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特開2023-153967非エンベロープウイルスに対する殺ウイルス特性を有する事前湿潤ワイプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153967
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】非エンベロープウイルスに対する殺ウイルス特性を有する事前湿潤ワイプ
(51)【国際特許分類】
   A01N 33/12 20060101AFI20231011BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20231011BHJP
   A01N 47/44 20060101ALI20231011BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20231011BHJP
   A47L 13/17 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01P1/00
A01N47/44
A01N25/10
A47L13/17 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023128272
(22)【出願日】2023-08-07
(62)【分割の表示】P 2020509472の分割
【原出願日】2018-08-17
(31)【優先権主張番号】62/547,219
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520061734
【氏名又は名称】アークサーダ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ARXADA, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ジアーン,シヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】クレッペル,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カジスカ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カーター,クレイグ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】近接する表面上の非エンベロープウイルスを破壊する方法、およびノロウイルスを含めた非エンベロープウイルスの破壊に非常に適している事前含浸拭き取り用製品を提供する。
【解決手段】近接する表面上の非エンベロープウイルスを破壊する方法であって、液体吸収性基材に、拭き取り用組成物を染み込ませるステップを含み、前記拭き取り用組成物が、第1の抗微生物剤を含み、前記第1の抗微生物剤が、第四級アンモニウムカチオンまたは第三級アミンを含み、前記拭き取り用組成物が、ポリビグアナイドまたはその塩をさらに含む、方法である。また、液体吸収性基材と、前記基材内に含有される拭き取り用組成物とを含む事前湿潤拭き取り用製品を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接する表面上の非エンベロープウイルスを破壊する方法であって、
液体吸収性基材に、拭き取り用組成物を染み込ませるステップを含み、前記拭き取り用組成物が、第1の抗微生物剤を含み、前記第1の抗微生物剤が、第四級アンモニウムカチオンまたは第三級アミンを含み、前記拭き取り用組成物が、ポリビグアナイドまたはその塩をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記拭き取り用組成物が、10分の接触時間における事前含浸ペーパータオルに関するAOAC試験法961.02およびASTM試験法E2362に従って試験した場合、ネコカリシウイルスを完全に不活化するのに十分な濃度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記拭き取り用組成物が、10分の接触時間における事前含浸ペーパータオルに関するAOAC試験法961.02およびASTM試験法E2362に従って試験した場合、ノロウイルスを完全に不活化するのに十分な濃度である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第四級アンモニウムカチオンが、第四級アンモニウムカチオンのハロゲン化物塩を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第四級アンモニウムカチオンが、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、またはそれらの混合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第四級アンモニウムカチオンが、第四級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、有機溶媒をさらに含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記拭き取り用組成物が、濃縮物を含み、前記液体吸収性基材に前記拭き取り用組成物を染み込ませる前に、前記濃縮物を希釈するステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記拭き取り用組成物が、8以上のpHを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の抗微生物剤が、ポリビグアナイドまたはその塩に対して、約50:1~約1:10、例えば約20:1~約1:8、例えば約15:1~約1:5、例えば約10:1~約1:3の重量比で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
pHビルダーをさらに含有し、前記pHビルダーが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、またはそれらの組合せを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
液体吸収性基材と;
前記基材内に含有される拭き取り用組成物と
を含む事前湿潤拭き取り用製品であって、
前記拭き取り用組成物が、ポリビグアナイドまたはその塩と組み合わせた第1の抗微生物
剤を含有する水溶液を含み、前記第1の抗微生物剤が、第四級アンモニウムカチオンまたは第三級アミンを含む、事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項13】
前記第1の抗微生物剤が、第四級アンモニウムカチオンのハロゲン化物塩を含む、請求項12に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項14】
前記第1の抗微生物剤が、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、またはそれらの混合物を含む、請求項12に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項15】
前記第1の抗微生物剤が、第四級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩を含む、請求項12に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項16】
前記第1の抗微生物剤が、ポリビグアナイドまたはその塩に対して、約50:1~約1:10、例えば約20:1~約1:8、例えば約15:1~約1:5、例えば約10:1~約1:3の重量比で存在する、請求項12から15のいずれか一項に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項17】
前記拭き取り用組成物が、非イオン性界面活性剤をさらに含有する、請求項12から16のいずれか一項に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項18】
前記非イオン性界面活性剤が、グリコシド、またはエチレンオキシド単位を含有するC11~C15アルカノールを含む、請求項17に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項19】
前記拭き取り用組成物が、約90重量%より多くの量、例えば約95重量%より多くの量、例えば約96重量%より多くの量の水を含有する、請求項12から18のいずれか一項に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項20】
