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特開2023-153989フローセル及びそれを適用する生化学物質反応装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153989
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】フローセル及びそれを適用する生化学物質反応装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129349
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2022504730の分割
【原出願日】2019-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】516122667
【氏名又は名称】深▲セン▼華大智造科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MGI Tech Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】Main Building and Second Floor of No.11 Building,Beishan Industrial Zone,Yantian District,Shenzhen,Guangdong 518083,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 洪
(72)【発明者】
【氏名】梅 平
(72)【発明者】
【氏名】甘 勇
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ジョンモ
(72)【発明者】
【氏名】ジョディ・ビーチャー
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ウー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試薬の迅速、効率的な展開を実現し、シールリングがフローセルと一体に設けられることで、流体がベースを浸潤してフローセルの異なるステージでの真空吸着に影響することを効果的に回避することができるとともに、シールリングの長期使用による経年劣化によるシール性の低下を回避することができる、フローセル及び生化物質反応装置を提供する。
【解決手段】フローセル本体を備えるフローセルであって、前記フローセル本体は、フレームと、フレーム内に設けられた流動室とを備え、前記流動室内は、流体の通過を許容する反応領域を備え、前記フレームには、入液孔252と、出液孔と、排気孔とが前記流動室を連通するように開孔され、前記入液孔から入った流体は、前記フローセルの反応領域を通過して前記出液孔から送出させ、前記排気孔は、前記反応領域を流体が流れる過程で空気溜まりを排出する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシールリングを備えるフローセルであって、
前記複数のシールリングのうちの1つまたは複数は、前記フローセルが外界と連通する貫通孔に対応して設けられることを特徴とするフローセル。
【請求項2】
前記複数のシールリングのうちの1つ又は複数は、前記フローセルの入液孔、出液孔に対応して設けられることを特徴とする請求項に記載のフローセル。
【請求項3】
前記複数のシールリングのうちの1つ又は複数は、前記フローセルの排気孔に対応して設けられることを特徴とする請求項に記載のフローセル。
【請求項4】
前記各シールリングは、固定構造で前記フローセルに固定されるか、又は、固定孔により前記フローセルに固定されることを特徴とする請求項に記載のフローセル。
【請求項5】
前記固定構造または前記固定孔が、前記フローセルの背面側に固定または貼り付けられるシールリング固定手段に設置されることを特徴とする請求項に記載のフローセル。
【請求項6】
前記各シールリングの外側には、対応する前記固定構造または前記固定孔と係合する位置決めボスが設けられることを特徴とする請求項またはに記載のフローセル。
【請求項7】
前記フローセルは、正面側と、前記正面側と背向する背面側とを備え、
液孔、液孔、及び気孔は、前記背面側に設置され、
前記固定構造または前記固定孔が、前記背面側に固定または貼り付けられるシールリング固定手段に設置されることを特徴とする請求項に記載のフローセル。
【請求項8】
それぞれが対応するシールリングの外側に挿設され、対応する前記固定構造又は前記固定孔に固定して接続される複数の位置決めボスをさらに備える請求項に記載のフローセル。
【請求項9】
各前記シールリングは、リング体と、前記リング体に囲まれて形成される貫通孔とを備え、
前記固定構造は、前記固定孔であり、
前記リング体には係合構造が設けられ、前記固定孔には嵌合構造が設けられ、前記係合構造と嵌合構造との嵌合により、前記シールリングが前記固定孔に固定される、ことを特徴とする請求項4に記載のフローセル。
【請求項10】
前記係合構造は、前記リング体の外側に設けられたボスであり、前記嵌合構造は、前記固定孔に設けられた凹部であるか、あるいは、
前記係合構造は、前記リング体の外側に設けられた凹部であり、前記嵌合構造は、前記固定孔に設けられたボスであるか、あるいは、
前記係合構造は、前記リング体の外側面であり、前記嵌合構造は、前記固定孔の内面であることを特徴とする請求項9に記載のフローセル
