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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153914
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】管状ジャカードニット構造の上胴衣
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/06 20060101AFI20231011BHJP
   A41C 3/08 20060101ALI20231011BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20231011BHJP
   D04B 1/24 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A41B9/06 D
A41C3/08
D04B1/00 A
D04B1/00 B
D04B1/24
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124014
(22)【出願日】2023-07-31
(62)【分割の表示】P 2021180999の分割
【原出願日】2017-05-03
(31)【優先権主張番号】15/584,938
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,ジョズエ
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー,ポール アール.
(72)【発明者】
【氏名】スタウブ,アンドレア ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レンドーン,ニコル
(72)【発明者】
【氏名】メックリー,ヴァージニア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上胴衣は、着用者にフィットするように機械的に伸張するか伸びて、着用者に対する圧縮力を提供する。
【解決手段】上胴衣は、胸部カバー部分内に管状ジャカードニット構造を含む。管状ジャカードニット構造は、胸部カバー部分にまたがる複数のゾーンに分割され、これらのゾーンは、異なるバージョンの管状ジャカードニット構造を含んでよい。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部カバー部分を有する上胴衣であって、
前記胸部カバー部分に位置付けられる管状ジャガードニット領域を含み、前記管状ジャガードニット領域は、互いに連続的にインターループされる複数のフロントステッチコースと、互いに連続的にインターループされる複数のバックステッチコースとを含み、
前記複数のフロントステッチコースおよび前記複数のバックステッチコースは、各々、第1の糸ストランドおよび第2の糸ストランドで構成され、前記複数のフロントステッチコースの各フロントステッチコースは、前記複数のバックステッチコースのバックステッチコースと断続的にインターロックして、複数のインターロック・コースを形成し、
前記複数のインターロック・コースの各インターロック・コースは、複数のインターロック・クロスオーバーを含み、前記インターロック・クロスオーバーは、前記複数のフロントステッチコースからの1つのフロントステッチコースと前記複数のバックステッチコースからの1つのバックステッチコースとの間で位置を変えるように、互いにクロスオーバーする前記第1の糸ストランドおよび前記第2の糸ストランドを含み、
前記管状ジャガードニット領域は、当該上胴衣の左側にある第1の乳房カバー部分および当該上胴衣の右側にある第2の乳房カバー部分と、前記第1の乳房カバー部分と前記第2の乳房カバー部分との間に位置付けられる中央ブリッジとを含み、前記管状ジャガードニット領域は、前記第1の乳房カバー部分よりも上方に位置付けられる第1のカプセル化領域と、前記第2の乳房カバー部分よりも上方に位置付けられる第2のカプセル化領域とを更に有し、
前記第1の乳房カバー部分および第2の乳房カバー部分は、各々、前記中央ブリッジ、前記第1のカプセル化領域、および前記第2のカプセル化領域の各々に対してより大きな密度のインターロック・クロスオーバーを有する、
上胴衣。
【請求項2】
前記中央ブリッジは、前記第1のカプセル化領域および前記第2のカプセル化領域に隣接する、請求項1に記載の上胴衣。
【請求項3】
前記複数のインターロック・コースは、複数のニット管状構造を形成し、各ニット管状構造は、隣接するインターロック・クロスオーバーのペアの間に延在し、前記中央ブリッジ内のニット管状構造が、コース方向に対して直角に延びる、請求項1に記載の上胴衣。
【請求項4】
前記第1のカプセル化領域および前記第2のカプセル化領域内のニット管状構造が、前記コース方向に対して斜めに延びる、請求項3に記載の上胴衣。
【請求項5】
各インターロック・コースは、1つおきのフロントステッチおよび1つおきのバックステッチとインターループすることによって、それぞれのフロントステッチコースをそれぞれのバックステッチコースにバインドする、インターロック・タック・ステッチのコースを含む、請求項1に記載の上胴衣。
【請求項6】
前記第1の糸ストランド及び前記第2の糸ストランドは、両方とも、非伸張状態に戻る前に200%未満の最大伸張を提供する弾性量を含む、請求項1に記載の上胴衣。
【請求項7】
前記管状ジャガードニット領域は、非伸張状態に戻る前に200%未満の最大伸張を提供する弾性量を含む如何なる糸ストランドも含まない、請求項6に記載の上胴衣。
【請求項8】
前記第1の糸ストランド及び前記第2の糸ストランドは、同じ糸組成および同じ糸タイプを有する、請求項1に記載の上胴衣。
【請求項9】
各フロントステッチおよび各バックステッチは、3.00mm~3.30mmの範囲内のステッチ長さを含む、請求項1に記載の上胴衣。
【請求項10】
前記中央ブリッジを形成する少なくとも1つのコースが、20~40の範囲内の数のフロントステッチと、20~40の範囲内の数のバックステッチとを含む、請求項9に記載の上胴衣。
【請求項11】
胸部カバー部分を有する上胴衣であって、
前記胸部カバー部分に位置付けられる管状ジャガードニット領域を含み、前記管状ジャガードニット領域は、互いに連続的にインターループされる複数のフロントステッチコースと、互いに連続的にインターループされる複数のバックステッチコースとを含み、
前記複数のフロントステッチコースおよび前記複数のバックステッチコースは、各々、第1の糸ストランドおよび第2の糸ストランドで構成され、前記複数のフロントステッチコースの各フロントステッチコースは、前記複数のバックステッチコースのバックステッチコースと断続的にインターロックして、複数のインターロック・コースを形成し、
前記複数のインターロック・コースの各インターロック・コースは、複数のインターロック・クロスオーバーを含み、前記インターロック・クロスオーバーは、前記複数のフロントステッチコースからの1つのフロントステッチコースと前記複数のバックステッチコースからの1つのバックステッチコースとの間で位置を変えるように、互いにクロスオーバーする前記第1の糸ストランドおよび前記第2の糸ストランドを含み、
前記管状ジャガードニット領域は、当該上胴衣の左側にある第1の乳房カバー部分および当該上胴衣の右側にある第2の乳房カバー部分と、前記第1の乳房カバー部分と前記第2の乳房カバー部分との間に位置付けられる中央ブリッジとを含み、前記管状ジャガードニット領域は、前記第1の乳房カバー部分よりも上方に位置付けられる第1のカプセル化領域と、前記第2の乳房カバー部分よりも上方に位置付けられる第2のカプセル化領域とを更に有し、前記第1のカプセル化領域および前記第2のカプセル化領域は、各々、前記中央ブリッジに向かって斜めに延び、
前記第1の乳房カバー部分および第2の乳房カバー部分は、各々、前記中央ブリッジ、前記第1のカプセル化領域、および前記第2のカプセル化領域の各々に対してより大きな密度のインターロック・クロスオーバーを有する、
上胴衣。
【請求項12】
各インターロック・コースは、1つおきのフロントステッチおよび1つおきのバックステッチとインターループすることによって、それぞれのフロントステッチコースをそれぞれのバックステッチコースにバインドする、インターロック・タック・ステッチのコースを含む、請求項11に記載の上胴衣。
【請求項13】
前記複数のインターロック・コースは、連続的にインターループされるインターロック・コースを含み、連続的にインターループされる各コースにおいて、前記インターロック・タック・ステッチのコースは、隣接するコースからオフセットされる、請求項12に記載の上胴衣。
【請求項14】
前記中央ブリッジは、前記第1のカプセル化領域および前記第2のカプセル化領域に隣接する、請求項11に記載の上胴衣。
【請求項15】
前記複数のインターロック・コースは、複数のニット管状構造を形成し、各ニット管状構造は、隣接するインターロック・クロスオーバーのペアの間に延在し、前記中央ブリッジ内のニット管状構造が、コース方向に対して直角に延びる、請求項11に記載の上胴衣。
【請求項16】
前記第1の糸ストランド及び前記第2の糸ストランドは、両方とも、非伸張状態に戻る前に200%未満の最大伸張を提供する弾性量を含む、請求項11に記載の上胴衣。
【請求項17】
前記管状ジャガードニット領域は、非伸張状態に戻る前に200%未満の最大伸張を提供する弾性量を含む如何なる糸ストランドも含まない、請求項16に記載の上胴衣。
【請求項18】
前記第1の糸ストランド及び前記第2の糸ストランドは、同じ糸組成および同じ糸タイプを有する、請求項11に記載の上胴衣。
【請求項19】
各フロントステッチおよび各バックステッチは、3.00mm~3.30mmの範囲内のステッチ長さを含む、請求項11に記載の上胴衣。
【請求項20】
前記中央ブリッジを形成する少なくとも1つのコースが、20~40の範囲内の数のフロントステッチと、20~40の範囲内の数のバックステッチとを含む、請求項19に記載の上胴衣。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
上胴衣(Upper-torso garments)は、典型的に、着用者の上胴領域(upper-torso region)を覆うように構成される様々な部分を含む。例えば上胴衣はしばしば、胸部カバー部分及び背面カバー部分を含む。加えて、上胴衣は、時には様々な特性に基づいて選択される、様々な織物及び材料タイプを含んでよい。様々な特性を有する可能性があり、かつ上胴衣の少なくとも一部を構成するために使用される可能性がある1つのタイプの織物の例は、ニット織物(knit textile)である。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本開示の主題は、本明細書に詳細において添付の図面に関連して説明されており、それらの図面は参照により本明細書に組み込まれる。
図1】本開示の態様による上胴衣の正面図である。
図2図1に図示された衣類の正面斜視図である。
図3図1に図示された衣類の側面図である。
図4】本開示の態様による例示的なニットの概略図である。
図5図4のニットの概略図に対応するニットプログラム表記(knit-program notations)を示す図である。
図6A】本開示の態様によるフロントコース(front course)とバックコース(back course)のインターロック・クロスオーバー(interlocking cross overs)を示すニットの概略図である。
