(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153905
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】近視進行の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 33/34 20060101AFI20231011BHJP
A61P 27/10 20060101ALI20231011BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231011BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231011BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231011BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231011BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20231011BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20231011BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61K33/34
A61P27/10
A61P43/00 111
A61K45/00
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/107
A61K9/06
A61K9/70
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023123138
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2020537217の分割
【原出願日】2019-01-07
(31)【優先権主張番号】62/614,230
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513256479
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ユタ リサーチ ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】University of Utah Research Foundation
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】バール、ランドン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アンバーティ、バラムラリ、ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】モロキア、サラ エー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】近視の進行を治療または予防するための眼科用組成物を提供する。
【解決手段】近視の進行を治療または予防する方法において使用するための眼科用組成物であって、前記眼科用組成物は、治療期間中に対象の眼に治療的有効量で投与されるものであり、前記眼科用組成物は、近視の進行を治療するのに十分な量で、対象の眼の角膜リシルオキシダーゼ活性を増加させるのに十分な量の唯一の銅含有剤としての過塩素酸銅と、薬学的に許容される担体とを有するものである、組成物とする。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近視の進行を治療または予防する方法であって、前記方法は、
治療期間中に対象の眼に治療的有効量の眼科用組成物を投与する工程を有し、
前記眼科用組成物は、
近視の進行を治療するのに十分な量で、対象の眼の角膜リシルオキシダーゼ活性を増加させるのに十分な銅含有剤の量と、
薬学的に許容される担体と
を有するものである、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記眼科用組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、デポ、フィルム、ゲル化懸濁液、コンタクトレンズ、または、涙点プラグの1つとして製剤化される、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記眼科用組成物は、約2日から約6ヶ月の期間にわたって前記銅含有剤を放出するように構成された持続性組成物として製剤化される、方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、投与が、前記眼の盲嚢への前記組成物の配置、前記眼の結膜円蓋への前記組成物の配置、および、前記眼のテノン嚢下の空間への前記組成物の配置の1つ以上を介して行われるものである、方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、前記眼科用組成物は、平均して、1日あたり約0.0001μg~約5500μgの銅を前記対象の眼に送達するように構成される、方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記銅含有剤は、前記組成物中に約0.000001重量%~約15重量%の量で存在する、方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記組成物中に存在する銅の量は、約0.00001mg/ml~約1mg/mlの量である、方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記銅含有剤は、硫酸銅、炭酸銅、酢酸銅、塩化銅、水酸化銅、グルコン酸銅、臭化銅、フッ化銅、硝酸銅、ヨウ化銅、過塩素酸銅、モリブデン酸銅、チオシアン酸銅、酒石酸銅、テトラフルオロホウ酸銅、セレン化銅、ピロリン酸銅、GHK-銅、硫酸テトラアミン銅、ヒスチジン銅、グリシン酸銅、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記薬学的に許容される担体は、等張化剤、可溶化剤、増粘剤、ポリマー、緩衝剤、保存剤、pH調整剤、および水の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、約200mOsm/kg~約600mOsm/kgの張度を有する、方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、約5.5~約8.5のpHを有する、方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、追加の活性成分をさらに有する、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法において、前記追加の活性成分は、リボフラビン、ローズベンガル、ヒドロキシリジン、カルシウム含有剤、マグネシウム含有剤、銀含有剤、アルミニウム含有剤、亜鉛含有剤、鉄含有剤、アサイー抽出物、デコリン、バイグリカン、ケラトカン、ルミカン、ミミカン、フィブロモジュリン、VI型コラーゲン、X型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、アトロピン、ホマトピン、シクロペントレート、ピレンゼピン、7-メチルキサンタニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、方法。
【請求項14】
請求項12記載の方法において、前記追加の活性成分は、約0.001重量%~約0.1重量%の量で前記組成物に含まれる、方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記眼科用組成物は点眼薬として製剤化され、約5μl~約100μlの滴容量で前記組成物を滴下方式で分配するように適合された容器に入れて運ばれる、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記剤形は、前記眼科用組成物の1滴あたり約0.0001μg~約500μgの銅を提供する、方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、それを必要とする眼ごとに1日あたり1~4時点で投与される、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記組成物の約5μl~約100μlが各時点で投与される、方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記組成物は、伸長した近視眼を再形成するように構成された眼形成装置と関連して投与される、方法。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、前記対象は、約3歳から約25歳のヒト対象である、方法。
【請求項21】
請求項1記載の方法において、前記治療期間は約6ヶ月~約5年である、方法。
【請求項22】
近視の進行を治療するための眼科用組成物であって、
近視の進行を治療するのに十分なリシルオキシダーゼ調節量の銅含有剤と、
薬学的に許容される担体と
を有する、組成物。
【請求項23】
請求項22記載の組成物において、前記眼科用組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、デポ、フィルム、ゲル化懸濁液、コンタクトレンズ、または、涙点プラグの1つとして製剤化される、組成物。
【請求項24】
請求項22記載の組成物において、前記眼科用組成物は、約2日から約6ヶ月の期間にわたって前記銅含有剤を放出するように構成された持続性組成物として製剤化される、組成物。
【請求項25】
請求項24記載の組成物において、前記眼科用組成物は、平均して、1日あたり約0.0001μg~約500μgの銅を対象の眼に送達するように構成される、組成物。
【請求項26】
請求項22記載の組成物において、前記銅含有剤は、約0.000001重量%~約15重量%の量で存在する、組成物。
【請求項27】
請求項22記載の組成物において、前記組成物中に存在する銅の量は、約0.00001mg/ml~約1mg/mlの量である、組成物。
【請求項28】
