(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153983
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】電位活性化型の治療用構築物、診断用構築物、および/またはセラノスティック用構築物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/127 20060101AFI20231011BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20231011BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20231011BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20231011BHJP
A61K 49/22 20060101ALI20231011BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231011BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20231011BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231011BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20231011BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231011BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20231011BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20231011BHJP
A61K 51/12 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
A61K9/127
A61K9/51
A61K49/00
A61K47/06
A61K49/22
A61K47/10
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/24
A61K47/32
A61K47/28
A61K47/14
A61K51/12 100
A61K51/12 200
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129013
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2020500055の分割
【原出願日】2018-07-06
(31)【優先権主張番号】62/529,700
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515015252
【氏名又は名称】ドレクセル ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】レン スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】エンジェル ブレット
(72)【発明者】
【氏名】コフート アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ファファルマン アーロン
(72)【発明者】
【氏名】シモレリー マイケル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象となる組織または臓器に治療剤、診断剤、および/またはセラノスティック剤を送達することができる新規の標的化薬物送達構築物、送達する方法、並びに対象の身体の一部を選択的に画像化する方法を提供する。
【解決手段】入れ子シェルを含むリポソームを含む構築物であって、該入れ子シェルが、内部コア液体および少なくとも1種の液滴を含む内部区画を囲み、該少なくとも1種の液滴が内部コア液体に不溶性である、該構築物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入れ子シェルを含むリポソームを含む構築物であって、該入れ子シェルが、内部コア液体および少なくとも1種の液滴を含む内部区画を囲み、該少なくとも1種の液滴が内部コア液体に不溶性である、該構築物。
【請求項2】
電場が存在しない状態よりも電場が存在する状態の方がより音響的に活性である、請求項1記載の構築物。
【請求項3】
(a)電場が存在しない状態で前記構築物に超音波をかける場合は音響活性がなく、かつ電場が存在する状態で前記構築物に超音波をかける場合は音響活性をもつ、エコー源性物質、または
(b)電場が存在する状態で前記構築物に超音波をかける場合は、電場が存在しない状態と比較してより高い音響活性をもつ、エコー源性物質
を前記少なくとも1種の液滴が含む、請求項2記載の構築物。
【請求項4】
前記内部区画に治療剤、診断剤、および/またはセラノスティック剤がさらに含まれ、これらは、電場が存在しない状態よりも電場が存在する状態の方がより高い割合で入れ子シェルを通過する、請求項1記載の構築物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の液滴がパーフルオロカーボンを含む、請求項1記載の構築物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の液滴が、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、およびそれらの任意の混合物からなる群より選択される、請求項5記載の構築物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の液滴が、前記内部コア液体と前記少なくとも1種の液滴との接触を防止するコーティングで被覆されている、請求項1記載の構築物。
【請求項8】
前記コーティングが、前記内部コア液体内での前記少なくとも1種の液滴の溶解を防止する、請求項7記載の構築物。
【請求項9】
電場が存在しない状態では、前記コーティングが液滴の凝集、融合、および合一からなる群より選択される少なくとも1つを防止するかまたは最小限にする、請求項7記載の構築物。
【請求項10】
前記コーティングが、ポリソルベート20、アルブミン、ガラクトース、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項7記載の構築物。
【請求項11】
前記入れ子シェルが、リン脂質およびポリマーからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1記載の構築物。
【請求項12】
前記ポリマーがポリマー性または自己組織化性である、請求項11記載の構築物。
【請求項13】
少なくとも1種のリン脂質が、飽和リン脂質、不飽和リン脂質、荷電リン脂質、および非荷電または双性イオン型のリン脂質からなる群より選択される少なくとも1種のリン脂質を含む、請求項11記載の構築物。
【請求項14】
前記入れ子シェルが、非荷電または双性イオン型のリン脂質および/またはポリマーのみを含む、請求項11記載の構築物。
【請求項15】
前記入れ子シェルが少なくとも2種の脂質を含み、該少なくとも2種の脂質のうち一方は飽和、他方の脂質は不飽和であり、かつ該少なくとも2種の脂質のうち一方は荷電、他方の脂質は非荷電または双性イオン型である、請求項11記載の構築物。
【請求項16】
前記2種以上の脂質が、ステアロイル,オレオイルホスファチジルグリセロール(SOPG);ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC);ステアロイル,オレオイルホスファチジルコリン(SOPC);ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG);コレステロール;およびトリオレインからなる群より選択される、請求項15記載の構築物。
【請求項17】
前記入れ子シェルが、(a)SOPGとSOPC;(b)SOPGとDSPG;(c)DSPCとSOPC;および(d)DSPCとDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質ペアを含む、請求項15記載の構築物。
【請求項18】
少なくとも1種の飽和脂質と少なくとも1種の不飽和脂質が、(a)SOPGとDSPC;および(b)SOPCとDSPGからなる群より選択される、請求項15記載の構築物。
【請求項19】
前記入れ子シェルが少なくとも1種のペグ化脂質をさらに含む、請求項1記載の構築物。
【請求項20】
前記入れ子シェルがポリ(ビニルアルコール)をさらに含む、請求項1記載の構築物。
【請求項21】
前記入れ子シェルが、DSPC、SOPG、コレステロール、およびトリオレインを含む、請求項1記載の構築物。
【請求項22】
前記入れ子シェルが、約10~32.5wt%のDSPC、約10~32.5wt%のSOPG、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む、請求項21記載の構築物。
【請求項23】
前記入れ子シェルが、DSPG、SOPC、コレステロール、およびトリオレインを含む、請求項1記載の構築物。
【請求項24】
前記入れ子シェルが、約10~32.5wt%のDSPG、約10~32.5wt%のSOPC、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む、請求項23記載の構築物。
【請求項25】
請求項1記載の構築物を対象に投与する工程であって、前記内部区画に治療剤、造影剤、および/またはセラノスティック剤が含まれる、該工程
を含み、
電位勾配が存在しない状態よりも前記入れ子シェルを前記内部コア液体に対してより透過性にするのに十分な電位勾配が該対象の身体の一部に発生している場合には、該対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない;または
前記入れ子シェルを前記内部コア液体に対して透過性にするのに十分な電位勾配が該対象の身体の一部に発生していない場合には、前記入れ子シェルを前記内部コア液体に対して透過性にするように該対象の身体の一部にさらに電位勾配をかける、
治療剤、造影剤、および/またはセラノスティック剤を対象の身体の一部に選択的に送達する方法。
【請求項26】
請求項1記載の構築物を対象に投与する工程であって、前記少なくとも1種の液滴が
(a)電場が存在しない状態で該構築物に超音波をかける場合は音響活性がなく、かつ電場が存在する状態で該構築物に超音波をかける場合は音響活性をもつ、エコー源性物質、または
(b)電場が存在する状態で該構築物に超音波をかける場合は、電場が存在しない状態と比較してより高い音響活性をもつ、エコー源性物質
を含む、該工程;ならびに
該対象の身体の一部に超音波照射を適用する工程であって、
該構築物をより音響的に活性にするのに十分な電位勾配が該対象の身体の一部に発生している場合には、該対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない、または
該構築物を、電位勾配が存在しない状態よりも音響的に活性にするのに十分な電位勾配が該対象の身体の一部に発生していない場合には、該構築物をより音響的に活性にするように、該対象の身体の一部にさらに電位勾配をかける、
該工程
を含む、対象の身体の一部を選択的に画像化する方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種の液滴がパーフルオロカーボンを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1種の液滴が、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、およびパーフルオロヘキサンからなる群より選択される、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種の液滴が、電位勾配が存在しない状態で前記内部コア液体と前記少なくとも1種の液滴との接触を防止するコーティングで被覆されている、請求項26記載の方法。
【請求項30】
以下の少なくとも1つが該当する請求項29記載の方法:
(a)前記コーティングが前記内部コア液体内での前記少なくとも1種の液滴の溶解を防止する;
(b)前記コーティングが、液滴の凝集、融合、および合一からなる群より選択される少なくとも1つを防止するかまたは最小限にする。
【請求項31】
前記コーティングが、ポリソルベート20、アルブミン、ガラクトース、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項26記載の方法。
【請求項32】
前記対象の身体の一部が、心臓、肺、肝臓、胆嚢、脾臓、膵臓、腎臓、膀胱、子宮、卵巣、目、甲状腺、副甲状腺、陰嚢、精巣、および腹腔からなる群より選択される、請求項25または26記載の方法。
【請求項33】
前記対象の身体の一部が心臓またはその一区域である、請求項25または26記載の方法。
【請求項34】
前記対象が哺乳動物である、請求項25または26記載の方法。
【請求項35】
前記対象がヒトである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記入れ子シェルが、リン脂質およびポリマーからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項25または26記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1種のリン脂質が、飽和リン脂質、不飽和リン脂質、荷電リン脂質、および非荷電または双性イオン型のリン脂質からなる群より選択される少なくとも1種のリン脂質を含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記入れ子シェルが少なくとも2種の脂質を含み、該少なくとも2種の脂質のうち一方は飽和、他方の脂質は不飽和であり、かつ該少なくとも2種の脂質のうち一方は荷電、他方の脂質は非荷電または双性イオン型である、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記2種以上の脂質が、SOPG、DSPC、SOPC、DSPG、コレステロール、およびトリオレインからなる群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記入れ子シェルが、(a)SOPGとSOPC;(b)SOPGとDSPG;(c)DSPCとSOPC;および(d)DSPCとDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質ペアを含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1種の飽和脂質と少なくとも1種の不飽和脂質が、(a)SOPGとDSPC;および(b)SOPCとDSPGからなる群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項42】
前記入れ子シェルが少なくとも1種のペグ化脂質をさらに含む、請求項25または26記載の方法。
【請求項43】
前記入れ子シェルがポリ(ビニルアルコール)をさらに含む、請求項25または26記載の方法。
【請求項44】
前記入れ子シェルがDSPC、SOPG、コレステロール、およびトリオレインを含む、請求項25または26記載の方法。
【請求項45】
前記入れ子シェルが、約20~22.5wt%のDSPC、約20~22.5wt%のSOPG、約25~40wt%のコレステロール、および約20~30wt%のトリオレインを含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
前記入れ子シェルがDSPG、SOPC、コレステロール、およびトリオレインを含む、請求項25または26記載の方法。
【請求項47】
前記入れ子シェルが、約20~22.5wt%のDSPG、約20~22.5wt%のSOPC、約25~40wt%のコレステロール、および約20~30wt%のトリオレインを含む、請求項46記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月7日出願の米国仮出願第62/529,700号に対する、米国特許法119条(e)項に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
標的化薬物送達、またはスマートドラッグデリバリーとは、ペイロード(治療剤、診断剤、および/または「セラノスティック」剤としても知られる治療診断剤など)が、他の部分と比べて対象の身体の特定の部分に優先的に(または排他的に)送達または放出されるようにペイロードを対象に送達する方法を指す。従来の全身薬物送達の失敗を克服することを目指し、ナノ粒子を使用した標的化薬物送達が試みられてきた。原則として、対象となる薬剤をナノ粒子に充填し、治療または診断を必要とする特定の身体部分に標的化する。このようにナノ粒子を使用すると、薬剤と健常組織との相互作用が回避されるかまたは最小限になる。理想的には、標的化薬物送達構築物は、対象となる組織とペイロード剤との相互作用を延長および局在化させるべきである。さらに、標的化薬物送達は、薬剤の投与頻度を減らし、効果の一貫性を高め、副作用を軽減し、循環濃度の変動を抑えるであろう。
【0003】
既存の標的化薬物送達システムとして、リポソーム、ミセル、デンドリマー、生分解性粒子、および人工DNAナノ構造が挙げられる。しかしながら、既存のスマートドラッグデリバリー構築物には改善の余地が多数残されており、治療および/または画像化される組織または臓器の局所的な物理的特性に反応する新規送達構築物の特定に積極的な関心が寄せられている。
【0004】
胸痛は、致死性の急性心筋梗塞(AMI)から、筋肉の緊張などの軽度の自己限定性障害に至るまで、無数の障害で最もよく見られる不定愁訴である。心筋虚血と合致する胸痛および症状は、米国における救急科(ED)における診察に対するよくある理由であり、年間1億1,900万件のED訪問のうち約8~10%を占める。米国において、胸痛のため理学的検査を受ける必要がある患者は年間少なくとも650万人である。加えて、毎年800万人超の胸痛患者が外来診療を受診しており、著しい保健負担の原因となっている。医療専門家は、致死性の心原性胸痛を非心原性のものと区別するという難題に直面しており、適時かつ効率的な方法でこれが達成される必要がある。米国では、胸痛のあるED患者のうち約60%がさらに入院している。しかしながら、このような高い入院率にもかかわらず、AMI患者の3~4%が誤って退院させられ、一方で胸痛により特別集中治療室(CCU)に入院した患者のうち40%が、最終的には除外診断される虚血性心疾患だけを有している。
【0005】
急性冠症候群(ACS)関連死の大部分は発症から12時間未満で起こるため、この期間内での胸痛の診断が最重要課題である。残念ながら、個々の生化学的マーカーは、胸痛の初期12時間以内に心筋梗塞を効果的に除外診断することができない。ACSに罹患している患者をすべて特定することは必須であるが、医療費を抑制し、かつ不要な検査、費用のかかる入院医療、および結果として生じる心理的ストレスの発生を最小限に抑えることが重要である。このような診断のための現行の至適基準(gold-standard)は、12~36時間の継続的な院内モニタリング、ならびに放射線の使用、高価な画像診断装置、および/または侵襲性カテーテルを用いた血管造影を含む。
【0006】
