(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153975
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】関節運動機構体を備えた外科用ステープラ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023128477
(22)【出願日】2023-08-07
(62)【分割の表示】P 2022007626の分割
【原出願日】2017-04-12
(31)【優先権主張番号】62/321,643
(32)【優先日】2016-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ショーバー ジョシュア エム
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー アンドリュー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャセミアン ババク ディー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複雑な機構体なしでクランプした組織の信頼性のあるステープル留めが可能な外科用ステープラを提供する。
【解決手段】外科用ステープラのためのハンドル組立体40は、回転可能な作動シャフトを有し、ジョー組立体を繰り返し可能な開閉モードで作動させることができる第1の回転配向状態、作動シャフトがジョー組立体をステープル発射モードで作動させることができる第2の回転配向状態、および作動シャフトがジョー組立体を逆動作モードで作動させることができる第3の回転配向状態を有する。ハンドル組立体は、ジョー組立体を細長いシャフトに対して選択的に関節運動させるボールねじを含む関節運動機構体を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラのためのハンドル組立体であって、前記ハンドル組立体は、
ハンドル本体を含み、前記ハンドル本体は、静止ハンドルおよび前記ハンドル本体に回動可能に結合された可動ハンドルを有し、
前記可動ハンドルの手動による作動を可能にするよう前記可動ハンドルに機械的に結合された作動シャフトを含み、前記作動シャフトは、前記ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能であり、
関節運動機構体を含み、前記関節運動機構体は、
前記ハンドル本体の近位端のところに位置決めされていて前記長手方向軸線回りに回転可能な手動式関節運動ノブと、
前記ハンドル本体の遠位端のところに位置決めされた関節運動アダプタとを含み、前記関節運動アダプタは、前記長手方向軸線回りの前記関節運動ノブの回転により前記関節運動アダプタが長手方向に摺動するよう前記関節運動ノブに作動的に結合されている、ハンドル組立体。
【請求項2】
前記関節運動機構体は、
ボールねじを更に含み、前記ボールねじ上には螺旋ねじ山が形成され、
前記ボールねじの半径方向外方に位置決めされたボールスリーブを更に含み、前記ボールスリーブには孔が形成され、
前記ボールスリーブの前記孔内に位置決めされるとともに前記ボールねじの前記螺旋ねじ山内に嵌め込まれたボールベアリングを更に含む、請求項1記載のハンドル組立体。
【請求項3】
前記ボールねじは、前記ハンドル本体内に対して長手方向に動くことができ、前記螺旋ねじ山内における前記ボールベアリングの運動により前記ボールねじが長手方向に動く、請求項2記載のハンドル組立体。
【請求項4】
前記ボールねじは、遠位端を有し、前記ハンドル組立体は、前記ボールねじの前記遠位端に結合されるとともに前記ハンドル本体内で前記作動アダプタまで遠位側に延びている関節運動リンクを更に含む、請求項2記載のハンドル組立体。
【請求項5】
前記ボールスリーブは、前記関節運動ノブに回転可能に結合されている、請求項2記載のハンドル組立体。
【請求項6】
外科用ステープラのためのハンドル組立体であって、前記ハンドル組立体は、
ハンドル本体を含み、前記ハンドル本体は、静止ハンドルおよび前記ハンドル本体に回動可能に結合された可動ハンドルを有し、
前記可動ハンドルの手動による作動を可能にするよう前記可動ハンドルに機械的に結合された作動シャフトを含み、前記作動シャフトは、前記ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能であり、
関節運動機構体を含み、前記関節運動機構体は、
前記ハンドル本体の近位端のところに位置決めされていて前記長手方向軸線回りに回転可能な手動式関節運動ノブと、
前記関節運動ノブに作動的に結合されるとともに前記関節運動ノブの回転によって長手方向に動くことができるボールねじを含む、ハンドル組立体。
【請求項7】
前記ボールねじ内には螺旋ねじ山が形成され、前記関節運動機構体は、前記関節運動ノブの回転動作を前記ボールねじの長手方向動作に変換するよう前記螺旋ねじ山内に嵌まり込むことができるボールベアリングを更に含む、請求項6記載のハンドル組立体。
【請求項8】
前記関節運動機構体は、前記ボールねじを長手方向心出し位置にリセットするよう構成された解除機構体を更に含む、請求項6記載のハンドル組立体。
【請求項9】
前記解除機構体は、解除スリーブと作動的に係合する解除ボタンを含み、前記解除ボタンの作動により前記関節運動ノブが前記ボールねじから作動的に離脱するようになっている、請求項8記載のハンドル組立体。
【請求項10】
前記ボールねじ内には螺旋ねじ山が形成され、前記関節運動機構体は、前記関節運動ノブの回転動作を前記ボールねじの長手方向動作に変換するよう前記螺旋ねじ山内に嵌まり込むことができるボールベアリングを更に含み、前記解除機構体の作動により前記ボールベアリングが前記螺旋ねじ山から離脱する、請求項9記載のハンドル組立体。
【請求項11】
前記解除スリーブは、第1の内径を備えた係合面および前記第1の内径よりも大きな第2の内径を備えた解除面を含む内面を有する、請求項10記載のハンドル組立体。
【請求項12】
前記解除ボタンの作動により前記解除面が前記ボールベアリングに隣接して位置決めされて前記ボールベアリングを前記螺旋ねじ山から離脱させる、請求項11記載のハンドル組立体。
【請求項13】
前記解除機構体は、前記解除機構体が作動されると、前記ボールねじを長手方向心出し位置に付勢する付勢部材を更に含む、請求項8記載のハンドル組立体。
【請求項14】
外科用ステープラのためのハンドル組立体であって、前記ハンドル組立体は、
