(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154042
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】筋タンパク質合成を改善するためのアミノ酸補給の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/198 20060101AFI20231011BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20231011BHJP
A61K 31/4172 20060101ALI20231011BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20231011BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20231011BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231011BHJP
A23L 33/175 20160101ALI20231011BHJP
【FI】
A61K31/198
A61K31/405
A61K31/4172
A61P3/02
A61P21/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A23L33/175
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131779
(22)【出願日】2023-08-14
(62)【分割の表示】P 2020521298の分割
【原出願日】2018-11-02
(31)【優先権主張番号】62/580,861
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517022555
【氏名又は名称】バイオベンチャーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BioVentures, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・アール・ウォルフ
(72)【発明者】
【氏名】エイミー・フェランド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】筋タンパク質合成を刺激するための方法を提供する。
【解決手段】以下の濃度のアミノ酸を含む組成物を対象に投与することを含み、前記アミノ酸組成物を投与しない対象と比較して筋タンパク質合成の刺激を増加させる、方法とする。約1~2%のヒスチジン、約9~11%のイソロイシン、約35~38%のロイシン、約14~17%のリジン、約2~4%のメチオニン、約5~7%のフェニルアラニン、約8~9%のスレオニン、約9~11%のバリン、約0.005~0.8%のトリプトファン、及び約8~11%のアルギニン。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋タンパク質合成を刺激するための方法であって、前記方法は、w/w%に換算して、以下の濃度のアミノ酸:約1~2%のヒスチジン、約9~11%のイソロイシン、約35~38%のロイシン、約14~17%のリジン、約2~4%のメチオニン、約5~7%のフェニルアラニン、約8~9%のスレオニン、約9~11%のバリン、約0.005~0.8%のトリプトファン、及び約8~11%のアルギニンを含む組成物を対象に投与することを含み、前記アミノ酸組成物を投与しない対象と比較して筋タンパク質合成の刺激を増加させる、前記方法。
【請求項2】
身体運動を伴わずに筋タンパク質合成を改善する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が哺乳動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が40歳以上のヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
3.6グラムの最小用量で筋タンパク質合成が約50%改善する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、w/w%に換算して、以下の濃度のアミノ酸:1.5%のヒスチジン、9.7%のイソロイシン、36.4%のロイシン、15.2%のリジン、3%のメチオニン、6.1%のフェニルアラニン、8.5%のスレオニン、10%のバリン、0.6%のトリプトファン、及び9%のアルギニンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
12g用量の前記組成物を1日1回ヒト対象に投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
3.6g用量の前記組成物を1日3回ヒト対象に与える、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
3.6g用量の前記組成物を1日1回ヒト対象に与える、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
3.6g用量の前記組成物を1日2回ヒト対象に与える、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
6.7g用量の前記組成物を1日1回ヒト対象に与える、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
6.7g用量の前記組成物を1日2回ヒト対象に与える、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
6.7g用量の前記組成物を1日3回ヒト対象に与える、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
運動の有無を問わず、12グラム未満の投与量で、50%超、筋タンパク質合成を刺激する、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、及びアルギニンのアミノ酸を含む組成物。
【請求項16】
12グラム未満の投与量を用いて筋タンパク質合成を刺激するための方法であって、前記方法は、w/w%に換算して、以下の濃度のアミノ酸:約1~2%のヒスチジン、約9~11%のイソロイシン、約35~38%のロイシン、約14~17%のリジン、約2~4%のメチオニン、約5~7%のフェニルアラニン、約8~9%のスレオニン、約9~11%のバリン、約0.005~0.8%のトリプトファン、及び約8~11%のアルギニンを含む組成物を対象に投与することを含み、前記アミノ酸組成物を投与しない対象と比較して筋タンパク質合成を刺激する、前記方法。
【請求項17】
12グラム未満の投与量を用いて筋タンパク質合成を刺激するための方法であって、前記方法は、w/w%に換算して、以下の濃度のアミノ酸:約1~2%のヒスチジン、約9~11%のイソロイシン、約35~38%のロイシン、約14~17%のリジン、約2~4%のメチオニン、約5~7%のフェニルアラニン、約8~9%のスレオニン、約9~11%のバリン、約0.005~0.8%のトリプトファン、及び約8~11%のアルギニンを含む組成物を対象に投与することを含み、運動をしていない、前記アミノ酸組成物を投与しない対象と比較して筋タンパク質合成を刺激する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月2日出願の米国仮出願第62/580861号の利益を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府の権利
本発明は、米国国立衛生研究所が授与するAR052293に基づく政府支援を受けて実施された。政府は本発明において、ある一定の権利を有する。
【0003】
本開示は一般に、筋タンパク質合成を刺激するための同化アミノ酸組成物の使用に関する。具体的には、哺乳動物、特に成体哺乳動物において、筋肉量、筋力、筋機能、及び身体機能、またはそれらの任意の組み合わせのうちいずれか1つの低下を予防及び/または治療するための組成物及びその使用方法を開示する。
【背景技術】
【0004】
筋タンパク質合成を刺激するには、食物タンパク質の大量摂取を必要とする。栄養の同化作用は、主として、食物タンパク質源から得たアミノ酸を骨格筋タンパク質に転移させる及び取り込むことによって駆動される。この作用の目的は、例えば肝臓の糖新生のためのアミノ酸酸化及び/または炭素付与により絶食(吸収後)期間に失われる筋タンパク質を補うことである。しかしながら、ヒトは老化するにつれ、タンパク質を消化する身体能力の効率が低下する。筋肉量の低下は30歳から始まり10年ごとに3~8%の割合で低下し、60歳から加速する。70歳超の高齢者では、このような低下が最大35~40%に達することから、サルコペニアは高齢者において特に顕著である。その結果、老化に伴う進行性の筋肉量の低下は、損傷及び身体障害のリスクを高める。
【0005】
このように、筋タンパク質合成の速度を食物タンパク質の消費から期待される以上に促進する栄養補助食品が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の様々な態様には、筋タンパク質合成を刺激するための方法及び組成物がある。一般に、本開示は、組成物を投与しない対象と比較して対象における筋タンパク質合成を刺激する有効量のアミノ酸を含む栄養組成物を提供する。
【0007】
本開示の一態様は、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、及びアルギニンを含む組成物の提供を対象とする。一態様では、本開示は、w/w%に換算して、以下の濃度のアミノ酸:約1~2%のヒスチジン、約9~11%のイソロイシン、約35~38%のロイシン、約14~17%のリジン、約2~4%のメチオニン、約5~7%のフェニルアラニン、約8~9%のスレオニン、約9~11%のバリン、約0.005~0.8%のトリプトファン、及び約8~11%のアルギニンを含む組成物を提供する。
【0008】
別の態様では、3.6グラムの最小用量で筋タンパク質合成が約50%改善する。さらに別の態様では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のアミノ酸:1.5%のヒスチジン、9.7%のイソロイシン、36.4%のロイシン、15.2%のリジン、3%のメチオニン、6.1%のフェニルアラニン、8.5%のスレオニン、10%のバリン、0.6%のトリプトファン、及び9%のアルギニンを含む。
【0009】
本開示のさらなる態様は、1日1回12g用量、1日3回3.6g用量、1日1回3.6g用量、1日2回3.6g用量、1日1回6.7g用量、1日2回6.7g用量、または1日3回6.7g用量で、アミノ酸を含む栄養組成物を投与する方法を対象とする。
【0010】
さらに態様は、運動の有無を問わず、12グラム未満の投与量で、50%超、筋タンパク質合成を刺激する、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、及びアルギニンといったアミノ酸を含む組成物を提供する。
【0011】