図6B】本開示の態様によるフロントコースとバックコースのインターロック・クロスオーバーを示すニットの概略図である。
図7A】本開示の一態様によるニットプログラム表記を示す図である。
図7B図7Aの概略図の一部の拡大図である。
図8A】本開示の他の態様による代替的なニット構造を示す、追加のニットの概略図である。
図8B】本開示の他の態様による代替的なニット構造を示す、追加のニットの概略図である。
図8C】本開示の他の態様による代替的なニット構造を示す、追加のニットの概略図である。
図8D】本開示の他の態様による代替的なニット構造を示す、追加のニットの概略図である。
図9】本開示の態様によるインターロック・タック・バインダ(interlocking tuck binder)を有する管状ジャカードニット構造(tubular-jacquard knit structure)を示す、別の例示的なニットの概略図である。
図10図9のニット概略図に対応するニットプログラム表記を示す図である。
図11】本開示の態様によるフロントコース及びバックコースのインターロック・クロスオーバーと組み合わせたインターロック・タック・バインダを示すニットの概略図である。
図12】本開示の一態様によるニットプログラム表記を示す図である。
図13】複数の管状ジャカードニットゾーンを有する上胴衣を示す図である。
図14】本開示の態様による管状ジャカードニット構造を有する上胴衣を示す図である。
図15図14の参照線15A-15A又は15B-15Bに沿って切り取った断面の斜視図である。
図16図15の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本主題は、法定要件を満たすために、本開示全体を通して詳細かつ具体性をもって記載される。しかしながら、本開示において説明される態様は、限定的ではなく例示的であるように意図されており、その説明自体は、必ずしも特許請求の範囲を限定するように意図されていない。むしろ、特許請求に係る主題は、本開示で説明されたものと均等な異なる要素又は要素の組合せを含む他の方法で実施されてもよい。言い換えると、特許請求の範囲の意図される範囲及び本明細書で説明される他の主題は、簡潔性の観点で本出願において明示的に記載又は示されていないが、本明細書で与えられる完全な開示を考慮して、その範囲内に含まれるものとして当業者によって理解されるであろう均等な特徴、態様、材料、構成方法及び他の態様を含む。特定の特徴及びサブコンビネーションは有用であり、他の特徴及びサブコンビネーションを参照することなく使用されてよいことが理解されよう。これは、特許請求の範囲によって考慮されており、その範囲内にある。
【0004】
高レベルでは、本開示は、相互に独立に及び相互に組合せとして製品の動作に寄与する、様々な要素を有する上胴衣を説明する。例えば上胴衣は、管状ジャカードニット構造で構成される1つ以上の部分を含む。本開示の一態様では、管状ジャカードニット構造に従って、1つ以上の糸ストランド(yarn strands)を、インターループ(interloop)させてフロントコースとバックコースとの間で移動させる方法が、上胴衣の特性に影響を及ぼす。糸(yarn)の組成とサイズ、追加のニット構造及びステッチサイズを含む(ただし、これらに限定されない)、他の要素も衣服の特性に影響を及ぼす可能性があり、これらは本開示の他の部分でより詳細に説明されるであろう。他の中でも特に、管状ジャカードニット構造及び他の要素は、衣類のフィット及び形状、並びに伸び、圧縮、通気性、弾性、安定性、サポート等のような織物特性に寄与し得る。
【0005】
最初に図1図3を参照すると、例示的な上胴衣10が示されており、この説明において、「上胴衣」は、着用者の上胴(Upper-torso)を覆うように構成される任意の衣類を示す。図示された上胴衣10はブラであり、図示されたブラのスタイルは時々、スポーツブラ、アスレチックブラとして又は他の類似の呼称で呼ばれる。また、本開示の他の態様では、上胴衣は、ストラップレスブラ、キャミソール、ベース層シャツ(base-layer shirt)、シングレット(singlet)、レーシングスーツ等を含む、女性又は男性用の様々な他のタイプの衣類を含んでよい。
【0006】
上胴衣10の様々な態様を説明するとき、相対的な位置を理解するのを助けるために相対的な用語が使用されることがある。例えば上胴衣10を、左側12と右側14に分けることができる。加えて、上胴衣10は、該上胴衣10が使用中の状態にあるときに着用者の背中の少なくとも一部を典型的に覆う後方部分16と、使用中の状態にある着用者の胸部の少なくとも一部を典型的に覆う前方部分18とを含むことができる。
【0007】
さらに、上胴衣10は、本開示の態様を説明するときにも参照され得る様々な部分を含む。例えば上胴衣10は、肩ストラップ20及び22、並びにアームホール24及び26、そして一般にネック受容開口部の周りの外縁(perimeter)を形成するネックライン28を含む。加えて、上胴衣10は、左側12に乳房カバー部分(breast-covering portion)30、右側14に乳房カバー部分32を含んでおり、乳房カバー部分30と乳房カバー部分32の間に中央ブリッジ34が配置されている。上胴衣10はまた、乳房カバー部分30及び32の少なくとも一部の周りの外縁を形成する一連のカプセル化領域(encapsulation regions)35A、35B、35C、35D、35E及び35Fを含む。いくつかの例において、乳房カバー部分、中央ブリッジ及びカプセル化領域の組合せが集合的に、胸部カバー部分を形成してよい。
【0008】
さらに、上胴衣10は、上部胸部分(upper-chest portion)39、左脇下部分36、右脇下部38、左翼40及び右翼42を含む。後方部分16は、リアストラップ46及び48を有するメイン・トランク44を有するレーサーバックスタイルのリアパネルを含む。トランク44とリアストラップ46及び48は、一般に「T」形状又は「Y」形状を形成し、ストラップ46、48は、肩ストラップ20、22と接続している。胸部バンド50は、乳房カバー部分30、32及び翼40、42の下に周方向に延びて、後方部分16の周囲を完全に取り囲む。胸部バンド50は、いずれの留め金又は他の開放可能なコネクタも伴わずに図示されているが、代替的な態様では含まれてもよい。これらの相対的な領域及び部品は、必ずしも上胴衣10の正確な領域を区別するようには意図されておらず、これらは例示及び説明の目的のために提供されている。しかしながら、上胴衣10は、論理的な分割又は区分を提供する、シーム又は遷移ゾーンのような構造要素を含んでもよい。
【0009】
上胴衣10は、クレードル領域、アンダーワイヤ等のように、図1図3に必ずしも示されていない他の部品、領域及び部分を含んでもよい。加えて、上記で示したように、図1図3に示されるブラスタイルの上胴衣10は、単に上胴衣のタイプを例示したものにすぎず、本開示の他の態様では、上胴衣は、袖、腹部カバー部分、腰部カバー部分、一体型のショーツ又はパンツ(例えばユニタード)等を有してよい。
【0010】
本開示の一態様では、上胴衣10は、ニット織物領域(knit textile region)を含み、本開示で使用されるとき、「ニット織物領域」は一般に、相互にインターループされる1つ以上の糸ストランドで構成される、上胴衣10の少なくとも一部を指す。例えば図1では、例示的なニット織物領域52が識別されており、ニット織物領域52の更なる詳細が拡大図54で更に示されている。拡大図54は、例示的なニット構造56を示す。部分的に分解した図58によって示されるように、ニット構造56は、インターループされたフロントステッチのコース(courses of interlooped front stitches)60と、インターループされたバックステッチのコース(courses of interlooped back stitches)62を含む。
【0011】
ニット織物領域52は、図1では、ニット構造の描写及び説明を可能にするよう例示的な目的のために識別されているが、本開示の他の態様では、上胴衣10は、領域52よりも大きく、かつ/又は上胴衣10の他の領域及び部分に配置される、1つ以上の他のニット織物領域を含む。例えば上胴衣10の前方部分の少なくとも一部は、胸部バンド50、乳房カバー部分30及び32、中央ブリッジ34、カプセル化バンド35A~35F、脇下部分36及び38、翼40及び42、ストラップ20及び22、並びにこれらの任意の組合せを含む1つ以上のニット構造を含んでもよい。上胴衣10のこれらの部分は、連続ニットパネルとして一体的に編まれてよく、あるいは別個のニットパネルであってもよい。
【0012】
本開示の一態様では、乳房カバー部分30及び32は各々、ニット織物領域66及び68を含む。乳房カバー部分30及び32は、該乳房カバー部分を識別することができる様々な特徴を含む。例えば乳房カバー部分30及び32は一般に、胸部バンド50よりも上方に、かつストラップ20及び22よりも下方に配置される。加えて、乳房カバー部分30及び32は一般に、上胴衣10の前側に、脇下部分36と38の間に、そして翼40と42の間にある。さらに、図1図3によって示唆されるように、乳房カバー部分30及び32は、中央ブリッジ34によって分離されてよく、カプセル化領域35A~35Fによって1つ以上の側面と接している。また、いくつかの他の態様では、乳房カバー領域30及び32が、左側の翼及び腕下部分から右側の翼及び腕下部分まで前側に広がる単一の乳房カバー部分を形成するように、中央ブリッジ34が省略されてもよい。同様に、カプセル化領域35A~35Fの厚さを減らしてもよく、あるいは本開示の他の態様では、カプセル化領域を省略してもよい。図2及び図3の側面図によって示されるように、乳房カバー部分30及び32はドーム形状であり、凸状の外面70を含み、したがって、図1図3に示される視点からでは見えない凹状の内面を含む。
【0013】
乳房カバー部分30及び32は、上胴衣10が人間又はマネキンによって着用されるときのように使用中の状態にあるときは、着用者の胸部領域を覆うことができ、場合によっては、着用者の胸部領域に接触することがある。さらに、乳房カバー部分30及び32は、着用者のそれぞれの乳房組織(breast tissue)に圧縮サポート(compressive support)を提供することができる。図1図3に示される乳房カバー部分30及び32のサイズ及び形状は、本明細書で説明される主題の一態様を例示するものであり、他の態様では、サイズ及び形状を変化させることができる。
【0014】
本開示の更なる態様では、ニット織物領域66及び68は、管状ジャカードニット構造を含む。図4を参照すると、例示的な管状ジャカードニット構造110のいくつかの特徴を示す概略図が示されている。管状ジャカードニット構造110は、第1糸ストランド116及び第2糸ストランド118で構成される、複数のフロントステッチコース112及び複数のバックステッチコース114を含む。さらに、図4は、フロントステッチコースのうちの1つのフロントステッチコース120が、バックステッチコースのうちの1つのバックステッチコース122と、そのフロントステッチコース120からそのバックステッチコース122まで延びる第1糸ストランド116によって、断続的にインターロック(intermittently interlock)していることを図示している。加えて、バックステッチコース122へ延びている第1糸ストランド116と対応する位置において、第2糸ストランド118は、バックステッチコース122からフロントステッチコース120に延びている。
