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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154080
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】超過圧力による針の挿入
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20231011BHJP
【FI】
A61M5/142 522
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133312
(22)【出願日】2023-08-18
(62)【分割の表示】P 2019548732の分割
【原出願日】2018-02-20
(31)【優先権主張番号】62/468,190
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ビー・マッカロー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬剤送達装置の針及び/又はカニューレを挿入又は留置するための機構と方法を提供する。
【解決手段】薬剤送達装置のための挿入機構100。挿入機構は、近位端112と、遠位端114と、近位端の付近に留置された第一の開口120と、遠位端に配置された第二の開口124と、を含む。針又はカニューレアセンブリ130はハウジング110内に配置され、近位面134と遠位面136を持つ基部132と、遠位面に連結された針又はカニューレ140と、を有する。引込部材142がハウジング内に配置されて、針又はカニューレアセンブリを伸展位置に移動するまで引込位置に保持し、引込部材は基部と接触する。第一の開口から、ある量の圧力P1が引込部材の抵抗力を超える作動力を基部の近位面に加えるまで圧力が供給されると、針アセンブリが引込位置から伸展位置へと移動される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、前記容器に連結された流体経路コネクタ、及び圧力供給装置を有する主ハウジングと、
前記主ハウジング内に配置され、前記圧力供給装置に動作的に連結された挿入機構であって、前記流体経路コネクタは、前記容器と前記挿入機構との間の流体流路を画定し、
近位端、遠位端、前記近位端の付近に配置された第一の開口、及び前記遠位端に配置された第二の開口を有するハウジングであって、前記第一の開口は前記圧力供給装置に連結されるハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、引込位置と伸展位置との間で移動可能な針又はカニューレアセンブリであって、近位面と遠位面を有する基部と、前記基部の前記遠位面に連結された針又はカニューレと、を含み、前記基部が前記ハウジングを近位チャンバと遠位チャンバとに分割する針又はカニューレアセンブリと、
前記ハウジング内に配置されて、前記針又はカニューレアセンブリを、前記伸展位置に移動されるまで前記引込位置に保持する引込部材であって、前記基部と接触し、抵抗力をかける引込部材と、
を含む挿入機構と、
を含む装着式薬剤送達装置において、
前記圧力供給装置は、前記近位チャンバ内の圧力P1の量が、前記引込部材の抵抗力を超えて前記針又はカニューレアセンブリを前記引込位置から前記伸展位置へと移動させるような作動力を前記基部の前記近位面に加えるまで、前記第一の開口を通じて前記近位チャンバへと圧力を供給し、前記針は、前記ハウジングの前記遠位端の開口から、針を留置するための前記伸展位置に配置される装着式薬剤送達装置。
【請求項2】
前記引込部材は付勢機構を含み、前記付勢機構は、前記基部に取り付けられた第一の端と前記ハウジングの前記遠位端に取り付けられた第二の端を有するばね、又は、前記基部に取り付けられた第一の端と前記ハウジングの前記近位端に取り付けられた第二の端を有する柔軟流体路部材の1つ又は複数を含み、前記付勢機構は、前記近位チャンバ内の圧力P1が解放された後に前記針を前記引込位置に引き込む、請求項1に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項3】
前記挿入機構は、前記基部の前記近位面から上方に延びる第一のコネクタと、前記基部の前記近位面から上方に延びる前記コネクタに動作的に連結された第一の端と前記ハウジングの前記近位端から下方に延びる第二のコネクタに動作的に連結された第二の端を有する柔軟流体路部材と、をさらに含み、前記柔軟流体路部材は、前記針アセンブリと共に移動可能である、請求項2に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項4】
前記柔軟流体路部材は、前記針アセンブリが前記伸展位置にある時に伸展位置にあり、前記針アセンブリが前記引込位置にあるときに圧縮位置にある、請求項3に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項5】
前記ハウジングの前記遠位端の付近の前記ハウジング側壁に配置された段差をさらに含み、肩部はシーリング機構を有し、前記シーリング機構はOリングであり、前記針又はカニューレアセンブリが前記引込位置から前記伸展位置へと移動したときに前記基部の前記遠位面はOリングと接触して、衝撃を和らげる、請求項2~4の何れか1項に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、ねじ切り内面を有する側壁を含み、前記基部は前記側壁の前記内面と接触する側面をさらに含み、前記基部の前記側面は、前記ハウジングの前記側壁の前記ねじ切り内面に対応するねじ切り面を有する、請求項2~5の何れか1項に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項7】
前記ハウジングの前記側壁の前記ねじ切り内面と前記基部の前記側面の前記ねじ切り面は、粗いねじ山又は細かいねじ山の一方であり、前記粗いねじ山によれば、前記針は留置中に少なくとも2~3回転でき、前記細かいねじ山によれば、前記針は留置中に少なくとも8~10回転できる、請求項6に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項8】
前記基部は前記ハウジングの前記側壁から最小限に離間された側面を含み、圧力が前記近位チャンバに加えられたときの渦流(flow-around)を最小化する、請求項2~7の何れか1項に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項9】
前記引込部材は少なくとも1つの摩擦要素を含み、前記摩擦要素は前記基部の前記側壁と接触し、少なくとも1つのシーリング機構又はOリングのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項10】
前記第一の開口から負圧が加えられたこと、又は前記ハウジングの前記側壁の、前記ハウジングの前記遠位端の付近に配置された第三の開口に陽圧が加えられたことのうちの一方の場合に、前記遠位チャンバ内の圧力P2は前記近位チャンバ内の圧力P1を超過し、それによって、針の留置後に、前記針又はカニューレアセンブリが再び前記引込位置へと戻る、請求項9に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項11】
前記針又はカニューレアセンブリは、(1)少なくとも1つのばね式指向性ラッチ、又は(2)前記ハウジングの前記側壁に配置された少なくとも1つの溝、のうちの1つ又は複数により前記引込位置に再び固定され、前記少なくとも1つのシーリング機構を受けるための前記少なくとも1つの溝は、前記針アセンブリが再び前記伸展位置へと移動させられるのを防止するために、前記基部の前記側壁に配置される、請求項9に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのばね式指向性ラッチは、前記ハウジングの前記側壁の1つの領域に配置された第一のばね式指向性ラッチと、前記ハウジングの前記側壁の別の領域に配置された第二のばね式ラッチを含み、各ラッチは傾斜側面を有し、前記基部のそれぞれの側で前記基部の対応する傾斜側面と接触して前記針又はカニューレアセンブリの前記基部をロックし、再留置を防止する、請求項11に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの溝は、前記ハウジングの前記側壁の1つの領域に配置された第一の溝と、前記ハウジングの前記側壁の別の領域に配置された第二の溝を含み、各溝は、対応する摩擦要素を受けて、前記針又はカニューレアセンブリの前記基部を固定し、再留置を防止するように適合される、請求項11に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項14】
前記近位チャンバ内の前記圧力P1が前記遠位チャンバ内の圧力P2を超えると、前記針又はカニューレアセンブリは前記引込位置から前記伸展位置へと移動する、請求項1~13の何れか1項に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、前記ハウジングの前記近位チャンバから下方に延び、中央穴を有するガイド部材をさらに含み、前記基部は、前記基部の前記近位面の中心から前記中央穴の中へと伸びるシャフトをさらに含み、前記中央穴は、前記針アセンブリが前記引込及び伸展位置間で移動して前記近位チャンバの体積を減少させる際に、前記基部の前記シャフトを案内する、請求項9に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項16】
ハウジングであって、近位端、遠位端、前記ハウジング内に配置された第一の開口であって、圧力供給装置に動作的に連結されるように適合された第一の開口、及び前記ハウジングの前記遠位端に配置された第二の開口を有するハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されて、引込位置と伸展位置との間で移動可能な針又はカニューレアセンブリであって、近位面と遠位面を有する基部と、前記基部に取り付けられた針又はカニューレと、を含む針又はカニューレアセンブリと、
前記基部と接触し、抵抗力を付加して、前記針又はカニューレアセンブリを前記伸展位置へと移動するまで前記引込位置に保持する引込部材と、
を含む、薬剤送達装置のための挿入機構において、
圧力は前記第一の開口から、圧力P1の量が、前記引込部材の抵抗力を超えて前記針又はカニューレアセンブリを前記引込位置から前記伸展位置へと移動させるような作動力を前記基部の前記近位面に加えるまで供給され、前記針は前記伸展位置においては前記ハウジングの前記遠位端の前記第二の開口から延びる挿入機構。
【請求項17】
前記基部は前記ハウジングを近位チャンバと遠位チャンバとに分割し、それによって前記近位チャンバ内の圧力P1が前記遠位チャンバ内の圧力P2を超えると、前記針又はカニューレアセンブリは前記引込位置から前記伸展位置へと移動する、請求項16に記載の挿入機構。
【請求項18】
前記ハウジング側壁の前記ハウジングの前記遠位端の付近に配置された1対のシーリング機構をさらに含み、それによって、前記針アセンブリが前記伸展位置にあるとき、前記基部の前記遠位面は前記シーリング機構に接触する、請求項16及び17の何れか1項に記載の挿入機構。
【請求項19】
前記ハウジングは、ねじ切り内面を有する側壁を含み、前記基部は前記側壁の前記内面と接触する側面をさらに含み、前記基部の前記側面は、前記ハウジングの前記側壁の前記ねじ切り内面に対応するねじ切り面を有し、前記ハウジングの前記側壁の前記ねじ切り内面と前記基部の前記側面の前記ねじ切り面は粗いねじ山又は細かいねじ山の一方であり、前記粗いねじ山によれば、前記針は挿入中に少なくとも2~3回転でき、前記細かいねじ山によれば、前記針は挿入中に少なくとも8~10回転できる、請求項16~18の何れか1項に記載の挿入機構。
【請求項20】
前記基部の前記近位面から延びるコネクタに動作的に連結された第一の端と、前記ハウジングの前記近位端から延びるコネクタに動作的に連結された第二の端を有する柔軟流体路部材をさらに含み、前記柔軟流体路部材は、前記針又はカニューレアセンブリの前記引込位置及び前記伸展位置に対応する前記引込位置及び前記伸展位置との間で移動可能である、請求項16~18の何れか1項に記載の挿入機構。
【請求項21】
前記基部は、前記ハウジングの前記側壁から最小限離間された1対の側面を含み、圧力がかけられたときの渦流(flow-around)」を最小化する、請求項16~20の何れか1項に記載の挿入機構。
【請求項22】
前記柔軟流体路部材は、前記針アセンブリを前記引込位置で付勢する前記引込部材である、請求項19に記載の挿入機構。
【請求項23】
薬剤送達装置から挿入機構の針を留置する方法において
引込部材により、前記挿入機構のハウジング内に配置された針又はカニューレアセンブリの引込位置を保持するステップと、
前記挿入機構の前記ハウジングの第一の開口に、前記ハウジングの近位チャンバ内の圧力P1の量が、前記引込部材又は前記ハウジングの遠位チャンバ内の圧力P2のうちの1つ又は複数により前記針又はカニューレアセンブリの前記基部に加えられる抵抗力を超える作動力を針又はカニューレアセンブリの基部に加えるまで圧力を供給するステップと、
前記作動力が前記抵抗力を超えたときに、前記針アセンブリを前記引込位置から前記伸展位置へと移動させるステップと、
前記針アセンブリが前記針を留置するための前記伸展位置へと移動したときに、前記針又はカニューレアセンブリの針を前記挿入機構の前記ハウジングの前記遠位端の第二の開口の中に配置するステップと、
を含む方法。
【請求項24】
針又はカニューレアセンブリの引込位置を保持するステップは、(1)付勢機構を介して前記針アセンブリの基部の遠位面に抵抗力を加えるステップ又は、(2)前記基部の側壁に摩擦要素を配置して、摩擦要素を介して前記ハウジングの前記近位端に向かって抵抗力を加えるステップのうちの一方を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ハウジングの前記遠位チャンバ内の圧力P2が前記ハウジングの前記近位チャンバ内の前記圧力P1を超過して、前記針又はカニューレアセンブリが前記伸展位置から再び前記引込位置へと移動するまで、前記第一の開口から負圧を加えるか、前記ハウジングの、前記ハウジングの前記遠位端の付近に配置された第三の開口に陽圧を加えるステップの一方をさらに含む、請求項23~24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記伸展位置から移動した後に前記針アセンブリを前記引込位置に固定して、前記針アセンブリの前記針の再留置を防止するステップをさらに含み、前記針アセンブリを前記引込位置に固定するステップは、(1)前記ハウジングの側壁に、少なくとも1つのばね式指向性ラッチであって、前記少なくとも1つのばね式指向性ラッチの中に移動した前記基部の少なくとも片側と接触するばね式指向性ラッチを提供するステップ又は、(2)前記基部の少なくとも片側に配置された少なくとも1つのシーリング機構を前記ハウジングの前記側壁に配置された対応する溝の中に挿入するステップのうちの一方を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記針又はカニューレアセンブリが前記引込位置から前記伸展位置へと移動する際に前記近位チャンバの大きさを増大させるステップと、針留置時に存在する排出力を減少させるステップと、をさらに含む、請求項23~26の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2017年3月7日に出願された米国仮特許出願第62/468,190号の優先権を主張するものであり、同仮出願の全体を参照によって本願に援用する。
