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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153832
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】シルクアルコール製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20231011BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20231011BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231011BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20231011BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231011BHJP
   C07K 14/435 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/02 ZNA
A61K8/34
A61Q13/00 102
A61Q19/00
C07K14/435
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023116485
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2020525849の分割
【原出願日】2018-11-08
(31)【優先権主張番号】17201049.8
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローマ,リン
(72)【発明者】
【氏名】クライン,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】メルヴァルト,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ネッスバッハ,クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】スロッタ,ウテ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を提供する。
【解決手段】構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤であって、ここで、構造タンパク質は、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含む自己集合タンパク質であり、ここで、製剤は化合物をさらに含み、この化合物は、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状であり、ここで、化合物は、化粧品化合物である、前記水性製剤とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤。
【請求項2】
製剤が透明な外観を有する、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項3】
60wt%および90wt%の間のアルコール、
0.05wt%および5wt%の間の構造タンパク質、および
5wt%および39.95wt%の間の水
を含む、請求項1または2に記載の水性製剤。
【請求項4】
アルコールが、エタノール、メタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項5】
構造タンパク質が、20kDaおよび140kDaの間、好ましくは20kDaおよび95kDaの間または30kDaおよび75kDaの間、およびより好ましくは40kDaおよび55kDaの間の分子量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項6】
該製剤が、0.04Pa・sおよび30Pa・sの間、好ましくは0.2Pa・sおよび30Pa・sの間、およびより好ましくは0.8Pa・sおよび15Pa・sの間の複素粘度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項7】
製剤がハイドロゲルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項8】
構造タンパク質が、自己集合タンパク質である、請求項1~7のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項9】
構造タンパク質が、シルクタンパク質、ケラチン、コラーゲン、およびエラスチンからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項10】
シルクタンパク質が、組み換えシルクタンパク質である、請求項9に記載の水性製剤。
【請求項11】
シルクタンパク質が、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含む、請求項9または10に記載の水性製剤。
【請求項12】
反復ユニットが、独立して、配列番号1に従う配列を有するモジュールCまたはそのバリアント、および配列番号2に従う配列を有するモジュールCCysまたはそのバリアントからなる群から選択される、請求項11に記載の水性製剤。
【請求項13】
該製剤、好ましくはハイドロゲルが、さらに化合物を含む。請求項1~12のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項14】
化合物が、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状である、請求項13に記載の水性製剤。
【請求項15】
化合物が、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択される、請求項13または14に記載の水性製剤。
【請求項16】
以下のステップを含む、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を製造する方法:
(i) 構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供すること、および
(ii) 水溶液を混合し、それによって構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を得ること。
【請求項17】
方法が、ステップ(i)に続いて、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に添加するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に、
一つの動きで/一度に、または
10秒以内に
添加する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
混合が、せん断力の適用を回避することにより、好ましくは(穏やかに)揺り動かすこと、旋回させることにより行われる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
方法が、ステップ(i)に続いて、構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を、同時にまとめる/組み合わせるステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
水溶液を、10秒以内の間混合する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
方法が、ステップ(i)に続いて、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液で下塗り/下層化するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
水溶液を、10秒以内の間混合する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
(i)において提供される水溶液における構造タンパク質の濃度が、0.05wt%および5wt%の間、好ましくは0.5wt%および3wt%の間、およびより好ましくは0.75wt%および2wt%の間である、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(ii)において水溶液に添加されるアルコールの濃度が、50wt%および90wt%の間、好ましくは65wt%および85wt%の間、およびより好ましくは70wt%および80wt%の間である、請求項16~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
構造タンパク質を含む水溶液が均一である、請求項16~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
該製剤がハイドロゲルである、請求項16~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
アルコールが、エタノール、メタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、請求項16~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
構造タンパク質が、20kDaおよび140kDaの間、好ましくは20kDaおよび95kDaの間または30kDaおよび75kDaの間、およびより好ましくは40kDaおよび55kDaの間の分子量を有する、請求項16~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
化合物を、
ステップ(i)において提供される構造タンパク質を含む水溶液、
ステップ(i)において提供されるアルコールを含む水溶液、および/または
ステップ(ii)における混合物
に添加するステップをさらに含む、請求項16~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
化合物が、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
化合物が、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
構造タンパク質が、自己集合タンパク質である、請求項16~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
構造タンパク質は、シルクタンパク質、ケラチン、コラーゲン、およびエラスチンからなる群から選択される、請求項16~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
シルクタンパク質が、組み換えシルクタンパク質である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
シルクタンパク質が、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
反復ユニットが、独立して、配列番号1に従う配列を有するモジュールCまたはそのバリアント、および配列番号2に従う配列を有するモジュールCCysまたはそのバリアントからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項16~37のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤。
【請求項39】
以下のステップを含む、物品を製造するための方法:
(i) 請求項1~15または38のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を提供すること、および
(ii) (i)において提供された製剤から物品を形成すること。
【請求項40】
ステップ(i)において提供された水性製剤またはステップ(ii)において形成された物品に、化合物を添加するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
化合物が、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
化合物が、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択される、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
請求項39~42のいずれか一項に記載の方法によって得ることのできる物品。
【請求項44】
請求項1~15または38のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項43に記載の物品
を含む医薬組成物。
【請求項45】
請求項1~15または38のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項43に記載の物品
を含む化粧品組成物。
【請求項46】
医薬として使用するための、
請求項1~15または38のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項43に記載の物品。
【請求項47】
化合物を保護するための
請求項1~15または38のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項43に記載の物品
の使用。
【請求項48】
化合物が、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択される、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
化合物の持続または制御放出のための
請求項1~15または38のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項43に記載の物品
の使用。
【請求項50】
化合物が、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択される、請求項49に記載の使用。
【請求項51】
化合物の保持時間を延長するための、
請求項1~15または38のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項43に記載の物品
の使用。
【請求項52】
化合物が、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択される、請求項51に記載の使用。
【請求項53】
水難溶性、水不溶性、親油性、または油状化合物の製剤化のための、
請求項1~15または38のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項43に記載の物品
の使用。
【請求項54】
化合物が、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択される、請求項53に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤に関する。さらに、本発明は、水性製剤を製造するための方法に関する。さらにまた、本発明は、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を含む医薬組成物に関する。加えて、本発明は、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を含む化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
シルクタンパク質などの天然の構造タンパク質の使用、とりわけクモまたはカイコBombyx moriからのシルクタンパク質の使用は、周知であり、化粧品分野において幅広く実施されている。シルクを含む化粧品製剤は、例えば、水分管理および皮膚保護を提供する。とりわけ、シルクは、天然の保湿剤として機能して、皮膚に水分を与え、調子を整え、皮膚をより柔らかく、なめらかに感じさせる。シルクは、皮膚の上に天然の層を形成し、水分を閉じ込め、過酷な状態を防ぎ、皮膚を保護し、十分に栄養を与える。ヘアケア製剤において、これはさらに髪をより滑らかにし、栄養を与えることに役立つだけではなく、長く続く艶を与える。
【0003】