ハンドル本体を含み、前記ハンドル本体は、静止ハンドルおよび前記ハンドル本体に回動可能に結合された可動ハンドルを有し、前記ハンドル本体は、近位端および遠位端を有するとともに前記近位端と前記遠位端との間に長手方向中心軸線を定め、
前記ハンドル本体内に設けられた作動機構体を含み、
関節運動機構体を含み、前記関節運動機構体は、
前記ハンドル本体の近位端のところに位置決めされていて前記長手方向軸線回りに回転可能な手動式関節運動ノブを含み、
前記ハンドル本体の遠位端のところに位置決めされた関節運動アダプタを含み、前記関節運動アダプタは、前記長手方向軸線回りの前記関節運動ノブの回転により前記関節運動アダプタが長手方向に摺動するよう前記関節運動ノブに作動的に結合され、
前記関節運動ノブを前記関節運動アダプタに作動的に結合するとともに前記ハンドル本体内で前記作動機構体から側方にオフセットした状態で長手方向に延びている第1の関節運動リンクを含む、ハンドル組立体。
【請求項15】
前記関節運動機構体は、前記第1の関節運動リンクを前記関節運動アダプタに回転可能に結合する関節運動ベアリングを含む、請求項14記載のハンドル組立体。
【請求項16】
前記関節運動機構体は、前記関節運動ノブを前記関節運動アダプタに作動的に結合するとともに前記第1の関節運動リンクと反対側で前記ハンドル本体内で前記作動機構体から側方にオフセットした状態で長手方向に延びている第2の関節運動リンクを更に含む、請求項14記載のハンドル組立体。
【請求項17】
前記作動機構体は、前記可動ハンドルの手動による作動を可能にするよう前記可動ハンドルに機械的に結合された作動シャフトを含み、前記作動シャフトは、前記ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能であるとともに前記長手方向軸線に対して回転可能である、請求項14記載のハンドル組立体。
【請求項18】
前記関節運動機構体は、
ボールスリーブを更に含み、前記ボールスリーブ内には孔が形成され、前記ボールスリーブは、前記関節運動ノブに回転可能に結合され、
前記孔内に位置決めされたボールベアリングを更に含み、
前記ボールスリーブ内で長手方向に摺動可能であるボールねじを更に含み、前記ボールねじ内には螺旋ねじ山が形成され、
前記ボールベアリングは、前記螺旋ねじ山と係合可能である、請求項14記載のハンドル組立体。
【請求項19】
前記螺旋ねじ山は、定ピッチを有する、請求項18記載のハンドル組立体。
【請求項20】
前記関節運動アダプタは、差込み形カップラを有する、請求項14記載のハンドル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、外科用閉塞器具、特に外科用ステープラに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2016年4月12日に出願された現時点において係属中の米国特許仮出願第62/321,643号(発明の名称:SURGICAL STAPLER HAVING ARTICULATION MECHANISM)の権益主張出願である。この出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
外科用ステープラは、組織に近づきまたはクランプし、そしてクランプした組織を互いにステープル留めするために用いられる。したがって、外科用ステープラは、組織が適正に位置決めされて捕捉されるようにし、そしてステープルを組織中に駆動する機構体を有する。その結果、これは、クランプした組織の適正なステープル留めを可能にするよう例えば、複雑な機構体と関連して多数のトリガおよびハンドルを生じさせる。これら複雑な機構体により、外科用ステープラについて製造上の負担が増大するとともに装置の故障およびユーザにとっての混乱の潜在的な源が生じる場合がある。かくして、複雑な機構体なしでクランプした組織の信頼性のあるステープル留めが要望されている。
【発明の概要】
【0004】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラが本明細書において提供される。外科用ステープラは、細長いシャフト、ジョー組立体、およびハンドル組立体を有する。細長いシャフトは、近位端および遠位端を有する。細長いシャフトは、近位端と遠位端との間に長手方向軸線を定める。ジョー組立体は、細長いシャフトの遠位端のところに位置決めされている。ジョー組立体は、第1のジョー、第2のジョー、および複数のステープルを含む。ジョー組立体は、閉じ形態、開き形態、および発射形態のうちの1つに選択的に位置決め可能である。ハンドル組立体は、細長いシャフトの近位端のところに位置決めされている。ハンドル組立体は、静止ハンドル、静止ハンドルに回動可能に結合された可動トリガ、および作動シャフトを含む。作動シャフトは、作動シャフトの長手方向軸線に対してハンドル組立体内で長手方向に摺動可能でありかつ長手方向軸線に対してハンドル組立体内で回転可能である。
【0005】
ある特定の実施形態では、ハンドル組立体は、関節運動機構体を更に含む。関節運動機構体は、ボールねじを更に含み、このボールねじ内にはねじ山が形成されている。関節運動機構体は、このねじ山と係合可能な少なくとも1つのボールベアリングを更に含む。関節運動機構体は、関節運動アダプタに結合されたリンク装置を含む。作用を説明すると、ボールねじの回転により関節運動アダプタを並進させることができる。幾つかの実施形態では、関節運動機構体は、解除機構体を含むのが良い。解除機構体は、ボールベアリングをボールねじから離脱させることができ、そして解除機構体を付勢すると、関節運動機構体を長手方向心出し位置に戻すことができる。関節運動アダプタは、ジョー組立体を細長いシャフトの長手方向軸線に対して選択的に関節運動させるよう細長いシャフト内で関節運動部材に結合されるのが良い。
【0006】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラのためのハンドル組立体が提供される。ハンドル組立体は、ハンドル本体、作動シャフト、および関節運動機構体を含む。ハンドル本体は、静止ハンドルおよびハンドル本体に回動可能に結合された可動ハンドルを有する。作動シャフトは、可動ハンドルの手動による作動を可能にするよう可動ハンドルに機械的に結合されている。作動シャフトは、ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能である。関節運動機構体は、手動式関節運動ノブおよび関節運動アダプタを含む。手動式関節運動ノブは、ハンドル本体の近位端のところに位置決めされていて長手方向軸線回りに回転可能である。関節運動アダプタは、ハンドル本体の遠位端のところに位置決めされている。関節運動アダプタは、長手方向軸線回りの関節運動ノブの回転により関節運動アダプタが長手方向に摺動するよう関節運動ノブに作動的に結合されている。