前記拭き取り用組成物が、有機溶媒をさらに含有する、請求項12から19のいずれか一項に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項21】
前記拭き取り用組成物が、キレート剤をさらに含有する、請求項12から20のいずれか一項に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項22】
前記液体吸収性基材が、不織ウェブを含む、請求項12から21のいずれか一項に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項23】
前記液体吸収性基材が、メルトブローンウェブ、コフォームウェブ、スパンボンドウェブ、エアレイドウェブ、エアレースドウェブ、水流交絡ウェブ、ボンデッドカーデッドウェブ、またはそれらの積層体を含む、請求項12から21のいずれか一項に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【請求項24】
前記第1の抗微生物剤が、前記第三級アミンを含む、請求項12に記載の事前湿潤拭き取り用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2017年8月18日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第62/547,219号に基づき、それの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]細菌、菌類、およびウイルスなどの病原生物は、ヒトに加えて家畜やペットにも感染症を引き起こし続けている。ここ数十年にわたり、病原生物を低減または破壊し、それに応じて感染速度を低下させるための消毒剤配合物が開発されてきた。床、壁、調理台、窓、窓台、シンク、蛇口、ごみ容器、電気器具、およびキャビネットの表面を含めた、任意の文字通りに硬質の表面は、汚染される可能性がある。病院、療養所、学校、および家庭で使用される硬質表面を処理するための消毒剤が開発されてきた。このような表面を処理するために、除染、消毒、および/または殺菌用の抗微生物組成物をワイプに加えることができる。
【0003】
[0003]抗微生物組成物の特定の一クラスは、微生物防除剤として、「クワット」としても公知の第四級アンモニウム化合物を含む。殺生物剤としてのクワットの使用は周知である。ある種のアミン殺生物剤も過去に使用されている。
【0004】
[0004]一用途において、抗微生物組成物を、拭き取り用製品に取り込み、事前に湿潤させたワイプとしてパッケージ化することができる。これらの製品は一般に、安価に製造でき、使いやすく、使用後に使い捨てできる。クワット系抗微生物組成物を染み込ませた事前湿潤ワイプは、多くの様々な細菌株を含めた様々なタイプの微生物に対して広範な活性をもたらすことが分かり、死滅時間が非常に短いことも示した。しかし、事前湿潤ワイプに取り込まれたクワット系配合物および他の殺生物剤配合物は、ある種のウイルスに対する有効性が欠如していることをいくつかの用途において示した。
【0005】
[0005]ウイルスは、サイズ、対称性、核酸ゲノムまたはデオキシリボ核酸のタイプ、および複製様式に基づいて科に分類される。異なる科のウイルスは、例えば、消毒剤に対する耐性が異なる。例えば、エンベロープウイルスは、通常、消毒剤に対して感受性がより高く、したがって、非エンベロープウイルスより容易に防除される。非エンベロープウイルスは、複雑な外部構造を有し、消毒剤だけでなく、厳しい環境条件に対してもより耐性がある。非エンベロープウイルスの一例はノロウイルスである。ノロウイルスは、ヒトにおいてウイルス性胃腸炎を引き起こす場合がある。ノロウイルスは、あらゆる年齢の人々に影響を及ぼす可能性がある。ノロウイルス感染の大流行は、例えば、長期ケア施設、宿泊キャンプ、病院、学校、刑務所、クラブ、寮、およびクルーズ船などの閉鎖または半閉鎖コミュニティで発生する可能性があり、そこでは感染が非常に急速に広がる可能性がある。
【0006】
[0006]上記を考慮すると、現在、特に非エンベロープウイルスなどのウイルスに対して、より広い範囲の抗微生物特性を有する消毒剤組成物が必要とされている。事前湿潤ワイプがノロウイルスなどの非エンベロープウイルスに対して有効であるように、事前湿潤ワイプの抗微生物特性を強化する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[0007]一般に、本開示は、抗微生物特性を有する拭き取り用組成物を対象とする。拭き取り用組成物は、非エンベロープウイルスなどのウイルスを含めた多くの様々な微生物に対する広範な活性を拭き取り用組成物に与える抗微生物剤および/または保存剤のブレン
ドを含有する。2種以上の抗微生物剤および/または保存剤に加えて、拭き取り用組成物は、有機溶媒、アルカノールアミン、キレート剤、1種もしくは複数種の界面活性剤、および/または液体担体などの様々な他の構成成分を含有することができる。拭き取り用組成物は、硬質表面の消毒に非常に適している。特に有利なことに、本開示の拭き取り用組成物は、黄色ブドウ球菌および緑膿菌などの多くの病院グレードの微生物に対する迅速な消毒性能を示すだけでなく、ノロウイルスなどの消毒剤耐性ウイルスを破壊し死滅させることもできる。
【0008】
[0008]一実施形態において、例えば、本開示の拭き取り用組成物は、保存料とブレンドされた第1の抗微生物剤を含有する水溶液を含む。例えば、第1の抗微生物剤は、第四級アンモニウムカチオンまたは第三級アミンを含み得る。一方、保存料は、ポリヘキサメチレンビグアナイドまたはその塩を含み得る。第四級アンモニウムカチオンは、第四級アンモニウムカチオンのハロゲン化物塩を含み得る。例えば、第四級アンモニウムカチオンは、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド、またはそれらの混合物を含み得る。あるいは、第四級アンモニウムカチオンは、第四級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩を含み得る。
【0009】
[0009]第1の抗微生物剤および保存料は、10分または5分の接触時間後に事前含浸(presaturated)ペーパータオルに関するAOAC試験法961.02およびASTM試験E2362に従って試験した場合、様々なウイルスを完全に不活化するのに十分な濃度で拭き取り用組成物内に存在していてもよい。例えば、完全に不活化されたウイルスは、ネコカリシウイルスまたはノロウイルスを含み得る。
【0010】
[00010]一実施形態において、第1の抗微生物剤は、第1の抗微生物剤と保存料との重
量比が、約50:1~約1:10、例えば約20:1~約1:8、例えば約15:1~約1:5、例えば約10:1~約1:3になるように、保存料すなわち第2の薬剤と関連して拭き取り用組成物中に存在していてもよい。一実施形態において、拭き取り用組成物が、使用前に希釈されることを意図した濃縮物を含むものもある。例えば、濃縮物は、約10重量%~約65重量%の量の水を含有することができる。希釈すると、拭き取り用組成物は、約95重量%より多くの量、例えば約96重量%より多くの量、例えば約98重量%より多くの量の水を含有することができる。一実施形態において、濃縮物は、1部の濃縮物を約100部~約300部の水に加えるように配合される。拭き取り用組成物は、8以上、例えば8.5以上、例えば9以上、例えば9.5以上、例えば10以上のpHを有し得る。
【0011】
[00011]様々な他の成分および構成成分が、拭き取り用組成物に含有され得る。例えば
、拭き取り用組成物は、pHビルダー、1種もしくは複数種の非イオン性界面活性剤、キレート剤、および/または有機溶媒を含有していてもよい。
【0012】
[00012]一実施形態において、エトキシ化アルコールを含む界面活性剤が存在する。例
えば、エトキシ化アルコールは、エトキシ化C12~C14アルキルアルコールを含み得る。あるいは、界面活性剤は、グリコシド、および/またはエチレンオキシド単位を有するC12~C15第二級アルカノール、例えばアルキルオキシポリエチレンオキシエタノールを含み得る。各界面活性剤は一般に、組成物中に約0.01重量%~約2重量%の量で存在し得る。
【0013】
[00013]拭き取り用組成物はさらに、キレート剤を含有していてもよい。キレート剤は
、例えば、EDTA四ナトリウムを含むことができる。キレート剤は一般に、組成物中に約0.01重量%~約2重量%の量で存在していてもよい。
【0014】
[00014]拭き取り用組成物はさらに、pHビルダーを含有していてもよい。pHビルダ
