、導入されたTCRの標的細胞を認識し、死滅さ
せるように再指示される。次いで、目的のTCRによって認識された標的細胞を、本明細
書に記載されるGzBのレポーターを使用して特定することができる。
【0188】
この手法を使用して、CD4 TCRの特異性を呈するCTLを作製するのに成功でき
ることを実証するために、実験を実施した。レンチウイルス感染を使用して、MHCクラ
スII分子の状況でMBPペプチドを認識するCD4 TCR(Ob1A.12)を一次
細胞傷害性CD8 T細胞中に導入した。Ob1A.12 TCRで改変したが、対照の
TCRで改変していないCD8 T細胞は、適当なMHC II分子でMBPペプチドを
呈する標的細胞において、GzBレポーターを特異的に活性化することができた(図10
)。この結果は、GzBレポーターが、CD4 T細胞の標的を特定することができ、感
染性疾患、がん、および自己免疫の状況で、Th1、Th2、およびTreg CD4
T細胞の標的の特定を可能とすることを実証する。
【0189】
[実施例4]
代替的グランザイムBレポーター
本明細書に記載されるように、CTLによって生産的に認識された標的細胞において、
GzB活性の検出を可能にする多くのGzBベースのレポーターが企図される。例えば、
GzB活性のいくつかの代替的レポーターが作製されてきた。これらのレポーターを独立
して、または上記蛍光発生プロテアーゼレポーターと組み合わせて使用して、CTLによ
って認識される標的細胞を単離することができる。
【0190】
例えば、その係留のGzBによる切断によって活性化される、不活性な、膜係留Cre
リコンビナーゼを使用する、GzB活性の検出のための1つの方法が開発された。これは
、Creを放出し、核に侵入し、T細胞認識に応答してレポーターを活性化する。Lox
PレポーターのCre媒介組換えにより、認識された細胞における抗原カセットのPCR
増幅が可能となるプライマー構造が生じる。生産的に認識される抗原は、細胞傷害性細胞
による処置後に標的細胞に由来するPCR産物のIlluminaシークエンシングによ
って特定することができる。 sequencing of the PCR product from target cells after
treatment with cytotoxic cells. この手法は、図6Aに図示される。
【0191】
この手法の実行可能性を実証するために、試験を実施した。標的細胞は、1)テザー上
にGzB切断配列を有する膜係留Creリコンビナーゼ、2)Creリコンビナーゼによ
って逆位し得る2つのloxP部位を含有するレポーターカセット、および3)アポトー
シスの間にゲノムDNAを保存するためのICADのD117E突然変異体形態を発現す
るように改変された。ナチュラルキラー細胞によるこれらの標的細胞へのGzBの導入に
より、qPCRによって検出されるように、Creリコンビナーゼの切断とレポーターの
逆位のおよそ3倍の増加がもたらされた(図6B)。このレポーターは、細胞傷害性T細
胞にも同様に作用し、NK細胞と同じパーフォリンおよびグランザイム媒介細胞分解の機
構を使用する。これは、GzB活性を検出するために、Creリコンビナーゼを使用する
ことの実行可能性を実証し、死滅のために標的とされる細胞からインタクトなDNAを回
収する本発明者らの能力を強調する。
【0192】
別の代替案は、GzBよりもむしろ、カスパーゼレポーターを使用することであろう。
しかしながら、グランザイムレポーターは、カスパーゼレポーターと異なり、カスパーゼ
媒介アポトーシスの間に活性化されず、本発明者らのT細胞死滅アッセイの状況で、より
低いレベルのバックグラウンド活性化を有する(陽性シグナルの影響を受けず、およそ3
倍バックグラウンドを低減した)。
【0193】
GzB活性を検出するために開発された別の手法は、抗体標的に対する染色に基づき(
細胞内であっても細胞外であっても、レポーターが細胞質で発現するかまたは膜に対して
標的とされるかに応じて)、これは、GzBに対する基質として作用するレポーターの、
次に起こるGzBによる切断でのみで明らかとなる。レポーターは、GzB切断モチーフ
に直接的に先行するFlagエピトープを含有する。切断の前には、内部のFlagエピ