請求項22記載の組成物において、前記銅含有剤は、硫酸銅、炭酸銅、酢酸銅、塩化銅、水酸化銅、グルコン酸銅、臭化銅、フッ化銅、硝酸銅、ヨウ化銅、過塩素酸銅、モリブデン酸銅、チオシアン酸銅、酒石酸銅、テトラフルオロホウ酸銅、セレン化銅、ピロリン酸銅、GHK-銅、硫酸テトラアミン銅、ヒスチジン銅、グリシン酸銅、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項29】
請求項22記載の組成物において、前記薬学的に許容される担体は、等張化剤、可溶化剤、増粘剤、ポリマー、緩衝剤、保存剤、pH調整剤、および水の少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項30】
請求項22記載の組成物において、前記組成物は、約200mOsm/kg~約600mOsm/kgの張度を有する、組成物。
【請求項31】
請求項22記載の組成物において、前記組成物は、約5.5~約7.8のpHを有する、組成物。
【請求項32】
請求項22記載の組成物において、前記組成物は、追加の活性成分をさらに有する、組成物。
【請求項33】
請求項32記載の組成物において、前記追加の活性成分は、リボフラビン、ローズベンガル、ヒドロキシリジン、カルシウム含有剤、マグネシウム含有剤、銀含有剤、アルミニウム含有剤、亜鉛含有剤、鉄含有剤、アサイー抽出物、デコリン、バイグリカン、ケラトカン、ルミカン、ミミカン、フィブロモジュリン、VI型コラーゲン、X型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、アトロピン、ホマトピン、シクロペントレート、ピレンゼピン、7-メチルキサンタニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項34】
請求項32記載の組成物において、前記追加の活性成分は、約0.001重量%~約0.1重量%の量で前記眼科用組成物に含まれる、組成物。
【請求項35】
局所眼科用剤形であって、
前記剤形は、点眼薬として製剤化され、約5μl~約100μlの滴容量で前記組成物を滴下方式で分配するように適合された容器に入れて運ばれる、請求項22~34のいずれか1つに記載の眼科用組成物を有する、剤形。
【請求項36】
請求項35記載の剤形において、前記剤形は、前記眼科用組成物の1滴あたり約0.0001μg~約500μgの銅を提供する、剤形。
【請求項37】
請求項35記載の剤形において、前記容器は、約5μl~約100μlの滴容量で前記組成物を分配するように適合されている、剤形。
【請求項38】
治療期間中に治療的有効量で対象の眼に投与した場合に少なくとも角膜リシルオキシダーゼ活性を増加させることにより近視の進行を治療する眼科用医薬品の調製における銅含有薬剤の使用。
【請求項39】
請求項38記載の使用において、前記眼科用医薬品は、溶液、懸濁液、乳濁液、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、デポ、フィルム、ゲル化懸濁液、コンタクトレンズ、または、涙点プラグの1つとして製剤化される、使用。
【請求項40】
請求項38記載の使用において、前記眼科用医薬品は、約2日から約6ヶ月の期間にわたって前記銅含有剤を放出するように構成された持続性組成物として製剤化される、使用。
【請求項41】
請求項40記載の使用において、投与が、前記眼の盲嚢への前記組成物の配置、前記眼の結膜円蓋への前記組成物の配置、および、前記眼のテノン嚢下の空間への前記組成物の配置の1つ以上を介して行われるものである、使用。
【請求項42】
請求項40記載の使用において、前記眼科用組成物は、平均して、1日あたり約0.0001μg~約5500μgの銅を前記対象の眼に送達するように構成される、使用。
【請求項43】
請求項38記載の使用において、前記銅含有剤は、約0.000001重量%~約15重量%の量で存在する、使用。
【請求項44】
請求項38記載の使用において、前記組成物中に存在する銅の量は、約0.00001mg/ml~約1mg/mlの量である、使用。
【請求項45】
請求項38記載の使用において、前記銅含有剤は、硫酸銅、炭酸銅、酢酸銅、塩化銅、水酸化銅、グルコン酸銅、臭化銅、フッ化銅、硝酸銅、ヨウ化銅、過塩素酸銅、モリブデン酸銅、チオシアン酸銅、酒石酸銅、テトラフルオロホウ酸銅、セレン化銅、ピロリン酸銅、GHK-銅、硫酸テトラアミン銅、ヒスチジン銅、グリシン酸銅、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、使用。
【請求項46】
請求項38記載の使用において、前記薬学的に許容される担体は、等張化剤、可溶化剤、増粘剤、ポリマー、緩衝剤、保存剤、pH調整剤、および水の少なくとも1つを含む、使用。
【請求項47】
請求項38記載の使用において、前記医薬品は、約200mOsm/kg~約600mOsm/kgの張度を有する、使用。
【請求項48】
請求項38記載の使用において、前記医薬品は、約5.5~約8.5のpHを有する、使用。
【請求項49】
請求項38記載の使用において、前記医薬品は、追加の活性成分をさらに有する、使用。
【請求項50】
請求項49記載の使用において、前記追加の活性成分は、リボフラビン、ローズベンガル、ヒドロキシリジン、カルシウム含有剤、マグネシウム含有剤、銀含有剤、アルミニウム含有剤、亜鉛含有剤、鉄含有剤、アサイー抽出物、デコリン、バイグリカン、ケラトカン、ルミカン、ミミカン、フィブロモジュリン、VI型コラーゲン、X型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、アトロピン、ホマトピン、シクロペントレート、ピレンゼピン、7-メチルキサンタニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、使用。
【請求項51】
請求項50記載の使用において、前記追加の活性成分は、約0.001重量%~約0.1重量%の量で前記眼科用組成物に含まれる、使用。
【請求項52】
請求項38記載の使用において、前記眼科用医薬品は、点眼薬として製剤化され、約5μl~約100μlの滴容量で前記組成物を滴下方式で分配するように適合された容器に入れて運ばれる、使用。
【請求項53】
請求項52記載の使用において、前記眼科用組成物の1滴あたり約0.0001μg~約500μgの銅を提供する、使用。
【請求項54】
請求項38記載の使用において、前記眼科用医薬品は、それを必要とする眼ごとに1日あたり1~4時点で投与される、使用。
【請求項55】
請求項54記載の使用において、前記組成物の約5μl~約100μlが各時点で投与される、使用。
【請求項56】
請求項38記載の使用において、前記眼科用医薬品は、伸長した近視眼を再形成するように構成された眼形成装置と関連して投与される、使用。
【請求項57】
請求項38記載の使用において、前記対象は、約3歳から約25歳のヒト対象である、使用。
【請求項58】
請求項38記載の使用において、前記治療期間は約6ヶ月~約5年である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年1月5日に提出された米国仮特許出願第62/614,230号の利益を主張し、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
近視は視力低下の原因としてよく知られている。近視の根本的な欠陥は、眼球がわずかに伸びていることで、眼球の水晶体が遠くの物体からの光を網膜の少し手前に集中させてしまうことである。矯正されていない近視は、世界の遠方視力障害の主要な原因の一つである。重度の場合、眼球が伸びることで眼球の内側の一部が伸びて薄くなり、網膜剥離、白内障、緑内障、失明などのリスクが高まる。また、近視の有病率は増加しており、2050年には世界人口の半数に影響を及ぼすと予測されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1A】
図1Aは、Cu処理に応答した角膜線維芽細胞における増加したリシルオキシダーゼ活性を示すグラフである。
【
図1B】
図1Bは、Cu処理に応答した角膜線維芽細胞における増加したリシルオキシダーゼ活性を示す別のグラフである。
【
図2】
図2は、Cu処理に応答した角膜強度の増加を示すグラフである。
【
図3】
図3は、Cu処理に応答して改善された角膜バイオメカニクスを示すチャートである。
【
図4】
図4は、Cu処理に応答した角膜ジオプター測定値の減少を示すチャートである。
【
図5A】
図5Aは、6週間のCu処理後の染色された角膜の画像を示す。
【
図5B】
図5Bは、6週間のCu処理後の染色された網膜/脈絡膜の画像を示す。
【
図6A-6F】
図6A~6Fは、BSSおよびCuSO
4処理の前後のOCT画像を示す。対照眼の
図6A、6B、および6Cは、BSS処理を受けた。治療眼の
図6D、6E、および6FはCuSO
4処理を受けた。
【
図7A】
図7Aは、CuSO
4五水和物を用いた6週間の治療計画中のアルビノモルモットにおける治療眼(OD)および非治療眼(OS)の平均屈折異常のグラフ(エラーバー付き)である。
【
図7B】
図7Bは、CuSO
4五水和物を用いた6週間の治療計画中のアルビノモルモットにおける治療眼(OD)および非治療眼(OS)の平均屈折異常のグラフ(線形適合)である。
【
図8】
図8は、6週間の治療計画後のウサギの治療眼(CuSO
4五水和物)、ビヒクル眼、および対照眼におけるLNL濃度のグラフである。
【0004】
これらの図面は、本発明の様々な態様を例示するために提供されており、請求項によって別段に制限されない限り、寸法、材料、構成、配置または比率に関して範囲を限定することを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明は、例示の目的で多くの詳細を含むが、当業者は、以下の詳細に対する多くの変形および変更を行うことができ、それらが本明細書に含まれると見なされることを理解するであろう。したがって、以下の実施形態は、記載された請求項に対する一般性を失うことなく、かつ制限を課すことなく記載されている。 また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。 他に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0006】
本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈から明確にそうでないことを示されていない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を含む。
【0007】