対象となる組織または臓器に治療剤、診断剤、および/またはセラノスティック剤を送達することができる新規の標的化薬物送達構築物が当技術分野において依然として必要とされている。そのような構築物は、安全、簡単、かつ迅速に使用でき、正確な薬剤送達を可能にする必要がある。また、放射線の使用、侵襲的検査、および/または長期の入院を必要とせずに患者の心血管系の画像化に使用できる新規の構築物も当技術分野において依然として必要とされている。本発明はこれらの必要性に対処し、それを満たすものである。
【発明の概要】
【0007】
発明の簡単な概要
本発明は、入れ子シェルを含むリポソームを含む構築物を提供する。本発明はさらに、治療剤、造影剤、および/またはセラノスティック剤を対象の身体の一部に選択的に送達する方法を提供する。本発明はさらに、対象の身体の一部を選択的に画像化する方法を提供する。
【0008】
ある特定の態様では、入れ子シェルは、内部コア液体と少なくとも1種の液滴とを含む内部区画を囲んでいる。他の態様では、少なくとも1種の液滴は内部コア液体に不溶性である。
【0009】
ある特定の態様では、構築物は、電場が存在しない状態よりも電場が存在する状態の方が、音響的に活性が高い。
【0010】
ある特定の態様では、少なくとも1種の液滴は、電場が存在しない状態で構築物に超音波をかける場合は音響活性がなく、かつ電場が存在する状態で構築物に超音波をかける場合は音響活性をもつエコー源性物質を含む。
【0011】
ある特定の態様では、少なくとも1種の液滴は、電場が存在する状態で構築物に超音波をかける場合は、電場が存在しない状態と比較してより高い音響活性をもつエコー源性物質を含む。
【0012】
ある特定の態様では、内部区画に治療剤、診断剤、および/またはセラノスティック剤がさらに含まれ、これらは、電場が存在しない状態よりも電場が存在する状態の方がより高い割合で入れ子シェルを通過する。
【0013】
ある特定の態様では、少なくとも1種の液滴はパーフルオロカーボンを含む。他の態様では、少なくとも1種の液滴は、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、およびそれらの任意の混合物からなる群より選択される。さらに別の態様では、少なくとも1種の液滴は、内部コア液体と少なくとも1種の液滴との接触を防止するコーティングで被覆されている。さらに別の態様では、コーティングは、内部コア液体内での少なくとも1種の液滴の溶解を防止する。さらに別の態様では、電場が存在しない状態では、コーティングは、液滴の凝集、融合、および合一からなる群より選択される少なくとも1つを防止するかまたは最小限にする。さらに別の態様では、コーティングは、ポリソルベート20、アルブミン、ガラクトース、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つを含む。
【0014】
ある特定の態様では、入れ子シェルは、リン脂質およびポリマーからなる群より選択される少なくとも1つを含む。他の態様では、ポリマーはポリマー性または自己組織化性である。さらに別の態様では、少なくとも1種のリン脂質は、飽和リン脂質、不飽和リン脂質、荷電リン脂質、および非荷電または双性イオン型のリン脂質からなる群より選択される少なくとも1種のリン脂質を含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、非荷電または双性イオン型のリン脂質および/またはポリマーのみを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは少なくとも2種の脂質を含み、その少なくとも2種の脂質のうち一方は飽和、他方の脂質は不飽和であり、かつ少なくとも2種の脂質のうち一方は荷電、他方の脂質は非荷電または双性イオン型である。さらに別の態様では、2種以上の脂質が、ステアロイル,オレオイルホスファチジルグリセロール(SOPG);ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC);ステアロイル,オレオイルホスファチジルコリン(SOPC);ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG);コレステロール;およびトリオレインからなる群より選択される。さらに別の態様では、入れ子シェルは、SOPGとSOPC;SOPGとDSPG;DSPCとSOPC;およびDSPCとDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質ペアを含む。さらに別の態様では、少なくとも1種の飽和脂質と少なくとも1種の不飽和脂質は、SOPGとDSPC;および/またはSOPCとDSPGである。さらに別の態様では、入れ子シェルは少なくとも1種のペグ化脂質をさらに含む。さらに別の態様では、入れ子シェルはポリ(ビニルアルコール)をさらに含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、DSPC、SOPG、コレステロール、およびトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約10~32.5wt%のDSPC、約10~32.5wt%のSOPG、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、DSPG、SOPC、コレステロール、およびトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約10~32.5wt%のDSPG、約10~32.5wt%のSOPC、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む。
【0015】
ある特定の態様では、方法は、内部区画に治療剤、造影剤、および/またはセラノスティック剤が含まれる本発明の構築物を対象に投与する工程を含む。他の態様では、電位勾配が存在しない状態よりも入れ子シェルを内部コア液体に対してより透過性にするのに十分な電位勾配が対象の身体の一部に発生している場合には、対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない。さらに別の態様では、入れ子シェルを内部コア液体に対して透過性にするのに十分な電位勾配が対象の身体の一部に発生していない場合、入れ子シェルを内部コア液体に対して透過性にするように対象の身体の一部にさらに電位勾配をかける。
【0016】
ある特定の態様では、方法は、本発明の構築物を対象に投与する工程を含み、ここで、少なくとも1種の液滴はエコー源性物質を含む。他の態様では、この作用物質は、電場が存在しない状態で構築物に超音波をかける場合は音響活性がなく、かつ電場が存在する状態で構築物に超音波をかける場合は音響活性をもつ。さらに別の態様では、この作用物質は、電場が存在する状態で構築物に超音波をかける場合は、電場が存在しない状態と比較してより高い音響活性をもつ。他の態様では、方法は、対象の身体の一部に超音波照射を適用する工程を含む。さらに別の態様では、構築物をより音響的に活性にするのに十分な電位勾配が対象の身体の一部に発生している場合、対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない。さらに別の態様では、構築物を、電位勾配が存在しない状態よりも音響的に活性にするのに十分な電位勾配が対象の身体の一部に発生していない場合、構築物をより音響的に活性にするように、対象の身体の一部にさらに電位勾配をかける。
【0017】
ある特定の態様では、対象の身体の一部は、心臓、肺、肝臓、胆嚢、脾臓、膵臓、腎臓、膀胱、子宮、卵巣、目、甲状腺、副甲状腺、陰嚢、精巣、および腹腔からなる群より選択される。他の態様では、対象の身体の一部は心臓またはその一区域である。
【0018】
ある特定の態様では、対象は哺乳動物である。他の態様では、対象はヒトである。
[本発明1001]
入れ子シェルを含むリポソームを含む構築物であって、該入れ子シェルが、内部コア液体および少なくとも1種の液滴を含む内部区画を囲み、該少なくとも1種の液滴が内部コア液体に不溶性である、該構築物。
[本発明1002]
電場が存在しない状態よりも電場が存在する状態の方がより音響的に活性である、本発明1001の構築物。
[本発明1003]
(a)電場が存在しない状態で前記構築物に超音波をかける場合は音響活性がなく、かつ電場が存在する状態で前記構築物に超音波をかける場合は音響活性をもつ、エコー源性物質、または
(b)電場が存在する状態で前記構築物に超音波をかける場合は、電場が存在しない状態と比較してより高い音響活性をもつ、エコー源性物質
を前記少なくとも1種の液滴が含む、本発明1002の構築物。
[本発明1004]
前記内部区画に治療剤、診断剤、および/またはセラノスティック剤がさらに含まれ、これらは、電場が存在しない状態よりも電場が存在する状態の方がより高い割合で入れ子シェルを通過する、本発明1001の構築物。
[本発明1005]
前記少なくとも1種の液滴がパーフルオロカーボンを含む、本発明1001の構築物。
[本発明1006]
前記少なくとも1種の液滴が、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、およびそれらの任意の混合物からなる群より選択される、本発明1005の構築物。
[本発明1007]
前記少なくとも1種の液滴が、前記内部コア液体と前記少なくとも1種の液滴との接触を防止するコーティングで被覆されている、本発明1001の構築物。
[本発明1008]
前記コーティングが、前記内部コア液体内での前記少なくとも1種の液滴の溶解を防止する、本発明1007の構築物。
[本発明1009]
電場が存在しない状態では、前記コーティングが液滴の凝集、融合、および合一からなる群より選択される少なくとも1つを防止するかまたは最小限にする、本発明1007の構築物。
[本発明1010]
前記コーティングが、ポリソルベート20、アルブミン、ガラクトース、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つを含む、本発明1007の構築物。
[本発明1011]
前記入れ子シェルが、リン脂質およびポリマーからなる群より選択される少なくとも1つを含む、本発明1001の構築物。
[本発明1012]
前記ポリマーがポリマー性または自己組織化性である、本発明1011の構築物。
[本発明1013]
少なくとも1種のリン脂質が、飽和リン脂質、不飽和リン脂質、荷電リン脂質、および非荷電または双性イオン型のリン脂質からなる群より選択される少なくとも1種のリン脂質を含む、本発明1011の構築物。
[本発明1014]
前記入れ子シェルが、非荷電または双性イオン型のリン脂質および/またはポリマーのみを含む、本発明1011の構築物。
[本発明1015]
前記入れ子シェルが少なくとも2種の脂質を含み、該少なくとも2種の脂質のうち一方は飽和、他方の脂質は不飽和であり、かつ該少なくとも2種の脂質のうち一方は荷電、他方の脂質は非荷電または双性イオン型である、本発明1011の構築物。
[本発明1016]
前記2種以上の脂質が、ステアロイル,オレオイルホスファチジルグリセロール(SOPG);ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC);ステアロイル,オレオイルホスファチジルコリン(SOPC);ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG);コレステロール;およびトリオレインからなる群より選択される、本発明1015の構築物。
[本発明1017]
前記入れ子シェルが、(a)SOPGとSOPC;(b)SOPGとDSPG;(c)DSPCとSOPC;および(d)DSPCとDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質ペアを含む、本発明1015の構築物。
[本発明1018]
少なくとも1種の飽和脂質と少なくとも1種の不飽和脂質が、(a)SOPGとDSPC;および(b)SOPCとDSPGからなる群より選択される、本発明1015の構築物。
[本発明1019]
前記入れ子シェルが少なくとも1種のペグ化脂質をさらに含む、本発明1001の構築物。
[本発明1020]
前記入れ子シェルがポリ(ビニルアルコール)をさらに含む、本発明1001の構築物。
[本発明1021]
前記入れ子シェルが、DSPC、SOPG、コレステロール、およびトリオレインを含む、本発明1001の構築物。
[本発明1022]
前記入れ子シェルが、約10~32.5wt%のDSPC、約10~32.5wt%のSOPG、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む、本発明1021の構築物。
[本発明1023]
前記入れ子シェルが、DSPG、SOPC、コレステロール、およびトリオレインを含む、本発明1001の構築物。
[本発明1024]
前記入れ子シェルが、約10~32.5wt%のDSPG、約10~32.5wt%のSOPC、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む、本発明1023の構築物。
[本発明1025]
本発明1001の構築物を対象に投与する工程であって、前記内部区画に治療剤、造影剤、および/またはセラノスティック剤が含まれる、該工程
を含み、
電位勾配が存在しない状態よりも前記入れ子シェルを前記内部コア液体に対してより透過性にするのに十分な電位勾配が該対象の身体の一部に発生している場合には、該対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない;または
前記入れ子シェルを前記内部コア液体に対して透過性にするのに十分な電位勾配が該対象の身体の一部に発生していない場合には、前記入れ子シェルを前記内部コア液体に対して透過性にするように該対象の身体の一部にさらに電位勾配をかける、
治療剤、造影剤、および/またはセラノスティック剤を対象の身体の一部に選択的に送達する方法。
[本発明1026]
本発明1001の構築物を対象に投与する工程であって、前記少なくとも1種の液滴が
(a)電場が存在しない状態で該構築物に超音波をかける場合は音響活性がなく、かつ電場が存在する状態で該構築物に超音波をかける場合は音響活性をもつ、エコー源性物質、または
(b)電場が存在する状態で該構築物に超音波をかける場合は、電場が存在しない状態と比較してより高い音響活性をもつ、エコー源性物質
を含む、該工程;ならびに
該対象の身体の一部に超音波照射を適用する工程であって、
該構築物をより音響的に活性にするのに十分な電位勾配が該対象の身体の一部に発生している場合には、該対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない、または
該構築物を、電位勾配が存在しない状態よりも音響的に活性にするのに十分な電位勾配が該対象の身体の一部に発生していない場合には、該構築物をより音響的に活性にするように、該対象の身体の一部にさらに電位勾配をかける、
該工程
を含む、対象の身体の一部を選択的に画像化する方法。
[本発明1027]
前記少なくとも1種の液滴がパーフルオロカーボンを含む、本発明1026の方法。
[本発明1028]
前記少なくとも1種の液滴が、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、およびパーフルオロヘキサンからなる群より選択される、本発明1026の方法。
[本発明1029]
前記少なくとも1種の液滴が、電位勾配が存在しない状態で前記内部コア液体と前記少なくとも1種の液滴との接触を防止するコーティングで被覆されている、本発明1026の方法。
[本発明1030]
以下の少なくとも1つが該当する本発明1029の方法:
(a)前記コーティングが前記内部コア液体内での前記少なくとも1種の液滴の溶解を防止する;
(b)前記コーティングが、液滴の凝集、融合、および合一からなる群より選択される少なくとも1つを防止するかまたは最小限にする。
[本発明1031]
前記コーティングが、ポリソルベート20、アルブミン、ガラクトース、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つを含む、本発明1026の方法。
[本発明1032]
前記対象の身体の一部が、心臓、肺、肝臓、胆嚢、脾臓、膵臓、腎臓、膀胱、子宮、卵巣、目、甲状腺、副甲状腺、陰嚢、精巣、および腹腔からなる群より選択される、本発明1025または1026の方法。
[本発明1033]
前記対象の身体の一部が心臓またはその一区域である、本発明1025または1026の方法。
[本発明1034]
前記対象が哺乳動物である、本発明1025または1026の方法。
[本発明1035]
前記対象がヒトである、本発明1034の方法。
[本発明1036]
前記入れ子シェルが、リン脂質およびポリマーからなる群より選択される少なくとも1つを含む、本発明1025または1026の方法。
[本発明1037]
少なくとも1種のリン脂質が、飽和リン脂質、不飽和リン脂質、荷電リン脂質、および非荷電または双性イオン型のリン脂質からなる群より選択される少なくとも1種のリン脂質を含む、本発明1036の方法。
[本発明1038]
前記入れ子シェルが少なくとも2種の脂質を含み、該少なくとも2種の脂質のうち一方は飽和、他方の脂質は不飽和であり、かつ該少なくとも2種の脂質のうち一方は荷電、他方の脂質は非荷電または双性イオン型である、本発明1036の方法。
[本発明1039]
前記2種以上の脂質が、SOPG、DSPC、SOPC、DSPG、コレステロール、およびトリオレインからなる群より選択される、本発明1037の方法。
[本発明1040]
前記入れ子シェルが、(a)SOPGとSOPC;(b)SOPGとDSPG;(c)DSPCとSOPC;および(d)DSPCとDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質ペアを含む、本発明1037の方法。
[本発明1041]
少なくとも1種の飽和脂質と少なくとも1種の不飽和脂質が、(a)SOPGとDSPC;および(b)SOPCとDSPGからなる群より選択される、本発明1037の方法。
[本発明1042]
前記入れ子シェルが少なくとも1種のペグ化脂質をさらに含む、本発明1025または1026の方法。
[本発明1043]
前記入れ子シェルがポリ(ビニルアルコール)をさらに含む、本発明1025または1026の方法。
[本発明1044]
前記入れ子シェルがDSPC、SOPG、コレステロール、およびトリオレインを含む、本発明1025または1026の方法。
[本発明1045]
前記入れ子シェルが、約20~22.5wt%のDSPC、約20~22.5wt%のSOPG、約25~40wt%のコレステロール、および約20~30wt%のトリオレインを含む、本発明1044の方法。
[本発明1046]
前記入れ子シェルがDSPG、SOPC、コレステロール、およびトリオレインを含む、本発明1025または1026の方法。
[本発明1047]
前記入れ子シェルが、約20~22.5wt%のDSPG、約20~22.5wt%のSOPC、約25~40wt%のコレステロール、および約20~30wt%のトリオレインを含む、本発明1046の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の具体的な態様に関する以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むと、より良く理解されるであろう。本発明を例示する目的で、具体的な態様を図面に示している。ただし、本発明は、図面に示された態様と同じ配置および手段に限定されないと理解されるべきである。
【0020】
【
図1】胸痛患者を診断する際の当技術分野における標準手順を詳述するアルゴリズムチャートである。ある特定の態様では、本発明の組成物および方法を使用して、強調表示された区分に入る患者を評価することができる。
【
図2】
図2A~2Bは、本発明の電位活性化型セラノスティック構築物を非限定的に示す模式図である。