【請求項11】
前記各シールリングには、前記フローセルが外部と連通する貫通孔を閉塞する一方向密閉装置、常閉膜又は弁膜装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフローセル。
【請求項12】
請求項1からのいずれか一項に記載のフローセルを搭載し、前記フローセルに反応物質を導入して、前記フローセル内の試料を反応させるか、又は、前記反応後の試料を検出して、前記試料の生物的特徴を反映する信号を得る生化物質反応装置。
【請求項13】
遺伝子シーケンサー、液体クロマトグラフ、生化学分析計または医療機器である請求項12に記載の生化物質反応装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学反応の分野に試料を搭載して反応させるフローセル及びそれを適用する生化学物質反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学反応の分野には、一般的に、サンプルを搭載するフローセルを配置しており、フローセルは、生化学物質の試料を担持して、検出分析の反応を起こすための試料担持体であり、通常、試料と流体を収容するチャンバーを備えている。シーケンシングの場合、フローセルは、シーケンシングチップであり、他の場合、フローセルは、他の試料担持体であってもよい。以下、シーケンシングチップを例としてフローセルを説明する。
【0003】
シーケンシングチップは、遺伝子シーケンシングの分野では、通常、計器セットの消耗品として単回使用される。シーケンシングの過程において、試料の担持と蛍光標識の生化学反応は共に遺伝子シーケンシングチップ内で完了する。現在の第二世代シーケンシング技術は、主に、光学的検出による蛍光標識法、及び水素イオンの濃度変化による塩基認識の化学シーケンシング方法がある。このうち、水素イオンの濃度変化に基づいて塩基を識別する化学シーケンシング法は、検出機器の体積や速度の優位性はあるが、ホモポリマーエラー(homopolymer errors)やスループットが低いという問題がある。光学的検出認識による第二世代シーケンシング技術は、最も高い塩基認識確度と現在最大のスループットがある。シーケンシングの分野では、フローセルは、一般にフローチャンネル、反応セル、チップ、シーケンシングチップ、遺伝子シーケンシングチップ、又はカセットなどとも呼ばれ、その一般的な英語名はFlow Cell、Flowcell、Chip、Chip Kit、Catridgeなどがある。
【0004】
第二世代シーケンシング技術はいずれも、まず一連の反応を経て、蛍光信号または電気信号の分析認識により間接的にDNAのシークエンスを得る。第二世代シーケンシングの高スループットの優位性により、遺伝子シーケンシングの試料担持フローセルは、シリコンウェハー、ガラスまたは高分子を基材とし、マイクロエレクトロニクス自動化、あるいはその他の精密加工技術に合わせて、作製されたハイテクエレメントは、研究者が大量の生体分析物をすばやく選別して疾患の診断からバイオテロの検出までの様々な目的に使用される。従来のシーケンシング試料担持フローセルは細く狭い流体通路であり、光学回折の限界の制約から超高のスループットで試料検出を1枚のフローセル内で実現することはできない。また、設計の原因により、従来のチップは、負圧吸引の方式で試薬展開や代替が行われており、試薬代替の比率が大きく、試薬代替の速度が遅いといった問題があり、超高のスループットのシーケンシングシステムの構築には不利であった。
【0005】
上記の問題に加えて、従来技術では、次のような問題もあった。
(1)一方向流の設計のチップでは円形ウエハが十分に利用できず、チップアスペクト比が大きすぎて、高精細イメージングスキャンステージのサイズへの要求が高く、負圧吸引の速度が遅い。
(2)従来のシーケンシング装置は、光機システムのスライドステージのサイズや重量負荷の制限から、1セットの光機システムが、最大で2枚のシーケンシング試料担持フローセルの流体ステージを同時に合わせて作業し、超高スループットのシーケンシングシステムの複数のフローセルによる同時のシーケンシングに不利であり、また、フローセルのキヤリアステージの熱的効果によって、複数のフローセル動作状態の完全なデカップリングを実現できない、すなわち、複数のフローセルのシーケンサアップまたはコンビネーションアップを実現することができない。
(3)RFIDモジュールと光学識別タグ(二次元コード)とが分離しており、高コストでありながらミスマッチのリスクがある。
(4)現在のシーケンシング試料担持フローセルの試薬の入・出は、キャリアステージとフローセルの入・出液孔の嵌合とシールを、キャリアステージに固定されたシールリングによって実現される。シールリングがフローセルに複数回対接する必要があるため、使用回数の増加につれてシール効果の信頼性が低下する場合があり、あるシステムにおけるフローセルの光学ステージと流体ステージが離れてしまい、フローセルを複数回転移させる必要があり、シールリングの密閉効果は使用中に大きく見積もられる。同時に、入・出液口の試薬溢れ出しもシステムの潜在リスクポイントである。シールリングは、入液モジュール端で位置ズレし易く入液に影響して、液漏れのリスクを招き、シールリングの劣化により定期的に取り替える必要があり、作業者の手間が増えるとともに作業に対する要求が高く、シールリングの隙間の配合は転移中に隙間で液漏れを避けることができず、接合部における試薬の結晶化によって密封効果に影響を与る。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の上記一部又は全部の問題、及びその他の潜在的な問題を解決するためには、フローセル及びそれを応用した生化物質反応装置を提出する必要がある。