さらに別の態様では、本開示は、12グラム未満の投与量を用いて、筋タンパク質合成を刺激するための組成物及びその使用方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のアミノ酸:約1~2%のヒスチジン、約9~11%のイソロイシン、約35~38%のロイシン、約14~17%のリジン、約2~4%のメチオニン、約5~7%のフェニルアラニン、約8~9%のスレオニン、約9~11%のバリン、約0.005~0.8%のトリプトファン、及び約8~11%のアルギニンを含む。
【0012】
複数の実施形態が開示されているが、本発明の例示的な実施形態を示し記載している以下の詳細な説明から、本発明のさらに他の実施形態が当業者には明らかであろう。したがって、この詳細な説明は本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、一般に、筋タンパク質合成の速度を刺激することができる特定のアミノ酸製剤を含む、方法及び組成物を提供する。本出願人は、驚くべきことに、本明細書に記載の組成物が効率性の高い方法で筋タンパク質合成を刺激することを見出した。具体的には、本明細書に開示される組成物は、摂取される成分の総重量よりも多くの筋タンパク質の産生を刺激する。本発明によれば、特定の量で遊離必須アミノ酸(EAA)とアルギニンを含有する製剤は、筋タンパク質合成の刺激に非常に適していることが発見された。具体的には、相当量のロイシンを含む必須アミノ酸及びアルギニンの混合物を含む栄養組成物が、筋タンパク質合成を効果的に刺激することが発見されている。有利な点として、筋タンパク質合成の刺激が低効率である成体において、製剤が有効であることが見出された。上記アミノ酸組成物を投与しなかった対象と比較して筋タンパク質合成を向上させ、これは運動の有無を問わず起こる。
【0014】
開示される組成物の調製に使用される成分、ならびに本明細書に開示される方法の範囲内で使用される組成物それ自体が開示される。このような物質及び他の物質が本明細書で開示されているが、こうした物質の組み合わせ、部分集合、相互作用、群などが開示されている場合、これらの化合物の様々な個別的及び集合的な組み合わせならびに順列のそれぞれに対する具体的な言及が明示的に開示されていない場合であっても、それぞれが明確に企図され、本明細書に記載されているものと理解される。例えば、特定の化合物が開示及び考察され、その化合物のいくつかの分子に対してなされ得るいくつかの修飾について考察されている場合、背反する明示のない限り、化合物のあらゆる組み合わせ及び順列ならびに可能である修飾が具体的に企図される。したがって、分子A、B、及びCのクラスならびに分子D、E、及びFのクラスが開示され、かつ、組み合わせ分子の例A-Dが開示されている場合、それぞれが個別に列挙されていなくても、それぞれが個別的及び集合的に企図され、組み合わせA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、及びC-Fが開示されるとみなされることを意味する。同様に、これらの任意の部分集合または組み合わせもまた開示される。したがって、例えば、部分群であるA-E、B-F、及びC-Eが開示されるとみなされる。この考え方は、開示される組成物を作製及び使用する方法における工程を含むが、これに限定されない本出願のすべての態様に適用される。したがって、実施可能である様々な追加の工程が存在する場合、これらの追加の工程それぞれを、開示される方法の任意の具体的な実施形態または実施形態の組み合わせにより実施できるものと理解される。
【0015】
本発明の様々な態様を以下の項でさらに詳細に説明する。
【0016】
(I)組成物
本明細書では、筋タンパク質合成の刺激に有用な組成の同化アミノ酸組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、必須アミノ酸である、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、及びトリプトファンを含み得る。好ましい実施形態では、組成物は、必須アミノ酸である、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、及びトリプトファンに加えて、アミノ酸アルギニンを含み得る。
【0017】
一般に、アミノ酸は、L-アミノ酸、D-アミノ酸、またはそれらの混合物であり得る。好ましい実施形態では、アミノ酸はL-アミノ酸である。組成物のアミノ酸が遊離アミノ酸またはアミノ酸塩であってもよいことを当業者は理解されるであろう。本発明のアミノ酸組成物はまた、タンパク質またはペプチドが本発明のアミノ酸を相互に適正な濃度で含む限り、完全なタンパク質またはペプチドの形態であってもよい。好ましい実施形態では、本発明のアミノ酸は、遊離アミノ酸またはアミノ酸塩である。市販品を購入しない場合、化学合成または組換え微生物の使用を含む当技術分野において周知の方法によって、個々のアミノ酸を産生することができる。
【0018】
アミノ酸は、標準アミノ酸である、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、及びアルギニン、または非標準アミノ酸誘導体(例えば、アミノ酸の前駆体)であり得る。本発明において使用可能な非標準アミノ酸の非限定的な例として、L-リジン酢酸塩、L-チロシン誘導体、オルニチン、ケト酸類似体、塩酸塩(L-システインHCL.H2O)、及び種々のアミノ酸のN-アセチル誘導体が挙げられる。好ましい実施形態では、本発明の組成物及び溶液に使用されるアミノ酸は、遊離形態であっても塩形態であってもよい。
【0019】
一態様では、本開示のアミノ酸組成物は、1種以上の必須アミノ酸を含む。必須アミノ酸(EAA)は、対象がde novo合成できないアミノ酸であるため、食事で補給する必要がある。ヒトにとって必須とみなされるアミノ酸は、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、リジン、及びヒスチジンである。いくつかの実施形態では、EEAの組み合わせは、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、リジン、及びヒスチジンを含む。好ましい実施形態では、アミノ酸組成物はまた、少なくとも1種の条件付き必須アミノ酸を含む。
【0020】
アルギニン、システイン、グリシン、グルタミン、プロリン、セリン、及びチロシンといったアミノ酸は条件付き必須と考えられ、食事には通常必須とされないが、それらのアミノ酸を十分な量で合成していない特定の集団には外因的に補給しなければならないことを意味する。例えば、身体は通常の条件下で代謝要求を満たすのに十分なアルギニンを産生している。したがって、多くの対象にとって筋タンパク質合成を刺激するために、アルギニンを補給する必要はない。しかしながら、心不全の高齢者を含め、特定の臨床状況では、需要をすべて満たすには内因性のアルギニン産生では不十分である。そのような集団には、アルギニンまたはアミノ酸アルギニンの前駆体を含む本発明の組み合わせが有利である。用語「アミノ酸前駆体」とは、アミノ酸の代謝前駆体を指す。例えば、セリンは、システイン及びグリシンの代謝前駆体であり、3-ホスホグリセリン酸はセリンの代謝前駆体であり、したがってシステイン及びグリセリンの代謝前駆体でもある。第2の例として、シトルリンはアルギニンの代謝前駆体である。アミノ酸を合成する代謝経路は当技術分野において周知であり、当業者はこれを参照して、他のアミノ酸の代謝前駆体を特定することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組み合わせは、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、リジン、ヒスチジン、及び少なくとも1種の条件付き必須アミノ酸を含む。例えば、組み合わせは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10種の条件付き必須アミノ酸を含み得る。他の実施形態では、本発明の組み合わせは、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、リジン、ヒスチジン、及び少なくとも1種の条件付き必須アミノ酸前駆体を含む。例えば、組み合わせは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10種の条件付き必須アミノ酸前駆体を含み得る。なおも他の実施形態では、本発明の組み合わせは、フェニルアラニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、リジン、ヒスチジン、少なくとも1種の非必須アミノ酸、及び少なくとも1種の条件付き必須アミノ酸前駆体を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のヒスチジンを含み得る:約1%~約2%、約1.1%~約2%、約1.2%~約2%、約1.3%~約2%、約1.4%~約2%、約1.5%~約2%、約1.6%~約2%、約1.7%~約2%、約1.8%~約2%、約1.9%~約2%、約1%~約1.9%、約1%~約1.8%、約1%~約1.7%、約1%~約1.6%、約1%~約1.5%、約1%~約1.4%、約1%~約1.3%、約1%~約1.2%、または約1%~約1.1%のヒスチジン。
【0022】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のイソロイシンを含み得る:約9%~約11%、約9.1%~約11%、約9.2%~約11%、約9.3%~約11%、約9.4%~約11%、約9.4%~約11%、約9.4%~約11%、約9.5%~約11%、約9.6%~約11%、約9.7%~約11%、約9.8%~約11%、約9.9%~約11%、約10%~約11%、約10.1%~約11%、約10.2%~約11%、約10.3%~約11%、約10.4%~約11%、約10.5%~約11%、約10.6%~約11%、約10.7%~約11%、約10.8%~約11%、約10.9%~約11%、約9%~約10.9%、約9%~約10.8%、約9%~約10.7%、約9%~約10.6%、約9%~約10.5%、約9%~約10.4%、約9%~約10.3%、約9%~約10.2%、約9%~約10.1%、約9%~約10%、約9%~約9.9%、約9%~約9.8%、約9%~約9.7%、約9%~約9.6%、約9%~約9.5%、約9%~約9.4%、約9%~約9.3%、約9%~約9.2%、または約9%~約9.1%のイソロイシン。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のロイシンを含み得る:約35%~約38%、約35.2%~約38%、約35.4%~約38%、約35.6%~約38%、約35.8%~約38%、約36%~約38%、約36.2%~約38%、約36.4%~約38%、約36.6%~約38%、約36.8%~約38%、約37%~約38%、約37.2%~約38%、約37.4%~約38%、約37.6%~約38%、約37.8%~約38%、約35%~約37.8%、約35%~約37.6%、約35%~約37.4%、約35%~約37.2%、約35%~約37%、約35%~約36.8%、約35%~約36.6%、約35%~約36.4%、約35%~約36.2%、約35%~約36%、約35%~約35.8%、約35%~約35.6%、約35%~約35.4%、または約35%~約35.2%のロイシン。