【0015】
本開示の一態様によると、第1糸ストランド116がフロントステッチコース120からバックステッチコース122まで延び、第2糸ストランド118がバックステッチコース122からフロントステッチコース120まで延びるこの構造は、参照番号124によって識別される「インターロック・クロスオーバー」と呼ばれる。図4には、第1糸ストランド116がバックステッチコース122からフロントステッチコース120に延び、第2糸ストランド118がフロントステッチコース120からバックステッチコース122に延びる別のインターロック・クロスオーバー126が図示されている。
【0016】
本開示の態様によれば、インターロック・クロスオーバーは、1つのフロントステッチコースを、複数のフロントステッチのサブセット又はサブ量(sub-quantities)に分ける。例えばインターロック・クロスオーバー124及び126は、フロントステッチコース120を第1量のフロントステッチ128、第2量のフロントステッチ130及び第3量のフロントステッチ132に分割する。同様に、バックステッチコース122は、第1量のバックステッチ134、第2量のバックステッチ136及び第3量のバックステッチ138に分割される。
【0017】
図4において、第1糸ストランド116は、第2糸ストランド118とは異なる外観を有するように示されている。例えば第1糸ストランド116は、第2糸ストランド118とは異なる色であってもよい。本開示の一態様では、2つの糸ストランド116及び118の間の外観の相違により、第1及び第2糸ストランドがフロントコースとバックコースとの間で前後に断続的に切り替わるときに、図1図3の乳房カバー部分30、脇下部分36及び38、並びに翼40及び42における例示のストライピングパターンのような、ストライピングパターンが得られる。図1図3の上胴衣10は単に、達成され得る1つのストライピングパターンの例示にすぎず、他の態様では、上胴衣10は異なるパターンを有してよい。加えて、第1糸ストランド及び第2糸ストランドをフロントコースとバックコースとの間で前後に切り替えることによって視覚的なストライピングパターンが形成されないように、第1糸ストランド及び第2糸ストランドは同じ又は類似の外観を有してもよい。
【0018】
次に、図5を参照すると、図4の管状ジャカードニット構造110に対応する例示的なニットダイアグラム210が図示されている。ニットダイアグラム210は、複数の列と行を含む。各列は針位置(needle position)を表し、各行は糸ストランドを表す。行は、管状ジャカードニットを形成するために使用される第1糸ストランドと第2糸ストランドとの間で交互になっている。各列内において、ステッチのタイプが、ステッチがフロントベッド(front bed)上であるかバックベッド(back bed)上であるかを示す指示とともに指定される。「糸」の下にあるステッチ表記はフロントベッド上であり、「糸」の上にあるステッチ表記はバックベッド上である。例えば行212Cは、10個の針位置A~Jにおける第1糸ストランド216のステッチタイプ及びステッチ位置(stitch location)を示す。ステッチ表記213はフロントベッド上のステッチを指定し、ステッチ表記215はバックベッド上のステッチを指定する。したがって、ラインセグメント220は、フロントベッドからバックベッドへの移動(transfer)に対応する。
【0019】
図5を続けると、行212A~行212Cの各々は、第1糸ストランド216のニット構造を規定し、交互の行214A~行214Cは、第2糸ストランド218のニット構造を規定する。行212A及び行212Bは、ニット構造の前側における第1糸ストランド216による10個のステッチを規定し、行214A及び行214Bは、ニット構造の後側における第2糸ストランド218による10個のステッチを規定する。これらの行212A、212B、214A及び214Bは、図4の最初の2つのフロントステッチコース及び最初の2つのバックステッチコースに対応する。
【0020】
以前に説明したように、行212Cは、図4の第1糸ストランド116に対応する第1糸ストランド216のステッチを示す。このように、行212Cは、フロント側で3ステッチ、バック側への移動(すなわち、ラインセグメント220)、バック側で5ステッチ、フロント側への移動(すなわち、ラインセグメント224)、フロント側で2ステッチを順次指定する。行214Cは、図4の第2糸ストランド118に対応する第2糸ストランド218のステッチを指定し、そのため、行214Cは、バック側で3ステッチ、フロント側への移動(すなわち、ラインセグメント222)、フロント側で5ステッチ、バック側への移動(すなわち、ラインセグメント226)、バック側で2ステッチを順次指定する。実行されると、220及び222によって指定された移動はインターロック・クロスオーバー124に変換され、224及び226によって指定された移動はインターロック・クロスオーバー126に変換される。したがって、行212C及び行214Cによって規定されるステッチの組合せは、図4のフロントステッチコース120と図4のバックステッチコース122に変換される。
【0021】
図4に関して説明したように、インターロック・クロスオーバーは、コースをステッチのサブセットに分ける。例えば図5において、移動220、222、224及び226は、インターロック・コース(interlocked course)を、第1量のフロントステッチ228、第2量のフロントステッチ230、第3量のフロントステッチ232、第1量のバックステッチ234、第2量のバックステッチ236及び第3量のバックステッチ238に分ける。
【0022】
例示的な管状ジャカードニット構造310を更に説明するために、図6Aは、フロントステッチコース312及びバックステッチコース314の別の概略図を含んでおり、これは、図4に示されるフロントステッチコース120及びバックステッチコース122の代替的な視覚的表現を提供する。フロントステッチコース312及びバックステッチコース314は、第1糸ストランド316及び第2糸ストランド318から形成され、フロントステッチコース312は、バックステッチコース314と断続的にインターロックされて、インターロック・コース320を形成する。インターロック・コース320は、インターロック・クロスオーバー124(図4)に対応する糸ストランド316及び318のインターロック・クロスオーバー324と、インターロック・クロスオーバー126(図4)に対応する別のインターロック・クロスオーバー326を含む。
【0023】
さらに、図6Aは、インターロック・クロスオーバー324及び326が、インターロック・コースを、第1量のフロントステッチ328、第2量のフロントステッチ330、第3量のフロントステッチ332、第1量のバックステッチ334、第2量のバックステッチ336及び第3量のバックステッチ338に分割することを例示的に示している。インターロック・コース320内では、インターロック・クロスオーバー324及び326と、第2量のフロントステッチ330と、第2量のバックステッチ336との組合せが、2つのコース312及び314の間の空間340を実質的に区切る。
【0024】
図6Bを参照すると、ニット構造310は、力を受けると、様々な方法で動作する。例えば力が、インターロック・コース320と交差する方向(例えば342A、342B又は342C)に加えられると、ニット構造310は、インターロック・コース320と整列される方向(例えば344A及び344B)に伸びる。加えて、力が取り除かれると、ニット構造310はその静止状態に戻る。本開示の一態様では、インターロック・クロスオーバー324及び326は、より屈曲又は湾曲される第1状態(例えば図6A)から、より真っ直ぐな第2状態(例えば図6B)に機械的に変わる第1糸ストランド316及び第2糸ストランド318によって、ニット構造310のこの特性に寄与する。この意味で、インターロック・クロスオーバー324及び326は、ステッチのサブセット間の伸縮ジョイントと同様に機能する。
【0025】
ニット構造310を有するニット織物領域が上胴衣10内に構築されるとき、様々な状況において、力がニット構造に加えられる可能性がある。例えば上胴衣が着用されて、着用者の一部(例えば乳房組織)がニット織物領域に押し付けるときに、インターロック・コース320と交差する方向に力が加えられる可能性がある。このように、ニット織物領域は、着用者にフィットするように機械的に伸張するか伸びて、着用者に対する圧縮力を提供することができる。
【0026】
本開示の一態様では、ニット織物領域の中に含まれるインターロック・クロスオーバーの密度(例えば所与のニット領域内のインターロック・クロスオーバーの数)は、機械的伸張や伸びの量、並びに着用者の組織(例えば乳房組織)に対する圧縮力を達成するように選択される。すなわち、所与の数のステッチの中でより多くのインターロック・クロスオーバーを含む第1インターロック・コースと、その所与の数のステッチにおいてインターロック・クロスオーバーの数がより少ない第2インターロック・コースとが同じ力を受けるとき、第1インターロック・コースは第2インターロック・コースよりも伸びることになる。このように、第2インターロック・コースは、同じ条件(例えば衣類のサイズ及び着用者の寸法)の下で、第1インターロック・コースよりも多くの圧縮を提供することができ、第1インターロック・コースは、第2インターロック・コースよりも機械的に伸びることができる。これらの原理を適用すると、本開示の一態様は、インターロック・クロスオーバーの密度に少なくとも部分的に基づいてそれぞれの伸びの量を提供する1つ以上の管状ジャカードニット構造を含む、上胴衣を含む。
【0027】
図7Aを参照すると、ニットダイアグラム710は、第1糸ストランド716で形成されるステッチを表す複数の第1ストランド行712A~712Gと、第2糸ストランド718で形成されるステッチを規定する複数の第2ストランド行714A~714Gを示す。加えて、ニットダイアグラム710は、複数の連続的に配置された針位置(A~AA)を含む。実行されると、対応する第1ストランド行(例えば712A)及び対応する第2ストランド行(例えば714A)は、ある密度のインターロック・クロスオーバーを含むフロントステッチコース及びバックステッチコースに変換される。図7Bは、第1ストランド行712A~712B、第2ストランド行714A~714B及び針位置のサブセットH~Yを含む、ニットダイアグラム710の一部の拡大図を含む。
【0028】
第1ストランド行712Aで指定される第1ストランドステッチは、第2ストランド行714Aで指定される第2ストランドステッチと断続的にインターロックし、インターロック・コース720Aを形成する。加えて、インターロック・コース720Aは、インターロック・コース720Aに沿って繰り返すコース内ニットシーケンス(intra-course knit sequence)を含む。繰り返すコース内ニットシーケンスは、ボックス722A(図7A)によってアウトラインが示され、コース内ニットシーケンスの繰り返しインスタンスはボックス722B及び722Cによってアウトラインが示されている。図7Bも、ボックス722B及び722Cによってアウトラインが示されている繰り返しのコース内ニットシーケンスを示している。本開示の一態様によると、コース内ニットシーケンスの構造、並びに繰り返しインスタンスは、インターロック・コース内のインターロック・クロスオーバーの密度に寄与する。
【0029】
