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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153847
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】支持部材
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/30 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
F27B7/30
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116996
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2021180043の分割
【原出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】植田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 諭
(72)【発明者】
【氏名】古木 賢一
(57)【要約】
【課題】所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供する。
【解決手段】反応装置10において、キルン部100は、回転可能に延伸する筒部103と、筒部103の一端側から供給される原料を受け入れる原料供給口101と、他端側に反応生成物を送出する送出口102と、を有する。流体供給装置120は、一端側または他端側から筒部の内側に延伸する流体供給管121と、圧送された所定の流体を筒部の内側に放出可能に流体供給管121に設けられた流体供給口122と、を有する。接触領域105は、流体供給口122から放出された流体と原料とが接触する。流体吸引装置130は、接触領域105を通過した流体を吸引可能に設けられた流体吸引口132と、流体吸引口132から吸引した流体をキルン部100の外部に圧送する流体吸引管131と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って回転可能に延伸する筒部を有し、上流側から受け入れた原料を下流側に搬送しながら反応させる反応装置に挿入して使用される支持部材であって、
前記支持部材は、
前記筒部の一端側に配置され前記筒部に原料を供給するフィーダ部と前記筒部の他端側に配置され前記筒部から反応生成物を送出するキルンフット部とにより支持され、
前記一端側または前記他端側から前記筒部の内側に延伸する流体供給管により圧送された流体の流れを前記中心軸に平行な方向に沿って規制するための邪魔板を有する、
支持部材。
【請求項2】
前記邪魔板は、前記流体の流れを螺旋状に規制する ための形状を有する、
請求項1に記載の支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応装置に用いられる支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
原料に対して所定の雰囲気を与えることにより所望の製品を連続的に製造するための反応装置が存在する。例えば一般には、ロータリーキルンと称される反応装置は、中心軸周りに回転する中空のキルン部を加熱し、このキルン部に材料を転動させながら通過させることにより所望の製品を製造する。また例えばローラーハースキルンと称される反応装置は、トンネル型のキルン部に原料やワークを通過させることにより所望の製品を製造する。またその他にも種々の反応装置が開発されている。
【0003】
例えば特許文献1は、以下の反応装置について開示している。反応装置は、圧力反応容器となるスクリュフィーダ本体と、スクリュフィーダ本体内に触媒を導入する触媒供給部と、スクリュフィーダ本体内に低級炭化水素を導入する低級炭化水素供給部と、を有する。またこの反応装置は、生成したナノ炭素を移送するスクリュと、スクリュによって移送される触媒とナノ炭素を送出する固体送出部と、生成した水素をフィーダ本体外に送出する気体送出部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-290682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所で、固体電解質などの所望の反応生成物を製造する場合には、例えば原料に対して摂氏1000度を超える熱を付与する工程が必要となる。また固体電解質などの所望の反応生成物を製造する場合には、反応工程において所定の雰囲気ガスなどの流体に接触させることが望まれる。しかしながらこのような温度や雰囲気ガスを用いて好適に反応を生じさせるには、上述の技術を含む複数の装置を用いなければならず、所望の製品を効率よく製造することが困難だった。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる反応装置は、キルン部、流体供給装置、接触領域および流体吸引装置を有する。キルン部は、中心軸に沿って回転可能に延伸する筒部と、筒部の一端側から供給される原料を受け入れる原料供給口と、筒部の他端側に反応生成物を送出する送出口と、を有する。流体供給装置は、一端側または他端側から筒部の内側に延伸する流体供給管と、流体供給管により圧送された所定の流体を筒部の内側に放出可能に流体供給管に設けられた流体供給口と、を有する。接触領域は、流体供給口から放出された流体と原料とが接触する。流体吸引装置は、接触領域を通過した流体を吸引可能に設けられた流体吸引口と、流体吸引口から吸引した流体をキルン部の外部に圧送する流体吸引管と、を有する。
【0008】