【0007】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラのためのハンドル組立体が提供される。ハンドル組立体は、ハンドル本体、作動シャフト、および関節運動機構体を含む。ハンドル本体は、静止ハンドルおよびハンドル本体に回動可能に結合された可動ハンドルを有する。作動シャフトは、可動ハンドルの手動による作動を可能にするよう可動ハンドルに機械的に結合されている。作動シャフトは、ハンドル本体内で長手方向軸線に沿って摺動可能である。関節運動機構体は、手動式関節運動ノブおよびボールねじを含む。手動式関節運動ノブは、ハンドル本体の近位端のところに位置決めされている。手動式関節運動ノブは、長手方向軸線回りに回転可能である。ボールねじは、関節運動ノブに作動的に結合されるとともに前記関節運動ノブの回転によって長手方向に動くことができる。
【0008】
ある特定の実施形態では、外科用ステープラのためのハンドル組立体が提供される。ハンドル組立体は、ハンドル本体、作動機構体、および関節運動機構体を含む。ハンドル本体は、静止ハンドルおよびハンドル本体に回動可能に結合された可動ハンドルを有する。ハンドル本体は、近位端および遠位端を有するとともに近位端と遠位端との間に長手方向軸線を定める。作動機構体は、ハンドル本体内に位置決めされている。関節運動機構体は、手動式関節運動ノブと、関節運動アダプタと、第1の関節運動リンクとを含む。手動式関節運動ノブは、ハンドル本体の近位端のところに位置決めされていて長手方向軸線回りに回転可能である。関節運動アダプタは、ハンドル本体の遠位端のところに位置決めされている。関節運動アダプタは、長手方向軸線回りの関節運動ノブの回転により関節運動アダプタが長手方向に摺動するよう関節運動ノブに作動的に結合されている。第1の関節運動リンクは、関節運動ノブを関節運動アダプタに作動的に結合している。第1の関節運動リンクは、ハンドル本体内で作動機構体から側方にオフセットした状態で長手方向に延びている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】外科用ステープル留め器具の実施形態の斜視図であり、ジョーが開き形態にある状態を示す図である。
【
図2】
図1の外科用ステープル留め器具用のカートリッジの実施形態の斜視図であり、ジョーが閉じ形態にある状態を示す図である。
【
図3】外科用ステープル留め器具のためのハンドル組立体の実施形態の斜視図である。
【
図4】
図3のハンドル組立体の斜視図であり、可動ハンドルが閉じ形態にある状態を示す図である。
【
図5】
図3のハンドル組立体の平面図であり、セレクタが第1の形態にある状態を示す図である。
【
図6】
図3のハンドル組立体の平面図であり、セレクタが第2の形態にある状態を示す図である。
【
図7B】
図3のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図8A】初期形態にある
図1のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図9A】閉じ形態に作動された
図1のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図10A】前進駆動形態にある
図1のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図11A】前進駆動形態にある
図1のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図12A】完全に駆動された前進形態にある
図1のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図13A】後退駆動形態にある
図1のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図14A】完全に駆動された後退形態にある
図1のハンドル組立体の断面側面図である。
【
図15】
図3のハンドル組立体の関節運動機構体の一実施形態の切除側面図である。
【
図16】関節運動後の位置にある
図15の関節運動機構体の斜視図である。
【
図17B】解除ボタンが押された状態における
図15の関節運動機構体の切除側面図である。
【
図17C】解除ボタンが押されて心出し位置に部分的に戻された状態における
図15の関節運動機構体の切除側面図である。
【
図17D】解除ボタンが押されて心出し位置に戻された状態における
図15の関節運動機構体の切除側面図である。
【
図17E】解除ボタンが部分的に解除された状態において心出し位置にある
図15の関節運動機構体の切除側面図である。
【
図17F】心出し位置にある
図15の関節運動機構体の切除側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および
図2を参照すると、外科用ステープル留め器具の実施形態が示されている。外科用ステープラ10の図示の実施形態は、細長いシャフト20、ジョー組立体30、およびハンドル(取っ手)組立体40を有する。
図1は、ジョー組立体30が開き形態にある状態で外科用ステープラ10を示している。
図2は、外科用ステープラ10の細長いシャフト20およびジョー組立体30を有する取り外し可能な取替式シャフト組立体を示し、ジョー組立体30は、閉じ形態にある。
【0011】
引き続き
図1および
図2を参照すると、図示の実施形態としての外科用ステープラ10は、腹腔鏡外科的処置で使用できるよう寸法決めされるとともに形作られているのが良い。例えば、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、アクセスポートまたはトロカールカニューレを通って手術野中に導入されるよう寸法決めされるとともに形作られているのが良い。幾つかの実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、比較的小さな、例えば8mm未満の作業チャネル直径を備えたトロカールカニューレを通って挿入されるよう寸法決めされるとともに形作られているのが良い。他の実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、大きな、例えば10mm、11mm、12mm、または15mmの作業チャネル直径を備えたトロカールカニューレを通って挿入されるよう寸法決めされるとともに形作られているのが良い。他の実施形態では、本明細書において説明する外科用ステープラのある特定の観点を開放外科的処置で使用可能な外科用ステープル留め器具中に組み込むことができることが想定される。
