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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154106
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】可搬型測定装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20231012BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H05K7/20 E
H01L23/40 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046531
(22)【出願日】2022-03-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 高也
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA02
5E322AB04
5E322AB11
5E322BA04
5E322BB03
5F136DA33
5F136EA35
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】
【課題】高発熱量の光モジュールの放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる可搬型測定装置を提供する。
【解決手段】光信号と電気信号を相互に変換する光モジュール40を用いて測定を行う可搬型測定装置1であって、測定を実行する測定装置本体2と、第1のベース板21、第1のベース板に対し間隔をあけて対向した第2のベース板22、第1のベース板と第2のベース板を、ベース板間の間隔を変更可能に支持する支持部27、および第1のベース板と第2のベース板の少なくとも一方に取り付けられたヒートシンク28,29を有する冷却アタッチメント20と、を備える。冷却アタッチメントは、測定装置本体に装着された光モジュールを測定装置本体の外部で第1のベース板と第2のベース板により挟んで冷却する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号と電気信号を相互に変換する光モジュール(40)を用いて測定を行う可搬型測定装置(1)であって、
測定を実行する測定装置本体(2)と、
第1のベース板(21)、前記第1のベース板に対し間隔をあけて対向した第2のベース板(22)、前記第1のベース板と前記第2のベース板を、前記間隔を変更可能に支持する支持部(27)、および前記第1のベース板と前記第2のベース板の少なくとも一方に取り付けられたヒートシンク(28,29)を有する冷却アタッチメント(20)と、を備え、
前記冷却アタッチメントは、前記測定装置本体に装着された前記光モジュールを前記測定装置本体の外部で前記第1のベース板と前記第2のベース板により挟んで冷却することを特徴とする可搬型測定装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記第1のベース板と前記第2のベース板の間隔を、少なくとも、前記第1のベース板と前記第2のベース板の間を前記光モジュールがくぐることのできる第1の間隔と、前記測定装置本体に装着された前記光モジュールを前記測定装置本体の外部で前記第1のベース板と前記第2のベース板により挟むことのできる第2の間隔とに変更することができる、請求項1に記載の可搬型測定装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記第1のベース板と前記第2のベース板が前記光モジュールを弾力的に挟むように前記第1のベース板を前記第2のベース板の方向に付勢する付勢部(24)を備える、請求項1または2に記載の可搬型測定装置。
【請求項4】
前記支持部は、一端が前記第2のベース板に固定され、他端が前記第1のベース板に設けられたガイド孔(21b)に挿通された支柱(23)と、前記支柱の他端側にて前記支柱の長手方向に互いに間隔をあけて前記支柱にそれぞれ固定された第1の固定ストッパ(26a)および第2の固定ストッパ(26c)と、をさらに備え、前記第1のベース板は前記第1の固定ストッパと前記第2の固定ストッパとの間の所定の可動範囲で前記支柱に沿って移動できる、1~3のいずれか一項に記載の可搬型測定装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記第1の固定ストッパおよび前記第2の固定ストッパのいずれか一方と前記第1のベース板との間に前記支柱に沿って設けられたバネ(25)をさらに備える、請求項4に記載の可搬型測定装置。
【請求項6】
前記ヒートシンクは、少なくとも前記第1のベース板において前記第2のベース板に対向する面とは反対側の面に取り付けられ、前記冷却アタッチメントが前記光モジュールに取り付けられたとき、前記第1のベース板が前記光モジュールのモジュール本体の外面に設けられた放熱部(44)に当接する、請求項1~5のいずれか一項に記載の可搬型測定装置。
【請求項7】