本開示にかかる反応生成物製造方法は、反応生成物を製造する使用者が以下の工程を実行する。使用者は、中心軸に沿って回転可能に延伸する筒部と、筒部の一端側から供給される原料を受け入れる原料供給口と、筒部の他端側に反応生成物を送出する送出口と、を有するキルン部を用意する。使用者は、キルン部の内部を所定の温度に加熱する。使用者は、筒部に離間して筒部の内側に設けられた流体供給口から所定の流体を放出する。使用者は、筒部に離間して筒部の内側に設けられた流体吸引口から筒部の内側の流体を吸引する。使用者は、流体供給口から原料を供給する。使用者は、キルン部を回転させることにより、原料を流体に接触させながら中心軸に平行な方向に沿って送出口へ搬送し、原料と流体とを接触させる。使用者は、送出口から反応生成物を送出する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる反応装置の側面方向の断面図である。
図2】反応装置が実行する処理のフローチャートである。
図3】実施の形態2にかかる反応装置の側面方向の断面図である。
図4】実施の形態2にかかる反応装置の正面方向の断面図である。
図5】実施の形態3にかかる反応装置の側面方向の断面図である。
図6】実施の形態4にかかる反応装置の側面方向の断面図である。
図7】実施の形態5にかかる反応システムの構成図である。
図8】実施の形態6にかかる反応システムの構成図である。
図9】実施の形態7にかかる電池用材料製造システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
<実施の形態1>
図1を参照しながら、実施の形態1にかかる反応装置の主な構成について説明する。図1は、実施の形態1にかかる反応装置10の側面方向の断面図である。反応装置10は、原料に所定の物理的な刺激等の条件を与えることにより反応生成物を製造するための装置である。
【0013】
原料や反応生成物の種類や状態は特に制限されないが、リチウムを成分の一つに含む金属酸化物や金属硫化物のような無機物であってもよいし、炭化水素のような有機物であってもよい。また、原料や反応生成物の形状や大きさは特に制限されないが、形状が塊状の場合の対角長さは、好ましくは0.1mm~50mmであり、さらに好ましくは1~20mmである。さらに、原料や反応生成物の形状が塊状の場合、対角長さの比率(アスペクト比)は、好ましくは1~10であり、さらに好ましくは1.3~1.8である。反応装置10は主な構成として、キルン部100、接触領域105、流体供給装置120および流体吸引装置130を有する。また反応装置10は上記構成に加えて、フィーダ140、キルンフット150、駆動装置160等を有する。
【0014】
キルン部100は主な構成として、原料供給口101、送出口102および筒部103を有する。原料供給口101は、一端側に供給される原料R10を受け入れる。送出口102は、他端側に反応生成物R11を送出する。筒部103は、一端側に原料供給口101を有し他端側に送出口102を有する円筒状の部材であって、中心軸C10に沿って回転可能に延伸する。
【0015】
キルン部100は受け入れる原料に対して室温から摂氏1500度の範囲における所定の温度を付与する。そのため、キルン部100の主たる構成はこの温度に耐えうる部材により形成されている。すなわちキルン部100は例えば、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、銅、アルミニウム、チタン、タングステン、ニオブ、タンタル、モリブデン、ケイ素、硼素、炭素の少なくとも一つを成分として含む合金や、アルミナやジルコニアなどの金属酸化物、窒化ケイ素などの窒化物、炭化チタンなどの炭化物、クロム硼化物などの硼化物を含むセラミックスや、結晶質グラファイトや繊維強化グラファイトのようなカーボンにより形成されるか、上記合金と上記セラミックスと上記カーボンのいずれかを組み合わせた複合材、被覆材、接合材により形成され得る。
【0016】
キルン部100は筒部103における供給口側が送出口側より高くなるように傾斜して設置されてもよい。図1に示すキルン部100は、筒部103の中心軸C10が水平方向に対して所定の角度θの傾斜を有している。これにより、キルン部100は、受け入れた所定の原料R10が筒部103の内壁に接触しながら中心軸C10に沿って送出口102へ搬送されるように構成されている。なお、角度θは-90度から+90度の範囲から選択し得る。
【0017】
図1に示すキルン部100の原料供給口101には、軸受け104を介してフィーダ140が係合する。フィーダ140は、キルン部100における原料供給口101の側を回転可能に支持する。すなわちフィーダ140は、キルン部100を支持する支持部である。フィーダ140は上方に設けられた開口部である原料投入口141から原料R10を受け入れて、受け入れた原料R10を原料供給口101に案内する。
【0018】
またキルン部100の送出口102には、軸受け104を介してキルンフット150が係合する。キルンフット150は送出口102の側を回転可能に支持する。すなわちキルンフット150はキルン部100を支持する支持部である。またキルンフット150は反応生成物出口151を有しており、送出口102から送出される反応生成物R11を反応生成物出口151から送出する。さらに、キルンフット150は、流体供給装置120および流体吸引装置130を固定する。
【0019】
なお、フィーダ140は、キルンフット150に代えて、またはキルンフット150とともに、流体供給装置120および流体吸引装置130のうち少なくともいずれか一方を固定してもよい。すなわちフィーダ140およびキルンフット150のうち少なくともいずれか一方は、支持部として、流体供給装置120および流体吸引装置130を固定する。このとき例えばフィーダ140が流体供給装置120を固定し、キルンフット150が流体吸引装置130を固定するものであってもよいし、あるいはその逆でもよい。
【0020】