図2Aは、電位勾配が存在しない状態での本発明の非限定的な構築物を示している。
図2Bは、例えば心臓の脱分極時に生じるような電位勾配が存在する状態での本発明の非限定的な構築物を示している。この特定の例では、電位勾配が入れ子シェルと相互作用し、入れ子シェルが水性内部に対してより透過性になり、入れ子シェルを通り抜けてまたは通過して(または両方)物質を輸送することが可能になる。
【
図3】
図3A~3Bは、ある特定の本発明の電位/超音波二重活性化型セラノスティック構築物を示す非限定的な模式図である。
図3Aは、二重活性化型構築物に超音波のみをかけた場合を図示している。電位勾配がない場合、入れ子シェルは水性内部に対して低透過性である(またはまったく透過性がない)。ある特定の態様では、このような条件で内部の造影剤液滴の蒸発が防止される。他の態様では、電位活性化型構築物は超音波単独では著しく活性化されないかまたは検出されない。
図3Bは、二重活性化型構築物に超音波と電位勾配の両方をかけた場合を図示している。電位勾配(電場)により入れ子シェルが水性内部に対してより透過性になる。ある特定の態様では、水性内部の少なくとも部分的な漏出により、造影剤液滴の蒸発が可能になる。他の態様では、電位勾配による入れ子シェルの変化により、構築物の音響活性が増加する。
【
図4A】
図4A~4Dは、2.0/4.0MHz、0.28MI(MIは、ピーク負圧(MPa)を超音波周波数(MHz)の平方根で除算したものと定義される)の連続的な一定の超音波が存在する状態で、インビトロ使用した本発明の構築物を示す非限定的な画像である。
図4Aは、構築物が試験チャンバに注入される前に取得した画像である。
図4Bは、電位の印加が存在しない状態で2mLの構築物を試験チャンバに注入した後に取得した画像である。
図4Cは、超音波と1.25V/cmの電場の両方が存在する状態で構築物を用いた試験チャンバの画像であり、
図4Bと比較してコントラストの輝度に目視でわずかな差が見られる。
図4Dは、超音波と3.25V/cmの電場の両方が存在する状態で構築物を用いた試験チャンバの画像である。
図4Dは
図4B~4Cよりも大きな音響活性を示しているが、このことは構築物が電場の印加に感受性であることを示す。
【
図5】
図5A~5Cは、心臓の臨床イメージングの模倣を意図した、
図4A~4Dの画像を得るために使用するインビトロ試験装置の画像である。ファンクションジェネレーター(
図5A)によってプログラムされた電気信号は、臨床超音波装置(
図5C)に連結された、組織模倣物(
図5B)の金属板に送信される。
【
図6】
図6A~6Bは、ラットの心臓の左心室のインビボ画像である(長軸像)。
図6Aは注入前に取得した。
図6Bは電位活性化型構築物の注入後に取得した。具体的には、製剤には、ポリソルベート20(5vol%のPFP、0.1vol%のPS20、残部の水)の単層で被覆された50vol%のPFP液滴と50vol%のPBSとが含まれ、これらは、22.5wt%のDSPG、22.5wt%のSOPC、25%のコレステロール、30wt%のトリオレインを含む二重層で入れ子状にされ、低分子量PVA含有水に懸濁されていた。
図6Aと6Bの比較は、
図6Bにおける心筋のエコー源性の増強を示している。
【
図7】
図7A~7Bは、ブタの心臓の左心室のインビボ画像である(短軸像)。
図7Aは注入前に取得した。
図7Bは電位活性化剤の注入後に取得した。
図7Aと7Bの比較は、
図7Bにおける心筋のエコー源性の増強を示している。
【
図8】ブタの心筋灌流イメージングを示す画像である。ベースライン(本発明の構築物なし;左の画像)および本発明の構築物注入後(右の画像)のブタの左心室を示すBモード超音波画像。構築物が存在すると心筋内の輝度の増強が生じるが、心室は増強されないままである。
【
図9】ブタの心筋梗塞の検出を示す画像である。
図8と同様に、ベースライン(本発明の構築物なし;左の画像)および本発明の構築物注入後(右の画像)のブタの左心室を示すBモード超音波画像であるが、左前下行冠状動脈でバルーンを膨張させた後に構築物を注入した。構築物が存在すると心筋内の輝度の増強が生じるが、バルーンによって灌流されない部分に相当する心筋内の領域では増強されない。この場合も心室は増強されないままである。
【
図10】本発明の非限定的な構築物を示す。ある特定の態様では、構築物は、負電荷のリポソームの水性コア内に入れ子にされた被覆パーフルオロカーボン(相転移剤)液滴を含む。本明細書に示す入れ子シェルはリン脂質を図示しているが、他の入れ子シェル材料を使用することもできる。リン脂質二重層の入れ子シェルの場合、ある特定の態様では、配合物は追加の種(例えばコレステロールもしくはトリグリセリドまたは両方)を含み得る。さらに、鎖の長さおよび飽和度、ならびに頭部基の種類、大きさ、および電荷(カチオン性、アニオン性、双性イオン性、または非イオン性)が異なるリン脂質種を使用でき、本明細書で図示したもの以外の構造が配合により生じる可能性がある。図の破線は負電荷を示す。(正)対イオンは示されておらず、本研究におけるゼータ電位は膜貫通電位と混同されるべきではない。電場の存在は入れ子シェルに影響し、それによって音響活性の増加を生じさせる。電場に対する入れ子シェルの応答には、形状変化、ドメインおよび/もしくは分子の再配置および/もしくは再配向、膨張、薄化、拡張、相転移、ならびに/または相分離が含まれ得るがそれに限定されるわけではない。ある特定の態様では、これらの応答のうちの1つまたは複数により、入れ子シェルの透過性の増加が生じる。他の態様では、これらの応答のうちの1つまたは複数により音響活性の増強が生じ、この音響活性の増加は、増強した散乱(入れ子構造全体、またはシェル内もしくはコア内もしくは両方の構造内実体に由来する;例えば液滴が合一可能であり、ドメインが合一可能であり、かつ/または入れ子が形状変化可能である)、またはマイクロバブルの振動(マイクロバブルは液滴または液滴内に溶解したガスの部分的または完全な蒸発から生じる)により生じ得る。
【
図11A】
図11A~11Bは、超音波または電場または両方が存在する状態でのライブ蛍光測定用のカスタム3Dプリント筐体を示している。
図11A:蛍光アッセイの実験装置の例。超音波トランスデューサーが、3Dプリントした槽の上部に配置され、トランスデューサーの焦点距離7.5cmに位置するキュベット内の高さで励起光ビームが試料を通過する。チタン電極を1cm離して配置し、ワニ口クリップを用いて、ファンクションジェネレーターを使用した可変正弦波電位を生成する。検出器への光が通過できるように、発光モノクロメーターに面する電極に穴を開ける。
図11B:A-710定常状態蛍光分光計(Photon Technology International Inc., Birmingham, NJ)内のカスタム3Dプリント筐体の写真。
【
図12】
図12A~12Bは組織模倣ファントムを示している。
図12A:PVAクリオゲル組織ファントムと接触しているGE Vivid iの超音波トランスデューサーを示す写真。2枚のアルミニウム板は6cm離してファントムに挿入され、直径3cmを有する試料領域をまたぐ。
図12B:GE Vivid iを使用して生成された画像のスクリーンショット。造影エコー対組織エコー比(CTR)の手法を示している。輝度解析用に選択した両領域は、トランスデューサーがファントムと連結される位置から約6cm離れている。試料の「造影」(CTRのC)区域は3cmの円形の試料腔内に表れるが、「組織」(CTRのT)区域は試料腔の外側である。
【
図13】超音波と電場によって引き起こされる相乗的なカルセイン放出を示す。0.25V/cmの電場のみ(白丸)、0.5MPa PNPの超音波のみ(黒丸)、および0.25V/cmの電場と0.5MPa PNPの超音波の両方(円内にx)を受けた試料の一時的なカルセイン漏出が示されている。無記号の細線は「算出した相加効果」を示しており、これは個々のモダリティの結果を加算することで得られる漏出プロファイルである。モダリティの組み合わせが「算出した相加効果」を超える漏出プロファイルを生じさせるという事実は、超音波と電場との相乗効果を示している。見やすさのためデータポイントを通る線を描画している。
【
図14】組織模倣ファントムにおける電位活性化された超音波輝度を示す。それぞれ約-60mV(上段)および約-70mV(下段)のゼータ電位を生じさせる入れ子シェル化学物質IおよびIIについて、超音波イメージング(GE Vivid i、0.28MI、2.0/4.0MHz)の輝度に対する電場の影響が示されている。パネルAおよびEは、試料が追加される前に撮影された画像である。この時点で、試料室にはDI水のみが入っており、電場は存在しない。パネルBおよびFは、2mLの試料をファントムに加えた直後で、電場をかける前に撮影された画像である。パネルCおよびGは、電場が1.0V/cmのときに撮影された画像である。画像Gは、画像Fと比較すると輝度の増強を示しているが、パネルBと比べたパネルCの輝度向上は識別が困難である。パネルDおよびHは、電場が3.0V/cmのときに撮影された画像である。画像Hは、画像Gと比べて輝度の増強を示しているが、パネルCと比べたパネルDの輝度向上は明白ではない。これらの定性的な輝度の結果をCTR手法によって定量化し、これを
図15に示す。
【
図15】CTRによって定量化した組織模倣ファントムにおける電位活性化された超音波輝度を示す。CTR手法を使用して
図14の結果を定量化し、CTR対時間として示した。挿入グラフは、組織模倣ファントムにおいて2枚の金属板間の電位差が実験全体でどのように変化したかを示す。
【
図16】ラットの心臓における電位活性化された超音波造影を示す。以下の条件での拡張期のラットの心臓(閉胸)のBモード画像が示されている:(A)任意の薬剤投与前のベースライン時;(B)シェル化学物質IIを用いた入れ子状製剤の投与後;(C)シェル化学物質Iを用いた入れ子状製剤の投与後;および(D)飽和リン脂質で被覆された六フッ化硫黄の非入れ子状マイクロバブルの投与後。LV=左心室およびMC=心筋。入れ子シェル化学物質IIは、ベースラインと比べて心筋の輝度向上を示し、左心室内での活性化のいくらかのエビデンスを示している(パネルBとAを比較)。しかしながら、非入れ子状マイクロバブルで得られるものよりも心室の輝度向上ははるかに少なく、心筋の輝度向上ははるかに大きい(パネルBとDを比較)。入れ子シェル化学物質Iでは、入れ子シェル化学物質IIのものと同様の結果を得たが、効果はあまり顕著ではなかった(パネルBとCを比較)。
【
図17】ブタの心筋における電位活性化された超音波造影を示す。入れ子化学物質IIの注入前(左の画像)および注入の30秒後(右の画像)を示すブタの心臓(閉胸)の長軸像。LVは左心室を示し、RVは右心室を示す。心筋と左心室との間の造影効果は、本発明の電位活性化型構築物の注入時に36.4dB±0.2増加する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
一局面では、本発明は、対象の対象組織および/もしくは臓器に特異的なペイロードを送達する、ならびに/または対象の対象組織および/もしくは臓器の特異的な画像化を可能にするために使用できる治療用構築物、診断用構築物、および/またはセラノスティック用構築物を提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、入れ子シェルを含むリポソームを含む構築物であって、該シェルが、内部コア液体および液滴を含む内部区画を画定し、該液滴が内部コア液体に不溶性である構築物を提供する。ある特定の非限定的な態様では、入れ子シェルは、電場(電位勾配)が存在しない状態で内部コア液体に対して不透過性であるか、または低透過性を有する。電場をかけると、電場(電位勾配)が存在しない状態よりも入れ子シェルは内部コア液体に対してより透過性になる。ある特定の態様では、内部区画に治療剤、診断剤、および/またはセラノスティック剤がさらに含まれ、それらの剤に対して入れ子シェルは、電場が存在しない状態よりも電場が存在する状態の方がより透過性である。他の態様では、電場が存在しない状態で構築物に超音波をかける場合は音響活性を欠くかまたは低音響活性をもつが、電場が存在する状態で構築物に超音波をかける場合は音響活性をもつかまたは電場が存在しない状態よりも高い音響活性をもつエコー源性物質が、液滴に含まれている。さらに別の態様では、構築物は、電場が存在しない状態で超音波をかける場合は音響活性を欠くかまたは低音響活性をもつが、電場が存在する状態で超音波をかける場合は音響活性をもつかまたは電場が存在しない状態よりも高い音響活性をもつ。
【0023】
本発明は、電場による構築物の活性化に限定されるものと解釈されるべきではない。実際、本発明は、入れ子シェルを、内部コア液体ならびに/または治療剤、診断剤、および/もしくはセラノスティック剤に対してより透過性にする何らかの刺激によって、そのような刺激がない状態と比較して構築物を活性化できるか、あるいは構築物をより音響的に活性にする何らかの刺激によって構築物を活性化できることを企図する。本発明の範囲内で企図される刺激の非限定的な例として、(例えば、身体区画内および/または血管内などの体内での)構築物に加えられる圧力の変動、および/または受容体、酵素、もしくはその他の任意の生体分子などの細胞標的への構築物の結合が挙げられる。
【0024】
ある特定の態様では、液滴はパーフルオロカーボンを含む。他の態様では、液滴はコーティングで被覆されている。さらに別の態様では、コーティングは、ポリソルベート、界面活性剤、タンパク質、および/またはポリマーを含む。さらに別の態様では、コーティングは、内部コア液体と液滴との接触を防止する。さらに別の態様では、コーティングは、内部コア液体内での液滴の溶解を防止する。さらに別の態様では、コーティングは、液滴の凝集、融合、および/または合一を防止するかまたは最小限にする。
【0025】
ある特定の態様では、入れ子シェルは、少なくとも1種のリン脂質および/またはポリマーを含む。ポリマーはポリマー性、例えば非限定的にPLAなどであるか、または自己組織化性、例えば非限定的にジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、および/または両親媒性コポリマーなどであり得る。
【0026】
ある特定の態様では、少なくとも1種のリン脂質は、飽和、不飽和、荷電、および/または非荷電もしくは双性イオン型のリン脂質を含む。他の態様では、入れ子シェルは、非荷電または双性イオン型のリン脂質および/またはポリマーのみを含む。
【0027】
ある特定の態様では、入れ子シェルはコレステロールをさらに含む。他の態様では、入れ子シェルはトリグリセリド、例えば非限定的にトリオレインなどをさらに含む。さらに別の態様では、入れ子シェル内の少なくとも1種の脂質はペグ化されている。さらに別の態様では、入れ子シェルはポリ(ビニルアルコール)を含む。
【0028】
ある特定の態様では、内部コア液体は水を含む。他の態様では、内部コア液体は塩を含む。他の態様では、内部コア液体は油を含む。
【0029】
理論に束縛されるものではないが、入れ子シェルの両側に電位勾配(電場)をかけると、入れ子シェル内の分子の少なくとも一部に摂動が起こり、それによりこれらの分子の再配向および/もしくは再配置、ならびに/または入れ子シェルの微細構造の付随的な変化が生じる。ある特定の非限定的な態様では、分子の少なくとも一部の摂動によって、入れ子構造全体、および/またはその中に入れ子になった任意の構造が、電位勾配が存在しない状態よりも音響的に活性になる。ある特定の非限定的な態様では、分子の少なくとも一部の摂動により、シェル形状の変化が起こり、それによって増強された音響散乱が発生する。他の非限定的な態様では、分子の少なくとも一部の摂動により、シェルの変形が起こり、入れ子になった液滴の少なくとも部分的な蒸発を可能にする。さらに別の非限定的な態様では、分子の少なくとも一部の摂動により、入れ子シェルが「漏出性」になる(すなわち、内部区画内の成分に対して少なくとも部分的に透過性になる)。入れ子シェルが「漏出性」になると、構築物が活性化され、任意の既存のペイロードを対象となる組織または臓器に送達することができる。ある特定の態様では、活性化された構築物を超音波と組み合わせて、心筋灌流イメージングを可能にする(
図6A~6Bおよび7A~7Bの非限定的な例を参照)。
【0030】
ある特定の態様では、本発明の構築物を使用して、対象の身体の一部を選択的に画像化することができる。他の態様では、本発明は、超音波照射(および/または体温)と電位勾配を同時に受けた場合にのみ超音波活性になる「二重活性化型」超音波構築物を提供する。ある特定の態様では、本発明の構築物は、血管と組織間のみならず、血管(動脈、細動脈、毛細血管、細静脈、および静脈を含む)の異なる領域間でも増強された超音波造影を提供することができる。このような機能は、心臓の灌流を検出するのに適しているため、対象が心臓発作を起こしているか、または起こしやすいかどうかを判定するための検査を提供することができる。理論に束縛されるものではないが、本発明の造影構築物は、リポソームの水性コアの内部に被覆された液滴のエマルジョンを含み、この液滴は、液滴の気泡への少なくとも部分的な相転移(および付随する膨張)をリポソームが可能にする場合にのみガス状のマイクロバブルに転移する可能性がある。体温および/または十分な大きさの超音波場が存在するが、電位勾配が存在しない場合、リポソームは液滴をマイクロバブルに転移させることができない。十分な大きさの超音波が加えられるか、または構築物が体温に曝されると同時に(およびその場合に)、リポソームに十分な大きさの電位勾配がかけられると、リポソームは液滴をマイクロバブルへ転移させることができ、薬剤は音響的に活性(すなわち超音波で検出可能)になる。ある特定の非限定的な態様では、電位勾配によってシェル形状の変化が起こった場合、および/またはシェルに変形が起こった場合、および/または入れ子シェルが「漏出性」になった場合に少なくとも部分的な蒸発が起こる。理論に束縛されるものではないが、電位勾配により、リポソームおよび/または内部の任意の構造に変化が起こり、その結果音響散乱が増強される。
【0031】
理論に束縛されるものではないが、本発明の構築物に電位勾配をかけると、入れ子シェルの性質および/または構造に変化が起こり、その結果音響活性が増強される。ある特定の態様では、電位勾配をかけると音響散乱が増強される。他の態様では、電位勾配をかけることは、液滴のマイクロバブルへの転移を可能にする。ある特定の態様では、本発明の構築物に電位勾配を加えると、水および/または塩などの化合物に対する入れ子シェルの透過性が変化する。他の態様では、電位勾配がない状態では入れ子シェル内にエントロピー的に分散している入れ子シェル内の脂質に、十分な大きさの電位勾配によって電荷が生じると、脂質がリポソーム二重層内で再配列される。これにより、水および/もしくは塩などの化合物ならびに/またはペイロード剤に対する入れ子シェルの透過性に変化が生じる。
【0032】
ある特定の態様では、本発明の方法は、構築物がある特定の電位勾配を受けると「活性化」される本発明の構築物を対象に投与する工程を含む。ある特定の態様では、本発明の構築物の活性化は、対象内の本発明の構築物からの少なくとも1種の活性作用物質の放出を含む。他の態様では、本発明の構築物の活性化は、非活性化構築物と比較して活性化された本発明の構築物を対象内で物理的および/または化学的に検出可能であることを含む。電位勾配は必要に応じて対象に加えられることもあれば、対象の代謝(画像化される対象の身体の一部によるものなど)の一環として対象内で発生することもある。
【0033】