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のリジンを含み得る:約14%~約17%、約14.2%~約17%、約14.4%~約17%、約14.6%~約17%、約14.8%~約17%、約15%~約17%、約15.2%~約17%、約15.4%~約17%、約15.6%~約17%、約15.8%~約17%、約16%~約17%、約16.2%~約17%、約16.4%~約17%、約16.6%~約17%、約16.8%~約17%、約14%~約16.8%、約14%~約16.6%、約14%~約16.4%、約14%~約16.2%、約14%~約16%、約14%~約15.8%、約14%~約15.6%、約14%~約15.4%、または約14%~約15.2%のリジン。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のメチオニンを含み得る:約2%~約4%、約2.1%~約4%、約2.2%~約4%、約2.3%~約4%、約2.4%~約4%、約2.5%~約4%、約2.6%~約4%、約2.7%~約4%、約2.8%~約4%、約2.9%~約4%、約3%~約4%、約3.1%~約4%、約3.2%~約4%、約3.3%~約4%、約3.4%~約4%、約3.5%~約4%、約3.6%~約4%、約3.7%~約4%、約3.8%~約4%、約3.9%~約4%、約2%~約3.9%、約2%~約3.8%、約2%~約3.7%、約2%~約3.6%、約2%~約3.5%、約2%~約3.4%、約2%~約3.3%、約2%~約3.2%、約2%~約3.1%、約2%~約3%、約2%~約2.9%、約2%~約2.8%、約2%~約2.7%、約2%~約2.6%、約2%~約2.5%、約2%~約2.4%、約2%~約2.3%、約2%~約2.2%、または約2%~約2.1%のメチオニン。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のフェニルアラニンを含み得る:約5%~約7%、約5.1%~約7%、約5.2%~約7%、約5.3%~約7%、約5.4%~約7%、約5.5%~約7%、約5.6%~約7%、約5.7%~約7%、約5.8%~約7%、約5.9%~約7%、約6%~約7%、約6.1%~約7%、約6.2%~約7%、約6.3%~約7%、約6.4%~約7%、約6.5%~約7%、約6.6%~約7%、約6.7%~約7%、約6.8%~約7%、約6.9%~約7%、約5%~約6.9%、約5%~約6.8%、約5%~約6.7%、約5%~約6.6%、約5%~約6.5%、約5%~約6.4%、約5%~約6.3%、約5%~約6.2%、約5%~約6.1%、約5%~約6%、約5%~約5.9%、約5%~約5.8%、約5%~約5.7%、約5%~約5.6%、約5%~約5.5%、約5%~約5.4%、約5%~約5.3%、約5%~約5.2%、または約5%~約5.1%のフェニルアラニン。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のスレオニンを含み得る:約8%~約9%、約8.1%~約9%、約8.2%~約9%、約8.3%~約9%、約8.4%~約9%、約8.5%~約9%、約8.6%~約9%、約8.7%~約9%、約8.8%~約9%、約8.9%~約9%、約8%~約8.9%、約8%~約8.8%、約8%~約8.7%、約8%~約8.6%、約8%~約8.5%、約8%~約8.4%、約8%~約8.3%、約8%~約8.2%、または約8%~約8.1%のスレオニン。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のバリンを含み得る:約9%~約11%、約9.1%~約11%、約9.2%~約11%、約9.3%~約11%、約9.4%~約11%、約9.4%~約11%、約9.4%~約11%、約9.5%~約11%、約9.6%~約11%、約9.7%~約11%、約9.8%~約11%、約9.9%~約11%、約10%~約11%、約10.1%~約11%、約10.2%~約11%、約10.3%~約11%、約10.4%~約11%、約10.5%~約11%、約10.6%~約11%、約10.7%~約11%、約10.8%~約11%、約10.9%~約11%、約9%~約10.9%、約9%~約10.8%、約9%~約10.7%、約9%~約10.6%、約9%~約10.5%、約9%~約10.4%、約9%~約10.3%、約9%~約10.2%、約9%~約10.1%、約9%~約10%、約9%~約9.9%、約9%~約9.8%、約9%~約9.7%、約9%~約9.6%、約9%~約9.5%、約9%~約9.4%、約9%~約9.3%、約9%~約9.2%、または約9%~約9.1%のバリン。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のトリプトファンを含み得る:約0.005%~約0.8%、約0.006%~約0.8%、約0.007%~約0.8%、約0.008%~約0.8%、約0.009%~約0.8%、約0.01%~約0.8%、約0.02%~約0.8%、約0.03%~約0.8%、約0.04%~約0.8%、約0.05%~約0.8%、約0.06%~約0.8%、約0.07%~約0.8%、約0.08%~約0.8%、約0.09%~約0.8%、約0.1%~約0.8%、約0.2%~約0.8%、約0.3%~約0.8%、約0.4%~約0.8%、約0.5%~約0.8%、約0.6%~約0.8%、約0.7%~約0.8%、約0.005%~約0.7%、約0.005%~約0.6%、約0.005%~約0.5%、約0.005%~約0.4%、約0.005%~約0.3%、約0.005%~約0.2%、約0.005%~約0.1%、約0.005%~約0.09%、約0.005%~約0.08%、約0.005%~約0.07%、約0.005%~約0.06%、約0.005%~約0.05%、約0.005%~約0.04%、約0.005%~約0.03%、約0.005%~約0.02%、約0.005%~約0.01%、約0.005%~約0.009%、約0.005%~約0.008%、約0.005%~約0.007%、または約0.005%~約0.006%のトリプトファン。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のアルギニンを含み得る:約8%~約11%、約8.1%~約11%、約8.2%~約11%、約8.3%~約11%、約8.4%~約11%、約8.5%~約11%、約8.6%~約11%、約8.7%~約11%、約8.8%~約11%、約8.9%~約11%、約9%~約11%、約9.1%~約11%、約9.2%~約11%、約9.3%~約11%、約9.4%~約11%、約9.4%~約11%、約9.4%~約11%、約9.5%~約11%、約9.6%~約11%、約9.7%~約11%、約9.8%~約11%、約9.9%~約11%、約10%~約11%、約10.1%~約11%、約10.2%~約11%、約10.3%~約11%、約10.4%~約11%、約10.5%~約11%、約10.6%~約11%、約10.7%~約11%、約10.8%~約11%、約10.9%~約11%、約8%~約10.8%、約8%~約10.7%、約8%~約10.6%、約8%~約10.5%、約8%~約10.4%、約8%~約10.3%、約8%~約10.2%、約8%~約10.1%、約8%~約10%、約8%~約9.9%、約8%~約9.8%、約8%~約9.7%、約8%~約9.6%、約8%~約9.5%、約8%~約9.4%、約8%~約9.3%、約8%~約9.2%、約8%~約9.1%、約8%~約9%、約8%~約8.9%、約8%~約8.8%、約8%~約8.7%、約8%~約8.6%、約8%~約8.5%、約8%~約8.4%、約8%~約8.3%、約8%~約8.2%、または約8%~約8.1%のアルギニン。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は、w/w%に換算して、以下の濃度のアミノ酸を含み得る:約1%~約2%のヒスチジン、約9%~約11%のイソロイシン、約35%~約38%のロイシン、約14%~約17%のリジン、約2%~約4%のメチオニン、約5%~約7%のフェニルアラニン、約8%~約9%のスレオニン、約9%~約11%のバリン、約0.005%~約0.8%のトリプトファン、及び約8%~約11%のアルギニン。例示的な実施形態では、組成物は、1.5%のヒスチジン、9.7%のイソロイシン、36.4%のロイシン、15.2%のリジン、3%のメチオニン、6.1%のフェニルアラニン、8.5%のスレオニン、10%のバリン、0.6%のトリプトファン、及び9%のアルギニンを含み得るか、本質的にそれからなり得るか、またはそれからなり得る。
【0032】
別の態様では、本発明の組み合わせは、さらに1種以上の追加の栄養素を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「栄養素」は、プレバイオティクス、ビタミン、炭水化物、繊維、脂肪酸、硫酸塩、ミネラル、抗酸化剤、及び体内環境から取り込まれ、対象の代謝に使用される他の食品成分を指す。好適なビタミンは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB9、ビタミンB12、リポ酸、ビタミンA、ビオチン、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、及びビタミンEを含み得るが、これに限定されない。好適なミネラルは、鉄、銅、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、及び亜鉛を含有する化合物を含み得るが、これに限定されない。好適な酵素補因子は、アデノシン三リン酸(ATP)、S-アデノシルメチオニン(SAM)、補酵素B、補酵素M、補酵素Q、グルタチオン、ヘム、メタノフラン、及びヌクレオチド糖を含み得るが、これに限定されない。好適な脂質は、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、ステロール脂質、プレノール脂質、サッカロ脂質、及びポリケチドを含み得るが、これに限定されない。脂肪酸の非限定的な例として、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘキサデカトリエン酸、アルファ-リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘンエイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、クルパノドン酸、docasehaenoic酸、テトラコサペンタエン酸、及びテトラコサヘキサエン酸が挙げられる。栄養素の追加の非限定的な例は、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、カルシウム、リン、マグネシウム、マンガン、鉄、亜鉛、銅、セレン、ナトリウム、カリウム、ベータカロテン、レチノール、アルファトコフェロール、ベータトコフェロール、ガンマトコフェロール、デルタトコフェロール、アルファトコトリエノール、ベータトコトリエノール、ガンマトコトリエノール、デルタトコトリエノール、アポ-8-カロテナール、トランス-リコピン、シス-リコピン、トランス-ベータ-カロテン、及びシス-ベータ-カロテン、カフェインを含み得る。いくつかの実施形態では、本発明の組み合わせは、さらに1つの栄養素を含む。他の実施形態では、本発明の組み合わせは、さらに少なくとも1つの栄養素を含む。例えば、本発明の組み合わせは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の栄養素を含み得る。なおも他の実施形態では、本発明の組み合わせは、さらに2つ以上の栄養素を含む。好ましい実施形態では、本発明の組み合わせはさらに、オメガ3脂肪酸及びビオチンからなる群から選択される少なくとも1つの栄養素を含む。他の好ましい実施形態では、本発明の組み合わせはさらに、オメガ3脂肪酸及びビオチンからなる群から選択される2つの栄養素を含む。組み合わせの総重量に対する1つ以上の栄養素の合計寄与は、複数のアミノ酸の寄与よりも実質的に少ない。一般に、1つ以上の栄養素は、組み合わせの約10重量%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約3重量%以下を構成する。好ましい実施形態では、1つ以上の栄養素はビオチンである。他の好ましい実施形態では、1つ以上の栄養素は1つ以上のオメガ3脂肪酸である。他の好ましい実施形態では、1つ以上の栄養素はビオチン及び1つ以上のオメガ3脂肪酸である。