ーは、例えば、組成物のpHを増加させるために加えてもよい。本開示に従って使用することができるpHビルダーとしては、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン、アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物などの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、メタケイ酸塩などのケイ酸塩、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0015】
[00015]一実施形態において、本開示は、前述の拭き取り用組成物を含有する事前湿潤
拭き取り製品を対象とする。事前湿潤拭き取り製品は、拭き取り用組成物を染み込ませた液体吸収性基材を含んでいてもよい。液体吸収性基材は、メルトブローンウェブ、コフォームウェブ、スパンボンドウェブ、エアレイドウェブ、エアレースド(airlaced)ウェブ、水流交絡ウェブ、ボンデッドカーデッドウェブ、またはそれらの積層体を含み得る。
【0016】
[00016]前述のように、事前湿潤拭き取り製品に取り込まれた拭き取り用組成物は、保
存料などの第2の薬剤と組み合わせた第1の抗微生物剤を含有する。第1の抗微生物剤は、第四級アンモニウムカチオンおよび/または第三級アミンを含み得、拭き取り用組成物中に約2重量%未満の量、例えば約1.5重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量、例えば約0.5重量%未満の量、例えば約0.4重量%未満の量で存在し得る。実際、一実施形態において、第1の抗微生物剤が拭き取り用組成物中に0.1重量%未満の量で存在するものもある。同様に、ポリヘキサメチレンビグアナイドまたはその塩を含む第2の薬剤すなわち保存料は、拭き取り用組成物中に約1.5重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量、例えば約0.5重量%未満の量、例えば約0.3重量%未満の量、例えば約0.1重量%未満の量で存在し得る。例えば、ポリヘキサメチレンビグアナイドまたはその塩は、拭き取り用組成物中に約1,000ppm未満の量、例えば約800ppm未満の量、例えば約700ppm未満の量、例えば約600ppm未満の量、例えば約500ppm未満の量で存在し得る。ポリヘキサメチレンビグアナイドまたはその塩は、一般に、拭き取り用組成物中に約10ppmより多くの量で存在する。
【0017】
[00017]特定の一実施形態において、拭き取り用組成物は、メタケイ酸塩および/また
はモノエタノールアミン、キレート剤、ならびにC11~C15アルキルポリエチレンオキシエタノールを含む非イオン性界面活性剤と組み合わせた第四級アンモニウム塩化物を含有する。別の一実施形態において、拭き取り用組成物が、ポリヘキサメチレンビグアナイドまたはその塩と組み合わせた、第四級アンモニウム炭酸塩/重炭酸塩、グリコシド界面活性剤、およびイソプロパノールなどの有機溶媒を含有するものもある。
【0018】
[00018]本開示はまた、非エンベロープウイルスなどの様々な微生物に対する事前湿潤
ワイプの有効性を増大させる方法を対象とする。その方法は、ビグアナイド化合物を含む保存料とともに、前述の第1の抗微生物剤を含有する組成物を事前湿潤ワイプに加えるステップを含む。第1の抗微生物剤およびビグアナイド化合物は、ノロウイルスなどの、ワイプと接触する非エンベロープウイルスを防除および破壊するのに十分な濃度で事前湿潤ワイプに取り込まれる。
【0019】
[00019]本開示の他の特徴および態様をより詳細に以下で論じる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[00020]本考察は、単なる例示的な実施形態の説明であり、本開示のより広い態様を限
定することを意図するものではないことを当業者は理解されたい。
[00021]本開示は、一般に、ワイプを湿潤させ、そのワイプを使用して様々な表面を消
毒するのに非常に適した抗微生物拭き取り用組成物を対象とする。本開示はまた、非エン
ベロープウイルスを含めたウイルスに対する事前含浸ワイプの有効性を増大させる方法を対象とする。本開示によれば、拭き取り用組成物は、抗微生物剤が保存料と相乗的に作用して、ウイルスを含めた様々なタイプの微生物を破壊し死滅させるように、保存料すなわち第2の薬剤とブレンドした第1の抗微生物剤を含有する。多くの消毒剤組成物は、例えば、複雑な外部構造を有し、過酷な環境条件に対してより耐性がある非エンベロープウイルスに対して効果がない。これらのウイルスは特に危険であり得る。例えば、非エンベロープウイルスであるノロウイルスは、ヒトにウイルス性胃腸炎を引き起こすことがあり、防除されない場合は急速に増殖して、長期ケア施設、宿泊キャンプ、病院、学校、刑務所、クラブ、寮、クルーズ船などの閉鎖または半閉鎖コミュニティで大流行をまねくことがある。特に有利なことに、抗微生物剤と保存料とのブレンドに基づく本開示の拭き取り用組成物は、ノロウイルスを防除および死滅させることができる。
【0021】
[00022]例えば、本開示の拭き取り用組成物を染み込ませた事前湿潤ワイプは、10分
以下、例えば8分以下、例えば6分以下、例えば5分以下、例えば4分以下、例えばさらには3分以下の接触時間において事前含浸ペーパータオルに関するAOAC試験法961.02およびASTM試験E2362に従って試験した場合、ノロウイルス、および他の類似微生物、例えばネコカリシウイルスを完全に不活化することができる。
【0022】
[00023]一般に、本開示の拭き取り用組成物は、ビグアナイド化合物を含んでよい第2
の薬剤すなわち保存料と組み合わせた第四級アンモニウムカチオンおよび/または第三級アミンを含有する。2種の異なる薬剤の使用は、複数の微生物に対する拭き取り用組成物の活性スペクトルを高めるだけでなく、非エンベロープウイルスを含めた多くのウイルスに対しても非常に効果的である。また、思いがけないことに、非エンベロープウイルスに対する効果が非常に低い濃度で現れ得ることが発見された。
【0023】
[00024]一実施形態において、第1の抗微生物剤は、第四級アンモニウム炭酸塩を含む
ことができる。第四級アンモニウム炭酸塩は、次式で表すことができ、
【0024】
【化1】
【0025】
(式中、Rは、C~C20アルキルまたはアリール置換アルキル基であり、Rは、C~C20アルキル基であり、好ましくは、Rは、Rと同じであり、Rは、C~C12アルキル基である)
ならびに組成物はさらに、対応する第四級アンモニウム重炭酸塩を含む。
【0026】
【化2】
【0027】
(式中、Rは、上記と同じまたは異なるC~C20アルキルまたはアリール置換アル
キル基であり、Rは、上記と同じまたは異なるC~C20アルキル基であるが、好ましくは、Rは、Rと同じであり、Rは、C~C12アルキル基である)
[00025]一実施形態において、組成物に含有される第1の抗微生物剤は、ジC~C
アルキルアンモニウム炭酸塩/重炭酸塩を含む。例えば、特定の一実施形態において、抗微生物組成物または保存料組成物は、ジデシルジメチルアンモニウム炭酸塩およびジデシルジメチルアンモニウム重炭酸塩を含有する。
【0028】
[00026]しかし、他の諸実施形態において、第四級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重
炭酸塩は、ジオクチルジメチルアンモニウム炭酸塩、デシルオクチルジメチルアンモニウム炭酸塩、ベンザルコニウム炭酸塩、ベンゼトニウム炭酸塩、ステアラルコニウム炭酸塩、セトリモニウム炭酸塩、ベヘントリモニウム炭酸塩、ジオクチルジメチルアンモニウム重炭酸塩、デシルオクチルジメチルアンモニウム重炭酸塩、ベンザルコニウム重炭酸塩、ベンゼトニウム重炭酸塩、ステアラルコニウム重炭酸塩、セトリモニウム重炭酸塩、ベヘントリモニウム重炭酸塩、および1種または複数種のこのような炭酸塩の混合物から選択することができる。
【0029】
[00027]別の一実施形態において、第1の抗微生物剤は、第四級アンモニウムハロゲン
化物を含むことができる。第四級アンモニウムハロゲン化物は、例えば、アルキル第四級アンモニウムハロゲン化物またはベンジルアンモニウムハロゲン化物を含んでいてもよい。
【0030】
[00028]「クワット」としても公知の第四級アンモニウム化合物は、典型的には、適切
なアニオンを伴う少なくとも1種の第四級アンモニウムカチオンを含む。クワットは一般に、一般式(1)を有する。
【0031】
【化3】
【0032】
[00029]R、R、R、およびRの基は、広い限度内で変動することができ、抗
微生物特性を有する第四級アンモニウム化合物の例は、当業者には周知である。典型的には、R、R、R、およびRのうちの2つは、低級アルキルであり、メチル、エチル、プロピル、またはブチル基など、1~4個の炭素原子を有することを意味する。さらに、R、R、R、およびRのうちの2つは、6~24個の炭素原子の、より長鎖のアルキル基またはベンジル基である。Aは、無機酸または有機酸の一価アニオンまたは1当量の多価アニオンである。Aに適するアニオンは、原則として、すべての無機アニオンもしくは有機アニオン、特にハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオンもしくは臭化物イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、またはそれらの混合物である。