【0002】
本開示は一般に薬剤送達装置に関し、より詳しくは、薬剤送達装置の針及び/又はカニューレを挿入又は留置するための機構と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
装着型インジェクタ等、一部の薬剤送達装置は、注射針又は他の何れかの手段を通じて薬剤を長時間にわたって送達するために、一時的に患者に取り付けられてよい。薬剤送達装置は、患者の腹部、大腿部、腕、又は患者の体の他の何れかの部分の組織に取り付けられてよい。
【0004】
場合により、薬剤送達装置は、薬剤注入中に数分又は数時間にわたって患者により着用されてよい。例えば、生物製剤等の高粘性の薬剤は、薬剤送達装置からそれを押し出すために必要な力から、注入時間が長くかかる可能性がある。さらに、一部の薬剤送達装置は診療所で患者に取り付けられて、患者が自宅に戻ってから薬剤が患者に送達されるように構成される。これら及びその他の理由により、剛体の注入部材が患者の体内に実質的な時間にわたって残されるかもしれず、これは患者に不快や不安を与え得る。
【0005】
さらに、一部の既存の薬剤送達装置は、針の安全のために外的な特徴を使用しており、それによって患者は、剛体の針がまだ体内にあるうちに薬剤送達装置を取り外す必要がある。針の角度、深さ、及び硬さによっては、これは患者の不快感と、後に針を目にする不安感の原因となり得る。
【0006】
その結果、薬剤送達装置の中に、針の挿入及び/又は引込み運動を実現するための挿入機構が配置されている。しかしながら、このような挿入機構によって、薬剤送達装置の全体的な大きさ、複雑さ、及び/又はコストが増大するかもしれない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様によれば、装着式薬剤送達装置は、容器と、容器に連結された流体経路コネクタと、圧力供給装置と、を有する主ハウジングを含む。薬剤送達装置は、主ハウジング内に配置され、圧力供給装置に動作的に連結された挿入機構をさらに含み、流体経路コネクタは、容器と挿入機構との間の流体流路を画定する。挿入機構は、近位端、遠位端、近位端の付近に配置された第一の開口、及び遠位端に配置された第二の開口を有するハウジングを含み、第一の開口は圧力供給装置に連結される。針又はカニューレアセンブリは、ハウジング内に配置され、引込位置と伸展位置との間で移動可能である。針又はカニューレアセンブリは、近位面と遠位面を有する基部と、基部の遠位面に連結された針又はカニューレと、を含む。基部は、ハウジングを近位チャンバと遠位チャンバとに分割する。引込部材は、ハウジング内に配置されて、針又はカニューレアセンブリを、伸展位置に移動されるまで引込位置に保持する。引込部材は、基部と接触し、抵抗力をかける。圧力供給装置は、近位チャンバ内の圧力P1の量が、引込部材の抵抗力を超えて針アセンブリを引込位置から伸展位置へと移動させるような作動力を基部の近位面に加えるまで、第一の開口を通じて近位チャンバへと圧力を供給する。針は、ハウジングの遠位端の開口から、針を留置するための伸展位置に配置される。
【0008】
第二の態様によれば、薬剤送達装置のための挿入機構は、近位端、遠位端、ハウジングの近位端の付近に配置された第一の開口であって、圧力供給装置に動作的に連結されるように適合された第一の開口、ハウジングの遠位端に配置された第二の開口を有するハウジングを含む。針又はカニューレアセンブリはハウジングの中に配置されて、引込位置と伸展位置との間で移動可能である。針又はカニューレアセンブリは、近位面と遠位面を有する基部と、基部に取り付けられた針又はカニューレと、を含む。引込部材は基部と接触し、抵抗力を付加して、針又はカニューレアセンブリを伸展位置へと移動するまで引込位置に保持する。圧力は第一の開口から、圧力P1の量が、引込部材の抵抗力を超えて針又はカニューレアセンブリを引込位置から伸展位置へと移動させるような作動力を基部の近位面に加えるまで供給され、針は伸展位置においてはハウジングの遠位端の第二の開口から延びる。
【0009】
また別の態様によれば、薬剤送達装置から挿入機構の針を留置する方法が開示される。方法は、引込部材により挿入機構のハウジング内に配置された針又はカニューレアセンブリの引込位置を保持するステップを含む。方法はまた、挿入機構のハウジングの第一の開口に、ハウジング内の圧力P1の量が、引込部材又はハウジングの遠位チャンバ内の圧力P2のうちの1つ又は複数により基部に加えられる抵抗力を超える作動力を針又はカニューレアセンブリの基部に加えるまで圧力を供給するステップを含む。方法はまた、作動力が抵抗力を超えたときに、針アセンブリを引込位置から伸展位置へと移動させるステップを含む。方法はまたさらに、針アセンブリが針を留置するための伸展位置へと移動すると、針又はカニューレアセンブリの針を挿入機構のハウジングの遠位端の第二の開口の中に配置するステップを含む。
【0010】
上記の第一及び第二の態様と方法のうちの何れか1つ又は複数によれば、薬剤送達装置のための挿入機構及び方法は以下の形態又は方法ステップのうちの何れか1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0011】
1つの形態において、引込部材は付勢機構を含んでいてもよく、付勢機構は、基部に取り付けられた第一の端とハウジングの遠位端に取り付けられた第二の端を有するばねを含み、ばねは近位チャンバ内の圧力P1が解放された後に針を引込位置へと引き込む。それに加えて、挿入機構は、基部の近位面から上方に延びる第一のコネクタと、基部の近位面から上方に延びるコネクタに動作的に連結された第一の端とハウジングの近位端から下方に延びる第二のコネクタに動作的に連結された第二の端を有する柔軟流体路部材と、をさらに含んでいてもよい。柔軟流体路部材は、針アセンブリと共に移動可能である。それに加えて、柔軟流体路部材は、針アセンブリが伸展位置にある時に伸展位置にあり、針アセンブリが引込位置にあるときに圧縮位置にあってもよい。
【0012】
他の形態において、挿入機構はハウジングの遠位端の付近のハウジング側壁の周囲に配置された段差をさらに含んでいてもよい。段差はシーリング機構を有していてもよく、シーリング機構はOリングを含み得る。さらに、針又はカニューレアセンブリが引込位置から伸展位置へと移動したときに、基部の遠位面がOリングと接触して、その衝撃を和らげてもよい。それに加えて、ハウジングは、ねじ切り内面を有する側壁を含んでいてもよく、基部は側壁の内面と接触する表面又は1対の側面の1つ又は複数をさらに含んでいてもよい。基部の側面は各々、ハウジングの側壁のねじ切り内面に対応するねじ切り面を有していてもよい。それに加えて、ハウジングの側壁のねじ切り内面と基部の側面のねじ切り面は、粗いねじ山又は細かいねじ山の一方を含んでいてもよく、粗いねじ山によれば、針は挿入中に少なくとも2~3回転でき、細かいねじ山によれば、針は挿入中に少なくとも8~10回転できる。
【0013】
また別の形態において、基部はハウジングの側壁から最小限に離間された表面又は1対の側壁を含んでいてもよく、それによって圧力が近位チャンバに加えられたときの渦流(flow-around)が最小化される。また、引込部材は基部の側壁と接触する摩擦要素を含んでいてもよい。摩擦要素は、少なくとも1つのシーリング機構又はOリングの1つ又は複数を含んでいてもよい。それに加えて、第一の開口から負圧が加えられたこと、又はハウジングの側壁の、ハウジングの遠位端の付近に配置された第三の開口に陽圧が加えられたことのうちの一方の場合に、遠位チャンバ内の圧力P2は近位チャンバ内の圧力P1を超過し、それによって、針が留置された後、針又はカニューレアセンブリが引込位置へと上方に戻る。
【0014】
また別の形態において、針又はカニューレアセンブリは、(1)少なくとも1つのばね式指向性ラッチ、又は(2)ハウジングの側壁に配置された少なくとも1つの溝、のうちの1つ又は複数により引込位置に再び固定されてよい。少なくとも1つのシーリング機構を受けるための少なくとも1つの溝は、針アセンブリが再び伸展位置へと移動させられるのを防止するために、基部の側壁に配置されてもよい。それに加えて、少なくとも1つのばね式指向性ラッチは、ハウジングの側壁の1つの領域に配置された第一のばね式指向性ラッチと、ハウジングの側壁の別の領域に配置された第二のばね式ラッチを含んでいてもよい。各ラッチは傾斜側面を有していてもよく、これは基部のそれぞれの側で基部の対応する傾斜側面と接触して、針又はカニューレアセンブリの基部を固定し、再び留置されるのを防止する。さらに、少なくとも1つの溝は、ハウジングの側壁の1つの領域に配置された第一の溝と、ハウジングの側壁の別の領域に配置された第二の溝を含んでいてもよい。各溝は、基部の側壁に配置された対応する摩擦要素を受けて、針又はカニューレアセンブリの基部を固定し、再び留置されるのを防止するように適合されていてもよい。
【0015】
さらに、他の形態において、近位チャンバ内の圧力P1が遠位チャンバ内の圧力P2を超えると、針又はカニューレアセンブリは引込位置から伸展位置へと移動してもよい。
【0016】
方法の1つの形態において、針又はカニューレアセンブリの引込位置を保持するステップは、(1)付勢機構を介して針アセンブリの基部の遠位面に抵抗力を加えるステップ又は、(2)基部の側壁の少なくとも1つの領域に摩擦要素を配置して、摩擦要素を介してハウジングの近位端に向かって抵抗力を加えるステップのうちの一方を含んでいてもよい。
【0017】
方法の他の形態において、方法は、ハウジングの遠位チャンバ内の圧力P2が近位チャンバ内の圧力P1を超過して、針又はカニューレアセンブリが伸展位置から再び引込位置へと移動するまで第一の開口から負圧を加えるか、ハウジングの、ハウジングの遠位端の付近に配置された第三の開口に陽圧を加えるステップの一方をさらに含んでいてもよい。それに加えて、方法は、伸展位置から移動した後に針アセンブリを引込位置に固定して、針アセンブリの針が再び留置されるのを防止するステップをさらに含んでいてもよい。幾つかの例において、針アセンブリを引込位置に固定するステップは、(1)ハウジングの側壁に、少なくとも1つのばね式指向性ラッチであって、少なくとも1つのばね式指向性ラッチの中に移動したときに基部の少なくとも片側と接触するばね式指向性ラッチを提供するステップ又は、(2)基部の少なくとも片側に配置された少なくとも1つのシーリング機構をハウジングの側壁に配置された対応する溝の中に挿入するステップのうちの一方を含んでいてもよい。それに加えて、方法は、針又はカニューレアセンブリが引込位置から伸展位置へと移動する際に近位チャンバの大きさを増大させるステップと、針留置時に存在する排出力を減少させるステップと、をさらに含んでいてもよい。
【0018】
本開示は、添付の図面と共に読まれる以下の説明からよりよく理解されると思われる。図面のいくつかは、他の要素をより明瞭に示すことを目的として、選択された要素を省くことによって簡略化されているかもしれない。幾つかの図面におけるこのような要素の省略は、それに対応する説明文の中に明記されていないかぎり、必ずしもその例示的実施形態の何れかにおける特定の要素の有無を示しているわけではない。また、図面の何れも、必ずしも正確な縮尺によっているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の教示による挿入機構を有する薬剤送達装置の1つの実施形態の略図である。
図2】本開示の1つの態様による挿入機構の、図1の線A-Aに沿った断面図であり、挿入機構は引込位置にある。
図3図2の挿入機構の一部の断面図であり、挿入機構は本開示の他の態様による基部とハウジングを有する。
図4図2の挿入機構の一部の別の断面図であり、挿入機構は本開示のまた別の態様による他の基部と他のハウジングを有する。
図5】本開示の他の態様による他の挿入機構の、図1の線A-Aに沿った断面図であり、挿入機構は引込位置にある。
図6】本開示の他のまた別の態様による他の挿入機構の、図1の線A-Aに沿った断面図であり、挿入機構は引込位置にある。
図7】本開示のまた別の態様による他の挿入機構の断面図であり、挿入機構は引込位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
新規な挿入機構を有する装着式薬剤送達装置が開示される。挿入機構は、薬剤送達装置の主ハウジング内に配置され、近位端、遠位端、側壁、近位端の付近に配置された第一の開口、及びハウジングの遠位端の付近に配置された第二の開口を有するハウジングを含む。一般に、第一の開口は圧力供給装置からの圧力を受け、針をハウジングの第二の開口を通じて留置する。
【0021】
より具体的には、挿入機構は、ハウジング内に配置されて引込位置と伸展位置との間で移動可能な針又はカニューレアセンブリをさらに含む。針又はカニューレアセンブリは、近位面と遠位面を有する基部と、遠位面に連結された針と、を含み、基部はハウジングを近位チャンバと遠位チャンバとに分割する。引込部材は、針を、針を留置するために伸展位置に移動されるまで引込位置に保持する。圧力はハウジングの第一の開口を通じて近位チャンバ内に、近位チャンバ内の圧力P1の量が、引込部材の抵抗力を超えて針又はカニューレアセンブリを引込位置から伸展位置へと移動させるような作動力を基部の近位面に加えるまで付加される。伸展位置では、針は、針を留置するために、ハウジングの第二の開口を通じて配置される。針を抜いて、針又はカニューレアセンブリを伸展位置から引込位置に再び移動させるために、例えば遠位チャンバ内の圧力P2が近位チャンバ内の圧力P1より大きくなるまで、負圧が近位チャンバに供給されるか、陽圧が遠位チャンバに付加されるかの一方とされる。圧力P2が圧力P1を超えると、針アセンブリは引き込まれ、再び引込位置に固定されて、再使用が防止される。
【0022】
より具体的には、ここで図1を参照すると、本開示による挿入機構12を有する装着式薬剤送達装置10が示されている。少なくとも1つの例において、薬剤送達装置10は、装着型インジェクタ等の装着式薬剤送達装置として構成されてもよく、これは患者の組織11(例えば、患者の皮膚)に取り付けて投薬治療を行うように構成されていてもよい。薬剤送達装置10は、一定の、又は患者/オペレータが設定可能な量の薬剤の皮下注射を、制御又は選択された時間にわたり自動的に送達するかもしれない。薬剤送達装置10は、患者による自己投与用であっても、介護者又は正式な訓練を受けた医療者により注射剤を投与するために使用されてもよい。
【0023】
薬剤送達装置10は、流体経路コネクタ22により挿入機構12に連結された容器14、駆動機構24、及びコントローラ26を含んでいてもよく、その各々は薬剤送達装置10の主ハウジング30の中に配置されてよい。アクチュエータ28(例えば、押しボタン)が主ハウジング30の外部に配置されて、挿入機構12、駆動機構24、及び/又はコントローラ26を機械的及び/又は電気的手段(図1においては破線で示されている)を介して作動させることによって薬剤送達装置10の動作を開始するように構成されてもよい。流体経路コネクタ22は、容器14と挿入機構12との間の滅菌流体流路38を画定する。流体経路コネクタ22は容器アクセス機構29を含んでいてもよく、これは、例えばアクチュエータ28を介して薬剤送達装置10が作動されたことに応答して、容器の針31を容器14に関連付けられた隔壁32に穿刺して容器14と滅菌流体流路38との間の流体連通を確立させるように構成される。主ハウジング30は、釈放可能に患者の皮膚11に取り付けられる(例えば、接着剤により接着される)底壁36と、1つ又は複数の表示ランプ42及び/又は容器14を見るための窓(図示せず)を含む上壁40を含んでいてもよい。開口44が底壁36に形成されてもよく、任意選択により、隔壁48は開口44にわたって延び、使用前に主ハウジング30の内部が密閉された状態であるようにしてもよい。挿入機構12の外部は、主ハウジング30とは別の挿入機構ハウジングにより画定されてもよく、これについては、各例示的挿入機構に関して後でさらに説明する。
