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特開2023-154026抗CD30抗体薬物複合体療法の副作用を軽減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154026
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】抗CD30抗体薬物複合体療法の副作用を軽減する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20231011BHJP
   A61K 31/664 20060101ALI20231011BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20231011BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20231011BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20231011BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231011BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20231011BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231011BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20231011BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231011BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231011BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20231011BHJP
   C07K 14/535 20060101ALN20231011BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20231011BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231011BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K31/664
A61K31/704
A61K31/573
A61P25/02
A61P43/00 121
A61K38/19
A61P35/00
A61P35/04
A61P35/02
A61P21/00
C07K16/28
C07K14/535
C07K16/46
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023130793
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2020543732の分割
【原出願日】2018-11-01
(31)【優先権主張番号】62/580,261
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/739,635
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514076560
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】マンレイ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフソン,ニール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ付随的な化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体による治療を受ける対象における、有害事象を改善するための方法を提供する。有害事象には、末梢神経障害および好中球減少症が含まれる。
【解決手段】本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、グレード2以上の末梢神経障害を示している、成熟T細胞リンパ腫を有する対象を治療するための方法であって、0.9mg/kg~1.2mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を投与することを含む、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、グレード2以上の末梢神経障害を示している、成熟T細胞リンパ腫を有する対象を治療するための方法であって、0.9mg/kg~1.2mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記対象がグレード3の神経障害を示す場合、末梢神経障害がグレード2以下に減少するまで、抗CD30抗体薬物複合体の前記投与が保留され、その後0.9~1.2mg/kgの抗CD30抗体薬物複合体療法が投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グレード2またはグレード3の末梢神経障害がグレード1以下に改善した後、抗CD30抗体薬物複合体の前記用量が、1.8mg/kgに増加される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記併用療法が、3週間ごとに投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記併用療法が、21日サイクルの1日目に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記併用療法が、6~8サイクル以下にわたって投与される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記併用療法が、8サイクルにわたって投与される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、単剤抗CD30抗体薬物複合体を、追加で8~10サイクル、合計で16サイクルにわたって受ける、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
PETスキャンにより腫瘍または腫瘍の進行が存在しないと決定されるまで、前記併用療法が投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記併用療法が、知覚異常、知覚鈍麻、多発神経障害、筋力低下、および脱髄性多発神経障害を軽減する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記神経障害が、末梢運動神経障害または末梢感覚神経障害である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
末梢神経障害が現れた場合、抗CD30抗体薬物複合体の前記用量が、1週間または2週間だけ遅延され、前記神経障害が解消されるか、またはグレード1以下であると決定された場合、前記併用療法が継続される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
対象における成熟T細胞リンパ腫を治療するための方法であって、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を投与することと、顆粒球形成刺激因子を予防的に投与することと、を含み、前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始と共に投与される、方法。
【請求項15】
前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始後、1日目~7日目または2日目~5日目に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の第2または後続の投与後、1日目~7日目に投与される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の第2または後続の投与後、2日目~5日目に投与される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
前記顆粒球形成刺激因子が、以前に抗CD30抗体薬物複合体療法を受けていない対象に投与される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、前記併用療法の投与後、治療下で発現したグレード3~4の好中球減少症を経験していない、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンである、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を受ける対象における、好中球減少症の発生率を軽減するための方法であって、顆粒球形成刺激因子を前記対象に投与することを含み、前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始と共に投与される、方法。
【請求項22】
前記顆粒球形成刺激因子が、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)である、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記GCSFが、長時間作用型GCSFまたは非長時間作用型GCSFである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記GCSFが、長時間作用型GCSFであり、前記併用療法の開始後、1日目または2日目に投与される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記GCSFが、長時間作用型ではなく、前記併用療法の開始後、1、2、3、4、5、6、または7日目に投与される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項26】
前記併用療法が、3週間ごとに投与される、請求項14~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記併用療法が、2週間ごとに投与される、請求項14~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記併用療法が、21日サイクルの1日目に投与される、請求項14~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記併用療法が、6~8サイクル以下にわたって投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記併用療法が、8サイクルにわたって投与される、請求項28または29に記載の方
法。
【請求項31】
前記対象が、単剤抗CD30抗体薬物複合体を、追加で8~10サイクル、合計で16サイクルにわたって受ける、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、
i)配列番号4に示される重鎖CDR1、配列番号6に示される重鎖CDR2、配列番号8に示される重鎖CDR3、ならびに
ii)配列番号12に示される軽鎖CDR1、配列番号14に示される軽鎖CDR2、および配列番号16に示される軽鎖CDR13を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、
i)配列番号2に示される重鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、および
ii)配列番号10に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、モノクローナル抗CD30抗体である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、キメラAC10抗体である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記抗体薬物複合体が、モノメチルオーリスタチンEおよびプロテアーゼ切断可能リンカーを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記プロテアーゼ切断可能リンカーが、チオール反応性スペーサーおよびジペプチドを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記プロテアーゼ切断可能リンカーが、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーからなる、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンである、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンであり、1.8mg/kgで投与され、シクロホスファミドが、750mg/mで投与され、ドキソルビシンが、50mg/mで投与され、プレドニゾンが、100mgで21日サイクルの1~5日目に投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記顆粒球形成刺激因子が、5~10mcg/kg/日、または300~600mcg/日、または6mg/用量の用量範囲で投与される、請求項14~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記顆粒球形成刺激因子が、静脈内または皮下投与される、請求項14~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記顆粒球形成刺激因子が、単回用量または複数回用量で投与される、請求項14~4
2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、典型的にはリンパ節転移として顕在化するPTCL実体、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化型大細胞リンパ腫、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、腸症型腸管T細胞リンパ腫、および鼻型節外性T細胞リンパ腫からなる群から選択される、成熟T細胞リンパ腫に罹患している、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記成熟T細胞リンパ腫が、PTCLである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記PTCLが、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記PTCLが、sALCLである、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
前記sALCLが、未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)sALCLおよび未分化リンパ腫キナーゼ陰性(ALK-)sALCLからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記sALCLが、ALK+sALCLである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記PTCLが、sALCLではない、請求項45または46に記載の方法。
【請求項51】
前記PTCLが、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項45または46に記載の方法。
【請求項52】
前記PTCLが、AITLではない、請求項45または46に記載の方法。
【請求項53】
前記PTCLが、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項45または46に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、2以上の国際予後指標(IPI)スコアを有する、請求項45~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記対象が、以前に血液がんの治療を受けていない、請求項45~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、以前に血液がんの治療を受けており、前記がんが、再発しているか、または難治性である、請求項45~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項57】
前記PTCLが、ステージIIIまたはステージIVのPTCLである、請求項45~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記PTCLが、CD30発現PTCLである、請求項45~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記PTCLが、CD30発現PTCLであり、前記CD30発現が、10%以上である、請求項45~58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記CD30発現が、FDA承認試験によって測定される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記成熟T細胞リンパ腫がPTCLである場合、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、前記対象がグレード2以上の末梢運動神経障害と診断された場合、抗CD30抗体薬物複合体の前記用量が、1.2mg/kgに軽減される、請求項45~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記成熟T細胞リンパ腫がPTCLである場合、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、前記対象がグレード3以上の末梢感覚神経障害と診断された場合、抗CD30抗体薬物複合体の前記用量が、1.2mg/kgに軽減される、請求項45~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を受ける対象における、感染症の発生率を減少させるための方法であって、感染症を軽減するのに有効な量の顆粒球形成刺激因子を前記対象に投与することを含み、前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始と共に投与される、方法。
【請求項64】
前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始後、1日目~7日目または2日目~5日目に投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の第2または後続の投与後、1日目~7日目に投与される、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の前記第2または後続の投与後、2日目~5日目に投与される、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記顆粒球形成刺激因子が、以前に抗CD30抗体薬物複合体療法を受けていない対象に投与される、請求項63~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、前記併用療法の投与後、治療下で発現したグレード3~4の好中球減少症を経験していない、請求項63~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記顆粒球形成刺激因子が、顆粒球コロニー刺激因子GCSFである、請求項63~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記GCSFが、長時間作用型GCSFまたは非長時間作用型GCSFである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記GCSFが、長時間作用型であり、前記併用療法の開始後、1日目または2日目に
投与される、請求項69または70に記載の方法。
【請求項72】
前記GCSFが、長時間作用型ではなく、前記併用療法の開始後、1、2、3、4、または最大7日目に投与される、請求項69または70に記載の方法。
【請求項73】