【0033】
[00030]一実施形態において、第四級アンモニウム化合物は、以下のR基を有していて
もよい:Rは、ベンジルまたはC6~18-アルキルであり、Rは、C1~18-アルキルまたは-[(CH-O](式中、n=1~20である)であり、RおよびRは、互いに独立にC1~4-アルキルであり、Rは、水素または非置換もしくは置換フェニルであり、Aは、無機酸または有機酸の一価アニオンまたは1当量の多
価アニオンである。
【0034】
[00031]一実施形態において、第四級アンモニウム化合物は、ジメチルジアルキルアン
モニウム化合物などのジアルキルアンモニウム化合物を含んでいてもよい。一実施形態において、ジメチルジアルキルアンモニウム化合物は、アルキル基の各々において約8~約10個の炭素原子など、約8~約12個の炭素原子を有していてもよい。
【0035】
[00032]第1の抗微生物剤として使用することができるジメチルジアルキルアンモニウ
ム化合物の例には、ジメチルジオクチルアンモニウムクロリドなどのジメチルジオクチルアンモニウム化合物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリドなどのジメチルジデシルアンモニウム化合物などが挙げられる。ジメチルジアルキルアンモニウム化合物の混合物も使用することができ、上述のものなど他のアニオンも使用することができる。
【0036】
[00033]別の一実施形態において、第1の抗微生物剤は、アルキルジメチルベンジルア
ンモニウム化合物などのベンジルアンモニウム化合物を含んでいてもよい。一般に、アルキル基は、約12~約16個の炭素原子など、約10~約18個の炭素原子を含有し得る。
【0037】
[00034]第1の抗微生物剤として使用可能なアルキルジメチルベンジルアンモニウム化
合物の例には、C12アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、C14アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびC16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドが挙げられる。さらに、これらのアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物の混合物が使用され得る。例えば、アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物としては、C12、C14、およびC16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドのブレンドを挙げることができる。一般に、アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物は、ブレンドの場合、C16アルキル構成成分よりも高濃度のC12アルキルおよびC14アルキル構成成分を含有することが好ましい。上述のものを含めた他のアニオンも使用することができることに留意されたい。
【0038】
[00035]さらに別の一実施形態において、第1の抗微生物剤は、第四級アンモニウムプ
ロピオネートを含んでいてもよい。第四級アンモニウムプロピオネートは、例えば、ポリ(オキシアルキル)アンモニウムプロピオネートを含み得る。特定の一実施形態において、例えば、第1の抗微生物剤は、N,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネートを含んでいてもよい。
【0039】
[00036]第四級アンモニウムカチオンに加えて、第1の抗微生物剤は、アミンを含み得
る。アミンは、単独で、または第四級アンモニウムカチオンと組み合わせて存在していてもよい。
【0040】
[00037]適切なアミンとしては、(C6~C16)アルキルアミンなどの第三級アミン
が挙げられるが、それらだけに限らない。用語「(C6~C16)アルキルアミン」は、(C6~C16)アルキル基を含有するすべてのアミンを包含する。(C6~C16)アルキルアミンの1つは、N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミンであり、Lonza,Inc.からLonzabac(登録商標)12.30および12.100として入手可能である。N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミンの化学構造は、以下のとおりである。
【0041】
【化4】
【0042】
[00038]他の代表的な第三級アミンとしては、例えば、N-(3-アミノプロピル)-
N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-デシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシル-1,3-プロパンジアミン、ならびにそれらの酸付加化合物が挙げられる。他の類似の第三級アミンも使用することができる。
【0043】
[00039]上述の第1の抗微生物剤は、本開示に従って、保存料などの少なくとも第2の
薬剤と組み合わされる。ノロウイルスなどの非エンベロープウイルスを含めた1種の標的微生物または複数の標的微生物を破壊する、および/またはその増殖を阻害するために、第1の抗微生物剤と相乗的に作用する第2の薬剤が選択される。したがって、第2の薬剤すなわち保存料は、第1の抗微生物剤のための補助剤として作用する。
【0044】
[00040]一実施形態において、保存料は、グアニジン、特に、ビグアナイドおよび/も
しくはその置換生成物、塩、類似体、誘導体、ならびに/またはそれらの組合せを含んでいてもよい。ビグアナイドは、次式によって通常表されるが、他の形態で存在することが公知である。
【0045】
【化5】
【0046】
式中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたフェニル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコール、およびテトラエチレングリコールから選択され、またはR、R、R、およびRのうちの1つは、
【0047】
【化6】
【0048】
であってもよく、式中、R、R、およびRは、それぞれ独立に、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたフェニル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコール、およびテトラエチレングリコールから選択される。アルキルおよびフェニル基の置換基としては、ハロ、例えば、クロロ、ブロモ、フルオロ、またはヨード、ヒドロキシ、およびアミノが挙げられるが、それらだけに限らない。アルキル基は、1~6個の炭素を有してよく、飽和または不飽和の直鎖または分岐であってもよい。
【0049】
[00041]一実施形態において、保存料は、別名としてポリビグアナイドとしても公知の
ポリマー性ビグアナイド、またはその塩、類似体、もしくは誘導体を含んでいてもよい。一実施形態において、ポリビグアナイドは、コポリマーでもヘテロポリマーでもよい。ポリビグアナイドは、線状、分岐、環状、および/または樹状でもよい。ポリマー繰返し単位の数は、2~1,000個、例えば5~750個、例えば10~500個、例えば25~250個、例えば50~100個の繰返し単位で変動し得る。特定の一実施形態において、ポリビグアナイドは、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ポリヘキサメチレンモノグアナイド(PHMG)、ポリエチレンビグアナイド(PEB)、ポリテトラメチレンビグアナイド(PTMB)、ポリエチレンヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、ポリメチレンビグアナイド(PMBs)、ポリ(アリルビグアニド(allylbiguanidnio)-co-アリルアミン)、ポリ(N-ビニル-ビグアナイド)、ポリアリルビグアナイドなどを含んでいてもよい。
【0050】
[00042]例えば、特定の一実施形態において、保存料は、ポリヘキサメチレンビグアナ
イドなどのポリアルキレンビグアナイドを含んでいてもよい。一実施形態において、保存料は、ポリアミノプロピルビグアナイド(PABP)としても公知のポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩(PHMB)を含んでいてもよい。
【0051】
[00043]PHMBは、次式によって通常表されるが、グアニジンを含めた様々な末端基