本開示において、「有する(comprises)」、「有する(comprising)」、「含む」および「有する(having)」などは、米国特許法においてそれらに帰属する意味を有することができ、「含む(includes)」、「含む(including)」などと意味することができ、一般に、制限のない用語であると解釈される。「からなる(consisting of)」または「からなる(consists of)」という用語は閉じた用語であり、これらの用語に関連して具体的に列挙されている構成要素、構造、工程、またはそのようなもの、および米国特許法に準拠したもののみを含む。「から本質的になる(Consisting essentially of)」または「から本質的になる(consists essentially of)」は、米国特許法によって一般的に与えられた意味を持つ。特に、このような用語は一般的に閉ざされた用語であり、それに関連して使用される項目の基本的かつ新規な特徴または機能に実質的に影響を与えない追加の項目、材料、構成要素、工程、または要素を含めることを認める例外を除いて、一般的に閉ざされた用語である。例えば、組成物中に存在するが、組成物の性質や特性に影響を与えない微量元素は、そのような用語に続く項目のリストで明示的に言及されていなくても、「から本質的になる」言語の下に存在する場合には許容されるであろう。明細書で「有する(comprising)」や「含む(including)」のような制限のない用語を使用する場合には、明示的に述べられているかのように「から本質的になる(consists essentially of)」言語と「からなる(consisting of)」言語にも直接的なサポートが与えられるべきであり、またその逆もまた然りであると理解される。
【0008】
本明細書および特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などの用語は、存在する場合、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも特定の順序または時系列を説明するために使用されるのではない。そのように使用される任意の用語は、本明細書に記載された実施形態が、例えば、本明細書に例示または他の方法で記載されたもの以外の順序で動作できるように、適切な状況下で互換性があることが理解されるであろう。同様に、方法が一連の工程を有するものとして本明細書に記載されている場合、本明細書に示されているそのような工程の順序は、必ずしもそのような工程が実行され得る唯一の順序であるとは限らず、記載されている工程の一部が省略される可能性があり、および/または本明細書に記載されていない他の特定の工程がその方法に追加される可能性がある。
【0009】
本明細書で使用される「結合された」という用語は、生物学的、化学的、機械的、電気的または非電気的な方法で直接的または間接的に接続されるものとして定義される。「直接結合された」構造または要素は、互いに接触して取り付けられている。本明細書で互いに「隣接している」と記載されている物体は、語句が使用されている文脈に応じて、互いに物理的に接触しているか、互いに非常に近接しているか、または互いに同じ一般的な範囲または領域にある場合がある。本明細書における「一実施形態では」または「一態様では」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態または態様を指すとは限らない。
【0010】
本明細書で使用される「治療薬」、「活性剤」などの用語は互換的に使用でき、適切または有効な量で対象に投与されたときに対象に有益または正の効果をもたらすことができる薬剤を指す。一態様では、治療薬または活性剤は、銅含有材料または化合物であり得る。
【0011】
本明細書で使用される薬剤の「有効量」は、薬剤の所望の特定の課題または機能を達成するのに十分な量である。組成物、薬物、または薬剤の「治療的有効量」とは、組成物、薬物、または薬剤が有効であることが知られている状態を治療または予防する際に治療上の結果を達成するために、非毒性ではあるが十分な量の組成物、薬物、または薬剤を意味する。さまざまな生物学的要因が、その意図された課題を実行する物質の能力に影響を与える可能性があることが理解されている。したがって、「有効量」または「治療的有効量」は、いくつかの例ではそのような生物学的要因に依存する可能性がある。さらに、治療効果の達成は、当技術分野で知られている評価を使用して、医師、獣医、または他の資格のある医療担当者によって測定され得るが、個人のばらつきおよび治療への応答は、治療効果の達成をやや主観的な決定にし得ることが認識される。有効量または治療的有効量の決定は、製薬科学および医学の分野における通常の技術の範囲内である。
【0012】
本明細書で使用される「治療投薬計画」または「予防投薬計画」などの「投薬計画」または「レジメン」は、意図された治療または効果を達成するために、活性剤または組成物の用量を、どのように、いつ、どのくらい、どのくらいの期間、対象に投与することができるか、または投与すべきかを意味する。
【0013】
本明細書で使用される「治療する(treat)」、「治療」、または「治療する(treating)」という用語は、無症候性または症候性のいずれかである対象への治療薬の投与を指す。言い換えれば、「治療する(treat)」、「治療」、または「治療する(treating)」は、対象に存在する状態に関連した症状を軽減、改善、または除去することであってもよいし、予防的(すなわち、対象における症状の発生を予防または軽減すること)であってもよい。
【0014】
本明細書で使用される「製剤」および「組成物」という用語は、互換的に使用され、2つ以上の化合物、要素、または分子の混合物を指す。いくつかの態様では、「製剤」および「組成物」という用語は、1つまたは複数の活性剤と担体または他の賦形剤との混合物を指すために使用され得る。組成物は、固体、液体(例えば、溶液)、気体など、ほぼすべての物理的状態をとることができる。さらに、「剤形」という用語は、対象への投与のための形式で提供される1つ以上の製剤または組成物を含むことができる。例えば、注射可能な剤形は、注射による投与に適した方法で調製された製剤または組成物であろう。
【0015】
本明細書で使用される「対象」は動物を指す。一態様では、動物は哺乳動物であってよい。別の態様では、哺乳動物はヒトであってよい。
【0016】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、または結果の完全またはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれている物体は、その物体が完全に囲まれているか、またはほぼ完全に囲まれていることを意味する。完全性からの正確な許容偏差は、特定の状況に依存する場合がある。しかし、一般的には、完成の近さは、絶対的な完全な完成が得られた場合と同様の全体的な結果が得られるようになる。「実質的に」の使用は、ある作用、特徴、特性、性質、状態、構造、項目、または結果の完全なまたは完全に近い欠如を指すために否定的な意味合いで使用される場合にも、同様に適用される。例えば、粒子を「実質的に含まない」組成物は、完全に粒子を欠いているか、またはほぼ完全に粒子を欠いているので、粒子が完全に欠けている場合と同じ効果が得られる。言い換えれば、成分または要素を「実質的に含まない」組成物は、測定可能な影響がない限り、そのような項目を実際に含むことができる。
【0017】
本明細書で使用される「増加する」、「増加した」、「減少する」、「減少した」、「より良い」、「より悪い」、「より高い」、「より低い」、「強化する」、「強化した」、「最大化する」、「最大化した」、「最小化する」、「最小化した」などの比較用語は、他の装置、組成物、製剤、成分、治療、レジメン、方法または活性の特性、結果、または効果とは測定可能な程度に異なる、装置、組成物、製剤、成分、治療、レジメン、方法または活性の特性、結果、または効果を指す。さらに、比較用語は、内因性の生物学的状態、存在、不在、活性レベル、または操作とは測定可能な程度に異なる生物学的状態、存在、不在、活性レベル、または操作を指す場合がある。比較用語は、周囲または隣接する領域、たとえば組織の領域の違いを示すために使用できる。比較用語は、化学的または生物学的構造または活性(例えば、治療活性または有効性)の違いを示すためにも使用できる。さらに、比較用語を使用して、以前または他の生物学的または生理学的結果、活性、または状態と比較した、生物学的または生理学的結果、活性、または状態の違いを示すことができる。例えば、リシルオキシダーゼ活性の増加または減少は、第1の時点でのリシルオキシダーゼの量を、第2の時点での量と比較することによって特定することができる。組成物または治療が適用された場合、そのような増加または減少は、そのような組成物または治療に起因する可能性がある。より具体的には、適用された組成物または処理によるリシルオキシダーゼの増加は、組成物または処理の適用前にリシルオキシダーゼの量を測定し、次に組成物または処理の適用後に再び測定することによって決定または他の方法で定量化できる。いくつかのケースでは、比較は、ある時点(例えば、内因性状態と治療状態)の間で単純に行われる場合がある。他の場合では、2つの異なる適用された製剤または治療(例えば、活性剤の量が異なる製剤など)によって達成された結果の間で比較を行うことができる。
【0018】
本明細書で使用される「約」という用語は、所与の値が終了点の「少し上」または「少し下」である場合に、数値範囲の終了点に柔軟性を提供するために使用される。特に明記しない限り、特定の数または数値範囲による「約」という用語の使用は、「約」という用語なしでそのような数値的な用語または範囲のサポートを提供すると理解されるべきである。例えば、便宜上および簡潔さのために、「約50マイクログラム~約80マイクログラム」の数値範囲はまた、「50マイクログラム~80マイクログラム」の範囲のサポートを提供すると理解されるべきである。さらに、本明細書では、「約」という用語が一緒に使用されている場合でも、実際の数値のサポートが提供されることを理解されたい。例えば、「約」30の列挙は、30の少し上と少し下の値だけでなく、実際の数値30のサポートも提供すると解釈される。
【0019】
本明細書で使用される場合、複数の項目、構造要素、構成要素、および/または材料は、便宜上、共通のリストで提示され得る。ただし、これらのリストは、リストの各メンバーが個別の一意のメンバーとして個別に識別されているかのように解釈されるべきである。したがって、そのようなリストの個々のメンバーは、反対を示唆することなく、共通の群でのそれらの提示のみに基づいて、同じリストの他のメンバーの事実上の等価なものとして解釈されるべきではない。