ある特定の態様では、本発明の構築物を心臓組織の灌流イメージングに使用することができる。他の態様では、心筋の毛細血管内の電位勾配は、作用物質を活性化するのに十分な大きさであるが、心腔(心室、心房)内の電位勾配はそうではない。したがって、超音波をかけると、作用物質は毛細血管領域と血管系でのみ活性になるため、心筋に存在する脈管構造内の血流と心腔内の血流とを(超音波を使用して)区別することが可能である。ある特定の態様では、本発明の構築物は、超音波のみが存在する状態で、電気的に生存する生体脱分極組織内で活性化する。また本発明の構築物は、虚血性の心筋または瘢痕化した心筋におけるような、灌流可能であるが電気的には発生期であるかまたは死滅している心筋の領域を発光させない。そのような虚血領域または瘢痕領域の特定は、心筋灌流の評価にとって不可欠な要素である。ある特定の態様では、薬理学的負荷または運動負荷を含む血管拡張負荷プロトコルと本発明の構築物を組み合わせることで、生存組織が作用物質を活性化できるような動態変化を評価および視覚化することができる。
【0034】
ある特定の態様では、脱分極波が心筋を通って移動するときに局所組織の電位が変化するのにかかる時間に相当する反応時間および活性化時間を有する本発明の構築物は、組織を通る実際の脱分極波を超音波によりリアルタイムで視覚化することを可能にする。組織を通る実際の脱分極波の視覚化により、リエントリー回路、副伝導路、または局所性早期脱分極によって異常に早期脱分極している筋肉の領域が示され、アブレーションなどの治療で改善可能であり得るかまたはペースメーカー誘導型の再同期療法を含む特定のペーシング介入による利点が得られる可能性がある電気的異常領域の箇所を特定するための非侵襲的な電気生理学的試験が容易になる。
【0035】
ある特定の態様では、本発明の構築物は、血管を通る血流、組織灌流、および四肢および頭部におけるような末梢血管系での電気生理学的活性の評価において臨床的に有用である。この構築物は、肢または頸部に容易に取り付けられるバンド、カフ、パッド、電極、またはニードルチップ形態の「電気活性素子」を使用して活性化することができる。この活性素子により、作用物質の活性化に十分な電気勾配が発生する。
【0036】
したがって、本発明の構築物を使用して、胸痛患者を評価および治療すること、ならびに電気生理学的パターンおよび異常(不整脈および脱分極異常)の研究を補助することができる。本発明の構築物は、容易に入手可能な臨床超音波装置と組み合わせることで、患者が心臓発作(心臓の特定領域での血流の減少)を起こしているかどうかを迅速、正確、および比較的安価に判定するとともに、死滅または虚血の可能性のある心筋領域を明らかにすることができる。さらに、本発明の構築物は、実際の脱分極波が心筋を通過するときにそのリアルタイムな視覚化を提供し、異常な活性化領域または不整脈パターンを明らかにすることができる。本発明の構築物は、急性/緊急医療と外来診療のいずれにおいてもスクリーニングツールとして使用することができる。本発明の構築物はさらに、心臓研究室(カテーテル法、電気生理学など)において、直接的な心筋灌流の評価および/または周術期の電気生理学的マッピングに使用することができる。本発明の構築物はさらに、血管および神経外科手術においてスクリーニングツールとしておよび周術期に使用することができる。
【0037】
ある特定の態様では、本発明の構築物は、膜を有する少なくとも1種のリポソームを含み、リポソームは水性コアおよび少なくとも1種の液滴を封入し、液滴はある特定の態様ではパーフルオロカーボンなどの少なくとも1種の超音波活性化合物を含む。
【0038】
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語のそれぞれは、本項でのそれと関連する意味を有する。特に定義しない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に共通して理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様または同等であるいかなる方法および材料も本発明の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法および材料を記載する。
【0039】
概して、本明細書で使用される命名法、ならびに超音波イメージング、動物試験、および脂質化学における実験室手順は、当技術分野において周知であり一般的に使用されているものである。
【0040】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法上の目的語の1つまたは複数(すなわち少なくとも1つ)を指す。例として、「1つの要素(an element)」は1つの要素または複数の要素を意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「約」は当業者によって理解されており、それが使用される文脈に応じてある程度変動する。量、時間的継続期間などの測定可能な値を指して本明細書で使用される場合、用語「約」は、指定値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、なおもさらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味するが、これは開示される方法を実施する上でそのような変動が妥当なためである。
【0042】
本明細書で使用される場合、化合物、組成物、または構築物の「有効量」または「治療有効量」または「薬学的有効量」という用語は、化合物が投与される対象に有益な効果を与えるのに十分である化合物、組成物、または構築物の量を表す際に同義に使用される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「説明資料」には、本明細書に引用した方法を実施するためのキットにおける本発明の化合物および/または組成物の有用性を伝えるために使用することができる刊行物、記録、図、または任意の他の表現媒体が含まれる。本発明のキットの説明資料は、例えば本発明の化学的化合物および/または組成物を収容している容器に貼付されていてもよく、または化学的組成物および/または組成物を収容している容器と同梱されていてもよい。あるいは、レシピエントによって説明資料および化合物が協調的に使用されることを意図して、説明資料を容器と別に出荷してもよい。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「入れ子シェル」とは、ある特定の実験条件下では内部コアが入れ子シェルを通過できないか、または他の実験条件と比較して内部コアが入れ子シェルを通過する割合が低くなるように内部コアを封入することが可能なシェル(または膜)を指す。本発明の範囲内で企図される実験条件として、電場、超音波、圧力、温度、流動応力などが挙げられるがそれに限定されるわけではない。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的組成物」または「組成物」とは、本発明の範囲内で有用な少なくとも1種の化合物と薬学的に許容される担体との混合物を指す。薬学的組成物は対象への化合物の投与を容易にする。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」とは、担体または希釈剤などの材料が、本発明の範囲内で有用な化合物の生物学的活性または特性を無効にせず、かつ比較的非毒性であること、すなわち、生物学上望ましくない効果を引き起こしたり、材料が含有されている組成物のいずれの成分とも有害な方法で相互作用したりすることなく、材料を対象に投与できることを意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」とは、本発明の範囲内で有用な化合物の意図する機能の実行が可能であるような、対象内または対象への化合物の運搬または輸送に関与する、液体または固体の増量剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、または封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物、または担体を意味する。通常、そのような構築物は、ある臓器または身体の一部から、別の臓器または身体の一部へと運搬または輸送される。各担体は、本発明の範囲内で有用な化合物を含む製剤の他の成分と適合性があるという意味で「許容される」ものでなければならず、かつ対象にとって有害であってはならない。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例として、ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;コーンスターチおよびバレイショデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースならびにその誘導体;粉末トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;界面活性剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;ならびに薬学的製剤に使用される他の非毒性適合物質が挙げられる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」には、本発明の範囲内で有用な化合物の活性に適合し、かつ対象にとって生理学的に許容される、すべてのコーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤なども含まれる。補助的な活性化合物を組成物に組み込むこともできる。「薬学的に許容される担体」はさらに、本発明の範囲内で有用な化合物の薬学的に許容される塩を含み得る。本発明の実施に使用される薬学的組成物に含まれていてもよい他の追加成分は、当技術分野において公知であり、例えば、参照により本明細書に組み入れられるRemington’s Pharmaceutical Sciences(Genaro, Ed., Mack Publishing Co., 1985, Easton, PA)に記載されている。
【0048】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という語は、無機酸、無機塩基、有機酸、無機塩基、溶媒和物、水和物、およびそれらの包接化合物を含む薬学的に許容される非毒性の酸および塩基から調製される、投与化合物の塩を指す。好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。無機酸の例として、サルフェート、硫酸水素、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸(リン酸水素およびリン酸二水素を含む)が挙げられる。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環、カルボン酸、およびスルホン酸クラスの有機酸から選択することができ、その例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボニン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸が挙げられる。本発明の化合物の好適な薬学的に許容される塩基付加塩として、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属を含む金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および亜鉛塩などが挙げられる。薬学的に許容される塩基付加塩には、例えばN,N´-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(Nメチルグルカミン)、およびプロカインなどの塩基性アミンから作製された有機塩も含まれる。これらの塩はすべて、例えば適切な酸または塩基を化合物と反応させることにより、対応する化合物から調製することができる。
【0049】
本明細書で使用される場合、投与が企図される「対象」、「患者」、または「個体」という用語には、ヒト(すなわち、あらゆる年齢群の男性または女性、例えば小児対象(例えば乳児、子供、青年)または成人対象(例えば若年成人、中年成人、または高齢成人))および/もしくは他の霊長類(例えばカニクイザル、アカゲザル);ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および/もしくはイヌなどの商業に関連する哺乳動物を含む哺乳動物;ならびに/またはニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、および/もしくはシチメンチョウなどの商業に関連する鳥を含む鳥類が含まれるがそれに限定されるわけではない。
【0050】
「治療」処置とは、病状の徴候を示す対象に、それらの徴候を軽減または除去する目的で施される処置である。
【0051】
本明細書で使用される「治療する」とは、患者もしくは対象が症状を経験する頻度を低減すること、または薬剤もしくは化合物を投与して患者もしくは対象が症状を経験する重症度を低減することを意味する。任意の個々の症例における適切な治療量は、通常の実験を使用して当業者が決定することができる。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「トリオレイン」とは、2,3-ビス[[(Z)-オクタデカ-9-エノイル]オキシ]プロピル(Z)-オクタデカ-9-エノエート、またはその塩もしくは溶媒和物を指す。
【0053】
本開示を通じて、本発明の様々な局面が範囲形式で示される場合がある。範囲形式による記載は、単に便宜上かつ簡潔性のためであって、本発明の範囲に対する不変の限定と解釈されるべきではないものと理解されるべきである。したがって、ある範囲の記載は、すべての可能な部分範囲に加え、その範囲内の個々の数値、および該当する場合には範囲内の数値の一部の整数も明確に開示されているとみされるべきである。例えば、1~6のような範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲に加え、その範囲内の個々の数、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6も明確に開示されているとみされるべきである。このことは範囲の広さとは関係なく適用される。
【0054】
本明細書では以下の略語を使用する:ACS、急性冠症候群;AMI、急性心筋梗塞;DSPC、ジステアロイルホスファチジルコリン;DSPG、ジステアロイルホスファチジルグリセロール;PCA、相転移剤;PFC、パーフルオロカーボン;PFP、パーフルオロペンタン;PVA、ポリビニル酸;SOPC、ステアロイル,オレオイルホスファチジルコリン;SOPG、ステアロイル,オレオイルホスファチジルグリセロール。
【0055】
組成物
本発明は、本発明の薬物送達方法および/または画像化方法に使用できるリポソーム構築物を提供する。ある特定の態様では、本発明の構築物は、膜を有する少なくとも1種のリポソーム(入れ子シェル)を含み、入れ子シェルは水性のコア液体および少なくとも1種の液滴を封入し、液滴はある特定の態様ではパーフルオロカーボンなどの少なくとも1種の超音波活性化合物を含む。
【0056】
ある特定の態様では、入れ子シェルはコレステロールを含む。他の態様では、入れ子シェルはトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは少なくとも1種の飽和脂質と少なくとも1種の不飽和脂質をさらに含み、脂質のうち一方は荷電、他方の脂質は非荷電または双性イオン型である。
【0057】
ある特定の態様では、入れ子シェルは、SOPGおよびDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質を含む。他の態様では、入れ子シェルは、SOPCおよびDSPCからなる群より選択される少なくとも1種の脂質を含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、SOPGとSOPC;SOPGとDSPG;DSPCとSOPC;およびDSPCとDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質ペアを含む。
【0058】
ある特定の態様では、液滴は少なくとも1種の過フッ素化超音波活性化合物を含む。他の態様では、液滴はパーフルオロプロパン(C3)を含む。さらに別の態様では、液滴はパーフルオロブタン(C4)を含む。他の態様では、液滴はパーフルオロペンタン(C5)を含む。他の態様では、液滴はパーフルオロヘキサン(C6)を含む。他の態様では、液滴は六フッ化硫黄を含む。さらに別の態様では、液滴は、例えばC3、C4、C5、および/またはC6などの少なくとも1種の過フッ素化超音波活性化合物を約5%(体積)含む。
【0059】
ある特定の態様では、液滴に含まれる気体化合物は、室温および圧力下で気体であるが、液滴内に配合されているときは液体である(例えば、気体化合物に高圧をかけること、コーティング内への気体化合物の拘束、および/または別の液体化合物内での溶解によるものなど)。他の態様では、入れ子シェルが本明細書で企図される刺激によって活性化されると、液化気体化合物が少なくとも部分的に気体になる。
【0060】
ある特定の態様では、液滴は、非限定的にN2、O2、CO2、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの溶存ガスを含む。
【0061】
ある特定の態様では、液滴は、非限定的にシリカ粒子、金粒子、および/または磁鉄鉱粒子などの粒子状物質を含む。他の態様では、粒子状物質は、直径約1nm~直径約100nmの範囲である。
【0062】
ある特定の態様では、液滴は、ポリソルベート20、アルブミン、ガラクトース、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つを含むコーティングを含む。他の態様では、液滴のコーティングはポリソルベート20を含む。さらに別の態様では、液滴は約0.1%vol/volのポリソルベート20を含む。
【0063】
ある特定の態様では、入れ子シェルは、SOPG、DSPC、コレステロール、およびトリオレインを含む。他の態様では、入れ子シェルは、約22.5wt%のDSPC、約22.5wt%のSOPG、約25wt%のコレステロール、および約30wt%のトリオレインを含む。他の態様では、入れ子シェルは、約20wt%のDSPC、約20wt%のSOPG、約40wt%のコレステロール、および約20wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約20~22.5wt%のDSPC、約20~22.5wt%のSOPG、約25~40wt%のコレステロール、および約20~30wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約17.5~25wt%のDSPC、約17.5~25wt%のSOPG、約22.5~42.5wt%のコレステロール、および約17.5~32.5wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約15~27.5wt%のDSPC、約15~27.5wt%のSOPG、約20~45wt%のコレステロール、および約15~35wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約12.5~30wt%のDSPC、約12.5~30wt%のSOPG、約17.5~47.5wt%のコレステロール、および約12.5~37.5wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約10~32.5wt%のDSPC、約10~32.5wt%のSOPG、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む。
【0064】