流体供給装置120は、キルン部100に所定の流体を供給するための装置である。所定の流体とは、気体または液体であるが、流動性を有する場合には粉末等の固体を含むものであってもよい。流体供給装置120は主な構成として流体供給管121と流体供給口122とを有する。流体供給装置120は上述の構成の他に、所定の流体を貯留しておく貯留部や、この流体を圧送するためのポンプを有し得る。
【0021】
流体供給管121は、キルン部100の一端側または他端側から筒部103の内側に延伸するように構成された流体運搬用の管である。図1において、流体供給管121は、キルンフット150に固定されており、キルンフット150からキルン部100の筒部103に向かって延伸している。
【0022】
流体供給口122は、流体供給管121により圧送された所定の流体を筒部103の内側に放出可能に流体供給管121に設けられた開口部である。図1に示す流体供給口122は複数の孔が設けられている。しかし、流体供給口122は1つの孔であってもよいし、所定の流体を通過させられるポーラス状の部材であってもよい。
【0023】
流体吸引装置130は、キルン部100の内部に存在する流体を吸引してキルン部100の外部に排出するための装置である。流体吸引装置130が吸引する流体は、例えば流体供給装置120が供給した流体であって、原料R10と接触したものを含む。流体吸引装置130主な構成として、流体吸引管131と流体吸引口132とを有する。流体吸引装置130は上述の構成の他に、流体を能動的に吸引するための吸引ポンプや、強制排気装置などを有し得る。
【0024】
流体吸引口132は、接触領域105を通過した流体を吸引可能に設けられた開口部である。流体吸引管131は、流体吸引口132から吸引した流体をキルン部100の外部に圧送する管である。図1において、流体吸引管131は、キルンフット150に固定されており、キルンフット150からキルン部100の筒部103に向かって延伸している。
【0025】
上述した流体供給装置120および流体吸引装置130は例えば、ニッケル、コバルト、クロム、鉄、銅、アルミニウム、チタン、タングステン、ニオブ、タンタル、モリブデン、ケイ素、硼素、炭素の少なくとも一つを成分として含む合金や、アルミナやジルコニアなどの金属酸化物、窒化ケイ素などの窒化物、炭化チタンなどの炭化物、クロム硼化物などの硼化物を含むセラミックスや、結晶質グラファイトや繊維強化グラファイトのようなカーボンにより形成されるか、上記合金と上記セラミックスと上記カーボンのいずれかを組み合わせた複合材、被覆材、接合材により形成され得る。
【0026】
なお、流体供給装置120と筒部103の内壁とは離間した状態が維持されている。同様に、流体吸引装置130と筒部103の内壁とは離間した状態が維持されている。これにより流体供給装置120および流体吸引装置130は、キルン部100の回転を妨げないように構成されている。
【0027】
流体供給装置120と流体吸引装置130とは連結された状態でキルンフット150に固定されていてもよいしそれぞれ独立してキルンフット150に固定されてもよい。流体供給装置120と流体吸引装置130とはキルンフット150に固定され、さらにフィーダ140により支持されていてもよい。
【0028】
図1に示すように、流体吸引口132と流体供給口122とは、中心軸C10に平行な方向に沿って離間していることが好ましい。図1において流体供給口122は筒部103の上流側に位置し、原料R10が存在する下方に流体を放出している。また流体吸引口132は中心軸C10に沿った方向において流体供給口122から離間した下流側に位置し、下方に存在する流体を吸引している。このような構成により、反応装置10は流体供給口122と流体吸引口132との間において流体供給口122から供給された流体と原料R10とが接触する領域である接触領域105を好適に設けることができる。
【0029】
接触領域105は、流体供給口122から放出された流体と原料R10とが接触する領域である。図1において太い二点鎖線により示された領域が接触領域105である。接触領域105において、原料R10は転動流動しながら流体供給装置120から供給された流体に接触する。これにより原料R10は所定の反応生成物R11になり、送出口102に搬送される。また流体供給口122から供給された流体は接触領域105を通過した後に接触領域105の下流側に位置する流体吸引口132に吸引される。
【0030】
温度制御装置110は、キルン部100の外周部を加熱または冷却することによりキルン部100の温度を制御する。温度制御装置110は例えば室温から摂氏1500度程度の範囲の加熱を行う。温度制御装置110は、例えば筒状のキルン部100の周囲を囲むように加熱装置を有している。加熱装置は例えば誘導加熱ヒータ、シースヒータ、コイルヒータまたはセラミックヒータなどの温度制御可能な任意のヒータを含む。あるいは加熱装置は、ガスを燃焼して加熱した流体を循環させるものであってもよい。温度制御装置110は、キルン部100の温度を制御するための制御装置を含みうる。例えば温度制御装置110は、キルン部100の所定の位置に温度を監視するための温度計を有していてもよい。
【0031】
なお、温度制御装置110はキルン部100の延伸方向に沿って複数設置されていてもよい。反応装置10は例えば、原料供給口101に比較的に近い側であって、原料供給口101から離間した位置に第1温度制御部110Aを有し、第1温度制御部110Aよりも送出口102に比較的に近い側に第2温度制御部110Bを有し得る。この場合例えば、原料供給口101における内部温度は原料供給口101の領域では室温となる。また第1温度制御部110Aはキルン部100の内部温度を例えば500度になるように制御する。さらに第2温度制御部110Bはキルン部100の内部温度を例えば1500度になるように制御する。
【0032】