トープはM1 Flag抗体によって認識されず、N末端のFlagエピトープを認識す
るにすぎない。しかしながら、GzB切断後には、FlagエピトープがC末端切断断片
のN末端に曝露され、M1抗体を使用して染色され得る。この手法は、図7Aに例証され
る。
【0194】
この方法によって、NK細胞(この概念証明実験において細胞傷害性リンパ球として作
用する)によるGzBの送達の有無にかかわらず、GzBレポーターを発現する標的細胞
由来の細胞溶解液に関して、M1 Flag抗体を使用するウエスタンブロット解析によ
って検出されるように、NK細胞によって送達されたGzBに対するレポーターの曝露後
に、M1抗体標的の存在量に顕著な増加が生じた(図7B)。切断された基質は、本明細
書に記載のスクリーニング方法に適合する抗体染色およびフローサイトメトリーによって
さらに検出され得る。
【0195】
標的細胞におけるGzB活性のさらに別のレポーターは、ER保持モチーフを有する細
胞内に隔離されるレポータータンパク質に基づく。ER保持モチーフのGzBによる切断
に際し、レポータータンパク質を、細胞表面への輸送などによって、放出および検出する
ことができ、標的細胞の単離のために使用することができる。この手法によってタンパク
質分解を検出するのに成功することができることを実証するために、ER保持モチーフの
前にTEV切断部位を含むCD4をレポータータンパク質として使用した。ER保持のた
めに、ERにおいてタンパク質を隔離することが以前に報告されている、C末端のKKX
Xモチーフ(ここで、Xは任意のアミノ酸である)、例えば、KKYL(配列番号17)
を使用した(Nilsson et al., Cell、58(4): 707-718(1989)を参照のこと)。レポーター
の発現を追跡するために、このレポーターをGFPに融合させた。構築物および配列の全
体を以下に表す。TEVの構築物との共培養によって、細胞表面のCD4が有意に増加し
た(図25)。
【0196】
使用されるKKXXレポーター配列は、以下の通りである:
【0197】
【化2】
【0198】
[実施例5]
ゲノム-ワイドスクリーニングにより公知および新規のT細胞標的を特定する
様々なT細胞集団に対して記載された組成物および方法を適用するスクリーニングのセ
ットを実施した。これらのスクリーニングは、この組成物および方法によって、以前に特
徴付けたTCRの正確な標的抗原が特定され、重要なことに、ゲノム-ワイドスケールの
T細胞集団の、新規の、生物学的に意味のある抗原が発見されることを実証した。
【0199】
公知のTCRの標的が正確に特定されることを実証するために、CMV PP65のN
LVエピトープを認識するTCRを合成した。これは、TCRが、レンチウイルスの形質
導入によって一次ドナーCD8 T細胞中に導入され、これらの細胞を使用して、CMV
ゲノムにわたって並べて表示する2882の候補56量体のライブラリーをスクリーニン
グした。NLVエピトープを含有するライブラリーにおいて2つの56アミノ酸ペプチド
だけが、ライブラリーにおける上位2つのスコアのペプチドであり、7から20倍エンリ
ッチされていた(図16および表1)。 注目すべきことに、他のペプチドは、4倍を超
えて再生可能にエンリッチされなかった。この実験は、このプラットフォームによって、
ドナーのCD8 T細胞中に導入された「復活した」TCRの標的を特定することに成功
したことを実証した。
【0200】
【表1】
【0201】
このプラットフォームによって、十から何十万もの抗原のさらに複雑なセットをスクリ
ーニングすることができることを実証するために、ウイルス叢-ワイドスクリーニングを
実施した。このスクリーニングでは、NLVペプチドの存在下で増殖させた、HLA-A
2陽性、CMV陽性のドナーに由来する一次T細胞を使用した。28アミノ酸の重複を有
する55アミノ酸ステップにおける206ウイルス種の全ゲノムにわたって並べて表示す
る93,000を超える候補のライブラリーに対して、これらの細胞をスクリーニングし
た。NLVエピトープを含有するライブラリーにおいて2つの56量体だけが、上位2つ
のエンリッチされたペプチドであり、25から100倍エンリッチされていた(図17