【0020】
本明細書では、濃度、量、および他の数値データを、範囲形式で表現または提示することができる。このような範囲形式は、単に便宜上、簡潔にするために使用されるものであり、したがって、範囲の制限として明示的に列挙された数値だけでなく、各数値および部分範囲が明示的に引用されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値または部分範囲を含むように柔軟に解釈される必要があることを理解されたい。例示として、「約1~約5」の数値範囲は、明示的に列挙された約1~約5の値だけでなく、示された範囲内の個々の値および部分範囲も含むと解釈されるべきである。したがって、この数値範囲には、2、3、4などの個々の値と、1~3、2~4、3~5などの部分範囲が、個別の1、2、3、4、5と同様に含まれる。
【0021】
この同じ原理は、最小値または最大値として1つの数値のみを列挙する範囲に適用される。さらに、そのような解釈は、説明されている範囲や特性の幅に関係なく適用される。
【0022】
本明細書を通して「例」への言及は、例に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所での「例において」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0023】
例示的な実施形態
発明の実施形態の最初の概要を以下に提供し、その後、特定の実施形態をさらに詳細に説明する。この最初の要約は、読者が技術的概念をより迅速に理解するのを助けることを目的としているが、その主要なまたは本質的な特徴を特定することを意図しておらず、主張された主題の範囲を制限することも意図していない。
【0024】
近視は重度の衰弱性の眼疾患である可能性がある。近視の根本的な欠陥は、眼球がわずかに伸びていることで、眼球の水晶体が網膜の少し手前で遠くの物体からの光を焦点にしてしまうことである。したがって、近視はしばしば近眼(short-sightedness)または近眼(near-sightedness)と呼ばれる。重度の場合には、この眼球の伸びが原因で眼球の内側の一部が伸びたり薄くなったりするため、網膜剥離や白内障、緑内障、失明などのリスクが高まる。このように、近視は単なる近眼よりもはるかに重症化する可能性がある。
【0025】
近視の様々な原因が示唆され、研究されており、例えば、遺伝的素因、長時間の本の読み書きやスクリーンタイム、明るい光への不適切な露出などが挙げられる。近視の根本的な原因が上記に挙げたものの1つ以上であるかどうかにかかわらず、近視に伴う眼球の伸びは、この状態に陥ったすべての人を衰弱させる可能性がある。眼は幼年期を通じて成長するため、近視は一般的に学齢期の子どもや青年期に発症し、生涯を通じてこれらの個人と一緒にとどまることができる。したがって、学齢期の子どもや青年などの個人の治療を改善することで、これらの個人の青年期と生涯の両方の生活の質を改善できる。
【0026】
したがって、本開示は、学齢期の子供、青年、または若年成人などの個体における近視の進行を治療および/または予防する組成物および方法を対象とする。いくつかの例では、近視の進行を治療および/または予防することは、治療的有効量の眼科用組成物または剤形を、それを必要とする対象に投与することを含み得る。
【0027】
一例では、眼科用組成物または剤形が本明細書に記載されている。眼科用組成物または剤形は、対象の眼におけるリシルオキシダーゼ活性を増加させるのに十分な量の銅含有剤または他の架橋剤を含むことができ、そうでなければ、対象の角膜における架橋を、近視進行を遅らせるかまたは停止させる程度に増加させることができる。組成物または剤形は、薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。いくつかの例では、剤形は、局所点眼薬として製剤化され、約5μl~約100μlの滴容量で組成物を滴下方式で分配するように適合された容器に入れられた眼科用組成物であり得る。いくつかの例では、眼科用組成物は、長期間にわたって銅含有剤を放出するように製剤化された持続放出組成物であり得る。別の実施形態では、そのような組成物または剤形を使用するための方法が記載されている。この方法は、治療期間中に、本明細書に記載されている組成物または剤形の治療的有効量を投与する工程を含むことができる。
【0028】
場合によっては、近視は角膜の硬さの低下を特徴とする場合がある。しかしながら、本明細書で提供される様々な実施形態および例によってより明らかであるように、本開示に記載される組成物、剤形、および方法は、対象の眼における角膜リシルオキシダーゼ活性を増加させることができ、角膜のコラーゲン架橋(LNL、HLNL、DHLNLなど)を増加させることができ、対象の眼の角膜組織の強度を高めることができ、および、角膜の剛性を高め、近視の角膜を平らにして個人の近視進行を治療または予防するのに役立つ、本明細書に記載されている他の多くの利点を提供することができる。
【0029】
さらに詳しくは、銅は、さまざまなタイプのコラーゲン架橋を形成する酵素であるリシルオキシダーゼ(LOX)の補因子である。したがって、銅含有塩、化合物、キレートなど、またはそれらの組み合わせを介した銅補給を使用して、コラーゲン結合を増加させることができる。そのような補給は、リシルオキシダーゼ活性を増加させることによって近視性角膜の生体力学的特性を改善することができる。角膜の剛性が低いことや、角膜が伸びていることは近視に関連する可能性があり、銅の補給は角膜の生体力学的特性を改善し、角膜の扁平化を誘発するため、局所的または他の適切な銅治療は、近視の治療および/または進行を防止するための非侵襲的で比較的費用対効果の高いツールを提供することができる。
【0030】
したがって、本明細書に記載される眼科用組成物または剤形は、対象の眼におけるリシルオキシダーゼ活性を増加させるのに十分な量の銅含有剤、または被験体における近視進行を治療または予防するのに十分な量の角膜架橋を増加させるのに十分な量の銅含有剤を含むことができる。銅含有塩、化合物、キレートなどの様々な銅含有剤を使用することができる。銅塩の非限定的な例としては、硫酸銅、炭酸銅、酢酸銅、塩化銅、臭化銅、フッ化銅、硝酸銅、水酸化銅、ヨウ化銅、過塩素酸銅、モリブデン酸銅、チオシアン酸銅、酒石酸銅、テトラフルオロホウ酸銅、セレン化銅、ピロリン酸銅、それらの水和物、類似物、またはそれらの組み合わせを挙げることができる。他の適切な銅担体は、GHK-銅、テトラアミン銅硫酸塩、銅-ヒスチジン、銅-グリシン酸塩、銅-グルコン酸塩、それらの水和物、類似物、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの特定の例では、銅含有剤は銅含有塩であり得る。いくつかの例では、銅塩は、硫酸銅(II)、または硫酸銅(II)五水和物であり得る。
【0031】
したがって、銅含有剤は、対象の眼に治療的有効量の銅を提供できる任意の適切な銅含有剤であり得る。治療的有効量は、例えば、治療前のコラーゲン架橋と比較してコラーゲン架橋を増加させることにより、近視の進行を遅延または阻止する程度に眼の角膜リシルオキシダーゼ活性を増加させるのに十分であり得る。これはまた、処理前の生体力学的強度と比較して、角膜の生体力学的強度を増加させることができる。さらに、これは、処理前のジオプターと比較して、処理された眼の角膜のジオプターを減少させることができる。
【0032】
銅含有剤の治療的有効量は、銅含有剤によって運ばれる銅の量に基づくことができる。いくつかの例では、銅含有剤は、約0.1mg/ml、約0.05mg/ml、約0.02mg/ml、約0.005mg/ml、または約0.002mg/ml未満の銅レベルを有する組成物を提供することができるが、リシルオキシダーゼ活性を増加させ、近視の進行を遅らせたり、停止させたりするのに依然として効果的である。リシルオキシダーゼ活性を増加させるのに十分な量の生物学的に利用可能な銅を維持しながら、銅誘発毒性を回避するために銅レベルを十分に低く保つことが重要であり得る。
【0033】
したがって、銅含有剤の治療的有効量は、送達ビヒクルのタイプ、銅含有剤のタイプ、所望の送達期間などに基づいて決定することができる。例えば、組成物の配合方法に応じて、組成物は、約0.00001mg/mlまたは約0.00005mg/ml~約5mg/mlまたは約50mg/mlの量の銅を含むことができる。他の例では、組成物は、約0.00006mg/ml~約0.07mg/ml、約0.0006mg/ml~約0.007mg/ml、約0.0005mg/ml~約0.03mg/ml、約0.01mg/ml~約5mg/ml、または約0.001mg/ml~約0.005mg/mlの量の銅を含むことができる。いくつかの追加の例では、組成物は、約0.0001mg/ml~約0.05mg/ml、約0.00025mg/ml~約0.015、約0.0005mg/ml~約0.00075mg/ml、または約0.0008mg/ml~約0.0011mg/mlの量の銅を含むことができる。したがって、いくつかの例では、治療的有効量は、組成物に含まれる銅の量として定義することができる。例えば、0.0025mg/mlの硫酸銅(II)五水和物の量は、組成物に約0.000636mg/ml銅の銅含有量を与える。これは、硫酸銅(II)五水和物の原子量が約249.677g/molであるが、約63.5g/molまたは薬剤の約25%のみが銅そのものであるためである。代替例として、無水酢酸銅(II)0.0018mg/mlの量は、約0.00063mg/mlの銅含有量を有する組成物を提供する。したがって、治療的有効量は、銅含有剤自体の量ではなく、銅含有剤によって提供される銅含有量に基づいて決定することができる。
【0034】
あるいは、治療的有効量は、組成物中の銅含有剤の重量%として定義することができる。この場合も、組成物の配合方法に応じて、銅含有剤の治療的有効量は、約0.00001重量%または約0.0001重量%~約5重量%、10重量%、または15重量%の量であり得る。いくつかの例では、銅含有剤の治療的有効量は、約0.05重量%~約15重量%、約0.01重量%~約10重量%、または約0.005重量%~約5重量%であり得る。他の例では、銅含有剤の治療的有効量は、約0.00001重量%~約0.0001重量%、約0.0001重量%~約0.0005重量%、約0.0001重量%~約0.0002重量%、約0.0002重量%~約0.0003重量%、または約0.0003重量%~約0.0004重量%の量であり得る。さらに他の例では、銅含有剤の治療的有効量は、約0.001重量%~約0.01重量%または約0.003重量%~約0.008重量%の量であり得る。さらに他の例では、銅含有剤の治療的有効量は、約0.01重量%~約0.1重量%、または約0.03重量%~約0.08重量%の量であり得る。これらの重量パーセントは、無水硫酸銅(II)に基づいて計算されることに注意されたい。したがって、代替の銅含有剤が使用される場合、それに応じて重量パーセントを変換することができる。