【0007】
第1の態様によるフローセルは、フローセル本体を備え、
前記フローセル本体は、フレームと、フレーム内に設けられた流動室とを備え、
前記流動室内は、流体の通過を許容する反応領域を備え、
前記フレームには、入液孔と、出液孔と、排気孔とが前記流動室を連通するように開孔され、
前記入液孔から入った流体は、前記フローセルの反応領域を通過して前記出液孔から送出させ、
前記排気孔は、前記反応領域を流体が流れる過程で空気溜まりを排出する。
【0008】
第2の態様によるフローセルは、複数のシールリングを備え、前記複数のシールリングのうちの1つまたは複数は、前記フローセルが外界と連通する貫通孔に対応して設けられる。
【0009】
第3の態様による生成物質反応装置は、前記フローセルを搭載し、前記フローセルに反応物質を導入して、前記フローセル内の試料を反応させる。あるいは、生成物質反応装置は、前記反応後の試料を検出して、試料の生物的特徴を反映する信号を得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態において提供されるフローセル及び生化物質反応装置は、フローセルに排気孔を設けることにより、フローセルのアスペクト比率を小さくすることができ、円形のウェハを十分に利用して、試薬の迅速、効率的な展開を実現し、シールリングがフローセルと一体に設けられることで、流体がベースを浸潤してフローセルの異なるステージでの真空吸着に影響することを効果的に回避することができるとともに、シールリングの長期使用による経年劣化によるシール性の低下を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施例に係る発明をより明確に説明するために、以下に、本発明の実施例において必要な図面を簡単に紹介する。以下の説明における図面は、ある実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働を伴わずに、これらの図面からも他の図面が得られることは明らかである。
【0012】
図1】本発明の一実施形態におけるフローセルの概略斜視図である。
図2図1に示すフローセルの他の角度からの概略斜視図である。
図3図1に示すフローセルの分解図である。
図4図1に示すIV-IV線に沿う断面図である。
図5図4に示すV領域の拡大図である。
図6図4に示すVI領域の拡大図である。
図7図1に示すVII-VII線に沿う部分断面図である。
図8】本発明の他の実施形態におけるフローセルが、キャリアステージ上に取り付けられることを示す図である。
図9図8に示したフローセルとキャリアステージの分離の模式図である。
図10図8に示すX-X線に沿う部分断面図である。
図11図8に示すフローセルの出口に設けたシールリングの一部破断模式図である。
図12】他の実施形態におけるフローセルの入口に設けられるシールリングの一部破断模式図である。
図13】本発明の一実施形態による生化学物質反応装置の概略図である。 以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施例における技術的解決手段は、本発明の実施形態における図面を参照して以下に明確かつ完全に説明される。なお、記載された各実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、すべての実施形態ではないことは明らかである。創造的な努力なしに本発明の実施形態に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の範囲内である。
【0014】
なお、ある要素がもう1つの要素に「固定された」、「取り付された」と称される場合、それは直接に前記もう1つの要素に存在してもよいし、他の要素を介して前記もう1つの要素に固定されてもよい。ある要素がもう1つの要素に「設けられる」と考えられる場合、それは前記もう1つの要素に直接に設けられてもよいし、他の要素を介して前記もう1つの要素に設けられてもよい。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する項目すべての及び任意の組み合わせを含む。
【0015】
本発明の一実施形態におけるフローセルの2つの角度からの斜視模式図および分解図である図1図3を参照する。フローセル1は、フローセル本体2と、フローセルの外側に設けられた外枠3とを備える。フローセル1は、正面側11と、正面側11と背向する背面側13とを備える。フローセル1の背面側13には、複数のシールリング4が設けられており、シールリング4によって異なるキャリアステージとの嵌合とシールが図られる。ここで、前記嵌合は、フローセル1の液出し入れ時の嵌合を含む。
【0016】