前記測定装置本体の筐体(10)の内部に設けられた筐体内ヒートシンク(15)と、前記筐体に取り付けられたファン(16)と、をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の可搬型測定装置。
【請求項8】
前記冷却アタッチメントは、前記測定装置本体に前記光モジュールが装着されたとき前記冷却アタッチメントを前記測定装置本体に連結するための第1連結部(21a)を備え、前記筐体内ヒートシンクは、前記第1連結部と連結するための第2連結部(15b)を備える、請求項7に記載の可搬型測定装置。
【請求項9】
光信号と電気信号を相互に変換する光モジュール(40)を用いて測定を行う可搬型測定装置(1)と共に用いる前記光モジュール用の冷却アタッチメント(20)であって、
第1のベース板(21)と、
前記第1のベース板に対し間隔をあけて対向した第2のベース板(22)と、
前記第1のベース板と前記第2のベース板を、前記間隔を変更可能に支持する支持部(27)と、
前記第1のベース板と前記第2のベース板の少なくとも一方に取り付けられたヒートシンク(28,29)と、を備え、
測定を実行する測定装置本体に装着された前記光モジュールを前記測定装置本体の外部で前記第1のベース板と前記第2のベース板により挟んで冷却することを特徴とする冷却アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型測定装置に関するものであり、特に光モジュールの放熱構造を有する可搬型測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク等の測定対象の通信品質を測定するために、可搬型の測定装置が現場で使用されている。測定の際には、測定対象と測定装置が、光ファイバケーブルおよび光-電気変換モジュール(以下、光モジュールともいう)を介して接続される。光モジュールは、光信号と電気信号を相互に変換する入出力インタフェースであり、測定装置に設けられたポートのケージに取り外し可能に装着されて使用される。
【0003】
近年、通信速度の向上に伴い、光モジュールの発熱量が増加しており、光モジュールの冷却が必要とされている(例えば、特許文献1参照)。光モジュールを冷却するため、光モジュールを収容する相手方のケージの外側にヒートシンクが設けられたり、光モジュールの外面にヒートシンクが設けられたりしている。このような光モジュールを規定する規格としては、例えば、QSFP-DD(Quad Small Form-factor Pluggable - Double Density)規格が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、光モジュールを挿抜するケージに着脱可能な形状を有し、該ケージに接触する放熱部を備えた冷却用アタッチメントが開示されている。この冷却用アタッチメントは、光モジュールを装着したケージとは別の隣接したケージを占有して使用するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-135006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、据置型の測定装置や通信装置(例えばブレードサーバ)では、筐体を大きくして、強力な冷却ファンで風量を稼ぐことにより、発熱量が増加する一方の近年の光モジュールの放熱効率を高めることができる。
【0007】
しかしながら、可搬型測定装置は、現場での使用が想定されるため、小型・軽量化が必須である。そのため、可搬型測定装置では導風構造のサイズが制限され、冷却ファンは小型のものを使用せざるを得ず、必要な風量を稼ぐことができなかった。また、特許文献1に記載のような構造では放熱に限界があり、高発熱量の光モジュールに対応できなかった。
【0008】
また、光モジュール自体に温度閾値が設定されており、温度が閾値近くまで上昇すると、周囲温度の影響で、閾値を超えたり、戻ったりを繰り返して、通信が断続的になる場合があった。このため、測定対象の通信性能を正しく測定できないおそれがあるなど、放熱が不足することにより、測定結果の信頼性が低下するおそれがあった。
【0009】
また、例えば、従来の光モジュールであれば、40℃程度の環境でも動作できることが一般的であったが、QSFP-DD規格対応の消費電力が大きい光モジュールでは、従来の温度より低い30℃程度の環境でしか動作することができない事が予想される。このような周囲環境の制限にくわえ、今後も伝送量の増加により発熱量の増大が予想されるため、放熱の効率化を行って動作温度範囲も確保する必要がある。
【0010】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、冷却性能を上げるために内部空間を拡張することができない可搬型であっても、高発熱量の光モジュールの放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる可搬型測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の可搬型測定装置は、上記目的達成のため、光信号と電気信号を相互に変換する光モジュール(40)を用いて測定を行う可搬型測定装置(1)であって、測定を実行する測定装置本体(2)と、第1のベース板(21)、前記第1のベース板に対し間隔をあけて対向した第2のベース板(22)、前記第1のベース板と前記第2のベース板を、前記間隔を変更可能に支持する支持部(27)、および前記第1のベース板と前記第2のベース板の少なくとも一方に取り付けられたヒートシンク(28,29)を有する冷却アタッチメント(20)と、を備え、前記冷却アタッチメントは、前記測定装置本体に装着された前記光モジュールを前記測定装置本体の外部で前記第1のベース板と前記第2のベース板により挟んで冷却することを特徴とする。