よび表2)。2つのさらに重複する56量体は、15から40倍エンリッチされており、
これらの2つの56量体によって共有される28アミノ酸領域のエピトープは、インプッ
トCD8 T細胞のおよそ2%まで認識されたことが確認された(図18)。この実験は
、このプラットフォームによって、ゲノム-ワイドスケールで新規のT細胞標的が特定さ
れたことを実証した。注目すべきことに、スクリーニングされた93,000の候補ライ
ブラリーは、ヒトのORFeomeコレクション全体(およそ20,000全長のORF
)よりも複雑である。さらに、この実験は、T細胞の2%のサブセットによって認識され
たにすぎない新規標的が特定および確認されたため、複数のT細胞集団を一度に特徴付け
ることができることを示した。
【0202】
【表2】
【0203】
次に、ポリクローナルT細胞の新規の免疫優勢標的を全ゲノムスケールで特定できたこ
とを実証するために、ゲノム-ワイドライブラリー対ライブラリースクリーニングを実施
した。バルクメモリーT細胞をHLA-A2陽性、CMV陽性のドナーから精製した。こ
れらのT細胞を、2,882エピトープのCMV-ワイドライブラリーに対してスクリー
ニングした。再生可能にエンリッチされた6セットの重複する56量体を特定した(表3
)。 これらの候補抗原の6つすべてが、28アミノ酸の重複する領域において、高いア
フィニティーが予測されるHLA-A2バインダーを含有する(図20)。対照的に、2
8アミノ酸のストレッチの10%だけが、高いアフィニティーのHLA-A2バインダー
を含有することが予測される。エンリッチされたエピトープのうちの1つは、公知の免疫
優性PP65エピトープであり、T細胞の0.3%まで認識されたことが確認された。残
りの5つの特定されたエピトープは、以前には報告されていなかった。この実験は、ポリ
クローナルT細胞の新規のT細胞標的が、ライブラリー対ライブラリーの設定で、ゲノム
スケールで特定され得ることを実証した。
【0204】
【表3】
【0205】
表3は、図19に記載されるスクリーニングにおいて再生可能にエンリッチされた重複
する56量体の6つのセットを示す。6/6の場合には、28アミノ酸重複領域(太字)
に見出される高いアフィニティーが予測されるHLA-A2結合エピトープが存在する。
対照的に、28量体の10%だけが、高いアフィニティーのHLA-A2結合エピトープ
を有することが予測される。エピトープ1336~1337は、十分に確立された免疫優
勢エピトープであるが、一方、残りの5つのエピトープは、以前には報告されていなかっ
た。
【0206】
このプラットフォームによって、TCR-エピトープ相互作用のランドスケープがマッ
ピングされることを実証するために、包括的突然変異誘発スクリーニングを実施した。上
記のNLVにより増殖された一次T細胞を使用した。2つの上流および下流の残基に加え
て、公知の標的エピトープの単一のアミノ酸突然変異体のすべてのライブラリーをスクリ
ーニングした。上流または下流のアミノ酸の突然変異体は、T細胞の認識を破棄しなかっ
たが、一方、エピトープ自体におけるほとんどの突然変異は、エピトープ認識を低下させ
た(図6)。この手法によって、より大きな抗原が認識される状況で、T細胞の正確に認
識されたエピトープが正確にマッピングされる。さらに、この手法を使用して、関連する
オフターゲットペプチド配列を検索するために使用することができる、重要な、許容され
るTCR相互作用残基をマッピングすることによって、T細胞に対する潜在的なオフター
ゲットを特定することができる。
【0207】
このプラットフォームによって、複数回のスクリーニングによって、標的エピトープの
継続的なエンリッチメントが可能となる。HIVポリメラーゼのIV9エピトープを認識
するTCRをコードする遺伝子を合成し、レンチウイルスの形質導入によって、一次ドナ
ーCD8 T細胞中に導入した。得られた細胞を使用して、HIVの10種の株のゲノム
にわたって並べて表示する1,247の候補の56量体のライブラリーをスクリーニング
した。2回目の選択を実施するために、単離した抗原を増幅させ、レンチウイルス発現ベ
クターに再度クローニングした。次いで、これらを、ウイルスの形質導入によって、標的