その良好な忍容性のおかげで、構造タンパク質製剤、例としてシルクタンパク質製剤は、例えば、医薬または化粧品化合物を製剤化して、医薬または化粧品組成物を製造するために、基本的な製剤として使用することもできる。油などの水難溶性化合物の、水性の構造タンパク質溶液、例として水性シルクタンパク質溶液との製剤化は、しかしながら、一般に実行可能ではない。それと対照的に、水難溶性化合物は、アルコールを含む溶液と混合することができる。構造タンパク質、例としてシルクタンパク質は、しかしながら、アルコールを含む溶液に一般に可溶性ではない。
【0004】
よって、シルクタンパク質などの構造タンパク質を基本的な材料および水溶性、水難溶性ならびに水不溶性化合物を添加剤として含む製剤の産生のために、有効で安価なプロセスへの需要が存在する。該製剤は、医薬および化粧品分野において使用し得る。
【0005】
本発明者らは、驚くべきことに、シルクタンパク質などの構造タンパク質およびアルコールを含む製剤の生成のための、産生プロセスを提供することができた。該製剤は水溶性、水難溶性、および水不溶性化合物の製剤化のために使用することができる。本発明者らは、さらにシルクタンパク質などの構造タンパク質ならびにアルコールを含む製剤を提供することができた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の側面において、本発明は、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤に関する。
第2の側面において、本発明は、以下のステップを含む、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を製造するための方法に関する:
(i) 構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供すること、および
(ii) 水溶液を混合し、それによって構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を得ること。
【0007】
第3の側面において、本発明は、第2の側面の方法によって得ることのできる、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤に関する。
第4の側面において、本発明は、以下のステップを含む、物品を製造する方法に関する:
(i) 第1または第3の側面に従う、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を提供すること、および
(ii) (i)において提供された製剤から、物品を形成すること。
【0008】
第5の側面において、本発明は、第4の側面の方法によって得ることのできる、物品に関する。
第6の側面において、本発明は、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤または、第5の側面に従う物品を含む医薬組成物に関する。
【0009】
第7の側面において、本発明は、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤または、第5の側面に従う物品を含む化粧品組成物に関する。
第8の側面において、本発明は、医薬として使用するための、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤または、第5の側面に従う物品に関する。
【0010】
第9の側面において、本発明は、化合物の保護のための、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤または、第5の側面に従う物品の使用に関する。
第10の側面において、本発明は、化合物の持続または制御放出のための、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤または、第5の側面に従う物品の使用に関する。
【0011】
第11の側面において、本発明は、化合物の保持時間を延長するための、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤または、第5の側面に従う物品の使用に関する。
第12の側面において、本発明は、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状化合物の製剤化のための、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤または、第5の側面に従う物品の使用に関する。
【0012】
本発明の詳細な記載
定義
本発明を以下で詳細に説明する前に、本明細書に記載の具体的な方法論、プロトコルおよび試薬に限定されず、これらは変化し得ることを理解されたい。本明細書において使用される専門用語は、具体的な態様を説明することのみを目的とし、添付の請求項によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないこともまた理解されたい。他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0013】
好ましくは、本明細書において使用される用語は、「A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)」、Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Koelbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland)において記載されるように定義される。
【0014】
数個の文献が、本明細書の本文全体を通して引用される。本明細書において引用される各々の文献(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、指示、GenBank受託番号配列の提出物等々を含む)は、上記または下記にかかわらず、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書におけるいかなるものも、先行発明によってかかる開示に先行する権利を本発明が与えられないことの承認として解釈されるべきではない。かかる組み込まれた参照の定義または教示と、本明細書において記載された定義または教示との間に矛盾がある場合、本明細書の本文が優先される。
【0015】
本発明に記載の、用語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などのバリエーションは、述べられた整数または整数の群を包含することを意味するが、いかなる他の整数または整数の群を排除することを意味しない。本発明に記載の、用語「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、述べられた整数または整数の群を包含することを意味し、一方で、述べられた整数に実質的に影響するか、または変更する改変または他の整数を除外する。本発明に記載の、用語「からなる(consisting of)」、または「からなる(consists of)」などのバリエーションは、述べられた整数または整数の群の包含、およびあらゆる他の整数または整数の群の除外を意味する。
【0016】
本発明を説明する文脈(とくに請求項の文脈において)において使用される、用語「a」および「an」および「the」および同様の参照は、本明細書において示されているか、または文脈によって明らかに矛盾していない限り、単数および複数の両方をカバーすると解釈されるべきである。
【0017】
本明細書に使用される用語「水性製剤」は、透明な外観を有する製剤を指す。これは目に見える凝集物および/または沈殿物を含まない。該目に見える凝集物および/または沈殿物は、通常、混濁の原因である。本明細書に使用される用語「水性製剤」はまた、構造タンパク質の繊維状複合体を含む均一な製剤を指し、ここで構造タンパク質は、水性製剤において均一に分布している。繊維状複合体において、構造タンパク質は、互いに配向および/または結合している。該構造タンパク質の繊維状複合体は、水性製剤中における構造タンパク質の自己集合によって形成されえる。自己集合の機構は、構造タンパク質間の共有結合のおよび/または非共有結合の相互作用を包含し得る。
【0018】
好ましい態様において、水性製剤は、水性のゲル、とりわけハイドロゲルである。より好ましい態様において、水性製剤は、流動性または非流動性ハイドロゲルである。別のより好ましい態様において、水性製剤は、水性の分散体である。別のより好ましい態様において、水性の分散体は、液体、粘性、ゲル様、または固体状態である。透明な外観の存在は、光学密度の測定により判断することができる。
それとは対照的に、濁った水性製剤は、目に見える凝集物および/または沈殿物を含む。そこに含まれる構造タンパク質は、拡散した、非配向の凝集(aggregation)を示す。それらは主にランダムな配向を有し、繊維状ではない。
【0019】
本明細書に使用される用語「流動性ハイドロゲル」は、流れること、または流されることができるハイドロゲルを指す。好ましい態様において、ハイドロゲルは、液体状態である。
本明細書に使用される用語「非流動性ハイドロゲル」は、流れること、または流されることができないハイドロゲルを指す。好ましい態様において、ハイドロゲルは、固体状態である。
ハイドロゲルの流動性は、当業者によって、例として、レオロジーまたは粘度測定によって容易に判断することができる。流動性測定は、好ましくは標準的な条件(25℃)下で実行される。
【0020】
生体適合性、生分解性および低い免疫原性に起因して、構造タンパク質は、フィルム、コーティング、ファイバー、骨組みまたは泡などの多孔質構造体、粒子、カプセル、またはゲル様のハイドロゲルなどの形態に加工されると、様々な用途に高い可能性を有している。例えば、構造タンパク質の濃度がある閾値を下回る場合、は、核形成および成長によって「粒子」を形成することができる。「ファイバー」は、水溶液(紡糸溶液)からファイバーを紡糸することによって得られ得る。「フィルム」は、溶媒の単純な蒸発によって得られ得る。構造タンパク質溶液にポロゲンを導入し、溶液を続いて蒸発させると、「骨組み」または「泡」などの多孔質構造体を製造することができる。
【0021】
本明細書に使用される用語「ハイドロゲル」は、構造タンパク質の濃度が、液体成分が固定化される連続したネットワークを構築するために十分に高い場合に形成される構造体を指す。該ネットワークは、好ましくはシルクハイドロゲルの基礎を提供する構造たんぱく質の自己集合によって形成される。とりわけ、ハイドロゲルは、構造タンパク質の親水性のポリマーネットワークである。該ネットワークは、構造タンパク質の間の化学的および/または物理的相互作用によって安定化される。ネットワークは、固定化された水相全体にわたって分散している。ハイドロゲルの親水性および安定性は、溶解することなく、水の吸収(膨潤)を可能とし、よって、その三次元(3D)構造および機能を維持する。ハイドロゲルは、様々な生物医学、生物学的、医薬、または化粧品用途の優れた材料候補である。これらの用途は、これらに限定されないが、薬物および化粧品化合物送達ビヒクルを含む。
【0022】
本明細書に使用される用語「構造タンパク質」は、アミノ酸で構成される繰り返し単位/繰り返し構成ブロックを含むあらゆるタンパク質を指す。構造タンパク質は、好ましくは自己集合する能力を有する。とりわけ、構造タンパク質は、水性製剤、例としてハイドロゲルにおいて繊維状タンパク質複合体を形成することができる。構造タンパク質は、シルクタンパク質、ケラチン、コラーゲン、およびエラスチンからなる群から選択され得る。構造タンパク質は、好ましくは組み換えタンパク質である。スパイダーシルクタンパク質などのシルクタンパク質であることが具体的に好ましい。本発明において使用され得るシルクタンパク質を製造するためのプロセスは、WO2006/008163およびWO2011/120690に記載されている。
【0023】
用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本発明の文脈において互換的に使用される。それらは、アミノ酸の長いペプチド結合、例として少なくとも40アミノ酸長のものを指す。
本明細書に使用される用語「シルクタンパク質」、他のタンパク質と比較して、非常に変わったアミノ酸組成を示すタンパク質を指す。とりわけ、シルクタンパク質は、グリシンまたはアラニンなどの疎水性アミノ酸を大量に持っている。加えて、シルクタンパク質は、高度な反復アミノ酸配列または反復ユニット(繰り返しユニット、モジュール)を、とくにそれらの大きなコアドメインに含有する。
【0024】
DNA分析に基づき、すべてのシルクタンパク質は、明確な短いペプチドモチーフの限られたセットをさらに含む反復ユニットの鎖であることが示された。表現「ペプチドモチーフ」および「コンセンサス配列」は、本明細書において互換的に使用することができる。一般に、シルクコンセンサス配列は、4つの主要なカテゴリー:GPGXX、GGX、xまたは(GA)nおよびスペーサー、に分類することができる。シルクタンパク質におけるペプチドモチーフのカテゴリーは、構造上の役割が割り当てられている。例えば、GPGXXモチーフは、β-ターンスパイラルに関与し、おそらく弾性を提供することが示唆されている。GGXモチーフは、グリシンに富む31-ヘリックスの原因であることが知られている。GPGXXおよびGGXモチーフは両方、結晶領域を結合する、アモルファスのマトリックスの形成に関与し、それによってファイバーの弾性を提供すると考えられている。アラニンに富むモチーフは、典型的には6~9の残基を含有し、結晶性のβ-シートを形成することが見いだされている。スペーサーは、典型的には帯電した基を含有し、ペプチドモチーフをクラスターに分離する。シルクタンパク質は、自己集合を行うことができる。好ましくは、シルクタンパク質は、スパイダーシルクタンパク質である。より好ましくは、シルクポリペプチド、例としてスパイダーシルクタンパク質は、組み換えタンパク質である。
【0025】
本明細書に使用される用語「自己集合」は、外部因子は自己集合のスピードおよび性質に影響し得るが、外部からの指示およびトリガーなしで、タンパク質自体の間の特定の局部の相互作用(例としてファン・デル・ワールス力、疎水性の相互作用、水素結合、および/または塩橋、等々)の結果として、組織化された構造またはパターンを形成するプロセスを指す。これは具体的に、2以上の無秩序なおよび/または折りたたまれていないタンパク質が接触すると、互いに相互作用し、その結果として三次元構造を形成することを意味する。自己集合の間の、無秩序なシステムから、組織化された構造またはパターンへの変化は、流体状態からゼラチン状/ゲル様および/または固体状態への遷移、および対応する粘度の増加を特徴とする。液状状態からゼラチン状/ゲル様状態への遷移は、例えば、光学測定またはレオロジーによって観察することができる。これらの技法は、当業者に既知である。液状状態から固体状態への遷移は、例えば、光学的方法を使用して観察することができる。
【0026】
本明細書に使用される用語「物品」は、水性製剤から製造され得る物体を指す。物品は、ハイドロゲルなどのゲル、フィルム、粒子、カプセル、ファイバー、および骨組みまたは泡などの多孔質構造体からなる群から選択され得る。
本明細書に使用される用語「化合物」は、本発明において有用で得あり得る目的を有するあらゆる化合物、例として対象/患者に送達することができる化合物を指す。化合物は、薬物などの医薬化合物、フレグランス、フレーバーなどの化粧品化合物、化学化合物、洗浄剤化合物、染料などの着色化合物、栄養素、または植物サプリメントからなる群から選択され得る。
【0027】
本明細書に使用される用語「医薬化合物」は、あらゆる生物学的または化学的物質、具体的には、病態、例として疾患または障害の処置、治癒、予防法、予防、または診断において使用し得る、さもなければ、物理的な、心理的または精神的な健康を向上させるために使用し得る、薬理学的、代謝、または免疫学的物質を指す。結果的に、本発明の文脈において想定される、用語「医薬化合物」は、治療、診断、または予防効果を有するあらゆる化合物を包含する。例えば、医薬化合物は、組織成長、細胞成長、細胞分化に影響を与えるかまたは関与する化合物、免疫応答などの生物学的作用を引き起こすことができる化合物、または1以上の生物学的プロセスに他の役割を果たす化合物であり得る。好ましくは、医薬化合物は、抗細菌化合物(例として抗生物質)、抗ウイルスの化合物または抗真菌化合物などの抗微生物化合物、免疫抑制性化合物、抗炎症性化合物、抗アレルギー化合物、抗凝固剤、抗リウマチ化合物、抗乾癬化合物、鎮静化合物、筋弛緩剤、抗片頭痛化合物、抗鬱剤、昆虫忌避剤、成長因子、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、抗酸化剤、糖タンパク質、リポタンパク質などのタンパク質、または酵素(例としてヒアルロニダーゼ)、多糖類、フリーラジカルスカベンジャー、放射線治療用化合物、光線力学治療用化合物、染料蛍光色素、および造影剤からなる群から選択される。
【0028】