【0012】
上述のように、本発明の可搬型測定装置は、冷却アタッチメントが、測定装置本体に装着された光モジュールを測定装置本体の外部でヒートシンクが取り付けられた第1のベース板と第2のベース板により挟んで冷却するようになっている。この構成により、本発明の可搬型測定装置は、冷却性能を上げるために内部空間を拡張することができない可搬型の測定装置であっても、測定装置本体の外部から高発熱量の光モジュールの放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる。また、冷却アタッチメントの支持部が、第1のベース板と第2のベース板を、第1のベース板と第2のベース板の間隔を変更可能に支持するようになっている。この構成により、冷却アタッチメントを光モジュールに着脱する際に、第1のベース板と第2のベース板の間隔を広げることにより着脱操作が容易になる。
【0013】
また、本発明の可搬型測定装置において、前記支持部は、前記第1のベース板と前記第2のベース板の間隔を、少なくとも、前記第1のベース板と前記第2のベース板の間を前記光モジュールがくぐることのできる第1の間隔と、前記測定装置本体に装着された前記光モジュールを前記測定装置本体の外部で前記第1のベース板と前記第2のベース板により挟むことのできる第2の間隔とに変更することができる構成であってもよい。
【0014】
この構成により、本発明の可搬型測定装置は、支持部が第1のベース板と第2のベース板との間隔を第2の間隔に変更することにより、冷却アタッチメントが、測定装置本体に装着された光モジュールを、測定装置本体の外部でヒートシンクの取り付けられた第1のベース板と第2のベース板とで挟んで冷却することができる。したがって、本発明の可搬型測定装置は、冷却性能を上げるために内部空間を拡張することができない可搬型の測定装置であっても、高発熱量の光モジュールの放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる。また、第1のベース板と第2のベース板の間隔を広げた状態(第1の間隔)で光モジュールを第1のベース板と第2のベース板の間にくぐらせてベース板間に配置し、第1のベース板と第2のベース板の間隔を狭めた状態(第2の間隔)にして使用することができるので、光モジュールのサイズに合わせて冷却アタッチメントを容易に着脱することができる。
【0015】
本発明の可搬型測定装置において、前記支持部は、前記第1のベース板と前記第2のベース板が前記光モジュールを弾力的に挟むように前記第1のベース板を前記第2のベース板の方向に付勢する付勢部(24)を備える構成であってもよい。
【0016】
この構成により、本発明の可搬型測定装置は、光モジュールのサイズに合わせて第1のベース板と第2のベース板とで光モジュールをしっかり挟むことができるので、光モジュールから第1のベース板および第2のベース板に取り付けられたヒートシンクへの熱伝達を確実に行うことができる。これにより、高発熱量の光モジュールの放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる。
【0017】
本発明の可搬型測定装置において、前記支持部は、一端が前記第2のベース板に固定され、他端が前記第1のベース板に設けられたガイド孔(21b)に挿通された支柱(23)と、前記支柱の他端側にて前記支柱の長手方向に互いに間隔をあけて前記支柱にそれぞれ固定された第1の固定ストッパ(26a)および第2の固定ストッパ(26c)と、をさらに備え、前記第1のベース板は前記第1の固定ストッパと前記第2の固定ストッパとの間の所定の可動範囲で前記支柱に沿って移動できる構成であってもよい。
【0018】
この構成により、第1のベース板と第2のベース板の間隔を変更可能に第1のベース板と第2のベース板を支持する支持部を、簡単な構成により実現することができる。
【0019】
本発明の可搬型測定装置において、前記支持部は、前記第1の固定ストッパおよび前記第2の固定ストッパのいずれか一方と前記第1のベース板との間に前記支柱に沿って設けられたバネ(25)をさらに備える構成であってもよい。
【0020】
この構成により、本発明の可搬型測定装置は、バネによる簡単な構成により、第1のベース板と第2のベース板の間隔を、復元力をもって広げることができるとともに、第1のベース板と第2のベース板が光モジュールを弾力的に挟むことができる。
【0021】
本発明の可搬型測定装置において、前記ヒートシンクは、少なくとも前記第1のベース板において前記第2のベース板に対向する面とは反対側の面に取り付けられ、前記冷却アタッチメントが前記光モジュールに取り付けられたとき、前記第1のベース板が前記光モジュールのモジュール本体の外面に設けられた放熱部(44)に当接する構成であってもよい。