細胞中に導入した。同じIV9 T細胞に関して、スクリーニングを繰り返した。IV9
TCRの公知の標的のエンリッチメントの増加が、2回目の選択で観察された(図21
)。したがって、このプラットフォームを複数回の選択で使用して、抗原特定の性能を改
善することができる。
【0208】
[実施例6]
腫瘍由来のTCRへのプラットフォームの適用
このプラットフォームによって、腫瘍由来のTCRの標的を特定することができること
を実証するために、シグナルノイズ解析を行った。T細胞活性のシグナルノイズ解析によ
り、その既知の抗原の非存在下に対する存在下での、T細胞がレポーターを活性化する効
率を定量する。ウイルススクリーニングのすべてについて、実際のスクリーニングにおい
て観察される標的のエンリッチメントについて、シグナルノイズ測定は非常に予測的であ
った。腫瘍抗原を認識することについて本発明者らが研究しているT細胞は、本発明者ら
が以前に使用した抗ウイルスT細胞に匹敵するシグナルノイズを与え、このスクリーニン
グ研究に十分な信頼をさらに与える(図22)。これによって、腫瘍由来のTCRなどの
TCRの公知かつ新規の標的を特定するための様々なゲノム-ワイドヒトスクリーニング
が可能となる。
【0209】
[実施例7]
CAD媒介DNA分解を阻害すること
T細胞活性についてのグランザイムベースの検出の重要な課題は、グランザイムが、標
的細胞中に侵入した際に、ヌクレアーゼCADによるゲノムDNAの特徴的なヌクレオソ
ーム間の分解を含む、アポトーシスを開始することである。アポトーシスの前に、その阻
害剤タンパク質であるICADによって、CADを不活性に保つ。ICADは、アポトー
シスの間に分解される、直接的なカスパーゼ基質であり、CADがDNAを分解するのを
妨げる。このプラットフォームによって、グランザイムを受容した細胞からのインタクト
な抗原カセットのDNAの回収が可能となる。よって、早期のアポトーシスの間に起こる
DNA分解が、T細胞認識を駆動した抗原を特定する能力を制限する。この課題は、CA
D媒介DNA分解を阻害することによって克服できることが、本明細書において決定され
ている。例えば、標的細胞において、過剰発現する突然変異体である、ICADタンパク
質のカスパーゼ耐性バージョンによって、グランザイム送達後のCADヌクレアーゼ活性
が妨げられることを決定している。この突然変異体ICADの過剰発現により、アポトー
シスの誘導後のゲノムDNAのラダリングが妨げられることが確認された(図23)。
【0210】
抗原情報を回収するために、CAD媒介DNA分解を阻害することが、スクリーニング
の設定において重要であることが決定された。ICADの過剰発現の有無にかかわらず、
実施された別々のスクリーニング状況での抗原回収の効率を計算した。簡潔には、予期さ
れるポワゾン分布の細胞数に対する抗原当たりのリードの観察された分布をマッピングし
、フィットを使用して、各スクリーニング複製において特徴付けた細胞総数を推定した。
次いで、シークエンシングによって回収したこの細胞数をFACSによって単離された公
知の細胞数と比較し、抗原回収の正味の効率を決定した。ICADの非存在下で行ったス
クリーニングの6つの複製にわたって、選別した細胞の1~2%のみから抗原情報を回収
した(図24)。対照的に、突然変異体ICADの過剰発現に関して実施したスクリーニ
ングは、およそ10倍高い抗原回収の効率をもたらした(図24)。注目すべきことに、
スクリーニング間のゲノムDNA調製、PCR、およびシークエンシングステップにおい
て差はなかった。これらの結果は、例えば、突然変異体ICADの過剰発現による、DN
A分解の阻害により、アッセイの性能がおよそ10倍改善し、有意により複雑な抗原ライ
ブラリーのスクリーニングが可能となることを示す。
【0211】
(参照文献)
Cameron, BJ et al. Identification of a Titin-Derived HLA-A1-Presented Peptide as
a Cross-Reactive Target for Engineered MAGE A3-Directed T Cells. Sci Trans Med
197ra103 (2013).