【0024】
一般に、薬剤送達装置10を作動させると、挿入機構12は針又はカニューレアセンブリの針又はカニューレ34及び/又はトロカール66を開口44及び/又は隔壁48を貫通して患者の体内に挿入してよい。それと同時に、又はそれに続いて、薬剤送達装置10は容器14と流体経路コネクタ22との間の流体連通を確立させるために必要な接続を可能にし、つなぎ、又は開いてよい。次に、駆動機構24は、容器14に貯蔵されている薬剤46を流体経路コネクタ22の滅菌流体流路を通じてカニューレ34の中へと押し出して、患者へと皮下送達してよい。
【0025】
図2~4は、図1に示される挿入機構12の1例に対応する挿入機構100を示す。挿入機構100は、図1に示される薬剤送達装置10のような薬剤送達装置に組み込まれてよい。挿入機構100は、近位端112、近位端112と反対に配置された遠位端114、近位及び遠位端112、114間に配置された側壁116、近位端112の付近に配置された第一の開口120、及び遠位端114に配置された第二の開口124を有するハウジング110を含む。第一の開口120は、圧力供給装置126に連結されるように適合されている。圧力供給装置126は、加圧された流体又はガスを供給してもよく、当業者であればわかるように、何れの圧力源、例えば空気圧源及び他の何れの圧力提供源を含んでいてもよい。それに加えて、圧力供給装置126は、図1の薬剤送達装置10の主ハウジング30の中に配置され、挿入機構100の第一の開口120に直接また間接に連結されてよい。
【0026】
図2にさらに示されているように、針又はカニューレアセンブリ130は挿入機構100のハウジング110の中に配置され、図2に示されている引込位置と、伸展位置との間で移動可能である。伸展位置は図2において破線で示され、後でさらに説明する。針又はカニューレアセンブリ130は、近位面134と遠位面136を有する基部132を含む。近位面134は、ハウジング110の近位端112により近く配置される。同様に、遠位面136は、ハウジング110の遠位端114により近く配置される。それに加えて、ハブ138が基部132及び遠位面136から下方に延び、この例では、針又はカニューレ140は基部132にハブ138を介して取り付けられている。より具体的には、1例において、針又はカニューレ140は、ハブ138に取り付けられ、そこから下方に延び、伸展位置において、ハウジング110の遠位端114に配置された第二の開口124に入り、そこから出るように適合されている。この例には示されていないが、針又はカニューレ140は、代替的に、基部132に直接取り付けられてもよく、これも依然として本開示の範囲に含まれる。基部132とハブ138は、円形又は円筒形であってよい。代替的に、基部132とハブ138は他の様々な形状と構成であってもよく、これも依然として本開示の範囲に含まれる。
【0027】
図2にさらに示されているように、針又はカニューレアセンブリ130の基部132は、ハウジング110を近位チャンバ118と遠位チャンバ119に分割する。1例において、近位チャンバ118は圧力P1を有し、遠位チャンバ119は圧力P2を有する。それぞれの近位及び遠位チャンバ118、119のそれぞれにおける圧力P1及びP2の各々は異なっている可能性があり、後でさらに説明するように、それによって針又はカニューレアセンブリ130が引込位置にあるか、伸展位置にあるかが決まる。
【0028】
他の例において、また、図2に示されているように、基部132はハウジング110の側壁116から最小限に離間された側面又は1対の側面133の1つ又は複数を含んでいてもよく、これは例えば基部132の厚さと共に、圧力が近位チャンバ118に加えられた時の渦流(flow-around)を最小限にする。前記他の方法で、ハウジング110の側壁116と基部132の側面133との間の小さい間隙によって、近位チャンバ118が加圧されたときの渦流(flow-around)が最小化される。
【0029】
引込部材142もまたハウジング110内に配置される。引込部材142は、基部132と接触し、後でさらに説明するように、針又はカニューレアセンブリ130を伸展位置に移動するまで引込位置に保持する抵抗力をかける。より具体的には、この例において、引込部材142は基部の遠位面136に付勢力等の抵抗力をかけ、基部132の遠位面136に取り付けられた第一の端143とハウジング110の遠位端114と接触する第二の端144を含む。引込部材142は基部132の遠位面136から、針140の周囲でハウジング110の遠位端114へと下方に延びる。より具体的には、1例において、引込部材142は圧縮ばね等の付勢機構であり、図2に示される引込位置で付勢される。例えば、近位チャンバ118内の圧力P1が解放されると、付勢機構、例えばばねは針又はカニューレ140を再び引込位置へと引き込む。
【0030】
他の例において、引込部材142は代替的に、基部132の近位面134に取り付けられた第一の端とハウジング110の近位端112に取り付けられた第二の端を有する引張ばねであってもよい。引込部材142として引張ばねを有することは、上述の引込部材142として圧縮ばねを有することと同じ目的を実現するであろう。例えば、引張ばねもまた、図2の引込位置で針又はカニューレアセンブリ130を付勢し、したがって、圧力P1が近位チャンバ118から解放されると、針又はカニューレ140を再び引込位置へと引き込むであろう。
【0031】
他の例において、挿入機構100は、基部132の近位面134から上方に延びる第一のコネクタ145と、ハウジング110の近位端112から近位チャンバ118へと下方に延びる第二のコネクタ152をさらに含む。柔軟流体路部材146は、第一のコネクタ145に動作的に連結された第一の端148と、第二のコネクタ152に動作的に接続された第二の端150を含む。そのように構成されると、柔軟流体路部材146は針又はカニューレアセンブリ130と共に伸縮する。言い換えれば、柔軟流体路部材146はまた、針アセンブリ130が引込位置から伸展位置へと移動するのに合わせて引込位置から伸展位置へと移動する。換言すれば、柔軟流体部材146は、針アセンブリと共に、柔軟流体路部材146が圧縮位置にある引込位置から、柔軟流体路部材146が伸展位置にある伸展位置へと移動する。
【0032】
他の例において、柔軟流体路部材146は、代替的に、及び/又は追加的に、引込部材として使用されてよい。より具体的には、柔軟流体路部材146は、図2の引込位置において針又はカニューレアセンブリ130を付勢する付勢機構としての役割を果たしてよい。そのように構成されると、近位チャンバ118内で圧力P1が上昇すると、柔軟流体路部材146は伸展位置へと延び、又は膨張する。同様に、圧力P1が低下すると、柔軟流体路部材146は再び図2の引込位置へと移動して、留置後に針140を引き込む。この例において、柔軟流体路部材146は、この機能を実現するために適当な弾性の材料を有する導管を含む。
【0033】
他の例において、挿入機構100は、ハウジング110の近位端112からハウジング110の外へと上方に延びる第三のコネクタ153を含んでいてもよい。外部流体路部材155は、第三のコネクタ153に動作的に連結された第一の端157と、流体経路コネクタ(図1)に動作的に連結された第二の端159を含む。そのように構成されると、1例において、薬剤は流体経路コネクタ22を通り、柔軟流体路部材146を通り、針又はカニューレ140を通り、患者へと押し出されてよい。外部流体路部材155は、曲がったL字型部材として示されているが、外部流体路部材155は代替的に、他の様々な形態と形状を含んでいてよく、それも依然として本開示の範囲に含まれる。例えば、外部流体路部材155は、柔軟流体路部材146を流体経路コネクタ22(図1)に動作的に連結する他の何れの接続部材であってもよい。
【0034】
挿入機構100は、ハウジング110の遠位端114の付近のハウジング11の側壁116に、及び/又はその周囲に配置された段差156をさらに含む。段差156は、Oリング又は、同じ機能を実現することのできる、当業者に知られた他の何れかのシーリング機構等のシーリング機構160を含む。基部132の遠位面136は、針又はカニューレアセンブリ130がその伸展位置へと移動したときに、シーリング機構160と接触して肩部160に対する基部132の遠位面136の衝撃を和らげる。それに加えて、シーリング機構160、例えばOリングは、針又はカニューレ140が患者の皮膚に挿入されたときに漏れを防止し、圧力を保持し、例えば衝撃を和らげる。
【0035】
動作時に、針アセンブリ130は、引込部材142の抵抗力によって引込位置に付勢されて、出荷、保管、又はその他の取扱い中に針140又は針アセンブリ130の移動が防止される。針140を留置するために、例えば圧力供給装置126は圧力を第一の開口120から近位チャンバ118へと供給する。針又はカニューレアセンブリ130は、近位チャンバ118内の圧力が上昇する間に、引込部材142を介して静止状態に保たれる。近位チャンバ内の圧力P1が、引込部材142の抵抗力を超える作動力を近位面134に加えると、針又はカニューレアセンブリ130は引込位置から伸展位置への移動を始める。他の例では、近位チャンバ118内の圧力P1が遠位チャンバ119内の圧力P2を超えると、針又はカニューレアセンブリ130は引込位置から伸展位置へと移動する。伸展位置において、基部132の遠位面136はハウジング110の遠位端114の付近の肩部158に配置されたシーリング機構160と接触し、針140は第二の開口124を通り、十分な力で患者の皮膚内へと延びる。針アセンブリ130と、したがって基部132がハウジング110の遠位端114に向かって移動すると、近位チャンバ118はより大きくなり、それによって針140の排出力が低下する。換言すれば、針アセンブリ130が引込位置にある間に近位チャンバP1内で圧力P1の初期上昇が生じるため、近位チャンバP1の体積が増大すると必然的に排出力が軽減する。
【0036】
それゆえ、当業者であればわかるように、針140の挿入力と、速さは、近位チャンバ118に供給される圧力、供給される圧力の流速、及び針又はカニューレアセンブリ130の基部132の領域を調節することによって挿入機構100内で制御できる。それに加えて、基部132の遠位面136と接触したときに段差158上に配置されたシーリング機構160における跳ね返りから生じるわずかな過貫通により、針の留置中に針又はカニューレ140の組織による閉塞の発生率が減少するかもしれない。それに加えて、軽い力だけで針又はカニューレ140を挿入機構100のハウジング110の中に戻すことができ、それによってばね等の引込部材142の必要性が減少する。供給される圧力が低下すると、針140は再び引込位置に戻る。
【0037】
次に、図3及び4を参照すると、図2の挿入機構は代替的に、ねじ切り側壁116を含んでいてもよい。より具体的には、挿入機構100のハウジング110は、ねじ切り内面166を有する側壁116を含んでいてもよい。同様の方法で、側壁116から最小限に離間される代わりに、針又はカニューレアセンブリ130の基部132は代替的に、ハウジング110の側壁116のねじ切り内面166と接触する側面168を含んでいてもよい。より具体的には、基部132の各側面168もまたねじ切りされていてもよく、例えば、側壁116のねじ切り内面166に正確に対応するねじ切り面を有する。1例において、図3に示されるように、側壁116のねじ切り内面166と基部132のねじ切り側面168は細かいねじ山を含む。この例では、細かいねじ山によって針又はカニューレ140は例えば、留置中に少なくとも8~10回転できる。当業者であればわかるように、針又はカニューレ140は代替的に、留置中に8~10回より多く回転してもよく、それも依然として本開示の範囲に含まれる。他の例において、図4に示されるように、側壁(複数の場合もある)116のねじ切り内面166と基部132のねじ切り側面168は、粗いねじ山を含む。この、より大きいピッチのねじ山によって、針140は留置中により少ない回数回転することができる。1例において、粗いねじ山により、針又はカニューレ140は留置中、2~3回転できる。
【0038】
そのように構成されると、ハウジング110の側壁116と基部132の側面168との間のこのねじ式界面によって、針又はカニューレ140の進入中の針又はカニューレ140の制御された回転が可能となる。さらに図4に示されているように、対応するねじ切り部分は相互にゆるくフィットしてもよく、例えばハウジング110のねじ切り側壁166と基部132のねじ切り側面168との間に小さい空間があり、それによって針留置中に摩擦が軽減され、よりスムーズな回転が得られる。さらに、図3及び4のどちらの例においても、針留置中の回転は、針又はカニューレ140の軸方向の振れを減少させるのを助け、それによってより快適で有効な針留置が可能となる。
【0039】
次に、図5を参照すると、本開示による他の例示的な挿入機構200が示されている。より具体的には、以下にさらに説明するように、挿入機構200の引込部材は、例えば図2に示されるようなばね142ではなく、少なくとも1つの摩擦要素280を含む。少なくとも1つの摩擦要素280は、以下にさらに説明するように、針又はカニューレアセンブリ130を引込位置に保持するための抵抗力を加え、基部132の側壁133と接触している。より一般的に、挿入機構200は図2に示され、上で説明された挿入機構100と同じであるが、図5において含められ、以下で説明される追加的及び/又は代替的な構造的特徴が異なる。簡潔にするために、挿入機構200のうち挿入機構100と同じ部品は、同じ参照番号が付けられ、挿入機構100に関してのみ説明される。
【0040】
より具体的には、挿入機構200の少なくとも1つの摩擦要素280は、基部132の側壁133に配置された1対のシーリング機構282を含む。シーリング機構282等の少なくとも1つの摩擦要素280は、ハウジング110の近位端112に向かって抵抗力を加える。この例において、各シーリング機構282は基部133の側壁のほぼ中間点に配置される。代替的に、シーリング機構282は、基部132の側壁133の他の何れの部分に配置されてもよく、これも依然として本開示の範囲に含まれる。1例において、シーリング機構282はOリングである。他の何れの同様の種類のシールが代替的に使用されてもよく、これも依然として本開示の範囲に含まれる。挿入機構100の引込部材142と同様に、少なくとも1つの摩擦要素280、例えばシーリング機構282は、挿入機構200の出荷、保管、又は他の何れかの取扱いのうちの1つ又は複数の間に針アセンブリ130の針又はカニューレ140の移動を防止する。
【0041】