【0033】
(II)製剤
上記の各実施形態では、アミノ酸及び栄養素(存在する場合)を動物またはヒト用途に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、各アミノ酸及び栄養素(存在する場合)は、別々に製剤化される。他の実施形態では、2つ以上のアミノ酸及び栄養素(存在する場合)が共に製剤化される。なおも他の実施形態では、本発明の組み合わせを構成するアミノ酸及び栄養素はすべて共に製剤化される。1つ以上の製剤をさらに1つ以上の剤形に加工して、同時に、逐次的に、またはある期間にわたって(例えば、1分、10分、30分、1時間、3時間、6時間、9時間、12時間、18時間、24時間、またはそれ以上にわたって)投与することができる。経口、非経口(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内)、頬側、舌下、または坐剤投与を含む効果的な標準技術を用いて投与を実施することができる。本明細書で使用される経口という用語は、動物飼料または他の食品への組成物の添加を含む、あらゆる形態の経口投与を指す。医薬組成物の製剤化については、例えば、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1975)、及びLiberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.(1980)で考察されている。
【0034】
動物またはヒト用途の組成物の調製方法は、当技術分野において周知である。例えば、組成物は一般に、液体組成物、固体組成物、または半固体組成物として製剤化することができる。液体組成物は、懸濁水溶液、液剤、乳剤、エリキシル剤、またはシロップ剤を含むが、これに限定されない。液体組成物は、典型的には、極性溶媒、非極性溶媒、または両方の組み合わせから選択される溶媒担体を含むと考えられる。溶媒の選択は組成物の成分の特性に影響される。例えば、成分が水溶性である場合、極性溶媒が使用される場合がある。代わりに、組成物の成分が脂溶性である場合、非極性溶媒が使用される場合がある。好適な極性溶媒及び非極性溶媒は、当技術分野において公知である。半固体組成物は、灌注液、坐剤、クリーム、及び局所剤を含む。乾燥組成物は、再構成可能な散剤、咀嚼錠、速溶錠、発泡錠、多層錠、二層錠、カプセル剤、軟質ゼラチンカプセル剤、硬質ゼラチンカプセル剤、カプレット剤、トローチ錠、咀嚼トローチ錠、ビーズ、散剤、顆粒剤、粒剤、微粒剤、及び分散性顆粒を含むが、これに限定されない。製剤は、本発明の組み合わせを賦形剤と共に含み得る。賦形剤の非限定的な例としては、結合剤、希釈剤(増量剤)、崩壊剤、発泡性崩壊剤、防腐剤(抗酸化剤)、風味改質剤、滑沢剤及び滑剤、分散剤、着色剤、pH調整剤、キレート剤、抗菌剤、放出制御性ポリマー、及びこれらの薬剤のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0035】
様々な実施形態の製剤に適した結合剤の非限定的な例として、デンプン、アルファ化デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルオキソアゾリドン、ポリビニルアルコール、C12~C18脂肪酸アルコール、ポリエチレングリコール、ポリオール、糖類、オリゴ糖、ポリペプチド、オリゴペプチド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ポリペプチドは、約100~約300,000ダルトンの範囲の、任意の配列のアミノ酸であり得る。一実施形態では、結合剤を本混合物に導入し、固体形態に造粒することができ、固体形態は、結晶、粒子、粉末、または当技術分野で公知の任意の他の微粉化固体形態を含むがこれに限定されない。別の実施形態では、結合剤を溶媒に溶解または懸濁させ、造粒時に液体結合剤として造粒器内の混合物に噴霧することができる。
【0036】
希釈剤(「増量剤」または「希釈液」とも称する)の非限定的な例として、炭水化物、無機化合物、及び生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。希釈剤の他の非限定的な例として、二塩基性硫酸カルシウム、三塩基性硫酸カルシウム、デンプン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、タルク、変性デンプン、糖類、例えばスクロース、デキストロース、ラクトース、微結晶セルロース、フルクトース、キシリトール、及びソルビトール、多価アルコール類;デンプン;予め製造された直接圧縮希釈剤;ならびに前述のいずれかの混合物が挙げられる。
【0037】
崩壊剤は発泡性であっても、または非発泡性であってもよい。非発泡性崩壊剤の非限定的な例として、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの加工デンプンなどのデンプン、甘味料、ベントナイトなどの粘土、微結晶セルロース、アルギン酸塩、デンプングリコール酸ナトリウム、ガム、例えば寒天、グアール、ローカストビーン、カラヤ、ペクチン、及びトラガカントが挙げられる。好適な発泡性崩壊剤として、クエン酸と組み合わせた重炭酸ナトリウム、及び酒石酸と組み合わせた重炭酸ナトリウムが挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
防腐剤の非限定的な例として、アスコルビン酸及びその塩、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、アノキソマー、N-アセチルシステイン、ベンジルイソチオシアネート、m-アミノ安息香酸、o-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸(PABA)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、カフェ酸、カンタキサンチン、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、ベータ-カラオテン、ベータ-アポ-カロテン酸、カルノソール、カルバクロール、カテキン、没食子酸セチル、クロロゲン酸、クエン酸及びその塩、クローブ抽出物、コーヒー豆抽出物、p-クマル酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、N,N´-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、没食子酸ドデシル、エデト酸、エラグ酸、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エスクレチン、エスクリン、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、没食子酸エチル、エチルマルトール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ユーカリ抽出物、オイゲノール、フェルラ酸、フラボノイド(例えば、カテキン、エピカテキン、没食子酸エピカテキン、エピガロカテキン(EGC)、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、ポリフェノールエピガロカテキン-3-没食子酸)、フラボン(例えば、アピゲニン、クリシン、ルテオリン)、フラボノール(例えば、datiscetin、ミリセチン、daemfero)、フラバノン、フラキセチン、フマル酸、没食子酸、ゲンチアナ抽出物、グルコン酸、グリシン、グアヤックガム、ヘスペレチン、アルファ-ヒドロキシベンジルホスフィン酸、ヒドロキシケイ皮酸、ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキノン、N-ヒドロキシコハク酸、ヒドロキシチロソール、ヒドロキシ尿素、米糠抽出物、乳酸及びその塩、レシチン、レシチンシトレート;R-アルファ-リポ酸、ルテイン、リコピン、リンゴ酸、マルトール、5-メトキシトリプタミン、没食子酸メチル、クエン酸モノグリセリド;クエン酸モノイソプロピル;モリン、ベータ-ナフトフラボン、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、没食子酸オクチル、シュウ酸、クエン酸パルミチル、フェノチアジン、ホスファチジルコリン、リン酸、リン酸塩、フィチン酸、フィチルビクロメル、ピメント抽出物、没食子酸プロピル、ポリリン酸塩、ケルセチン、トランス-レスベラトロール、ローズマリー抽出物、ロスマリン酸、セージ抽出物、セサモール、シリマリン、シナピン酸、コハク酸、クエン酸ステアリル、シリンガ酸、酒石酸、チモール、トコフェロール(すなわち、アルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、及びデルタ-トコフェロール)、トコトリエノール(すなわち、アルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール、及びデルタ-トコトリエノール)、チロソール、バニリン酸、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシメチルフェノール(すなわち、Ionox 100)、2,4-(トリス-3´,5´-ビ-tert-ブチル-4´-ヒドロキシベンジル)-メシチレン(すなわち、Ionox 330)、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノン、ユビキノン、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、チオジプロピオン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、トリプタミン、チラミン、尿酸、ビタミンK及び誘導体、ビタミンQ10、小麦胚芽油、ゼアキサンチン、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。例示的な実施形態では、防腐剤は、a-トコフェロールまたはアスコルビン酸などの酸化防止剤、及びパラベン、クロロブタノール、またはフェノールなどの抗菌剤である。