図4及び図5を併せて参照しながら、フローセル本体2は、フレーム20と、フレーム20内に形成されるフローチャンバー25とを備える。フレーム20は、背面側13から正面側11に向かって順に、ベース21と、フローチャンバー25内の流体の動きをフローセル1の正面側11で観察できるように光を通すカバーシート23とを備える。本実施例において、カバーシート23は光学ガラスであり、ベース21は矩形カットのシリコンチップであり、さらに、ベース21は遺伝子patterned array技術による高密度ナノ格子の矩形カットのシリコンチップである。カバーシート23の周囲領域は、ゲル26を介してベース21の周囲領域と接続する。流動室25は、カバーシート23とベース21との中心領域に対応して設けられる。本実施形態において、ゲル26は、紫外線硬化性接着剤などの硬化性接着剤である。ゲル26は、カバーシート23と基材21との周囲領域に連続的に分布してシールフェンスを形成し、ゲル26には、特定のサイズの微球又はその他の形状の微球がカバーシート23と基板21との間を予め定められた距離から離間させることができる微粒子が混合され、カバーシート23と基材21との中央領域に対応して流動室25を形成する。流動室25の周囲は、流動室25を、流体と試料との反応を起こさせる密閉反応チャンバーとなるように、ゲル26に介して密封される。
【0017】
本実施形態において、フローセル1は矩形又は方形であり、フローセル本体2は矩形又は方形であり、フレーム20は矩形又は方形であり、流動室25も矩形又は方形である。他の実施形態では、フローセル1、フローセル本体2、フレーム20及び/又は流動室25は、他の多角形であってもよい。
【0018】
図1および図3を参照すると、流動室25内には支持点が設けられており、本実施形態では、前記支持点はゲル支持点251である。ゲル支持点251の両端は、それぞれカバーシート23とベース21とを連結して支持することにより、フローセル本体2のシート内構造の強度を補強する。本実施形態では、ゲル支持点251は同様に紫外線硬化接着剤を用いており、ゲル支持点251内には、同様に、特定サイズの微球や、カバーシート23とベース21との間を予め定められた距離隔てる他の形状の微粒子が混在している。本実施形態では、ゲル支持点251は複数であり、前記複数のゲル支持点251は間隔をおいて配列されている。
【0019】
本実施形態において、ベース21の材料は、光学ガラス、溶融石英、単結晶シリコンシート、多結晶シリコンシート、または、その他のセラミック材料であってもよい。微球径は30~80ミクロンのいずれかの数値である。
【0020】
フローセル1の背面側13には、ベース21に、流動室25の入液孔252、出液孔253、及び排気孔254a、254bが設けられている。本実施形態において、入液孔252と出液孔253とは、それぞれ流動室25の対角位置に設けられ、一方の排気孔254a(以下、「入口側排気孔254a」という)と入液孔252とが同側に設けられ、入液孔252と入口側排気孔254aとの間には導流溝255aが(以下、「入口導流溝255a」という)接続される。他方の排気孔254b(以下、「出口側排気孔254b」という)は、出液孔253と同じ側に設けられ、出液孔253と出口側排気孔254bとの間には導流溝255b(以下、「出口導流溝255b」という)が接続される。本実施形態において、入口導流溝255aと出口導流溝255bは、それぞれ略平行に流動室25の対向する両側辺部に設けられる。本実施形態において、入口側排気孔254aと出口側排気孔254bとは、さらに、それぞれ流動室25の他方の対角位置に設けられる。
【0021】
図4から図6を参照すると、入口導流溝255aは、底面2551aと、側壁2552aと、側壁2553aと、開口2554aとを含む。このうち、開口2554aは、底面2551aに対向しており、入口導流溝255aと流動室25とを連通している。側壁2552aと側壁2553aとは、開口2554aと底面2551aとの間に接続され、側壁2553aが、側壁2552aよりも流動室25の中央領域に近い。本実施形態では、側壁2552aは、底面2551aと開口2554aとを略垂直にしており、側壁2553aは、傾斜壁であり、底面2551aおよび開口2554aに対して傾斜状態となっている。側壁2553aは、底面2551aを連結する底部から、開口部2554aの頂部に接近するようにしながら流動室25の中央領域に向かって上に延びる。さらに、本実施形態では、側壁2553aの頂部がベース21の表面に接続する部位が丸角で設けられて、側壁2553aとベース21との間をなだらかかつ円滑に移行させる。入口導流溝255aの一方の側壁を傾斜させて設けることにより、入口導流溝255aの開口2554aを拡大すると共に、一方の側壁とベース21表面との間に滑らかな移行を設けることで、入液孔252近傍における流体の乱れを回避し、高速流動での渦流状態を弱め、入液孔252近傍における生化学反応の均一性を向上する。
【0022】
流体は、入液孔252から流動室25に入ると、まず入口導流溝255aを沿って入口側排気孔254aに向かって流れ、入る流体の増加につれて、流体全体は、入液孔252と入口導流溝255aとが位置する入口端25aから、出液孔253と出口導流溝255bとが位置する出口端25bへ流れ、最終的に出口導流溝255bに集められ、出口導流溝255bによって出液孔253までに導流され、出液孔253を通って流動室25に流出する。排気孔254a、254bと導流溝255a、255bとの設置により、流動室25に均一に流体を敷き詰め、流体が全ての流動領域(反応領域)を通過させ、流動室25内の各箇所における生化学反応の均一性が保証される。
【0023】
他の実施形態において、側壁2552aは斜面であってもよく、例えば、側壁2552aは、開口2554aに近接する頂部が、底面2551aに接続する底部よりも、流動室25の縁部領域に近接するように傾斜されていてもよい。
【0024】