ある特定の態様では、入れ子シェルは、DSPG、SOPC、コレステロール、およびトリオレインを含む。他の態様では、入れ子シェルは、約22.5wt%のDSPG、約22.5wt%のSOPC、約25wt%のコレステロール、および約30wt%のトリオレインを含む。他の態様では、入れ子シェルは、約20wt%のDSPG、約20wt%のSOPC、約40wt%のコレステロール、および約20wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約20~22.5wt%のDSPG、約20~22.5wt%のSOPC、約25~40wt%のコレステロール、および約20~30wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約17.5~25wt%のDSPG、約17.5~25wt%のSOPC、約22.5~42.5wt%のコレステロール、および約17.5~32.5wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約15~27.5wt%のDSPG、約15~27.5wt%のSOPC、約20~45wt%のコレステロール、および約15~35wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約12.5~30wt%のDSPG、約12.5~30wt%のSOPC、約17.5~47.5wt%のコレステロール、および約12.5~37.5wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、約10~32.5wt%のDSPG、約10~32.5wt%のSOPC、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む。
【0065】
ある特定の態様では、入れ子シェルは約22.5wt%のDSPCを含む。他の態様では、入れ子シェルは約22.5wt%のSOPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約25wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約30wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20wt%のDSPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20wt%のSOPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約40wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20~22.5wt%のDSPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20~22.5wt%のSOPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約25~40wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20~30wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約17.5~25wt%のDSPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約17.5~25wt%のSOPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約22.5~42.5wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約17.5~32.5wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約15~27.5wt%のDSPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約15~27.5wt%のSOPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20~45wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約15~35wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約12.5~30wt%のDSPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約12.5~30wt%のSOPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約17.5~47.5wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約12.5~37.5wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約10~32.5wt%のDSPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約10~32.5wt%のSOPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約15~50wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約10~40wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約22.5wt%のDSPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約22.5wt%のSOPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約25wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約30wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20wt%のDSPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20wt%のSOPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約40wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20~22.5wt%のDSPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20~22.5wt%のSOPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約25~40wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20~30wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約17.5~25wt%のDSPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約17.5~25wt%のSOPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約22.5~42.5wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約17.5~32.5wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約15~27.5wt%のDSPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約15~27.5wt%のSOPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約20~45wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約15~35wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約12.5~30wt%のDSPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約12.5~30wt%のSOPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約17.5~47.5wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約12.5~37.5wt%のトリオレインを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約10~32.5wt%のDSPGを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約10~32.5wt%のSOPCを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約15~50wt%のコレステロールを含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは約10~40wt%のトリオレインを含む。
【0066】
ある特定の態様では、構築物は、約5%vol/volのパーフルオロペンタンおよび約0.1%vol/volのポリソルベート20を含む液滴と;約22.5wt%のDSPC、約22.5wt%のSOPG、約25wt%のコレステロール、および約30wt%のトリオレインを含む入れ子シェルとを含む。
【0067】
他の態様では、構築物は、約5%vol/volのパーフルオロペンタンおよび約0.1%vol/volのポリソルベート20を含む液滴と;約22.5wt%のDSPG、約22.5wt%のSOPC、約25wt%のコレステロール、および約30wt%のトリオレインを含む入れ子シェルとを含む。
【0068】
ある特定の態様では、構築物は、低分子量ポリ(ビニルアルコール)を含む水溶液に懸濁されている。
【0069】
ある特定の態様では、本発明の構築物は、従来の賦形剤、すなわち非経口、静脈内、動脈内、皮下、経腸、または当技術分野において公知である他の好適な投与様式に適した薬学的に許容される有機または無機の担体物質と混合して製剤化される。薬学的調製物は滅菌されていてもよく、また望ましい場合には、補助剤、例えば滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝に影響を及ぼすための塩、および/または着色物質等と混合されていてもよい。また、望ましい場合に他の活性剤と組み合わせてもよい。
【0070】
ある特定の態様では、構築物は入れ子シェルを封入する追加の外膜をさらに含む。ある特定の態様では、外膜は脂質二重層を含む。他の態様では、外膜は、生物学的条件下での分解から入れ子シェルを保護する。
【0071】
キット
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の組成物または構築物と、本発明の少なくとも1種の組成物または構築物を使用して診断および/または治療する方法を列挙する取扱説明書とを含むキットを提供する。ある特定の態様では、キットは超音波イメージング装置および/またはペイロード剤をさらに含む。他の態様では、キットは電位勾配をかけるための装置をさらに含む。
【0072】
方法
本発明は、ペイロード剤(治療剤、造影剤、および/またはセラノスティック剤であり得る)を対象の身体の一部に送達する方法を提供する。ある特定の態様では、この方法は、本発明の構築物を対象に投与する工程を含み、その場合ペイロード剤は、電位勾配が存在しない状態よりも電位勾配が存在する状態の方がより高い割合で構築物から放出される。他の態様では、電位勾配が存在しない状態よりも電位勾配が存在する状態の方が、構築物はペイロード剤に対してより透過性である。構築物を活性化するのに十分な電位勾配が身体の一部に発生している場合、対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない。構築物を活性化するのに十分な電位勾配が身体の一部に発生していない場合、構築物が活性化するように対象の身体の一部にさらに電位勾配をかける。
【0073】
本発明はまた、本発明の「二重活性化型」構築物を使用して、対象の身体の一部を選択的に画像化する方法を提供する。ある特定の態様では、この方法は、電位勾配と超音波照射のいずれも存在しない状態では超音波不活性である本発明の構築物を対象に投与する工程を含む。他の態様では、この方法は、対象の身体の一部に超音波を照射する工程を含む。構築物を活性化するのに十分な電位勾配が身体の一部に発生している場合、対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない。構築物を活性化するのに十分な電位勾配が身体の一部に発生していない場合、構築物が活性化するように対象の身体の一部にさらに電位勾配をかける。さらに別の態様では、この方法は、対象の身体の一部を画像化する工程を含む。
【0074】
ある特定の態様では、対象の身体の一部は超音波イメージングを使用して画像化される。
【0075】
ある特定の態様では、超音波造影構築物は、入れ子シェルを有するリポソームを含み、入れ子シェルは水性のコア液体と、少なくとも1種の超音波活性化合物を封入する少なくとも1種の液体粒子とを封入する。他の態様では、リポソームの入れ子シェルは、電位勾配をかけると、水性のコア液体に対して少なくとも部分的に透過性になる。
【0076】
ある特定の態様では、少なくとも1種の超音波活性化合物は当技術分野において公知である任意の超音波活性化合物である。他の態様では、少なくとも1種の超音波活性化合物はパーフルオロプロパン(C3)を含む。さらに別の態様では、少なくとも1種の超音波活性化合物はパーフルオロブタン(C4)を含む。他の態様では、少なくとも1種の超音波活性化合物はパーフルオロペンタン(C5)を含む。他の態様では、少なくとも1種の超音波活性化合物はパーフルオロヘキサン(C6)を含む。他の態様では、少なくとも1種の超音波活性化合物は六フッ化硫黄を含む。さらに別の態様では、少なくとも1種の超音波活性化合物は、パーフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロペンタン、およびパーフルオロヘキサンからなる群より選択される。さらに別の態様では、超音波活性化合物はパーフルオロペンタンである。
【0077】
理論に束縛されるものではないが、本発明の構築物内の少なくとも1種の超音波活性化合物の活性は、化合物の沸点、化合物の液滴サイズ、内部コア液体中の溶存ガス(例えば非限定的にO2、N2、CO2など)の存在(または不在)、および/または内部コア液体中の粒子状物質の存在(または不在)によって影響される可能性がある。
【0078】
ある特定の態様では、液滴に含まれる気体化合物は、室温および圧力下で気体であるが、液滴内に配合されているときは液体である(例えば、気体化合物に高圧をかけること、コーティング内への気体化合物の拘束、および/または別の液体化合物内での溶解によるものなど)。他の態様では、入れ子シェルが本明細書で企図される刺激によって活性化されると、液化気体化合物が少なくとも部分的に気体になる。
【0079】
ある特定の態様では、少なくとも1種の液体粒子は、ポリソルベート20、アルブミン、ガラクトース、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1つを含むコーティングを含む。他の態様では、コーティングはポリソルベート20を含む。
【0080】
ある特定の態様では、少なくとも1種の液体粒子は、単層のポリソルベート20内に封入されたパーフルオロペンタンを含む。
【0081】
ある特定の態様では、入れ子シェルは、SOPGおよびDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質を含む。他の態様では、入れ子シェルは、SOPCおよびDSPCからなる群より選択される少なくとも1種の脂質を含む。さらに別の態様では、入れ子シェルは、SOPGとSOPC;SOPGとDSPG;DSPCとSOPC;およびDSPCとDSPGからなる群より選択される少なくとも1種の脂質ペアを含む。
【0082】
ある特定の態様では、入れ子シェルはコレステロールをさらに含む。他の態様では、入れ子シェルはトリオレインをさらに含む。
【0083】
ある特定の態様では、構築物が活性化するように対象の身体の一部に電位勾配をかける。他の態様では、加えられる電位勾配は、著しいエレクトロポレーションを引き起こさない。さらに別の態様では、電位勾配は約10V/cm以下である。さらに別の態様では、電位勾配は約0.01V/cm~約10V/cmの範囲である。さらに別の態様では、電位勾配は約0.05V/cm~約10V/cmの範囲である。さらに別の態様では、電位勾配は約0.1V/cm~約10V/cmの範囲である。さらに別の態様では、電位勾配は約0.5V/cm~約10V/cmの範囲である。
【0084】