前記併用療法が、3週間ごとに投与される、請求項63~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記併用療法が、2週間ごとに投与される、請求項63~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記抗体が、21日サイクルの1日目に投与される、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記併用療法が、6~8サイクル以下にわたって投与される、請求項73または75に記載の方法。
【請求項77】
前記併用療法が、8サイクルにわたって投与される、請求項73または76に記載の方法。
【請求項78】
前記対象が、単剤抗CD30抗体薬物複合体を、追加で8~10サイクル、合計で16サイクルにわたって受ける、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、
i)配列番号4に示される重鎖CDR1、配列番号6に示される重鎖CDR2、配列番号8に示される重鎖CDR3、ならびに
ii)配列番号12に示される軽鎖CDR1、配列番号14に示される軽鎖CDR2、および配列番号16に示される軽鎖CDR13を含む、請求項63~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、
i)配列番号2に示される重鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、および
ii)配列番号10に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、請求項63~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、モノクローナル抗CD30抗体である、請求項63~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、キメラAC10抗体である、請求項63~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記抗体薬物複合体が、モノメチルオーリスタチンEおよびプロテアーゼ切断可能リンカーを含む、請求項63~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記プロテアーゼ切断可能リンカーが、チオール反応性スペーサーおよびジペプチドを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記プロテアーゼ切断可能リンカーが、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーからなる、請求項83または84に記載の方法。
【請求項86】
前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンである、請求項63~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンであり、1.8mg/kgで投与され、シクロホスファミドが、750mg/mで投与され、ドキソルビシンが、50mg/mで投与され、プレドニゾンが、100mgで21日サイクルの1~5日目に投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記顆粒球形成刺激因子が、5~10mcg/kg/日、または300~600mcg/日、または6mg/用量の用量範囲で投与される、請求項63~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記顆粒球形成刺激因子が、静脈内または皮下投与される、請求項63~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記顆粒球形成刺激因子が、単回用量または複数回用量で投与される、請求項63~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記成熟T細胞リンパ腫が、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、典型的にはリンパ節転移として顕在化するPTCL実体、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化型大細胞リンパ腫、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、腸症型腸管T細胞リンパ腫、および鼻型節外性T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項63~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記成熟T細胞リンパ腫が、PTCLである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記PTCLが、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記PTCLが、sALCLである、請求項92または93に記載の方法。
【請求項95】
前記sALCLが、未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)sALCLおよび未分化リンパ腫キナーゼ陰性(ALK-)sALCLからなる群から選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記sALCLが、ALK+sALCLである、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記PTCLが、sALCLではない、請求項92または93に記載の方法。
【請求項98】
前記PTCLが、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項92または93に記載の方法。
【請求項99】
前記PTCLが、AITLではない、請求項92または93に記載の方法。
【請求項100】
前記PTCLが、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、特定不能の末梢T細胞
リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項92または93に記載の方法。
【請求項101】
前記対象が、2以上の国際予後指標(IPI)スコアを有する、請求項92~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記対象が、以前に血液がんの治療を受けていない、請求項92~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記対象が、以前に血液がんの治療を受けており、前記がんが、再発しているか、または難治性である、請求項92~102のいずれか一項記載の方法。
【請求項104】
前記PTCLが、ステージIIIまたはステージIVのPTCLである、請求項92~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記PTCLが、CD30発現PTCLである、請求項92~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記PTCLが、CD30発現PTCLであり、前記CD30発現が、10%以上である、請求項92~105のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記CD30発現が、FDA承認試験によって測定される、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始後、1~8日目に投与される、請求項92~107のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月1日出願の米国特許仮出願第62/580261号および2018年10月1日出願の米国特許仮出願第62/739635号の優先権の利益を主張し、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、成熟T細胞リンパ腫を有し、任意選択でシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾンの化学療法治療計画と併用して、抗CD30抗体薬物複合体による治療を受ける対象における、好中球減少症および末梢神経障害などの有害作用を軽減する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
T細胞リンパ腫は、米国で新たに診断されるNHLの全症例の約10~15%を占める、侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)のサブセットである。2008年の世界保健機関(WHO)分類スキーマによると、成熟T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞新生物には、18個のサブタイプが存在する(Swerdlow 2008)。T細胞およびNK細胞リンパ腫の様々なサブタイプは、細胞表面マーカーCD30を発現することが知られており、最も注目すべきは、CD30発現が診断の特徴であるsALCLである(Savage 2008)。
【0004】
sALCL、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、および他のものを含む、CD30陽性成熟T細胞リンパ腫は、進行期の症候性疾患を呈することが多い侵攻性リンパ系新生物である。これらの治療困難なリンパ腫は、それらの普遍的に悲惨な結果に基づいて、臨床試験への登録では共にグループ化されることが多い。1,300人超の患者の国際末梢T細胞およびナチュラルキラー/T細胞リンパ腫研究における5年全生存期間(OS)は、不良であり、組織学的サブタイプに応じて12~49%の範囲であった(Vose2008)。初期診断から、進行、応答後の再発、または何らかの原因による死亡までの時間として定義される、5年治療成功生存率は、6~36%の範囲であった。他の研究では、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン(CHOP)療法に対するCR率は、40~50%であると報告されている(Mercadal2008、Simon2010)。これらのデータは、2つの明確な満たされていない必要性を確認している。1つ目は、高率の初期完全寛解(CR)率を誘導できないことであり、2つ目は、併用化学療法に応答する患者が許容できないほど高率で疾患進行を経験することである。CRを達成および維持する患者の割合の増加は、無増悪生存期間(PFS)およびOSの臨床的に意味のある改善をもたらす可能性がある。
【0005】
成熟T細胞およびNK細胞新生物の最前線治療は、疾患のサブタイプに依存し、好ましい治療選択肢として臨床試験を含むことが多い(NCCN2013)。ほとんどのサブタイプでは、CHOPなどのアントラサイクリンベースの多剤化学療法計画が一般的に利用されている。注目すべき例外は、鼻型および非鼻型の節外性NK/T細胞リンパ腫であり、これには、同時化学放射線療法治療計画が採用されている。
【0006】
CD30陽性成熟T細胞新生物を有する患者におけるCHOPの使用を確立するための無作為化研究は、行われていないが、それは、これらの患者の最前線治療で最も一般的に使用されている治療計画である。国際末梢T細胞およびナチュラルキラー/T細胞リンパ腫研究の結果は、患者の85%超が、アントラサイクリンベースの多剤化学療法治療計画
で治療されたことを示している(Vose 2008)。新たな治療アプローチを確立された標準治療と比較した公開研究では、3週間ごとに投与されるCHOP(CHOP-21)が、対照群として使用されている(Simon 2010)。加えて、公開ガイドラインでは、「非皮膚末梢T細胞リンパ腫」と診断された患者に対する適切な最前線治療選択肢として、臨床試験への登録またはCHOPを推奨している(NCCN 2013)。ガイドラインは、ステージI~IIの疾患および0~2の国際予後指標(IPI)スコアを有する患者に対する6サイクルのCHOP療法の投与、ならびに3~5のIPIスコアを有するステージI~IIの患者およびすべてのステージIII~IVの患者に対する6~8サイクルのCHOP療法の投与を支持している(Schmitz 2010、NCCN 2013)。非無作為化臨床試験の比較は、6または8サイクルのCHOPの活性の差は支持しておらず、6~8サイクルは、診療において一般的に採用されている(Coiffier 2002、Schmitz 2010)。上述のように、CHOP化学療法に対する応答は最適以下であり、CR率は約40~50%の範囲、および全応答率は約75%である(Mercadal 2008、Simon 2010、Dearden 2011)。アントラサイクリンベースの多剤化学療法の中堅にも関わらず、成熟T細胞リンパ腫集団における長期転帰の推定値は、最適以下であり、EFSまたはPFSの中央値は、12~18ヶ月であり、OSの中央値は、(組織学的サブタイプおよびIPIスコアに応じて)4年未満である。
【0007】
最前線療法に応答する患者における高率の後続の疾患進行のため、一部の研究者は、長期転帰を改善する手段として自家幹細胞移植(SCT)を採用しているが、無作為化研究は、行われていない。国内および国際ガイドラインは、最前線療法後にCRを達成した患者に対する許容可能な選択肢として、観察、臨床試験、または自家SCTの使用を支持している(Dearden 2011、NCCN 2013)。
【0008】
3週間ごとに投与されるブレンツキシマブベドチン1.8mg/kgの臨床的安全性および活性は、再発性または難治性sALCLを有する患者の重要な第2相研究において評価された(SG035-0004研究)。この研究では、すべての患者が、以前に治療を意図した多剤全身化学療法の少なくとも1つの事前治療計画を受けていた。最近の療法と比較して、患者の過半数がALK陰性疾患と診断され(72%)、患者の50%が難治性であった。加えて、患者の約60%が、最前線療法により完全寛解(CR)を達成できないこと、または最前線療法を完了してから3ヶ月以内の進行と定義される、原発性難治性疾患を有しており、22%の患者は、いかなる以前の療法によっても応答を達成しなかった。高度に難治性の患者に関するこの研究では、客観的応答(CR+PR)率は、86%であり、患者の57%が、CRを達成した(Pro 2012)。応答期間の中央値は、12.6ヶ月であり、CRを達成した患者のサブセットでは、応答期間の中央値は、13.2ヶ月であった。ブレンツキシマブベドチンは一般に、耐容性が良く、管理可能な副作用を有した。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、抗CD30抗体-薬物複合体を投与するための改善された方法、および成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ抗CD30抗体薬物複合体療法を受ける対象における、有害事象を軽減するための改善された方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗CD30抗体-薬物複合体は、化学療法治療計画と併用して投与される。治療計画は、がん治療の分野で既知の化学療法剤を含み得ることが企図される。例示的な化学療法剤は、発明を実施するための形態においてより詳細に開示されている。様々な実施形態では、本明細書の方法は、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法を含む治療を含む。いくつかの実施形態では、末梢神経障害などの副作用は、抗CD30抗体薬物複合体の量および/またはタイミングを調節することによって軽減される。他の実施形態では、好中球減少症、発熱性好中球減少症、または感染症を含
む副作用は、抗CD30抗体薬物複合体を顆粒球形成刺激因子と同時投与することによって軽減される。
【0010】
一態様では、本開示は、抗CD30薬物複合体、例えば、ブレンツキシマブベドチンを、例えば、3週間ごとに投与される1.8mg/kgの用量で、成熟T細胞リンパ腫を有する対象に投与する方法を提供する。成熟T細胞リンパ腫は、より具体的には、例えば、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、典型的にはリンパ節転移として顕在化するPTCL実体、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化型大細胞リンパ腫、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、腸症型腸管T細胞リンパ腫、および鼻型節外性T細胞リンパ腫として診断され得る。
【0011】
様々な実施形態では、本開示は、3週間ごとの、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、グレード2以上の末梢神経障害を示している、成熟T細胞リンパ腫を有する対象を治療するための方法であって、0.9mg/kg~1.2mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を投与することを含む、方法を提供する。様々な実施形態では、対象は、グレード2またはグレード3の末梢神経障害を示す。
【0012】
様々な実施形態では、対象がグレード3の神経障害を示す場合、末梢神経障害がグレード2以下に減少するまで、抗CD30抗体薬物複合体の投与が保留され、その後0.9~1.2mg/kgの抗CD30抗体薬物複合体が投与される。様々な実施形態では、対象がグレード3の神経障害を示す場合、末梢神経障害がグレード2以下に減少するまで、抗CD30抗体薬物複合体の投与が任意選択で0.9~1.2mg/kgに軽減され、その後0.9mg/kg~1.2mg/kgの抗CD30抗体薬物複合体が投与または維持される。
【0013】
様々な実施形態では、対象は、本質的にシクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、およびプレドニゾン(P)療法からなる化学療法と併用して、1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体療法を開始した後に、グレード2または3の神経障害を示し、好ましくは抗CD30抗体薬物複合体は、3週間ごとに投与されるブレンツキシマブベドチンである。
【0014】
様々な実施形態では、グレード2またはグレード3の末梢神経障害がグレード1以下に改善した後、抗CD30抗体薬物複合体の用量は、0.9mg/kg~1.2mg/kgから1.8mg/kgまたは1.2mg/kgに増加される。様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体の投与が1.2mg/kgである場合、投与は、2週間ごとであり得る(2週間ごとに最大120mgまで)。
【0015】
様々な実施形態では、本開示は、1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む療法による治療を開始した後に、グレード2以上の末梢神経障害を示している、成熟T細胞リンパ腫を有する対象を治療するための方法であって、0.9mg/mg~1.2mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を投与することを含む、方法を提供する。様々な実施形態では、対象は、グレード2またはグレード3の末梢神経障害を示す。
【0016】
様々な実施形態では、対象がグレード3の神経障害を示す場合、末梢神経障害がグレード2以下に減少するまで、抗CD30抗体薬物複合体の投与が保留され、その後0.9~1.2mg/kgの抗CD30抗体薬物複合体が投与される。様々な実施形態では、対象がグレード3の神経障害を示す場合、末梢神経障害がグレード2以下に減少するまで、抗CD30抗体薬物複合体の投与が任意選択で0.9~1.2mg/kgに軽減され、その
後0.9mg/kg~1.2mg/kgの抗CD30抗体薬物複合体が投与される。
【0017】
様々な実施形態では、グレード2またはグレード3の末梢神経障害がグレード1以下に改善した後、抗CD30抗体薬物複合体の用量は、0.9~1.2mg/kgから1.8mg/kgまたは1.2mg/kgに増加され、用量が1.8mg/kgに増加される場合、投与は、任意選択で本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン療法からなる化学療法と併用され、好ましくは抗CD30抗体薬物複合体は、3週間ごとに投与されるブレンツキシマブベドチンである。
【0018】