出口導流溝255bは、出液孔253と出口側排気孔254bとの間に接続されており、出口2551bと、側壁2552bと、側壁2553bと、開口2554bとを備える。このうち、開口2554bは、底面2551bと対向しており、出口導流溝255bと流動室25とを連通する。側壁2552bと側壁2553bとは、開口2554bと底面2551bとの間に接続される。本実施形態では、側壁2552b、2553bは、いずれも、底面2551bと開口2554bとに対して略垂直である。他の実施形態では、側壁2552b、2553bの何れか又は全てが斜面となっていてもよい。例えば、出口導流溝255bは、入口導流溝255aと対称に設けられてもよい。
【0025】
図3及び図5、6を参照して、外枠3の全体は、フローセル本体2の周縁を取り囲んで半包囲するように設けられている。外枠3は、固定部31と位置決め部32とを備える。そのうち、固定部31は、位置決め部32の内側に設けられ、外枠3をカバーシート23に固定し、本実施形態では、カバーシート23の周囲領域にゲルで固着される。位置決め部32は、固定部31の外側に設けられており、位置決め部32よりも固定部31の厚みが薄く、超薄の固定部31は、光学走査システムとの干渉の問題を回避する。位置決め部32は、固定部31よりもフローセル1の背面側13に向けて突出する。固定部31がフローセル1の背面側13に向かう面は、カバーシート23の周囲領域に固着される。これにより、外枠3がカバーシート23に固定される。位置決め部32には、移動装置(図示せず)が掴んでフローセル1を異なる位置に移動させるための複数の掴み構造321が設けられる。例えば、フローセル1が遺伝子シーケンシングに用いられる場合、フローセル1は流体反応領域と光学撮影領域との間で繰り返し移動させる必要があり、この場合、移動装置は位置決め部32上の掴み構造321によってフローセル1を掴み、流体反応領域と光学撮影領域との間で繰り返しフローセル1を移動できる。本実施形態において、掴み構造321は、位置決め部32に設けられた孔部である。さらに、本実施形態において、掴み構造321は、位置決め部32の4つの角部領域322に設けられた矩形孔である。他の実施形態では、掴み構造321は、他の形状の孔部であってもよく、例えば、円形の孔部であってもよい。掴み構造321は、位置決め部32の他の位置に設けることができる。位置決め部32には、移動装置がフローセル1をキャリアステージ上に移動及び放置する際の位置決めのための位置決め構造323が設けられており、フローセルが異なる位置にあるキャリアステージ上に正確に位置決めされるようになっている。位置決め構造323は、本実施形態では、V形傾斜孔であり、さらに、位置決め構造323は、本実施形態では、2つであり、それぞれV形傾斜孔である。さらに、本実施形態では、V形傾斜孔のそれぞれは、掴み構造321となる孔部の側に設けられており、この孔部に連通する。他の実施形態では、位置決め構造323は、掴み構造321と一体に設けられてもよく、つまり、同じ構造でフローセル1を掴むために用いられてもよく、移動装置がフローセル1をキャリアステージ上に移動及び放置する際の位置決めのために用いられてもよく、例えば、三角形状のような方位指向特性を有する孔部は、位置決め構造323と掴み構造321との併用に用いられてもよい。本実施形態では、位置決め部32の全体は、フローセル1のカバーシート23とベース21の外側を取り囲んで、フローセル1に対する保護効果を果たしている。本実施形態では、外枠3は射出成型で作製され、該外枠の材料は、ガラス繊維、炭素繊維強化のポリマープラスチック又はその他の一般のプラスチックであってもよい。
【0026】
外枠3がフローセル1の正面側11に向く側には、電子タグ33が設けられており、本実施形態において、電子タグ33は、外枠3に貼り付けられており、電子タグの外面に設けられた機器非接触識別子331だけでなく、電子タグ33の内部に設けられた機器感応認識素子332も含み、さらに、本実施形態において、電子タグ33は、文字識別符号333を備える。なお、本実施形態において、機器非接触識別子331は、一次元コード、二次元コード等の光学的識別可能符号であってもよく、機器感応認識素子332は、RFID(Radio Frequency IDentification)モジュールであってもよい。
【0027】
外枠3が電子タグ33を設置する位置には、下方に凹ませて溝34を形成し、電子タグ33は、外枠33の表面に突出して他の部品を干渉することを避けるように、溝34に収容される。
【0028】
図2図3及び図7を参照すると、フローセル1の背面側13には、複数のシールリング4が設けられており、シールリング4は、入液孔252、出液孔253及び排気孔254a、254bにそれぞれ対応して設けられる。フローセル1は、シールリング4によって異なるキャリアステージとの嵌合及びシールが図られる。
【0029】
シールリング4はシールリング固定手段5によりフローセル1の背面側13に固定される。本実施形態において、シールリング固定手段5は、矩形枠であり、矩形枠には、入液孔252、出液孔253、排気孔254aおよび254bに対応する4箇所に固定構造51が設けられ、この固定構造51によりシールリング4が固定される。さらに、本実施形態では、固定構造51は、固定孔512であり、シールリング4は、固定孔512に装着される。シールリング4は、リング体41と、リング体41に囲まれて形成される貫通孔42とを備える。貫通孔42は、直筒状や円錐状とする。リング体41には、固定孔512内に嵌合する少なくとも一つの係合構造411が設けられている。固定孔512には、係合構造411によって嵌め込まれている。本実施形態において、シールリング4毎の係合構造411は、リング体41の外側に設けられたボス411aであり、シールリング4毎の固定孔512にも、シールリング4の係合構造411に係合して、シールリング4を固定孔512に固定する嵌合構造513が設けられる。本実施形態では、固定孔512毎の嵌合構造513は、固定孔512に設けられた凹部513aであり、凹部513aは、シールリング4におけるボス411aを収容することで、シールリング4を固定孔512に固定する。