図7Bを参照すると、(ボックス722Bによって識別される)コース内ニットシーケンスは、第1糸ストランド716によって形成される第1量のフロントステッチ724と、第2糸ストランド718によって形成される第1量のバックステッチ726を含む。さらに、針位置M及びNの間で、第1糸ストランド716はフロントベッドからバックベッドに移動し、第2糸ストランド718はバックベッドからフロントベッドに移動する。次いで、第1糸ストランド716は第2量のバックステッチ728を形成し、第2糸ストランド718は、第2量のフロントステッチ730を形成する。次いで、第1糸ストランド716及び第2糸ストランド718は、第2量のフロントステッチ730及び第2量のバックステッチ728の後に、針位置PとQとの間でクロスバックオーバー(cross back over)する。次に、針位置PとQの間でクロスバックオーバーの後、コース内ニットシーケンスは、インターロック・コース内で少なくとも1回繰り返す。
【0030】
例示的なニットダイアグラム710において、コース内ニットシーケンス内のフロントステッチの量は8つであり(例えば針IからPまでで与えられるフロントステッチ)、コース内ニットシーケンス内のバックステッチの量は8つである。加えて、コース内ニットシーケンスの繰り返しインスタンスを開始する第2インターロック・クロスオーバーの前に、これらの8つのフロントステッチと8つのバックステッチの間に単一のインターロック・クロスオーバーがある。図7A及び図7Bに示されるコース内ニットシーケンスは、単に本開示の一態様の例示にすぎず、当該態様では、ニットダイアグラム710によって規定される構造に従って形成されるニット織物領域は、8つのフロントステッチと、8つのバックステッチと、8つのフロント及びバックステッチの間のインターロック・クロスオーバーとの繰り返しパターンに少なくとも部分的に起因する、伸びの量と圧縮特性を含む。また、本開示の他の態様では、各それぞれのコース内ニットシーケンスは、4個以上で12個以下の量のフロントステッチと、4個以上で12個以下の量のバックステッチとを含む。繰り返しシーケンス内のフロントステッチ及びバックステッチの量は、繰り返しシーケンスを含むことになるニット織物領域によって提供されるべき圧縮の量に少なくとも部分的に基づいて選択及び調整され得る。
【0031】
図7A及び図7Bにおいて、ニットダイアグラム710は、複数のインターロック・コース720A、720B及び720Cの表記を示しており、各インターロック・コースは、それぞれのインターロック・コースに沿って繰り返すそれ自体のそれぞれのコース内ニットシーケンス(例えば722A、722D及び722E)を含む。本開示の態様によれば、第1量のフロントステッチ、第1量のバックステッチ、第2量のフロントステッチ及び第2量のバックステッチはすべて、それぞれのコース内ニットシーケンスの各々の間で一貫している。例えばインターロック・コース720Aは、第1量のフロントステッチ724における5つのフロントステッチと、第1量のバックステッチ726における5つのバックステッチと、第2量のフロントステッチ730における3つのフロントステッチと、第2量のバックステッチ728における3つのバックステッチとを有するコース内ニットシーケンス722Aを含む。一貫した方法で、別のインターロック・コース720Bは、第1量のフロントステッチ736における5つのフロントステッチと、第1量のバックステッチ738における5つのバックステッチと、第2量のフロントステッチ740における3つのフロントステッチと、第2量のバックステッチ742における3つのバックステッチとを有するコース内ニットシーケンス(ボックス722Dによって識別される)を含む。
【0032】
各々がそれぞれのインターロック・コース内に配置されるそれぞれのコース内ニットシーケンス(例えばボックス722A内のシーケンス及びボックス722D内のシーケンス)が、フロント及びバックステッチのサブセットの各々において等しい数のステッチを含むニット構造では、様々な配置を実装することができる。例えば図7A及び図7Bにおいて、インターロック・コース720A及び720Bのインターロック・クロスオーバーは、隣接するインターロック・コース内の同じペアの針位置M及びNの間に配置される。加えて、コース内ニットシーケンス722A、722D及び722Eのすべてにおいて、所与のコース内ニットシーケンス内のフロントステッチの総数とバックステッチの総数(すなわち、8つのフロントステッチと8つのバックステッチ)を分割して、サブセット内に異なる量のステッチ(すなわち、フロントステッチサブセットのうちの1つに5つのステッチと、他のフロントステッチのサブセット内に3つのステッチ)を有するサブセットを作成する。
【0033】
次に、図8Aを参照すると、管状ジャカードニット構造が、第2インターロック・コース820Bにインターループ状に結合(interloopedly coupled)される第1インターロック・コース820Aを含む、代替的な態様が示されている。インターロック・コースは、フロントステッチコースのインタールーピング(interlooping)とバックステッチコースのインタールーピングによってインターループ状に結合される。第1及び第2インターロック・コース820A及び820Bは、それぞれのインターロック・コースにおいて繰り返すそれぞれのコース内ニットシーケンス822A及び822Bを含む。図7A及び図7Bのニットダイアグラムと同様に、第1量のフロントステッチ824A及び824B、第1量のバックステッチ826A及び826B、第2量のフロントステッチ828A及び828B及び第2量のバックステッチ830A及び830Bはすべて、それぞれのコース内ニットシーケンスの各々の間で一貫している。また、図8Aに示される代替的な態様では、第1インターロック・コース820Aにおけるクロスオーバー832(インターロック・クロスオーバーを形成することになる)は、第2インターロック・コース820Bにおけるクロスオーバー834とは異なる針位置に配置される。インターロック・クロスオーバーは、隣接する針位置の異なるペアの間に配置されるが、インターロック・コース820Aと820Bは、所与の数の繰り返しコース内ニットシーケンスの間で同じ密度のインターロック・クロスオーバーを含み、したがって、インターロック・コース820A及び820Bは、ニット織物領域の一部を構成する際に、同様の伸び及び圧縮特性を有する。例えば2組の繰り返しコース内ニットシーケンスを含む16個の針位置の間に、インターロック・コース820A及び820Bは両方とも、3つのインターロック・クロスオーバーを含む。
【0034】
次に、図8Bを参照すると、管状ジャカードニット構造が、第2インターロック・コース840Bにインターループ状に結合される第1インターロック・コース840Aを含み、第1及び第2インターロック・コースが、それぞれのインターロック・コースで繰り返すそれぞれのコース内ニットシーケンス842A及び842Bを含む、別の態様が示されている。図8Bのニットダイアグラムは、それぞれのコース内ニットシーケンス内のステッチの総量が同じ(すなわち、8つのフロントステッチ及び8つのバックステッチ)であるので、図7Bのニットダイアグラムと同様である。しかしながら、図8Bのニットダイアグラムは、フロントステッチ及びバックステッチのサブセットが、コース内ニットシーケンス842A及び842Bの各々で異なるように分割されるので、図7B及び図8Aのニットダイアグラムとは異なる。例えばコース内ニットシーケンス842Aの第1量のフロントステッチ844Aは、コース内ニットシーケンス842Bの第1量のフロントステッチ844Bとは異なる。フロント及びバックステッチのサブセットは、インターロック・コース840Aと840Bの間で異なるように分割されるが、インターロック・コース840A及び840Bは、所与の数の繰り返しコース内ニットシーケンスの中で同じ密度のインターロック・クロスオーバーを含む。例えばインターロック・コース840A及び840Bは両方とも、それぞれのコース内ニットシーケンスの2つの繰り返しインスタンスの中で3つのインターロック・クロスオーバーを含み、これは図7B及び図8Aのニットダイアグラムとも一貫する。このように、インターロック・コース720A、820A及び840Aは、ニット織物領域を構成する際に同様の伸び及び圧縮特性を有することができる。
【0035】
次に、図8Cを参照すると、管状ジャカードニット構造が、第2インターロック・コース850Bにインターループ状に結合される第1インターロック・コース850Aを含み、第1及び第2インターロック・コースが、それぞれのインターロック・コースで繰り返すそれぞれのコース内ニットシーケンス852A及び852Bを含む、別の態様が示されている。図8Cのニットダイアグラムは、それぞれのコース内ニットシーケンス内のステッチの総量が同じ(すなわち、8つのフロントステッチ及び8つのバックステッチ)であるという点で、図7B図8A及び図8Bのニットダイアグラムと類似する。しかしながら、図8Cのニットダイアグラムは、各コース内ニットシーケンスにおいて、第1糸ストランドが、第2糸ストランド(すなわち、4つ)と同じ数のフロントステッチ及びバックステッチ(すなわち、4つ)を構成するので異なる。以前に示したように、図8Cのインターロック・コースを図7B図8A及び図8Bのインターロック・コースと比較すると、各それぞれのコース内ニットシーケンス内のステッチの総量が同じであり(すなわち、8つのフロントステッチと8つのバックステッチ)、インターロック・クロスオーバーの数が同じであるため、インターロック・コースは、所与の数のコース内ニットシーケンスの繰り返しインスタンスの中で同じ密度のインターロック・クロスオーバーを含む。このように、インターロック・コース720A、820A、840A及び850Aは、ニット織物領域を構成する際に同様の伸び及び圧縮特性を有することができる。
【0036】
図8Dは、図8Cに類似するニットダイアグラムを示しており、各コース内ニットシーケンス862A及び862Bにおいて、第1糸ストランドは、第2糸ストランド(すなわち、4つ)と同じ数のフロントステッチ及びバックステッチ(すなわち、4つ)を構成する。しかし、図8Cのニットシーケンス852A及び852Bとは対照的に、コース内ニットシーケンス862A及び862Bは、隣接する針の異なるペアの間でそれぞれのインターロック・クロスオーバーを含む。しかしながら、図8Aに関して説明したのと同じ理由により、インターロック・クロスオーバーの密度が同様であるので、伸び及び圧縮特性は同様であり得る。
【0037】
図7A図7B及び図8A図8Dに図示され、これらに関して説明された様々なコース内ニットシーケンスは、8つのフロントステッチ及び8つのバックステッチと、8つのフロント及びバックステッチの間の単一のインターロック・クロスオーバーを含む。加えて、インターロック・クロスオーバーは、コース内ニットシーケンスの直前及びコース内ニットシーケンスの直後に配置される。この意味で、コース内ニットシーケンスは、インターロック・クロスオーバーによってブックエンドされる。8つのフロント及びバックステッチの例は、本開示の一態様の例示であり、他の態様では、ニット織物領域66及び68におけるコース内ニットシーケンスは、4個以上で12個以下の量のフロントステッチを含む。これらの他の態様では、単一のコース内ニットシーケンスのインターロック・クロスオーバーが、異なる隣接の針ペアの間に配置されて、フロントステッチとバックステッチを異なるサイズのサブセットに分割することができるように、図7A図7B及び図8A図8Dに関して説明された原理を等しく適用する。例えば12個のフロントステッチと12個のバックステッチを有するコース内ニットシーケンスは、6個の2グループ、5個の1グループと7個の1グループ、4個の1グループと8個の1グループ等に分けられてもよい。さらに、インターロック・クロスオーバーは、1つのインターロック・コースから次のインターロック・コースへ同じ隣接の針ペアの間に配置されてもよく、あるいはインターロック・コースの間と異なる隣接の針ペアの間に配置されてもよい。