この場合、反応装置10は、第1温度制御部110Aにより設定された温度(500度)の領域において原料R10を脱脂し、第2温度制御部110Bにより設定された温度(1500度)の領域において原料R10を焼結し得る。上述のように、反応装置10は複数の温度制御部を有することによりキルン部100の延伸方向に沿って複数の温度プロファイルを設定できる。反応装置10は上述の構成により、キルン部100を回転させるとともに、キルン部100を加熱する。筒部103に熱が伝わると、この熱はキルン部100の内部に放射される。
【0033】
駆動装置160は、モータと、このモータから突出する駆動軸に嵌合する駆動力伝達部161とを有する。駆動装置160は駆動力伝達部161が従動部106を駆動してキルン部100を回転させる。駆動力伝達部161および従動部106は例えば互いに噛み合うように構成された歯車である。駆動装置160はこのような構成により中心軸C10を回転中心としてキルン部100を回転させる。これにより、キルン部100は、原料供給口101から受け入れた原料R10を転動させながら送出口102に搬送する。
【0034】
次に、図2を参照して、反応装置10が実行する処理について説明する。図2は、反応装置が実行する処理(反応生成物製造方法)のフローチャートである。図2に示すフローチャートは、例えば反応装置10を使用して反応生成物を製造する使用者が反応装置10を使って実行する。
【0035】
まず、使用者は、キルン部100を含む反応装置10を用意する(ステップS11)。使用者が用意する反応装置10は、上述した構成を有する。
【0036】
次に、使用者は、反応装置10を操作し、温度制御装置110にキルン部100を加熱させる。すなわち温度制御装置110は、キルン部100の内部を所定の温度に加熱する(ステップS12)。
【0037】
次に、使用者は、反応装置10を操作し、流体供給装置120に所定の流体を供給させる。また使用者は、反応装置10を操作し、流体吸引装置130に流体の吸引をさせる。これにより、流体供給装置120は、筒部103の内側に設けられた流体供給口122から所定の流体を放出するとともに、流体吸引装置130は、筒部103の内側に設けられた流体吸引口132から筒部103の内側の流体を吸引する(ステップS13)。
【0038】
次に、使用者は、原料供給口101からキルン部100に原料R10を供給する(ステップS14)。なお、使用者はフィーダ140に原料R10を投入することにより原料R10を原料供給口101に供給する。
【0039】
次に、使用者は、キルン部100を回転させることにより、原料R10を下流に搬送し、接触領域105において所定の流体と接触させる(ステップS15)。なお使用者は、キルン部100に供給した原料R10を下流に搬送するために、ステップS11の後であってステップS12の前に、キルン部100の回転を開始させるのが好ましい。このとき反応装置10は、駆動装置160を駆動することによりキルン部100を回転させる。
【0040】
次に、使用者は、送出口102から反応生成物を送出させる(ステップS16)。
【0041】
以上、反応装置10が実行する反応生成物製造方法について説明した。上述の方法は、反応装置10が原料R10から反応生成物R11を製造し、製造した反応生成物R11を送出するまでの流れに沿って示されている。しかし、反応装置10は、例えばステップS15におけるキルン部100の回転操作を、ステップS12の前から実行していてもよい。
【0042】
以上、実施の形態1について説明したが、実施の形態1の構成は上述のものに限られない。反応装置10は、流体の流れが下流側から上流側に向かう構成であってもよい。また反応装置10は、キルン部100の中央部に流体供給口122を有し、流体供給口122よりも上流側に第1の流体吸引口132を有し、さらに、流体供給口122の下流側に第2の流体吸引口132を有していてもよい。すなわちこの場合に、流体供給口122からキルン部100に供給される流体は、第1の流体吸引口132に向かうものと、第2の流体吸引口132に向かうものとに分岐してもよい。上述の構成により、ロータリーキルンである反応装置10は接触領域105において原料R10を連続的に効率よく流体に接触させることができる。よって、実施の形態1によれば、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供することができる。
【0043】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、キルン部100の内部に流体の流れを規制する機能を有する。
【0044】
図3は、実施の形態2にかかる反応装置20の側面方向の断面図である。図3に示す反応装置20は、流体供給口122および流体吸引口132の形態が反応装置10と異なる。また反応装置20は、支持部材170、邪魔板171および邪魔板172を有する点が、実施の形態1と異なる。
【0045】
実施の形態2における流体供給口122は、中心軸C10と角度αを成すように設定されている。これにより流体供給口122は邪魔板172に対向する方向に開口部を有する。換言すると、流体供給口122から放出された流体は、邪魔板172に当たり、邪魔板172に流れを規制される。これにより流体は、接触領域105に導かれ、原料R10に接触する。
【0046】
実施の形態2における流体吸引口132は、中心軸C10と角度βを成すように設定されている。これにより流体吸引口132は邪魔板171に対向する方向に開口部を有する。換言すると、接触領域105を通過した流体は、邪魔板171により規制され、その後に流体吸引口132に吸引される。
【0047】