【0035】
しかしながら、組成物中の特定の量の銅含有剤は、銅含有量のすべてが投与時に生物学的に利用可能になるか、または同じ速度で生物学的に利用可能になることを必ずしも意味しない。銅のバイオアベイラビリティは、ある銅含有成分から別の成分へとある程度変化する可能性がある。さらに、銅のバイオアベイラビリティは、pH、粘度、溶解度、およびその他の構成要素の影響を受ける可能性がある。したがって、銅含有剤の治療的有効量は、特定の銅担体、pH、製剤などに関する銅のバイオアベイラビリティに基づいて調整することもできる。さらに、特定の剤形からの銅含有量の放出速度は、剤形で使用される特定の銅含有剤に基づいて調整することができる。例えば、場合によっては、溶解性の低い銅含有剤(例えば、フッ化銅、水酸化銅、炭酸銅)を使用して、組成物からの銅含有剤の放出を延長することができる。いくつかのさらなる例では、放出速度は、追加的または代替的に、特定の医薬担体または製剤タイプを介して制御することができる。
【0036】
場合によっては、銅含有剤はまた、治療的有効量の第2の活性剤または治療薬と共に投与され得る。いくつかの例では、第2の活性剤は、追加の架橋剤であり得る。いくつかの例では、第2の活性剤は、銅含有剤および/または他の架橋剤によって誘発される架橋と協調して働く追加の作用メカニズムを提供することができる。例えば、第2の活性剤は、軸方向伸長を減少させ、調節(すなわち、眼がその屈折力を変化させて、その距離が変化するときに画像への明確な焦点を維持するプロセス)など、またはそれらの組み合わせを減少し得る。そのような追加の薬剤には、リボフラビン、ローズベンガル、ヒドロキシリジン、カルシウム含有剤、マグネシウム含有剤、銀含有剤、アルミニウム含有剤、亜鉛含有剤、鉄含有剤、アサイー抽出物、デコリン、バイグリカン、ケラトカン、ルミカン、ミミカン、フィブロモジュリン、VI型コラーゲン、X型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、アトロピン、ホマトピン、シクロペントレート、ピレンゼピン、7-メチルキサンタニンなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、追加のまたは第2の活性剤は、アトロピン、ホマトロピン、シクロペントレート、ピレンゼピン、7-メチルキサンタニンなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの特定の例では、第2の活性剤はアトロピンを含むことができる。いくつかの追加の例では、第2の活性剤はホマトロピンを含むことができる。さらに追加の例では、第2の活性剤はシクロペントレートを含むことができる。さらなる例では、第2の活性剤はピレンゼピンを含むことができる。さらに別の例では、第2の活性剤は7-メチルキサンタニンを含むことができる。第2の活性剤は、一般に、約0.001重量%~約0.1重量%の量で存在することができる。他の例では、第2の活性薬剤は、約0.005重量%~約0.05重量%、または約0.007重量%~約0.02重量%の量で存在することができる。
【0037】
さらに、いくつかの例では、複数の異なる銅含有剤を、第2の活性剤または治療薬の有無にかかわらず、同時に投与することができる。いくつかの例では、銅含有剤の代わりに1つ以上の代替の架橋剤を投与できることにも留意されたい。例えば、場合によっては、代替の架橋剤は、角膜における架橋を誘導または促進するのに適した任意の二価または多価イオンまたは化合物であるか、またはそれらを含むことができる。いくつかの例では、架橋剤は、例えば、アルカリ土類金属、遷移金属、後遷移金属など、またはそれらの組み合わせなどの金属イオンであり得るか、またはそれらを含み得る。いくつかの例では、架橋剤はカチオンであるか、またはカチオンを含むことができる。いくつかの特定の例では、架橋剤は、マグネシウム、鉄、亜鉛などの二価金属イオンであるか、またはそれを含むことができる。
【0038】
銅含有剤は、薬学的に許容される担体で提供することができる。薬学的に許容される担体は、銅含有剤を送達するために様々な方法で製剤化することができる。非限定的な例には、溶液、懸濁液、乳濁液、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、結膜下注射用の製剤、テノン嚢下注射用の製剤、デポ、フィルム、持続送達マトリックス、コンタクトレンズ、綿撒糸、涙点プラグ、ゲル化懸濁液など、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。いくつかの例では、組成物は、眼への受動的送達のために製剤化され得る。他の例では、組成物は、イオントフォレーシス、エレクトロポレーション、ソノポレーションなどの眼への能動的送達のために製剤化することができる。ある特定の例では、製剤は点眼薬とすることができる。いくつかの例では、組成物は、ソフトレンズ、トーリックレンズ、ハードレンズ、強膜レンズなど、またはそれらの組み合わせなどの銅溶出コンタクトレンズとして配合することができる。コンタクトレンズは、毎日の使い捨てレンズまたは長期使用レンズ(例えば、2日使用から2週間使用以上のレンズ)であり得る。いくつかの例では、組成物は、盲嚢、結膜、テノン嚢またはテノン嚢下の空間などの眼の表面と接触して配置するための持続放出性マトリックスとして製剤化することができる。いくつかの例では、組成物は、レンズ、フィルム、カプセル、涙点プラグなど、またはそれらの組み合わせなどの生分解性装置として製剤化することができる。生分解性装置は、約1週間~約6ヶ月、または約2週間~約4ヶ月、または約1ヶ月~約2ヶ月の速度で生分解するように構成することができる。
【0039】
組成物がどのように製剤化されるかに応じて、薬学的に許容される担体は、様々な賦形剤を含み得る。例えば、薬学的に許容される担体は、可溶化剤、等張化剤、pH調整剤、増粘剤またはゲル化剤、ポリマーまたはポリマーマトリックス、保存剤、水など、およびそれらの組み合わせの1つ以上を含むことができる。
【0040】
可溶化剤の非限定的な例には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ダルベッコPBS、アルセバー溶液、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、水、HankのBSS、EarleのBSS、GreyのBSS、PuckのBSS、SimmのBSS、TyrodeのBSS、BSSプラス、リンガーの乳酸溶液、通常の生理食塩水(すなわち0.9%生理食塩水)、1/2通常の生理食塩水などの平衡塩類溶液(BSS)、またはそれらの組み合わせを含み得る。可溶化剤は、特定の製剤、治療方法などに応じて、薬学的に許容される担体中に様々な量で存在することができる。
【0041】
等張化剤の非限定的な例には、前に列挙した可溶化剤、ならびに塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、トレハロースなど、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。等張化剤を使用して、製剤の適切な等張性を提供することができる。一態様では、製剤の張度は、約200~約600ミリオスモル/リットル(mOsm/L)である。別の態様では、製剤の張度は、約250mOsm/L~約350mOsm/Lであり得る。別の態様では、製剤の張度は、約350mOsm/L~約450mOsm/Lであり得る。別の態様では、製剤の張度は、約450mOsm/L~約550mOsm/Lであり得る。さらに別の態様では、製剤の張度は、約400mOsm/L~約600mOsm/L、約400mOsm/L~約500mOsm/L、または約500mOsm/L~約600mOsm/Lであり得る。等張化剤は、特定の製剤、治療方法などに応じて、薬学的に許容される担体中に様々な量で存在することができる。
【0042】
pH調整剤の非限定的な例は、塩酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの多くの酸、塩基、およびそれらの組み合わせを含むことができる。pH調整剤を使用して、製剤に適切なpHを提供することができる。適用可能な場合、一態様では、pHは約5.5~約8.5であり得る。一態様では、pHは、約5.8~約7.8であり得る。別の態様では、pHは、約6.5~約7.8であり得る。さらに他の例では、pHは約7.0~約7.6であり得る。pH調整剤は、特定の製剤、治療方法などに応じて、薬学的に許容される担体中に様々な量で存在することができる。
【0043】
増粘剤またはゲル化剤の非限定的な例としては、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、エチルビニルアルコール、ヒアルロン酸など、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。増粘剤またはゲル化剤は、特定の製剤、治療方法などに応じて、薬学的に許容される担体中に様々な量で存在することができる。
【0044】
フィルム、コンタクトレンズなどのためのポリマーマトリックスを調製するために使用することができるポリマーの非限定的な例は、生分解性または非生分解性ポリマーを含むことができる。ポリマーまたはポリマーの組み合わせの非限定的な例としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリオルソエステル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリシロキサン、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(乳酸とグリコリドの含有量の異なる比率、および酸またはエステル末端などの末端基)、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカメロース、ポリカプロラクトン、ヒアルロン酸、アルブミン、塩化ナトリウムブロックコポリマー、それらの塩など、またはそれらの組み合わせを含むことができる。ポリ乳酸-ポリグリコール酸ブロックコポリマー(PLGA)、ポリグリコール酸-ポリビニルアルコールブロックコポリマー(PGA/PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリカプロラクトン-ポリエチレングリコールブロックコポリマー、クロスカルメロースなどの特定のコポリマーは、望ましい場合、生分解性マトリックスに特に効果的であり得る。