【0012】
引き続き
図1および
図2を参照すると、図示のように、細長いシャフト20は、全体として管状の部材を有する。細長いシャフト20は、近位端22から遠位端24まで延びている。細長いシャフト20は、近位端22と遠位端24との間に延びる外科用ステープラ10の長手方向中心軸線Lを定めている。
【0013】
引き続き
図1および
図2を参照すると、図示の実施形態では、ジョー組立体30は、細長いシャフト20の遠位端部24のところで細長いシャフト20に結合されている。ジョー組立体30は、第1のジョー32および第1のジョー32に回動的に結合された第2のジョー34を含む。
図3および
図15~
図17の図示の実施形態では、ジョー組立体30は、ハンドル内の関節運動機構体に応動して細長いシャフト20に対して関節運動可能である。
図1および
図8~
図14は、ハンドル組立体の作動機構体をステープル発射シーケンスで更に説明するために中央に固定されたジョー組立体を発火するよう構成されたハンドル組立体を示している。初期形態では、第1のジョー32内には複数のステープル36が設けられている。
【0014】
引き続き
図1および
図2を参照すると、図示の実施形態では、ジョー組立体30を細長いシャフト内で長手方向に摺動可能な作動部材またはビームによって開き形態(
図1)から閉じ形態(
図2)に、すなわちステープル留め形態に作動させることができる。初期の位置では、ビームは、細長いシャフト20の遠位端24のところに位置決めされるのが良い。ビームが初期位置にある状態で、第2のジョー34を回動させて第1のジョー32から遠ざけてジョー組立体30が開き形態にあるようにする。作動ビームは、長手方向軸線Lに沿って遠位側への作動部材またはビームの並進時、第2のジョー34に係合する。作動ビームを初期位置から遠位側に第1の距離にわたって並進させると、ジョー組立体を開き形態から閉じ形態に作動させることができる。ジョー組立体30が閉じ形態にある状態で、作動ビームを近位側に第1の距離にわたって戻すと、ジョー組立体30を開き形態に戻すことができる。作動ビームの遠位端は、ステープルを第1のジョー32から展開するよう構成されたステープルスライダを前進させることができ、その結果、第1の距離を超えて作動ビームを遠位側に更に並進させると、複数のステープル36が第1のジョー32から展開されるようになる。
【0015】
引き続き
図1および
図2を参照すると、図示の実施形態では、ハンドル組立体は、細長いシャフト20の近位端22のところで細長いシャフト20に結合されている。図示のように、ハンドル組立体40は、静止ハンドル42および静止ハンドル42に回動可能に結合された可動ハンドル44またはトリガを備えたハウジングを備えた拳銃握り形態を有する。他の実施形態では、本明細書において説明する観点を含む外科用ステープラ器具が他の形態、例えばはさみ握り形態またはインライン形態を備えたハンドル組立体を有しても良いことが想定される。以下に更に詳細に説明するように、ハンドル組立体40は、作動シャフトを可動ハンドル44の運動に応動して選択的に前進させるよう構成された作動機構体を収容している。
【0016】
幾つかの実施形態では、外科用ステープラ10は、使い捨てカートリッジ内に位置決めされた複数のステープル36を有するのが良く、他方、ハンドル組立体40は、多数のステープルカートリッジと共に再使用されるよう構成されている。図示の実施形態では、細長いシャフト20およびジョー組立体30は、ハンドル組立体40に取り外し可能に結合可能な使い捨てカートリッジを構成している。したがって、図示の実施形態では、ハンドル組立体40は、その遠位端のところにカップラ46を含む。カップラ46は、外科用ステープラ10の細長いシャフト20に係合するようになっている。カップラ46は、ハンドル組立体40を細長いシャフト20に取り外し可能に結合することができる外側コネクタおよびハンドル組立体40の作動シャフトを細長いシャフト20の作動動部材に取り外し可能に結合することができる内側コネクタを備えた差込み連結部を有するのが良い。したがって、外科用ステープラ10は、ハンドル組立体40を外科的処置中、多数の使い捨てカートリッジと共に再使用できるよう構成されているのが良い。他の実施形態では、ハンドル組立体および細長いシャフトのある部分は、細長いシャフトおよびジョー組立体内の残部が使い捨てカートリッジを構成する状態で再使用可能であるのが良いことが想定される。ある特定の他の実施形態では、ハンドル組立体および細長いシャフトは、ジョー組立体が使い捨てカートリッジを構成している状態で再使用可能であるのが良い。更に他の実施形態では、複数のステープルを収容したジョーインサートが使い捨てカートリッジを構成することができ、他方、外科用ステープラの残部が再使用可能である。
【0017】
図3~
図7は、外科用ステープラ10のための関節運動機構体を含むハンドル組立体40の実施形態の種々の図である。関節運動機構体は、ハンドル組立体40の近位端のところに位置決めされるのが良く、この関節運動機構体は、ジョー組立体を関節運動させることができるよう関節運動ノブ190を含むのが良い。
図3では、可動ハンドル44が静止ハンドル42から間隔を置いて位置する開き位置にある状態でハンドル組立体40の斜視図が示されている。図示のハンドル組立体40は、本明細書において更に説明するようにハンドル組立体40内に収容された作動機構体に作動可能に結合されたセレクタ72を更に含む。
図3に示されているように、セレクタ72は、第1の位置にある。
【0018】
図4を参照すると、
図3のハンドル組立体40の別の斜視図が示されている。図示のように、可動ハンドル44は、静止ハンドル42に隣接して位置する開き位置にあり、セレクタ72は、第2の位置にある。
図5および
図6は、
図3のハンドル組立体の平面図であり、セレクタ72、例えばスライダ74が第1の位置(
図5)にあり、第2の位置(
図6)にある。
図7Aは、
図3のハンドル組立体40の側面図であり、
図7Bは、
図3のハンドル組立体40の断面側面図である。
【0019】
図8Aおよび
図8Bは、初期形態にあるハンドル組立体40の断面図であり、作動機構体50の動作原理を示している。図示の実施形態では、作動機構体50は、作動シャフト60を開き形態にあるジョー組立体30に対応した第1の位置から閉じ形態にあるジョー組立体30に対応した第2の位置までそして第2の位置からジョー組立体30をステープル留め形態に位置決めして複数個のステープル36を配備する第3の位置に選択的に並進させるよう構成されている。