Sakahira, H., Enari, M. & Nagata, S. Cleavage of CAD inhibitor in CAD activation
and DNA degradation during apoptosis. Nature 391, 96-99 (1998).
Sekaly, R. The failed HIV Merck vaccine study: a step back or a launching point
for future vaccine development? JEM 205 (1): 7, (2008).
To, TL et al. Rationally designed fluorogenic protease reporter visualizes spati
otemporal dynamics of apoptosis in vivo. PNAS 112(11): 3338-3343 (2015).
Kolowos, W., Schmitt, M., Herrman, M., Harrer, E., Low, P., Kalden, J.R., Harrer
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sion of HIV-1-Reverse Transcriptase-Specific CTL Clones. J Immunol 162:7525-7533
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Schub, A., Schuster, I.G., Hammerschmidt, W., Moosmann, A. (2009) CMV-Specific T
CR-Transgenic T Cells for Immunotherapy. J Immunol, 183:6819-6830.
Xu, G.J.,* Kula, T.,* Xu, Q., Li, M.Z., Vernon, S.D., Ndung’u, T., Ruxrungtham,
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H.B., Elledge, S.J. (2015) Comprehensive serological profiling of human populat
ions using a synthetic human virome. Science, 348 (6239), aaa0698
【0212】
他の実施形態
ある特定の実施形態および実施例の文脈において本出願を開示したが、当業者であれば
、本出願の実施形態は、具体的に開示された実施形態を超えて、他の代替的実施形態およ
び/または使用、ならびにそれらの改変および均等物にも拡張されることを理解するであ
ろう。
【0213】
本明細書において参照されるすべての特許、特許出願、特許出願の公報、および他の資
料、例えば、論文、書籍、明細書、刊行物、文書、物品などは、それらと関連付けられる
いずれかの起訴ファイル履歴、本文書と不一致または対立するそれらのうちのいずれか、
または現在または今後、本文書と関連付けられる請求項の最も広範な範囲に関して限定的
な作用を有し得るそれらのうちのいずれかを除いて、あらゆる目的で、これによって、そ
の全体が参照により本明細書に組み込まれる。例としては、組み込まれる資料のいずれか
と関連付けられる用語の説明、定義、および/または使用と、本文書に関連付けられる用
語の説明、定義、および/または使用との間にいずれかの不一致または対立が存在する場
合、本文書における用語の説明、定義、および/または使用が優先される。
【0214】
本明細書に開示の本出願の実施形態は、本出願の実施形態の原則の例証であることを理
解するべきである。用いることができる他の修正は、本出願の範囲内にあり得る。よって
、例として、限定するものではないが、本出願の実施形態の代替の構成を、本明細書の教
示に従って利用することができる。したがって、本出願の実施形態は、正確に示され、記
載されたものに限定されない。
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図14
図15-1】
図15-2】
図15-3】
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【配列表】
2023153809000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0214