本明細書に使用される用語「化粧品化合物」は、例えば外観または体臭を変えるため、またはにおいを伝えるために、洗浄および個体衛生のための、体表面、例として人体表面、または例としてヒトの、口腔内、への外用のために主に意図される物質を指す。とりわけ、これは、化粧品物質が、ある予想可能な効果を示す分子であることを意味する。そのような効果分子は、例えば、タンパク質性分子(例として酵素)または非タンパク質性分子(例としてフレグランス、フレーバー、染料、色素、光保護剤、ビタミン、プロビタミン、抗酸化剤、コンディショナー、または金属イオンを含む化合物)であってもよい。用語「化粧品化合物」は、クレンジング物質も指す。
本明細書に使用される用語「洗浄剤化合物」は、あらゆる洗浄剤物質または洗浄活性物質を指す。かかる洗浄剤物質は、例えばクリーニング剤または洗濯洗浄剤であってもよい。
【0029】
水溶性化合物は、水溶性、水難溶性または水不溶性であり得る。
本明細書に使用される用語「水溶性化合物」は、水に溶解することのできるあらゆるイオン性化合物(または塩)を指す。一般に、根本的な溶解は、化合物の正荷電および負荷電と、HO-分子の部分的な負荷電および部分的な正電荷との、夫々の引力のために発生する。水に溶解する物質または化合物は、「親水性」(「水を好む」)とも呼ばれる。水溶性は、水性の可溶性としても知られ、所定の温度および圧力で平衡状態で水に溶解できる物質の最大量である。一般に、制限された量は、溶解度積によって与えられる。
【0030】
本発明の文脈において、「水溶性」は、20℃において水1リットルあたり、10g以上の化合物の水溶解性を意味する。好ましくは、水溶解性は、水1リットルあたり、少なくとも20g、少なくとも30g、少なくとも40g、および少なくとも50g化合物、より好ましくは水1リットルあたり、少なくとも60g、少なくとも70g、少なくとも80g、少なくとも90および少なくとも100g化合物、および最も好ましくは、水1リットルあたり、少なくとも200g、少なくとも300g、少なくとも400g、少なくとも500g、および少なくとも800g化合物である。水溶性である化合物は、典型的には以下の化学的基を含む:金属カチオン、アンモニウムカチオなどのカチオン性基および/またはアセタート、ニトラート、塩化物、臭化物、ヨウ化物またはスルファートなどのアニオン性基。
【0031】
本明細書に使用される用語「水難溶性」は、20℃において水1リットルあたり、10g未満の化合物の水溶性を指す。とりわけ、水難溶性は、20℃において水1リットルあたり、10g未満の化合物および5gより多い化合物の水溶性を指す。
本明細書に使用される用語「水不溶性」は、20℃において水1リットルあたり5g未満の化合物、好ましくは20℃において水1リットルあたり1g未満の化合物、より好ましくは20℃において水1リットルあたり0.5g未満の化合物、さらにより好ましくは20℃において水1リットルあたり0.1g未満の化合物の可溶性を指す。
【0032】
有機化学および薬学において使用される水溶性の典型的な尺度は、分配(P)または分配係数(D)であり、これらは、平衡状態にある2つの非混和性溶媒の混合物の2つの相における化合物の濃度の比率を示す。化合物のlogP値を決定するための方法は、たとえば、振とうフラスコ(またはチューブ)法、HPLC、またはITIES(2つの非混和性電解質溶液間の界面)などの電気化学的方法である。好ましくは、logP値は、ACDlogP-Software(Advanced Chemistry Development, ACD/labsで入手可能である)を使用して予測することができる。
【0033】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、および/または賦形剤をさらに含み得る。
本明細書に使用される用語「賦形剤」は、医薬組成物における、活性物質ではない、結合剤、潤滑剤、増粘剤、表面活性剤、防腐剤、乳化剤、緩衝剤、香味剤、または着色剤などのすべての物質を示す。
【0034】
本明細書に使用される用語「希釈剤」は、希釈剤および/または薄め剤に関する。その上、用語「希釈剤」は、溶液、懸濁物(例として液体または固体懸濁物)および/または媒体を包含する。
本明細書に使用される用語「担体」は、例としてヒトへ、の投与に好適な、1以上の相溶性のある固体または液体充填剤に関する。用語「担体」は、活性成分の適用を容易にするために、活性成分と組み合わされる、天然または合成の有機または無機成分に関する。好ましくは、担体成分は、水または油などの滅菌された液体であり、落花生油、大豆油、ゴマ油、ヒマワリ油等々の、鉱油、動物、または植物に由来するものを含む。塩溶液および水性のデキストロースおよびグリセリン溶液もまた、水性の担体化合物として使用し得る。
【0035】
治療的使用のための薬学的に許容し得る担体または希釈剤は、薬学分野で周知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R Gennaro edit. 1985)に記載されている。好適な担体の例は、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバター等を包含する。好適な希釈剤の例は、エタノール、グリセロール、および水を包含する。
【0036】
医薬の担体、希釈剤および/または賦形剤は、投与経路および標準的な医薬の実務に関して、選択することができる。本発明の医薬組成物は、担体(単数または複数)、賦形剤(単数または複数)または希釈剤(単数または複数)として、またはこれに加えて、好適なバインダー(単数または複数)、潤滑剤(単数または複数)、懸濁剤(単数または複数)、コーディング剤(単数または複数)、および/または可溶化剤(単数または複数)を含み得る。好適なバインダーの例は、デンプン、ゼラチン、グルコース、無水ラクトース、フローフローラクトース、ベータ-ラクトース、コーン甘味料などの天然の糖、アカシア、トラガカントまたはナトリウムアルギン酸などの天然のおよび合成のゴム、カルボキシメチルセルロース、およびポリエチレングリコールを包含する。好適な潤滑剤の例は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を包含する。防腐剤、安定剤、染料、およびさらには香味剤を、医薬組成物に提供し得る。防腐剤の例は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルを包含する。抗酸化剤および懸濁剤もまた、使用し得る。
【0037】
用語「個体」および「対象」は、本発明の文脈において、互換的に使用される。個体または対象は、健康であるか、疾患または障害(例としてがん)に罹患しているか、または疾患または障害(例としてがん)に感受性であり得る。個体または対象は、動物またはヒトであり得る。好ましくは、動物は、哺乳動物(例としてマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長類)である。そのように述べられない限り、用語「個体」および「対象」は、具体的な年齢を示すものではなく、よって、成人、高齢者、子供、および新生児を包含する。「個体」または「対象」は「患者」であり得る。
【0038】
本明細書に使用される、用語「患者」は、病気にかかっている、すなわち疾患または障害を患っている、個体または対象を意味する。患者は、動物、例としてヒトであり得る。好ましくは、動物は、ヒトまたは別の哺乳動物(例としてマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長目の動物)である。
【0039】
本発明の態様
本発明者らは、驚くべきことに、シルクタンパク質などの構造タンパク質およびアルコールを含む製剤の生成のための産生プロセスを提供することができた。該製剤は、水溶性、水難溶性、および水不溶性化合物の製剤のために使用することができる。本発明者らは、さらにシルクタンパク質などの構造タンパク質ならびにアルコールを含む製剤を提供することができた。
【0040】
よって、第1の側面において、本発明は、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤に関する。とりわけ、製剤は、透明な外観を有する。これは目に見える凝集物および/または沈殿物を含まない。該目に見える凝集物および/または沈殿物は、通常、混濁の原因である。加えて、製剤は、構造タンパク質の繊維状複合体を含む。該繊維状複合体において、構造タンパク質は、互いに配向および/または結合している。該構造タンパク質の繊維状複合体は、水性製剤における構造タンパク質の自己集合によって形成され得る。自己集合の機構は、構造タンパク質の間の共有結合のおよび/または非共有結合の相互作用を包含し得る。水性製剤は、水性の分散体として指定し得る。透明な外観の存在は、光学密度の測定により判断することができる。
【0041】
それとは対照的に、濁った水性製剤は、目に見える凝集物および/または沈殿物を含む。その中に含まれる構造タンパク質は、拡散した、非配向の凝集を示す。それらは主にランダムな配向を有し、繊維状ではない。濁った水性製剤は、通常懸濁物である。
【0042】
水性製剤において、構造タンパク質は、好ましくは、0.05wt%および5wt%の間、とりわけ0.1wt%および5wt%の間、0.2wt%および5wt%の間、0.3wt%および5wt%の間、0.4wt%および5wt%の間、0.5wt%および5wt%の間、0.6wt%および5wt%の間、0.7wt%および5wt%の間、0.8wt%および5wt%の間、0.9wt%および5wt%の間、1wt%および5wt%の間、1.5wt%および4.5wt%の間、2wt%および4wt%の間、または2.5wt%および3.5wt%の間、例として0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.175、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5wt%の濃度で存在する。
【0043】
該製剤は、以下を含むことが好ましい:
60wt%および90wt%の間のアルコール、とりわけ61wt%および89wt%の間、62wt%および88wt%の間、63wt%および87wt%の間、64wt%および86wt%の間、65wt%および85wt%の間、66wt%および84wt%の間、67wt%および83wt%の間、68wt%および82wt%の間のアルコール、69wt%および81wt%の間、70wt%および80wt%の間、71wt%および79wt%の間、72wt%および78wt%の間、73wt%および77wt%の間、または74wt%および76wt%の間のアルコール、例として60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90wt%のアルコール、
【0044】
0.05wt%および5wt%の間の構造タンパク質、とりわけ0.1wt%および5wt%の間、0.2wt%および5wt%の間、0.3wt%および5wt%の間、0.4wt%および5wt%の間、0.5wt%および5wt%の間、0.6wt%および5wt%の間、0.7wt%および5wt%の間、0.8wt%および5wt%の間、0.9wt%および5wt%の間、1wt%および5wt%の間、1.5wt%および4.5wt%の間、2wt%および4wt%の間、または2.5wt%および3.5wt%の間、例として0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5wt%の構造タンパク質、および
【0045】
5wt%および39.95wt%の間の水、とりわけ5wt%および39.9wt%の間、5wt%および39.8wt%の間、5wt%および39.7wt%の間、5wt%および39.6wt%の間、5wt%および39.5wt%の間、5wt%および39.4wt%の間、5wt%および39.3wt%の間、5wt%および39.2wt%の間、5wt%および39.1wt%の間、5wt%および39wt%の間、6wt%および38wt%の間、7wt%および37wt%の間、8wt%および36wt%の間、9wt%および35wt%の間、10wt%および34wt%の間、11wt%および33wt%の間、12wt%および32wt%の間、13wt%および31wt%の間、14wt%および30wt%の間、15wt%および29wt%の間、16wt%および28wt%の間、17wt%および27wt%の間、18wt%および26wt%の間、19wt%および25wt%の間、20wt%および24wt%の間、または21wt%および23wt%の間、例として5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、35.5、36、36.5、37、37.5、38、38.5、39、39.1、39.2、39.3、39.4、39.5、39.6、39.7、39.8、39.9、39.95wt%の水。
【0046】
より好ましくは、該製剤は、以下を含む:
60wt%および80wt%の間のアルコール、
0.75wt%および2wt%の間の構造タンパク質、および
18wt%および39.25wt%の間の水。
【0047】
最も好ましくは、製剤は、以下を含む:
70wt%のアルコール、
1.25wt%の構造タンパク質および
28.75wt%の水。
【0048】
構造タンパク質は、シルクタンパク質C、C16、C32、またはC48であり得る。
アルコールは、エタノール、メタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択され得る。エタノールは、≧99.5%(p.a.)の純度を有するエタノールであり得る。
【0049】
好ましくは、構造タンパク質は、20kDaおよび140kDaの間、より好ましくは20kDaおよび95kDaの間または30kDaおよび75kDaの間、およびさらにより好ましくは40kDaおよび55kDaの間の分子量を有する。例えば、構造タンパク質は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、または140kDaの分子量を有する。
【0050】
水性製剤は、0.04Pa・sおよび30Pa・sの間、好ましくは0.2Pa・sおよび30Pa・sの間、およびより好ましくは0.8Pa・sおよび15Pa・sの間の複素粘度を有し得る。
水性製剤は、好ましくは>6.5のpH、より好ましくは>7.0のpH、およびさらにより好ましくは>8.0、例として>6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、または12のpHを有する。
【0051】
一態様において、水性製剤は、ハイドロゲルである。とりわけ、ハイドロゲルは透明な外観を有する。これは目に見える凝集物および/または沈殿物を含まない。該目に見える凝集物および/または沈殿物は、通常、混濁の原因である。加えて、ハイドロゲルは、構造タンパク質の繊維状複合体を含む。該繊維状複合体において、構造タンパク質は、互いに配向および/または結合している。該構造タンパク質の繊維状複合体は、構造タンパク質の自己集合によって形成され得る。自己集合の機構は、構造タンパク質間の共有結合のおよび/または非共有結合の相互作用を包含し得る。
【0052】
ハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルまたは非流動性ハイドロゲルであり得る。流動性ハイドロゲルは、液体状態の水性の分散体として処方されてもよい。非流動性ハイドロゲルは、固体状態水性の分散体として処方されてもよい。
これとは対照的に、濁ったハイドロゲルは、目に見える凝集物および/または沈殿物を含む。そこに含まれる構造タンパク質は、拡散した、非配向の凝集を示す。それらは、主にランダムな配向を有し繊維状ではない。
【0053】
ハイドロゲルにおいて、構造タンパク質は、好ましくは0.05wt%および5wt%の間、とりわけ0.1wt%および5wt%の間、0.2wt%および5wt%、0.3wt%および5wt%の間、0.4wt%および5wt%の間、0.5wt%および5wt%の間、0.6wt%および5wt%の間、0.7wt%および5wt%の間、0.8wt%および5wt%の間、0.9wt%および5wt%の間、1wt%および5wt%の間、1.5wt%および4.5wt%の間、2wt%および4wt%の間、または2.5wt%および3.5wt%の間、例として0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.175、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5wt%の濃度で存在する。
【0054】
構造タンパク質は、シルクタンパク質C、C16、C32、C48、またはそのバリアントであり得る。
好ましい一態様において、水性製剤は、流動性ハイドロゲル。流動性ハイドロゲルは、流体状態の水性の分散体として処方されてもよい。