図8Aおよび
図8Bに示された初期形態では、作動機構体50は、開き・閉じ機能をもたらすためにステープルを配備することなく可動ハンドル44またはトリガの運動に応動して作動シャフト60を第1の位置と第2の位置との間で繰り返し並進させることができる。この開き・閉じ機能により、ユーザは、組織を位置決めしてクランプし、そしてステープラ10を再位置決めしてステープルの配備前に所望のステープル配置場所を見出すことができる。
【0020】
図8~
図14を参照すると、図示の実施形態では、作動機構体は、前進またはフォワード駆動体52、後退またはリバース駆動体54、開放駆動体58、前進面62、後退面64、および開放面66を含む。前進駆動体52は、可動ハンドル44に作動可能に結合されるのが良く、その結果、開き位置から閉じ位置への可動ハンドル44の運動により、前進駆動体52は、第1の方向に、例えばハンドル組立体40内で遠位側の方向に前進するようになる。前進駆動体52は、凹部またはスロットに嵌まり込むよう構成された爪または歯から成るのが良い。
【0021】
後退駆動体54は、可動ハンドル44に作動可能に結合されるのが良く、開き位置から閉じ位置への可動ハンドル44の運動により、後退駆動体54は、第1の方向とは逆の第2の方向に、例えばハンドル組立体40内で近位側に前進するようになる。幾つかの実施形態では、可動ハンドル44は、遊び歯車56を含む歯車付き連結部によって後退駆動体54に作動可能に結合されるのが良い。後退駆動体54は、凹部またはスロットに嵌まり込むよう構成された爪または歯から成るのが良い。
【0022】
開放駆動体58は、可動ハンドル44に作動可能に結合されるのが良く、開き位置から閉じ位置への可動ハンドル44の運動により、開放駆動体58は、第1の方向に、例えばハンドル組立体40内で遠位側に前進するようになる。図示の実施形態では、開放駆動体58は、開放駆動体58を可動ハンドル44に作動可能に結合するためのピンおよびスロット結合部によってアイドラ56に結合されている。開放駆動体58は、凹部またはスロットに嵌まり込むよう構成された爪または歯から成るのが良い。
【0023】
作動シャフト60上には、前進面62、後退面64、および開放面66が形成されている。図示の実施形態では、前進面62は、作動シャフト60に沿って長手方向に形成されたラックまたは複数個の互いに間隔を置いた凹部もしくは歯を有する。図示のように、後退面64は、作動シャフト60に沿って長手方向に形成されるとともに前進面62から角度的にオフセットしたラックまたは複数個の互いに間隔を置いた凹部もしくは歯を有する。図示の実施形態では、開放面66は、作動シャフト60に形成された凹部を有する。
【0024】
ある特定の実施形態では、作動シャフト60は、ハンドル組立体40内でステープラ10の長手方向軸線回りに回転可能である。ハンドル組立体40は、ハンドル組立体40内での作動シャフト60の選択的な回転をもたらす回転機構体70を含むのが良い。作動シャフト60は、前進駆動体52が前進面62と係合可能な第1の配向状態と後退駆動体54が後退面64と係合可能な第2の配向状態との間で回転可能であるのが良い。前進面52が作動シャフト60に関して後退面54から角度的にオフセットするとともに作動シャフトが第1の配向状態にある状態で、後退駆動体54は、後退面64から離脱され、作動シャフトが第2の配向状態にある状態では、前進駆動体52は、前進面62から外される。
【0025】
引き続き
図8~
図14を参照すると、ある特定の実施形態では、回転機構体70は、セレクタ72、例えばスライダを含む。スライダは、ハンドル組立体40のハウジングを貫通して横方向に延びるのが良い。スライダは、作動シャフト60に作動可能に連結されるのが良く、その結果、スライダをハンドル組立体40の一方の側から延びた状態で第1の状態に位置決めすることにより、作動シャフト60が第1の配向状態に位置決めされ、スライダをハンドル組立体40の反対側から延びる状態で第2の位置に位置決めすることにより、作動シャフト60が回転して第2の配向状態になる。図示の実施形態では、スライダは、歯車78と噛み合い状態にあるラック76に結合され、歯車78は、作動シャフト60に回転可能に固定されるとともに作動シャフト60に沿って長手方向に摺動可能である(例えば、キー付き連結部によって)。望ましくは、スライダを含む図示の回転機構体70は、作動シャフト60を所望の配向状態に不連続に位置決めし、作動機構体50内における歯車装置の噛み合わせ不良の発生を減少させる。幾つかの実施形態では、スライダは、作動シャフト60の配向状態およびかくしてステープラの作動モードをユーザに示す視覚的指標、例えば矢印を有するのが良い。他の実施形態では、回転機構体70″(
図1)は、別の機構体、例えばスライダセレクタ72ではなく作動シャフトに回転可能に直接結合された回転可能なノブを含むのが良い。
【0026】
図示の実施形態では、前進面62と後退面64は、作動シャフト回りに約90°だけ角度的にオフセットしている。かくして、回転機構体70は、作動シャフトを第1の配向状態と第2の配向状態との間で約90°回転させるよう構成されている。他の実施形態では、前進面62と後退面64は、互いに異なる角度オフセット、例えば120°を有するのが良く、回転機構体70は、作動シャフト60をそれに応じて回転させるよう構成されているのが良い。さらに、ハンドル組立体40の開き/閉じモードに関して本明細書において更に詳細に説明するように、図示の実施形態では、開放駆動体58は、第2の配向状態で作動シャフトに係合し、他の実施形態では、作動シャフトは、開放駆動体58が作動シャフトに係合する第3の配向状態まで回転可能であるのが良い。
【0027】
図8~
図14を参照すると、ハンドル組立体40の作動機構体50の代表的な作動シーケンスが示されている。
図8Aおよび
図8Bならびに
図9Aおよび
図9Bは、ジョー組立体30に開き/閉じ機能を提供する初期形態にあるハンドル組立体40の作動状態を示している。
図8Aでは、可動トリガ44は、開き位置にあり、作動シャフト60は、細長いシャフト20の遠位端部のところの作動ビームの第1の位置に対応した第1の位置にある。初期位置では、作動シャフト60は、後退駆動体54が後退面64と角度的に整列するよう第2の配向状態に位置決めされる。作動シャフト60が第2の配向状態にある場合、開放駆動体58は、開放面66または凹部内に位置決めされる。可動ハンドル44を開き位置(
図8Aおよび
図8B)から閉じ位置(
図9Aおよび
図9B)に動かすと、前進駆動体52は、作動シャフト60に沿って遠位側に前進して作動シャフト60に形成された前進凹部63に嵌まり込んで駆動シャフト60をハンドル組立体40内で第2の位置まで遠位側に駆動する。ハンドル組立体40内の作動シャフト60の第2の位置は、ジョー組立体30を閉じ形態に位置決めする作動ビームの第2の位置に一致している。