動作時に、圧力が挿入機構200のハウジング110の第一の開口120に加えられて、針又はカニューレアセンブリ130の針又はカニューレ140を留置する。より具体的には、近位チャンバ118内の圧力P1が、少なくとも1つの摩擦部材280の抵抗力を超える作動力を基部132の近位面134に加えると、針又はカニューレアセンブリ130は引込位置から伸展位置へと移動する。他の例において、基部の近位面134への圧力P1の作動力が遠位チャンバ119内の圧力P2の抵抗力を超えると、圧力P1の作動力が少なくとも1つの摩擦要素280、例えばシーリング機構282の力に打ち勝ち、針又はカニューレアセンブリ130を引込位置から伸展位置へと移動させ、針の留置を実現する。
【0042】
この例では、挿入機構200のハウジング110は第三の開口284をさらに含む。第三の開口284は、ハウジング110の遠位端114の付近、例えば側壁116に配置され、遠位チャンバ119へと開放する。代替的に、第三の開口284は、第三の開口282がハウジング110の遠位チャンバ119へと開放するか、それと連通するようにハウジング110の他の何れの部分に配置されてもよい。針又はカニューレアセンブリ130が伸展位置へと移動された後、及び幾つかの場合では近位チャンバ118内の圧力P1が排出された後、圧力は第三の開口284及び遠位チャンバ119へと供給される。遠位チャンバ119内の圧力P2が近位チャンバ118内の圧力P1を超えると、針140は開口124を通じて再びハウジング110の中に引き込まれ、針アセンブリ130は再び込み位置へと戻される。この例において、針140が引き抜かれた後に触覚フィードバックとして小さい圧力が提供され、圧力は引き続き第三の開口284を介して遠位チャンバ119へと加えられ、又は供給される。
【0043】
代替的に、負圧が第一の開口120から近位チャンバ118に付加されて、近位チャンバ118内の圧力P1が下げられてもよい。近位チャンバ118内の圧力P1が遠位チャンバ119内の圧力P2より低くなると、針140は伸展位置から再び引込位置へと移動する。前記別の方法で、陽圧が第三の開口284から加えられるか、負圧が第一の開口120から加えられるかにかかわらず、針140が留置された後に圧力P2が圧力P1を超えると、針140と針アセンブリ130は伸展位置から再び引込位置へと戻る。
【0044】
針又はカニューレアセンブリ130が再び引込位置に戻ると、挿入機構200は針又はカニューレアセンブリ130を引込位置に固定して、例えば針140が再使用されるのを防止する。より具体的には、図5に示されるように、挿入機構200は針又はカニューレアセンブリ140を引込位置に再び固定又は保持するための少なくとも1つのラッチ286をさらに含む。1例において、少なくとも1つのラッチ286は1対のばね式指向性ラッチ288を含む。第一のばね式指向性ラッチ288は、ハウジングの側壁116の1つの領域に配置され、第二のばね式指向性ラッチ288はハウジングの側壁116の他の領域に配置され、第一及び第二のばね式ラッチはハウジング110の側壁116の対応する領域において、同じ高さと位置に配置される。それに加えて、第一及び第二のばね式ラッチの各々はばね289と、ハウジング110の内側に面する傾斜面290を有する。各ばね289は、各ラッチ288の周囲に配置されて、各ラッチ288を針又はカニューレアセンブリ130の基部134に向かう方向に付勢する。この例では、基部134は、各側133に傾斜した角又は面292をさらに含む。基部132の各側壁133上の傾斜面292は、針又はカニューレアセンブリ130が引込位置へと移動した後に、ラッチ288の対応する傾斜面290と接触する。各ばね式ラッチ288の基部134に向かう付勢力は、基部134及びしたがって針又はカニューレアセンブリ140を引込位置に固定して、再配置を防止する。
【0045】
次に、図6を参照すると、本開示による他の例示的な挿入機構300が示されている。より具体的には、図5の挿入機構200と同様に、挿入機構300の引込部材は、例えば図2に示されるようなばね142ではなく、基部132と接触する少なくとも1つの摩擦要素280を含む。少なくとも1つの摩擦要素280は、後でさらに説明するように、針又はカニューレアセンブリ130を引込位置に保持するための抵抗力をかける。それに加えて、挿入機構300はまた、針またカニューレアセンブリ130を再び引込位置にロックして、再使用を防止する、挿入機構100及び200のどちらとも異なる方法も含む。より一般的に、挿入機構300はそれぞれ図2及び5に示され、上で説明された挿入機構100と同じであるが、図6に含められ、以下に説明される追加的及び/又は代替的な構造的特徴が異なる。簡潔にするために、挿入機構300のうち挿入機構100と同じ部品は、同じ参照番号が付けられ、挿入機構100に関してのみ説明される。
【0046】
より具体的には、図5の挿入機構200と同様に、挿入機構300の少なくとも1つの摩擦要素280は、基部132の側壁133に配置された1対のシーリング機構282を含む。少なくとも1つの摩擦要素280、例えばシーリング機構282は、ハウジング110の近位端112に向かって抵抗力をかける。この例でもまた、各シーリング機構282は基部133の側壁のほぼ中間点に配置される。代替的に、シーリング機構282は基部132の側壁133の他の何れの部分に配置されてもよく、これも依然として本開示の範囲に含まれる。1例において、シーリング機構282はOリングである。他の何れの同様の種類のシールも代替的に使用されてよく、これも依然として本開示の範囲に含まれる。挿入機構100の引込部材142と同様に、少なくとも1つの摩擦要素280、例えばシーリング機構282は、挿入機構200の出荷、保管、又は他の何れかの取扱いのうちの1つ又は複数の間の針アセンブリ130の針又はカニューレ140の移動を防止する。
【0047】
シーリング機構282に加えて、挿入機構300は、針を挿入するまで針又はカニューレアセンブリ130を引込位置に保持するのを助けるための少なくとも1つの溝392をさらに含んでいてもよい。1例において、少なくとも1つの溝392は1対の溝394を含む。第一の溝394はハウジングの側壁116の1つの領域に配置され、第二の溝394はハウジングの側壁116の他の領域に配置され、第一及び第二の溝394は、ハウジング110の側壁116の対応する領域において同じ高さ及び位置に配置される。それに加えて、第一及び第二の溝394の各々は、半円形として示されており、それによって各溝394は、針アセンブリ130が再び引込位置に戻ったときに、基部132の各側133に配置された対応する円形のシーリング機構282をすぐに、容易に受けることができる。代替的に、各溝392は他の様々な形状の形態を取ってもよく、これも依然として本開示の範囲に含まる。より具体的には、他の例において、各溝394の形状は基部132の各シーリング機構282の形状と基本的にマッチし、それによって各溝392は基部132の各側133の対応するシーリング機構282、例えば摩擦要素を容易に受けて、針又はカニューレアセンブリ130の基部32を引込位置に固定し、再使用を防止することができる。動作時に、圧力が挿入機構200のハウジング110の第一の開口120に加えられて、針又はカニューレアセンブリ130の針又はカニューレ140を留置する。より具体的には、近位チャンバ118内の圧力P1の量が、少なくとも1つの摩擦要素280の抵抗力を超える作動力を基部132の近位面134に加えると、針又はカニューレアセンブリ130は引込位置から伸展位置へと移動する。他の例において、近位チャンバ118内の圧力P1の量が、遠位チャンバ119内の圧力P2により基部132に加えられる抵抗力を超える作動力を基部132に付与すると、針又はカニューレアセンブリ130は引込位置から伸展位置へと移動させ、針を留置する。
【0048】
この例において、少なくとも1つの溝392によって、それを超えると針アセンブリ130が移動する力閾値が大きくなる。力閾値は、例えば摩擦抵抗だけの場合よりはるかに大きい。より具体的には、1例において、力閾値は摩擦抵抗より少なくとも5倍大きい。前記別の方法で、この例では、少なくとも1つの摩擦要素280と少なくとも1つの溝392との合同の抵抗力は、溝392を持たない少なくとも1つの摩擦要素280だけ(図5)の抵抗力よりはるかに大きい。当業者であればわかるように、摩擦要素280と溝392の力閾値は、力閾値が摩擦抵抗より大きいかぎり、摩擦抵抗の5倍より小さくても、それより大きくてもよく、それも依然として本開示の範囲に含まれる。
【0049】
少なくとも1つの溝392を有するこの構成によって、圧力はより高まり、針140の迅速な挿入又は留置が確実に行われる。抵抗力が低いと、針アセンブリ130はゆっくりと移動し始めるかもしれない。針の留置又は挿入中は、1m/sの針140の速さが望ましい。この例での特に大きい初期抵抗により、針140が移動し始めた後に近位チャンバ118内の圧力が引き続き上昇又は増加しなくても、素早い初期加速が可能となる。
【0050】
近位チャンバ118内の圧力P1を下げるために、第一の開口120を通じて、圧力P1が排出されても、負圧が近位チャンバ118に加えられてもよい。近位チャンバ118内の圧力P1が遠位チャンバ119内の圧力P2より低いと、針140は伸展位置から再び引込位置に移動するかもしれない。前記他の方法で、針140の留置後に圧力P2が圧力P1を超えると、針140とアセンブリ130は伸展位置から再び引込位置に戻る。
【0051】
針又はカニューレアセンブリ130が再び引込位置に戻った後、挿入機構300も針又はカニューレアセンブリ130を引込位置に固定して、例えば針140の再使用を防止する。より具体的には、図6にさらに示されるように、少なくとも1つの溝392は、基部132の側壁133に配置されたシーリング機構等の少なくとも1つの摩擦要素282を受けて、針140が伸展位置へと再び作動されるのを防止する。前記他の方法で、少なくとも1つの溝392は第一及び第二の溝394を含み、その各々は、基部132の側壁133に配置された対応する摩擦要素282、例えばシーリング機構、Oリング、又はCクリップの1つ又は複数を受けて、針又はカニューレアセンブリ140の基部132を引込位置に固定して、針130の再留置を防止する。1例において、各溝394と摩擦要素282との間の高い摩擦が、引込位置に戻った後の針アセンブリ130の動きを停止させ、針アセンブリ130を引込位置に固定する。
【0052】
次に、図7を参照すると、本開示による他の例示的な挿入機構400が示されている。より具体的には、図6の挿入機構300と同様に、挿入機構400の引込部材は、例えば図2に示されるようなばね142ではなく、基部132と接触する少なくとも1つの摩擦要素280を含む。少なくとも1つの摩擦要素280は、後でさらに説明するように、針又はカニューレアセンブリ130を引込位置に保持するための抵抗力をかける。それに加えて、挿入機構400はまた、改造された基部132と、後でさらに説明するように、それぞれ図2、5、及び6に示される挿入機構100、200、及び300の近位チャンバ118の体積より小さい体積の近位チャンバ118も含む。より一般的に、挿入機構400はそれぞれ図2及び6に示される挿入機構100及び300と同じであるが、図7に含められ、以下に説明される追加的及び/又は代替的な構造的特徴が異なる。簡潔にするために、挿入機構400のうち挿入機構100と同じ部品は、同じ参照番号が付けられ、挿入機構100及び300に関してのみ説明される。
【0053】
より具体的には、図7の挿入機構は、ハウジング110の近位端112から下方に延びるガイド部材496をさらに含む。ガイド部材496の片側はハウジングの側壁116と接触し、ガイド部材496の反対側は側壁116の別の領域から離間されて、例えば第一の開口120を通じて供給された圧力が近位チャンバ118に入ることができる。ガイド部材496は中央穴497を含み、1例においては円筒形である。当業者であれば、ガイド部材496は代替的に他の様々な形状をとってもよく、それも依然として本開示の範囲に含まれることがわかるであろう。他の例において、ガイド部材496は1対のガイド部材496を含んでいてもよく、ガイド部材496は単体の部品からなるのではなく、2部式の形態を含む。この例において、1対のガイド部材496の各ガイド部材496は、例えば円形、円筒形、半円形、半円筒形、若しくは長方形、又は他の何れかの形状若しくは形状の組合せのうちの1つ又は複数であってもよく、それも依然として本開示の範囲に含まれる。
【0054】
それに加えて、基部132は、基部132の近位面134の中央からハウジング110の近位端112に向かって延びるガイドシャフト498をさらに含む。ガイドシャフト498は、ガイド部材496の中央穴497の中へと延びる。このようにして、ガイド部材496の中央穴497は、針アセンブリ130が引込及び伸展位置間で移動する際に基部132のシャフト498を案内する役割を果たす。前記他の方法により、中央穴497は、ガイド部材496の案内穴497であり、これは針140の留置及び引き戻し中にシャフト498を受け、案内する。図7にさらに示されているように、ガイドシャフト498が中央穴497の中に配置されたときに、ガイドシャフト498の何れかの側に小さい半径方向のギャップ499がある。さらに示されているように、ガイドシャフト498の直径は針アセンブリ130の基部132の直径Dより小さい。
【0055】
このように構成されると、近位チャンバ118の体積は、例えば図6の挿入機構300の近位チャンバ118より小さく、それでも引込及び伸展位置から、及びそれらの間で移動する際に、針アセンブリ130の安定性は損なわれない。それに加えて、基部132に案内シャフト498を含めることによって、図7に示されるように、基部132の有効長さは他の挿入機構100、200、300のようなLからL2の長さへと伸びる。この、より大きい長さによって基部132の安定性が増し、その一方で、基部の直径Dが一定に保たれて、例えば利用可能な圧力に対して所望の挿入力が保持される。
【0056】
1例において、基部132の直径Dを縮小することによって、利用可能な圧力に対する挿入力が小さくなる。それに加えて、基部132の長さLを短くすることによって、例えば、ガイドシャフト498が含められないときの基部132及び、したがって針アセンブリ130の移動の安定性と予測可能性が低下する。したがって、基部132からハウジング110の近位端112に向かって延びるガイドシャフト498を含めることにより、基部132及びガイドシャフト498の合同での有効長さはL2に長くなり、その一方で、基部132の直径Dは一定に保たれて、基部132及び、針アセンブリ130の移動の安定性が保持される。
【0057】
上記に鑑み、当業者であれば、薬剤送達装置10(図1)のための挿入機構100、200、300、400の何れかの針又はカニューレアセンブリ130の針又はカニューレ140を患者の皮膚に挿入する、以下のような例示的な方法がわかるであろう。
【0058】
より具体的には、方法は、引込部材により挿入機構100、200、300、400のハウジング110内に配置された針又はカニューレアセンブリ130の引込位置を保持するステップを含む。方法はまた、圧力を挿入機構100、200、300、400のハウジング110の第一の開口120に、ハウジング110の近位チャンバ118内の圧力P1の量が、引込部材の1つ又は複数により基部132に加えられる抵抗力又は遠位チャンバ119内の圧力P2を超える作動力を針又はカニューレアセンブリ130の基部132に付与するまで供給するステップを含む。それに加えて、方法は、作動力が抵抗力を超えたところで、針アセンブリ130を引込位置から伸展位置へと移動させるステップと、針アセンブリ130が針140を留置するための伸展位置に移動したところで、挿入機構100、200、300、400のハウジング110の遠位端114の第二の開口124を通じて、針又はカニューレアセンブリ130の針140を配置するステップを含む。
【0059】