【0055】
流動性ハイドロゲルにおいて、構造タンパク質は、好ましくは0.05wt%および1.25wt%の間の濃度で存在し、より好ましくは0.75wt%および1.25wt%の間の濃度、例として0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1、1.1、1.2、または1.25wt%の濃度で存在し、ここで構造タンパク質は、シルクタンパク質C16またはそのバリアントである。
【0056】
より好ましい一態様において、流動性ハイドロゲルは、以下を含む:
50wt%および90wt%の間のアルコール、とりわけ51wt%および89wt%の間、52wt%および88wt%の間、53wt%および87wt%の間、54wt%および86wt%の間、55wt%および85wt%の間、56wt%および84wt%の間、57wt%および83wt%、58wt%および82wt%の間のアルコール、59wt%および81wt%の間、60wt%および80wt%の間、61wt%および79wt%の間、62wt%および78wt%の間、63wt%および77wt%の間、64wt%および76wt%の間、65wt%および75wt%の間、66wt%および74wt%の間、67wt%および73wt%の間、68wt%および72wt%の間、または69wt%および71wt%アルコールの間、例として50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90wt%アルコール、
【0057】
0.05wt%および1.25wt%の間の構造タンパク質、とりわけ0.1wt%および1.25wt%の間、0.2wt%および1.25wt%の間、0.3wt%および1.25wt%の間、0.4wt%および1.25wt%の間、0.5wt%および1.25wt%の間、0.6wt%および1.25wt%の間、0.7wt%および1.25wt%の間、0.8wt%および1.25wt%の間、0.9wt%および1wt%の間、例として0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、または1.25wt%の構造タンパク質、および
【0058】
8.75wt%および49.95wt%の間の水、とりわけ9wt%および49.9wt%の間、9wt%および49.8wt%の間、9wt%および49.7wt%の間、9wt%および49.6wt%の間、9wt%および49.5wt%の間、9wt%および49.4wt%の間、9wt%および49.3wt%の間、9wt%および49.2wt%の間、9wt%および49.1wt%の間、9wt%および49wt%の間、10wt%および48wt%の間、11wt%および47wt%の間、12wt%および46wt%の間、13wt%および45wt%の間、14wt%および44wt%の間、15wt%および43wt%の間、16wt%および42wt%の間、17wt%および41wt%の間、18wt%および40wt%の間、19wt%および39wt%の間、20wt%および38wt%の間、21wt%および37wt%の間、22wt%および36wt%の間、23wt%および35wt%の間、24wt%および34wt%の間、25wt%および33wt%の間、26wt%および32wt%の間、27wt%および31wt%の間、または28wt%および30wt%の間、例として8.75、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、48.75、48.8、48.9、49、49.1、49.2、49.3、49.4、49.5、49.6、49.7、49.75、49.8、49.9、または49.95wt%の水、ここで構造タンパク質は、シルクタンパク質C16またはそのバリアントである。
【0059】
もう1つの好ましい態様において、製剤は、非流動性ハイドロゲルである。非流動性ハイドロゲルは、固体状態の水性の分散体として処方されてもよい。
非流動性ハイドロゲルにおいて、構造タンパク質は、好ましくは>1.25wt%および≦5wt%の間の濃度で存在し、より好ましくは1.5wt%および1.75wt%の間の濃度、例として1.26、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、4.95、4.99wt%の濃度で存在し、ここで構造タンパク質は、シルクタンパク質C16またはそのバリアントである。
【0060】
より好ましい一態様において、非流動性ハイドロゲルは、以下を含む:
60wt%および90wt%の間のアルコール、とりわけ61wt%および89wt%の間、62wt%および88wt%の間、63wt%および87wt%の間、64wt%および86wt%の間、65wt%および85wt%の間、66wt%および84wt%の間、67wt%および83wt%の間、68wt%および82wt%の間のアルコール、69wt%および81wt%の間、70wt%および80wt%の間、71wt%および79wt%の間、72wt%および78wt%の間、73wt%および77wt%の間、または74wt%および76wt%の間のアルコール、例として60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90wt%のアルコール、
【0061】
5wt%および38,75wt%の間の水、とりわけ5wt%および38.7wt%の間、5wt%および38.6wt%の間、5wt%および38.5wt%の間、5wt%および38.4wt%の間、5wt%および38.3wt%の間、5wt%および38.2wt%の間、5wt%および38.1wt%の間、5wt%および38wt%の間、6wt%および37wt%の間、7wt%および36wt%の間、8wt%および35wt%の間、9wt%および34wt%の間、10wt%および33wt%の間、11wt%および32wt%の間、12wt%および31wt%の間、13wt%および30wt%の間、14wt%および29wt%の間、15wt%および28wt%の間、16wt%および27wt%の間、17wt%および26wt%の間、18wt%および25wt%の間、19wt%および24wt%の間、20wt%および23wt%の間、または21wt%および22wt%の間、例として5、5.01、6、7、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.74、8.8、8.9、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、35.01、35.5、36、36.5、37、37.5、38、38.1、38.2、38.3、38.4、38.5、38.6、38.7、38.74、または38.75水、および
【0062】
>1.25wt%および≦5wt%、とりわけ1.3wt%および4.5wt%、1.4wt%および4.5wt%、1.5wt%および4.5wt%、2wt%および4wt%、または2.5wt%および3.5wt%、例として1.26、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、4.95、4.99wt%の濃度における構造タンパク質、ここで構造タンパク質は、シルクタンパク質C16またはそのバリアントである。
【0063】
濃度≦1.625wt%でシルクタンパク質Cを含むハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルであり、および濃度>1,625wt%、例として1.75wt%でシルクタンパク質Cを含むハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルであることが具体的に好ましい。
濃度≦1.25wt%でシルクタンパク質C16を含むハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルであり、および濃度>1.25wt%、例として1.5wt%および2.0wt%でシルクタンパク質C16を含むハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルであることが具体的に好ましい。
【0064】
流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C16を0.05wt%および≦1.25wt%の間の濃度で含むことが具体的に好ましい。
非流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C16を>1.25wt%および≦5wt%の間の濃度で含むことが具体的に好ましい。
【0065】
シルクタンパク質C32を濃度≦0.75wt%で含むハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルであり、シルクタンパク質C32を濃度>0.75wt%、例として1.0wt%および1.25wt%で含むハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルであることが、さらに具体的に好ましい。
流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C32を0.05wt%および≦0.75wt%の間の濃度で含むことがさらに具体的に好ましい。
【0066】
非流動性ハイドロゲルはシルクタンパク質C32を>0.75wt%および≦5wt%の間の濃度で含むことが具体的により好ましい。
シルクタンパク質C48を濃度≦0.5wt%で含むハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルであり、およびタンパク質を濃度>0.5wt%、例として0.75wt%、1.0wt%、または1.165wt%で含むハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルであることもまた、具体的に好ましい。
【0067】
流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C48を0.05wt%および≦0.5wt%の間の濃度で含むことが、具体的により好ましい。
非流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C48を>0.5wt%および≦5wt%の間の濃度で含むことが、具体的により好ましい。
【0068】
上に言及されたシルクタンパク質C、C16、C32、またはC48は、それらのバリアントも包含する。
構造タンパク質は、好ましくは自己集合タンパク質である。該自己集合タンパク質は、繊維状構造体(すなわち構造タンパク質の繊維状複合体)に自己集合する可能性を有する。
【0069】
構造タンパク質は、シルクタンパク質、ケラチン、コラーゲン、およびエラスチンからなる群から選択されることがさらに好ましい。とりわけ、(自己集合)構造タンパク質は、組み換えタンパク質、例として組み換えシルクタンパク質、ケラチン、コラーゲン、またはエラスチンであり得る。
【0070】
(自己集合)構造タンパク質は、シルクタンパク質、例として組み換えシルクタンパク質であることがより好ましい。(組み換え)シルクタンパク質は、スパイダーシルクタンパク質、例としてドラグラインシルクシルクタンパク質などの大瓶状腺シルクタンパク質、小瓶状腺シルクタンパク質、または円形の巣をかけるクモの鞭毛状シルクタンパク質(好ましくは、シルクタンパク質は、スパイダーシルクタンパク質、より好ましくは組み換えスパイダーシルクタンパク質であり得る。
【0071】
シルクタンパク質は、反復ユニットの少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%の複数コピーを含むか、またはからなる、アミノ酸配列を有するタンパク質であることが、さらに(代替的にまたは加えて)より好ましい。シルクタンパク質は、反復ユニットの少なくとも95%の複数コピーを含むか、またはからなる、アミノ酸配列を有するタンパク質であることが、よりさらにより好ましい。該反復ユニットは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0072】
シルクタンパク質は、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含むことが、具体的に好ましい。例えば、シルクタンパク質は、2~100の間の反復ユニット、例として2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100の反復ユニットを含み得る。
【0073】
シルクタンパク質は、40~3000の間のアミノ酸からなることもまた、(代替的にまたは加えて)より好ましい。シルクタンパク質は40~1500の間のアミノ酸または200~1200の間のアミノ酸からなることが、さらにより好ましい。シルクタンパク質は、250~600の間のアミノ酸からなることが最も好ましい。
【0074】
シルクタンパク質は、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含むことが、さらに具体的に好ましい。一態様において、反復ユニットは、独立して、モジュールC(配列番号1)またはそのバリアントおよびモジュールCCys(前記モジュールはモジュールCとして処方されてもよい)(配列番号2)からなる群から選択される。モジュールCCys(配列番号2)は、モジュールC(配列番号1)のバリアントである。このモジュールにおいて、位置25のアミノ酸S(Ser)が、アミノ酸C(Cys)によって置き換えられている。
【0075】
モジュールCバリアントは、参照モジュールCとは異なり、これは最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15つの、アミノ酸配列におけるアミノ酸の変化(すなわち置換、付加、挿入、欠失、N末切断および/またはC末切断)により、参照モジュールCから由来する。かかるモジュールバリアントは、これが由来する参照モジュールとある程度の配列同一性によって、代替的にまたは加えて特徴づけることができる。よって、モジュールCバリアントは、少なくとも50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%またはさらには99.9%の、夫々の参照モジュールCとの配列同一性を有する。好ましくは、配列同一性は、夫々の参照モジュールCの、少なくとも5、10、15、18、20、24、27、28、30、34、35、またはそれ以上のアミノ酸の連続したストレッチにわたり、好しくは全長にわたる。
【0076】
配列同一性は、夫々の参照モジュールCの全長にわたって少なくとも80%であり得、全長にわたって少なくとも85%であり得、全長にわたって少なくとも90%であり得、全長にわたって少なくとも95%であり得、全長にわたって少なくとも98%であり得、または全長にわたって少なくとも99%であり得る。代替的に、配列同一性は、夫々の参照モジュールCの、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、または30のアミノ酸の連続したストレッチにわたって少なくとも80%であり得、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、または30のアミノ酸の連続したストレッチにわたって少なくとも85%であり得、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、または30のアミノ酸の連続したストレッチにわたって少なくとも90%であり得、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、または30のアミノ酸の連続したストレッチにわたって少なくとも95%であり得、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、または30のアミノ酸の連続したストレッチにわたって少なくとも98%、まであり得、少なくとも5、10、15、18、20、24、28、または30のアミノ酸の連続したストレッチにわたって少なくとも99%であり得る。
【0077】
モジュールCのフラグメント(または欠失)バリアントは、好ましくは、そのN末端および/またはそのC末端に、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15のアミノ酸の欠失を有する。欠失は、内部であることもできる。
【0078】
加えて、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、とりわけハイドロゲル、例として流動性ハイドロゲルまたは非流動性ハイドロゲルを、アルコールと一緒に形成するシルクポリペプチドの能力に悪影響を与えない場合のみ、モジュールCバリアントまたはフラグメントは、本発明の文脈内のモジュールCバリアントまたはフラグメントとしてみなされる。
【0079】