【0028】
可動ハンドル44は、付勢部材、例えばコイルばね68(
図11A)によって開き位置に付勢されるのが良い。かくして、可動ハンドル44を
図9Aおよび
図9Bに示された閉じ位置から解除すると、可動ハンドルは、
図8Aおよび
図8Bの開き位置に戻る。同様に、可動ハンドル44を開放駆動体58に作動可能に結合することにより、開放駆動体58は、可動ハンドル44が開き位置に戻っているときにハンドル組立体40内で近位側に並進する。作動シャフト60の第2の配向状態では、開放駆動体58は、開放面66に係合して開放駆動体58の近位側への運動により作動シャフト60が第2の位置から第1の位置に戻り、それによりジョー組立体30が開き形態に戻る。
【0029】
ユーザは、ジョーを繰り返し開閉して組織を種々の場所にクランプすることによって術野内の所望のステープル留め位置を探し求めることができる。所望のステープル留め位置をいったん選択すると、作動機構体50は、作動シャフト60を第1の配向状態まで回転させることによってステープル留めまたは発射モードに構成されるのが良い。ジョー組立体が所望のステープル留め位置(
図9Aおよび
図9Bに示されている)で閉じ形態にある状態で、ユーザは、スライダを作動シャフト60の第1の配向状態(
図10Aおよび
図10Bに示されている)に対応した第1の位置まで摺動させることによりセレクタ72を再位置決めするのが良い。作動シャフト60の第1の配向状態では、前進駆動体52は、前進面62と係合可能であり、後退駆動体54は、後退面64と角度的に位置合わせ不良状態にあり、開放駆動体58は、開放面66と角度的に位置合わせ不良状態にある。作動シャフト60が第1の配向状態にある場合、可動ハンドル44を開き位置(
図11Aおよび
図11B)に解除するのが良く、それにより前進駆動体52を前進面62に係合させる。
【0030】
図11Aおよび
図11Bならびに
図12Aおよび
図12Bを参照すると、作動シャフト60が第1の配向状態にあり、前進駆動体52が前進面62に係合した状態では、作動機構体50は、ステープル留めまたは発射モードの状態にある。開き位置から閉じ位置への、そして開き位置に戻る可動ハンドル44の数回の運動サイクルにより、作動シャフト66は、第2の位置(
図11Aおよび
図11B)から作動シャフト60がハンドル組立体40に対してその最も遠位側の限度まで動かされる第3の位置(
図12Aおよび
図12B)まで前進する。幾つかの実施形態では、作動機構体は、第3の位置で作動シャフト60の遠位側への移動を妨害する停止部を有するのが良い。作動シャフトの第2の位置は、ジョー組立体30内における作動ビームの第2の位置に対応している。作動シャフトの第3の位置は、ジョー組立体30内の作動ビームの第3の位置に対応し、この位置では、複数個のステープルは、第1のジョーから展開されている。可動ハンドル44またはトリガの運動が作動シャフトを第2の位置から第3の位置まで前進させるために発射モードの状態にある場合、前進駆動体52をラチェット状前進状態で作動面62の隣り合う歯または溝上を順次前進させる。
【0031】
図13Aおよび
図13Bを参照すると、いったん作動シャフト60を第3の位置まで前進させてステープルをジョー組立体から発射すると、作動機構体50を後退モードに構成するのが良い。したがって、回転機構体70は、作動シャフト60を第2の配向状態まで回転させて後退面64を後退駆動体54と角度的に位置合わせ状態に位置決めするのが良い。スライダを第2の位置まで摺動させて作動シャフトを第1の配向状態(
図12Aおよび
図12B)から第2の配向状態(
図13Aおよび
図13B)まで回転させるのが良い。作動シャフト60が第2の配向状態にある場合、開き位置から閉じ位置への、そして開き位置に戻る可動ハンドル44の繰り返しサイクルにより、後退駆動体54は、ラチェット状前進状態で後退面64に係合し、他方、作動シャフト60は、ハンドル組立体40内で近位側に引っ込められる。いったん後退駆動体54が作動シャフト60を第2の位置(
図14Aおよび
図14Bに示されている)まで近位側に駆動すると、開放駆動体58は、開放面66に係合する。開放駆動体58は、可動ハンドル44を開き位置まで解除すると、作動シャフト60を第1の位置に戻す(ハンドル組立体を
図8Aおよび
図8Bに示された形態に戻す)。作動シャフト60が第1の位置にある状態で、ステープルのない空になったカートリッジをハンドル組立体40から結合解除し、新品のカートリッジをハンドル組立体に結合すると、新たなステープル留め作業を開始することができる。
【0032】
図15、
図16、および
図17A~
図17Fを参照すると、ハンドル組立体40のための関節運動機構体の一実施形態が示されている。図示の実施形態では、ハンドルは、ジョー組立体をシャフトの遠位端部のところで長手方向心出し位置に対して完全関節運動後の位置においていずれかの方向に最大45°関節運動させることができる。幾つかの実施形態では、ハンドル組立体は、ハンドルの近位端部のところで手動式ノブ190に結合された一連のコンポーネントを含む手動関節運動機構体を用いる。他の実施形態では、関節運動機構体の関節運動ノブおよびある特定の関連要素は、ハンドル上の他の場所、例えばハンドルの遠位端のところに、上面のところに、または静止ハンドル上に設けられてもよいことが想定される。
【0033】
図15および
図16を参照すると、関節運動機構体は、取替式シャフトがハンドルに結合されると、取替式シャフト内において長手方向に延びる関節運動部材206に結合されている。関節運動機構体を長手方向に作動すると、関節運動部材206は、シャフトに対して近位側または遠位側に並進してジョー組立体をシャフトの遠位端部のところで関節運動させる。
【0034】