【0030】
他の実施形態では、シールリング4の係合構造411がリング体41に設けられる凹部であってもよく、固定孔512における嵌合構造が固定孔512に設けられるボスであってもよい。他の実施形態においては、シールリング4の係合構造411がリング体41の外面であってもよく、固定孔512における嵌合構造が固定孔512の内面であってもよく、シールリング4は、シールリング4の外面と固定孔512の内面との締まり嵌めにより固定孔512に固定される。他の実施形態において、シールリング4は、接着等によって固定孔512に固定されてもよい。
【0031】
本実施形態では、固定孔512毎に位置決めボス514をさらに設けられており、固定孔512への固定後に、シールリング4の一端が、位置決めボス514をシールリング4の外側に嵌めるように、位置決めボス514から突出する。位置決めボス514は、キャリアステージにおける対応部位に嵌合(例えば、流体ステージ上の入、出液孔に嵌合)させて位置決めを補助するとともに、シールリング4の力変形による流体の流れに影響を与えないようにする。
【0032】
本実施形態では、シールリング固定手段5は、フローセル1の背面側13に固定される。具体的には、シールリング固定手段5は、フローセル1の背面側13に、例えば両面テープで貼り付けられる。本実施形態では、1つのシールリング固定手段5で複数のシールリング4を同時にフローセル1の背面側13に固定しているが、他の実施形態では、シールリング固定手段5が複数の独立したサブ固定手段に分割され、サブ固定手段ごとに1つのシールリング4を固定してもよい。
【0033】
図8図11を参照して、本発明の他の実施形態におけるフローセルとキャリアステージとの嵌合を示す図である。フローセル6は、上記実施形態におけるフローセル1とほぼ同様の構造であるが、その相違点は主に以下の点である。フローセル6において採用されるシールリング4の貫通孔42には、さらに、一方向密閉装置が設けられ、本実施形態では、その一方向密閉装置は弁膜装置であり、入液孔252に対応するシールリング4の貫通孔42内に入液弁膜装置が設けられ、出液孔253、及び排気孔254a、254bに対応する貫通孔42内に出液弁膜装置421が設けられる。図10は、出液弁膜装置421の1つを示しており、本実施形態において、出液弁膜装置421は、貫通孔42の孔壁を接続する根元部422aと、根元部422aから通孔42の中心及び外側に延びて形成される頂部422bと、を有する複数の弁膜422を備え、全体として貫通孔42の外側に先端を向けたテーパ状又は略テーパ状をなしている。なお、全ての弁膜422の根元部422aが順次一体につながっていてもよいし、あるいは、全ての弁膜422の根元部422aが互いに離間し、互いに離間した根元部422aがぴったりと囲んでいてもよい。全ての弁膜422の頂部422bは、互いに離間しており、互いに離間した頂部422bは、フローセル6内の液体の一方向の流れのみを許容する密閉装置を形成するように囲われている。図10には示されていないが、入液弁膜装置は、出液弁膜装置421と同じ原理でフローセル6内の液体の入液孔252から出液孔253への一方向の流れのみを許容するものであり、出液弁膜装置421と構造が似ており、その相違点は、入液弁膜装置の入液弁膜の頂部が根元部から貫通孔42の中心及び内側に延びるように形成されているだけで、入液弁膜装置の全体が貫通孔42の内側に先端を向けたテーパ状又は略テーパ状をなしている。
【0034】
図10に示すように、本実施形態において、キャリアステージは流体ステージ7であり、流体ステージ7には、フローセル6の入液孔252、出液孔253、及び排気孔254a、254bに対応して流路71がそれぞれ開口される。流体ステージ7は、流路71が入液孔252、出液孔253、又は排気孔254a、254bに当接する部分に収容溝72を設置しており、フローセル7が流体ステージ7に装着された後、位置決めボス514及びシールリング4が収容溝72に入り込み、シールリング4の端部が収容溝72の底部に当接し、シールリング4における貫通孔42が流路71に当接することにより、フローセル6と流体ステージ7との間に流路が構成される。
【0035】
図12を参照して、他の実施形態におけるシールリング4の一部破断模式図を表す。シールリング4は、リング体41と、リング体41に囲まれて形成される貫通孔42と、貫通孔42内に設けられるシール装置とを備える。本実施形態において、密閉装置は、常閉膜423であり、常閉膜423の根元は、貫通孔42の壁に接続されて貫通孔42を閉塞することで、シールリング4が適用されるフローセルは、流体ステージに装着されていないときの全閉塞を実現し、フローセルが流体ステージから離脱した後の流体の溢れを有効に回避する。そして、流体ステージに装着した後に、入/出液針が常閉膜423を穿刺することにより、フローセルと流体ステージ流路との連通が実現される。
【0036】