【0039】
好適な風味改質剤として、香味剤、矯味剤、甘味料などが挙げられる。香味剤としては、合成の香油及び着香芳香剤及び/または天然油、植物、葉、花、果実、及びそれらの組み合わせからの抽出物が挙げられるが、これに限定されない。香料の他の非限定的な例として、シナモン油、ウィンターグリーン油、ペパーミント油、クローバー油、乾草油、アニス油、ユーカリ、バニラ、レモン油、オレンジ油、グレープ油及びグレープフルーツ油などの柑橘油、リンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、及びアプリコットなどの果実精油が挙げられる。
【0040】
矯味剤として、セルロースのヒドロキシプロピルエーテル(HPC)、例えばKlucel(登録商標)、Nisswo HPC、及びPrimaFlo HP22;低置換度ヒドロキシプロピルエーテル(L-HPC);セルロースのヒドロキシプロピルメチルエーテル(HPMC)、例えばSeppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Opadry YS、PrimaFlo、MP3295A、Benecel MP824、及びBenecel MP843;メチルセルロースポリマー、例えばMethocel(登録商標)及びMetolose(登録商標);エチルセルロース(EC)及びその混合物、例えばE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease;Opadry AMBなどのポリビニルアルコール(PVA);Natrosol(登録商標)などのヒドロキシエチルセルロース;カルボキシメチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えばAualon(登録商標)-CMC;ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールコポリマー、例えばKollicoat IR(登録商標);モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、変性食品デンプン、アクリルポリマー及びアクリルポリマーとセルロースエーテルの混合物、例えばEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)RD100、及びEudragit(登録商標)E100;フタル酸酢酸セルロース;HPMCとステアリン酸の混合物などのセピフィルム、シクロデキストリン、ならびにこれらの材料の混合物が挙げられるが、これに限定されない。他の実施形態では、企図される追加の矯味剤は、米国特許第4,851,226号、同第5,075,114号、及び同第5,876,759号に記載されたものであり、各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
甘味料の非限定的な例として、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、及びそれらの混合物(担体として使用しない場合);サッカリン及びその様々な塩、例えばナトリウム塩;アスパルテームなどのジペプチド甘味料;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;Stevia rebaudiana(ステビオシド);スクロースのクロロ誘導体、例えばスクラロース;糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、シリトール、水素化デンプン加水分解物、及び合成甘味料3,6-ジヒドロ-6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシド、特にカリウム塩(アセスルファムK)、ならびにそのナトリウム塩及びカルシウム塩が挙げられる。
【0042】
滑沢剤を利用して成分を滑沢化し、本発明の組成物を成形することができる。滑剤としての滑沢剤は、製造過程中に固体剤形の除去を容易にする。滑沢剤及び滑剤の非限定的な例として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水素化植物油、sterotex、ポリオキシエチレンモノステアレート、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、及び軽質鉱油が挙げられる。組成物は一般に、約0.01重量%~約10重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1重量%~約5重量%の滑沢剤を含む。さらなる一実施形態では、組成物は、約0.5重量%~約2重量%の滑沢剤を含む。
【0043】
分散剤は、デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、グアーガム、カオリン、ベントナイト、精製木材セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、イソアモルファスシリケート、及び親水性-親油性バランス(HLB)の高い乳化界面活性剤である微結晶セルロースを含み得るが、これに限定されない。
【0044】
実施形態によっては、着色剤を含むことが望ましい場合がある。好適な着色添加剤として、食品、医薬品及び化粧品色素(FD&C)、医薬品及び化粧品色素(D&C)、または外用薬物及び化粧品色素(Ext.D&C)が挙げられるが、これに限定されない。これらの色素または染料とそれらの対応するレーキ、ならびに特定の天然及び誘導された着色剤が、様々な実施形態での使用に適する場合がある。
【0045】
pH調整剤の非限定的な例として、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、リン酸、ソルビン酸、安息香酸、炭酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0046】
酸化基によるモルフィナンの酸化分解を阻害するために、金属イオンを含むがそれに限定されない酸化基を固定する賦形剤としてキレート剤が含まれていてもよい。キレート剤の非限定的な例として、リジン、メチオニン、グリシン、グルコン酸塩、多糖類、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(Na2EDTA)が挙げられる。
【0047】
抗菌剤を賦形剤として含めることで、細菌及び真菌を含むがそれに限定されない微生物媒介物による、本開示に記載の化合物の分解を最小限にすることができる。抗菌剤の非限定的な例として、パラベン、クロロブタノール、フェノール、プロピオン酸カルシウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、Na2EDTA、ならびに二酸化硫黄、亜硫酸水素ナトリウム、及び亜硫酸水素カリウムを含むがそれに限定されない亜硫酸塩が挙げられる。
【0048】
本開示による化合物を組み込んでいる固体剤形組成物の様々な実施形態において、放出制御ポリマーが含まれていてもよい。一実施形態では、放出制御ポリマーを錠剤コーティングとして使用することができる。二層錠を含むがそれに限定されない他の実施形態では、錠剤型に圧縮することを含むがそれに限定されない公知のプロセスにより、錠剤の成形前に放出制御ポリマーを顆粒剤及び他の賦形剤と混合してもよい。好適な放出制御ポリマーとしては、親水性ポリマー及び疎水性ポリマーが挙げられるが、これに限定されない。
【0049】
好適な親水性放出制御ポリマーとして、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、ニトロセルロース、架橋デンプン、寒天、カゼイン、キチン、コラーゲン、ゼラチン、マルトース、マンニトール、マルトデキストリン、ペクチン、プルラン、ソルビトール、キシリトール、多糖類、アルギン酸アンモニア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、プロピレングリコールアルギネート、アルギン酸カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カラギーナン、フコイダン、ファーセレラン、アラビアガム、カラギーナンガム、ガティガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、オクラガム、トラガカントガム、スクレログルカンガム、キサンタンガム、イバラノリ属、ラミナラン、アクリルポリマー、アクリレートポリマー、カルボキシビニルポリマー、無水マレイン酸とスチレンのコポリマー、無水マレイン酸とエチレンのコポリマー、無水マレイン酸プロピレンのコポリマーまたは無水マレイン酸イソブチレンのコポリマー、架橋ポリビニルアルコール及びポリN-ビニル-2-ピロリドン、ポリグルカンのジエステル、ポリアクリルアミド類、ポリアクリル酸、ポリアミド類、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド類、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アニオン性及びカチオン性のヒドロゲル、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
本明細書に開示されるアミノ酸組成物はまた、焼き製品(例えばクッキー及びブラウニー)のような食品に添加できる粉末として、及び濃縮物として作製可能な組成物も含み得る。濃縮物を水または他の摂取可能な液体に添加して、栄養飲料を作製することができる。栄養補助食品は通常、パッケージ、箱、カートン、包装紙、ボトル、または缶などの1回分または複数回分の容器に収容されている。飲料に添加可能及び飲料と混合可能な濃縮物の形態で栄養補助食品を調製する場合、濃縮物の包装にボトルまたは缶を使用することができる。栄養補助食品には水が含まれていてもよい。
【0051】
(a)アミノ酸用量
当業者は理解されるであろうが、本発明のアミノ酸組成物の用量は、対象の体重、性別、年齢、及び/または医学的病態、対象による身体運動の強度、投与方法に応じて変更でき、異なることになる。種の非限定的な例として、ヒト、コンパニオンアニマル、実験動物、動物園の動物、または農業用動物を含み得る。通常の実験により、必要な投与量を容易に確定することができる。経口投与のための典型的なアミノ酸用量は、用量あたり約7gであり得る。いくつかの実施形態では、約3、4、5、10、または12gのアミノ酸用量のアミノ酸組成物を投与することができる。他の実施形態では、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12gのアミノ酸用量のアミノ酸組成物を投与することができる。例示的な実施形態では、アミノ酸用量は、用量あたり約7gであり得る。
【0052】