【0038】
図7A図8Dで規定される様々なニット構造は、所定の量のステッチ(例えば針位置の所定のセット)の中のインターロック・クロスオーバーの密度を含む。例えば図7B図8Dの各ニット構造は、各々が針位置HとTとの間に13個のフロントステッチ量を有する2つのフロントステッチコースと、各々が針位置HとTとの間に13個のバックステッチを有する2つのバックステッチコースとを含む。さらに、フロントステッチの量にバックステッチの量を組み合わせると、26個のステッチ量が得られる。このように、比率は、所定のニット織物領域におけるステッチの数に対するインターロック・クロスオーバーの量を記述することができる。例えば13個の針位置を有する2つのコースを含む図7B図8Dのニットダイアグラムによって記述されるニットシーケンスの各々において、ステッチの量に対するインターロック・クロスオーバーの比は3:13である。このように、本開示の一態様では、ステッチの量に対するインターロック・クロスオーバーの比を使用して、ニット織物ゾーンにおける伸びの量を評価して調整することができる。
【0039】
上述したように、図7B図8Dは、8つのフロントステッチ及び8つのバックステッチという量を有するいくつかの異なるコース内ニットシーケンスの単なる例であり、他の例では、コース内ニットシーケンスは、4~12個のステッチを含んでよい。ステッチに対するインターロック・クロスオーバーの比によってニット織物領域を特徴付ける同じ理論的解釈を適用すると、本開示の一態様において、比は約1:4から約1:13の範囲内である。
【0040】
本開示の他の態様によれば、ニット織物領域(例えば66及び68)の他の特性は、管状ジャカードニット構造に加えて、ニット織物領域によって提供される伸び及び圧縮の量に部分的に寄与する。例えば一態様では、フロント糸ストランドとバック糸ストランドの両方が、非弾性糸タイプ(yarn type)(時には、非伸張糸(non-stretch yarn)とも呼ばれる)を含み、これは、荷重が除去されたときに非伸張状態に戻る前に荷重下で200%未満の最大伸張を提供する弾性量を含む。更なる態様では、非弾性糸タイプの第1糸ストランド及び第2糸ストランドは、100%未満の最大伸張を提供する。非弾性糸タイプの例には、ナイロン及びポリエステルが挙げられる。本開示の一態様では、第1糸ストランド及び第2糸ストランドは両方とも、ナイロン2/78D/68の両端(two edges)(すなわち、各プライ(ply)が68フィラメントで78デシテックスである2プライ(双糸))を含む。対照的に、弾性糸タイプは、荷重が除去されるときに非伸張状態に戻る前に、荷重下で200%を超える最大伸張を提供し、いくつかの弾性糸は、約400%の最大伸張を提供する。弾性糸の例には、スパンデックス、エラスタン(elastane)、ライクラ(lycra)(登録商標)等が挙げられる。
【0041】
第1糸ストランド及び第2糸ストランドが非弾性糸タイプを含むとき、ニット織物パネルの伸びの量は、インターロック・クロスオーバーによって提供される機械的伸びによって達成可能である。非弾性糸タイプが使用される本開示のこの態様がない場合、他の解決法は、伸び量を達成するために、より弾性のある糸タイプを含んでもよい。
【0042】
本発明の別の態様によれば、ステッチ長は、管状ジャカードニット構造によって提供される伸び特性に加えて、ニット織物領域によって提供される伸びの量にも寄与し得る。例えばニット織物領域のフロント及びバックのステッチのステッチ長は、約3.00mm~約3.30mmの範囲であってよい。また、本発明の一態様では、ステッチ長は3.15mmである。これらのステッチ長は、単に本開示の一態様の例示にすぎず、他の態様では、より小さい又はより大きいステッチ長が使用されてよい。
【0043】
図7A図8Dに示され、上胴衣の様々なニット領域に組み込むことができる構造は、第1糸ストランド及び第2糸ストランドで構成される管状ジャカードニット構造を含む。加えて、図7A図8Dのニット構造の各々、並びにそれらのニット構造が組み込まれる上胴衣のニット織物領域(例えば66及び68)は、追加の一体的ニット構造を含んでもよい。例えば図9を参照すると、管状ジャカードニット構造910は、複数のフロントステッチコース及び複数のバックステッチコースを有するように示されている。加えて、フロントステッチコース912A及び912Bは、図4図8Dに関して説明した管状ジャカードニット構造と同様に、バックステッチコース914A及び914Bと断続的にインターロックされる。このように、フロントステッチコース912Aとバックステッチコース914Aは、インターロック・コースを形成する。本開示の別の態様によると、各インターロック・コースは、1つおきのフロントステッチ(every other front stitch)及び1つおきのバックステッチ(every other back stitch)とインターループすることによって、それぞれのフロントステッチコース912Aをそれぞれのバックステッチコース914Bに更にバインドする、インターロック・タック・ステッチ(interlock tuck stitches)のコースを更に含む。図9に示されるように、第3糸ストランド916は、バックステッチコース914Aにおいてタック・ステッチ918を形成し、次いで、フロントステッチコース912Aに移動して、別のタック・ステッチ920を形成する。さらに、第3糸ストランド916は、フロントステッチコース912Aとバックステッチコース914Aとの間を前後に波状に移動して、1つおきのフロントステッチ及び1つおきのバックステッチにおいてタック・ステッチを形成する。図9の例では過密を避けるために、インターロック・タック・ステッチの他のコースは(例えばフロントステッチコース912B及びバックステッチコース914Bによって形成されるコース内には)図示されていないが、本開示の他の態様では、インターロック・タック・ステッチの他のコースは、フロントステッチコース912Bを、バックステッチコース914Bと、並びに他のフロント及びバックコースとバインドしてもよい。さらに、インターロック・タック・ステッチの他のコースは、フロントステッチコース912Aをバックステッチコース914Bとバインドするインターロック・タック・ステッチのコースからオフセットされてもよい。
【0044】
図10を参照すると、ニットダイアグラム1010は、実行されると、図9の管状ジャカードニット構造910と同様のニット構造になるニット表記を示す。例えばニットダイアグラム1010は、第3糸ストランド1014のニット構造を規定する行1012を示す。図9に関して説明したように、この行は、第3糸ストランド1014がバックサイドにタック・ステッチ1016を形成し、次いで第3糸ストランド1014がフロントサイドに移動1018することを示す。次いで、第3糸ストランド1014は、フロントサイドにタック・ステッチ1020を形成し、バックサイドに移動1022する。このパターンは、1つおきのフロントステッチ及び1つおきのバックステッチにおいてタックを縫う間に、第3糸ストランド1014がフロントサイドとバックサイドの間で前後に移動するように繰り返す。
【0045】
図11は、管状ジャカードニット構造1110の別の例示の概略図を提供する。管状ジャカードニット構造1110は、図9のフロントステッチコース912A及びバックステッチコース914Aに対応し、第1糸ストランド1112、第2糸ストランド1114及び第3糸ストランド1116を含む。第1糸ストランド1112及び第2糸ストランド1114は、図6のニット構造310と同様の構造を形成するように編まれており、断続的にインターロックしてインターロック・コースを形成するフロントステッチコース1118とバックステッチコース1120を含む。加えて、第3糸ストランド1116は、1つおきのフロントステッチ及び1つおきのバックステッチにおいて一連のインターロック・タック・ステッチを構成することによって、フロントステッチコース1118とバックステッチコース1120をバインドする。
【0046】
インターロック・タック・ステッチのコースをニット織物パネルへ構成することができる方法を更に例示するために、別のニットダイアグラム1210が図12に図示されている。ニットダイアグラム1210は、いくつかの点で図7Aのニットダイアグラム710と類似している。例えばニットダイアグラム1210は、第1糸ストランド1216についてのステッチタイプ及び位置を示す一連の第1糸行1212A~1212Eと、第2糸ストランド1218についてのステッチタイプ及び位置を示す一連の第2糸行1214A~1214Eとを示す。加えて、図7Aと同様に、第1糸ストランド1216及び第2糸ストランド1218は、8つのフロントステッチ、8つのバックステッチ、そして8つのフロントステッチとバックステッチの間の単一のインターロック・クロスオーバーを有する、繰り返しのコース内ニットシーケンスを有する同様のインターロック・コースを構成する。加えて、ニットダイアグラム1210は、一連の第3糸行1220A~1220Eを更に示している。第3糸行1220A~1220Eは、各コース内でフロントベッドからバックベッドへ交互になり、1つおきのフロントステッチ及び1つのおきのバックステッチにおいて構成される、インターロック・タック・ステッチを規定する。さらに、ニットダイアグラム1210は、インターロック・タック・ステッチの連続するコース(例えば1220A及び1220B)が互いにオフセットされていることを示す。したがって、コース1220A内の、スキップされてタック・ステッチを含まない針が、直接連続するコース1220B内のタック・ステッチを含むことになる。
【0047】
図12のニットダイアグラム1210は、インターロック・タック・バインダを含む1つのニット構造の例である。本開示の他の態様では、図8A図8Dに示される様々なニット構造の各々は、インターロック・タック・ステッチのオフセットコースを含むように補足されてもよい。さらに、図7A図8Dに関して説明した追加の可能なニットの組合せの各々は、少なくとも4つのフロントステッチ及びバックステッチで12個以下のフロントステッチ及びバックステッチを有するコース内ニットシーケンスを含む、インターロック・タック・ステッチのオフセットコースも含んでよい。更なる態様では、インターロック・タック・バインダを有する管状ジャカードニット構造は、本開示の他の部分で説明されるように、フロント及びバックステッチのより小さい又はより大きいサブセットを含んでもよい。
【0048】
更なる態様において、インターロック・タック・ステッチを構成するために使用される第3糸ストランドは、第1糸ストランド及び第2糸ストランドと同様の特性を含む。例えば第3糸ストランドは、非弾性糸タイプ(時には、非伸張糸とも呼ばれる)を含み、これは、荷重が除去されたときに非伸張状態に戻る前に荷重下で200%未満の最大伸張を提供する弾性量を含む。更なる態様では、非弾性糸タイプの第1糸ストランド及び第2糸ストランドは、100%未満の最大伸張を提供する。非弾性糸のタイプの例には、ナイロン及びポリエステルが挙げられる。本開示の一態様では、第3糸ストランドは、ナイロン2/78D/68の両端(すなわち、各プライが68フィラメントで78デシテックスである2プライ)を含む。
【0049】