1例において、上で説明したように、針又はカニューレアセンブリ130の引込位置を保持するステップは、付勢機構142を介して針アセンブリ130の基部132の遠位面136に抵抗力を加えるステップを含む。他の例において、針又はカニューレアセンブリ130の引込位置を保持するステップは、基部132の側壁133に摩擦要素282を配置するステップと、摩擦要素282を介してハウジング110の近位端112に向かう抵抗力を加えるステップと、を含む。
【0060】
また別の例において、方法はまた、ハウジング110の遠位チャンバ119内の圧力P2が近位チャンバ118内の圧力P1を超えるまで、第一の開口120から負圧を供給するステップか、ハウジングの、ハウジング110の遠位端114の付近に配置された第三の開口284(図6)から陽圧を供給するステップの一方も含んでいてよい。これにより、今度は、針又はカニューレアセンブリ130は伸展位置から引込位置に移動する。
【0061】
方法は、針アセンブリ130を伸展位置から移動した後に引込位置に固定して、針アセンブリ130の針140の再配置を防止するステップをさらに含んでいてよい。1例において、針アセンブリ140を引込位置に固定するステップは、少なくとも1つのばね式指向性ラッチ288をハウジング110の側壁116に提供するステップを含み、これは少なくとも1つのばね式指向性ラッチ288の中に移動した基部132の何れかの側133と接触する。他の例において、針アセンブリ130を引込位置に固定して、再留置を防止するステップは、基部132の各側133に配置された少なくとも1つのシーリング機構282をハウジング110の側壁116に配置された対応する溝392の中に挿入するステップを含む。何れの場合も、方法はまた、針又はカニューレアセンブリ130が引込位置から伸展位置に移動する際に近位チャンバ118の大きさを増大させるステップと、針留置の時点に存在する排出力を小さくするステップを含んでいてもよい。
【0062】
当業者であれば、本開示の前述の挿入機構100、200、及び300と方法の利点の多くがわかるであろう。例えば、挿入機構100、200、300の各々において、針又はカニューレアセンブリ130の針又はカニューレ140の挿入力と速さは、例えば、圧力供給装置126又は他の何れかの圧力源により供給される圧力、流速、及び/又は基部132の、例えば付加された近位チャンバ118内の圧力P1を受ける近位面134を調節することによって制御できる。それに加えて、遠位チャンバ119内の、ハウジング110の遠位端114の直前にOリング又は同様のシーリング機構を含めることによって、基部132の遠位面136は、伸展位置に移動されたときにOリング160と接触するとわずかに「跳ね返る」ことができる。このわずかな「跳ね返り」により、初期挿入中に針140のわずかな過剰貫通が起こり、これによって針又はカニューレ140の組織による閉塞の発生率が減少するかもしれない。
【0063】
さらに、好ましい挿入速さには、針又はカニューレアセンブリ130の釈放前に近位チャンバ118内の圧力P1を上昇させる必要があるかもしれず、それによって患者の皮膚に入る直前の摩擦力が低下する。その結果、挿入のために十分な力が存在し、挿入がより素早く、より痛みが少なくなる。挿入機構100、200、300、400はまた、患者の快適さを高め、患者の不安の可能性を軽減させるかもしれない。例えば、従来の方法と機構では、患者は自分で装置のボタンを押しながら自分自身に剛体の針を挿入する必要があるかもしれない。このタイプの挿入機構は、自分でボタンを押してトロカールの挿入を制御するため、患者の不安や怖さの原因となるかもしれない。それに加えて、既知の方法と機構は、外部の安全ガードと組み合わせられた剛体の針を含み、これは患者が装着式装置を取り外す際に患者の皮膚に残るかもしれない。それに対して、開示されている装着型式薬剤送達装置は、注射部位がより小さく、患者が装着式装置を取り外す前にカニューレ140を引き込むように構成できる。それに加えて、針140の自動留置及び引込みによって、針140は常に隠された状態にあり、装着式薬剤送達装置を取り外す際の患者にとっての快適さが改善される。さらに、針140の引込みはまた、注射が完了したことを患者がわかるようにするのにも役立つことができ、又はエラーがあった場合に、針140が引き込まれてから装着式薬剤送達装置を取り外すことは容認可能である。しかしながら、本開示の範囲はこれら及び本明細書に記載された他の何れの利点及び利益にも限定されず、開示されている実施形態及び本開示の原理によるそれらに対する改良から、その他の利益や利点が得られるかもしれない。
【0064】
上記の説明は、薬剤送達装置と共に使用するための様々なシステムと方法を述べている。システム、薬剤送達装置、又は方法は、後述の薬剤の使用をさらに含むことができる点を明確にすべきであるが、以下のリストは網羅的でも限定的でもないと考えるべきではないことに留意されたい。薬剤は、貯蔵器内に収容される。幾つかの例において、貯蔵器はその薬剤での治療のために充填又は事前充填された一次容器である。一次容器は、カートリッド又はプレフィルドシリンジとすることができる。
【0065】
例えば、薬剤送達装置又は、より具体的には装置の貯蔵器には、コロニ刺激因子、例えば顆粒球コロニ刺激因子(G-CSF)が充填されてよい。このようなG-CSF剤には、Neupogen(登録商標)(フィラグラスチム)及びNeulasta(登録商標)(ペグフィグラスチム)が含まれるが、これらに限定されない。他の各種の実施形態において、薬剤送達装置は様々な医薬製品、例えば赤血球造血刺激因子剤(ESA)等に使用されてもよく、これは液体又は凍結乾燥状態であってもよい。ESAは、赤血球造血を刺激するあらゆる分子であり、例えばEpogen(登録商標)(エポチエンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メチオキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタのほか、各々、その全体が参照によって本願に援用される下記の特許又は特許出願において開示されている分子又はそのバリアント若しくは類似体である:米国特許第4,703,008号明細書、同第5,441,868号明細書、同第5,547,933号明細書、同第5,618,698号明細書、同第5,621,080号明細書、同第5,756,349号明細書、同第5,767,078号明細書、同第5,773,569号明細書、同第5,955,422号明細書、同第5,986,047号明細書、同第6,583,272号明細書、同第7,084,245号明細書、及び同第7,271,689号明細書、並びにPCT出願公開番号国際公開第91/05867号パンフレット、同第95/05465号パンフレット、同第96/40772号パンフレット、同第00/24893号パンフレット、同第01/81405号パンフレット、及び同第2007/136752号パンフレット。
【0066】
ESAは赤血球造血刺激たんぱく質とすることができる。本明細書で使用されるかぎり、「赤血球造血刺激たんぱく質」とは、例えば受容体と結合し、二量体化を引き起こすことによって、エリスロポエチン受容体を直接又は間接に活性化させるあらゆるたんぱく質を意味する。エリスロポエチン刺激たんぱく質には、エリスロポエチン受容体と結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びそのバリアント、類似体、又は誘導体、エリスロポエチン受容体と結合し、受容体を作動させる抗体、又はエリスロポエチン受容体と結合し、これを活性化させるペプチドが含まれる。エリスロポエチン刺激たんぱく質には、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンイオタ、エポエチンゼータ、及びその類似体、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、擬似ペプチド(EMP1/メマタイドを含む)、及び擬似抗体が含まれるが、これらに限定されない。例示的な赤血球造血刺激たんぱく質には、エリスロポエチン、ダルベポエチン、エリスロポエチンアゴニストバリアント、及びエリスロポエチン受容体と結合してこれを活性化させる(及び、各々、その全体が本願に援用される米国特許出願公開第2003/0215444号明細書及び同第2006/0040858号明細書において報告されている化合物を含む)ペプチド又は抗体のほか、各々、その全体が本願に援用される以下の特許又は特許出願において開示されているエリスロポエチン分子又はそのバリアント若しくは類似体が含まれる:米国特許第4,703,008号明細書、同第5,441,868号明細書、同第5,547,933号明細書、同第5,618,698号明細書、同第5,621,080号明細書、同第5,756,349号明細書、同第5,767,078号明細書、同第5,773,569号明細書、同第5,955,422号明細書、同第5,830,851号明細書、同第5,856,298号明細書、同第5,986,047号明細書、同第6,030,086号明細書、同第6,310,078号明細書、同第6,391,633号明細書、同第6,583,272号明細書、同第6,586,398号明細書、同第6,900,292号明細書、同第6,750,369号明細書、同第7,030,226号明細書、同第7,084,245号明細書、及び同第7,217,689号明細書、並びに米国特許出願公開第2002/0155998号明細書、同第2003/0077753号明細書、同第2003/0082749号明細書、同第2003/0143202号明細書、同第2004/0009902号明細書、同第2004/0071694号明細書、同第2004/0091961号明細書、同第2004/0143857号明細書、同第2004/0157293号明細書、同第2004/0175379号明細書、同第2004/0175824号明細書、同第2004/0229318号明細書、同第2004/0248815号明細書、同第2004/0266690号明細書、同第2005/0019914号明細書、同第2005/0026834号明細書、同第2005/0096461号明細書、同第2005/0107297号明細書、同第2005/0107591号明細書、同第2005/0124045号明細書、同第2005/0124564号明細書、同第2005/0137329号明細書、同第2005/0142642号明細書、同第2005/0143292号明細書、同第2005/0153879号明細書、同第2005/0158822号明細書、同第2005/0158832号明細書、同第2005/0170457号明細書、同第2005/0181359号明細書、同第2005/0181482号明細書、同第2005/0192211号明細書、同第2005/0202538号明細書、同第2005/0227289号明細書、同第2005/0244409号明細書、同第2006/0088906号明細書、及び同第2006/0111279号明細書、並びにPCT出願公開番号国際公開第91/05867号パンフレット、同第95/05465号パンフレット、同第99/66054号パンフレット、同第00/24893号パンフレット、同第01/81405号パンフレット、同第00/61637号パンフレット、同第01/36489号パンフレット、同第02/014356号パンフレット、同第02/19963号パンフレット、同第02/20034号パンフレット、同第02/49673号パンフレット、同第02/085940号パンフレット、同第03/029291号パンフレット、同第2003/055526号パンフレット、同第2003/084477号パンフレット、同第2003/094858号パンフレット、同第2004/002417号パンフレット、同第2004/002424号パンフレット、同第2004/009627号パンフレット、同第2004/024761号パンフレット、同第2004/033651号パンフレット、同第2004/035603号パンフレット、同第2004/043382号パンフレット、同第2004/101600号パンフレット、同第2004/101606号パンフレット、同第2004/101611号パンフレット、同第2004/106373号パンフレット、同第2004/018667号パンフレット、同第2005/001025号パンフレット、同第2005/001136号パンフレット、同第2005/021579号パンフレット、同第2005/025606号パンフレット、同第2005/032460号パンフレット、同第2005/051327号パンフレット、同第2005/063808号パンフレット、同第2005/063809号パンフレット、同第2005/070451号パンフレット、同第2005/081687号パンフレット、同第2005/084711号パンフレット、同第2005/103076号パンフレット、同第2005/100403号パンフレット、同第2005/092369号パンフレット、同第2006/50959号パンフレット、同第2006/02646号パンフレット、及び同第2006/29094号パンフレット。
【0067】
装置に使用するその他の医薬製品の例には、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(商標)(デノスマブ)、及びProlia(商標)(デノスマブ)等の抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合たんぱく質、TNFブロッカ)、Neulasta(登録商標)(ペグフィグラスチム、ペグ化フィルグラチム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CS、hu-MetG-CSF)、及びNplate(登録商標)(ロミプロスチム)等のその他の生物学的薬剤、Sensipa(登録商標)(シナカルセト)等の低分子薬剤が含まれていてもよいが、これらに限定されない。装置はまた、治療用抗体、ポリペプチド、たんぱく質、又は鉄等のその他の化学物質、例えばフェルモキシトール、デキストラン鉄、グリコン酸鉄、及びスクロース鉄等であってもよい。医薬製品は、液体でも、凍結乾燥状態から還元されてもよい。
【0068】
特定の例示的なたんぱく質の中には下記の具体的なたんぱく質があり、これにはその融合体、フラグメント、類似体、バリアント、又は誘導体も含まれる:OPGL特異抗体及び抗体関連たんぱく質、特にその中に記載されている配列を有するものに関してその全体が本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第03/002713号パンフレットに記載された抗体を含むがこれに限定されない、完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に完全ヒト化モノクローナル抗体を含むOPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他(RANKL特異抗体、ペプチボディ、及びその他とも呼ばれる)、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、その中の図2に示されている配列番号2の軽鎖及び/又はその中の図4に示されている配列番号4の重鎖の何れかを有するOPGL特異抗体を含む9H7、18B2、2D8、2E11、16E1、及び22B3。
【0069】