また、筋タンパク質合成の所望の刺激を与えるために、必要に応じて、1日あたり複数回用量のアミノ酸組成物の投与を用いてもよい。例えば、1日あたり1回、2回、3回、4回、またはそれ以上の用量のアミノ酸組成物を投与することができる。好ましい一実施形態では、1日あたり1回用量のアミノ酸組成物を投与することができる。別の好ましい実施形態では、1日あたり2回用量のアミノ酸組成物を投与することができる。さらに別の好ましい実施形態では、1日あたり3回用量のアミノ酸組成物を投与することができる。
【0053】
本発明の組成物の投与の時期及び期間は変更することができ、異なることになる。例えば、運動の有無を問わず筋タンパク質合成を刺激するために組成物を投与する場合、組成物は、定期的な運動無し、定期的な運動を開始する前、定期的な運動中、または定期的な運動後に投与することができる。あるいは、高齢のヒト対象などの、筋肉に問題を起こしやすい対象における筋タンパク質合成を改善するために組成物を投与する場合、組成物を定期的に投与することができる。
【0054】
例示的な実施形態では、対象がヒトの場合、用量あたり3gのアミノ酸組成物を1日3回投与することができる。別の例示的な実施形態では、用量あたり7gのアミノ酸組成物を1日2回投与することができる。さらに別の例示的な実施形態では、用量あたり7gのアミノ酸組成物を1日1回投与することができる。
【0055】
(b)投与
本発明の組成物を静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射として、または非経口経路で投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、注射(例えば、腹腔内、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与用に製剤化することができる。したがって、これらの組成物は、好ましくは、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液などの薬学的に許容されるビヒクルと組み合わされる。
【0056】
本発明のアミノ酸組成物は、医薬担体(または賦形剤)を含み得る。そのような担体は、任意の溶媒であっても被包用の固体材料であってもよく、非毒性である。担体は、成形するものまたは粘度を与えるものであっても、希釈剤として作用するものであってもよい。好適な医薬担体は、正常生理食塩水及び生理学的濃度またはそれに近似する他の非毒性の塩などの液体担体、ならびにタルクもしくはスクロースなどのヒトに使用されない固体担体、または動物飼料を含み得る。担体はまた、安定剤、湿潤剤、及び乳化剤、浸透圧変化のための塩、封入剤、緩衝剤、及び皮膚浸透促進剤も含み得る。担体及び賦形剤、ならびに非経口及び経口の薬物送達用製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 19th Ed.Mack Publishing(1995)に記載されている。
【0057】
非経口投与(皮下、皮内、静脈内、筋肉内、及び腹腔内を含む)の場合、組成物は水溶液であっても油性溶液であってもよい。水溶液は、水、生理食塩水などの滅菌希釈液、グリセロール、プロピレングリコール、もしくは他の合成溶媒などの薬学的に許容されるポリオール;ベンジルアルコール、メチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、チメロサールなどの抗菌剤及び/または抗真菌剤;アスコルビン酸もしくは亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、もしくはリン酸塩などの緩衝液;及び/または塩化ナトリウム、デキストロースなどの等張性調整のための薬剤、またはマンニトールもしくはソルビトールなどの多価アルコールを含み得る。水溶液のpHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。油性溶液または懸濁液はさらにゴマ油、落花生油、オリーブ油、または鉱油を含み得る。
【0058】
好ましい一実施形態では、本発明のアミノ酸組成物は経口投与することができる。本発明のアミノ酸組成物の投与に使用可能な経口製剤の非限定的な例は、栄養製剤、医療食品、医療飲料、完全食形態、部分食形態、分解に適する粉末である食品添加物、錠剤、丸薬、サシェ、もしくはカプセル形態などの医薬製剤の形態、または経管栄養によるもの、例えば経鼻胃管、経鼻十二指腸、食道瘻造設管、胃瘻造設管、もしくは空腸瘻造設管、もしくは末梢もしくは全身非経口栄養法といった手段によるものであり得る。例示的な実施形態では、本発明の組成物は栄養補助食品として経口投与することができる。
【0059】
経口投与用の組成物は一般に、組成物のアミノ酸成分に加えて不活性賦形剤を含有する。経口調製物は、ゼラチンカプセルに封入することも、または圧縮して錠剤にすることもできる。そのような調製物に使用される一般的な賦形剤として、薬学的に適合する増量剤/希釈剤、例えば微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、第二リン酸カルシウム、または炭酸カルシウム;結合剤、例えばアルギン酸、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、ゼラチン、トラガカントガム、またはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばアルギン酸、セルロース、デンプン、またはポリビニルピロリドン;滑沢剤、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、またはフマル酸ステアリルナトリウム;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;香味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、または柑橘類香料;着色剤;及び防腐剤、例えば酸化防止剤(例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、またはパルミチン酸レチニル)、クエン酸、またはクエン酸ナトリウムが挙げられる。経口調製物はまた、水性懸濁液、エリキシル剤、またはシロップ剤として投与することもできる。その場合、種々の甘味剤または香味剤、着色剤、ならびに望ましい場合は、乳化剤及び/または懸濁剤、ならびに水、エタノール、グリセリン、及びそれらの組み合わせなどの希釈剤と活性成分を組み合わせることができる。
【0060】
本発明による組成物は栄養学的に完全であり得る。すなわち、実質的にすべての必須1日量のビタミン、ミネラル、炭水化物、脂肪及び/または脂肪酸、タンパク質などを供給する単一栄養源として使用できるように、ビタミン、ミネラル、微量元素に加え、窒素、炭水化物、ならびに脂肪及び/または脂肪酸の供給源を含み得る。
【0061】
(II)方法
本発明はまた、筋タンパク質合成を増加させる方法、筋肉量、筋力、筋機能、及び身体機能のいずれか1つの低下を予防及び/または治療する方法、またはそれらの任意の組み合わせを提供する。方法は、複数の必須アミノ酸と、場合により非必須アミノ酸及び/または栄養素を含む組成物を対象に投与することを含む。投与に適した組み合わせ及び製剤は、I項及びII項にそれぞれ上述されている。
【0062】
本開示による栄養組成物は、有利には、哺乳動物、特に成体哺乳動物における筋低下を伴う疾患または病態の予防または治療のための医薬品の製造に使用することができる。あるいは、本発明による栄養組成物は、有利には、サルコペニア、筋低下、筋タンパク質合成の不足、筋分解、筋タンパク質分解、筋萎縮、筋ジストロフィー、筋異化、筋消耗、筋力の低下、筋肉量の低下、筋機能の低下、身体能力の低下、身体性能の低下、運動障害、虚弱、手術、身体障害、転倒リスク、及び転倒付随の骨折のリスクから選択される疾患または病態の予防または治療のための医薬品の製造に使用することができる。好適な対象は、ヒト、家畜動物、コンパニオンアニマル、実験動物、または動物学上の動物を含み得る。好ましい一実施形態では、対象はヒトである。応答の程度は、部分的に、所与の用量、厳密なアミノ酸の組み合わせ、生理的状態及び/または対象の年齢、及び/または運動の実施と関連する投与時期に応じて異なる場合がある。
【0063】
好ましくは、上記対象は高齢のヒトである。この点に関して、本出願の文脈で、高齢のヒトとは、50歳以上の人であり、特に55歳以上、より特には60歳以上、より特には65歳以上であるものとする。このやや広範な定義は、異なる集団間、異なる大陸などで平均年齢が変化するという事実を考慮しているためである。世界の先進国の大半は、暦年齢65歳を「高齢者」または老人の定義とみなしているが(年金給付の受給開始可能な年齢と関連)、多くの西洋的概念と同様に、例えばアフリカの状況にはあまり適合しない。現時点で、国際連合(UN)の標準的な数値基準は存在しないが、UNの合意では西洋世界で高齢集団を指す際には60歳+を下限としている。アフリカの老人または「高齢」者の従来的な定義は、生活環境、地域、及び国に応じて、暦年齢50~65歳に相当する。
【0064】
本開示による栄養組成物は、有利には、体重維持期間もしくはその後、カロリー制限期間もしくはその後、安静臥床時もしくはその後、または身体的外傷後の回復期間の、筋低下、特に筋肉量の低下を予防または治療するために使用することができる。特に好ましい一実施形態では、本発明の組成物は、対象、例えば過体重または肥満に悩む対象、減量プログラム、カロリー制限プログラム、及び/または運動プログラム後の上記対象の治療に使用される。上記対象は、小児、青年、成人、または高齢の対象であり得る。一実施形態では、上記対象は、小児、青年、または成人であり得る。
【0065】
筋肉量及び筋機能は老化と共に徐々に低下し、その結果、本来健康なヒト対象の多くは、60歳までには機能に影響が出始める限界点に達する。一態様では、任意の健康な対象に本発明の組成物を投与することにより、筋タンパク質合成の増加、筋力の増加、筋機能の増加、またはそれらの組み合わせが可能であるが、応答の程度は、対象の年齢及び/または生理的状態に応じて異なる場合がある。
【0066】
身体のタンパク質の低下は、疾病が短期であるか長期であるかを問わず、疾病に付随する場合が多い。別の態様では、疾病の結果、身体のタンパク質が低下した対象に本発明の組み合わせを投与することにより、対象における筋タンパク質合成の増加、筋力の増加、筋機能の増加、またはそれらの組み合わせが可能である。別の態様では、筋萎縮のリスクがあるかまたは筋萎縮を患う対象に本発明の組み合わせを投与することにより、筋タンパク質合成の増加、筋力の増加、筋機能の増加、またはそれらの組み合わせが可能である。筋萎縮のリスクがある対象または筋萎縮を患う対象の非限定的な例として、座っていることが多い生活様式のヒト、坐業従事者、運動が制限される医学的病態、寝たきりの対象、地球重力場から離れている対象、筋肉と接続する神経に損傷のある対象、筋肉を制御する神経に影響する疾患のリスクがあるかまたは疾患と診断された対象が挙げられる。筋萎縮を起こす疾患、障害、または病態の非限定的な例として、ポリオ、ギラン・バレー症候群、慢性閉塞性肺疾患、鬱血性心不全、急性冠症候群、慢性心不全、心臓性悪液質、がん、サルコペニア、脊髄損傷、変形性関節症、関節炎、脳卒中、栄養失調、筋ジストロフィー(例えばベッカー型、先天性、デュシェンヌ型、遠位型、エメリー・ドライフス型、顔面肩甲上腕型、肢帯型、眼咽頭型)、脊髄性筋萎縮症(例えば、ALS、運動ニューロン疾患、乳児進行性脊髄性筋萎縮症、中間型脊髄性筋萎縮症、若年性脊髄性筋萎縮症、成人脊髄性筋萎縮症)、炎症性筋疾患(例えば皮膚筋炎、多発性筋炎)、末梢神経の疾患(例えば、シャルコー・マリー・トゥース病、デジュリーヌ・ソッタス病、フリードライヒ失調症)、神経筋接合部の疾患(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群)、筋肉の代謝性疾患(酸性マルターゼ欠損症、カルニチン欠乏症、カルニチンパルミチルトランスフェラーゼ欠損症、デブランチャー酵素欠損症、乳酸デヒドロゲナーゼ欠損症、ミトコンドリアデアミナーゼ欠損症、ホスホリラーゼ欠損症、ホスホフルクトキナーゼ欠損症、ホスホグリセリン酸キナーゼ欠損症)、他の筋疾患(中心コア筋障害、甲状腺機能亢進性ミオパシー、先天性ミオトニア、筋管様ミオパチー、先天性パラミオトニア、低カリウム性-高カリウム血性の周期性四肢麻痺)、または対象が固定状態もしくは安静臥床下に置かれる必要がある任意の他の疾患または病態、特に慢性心不全及び心臓性悪液質が挙げられる。