様々な実施形態では、成熟T細胞リンパ腫は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。様々な実施形態では、成熟T細胞リンパ腫がPTCLである場合、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、対象がグレード2以上の末梢運動神経障害と診断された場合、抗CD30抗体薬物複合体の用量は、1.2mg/kgに軽減される。
【0019】
様々な実施形態では、成熟T細胞リンパ腫が、末梢T細胞リンパ腫である場合、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬を含む併用療法による治療を開始した後に、対象がグレード3以上の末梢感覚神経障害と診断された場合、抗CD30抗体薬物複合体の用量は、1.2mg/kgに軽減される。
【0020】
様々な実施形態では、PTCLは、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0021】
様々な実施形態では、PTCLは、sALCLである。様々な実施形態では、sALCLは、未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)sALCLおよび未分化リンパ腫キナーゼ陰性(ALK-)sALCLからなる群から選択される。様々な実施形態では、sALCLは、ALK+sALCLである。様々な実施形態では、sALCLは、ALK-sALCLである。
【0022】
様々な実施形態では、PTCLは、sALCLではない。様々な実施形態では、PTCLは、PTCLは、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0023】
様々な実施形態では、PTCLは、AITLではない。様々な実施形態では、PTCLは、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0024】
様々な実施形態では、対象は、0または1の国際予後指標(IPI)スコアを有する。様々な実施形態では、対象は、2以上の国際予後指標(IPI)スコアを有する。様々な実施形態では、対象は、2または3の国際予後指標(IPI)スコアを有する。様々な実施形態では、対象は、4以上の国際予後指標(IPI)スコアを有する。様々な実施形態では、対象は、4または5の国際予後指標(IPI)スコアを有する。
【0025】
様々な実施形態では、対象は、0または1のベースラインECOGステータスを有する
。様々な実施形態では、対象は、2のベースラインECOGステータスを有する。
【0026】
様々な実施形態では、対象は、PTCLと新たに診断されており、かつ/または以前に血液がんの治療を受けていない。様々な実施形態では、対象は、以前に血液がんの治療を受けている。様々な実施形態では、がんは、再発しているか、または難治性である。
【0027】
様々な実施形態では、PTCLは、ステージIIIまたはステージIVのPTCLである。
【0028】
様々な実施形態では、PTCLは、CD30発現PTCL腫瘍である。様々な実施形態では、PTCLは、CD30発現PTCLであり、CD30発現は、リンパ腫細胞の10%以上である。
【0029】
様々な実施形態では、CD30発現は、FDA承認試験によって測定される。例示的な試験には、CD30認定研究所での局所病理評価が含まれ、CD30陽性は、免疫組織化学を使用した診断生検で確認される。CD30陽性の決定には、以下の3つの基準が使用される。
1)腫瘍細胞の10%以上で検出されるCD30(腫瘍細胞の数え上げが不可能であった場合、全リンパ球が使用された可能性がある)。
2)バックグラウンド超の任意の強度でのCD30染色、ならびに
3)CD30抗原の発現の膜、細胞質、および/またはゴルジパターン。
【0030】
様々な実施形態では、神経障害は、当該技術分野で既知の標準的なアッセイを使用して定期的に測定される。
【0031】
様々な実施形態では、患者が腎障害または肝障害を経験した場合、抗CD30抗体薬物複合体の用量は、軽減され得る。様々な実施形態では、対象が軽度の肝障害(チャイルド・ピューA)を経験した場合、用量は、約1.2mg/kgに軽減され、2週間ごとに投与される(2週間ごとに投与される(患者の体重に応じて)最大120mgまで)。
【0032】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体(ADC)がCHP併用療法と共に1.8mg/kgで投与される場合、併用療法は、3週間ごとに投与される。様々な実施形態では、併用療法は、21日サイクルの1日目に投与される。様々な実施形態では、ADC+CHP併用療法は、8サイクル以下にわたって投与される。様々な実施形態では、ADC+CHP併用療法は、6~8サイクルにわたって投与される。様々な実施形態では、A+CHP療法は、4、5、6、7、または8サイクルにわたって投与される。任意選択で、対象は、単剤抗CD30抗体薬物複合体、例えば、ブレントキシマブベドチンを、追加で8~10サイクル、合計で16サイクルにわたって受ける。
【0033】
様々な実施形態では、PETスキャンにより腫瘍または腫瘍の進行が存在しないと決定されるまで、ADCまたは併用療法が投与される。
【0034】
様々な実施形態では、神経障害は、末梢運動神経障害または末梢感覚神経障害である。様々な実施形態では、ADCまたは併用療法は、知覚異常、知覚鈍麻、多発神経障害、筋力低下、および脱髄性多発神経障害からなる群から選択される末梢神経障害の1つ以上の症状を軽減する。
【0035】
様々な実施形態では、末梢神経障害が出現した場合、抗CD30抗体薬物複合体の用量は、1週間または2週間遅延され、神経障害が解消されるか、またはグレード2以下もしくはグレード1以下であると決定された場合に、ADCまたは併用療法が継続される。
【0036】
第2の態様では、本開示は、対象における成熟T細胞リンパ腫を治療するための方法であって、例えば、一次予防として、抗体薬物複合体療法の開始時または第1の投与時に、任意選択で化学療法と共に、抗CD30抗体薬物複合体を顆粒球形成刺激因子と同時投与することを含む、方法を提供する。様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、例えば、最前線療法として、任意の標準的または修正された化学療法治療計画と併用して使用することもできる。例えば、(例えば、一次予防としての)療法開始時の治療は、顆粒球形成刺激因子が、療法、例えば、ADCまたは併用療法の開始後または第1の投与後、1日以内~7日以内に投与される場合を含む。様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、療法、例えば、ADCまたは併用療法の開始後または第1の投与後、2日以内~5日以内に投与される。いくつかの実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、ADCまたは併用療法と同日に投与される。
【0037】
様々な実施形態では、本明細書では、対象における成熟T細胞リンパ腫を治療するための方法であって、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を投与することと、顆粒球形成刺激因子を予防的に投与することとを含み、顆粒球形成刺激因子が、併用療法の開始と共に投与される、方法が提供される。
【0038】
この第2の態様の様々な実施形態では、本方法は、成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ任意選択で化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む療法を受ける対象における、好中球減少症または発熱性好中球減少症の発生率を軽減するためのものである。様々な実施形態では、本開示は、成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を受ける対象における、好中球減少症の発生率を軽減するための方法であって、顆粒球形成刺激因子を対象に投与することを含み、顆粒球形成刺激因子が、併用療法の開始と共に投与される、方法を提供する。
【0039】
この第2の態様の様々な実施形態では、本方法は、成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ任意選択で化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む療法を受ける対象における、感染症の発生率を減少させるためのもの、または他の有害事象の発生率を減少させるためのものである。様々な実施形態では、本開示は、成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を受ける対象における、感染症の発生率を減少させるための方法であって、感染症を軽減するのに有効な量の顆粒球形成刺激因子を対象に投与することを含み、顆粒球形成刺激因子が、併用療法の開始と共に投与される、方法を提供する。
【0040】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体は、ブレンツキシマブベドチンであることが企図される。
【0041】
様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、療法の第2または後続の投与後、1日目~7日目、または1日目~5日目、または2日目~5日目に投与される。いくつかの実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、ADCまたは併用療法の第2または後続の投与と同日に投与される。
【0042】
様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、以前に抗CD30抗体薬物複合体療法を受けていない対象に投与されるか、または対象が治療下で発現した好中球減少症を経験する前に対象に投与される。様々な実施形態では、対象は、ADCまたは併用療法の投与後、治療下で発現したグレード3~4の好中球減少症を経験していない。
【0043】
様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)である。様々な実施形態では、GCSFは、長時間作用型GCSFであるか、または長時間作用型GCSFではない。様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM-CSF)である。様々な実施形態では、GCSFは、長時間作用型であり、ADCまたは併用療法の開始後、1、2、または3日目に単回用量で投与される。様々な実施形態では、刺激因子は、GMCSFであるか、またはGCSFは、長時間作用型ではなく、かつ療法の開始後、1、2、3、4、5、6、または7日目に開始し、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12日、またはそれ以上の期間にわたって、複数回用量(例えば、複数回の1日用量)で投与される。様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、ペグフィルグラスチムまたはフィルグラスチムである。
【0044】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体は、任意選択でシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)から本質的になる化学療法と併用して、3週間ごとに投与される。
【0045】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体は、21日サイクルの1日目に投与される。様々な実施形態では、本方法は、併用療法として、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法を抗CD30抗体薬物複合体と同日に投与することをさらに含み、好ましくは抗CD30抗体薬物複合体は、ブレンツキシマブベドチンである。
【0046】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体の抗CD30抗体は、i)配列番号4に示される重鎖CDR1、配列番号6に示される重鎖CDR2、配列番号8に示される重鎖CDR3、ならびにii)配列番号12に示される軽鎖CDR1、配列番号14に示される軽鎖CDR2、および配列番号16に示される軽鎖CDR13を含む。
【0047】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体の抗CD30抗体はまた、i)配列番号2に示される重鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、およびii)配列番号10に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む。アミノ酸可変領域配列は、配列番号2または配列番号10のいずれかと90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり得ることが企図される。
【0048】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体の抗CD30抗体は、モノクローナル抗CD30抗体である。様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体の抗CD30抗体は、キメラAC10抗体である。
【0049】
様々な実施形態では、抗体薬物複合体は、モノメチルオーリスタチンEおよびプロテアーゼ切断可能リンカーを含む。様々な実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性スペーサーおよびジペプチドである、それらを含む。様々な実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーからなる。
【0050】
様々な実施形態では、抗体は、IgG抗体、好ましくはIgG1抗体である。
【0051】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体は、ブレンツキシマブベドチンである。
【0052】
様々な実施形態では、対象はまた、併用療法として、本質的にシクロホスファミド、ド
キソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法を含む治療も受けている。様々な実施形態では、シクロホスファミドは、750mg/mで投与され、ドキソルビシンは、50mg/mで投与され、プレドニゾンは、100mgで21日サイクルの1~5日目に投与される。
【0053】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体は、ブレンツキシマブベドチンであり、1.8mg/kgで投与され、シクロホスファミドは、750mg/mで投与され、ドキソルビシンは、50mg/mで投与され、プレドニゾンは、100mgで21日サイクルの1~5日目に投与される。
【0054】
様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子、例えば、G-CSFは、5~10mcg/kg/日、または300~600mcg/日の用量範囲内で投与される。様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、6mg/用量の用量で投与される。
【0055】
様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、静脈内または皮下投与される。様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、単回用量または複数回用量で投与され、例えば、長時間作用型GCSFは、同日に単回用量または複数回用量で投与されてもよく、非長時間型GCSFは、複数日にわたって複数回用量で投与されてもよい。
【0056】
本明細書に開示される態様のいずれでも、対象は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、典型的にはリンパ節転移として顕在化するPTCL実体、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化型大細胞リンパ腫、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、腸症型腸管T細胞リンパ腫、および鼻型節外性T細胞リンパ腫からなる群から選択される、成熟T細胞リンパ腫(MTCL)に罹患している。
【0057】
様々な実施形態では、成熟T細胞リンパ腫は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)である。様々な実施形態では、PTCLは、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0058】
様々な実施形態では、PTCLは、sALCLである。様々な実施形態では、sALCLは、未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)sALCLおよび未分化リンパ腫キナーゼ陰性(ALK-)sALCLからなる群から選択される。様々な実施形態では、sALCLは、ALK+sALCLである。様々な実施形態では、sALCLは、ALK-sALCLである。
【0059】
様々な実施形態では、PTCLは、sALCLではない。様々な実施形態では、PTCLは、PTCLは、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0060】
様々な実施形態では、PTCLは、AITLではない。様々な実施形態では、PTCLは、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0061】
様々な実施形態では、対象は、0または1の国際予後指標(IPI)スコアを有する。様々な実施形態では、対象は、2以上の国際予後指標(IPI)スコアを有する。様々な実
施形態では、対象は、2または3の国際予後指標(IPI)スコアを有する。様々な実施形態では、対象は、4以上の国際予後指標(IPI)スコアを有する。様々な実施形態では、対象は、4または5の国際予後指標(IPI)スコアを有する。
【0062】
様々な実施形態では、対象は、0または1のベースラインECOGステータスを有する。様々な実施形態では、対象は、2のベースラインECOGステータスを有する。
【0063】
様々な実施形態では、対象は、PTCLと新たに診断されており、かつ/または以前に血液がんの治療を受けていない。様々な実施形態では、対象は、以前に血液がんの治療を受けている。様々な実施形態では、がんは、再発しているか、または難治性である。
【0064】
様々な実施形態では、PTCLは、ステージIIIまたはステージIVのPTCLである。
【0065】
様々な実施形態では、PTCLは、CD30発現PTCL腫瘍である。様々な実施形態では、PTCLは、CD30発現PTCLであり、CD30発現は、リンパ腫細胞の10%以上である。
【0066】
様々な実施形態では、CD30発現は、FDA承認試験によって測定される。例示的な試験には、CD30認定研究所での局所病理評価が含まれ、CD30陽性は、免疫組織化学を使用した診断生検で確認される。CD30陽性の決定には、以下の3つの基準が使用される。
1)腫瘍細胞の10%以上で検出されるCD30(腫瘍細胞の数え上げが不可能であった場合、全リンパ球が使用された可能性がある)。
2)バックグラウンド超の任意の強度でのCD30染色、ならびに
3)CD30抗原の発現の膜、細胞質、および/またはゴルジパターン。
【0067】
様々な実施形態では、リンパ腫が末梢T細胞リンパ腫である場合、顆粒球形成刺激因子は、抗CD30抗体薬物複合体の投与後、1~8日目に投与され得る。
【0068】
第3の態様では、本開示は、成熟T細胞リンパ腫を有する対象を治療する方法であって、最前線治療として、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、ブレツキシマブベドチン(A)を含む組成物の有効量を投与することを含み、ブレンツキシマブベドチンが、2週間ごとに1.8mg/kgで投与され、シクロホスファミドが、21日サイクルの1日目に750mg/mで投与され、ドキソルビシンが、21日サイクルの1日目に50mg/mで投与され、プレドニゾンが、最大8サイクルまで21日サイクルの1~5日目に100mgで投与され、ブレンツキシマブベドチンが、CHP療法の投与後、約1時間以内に投与され、任意選択で、対象が、以下、(1)2以上のIPIスコアを有するALK陽性sALCL、ALK陰性sALCL、PTCL-NOS、AITL、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL、急性型およびリンパ腫型のみ、ヒトT細胞白血病ウイルス1に対して陽性でなければならない)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、肝脾T細胞リンパ腫、(2)PETによるフルオロデオキシグルコース(FDG)集積型疾患、およびCTによる少なくとも1.5cmの測定可能な疾患、または(3)治療前に2以下である米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)活動指標の1つ以上を特徴とする、方法を提供する。本明細書の方法は、療法後の対象の無増悪生存期間(PFS)が1年超にわたって維持されることをさらに提供する。様々な実施形態では、療法後の対象の無増悪生存期間(PFS)は、約2年間にわたって維持される。特定の実施形態では、6~8サイクルのA+CHP療法後、対象は、3以下または2以下のドーヴィルスコアを有する。