【0045】
いくつかの例では、組成物は熱応答性ポリマーを含むことができる。熱応答性ポリマーの非限定的な例には、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ[2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート]、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ビニルカプロラクタム)、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ABCBAタイプのペンタブロックポリマー、キトサンなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。このような熱応答性ポリマーは、特定の銅含有剤を一定の温度範囲内で結合または機能化することができ、組成物を眼に接触させる、組成物の投与後に眼に熱源を適用するなど、周囲環境の温度を変化させると、銅含有剤を放出する。
【0046】
保存料の非限定的な例には、塩化ベンザルコニウム(BAK)、セトリモニウム、過ホウ酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその様々な塩形態、クロロブタノールなどが含まれ得る。保存剤は、特定の製剤、治療方法などに応じて、薬学的に許容される担体中に様々な量で存在することができる。
【0047】
1つの特定の例では、薬学的に許容される担体は、点眼薬として製剤化することができ、PBS、BSS、または他の適切な溶解性もしくは等張化剤を含むことができる。別の特定の例では、薬学的に許容される担体は、点眼薬として製剤化でき、人工涙液(例えば、RefreshTears(登録商標)、Genteal(登録商標)、OasisTears(登録商標)など)を含むことができる。いくつかの追加の例では、薬学的に許容される担体は、薄いフィルム、軟膏、ゲル化懸濁液、涙点プラグ、またはコンタクトレンズとして製剤化することができる。
【0048】
眼科用組成物がどのように製剤化されるかに関係なく、眼科用組成物は、銅含有剤の治療的有効量を投与するための眼科用剤形として使用することができる。いくつかの例では、眼科用剤形は、投与事象あたり約0.0005μg~約0.5μgの銅を提供することができる。さらに他の例では、眼科用剤形は、投与事象あたり約0.006μg~約0.06μg、約0.01μg~約0.03μg、または約0.016μg~約0.044μgの銅を提供することができる。他の例では、眼科用剤形は、平均して、1日あたり約0.0005μg~約5μgの銅を提供することができる。さらに他の例では、眼科用剤形は、平均して、約0.001μg~約2μg、約0.006μg~約0.24μg、約0.01μg~約0.12μg、または約0.016μg~約0.18μgの銅を1日に提供することができる。剤形によって提供される銅のすべてが必ずしも生物学的に利用可能になるわけではないが、いくつかの例では利用可能であることに留意されたい。
【0049】
いくつかの例において、眼科用剤形は、治療的有効量の銅含有剤を提供するための有効な投薬計画で使用することができる。いくつかの例では、眼科用剤形は、銅含有剤の毎日の投与のために製剤化することができる。この場合、有効な投薬計画は、点眼剤形を1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、またはそれ以上の投与を含むことができる。
【0050】
さらに他の例では、点眼剤形は、生分解して、別の方法で所定の期間にわたって銅含有剤の制御放出または持続放出を提供するように製剤化することができる。さらに他の例では、点眼剤形は、制御された方法または持続的な方法で非生分解性マトリックスから銅含有剤を放出するように製剤化することができる。これらのような例において、剤形は、必要に応じて、数時間、数日、または数週間にわたって銅含有剤を放出するように製剤化することができる。一部の特定の例では、剤形は、1週間あたり約0.005mcg~約250mcgの銅を送達するように製剤化することができる。さらに他の例では、剤形は、約0.008mcg~約200mcg/週、約0.01mcg~約150mcg/週、または約0.1mcg~約100mcg/週を送達するように製剤化することができる。さらに、剤形は、典型的には、ゼロ次薬物放出動態を有するように製剤化され得るが、これは必須ではない。
【0051】
いくつかの例において、剤形は、さらなる希釈または調製なしに投与する準備ができている事前混合された組成物として、容器に保持または保管することができる。いくつかの実施形態において、単一の容器は、単回投与に適切であるが、複数回投与に適切である量より少ない組成物の容量または量を保持することができる。さらに他の例では、単一の容器が、複数回投与に適した容量または量の組成物を保持することができる。
【0052】
多くの適切な容器を使用することができる。一態様では、容器は、琥珀色の容器であり得る。いくつかの例では、容器は、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなど、またはそれらの組み合わせで作ることができる。いくつかの例では、容器は、約0.5ml~約50mlの容量を有することができる。別の態様では、容器は、約1ml~約30ml、約5ml~約20ml、または約3ml~約15mlの容量を有することができる。一態様では、容器は、治療組成物または剤形の単回用量を保持することができる。別の態様では、容器は、治療組成物または剤形の複数の用量を保持することができる。いくつかの例では、容器は、バイアル、ボトル、ブリスターパック、小袋などであり得る。
【0053】
いくつかの例では、約0.005mg~約1mgの銅含有剤を容器に含めることができる。さらに他の例では、約0.01mg~約0.5mgの銅含有剤を容器に含めることができる。いくつかの例では、約0.001mg~約0.5mgの銅を容器に含めることができる。いくつかの例では、約0.005mg~約0.2mgの銅を容器に含めることができる。
【0054】
いくつかの特定の例では、剤形は、点眼薬として製剤化され、約5μlから約100μlの滴量で組成物を滴下方式で調剤するように適合された容器に入れられた局所眼科剤形であり得る。組成物が点眼薬として製剤化される場合、いくつかの例では、容器は、組成物を分配することができる適合したノズルまたはチップを含むことができる。このように、容器は通常、組成物を分配するために折りたたみ可能であり得る。しかしながら、場合によっては、組成物が分配された後、空気が容器に吸い戻され、それにより組成物が汚染される可能性がある。いくつかの例では、ノズルまたは先端は、細菌および他の汚染物質の容器への導入を防止または最小化するために、バルブ機構、フィルターなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。さらに、前述のように、容器は、眼科用組成物を滴下方式で投与するように適合させることができる。例えば、容器は、眼用組成物を約5μl~約50μl、例えば約15μl、約20μl、約25μl、約30μl、約35μl、約40μl、約45μl、または約50μlの滴量で分配するように適合させることができる。いくつかの特定の例では、滴量は、約15μl~約40μl、約5μl~約30μl、約20μl~約30μl、約25μl~約35μl、または約30μl~約40μlであり得る。
【0055】
剤形とともにさらに含まれるのは、注射器、点滴器、または他の機構などの投与機構であり得る。追加の実施形態では、適切なパッケージを使用して、組成物、容器、およびそれらの使用のための指示、ならびに任意選択で単一の統合システムにおける投与機構を提供することができる。
【0056】
本明細書に記載の組成物または剤形は、近視の進行を治療および/または予防する方法にも使用することができる。そのような方法は、治療的有効量の組成物または剤形を治療期間中に対象の眼に投与する工程を含み得る。
【0057】
1つの例では、組成物または剤形は、それを必要とする眼ごとに1日あたり1~4の時点で投与することができる。組成物が点眼薬である場合などのいくつかの例では、各時点での組成物の投与量は、約5μl~約100μl、約5μl~約50μl、約5μl~約30μl、約20μl~約30μl、約25μl~約35μl、または約30μl~約40μlであり得る。剤形は、一般に、眼科用組成物の1滴あたり約0.0005μg~約500μgの銅を提供することができる。いくつかの追加の例では、剤形は、眼科用組成物の1滴あたり約0.0001μg~約5μg、約0.001μg~約50μg、または約0.005μg~約1μgの銅を提供することができる。
【0058】
いくつかのさらなる例では、組成物または剤形は、1日に複数回、1日に1回、2~5日に1回、1週間に1回、2週間に1回などで投与することができる。場合によっては、組成物は、約2~5日、約1週間、約2週間などの持続放出プロファイルを有するように製剤化することができる。
【0059】
治療期間は、状態の重症度、診断時の対象の年齢など、いくつかの要因に依存する可能性がある。例えば、対象が学齢期の子供、青年、または若年成人であるいくつかの場合(例えば、約3歳~約25歳、または約5歳~約18歳)、対象は、約6ヶ月から慢性治療、または約1年から約5年、または約2年から約3年、または所望の結果が達成されるまでの他の適切な期間、治療を受けることができる。
【0060】
いくつかの例では、眼科用組成物は、点眼薬として投与することができる。さらに他の例では、眼科用組成物は結膜下注射として投与することができる。他の例では、眼科用組成物はテノン嚢下注射として投与することができる。さらに他の例では、眼科用組成物は、局所用フィルム、局所用ゲル、コンタクトレンズ、涙点プラグなどの形態で投与することができる。いくつかの例では、局所用フィルム、局所用ゲル、コンタクトレンズ、涙点プラグなどは、経時的に生分解して、銅含有剤の制御された持続放出を提供するように構成することができる。
【0061】