【0067】
本発明の方法は一般に、対象にアミノ酸組成物を投与することを含む。好適な対象として、哺乳動物及びヒトなどの動物が挙げられる。好適な動物の非限定的な例としては、コンパニオンアニマル、例えばネコ、イヌ、齧歯類、及び馬;実験動物、例えばマウス、ラット、及び他の齧歯類;農業用動物、例えば乳牛、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、シカ、ニワトリ、及び他の家禽;動物園の動物;ならびに霊長類、例えばチンパンジー、サル、及びゴリラが挙げられる。好ましい一実施形態では、対象はヒトである。別の好ましい実施形態では、対象は哺乳動物である。
【0068】
投与頻度は、所望の効果が生じるように必要に応じて、毎日1回、2回、3回、もしくはそれ以上、週もしくは月に1回、2回、3回、もしくはそれ以上であり得る。対象への投与量は、対象に応じて(例えば、年齢、体重、健康状態)、及び特定の投与様式に応じて変更でき、異なることになる。Goodman & Goldman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition(2001),Appendix II,pp.475-493、及びPhysicians’ Desk Referenceのガイダンスに従って、投与量を決定できることも当業者は理解されるであろう。
【0069】
ヒト対象は、任意の年齢であり得る。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、約30歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、またはそれ以上であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、ヒト対象は40歳以上である。他の好ましい実施形態では、ヒト対象は45歳以上である。さらに他の好ましい実施形態では、ヒト対象は50歳以上である。なおも他の好ましい実施形態では、ヒト対象は55歳以上である。他の好ましい実施形態では、ヒト対象は60歳以上である。さらに他の好ましい実施形態では、ヒト対象は65歳以上である。なおも他の好ましい実施形態では、ヒト対象は70歳以上である。他の好ましい実施形態では、ヒト対象は75歳以上である。なおも他の好ましい実施形態では、ヒト対象は80歳以上である。さらに他の好ましい実施形態では、ヒト対象は85歳以上である。なおも他の好ましい実施形態では、ヒト対象は90歳以上である。
【0070】
いくつかの実施形態では、対象は、毎日の運動が不足している対象のための実施形態の選択肢であり得る。
【0071】
他の実施形態では、対象は、筋タンパク質合成を効率的に刺激する能力を欠く対象のための実施形態の選択肢であり得る。
【0072】
他の実施形態では、対象は、身体運動の不足から回復中であり得る。高強度の筋肉運動時に、実施される筋肉運動の速度が、酸素を送達する血液供給の能力を超える場合があり、これが筋細胞における還元ストレスを誘導し、筋肉の損傷、身体能力の障害、損傷の素因、及び回復期間の長期化をもたらし得る条件となる。筋肉の損傷、身体能力の障害、損傷の素因、及び回復期間の長期化をもたらし得る身体運動の非限定的な例は、ストレッチなどの柔軟運動、サイクリング、水泳、ウォーキング、なわとび、漕艇、ランニング、ハイキング、またはテニスなどの有酸素運動、ウェイトトレーニング、機能訓練、エキセントリックトレーニングもしくは短距離走、筋力トレーニング、敏捷性トレーニング、またはエキセントリックトレーニングなどの無酸素運動を含み得る。
【0073】
(a)筋タンパク質合成の改善
本発明の方法は、アミノ酸組成物を与えられている対象の筋タンパク質合成を、上記アミノ酸組成物を与えられなかった対象と比較して向上させる。
【0074】
筋タンパク質合成の増加は当技術分野において公知のいずれかの方法で測定することができる。例えば、筋肉中及び血液中でのタンパク質の合成及び分解の速度は、長年にわたり、放射性標識アミノ酸または安定同位体で標識されたアミノ酸を使用して測定されてきた。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Yale J Biol Med 1997;70(1):65-76を参照のこと。尿に排出された3-メチルヒスチジンまたは動静脈の3-メチルヒスチジンの差の測定が、筋タンパク質分解の一方向速度の尺度として使用されている。全身骨格量は、二重エネルギーX線(DEXA)吸光光度法を用いて、またはCTにより測定することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Am J Clin Nutr 2002;76:378-83,及び J Appl Physiol 1985を参照のこと。筋力または筋機能を測定する方法もまた、当技術分野において周知である。例えば、筋力及び筋機能の変化は、B J Nutr 2012;108:S88-93またはLu et al.(2012)“Strength and Functional Measurement for Patients with Muscular Dystrophy” Muscular Dystrophy,Dr.Madhuri Hegde(Ed.)に記載の基本的な標準試験を使用して評価することができ、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、筋タンパク質合成を少なくとも2倍増加させることができる。例えば、筋タンパク質合成は、本発明の組み合わせの投与後に、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加し得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、筋力を少なくとも2倍増加させることができる。例えば、筋力は、本発明の組み合わせの投与後に、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加し得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、筋機能を少なくとも2倍増加させることができる。例えば、筋機能の合成は、本発明の組み合わせの投与後に、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、またはそれ以上増加し得る。他の実施形態では、本発明の方法は、筋タンパク質合成、筋力、及び筋機能、またはそれらの組み合わせを増加させることができる。筋タンパク質合成、筋力、及び筋機能を測定する方法は、当技術分野において公知であり、さらに実施例で詳細に説明する。
【0076】
(III)キット
またキットも提供する。そのようなキットは、本明細書に記載の組成物を含み得、特定の実施形態では、投与のための説明書を含み得る。そのようなキットは、本明細書に記載の方法の実施を容易にすることができる。キットとして供給する場合、組成物の種々の成分を別々の容器に包装し、使用直前に混合することができる。本明細書に記載されるように、成分はアミノ酸組成物を含むが、これに限定されない。そのような成分の個別包装は、必要に応じて、組成物を含有する1種以上の単位剤形を収容できるパックまたはディスペンサー装置の形態で提供することができる。パックは、例えばブリスターパックなどの金属箔またはプラスチック箔を含み得る。そのような成分の個別包装はまた、特定の場合には、成分の活性を損なうことなく長期保存を可能にすることができる。
【0077】
キットはまた、例えば個別包装された凍結乾燥活性成分に追加される滅菌水または滅菌生理食塩水などの試薬を別々の容器に含み得る。例えば、密閉ガラスアンプルに凍結乾燥成分を収容し、別のアンプルに、窒素などの中性非反応性ガス下でそれぞれが包装された、滅菌水、滅菌生理食塩水、または滅菌物を収容することができる。アンプルは、ガラス、有機ポリマー(ポリカーボネート、ポリスチレンなど)、セラミック、金属、または試薬の保持に通常使用される任意の他の材料など、任意の好適な材料で構成され得る。好適な容器の他の例として、アンプルと類似する材料で製造できるボトル、及びアルミニウムまたは合金などの箔内張の内部からなり得る封体が挙げられる。他の容器として、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジなどが挙げられる。容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有するボトルなど、滅菌アクセスポートを有するものであってもよい。他の容器は、除去時に成分の混合が可能である、容易に除去可能な膜によって分離された2つの区画を有するものであってもよい。除去可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴムなどであり得る。
【0078】
特定の実施形態では、キットを指示説明書と共に供給することができる。説明書を紙または他の基材に印刷することも、及び/またはフロッピーディスク、ミニCD-ROM、CD-ROM、DVD-ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープなどの電子可読媒体として供給することもできる。詳細な説明書は、物理的にキットに付属していなくてもよい。代わりに、キットの製造業者または販売業者が指定したインターネットウェブサイトにユーザーを誘導してもよい。
【0079】
定義
本明細書で使用される用語はすべて、特定の実施形態の記載のみを目的としており、いかなる方法または範囲での限定を意図しないものと理解されるべきである。例えば、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈によって特に明示されない限り、複数の指示対象物を包含し得る。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」は包括的であることを意図し、列挙した要素以外の追加要素が存在し得ることを意味する。さらに、すべての単位、接頭辞、及び記号は、SI公認形式で表され得る。
【0080】