当業者は、モジュールCバリアントまたはフラグメントを含むシルクポリペプチドが、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、とりわけハイドロゲル、例として流動性ハイドロゲルまたは非流動性ハイドロゲルを、アルコールと一緒に形成することができるか否かを容易に評価することができる。この点において、本特許出願の実験部分に含まれる実施例が参照される。
【0080】
Cysバリアントもまた、本発明に包含され得る。CCysバリアントに関して、モジュールCバリアントに関して行われたものと同じ説明/定義が適用される(上記参照)。
【0081】
好ましくは、シルクポリペプチドは、(C)、(CCys、(C)Cys、CCys(C)、(C)Cys(C)からなる群から選択され、ここでmは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96である。
【0082】
より好ましくは、シルクポリペプチドは、C、C16、C32、C48、Cys、C16Cys、C32Cys、C48Cys、CCys、CCys16、CCys32、およびCCys48からなる群から選択される。
【0083】
該製剤、好ましくはハイドロゲル、より好ましくは流動性ハイドロゲルまたは非流動性ハイドロゲルは、さらに化合物を含むことも好ましい。化合物は、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状であり得る。化合物は、さらに、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物および着色化合物からなる群から選択され得る。洗浄剤化合物は、洗浄剤クリーニング剤または洗濯洗浄剤であり得る。化粧品化合物は、フレグランスオイルまたはフレグランスであり得る。着色化合物は染料であり得る。
【0084】
第2の側面において、本発明は、以下のステップを含む、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を製造する方法に関する:
(i) 構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供すること、および
(ii) (ステップ(i)において提供された)水溶液を混合し、それによって構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を得ること。
【0085】
一態様において、当該方法は、ステップ(i)に続いて、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に添加するステップをさらに含む。
よって、一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を製造する方法は、以下のステップを含む:
(i) 構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供すること、
(ii) アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に添加すること、および
(iii) 水溶液を混合し、それによって構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を得ること。
【0086】
アルコールを含む水溶液の、構造タンパク質を含む水溶液への添加は、好ましくは、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に、注ぐ(pouring)、滴定する(titrating)、または滴下する(dripping)ことにより行われる。本発明者らは、驚くべきことに、アルコールを含む水溶液の、構造タンパク質を含む水溶液への添加、とりわけ注ぐ、滴定する、または滴下することにより、透明な外観を有するおよび/または目に見える凝集物および/または沈殿物を含まない、水性製剤がもたらされることを見出した。これとは対照的に、先行技術に記載れた水性製剤は、濁っていて、目に見える凝集物および/または沈殿物を含む。先行技術において、アルコールは、しばしば凝集トリガーとして使用されている。よって、上記の調製プロセスが、透明な外観を有するおよび/または目に見える凝集物および/または沈殿物を含まない、水性製剤をもたらすことは、本発明者らにとって、極めて驚きであった。
【0087】
アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に、とりわけ注ぐ、滴定する、または滴下することにより、一つの動きで/一度に、より好ましくは可能な限り早く一つの動きで/一度に、添加することが好ましい。別の好ましい態様において、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に、とりわけ注ぐ、滴定する、または滴下することにより、一つの動きで/一度に、60秒以内、好ましくは20秒以内、より好ましくは10秒以内、例として、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60秒以内に添加する。本発明者らは、驚くべきことに、とりわけ注ぐ、滴定する、または滴下することにより、この方法で/この順序でのアルコールを含む水溶液の構造タンパク質を含む水溶液への添加が、その結果得られる水性製剤における目に見える凝集物および/または沈殿物の形成を防止することを見出した。
【0088】
混合ステップは、好ましくは、アルコールを含む水溶液の構造タンパク質を含む水溶液への添加の後即時に行う。例えば、混合ステップは、アルコールを含む水溶液の構造タンパク質を含む水溶液への添加の後、10秒以内、例として1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒以内に開始する。水溶液を、構造タンパク質およびアルコールを含む均一な水性製剤が達成されるまで混合することが好ましい。混合ステップは、好ましくは、可能な限り早く行う。別の好ましい態様において、水溶液は、60秒以内の間、好ましくは20秒以内の間、より好ましくは10秒以内の間、例として、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60秒以内の間混合する。混合ステップは、構造タンパク質およびアルコールが、好ましくは均一に分布した水性製剤をもたらす。
【0089】
混合は、好ましくは、剪断力の適用を回避することによって、好ましくは(穏やかに)揺り動かす(agitating)、(穏やかに)撹拌する(stirring)、または(穏やかに)旋回させる(swiveling)ことによって行う。例えば、混合は、スタティックミキサーにおいて行い得る。スタティックミキサーは、構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液の連続的な混合を可能とする。大規模産生に関して、混合は、(穏やかに)撹拌することにより行い得る。混合は、構造タンパク質およびアルコールは、好ましくは均一に分布した水性製剤をもたらす。
【0090】
この態様を、本特許出願の例/図における選択肢1としてさらに説明する。
一代替態様において、方法は、ステップ(i)に続いて、構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を(同時に)まとめる/組み合わせるステップを含む。
【0091】
よって、一代替態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を製造する方法は、以下のステップを含む:
(i) 構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供すること、および
(ii) アルコールを含む水溶液および構造タンパク質を含む水溶液を(同時に)まとめる/組み合わせること、および
(iii) 水溶液を混合し、それによって構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を得ること。
【0092】
アルコールを含む水溶液および構造タンパク質を含む水溶液の同時の融合/組み合わせは、好ましくは、同時に両方の溶液を容器に注ぐことにより行う。とりわけ、アルコールを含む水溶液および構造タンパク質を含む水溶液の同時の融合/組み合わせは、例として容器の底でおよび/またはそれらが容器の底につく前に、両方の溶液が互いに接触するように、容器に両方の溶液を注ぐことにより行う。
【0093】
本発明者らは、驚くべきことに、とりわけ両方の溶液を容器に注ぐことによる、アルコールを含む水溶液および構造タンパク質を含む水溶液の同時の融合/組み合わせが、その結果得られる水性製剤における目に見える凝集物および/または沈殿物の形成を防止することを見出した。
【0094】
混合ステップは、好ましくは溶液が互いに接触したら行う。水溶液は、構造タンパク質およびアルコールを含む均一な水性製剤が達成されるまで混合することが好ましい。混合ステップは、好ましくは可能な限り早く行う。別の好ましい態様において、水溶液は、60秒以内の間、好ましくは20秒以内の間、より好ましくは10秒以内の間、例として、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60秒以内の間混合する。混合ステップは、構造タンパク質およびアルコールが、好ましくは均一に分布した水性製剤をもたらす。
【0095】
混合は、好ましくは(迅速に)撹拌すること、または(迅速に)揺り動かすことによって行う。例えば、混合は、スタティックミキサーにおいて、またはアジテーターを用いて行い得る。スタティックミキサーまたはアジテーターは、構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液の連続的な混合を可能とする。大規模産生に関して、混合は撹拌することによって行い得る。
【0096】
この態様は、本特許出願の例/図における選択肢2としてさらに説明する。
一代替態様において、方法は、ステップ(i)に続いて、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液で下塗り/下層化するステップをさらに含む。
【0097】
よって、一代替態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を製造する方法は、以下のステップを含む:
(i) 構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供すること、および
(ii) アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液で/によって下塗り/下層化すること、および
(iii) 水溶液を混合し、それによって構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を得ること。
【0098】
アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液で下塗り/下層化することは、好ましくは構造タンパク質を含む水溶液を、アルコールを含む水溶液の表面下に導入することにより行う。この目的のために、アルコールを含む水溶液は、好ましくは容器に含められ、および容器は、好ましくは入口を有するように設計される。入口は、アルコールを含む水溶液の充填レベルより下に配置され、それにより、構造タンパク質を含む水溶液が入口を通して容器に導入されると、これはアルコールを含む水溶液の表面下に入る位置で容器に入る。
【0099】
とりわけ、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液で下塗り/下層化することは、上層アルコール含有水溶液相および下層/基本構造タンパク質含有水溶液相を含む2相液体系をもたらす。密度の違い(構造タンパク質を含む水溶液が、アルコールを含む水性溶よりも高い密度を有する)に起因して、2相液体系が製造される。
【0100】
本発明者らは、驚くべきことに、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液で下塗り/下層化することが、その結果得られる水性製剤における目に見える凝集物および/または沈殿物の形成を防止することを見出した。
【0101】
両方の相を、次いで互いに混合したときに、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤が形成される。混合ステップは、好ましくは、2相液体系の形成後に行う。水溶液/相は、構造タンパク質およびアルコールを含む均一な水性製剤が達成されるまで混合することが好ましい。混合ステップは、好ましくは、可能な限り早く行う。別の好ましい態様において、水溶液は、60秒以内の間、好ましくは20秒以内の間、より好ましくは10秒以内の間、例として、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60秒以内の間混合する。混合ステップは、構造タンパク質およびアルコールが、好ましくは均一に分散した水性製剤をもたらす。
【0102】
混合は、好ましくは、(迅速に)撹拌すること、または(迅速に)揺り動かすことによって行う。例えば、混合は、ミキサーにおいてまたはアジテーターを使用して、行い得る。ミキサーまたはアジテーターは、構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液の連続した混合を可能とする。大規模産生に関し、混合は撹拌することによって行い得る。
この態様は、本特許出願の例/図における選択肢3としてさらに説明する。
【0103】
ステップ(i)において提供される水溶液における構造タンパク質の濃度は、0.05wt%および5wt%の間、好ましくは0.5wt%および3wt%の間、およびより好ましくは0.75wt%および2wt%の間であることがさらに好ましい。例えば、(i)において提供される水溶液における構造タンパク質の濃度は、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.175、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5wt%である。とりわけ、構造タンパク質は、水溶液において、0.05wt%および5wt%の間、とりわけ0.1wt%および5wt%の間、0.2wt%および5wt%の間、0.3wt%および5wt%の間、0.4wt%および5wt%の間、0.5wt%および5wt%の間、0.6wt%および5wt%の間、0.7wt%および5wt%の間、0.8wt%および5wt%の間、0.9wt%および5wt%の間、1wt%および5wt%の間、1.5wt%および4.5wt%の間、2wt%および4wt%の間、または2.5wt%および3.5wt%の間の濃度で存在する。
【0104】
構造タンパク質は、シルクタンパク質C、C16、C32、C48、またはそれらのバリアントであり得る。
ステップ(i)において提供される水溶液におけるアルコールの濃度は、50wt%および90wt%の間、好ましくは65wt%および85wt%の間、およびより好ましくは70wt%および80wt%の間であることがさらに好ましい。例えば、ステップ(ii)において添加される水溶液におけるアルコールの濃度は、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、または90wt%である。
【0105】
とりわけ、構造タンパク質を含む水溶液は、均一である。この点において、均一は、構造タンパク質が水溶液において分散していることを意味する。
一態様において、ステップ(ii/iii)において製造される構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。
【0106】
好ましい一態様において、ステップ(ii/iii)において製造される構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルが、ステップ(ii/iii)において製造される場合、(i)において提供される水溶液における構造タンパク質の濃度は、好ましくは0.05wt%および1.25wt%の間、より好ましくは0.75wt%および1.25wt%の間であり、ここで構造タンパク質は、シルクタンパク質C16またはそのバリアントである。例えば、(i)において提供される水溶液における構造タンパク質の濃度は、0.05、0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1、1.1、1.2、または1.25wt%であり、ここで構造タンパク質は、シルクタンパク質C16またはそのバリアントである。
【0107】