【0069】
別の態様では、本開示は、3週間ごとの、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、グレード2以上の末梢神経障害を示している対象の治療で使用するための抗CD30抗体薬物複合体であって、該対象に、0.9mg/kg~1.2mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体が投与される、抗CD30抗体薬物複合体を提供する。
【0070】
さらなる態様では、本明細書で企図されるのは、対象における成熟T細胞リンパ腫の治療で使用するための抗CD30抗体薬物複合体であり、これは、3週間ごとの、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を投与することと、顆粒球形成刺激因子を予防的に投与することとを含み、刺激因子は、併用療法の開始と共に、例えば、併用療法の開始後、1日目~7日目に投与される。
【0071】
関連する態様では、対象における、好中球減少症、感染症、または他の有害事象の発生率の軽減に使用するための抗CD30抗体薬物複合体もまた企図され、これは、3週間ごとの、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を投与することと、顆粒球形成刺激因子を予防的に投与することとを含み、刺激因子は、併用療法の開始と共に、例えば、併用療法の開始後、1日目~7日目に投与される。様々な実施形態では、成熟T細胞リンパ腫がPTCLである場合、顆粒球形成刺激因子は、併用療法の開始後、1~8日目に投与される。
【0072】
本明細書では、治療方法を伴う上記の開示のすべての態様が、上記の適応症のいずれかで使用するための抗CD30抗体薬物複合体に適用可能であることが具体的に提供される。
【0073】
本明細書に記載の各特徴もしくは実施形態、または組み合わせは、本発明の態様のいずれかの非限定的で例示的な例であり、したがって本明細書に記載の任意の他の特徴もしくは実施形態、または組み合わせと組み合わせ可能であることが意図されることが理解される。例えば、特徴が、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「さらなる実施形態」、「特定の例示的な実施形態」、および/または「別の実施形態」などの表現を用いて記載される場合、これらの実施形態の種類の各々は、すべての可能性のある組み合わせを列挙せずに、本明細書に記載の任意の他の特徴または特徴の組み合わせと組み合わされることが意図される特徴の非限定的な例である。そのような特徴または特徴の組み合わせは、本発明の態様のいずれにも適用される。範囲内にある値の例が開示される場合、これらの例はいずれも、ある範囲の可能性のある終点として企図され、そのような終点の間のあらゆる数値が企図され、上限および下限の終点のあらゆる組み合わせが想定される。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本開示は、任意選択で化学療法治療計画と併用して、抗CD30抗体薬物複合体によって成熟T細胞リンパ腫の治療に関連する有害事象を改善するための方法を提供する。本明細書に記載される治療計画は、治療を受けた患者の末梢神経障害を軽減し、好中球減少症、および/または発熱性好中球減少症、および/または療法に関連する感染症を改善するのに効果的である。
【0075】
定義
【0076】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本
開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下の参考文献は、本開示で使用される用語の多くについての一般的な定義を当業者に提供する。Singleton et al.,DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(2d ed.1994)、THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY(Walker ed.,1988)、THE GLOSSARY OF GENETICS,5TH ED.,R.Rieger et al.(eds.),Springer Verlag(1991)、およびHale&Marham,THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY(1991)。
【0077】
本明細書に引用される各刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、本開示と矛盾しない範囲で、その全体が参照により組み込まれる。
【0078】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「and」、および「the」は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「誘導体」への言及は、複数のそのような誘導体を含み、「対象」への言及は、1人以上の対象への言及を含むなどである。
【0079】
様々な実施形態の説明が「を含む」という用語を使用する場合、当業者は、いくつかの特定の例では、実施形態が「本質的に~からなる」または「からなる」という表現を使用して代替的に説明され得ることを理解することを、さらに理解されたい。
【0080】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を、開示される方法および組成物の実施において使用することができるが、例示的な方法、デバイス、および材料が、本明細書に記載される。
【0081】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」は、健康に対して意図される有益な効果を生み出すのに有効な薬剤の量を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、「療法」は、抗CD30抗体薬物複合体による単剤療法、または化学療法治療計画と併用して抗CD30薬物複合体を含む併用療法のいずれかを指す。好ましい実施形態は、抗CD30抗体薬物複合体を、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾンからなる化学療法(CHP療法)と共に投与することを含む、併用療法を含む。
【0083】
本明細書で使用される場合、「抗体+CHP療法」または「A+CHP療法」は、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン療法からなる化学療法(CHP療法)と併用した、本明細書に記載の抗CD30抗体薬物複合体による対象の治療を指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、「リンパ腫」は、通常リンパ系起源の過剰増殖細胞から発生する血液学的悪性腫瘍である。リンパ腫は、2つの主要な種類、ホジキンリンパ腫(HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)に分類されることがある。リンパ腫はまた、表現型マーカー、分子マーカー、または細胞形成マーカーに従って、がん細胞に最も類似する正常な細胞型に従って分類することもできる。その分類に基づくリンパ腫のサブタイプには、成熟B細胞新生物、成熟T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞新生物、ホジキンリンパ腫、ならびに免疫不全関連リンパ増殖性障害が含まれるが、これらに限定され
ない。リンパ腫のサブタイプには、前駆T細胞リンパ芽球性リンパ腫(T細胞リンパ芽球が骨髄内で産生されるため、リンパ芽球性白血病と呼ばれることもある)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性リンパ腫(末梢血の関与のため、白血病と呼ばれることもある)、MALTリンパ腫、バーキットリンパ腫、菌状息肉腫およびそのより侵攻性の変異型セザリー病、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫の結節性硬化症、ならびに混合細胞型サブタイプホジキンリンパ腫が含まれる。
【0085】
「末梢T細胞リンパ腫」は、異種性の侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)のサブセットを指す。本明細書で使用される場合、「末梢」は、四肢を指すものではないが、リンパ節、脾臓、胃腸管、および皮膚(例えば、皮膚末梢T細胞リンパ腫)などの骨髄外のリンパ組織に生じるがんとして、PTCLを特定する。(リンパ腫研究財団https://www.lymphoma.org/aboutlymphoma/nhl/ptcl/から引用)PTCLは、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞の関与を含み得る。PTCLは、皮膚に起源を持つ皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)とは異なる。末梢T細胞リンパ腫には、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫が含まれる。
【表1】
【0086】
本明細書で使用される場合、「白血病」という用語は、通常骨髄起源の過剰増殖細胞から発生する血液悪性腫瘍であり、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、および急性単球性白血病(AMoL)が含まれるが、これらに限定されない。他の白血病には、有毛細胞白血病(HCL)、T細胞リンパ性白血病(T-PLL)、大顆粒リンパ球性白血病、および成人T細胞白血病が含まれる。
【0087】
本明細書で使用される場合、「予防的」または「一次予防」は、対象における好中球減少症または好中球減少症の症状の発症前の、コロニー刺激因子または顆粒球形成刺激因子などの薬剤の投与を指す。予防は、抗CD30抗体薬物複合体療法、または1つ以上の化学療法剤を含む併用療法の開始時または第1の投与時の、顆粒球成長刺激因子の投与を含むことが企図される。併用療法は、抗CD30抗体薬物複合体、ならびに本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法を投与することを含むことが企図される。「開始」および「第1の投与」という用語は、顆粒球形成刺激因子による治療に関して本明細書では互換的に使用される。
【0088】
本明細書で使用される場合、「顆粒球形成刺激因子」は、好中球および他の顆粒球の産生を誘導することができるサイトカインまたは他の成長因子などの薬剤を指す。例示的な顆粒球形成刺激因子には、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)およびその誘導体(フィルグラスチムおよび長時間作用型GCSF PEG-フィルグラスチムなど)、または顆粒球単球コロニー刺激因子(GMCSF)が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
本明細書で使用される場合、「好中球減少症」は、血中の異常に低い好中球濃度を指す。「対象における好中球減少症の発生率の軽減」は、治療を受ける対象における好中球減少症の発生率の減少および/または対象における好中球減少症の発生の重症度の軽減を指す。「好中球減少症の予防」は、例えば、顆粒球形成刺激因子による予防的治療の結果としての、好中球減少症の発症の予防または阻害を指す。成人における絶対好中球数(ANC)の正常な参照範囲は、1マイクロリットル(μl)の血液あたり1500~8000個の細胞である。好中球減少症は、以下、軽度の好中球減少症(1000≦ANC<1500)、中程度の好中球減少症(500≦ANC<1000)、重度の好中球減少症(ANC<500)のように分類することができる。Hsieh et al.,Ann.Intern.Med.146:486-92,2007。
【0090】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症のない、妥当な利益/リスク比に見合った、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに好適なこれらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。「薬学的に適合性のある成分」という用語は、抗体-薬物複合体と共に投与される薬学的に許容される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。
【0091】
「特異的結合」および「特異的に結合する」という用語は、抗CD30抗体が、非常に選択的な様式で、その対応する標的であるCD30と反応し、他の多数の抗原とは反応しないことを意味する。
【0092】
「モノクローナル抗体」という用語は、任意の真核生物または原核生物の細胞クローン、またはファージクローンを含む、単細胞クローンに由来する抗体を指し、それが産生される方法を指すものではない。したがって、本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定されない。
【0093】
「同一」または「同一性パーセント」という用語は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において、最大の一致のために比較および整列したときに、同じであるか、または同じであるヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する、2つ以上の配列または下位配列を指す。同一性パーセントを決定するために、配列は、最適な比較目的のために整列される(例えば、第2のアミノ酸または核酸配列との最適な整列のために、第1のアミノ酸または核酸配列の配列にギャップが導入され得る)。その後、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列の位置が第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合、その位置の分子は、同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一の位置の数の関数(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数(例えば、重複する位置)×100)である。特定の実施形態では、2つの配列は、同じ長さである。
【0094】
「実質的に同一」という用語は、2つの核酸またはポリペプチドの文脈において、少なくとも70%または少なくとも75%の同一性、より典型的には、少なくとも80%または少なくとも85%の同一性、さらにより典型的には、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性(例えば、以下に明記される方法のうちの1つを
使用して決定される)を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。
【0095】
2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して実行することができる。2つの配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:2264-2268のアルゴリズムであり、これは、Karlin and Altschul,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873-5877のように修正されている。そのようなアルゴリズムは、Altschul,et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403-410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行して、目的のタンパク質をコードする核酸に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行して、目的のタンパク質に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためのギャップのある整列を得るためには、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402に記載のように、ギャップのあるBLASTを利用することができる。あるいは、PSI-Blastを使用して、分子間の遠い関係を検出する反復検索を実行することができる(Id)。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、Myers and Miller,CABIOS(1989)のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列整列ソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。配列分析のための追加のアルゴリズムは、当該技術分野で既知であり、Torellis and Robotti,1994,Comput.Appl.Biosci.10:3-5に記載のADVANCEおよびADAM、ならびにPearson and Lipman,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.85:2444-8に記載のFASTAが含まれる。あるいは、タンパク質配列整列は、Higgins et al.,1996,Methods Enzymol.266:383-402に記載のCLUSTAL Wアルゴリズムを使用して実行することができる。
【0096】
「MMAE」という略語は、モノメチルオーリスタチンEを指す。
【0097】
「vc」および「val-cit」という略語は、ジペプチドのバリン-シトルリンを指す。
【0098】
「PAB」という略語は、自己犠牲スペーサーを指す。
【化1】
【0099】
「MC」という略語は、ストレッチャーのマレイミドカプロイルを指す。
【化2】
【0100】
cAC10-MC-vc-PAB-MMAEは、MC-vc-PABリンカーを介して薬物MMAEに結合したキメラAC10抗体を指す。
【0101】
抗CD30 vc-PAB-MMAE抗体-薬物複合体は、米国特許第9,211,319号の式(I)に示されるように、ジペプチドのバリンシトルリンおよび自己犠牲スペーサーPABを含むリンカーを介して薬物MMAEに複合化した抗CD30抗体を指す。
【0102】
抗体
当該技術分野で既知のマウス抗CD30 mAbは、ホジキン病(HD)細胞株または精製されたCD30抗原を有するマウスの免疫化によって生成されてきた。元々はC10と称されていたAC10(Bowen et al.,1993,J.Immunol.151:5896 5906)は、ヒトNK様細胞株YTに対して調製されたこの抗CD30 mAbという点で異なる(Bowen et al.,1993,J.Immunol.151:5896 5906)。初期には、このmAbのシグナル伝達活性は、CD28およびCD45分子の細胞表面発現の下方制御、細胞表面CD25発現の上方制御、ならびにC10のYT細胞への結合後の同型接着の誘導によって証明された。AC10抗体の配列は、配列番号1~16および以下の表Aに示されている。キメラAC10抗体を開示する、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,090,843号も参照されたい。
【0103】
一般に、本開示の抗体は、CD30に免疫特異的に結合し、ホジキン病および成熟T細胞リンパ腫の悪性細胞に対して細胞分裂阻害効果および細胞毒性効果を発揮する。本開示の抗体は、好ましくはモノクローナルであり、多重特異性、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって生成された断片、および上記のいずれかのCD30結合断片であり得る。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、CD30に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を指す。本開示の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)またはサブクラスであり得る。