支持部材170は、支持部であるキルンフット150から筒部103の内側に延伸する部材であって、邪魔板171および邪魔板172を支持する。なお、支持部材170は、流体供給管121または流体吸引管131を合わせて構成するものであってもよい。支持部材170はキルンフット150に固定され、さらにフィーダ140に支持されていてもよい。支持部材170は支持部であるフィーダ140に固定され、フィーダ140から筒部103に延伸するものであってもよい。また支持部材170は、フィーダ140に固定され、さらにキルンフット150に支持されていてもよい。
【0048】
邪魔板171は、流体吸引口132と送出口102との間に配置された板状の部材である。邪魔板171は、キルン部100の回転を妨げないように支持部材170に支持されている。邪魔板171は、筒部103において流体供給口122と流体吸引口132との間に形成される空間である接触領域105の外側において中心軸C10に平行な方向の流体の流れを規制する。すなわち邪魔板171が配置されることにより、反応装置20は、接触領域105を通過した流体を好適に流体吸引口132に導き、この流体を吸引できる。
【0049】
邪魔板172は、原料供給口101と流体供給口122との間に配置された板状の部材であって、邪魔板171と同様に支持部材170に支持されている。邪魔板172は、筒部103において接触領域105の外側において中心軸C10に平行な方向の流体の流れを規制する。すなわち邪魔板172が配置されることにより、反応装置20は、流体供給口122が放出した流体、好適に接触領域105に導くことができる。
【0050】
上述のように、邪魔板171および邪魔板172は、中心軸C10に平行な方向に沿って流体供給口122と流体吸引口132とを挟み込むように一端側と他端側とにそれぞれ設けられている。これにより反応装置20は、好適に接触領域105を形成し、接触領域105において流体と原料R10とを接触させることができる。さらに反応装置20は原料R10と接触した後の流体を効率よく吸引できる。
【0051】
なお、本実施の形態における邪魔板の形状は、本実施の形態の目的を実現するために、凹凸や湾曲などの形状を有していてもよい。図3に示す邪魔板171および邪魔板172はその上部が上流側に折れ曲っている。これは流体供給装置120から供給された流体の流れを好適に形成する目的である。また邪魔板171および邪魔板172は、その下部が下流側に折れ曲っている。これは原料R10がスムーズに下流側に運搬されることを目的としている。邪魔板は、上述の形状以外に、種々の形状を有することができる。
【0052】
次に、図4を参照して邪魔板の構成についてさらに説明する。図4は、実施の形態2にかかる反応装置20の正面方向の断面図である。図4は、図3のIV-IV断面を中心軸C10に平行な方向から観察した断面図である。
【0053】
反応装置20は、円環状に構成されたキルン部100の外周に温度制御装置110が設けられている。また反応装置20は、キルン部100の内部に支持部材170、邪魔板171、流体供給装置120および流体吸引装置130を有している。
【0054】
支持部材170は延伸方向に沿ってその内部に管状の孔である流体供給装置120と流体吸引装置130とが形成されている。また図4に示す断面図において、流体吸引装置130は支持部材170の下部から突出し、流体吸引口132を構成している。
【0055】
邪魔板171は筒部103の内壁に接触しない程度に離間した円盤形状を呈している。また邪魔板171はその下部においては、原料R10が通過するための空間を確保するために、筒部103の内壁からの距離が比較的に大きくなっている。これにより、接触領域105において、流体は好適に原料R10に接触し、さらに邪魔板171に規制されることにより流体吸引口132から吸引される。また接触領域105において原料R10は好適に流体に接触し、さらに邪魔板171の下部に設けられた空間から下流に搬送される。
【0056】
以上、実施の形態2について説明した。上述の構成により、反応装置20は効率よく反応生成物R11を製造できる。すなわち本実施の形態によれば、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供することができる。
【0057】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。図5は、実施の形態3にかかる反応装置30の側面方向の断面図である。反応装置30は、流体供給装置、流体吸引装置、邪魔板および接触領域の構成が実施の形態2と異なる。また反応装置30は、温度制御装置110の態様が実施の形態2と異なる。
【0058】
本実施の形態における流体供給装置120は、中心軸C10に平行な方向に沿った異なる位置において複数の流体を別個に供給可能に複数の第1流体供給口122Aおよび第2流体供給口122Bを有する。これにより反応装置30は複数の異なる位置において別個に流体を供給できる。
【0059】
また本実施の形態における反応装置30は、邪魔板173を有している。邪魔板173は、第1流体供給口122Aと第2流体供給口122Bとの間において中心軸C10に平行な方向の流体の流れを規制する。邪魔板173により、反応装置30は、第1流体供給口122Aが放出する流体の流れと第2流体供給口122Bが放出する流体の流れとを分離して制御できる。
【0060】
さらに、本実施の形態における流体吸引装置130は、第1流体吸引口132Aと第2流体吸引口132Bとを有している。第1流体吸引口132Aは、第1流体供給口122Aが放出する流体を吸引するように設けられている。第2流体吸引口132Bは、第2流体供給口122Bが放出する流体を吸引するように設けられている。すなわち流体吸引装置130は、複数の流体供給口のそれぞれに対応して設けられた複数の流体吸引口を有する。
【0061】
上述の構成により、反応装置30は、第1接触領域105Aと第2接触領域105Bとを構成する。すなわち第1接触領域105Aにおいて、第1流体供給口122Aから供給された流体は、原料R10と接触し、その後に第1流体吸引口132Aにより吸引される。第1接触領域105Aは、邪魔板172と邪魔板173とに挟まれている。これにより第1接触領域105Aは好適に流体と原料R10とを接触させられる。