もう一つの他の好ましい態様において、ステップ(ii/iii)において製造される構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、非構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。非構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルが、ステップ(ii/iii)において製造される場合、(i)において提供される水溶液における構造タンパク質の濃度は、好ましくは>1.25wt%および≦5wt%、より好ましくは1,5wt%および1,75wt%であり、ここで構造タンパク質は、シルクタンパク質C16またはそのバリアントである。例えば、(i)において提供される水溶液における構造タンパク質の濃度は、1.26、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、4.95、4.99wt%、ここで構造タンパク質は、シルクタンパク質C16またはそのバリアントである。
【0108】
ステップ(ii/iii)において製造され、シルクタンパク質Cを濃度≦1.625wt%で含むハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルであり、およびステップ(ii/iii)において製造され、シルクタンパク質Cを濃度>1,625wt%、例として1.75wt%で含むハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルであることが、具体的に好ましい。
【0109】
ステップ(ii/iii)において製造され、シルクタンパク質C16を濃度≦1.25wt%で含むハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルであり、およびステップ(ii/iii)において製造され、シルクタンパク質C16を濃度>1.25wt%、例として1.5wt%および2.0wt%で含むハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルであることが、具体的に好ましい。
【0110】
ステップ(ii/iii)において製造される流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C16を0.05wt%および≦1.25wt%の間の濃度で含むことが、具体的により好ましい。
ステップ(ii/iii)において製造される非流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C16を>1.25wt%および≦5wt%の間の濃度で含むことが、具体的により好ましい。
【0111】
ステップ(ii/iii)において製造され、シルクタンパク質C32を濃度≦0.75wt%で含むハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルであり、およびステップ(ii/iii)において製造され、シルクタンパク質C32を濃度>0.75wt%、例として1.0wt%および1.25wt%で含むハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルであることが、さらに具体的に好ましい。
【0112】
ステップ(ii/iii)において製造される流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C32を0.05wt%および≦0.75wt%の間の濃度で含むことが、具体的により好ましい。
ステップ(ii/iii)において製造される非流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C32を>0.75wt%および≦5wt%の間の濃度で含むことが、具体的により好ましい。
【0113】
ステップ(ii/iii)において製造され、シルクタンパク質C48を濃度≦0.5wt%で含むハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルであり、およびステップ(ii/iii)において製造され、タンパク質を濃度>0.5wt%、例として0.75wt%、1.0wt%、または1.165wt%で含むハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルであることが、具体的により好ましい。
【0114】
ステップ(ii/iii)において製造される流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C48を0.05wt%および≦0.5wt%の間の濃度で含むことが、具体的により好ましい。
ステップ(ii/iii)において製造される非流動性ハイドロゲルは、シルクタンパク質C48を>0.5wt%および≦5wt%の間の濃度で含むことが、具体的により好ましい。
【0115】
上に言及されたシルクタンパク質C、C16、C32、またはC48は、それらのバリアントも包含する。
アルコールは、エタノール、メタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択され得る。エタノールは、≧99.5%(p.a.)の純度を有するエタノールであり得る。
【0116】
好ましくは、構造タンパク質は、20kDaおよび140kDaの間、より好ましくは20kDaおよび95kDaの間または30kDaおよび75kDaの間、およびさらにより好ましくは40kDaおよび55kDaの間の分子量を有する。例えば、構造タンパク質は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、または140kDaの分子量を有する。
【0117】
方法は、化合物を、
ステップ(i)において提供される構造タンパク質を含む水溶液、
ステップ(i)において提供されるアルコールを含む水溶液、および/または
ステップ(ii/iii)における混合物、
に添加するステップをさらに含むことも好ましい。
【0118】
化合物は、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状であり得る。化合物はさらに、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物および着色化合物からなる群から選択され得る。洗浄剤化合物は、洗浄剤クリーニング剤または洗濯洗浄剤であり得る。化粧品化合物は、フレグランスオイルまたはフレグランスであり得る。着色化合物は、染料であり得る。
【0119】
構造タンパク質は、好ましくは自己集合タンパク質である。該自己集合タンパク質は、繊維状構造体へ自己集合する能力を有する。
構造タンパク質は、シルクタンパク質、ケラチン、コラーゲン、およびエラスチンからなる群から選択されることがさらに好ましい。とりわけ、(自己集合)構造タンパク質は、組み換えタンパク質、例として組み換えシルクタンパク質、ケラチン、コラーゲン、またはエラスチンである。
【0120】
(自己集合)構造タンパク質は、シルクタンパク質、例として組み換えシルクタンパク質であることがより好ましい。(組み換え)シルクタンパク質は、スパイダーシルクタンパク質、例としてドラグラインシルクシルクタンパク質などの大瓶状腺シルクタンパク質、小瓶状腺シルクタンパク質、または円形の巣をかけるクモの鞭毛状シルクタンパク質であり得る。好ましくは、シルクタンパク質は、スパイダーシルクタンパク質、より好ましくは、組み換えスパイダーシルクタンパク質である。
【0121】
シルクタンパク質は、反復ユニットの少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%の複数コピーを含むか、またはからなる、アミノ酸配列を有するタンパク質であることが、さらに(代替的にまたは加えて)より好ましい。シルクタンパク質は、反復ユニットの少なくとも95%の複数コピーを含むか、またはからなる、アミノ酸配列を有するタンパク質であることが、よりさらに好ましい。該反復ユニットは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0122】
シルクタンパク質は、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含むことが具体的に好ましい。例えば、シルクタンパク質は、2~100の間の反復ユニット、例として2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100の反復ユニットを含み得る。
【0123】
シルクタンパク質は、40~3000の間のアミノ酸からなることもまた、(代替的にまたは加えて)より好ましい。シルクタンパク質は、40~1500の間のアミノ酸または200~1200の間のアミノ酸からなることがさらにより好ましい。シルクタンパク質は、250~600の間のアミノ酸からなることが最も好ましい。
【0124】
シルクタンパク質は、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含むことがさらに具体的に好ましい。一態様において、反復ユニットは、独立して、モジュールC(配列番号1)またはそのバリアントおよびモジュールCCys(前記モジュールは、モジュールCとして指定されてもよい)(配列番号2)からなる群から選択される。モジュールCCys(配列番号2)は、モジュールC(配列番号1)のバリアントである。このモジュールにおいて、位置25におけるアミノ酸S(Ser)が、アミノ酸C(Cys)によって置き換えられている。
モジュールCバリアントまたはモジュールCCysバリアントについては、本発明の第1の側面として称される。
【0125】
好ましくは、シルクポリペプチドは、(C)、(CCys、(C)Cys、CCys(C)、(C)Cys(C)からなる群から選択され、ここでmは、8~96の整数、すなわち8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95または96である。
【0126】
より好ましくは、シルクポリペプチドは、C、C16、C32、C48、Cys、C16Cys、C32Cys、C48Cys、CCys、CCys16、CCys32、およびCCys48からなる群から選択される。
【0127】
第3の側面において、本発明は、第2の側面に従う方法によって得ることができる、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤に関する。
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。
好ましい一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。
【0128】
第4の側面において、本発明は、以下のステップを含む、物品を製造するための方法に関する:
(i) 第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を提供すること、および
(ii) (i)において提供された製剤から物品を形成すること。
【0129】
物品は、フィルム、コーティング、粒子、カプセル、ファイバー、および骨組みまたは泡などの多孔質構造体からなる群から選択され得る。
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。
【0130】
好ましい一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、物品を製造するための方法は以下のステップを含む:
(i) 第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルを提供すること、および
(ii) (i)において提供された流動性ハイドロゲルから物品を形成すること。
【0131】
物品は、ファイバー、フィルム、またはコーティングからなる群から選択され得る。
一態様において、物品は、ファイバーである。
【0132】
製造された物品がファイバーである場合、ステップ(ii)は、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルから、ファイバーを引くこと(drawing)、または第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルからファイバーを押し出し成形することまたは引くことを含む。よって、一態様において、方法は、ファイバーを製造するためであり、以下のステップを含む:
(i) 第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルを提供すること、および
(ii) (i)において提供された流動性ハイドロゲルから物品を形成すること、ここで該形成は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルからファイバーを引くこと、または構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルからファイバーを押し出し成形することおよび引くことを含む。
【0133】
湿式紡糸または電界紡糸方法などの紡糸方法は、当業者に知られている。例えば、流動性ハイドロゲルを、ファイバーを形成するために、紡糸口金を通して押し出し形成する。
ファイバーは、例として織布または不織布などの布を作るために使用してもよい。当業者は、布を作り出すことを可能とする技法、例として織プロセスを知っている。よって、代替態様において、物品は、ファイバーから作られた布であり得る。
【0134】
もう一つの他の態様において、物品は、フィルムである。
製造される物品がフィルムである場合、ステップ(ii)は、第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルを基質に流し込むこと(casting)またはスプレーすることを含む。
【0135】
よって、もう一つの他の態様において、方法は、フィルムを製造するためであり、以下のステップを含む:
(i) 第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルを提供すること、および
(ii) (i)において提供された流動性ハイドロゲルから物品を形成すること、ここで該形成は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルを基質に流し込むことまたはスプレーすることを含む。
【0136】
一つのさらなる(代替的または追加の)好ましい態様において、方法は、さらに以下のステップを含む:
(iii) フィルムを乾燥すること。
一つのさらなる(代替的または追加の)好ましい態様において、方法は、さらに以下のステップを含む:
(iv) 基質からフィルムを分離すること/取り除くこと。
【0137】
物品がコーティングである場合、フィルムの製造のためと、同じ方法、ステップ(i)、(ii)および(iii)が適用される。
【0138】
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、物品を製造するための方法は、以下のステップを含む:
(i) 非第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルを提供すること、および
(ii) (i)において提供された非流動性ハイドロゲルから物品を形成すること。
【0139】
物品は、空洞を埋めるため、または組織工学において、使用することができる。とりわけ、非流動性ハイドロゲルは、剪断力の適用の形でエネルギー入力を使用して流動性ヒドロゲルに変換することができる。したがって、非流動性ハイドロゲルは、例えば、ノズルを通して押し出し形成することができる。加えて、非流動性ハイドロゲルは、超音波デバイスの助けを借りて噴霧され、(i)で提供されたヒドロゲルを液化することができます。その結果得られる流動性ハイドロゲルから、物品を形成することができる。物品は、ファイバー、フィルム、またはコーティングからなる群から選択され得る。
【0140】
好ましくは、方法は、ステップ(i)のおいて提供された水性製剤に、またはステップ(ii)で形成された物品に、化合物を添加するステップをさらに含む。ステップ(i)において提供された水性製剤はハイドロゲルであり得る。
好ましい一態様において、ステップ(i)において提供された水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。
もう一つの他の好ましい態様において、ステップ(i)において提供された水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。
【0141】