myostatin特異ペプチボディ、特に、特にmyostatin特異ペプチボディに関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2004/0181033号明細書及びPCT特許公開番号国際公開第2004/058988号パンフレットに記載されているものを含むmyostatin結合たんぱく質であって、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、配列番号305~351のものを含むmTN8-19ファミリ、例えばTN8-19-1~TN8-19-40、TN8-19 con1及びTN8-19 con2、配列番号357~383のmL2ファミリのペプチボディ、配列番号384~409のmL15ファミリ、配列番号410~438のmL17ファミリ、配列番号439~446のmL20ファミリ、配列番号447~452のmL21ファミリ、配列番号453~454のmL24ファミリ、及び配列番号615~631のそれらを含むがこれらに限定されない。
【0070】
IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、特にIL-4及び/又はIL-13を受容体に結合することによって媒介される活性を阻害するものであって、特にIL-4受容体特異抗体に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第2005/047331号パンフレット又はPCT出願PCT/US2004/37242号及び米国特許出願公開第2005/112694号明細書に記載されているもの、特にその中に記載された抗体、特に、これらに限定されないが、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、L1H1、L1H2、L1H3、L1H4、L1H5、L1H6、L1H7、L1H8、L1H9、L1H10、L1H11、L2H1、L2H2、L2H3、L2H4、L2H5、L2H6、L2H7、L2H8、L2H9、L2H10、L2H11、L2H12、L2H13、L2H14、L3H1、L4H1、L5H1、L6H1とその中て指定されているものを含む。
【0071】
インタロイキン1-受容体(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他であって、その全体、IL1-R1特異結合たんぱく質、特にモノクローナル抗体に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2004/097712号明細書に記載されているもの、特に、これらに限定されないが、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、15CA、26F5、27F2、24E12、及び10H7とその中で指定されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
Ang2特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他であって、各々、特にAng2特異抗体及びペプチボディ並びにその他に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第03/057134号パンフレット及び米国特許出願公開第2003/0229023号明細書に記載されているもの、特にその中に記載された配列の、L1(N)、L1(N)WT、L1(N)1K WT、2xL1(N)、2xL1(N)WT、Con(N)、Con4(N)1K WT、2xCon4(N)1K、L1C、L1C 1K、2xL1C、Con4C、Con4C 1K、2xCon4C 1K、Con4-L1(N)、Con4-L1C、TN-12-9(N)、C17(N)、TN8-8(N)、TN8-14(N)、Con 1(N)を含むがこれらに限定されず、また、それに関してその全体が参照によって本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第2003/030833号パンフレットに記載されているもの等の抗Ang2抗体及び製剤、特に、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、その中に記載されたその様々な置換配列のAb526、Ab528、Ab531、Ab533、Ab535、Ab536、Ab537、Ab540、Ab543、Ab544、Ab545、Ab546、A551、Ab553、Ab555、Ab558、Ab559、Ab565、AbF1AbFD、AbFE、AbFJ、AbFK、AbG1D4、AbGC1E8、AbH1C12、AbIA1、AbIF、AbIK、AbIP、及びAbIPが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
NGF特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他であって、特に、この点においてNGF特異抗体及び関連たんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2005/0074821号明細書及び米国特許第6,919,426号明細書に記載されているものを含むがこれらに限定されず、特に、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される、4D4、4G6、6H9、7H2、14D10、及び14D11とその中で指定されるNGF特異抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
CD22特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えばCD22特異抗体及び関連たんぱく質についてその全体が参照によって本願に援用される米国特許第5,789,554号明細書に記載されているもの、特にヒトCD22特異抗体、例えば、これらに限定されないが、ヒト化された、及び完全なヒト抗体であって、ヒト化された、及び完全なヒトモノクローナル抗体を含むがこれに限定されず、特に、ヒトCD22特異IgG抗体、例えばヒト-マウスモノクローナルhLL2カッパ鎖に架橋されたヒト-マウスモノクローナルhLL2ガンマ鎖ジスルフィドの二量体で、例えばエプラツズマブ、CAS登録番号501423-23-0のヒトCD22特異完全ヒト化抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えばIGF-1受容体特異抗体及び関連たんぱく質に関してその全体が本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第06/069202号パンフレットに記載されているものであって、各々、個別に、明確に、上記公開文献において開示されているように、その全体が参照によって本願に援用されるL1H1、L2H2、L3H3、L4H4、L5H5、L6H6、L7H7、L8H8、L9H9、L10H10、L11H11、L12H12、L13H13、L14H14、L15H15、L16H16、L17H17、L18H18、L19H19、L20H20、L21H21、L22H22、L23H23、L24H24、L25H25、L26H26、L27H27、L28H28、L29H29、L30H30、L31H31、L32H32、L33H33、L34H34、L35H35、L36H36、L37H37、L38H38、L39H39、L40H40、L41H41、L42H42、L43H43、L44H44、L45H45、L46H46、L47H47、L48H48、L49H49、L50H50、L51H51、L52H52並びにIGF-1R結合フラグメント及びその誘導体と指定されるIGF-1特異抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
また、本発明の方法及び組成物の中で使用するための抗IGF-1R抗体の非限定的な例の中には、以下の中に記載される各々及び全部が含まれる:
【0077】
(i)米国特許出願公開第2006/0040358号明細書(2006年2月23日公開)、同第2005/0008642号明細書(2005年1月13日公開)、同第2004/0228859号明細書(2004年11月18日公開)で、その中に記載されている抗体1A(DSMZ寄託番号DSM ACC 2586)、抗体8(DSMZ寄託番号DSM ACC 2589)、抗体23(DSMZ寄託番号DSM ACC 2588)、及び抗体18が含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
(ii)PCT出願公開番号国際公開第06/138729号パンフレット(2006年12月28日公開)及び同第05/016970号パンフレット(2005年2月24日公開)、及びLu et al.(2004),J.Biol.Chem.279:2856-2865で、その中に記載されている抗体2F8、A12、及びIMC-A12が含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
(iii)PCT出願公開番号国際公開第07/012614号パンフレット(2007年2月1日公開)、同第07/000328号パンフレット(2007年1月4日公開)、同第06/013472号パンフレット(2006年2月9日公開)、同第05/058967号パンフレット(2005年6月30日公開)、及び同第03/059951号パンフレット(2003年7月24日公開)。
【0080】
(iv)米国特許出願公開第2005/0084906号明細書(2005年4月21日公開)で、その中に記載されている抗体7C10、キメラ抗体C7C10、抗体h7C10、抗体7H2M、キメラ抗体7C10、抗体GM 607、ヒト化抗体7C10バージョン1、ヒト化抗体7C10バージョン2、ヒト化抗体7C10バージョン3、及び抗体7H2HMが含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
(v)米国特許出願公開第2005/0249728号明細書(2005年11月10日公開)、同第2005/0186203号明細書(2005年8月25日公開)、同第2004/0265307号明細書(2004年12月30日公開)、及び同第2003/0235582号明細書(2003年12月25日公開)、及びMaloney et al.(2003),Cancer Res.63:5073-5083で、その中に記載されている抗体EM164、再表面形成された抗体EM164、ヒト化EM164、huEM164 v1.0、huEM164 v1.1、huEM164 v1.2、及びhuEM164 v1.3が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
(vi)米国特許第7,037,498号明細書(2006年5月2日発行)、米国特許出願公開第2005/0244408号明細書(2005年11月30日公開)、及び同第2004/0086503号明細書(2004年5月6日公開)、及びCohen,et al.(2005),Clinical Cancer Res.11:2063-2073、例えば抗体CP-751,871で、これらに記載されているATCCアクセション番号PTA-2792、PTA-2788、PTA-2790、PTA-2791、PTA-2789、PTA-2793を有する雑種細胞により生成される抗体及び抗体2.12.1、2.13.2、2.14,3、3.1.1、4.9.2、及び4.17.3の各々が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
(vii)米国特許出願公開第2005/0136063号明細書(2005年6月23日公開)及び同第2004/0018191号明細書(2004年1月29日公開)であり、これらに記載されている、抗体19D12及び、ATCCに番号PTA-5214で寄託された、プラスミド15H12/19D12 HCA(γ4)によりコード化される重鎖と、ATCCに番号PTA-5220で寄託された、プラスミド15H12/19D12 LCF(Κ)のポリヌクレオチドによりコード化される軽鎖を含む抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
(viii)米国特許出願公開第2004/0202655号明細書(2004年10月14日公開)で、その中に記載されている抗体PINT-6A1、PINT-7A2、PINT-7A4、PINT-7A5、PINT-7A6、PINT-8A1、PINT-9A2、PINT-11A1、PINT-11A2、PINT-11A3、PINT-11A4、PINT-11A5、PINT-11A7、PINT-11A12、PINT-12A1、PINT-12A2、PINT-12A3、PINT-12A4、及びPINT-12A5が含まれるが、これらに限定されず、これらの各々及び全部は、特にIGF-1受容体を標的とする上記の抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他に関して、その全体が参照によって本願に援用される。
【0085】
B7関連たんぱく質1特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質並びにその他(「B7RP-1」、又は文献ではB7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも呼ばれる)、特にB7RP-特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体、特にB7RP-1の第一免疫グロブリン様ドメイン内のエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体、特に活性T細胞上の天然受容体ICOSとのB7RP-1の相互作用を阻害するもの、特に、上記の点のすべてにおいて、このような抗体及び関連たんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2008/0166352号明細書及びPCT出願公開番号国際公開第07/011941号パンフレットにおいて開示されているもので、その中で、各々が個別に、明確に、上記公開文献の中に開示されているように、その全体が参照によって本願に援用される16H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号1及び配列番号7を有する)、5D(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号2及び配列番号9を有する)、2H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号3及び配列番号10を有する)、43H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号6及び配列番号14を有する)、41H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号5及び配列番号13を有する)、及び15H(その中のそれぞれ、軽鎖可変部及び重鎖可変部配列、配列番号4及び配列番号12を有する)として指定された抗体が含まれるがこれらに限定されない。
【0086】
IL-15特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えば、特にヒトモノクローナル抗体、特に各々が、ペプチボディを含むIL-15特異抗体及び関連たんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2003/0138421号明細書、同第2003/023586号明細書、同第2004/0071702号明細書、及び米国特許第7,153,507号明細書において開示されているもので、特に例えば、HuMax IL-15抗体及び関連たんぱく質、例えば146B7が含まれるが、これに限定されない。