ある特定の態様では、電位幅は約0.01V/cm以上である。他の態様では、電位幅は約0.02V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.03V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.04V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.05V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.06V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.07V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.08V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.09V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.1V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.3V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.5V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.7V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約0.9V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約1.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約1.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約1.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約1.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約1.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約2.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約2.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約2.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約2.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約2.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約3.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約3.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約3.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約3.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約3.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約4.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約4.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約4.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約4.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約4.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約5.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約5.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約5.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約5.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約5.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約6.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約6.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約6.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約6.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約6.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約6.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約7.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約7.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約7.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約7.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約7.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約8.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約8.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約8.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約8.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約8.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約9.0V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約9.2V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約9.4V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約9.6V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約9.8V/cm以上である。さらに別の態様では、電位幅は約10V/cmに等しい。
【0085】
ある特定の態様では、電位幅は約0.01V/cmに等しい。他の態様では、電位幅は約0.02V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.03V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.04V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.05V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.06V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.07V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.08V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.09V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.1V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.3V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.5V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.7V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約0.9V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約1.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約1.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約1.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約1.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約1.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約2.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約2.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約2.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約2.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約2.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約3.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約3.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約3.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約3.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約3.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約4.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約4.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約4.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約4.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約4.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約5.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約5.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約5.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約5.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約5.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約6.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約6.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約6.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約6.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約6.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約6.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約7.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約7.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約7.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約7.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約7.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約8.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約8.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約8.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約8.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約8.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約9.0V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約9.2V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約9.4V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約9.6V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約9.8V/cm以下である。さらに別の態様では、電位幅は約10V/cm以下である。
【0086】
ある特定の態様では、本発明の方法は、心臓、肺、肝臓、胆嚢、脾臓、膵臓、腎臓、膀胱、子宮、卵巣、目、甲状腺、副甲状腺、陰嚢、精巣、および腹腔からなる群より選択される対象の身体の一部の画像化に使用される。他の態様では、対象の身体の一部は心臓またはその一区域である。さらに別の態様では、対象の身体の一部は対象の心臓の心室である。さらに別の態様では、対象の身体の一部が本質的に電気的活性を発生しているかどうかを問わず、対象の身体の一部に外部電場をかける。
【0087】
ある特定の態様では、構築物を活性化するのに十分な電位勾配が身体の一部に発生しており、その場合対象の身体の一部にそれ以上の電位勾配をかけない。ある特定の態様では、構築物を活性化するのに十分な電位勾配が発生している身体の一部は心臓である。
【0088】
ある特定の態様では、対象の身体の一部に単一の周波数および/または強度の超音波を照射する。他の態様では、対象の身体の一部に2種類以上の周波数および/または強度の超音波を照射する。ある特定の態様では、対象の身体の一部に照射される超音波は、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、または1.0以下である。
【0089】
ある特定の態様では、「二重活性化型」構築物は、1つまたは複数の賦形剤をさらに含む薬学的組成物の一部として対象に投与される。
【0090】
ある特定の態様では、「二重活性化型」構築物は、例えば注射および/または注入を使用して、非経口、静脈内、動脈内などからなる群より選択される1つまたは複数の方法を通じて対象に投与される。
【0091】
ある特定の態様では、本発明の方法は非侵襲的である。他の態様では、本発明の方法は電離放射線の使用を含まない。さらに別の態様では、本発明の方法は、当技術分野において一般的な他の方法と比較した場合、超音波画像のコントラストが高くなる。さらに別の態様では、本発明の方法により、少ない投与量の「二重活性化型」構築物が、当技術分野において一般的な他の方法と比較した場合に同等の超音波画像のコントラストを達成することが可能になる。さらに別の態様では、本発明の方法は微小血管灌流の評価を可能にする。
【0092】
ある特定の態様では、対象は哺乳動物である。他の態様では、対象はヒトである。
【0093】
投与/投与量/製剤
何が有効量を構成するのかは、投与レジメンが左右する場合がある。治療用の製剤、組成物、および/または構築物は、本発明で企図される疾患または障害の発症前または発症後に対象に投与することができる。さらに、複数の分割投与量かつ時差投与量を毎日または逐次投与してもよく、その投与は連続注入であってもボーラス注射であってもよい。さらに、治療状況または予防状況の緊急性により必要とされるのに応じて、治療用製剤の投与量が比例的に増加または減少してもよい。
【0094】
患者、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトへの本発明の組成物の投与は、本発明で企図される疾患または障害を治療するのに有効な投与量および期間で、公知の手順を使用して実施することができる。治療効果を達成するために必要な治療用化合物の有効量は、患者の疾患または障害の状態;患者の年齢、性別、および体重;ならびに治療用化合物が本発明で企図される疾患または障害を治療する能力などの要因に応じて異なる場合がある。投与レジメンは、最適な治療反応をもたらすように調整することができる。例えば、複数の分割用量を毎日投与してもよいし、または治療状況の緊急性により必要とされるのに応じて比例的に用量を低減してもよい。本発明の治療用化合物の有効用量範囲の非限定的な例は、約1~5,000mg/kg体重/日である。1ng/kg/日~100mg/kg/日の用量を送達するように、本発明の実施に有用な薬学的組成物を投与することができる。当業者は関連要因について研究し、過度の実験をすることなく治療用化合物の有効量に関する決定を下すことができる。
【0095】
患者にとって毒性がなく、特定の患者、組成物、および投与様式に関して望ましい治療反応を達成するのに有効である活性成分量が得られるように、本発明の薬学的組成物中の活性成分の実際の投与量レベルを変更してもよい。
【0096】
特に、選択する投与量レベルは、用いられる特定の組成物の活性、投与時間、化合物の排出速度、治療の持続期間、化合物と併用される他の薬物、化合物または物質、治療対象の患者の年齢、性別、体重、病態、健康状態全般および以前の病歴、ならびに医学分野で周知の同様の要因を含めた、様々な要因に応じて異なる。
【0097】
当業者である診療医、例えば医師または獣医は、必要とされる薬学的組成物の有効量を容易に決定および処方することができる。例えば、医師または獣医は、薬学的組成物に用いられる本発明の化合物の投与を、望ましい治療効果の達成のために必要とされるよりも低いレベルで開始し、望ましい効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることができる。
【0098】
ある特定の態様では、投与の容易性および投与量の均一化のため、化合物を投与量単位形態で製剤化すると有利である。本明細書で使用される「投与量単位形態」とは、治療対象の患者に対する単位投与量として適した物理的な個別単位を指す。各単位には、必要とされる薬学的ビヒクルと混合したとき望ましい治療効果を生じさせるように計算された治療用化合物の所定量が含有されている。本発明の投与量単位形態は、治療用化合物固有の特徴および達成される特定の治療効果、ならびに本発明で企図される疾患または障害を治療するためのそのような化合物を調合/製剤化する当技術分野に固有の制限によって決定され、これらに直接左右される。
【0099】
ある特定の態様では、本発明の組成物または構築物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤または担体を使用して製剤化される。他の態様では、本発明の薬学的組成物または構築物は、本発明の1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を使用して製剤化されるか、または本発明の治療有効量の化合物と薬学的に許容される担体とを含む。さらに別の態様では、本発明の化合物は、組成物中の唯一の生物学的活性作用物質である。さらに別の態様では、本発明の化合物は、組成物の治療有効量において唯一の生物学的活性作用物質である。
【0100】
担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの、様々な抗細菌剤および抗真菌剤によって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールおよびソルビトールなどの多価アルコールを組成物中に含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンといった、吸収を遅延させる薬剤を組成物に含めることによりもたらすことができる。
【0101】
ある特定の態様では、本発明の組成物は、1日あたり1~5回またはそれ以上の範囲の投与で患者に投与される。他の態様では、本発明の組成物は、非限定的に、毎日1回、2日に1回、3日に1回から週に1回、および2週間に1回を含む投与範囲で患者に投与される。本発明の様々な組み合わせの組成物の投与頻度は、年齢、治療される疾患または障害、性別、総合的な健康、およびその他の要因を含むがそれに限定されるわけではない多くの要因に応じて個体ごとに異なることは当業者には容易に明らかである。したがって、本発明は任意の特定の投与レジメンに限定されると解釈されるべきではなく、任意の患者に投与される正確な投与量および組成物は、患者に関する他のすべての要因を考慮して主治医が決定する。