水性製剤が、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである場合、物品を形成することに先立って、化合物を流動性ハイドロゲルと混合することにより、化合物を流動性ハイドロゲルに添加してもよい。構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルから物品を形成した後に、化合物を物品に充填するか、または物品にコーティングしてもよい。
【0142】
水性製剤が、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである場合、物品を形成することに先立って、化合物を非流動性ハイドロゲルに充填することによって、化合物を非流動性ハイドロゲルに添加してもよい。構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルから物品を形成した後に、化合物を物品に充填するか、または物品にコーティングしてもよい。
【0143】
化合物は水難溶性、水不溶性、親油性、または油状であり得る。化合物は、さらに、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択され得る。洗浄剤化合物は、クリーニング剤または洗濯洗浄剤であり得る。化粧品化合物は、フレグランスオイルまたはフレグランスであり得る。着色化合物は、染料であり得る。
【0144】
第5の側面において、本発明は、第4の側面に従った方法によって得ることのできる物品に関する。
物品は、フィルム、コーティング、粒子、カプセル、ファイバー、および骨組みまたは泡などの多孔質構造体からなる群から選択され得る。
【0145】
第6の側面において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
第5の側面に従う物品。
【0146】
とりわけ、医薬組成物(とりわけ水性製剤または物品)は、医薬化合物を含む。医薬組成物は、薬学的に許容し得る担体、希釈剤、および/または賦形剤も含み得る。医薬組成物は、患者に投与される。患者における疾患または障害の処置、予防、または重症度の低減に有用である。局部的にまたは全身的に、患者に投与し得る。局部的な投与は、非経口投与、例として静脈内投与、皮下投与、皮内投与、または筋肉内投与によるものであり得る。全身投与は、動脈内投与であり得る。
【0147】
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。このケースにおいて、医薬組成物は以下を含む:
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品。
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、医薬組成物は以下を含む:
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品。
【0148】
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、医薬組成物は、以下を含む:
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品。
【0149】
第7の側面において、本発明は、以下を含む化粧品組成物に関する:
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
第5の側面に従う物品。
【0150】
とりわけ、化粧品組成物(とりわけ水性製剤または物品)は、化粧品化合物を含む。化粧品化合物は、フレグランスオイルまたはフレグランスであり得る。
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。このケースにおいて、化粧品組成物は、以下を含む:
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品。
【0151】
好ましい一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、化粧品組成物は、以下を含む:
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品。
【0152】
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、化粧品組成物は、以下を含む:
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品。
【0153】
第8の側面において、本発明は、医薬として使用するための、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
第5の側面に従う物品
に関する。
とりわけ、水性製剤または物品は、医薬化合物を含む。
【0154】
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、医薬として使用するためのものである。
【0155】
好ましい一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、医薬として使用するためのものである。
【0156】
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、医薬として使用するためのものである。
【0157】
第9の側面において、本発明は、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
第5の側面に従う物品
の、化合物の保護のための使用に関する。
【0158】
とりわけ、水性製剤または物品は、化合物を含む。化合物は、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択され得る。
本発明者らは、水性製剤は、タンパク質分解、微生物分解に対する、または化合物の酸化に対する、化合物の保護のために好適であることを指摘した。
【0159】
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、化合物の保護のために使用する。
【0160】
好ましい一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、化合物の保護のために使用する。
【0161】
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、化合物の保護のために使用する。
【0162】
第10の側面において、本発明は、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
第5の側面に従う物品
の、化合物の持続または制御放出のための使用に関する。
【0163】
とりわけ、水性製剤または物品は、化合物を含む。化合物は、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択され得る。
本発明者らは、化合物の持続または制御放出のために好適であることを指摘した。
【0164】
持続または制御放出は、一定期間にわたる水性製剤からの化合物の徐放放出を指す。初期バースト段階があり得るが、放出が比較的線形の動態を示し、それによって放出期間にわたって化合物の一定の供給を提供することが好ましい。放出期間は、化合物の特性およびその意図された用途に応じて、数時間から数ヶ月まで変動し得る。例えば、水性製剤の過剰な装填の必要性およびその結果としての未放出化合物の無駄を回避するために、特定の期間にわたる水性製剤からの化合物の累積放出が相対的に高いことが望ましい場合がある。
【0165】
水性製剤の放出プロファイルは、最初の24時間以内の持続放出を有することが好ましい。100%までの化合物が、例として周りの媒体に、放出されることも好ましい。好ましくは、100%までの化合物は、例として周りの媒体に、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間以内に放出される。該周りの媒体は、空気、緩衝溶液、生理学的な緩衝溶液、血液、リンパ液、髄液などの体液、または水であり得る。
【0166】
化合物の持続または制御放出は、化合物、例として、薬物などの医薬化合物、クリーニング剤または洗濯洗浄剤などの洗浄剤化合物、またはフレグランスまたはフレグランスオイルなどの化粧品化合物の効果を増加/延長する。
【0167】
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲル、または第5の側面に従う物品は、化合物の持続または制御放出のために使用される。
【0168】
好ましい一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、化合物の持続または制御放出のために使用される。
【0169】
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、化合物の持続または制御放出のために使用される。
【0170】
第11の側面において、本発明は、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
第5の側面に従う物品
の、化合物の保持時間の延長のための使用に関する。
【0171】
とりわけ、水性製剤または物品は、化合物を含む。化合物は、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択され得る。
本発明者らは、水性製剤が、化合物の保持時間の延長のために好適であることを指摘した。
【0172】
化合物および構造タンパク質を含む水性製剤と比較して、化合物、構造タンパク質、およびアルコールを含む水性製剤からの化合物の保持時間を、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100%延長することができる。
【0173】
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、化合物の保持時間の延長のために使用される。
【0174】
好ましい一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、化合物の保持時間の延長のために使用される。
【0175】
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、化合物の保持時間の延長のために使用される。
【0176】
第12の側面において、本発明は、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
第5の側面に従う物品
の水難溶性、水不溶性、親油性、または油状化合物の製剤化のための使用に関する。
【0177】
とりわけ、水性製剤または物品は、化合物を含む。化合物は、医薬化合物、洗浄剤化合物、化粧品化合物、化学化合物、および着色化合物からなる群から選択され得る。
本発明者らは、水性製剤が、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状化合物の製剤化のために好適であることを指摘した。
【0178】
一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含むハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状化合物の製剤化のために使用される。
【0179】
好ましい一態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状化合物の製剤化のために使用される。
【0180】
もう一つの他の好ましい態様において、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤は、構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲルである。このケースにおいて、
第1または第3の側面に従う構造タンパク質およびアルコールを含む非流動性ハイドロゲル、または
第5の側面に従う物品
は水難溶性、水不溶性、親油性、または油状化合物の製剤化のために使用される。
【0181】
本発明の範囲から逸脱することない、本発明の様々な改変およびバリエーションが当業者には明らかであろう。本発明は、特定の好ましい態様に関連して説明されたが、請求された本発明が、かかる特定の態様に過度に限定されるべきでないことを理解されたい。本発明を実施するための記載された様式の様々な改変は、本発明により包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0182】
以下の図および例は、本発明の単なる例示であり、添付の請求項によって示される本発明の範囲を決して限定すると解釈されるべきではない。
図1】左から右へ、γ1%(LVE)での平均値G’(Pa)対C、C16、C32およびC48シルクハイドロゲルの異なるタンパク質含量(%)を示す。試料は、3回測定した。(C:タンパク質濃度1,5%(w:w)~1.75%(w:w)、C16:タンパク質濃度0.5%(w:w)~1。5%(w:w)、C32:タンパク質濃度0.5%(w:w)~1.25%(w:w)、C48:タンパク質濃度0.25%(w:w)~1,17%(w:w))。タンパク質濃度の増加が、タンパク質の複素粘度の増加をもたらし、タンパク質の分子量の増加が、タンパク質の複素粘度の増加をもたらすことを示すことができる。
【0183】
図2】テストストリップへのフレグランスの適用から10分、20分、30分、40分、60分および80分後の、0,25%構造C16タンパク質(SSP)を有する組成物、0,25%ジプロピレングリコール(Dipro)、0,25%Tegosoft M (Tego)または陰性対照(Neg.)を含む組成物によって放出されたフレグランス、フェネチルエタノールの、26名の試験担当者よって判断された送達強度を示す。 構造タンパク質(SSP)を有する組成物によって放出された送達強度は、ジプロピレングリコール(Dipro)、Tegosoft M (Tego)または陰性対照(Neg.)を含む組成物によって放出されたフレグランスの送達強度よりも優位に高い。ジプロピレングリコール(Dipro)、Tegosoft M (Tego) または陰性対照(Neg.)を有する組成物による放出と比較した、構造タンパク質(SSP)を有する組成物による、10分後のフレグランスのより高い放出は、化合物の持続放出を反映する。
【0184】
図3】本発明において説明した、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤の製造の3つの選択肢を示す。選択肢1:構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供し、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に添加する。選択肢2:構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供し、アルコールを含む水溶液および構造タンパク質を含む水溶液を、同時にまとめる/組み合わせる。選択肢3:構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供し、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液によって下塗り/下層化する。
【実施例0185】
以下の例は、説明のみを目的として与えられ、上に記載の本発明を如何にも限定するものではない。
【0186】
例1: C、C16、C32およびC48シルクハイドロゲルの調製
a) C、C16、C32およびC48タンパク質の調製:
16タンパク質(配列番号3)をWO2006/008163に記載されるように調製した。C(配列番号6)、C32タンパク質(配列番号4)およびC48(配列番号5)タンパク質を、同じプロセスに類似して調製した。
【0187】
b) 水性のC、C16、C32およびC48タンパク質溶液の調製:
タンパク質溶液の調製のために、シルクタンパク質を、6 M GdmSCNおよび50 mM Tris/HCl、pH8.0に溶解した。GdmSCNを取り除くために、タンパク質溶液を、6000-8000のMWCOを有するSpectra/Por Dialysis Membraneを使用して、5mM Tris/HCl、pH8.0に対して透析した。透析の後、GdmSCNをさらに取り除き、溶液においてタンパク質を濃縮するために、タンパク質溶液を、クロスフロー濾過(VIVAFLOW 200, Hydrosat, 10 kDa)を介してろ過した。
【0188】
タンパク質溶液の体積が>500mLである場合、GdmSCNを取り除き、SARTOCON Slice Cassettes(フィルター材料:10kDaカットオフを有するHydrosat)を有するクロスフローユニット((Sartorius AG, Goettingen)を使用して、透析することなく、タンパク質を濃縮することができる。