【0087】
IFNガンマ特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、特にヒトIFNガンマ特異抗体、特に完全ヒト抗IFNガンマ抗体、例えばIFNガンマ特異抗体に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2005/0004353号明細書に記載されているもの、特に例えば、その中で1118、1118、1119、1121、及び1121と指定された抗体。これらの抗体の各々の重鎖及び軽鎖の全体的配列のほか、それらの重鎖及び軽鎖可変領域と相補性決定領域の配列は、各々、個別に、明確に、上記の公開文献及びThakur et al.(1999),Mol.Immunol.36:1107-1115において開示されているようにその全体が参照によって本願に援用される。それに加えて、上記の公開文献において提供されるこれらの抗体の特性の説明もまた、その全体が参照によって本願に援用される。具体的な抗体には、上記の公開文献において開示されているような、配列番号17の重鎖と配列番号18の軽鎖を有するもの、配列番号6の重鎖可変領域と配列番号8の軽鎖可変領域を有するの、配列番号19の重鎖と配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号10の重鎖可変領域と配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号32の重鎖と配列番号20の軽鎖を有するもの、配列番号30の重鎖可変領域と配列番号12の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖配列と配列番号22の軽鎖配列を有するもの、配列番号14の重鎖可変領域と配列番号16の軽鎖可変領域を有するもの、配列番号21の重鎖と配列番号33の軽鎖を有するもの、及び配列番号14の重鎖可変領域と配列番号31の軽鎖可変領域を有するものが含まれる。上記の米国特許出願公開の中で開示され、その中で開示されているような配列番号17の完全重鎖を有し、その中に開示されているような配列番号18の完全軽鎖を有する抗体1119である。
【0088】
TALL-1特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他と、TALL特異結合たんぱく質、例えば各々がTALL-1結合たんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2003/0195156号明細書及び同第2006/0135431号明細書に記載されているもの、特にその各々が、完全に上記の公開文献の中で開示されているようにその全体が参照によって本願に援用される表4及び5Bの分子。
【0089】
副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えば、特にPTHと結合するたんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許第6,756,480号明細書に記載されているもの。
【0090】
トロンボポエチン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他、例えば、特にTPO-Rと結合するたんぱく質に関してその全体が参照によって本願に援用される米国特許第6,835,809号明細書に記載されているもの。
【0091】
肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、及び関連たんぱく質並びにその他であり、HGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするもの、例えば各々が、特にHGFと結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される、米国特許出願公開第2005/0118643号明細書及びPCT出願公開番号国際公開第2005/017107号パンフレットに記載されている、肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中性化する完全ヒトモノクローナル抗体、米国特許第7,220,410号明細書に記載されているhuL2G7、及び米国特許第5,686,292号明細書及び同第6,468,529号明細書並びにPCT出願公開番号国際公開第96/38557号パンフレットに記載されているOA-5d5が含まれる。
【0092】
TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質及びその他、例えば、特にTRAIL-R2と結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許第7,521,048号明細書に記載されているもの。
【0093】
アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、アクチビンAと結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2009/0234106号明細書に記載されているものが含まれるが、これに限定されない。
【0094】
TGF-ベータ特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、TGF-ベータと結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許第6,803,453号明細書及び米国特許出願公開第2007/0110747号明細書に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
アミロイドベータたんぱく質特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、特にアミロイドベータたんぱく質と結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用されるPCT出願公開番号国際公開第2006/081171号パンフレットに記載されているものが含まれるが、これに限定されない。考えられる1つの抗体は、上記の公開文献において開示されている配列番号8を含む重鎖可変領域と配列番号6を有する軽鎖可変領域を有する抗体である。
【0096】
c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、特にc-Kit及び/又はその他の幹細胞因子受容体と結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2007/0253951号明細書に記載されているものが含まれるが、これに限定されない。
【0097】
OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連たんぱく質、及びその他であり、特にOX40L及び/又はOX40受容体のその他のリガンドと結合するたんぱく質に関する部分においてその全体が参照によって本願に援用される米国特許出願公開第2006/0002929号明細書に記載されているものが含まれるが、これに限定されない。
【0098】
Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチン)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インタフェロンベータ1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インタフェロン-ベータ)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合たんぱく質、TNFブロッカ)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、インスリン溶液、Infergen(登録商標)(インタフェロンアルファコン-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、組み換えヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(lymphostat B、ベリムマブ、抗BlySmAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、ペキセリズマブ(抗C5補体)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(lerdelimumab)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、cantuzumab mertansine(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインタロイキン-11)、Neulasta(登録商標)(ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)、Neupogen(登録商標)(フィラグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP llb/llia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)-(インタフェロンアルファ-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL 15抗体、米国特許第7,153,507号明細書参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4integrin mAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗B、炭そ菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1トラップ(ヒトIgG1のFc部及び両IL-1受容体成分(I型受容体と受容体補助たんぱく質)の細胞外ドメイン)、VEGFトラップ(IgG1 Fcに融合されたVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチミブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合たんぱく質、可溶性BAFFアンタゴニスト)、CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツムマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3 mAb、抗C、ディフィシルトキシンA及びトキシンB C mAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF突発性肺線維症フェーズIフィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL 12/IL23 mAb(CNTO 1275)、抗IL 13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、抗LLY抗体、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001)、抗PD1 mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβmAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)、NVS抗体#1、及びNVS抗体#2を含む他の例示的なたんぱく質。
【0099】
また、スクレロスチン抗体も含めることができ、これは例えばロモソズマブ、ビオソズマブ、又はBPS 804(Novartis)であるが、これらに限定されない。さらに、リロツムマブ、ビキサロマ、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブジフォスファート、ブロダルマブ、ビズピプラント、パニツムマブ、デノスマブ、NPLATE、PROLIA、VECTIBIX又はXGEVA等の治療薬を含めることができる。それに加えて、装置には、ヒトProprotein Convertase Subtilisin/Kexin Type 9(PCSK9)と結合するモノクローナル抗体(IgG)を含めることができ、例えば、米国特許第8,030,547号明細書、米国特許出願公開第2013/0064825号明細書、国際公開第2008/057457号パンフレット、同第2008/057458号パンフレット、同第2008/057459号パンフレット、同第2008/063382号パンフレット、同第2008/133647号パンフレット、同第2009/100297号パンフレット、同第2009/100318号パンフレット、同第2011/037791号パンフレット、同第2011/053759号パンフレット、同第2011/053783号パンフレット、同第2008/125623号パンフレット、同第2011/072263号パンフレット、同第2009/055783号パンフレット、同第2012/0544438号パンフレット、同第2010/029513号パンフレット、同第2011/111007号パンフレット、同第2010/077854号パンフレット、同第2012/088313号パンフレット、同第2012/101251号パンフレット、同第2012/101252号パンフレット、同第2012/101253号パンフレット、同第2012/109530号パンフレット、同第2001/031007号パンフレットである。
【0100】
また、悪性黒色腫やその他のがんの治療のための腫瘍溶解性免疫療法薬又は他の腫瘍溶解性HSVを含めることもできる。腫瘍溶解性HSVの例には、腫瘍溶解性免疫療法薬(米国特許第7,223,593号明細書及び同第7,537,924号明細書)、OncoVEXGALV/CD(米国特許第7,981,669号明細書)、OrienX010(Lei et al.(2013),World J. Gastroenterol,19:5138-5143)、G207、1716、NV 1020、NV12023、NV1034、及びNV1042(Vargehes et al.(2002)、Cancer Gene Ther.,9(12):967-978)が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
また、TIMPも含められる。TIMPは、内在性組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP=tissue inhibitors of metalloproteinase)であり、多くの自然のプロセスにおいて重要である。TIMP-3は、様々な細胞により作られ、細胞外マトリクス内に存在し、軟骨を変性させる主要なメタロプロテアーゼのすべてを阻害して、関節リウマチや骨関節炎のほか、がん及び心血管の状態を含む結合組織の多くの変性疾患において役割を果たすかもしれない。TIMP-3のアミノ酸配列及びTIMP-3をコード化するDNAの拡散配列は、2003年5月13日に発行された米国特許第6,562,596号明細書において開示されており、その開示を参照によって本願に援用する。TIMP変異説明は、米国特許出願公開第2014/0274874号明細書及びPCT出願公開番号国際公開第2014/152012号パンフレットにおいて見出すことができる。