インターロック・タック・バインダは、本開示で説明される管状ジャカードニット構造を有するニット織物領域に、様々な特性を付加する。例えばインターロック・タック・バインダは、より幅広にされるか押し広げられる、より平らなニット織物パネルをもたらすように、フロントステッチコース及びバックステッチコースを一緒に保持する。さらに、このバインダは、ニット織物パネルをよりタイトにすることを容易にするのに役立つ。例えば一態様では、タックのステッチ長は約2.6mm~約3.0mmの範囲内である。インターロック・タック・ステッチのコースによって伝えられる特性は、タック・ステッチの小さな間隔、並びに糸の組成(例えば非伸張)及びサイズによって達成される。インターロック・タック・ステッチのコースは、多くの場合にタック・ステッチを更に離間させ、より広い針床間隔を利用し、より大きな糸を一体化する、スペーサニット構造のようなニット構造に追加される可能性がある、いくつかの他のタイプの追加のニット構造とは異なる。
【0050】
図4図12に関連する本開示の以前の説明部分は、図1図3に図示されるニット織物領域66及び68を構成することができる様々な管状ジャカードニット構造を説明している。前述したように、これらの管状ジャカードニット構造は、インターロック・クロスオーバーの密度、糸組成、糸サイズ、ステッチ長又はそれらの任意の組合せに少なくとも部分的に基づいて、ニット織物領域66及び68に対して、ある量の伸びを提供する。したがって、本開示の一態様では、伸びの量は、ある量のサポート及び圧縮を下にある組織(例えば乳房組織)に提供する、弾性率(modulus of elasticity)に変換される。このように、ニット織物領域66及び68のサイズは、乳房カバー部分30及び32の一部又はすべてを含むように構成されてよく、そのサイズは様々な方法で決定されてよく、そのような方法の一部は、上胴衣、乳房カバー部分又はそれらの組合せのサイズに関係する。弾性率は、様々な方法で決定されてよく、一態様では、ASTM D 4964-96によって指定される試験方法を使用してもよい。
【0051】
本開示の一態様は、サイズ及び寸法を有する上胴衣を含む。例えば上胴衣は、30インチ以上42インチ以下のサイズの胸部バンドと、A~Eの範囲のカップサイズとを有するブラとすることができる。加えて、ブラは、S、M、L、XL(x-large)等のサイジングを有してもよい。乳房カバー部分30及び32も様々なサイズを有してもよい。例えば乳房カバー部分30及び32の底部周縁(bottom perimeter edge)において、該底部周縁が胸部バンド50と合致する場合、乳房カバー部分30及び32のうちの一方の底部周縁は、約3インチから約5インチの範囲の長さを有してもよい。別の態様では、乳房カバー部分の各々の底部周縁は、約90ステッチから約120ステッチの範囲のステッチ数を有することができる。例えば図1図3の乳房カバー部分30及び32は各々、胸部バンド50に合致する底部周縁に沿って約104個のステッチを含む。加えて、中央ブリッジ34とインターフェースする乳房カバー部分30及び32の各々の内側周縁(medial perimeter edge)は、約3.5インチから約5.5インチの範囲の長さを含むことができる。また、別の態様では、乳房カバー部分30及び32の各々の内側周縁は、約150~約240個の範囲のコース数を含むことができる。
【0052】
上胴衣のいくつかの例示的なサイズ及び寸法を説明してきたが、本開示の別の態様は、管状ニット織物を含み、かつ乳房カバー領域30及び32内に配置される、ニット織物領域66及び68のサイズに関する。ニット織物パネル66及び68と乳房カバー部分30及び32との間のこの相対的なサイジングは、少なくとも部分的に、ニット織物パネルによって提供される伸び特性が乳房カバー部分30及び32に伝達される程度を決定することができる。
【0053】
ニット織物領域66及び68のサイズは、様々なメトリクスによって決定されてよい。例えばニット織物領域66及び68は、測定側面を有する多角形の形状を含んでもよく、一態様では、ニット織物領域66及び68は、少なくとも1’’×1’’(1インチ×1インチ)の正方形である。また、別の態様では、ニット織物パネル66及び68は、胸部バンドに当接する基部周縁が約3インチ~約5インチの範囲にあり、内側領域に当接する内側周縁が約3.5インチ~約5.5インチの範囲にあるように、乳房カバー領域30及び32の寸法の少なくとも一部に対応するサイズを含む。これらの寸法は、本発明の一態様の例示であり、他の態様では、ニット織物領域の寸法は、列挙された範囲よりも小さくてもよい。ニット織物領域のこれらの寸法は、列挙された範囲よりも大きくてもよい。
【0054】
本開示の更なる態様では、ニット織物領域66及び68のサイズは、コース及びステッチの数に基づいてもよい。例えば一態様では、ニット織物領域66及び68は、約40コースから約120コースの範囲の量のインターロック・コースを含み、各インターロック・コースは、フロントステッチコース及びバックステッチコースを含む。更なる態様では、例えばニット織物パネルが、乳房カバー部分30及び32の内側周縁に対応するサイズを含むようなときには、各ニット織物領域66及び68は、約150コースから約240コースの範囲の量のコースを含む。加えて、その量内のこれらのコースの各々は、インターロック・コースに沿って繰り返すそれぞれのコース内ニットシーケンスを含む。コース内ニットシーケンスのサイズ(例えば4~12ステッチの間)に基づいて及びコース内ニットシーケンスの繰り返しの回数に基づいて、ニット・テキスタイル・パネルの別の寸法を、それぞれのコースのステッチの総数に基づいて決定することができる。例えば以前に示したように、コース内ニットシーケンスは、4個以上で12個以下のステッチ量を有することができ、シーケンスは5回~10回の間で繰り返すことができる。これらの例示的な数字を使用して、ニット織物領域の幅を、20ステッチ~120ステッチとの間とすることができる。また、更なる態様では、例えばニット織物パネルが、乳房カバー部分30及び32の底部周縁に対応するサイズを含むようなときには、各ニット織物領域66及び68は、約80個~約120個の範囲のステッチ量を含むことができる。
【0055】
本開示の他の部分で説明されるように、コース又はニット織物パネル内のインターロック・クロスオーバーの数を増加又は減少させて、伸び特性(例えば弾性率)を変化させることができる。したがって、本発明の一態様は、第1弾性率を有する第1ニットゾーンと、第1弾性率よりも大きい第2弾性率を有する第2ニットゾーンとを含む上胴衣を含む。さらに、第1ニットゾーンは、第1管状ジャカードニット構造で構成され、第2ニットゾーンは、第2管状ジャカードニット構造で構成される。第1管状ジャカードニット構造及び第2管状ジャカードニット構造は両方とも、複数のバックステッチコースと断続的にインターロックされる複数のフロントステッチコースを含む。しかしながら、第2管状ジャカードニット構造内のインターロック・クロスオーバーの密度は、第1管状ジャカードニット構造内のインターロック・クロスオーバーの密度よりも低く、より低い密度は、より少ない数のインターロック・クロスオーバーによって与えられる伸びを小さくすることで弾性率を増加させる。本開示のこの態様は、上胴衣の異なる領域が、同じ糸タイプと、同じ糸サイズと、同じステッチ構造と、インターロック・クロスオーバーの密度に基づく異なるゾーン特性で構成されることを可能にする。
【0056】
次に図13を参照すると、上胴衣1310は、乳房カバー部分において第1管状ジャカードニット構造を有する第1ニットゾーン1312と、翼部分において第2管状ジャカードニット構造を有する第2ニットゾーン1314と、中央ブリッジにおいて第3管状ジャカードニット構造を有する第3ニットゾーン1316とを含む。管状ジャカードニット構造は、それぞれニットダイアグラム1313、1315及び1317によって表されており、ニットダイアグラム1313、1315及び1317は、実行されると、それぞれの管状ジャカードニット構造を構成するであろうことが理解される。
【0057】
ニットダイアグラム1313によって示されるように、第1管状ジャカードニット構造は、複数の第1フロントステッチコース及び複数の第1バックステッチコースを含み、該複数の第1フロントステッチコース及び複数の第1バックステッチコースは、第1糸ストランド1320及び第2糸ストランド1322で構成される。複数の第1フロントステッチコースの各フロントステッチコースは、複数の第1バックステッチコースのバックステッチコースと断続的にインターロックして、複数の第1インターロック・コース1324A及び1324Bを形成する。複数の第1インターロック・コースの各第1インターロック・コース1324A及び1324Bは、ある量の針(例えば14個)を有する、第1セットの連続する針位置1326を含む。加えて、各第1インターロック・コース1324A及び1324Bは、第1セットの連続する針位置1326の中に配置される第1糸ストランド1320と第2糸ストランド1322の3つのインターロック・クロスオーバー1328A~1328Cを含む。第1セットの連続する針位置1326は、複数の第1インターロック・コース1324A及び1324B全体にわたって一貫している。
【0058】
引き続き図13を参照すると、ニットダイアグラム1315によって示される第2管状ジャカードニット構造は、複数の第2フロントステッチコース及び複数の第2バックステッチコースとを含み、該複数の第2フロントステッチコース及び複数の第2バックステッチコースは、第3糸ストランド1330及び第4糸ストランド1332で構成される。複数の第2フロントステッチコースの各フロントステッチコースは、複数の第2バックステッチコースのバックステッチコースと断続的にインターロックして、複数の第2インターロック・コース1334A及び1334Bを形成し、各第2インターロック・コース1334A及び1334Bは、ニットダイアグラム1313で識別されるのと同じ量(例えば14個)の針を有する、第2セットの連続する針位置1336を含む。第2インターロック・コースは、第2セットの連続する針位置1336の間に配置される第3糸ストランドと第4糸ストランドの3つ未満のインターロック・クロスオーバーを含む。したがって、第1管状ジャカードニット構造と比較して、第2管状ジャカードニット構造は、インターロック・クロスオーバーに起因するより少ない伸びと、より高い弾性率とを示すであろう。したがって、2つのニットゾーン1312と1314の間のように、同じ糸を両方のゾーン全体に広げることができ、2つのゾーン間で異なる密度のインターロック・クロスオーバーを構築することによって、異なる伸び特性を与えることができる。
【0059】
第3ニットダイアグラム1317は、第3管状ジャカードニット構造と相関しており、フロントステッチコースをバックステッチコースにリンクするインターロック・クロスオーバーは、ニットダイアグラム1317内に示される針位置の数よりも更に離間して配置される。例えば第3管状ジャカードニット構造においてフロントステッチコースとバックステッチコースを接続するインターロック・クロスオーバーは、第3ニットダイアグラム1317によって示される部分の外側にある、中央ブリッジから乳房カバー部分への遷移部分のより近くに又はそれに沿って配置されてもよい。このように、フロントステッチコース及びバックステッチコースはインターロック・コースを形成するが、針位置1338の量の範囲内では、第3管状ジャカードニット構造はインターロック・クロスオーバーを含まない。第1管状ジャカードニット構造及び第2管状ジャカードニット構造と比較して、第3管状ジャカードニット構造は、インターロック・クロスオーバーに起因する伸びの量が最も少なく、弾性率が最も高いと考えられる。