【0102】
投与される本発明の化合物は、約1μg~約10,000mg、約20μg~約9,500mg、約40μg~約9,000mg、約75μg~約8,500mg、約150μg~約7,500mg、約200μg~約7,000mg、約3050μg~約6,000mg、約500μg~約5,000mg、約750μg~約4,000mg、約1mg~約3,000mg、約10mg~約2,500mg、約20mg~約2,000mg、約25mg~約1,500mg、約30mg~約1,000mg、約40mg~約900mg、約50mg~約800mg、約60mg~約750mg、約70mg~約600mg、約80mg~約500mg、およびその間のあらゆる全体的または部分的な増分の範囲内であり得る。
【0103】
いくつかの態様では、本発明の化合物の用量は約1mg~約2,500mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の組成物に使用される本発明の化合物の用量は、約10,000mg未満、または約8,000mg未満、または約6,000mg未満、または約5,000mg未満、または約3,000mg未満、または約2,000mg未満、または約1,000mg未満、または約500mg未満、または約200mg未満、または約50mg未満である。同様に、いくつかの態様では、本明細書に記載の第2の化合物の用量は、約1,000mg未満、または約800mg未満、または約600mg未満、または約500mg未満、または約400mg未満、または約300mg未満、または約200mg未満、または約100mg未満、または約50mg未満、または約40mg未満、または約30mg未満、または約25mg未満、または約20mg未満、または約15mg未満、または約10mg未満、または約5mg未満、または約2mg未満、または約1mg未満、または約0.5mg未満、およびその間のあらゆる全体的または部分的な増分である。
【0104】
ある特定の態様では、本発明は、治療有効量の本発明の化合物を単独でまたは第2の医薬品と組み合わせて収容する容器と;本発明で企図される疾患または障害の1つまたは複数の症状を治療、予防、または軽減する化合物を使用するための指示書とを含む包装された薬学的組成物に関する。
【0105】
従来の賦形剤、すなわち経口、非経口、経鼻、静脈内、皮下、経腸、または当技術分野において公知である任意の他の好適な投与様式に適した薬学的に許容される有機または無機の担体物質と混合して製剤を使用してもよい。薬学的調製物は滅菌されていてもよく、また望ましい場合は、補助剤、例えば滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝に影響を及ぼすための塩、着色剤、着香剤、および/または芳香族物質等と混合されていてもよい。また、望ましい場合に他の活性剤と組み合わせてもよい。
【0106】
本発明のいずれかの組成物の投与経路として、例えば静脈内または動脈内注射および/または注入が挙げられる。
【0107】
好適な組成物および剤形として、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット、丸薬、ジェルカプセル、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液、シロップ、顆粒、ビーズ、経皮パッチ、ゲル、散剤、ペレット、泥膏、ロゼンジ、クリーム、ペースト、プラスター、ローション、ディスク、坐剤、経鼻または経口投与用の液体スプレー、吸入用の乾燥粉末またはエアロゾル製剤、膀胱内投与用の組成物および製剤などが挙げられる。本発明に有用な製剤および組成物は、本明細書に記載される特定の製剤および組成物に限定されないものと理解されるべきである。
【0108】
非経口投与
本明細書で使用される場合、薬学的組成物の「非経口投与」として、対象の組織の物理的突破を特徴とする投与、および組織における突破を通した薬学的組成物の投与の任意の経路が挙げられる。したがって、非経口投与には、組成物の注射による投与、外科切開を介した組成物の適用による投与、組織を貫通する非外科的創傷を介した組成物の適用による投与などの薬学的組成物の投与が含まれるがそれに限定されるわけではない。特に、非経口投与には、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、胸骨内注射、および腎臓透析注入技術が含まれるがそれに限定されるわけではないことが企図される。
【0109】
非経口投与に適した薬学的組成物の製剤は、滅菌水または滅菌等張生理食塩水などの薬学的に許容される担体と組み合わされた活性成分を含む。そのような製剤は、ボーラス投与または連続投与に適した形態で調製、包装、または販売することができる。注射用製剤は、アンプル形態または防腐剤を含有する多用量容器形態などの単位剤形で調製、包装、または販売することができる。非経口投与用の製剤として、懸濁液、溶液、油性ビヒクル型または水性ビヒクル型のエマルジョン、ペースト、および埋込型の持続放出性製剤または生分解性製剤が挙げられるがそれに限定されるわけではない。そのような製剤は、1つまたは複数の追加成分をさらに含んでもよく、追加成分には、懸濁剤、安定剤、または分散剤が含まれるがそれに限定されるわけではない。非経口投与用製剤の一態様では、活性成分を乾燥(すなわち散剤または顆粒)形態で提供し、これを好適なビヒクル(例えば滅菌パイロジェンフリー水)で再構成した後、再構成された組成物を非経口投与する。
【0110】
薬学的組成物は、滅菌した水性または油性の注射用懸濁液または溶液の形態で調製、包装、または販売することができる。この懸濁液または溶液は、公知の技術に従って製剤化することができ、活性成分に加えて、本明細書に記載の分散剤、湿潤剤、または懸濁剤などの追加成分を含み得る。そのような滅菌注射用製剤は、例えば水または1,3-ブタンジオールなどの非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒を使用して調製することができる。他の許容される希釈剤および溶媒として、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、および合成モノグリセリドまたはジグリセリドなどの不揮発性油が挙げられるがそれに限定されるわけではない。有用な他の非経口投与可能な製剤として、活性成分を微晶質形態で、リポソーム調製物の状態で、または生分解性ポリマー系の成分として含むものが挙げられる。持続放出用または埋込用の組成物は、エマルジョン、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、または難溶性塩などの薬学的に許容されるポリマー材料または疎水性材料を含み得る。
【0111】
放出制御製剤および薬物送達システム
ある特定の態様では、本発明の製剤は、短期型、急速消失型、ならびに制御型、例えば持続放出製剤、遅延放出製剤、およびパルス放出製剤であり得るがそれに限定されるわけではない。
【0112】
持続放出という用語は、長期間にわたり薬物を徐々に放出することを可能にする薬物製剤形態、および必ずしもそうではないが長期間にわたり薬物の血中濃度を実質的に一定にすることができる薬物製剤形態を指す際にその従来の意味で使用される。その期間は1か月以上の長さであってもよく、ボーラス形態で投与される同量の薬剤よりも放出が長期でなければならない。
【0113】
持続放出の場合、化合物に持続放出特性を与える適切なポリマー材料または疎水性材料とともに化合物が製剤化されていてもよい。したがって、本発明の方法の範囲内で有用な化合物は、微粒子の形態で例えば注射により、またはカシェ剤またはディスクの形態で埋込により投与されてもよい。
【0114】
本発明の一態様では、本発明の化合物は、持続放出製剤を使用して、単独でまたは別の薬学的作用物質と組み合わせて患者に投与される。
【0115】
遅延放出という用語は、薬物投与後に幾分遅れて薬物が初期放出される薬物製剤形態、および必ずしもそうではないが約10分~最大約12時間の遅延を含み得る薬物製剤形態を指す際に本明細書においてその従来の意味で使用される。
【0116】
パルス放出という用語は、薬物投与後に薬物がパルス状の血漿プロファイルを生成するような方法で薬物の放出をもたらす薬物製剤形態を指す際に本明細書においてその従来の意味で使用される。
【0117】
即時放出という用語は、薬物投与の直後に薬物の放出をもたらす薬物製剤形態を指す際にその従来の意味で使用される。
【0118】
本明細書で使用される場合、短期とは、薬物投与後約8時間まで、約7時間まで、約6時間まで、約5時間まで、約4時間まで、約3時間まで、約2時間まで、約1時間まで、約40分まで、約20分まで、約10分まで、または約1分まで、およびその任意または全ての全体的または部分的な増分までを含む任意の期間を指す。
【0119】
本明細書で使用される場合、急速消失とは、薬物投与後約8時間まで、約7時間まで、約6時間まで、約5時間まで、約4時間まで、約3時間まで、約2時間まで、約1時間まで、約40分まで、約20分まで、約10分まで、または約1分まで、およびその任意または全ての全体的または部分的な増分までを含む任意の期間を指す。
【0120】
用量
本発明の化合物の好適な用量は、1日あたり、約0.1mg~約1,000mgなど約0.01mg~約5,000mg、例えば、1日あたり、約5mg~約250mgなど約1mg~約500mgの範囲であり得る。この用量は、単回投与または複数回投与で、例えば1日あたり1~5回またはそれ以上投与されてもよい。複数回投与が使用される場合、各投与の量は同じであっても異なっていてもよい。例えば、1日あたり1mgの用量を約12時間の投与間隔を空けて、0.5mg用量2回として投与してもよい。
【0121】
投与される化合物の1日あたりの量は、非限定的な例で、毎日、隔日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、または5日ごとに投与され得るものと理解される。例えば、隔日で投与する場合、1日あたり5mgの投与を月曜日に開始し、続いて1回目の1日あたり5mgの用量を水曜日に投与し、続いて2回目の1日あたり5mgの用量を金曜日に投与するなどであり得る。
【0122】
患者の状態が改善した場合、医師の裁量により、任意で本発明の阻害薬の投与を継続しても、あるいは投与する薬物の用量を一定期間一時的に減らすかまたは一時的に中断してもよい(すなわち「休薬」)。休薬の長さは2日から1年の間で任意で変化し、単なる一例として2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、10日間、12日間、15日間、20日間、28日間、35日間、50日間、70日間、100日間、120日間、150日間、180日間、200日間、250日間、280日間、300日間、320日間、350日間、または365日間を含む。休薬期間の用量減少は10%~100%を含み、単なる一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。
【0123】
患者の病態に改善が生じたら、必要に応じて維持用量を投与する。その後、疾患または障害の作用に応じて、疾患の改善が保持されるレベルまで投与量もしくは投与頻度、またはその両方を低減する。ある特定の態様では、症状および/または感染の何らかの再発があった場合、患者は長期的に間欠治療を必要とする。
【0124】
本発明の方法に使用するための化合物は、単位剤形で製剤化することができる。用語「単位剤形」とは、治療を受ける患者に対する単位用量として適した物理的な個別単位を指し、各単位には、望ましい治療効果を得るように計算された所定量の活性物質が任意で好適な薬学的担体とともに含有されている。単位剤形は1日1回用量用であっても1日複数回用量(例えば、1日あたり約1~5回またはそれ以上)の1回分用であってもよい。1日複数回用量を使用する場合、単位剤形は各用量が同じであっても異なっていてもよい。
【0125】
そのような治療レジメンの毒性および治療効果は、細胞培養物または実験動物において任意で測定され、これはLD50(集団の50%に対する致死用量)およびED50(集団の50%における治療的有効用量)の決定を含むがそれに限定されるわけではない。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、LD50とED50の比で表される。ヒトでの使用に適した範囲の投与量を配合する際に、細胞培養アッセイおよび動物試験から得たデータが任意で使用される。そのような化合物の投与量は、最小限の毒性でED50を含む血中濃度の範囲内に収まることが好ましい。用いる剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で投与量を任意で変更することができる。
【0126】
当業者は、本明細書に記載の特定の手順、態様、請求項、および実施例に対する多数の等価物を認識しているか、または通常の実験のみを使用して確認することができる。そのような等価物は、本発明の範囲内であるとみなされ、本明細書に添付された特許請求の範囲の対象となる。例えば、反応時間、反応規模/容積、および溶媒などの実験試薬、触媒、圧力、窒素雰囲気などの大気条件、および還元/酸化剤を含むがそれに限定されるわけではない反応条件の変更、当技術分野で認められた代替物による変更、ならびに通常の実験のみを使用する変更は本出願の範囲内であると理解されるべきである。
【0127】
本明細書で値および範囲が示される場合は常に、範囲形式による記載は、単に便宜上かつ簡潔性のためであって、本発明の範囲に対する不変の限定と解釈されるべきではないと理解されるべきである。したがって、これらの値および範囲に包含される値および範囲はすべて、本発明の範囲内に包含されることが意図される。さらに、これらの範囲内にあるすべての値、および値の範囲の上限または下限も、本出願によって企図される。ある範囲の記載は、すべての可能な部分範囲に加え、その範囲内の個々の数値、および該当する場合には範囲内の数値の一部の整数も明確に開示されているとみされるべきである。例えば、1~6のような範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲に加え、その範囲内の個々の数、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6も明確に開示されているとみされるべきである。このことは範囲の広さとは関係なく適用される。
【0128】
以下の実施例は、本発明の局面をさらに例示するものである。ただし、いかなる場合も本明細書に記載される本発明の教示または開示の限定ではない。
【実施例0129】
ここから以下の実施例を参照して本発明を説明する。これらの実施例は、例示のみを目的として記載するものであり、本発明はこれらの実施例に限定されず、むしろ本明細書に示す教示の結果として明らかである変形例すべてを包含する。
【0130】
実施例1:「二重活性化型」造影剤を使用したインビトロ実験
図4A~4Dは、コレステロールおよびトリオレインを含有する構築物を用いたインビトロ概念実証実験を示している。最大の電位勾配(3.33V/cm、
図4D)では、実質的に低輝度である脱イオン水(
図4A)と比較して高輝度に見える。
【0131】
実施例2:「二重活性化型」造影剤を使用したインビボ実験
図6A~6Bは、ラットの心臓の左心室のインビボ画像である(長軸像)。
図6Aは注入前に取得した。
図6Bは電位活性化型構築物の注入後に取得した。具体的には、製剤には、ポリソルベート20(5vol%のPFP、0.1vol%のPS20、残部の水)の単層で被覆された50vol%のPFP液滴と50vol%のPBSとが含まれ、これらは、22.5wt%のDSPG、22.5wt%のSOPC、25%のコレステロール、30wt%のトリオレインを含む二重層で入れ子状にされ、低分子量PVA含有水に懸濁されていた。
図6Aと6Bを比較すると、
図6Bでは心筋のエコー源性の増強を示している。
【0132】
図7A~7Bは、ブタの心臓の左心室のインビボ画像である(短軸像)。
図7Aは注入前に取得した。
図7Bは電位活性化剤の注入後に取得した。製剤には、ポリソルベート20(5vol%のPFP、0.1vol%のPS20、残部の水)の単層で被覆された50vol%のPFP液滴と50vol%のPBSとが含まれ、これらは、22.5wt%のDSPG、22.5wt%のSOPC、25%のコレステロール、30wt%のトリオレインを含む二重層で入れ子状にされ、低分子量PVA含有水に懸濁されていた。
図7Aと7Bを比較すると、
図7Bでは心筋のエコー源性の増強を示している。
【0133】
実施例3:
3.1.材料
リン脂質、ステロール、およびトリグリセリドはAvanti Polar lipids(Alabaster, AL. USA)から購入した。パーフルオロカーボンはFluoroMed, L.P(Round Rock, TX, USA)から購入した。カルセイン、塩化コバルト(II)、ポリビニルアルコール(MW=27,000および85,000~124,000)、および界面活性剤(ポリソルベート20)はSigma Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。化学種はすべて、それ以上精製せずに使用した。
【0134】
3.2.方法
3.2.1.相転移剤(PCA)ナノエマルジョン:
パーフルオロペンタン、界面活性剤、および水を含むパーフルオロカーボンナノエマルジョンを、20kHzおよび50%振幅でプローブ超音波処理(モデルUP200S、Hielscher-Ultrasound Technology, Teltow, Germany)により調製した。典型的なバッチで、動的光散乱(NanoBrook Omni、Brookhaven Instruments Corp., Holtsville, NY)により測定した平均直径が約350nmであった。マイクロバブル凝縮によりパーフルオロブタンを用いてナノエマルジョンを作製したところ、約255nmの平均直径が得られた。ナノエマルジョンの調製に使用したパーフルオロカーボンと界面活性剤の量は、それぞれ5.00%v/vおよび0.08%v/vであった。
【0135】
3.2.2.PCAナノエマルジョンの入れ子化:
Wallace & Wrenn, 2015, Ultrasonics 63:31-38に記載のように、二重乳化により入れ子化を進行させる。本明細書では、異なる膜成分を使用して所望の入れ子シェル特性を得る。厳密に言えば、ある特定の非限定的な態様では、PCAの入れ子は三重エマルジョンを構成している(水中油中水中油型、すなわちO/W/O/W)。
【0136】
典型的なバッチは、500μLのPBS(または蛍光漏出実験の場合、1mMのカルセイン)で第1のエマルジョン(すなわちPCAナノエマルジョン、O/W)500μLを希釈し、この第1のエマルジョンをクロロホルムに溶かした脂質混合物1mLに添加し、Polytron PT3100(Kinematica Inc., Lucerne, Switzerland)を使用して12,000RPMで1分間ホモジナイズして、二重エマルジョン(O/W/O)を得ることを伴うものであった。さらに二重エマルジョンを2%PVA(27,000MW)水溶液8mLに添加して三重エマルジョン(O/W/O/W)を得た。これを(再びPolytron PT3100により12,000RPMで)2分間ホモジナイズした。次に、残存する三重エマルジョンを追加の2%PVA(27,000MW)水溶液8mLに添加してマグネチックスターラー上に24時間静置した。
【0137】