を有するポリマー性ビグアナイドの複合混合物として存在することが公知である(図示せず)。
【0052】
【化7】
【0053】
n値は、ビグアナイドポリマーの繰返し単位の数を表す。
[00044]より詳細には、PHMBは、末端基、例えば、アミン、シアノグアニジノ、お
よびグアニジンの様々な組合せを含み得る様々なビグアナイドポリマーの混合物でもよい。これら3種の末端基だけに基づくと、少なくとも6種の可能なビグアナイドポリマーが存在し得る。PHMB-AAと呼ばれる、2個の末端アミン基を有する1種のビグアナイドポリマー、PHMB-CGCGと呼ばれる、2個の末端シアノグアニジノ基を有するもの、およびPHMB-GGと呼ばれる、2個の末端グアニジン基を有するものがあり得る(以下を参照)。2種の異なる末端基の組合せを有する3種のビグアナイドポリマーもあり得る。さらに、上記の末端基に基づいて、それらには、アミン-シアノグアニジノ(PHMB-ACG)、アミン-グアニジノ(PHMB-AG)、およびグアニジン-シアノグアニジノ(GCG)が挙げられる。したがって、PHMBの試料は、3種の言及した末端基を有するポリマー性ビグアナイドの混合物を含み得る。さらに、組成物の一部は、鎖内ポリマー性グアナイド(図示せず)を含み得る。添字「n」は、反復基の平均数を表し、ポリマー長さの分布は、下記に示すポリマーの各々について存在する。
【0054】
【化8】
【0055】
式中、nは、約1~約50、例えば約1~約20であり得る。
[00045]ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩などのポリヘキサメチレンビグアナイ
ドは、広い抗微生物範囲を有し、速効性がある。さらに、この抗微生物剤は、広いpH範囲にわたり安定である。
【0056】
[00046]一実施形態において、保存料は、ビスビグアナイドを含んでいてもよい。ビス
ビグアナイドは次式によって通常表されるが、他の形態で存在することが公知である。
【0057】
【化9】
【0058】
(式中、AおよびAは各々、(1)1~約4個の炭素原子を含有するアルキルもしくはアルコキシ基、ニトロ基、またはハロゲン原子で任意選択により置換されているフェニル基;(2)1~約12個の炭素原子を含有するアルキル基;あるいは(3)4~約12個の炭素原子を含有する脂環式基のいずれかを表し;XおよびXは各々、1~3個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し;ZおよびZは各々、0でも1でもよく;RおよびRは各々、水素、または1~約12個の炭素原子を含有するアルキル基、または7~約12個の炭素原子を含有するアラルキル基のいずれかを表し;nは、2~12の整数であり;(CH鎖は、任意選択で、酸素もしくは硫黄原子、芳香核などで中断されてもよく、またはハロゲン化物、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル(alkynl)、もしくはアセチル基、芳香核などで置換されていてもよい)
一実施形態において、(CH鎖は、二価の架橋基によって任意選択で置き換えられていてもよく、ここで、二価の架橋基は、以下に限らないが、アルキレン、脂環式基、環式核、芳香核などから選択することができ、酸素または硫黄原子、芳香核などで置換されていても中断されていてもよい。代表的なビスビグアナイド化合物としては、クロルヘキシジン、アレキシジン、トリフルオロメチルフェニルビスビグアナイド、その類似体、誘導体、および/または塩が挙げられるが、それらだけに限らない。
【0059】
[00047]拭き取り用組成物がすぐに使用できる形態であり、それをワイパーに染み込ま
せる場合、第1の抗微生物剤および保存料は、比較的少量で拭き取り用組成物に含有させることができ、非エンベロープウイルスを含めた広範囲の微生物に対して依然として有効性を有する。例えば、1種または複数種の第四級アンモニウム化合物および/またはアミン化合物は、組成物中に約2重量%未満の量、例えば約1.5重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量、例えば約0.6重量%未満の量、例えば約0.4重量%未満の量、例えば約0.3重量%未満の量、例えば約0.2重量%未満の量で存在し得る。一実施形態において、例えば、第四級アンモニウム化合物および/またはアミン化合物は、拭き取り用組成物中に0.1重量%未満の量、例えば約0.8重量%未満の量、例えば約0.6重量%未満の量で存在していてもよい。1種または複数種の第四級アンモニウム化合物は、例えば、組成物中に約0.001重量%より多くの量で存在していてもよい。
【0060】
[00048]同様に、保存料またはビグアナイド化合物は、拭き取り用組成物中に一般に約
2重量%未満の量、例えば約1.8重量%未満の量、例えば約1.6重量%未満の量、例えば約1.4重量%未満の量、例えば約1.2重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量、例えば約0.8重量%未満の量、例えば約0.6重量%未満の量、例えば約0.4重量%未満の量、例えば約0.2重量%未満の量、例えばさらに0.1重量%未満の量で存在し得る。例えば、1種または複数種のビグアナイド化合物は、拭き取り用組成物中に約0.08重量%未満の量、例えば約0.06重量%未満の量で存在し得る。例えば、1種または複数種のビグアナイド化合物は、組成物中に約800ppm未満、例えば約600ppm未満、例えば約500ppm未満、例えば約400ppm未満の濃度で存在していてもよい。一般に、ポリビグアナイド化合物は、組成物中に約10ppmより多くの量、例えば約0.001重量%より多くの量で存在する。
【0061】
[00049]第1の抗微生物剤および保存料は、様々な異なる重量比で拭き取り用組成物中
に存在し得る。一実施形態において、第1の抗微生物剤は、第2の薬剤すなわち保存料を超える量で存在していてもよい。あるいは、保存料は、第1の抗微生物剤を超える量で存在していてもよい。例えば、拭き取り用組成物中の第1の抗微生物剤と第2の薬剤との重量比は、一般に、約50:1~約1:10、例えば約20:1~約1:8、例えば約15:1~約1:5、例えば約10:1~約1:3であり得る。
【0062】
[00050]上記の構成成分に加えて、拭き取り用組成物はまた、液体担体を含有すること
ができる。液体担体は、例えば、水などの極性溶媒を含むことができる。液体担体は、一般に、組成物中に約20重量%より多くの量、例えば約30重量%より多くの量、例えば約40重量%より多くの量、例えば約50重量%より多くの量、例えば約60重量%より多くの量、例えば約70重量%より多くの量、例えば約80重量%より多くの量、例えば約90重量%より多くの量、例えば約95重量%より多くの量、例えば約96重量%より多くの量、例えば約97重量%より多くの量、例えば約98重量%より多くの量、例えば約99重量%より多くの量で存在する。一般に、液体担体は、約99.9重量%未満の量で存在する。
【0063】
[00051]液体担体に加えて、拭き取り用組成物はまた、1種または複数種の有機溶媒を
任意選択で含有することができる。有機溶媒は、例えば、アルコールを含み得る。適切なアルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、イソプロパノール、およびそれらの混合物が挙げられる。あるいは、有機溶媒はグリコールエーテルを含んでもよい。グリコールエーテルの例としては、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、エチレング
リコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、およびそれらの組合せが挙げられる。一実施形態において、例えば、組成物中に存在する有機溶媒は、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、またはそれらの混合物を含む。
【0064】
[00052]組成物中に存在する場合、1種または複数種の有機溶媒は、一般に、約0.1
重量%より多くの量、例えば約0.2重量%より多くの量で含まれてよい。1種または複数種の有機溶媒は、一般に、約25重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量、例えば約15重量%未満の量などで存在する。一実施形態において、比較的少量の有機溶媒が拭き取り用組成物中に存在する。しかし、いくつかの実施形態では、溶媒は、たとえ比較的少量での存在であっても、ウイルスを含めた様々な微生物に対する組成物の有効性を向上させることができると考えられている。例えば、一実施形態において、有機溶媒は、約0.01重量%~約2重量%の量、例えば約0.05重量%~約0.8重量%の量で存在する。
【0065】
[00053]一実施形態において、拭き取り用組成物はまた、pHビルダーを含有すること