図15を参照すると、関節運動機構体は、1つまたは2つ以上のボールベアリング194が嵌まった状態で乗ることができる少なくとも1つの螺旋溝またはねじ山195を備えたボールねじ192を含む。図示の実施形態では、関節運動機構体は、2つのねじ山195内に嵌まる込むことができる2つのボールベアリング194を含む。ボールベアリング194は、ボールねじ192の半径方向外方に位置決めされたボールスリーブ191に設けられているボールベアリング孔189内に位置決めされている。ボールベアリング194は、ボールベアリング194の半径方向外方に位置決めされた解除スリーブ196によってねじ山195内に維持されている。例えば連結ピン193によってボールスリーブ191に結合された関節運動ノブ190の回転により、ボールスリーブ191は、回転軸線回りに回転し、それによりボールベアリング194は、ねじ山195内で移動し、これに対応してボールねじ192を長手方向に並進させる。ジョー組立体の関節運動は、関節運動ノブ190を回転させ、それに対応してボールスリーブ191およびボールベアリング194をこれらの長手方向位置が回転軸線に沿って固定された状態で回転軸線回りに回転させることによって達成される。次に、ボールねじ192のねじ山195内に嵌め込まれているボールベアリング194は、ボールねじ192を回転軸線に沿って前後に並進させる。図示の実施形態では、ボールスリーブ191は、全体として管状であり、このボールスリーブにはキャビティが形成され、ボールねじ192の一部分は、キャビティ内に位置決めされてこのキャビティ内で長手方向に並進する。図示の実施形態としての関節運動機構体は、ボールねじ内のねじ山に係合可能な2つのボールベアリングを含んでいるが、他の実施形態では、関節運動機構体は、2つよりも少ないまたは2つよりも多いボールベアリング、例えば単一の螺旋ねじ内に位置決めされた単一のボールベアリングまたは対応した数の螺旋ねじ山内に位置決めされた3つまたは4つ以上のボールベアリングを含むことができるということが想定される。
【0035】
図15および
図16を参照すると、ボールねじ192は、1対の関節運動リンク202に結合された遠位端部200まで延びている。関節運動リンク202は、互いに間隔を置いて配置されており、それにより望ましくは、関節運動リンクをハンドル内の作動機構体および作動シャフトの半径方向外方に位置決めすることができる。
図16に示されているように、関節運動リンク202は、嵌め合わせ相手の特徴部、例えばスロットが形成されるのが良く、それにより関節運動リンクをハンドル本体から半径方向内方に延びる対応の嵌め合わせ相手の特徴部、例えばポスト中にキー留めすることができる。スロットは、関節運動リンクをハンドルに対して安定化することができ、ハンドルポストとスロットの端部との相互作用により、関節運動機構体に関する関節運動範囲を定めることができる。関節運動リンク202の遠位端部を関節運動アダプタ204に回転可能に結合することができ、この関節運動アダプタ204は、ハンドルの遠位端部のところで作動アダプタの同軸状に半径方向外方に位置決めできる。この回転カップリングは、比較的低い摩擦特性を備えた関節運動ベアリング205を含むのが良い。この関節運動ベアリング205は、関節運動機構体の作動中、ハンドル組立体に対する結合状態の取替式シャフトの回転および関節運動アダプタ204の長手方向運動を容易にすることができる。図示の実施形態の関節運動機構体は、ハンドル内の作動機構体から側方にオフセットした2つの関節運動リンクを含んでいるが、他の実施形態では、関節運動機構体は、2つよりも少ないまたは2つよりも多い関節運動リンク、例えば1つの関節運動リンクまたは3つもしくは4つ以上の関節運動リンクを含むことができるということが想定される。
【0036】
引き続き
図16を参照すると、シャフトがハンドルに結合されると、関節運動アダプタ204を差込み連結部によってシャフト内の関節運動部材206に連結することができる。作動部材206は、シャフト内で遠位側に延び、そしてシャフトに関節運動可能に結合されたエンドエフェクタまたはジョー組立体に結合されている。ねじ山195は、ボールねじを近位側の方向に動かすと、ジョー組立体が長手方向心出し位置に対してハンドルから見て左側に関節運動し、ボールねじ192を遠位側に動かすと、ジョー組立体がこの長手方向心出し位置に対してハンドルから見て右側に関節運動するよう構成されているのが良い。
【0037】
有利には、ボールねじ192の螺旋ねじ山195は、連続しているので、関節運動機構体により、ジョー組立体を所望の動作範囲相互間で事実上無限の角度位置まで関節運動させることができる。幾つかの実施形態では、関節運動機構体は、シャフトの長手方向軸線によって定められた長手方向心出し位置に対してジョー組立体の-45°から+45°までの関節運動動作範囲を提供するよう構成されているのが良い。他の実施形態では、関節運動機構体は、±45°を超える関節運動をもたらす範囲または±45°未満の関節運動をもたらす範囲を含む他の動作関節運動範囲を提供するよう構成されても良い。幾つかの実施形態では、関節運動機構体は、長手方向心出し位置に対して単一の方向における関節運動を提供するよう構成されても良い。
【0038】
幾つかの実施形態では、ボールねじ192に設けられたねじ山195のピッチは、様々である。例えば、ねじ山195は、ジョー組立体が関節運動するのにより大きな力を必要とする場合があると大きな機械的利点を有利に提供するようねじ山の端に向かって比較的小さいピッチを有するのが良い。ねじ山195は、ジョー組立体が関節運動するのに小さな力を必要とする場合があると、比較的小さな機械的利点で迅速な運動を可能にするようねじ山の中心に向かって比較的大きなピッチを有するのが良い。他の実施形態では、ねじ山195は、関節運動ノブの回転の結果として関節運動機構体の関節運動範囲にわたって変化しないステープラのジョー組立体の比例した量の関節運動が得られる。望ましくは、かかる定ピッチねじ山ボールねじは、結果として、作動機構体の作動中、容易に予測できる応答をもたらすことができる。
【0039】
図17A~
図17Fを参照すると、関節運動機構体は、関節運動機構体を任意の関節運動後位置から長手方向心出し位置にリセットすることができるようにする解除機構体を含むのが良い。解除機構体は、ユーザが解除ボタン198を押すことによって作動される。図示の実施形態では、解除ボタン198は、関節運動ノブ190内に半径方向に嵌め込まれた状態で位置決めされている。
【0040】
図17Bを参照すると、解除ボタン198の作動により、解除スリーブ196が遠位側に前進する。解除スリーブ196の半径方向内面は、比較的小さな内径を備えた係合面186および比較的大きな内径を備えた解除面188を有するよう段付けされており、係合面と解除面との間における傾斜は、滑らかである。動作原理を説明すると、解除スリーブの係合面は、ボールベアリング194をボールねじ192のねじ山195内に維持する。解除ボタン198をいったん押すと、係合面は、遠位側に送り進められ、それによりボールベアリング194は、ねじ山195から離脱してボールスリーブ191(
図15)に設けられているボールベアリング孔189を通って半径方向外方に前進して解除面に当たることができる。
【0041】
図17Cおよび