本明細書では、次の2つの入れ子シェル製剤を利用した:20mol%の1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、20mol%の1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-1´-rac-グリセロール(SOPG)、40mol%のコレステロール、および20mol%のトリオレインを含んだ製剤I;ならびに20mol%の1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-1´-rac-グリセロール(DSPG)、20mol%の1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SOPC)、40mol%のコレステロール、および20mol%のトリオレインを含んだ製剤II。
【0138】
2つの入れ子シェル化学物質の粒度分布をBeckman Coulterカウンター(Multisizer 4E)で測定した;製剤Iは、合計数3.00×109粒子/mL、平均粒径1.66μm、および中央粒径1.42μmであり、シェルIIは、合計数3.13×109粒子/mL、平均粒径1.67μm、および中央粒径1.44μmであった。
【0139】
3.2.3.蛍光漏出実験:
3.2.3.1.蛍光分光計用の自作(3Dプリント)筐体:
超音波誘導もしくは電場誘導、または両方の蛍光漏出をリアルタイムで測定するために、カスタム筐体を、CREO Panametrics 3.0ソフトウェア(PTC, Boston, MA)を使用して設計し、Dimension Elite 3D Printer(Stratasys, Eden Prairie, MN))で3Dプリントした。ドレクセル大学のマシンショップで1.78mm厚のABSフィラメント(ABS P430(商標)モデル(アイボリー))およびソリッド内部構造を用いた自作筐体をプリントし、続いてアセトン蒸気に1時間さらしてシステムを水密性にした。既存のキュベットホルダーを用いずに、定常状態蛍光計(A-710、Photon Technology International Inc., Birmingham, NJ)の基部にねじで取り付けた筐体を
図11に示す。ペグの頂点に位置する槽に脱イオン水を収容し、7.5cmの焦点距離をとる。槽の内側は3層のエポキシで被覆した(脱イオン水が槽から漏れないようにするため)。薄いポリ塩化ビニル(PVC)シートで脱イオン水を試料と隔てる。このシートは音響透過性であり、かつカルセインの蛍光強度に影響を与えない。
【0140】
3.2.3.2.高周波超音波:
+55dB ENI 3100LA電力増幅器(ENI, Rochester, NY)と直列に接続した8116Aファンクションジェネレーター(Hewlett-Packard, Palo Alto, CA)で励振する5MHz、7.5cm集束超音波トランスデューサー(Olympus NDT, Waltham, MA, USA)を使用して超音波を送信した。本研究では、トランスデューサーを使用して所望のピーク負圧(PNP)を供給し、これを校正済みHGL-0200ハイドロホン(ONDA Corp., Sunnyvale, CA)を使用して測定した。励起パルスは、40μsパルスの反復時間をもつ10個の正弦波を含み、これは5%のデューティサイクルに相当する。蛍光分光光度計によって追跡される光路内に焦点体積が収まるように、
図11に示す3Dプリントされた超音波筐体に超音波トランスデューサーを沈める。定在波を避けるために0.8cmのシリコーンゴムシートを石英キュベットの底に敷いた。
【0141】
3.2.3.3.電場のパラメーター:
交流1Hzで正弦波を発生するAgilent 33220Aファンクションジェネレーター(Agilent, Santa Clara, CA)を使用して所望の電位をかけ、
図11のキュベット(幅1cm)内の99.5%チタン電極(Alfa Aesar, Ward Hill, MA)の両端に所望の強度の電場を生成した。電気化学反応を最小限に抑えるように注意し、低電位での一般的な電気化学反応に対して不活性かつ高耐性であるチタンを電極材料として選択した。サイクリックボルタンメトリーは、対象となる電位域にわたって電気化学反応が最小であることを示し、吸収スペクトルにより電気化学反応が感知されないことが確認された。さらに、本発明の構築物および入れ子シェル材料を用いないカルセインおよび塩化コバルトによる対照試験により、蛍光強度に変化が観察される原因として電気化学反応を除外した。試料から検出器への光の透過を可能にするために、発光モノクロメーターに面する電極に穴を開けた。
【0142】
3.2.3.4.カルセインアッセイ:
カルセインの漏出は標準のプロトコル(Wallace & Wrenn, 2015, Ultrasonics 63:31-38)によって測定した。本発明の入れ子状構築物の懸濁液を塩化コバルト溶液で20倍に希釈した。蛍光強度の減衰を防止するため、光学密度の値を0.2未満に下げるための希釈が必要であった。蛍光強度の減衰は、希釈しない場合に周知の内部フィルター効果により光散乱から生じる。モル基準でカルセインとほぼ1:1に相当する濃度の塩化コバルトで希釈を実施した。これは、第1に、漏出を引き起こし分析を複雑化し得るリポソーム二重層全体のイオン強度の変動による浸透圧負荷を最小限にし、第2に、外因性のカルセインを抑制するという2つの非限定的な理由によるものであった。本明細書の他の箇所に記載する3Dプリント筐体に取り付けられた石英キュベットに試料をピペットで入れた。種々の(高周波超音波)超音波照射圧力、電位、および2つの組み合わせを試料に加え、音響および電場モダリティの変化を受けたときの蛍光強度を記録した。高周波超音波または電場を受けなかった試料は対照として機能した。
【0143】
スリット幅2nm、積分時間1.0秒、およびステップサイズ1nmで、A-710定常状態蛍光分光計(Photon Technology International Inc., Birmingham, NJ)を使用して、40分間隔でカルセインの漏出を測定した。475nmの励起波長を使用して、発光スペクトル(490~540nm)を得た。カルセイン漏出(最大値に対する%)を式(1)で算出した。ここで、Ftは時間tにおける試料の蛍光強度、F0は初期蛍光強度(0%放出を規定)、ならびにF100は高強度および低周波数(20kHz)でのプローブ超音波処理後の実験終了時の蛍光強度(100%放出を規定)である。
漏出(%)=(Ft-F0)×100/(F100-F0) (1)
【0144】
理論に束縛されるものではないが、本明細書で報告する漏出値は、F0の測定前に発生する可能性のある消極的(印加場がないことを意味する)漏出を取り込んでおらず、このアッセイは実際に発生した漏出量を場合によって過少に報告している可能性があることを意味する。しかしながら対照試料の観察に基づくと、消極的漏出は顕著ではないと思われる。具体的には、試料調製の直後(数十秒以内を意味する)に測定されたF0の値は、時間に影響されなかった。対照試料は実験期間中に蛍光強度がほとんど変化しないことがわかったが、これは消極的漏出が発生したとしてもF0の測定前に完了していることを示唆した。もしそうであった場合、高強度、低周波数(20kHz)の超音波処理を受けても追加の漏出はないと予想されるであろうが、実験期間中に蛍光強度の変化をほとんど示さなかった同じ対照試料は超音波処理すると約4倍の蛍光強度の変化を示した。総合すると、理論に束縛されるものではないが、これらの観察は、印加場がない場合には感知できる漏出がないことを示唆する。
【0145】
ラン(run)の平均と、標準偏差を示すエラーバーでデータを表す。電気化学反応が検出可能でないことを確認するために、Lambda 40 UV-VIS分光計(Perkin Elmer, Waltham, MA)で吸光度を測定した。
【0146】
3.2.4.電気泳動移動度:
位相解析光散乱法(PALS)を採用したBrookhaven NanoBrook Omni(Brookhaven Instruments Corp., Holtsville, NY)で電気泳動移動度を測定した。このシステムは、有効散乱角15°、公称波長640nmの35mW赤色ダイオードレーザーを使用している。試料をDI水で希釈し、電気泳動移動度を2Hzで4V交流の固定電位で測定した。スモルコフスキー限界内で式(2)によりゼータ電位を算出した。
U=[(εrε0)/η]ζf(κα) (2)
ここで、Uは電気泳動移動度であり、εrは媒体の比誘電率であり、ε0は真空の誘電率であり、κはデバイ長の逆数であり、ηは媒体の粘度であり、αは移動する要素の半径である。
【0147】
なお、Uは終端速度を電場で除算した値(U=v/E)であり、vは式(3)を使用して算出することができる:
v=QE/(6πηR) (3)
ここで、Qは要素の総電荷、Rは荷電要素の半径、ηは媒体の粘度である。
【0148】
3.2.5.組織ファントム実験:
組織ファントムの作製:
Surry, et al., 2004, Phys. Med. Biol. 49(24):5529-5546に記載のように、10wt%のPVA(85,000~124,000MW)で構成されるポリ(ビニルアルコール)(PVA)クリオゲルファントムを組織模倣ファントムとして使用する。
【0149】
簡潔には、10wt%のPVA溶液1.5Lを12時間かけて80℃に加熱し、ポリマーを溶解させる。蒸発による水分損失を最小限に抑えるため、加熱工程の間、ビーカーをアルミ箔で覆う。溶液が完全に溶解したら、
図12Aに示す円筒形の試料室を有するステンレス鋼ファントム型に流し入れ、室温で24時間放置して気泡を排出させる。その後、溶液に3回の凍結融解サイクルを施すことで、PVAを密な結晶構造に配向させる。凍結融解サイクルによって音速および組織密度が増加する。3サイクル後、音響特性はヒト組織にほぼ一致し、測定されたファントム中の音速は1535m/s、および減衰係数は0.075~0.28dB(cm MHz)
-1の範囲であった。ゲルの脱水を防止するため、PVAクリオゲルを脱イオン水中にて4℃に維持する。カミソリの刃を使用して、長さ5cm、深さ8cmの切れ目を入れ、
図12Aに示すアルミニウム電極を6cm離して配置した。この組織模倣ファントムは、超音波と電場パラメーターの様々な組み合わせについて、試料領域内の強度をPVA組織模倣領域内の強度と比較する輝度研究を可能にする。
【0150】
造影エコー対組織エコー比(CTR):
様々な電場での固定超音波強度に供した様々な製剤について、GE Vivid i(GE Medical Systems Information Technologies GmbH, Freiburg, Germany)ポータブル臨床超音波装置から輝度(B)モード画像を取得し造影エコー対組織エコー比(CTR)を評価した。GE Vivid iは、周波数2.0および4.0MHz(それぞれ送信および受信)のハーモニックイメージングモードで0.28MIに設定し、2MHz広帯域フェーズドアレイトランスデューサー(GE 3S-RS)を用いると共に電極間の電場を0V/cm~3V/cmまで変化させた。PVAクリオゲル内の試料室の容積は40mLであった。典型的な実験では、所与の製剤2mLを38mLのDI水に添加した。フェーズドアレイトランスデューサーを、カップリングゲルを含むPVAクリオゲルの前面に対して水平に配置し、実験中の試料内容物の混合を可能にする磁気撹拌プレートにファントムを配置した。
【0151】
図12Bは、研究中に得た画像のタイプを示し、試料造影領域および組織模倣領域という2つの領域を表す。これらの領域は、実験全体を通じて同じままである。MATLABプログラムを使用して、記録した画像をデジタル化し、0(黒)~255(白)の範囲のグレースケール強度に変換して、取得画像から造影エコー対組織エコー比を算出した。ピクセルの輝度を平均し、式(4)により個々の輝度値からCTR値を算出した。ここで、I
cおよびI
Tはそれぞれ、MATLABプログラム(Bartolomeo, et al., 2012, Bubble Sci. Eng. Technol. 4(2):78-84)によって算出された造影領域および組織領域のグレースケール強度である。
造影エコー対組織エコー比=20log
10(I
C/I
T) (4)
【0152】
3.2.6.動物試験:
小動物:
全身麻酔下のSprague-Dawleyラットで試験を実施した。インビボ高解像度マイクロイメージングに対応した、リニアアレイ技術およびカラードップラーモードを用いた高周波、高解像度デジタルイメージングプラットフォームを(閉胸)心エコー検査に使用した(VEVO(登録商標)2100 Imaging System、FUJIFILM VisualSonics Inc., Toronto, Canada)。適切な解像度と必要な浸透深さを得るために、高周波トランスデューサープローブ(周波数範囲18~38MHzのVisualSonics MS400;21MHzおよび出力5%で動作)を利用して、心血管機能および心筋の拡張を評価した。画像化に使用したVisualSonicsトランスデューサーに加えて、2MHz広帯域フェーズドアレイトランスデューサー(GE 3S-RS;すなわち組織模倣ファントム研究のGE Vivid iに使用したものと全く同じトランスデューサー)を励起に使用した(0.07~0.28MI)。
【0153】
大型動物:
全身麻酔下のブタで試験を実施した。組織模倣ファントム研究に使用したものと同じGE Vivid iおよびプローブで画像化(閉胸)および励起を実施した。
【0154】
選抜した実験結果について本明細書で考察する。
【0155】
インビトロ研究:
蛍光漏出研究:
図13は、次の3つの条件下での本発明の入れ子状構築物製剤からのカルセイン漏出を示す:0.25V/cmの電場のみをかける;0.5MPa PNPの超音波のみをかける;0.25V/cmの電場と0.5MPa PNPの超音波を同時にかける。各モダリティ単独で測定可能な漏出が発生し、2種のモダリティを組み合わせて使用すると相乗効果を示す。モダリティを組み合わせた場合の結果を、個々のモダリティの結果を単純に加算することにより予想されるものと比較した場合、これは明らかである。後者を無記号の灰色の細線として
図13に示す。
【0156】
組織模倣ファントムでのCTR(輝度)研究:
図14は、2種の入れ子シェル製剤の超音波イメージングの輝度がどのように電場に応答するかを示している。約-60mVのゼータ電位が生じた第1の入れ子シェルは、1.0V/cmの電場をかけると輝度向上の視覚的エビデンスをいくらか示したが、電場の強度を3.0V/cmに上げても明確に(目視で)識別可能なさらなる輝度向上は示さなかった。約-70mVのゼータ電位が生じた第2の入れ子シェルは、1.0V/cmの電場をかけた場合と電場の強度を3.0V/cmに上げた場合のいずれでも輝度向上の視覚的エビデンスを十分に示した。定性的な視覚的輝度の結果をCTRの手法を使用して定量化し、
図15に示している。これはまた、組織模倣ファントムにおいて2枚の金属板間の電位差が実験全体でどのように変化したかを示す。
【0157】
インビボ研究:
ラット試験:
図16は、拡張期のラット心臓(閉胸)のBモード画像を示す。パネルAは、任意の薬剤の投与前に取得したベースライン画像を示す。パネルBは、組織ファントム研究で優れた輝度を示した入れ子シェル化学物質IIを用いた入れ子状製剤を投与した後に取得した画像である。パネルCは、入れ子シェル化学物質Iを用いた入れ子状製剤を投与した後に取得した画像であり、パネルDは、飽和リン脂質で被覆された六フッ化硫黄の非入れ子状マイクロバブルを投与した後に取得した画像である。従来の非入れ子状マイクロバブルでは心室の輝度は向上したが、心筋の輝度は向上しなかった(パネルDとパネルAの比較)。それに対して本発明の入れ子状構築物では逆であり(例えばパネルBとパネルAの比較)、観察される造影効果のレベルが、使用される入れ子シェル製剤に応じて変化している(パネルCとパネルBの比較)。
【0158】
ブタ試験:
図17は、ベースライン時、および組織模倣ファントム研究とラット心臓イメージング研究の両方で優れた結果が得られた入れ子シェル化学物質IIを用いた入れ子状製剤の投与後に、GE Vivid i(組織模倣ファントム研究に使用したものと全く同じ装置)で取得したブタ心臓のBモード画像(閉胸、長軸像)を示している。インビトロ研究およびラット試験の場合と同様に、本発明の入れ子状構築物はブタ心筋内で選択的活性化を示した。
【0159】
本結果は、本発明の構築物を使用した用途、すなわち内因性電場を伴う心筋灌流イメージングを例示している。電場を制御する代わりに、本出願は、心臓で発生する電場が時間と空間によって変化することを利用している。ラット試験およびブタ試験の結果は、そのような手法の実現可能性と臨床的関連性を実証するものであり、心筋における超音波造影の選択的増強(あまり増強を示さない他の領域よりも心筋では電場が増強される)を示している。ラット試験は左心室内でいくらかの活性化を示したが、ブタ試験は最も顕著な選択的造影効果を得た。理論に束縛されるものではないが、この結果は、一部には動物間での浸透深さ(皮膚から臓器へ)の差と関連する減衰の差によって部分的に説明することができる。
【0160】
インビトロ研究は、動物試験の結果を立証し、かつ電位感度が化学物質によって調整可能であることを実証している。具体的には入れ子シェル製剤IIは、入れ子シェル製剤Iよりも高い活性化傾向と、電場強度の変化に対する高い感度を示した。2種の製剤のゼータ電位は異なっていたが、入れ子シェル化学物質の差は、荷電種の割合の差だけではない。したがって、荷電種の量に加えて、種類、大きさ、価数、および位置が、電場に対する応答に影響を与える可能性がある。理論に束縛されるものではないが、エコー源性に影響を与えることが知られている、液滴もしくは気泡の数または気体の体積の変動によって、各製剤による応答を操作することができる。
【0161】
インビボ研究から得たエビデンスは、固定MIでの電位感受性超音波造影剤の選択的活性化の実現可能性を示している。インビトロでの漏出研究および組織模倣ファントムでの輝度研究は、インビボの知見を裏付け、このシステムが調整可能であることを実証している。電場に対する入れ子状構築物構造の感度に影響を与えるパラメーターの例は、入れ子の曲率および電荷であり、これには電荷の種類、荷電要素の大きさ、電荷の量、および電荷の位置が含まれる。非荷電種の化学組成も関与している。入れ子状液体のサブセットであるパーフルオロカーボン液滴、すなわち電場が存在するものを、電位に対する感度によって一定の超音波強度で活性化することができる。入れ子シェルが電場に応答することで、本来は検出可能な音響活性を発生させるには不十分である一般的なMIでの活性化を促進する。ある特定の非限定的な態様では、電場の存在に起因して二重層の少なくとも部分的なリモデリングが起こる。電場を利用した選択的活性化は、メカニズムを問わず、この電位感受性相転移剤を心筋灌流イメージングに理想的なものにすることが可能である。
【0162】
本明細書で引用されたあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。具体的な態様を参照しながら本発明を開示してきたが、本発明の真の趣旨および範囲を逸脱することなく、本発明の他の態様および変形例が当業者によって考案され得ることは明らかである。添付された特許請求の範囲は、そのようなすべての態様および等価な変形例を含むものと解釈されることを意図する。
前記入れ子シェルが、約10~32.5wt%のDSPC、約10~32.5wt%のSOPG、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む、請求項1~5のいずれか一項記載のペイロード送達剤。
前記入れ子シェルが、約10~32.5wt%のDSPG、約10~32.5wt%のSOPC、約15~50wt%のコレステロール、および約10~40wt%のトリオレインを含む、請求項1~4および6のいずれか一項記載のペイロード送達剤。