いくつかの例では、銅含有剤は、例えば、オルソケラトロジー型レンズなどの眼形成装置と関連して投与することができる。このようにして、眼形成装置は、所望のまたは意図された形状(例えば、非伸長形状)に再形成するか、またはそうでなければ眼を保持して、所望の形状にある間に眼の生体力学的強度を改善しながら、近視眼の伸長を矯正することができる。いくつかの実施例では、形成装置の使用は、治療方法の結果または改善率をさらに改善することができる。
【0062】
一般に、本明細書に記載されている方法は、未処理の眼と比較して、角膜におけるコラーゲン架橋を増加させることができる。より具体的には、この方法は、未処理の眼と比較して、リジノノルロイシン(LNL)架橋密度、ヒスチジニル-ヒドロキシリジノノルロイシン(HLNL)架橋密度、またはその両方、ならびに角膜に関連する他のコラーゲン架橋を増加させることができる。さらに、本明細書に記載の方法は、角膜の放射状ひずみを、治療なしの角膜と比較して少なくとも約10%、25%、または50%減少させることができる。さらに、本明細書に記載される方法は、未処理の近視角膜と比較して、近視角膜の角膜ジオプターを減少させることができる。
【0063】
実施例
実施例1 銅含有活性剤は角膜リシルオキシダーゼ活性を増加させることができる
10%FBS DMEM中の正常角膜および角膜の剛性が低い角膜(各n=3)から培養した角膜間質細胞を、BSS対照または平衡塩類溶液(BSS)中の0.0016mg/mLのCuSO4に曝露した後、0.25μmフィルターでろ過した。馴化培地は、リシルオキシダーゼ(LOX)のペルオキシダーゼ結合蛍光活性アッセイを受けた。
【0064】
組織は、手術環境において無菌技術の下で収集された。組織サンプルは、Optisol溶液中の10cm組織培養皿に保存した。角膜組織をペニシリン/ストレプトマイシンを含む15%ウシ胎児血清(FBS)DMEM/F12に懸濁した。上皮およびデスメ膜は、実体顕微鏡下で機械的に除去された。サンプルを外科用はさみでさらに細かくカットし、1mg/mLのコラゲナーゼに加えた。角膜あたり10mLを使用した。サンプル片を10cm組織培養皿にプレーティングし、37℃、5%CO2の組織培養インキュベーターに入れた。5日後、細胞を回収し、フェノールレッドを含まない10%FBS DMEMにプレーティングした。
【0065】
培地中のLOX酵素活性は、Amplex redを使用したペルオキシダーゼ結合蛍光アッセイを使用して測定した。簡単に言えば、角膜間質細胞を、培養培地2mLで0.2×10^6細胞の6ウェルプレートにプレーティングした。3日後、LOX酵素活性アッセイのために培養物を採取した。50μLの各培地を黒い96ウェルプレートに入れた。その後、50μLの2xアッセイバッファー(2.4Mの尿素、100mMのホウ酸ナトリウム(pH8.2)、20mMの1,5-ジアミノペンタン、20μMのAmplex red、2unit/mLの西洋ワサビペルオキシダーゼ)を添加した。並行アッセイとして、LOX活性を完全に減少させることができる500μMアミノプロピオニトリル(BAPN)を添加した。酸化されたAmplex redの蛍光は、蛍光プレートリーダーを使用して10分ごとに記録された。バックグラウンド蛍光を差し引いた後、蛍光強度をインキュベーション時間に対してプロットした(
図1Aおよび1B)。
【0066】
ペルオキシダーゼ結合蛍光測定lox活性アッセイに基づいて、
図1A-1Bに示されるように、正常角膜および角膜剛性の低い角膜からの線維芽細胞において、銅がLOX酵素活性を劇的に増加させたことがわかる。このことは、銅が近視角膜のLOX活性を高めることで、コラーゲン架橋を増加させる可能性があることを示している。
【0067】
実施例2 銅含有剤による処理は角膜強度を増加させる
角膜の放射状ひずみの測定は、ヒトの死体の角膜とウサギの角膜で行われた。ヒトの死体の角膜(n=2対)を、実施例1で前述したように培養した。処理群は、0.0016mg/mlのCuSO4に2週間浸した。サンプルの両端には、強膜の小さな部分も含まれていた。組織の脱水を最小限に抑えるために、強膜-角膜-強膜のストリップの表面に鉱油を塗布した。ウサギの角膜を4つの群に分けた。2つの群は、CuSO4五水和物0.0025mg/mlを1日3回またはCuSO4五水和物0.0025mg/mlを1日1回投与した処理群であった。2つの群がBSSのみを受ける対照として機能した。
【0068】
モーターとトランスデューサーの間にサンプルを接続し、5~30mmHgの制御された圧力を加えて、結果として生じる半径方向のひずみを測定した。2つの把持爪の間のサンプルの長さは約10mmであった。幅や厚さなどのサンプルの幾何情報は、Rheometrics System Analyzer(RSA)コントロールパネルに入力された。サンプルの厚さは、超音波厚度計(DGH 550 Pa-chette2;DGH Technology、Exton、PA)で測定した。
【0069】
結果は、硫酸銅処理後の剛性の著しい増加と放射状ひずみの減少を示している(
図2)。処理された角膜における20mmHgでの眼のパルスにより誘発された平均ピーク放射状ひずみは、未処理の角膜におけるそれよりも約1.5倍低かった。これは、角膜の強度が約50%増加することを表しており、架橋により、より硬い角膜反応がもたらされることを示している。また、
図3に示すように、CuSO
4五水和物による処理は、レーザー架橋で見られるものに匹敵する角膜生体力学も提供した。
【0070】
実施例3 ウサギ角膜トポグラフィー
特定の領域の角膜曲率は、屈折値の結果を表示する角膜トポグラフィーによって監視された。0.0025mg/mlの硫酸銅五水和物(CuSO4)をニュージーランド白ウサギに1日1回および1日3回の用量で投与した。さらに、0.025mg/mlのCuSO4五水和物の高濃度サンプルが、治療期間中、ニュージーランド白ウサギに1日1回投与された。3つの異なる対照は、滴下なし、BSS、または人工涙液のいずれかで投与された。6つの群のそれぞれに、6の対照がそれぞれ含まれていた。治療前にトポグラフィー画像を撮影し、毎週5週間撮影した。視度の測定値は平均K値および3mmでの値である。これらの値は、1ヶ月後および1年後のレーザー架橋角膜の視度測定と比較された。
【0071】
図4に示されるように、対照群と比較して、処理群ではジオプター測定値のより大きな減少があった。さらに、CuSO
4による1ヶ月の処理では、1年後にレーザー架橋角膜で観察されたものと同様の視度が得られた。
【0072】
実施例4 銅点眼薬の生体内での安全性
硫酸銅(CuSO4)五水和物溶液を0.0025mg/mlの濃度で調製し、ウサギに1日3回(TID)または1日1回(QD)投与した。前眼部評価は、細隙灯生体顕微鏡検査とHeidelberg Spectralis前眼部光干渉断層計(AS-OCT)を使用して行われた。1日目、1週目、4週目、6週目のそれぞれで2匹のウサギ(n=4眼)を屠殺して、眼組織中の銅濃度を測定し、対照(滴下なし)のウサギと比較した。房水、硝子体、網膜、角膜、水晶体、および血液サンプルを、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して銅イオンについて分析した。
【0073】
ウサギ(n=2)は、42日後に0.3ml/kgの安楽死溶液の静脈内注射によって屠殺され、組織学的評価および炎症、組織の損傷、瘢痕および線維症の兆候を読み取るために眼が摘出された。眼の前部を10%ホルムアルデヒド-グルタルアルデヒド溶液で固定し、段階的なアルコールで脱水し、パラフィンに包埋し、ミクロトームで切片にした。切片を適切な染色で染色した(ヘマトキシリンおよびエオシンおよびマッソントリクローム)。
【0074】
Cuでの処理による網膜電図(ERG)測定への影響はなかった。さらに、解剖された眼組織のいずれにも毒性は観察されなかった。さらに、レーザー架橋により角膜混濁が最大約1年間発生する可能性があるのに対し、角膜混濁は観察されなかった。これらの結果は、
図5A~5Bにさらに示されている。
図5Aは、6週間のCu処理後のヘマトキシリンおよびエオシン染色角膜の画像を示す。
図5Bは、6週間のCu処理後のヘマトキシリンおよびエオシン染色網膜/脈絡膜の画像を示す。
【0075】
実施例5 銅治療は、生体内で健康なウサギの角膜の中心角膜平坦化を誘導する
ニュージーランド白ウサギの右眼(n=3)は、0.0016mg/mlのCuSO4で3回/日、24日間処理された。左眼を24日間BSS(TID)で処理し、対照として使用した。角膜OCT写真はベースラインと24日目に撮影された。
【0076】
図6A~6Fに示されているように、代表的なOCT画像は、再現性のある結果を示し、
図6A、6B、および6Cに示された対照眼と比較して、
図6D、6E、および6F(矢印を参照)に示された3つの治療眼すべてにおいて、(CuSO
4で処理された)右眼の角膜の中央部は、角膜の平坦化を示した。これは、架橋活性の増加によるものである。さらに、OCTで示されるように、角膜上皮層は無傷であり、角膜への重大な毒性がなかったことを示唆している。スリットランプ検査では、炎症や不透明化は認められなかった。
【0077】
実施例6 銅治療はアルビノモルモットの自発性近視の進行を遅くする
進行性近視は、散布器やレンズを課さなくても、野生型のモルモットよりもアルビノモルモットでより頻繁に発生する。モルモットを12時間の明/12時間の暗のサイクルに曝した。リン酸緩衝点眼液に0.0025mg/mlのCuSO
4五水和物を含む点眼薬を、アルビノモルモットの右眼(OD)に約2週齢で投与した(n=4)。左眼(OS)は、対照滴下(眼科用ビヒクルのみ)を受けた。点眼薬(約30μL)を1日3回、約6週間投与した。屈折異常は、
図7A~7Bに示されるスケジュールに従って、1日目の治療前およびその後の時点で小児眼科医によって測定された。さらに詳細には、屈折異常は、以前に約2滴の1%シクロペントレートで毛様体筋麻痺が誘発されていたハンドヘルドで覚醒している動物のストリーク網膜鏡検査によって測定された。
図7A~7Bは、それぞれエラーバーおよび線形フィットを用いて、それぞれの眼の対象の平均屈折誤差測定を提示する。
図7A~7Bから明らかであるように、銅治療は、治療眼の近視の進行を減らすのに効果的であった。さらに、組織病理学的分析により、切開した眼に毒性は観察されず、IOP測定値は、研究中のすべての眼の正常範囲である15-25mmHg以内であったことが示されている(データは示していない)。
【0078】
実施例7 治療された眼におけるリシノノルロイシン(LNL)架橋の増加
ニュージーランド白ウサギの右眼を治療群(リン酸緩衝点眼液中0.0025mg/mlのCuSO