【0104】
本開示の特定の実施形態では、抗体は、本開示のヒト抗原結合抗体断片であり、Fab、Fab’およびF(ab’)、Fd、単鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、ならびにVまたはVドメインのいずれかを含む断片が含まれるが、これらに限定されない。一本鎖抗体を含む抗原結合抗体断片は、可変領域(複数可)を、単独で、または以下、ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3、およびCLドメインの全体もしくは一部分と組み合わせて含むことができる。可変領域(複数可)とヒンジ領域、CH1、CH2、CH3、およびCLドメインとの任意の組み合わせも含む抗原結合断片もまた本開示に含まれる。好ましくは、抗体は、ヒト、マウス(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。本明細書で使用される場合、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ
酸配列を有する抗体を含み、以下、および例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載のように、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、ヒトB細胞から、または1つ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックな動物から単離された抗体を含む。
【0105】
本開示の抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはより高い多重特異性のものであり得る。多重特異性抗体は、CD30の異なるエピトープに特異的であり得るか、またはCD30および異種タンパク質の両方に特異的であり得る。例えば、PCT公開第WO93/17715号号、同第WO92/08802号、同第WO91/00360号、同第WO92/05793号、Tutt,et al.,1991,J.Immunol.147:60 69、米国特許第4,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5,573,920号、同第5,601,819号、Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547
1553を参照されたい。
【0106】
本開示の抗体は、それらが含む特定のCDRに関して説明または特定され得る。特定の実施形態では、本開示の抗体は、AC10の1つ以上のCDRを含む。本開示は、重鎖または軽鎖可変ドメインを含む抗体またはその誘導体を包含し、該可変ドメインは、(a)3つのCDRのセットであって、モノクローナル抗体AC10に由来する、CDRのセット、および(b)4つのフレームワーク領域のセットであって、該フレームワーク領域のセットが、モノクローナル抗体AC10のフレームワーク領域のセットとは異なり、該抗体またはその誘導体が、CD30に免疫特異的に結合するフレームワーク領域を含む、フレームワーク領域のセットを含む。
【0107】
特定の実施形態では、本開示は、重鎖可変ドメインを含む抗体またはその誘導体を包含し、該可変ドメインは、(a)3つのCDRのセットであって、配列番号4、6、または8を含む、CDRのセット、および(b)4つのフレームワーク領域のセットであって、該フレームワーク領域が、モノクローナル抗体AC10のフレームワーク領域のセットとは異なり、該抗体またはその誘導体が、CD30に免疫特異的に結合するフレームワーク領域を含む。
【0108】
特定の実施形態では、本開示は、重鎖可変ドメインを含む抗体またはその誘導体を包含し、該可変ドメインは、(a)および(b)を含む:(a)3つのCDRのセットであり、それらが配列番号12、14、または16を含む、CDRのセット、および(b)4つのフレームワーク領域のセットであり、それらがモノクローナル抗体AC10のフレームワーク領域のセットとは異なり、該抗体またはその誘導体がCD30に免疫特異的に結合するフレームワーク領域を含む、フレームワーク領域のセットを含む。
【0109】
加えて、本開示の抗体はまた、それらの一次構造に関して説明または特定され得る。AC10の可変領域と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、および最も好ましくは少なくとも98%の同一性(当該技術分野で既知であり、かつ本明細書に記載の方法を使用して計算される)を有する抗体もまた本発明に含まれ、好ましくはAC10のCDRを含む。本開示の抗体はまた、CD30に対するそれらの結合親和性に関して説明または特定され得る。好ましい結合親和性は、5×10M、10-2M、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、10-5M、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、10-8M、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×1
-15M、または10-15M未満の解離定数またはKdを有するものを含む。
【0110】
抗体はまた、修飾された(すなわち、共有結合が、抗体のCD30への結合、またはホジキン病細胞に対する細胞分裂阻害効果もしくは細胞毒性効果の発揮を妨げないような、任意の種類の分子の抗体への共有結合による)誘導体も含む。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合によって修飾されている抗体が含まれる。特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含むがこれらに限定されない、多数の化学修飾のいずれが、既知の技術によって実行されてもよい。加えて、誘導体は、1つ以上の非古典的なアミノ酸を含有してもよい。
【0111】
本開示の抗体は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法によって生成することができる。
【0112】
本開示は、本発明のタンパク質およびその断片を含むがこれらに限定されない、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸をさらに提供する。本開示の核酸は、好ましくはCD30に結合し、HD細胞に対して細胞毒性効果または細胞分裂阻害効果を発揮する抗体の、1つ以上のCDRをコードする。本開示の例示的な核酸は、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号11、配列番号13、または配列番号15を含む。本開示の可変領域核酸は、配列番号1または配列番号9を含む。(表Aを参照されたい)。
【表2】
【0113】
様々な実施形態では、抗体は、IgG抗体、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体、好ましくはIgG1抗体である。
【0114】
抗体薬物複合体
vc-PABリンカーを介してMMAEに共有結合した抗CD30抗体を含む抗体薬物複合体の使用が、本明細書で企図される。抗体薬物複合体は、医薬組成物として対象に送達される。CD30抗体薬物複合体は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,211,319号に記載されている。
【0115】
様々な実施形態では、本開示の抗体-薬物複合体は、以下の式、
【化3】
【0116】
またはその薬学的に許容される塩を有し、式中、mAbは、抗CD30抗体であり、Sは、抗体の硫黄原子であり、A-は、ストレッチャー単位であり、pは、約3~約5である。
【0117】
薬物負荷は、医薬組成物中の抗体あたりの薬物分子の平均数であるpによって表される。例えば、pが約4である場合、医薬組成物中に存在するすべての抗体を考慮した平均薬物負荷は、約4である。Pは、約3~約5、より好ましくは約3.6~約4.4、さらにより好ましくは約3.8~約4.2の範囲である。Pは、約3、約4、または約5であってもよい。複合体反応物の調製における抗体あたりの薬物の平均数は、質量分析、ELISAアッセイ、およびHPLCなどの従来の手段によって特性評価することができる。pに関する抗体-薬物複合体の定量的分布もまた決定することができる。いくつかの例では、pが他の薬物負荷を有する抗体-薬物-複合体からの特定の値である、均一な抗体-薬物-複合体の分離、精製、および特性評価は、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段によって達成することができる。
【0118】
ストレッチャー単位(A)は、抗体のスルフヒドリル基を介して、抗体単位をバリン-シトルリンアミノ酸単位に結合することができる。スルフヒドリル基は、例えば、抗CD30抗体の鎖間ジスルフィド結合の還元によって生成することができる。例えば、ストレッチャー単位は、抗体の鎖間ジスルフィド結合の還元から生成された硫黄原子を介して抗体に結合することができる。いくつかの実施形態では、ストレッチャー単位は、抗体の鎖間ジスルフィド結合の還元から生成された硫黄原子を介してのみ抗体に結合する。いくつかの実施形態では、スルフヒドリル基は、抗CD30抗体のリジン部分のアミノ基と2-イミノチオラン(トラウト試薬)または他のスルフヒドリル生成試薬との反応によって生成することができる。特定の実施形態では、抗CD30抗体は、組換え抗体であり、1つ以上のリジンを運ぶように操作される。特定の他の実施形態では、組換え抗CD30抗体は、追加のスルフヒドリル基、例えば、追加のシステインを運ぶように操作される。
【0119】
MMAEの合成および構造は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,884,869号に記載されている。例示的なストレッチャー単位の合成および構造ならびに抗体薬物複合体を作製するための方法は、例えば、米国特許公開第2006/0074008号および同第2009/0010945号に記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0120】
代表的なストレッチャー単位は、米国特許第9,211,319号の式IIIaおよびIIIbの角括弧内に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
様々な実施形態では、抗体薬物複合体は、モノメチルオーリスタチンEおよびプロテアーゼ切断可能リンカーを含む。プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性スペー
サーおよびジペプチドである、それら含むことが企図される。様々な実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーからなる。
【0122】
好ましい実施形態では、抗体薬物複合体は、以下の構造を有する抗体薬物複合体であるブレンツキシマブベドチンである。
【化4】
【0123】
ブレンツキシマブベドチンは、CD30に指向された抗体-薬物複合体であり、3つの構成要素、(i)ヒトCD30に特異的なキメラIgG1抗体cAC10、(ii)微小管破壊剤MMAE、および(iii)MMAEをcAC10に共有結合させるプロテアーゼ切断可能リンカーからなる。薬物対抗体比または薬物負荷は、ブレンツキシマブベドチンの構造では「p」で表され、1~8の整数値の範囲である。医薬組成物中のブレンツキシマブベドチンの平均薬物負荷は、約4である。
【0124】
使用方法
本明細書では、成熟T細胞リンパ腫に罹患している対象に抗CD30抗体-薬物複合体を投与するための改善された方法が提供される。本明細書には、任意選択で化学療法治療計画と併用した、抗CD30抗体薬物複合体の投与中に、成熟T細胞リンパ腫を有する対象における有害事象を軽減するための方法が開示される。様々な実施形態では、化学療法治療計画は、好ましくはA+CHP療法として、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、および/またはプレドニゾンからなる。
【0125】
追加の化学療法剤は、以下の表に開示され、単独で、または1つ以上の追加の化学療法剤と併用して使用することができ、それらは、抗CD30抗体薬物複合体と併用して投与することもできる。
【表3-1】
【表3-2】
【0126】
成熟T細胞リンパ腫(MTCL)は、CD30抗原を発現する血液がんを指す。CD30抗原は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、典型的にはリンパ節転移として顕在化するPTCL実体、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化型大細胞リンパ腫、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、2以上のIPIスコアを有するALK陽性sALCL、ALK陰性sALCL、PTCL-NOS、AITL、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL、急性型およびリンパ腫型のみ、ヒトT細胞白血病ウイルス1
に対して陽性でなければならない)、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、腸症型腸管T細胞リンパ腫、ならびに鼻型節外性T細胞リンパ腫を含む、特定のリンパ腫および白血病の腫瘍細胞上に多数発現される。
【0127】
本明細書の態様または実施形態のいずれでも、本明細書の方法は、新たに診断され、かつ以前に成熟T細胞リンパ腫の治療を受けていない対象、または再発している対象の治療を提供する。
【0128】
本明細書の様々な実施形態では、本明細書の方法は、新たに診断され、かつ/もしくは以前に末梢T細胞リンパ腫の治療を受けていない対象、または以前に末梢T細胞リンパ腫の治療を受けているが、再発しているか、もしくはPTCLが難治性である対象の治療を提供する。様々な実施形態では、末梢T細胞リンパ腫は、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫である。
【0129】
様々な実施形態では、本開示は、新たに診断された成熟T細胞リンパ腫を有する対象を治療する方法であって、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾンからなる化学療法(CHP療法)と併用して、有効量のブレンツキシマブベドチンを含む併用療法を投与することを含み、ブレンツキシマブベドチンが、1.8mg/kgで投与され、シクロホスファミドが、750mg/mで投与され、ドキソルビシンが、50mg/mで投与され、プレドニゾンが、21日サイクルの1~5日目に100mgで投与される、方法を提供する。本明細書の方法は、療法後の対象の無増悪生存期間(PFS)が6ヶ月超または1年超にわたって維持されることを提供することが企図される。様々な実施形態では、療法後の対象の無増悪生存期間(PFS)は、約2年間にわたって維持される。特定の実施形態では、6~8サイクルのA+CHP療法後、対象は、3以下または2以下のドーヴィルスコアを有する。
【0130】
末梢神経障害
【0131】
末梢神経障害は、抗CD30抗体薬物複合体による治療中に末梢神経系が損傷した結果として発症する。症状には、しびれまたはうずき、刺すような感覚(知覚異常)、および筋力低下が含まれる。運動神経の損傷は、最も一般的に筋力低下と関連している。
【0132】
本明細書では、1.8mg/kg以上の用量の抗CD30抗体薬物複合体、例えば、ブレンツキシマブベドチンの投与を含む療法の投与を開始した後に、グレード2以上の末梢神経障害を示している、成熟T細胞リンパ腫を有する対象を治療するための方法であって、0.9~1.2mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を投与することを含む、方法が提供される。様々な実施形態では、対象がグレード3の神経障害を示す場合、末梢神経障害がグレード2以下に減少するまで、抗CD30抗体薬物複合体、例えば、ブレンツキシマブベドチンの投与が保留され、その後0.9~1.2mg/kgの抗CD30抗体薬物複合体が投与される。様々な実施形態では、療法は、併用療法として、本質的にシクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、およびプレドニゾン(P)からなる化学療法をさらに含む。
【0133】
様々な実施形態では、対象がグレード3の神経障害を示す場合、末梢神経障害がグレード2以下に減少するまで、抗CD30抗体薬物複合体の投与が任意選択で0.9~1.2mg/kgに軽減され、その後0.9mg/kg~1.2mg/kgの抗CD30抗体薬物複合体が投与または維持される。いくつかの実施形態では、0.9~1.2mg/kgの軽減された用量は、2週間または3週間ごとに90~120mgの最大用量まで投与さ
れる。
【0134】
特定の実施形態では、対象は、任意選択で、併用療法として、本質的にシクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、およびプレドニゾン(P)からなる化学療法と併用して、1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体の投与を開始した後に、グレード2または3の神経障害を示した。
【0135】
特定の実施形態では、グレード2またはグレード3の末梢神経障害がグレード1以下に改善した後、抗CD30抗体薬物複合体の用量は、1.8mg/kgまたは1.2mg/kgに増加され、投与は、任意選択で、併用療法として、本質的にシクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、およびプレドニゾン(P)からなる化学療法と併用して行われる。様々な実施形態では、末梢神経障害がグレード2以下またはグレード1以下である場合、抗CD30抗体薬物複合体による治療は、2週間ごとに1.2mg/kgで再開される(2週間ごとに最大120mgまで)。
【0136】
神経障害を測定するための方法は、当該技術分野で既知であり、抗CD30抗体薬物複合体療法を受ける対象における神経障害を監視および診断するために治療医によって利用されている。例えば、米国国立がん情報センター(National Cancer Information Center)共通毒性基準(NCIC-CCT)は、グレード1のPNを、軽度の知覚異常および/または深部腱屈曲の喪失を特徴とするものとして説明しており、グレード2のPNは、マイルまたは中程度の客観的感覚喪失および/または中程度の知覚異常を特徴とし、グレード3のPNは、機能を妨げる感覚喪失および/または知覚異常を特徴とする。グレード4のPNは、麻痺を特徴とする。
【0137】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体がCHP併用療法と共に1.8mg/kgで投与される場合、併用療法は、3週間ごとに投与される。例えば、併用療法は、21日サイクルの1日目に投与される。
【0138】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体+CHP併用療法は、8サイクル以下、例えば、4~8サイクル、または4、5、6、7、もしくは8サイクルにわたって投与される。任意選択で、単剤療法は、併用療法の完了後、8~10サイクル、または必要に応じて追加のサイクルにわたって、合計で16サイクルにわたって投与され得る。
【0139】
併用療法はまた、ビンクリスチン(例えば、Oncovin)の投与も含み得ることが企図される。
【0140】
PETスキャンにより腫瘍または腫瘍の進行が存在しないと決定されるまで、療法、例えば、ADCまたは併用療法が投与されることが企図される。治療(例えば、6~8サイクル)の終了後、依然としてPETスキャンがいくらかの腫瘍を示す場合、治療医は、PETスキャンが陰性になるか、または腫瘍の進行の遅延もしくは不在を示すまで、必要に応じて一連の治療を繰り返してもよい。サイクルの繰り返しは、中断なしで開始しても、または療法による初期治療の1、2、3、4、5、6週間後、もしくはそれ以上後に開始してもよい。