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0214】
本明細書に開示の本出願の実施形態は、本出願の実施形態の原則の例証であることを理解するべきである。用いることができる他の修正は、本出願の範囲内にあり得る。よって、例として、限定するものではないが、本出願の実施形態の代替の構成を、本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本出願の実施形態は、正確に示され、記載されたものに限定されない。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.a)MHCクラスIまたはMHCクラスII分子により発現および提示される1つまたは複数の候補抗原をコードする外因性核酸、
b)グランザイムB(GzB)活性の分子レポーター、ならびに
c)カスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ(CAD)媒介DNA分解、CADノックアウト、またはカスパーゼノックアウトの外因性阻害剤
を含む抗原提示細胞(APC)。
2.前記外因性核酸が、任意選択で、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはトランスポゾンを介して、前記APCのゲノム中に安定的に導入されている、上記1に記載のAPC。
3.前記外因性核酸の両側に、所定のプライマー認識配列が隣接している、上記1または2に記載のAPC。
4.前記GzB活性の分子レポーターが、検出分子に連結したGzB切断部位(VGPD、配列番号1)を含む融合ポリペプチドを含む、上記1から3のいずれかに記載のAPC。
5.前記分子レポーターが、改変された赤外蛍光タンパク質、膜係留CREリコンビナーゼ、抗体ベースのGzB活性のレポーター、ER保持ベースのGzB活性のレポーター、細胞表面検出可能ベースのGzB活性のレポーター、またはこれらの組合せを含む、上記4に記載のAPC。
6.前記分子レポーターが、膜係留CREリコンビナーゼを含み、前記APCが、LoxP部位が両側に隣接している逆位CREレポーターをさらに含み、任意選択で、前記外因性核酸が、CRE活性化プライマー認識配列の近位に位置する、上記4または5に記載のAPC。
7.前記CAD媒介DNA分解の外因性阻害剤が、発現可能な形態でカスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤(ICAD)遺伝子をコードする核酸、CADもしくはカスパーゼ3を標的とする阻害性核酸、カスパーゼ3の低分子阻害剤、化学的DNAse阻害剤、またはカスパーゼ3のペプチドもしくはタンパク質阻害剤であるか、または前記カスパーゼノックアウトが、カスパーゼ3ノックアウトである、上記1から6のいずれかに記載のAPC。
8.i)内因性MHC分子を発現せず、外因性MHC分子を発現するように操作されており、ならびに/またはii)K 562細胞、HEK 293細胞、HEK 293 T細胞、U2OS細胞、MelJuso細胞、MDA-MB231細胞、MCF7細胞、NTERA2細胞、LN229細胞、樹状細胞、および一次自己B細胞からなる群から選択される、上記1から7のいずれかに記載のAPC。
9.前記候補抗原が、8、9、10、11、20、30、50、100、200、または300アミノ酸長未満であるかまたはそれに等しい、上記1から8のいずれかに記載のAPC。
10.前記候補抗原が、300アミノ酸長を超える、上記1から8のいずれかに記載のAPC。
11.候補抗原をコードする前記外因性核酸が、感染性生物またはヒトのDNAに由来する、上記1から10のいずれかに記載のAPC。
12.前記ヒトDNAが、がん細胞から得られる、上記11に記載のAPC。
13.前記感染性生物が、ウイルス、細菌、真菌、プロトゾア、および多細胞寄生生物からなる群から選択される、上記11に記載のAPC。
14.各APCが、候補抗原をコードし、それによって、MHCクラスIおよび/またはMHCクラスII分子により発現および提示される候補抗原のライブラリーを表す、様々な外因性核酸を含む、上記1から13のいずれかに記載のAPCのライブラリー。
15.前記外因性核酸が、感染因子またはヒトDNAに由来する、上記14に記載のライブラリー。
16.約10 2 から約10 14 個の個々の候補抗原を含む、上記14または15に記載のライブラリー。
17.検出分子に連結したGzB切断部位(VGPD、配列番号1)を含む融合ポリペプチドを含む、グランザイムB活性の分子レポーター。