ができる。例えば、pHビルダーは、pHを増加させるために組成物に加えることができる。一実施形態において、pHビルダーはアルカノールアミンを含んでいてもよい。pHビルダーとして使用することができる特定のアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、2-(メチルアミノ)エタノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-(プロピルアミノ)エタノール、2-(イソプロピルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、またはそれらの混合物が挙げられる。pHビルダーの他の例としては、アルカリおよびアルカリ土類金属水酸化物などの水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、重炭酸塩、ならびにそれらの混合物が挙げられる。例えば、pHビルダーは、メタケイ酸ナトリウム五水和物などのメタケイ酸ナトリウムを含み得る。一実施形態において、複数のpHビルダーが拭き取り用組成物中に存在していてもよい。例えば、拭き取り用組成物は、ケイ酸塩およびアルカノールアミンの両方を含有することができる。
【0066】
[00054]存在する場合、1種または複数種のpHビルダーは、組成物中に約0.001
重量%より多くの量、例えば約0.01%より多くの量、例えば約0.02重量%より多くの量、例えば約0.1重量%より多くの量、例えば約0.2重量%より多くの量、例えば0.3重量%より多くの量で含まれてよい。1種または複数種のpHビルダーは、一般に、約5重量%未満の量、例えば3重量%未満の量、例えば約2重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量などで存在し得る。
【0067】
[00055]本開示の拭き取り用組成物は、一般に、塩基性pHを有し得る。例えば、pH
は、一般に、約8より高い、例えば約8.5より高い、例えば約9より高い、例えば約9.5より高い、例えば約10より高い、例えば約10.5より高いなどでよい。拭き取り用組成物のpHは、一般に、約14未満、例えば約13.5未満、例えば約13未満である。
【0068】
[00056]一実施形態において、本開示の拭き取り用組成物はまた、界面活性剤を含有す
ることができる。非イオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤を含む任意の適切な界面活性剤が、組成物に加えられてよい。界面活性剤は、一般に、拭き取り用組
成物中に約0.05重量%より多くの量、例えば約0.08重量%より多くの量で存在していてもよい。界面活性剤は、一般に、約20重量%未満の量、例えば約15重量%未満の量、例えば約10重量%未満の量、例えば約5重量%未満の量、例えば約3重量%未満の量、例えば約2重量%未満の量で存在する。
【0069】
[00057]一実施形態において、1種または複数種の非イオン性界面活性剤が、拭き取り
用組成物中に存在していてもよい。非イオン性界面活性剤は、一実施形態において、親水性アルキレンオキシド基と脂肪族またはアルキル芳香族疎水性化合物との縮合により生成される化合物を含むことができる。非イオン性界面活性剤のクラスの例は、次の通りである:
下記一般式に対応する長鎖第三級アミンオキシド:
N→O
(式中、Rは、約8~約18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはモノヒドロキシアルキル基、最大約10個のエチレンオキシド部分、および最大1個のグリセリル部分を含有し、RおよびRは、1~約3個の炭素原子および最大約1個のヒドロキシ基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシエチル、またはヒドロキシプロピル基を含有する)
本発明での使用に適するアミンオキシドの例としては、ジメチルドデシルアミンオキシド、オレイルジ(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、ジメチルオクチルアミンオキシド、ジメチルデシルアミンオキシド、ジメチルテトラデシルアミンオキシド、ジ(2-ヒドロキシエチル)テトラデシルアミンオキシド、3-ドデカオキシ-2-ヒドロキシプロピルジ(3-ヒドロキシプロピル)アミンオキシド、およびジメチルヘキサデシルアミンオキシドが挙げられる。
【0070】
[00058]アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、例えば、直鎖または分岐
鎖配置のいずれかで約6~12個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルフェノールと、アルキルフェノール1モル当たり6~60モルのエチレンオキシドに相当する量で存在するエチレンオキシドとの縮合生成物。このような化合物におけるアルキル置換基は、プロピレン、ジイソブチレン、オクタン、またはノナンの重合から誘導することができる。
【0071】
[00059]エチレンオキシドと、プロピレンオキシドおよびエチレンジアミン生成物の反
応から生じる生成物との縮合から誘導され、疎水性要素と親水性要素との間の所望されるバランスに応じて組成が変えられ得るもの。例えば、エチレンオキシド基と、エチレンジアミンおよび過剰のプロピレンオキシドの反応生成物で構成され、2,500~3,000程度の分子量を有する疎水性塩基との反応から生じる、約40~約80重量%のポリオキシエチレンを含有し、約5,000~約11,000の分子量を有する化合物は、申し分ない。
【0072】
[00060]8~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の脂肪族アルコールと、エチ
レンオキシド、例えば、ヤシアルコール1モル当たり10~30モルのエチレンオキシドを有し、ヤシアルコール部分が10~14個の炭素原子を有するヤシアルコールエチレンオキシド縮合物との縮合生成物。
【0073】
[00061]組成物において使用することができる特定の界面活性剤は、ノニルフェノール
エトキシレート(6~12モル)、第一級アルコールエトキシレート(3~12モル)、および第二級アルコールエトキシレート(3~12モル)である。
【0074】
[00062]本明細書に記載の非イオン性界面活性剤は、清掃ワイプの乾燥基材の繊維に吸
着またはそうでなければ結合するように選択され、それにより、活性消毒剤が乾燥基材の
繊維に吸着されるのを防ぐ。理論に拘泥するものではないが、本明細書に記載の非イオン性界面活性剤は、清掃ワイプ表面を疎水性が低くなるように改変し、拭き取り用組成物を親水性が低くなるように改変することによって、清掃ワイプ表面における相対的な平衡状態を変化させると考えられる。例えば、ジアルキルまたはアルキルベンジルクワット溶液などのクワット溶液の場合、最終的な結果は、疎水性ワイパー表面がクワット溶液の疎水性炭化水素尾部を誘引するのを低下させることである。疎水基は、基材の繊維表面に対して親和性を有する。アニオン性界面活性剤とは異なり、界面活性剤の非イオン性の性質は、カチオン性のクワット系または塩素系消毒剤溶液を誘引せず、活性消毒剤が基材繊維に結合するのを防ぐ。
【0075】
[00063]代表的な市販の非イオン性界面活性剤は、Dow Chemicalによって
商品名Tergitol(登録商標)15-S-7、15-S-9、15-S-12、15-S-20、および15-S-40として製造される、7、9、12、20、または40モルのエチレンオキシドと縮合したC11~C15第二級アルカノール(アルキルオキシポリエチレンオキシエタノール)である。同じタイプの別の代表的な非イオン性界面活性剤は、Dow Chemicalによって商品名Tergitol(登録商標)TMN-6およびTMN-10として販売されており、これはトリメチルノナノールとエチレンオキシドとの反応生成物を含むと考えられる。他の代表的な非イオン性界面活性剤は、BASFから商品名Irgasurf(登録商標)HL560として市販されている。さらに他の非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマーがあり、これはBASFによって商品名Pluronic(登録商標)として市販されている。前述の非イオン性界面活性剤組成物のいずれかの単一メンバーを拭き取り用組成物において使用することができ、またはそのような代表的な非イオン性界面活性剤材料の混合物を使用することができる。
【0076】
[00064]拭き取り用組成物中に存在し得る別の非イオン性界面活性剤は、グリコシドで
ある。例えば、グリコシドは、D-グルコピラノースオリゴマーのデシルオクチルグリコシドを含み得る。
【0077】
[00065]組成物はまた、キレート剤を含有し得る。好適なキレート剤としては、エチレ
ンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩(例えば、スイス国、ホルゲンのDow Europe S.A.からVersene 100(登録商標)として入手可能なEDTA四ナトリウム)、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム、アミノカルボン酸、アミノホスホン酸、脂肪酸塩、それらの混合物などが挙げられるが、それらだけに限らない。アミノホスホン酸としては、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)、およびヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。一般に、好ましいキレート剤としては、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸、N,N-二酢酸(GLDA)、イミノ二コハク酸(IDS);エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジエチレンタミン(diethylenethamine)ペンタメチレンホスホン酸(DETPMP)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ニトリロ三酢酸(Nitrilothacetic acid)(NTA)、アスパラギン酸ジエトキシコハク酸(AES)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、ジエチレンタミンペンタメチレンホスホン酸(diethylenethaminepentamethylene-phosphonic acid)(DTPMPA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEEDTA)、イミノ二フマル酸(IDF)、イミノ二酒石酸(iminoditartahc acid)(IDT)、イミノ二マレイン酸(IDMAL)、イミノ二リンゴ酸(IDM)、エチレンジアミン二フマル酸(EDDF)、エチレンジアミン二リンゴ酸(EDDM)、エチレンジアミン二酒石酸(ethyle
nediamineditartahc acid)(EDDT)、エチレンジアミン二マレイン酸(EDDMAL)、およびアミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)が挙げられる。より好ましくは、キレート剤は、イミノ二コハク酸(IDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEEDTA)、イミノ二フマル酸(IDF)、イミノ二酒石酸(IDT)、イミノ二マレイン酸(IDMAL)、イミノ二リンゴ酸(IDM)、エチレンジアミン二フマル酸(EDDF)、エチレンジアミン二リンゴ酸(EDDM)、エチレンジアミン二酒石酸(EDDT)、エチレンジアミン二マレイン酸(EDDMAL)、およびアミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)から選択される。
【0078】
[00066]キレート剤が金属イオンを除去する能力は、溶液の硬度物(カルシウム)の沈
殿を防ぐことによって促進する。キレート剤はまた、組成物中の消毒成分の有効性に悪影響を及ぼす可能性がある他の金属イオンを結合する働きをする場合がある。
【0079】
[00067]キレート剤は、好ましくは、組成物中に組成物の重量に基づいて約0.01%
~約10%、例えば約0.02%~約1%の量で存在する。
[00068]本開示の拭き取り用組成物はさらに、腐食防止剤、錯化剤、助剤、保存料、芳
香料、着色料などを任意選択で含有してもよい。代表的な腐食防止剤としては、例えば、有機リン化合物、および有機リン化合物とポリマー構成成分とのブレンドが挙げられる。代表的な助剤としては、例えば、ポリエチレングリコールまたは他の同様の化合物が挙げられる。着色料および芳香料は、組成物の機能に干渉せず、組成物の識別に役立つことができるという条件で加えることができる。一般に、任意選択のさらなる成分は、組成物の約20重量%未満を構成する。例えば、上記で特定した成分または構成成分の各々は、組成物中に一般に約0.01重量%~約5重量%の量で存在していてもよい。例えば、上記の構成成分の各々は、組成物中に約0.1重量%~約2重量%、例えば約0.3重量%~約1重量%の量で存在し得る。
【0080】
[00069]本開示の拭き取り用組成物は、濃縮物として供給することができ、使用前に希
釈することができる。あるいは、消毒組成物は、すぐに使用可能な組成物として提供することができる。
【0081】
[00070]一実施形態において、濃縮物として配合される場合、拭き取り用組成物は、第
四級アンモニウムカチオンを一般に約1重量%~約50重量%の量、例えば約1重量%~約40重量%の量、例えば約1重量%~約25重量%の量で含み得る第1の抗微生物剤を含有することができる。一方、ビグアナイド化合物を含み得る保存料は、濃縮物中に約0.5重量%~約10重量%の量、例えば約0.5重量%~約5重量%の量、例えば約0.5重量%~約3重量%の量で存在していてもよい。一実施形態において、濃縮物は、1種または複数種のpHビルダーを含有していてもよい。pHビルダーは、約0.5重量%~約40重量%の量で存在し得る。一実施形態において、例えば、ケイ酸塩は、約0.5重量%~約5重量%の量で存在していてもよい。あるいは、アルカノールアミン単独またはケイ酸塩との組合せは、濃縮物中に約5重量%~約40重量%の量、例えば約10重量%~約35重量%の量、例えば約15重量%~約30重量%の量で存在し得る。
【0082】
[00071]本開示に従って配合した濃縮物はまた、1種または複数種の界面活性剤を含有
することも可能である。例えば、1種または複数種の界面活性剤は、濃縮物中に約2重量%~約15重量%の量、例えば約2%~約10重量%の量で存在し得る。さらに、1種または複数種のキレート剤は、約1重量%~約10重量%の量、例えば約1重量%~約8重量%の量、例えば約1重量%~約4重量%の量で存在し得る。任意選択で、濃縮物はまた、有機溶媒を約5重量%~約40重量%の量、例えば約10重量%~約35重量%の量、
例えば約15重量%~約25重量%の量で含有し得る。濃縮物の残りの部分は、水を含み得る。水は一般に、濃縮物中に約10重量%~約80重量%の量、例えば約30重量%~約70重量%の量で存在し得る。
【0083】
[00072]一実施形態において、本開示に従って作製した濃縮物は、拭き取り用基材に染
み込ませる前に、水で消去することができる。例えば、濃縮物は、1部の濃縮物を約100部~約300部の水と混ぜ合わせることができるように配合してもよい。例えば、一実施形態において、1部の濃縮物を128部の水と混ぜ合わせてもよい。別の一実施形態において、濃縮物は、1部の濃縮物を256部の水で希釈することができるように配合してもよい。
【0084】
[00073]種々多様な微生物が本開示に従って死滅または防除され得る。例えば、本開示
の拭き取り用組成物は、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌などを防除することができる。細菌に加えて、本開示の抗微生物組成物はまた、菌類、芽胞、酵母、マイコバクテリアなど、様々な他の微生物を死滅させ、その増殖を防除することができる。特に有利なことに、本開示の拭き取り用組成物は、ウイルス、さらにはノロウイルスなどの非エンベロープウイルスでさえも破壊するのに特によく適している。
【0085】
[00074]硬質表面用清浄剤として使用する場合、拭き取り用組成物は、表面上に組成物
を注ぐこと;スプレー;これは、ポンプスプレー塗布器、加圧スプレー塗布器などを含むがそれらだけに限らないスプレー手段を介して表面に塗布される;染み込ませたワイプ;雑巾とバケツ;モップとバケツ;スポンジとバケツ;または表面を殺菌もしくは消毒する目的で表面に抗微生物組成物もしくは消毒剤組成物を塗布する自動清浄装置ならびに他の同様のおよび従来の方法を介するなど、従来の手段によって清浄、殺菌、または消毒すべき表面に送達することができる。
【0086】
[00075]本開示の拭き取り用組成物を使用するために、表面は、表面に拭き取り用組成
物をスプレーすること、注ぐこと、拭き取ること、またはそれ以外の方法で塗布することによって基材を用いて処理される。表面に塗布された後、拭き取り用組成物はしばらく表面上に残留したままになる。拭き取り用組成物は表面に塗布され、乾燥させることができる。
【0087】
[00076]組成物で消毒することができる表面としては、酪農場、家、ヘルスケア施設、