【0141】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体、例えば、ブレンツキシマブベドチンは、30分間にわたる静脈内注入によって投与される。特定の実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体は、CHP療法と併用して、1.8mg/kg~最大180mgで投与される。
【0142】
治療は、末梢運動神経障害または末梢感覚神経障害の治療に有用である。治療は、知覚
異常、知覚鈍麻、多発神経障害、筋力低下、および脱髄性多発神経障害を含むがこれらに限定されない、末梢神経障害の1つ以上の症状を軽減する。
【0143】
様々な実施形態では、末梢神経障害が出現した場合、抗CD30抗体薬物複合体の用量は1週間または2週間遅延され、神経障害が解消されるか、またはグレード2以下もしくはグレード1以下であると決定された場合に療法が継続される。
【0144】
好中球減少症
【0145】
好中球減少症は、化学療法治療計画の一般的な副作用であり、化学療法を受ける患者の血中の好中球の枯渇から生じる。好中球減少症はまた、ブレンツキシマブベドチンによる治療でも観察される。好中球減少症は、一般的に血中の好中球のレベルに基づいて診断される。例えば、グレード3の好中球減少症は、好中球絶対数[ANC]<1.0×10/l)を指し、グレード4の好中球減少症は、好中球絶対数[ANC]<0.5×10/l)を指し、発熱性好中球減少症は、発熱を伴う好中球減少症を指し、対象は、グレード3/4の好中球減少症と共に、38.3℃以上の単回の口腔内温度、または1時間超の38.0℃以上の温度を有する。
【0146】
本明細書では、抗CD30抗体薬物複合体、例えば、ブレンツキシマブベドチン、または抗CD30抗体薬物複合体を、CHP併用療法などの化学療法と併用して受ける対象が、療法、例えば、ADCまたは併用療法の開始時または第1の投与時に、予防的に、例えば、一次予防として、顆粒球形成刺激因子を受けることが企図される。例示的な顆粒球形成刺激因子には、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、GCSFの誘導体、または顆粒球単球コロニー刺激因子(GMCSF)が含まれる。本明細書での使用が企図される市販のGCSFは、フィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標))およびペグフィルグラスチム(NEULASTA(登録商標))である。市販のGMCSFは、サルグラモスチム(LEUKINE(登録商標))として入手可能である。
【0147】
本明細書では、対象における成熟T細胞リンパ腫を治療するための方法であって、任意選択で、併用療法として、本質的にシクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、およびプレドニゾン(P)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む療法を投与することと、顆粒球形成刺激因子を予防的に投与することとを含み、顆粒球形成刺激因子が、療法、例えば、ADCまたは併用療法の開始後、1日以内~7日以内に投与される、方法が提供される。さらなる実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、療法、例えば、抗体薬物複合体または併用療法の開始後、1日以内~5日以内に投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD30抗体薬物複合体の投与に関連する有害事象、例えば、好中球減少症、発熱性好中球減少症、感染症の発生、発熱、胃腸障害(便秘、嘔吐、下痢、口内炎、腹痛など)、神経系障害(末梢感覚神経障害、末梢運動神経障害など)、筋骨格障害(骨痛、腰痛など)、呼吸器障害(呼吸困難など)、ならびに他の有害事象(体重減少、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加、食欲低下、および/または不眠症など)を減少させるための方法である。いくつかの実施形態では、本方法は、抗CD30抗体薬物複合体の投与に関連する好中球減少症および/または発熱性好中球減少症および/または感染症の発生率を減少させるための方法である。
【0148】
抗CD30抗体薬物複合体を含む治療を受ける対象における、感染症の発生率を減少させるための方法であって、任意選択で本質的にシクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、およびプレドニゾン(P)からなる化学療法をさらに含み、感染症を軽減するのに有効な量の顆粒球形成刺激因子を対象に投与することを含み、顆粒球形成刺激因子が、療法の開始後、1日目~7日目に投与される、方法もまた提供される。顆粒球形成刺激因子はまた、療法の開始後、1日目~5日目に投与されてもよい。
【0149】
任意選択で本質的にシクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、およびプレドニゾン(P)からなる化学療法と共に抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法と共に、抗CD30抗体薬物複合体を含む治療を受ける対象における、好中球減少症および/または発熱性好中球減少症の発生率を軽減するための方法であって、顆粒球形成刺激因子を対象に投与することを含み、顆粒球形成刺激因子が、療法の開始後、1日目~7日目に、任意選択で療法の開始後、1日目~5日目に投与される、方法もまた企図される。
【0150】
顆粒球形成刺激因子が、療法、例えば、ADCまたは併用療法の第2または後続の投与後、1日目~7日目に投与される、方法がさらに企図される。特定の実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、療法の第2または後続の投与後、1日目または2日目~5日目に投与される。
【0151】
様々な実施形態では、対象は、以前に抗CD30抗体薬物複合体療法を受けていない。様々な実施形態では、対象は、抗CD30抗体薬物複合体の投与後、治療下で発現したグレード3~4の好中球減少症を経験していない。
【0152】
顆粒球形成刺激因子は、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)であることが企図される。GCSFは、長時間作用型GCSFであるか、または長時間作用型GCSFではないことが企図される。
【0153】
様々な実施形態では、刺激因子が長時間作用型GCSF、例えば、フィルグラスチムではない場合、それは、抗CD30抗体薬物複合体、例えば、1日用量の療法の開始後、1~7日目、1~5日目、または1~3日目に開始して投与することができる。特定の実施形態では、GCSFは、抗体薬物複合体または併用療法の開始後、2、3、4、5、6、および/または7日目に投与される。様々な実施形態では、フィルグラスチムは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日間の期間にわたって、5ug/kg/日~10ug/kg/日の用量で投与される。
【0154】
ペグフィルグラスチムは、インビボでより長い半減期を有する、フィルグラスチムの持続性のあるペグ化形態である。様々な実施形態では、ペグフィルグラスチムは、抗CD30抗体薬物複合体治療後、または任意選択でA+CHP療法後、1日目~5日目に、6mg/用量で投与される。特定の実施形態では、GCSFは、療法の開始後、同日、1日目、2日目、3日目、4日目、または5日目に、単回用量または複数回用量で投与される。
【0155】
様々な実施形態では、リンパ腫が末梢T細胞リンパ腫である場合、顆粒球形成刺激因子は、抗CD30抗体薬物複合体の投与後、1~8日目に投与され得る。
【0156】
様々な実施形態では、顆粒球形成刺激因子は、静脈内または皮下で投与される。顆粒球形成刺激因子は、単回用量または複数回用量、例えば、複数回の1日用量で投与されることが企図される。
【0157】
顆粒球形成刺激因子および抗CD30抗体薬物複合体を受ける対象に、抗生物質を投与して、発熱性好中球減少症および/または感染症の問題に対処することもできることが企図される。企図される例示的な抗生物質には、セファロスポリン、スルファメトキサゾール-トリメトプリム、ACYCOLOVIR(登録商標)、FLUCANOZOLE(登録商標)、またはINTRACONAZOLE(登録商標)などの当該技術分野で既知のものが含まれる。
【0158】
様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体または併用療法は、3週間ごとに、例
えば、21日サイクルの1日目に投与される。様々な実施形態では、抗CD30抗体薬物複合体が3週間ごとに投与される場合、治療計画は、抗CD30抗体療法と同日に、併用療法として、本質的にシクロホスファミド(C)、ドキソルビシン(H)、およびプレドニゾン(P)からなる化学療法を投与することをさらに含む。
【0159】
様々な実施形態では、有害事象のために用量投与が軽減されている場合、抗CD30抗体薬物複合体は、2週間ごとに投与される。
【0160】
様々な実施形態では、成熟T細胞リンパ腫は、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、典型的にはリンパ節転移として顕在化するPTCL実体、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化型大細胞リンパ腫、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、腸症型腸管T細胞リンパ腫、および鼻型節外性T細胞リンパ腫からなる群から選択される。
【0161】
任意選択で化学療法治療計画と併用した、本明細書に記載の抗CD30抗体薬物複合体による療法の完了時に、対象は、治療終了時に残っているがん、または本明細書の療法に対して抵抗性であり得るがんの1つ以上の症状に対処するための追加の治療を受ける場合があることがさらに企図される。そのような治療には、手術、放射線療法、陽子線療法、幹細胞移植、および/または追加の化学療法治療計画が含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
製剤
【0163】
抗体-薬物複合体を投与するために、様々な送達システムを使用することができる。本開示の特定の好ましい実施形態では、抗体-薬物複合体化合物の投与は、静脈内注入による。いくつかの実施形態では、投与は、30分間、1時間、または2時間の静脈内注入による。
【0164】
抗体-薬物複合体化合物は、1つ以上の薬学的に適合性のある成分を含む医薬組成物として投与することができる。例えば、医薬組成物は、典型的には、1つ以上の薬学的に許容される担体、例えば、水ベースの担体(例えば、無菌液体)を含む。医薬組成物が静脈内投与される場合、水は、より典型的な担体である。
【0165】
組成物は、必要に応じて、例えば、生理食塩、緩衝液、塩、非イオン性界面活性剤、および/または糖も含有することができる。好適な医薬担体の例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。製剤は、投与方法に対応している。
【0166】
本開示は、例えば、治療有効量の抗体-薬物複合体、緩衝剤、任意選択で凍結保護剤、任意選択で増量剤、任意選択で塩、および任意選択で界面活性剤を含む、医薬組成物を提供する。追加の薬剤が、組成物に添加されてもよい。単一の薬剤が、複数の機能を果たすことができる。例えば、トレハロースなどの糖は、抗凍結剤および増量剤の両方として作用することができる。本開示に従って、任意の好適な薬学的に許容される緩衝剤、界面活性剤、抗凍結剤、および増量剤を使用することができる。
【0167】
CD30発現がんを治療するための方法を提供することに加えて、本開示は、凍結乾燥または他のタンパク質保存方法を受けた薬物複合体製剤を含む抗体薬物複合体製剤、および凍結乾燥を受けていない抗体薬物製剤を提供する。
【0168】
いくつかの実施形態では、抗体薬物複合体製剤は、(i)約1~25mg/ml、約3
~約10mg/mlの抗体-薬物複合体、または約5mg/ml(例えば、式Iまたはその薬学的に許容される塩の抗体-薬物複合体)、(ii)クエン酸塩、リン酸塩、もしくはヒスチジン緩衝液、またはそれらの組み合わせ、好ましくはクエン酸ナトリウム、カリウムリン酸、ヒスチジン、塩酸ヒスチジン、またはそれらの組み合わせから選択される、約5~50mM、好ましくは約10mM~約25mMの緩衝液、(iii)約3%~約10%のスクロースもしくはトレハロース、またはそれらの組み合わせ、(iv)任意選択で約0.05~2mg/mlのポリソルベート20もしくはポリソルベート80、またはそれらの組み合わせから選択される界面活性剤、および(v)水を含み、組成物のpHは、約5.3~約7、好ましくは約6.6である。
【0169】
いくつかの実施形態では、抗体薬物複合体製剤は、約1~25mg/ml、約3~約10mg/ml、好ましくは約5mg/mlの抗体-薬物複合体、(ii)クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、またはそれらの組み合わせから選択される、約10mM~約25mMの緩衝液、(iii)約3%~約7%のトレハロースもしくはスクロース、またはそれらの組み合わせ、任意選択で(iv)ポリソルベート20またはポリソルベート80から選択される、約0.05~約1mg/mlの界面活性剤、および(v)水を含み、組成物のpHは、約5.3~約7、好ましくは約6.6である。
【0170】
いくつかの実施形態では、抗体薬物複合体製剤は、約5mg/mlの抗体薬物複合体、(ii)クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、またはそれらの組み合わせから選択される、約10mM~約25mMの緩衝液、(iii)約3%~約7%のトレハロース、任意選択で(iv)ポリソルベート20またはポリソルベート80から選択される、約0.05~約1mg/mlの界面活性剤、および(v)水を含み、組成物のpHは、約5.3~約7、好ましくは約6.6である。
【0171】
上記の製剤のいずれも、液体または凍結形態で保存することができ、任意選択で保存プロセスに供することができる。いくつかの実施形態では、上記の製剤は凍結乾燥される、すなわち、それらは凍結乾燥に供される。いくつかの実施形態では、上記の製剤は、保存プロセス、例えば、凍結乾燥に供され、その後、適切な液体、例えば、水で再構成される。凍結乾燥とは、組成物が真空下で凍結乾燥されていることを意味する。凍結乾燥は、典型的には、溶質が溶媒(複数可)から分離されるように特定の製剤を凍結することにより達成される。その後、溶媒は昇華(すなわち、一次乾燥)によって除去され、次に脱着(すなわち、二次乾燥)によって除去される。
【0172】
本発明の製剤は、本明細書に記載の方法または疾患を治療するための他の方法と共に使用することができる。抗体薬物複合体製剤は、対象への投与前にさらに希釈され得る。いくつかの実施形態では、製剤は、生理食塩水で希釈され、対象への投与前に、IVバッグまたはシリンジに保持される。したがって、いくつかの実施形態では、対象における成熟T細胞リンパ腫を治療するための方法は、成熟T細胞リンパ腫の治療を必要とする対象に、式Iを有する抗体-薬物複合体を含む医薬組成物の毎週用量を投与することを含み、抗体-薬物複合体の投与される用量は、対象の体重の約1.8mg/kgまたは1.2mg/kg~対象の体重の0.9mg/kgであり、医薬組成物は、少なくとも3週間にわたって投与され、抗体薬物複合体は、対象への投与前に、(i)約1~25mg/ml、好ましくは約3~約10mg/mlの抗体-薬物複合体、(ii)クエン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ヒスチジン、ヒスチジン塩酸塩、またはそれらの組み合わせから選択される、約5~50mM、好ましくは約10mM~約25mMの緩衝液、(iii)約3%~約10%のスクロースもしくはトレハロース、またはそれらの組み合わせ、(iv)任意選択でポリソルベート20もしくはポリソルベート80、またはそれらの組み合わせから選択される、約0.05~2mg/mlの界面活性剤、および(v)水を含む製剤中に存
在し、組成物のpHは、約5.3~約7、好ましくは約6.6である。
【0173】
シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾンを含む、本明細書での使用が企図される化学療法剤の製剤は、がんの治療で典型的に使用されるように提供される。例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾンは、市販されており、複数の種類のがんを有する患者の治療での使用に関して、米国FDAおよび他の規制機関によって承認されている。ビンクリスチンは、市販されており、複数の種類のがんを有する患者における使用に関して、米国FDAおよび他の規制機関によって承認されている。
【0174】
研究治療の投与は、施設基準に従って行われるべきである。投薬は、患者のベースライン(投薬前、サイクル1の1日目)の身長および体重に基づいて、またはその施設の施設基準により行う必要がある。ビンクリスチンは、典型的にはIVプッシュとして投与され、各21日サイクルの1日目に投与される。投薬は、患者のベースライン(投薬前、サイクル1の1日目)の身長および体重に基づいて、またはその施設の施設基準により行う必要がある。
【0175】
本開示はまた、成熟T細胞リンパ腫の治療のためのキットも提供する。キットは、(a)抗体-薬物複合体を含有する容器、および任意選択で、シクロホスファミド、ドキソルビシン、および/またはプレドニゾンの1つ以上を含む容器を含むことができる。そのようなキットは、必要に応じて、当業者に容易に明らかとなるように、例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加の容器などの、1つ以上の様々な従来の医薬キット構成要素をさらに含むことができる。挿入物またはラベルとして、投与される構成要素の量、投与のガイドライン、および/または構成要素の混合のガイドラインを示す印刷された説明書もまたキットに含めることができる。
【実施例0176】
多剤化学療法と逐次および同時に投与されるブレンツキシマブベドチンの臨床的安全性および活性は、sALCLを含む、新たに診断されたCD30陽性成熟T細胞およびNK細胞新生物を有する患者における第1相研究で以前に評価された(SGN35-011研究)。この第1相研究は、ブレンツキシマブベドチンとCHOPまたはCHP化学療法との逐次および併用最前線治療アプローチの安全性および活性を決定するために実施された。ブレンツキシマブベドチンの最大耐容用量は、CHPと同時投与される1.8mg/kgであった。この研究の中間分析(2012年のT細胞リンパ腫フォーラムで発表されたデータ)では、この研究の20人の患者が、CHPと同時投与される1.2または1.8mg/kgのブレンツキシマブベドチンで6サイクルにわたって治療され、その後応答する患者には、3週間ごとに、最大追加10サイクルまで、ブレンツキシマブベドチンが継続された。最も一般的な有害事象は、悪心、疲労、および末梢感覚神経障害であった。6サイクルのブレンツキシマブベドチン+CHPの後に応答評価を有した患者のうち、5人中5人の患者が、CRを達成した。
【0177】
再発性および難治性の状況におけるブレンツキシマブベドチンによる治療の結果、ならびに第I相研究におけるCHPとの併用時の安全性の実証を考慮すると、成人における、多剤最前線導入療法の一部としてブレンツキシマブベドチンを組み込む治療アプローチは、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の利益をもたらし得ることが仮定される。以前に観察された活性のため、ビンクリスチンのブレンツキシマブベドチンでの置き換えを評価することもまた合理的である。非標的微小管破壊剤の、強力な微小管破壊剤を送達するCD30に指向されたADCでの置き換えによって、同じ治療計画での両方の薬剤の送達に固有である末梢神経障害の潜在的な重複毒性が回避される。
【0178】
最前線療法としての、新たに診断されたCD30陽性成熟T細胞リンパ腫の治療において、ブレンツキシマブベドチンを含めることの有効性および安全性を評価するために設計した、無作為化、二重盲検プラセボ対照多施設第3相臨床試験を後述する。
【0179】