図13を参照して、フローセル1(6)を適用する生化物質反応装置8である。生成物質反応装置は、前記フローセルを搭載し、前記フローセルに反応物質を導入して、前記フローセル内の試料を反応させる。あるいは、生成物質反応装置は、前記反応後の試料を検出して、試料の生物的特徴を反映する信号を得る。生化物質反応装置8は、遺伝子シーケンサー、液体クロマトグラフ、生化学分析計および医療機器等であってもよい。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施形態によるフローセルは、枠と、枠によって区画される流動室と、を備え、前記流動室の全体は、1つの流路を構成し、流体の通過を許容する反応領域を含み、前記フレームには、入液孔と、出液孔とが前記流動室を連通するように開孔され、前記入液孔から入った流体は、前記フローセルの反応領域を通過して前記出液孔から送出させる。
【0038】
それぞれ本発明の第7実施形態におけるマイクロビーズ符号化前と符号化後の模式図である図9A及び図9Bを参照する。本実施形態におけるマイクロビーズ70は、第1実施形態のマイクロビーズ10とほぼ同じであるが、本実施形態におけるマイクロビーズ70は、マーク位Aが設けられた角部領域73aに加えて、角部領域73bにも符号位731が設けられることにより、符号の長さが増やされる点で相違する。図9Bは、マイクロビーズ70の1つの符号を示しており、異なる符号位731と741とに符号化パターンを刻印することで、マイクロビーズ70により多様な符号化を得ることができ、マイクロビーズ70の刻印可能な面積の使用を向上させることが分かる。
【0039】
以上説明したように、本発明の実施形態によるフローセルにおいて、前記フレームには、入液孔と、出液孔と、排気孔とが前記流動室を連通するように開孔され、前記入液孔から入った流体は、前記フローセルの反応領域を通過して前記出液孔から送出させ、前記排気孔は、前記反応領域を流体が流れる過程で空気溜まりを排出する。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施形態によるフローセルにおいて、前記排気孔は入口側排気孔を備え、前記入口側排気孔と入液孔との間に入口導流溝が接続される。前記排気孔は出口側排気孔を備え、前記出口側排気孔と出液孔との間には出口導流溝が接続される。入口導流溝及び出口導流溝は、それぞれ流動室を連通する開口を有する。排気孔と導流槽の設置により、流動室に均一に流体を敷き詰め、流体が全ての流動領域(反応領域)を通過させ、流動室内の各箇所における生化学反応の均一性が保証される。
【0041】
さらに、入口導流溝と出口導流溝は、共にフレームに設置されており、入口導流溝が入液孔と入口側排気孔とを接続する2つの側壁において、流動室の中央領域に近い側壁が中央領域に傾斜しており、前記傾斜した側壁が前記入口導流溝の開口に丸角で設けられる。傾斜側壁及び/又は側壁が開口に丸角で設けられることにより、入液孔の近傍での流体の乱れを回避し、高速流れでの渦流状態を弱め、入液孔近傍での生化学反応の均一性を向上する。
【0042】
本発明の実施形態によるフローセルにおいて、流動室内に支持点が設けられており、さらに、前記支持点を複数とし、複数の支持点を離間して配列することで、フローセルのシート内の構造強度を補強する。さらに、前記支持点は、ゲル内に所定サイズの微粒子又は微球が混合されて前記流動室を支持するゲル支持点であってもよい。
【0043】
本発明の実施形態によるフローセルにおいて、フローセルの枠は、ベースと、カバーシートと、ベースとカバーシートとを接続および封止するシールフェンスとを含み、前記流動室は、前記ベースと、カバーシートと、シールフェンスとの間に形成される。前記シールフェンスは、特定サイズの微粒子又は微球を混ぜ合わせたゲルを用い、ベースとカバーシートとを所定距離で離間してフローセルを形成する。特定の直径の微粒子または微球が混合された接着剤を用いて支持点とシールフェンスを形成し、ディスペンサーと工場化後に高精度なフローセル構造のパッケージを完成させ、微粒子の高さまたは微球の直径によりフローセルのミクロンレベルの高さ制御を実現することができる。
【0044】
本発明の実施形態によるフローセルにおいて、フローセル本体を矩形または四角形に設け、入液孔と出液孔をフローセル本体の一方の対角位置に設置し、二つの排気孔をフローセルの他方の対角線位置に設置する。フローセル本体を矩形、さらには四角形に切断して、ナノパターン付けのウェハの面積を最大限に利用でき、2つの排気孔を増やすことにより、試薬を正圧で汲み上げることができ、均一的に試薬をベースの表面に展開して生化学反応を進行させながら、負圧により汲み上げに比べて、試薬の流速が速く、試薬の交換時間が短く、試薬の交換率が低い。
【0045】
本発明の実施形態によるフローセルにおいて、フローセル本体の外側に固定される外枠をさらに備え、前記外枠は、移動装置が前記フローセルを移動させるためのものであり、さらに、前記外枠は、前記外枠に開孔された孔部である掴み構造を備える。前記外枠は、前記移動装置による前記フローセルの移動及び前記フローセルの載置台への載置の位置決めに用いられ、更に、前記外枠は、前記外枠に開孔された方位指向特性の孔部である位置決め構造を有し、更に、前記掴み構造は、前記位置決め構造と同一構造である。さらに、前記外フレームは、固定部と、該固定部の外側に設けられた位置決め部とを備え、前記固定部は、前記カバーシートに貼り付けられ、位置決め部より固定部の厚さが薄く、超薄の固定部は、光学走査システムとの干渉の問題を回避でき、位置決め部は、固定部よりもフローセルの背面側に突出して、フローセルの移動.位置決めが容易になるとともに、フローセルの保護にも寄与する。外枠を高精度の射出成形で形成することにより、低コストを維持しながら、フローセル本体を効果的に固定して保護し、移動装置がフローセルを移動するための掴みポイントを提供して、光学走査システムとの干渉を避けつつ、超薄の固定部を提供する。