図17Dを参照すると、ボールベアリング194がねじ山195から離脱した状態で、関節運動機構体は、心出し位置に付勢されるのが良い。幾つかの実施形態では、ボールねじ192は、付勢部材、例えば2つのばね197およびシャフトからのばね力によって心出し位置に付勢される。ねじ山195に沿って心出し位置(
図17D)に位置決めされたボールベアリング194は、ジョー組立体の長手方向心出し位置に対応している。
【0042】
図17Eおよび
図17Fを参照すると、解除ボタン198がいったん妨害を受けない形態に戻るようにされると、解除スリーブ196をばねによって近位側に(矢印199によって示されている)引っ込められる。解除ばね196の近位側への運動により、ボールベアリング194は、ボールねじのねじ山195に係合するようになる。かくして、次に関節運動機構体を用いると、ジョー組立体を長手方向心出し位置から関節運動させることができまたはステープラをジョー組立体が長手方向心出し位置にある状態で用いることができる。
【0043】
本願は、ある特定の好ましい実施形態および実施例を開示しているが、当業者であれば理解されるように、本発明は、具体的に開示した実施形態を超えて他の変形実施形態および/または本発明の使用ならびに明白な改造およびその均等範囲に及ぶ。さらに、これら発明の種々の特徴を単独でまたは明示的に上述した特徴以外のこれら発明の他の特徴と組み合わせて使用できる。かくして、本明細書において開示した本発明の範囲は、上述の特定の開示した実施形態によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲の公平な解釈によってのみ定められるべきであることが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドエフェクタを有する外科用ステープラのためのハンドル組立体であって、
近位端および遠位端を有するハンドル本体であって、該ハンドル本体は、固定ハンドルおよび前記ハンドル本体に回動可能に結合された可動ハンドルを含む、ハンドル本体と、
長手方向軸を有する作動シャフトを備える作動機構であって、前記作動シャフトは、前記エンドエフェクタを作動させるために、前記固定ハンドルに対して前記長手方向軸に沿って長手方向に摺動可能であり、かつ、該長手方向軸を中心として、第1の配向状態と第2の配向状態との間で選択的に回転可能であり、前記第1の配向状態および前記第2の配向状態の各々が、前記作動シャフトの長手方向の前進方向を規定する、作動機構と、
前記作動シャフトを第1の配向状態および前記第2の配向状態のうちの1つに不連続に方向付けるように構成された回転機構と、
前記ハンドル本体の近位端に配置された関節機構であって、該関節機構は、前記エンドエフェクタを関節運動させるように構成されている、関節機構と、
を備える、ハンドル組立体。
【請求項2】
前記関節機構が関節ノブを備え、前記関節ノブは、前記ハンドル本体の近位端に配置され、かつ、前記ハンドル本体に対して回転可である、請求項1に記載のハンドル組立体。
【請求項3】
前記関節機構が、
ボールねじであって、該ボールねじの中に形成されたねじ山を有する、ボールねじと、
該ボールねじの半径方向外側に配置されたボールスリーブであって、該ボールスリーブの中に形成された開口を有するボールスリーブであって、該ボールスリーブは、前記関節ノブの回転によって回転可能である、ボールスリーブと、
前記ボールスリーブの開口内に配置され、前記ボールねじの前記ねじ山に係合し、前記ボールスリーブの回転が前記ボールねじを長手方向に並進させる、ボールベアリングと、を有する、請求項2に記載のハンドル組立体。
【請求項4】
前記関節機構が、近位端と遠位端とを有する関節リンクをさらに備え、前記関節リンクの近位端が前記ボールねじに結合されている、請求項3に記載のハンドル組立体。
【請求項5】
前記関節機構が、
近位端および遠位端を有する第1の関節リンクと、
近位端および遠位端を有する第2の関節リンクと、をさらに備え、
前記第1の関節リンクの近位端および前記第2の関節リンクの近位端が、各々、前記ボールねじに結合されている、請求項3に記載のハンドル組立体。
【請求項6】
前記関節機構が、前記ハンドル本体の遠位端に配置された関節アダプタをさらに備え、 前記第1の関節リンクの遠位端および前記第2の関節リンクの遠位端が、それぞれ、前記関節アダプタに結合されている、請求項5に記載のハンドル組立体。
【請求項7】
前記第1の関節リンクの遠位端および前記第2の関節リンクの遠位端を前記関節アダプタに回転可能に結合する関節ベアリングをさらに備える、請求項6に記載のハンドル組立体。
【請求項8】
前記第1の関節リンクおよび前記第2の関節リンクは、各々、前記ハンドル本体内で前記作動シャフトから横方向にオフセットして配置される、請求項5に記載のハンドル組立体。
【請求項9】
ジョー組立体を有する外科用ステープラのためのハンドル組立体であって、
固定ハンドルと、
該固定ハンドルに回動可能に結合され、該固定ハンドルから間隔を隔てた開位置から前記固定ハンドルに隣接する閉位置まで移動可能な可動ハンドルと、
長手方向軸を有する作動シャフトを含む作動機構であって、前記作動シャフトは、前記固定ハンドルに対して前記長手方向軸に沿って長手方向に並進可能であり、前記長手方向軸を中心として、発射構成を規定する第1の配向と逆動作構成を規定する第2の配向との間で選択的に回転可能である、作動機構と、
前記作動シャフトの長手方向軸に対してジョー組立体を関節運動させるように構成された関節運動機構であって、該関節運動機構は、前記作動シャフトの長手方向軸に対して回転可能な手動式関節運動ノブを備える、関節運動機構と、を備えるハンドル組立体。
【請求項10】
前記ハンドル組立体が、前記作動シャフトの長手方向軸に対して近位端および遠位端を有するハンドル本体を備え、
前記手動式関節運動ノブが、前記ハンドル本体の近位端に配置される、請求項9に記載のハンドル組立体。
【請求項11】
前記関節運動機構がボールねじ機構を備える、請求項9に記載のハンドル組立体。
【請求項12】
前記ボールねじ機構が、前記関節運動ノブの回転によって長手方向に移動可能なボールねじを備える、請求項11に記載のハンドル組立体。
【請求項13】
前記ボールねじ機構が解除機構を備える、請求項11に記載のハンドル組立体。
【請求項14】
前記解除機構は、前記関節運動ノブ内に半径方向に嵌め込まれた解除ボタンからなる、請求項13に記載のハンドル組立体。
【請求項15】
前記関節運動機構が、前記作動シャフトの長手方向軸によって規定される長手方向中心位置に対して、前記ジョー組立体のー45度から+45度の関節運動範囲を提供するように構成される、請求項9に記載のハンドル組立体。
【請求項16】
関節運動機構が、中心位置に付勢される、請求項9に記載のハンドル組立体。
【外国語明細書】