【0060】
図13のニットダイアグラムは、単に本開示の一態様の例示にすぎない。他の態様では、ニットゾーンの各々におけるインターロック・クロスオーバーの密度は、より小さいか又はより大きくてもよいが、それらのニットゾーンは依然として異なる密度を含み、その結果、伸び特性におけるゾーン差が生じる。加えて、図に示されるコース内ニットシーケンスは、代替的に、図8A図8Dに示されるコース内ニットシーケンスのいずれか、図9図12に関して説明される、オフセットされたインターロック・タック・バインダを含んでもよく、あるいはそれらに関して説明した編成原理のいずれか(例えば様々なサイズのステッチ・サブセット)を適用してもよい。例えばコース内ニットシーケンス内のインターロック・クロスオーバーは、フロントステッチ及びバックステッチを、等しいステッチ数を有するか不均等なステッチ数を有するサブセットに分割してもよい。加えて、あるコースのインターロック・クロスオーバーが、隣接するコースのインターロック・クロスオーバーと(針位置によって)位置合わせされてもよく、あるいはあるコースのインターロック・クロスオーバーが、隣接するコースのインターロック・クロスオーバーと(針位置によって)オフセットされてもよい。さらに、オフセットされたインターロック・タック・ステッチのコースを、第1、第2及び第3管状ジャカードニット構造へ構成することもでき、これらの構造は依然として、それぞれのインターロック・クロスオーバーの密度の差に基づいて、弾性率におけるゾーン差を含むことになる。
【0061】
さらに、18個の針位置を有する2つのインターロック・コースを含む図13のニットダイアグラムのサイズは、説明目的のために提供されている。また、他の態様では、ニットゾーンの各々は、これらのニットゾーンが、管状ジャカードニット構造に基づいて様々な伸び特性を有する、より大きなニット織物部分を提供するように、より大きくてもよい(すなわち、3つ以上のコース)。例えば各ニットゾーンは、少なくとも40個のインターロック・コースから120個未満のインターロック・コースの範囲内で複数のニットコースを含んでよい。また、他の態様では、ニットゾーンは、120個よりも多くのインターロック・コースを含んでもよい。
【0062】
加えて、上胴衣の他の領域は、異なる弾性率をもたらす異なる管状ジャカードニット構造を有するゾーンを含んでもよい。例えば脇下ゾーン、上部胸部領域、カプセル化領域及びストラップも、管状ジャカードニット構造を有するニットゾーンを含んでよい。したがって、本開示の一態様では、乳房カバー領域、中央ブリッジ、カプセル化領域、上部胸部領域、脇下部分及び翼部分を含む上胴衣の様々な部分は各々、インターロック・タック・バインダを有する管状ジャカードニット構造で構成され、各部分における伸び特性は、インターロック・クロスオーバーの数を増減させることによって調整され得る。
【0063】
次に、図14図16を参照すると、本開示の一態様は、1つ以上のカプセル化領域34、35A、35B、35C、35D、35E及び35Fを提供するために、乳房カバー部分30及び32の少なくとも一部の周囲に、より低い密度のインターロック・クロスオーバーを有する管状ジャカードニット織物領域を配置することを対象とする。すなわち、カプセル化領域が、より低い密度のインターロック・クロスオーバーに起因してより低い程度の伸び率を示すことに基づいて、カプセル化領域は、乳房カバー部分30及び32に対して、より高い弾性率を含む。
【0064】
更なる例示として、図14は、乳房カバー部分内に配置された管状ジャカードニット構造1412を示す拡大図1410を含む。管状ジャカードニット領域は、互いに連続的にインターループされる複数のフロントステッチコース1414を含む。管状ジャカードニット領域はまた、互いに連続的にインターループされる複数のバックステッチコース1416を含む。複数のフロントステッチコース及び複数のバックステッチコースは、第1糸ストランド1418及び第2糸ストランド1420で構成される。さらに、複数のフロントステッチコースの各フロントステッチコースは、複数のバックステッチコースのうちの1つのバックステッチコースと断続的にインターロックして、複数のインターロック・コース(例えば1422)を形成する。
【0065】
複数のインターロック・コースの各インターロック・コース(例えば1422)は、複数のインターロック・クロスオーバーを含む。例えばインターロック・コース1422は、4つのインターロック・クロスオーバー1424、1426、1428及び1430を含む(図面では過剰な混雑を避けるために破線として示されている)。各インターロック・クロスオーバーは、第1糸ストランドと第2糸ストランドが相互にクロスオーバーして、それぞれのフロントステッチコースとそれぞれのバックステッチコースとの間で位置を変えることを含む。各インターロック・コースにおいて、複数のインターロック・クロスオーバーは、例えば1432、1434、1436、1438、1440、1442のように、それぞれのフロントステッチコースを複数のフロントステッチサブセットに、それぞれのバックステッチコースを複数のバックステッチサブセットに分割する。
【0066】
図6Aに関連して説明したように、フロントステッチサブセット(例えば1432)、バックステッチサブセット(例えば1438)及び隣接するインターロック・クロスオーバーのペア(例えば1424及び1426)は、ニット管状構造が形成されるように、少なくとも部分的に、フロントステッチコースとバックステッチコースとの間にスペース(例えば1444)を区分する。図15は、図14の基準線15A-15A又は基準線15B-15Bで切り取った断面の斜視図を示しており、図14では乳房カバー部分の前面は様々な曲線を含んでいるが、説明の目的のために、図15の断面は比較的真っ直ぐに示されている。加えて、図15のニット構造は、説明の目的のために、インターロック・タック・バインダを明示的に示さずに図示されているが、他の態様では、図15のニット構造は、インターロック・タック・バインダを含んでもよい。
【0067】
図15は、この管状の性質をより詳細に示す例示的な概略図を提供する。すなわち、各インターロック・コースは、複数の横並びのニット管状構造を含み、複数のインターロック・コースがインターループで接続されると、図15のより伸張したニット管状構造1512、1514、1516、1518及び1520が、管状ジャカードニット領域にわたって横並びに形成されて配置される。すべてのニット管状構造は、フロントステッチとバックステッチのそれぞれのサブセットで構成されているが、これらのサブセットにおけるステッチの量は、ニット管状構造の幅に影響を及ぼす。例えばニット管状構造1512を構成するフロントステッチのサブセットは、ニット管状構造1514を構成するフロントステッチのサブセットよりも多くのステッチを有し、これは、ニット管状構造1512のより広い描写によって証明される。
【0068】
図15において、管状ジャカードニット領域は、第1ニットゾーン1522、第2ニットゾーン1524、第3ニットゾーン1526、第4ニットゾーン1528及び第5ニットゾーン1530に分割されており、各ニットゾーンは、ニットの管状構造のそれぞれのサブセットを含む。本開示の一態様によれば、各ニットゾーンにおけるニット管状構造の幅は、ニットゾーンの伸び特性に影響を及ぼす。さらに、ニット管状構造の幅は、インターロック・クロスオーバーの間隔と、結果として得られるフロントステッチサブセット及びバックステッチサブセット内のステッチの量によって決定される。
【0069】
更なる態様では、第1ニットゾーン1522は、カプセル化領域35A及び/又は35Bの少なくとも一部を構成し、第2ニットゾーン1524は、乳房カバー部分32の少なくとも一部を構成し、第3ニットゾーン1526は、中央ブリッジ34の少なくとも一部を構成し、第4ニットゾーン1528は、他方の乳房カバー部分30の少なくとも一部を構成し、第5ニットゾーン1530は、他方のカプセル化領域35E及び/又は35Fの少なくとも一部を構成する。このように、第2及び第4ニットゾーンは、第1、第3及び第5ニットゾーンよりも小さいサブセットのフロント及びバックステッチを含んでよい。また、本開示の一態様では、第2及び第4ゾーン内のニット管状構造は、2つ以上のニット管状構造を含み、そのニット管状構造の各々が、少なくとも2つで7つ未満のフロントステッチと、少なくとも2つで7つ未満のバックステッチを有する。第1、第3及び第5ゾーンの各々は、少なくとも7つのフロントステッチ及び少なくとも7つのバックステッチを有する単一のニット管状構造を含む。
【0070】
第2及び第4ゾーンにおけるニット管状構造の数は、ニットゾーンの位置に依存して変化してよく、第2及び第4ゾーンは、繰り返しパターンが様々な数のニット管状構造を有し得ることを例示的に伝えるために、破断線を用いて示されている。例えばニットゾーンが断面基準線15A-15Aと位置合わせされている場合、第2及び第4ゾーンにおけるニット管状構造の数は、ニットゾーンが断面基準線15B-15Bと位置合わせされている場合よりも少ない。より具体的には、図14のストライピングは、線15A-15Aでは、第2及び第4ゾーンは各々、約16個~18個のニット管状構造を含むことができ、線15B-15Bでは、第2及び第4ゾーンは各々、約35又は36個のニット管状構造を含むことができることを示唆している。さらに、第3ニットゾーンにおけるフロント及びバックステッチの数は、線15A-15Aに沿って増加して、2つの乳房カバー部分30及び32に広がることになるより広いニット管状構造を構成するであろう。
【0071】
図14及び図15は、針位置と位置合わせされて、コースに対して実質的に直交するように延びているニット管状構造を示す。また、他の態様では、インターロック・クロスオーバーは、斜め、ジグザグ又は他の形状のニット管状構造が形成されるように、コースからコースへオフセットされてもよい。例えばカプセル化バンド35A~35Fは、コースの方向に対してある角度で延在して乳房カバー部分30及び32の周囲に多角形の外縁を形成する。本開示の一態様では、角度付けされた接合部(junction)37A、37B、37C及び37Dは、上胴衣を着用するときに乳房組織の動きを妨げるのに役立つ。例えばより湾曲した周辺カプセル化領域と比較して、角度付けされた接合部37A、37B、37C及び37Dは、乳房組織の回転又は円運動(circular movement)を妨げることができる。
【0072】
さらに、図14及び図15で提案されるコース内ニットシーケンスは単に例示であり、他の態様では、ニット管状構造は、図8A図8Dに示されるコース内ニット配列のいずれか、並びに図9~12に関して説明される、オフセットされたインターロック・タック・バインダを使用して構築されてもよい。例えばコース内ニットシーケンス内でのインターロック・クロスオーバーは、フロントステッチ及びバックステッチを、等しいステッチ数を有するか又は不均等なステッチ数を有するサブセットに分割することができる。さらに、オフセットされたインターロック・タック・ステッチのコースを、細長いニット管状構造を形成するフロントコース及びバックコースに構成してもよく、これらの構造は依然として、それぞれの管幅の違いに基づき、伸び特性におけるゾーン差を含むことになる。例えば図16は、図15に示されたものと同様の破断線とゾーン1622、1624、1626、1628及び1630を有する、インターロック・コース1610の概略図を提供する。図16は、インターロック・コース1610と一緒にインターロック・タック・ステッチのコースを形成する第3糸ストランド1612を更に示す。本開示の他の部分で説明されるように、隣接するコースは、第3糸ストランド1612によって形成されるコースからオフセットされる、インターロック・タック・ステッチのコースを含んでもよい。