18.前記検出分子が、酵素、検出可能な標識、抗体結合性抗原、またはアフィニティータグである、上記17に記載の分子レポーター。
19.前記検出可能な標識が、赤外蛍光タンパク質(IFP)、核酸増幅標的、抗体によって認識される組成物、ERから放出される組成物、および細胞表面に存在する組成物からなる群から選択される、GzB切断後に検出可能なものである、上記18に記載の分子レポーター。
20.前記IFPが、前記GzB切断部位によって機能的に分離したN断片(N-IFP)およびC断片(C-IFP)を含み、さらに、C-IFPのN末端側に位置する緑色蛍光タンパク質のN断片(N-GFP)と、N-IFPのC末端側に位置する緑色蛍光タンパク質のC断片(C-GFP)が両側に隣接し、その結果、前記N-GFPとC-GFPは構成的に活性である、上記13に記載の分子レポーター。
21.前記酵素が、CREリコンビナーゼであり、前記融合ポリペプチドが、前記GzB切断部位によって分離された原形質膜付着ペプチドに機能的に連結した前記CREリコンビナーゼを含む、上記18に記載の分子レポーター。
22.アフィニティータグが、前記GzB切断部位のC末端側に位置するFlagエピトープであり、その結果、前記エピトープが、前記GzB部位が切断されるとM1 Flag抗体によってのみ認識され、任意選択で、前記flagエピトープのC末端側に位置するGFPをさらに含む、上記17に記載の分子レポーター。
23.小胞体(ER)保持シグナルおよび抗体結合原形質膜タンパク質を含み、前記GzB部位の切断によって、前記ER保持シグナルが除去され、任意選択で、前記抗原が、CD40、CD4、CD19、CD20、またはタグ付けされたタンパク質であり、任意選択で、前記タグが、Mycタグ、Flagタグ、HAタグ、またはヒスチジンタグである、上記18に記載の分子レポーター。
24.上記17から23のいずれかに記載の分子レポーターをコードする核酸。
25.抗原提示細胞におけるグランザイムB活性の検出のためのシステムであって、
a)原形質膜付着ペプチドに機能的に連結したCREリコンビナーゼを含む融合ポリペプチドであり、前記CREリコンビナーゼと膜付着ペプチドがGzB切断部位によって分離されている、融合ポリペプチド、
b)ヘッドトゥヘッド方向でGFPおよびRFPをコードし、LoxP部位が両側に隣接している核酸配列を含むCRE活性のレポーター、ならびに/または
c)LoxP部位が両側に隣接している不活性プライマーを含むCRE活性プライマー認識配列の近位に位置する、発現可能な形態の候補抗原をコードする核酸配列であって、前記LoxP部位のCRE誘導転位によって、機能的プライマー認識配列が生じる、核酸配列
を含む、システム。
26.細胞傷害性リンパ球またはNK細胞に対する抗原提示細胞によって認識された抗原提示の検出のためのシステムであって、
a)
i.細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞に対して、MHCクラスIおよび/またはMHCクラスII分子により発現および提示される候補抗原をコードする外因性核酸、
ii.上記17から24のいずれかに記載のグランザイムB(GzB)の活性の分子レポーターまたは上記25に記載のグランザイムBの活性を検出するためのシステム、および
iii.CAD媒介分解の阻害剤
を含む抗原提示細胞(APC)、ならびに
b)細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞を含む、システム。
27.前記CAD媒介分解の阻害剤が、CAD媒介DNA分解の外因性阻害剤、CADノックアウト、またはカスパーゼノックアウトであり、任意選択で、前記カスパーゼノックアウトが、カスパーゼ3ノックアウトであるか、またはCAD媒介DNA分解の前記外因性阻害剤が、発現可能な形態でカスパーゼ活性化デオキシリボヌクレアーゼ阻害剤(ICAD)遺伝子をコードする核酸、CADもしくはカスパーゼ3を標的とする阻害性核酸、カスパーゼ3の低分子阻害剤、またはカスパーゼ3のペプチドもしくはタンパク質阻害剤である、上記26に記載のシステム。
28.前記抗原提示細胞が、K 562細胞、HEK 293細胞、HEK 293 T細胞、U2OS細胞、MelJuso細胞、MDA-MB231細胞、MCF7細胞、NTERA2a細胞、樹状細胞、および一次自己B細胞からなる群から選択される、上記27に記載のシステム。
29.前記細胞傷害性リンパ球が、細胞傷害性CD4 T細胞および細胞傷害性CD8 T細胞からなる群から選択される、上記26に記載のシステム。