この研究の主要エンドポイントであるPFSは、抗がん薬の承認のために、FDA(FDA Guidance for Industry“Clinical Trial Endpoints for the Approval of Cancer Drugs and Biologics”)およびEMA(“Guideline on the Evaluation of Anticancer Medicinal Products in Man”,CPMP/EWP/205/95/Rev.3/Corr.2)によって推奨されるエンドポイントのうちの1つである。無作為化から客観的な腫瘍の進行または死亡までの時間として定義されるPFSは、腫瘍成長を直接反映したものであり、生存利益を決定する前に評価することができる。さらに、PFSは、あらゆる原因による死亡を含むため、それは、この研究の副次エンドポイントである全生存期間と相関するものであり得る。PFSの追加の利点は、その決定が後続の療法によって交絡されないことである。この研究では、治療後の放射線療法、末梢血幹細胞を動員する目的の治療後の化学療法、または強化の自己または同種SCTは、進行性疾患の治療のために投与されるものではないため、それらは、後続の新たな抗がん治療とは見なされない。
【0180】
進行の評価には、標準化基準を採用する(Cheson 2007)。これらの基準の一貫した不偏の適用を確実にするために、病状の確認および研究中の進行の評価のために実行されるすべての画像研究は、盲検審査のために独立した第三者の画像コア研究所に提出し、すべての患者に対して、同じスケジュールで進行の評価を実行する。
材料および方法
【0181】
試験設計:この研究では、約450人の患者(治療群あたり約225人の患者)を無作為化する。この患者集団の標準治療は、6~8サイクルのCHOP化学療法からなる。患者を1:1の様式で無作為化して、以下の2つの治療群、標準治療群:6~8サイクルのCHOP、または実験群:6~8サイクルのブレンツキシマブベドチン+CHP(A+CHP)のうちの1つで、21日サイクルの治療を受けるようにする。研究者の判断により、疾患の病期およびIPIリスクスコアを含む患者固有の特徴に基づいて、目標で8サイクルの試験治療を投与する。
【0182】
患者:局所評価によって、改訂版欧米リンパ腫の2008年のWHO分類による新たに診断されたCD30陽性成熟T細胞リンパ腫を有する患者を、この研究に含める。適格な組織型は、以下、2以上のIPIスコアを有するALK陽性sALCL、ALK陰性sALCL、PTCL-NOS、AITL、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL、急性型およびリンパ腫型のみ、ヒトT細胞白血病ウイルス1に対して陽性でなければならない)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、肝脾T細胞リンパ腫、PETによるフルオロデオキシグルコース(FDG)集積型疾患、および部位放射線科医によって評価されるCTによる少なくとも1.5cmの測定可能な疾患、かつ18歳以上の年齢に限定される。患者は、2以下の米国東海岸がん臨床試験グループ活動指標、ならびに良好な好中球絶対数および血小板数、ヘモグロビン濃度、ならびに肝機能および腎機能のマーカーレベルを有することが必要とされた。
【0183】
除外基準には、少なくとも3年間にわたって寛解していない別の原発性浸潤がん、血液学的悪性腫瘍、または骨髄異形成症候群の病歴が含まれる。患者は、以下、原発性皮膚CD30陽性T細胞リンパ増殖性疾患およびリンパ腫のいずれの診断も現在受けているべきではない。局所領域リンパ節を超えて広がる皮膚外腫瘍を伴う皮膚ALCLは、適格であり(皮膚および局所領域疾患に対処するための以前の単剤治療は許可される)、菌状息肉症
(MF)(形質転換MFを含む)、進行性多巣性白質脳症(PML)の病歴、基礎悪性腫瘍に関連する脳/髄膜疾患、ブレンツキシマブベドチンによる以前の治療、(NCI CTCAE、バージョン4.03による)グレード2以上のベースライン末梢神経障害、または脱髄性形態のシャルコー・マリー・トゥース症候群を有する患者は適格である。
【0184】
任意選択で、患者が好中球減少症を経験した場合、顆粒球形成刺激因子を予防的に投与する。顆粒球形成刺激因子は、当該技術分野で既知の標準的な治療計画を使用して投与する。治療の開始時の顆粒球形成刺激因子の投与は、好中球減少症および/または感染症の発生率を軽減することが企図される。
【0185】
エンドポイント:主要エンドポイントは、独立審査機関(IRF)による最前線療法の完了後の、進行、死亡、または非CRの証拠までの時間として定義される、修正された無増悪生存期間(PFS)である。修正された事象のタイミングは、3以上のドーヴィルスコアとして定義される、CRの不在を実証する最前線療法の完了後の、第1のPETスキャンの日付である。疾患進行が不在である場合、無作為化治療計画による治療の完了前の、任意の理由での代替的な最前線療法への切り替えは、事象とは見なさなかった。
【0186】
副次エンドポイントには、sALCLを有する患者のIRFによるPFS、研究治療の完了後のIRFによる完全寛解(CR)率、無作為化から任意の原因による死亡までの時間として定義される全生存期間(OS)、研究治療の完了後のIRFによる客観的応答率(ORR)、有害事象の種類、発生率、重症度、重篤度、および関連性が含まれる。完全寛解(CR)率は、改訂版悪性リンパ腫の応答基準(Cheson 2007)に従って、IRFによる治療の終了時にCRを有する患者の割合として定義される。疾患応答を評価することができない患者は、CR率の計算には非応答者としてスコア化する。
【0187】
全生存期間(OS)は、無作為化から任意の原因による死亡までの時間として定義される。具体的には、OS=死亡日-無作為化日+1である。研究経過観察の終了時までに死亡したことが既知ではない患者の場合、OSの観察は、患者が最後に生存していたことが既知である日付(すなわち、最終接触の日付)で打ち切る。無作為化日を超えたデータが不足している患者は、生存期間を無作為化日に打ち切る(すなわち、1日のOS期間)。IRFによるORRは、改訂版悪性リンパ腫の応答基準(Cheson 2007)に従って、(EOTでの)研究治療の完了後にIRFによるCRまたは部分寛解(PR)を有する患者の割合として定義される。
【0188】
追加のエンドポイントには、(研究中の任意の時点でATAを発症する患者の割合として定義される)ブレンツキシマブベドチンに対する抗治療抗体(ATA)の発生率、医療遭遇の数に基づく医療資源利用、欧州がん研究治療機関(EORTC)のコア生活の質質問表(QLQ-C30)および5次元の欧州生活の質(EQ-5D)によって測定される生活の質が含まれる。
【0189】
評価:応答および進行は、上記に示されるように評価する。コンピュータ断層撮影スキャンは、スクリーニング時、サイクル4の後、最前線療法の最終投与後、ならびに経過観察期間中、最初の2年間は3ヶ月ごと、およびその後は6ヶ月ごとに実行する。PETスキャンは、サイクル4の終了時および治療の終了時に行う。
【0190】
安全性は、医薬品規制用語集(MedDRA、v19.0)および米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準(v4.03)を使用する有害事象の発生率によって、ならびに生命徴候の変化および臨床研究所の結果によって評価する。
【0191】
患者が報告する転帰質問表は、治療全体を通して、例えば、各サイクル中に定期的に実
行する。欧州生活の質(EuroQOL)EQ-5Dは、0(想像できる最悪の健康状態)から100(想像できる最高の健康状態)までの範囲の「温度計」視覚的アナログ尺度を有する、5項目の質問表である。
【0192】
FACT/GOG-NTXは、生活の質の変化ならびに治療誘導性神経症状(感覚、聴覚、運動、および機能障害)の評価を評価するための自己記入質問表である。患者は、所与の陳述(0は「まったくそうではない」であり、最大4の「非常にそうである」)に連想する頻度を選択することによって、自らの幸福をスコア化する。神経毒性サブスケールは、11個の質問からなる。
【0193】
EORTC QLQ-C30は、がん患者の生活の質を評価するために開発された質問表である。QLQ-C30には、9つの多項目スケール、つまり5つの機能スケール(身体的、役割的、認知的、感情的、および社会的)、3つの症状スケール(疲労、疼痛、ならびに悪心および嘔吐)、ならびに国際保健および生活の質のスケール(Aaronson1993)が組み込まれている。
【0194】
別途特定されない限り、すべての有効性評価は、治療企図解析対象集団を使用して行う。安全性は、少なくとも1用量の試験薬を受けた患者(安全性集団)において分析する。
【0195】
対象においてグレード2以上の神経障害が出現した後にブレンツキシマブベドチンの用量を軽減した場合、A+CHP療法による治療が、末梢神経障害および肝障害または腎障害などの有害作用を軽減することが提供される。用量は、1.2mg/kgもしくは0.9mg/kg、またはその範囲内の用量に軽減することができる。
【0196】
さらに、A+CHP療法による治療の開始時の、GCSFなどの顆粒球形成刺激因子の予防的投与は、対象における好中球減少症(発熱性好中球減少症を含む)の発生率を軽減する。感染率もまた、顆粒球形成刺激因子の予防的投与によって減少する可能性がある。
【0197】
結果および考察
【0198】
研究では、合計で452人の対象を(226人をA+CHP群に、および226人をCHOP群に)無作為化した。合計で370人の対象(82%)(A+CHP群では192人の対象(85%)、およびCHOP群では178人の対象(79%))が、治療を完了した。2018年8月15日のデータ締め切り時点で、296人の対象(65%)(A+CHP群では157人の対象(69%)、およびCHOP群では139人の対象(62%))が、長期経過観察に残った。年齢の全中央値は、58歳(範囲、18~85)であった。ほとんどの対象は、男性(63%)および白人(62%)であった。この集団におけるPFSの副次エンドポイントを支持するために、プロトコルは、対象の75%±5%がsALCLの診断を有することを必要としたため、452人の登録済みの対象のうち316人(70%)が、局所評価によるsALCLの診断を有した。sALCLを有する316人の対象のうち、218人(69%)が、ALK陰性であった(無作為化対象の総集団の48%)。初期疾患診断から研究治療の第1の投薬までの時間の中央値は、0.9ヶ月(範囲、0~19ヶ月)であった。全体として、対象の53%が、初期診断時にステージIVの疾患を有した。治療群間で、人口統計およびベースライン特徴における有意差は存在しなかった。
【0199】
A+CHPまたはCHOPのいずれかの21日サイクルを6または8サイクルにわたって受けるように(サイクル数は、着手時に研究者の裁量に基づいて決定した)、対象を、1:1の比で無作為に割り当てた。追加の神経毒性の潜在性を排除するために、ビンクリスチンは、ブレンツキシマブベドチンとの併用治療から除外した。すべての対象に、CH
OP治療計画のCHP構成要素(各サイクルの1日目に静脈内投与される、シクロホスファミド750mg/m2およびドキソルビシン50mg/m2、各サイクルの1~5日目に1日1回経口投与されるプレドニゾン100mg)を投与した。ブレンツキシマブベドチン(A+CHP群、各サイクルの1日目に静脈内投与される1.8mg/kg)またはビンクリスチン(CHOP群、各サイクルの1日目に静脈内投与される1.4mg/m2[最大2.0mg])を、二重盲検、実対照様式(対象は、ブレンツキシマブベドチンおよびビンクリスチンプラセボ、またはビンクリスチンおよびブレンツキシマブベドチンプラセボのいずれかを受けた)で、CHP後に患者に対して調剤した。少なくとも6サイクルの研究治療を投与した後、研究者の裁量で、治療後の強化SCTまたは放射線療法を許可した(意図は事前に特定済み)。
【0200】
無作為化は、局所病理学評価による組織学的サブタイプ(ALK陽性sALCL対他のすべての組織型)およびベースラインの国際予後指標(IPI)スコア16(0~1対2~3対4~5)によって層別化した。
【0201】
この研究の主要エンドポイントおよびすべての重要な副次エンドポイントは満たされ、統計的に有意であった。この研究の主要エンドポイントである、独立審査機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)は、無作為化日から、進行性疾患(PD)の最初の記録の日付、任意の原因による死亡、または疾患の残存もしくは進行性疾患を治療するための後続の抗がん化学療法の受容のいずれかが最初に生じるまでの時間として定義された。治療後の強化放射線療法、末梢幹細胞を動員する目的での治療後の化学療法、または強化自家もしくは同種SCTの受容は、疾患進行または新たな抗がん療法の開始としては見なさなかった。
【0202】
研究結果は、IRFによるPFSが、CHOP群と比較して、A+CHP群で有意に改善されたことを示している(層別化HR0.71[95%CI:0.54、0.93]、P=0.011)。この差は、CHOPに対して、A+CHPでの、PFS事象(疾患進行、死亡、または新たな療法の受容)のリスクの29%の軽減に相当する。
【0203】
副次エンドポイント分析
【0204】
一次分析の結果と一貫して、A+CHP群のsALCLを有する対象のサブセットでは、CHOP群と比較して、IRFによるPFS事象のリスクの41%の軽減が存在した(HR0.59[95%CI:0.42、0.84]、P=0.0031)。
【0205】
IRF評価による治療の終了時(EOT)の完全応答(CR)率は、CHOP群の56%(95%CI:49.0、62.3)と比較して、A+CHP群の対象では68%(95%CI:61.2、73.7)であった。群間のCR率の差は、層別化コクラン・マンテル・ヘンツェル(CMH)検定によって統計的に有意であった(P=0.0066)。全生存率(OS)は、CHOPに対して、A+CHPで有意に改善された(P=0.024)。層別化HRは、0.66(95%CI:0.46、0.95)であり、これは、CHOPに対して、A+CHPで治療した対象での、死亡リスクの34%の軽減に相当する。一次分析の時点で、124人の対象(27%)(CHOP群での73人の対象(32%)に対して、A+CHP群での51人の対象(23%))が死亡していた。
【0206】
IRF評価によるEOTでの全応答率(ORR)は、CHOP群の対象では72%(95%CI:65.8、77.9)であったのと比較して、A+CHP群の対象では83%(95%CI:77.7、87.8)であった。応答率の差は、層別化CMH検定によって統計的に有意であった(P=0.0032)。
【0207】
以下の表1~6は、様々なサブグループのIRFによるPFSおよびOSの詳細な分析を示している。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【0208】
安全性
【0209】
治療期間は、2つの治療群で類似しており、対象あたりの治療の週数の中央値は、A+CHP群では18.1(範囲、3、34)であり、CHOP群では18.0(範囲、3~31)であった。受けたサイクル数の中央値は、両方の治療群で6(範囲、1~8)であった。ブレンツキシマブベドチンの相対用量強度の中央値は、99.2%(範囲、49%~104%)であった。ビンクリスチンの相対用量強度の中央値は、99.1%(範囲、42%~116%)であった。
【0210】
治療下で発現した有害事象(TEAE)、グレード3以上のTEAE、および重篤な有害事象(SAE)の総発生率は、治療群にわたって類似していた(表2を参照されたい)。A+CHP群では、グレード5のTEAEがより少なかった。AEのために治療を中断した対象の発生率は、治療群にわたって類似していた(A+CHPおよびCHOPでそれぞれ6%および7%)。A+CHP群の2人以上の対象の治療中断をもたらした唯一のTEAEは、末梢感覚神経障害(2人の対象、1%)であった。
【0211】
両群で類似した発生率で生じた末梢神経障害(PN)は、管理可能であり、時間の経過と共に解決した。治療下で発現したPNは、A+CHP群では117人の対象(52%)、およびCHOP群では124人の対象(55%)に報告された。両方の治療群で、治療下で発現したPNの過半数は、グレード1であった。グレード3のPNが、A+CHP群では8人の対象(4%)、およびCHOP群では10人の対象(4%)に生じた。グレード4のPNは、A+CHP群の1人の対象(CHOP群では0人の対象)に生じた。
【0212】
最終経過観察では、CHOP群の111/124人の対象(90%)と比較して、A+CHP群の102/117人の対象(87%)が、完全な解消またはグレード1の治療下で発現したPN事象の残存を有した。A+CHP群では、117人中15人(13%)がグレード2のPNの残存を有し、2人(2%)がグレード3のPNの残存を有し、CHOP群では、12/124人の対象(10%)がグレード2のPNの残存を有し、1人の対象(1%)がグレード3のPNの残存を有した。
【0213】
A+CHP群でのPN事象の解消までの時間の中央値は、17週間(範囲、0~195)であり、これに対してCHOP群では11.4週間(範囲、0~220)であった。
【0214】
治療下で発現した発熱性好中球減少症の全発生率は、両治療群で類似していた(A+CHP対CHOPでそれぞれ18%対15%)(表7)。一次予防的なG-CSFの添加は、両方の群で、発生率および重症度を類似した程度まで軽減した。
【表4-7】
【0215】
この試験の結果は、独立審査機関(IRF、ハザード比=0.71、p値=0.0110)によって評価されるとおり、ADCETRIS+CHPによる併用治療が、PFSについて対照群よりも優れていることを実証した。ADCETRIS+CHP群はまた、CHOPと比較して、重要な副次エンドポイントである、より優れた全生存率も実証した(ハザード比=0.66、p値=0.0244)。全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)患者におけるPFS、完全寛解率、および客観的応答率を含む、すべての他の重要な副次エンドポイントは、ADCETRIS+CHP群を支持する形で統計的に有意であった。この臨床試験におけるADCETRIS+CHPの安全性プロファイルは、CHOPに匹敵し、化学療法と併用したADCETRISの確立した安全性プロファイルと一致した。
【0216】
上記の例示的な実施例に明記される本発明の多数の修正および変形が、当業者に想起されることが予想される。したがって、添付の特許請求の範囲に見られる限定のみが本発明に課せられるべきである。
【0217】
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【配列表】
2023154026000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載したとおりの発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0216
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0216】
上記の例示的な実施例に明記される本発明の多数の修正および変形が、当業者に想起されることが予想される。したがって、添付の特許請求の範囲に見られる限定のみが本発明に課せられるべきである。
国際出願時の請求の範囲
[項1] 本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、グレード2以上の末梢神経障害を示している、成熟T細胞リンパ腫を有する対象を治療するための方法であって、0.9mg/kg~1.2mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を投与することを含む、方法。
[項2] 前記対象がグレード3の神経障害を示す場合、末梢神経障害がグレード2以下に減少するまで、抗CD30抗体薬物複合体の前記投与が保留され、その後0.9~1.2mg/kgの抗CD30抗体薬物複合体療法が投与される、請求項1に記載の方法。
[項3] 前記グレード2またはグレード3の末梢神経障害がグレード1以下に改善した後、抗CD30抗体薬物複合体の前記用量が、1.8mg/kgに増加される、請求項1または2に記載の方法。
[項4] 前記併用療法が、3週間ごとに投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項5] 前記併用療法が、21日サイクルの1日目に投与される、請求項4に記載の方法。
[項6] 前記併用療法が、6~8サイクル以下にわたって投与される、請求項4または5に記載の方法。
[項7] 前記併用療法が、8サイクルにわたって投与される、請求項4または5に記載の方法。
[項8] 前記対象が、単剤抗CD30抗体薬物複合体を、追加で8~10サイクル、合計で16サイクルにわたって受ける、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
[項9] PETスキャンにより腫瘍または腫瘍の進行が存在しないと決定されるまで、前記併用療法が投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項10] 前記併用療法が、知覚異常、知覚鈍麻、多発神経障害、筋力低下、および脱髄性多発神経障害を軽減する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