缶詰工場、食品加工工場、レストラン、病院、施設、および工業に設置されたものが挙げられるが、それらだけに限らない。任意の適切な硬質表面、特に頻繁に接触する硬質表面は、本開示に従って処理することができる。硬質表面は、例えば、ガラス、アルミニウムまたはステンレス鋼などの金属、セラミック、花崗岩または大理石などの石、プラスチックまたはポリマー材料などから作製することができる。塗布の対象となる特定の領域としては、台所調理台、キャビネット、電気器具、ごみ入れ、洗濯エリア、ごみバケツ、浴室装備品、トイレ、水槽、蛇口、鏡、化粧台、浴槽、およびシャワーなどの家庭内の硬質表面が挙げられる。組成物はまた、床、壁、家具、鏡、トイレ装備品、窓、ならびに木材表面、例えば、フェンスレール、ポーチレール、デッキ、屋根材、羽目板、窓枠、およびドア枠などの殺菌に使用することができる。病院における領域としては、ベッド、車輪付き担架、テーブル、キャニスタ、トイレ、ごみ入れ、スタンド、キャビネット、シャワー室、床、ドアノブ、ベッドレール、壁、または任意の他の無孔表面が挙げられる。
【0088】
[00077]1つの特に有用な塗布方法は、拭き取り用組成物をワイプ基材に染み込ませる
ことである。この実施形態では、ワイプは、拭き取り用組成物を染み込ませた使い捨てワイプであり、ワイプを使用者に分配する容器中に貯蔵される。ワイプの入った容器は、単一のワイプを含有していてもよいし、または複数のワイプを含有していてもよい。好適な
容器としては、湿ったペーパータオルなどの単一ワイプが入っている、使用者が破いて開けるパウチが挙げられ、または何度でも封ずることができる開口部を有し、単一ワイプを開口部から一枚ずつ取り出すことができるようにいくつかのワイプが積み重ねられた形状、ロール形状、または他の適切な形状で入っているパウチでもよい。パウチは、一般に、フィルム、コート紙、もしくはホイルなどの流体不浸透性材料、または他の同様の流体不浸透性材料から作製される。本開示のワイプを分配する別の方法は、容器中のワイプを取り出すための開口部を有する流体不浸透性容器にワイプを配置することである。容器は、流体不浸透性である蓋を有する成形プラスチック容器であり得る。一般に、蓋は、容器中のワイプを取り出すための開口部を有する。容器中のワイプは、ワイプが容器から取り出されると、次のワイプが容器の開口部に配置されて、使用者が次のワイプを取り出せる状態になっているように、交互に積み重ねられていてもよい。あるいは、ワイプは、連続した材料の個々のワイプ間にミシン目がある連続材料でもよい。ミシン目を有する連続したワイプ材料は、折り畳まれた形態でも、またはロール形態でもよい。通常、ロール形態では、ワイプ材料はロール状材料の中心から供給される。交互の積み重ねの場合は、ワイプが容器から取り出されると、必要なときに次のワイプの取り出しが容易になるように次のワイプが開口部に配置される。
【0089】
[00078]使い捨てワイプは、再使用可能なスポンジや雑巾など、他の塗布媒体に勝る利
点を提供する。繰り返し使用されるスポンジ、雑巾などとは異なり、染み込ませたワイプは一度だけ使用され、廃棄される。再使用されるスポンジまたは雑巾には、スポンジまたは雑巾が、消毒組成物によって容易には死滅させられない微生物を保持する可能性があるため問題がある。
【0090】
[00079]ワイプが事前に湿らされており、処理すべき表面全体をワイプが移動したとき
に、表面上に拭き取り用組成物が出されたりまたは放出されたりするように、拭き取り用組成物をワイプに染み込ませることができる。一般に、ワイプが拭き取り動作によって表面に拭き取り用組成物を放出するように、拭き取り用組成物をワイプ中に染み込ませる。一般に、拭き取り用組成物は、ワイパー基材1重量部当たり約2重量部~10重量部、より好ましくはワイパー基材1重量部当たり約3~約5重量部で使用される。これらの範囲において、基材の完全な染み込みが達成され得る。拭き取り溶液の量は、特定のワイプ基材に応じて、ワイプ基材の完全な染み込みを達成するために上下してよいことに留意されたい。
【0091】
[00080]好適なワイプ基材としては、織材料および不織材料が挙げられる。本質的に、
任意の不織ウェブ材料が使用され得る。代表的な不織材料としては、メルトブローン、コフォーム、スパンボンド、エアレイド、水流交絡不織布、スパンレース、ボンデッドカーデッドウェブ、およびそれらの積層物を挙げることができるが、それらだけに限らない。任意選択で、不織物は、同様にフィルム材料を用いて積層することができる。ワイプ基材を作製するために使用される繊維は、セルロース繊維、熱可塑性繊維、およびそれらの混合物であってよい。繊維はまた、連続繊維、不連続繊維、ステープル繊維、およびそれらの混合物であってもよい。不織ウェブの基本重量は、約12g/m~200g/m、またはそれ以上に変動し得る。
【0092】
[00081]一実施形態において、ワイプは、法律で許される許容範囲内で活性成分および
不活性成分の両方を含有する液体構成成分が染み込んでおり、ワイプから出される拭き取り用組成物は、法律で許される許容範囲内で活性成分を含有する。表面に塗布された後、抗微生物拭き取り用組成物は、しばらく表面上に残留したままになる。
【0093】
[00082]以下の実施例は、本発明のより完全な理解を提供することを意図している。し
かし、実施例は本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例0094】
実施例1
[00083]種々多様な拭き取り用組成物を配合し、試験した。
[00084]表1において、配合物を液体4部とワイプ1部(4:1)の充填比でワイプ基
材に充填したが、試料番号4については液体5部とワイプ1部の充填比で基材に充填した。基材材料は、試料番号4を除いて、100%ポリプロピレン繊維から作製された織材料であった。試料番号4では、基材材料は100%ポリエステル材料であった。
【0095】
【表1】
【0096】
[00085]次いで、事前含浸拭き取り製品を殺ウイルス効果に関して評価した。具体的に
は、事前含浸ワイプを、ASTM試験E2362に準拠した試験AOAC961.02に変更を加えた事前含浸ペーパータオル試験に従って試験した。事前含浸ワイプを、硬質表面において、ノロウイルスの代替ウイルスとしても使えるウイルスのネコカリシウイルスに対して試験した。
【0097】
[00086]カリシウイルス科のメンバーでもあるネコカリシウイルスは、ノロウイルスの
効力試験のための有益なモデルウイルスとして使える。というのは、これらのウイルスが多くの類似した特性を共有し、ネコカリシウイルスが細胞培養で増殖させることができるからである。試験手順は、製品の使用方法をシミュレートすることであった。この方法は
、米国環境保護局(EPA)の要件に準拠する。規制当局によると、すべての希釈でチャレンジウイルスが完全に不活化されていれば、試験試料は、事前含浸または染み込ませたペーパータオルの殺ウイルス効果試験に合格する。細胞毒性が明らかな場合、力価において少なくとも3Log10の減少が細胞毒性レベルを超えて示されなければならない。ミクロ効果試験の結果を表2に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
[00087]上述のように、第1の抗微生物剤および第2の抗微生物剤を含有する配合物は
、試験ウイルスに対して有効であったが、試料番号1は試験に不合格であった。
実施例2
[00088]実施例1に記載した手順と同様に、種々多様な拭き取り用組成物を配合し、試
験した。具体的には、以下の配合物を試験した:
【0100】
【表3】
【0101】
[00089]次いで、上記配合物を用いて作製した事前含浸拭き取り製品を殺ウイルス効果
に関して評価した。具体的には、事前含浸ワイプを、ASTM試験E2362に準拠した試験AOAC961.02に変更を加えた事前含浸ペーパータオル試験に従って試験した。事前含浸ワイプを、硬質表面において、ノロウイルスの代替ウイルスとしても使えるウイルスのネコカリシウイルスに対して試験した。
【0102】
[00090]ミクロ効果試験の結果を以下に示す。
【0103】
【表4】
【0104】
[00091]本発明への上記その他の改変および変更は、添付の特許請求の範囲により詳細
に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実施するこ
とができる。さらに、様々な実施形態の態様は、全体的または部分的の両方で交換することができると理解されたい。さらに、当業者は、前述の説明が例に過ぎず、そのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されている本発明を限定するものではないことを認識されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接する表面上の非エンベロープウイルスを破壊する方法であって、
液体吸収性基材に、拭き取り用組成物を染み込ませるステップを含み、前記拭き取り用組成物が、第1の抗微生物剤を含み、前記第1の抗微生物剤が、第四級アンモニウムカチオンまたは第三級アミンを含み、前記拭き取り用組成物が、ポリビグアナイドまたはその塩をさらに含む、方法。

【外国語明細書】