30.前記細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞が、目的の抗原受容体を発現するように改変されている、上記26から29のいずれかに記載のシステム。
31.前記細胞傷害性リンパ球および/またはNK細胞が、非細胞傷害性CD4 T細胞からT細胞受容体を発現するように改変された細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞である、上記30に記載のシステム。
32.細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞によって認識される抗原を特定するための方法であって、
a)上記1から16のいずれかに記載の抗原提示細胞(APC)またはAPCのライブラリーを、抗原認識に適した条件下で、1つまたは複数の細胞傷害性T細胞(CTL)および/またはNK細胞と接触させるステップと、
b)前記APCにおけるグランザイムB活性をアッセイすることによって、認識された抗原を発現するAPCを特定するステップであって、適切な対照と比較したグランザイムB活性の増加が、前記APCが前記細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞によって認識された抗原を発現することを示す、ステップと、
c)ステップb)で特定された前記APCから、前記認識された抗原をコードする核酸を単離するステップと
を含む方法。
33.細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞によって認識される抗原を特定するための方法であって、
a)上記23に記載の抗原提示細胞(APC)またはAPCのライブラリーを、抗原認識に適した条件下で、1つまたは複数のCTLと接触させるステップであって、前記GzB部位の切断によって、前記ER保持シグナルが取り除かれ、前記原形質膜への輸送のために前記ERから前記原形質膜タンパク質を放出させる、ステップと、
b)前記APCを、前記原形質膜タンパク質に結合する抗体と接触させることによって、認識された抗原を発現するAPCを単離し、抗体が結合したAPCを精製するステップと、
c)ステップb)で単離された前記APCから、前記認識された抗原をコードする核酸を単離するステップと
を含む方法。
34.ステップc)で単離された前記核酸をシークエンシングするステップをさらに含む、上記32または33に記載の方法。
35.前記細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞が、対象の生体試料から得られる、上記32から34のいずれかに記載の方法。
36.前記生体試料が、血液、腫瘍、健康な組織、腹水液、自己免疫の位置、腫瘍浸潤、ウイルス感染部位、病変、口腔粘膜、および皮膚からなる群から選択される、上記35に記載の方法。
37.前記生体試料が、前記対象における感染部位または自己免疫反応性部位から得られる、上記35または36に記載の方法。
38.前記細胞傷害性T細胞が、CD4またはCD8細胞である、上記30から37のいずれかに記載の方法。
39.前記細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞が、目的の抗原受容体を発現するように改変されている、上記38に記載の方法。
40.前記細胞傷害性T細胞および/またはNK細胞が、非細胞傷害性CD4 T細胞からT細胞受容体を発現するように改変されている、上記39に記載の方法。
41.前記特定するステップb)が、対照のものと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍またはそれを超えて増加する、前記APCにおける蛍光シグナルの検出によるものである、上記32から40に記載の方法。
42.前記特定するステップb)が、フローサイトメトリーまたはアフィニティー精製によるものである、上記32から41に記載の方法。
43.前記特定するステップb)が、蛍光活性化細胞選別(FACS)またはアフィニティー精製によるものである、上記32から42に記載の方法。
44.前記単離するステップc)が、PCR増幅によるものである、上記32から43に記載の方法。
45.前記シークエンシングが、パイロシークエンシングまたは次世代シークエンシングによるものである、上記33から44に記載の方法。
46.前記APCのライブラリーが、少なくとも5,000種の異なる候補抗原を含む、上記32から45に記載の方法。
【外国語明細書】