【0062】
また第2接触領域105Bにおいて、第2流体供給口122Bから供給された流体は、原料R10に接触し、その後に第2流体吸引口132Bにより吸引される。第2接触領域105Bは、邪魔板173と邪魔板171とに挟まれている。これにより第2接触領域105Bは好適に流体と原料R10とを接触させられる。
【0063】
本実施の形態における反応装置30において、流体供給装置120は、第1流体供給口122Aと第2流体供給口122Bとにそれぞれ異なる種類の流体(例えば第1流体と第2流体)が流れるように構成されていてもよい。すなわちこの場合、流体供給装置120は、第1流体を供給する第1流体供給管121Aおよび第1流体供給口122Aと、第2流体を供給する第2流体供給管121Bおよび第2流体供給口122Bと、を有する。またこの場合において、第1接触領域105Aは、原料R10と第1流体とが接触する。第2接触領域105Bは、第1接触領域105Aより下流において第1流体に接触した後の原料R10と第2流体とが接触する。そして、流体吸引装置130は、第1接触領域105Aにおいて第1流体を吸引し、第2接触領域105Bにおいて第2流体を吸引する。
【0064】
なお、流体吸引装置130は、第1流体吸引口132Aに対応した第1流体吸引管131Aを有するとともに、第2流体吸引口132Bに対応した第2流体吸引管131Bを有するものであってもよい。このような構成により、反応装置30は異なる接触領域における流体を分離して吸引できる。
【0065】
上述の構成により、反応装置30は、第1接触領域105Aと第2接触領域105Bとの間に、第1流体の流れと第2流体の流れとを仕切るための邪魔板173を有しているため、それぞれの接触領域を好適に分離し、それぞれの領域において所望の反応を生じさせることができる。
【0066】
またこの場合、キルン部100の温度を制御する温度制御装置110は、第1接触領域105Aの温度を制御する第1温度制御部110Aと、第2接触領域105Bの温度を制御する第2温度制御部110Bと、を有しうる。これにより温度制御装置110は、複数の接触領域に対して別個に温度制御を行うことができる。例えば温度制御装置110は、第1温度制御部110Aにより第1接触領域105Aの温度が500度になるように制御し、第2温度制御部110Bにより第2接触領域105Bの温度が1000度になるように制御する。
【0067】
以上、実施の形態3について説明した。なお、上述の反応装置30は、接触領域105が2つであったが、反応装置30は、3つ以上の異なる接触領域を有してもよい。また温度制御装置110は、例えば図5の構成において、邪魔板171の下流側を冷却する冷却装置を有していてもよい。また上述の反応装置30が有する接触領域105のそれぞれに対応する流体供給口122と流体吸引口132とはそれぞれ1つずつ配置されていた。しかし、接触領域105とこれに対応する流体供給口122と流体吸引口132との構成は、これに限られない。すなわち反応装置30において1つの接触領域105に対応する流体供給口122の数は1つでもよいし、1以上であってもよい。また反応装置30において1つの接触領域105に対応する流体吸引口132の数は1つでもよいし、1以上であってもよい。
【0068】
上述の構成により、反応装置30は、1つのキルン部100において、それぞれ環境が異なる複数の領域を設定できる。よって、実施の形態3によれば、所望の製品を効率よく製造する反応装置等を提供することができる。
【0069】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4について説明する。図6は、実施の形態4にかかる反応装置40の側面方向の断面図である。実施の形態4にかかる反応装置40は、邪魔板の形態が実施の形態2と異なる。
【0070】
本実施の形態における支持部材170は、キルンフット150に固定されるとともに、フィーダ140に支持されている。このような構成により、支持部材170は、キルン部100の延伸方向に沿って形成された任意の邪魔板を支持できる。
【0071】
反応装置40は、邪魔板174および邪魔板175を有している。邪魔板174は、接触領域105において中心軸C10に平行な方向に沿って流体の流れを規制する。
【0072】
反応装置40において、流体供給口122から放出された流体は、上流側から下流側に流れる。原料供給口101から供給された原料R10も、下流側である送出口102に向かって搬送される。邪魔板174は、筒部103の接触領域105において、上述の流れを規制する。すなわち、邪魔板174は、接触領域105において流体が通過する流路の断面積が変化するように構成され得る。
【0073】
これにより流体供給口122から放出された流体は、接触領域105における流速や流れる方向が変化し得る。あるいは流体供給口122から放出された流体は、接触領域105において、流れる方向に沿って流束が変化し得る。またこれに伴い、流体と接触する原料R10は、移動速度や移動方向が変化し得る。
【0074】
なお、邪魔板174は、中心軸C10に平行な方向に加えて、キルン部100の回転方向に沿って流体の流れを規制してもよい。例えば邪魔板174は、螺旋状に流体の流れを規制するものであってもよい。上述の構成により、邪魔板174は転動流動する原料R10に対して好適に流体の流れを規制できる。
【0075】
図6に示す具体例について説明する。接触領域105において、邪魔板174は上流から下流に向かって徐々に筒部103との距離が離れるように形成されている。接触領域105における比較的に上流側において、邪魔板174の下面と筒部103の内壁とが形成する流束は断面積D10である。接触領域105における中央部において、邪魔板174の下面と筒部103の内壁とが形成する流束は断面積D10より大きい断面積D20である。さらに接触領域105における下流側の端部において、邪魔板174の下面と筒部103の内壁とが形成する流束は断面積D20より小さい断面積D30である。