【0073】
本開示で説明される態様の1つ以上を有する上胴衣は、様々な方法で構成され得る。例えば市販のVベッド編機(V-bed knitting machine)のような、フロント針床及びバック針床を有するフラットベッド編機を使用してよい。様々なベッドゲージを有する編機を使用することができ、一態様では、18ゲージベッドを使用して上胴衣を構成してもよい。さらに、14ゲージ、16ゲージ、18ゲージ等の様々なサイズの針を使用することができ、一態様では、16ゲージ針が18ゲージ針床上で使用される。
【0074】
上胴衣全体は、単一の一体型ピースとして編まれてよく、次いで、左側、右側、前方部分及び後方部分を作るために特定の位置で一緒に結合される。加えて、上胴衣の特定の部分は、互いに別々に編まれてよく、その後、上胴衣を形成するように結合されてよい。一態様では、ストラップを有する前方部分は、後方部分とは別個に構成され、次いで、2つの部分が結合されて上胴衣を形成する。例えば前方部分の少なくとも一部がすべて非弾性糸で構成されてよく、一方、弾性糸が後方部分に編み込まれてもよい。次いで、前方部分は、後方部分に結合され得る。これらの製造態様は単に例示であり、様々な他の技術も利用され得る。
【0075】
図1図16に図示される様々な態様、並びに代替的な態様を説明したので、ここで、図示される態様又は代替的な態様のうちの1つ以上を利用する、いくつかの追加の態様を説明する。例えば一態様では、男性又は女性用の上胴衣(例えばブラ、キャミソール、タンクトップ(tank)、シングレット、ベース層シャツ、レーシングユニット等)は、管状ジャカードニット構造で構成される胸部カバー領域を含む。管状ジャカードニット構造は、伸び特性に少なくとも部分的に寄与するインターロック・クロスオーバーを含み、そのような伸び特性により、胸部カバー領域が弾性糸で構成されているか、非弾性糸で構成されているかにかかわらず、胸部カバー領域(例えば乳房カバー領域)が伸張及び回復することが可能になる。更なる態様では、インターロック・クロスオーバーの密度を上胴衣の異なるゾーンで変化させて、伸び特性を調整し、異なる弾性率を有するゾーンを提供することができる。したがって、上胴衣は、異なる伸び特性を有する異なるゾーンにおいて同じ糸を含むことができ、異なるゾーンは、所与の領域内で異なる量のインターロック・クロスオーバーを有する。更なる態様では、乳房カバー部分を、上胴衣の前方部分にわたってカプセル化領域、ゾーン、バンド等と一緒に構成することができる。例えば乳房カバー部分は、フロントステッチ及びバックステッチのサブセットを含むことができる。
【0076】
本開示の追加の態様は、乳房カバー部分と、該乳房カバー部分に配置される管状ジャカードニット領域を有する上胴衣に向けられる。管状ジャカードニット領域は、互いに連続的にインターループされる複数のフロントステッチコースと、互いに連続的にインターループされる複数のバックステッチコースとを備える。複数のフロントステッチコース及び複数のバックステッチコースは、第1糸ストランド及び第2糸ストランドで構成されており、複数のフロントステッチコースの各フロントステッチコースは、複数のバックステッチコースのバックステッチコースと断続的にインターロックして、複数のインターロック・コースを形成する。複数のインターロック・コースの各インターロック・コースは、複数のインターロック・クロスオーバーを備え、該複数のインターロック・クロスオーバーの各々は、それぞれのフロントステッチコースとそれぞれのバックステッチコースとの間で位置を変えるように、第1糸ストランドと第2糸ストランドが相互にクロスオーバーすることを備える。各インターロック・コースにおいて、複数のインターロック・クロスオーバーは、それぞれのフロントステッチコース及びそれぞれのバックステッチコースを、複数のフロントステッチサブセット及び複数のバックステッチサブセットに分割する。各インターロック・コースは、複数のニット管状構造を含み、該複数のニット管状構造の各々が、隣接するインターロック・クロスオーバーのペアと、フロントステッチサブセットと、バックステッチサブセットで構成される。複数のニット管状構造は、管状ジャカードニット領域にわたって横並びに配置される。さらに、管状ジャカードニット領域は、第1ニットゾーン、第2ニットゾーン及び第1ニットゾーンと第2ニットゾーンとの間に配置される中間ニットゾーン(middle knit zone)に分割される。各インターロック・コースは、第1ニットゾーンに対応するニット管状構造の第1サブセット、第2ニットゾーンに対応するニット管状構造の第2サブセット及び中間ニットゾーンに対応するニット管状構造の第3サブセットを含む。ニット管状構造の第1サブセット及びニット管状構造の第2サブセットは、少なくとも2つで7つ未満のフロントステッチと、少なくとも2つで7つ未満のバックステッチとを有する2つ以上のニット管状構造を含む。ニット管状構造の第3サブセットは、少なくとも7つのフロントステッチと、少なくとも7つのバックステッチとを備え、かつ、ニット管状構造の第1サブセットをニット管状構造の第2サブセットから分離する、単一のニット管状構造を含む。
【0077】
本開示の別の態様は、乳房カバー部分と、該乳房カバー部分に配置される管状ジャカードニット領域を有する上胴衣を含む。管状ジャカードニット領域は、互いに連続的にインターループされる複数のフロントステッチコースと、互いに連続的にインターループされる複数のバックステッチコースとを含む。複数のフロントステッチコース及び複数のバックステッチコースは、第1糸ストランド及び第2糸ストランドで構成され、複数のフロントステッチコースの各フロントステッチコースは、複数のバックステッチコースのバックステッチコースと断続的にインターロックして、複数のインターロック・コースを形成する。複数のインターロック・コースの各インターロック・コースは、複数のインターロック・クロスオーバーを備え、該複数のインターロック・クロスオーバーの各々は、それぞれのフロントステッチコースとそれぞれのバックステッチコースとの間で位置を変えるよう、第1糸ストランドと第2糸ストランドが相互にクロスオーバーすることを備える。各インターロック・コースにおいて、複数のインターロック・クロスオーバーは、それぞれのフロントステッチコース及びそれぞれのバックステッチコースを、複数のフロントステッチサブセット及び複数のバックステッチサブセットに分割する。各インターロック・コースは、複数のニット管状構造を含み、該複数のニット管状構造の各々は、隣接するインターロック・クロスオーバーのペアと、フロントステッチサブセットと、バックステッチサブセットで構成される。複数のニット管状構造は、管状ジャカードニット領域にわたって横並びに配置される。さらに、管状ジャカードニット領域は、横並び構成で連続的に配置される、第1ニットゾーン、第2ニットゾーン、第3ニットゾーン、第4ニットゾーン及び第5ニットゾーンに分割される。各インターロック・コースは、第1ニットゾーンに対応するニット管状構造の第1サブセット、第2ニットゾーンに対応するニット管状構造の第2サブセット、中間ニットゾーンに対応するニット管状構造の第3サブセット、第4ニットゾーンに対応するニット管状構造の第4サブセット及び第5ニットゾーンに対応するニット管状構造の第5サブセットを含む。ニット管状構造の第2サブセット及びニット管状構造の第4サブセットは、少なくとも2つで7つ未満のフロントステッチと、少なくとも2つで7つ未満のバックステッチとを有する2つ以上のニット管状構造を含む。加えて、ニット管状構造の第1サブセット、ニット管状構造の第3サブセット及びニット管状構造の第5サブセットは各々、少なくとも7つのフロントステッチと少なくとも7つのバックステッチとを備える、単一のニット管状構造を含む。
【0078】
本開示の更なる態様は、乳房カバー部分と、該乳房カバー部分に配置される管状ジャカードニット領域を有する上胴衣に関する。管状ジャカードニット領域は、互いに連続的にインターループされる複数のフロントステッチコースと、互いに連続的にインターループされる複数のバックステッチコースとを備える。複数のフロントステッチコース及び複数のバックステッチコースは、第1糸ストランド及び第2糸ストランドで構成されており、前記複数のフロントステッチコースの各フロントステッチコースは、前記複数のバックステッチコースのバックステッチコースと断続的にインターロックして、複数のインターロック・コースを形成する。複数のインターロック・コースの各インターロック・コースは、複数のインターロック・クロスオーバーを備え、該複数のインターロック・クロスオーバーの各々は、それぞれのフロントステッチコースとそれぞれのバックステッチコースとの間で位置を変えるよう、第1糸ストランドと第2糸ストランドが相互にクロスオーバーすることを備える。各インターロック・コースにおいて、複数のインターロック・クロスオーバーは、それぞれのフロントステッチコース及びそれぞれのバックステッチコースを複数のフロントステッチサブセット及び複数のバックステッチサブセットに分割する。各インターロック・コースは、複数のニット管状構造を含み、該複数のニット管状構造の各々は、隣接するインターロック・クロスオーバーのペアと、フロントステッチサブセットと、バックステッチサブセットで構成される。複数のニット管状構造は、管状ジャカードニット領域にわたって横並びに配置される。加えて、各インターロック・コースは、1つおきのフロントステッチ及び1つおきのバックステッチとインターループすることによって、それぞれのフロントステッチコースをそれぞれのバックステッチコースにバインドするインターロック・タック・ステッチのコースを含む。さらに、管状ジャカードニット領域は、第1ニットゾーン、第2ニットゾーン及び第1ニットゾーンと第2ニットゾーンとの間に配置される中間ニットゾーンに分割される。各インターロック・コースは、第1ニットゾーンに対応するニット管状構造の第1サブセット、第2ニットゾーンに対応するニット管状構造の第2サブセット及び中間ニットゾーンに対応するニット管状構造の第3サブセットを含む。ニット管状構造の第1サブセット及びニット管状構造の第2サブセットは、少なくとも2つで7つ未満のフロントステッチと、少なくとも2つで7つ未満のバックステッチとを有する2つ以上のニット管状構造を含む。ニット管状構造の第3サブセットは、少なくとも7つのフロントステッチと、少なくとも7つのバックステッチとを備え、かつ、ニット管状構造の第1サブセットをニット管状構造の第2サブセットから分離する、単一のニット管状構造を含む。
【0079】
以上のことから、本主題は、明確かつ構造に固有である他の利点とともに、上記で説明される目的及び目標を達成するように適合されていることが分かるであろう。特定の特徴及びサブコンビネーションは有用であり、他の特徴及びサブコンビネーションを参照することなく用いることができることが理解されるであろう。これは、特許請求の範囲によって考慮されており、その範囲内にある。本主題の範囲から逸脱することなく、本主題について多くの可能な変形及び代替案を作ることができるので、本明細書で説明されるか、添付の図面に示されるすべての事項は、例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味では解釈されないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】