4五水和物)、ビヒクル群(リン酸緩衝点眼液)、および対照群(液滴なし)に分けた(n=6/群)。点眼薬は、治療眼に1日3回、6週間投与された。動物は、IOP測定、トポグラフィー、および眼球反応分析のために毎週追跡された。6週間の終わりに、ウサギを屠殺し、屠殺後30分以内に眼を直ちに解剖した。回復した角膜重量を記録した。サンプルをNaBH
4で室温において還元し、次に水で2回洗浄し、乾燥し、6NのHClで真空中110℃において18時間加水分解した。加水分解後、セルロースミニカラム法を用いて架橋濃縮を行った。LNLを質量分析法で測定した。
図8に見られるように、処理した角膜では、ビヒクル群および対照群と比較して、LNL架橋が増加した。これは、ビヒクル群および対照群と比較して、治療群の角膜が硬くなっていることを示している。
【0079】
上記の方法は、本発明のいくつかの実施形態の単なる例示であることを理解されたい。 当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多数の修正および代替の配置を考案することができ、添付の特許請求の範囲は、そのような修正および配置を網羅することを意図している。したがって、本発明は、本発明の最も実用的で好ましい実施形態であると現在考えられるものに関連して特定性および詳細を伴って上記で説明されているが、本明細書に記載された原理および概念から逸脱することなく、を含む変形が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近視の進行を治療または予防する方法において使用するための眼科用組成物であって、前記眼科用組成物は、治療期間中に対象の眼に治療的有効量で投与されるものであり、
前記眼科用組成物は、
近視の進行を治療するのに十分な量で、対象の眼の角膜リシルオキシダーゼ活性を増加させるのに十分な量の唯一の銅含有剤としての過塩素酸銅と、
薬学的に許容される担体と
を有するものである、組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物において、前記眼科用組成物は、平均して、1日あたり約0.0001μg~約5500μgの銅を前記対象の眼に送達するように構成される、組成物。
【請求項3】
請求項1記載の組成物において、前記銅含有剤は、前記組成物中に約0.000001重量%~約15重量%の量で存在する、組成物。
【請求項4】
請求項1記載の組成物において、前記組成物中に存在する銅の量は、約0.00001mg/ml~約1mg/mlの量である、組成物。
【請求項5】
請求項1記載の組成物において、前記組成物は、追加の活性成分をさらに有する、組成物。
【請求項6】
請求項1記載の組成物において、前記追加の活性成分は、リボフラビン、ローズベンガル、ヒドロキシリジン、カルシウム含有剤、マグネシウム含有剤、銀含有剤、アルミニウム含有剤、亜鉛含有剤、鉄含有剤、アサイー抽出物、デコリン、バイグリカン、ケラトカン、ルミカン、ミミカン、フィブロモジュリン、VI型コラーゲン、X型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、アトロピン、ホマトピン、シクロペントレート、ピレンゼピン、7-メチルキサンタニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項7】
請求項6記載の組成物において、前記追加の活性成分は、約0.001重量%~約0.1重量%の量で前記組成物に含まれる、組成物。
【請求項8】
請求項1記載の組成物において、前記薬学的に許容される担体は、等張化剤、可溶化剤、増粘剤、ポリマー、緩衝剤、保存剤、pH調整剤、および水の少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項9】
請求項1記載の組成物において、前記組成物は、約200mOsm/kg~約600mOsm/kgの張度を有する、組成物。
【請求項10】
請求項1記載の組成物において、前記組成物は、約5.5~約8.5のpHを有する、組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか記載の組成物において、前記眼科用組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、デポ、フィルム、ゲル化懸濁液、コンタクトレンズ、または、涙点プラグの1つとして製剤化される、組成物。
【請求項12】
請求項11記載の組成物において、前記眼科用組成物は溶液として製剤化される、組成物。
【請求項13】
請求項12記載の組成物において、前記溶液は点眼薬として製剤化され、約5μl~約100μlの滴容量で前記組成物を滴下方式で分配するように適合された容器に入れて運ばれる、組成物。
【請求項14】
請求項13記載の組成物において、前記剤形は、前記眼科用組成物の1滴あたり約0.0001μg~約500μgの銅を提供する、組成物。
【請求項15】
請求項14記載の組成物において、前記組成物は、それを必要とする眼ごとに1日あたり1~4時点で投与される、組成物。
【請求項16】
請求項15記載の組成物において、前記組成物の約5μl~約100μlが各時点で投与される、組成物。
【請求項17】
請求項11記載の組成物において、前記組成物は、伸長した近視眼を再形成するように構成された眼形成装置と関連して投与される、組成物。
【請求項18】
請求項11記載の組成物において、前記対象は、約3歳から約25歳のヒト対象である、組成物。
【請求項19】
請求項11記載の組成物において、前記治療期間は約6ヶ月~約5年である、組成物。
【請求項20】
近視の進行を治療するための眼科用組成物であって、
近視の進行を治療するのに十分なリシルオキシダーゼ調節量の唯一の銅含有剤としての過塩素酸銅と、
薬学的に許容される担体と
を有する、組成物。
【請求項21】
請求項20記載の組成物において、前記眼科用組成物は、平均して、1日あたり約0.0001μg~約5500μgの銅を対象の眼に送達するように構成される、組成物。
【請求項22】
請求項20記載の組成物において、前記銅含有剤は、前記組成物中に約0.000001重量%~約15重量%の量で存在する、組成物。
【請求項23】
請求項20記載の組成物において、前記組成物中に存在する銅の量は、約0.00001mg/ml~約1mg/mlの量である、組成物。
【請求項24】
請求項20記載の組成物において、前記組成物は、追加の活性成分をさらに有する、組成物。
【請求項25】
請求項20記載の組成物において、前記追加の活性成分は、リボフラビン、ローズベンガル、ヒドロキシリジン、カルシウム含有剤、マグネシウム含有剤、銀含有剤、アルミニウム含有剤、亜鉛含有剤、鉄含有剤、アサイー抽出物、デコリン、バイグリカン、ケラトカン、ルミカン、ミミカン、フィブロモジュリン、VI型コラーゲン、X型コラーゲン、XII型コラーゲン、XIV型コラーゲン、アトロピン、ホマトピン、シクロペントレート、ピレンゼピン、7-メチルキサンタニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物。
【請求項26】
請求項25記載の組成物において、前記追加の活性成分は、約0.001重量%~約0.1重量%の量で前記組成物に含まれる、組成物。
【請求項27】
請求項20記載の組成物において、前記薬学的に許容される担体は、等張化剤、可溶化剤、増粘剤、ポリマー、緩衝剤、保存剤、pH調整剤、および水の少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項28】
請求項20記載の組成物において、前記組成物は、約200mOsm/kg~約600mOsm/kgの張度を有する、組成物。
【請求項29】
請求項20記載の組成物において、前記組成物は、約5.5~約8.5のpHを有する、組成物。
【請求項30】
請求項20~29のいずれか記載の組成物において、前記眼科用組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、ゲル、ヒドロゲル、熱応答性ゲル、デポ、フィルム、ゲル化懸濁液、コンタクトレンズ、または、涙点プラグの1つとして製剤化される、組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
近視は視力低下の原因としてよく知られている。近視の根本的な欠陥は、眼球がわずかに伸びていることで、眼球の水晶体が遠くの物体からの光を網膜の少し手前に集中させてしまうことである。矯正されていない近視は、世界の遠方視力障害の主要な原因の一つである。重度の場合、眼球が伸びることで眼球の内側の一部が伸びて薄くなり、網膜剥離、白内障、緑内障、失明などのリスクが高まる。また、近視の有病率は増加しており、2050年には世界人口の半数に影響を及ぼすと予測されている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 国際公開第2017/155580号
(特許文献2) 米国特許第3,416,530号明細書
(特許文献3) 欧州特許出願公開第3103446号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2006/0276777号明細書
(非特許文献)
(非特許文献1) Wikipedia (Orthokeratology) Version: 18 September 2017 (18.09.2017). Retrieved: 1 April 2019 (01.04.2019) (https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Orthokeratology&oldid=801266165) pg 1, para 1
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
1つの例では、組成物または剤形は、それを必要とする眼ごとに1日あたり1~4の時点で投与することができる。組成物が点眼薬である場合などのいくつかの例では、各時点での組成物の投与量は、約5μl~約100μl、約5μl~約50μl、約5μl~約30μl、約20μl~約30μl、約25μl~約35μl、または約30μl~約40μlであり得る。剤形は、一般に、眼科用組成物の1滴あたり約0.0005μg~約500μgの銅を提供することができる。いくつかの追加の例では、剤形は、眼科用組成物の1滴あたり約0.0001μg~約5μg、約0.001μg~約50μg、または約0.005μg~約1μgの銅を提供することができる。さらに他の例では、眼科用組成物は、平均して、1日あたり約0.0001μg~約5500μgの銅を対象の眼に送達するように構成される。
【外国語明細書】