【0076】
上述の構成により、接触領域105において、流体は、上流から中央部に向かって流速が低下し、中央部では原料R10と流体は比較的に滞留時間が長くなる。これにより、反応装置40は接触領域105において流体とR10との接触時間を比較的に長くすることができる。よって実施の形態4によれば、所望の製品を製造するための反応を促進し、効率よく製造する反応装置等を提供することができる。
【0077】
また図6に示す邪魔板174は、接触領域105と送出口102との間において、流体吸引口132の下方における流体を中心軸C10に平行な方向に規制する。これにより、流体と、接触領域105を通過して生成された反応生成物とは、スムーズに送出口102に移動する。なお、送出口102において、反応生成物R11は自重により反応生成物出口151に落下し、流体は流体吸引口132に吸引される。
【0078】
また図6に示す邪魔板175は、原料供給口101と流体供給口122との間に位置し、原料供給口101から流入してくる外気の流入を規制する。また邪魔板175はその下部において筒部103との間に隙間を形成する。これにより、邪魔板175は、外気の流入を抑制しつつ、原料R10が流入することを妨げない。さらに邪魔板175は、上流側に配置された流体供給口122から放出される流体を好適に接触領域105に案内する。
【0079】
<実施の形態5>
次に、図7を参照して実施の形態5について説明する。図7は、実施の形態5にかかる反応システムの構成図である。図7に示す反応システム1は、2つの反応装置10すなわち第1反応装置10Aおよび第2反応装置10Bが直列に連結されたシステムである。図7には、第1反応装置10Aと第2反応装置10Bとが連結した状態が模式的に示されている。反応システム1は、第1反応装置10Aにおける反応生成物の反応生成物出口151Aと、第2反応装置10Bにおける原料投入口141Bとが連結している。
【0080】
図に示す第1反応装置10Aは、原料投入口141Aから受け入れた原料R10に対して所定の物理的刺激Aを与えることにより反応生成物Aを生成する。第1反応装置10Aは、生成した反応生成物Aを、反応生成物出口151Aから送出する。
【0081】
第2流体制御領域140Aは、第1反応装置10Aの反応生成物出口151Aから送出された反応生成物Aを原料投入口141Bに受け入れる。第2反応装置10Bは所定の物理的刺激Bを与えることにより反応生成物Aから反応生成物Bを生成する。第2反応装置10Bは、生成した反応生成物Bを、反応生成物出口151Bから送出する。
【0082】
以上、実施の形態5について説明した。なお、上述の反応システム1において、第1反応装置10Aおよび第2反応装置10Bの一方または両方は、もちろん反応装置20、反応装置30または反応装置40のうちいずれかであってもよい。また反応システム1は、3つ以上の反応装置が連結するものであってもよい。このような構成により、実施の形態5にかかる反応システム1は、原料に対して、攪拌、転動、加熱、冷却などの複数の物理的刺激を連続して付与できる。またこのような構成により、反応システム1は、システム自体の柔軟な配置および柔軟なシステム構成を可能とする。すなわち、実施の形態5によれば、複数の反応を要する所望の製品を効率よく製造する反応システムを提供することができる。
【0083】
<実施の形態6>
次に、図8を参照して実施の形態6について説明する。図8は、実施の形態6にかかる反応システムの構成図である。図8に示す反応システム2は主な構成として、造粒装置210および反応装置10を有している。
【0084】
造粒装置210は、粉粒体である原料に圧力を加えて造粒物を製造する。造粒物は例えば数十ミクロンから数百ミクロン程度の2次粒子から成る粉粒体に例えば10メガパスカルから700メガパスカルの圧力を加えることにより製造する。圧力を加える手段は特に限定されないが、生産の効率を考慮すると、回転する金型ロールを用いた連続加圧方式が望ましい。造粒物の形状は特に限定されないが、造粒装置210における搬送しやすさを考慮すると、球状、円盤状、もしくは楕円体状のようなタブレット形状を有していることが望ましい。造粒物の大きさは、造粒物の直径もしくは長辺の長さが数ミリメートルから数十ミリメートルとすることが目安であるが、30ミリメートル以下とすることが望ましい。また、造粒装置210における反応の効率を考慮すると、各々の造粒物の大きさは、互いに同じくらいであることが望ましい。また、造粒物の製造において加圧する際は、造粒性の向上や造粒物を反応させた後の解砕性の向上を目的として、例えばビニル基やイミド基を有するバインダ樹脂を微量添加しながら造粒してもよいし、有機高分子結合剤をあらかじめ混合した原料を用いてもよい。造粒装置210は、製造した造粒物を原料投入口141に供給する。
【0085】
反応装置10は、原料投入口141において造粒物を受け入れると、受け入れた造粒物をキルン部100に供給する。反応装置10は、受け入れた造粒物に対して所定の雰囲気と物理的刺激を付与し、反応生成物を生成する。反応装置10は反応生成物を生成すると、生成した反応生成物を反応生成物出口151から送出する。
【0086】
以上、実施の形態6について説明した。本実施の形態にかかる反応システム2は、造粒装置210において原料に圧力を付与し、次いで、雰囲気が制御された反応装置10において熱を加えながら攪拌する。これにより、反応システム2は例えば酸化物系固体電解質や硫化物系固体電解質を連続的に製造できる。すなわち、実施の形態6によれば、所望の反応生成物を効率よく連続的に製造できる。
【0087】
<実施の形態7>