[項11] 前記神経障害が、末梢運動神経障害または末梢感覚神経障害である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[項12] 末梢神経障害が現れた場合、抗CD30抗体薬物複合体の前記用量が、1週間または2週間だけ遅延され、前記神経障害が解消されるか、またはグレード1以下であると決定された場合、前記併用療法が継続される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
[項13] 前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
[項14] 対象における成熟T細胞リンパ腫を治療するための方法であって、本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を投与することと、顆粒球形成刺激因子を予防的に投与することと、を含み、前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始と共に投与される、方法。
[項15] 前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始後、1日目~7日目または2日目~5日目に投与される、請求項14に記載の方法。
[項16] 前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の第2または後続の投与後、1日目~7日目に投与される、請求項14または15に記載の方法。
[項17] 前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の第2または後続の投与後、2日目~5日目に投与される、請求項14または15に記載の方法。
[項18] 前記顆粒球形成刺激因子が、以前に抗CD30抗体薬物複合体療法を受けていない対象に投与される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
[項19] 前記対象が、前記併用療法の投与後、治療下で発現したグレード3~4の好中球減少症を経験していない、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
[項20] 前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンである、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
[項21] 成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を受ける対象における、好中球減少症の発生率を軽減するための方法であって、顆粒球形成刺激因子を前記対象に投与することを含み、前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始と共に投与される、方法。
[項22] 前記顆粒球形成刺激因子が、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)である、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
[項23] 前記GCSFが、長時間作用型GCSFまたは非長時間作用型GCSFである、請求項22に記載の方法。
[項24] 前記GCSFが、長時間作用型GCSFであり、前記併用療法の開始後、1日目または2日目に投与される、請求項22または23に記載の方法。
[項25] 前記GCSFが、長時間作用型ではなく、前記併用療法の開始後、1、2、3、4、5、6、または7日目に投与される、請求項22または23に記載の方法。
[項26] 前記併用療法が、3週間ごとに投与される、請求項14~25のいずれか一項に記載の方法。
[項27] 前記併用療法が、2週間ごとに投与される、請求項14~25のいずれか一項に記載の方法。
[項28] 前記併用療法が、21日サイクルの1日目に投与される、請求項14~27のいずれか一項に記載の方法。
[項29] 前記併用療法が、6~8サイクル以下にわたって投与される、請求項28に記載の方法。
[項30] 前記併用療法が、8サイクルにわたって投与される、請求項28または29に記載の方法。
[項31] 前記対象が、単剤抗CD30抗体薬物複合体を、追加で8~10サイクル、合計で16サイクルにわたって受ける、請求項29または30に記載の方法。
[項32] 前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、
i)配列番号4に示される重鎖CDR1、配列番号6に示される重鎖CDR2、配列番号8に示される重鎖CDR3、ならびに
ii)配列番号12に示される軽鎖CDR1、配列番号14に示される軽鎖CDR2、および配列番号16に示される軽鎖CDR13を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
[項33] 前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、
i)配列番号2に示される重鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、および
ii)配列番号10に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
[項34] 前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、モノクローナル抗CD30抗体である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
[項35] 前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、キメラAC10抗体である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
[項36] 前記抗体薬物複合体が、モノメチルオーリスタチンEおよびプロテアーゼ切断可能リンカーを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
[項37] 前記プロテアーゼ切断可能リンカーが、チオール反応性スペーサーおよびジペプチドを含む、請求項36に記載の方法。
[項38] 前記プロテアーゼ切断可能リンカーが、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーからなる、請求項36または37に記載の方法。
[項39] 前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンである、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
[項40] 前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンであり、1.8mg/kgで投与され、シクロホスファミドが、750mg/m で投与され、ドキソルビシンが、50mg/m で投与され、プレドニゾンが、100mgで21日サイクルの1~5日目に投与される、請求項39に記載の方法。
[項41] 前記顆粒球形成刺激因子が、5~10mcg/kg/日、または300~600mcg/日、または6mg/用量の用量範囲で投与される、請求項14~40のいずれか一項に記載の方法。
[項42] 前記顆粒球形成刺激因子が、静脈内または皮下投与される、請求項14~41のいずれか一項に記載の方法。
[項43] 前記顆粒球形成刺激因子が、単回用量または複数回用量で投与される、請求項14~42のいずれか一項に記載の方法。
[項44] 前記対象が、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、典型的にはリンパ節転移として顕在化するPTCL実体、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化型大細胞リンパ腫、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、腸症型腸管T細胞リンパ腫、および鼻型節外性T細胞リンパ腫からなる群から選択される、成熟T細胞リンパ腫に罹患している、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
[項45] 前記成熟T細胞リンパ腫が、PTCLである、請求項44に記載の方法。
[項46] 前記PTCLが、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項44または45に記載の方法。
[項47] 前記PTCLが、sALCLである、請求項45または46に記載の方法。
[項48] 前記sALCLが、未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)sALCLおよび未分化リンパ腫キナーゼ陰性(ALK-)sALCLからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
[項49] 前記sALCLが、ALK+sALCLである、請求項48に記載の方法。
[項50] 前記PTCLが、sALCLではない、請求項45または46に記載の方法。
[項51] 前記PTCLが、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項45または46に記載の方法。
[項52] 前記PTCLが、AITLではない、請求項45または46に記載の方法。
[項53] 前記PTCLが、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項45または46に記載の方法。
[項54] 前記対象が、2以上の国際予後指標(IPI)スコアを有する、請求項45~53のいずれか一項に記載の方法。
[項55] 前記対象が、以前に血液がんの治療を受けていない、請求項45~54のいずれか一項に記載の方法。
[項56] 前記対象が、以前に血液がんの治療を受けており、前記がんが、再発しているか、または難治性である、請求項45~54のいずれか一項記載の方法。
[項57] 前記PTCLが、ステージIIIまたはステージIVのPTCLである、請求項45~56のいずれか一項に記載の方法。
[項58] 前記PTCLが、CD30発現PTCLである、請求項45~57のいずれか一項に記載の方法。
[項59] 前記PTCLが、CD30発現PTCLであり、前記CD30発現が、10%以上である、請求項45~58のいずれかに記載の方法。
[項60] 前記CD30発現が、FDA承認試験によって測定される、請求項59に記載の方法。
[項61] 前記成熟T細胞リンパ腫がPTCLである場合、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、前記対象がグレード2以上の末梢運動神経障害と診断された場合、抗CD30抗体薬物複合体の前記用量が、1.2mg/kgに軽減される、請求項45~60のいずれか一項に記載の方法。
[項62] 前記成熟T細胞リンパ腫がPTCLである場合、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、3週間ごとに1.8mg/kgの用量の抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法による治療を開始した後に、前記対象がグレード3以上の末梢感覚神経障害と診断された場合、抗CD30抗体薬物複合体の前記用量が、1.2mg/kgに軽減される、請求項45~60のいずれか一項に記載の方法。
[項63] 成熟T細胞リンパ腫を有し、かつ本質的にシクロホスファミド、ドキソルビシン、およびプレドニゾン(CHP)からなる化学療法と併用して、抗CD30抗体薬物複合体を含む併用療法を受ける対象における、感染症の発生率を減少させるための方法であって、感染症を軽減するのに有効な量の顆粒球形成刺激因子を前記対象に投与することを含み、前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始と共に投与される、方法。
[項64] 前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始後、1日目~7日目または2日目~5日目に投与される、請求項63に記載の方法。
[項65] 前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の第2または後続の投与後、1日目~7日目に投与される、請求項63または64に記載の方法。
[項66] 前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の前記第2または後続の投与後、2日目~5日目に投与される、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
[項67] 前記顆粒球形成刺激因子が、以前に抗CD30抗体薬物複合体療法を受けていない対象に投与される、請求項63~66のいずれか一項に記載の方法。
[項68] 前記対象が、前記併用療法の投与後、治療下で発現したグレード3~4の好中球減少症を経験していない、請求項63~67のいずれか一項に記載の方法。
[項69] 前記顆粒球形成刺激因子が、顆粒球コロニー刺激因子GCSFである、請求項63~68のいずれか一項に記載の方法。
[項70] 前記GCSFが、長時間作用型GCSFまたは非長時間作用型GCSFである、請求項69に記載の方法。
[項71] 前記GCSFが、長時間作用型であり、前記併用療法の開始後、1日目または2日目に投与される、請求項69または70に記載の方法。
[項72] 前記GCSFが、長時間作用型ではなく、前記併用療法の開始後、1、2、3、4、または最大7日目に投与される、請求項69または70に記載の方法。
[項73] 前記併用療法が、3週間ごとに投与される、請求項63~72のいずれか一項に記載の方法。
[項74] 前記併用療法が、2週間ごとに投与される、請求項63~72のいずれか一項に記載の方法。
[項75] 前記抗体が、21日サイクルの1日目に投与される、請求項73に記載の方法。
[項76] 前記併用療法が、6~8サイクル以下にわたって投与される、請求項73または75に記載の方法。
[項77] 前記併用療法が、8サイクルにわたって投与される、請求項73または76に記載の方法。
[項78] 前記対象が、単剤抗CD30抗体薬物複合体を、追加で8~10サイクル、合計で16サイクルにわたって受ける、請求項76または77に記載の方法。
[項79] 前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、
i)配列番号4に示される重鎖CDR1、配列番号6に示される重鎖CDR2、配列番号8に示される重鎖CDR3、ならびに
ii)配列番号12に示される軽鎖CDR1、配列番号14に示される軽鎖CDR2、および配列番号16に示される軽鎖CDR13を含む、請求項63~78のいずれか一項に記載の方法。
[項80] 前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、
i)配列番号2に示される重鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列、および
ii)配列番号10に示される軽鎖可変領域と少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含む、請求項63~79のいずれか一項に記載の方法。
[項81] 前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、モノクローナル抗CD30抗体である、請求項63~80のいずれか一項に記載の方法。
[項82] 前記抗CD30抗体薬物複合体の前記抗CD30抗体が、キメラAC10抗体である、請求項63~81のいずれか一項に記載の方法。
[項83] 前記抗体薬物複合体が、モノメチルオーリスタチンEおよびプロテアーゼ切断可能リンカーを含む、請求項63~82のいずれか一項に記載の方法。
[項84] 前記プロテアーゼ切断可能リンカーが、チオール反応性スペーサーおよびジペプチドを含む、請求項83に記載の方法。
[項85] 前記プロテアーゼ切断可能リンカーが、チオール反応性マレイミドカプロイルスペーサー、バリン-シトルリンジペプチド、およびp-アミノ-ベンジルオキシカルボニルスペーサーからなる、請求項83または84に記載の方法。
[項86] 前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンである、請求項63~85のいずれか一項に記載の方法。
[項87] 前記抗CD30抗体薬物複合体が、ブレンツキシマブベドチンであり、1.8mg/kgで投与され、シクロホスファミドが、750mg/m で投与され、ドキソルビシンが、50mg/m で投与され、プレドニゾンが、100mgで21日サイクルの1~5日目に投与される、請求項86に記載の方法。
[項88] 前記顆粒球形成刺激因子が、5~10mcg/kg/日、または300~600mcg/日、または6mg/用量の用量範囲で投与される、請求項63~87のいずれか一項に記載の方法。
[項89] 前記顆粒球形成刺激因子が、静脈内または皮下投与される、請求項63~88のいずれか一項に記載の方法。
[項90] 前記顆粒球形成刺激因子が、単回用量または複数回用量で投与される、請求項63~88のいずれか一項に記載の方法。
[項91] 前記成熟T細胞リンパ腫が、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、典型的にはリンパ節転移として顕在化するPTCL実体、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化型大細胞リンパ腫、特定不能の末梢T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、腸症型腸管T細胞リンパ腫、および鼻型節外性T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項63~90のいずれか一項に記載の方法。
[項92] 前記成熟T細胞リンパ腫が、PTCLである、請求項91に記載の方法。
[項93] 前記PTCLが、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項92に記載の方法。
[項94] 前記PTCLが、sALCLである、請求項92または93に記載の方法。
[項95] 前記sALCLが、未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)sALCLおよび未分化リンパ腫キナーゼ陰性(ALK-)sALCLからなる群から選択される、請求項94に記載の方法。
[項96] 前記sALCLが、ALK+sALCLである、請求項95に記載の方法。
[項97] 前記PTCLが、sALCLではない、請求項92または93に記載の方法。
[項98] 前記PTCLが、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項92または93に記載の方法。
[項99] 前記PTCLが、AITLではない、請求項92または93に記載の方法。
[項100] 前記PTCLが、全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)、特定不能の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)、腸症関連T細胞リンパ腫(EATL)、および肝脾T細胞リンパ腫からなる群から選択される、請求項92または93に記載の方法。
[項101] 前記対象が、2以上の国際予後指標(IPI)スコアを有する、請求項92~100のいずれか一項に記載の方法。
[項102] 前記対象が、以前に血液がんの治療を受けていない、請求項92~101のいずれか一項に記載の方法。
[項103] 前記対象が、以前に血液がんの治療を受けており、前記がんが、再発しているか、または難治性である、請求項92~102のいずれか一項記載の方法。
[項104] 前記PTCLが、ステージIIIまたはステージIVのPTCLである、請求項92~103のいずれか一項に記載の方法。
[項105] 前記PTCLが、CD30発現PTCLである、請求項92~104のいずれか一項に記載の方法。
[項106]前記PTCLが、CD30発現PTCLであり、前記CD30発現が、10%以上である、請求項92~105のいずれかに記載の方法。
[項107] 前記CD30発現が、FDA承認試験によって測定される、請求項106に記載の方法。
[項108] 前記顆粒球形成刺激因子が、前記併用療法の開始後、1~8日目に投与される、請求項92~107のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】