、C16、C32およびC48タンパク質濃度は、UV/Vis分光法(Beckman Coulter))を使用して、276nmで吸光度を測定することにより判断した。C、C16、C32およびC48タンパク質溶液の最終的なタンパク質濃度は、3.75%および6.65%(w/w)の間であった。
【0189】
c) 70%EtOH中C、C16、C32およびC48シルクハイドロゲルの調製(選択肢1):
70%の最終的なエタノール濃度を有するシルクハイドロゲルの調製のために、脱イオン水および99.5%EtOHを混合し、夫々のEtOH濃度を有する水溶液を得た。この水性EtOH溶液を、第1のビーカーガラスに添加した。水性タンパク質溶液(C、C16、C32およびC48)を上に記載のとおり調製し、第2のビーカーガラスに添加した。水性EtOH溶液(第1のビーカーガラス)を、一つの動きで/一度に第2のビーカーガラス中の水性タンパク質溶液に添加し、およびすぐに揺り動かすことによって混合し、続いて混合物を旋回させた。水性EtOH/脱イオン水溶液の添加は、5秒以内に行う必要があった。
【0190】
70%EtOHの最終的な濃度における、Cシルクハイドロゲルの最終的な濃度は、1.35%(w/w)、1.5%(w/w)、1.625%(w/w)および1.75%(w/w)であった。1.625%(w/w)までのタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルをもたらした。
【0191】
70%EtOHの最終的な濃度における、C16シルクハイドロゲルの最終的な濃度は、0.5%(w/w)、1.0%(w/w)、1.25%(w/w)、1.5%(w/w)および2.0%(w/w)であった。1.25%(w/w)までのタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルをもたらした。1.5%(w/w)および2.0%(w/w)のタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルをもたらした。
【0192】
70%EtOHの最終的な濃度における、C32シルクハイドロゲルの最終的な濃度は、0.5%(w/w)、0.75%(w/w)、1.0%(w/w)および1.25%(w/w)であった。0.75%(w/w)までのタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルをもたらした。1.0%(w/w)および1.25%(w/w)のタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルをもたらした。
【0193】
70%EtOHの最終的な濃度における、C48シルクハイドロゲルの最終的な濃度は、0.25%(w/w)、0.5%(w/w)、0.75%(w/w)、1.0%(w/w)および1.165%(w/w)であった。0.5%(w/w)までのタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルをもたらした。0.75%(w/w)、1.0%(w/w)および1.165%(w/w)のタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルをもたらした。
【0194】
ハイドロゲルの複素粘度を図1に示す。
タンパク質の分子量の増加は、粘度の増加をもたらした。
例は、非流動性ハイドロゲルをもたらしたタンパク質濃度が低いほど、タンパク質の分子量がより高いことを示した。当業者は、流動性または非流動性ハイドロゲルを得るための夫々の濃度を判断することができる。
【0195】
例2. シルクハイドロゲルの複素粘度の判断:
例1において製造されたシルクハイドロゲルの複素粘度を、コーン-プレート測定システム(Modular Compact Rheometer Manufacturer: Anton Paar Type: MCR 102, Measurement cone: CP25-1, d: 25 mm, angle: 1° (Serial No.: 31081)において、製造者マニュアルに従って、以下のパラメータ―で判断した:
【0196】
値: γせん断変形(振動)
プロファイル: ランプ対数
開始値: 0,01%
終了値: 100%
【0197】
値: ω(rad/s)円周周波数
プロファイル: 一定
値: 10rad/s
【0198】
試料測定温度(プレート): 15℃
測定ギャップ: 50μm
【0199】
シルクゲル粘度を説明するための評価パラメータ: γ1%(LVE)でのせん断変形->G’(Pa)。
【0200】
、C16、C32およびC48シルクハイドロゲルの複素粘度を3回判断した。γ1%(LVE)での平均値G’(Pa)対C、C16、C32およびC48シルクハイドロゲルの異なるタンパク質含量(%)を図1に示す。タンパク質濃度の増加はタンパク質の複素粘度の増加をもたらし、タンパク質の分子量の増加はタンパク質の複素粘度の増加をもたらすことを示すことができる。
【0201】
16タンパク質は、47.7kDaの分子量に対応する。C32タンパク質は、93.8kDaの分子量に対応し、C48タンパク質は、139.9kDaの分子量に対応する。タンパク質の複素粘度が高いほど、より低いタンパク質濃度が、非流動性ハイドロゲルをもたらす。タンパク質の複素粘度が低いほど、より高いタンパク質濃度が、非流動性ハイドロゲルをもたらす。これは、より高い分子量を有するものよりも、より低分子量を有するタンパク質のより高い濃度が夫々、流動性ハイドロゲルに形成することができること、より高分子量/より高複素粘度のタンパク質よりも、より低分子量/より低複素粘度のタンパク質でより高濃度の流動性ハイドロゲルを達成することができることを意味する。
【0202】
当業者は、タンパク質の分子量、複素粘度をそれぞれ考慮して、流動性または非流動性ハイドロゲルを得るために必要なタンパク質の夫々の濃度を判断することができる。代替的に、流動性または非流動性ハイドロゲルを得るために必要なタンパク質の夫々の濃度は、例えば、夫々のタンパク質濃度の希釈シリーズにより、経験的に判断することもできる。タンパク質の複素粘度を判断するために、タンパク質のアミノ酸の配列、ならびにタンパク質の親水性または疎水性量の含量を考慮する必要がある。
【0203】
例3: 70%EtOHにおける、C16、シルクハイドロゲの代替的な調製:
a) 混合チェンバーにおける同時混合による、70%EtOH中0,75%(w/w)および1,5%のタンパク質濃度を有するC16シルクハイドロゲルの調製:
16タンパク質(配列番号3)および水性C16タンパク質溶液を例1に記載したように調製した。水性EtOH溶液(99,5%EtOH)を第1の反応槽に添加し、夫々3,3%または6,6%(w:w)タンパク質の水性C16タンパク質溶液を第2の反応槽に添加した。両方の溶液を、混合チャンバ―において同時に組み合わせ、マグネティック撹拌器で混合し、0,75%(w/w)または1,5%(w/w)のタンパク質濃度を有するハイドロゲルを形成した。反応槽を、混合チャンバ―とフレキシブルチューブで結合した。水性のEtOH溶液を、混合チャンバ―中の水性タンパク質溶液に4,3:1(EtOH溶液:タンパク質溶液)の混合比率で供給した。
【0204】
0,75%(w/w)のタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルをもたらした。1,5%(w/w)のタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルをもたらした。
【0205】
b) 2相液体系による、70%EtOH中0,75%(w/w)および1,5%のタンパク質濃度を有するC16シルクハイドロゲルの調製(選択肢3):
16タンパク質(配列番号3)および水性のC16タンパク質溶液を例1に記載したように調製した。2相液体系を得るために、水性のEtOH溶液(99,5%EtOH)を、撹拌器を備えた反応チューブに添加し、次いで3,3%または6,6%(w:w)タンパク質を有する水性C16タンパク質溶液で、穏やかに下敷きした。その結果得られる水性EtOH相および水性ンパク質相からなる2相液体系を撹拌器で混合し、0,75%(w/w)または1,5%(w/w)のタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルを形成した。
【0206】
0,75%(w/w)のタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、流動性ハイドロゲルをもたらした。1,5%(w/w)のタンパク質濃度を有するシルクハイドロゲルは、非流動性ハイドロゲルをもたらした。
【0207】
例4: 構造タンパク質およびアルコールの水性製剤を含む組成物からの化合物の持続放出:
化合物の持続放出を示すために、例示の水難溶性化合物として、フレグランス(フェネチルエタノール)を、構造タンパク質およびアルコールを含む水性組成物に添加した。フレグランスの持続放出は、構造タンパク質および水溶液を含まず、固定剤ジプロピレングリコール(Carl Roth, Karlsruhe, Germany)またはTegosoft M (Franken Chemie, Wendelstein Germany)を含む水溶液と比較した。したがって、5%フェネチルエタノール(Carl Roth, Karlsruhe, Germany)は、C16タンパク質を有する水溶液に添加され、0,25%C16タンパク質(SSP)の濃度、70%EtOHをもたらし、またはジプロピレングリコールを有する水溶液に添加され、0,25%ジプロピレングリコールの濃度、70%EtOH(Dipro)をもたらし、Tegosoft Mを有する水溶液へ添加され、0,25%Tegosoft Mの濃度、70%EtOH(Tego)をもたらした。構造タンパク質または固定剤を有さず、70%EtOHを有する水溶液を陰性対照(Neg. )とした。構造C16タンパク質(SSP)、ジプロピレングリコール(Dipro)、Tegosoft M(Tego)および陰性対照(Neg. )を含有する100μlの夫々の組成物を、テストストリップ(Rotilabo(登録商標)-Riechstreifen, Carl Roth, Karlsruhe, Germany)に適用した。
【0208】
26名の試験担当者は、テストストリップへのフレグランスの適用から10分、20分、30分、40分、60分および80分後の、フレグランスの送達強度を評価することで、フレグランスの放出を判断した。送達は、媒体によって急速に放出される高度に揮発性の香りである、香料のトップノートを表す。放出されたフレグランスフェネチルエタノールの送達強度は、図2に示めされるフレグランスの放出時間に関係する。構造タンパク質(SSP)を有する組成物によって放出されたフレグランスの送達強度は、ジプロピレングリコール(Dipro)、Tegosoft M(Tego)または陰性対照(Neg.)を含む組成物によって放出されたフレグランスの送達強度よりも、有意に高いことを示すことができる。ジプロピレングリコール(Dipro)、Tegosoft M(Tego)または陰性対照(Neg.)を有する組成物による放出と比較した、構造タンパク質(SSP)を有する組成物による、10分後に放出されたフレグランスのより高い放出は、化合物の持続放出を反映する。
【0209】
本発明のタンパク質-アルコール溶液の使用は、固定剤の助けなしに、フレグランスの持続放出を可能とする。加えて、フレグランスに関して持続したおよび長く続く放出プロファイルを得るために、より少量のフレグランスが必要となる。
図1
図2
図3
【配列表】
2023153832000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤であって、
ここで、構造タンパク質は、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含む自己集合タンパク質であり、
ここで、製剤は化合物をさらに含み、この化合物は、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状であり、
ここで、化合物は、化粧品化合物である、
前記水性製剤
【請求項2】
製剤が透明な外観を有する、請求項1に記載の水性製剤。
【請求項3】
60wt%および90wt%の間のアルコール、
0.05wt%および5wt%の間の構造タンパク質、および
5wt%および39.95wt%の間の水
を含む、請求項1または2に記載の水性製剤。
【請求項4】
アルコールが、エタノール、メタノール、およびイソプロパノールからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項5】
構造タンパク質が、20kDaおよび140kDaの間の分子量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項6】
該製剤が、0.04Pa・sおよび30Pa・sの間の複素粘度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項7】
製剤がハイドロゲルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項8】
シルクタンパク質が、組み換えシルクタンパク質である、請求項1~7のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項9】
反復ユニットが、独立して、配列番号1に従う配列を有するモジュールCまたはそのバリアント、および配列番号2に従う配列を有するモジュールCCysまたはそのバリアントからなる群から選択される、請求項に記載の水性製剤。
【請求項10】
化粧品化合物が、フレグランスオイルまたはフレグランスである、請求項1~9のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項11】
造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を製造する方法であって
(i) 構造タンパク質を含む水溶液およびアルコールを含む水溶液を提供すること、および
(ii) 水溶液を混合し、それによって構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を得ること
のステップを含み、
ここで、構造タンパク質は、少なくとも2つの同一の反復ユニットを含む自己集合タンパク質であり、
ここで、方法は、化合物を
ステップ(i)において提供された構造タンパク質を含む水溶液、
ステップ(i)において提供されたアルコールを含む水溶液、および/または
ステップ(ii)の混合物
に添加するステップをさらに含み、
ここで、化合物は、水難溶性、水不溶性、親油性、または油状であり、
ここで、化合物は、化粧品化合物である、
前記方法
【請求項12】
方法が、ステップ(i)に続いて、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に添加するステップをさらに含み、
ここで、アルコールを含む水溶液を、構造タンパク質を含む水溶液に、
一つの動きで/一度に、または
10秒以内に
添加する、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
混合が、せん断力の適用を回避することにより行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の水性製剤が形成される、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤。
【請求項16】
以下のステップを含む、物品を製造するための方法:
(i) 請求項1~10または15のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤を提供すること、および
(ii) (i)において提供された製剤から物品を形成すること。
【請求項17】
請求項16に記載の方法によって得ることのできる物品。
【請求項18】
請求項1~10または15のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項17に記載の物品
を含む化粧品組成物。
【請求項19】
化合物を保護するため、
化合物の持続または制御放出のため、
化合物の保持時間を延長するため、または
水難溶性、水不溶性、親油性、または油状化合物の製剤化のための、
請求項1~10または15のいずれか一項に記載の構造タンパク質およびアルコールを含む水性製剤、または
請求項17に記載の物品
の使用であって、
化合物が化粧品化合物である、前記使用。
【請求項20】
化粧品化合物が、フレグランスオイルまたはフレグランスである、請求項19の使用。
【外国語明細書】