【0102】
また、CGRP受容体及びその他の頭痛ターゲットを標的とするヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体及び2種特異性抗体分子のための拮抗抗体も含められる。これらの分子に関するより詳しい情報は、PCT出願番号国際公開第2010/075238号パンフレットにおいて見出すことができる。
【0103】
追加的に、装置では二種特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体、例えばBLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)を使用できる。代替的に、APJ高分子アゴニスト、例えばアペリン又はその類似体を装置に含めることができる。このような分子に関する情報は、PCT出願公開番号国際公開第2014/099984号パンフレットにおいて見出すことができる。
【0104】
特定の実施形態において、薬剤は治療的に有効な量の抗胸腺間質リンパ球増殖因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体を含む。このような実施形態で使用されてよい抗TSLP抗体には、米国特許第7,982,016号明細書及び同第8,232,372号明細書、及び米国特許出願公開第2009/0186022号明細書に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。抗TSLP受容体抗体の例には、米国特許第8,101,182号明細書に記載されたものが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態において、薬剤は、治療的に有効な量の、米国特許第7,982,016号明細書においてA5と指定されている抗TSLP抗体を含む。
【0105】
薬剤注入装置、システム、方法、及びそれらの要素は例示的実施形態に関して説明されているが、これらはそれに限定されない。詳細な説明は、例としてのみ解釈されものとし、考え得るすべての実施形態のひとつひとつを説明することは、不可能ではないとしても非現実的であることから、本発明の考え得るすべての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は、本特許の出願日以降に開発される技術を使って、数多くの代替的実施形態が実装でき、これらも本発明を定義する特許請求の範囲に含められる。
【0106】
理解すべき点として、本発明の法的範囲は本特許末尾に示されている特許請求項の文言により定義される。付属の特許請求の範囲は、装置、システム、方法、及びそれらの要素の均等物の範囲から逸脱せずに当業者によりなされ得るその他のその変形型と実施形態を含めるように、広く解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、前記容器に連結された流体経路コネクタ、及び圧力供給装置を有する主ハウジングと、
前記主ハウジング内に配置され、前記圧力供給装置に動作的に連結された挿入機構であって、前記流体経路コネクタは、前記容器と前記挿入機構との間の流体流路を画定し、
近位端、遠位端、遠位端および近位端の間に配置された側壁、前記近位端の付近に配置された第一の開口、及び前記遠位端に配置された第二の開口を有するハウジングであって、前記第一の開口は前記圧力供給装置に連結されるハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、引込位置と伸展位置との間で移動可能な針又はカニューレアセンブリであって、近位面と遠位面を有する基部を含む針又はカニューレであって、ハウジングの側壁の内面の間に配置され前記基部の前記遠位面に連結された針又はカニューレであって、前記基部が前記ハウジングを近位チャンバと遠位チャンバとに分割している、針又はカニューレアセンブリと、
前記ハウジング内に配置されて、前記針又はカニューレアセンブリを、前記伸展位置に移動されるまで前記引込位置に保持する引込部材であって、前記基部と接触し、抵抗力をかける引込部材と、
を含む挿入機構と、
を含む装着式薬剤送達装置において、
前記圧力供給装置は、前記近位チャンバ内の圧力P1の量が、前記引込部材の抵抗力を超えて前記針又はカニューレアセンブリを前記引込位置から前記伸展位置へと移動させるような作動力を針又はカニューレアセンブリの前記基部の前記近位面に加えるまで、前記第一の開口を通じて前記近位チャンバへと圧力を供給し、前記針又はカニューレアセンブリは、前記ハウジングの前記遠位端の第二の開口を通じて、針又はカニューレアセンブリを留置するための前記伸展位置に配置され
前記針又はカニューレアセンブリは、(1)針又はカニューレアセンブリが側壁の内面の間に配置されているときのハウジングの側壁に配置され少なくとも1つのばね式指向性ラッチ、又は(2)前記ハウジングの前記側壁に配置された少なくとも1つの溝、のうちの1つ又は複数により前記引込位置に再び固定され、少なくとも1つのシーリング機構を受けるための前記少なくとも1つの溝は、前記基部の前記側壁に配置される
着式薬剤送達装置。
【請求項2】
前記引込部材は付勢機構を含み、前記付勢機構は、前記基部に取り付けられた第一の端と前記ハウジングの前記遠位端に取り付けられた第二の端を有するばね、又は、前記基部に取り付けられた第一の端と前記ハウジングの前記近位端に取り付けられた第二の端を有する柔軟流体路部材の1つ又は複数を含み、前記付勢機構は、前記近位チャンバ内の圧力P1が解放された後に前記針又はカニューレアセンブリを前記引込位置に引き込む、請求項1に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項3】
前記挿入機構は、前記基部の前記近位面から上方に延びる第一のコネクタと、前記基部の前記近位面から上方に延びる第一のコネクタに動作的に連結された第一の端と前記ハウジングの前記近位端から下方に延びる第二のコネクタに動作的に連結された第二の端を有する柔軟流体路部材と、をさらに含み、前記柔軟流体路部材は、前記針又はカニューレアセンブリと共に移動可能である、請求項2に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項4】
前記ハウジングの前記遠位端の付近の前記側壁に配置された段差をさらに含み、段差はシーリング機構を有し、前記シーリング機構はOリングであり、前記針又はカニューレアセンブリが前記引込位置から前記伸展位置へと移動したときに前記基部の前記遠位面はOリングと接触して、衝撃を和らげる、請求項2に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、ねじ切り内面を有する側壁を含み、前記基部は前記側壁の前記ねじ切り内面と接触する側面をさらに含み、前記基部の前記側面は、前記ハウジングの前記側壁の前記ねじ切り内面に対応するねじ切り面を有する、請求項2に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項6】
前記引込部材は少なくとも1つの摩擦要素を含み、前記少なくとも1つの摩擦要素は前記基部の前記側壁と接触し、少なくとも1つのシーリング機構又はOリングのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項7】
前記第一の開口から負圧が加えられたこと、又は前記ハウジングの前記側壁の、前記ハウジングの前記遠位端の付近に配置された第三の開口に正圧が加えられたことのうちの一方の場合に、前記遠位チャンバ内の圧力P2は前記近位チャンバ内の圧力P1を超過し、それによって、針又はカニューレアセンブリの留置後に、前記針又はカニューレアセンブリが再び前記引込位置へと戻る、請求項に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項8】
前記針又はカニューレアセンブリは、前記少なくとも1つのシーリング機構を受けるための前記少なくとも1つの溝は、前記針又はカニューレアセンブリが再び前記伸展位置へと移動させられるのを防止するために、前記基部の前記側壁に配置される、請求項6に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのばね式指向性ラッチは、前記ハウジングの前記側壁の1つの領域に配置された第一のばね式指向性ラッチと、前記ハウジングの前記側壁の別の領域に配置された第二のばね式ラッチを含み、第一のばね式指向性ラッチおよび第二のばね式ラッチのそれぞれは傾斜側面を有し、前記基部のそれぞれの側で前記基部の対応する傾斜側面と接触して前記針又はカニューレアセンブリの前記基部をロックし、再留置を防止する、請求項に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの溝は、前記ハウジングの前記側壁の1つの領域に配置された第一の溝と、前記ハウジングの前記側壁の別の領域に配置された第二の溝を含み、第一の溝および第二の溝のそれぞれは、対応する摩擦要素を受けて、前記針又はカニューレアセンブリの前記基部を固定し、再留置を防止するように適合される、請求項に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記ハウジングの前記近位チャンバから下方に延び、中央穴を有するガイド部材をさらに含み、前記基部は、前記基部の前記近位面の中心から前記中央穴の中へと伸びるシャフトをさらに含み、前記中央穴は、前記針又はカニューレアアセンブリが前記引込及び伸展位置間で移動して前記近位チャンバの体積を減少させる際に、前記基部の前記シャフトを案内する、請求項に記載の装着式薬剤送達装置。
【請求項12】
ハウジングであって、近位端、遠位端、遠位端および近位端の間に配置された側壁、近位端の付近で前記ハウジング内に配置された第一の開口であって、圧力供給装置に動作的に連結されるように適合された第一の開口、及び前記ハウジングの前記遠位端に配置された第二の開口を有するハウジングと、
前記ハウジングの中に配置されて、引込位置と伸展位置との間で移動可能な針又はカニューレアセンブリであって、近位面と遠位面を有する基部を含む針又はカニューレであって、針又はカニューレがハウジングの側壁の内面の間に配置され前記基部に取り付けられている、針又はカニューレアセンブリと、
前記基部と接触し、抵抗力を付加して、前記針又はカニューレアセンブリを前記伸展位置へと移動するまで前記引込位置に保持する引込部材と、
前記基部の前記近位面から延びるコネクタに動作的に連結された第一の端と、前記ハウジングの前記近位端から延びるコネクタに動作的に連結された第二の端を有する柔軟流体路部材と、
を含む、薬剤送達装置のための挿入機構において、
圧力は前記第一の開口から、圧力P1の量が、前記引込部材の抵抗力を超えて前記針又はカニューレアセンブリを前記引込位置から前記伸展位置へと移動させるような作動力を針又はカニューレアセンブリの前記基部の前記近位面に加えるまで供給され、前記針又はカニューレアセンブリは前記伸展位置においては前記ハウジングの前記遠位端の前記第二の開口から延びる挿入機構。
【請求項13】
前記基部は前記ハウジングを近位チャンバと遠位チャンバとに分割し、それによって前記近位チャンバ内の圧力P1が前記遠位チャンバ内の圧力P2を超えると、前記針又はカニューレアセンブリは前記引込位置から前記伸展位置へと移動する、請求項12に記載の挿入機構。
【請求項14】
前記ハウジング側壁の前記ハウジングの前記遠位端の付近に配置された1対のシーリング機構をさらに含み、それによって、前記針アセンブリが前記伸展位置にあるとき、前記基部の前記遠位面は前記シーリング機構に接触する、請求項12に記載の挿入機構。
【請求項15】
前記ハウジングは、ねじ切り内面を有する側壁を含み、前記基部は前記側壁の前記ねじ切り内面と接触する側面をさらに含み、前記基部の前記側面は、前記ハウジングの前記側壁の前記ねじ切り内面に対応するねじ切り面を有し、前記ハウジングの前記側壁の前記ねじ切り内面と前記基部の前記側面の前記ねじ切り面は粗いねじ山又は細かいねじ山の一方であり、前記粗いねじ山によれば、前記針又はカニューレは挿入中に少なくとも2~3回転でき、前記細かいねじ山によれば、前記針又はカニューレは挿入中に少なくとも8~10回転できる、請求項12に記載の挿入機構。
【請求項16】
記柔軟流体路部材は、前記針又はカニューレアセンブリの前記引込位置及び前記伸展位置に対応する引込位置及び伸展位置との間で移動可能である、請求項12に記載の挿入機構。
【請求項17】
薬剤送達装置から挿入機構の針又はカニューレを留置する方法において
引込部材により、前記挿入機構のハウジング内に配置された針又はカニューレアセンブリの引込位置を保持するステップであって、ハウジングは、側壁、および、側壁の内面の間でハウジング内に配置された針又はカニューレを含む針又はカニューレアセンブリ、を含む、当該保持するステップと、
前記挿入機構の前記ハウジングの第一の開口に、前記ハウジングの近位チャンバ内の圧力P1の量が、前記引込部材又は前記ハウジングの遠位チャンバ内の圧力P2のうちの1つ又は複数により前記針又はカニューレアセンブリの前記基部に加えられる抵抗力を超える作動力を針又はカニューレアセンブリの基部に加えるまで圧力を供給するステップと、
前記作動力が前記抵抗力を超えたときに、前記針又はカニューレアセンブリを前記引込位置から前記伸展位置へと移動させるステップと、
前記針又はカニューレアセンブリが前記針又はカニューレを留置するための前記伸展位置へと移動したときに、前記針又はカニューレアセンブリの針又はカニューレを前記挿入機構の前記ハウジングの前記遠位端の第二の開口の中に配置するステップと、
前記伸展位置から移動した後に前記針又はカニューレアセンブリを前記引込位置に固定するステップであって、前記針又はカニューレアセンブリを前記引込位置に固定するステップは、(1)少なくとも1つのばね式指向性ラッチの中に移動した前記基部の少なくとも片側と接触する前記ハウジングの側壁に少なくとも1つのばね式指向性ラッチを提供するステップ又は、(2)前記基部の少なくとも片側に配置された少なくとも1つのシーリング機構を前記ハウジングの前記側壁に配置された対応する溝の中に挿入するステップのうちの一方を含む、当該固定するステップと、を含む方法。
【請求項18】
針又はカニューレアセンブリの引込位置を保持するステップは、(1)付勢機構を介して前記針又はカニューレアセンブリの基部の遠位面に抵抗力を加えるステップ又は、(2)前記基部の側壁に摩擦要素を配置して、摩擦要素を介して前記ハウジングの前記近位端に向かって抵抗力を加えるステップのうちの一方を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
(a)前記ハウジングの前記遠位チャンバ内の圧力P2が前記ハウジングの前記近位チャンバ内の前記圧力P1を超過して、前記針又はカニューレアセンブリが前記伸展位置から再び前記引込位置へと移動するまで、前記第一の開口から負圧を加えるステップ
(b)前記ハウジングの前記遠位チャンバ内の圧力P2が前記近位チャンバ内の前記圧力P1を超過して、前記針又はカニューレアセンブリが前記伸展位置から再び前記引込位置へと移動するまで、前記ハウジングにおける、前記ハウジングの前記遠位端の付近に配置された第三の開口に正圧を加えるステップ
というステップ(a)または(b)の少なくとも一方をさらに含む、請求項17に記載の方法。