次に、実施の形態7について説明する。図9は、実施の形態7にかかる電池用材料製造システム3の構成図である。図9に示す電池用材料製造システム3は、例えば固体二次電池の固体電解質シートおよび電池積層体を製造するためのシステムである。電池用材料製造システム3は主な構成として第1工程領域P31、第2工程領域P32、第3工程領域P33および第4工程領域P34を有する。すなわち電池用材料製造システム3は、上述の第1工程、第2工程、第3工程および第4工程を経ることにより電池用材料を製造する。
【0088】
以下に示す例は、電池用材料製造システム3を用いて固体電解質シートおよび電池積層体を製造するものである。第1工程領域P31において、電池用材料製造システム3は、固体電解質を製造する。第1工程領域P31は主な構成として、造粒装置210および反応装置10を有する。
【0089】
第1工程領域P31において、造粒装置210は粉粒体である原料を受け入れ、圧力を加えてタブレット状の造粒物を製造する。造粒装置210は、製造した造粒物を、反応装置10に供給する。反応装置10は受け入れた造粒物を加熱しながら攪拌し、固体電解質を製造する。反応装置10は、製造した固体電解質を第2工程領域P32に供給する。
【0090】
第2工程領域P32において、電池用材料製造システム3は、固体電解質とバインダ樹脂との混合と混練を行う。第2工程領域P32は、押出機350を有する。押出機350は、第1工程領域P31において生成された固体電解質と、別途供給されるバインダ樹脂とを併せて受け入れ、受け入れた固体電解質とバインダ樹脂とを混合および混練して混練物を製造する。押出機350は、製造した混練物を第3工程領域P33に供給する。
【0091】
第3工程領域P33において、電池用材料製造システム3は、第2工程領域P32から混練物を受け入れ、受け入れた混練物から固体電解質シートを製造する。第3工程領域P33は主な構成として、押出成形機360、コータ370、乾燥機380および圧延機390を有する。
【0092】
押出成形機360は、押出機350から混練物を受け入れ、受け入れた混練物を押出成形してシート状の成形物を連続的に製造する。このとき第3工程領域P33は、押出成形機360が押し出したシートに不織布などの基材361を合わせて一体化してもよい。すなわち第3工程領域P33は、シート製造装置を含む。なお、押出成形機360はシート製造装置360と称されてもよい。
【0093】
次にコータ370は、成形物の表面に所定の正極活物質等を塗布する。さらに乾燥機380は、所定の正極活物質等が塗布された成形物を乾燥し、圧延機390に供給する。圧延機390は、乾燥した成形物を圧延して第4工程領域P34に供給する。
【0094】
第4工程領域P34において、電池用材料製造システム3は、所定のシートを貼り合わせ、これを巻き取る工程を有する。第4工程領域P34は主な構成として、ラミネータ400および巻取機410を有する。ラミネータ400は、圧延機390から供給されるシート状の成形物に、負極活物質を含む負極シート401(または電極シート)を貼り合わせ、貼り合わせた電池積層体を巻取機410に供給する。巻取機410は、電池積層体を巻き取る。
【0095】
以上、電池用材料製造システム3の構成および電池用材料製造システム3が実行する電池用材料製造方法について説明した。本実施の形態にかかる電池用材料製造システム3は、複数の反応を要する固体電解質等の反応生成物を一貫して効率よく製造し、製造した反応生成物を用いて連続的にシートを製造できる。なお、本実施の形態にかかる電池用材料製造システム3は、図9に示したものに限られない。例えば電池用材料製造システム3は例えば第4工程領域P34における巻取機410を有していなくてもよい。
【0096】
また図9に示すシステムは、電池用材料ではない所定の材料を製造することもできる。すなわち、図9に示すシステムは、材料製造システムまたは固体電解質製造システムと称することが出来る。また、かかる材料製造システムが実行する方法を、材料製造方法と称することが出来る。
【0097】
また図9に示す電池用材料製造システム3は、上述のように、第3工程領域P33において固体電解質シートを製造し、且つ、第4工程領域P34において負極シートを含む電解質シートをラミネートすることができる。これにより、電池用材料製造システム3は、電池積層体を製造することが出来る。すなわちこの場合、図9に示すシステムを、電池製造システムと称し、図9に示すシステムが実行する方法を、電池製造方法と称することが出来る。
【0098】
以上に述べたように、実施の形態7によれば、所望の電池用材料、電池または所定の材料を効率よく製造するためのシステムまたはその方法を提供できる。
【0099】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
1、2 反応システム
3 電池用材料製造システム
10、20、30、40 反応装置
100 キルン部
101 原料供給口
102 送出口
103 筒部
104 軸受け
105 接触領域
105A 第1接触領域
105B 第2接触領域
106 従動部
110 温度制御装置
110A 第1温度制御部
110B 第2温度制御部
120 流体供給装置
121 流体供給管
122 流体供給口
130 流体吸引装置
131 流体吸引管
132 流体吸引口
140 フィーダ
141 原料投入口
150 キルンフット
151 反応生成物出口
160 駆動装置
161 駆動力伝達部
170 支持部材
171、172、173、174、175 邪魔板
210 造粒装置
350 押出機
360 シート製造装置
361 基材
370 コータ
380 乾燥機
390 圧延機
400 ラミネータ
401 負極シート
410 巻取機
A10 リード角
C10 中心軸
C11 中央領域
C12 螺旋
R10 原料
R11 反応生成物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9