本明細書で使用される場合、特に記載のない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的では、化学元素は、周期表、CAS版、及びHandbook of Chemistry and Physics,75th Ed.1994に従って特定される。加えて、有機化学の一般原則は、“Organic Chemistry,” Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、及び“March’s Advanced Organic Chemistry,” 5th Ed.,Smith,M.B.and March,J.,eds.John Wiley & Sons,New York:2001に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
用語「mmol」は、本明細書で使用される場合、ミリモルを意味することを意図する。用語「当量(equiv)」は、本明細書で使用される場合、当量を意味することを意図する。用語「mL」は、本明細書で使用される場合、ミリリットルを意味することを意図する。用語「g」は、本明細書で使用される場合、グラムを意味することを意図する。用語「kg」は、本明細書で使用される場合、キログラムを意味することを意図する。用語「μg」は、本明細書で使用される場合、マイクログラムを意味することを意図する。用語「h」は、本明細書で使用される場合、時間を意味することを意図する。用語「min」は、本明細書で使用される場合、分を意味することを意図する。用語「M」は、本明細書で使用される場合、モルを意味することを意図する。用語「μL」は、本明細書で使用される場合、マイクロリットルを意味することを意図する。用語「μM」は、本明細書で使用される場合、マイクロモルを意味することを意図する。用語「nM」は、本明細書で使用される場合、ナノモルを意味することを意図する。用語「N」は、本明細書で使用される場合、規定を意味することを意図する。用語「amu」は、本明細書で使用される場合、原子質量単位を意味することを意図する。用語「℃」は、本明細書で使用される場合、摂氏温度を意味することを意図する。用語「wt/wt」は、本明細書で使用される場合、重量/重量を意味することを意図する。用語「v/v」は、本明細書で使用される場合、体積/体積を意味することを意図する。用語「MS」は、本明細書で使用される場合、質量分析を意味することを意図する。用語「HPLC」は、本明細書で使用される場合、高速液体クロマトグラフを意味することを意図する。用語「RT」は、本明細書で使用される場合、室温を意味することを意図する。用語「例えば」は、本明細書で使用される場合、例を意味することを意図する。用語「該当なし」は、本明細書で使用される場合、試験対象外を意味することを意図する。
【0082】
本明細書内に列挙される数値範囲は、範囲を規定する数を包含するものであり、規定された範囲内の各整数を含む。本開示の全体を通じて、本発明の様々な態様が範囲形式で表される。範囲形式での記載は、単に便宜上かつ簡潔さのためであって、本発明の範囲に対する不変の限定と解釈すべきではないと理解されるべきである。したがって、ある範囲の記載は、その範囲内のすべての可能な部分範囲、分数、及び個々の数値を明確に開示するものとみされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲に加え、その範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6、ならびに小数及び分数、例えば、1.2、3.8、1 1/2、及び4 3/4を明確に開示するものとみされるべきである。これは範囲の幅とは関係なく適用される。本出願の文脈において、用語「少なくとも」には開区間の出発点も含まれる。例えば、「少なくとも95重量%」の量は、任意の量が95重量%と等しいかそれを超えることを意味する。
【0083】
用語「重量パーセント」、「wt-%」、「重量率」、「重量%」、及びその変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除算し、100を乗じた物質濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「wt-%」などと同義であることが意図されるものと理解される。
【0084】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、例えば、質量及び体積を含むがこれに限定されない任意の定量可能な変数に関して、通常の測定技術及び装置によって起こり得る数量の変動を指す。さらに、所与の固体及び液体の取り扱い手順を実世界で使用した場合、組成物の製造または方法の実施などに使用される成分の製造、供給源、または純度の違いによると思われる何らかの不注意による誤差及び変動が存在する。
【0085】
本発明の方法及び組成物は、本発明の構成要素及び成分ならびに本明細書に記載の他の成分を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる場合がある。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、追加の工程、構成要素、または成分が、特許請求される方法及び組成物の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限り、方法及び組成物が追加の工程、構成要素、または成分を含み得ることを意味する。
【0086】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述の組成物及び方法に様々な変更を加えることができるため、上記の説明及び以下に示す実施例に含まれるすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるべきであることが意図される。
【実施例0087】
本開示の種々の実施形態を実証するために、以下の実施例を記載する。以下に示す実施例に開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者らによって発見された技術を代表するものであり、したがってその実施にとって好ましい様式を構成するとみなし得ることを当業者は理解されたい。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された具体的な実施形態に多数の変更を加えることができ、それでもなお本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができるものと理解されたい。
【0088】
実施例1.EAAとアルギニンの混合物3.6gの効果に関する実験的根拠。
以下の試験は、以下のアミノ酸製剤の2回用量に対する応答を定量するために実施した:
・1~2%のヒスチジン
・9~11%のイソロイシン
・35~38%のロイシン
・14~17%のリジン
・2~4%のメチオニン
・5~7%のフェニルアラニン
・8~9%のスレオニン
・9~11%のバリン
・0.002~0.8%のトリプトファン
・8~11%のアルギニン
【0089】
高齢対象群(表1を参照)について、上記の3.6gまたは10.8gいずれかのアミノ酸製剤の摂取により生じる筋タンパク質合成の急性刺激を測定した。費用及び風味の両方に基づいて、この投与量が商業的に実現性があるため3.6g用量を選択した。高用量は筋タンパク質のFSRを刺激するだけでなく、強度及び身体機能の点で長期転帰の利点をもたらすことが示されたため(13)、3.6gに対する応答を10.8gの投与量と比較した。筋タンパク質合成は、アミノ酸製剤の経口摂取前及び摂取後に測定した。
表1.対象の特性
【表1】
【0090】
一晩絶食後に対象を試験した。試験手順には、5時間の絶食期間とEAA製剤の摂取後3時間を要した。実験全体を通して対象に微量の2H5-フェニルアラニンの一定注入を施した。基準期間中の微量注入の2時間後及び5時間後、ならびにアミノ酸製剤の摂取から3時間後に筋肉生検を採取した。筋肉の遊離フェニルアラニン及びタンパク質結合フェニルアラニンの濃縮を各生検試料で測定し、基準状態時及び製剤摂取後の3時間にわたる筋タンパク質の部分合成速度(FSR)を算出した。筋タンパク質のFSRは、時間単位内(本実験では毎時)に産生された総筋肉量に占める割合を表している。本実験のような短期間では、筋タンパク質の量が試験の開始から終了まで変化する可能性がないため、筋タンパク質のFSRが筋タンパク質合成の絶対速度を直接表すものである。値は事後値-事前値で算出した。絶食時の筋タンパク質合成は、この試験の時間枠では変化しないことが様々な研究で示されているため(例えば14)、この方法では各対象を自身の対照として利用した。摂取後の値は、アミノ酸製剤の摂取後3時間全体の積算応答を表す。
【0091】
3.6g投与量の摂取後、筋肉のFSRは0.0568%/時増加した。これは、基準FSRよりも57%の増加であった。対応する値は0.0692%/時の増加であり、基準値より76%の増加であった。血漿中EAA濃度も測定した(表2)。
表2 アミノ酸濃度(mol/L/3時間)
*
【表2】
*対応する基礎値と比較した増加、曲線下面積
**BCAAは分枝鎖アミノ酸、ロイシン、バリン、及びイソロイシンである
【0092】
3回のアミノ酸量を高投与量で与えたが、高投与量での筋タンパク質のFSRの増加は、3.6g投与量に対する応答よりわずかに増加しただけであった。低投与量に対する応答が過度に大きい理由は、表2に示すアミノ酸濃度が摂取アミノ酸量の差の程度を反映していないことで部分的に説明される。これはおそらく、高投与量で提供された場合、EAAの酸化が加速し、それにより所与の投与量があまり効率的に利用されないことを表していた。言い換えると、合成を増加させる筋レベルのシグナルが、低用量に対する応答において過度に大きかった。また、筋肉内での合成反応を活性化するには3.6g投与量で十分であったことを示している。3.6g投与量に対する応答が過度に大きいことに対する別の可能性の高い説明は、3.6g製剤中のロイシンの量が開始因子の最大活性化を誘発するのに十分であったこと、及び高用量でFSRの増加が比較的小さく、全体として合成のための前駆体の供給増加を表していたことである。
【0093】
新たに合成されたタンパク質は20種のアミノ酸をすべて含有するが、製剤中には9種のアミノ酸のみが含有される。残りのアミノ酸は、タンパク質分解に由来する、より効率的なアミノ酸の再利用から誘導される。したがって、アラニンを含む一部のアミノ酸は、主要な手段として通常は筋肉から放出され、それによって窒素を肝臓に輸送し、取り込まれてアンモニア及び尿素になり、尿で最終的に排出される代わりに、タンパク質の合成に再利用される。この解釈と一致するものとして、EAA混合物の摂取後、アラニン濃度が減少したことが以前の研究で観察されており(15)、タンパク質合成の過程で再利用が増強されることが示された。その結果、アラニン及び他のNEAAを含むアミノ酸混合物の摂取とは対照的に、EAA摂取後の尿素産生の増加はみられなかった(15)。
【0094】
この至適比のEAAとアルギニンは低投与量で筋タンパク質合成を刺激するため、この結果は予想外である。アミノ酸を含有する典型的なタンパク質は、この組成物3.6グラムよりもはるかに低い効果を有するため、20グラムを大幅に超える投与量を必要とするであろう。