【0046】
本発明の実施形態によるフローセルは、前記外枠に設けられた電子タグをさらに備える。電子タグは、肉眼で読み取り可能なフローセルの仕様情報とともに、フローセルの電子読み取り可能な情報を提供し、人為的な入力ミスを避けつつ、人為的な操作を低減する。
【0047】
本発明の実施形態によるフローセルは、フローセルの背面側に設けられ、フローセルと1つまたは複数のキャリアステージとの嵌合およびシールを実現するシールリングをさらに備える。シールリングがフローセルと一体に設けられ、流体がベースを浸潤してフローセルの異なるステージでの真空吸着に影響することを効果的に回避することができるとともに、シールリングの長期使用による経年劣化によるシール性の低下を回避することができる。シールリングは、複数であり、前記入液孔と出液孔にそれぞれ対応して設けられる。シールリングは、前記排気孔に対応しても設けられる。さらに、前記シールリングはシールリング固定手段によって前記フローセル背面側に固定される。さらに、前記シールリング固定手段は、前記フローセルの裏面側に貼付されており、両面テープ等のゲルの貼り付けにより、精度範囲の要求の中で信頼性が高く、効果的にシールリングと入・出液孔のシールを実現することができる。さらに、前記シールリング固定手段は、前記シールリングを固定する固定構造を備える。さらに、前記固定構造は、固定孔であり、前記シールリングは、前記固定孔に装着される。さらに、各前記シールリングは、リング体と、前記リング体に囲まれて形成される貫通孔とを備え、前記貫通孔は、入液孔、出液孔又は排気孔に対応して設けられ、前記リング体には係合構造が設けられ、前記固定孔には嵌合構造が設けられ、前記係合構造と嵌合構造との嵌合により、前記シールリングが前記固定孔に固定される。さらに、前記係合構造は、前記リング体の外側に設けられたボスであり、前記嵌合構造は、前記固定孔に設けられた凹部であるか、あるいは、前記係合構造は、前記リング体の外側に設けられた凹部であり、前記嵌合構造は、前記固定孔に設けられたボスであるか、あるいは、前記係合構造は、前記リング体の外側面であり、前記嵌合構造は、前記固定孔の内面である。さらに、前記シールリング固定手段は、前記固定構造に設けられ、前記シールリングの外側に挿設される位置決めボスを備え、位置決めボスは、フローセルとキャリアステージとの装着、位置決めを補助するとともに、シールリングに固定、補強の作用を発揮し、シールリングの力変形による流体の流れに影響を与えないようにする。さらに、前記シールリングの貫通孔内には、一方向密閉装置、常閉膜及び/又は弁膜装置が設けられており、フローセルの移行過程での試薬の溢れ及び蒸発結晶を効果的に回避できる。
【0048】
以上説明したように、本発明の実施例によるフローセルは、以下の効果を実現する。
(1)円形のウェハを十分に利用して、縦横サイズが近い場合に、試薬の迅速、効率的な展開を実現する。
(2)ステージ間の転送構造を提供して、異なるステージの高精度の反復自動的な位置決めを保証し、光機ステージと生化学反応ステージとをデカップリングして、マルチシーケンシャルフローセルのシーケンサアップまたはコンビネーションアップを実現する。
(3)フローセルRFIDモジュールと光学識別タグとを統一する。
(4)シールリングとフローセルとを隙間なく一体化して装着する。
【0049】
上記の各実施形態は、ただ本発明の技術的解決策を説明するためのものであり、限定することを意図するものではなく、好ましい実施形態を参照して、本発明について詳細に説明しているが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の技術的解決策を修正または同等に置換できることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0050】
1、6 フローセル
2 フローセル本体
3 外枠
11 正面側
13 背面側
4 シールリング
20 枠
21 ベース
23 カバーシート
25 流動室
26 ゲル
251 ゲル支持点
252 入液孔
253 出液孔
254a 入口側排気孔
254b 出口側排気孔
255a 入口導流溝
255b 出口導流溝
2551a、2551b 底面
2552a、2553a、2552b、2553b 側壁
2554a、2554b 開口
31 固定部
32 位置決め部
321 掴み構造
322 角部領域
323 位置決め構造
33 電子タグ
331 機器非接触識別子
332 機械感応認識素子
333 文字識別符号
34 溝
5 シールリング固定手段
51 固定構造
512 固定孔
41 リング体
42 貫通孔
411 係合構造
411a ボス
513 嵌合構造
513a 凹部
514 位置決めボス
421 出液弁膜装置
422 弁膜
422a 根元部
422b 頂部
7 流体ステージ
71 流路
72 収容溝
423 常閉膜
25a 入口端
25b 出口端
8 生化物質反応装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13