【0022】
この構成により、本発明の可搬型測定装置は、測定装置本体への装着時に外部に露出するモジュール本体の外面に取り付けられた放熱部を、効率的に冷却することができる。
【0023】
本発明の可搬型測定装置は、前記測定装置本体の筐体(10)の内部に設けられた筐体内ヒートシンク(15)と、前記筐体に取り付けられたファン(16)と、をさらに備える構成であってもよい。
【0024】
この構成により、本発明の可搬型測定装置は、光モジュールをさらに効率的に冷却することができる。
【0025】
本発明の可搬型測定装置において、前記冷却アタッチメントは、前記測定装置本体に前記光モジュールが装着されたとき前記冷却アタッチメントを前記測定装置本体に連結するための第1連結部(21a)を備え、前記筐体内ヒートシンクは、前記第1連結部と連結するための第2連結部(15b)を備える構成であってもよい。
【0026】
この構成により、本発明の可搬型測定装置は、冷却アタッチメントを測定装置本体に固定するとともに、冷却アタッチメントと筐体内ヒートシンクとを熱的に結合することができる。これにより、測定装置本体の外部に露出している光モジュールの放熱部からの熱を筐体内ヒートシンクから放熱することができるので、光モジュールをさらに効率的に冷却することができる。
【0027】
本発明の冷却アタッチメントは、光信号と電気信号を相互に変換する光モジュール(40)を用いて測定を行う可搬型測定装置(1)と共に用いる前記光モジュール用の冷却アタッチメント(20)であって、第1のベース板(21)と、前記第1のベース板に対し間隔をあけて対向した第2のベース板(22)と、前記第1のベース板と前記第2のベース板を、前記間隔を変更可能に支持する支持部(27)と、前記第1のベース板と前記第2のベース板の少なくとも一方に取り付けられたヒートシンク(28,29)と、を備え、測定を実行する測定装置本体に装着された前記光モジュールを前記測定装置本体の外部で前記第1のベース板と前記第2のベース板により挟んで冷却することを特徴とする。
【0028】
上述のように、本発明の冷却アタッチメントは、冷却アタッチメントが、測定装置本体に装着された光モジュールを測定装置本体の外部でヒートシンクが取り付けられた第1のベース板と第2のベース板により挟んで冷却するようになっている。この構成により、本発明の冷却アタッチメントは、冷却性能を上げるために内部空間を拡張することができない可搬型の測定装置であっても、測定装置本体の外部から高発熱量の光モジュールの放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる。また、冷却アタッチメントの支持部が第1のベース板と第2のベース板を、第1のベース板と第2のベース板の間隔を変更可能に支持するようになっている。この構成により、冷却アタッチメントを光モジュールに着脱する際に、第1のベース板と第2のベース板の間隔を広げることにより着脱が容易になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、冷却性能を上げるために内部空間を拡張することができない可搬型であっても、高発熱量の光モジュールの放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる可搬型測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係る可搬型測定装置の概略構成を示す図である。
図2】(a)は図1の冷却アタッチメントの平面図であり、(b)は図2(a)のA-A断面図である。
図3】冷却アタッチメントの支持構造を示す図である。
図4】第1のベース板と筐体内ヒートシンクとの連結構造を示す図である。
図5】(a)は可搬型測定装置の測定装置本体の概略構造を示す図であり、(b)は図5(a)のB方向矢視図である。
図6】光モジュールの構成を示す斜視図である。
図7】本発明の別の実施形態に係る冷却アタッチメントの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る可搬型測定装置1の概略構成を示す図である。本実施形態に係る可搬型測定装置1は、光信号と電気信号を相互に変換する入出力インタフェースとしての光モジュール40を介してネットワーク等の測定対象の通信品質を測定するものである。具体的には、図1に示すように、可搬型測定装置1は、測定対象の通信品質の測定を実行する測定装置本体2と、光モジュール40に着脱可能に取り付けられ、光モジュール40を冷却する冷却アタッチメント20とを備えている。
【0033】
[測定装置本体]
まず、測定装置本体2について説明する。
【0034】
図5(a)は可搬型測定装置1の測定装置本体2の構造を示す図であり、図5(b)は、図5(a)のB方向矢視図である。図5(a)に示すように、測定装置本体2は、筐体10、ポート11、ケージ12、電気コネクタ13、筐体内シートシンク15、冷却用のファン16、および導風板17を備えている。図5(a)では、信号処理部、表示部、操作部などは図示を省略している。
【0035】
ポート11は、筐体10の一面に開口部を有する直方体形状のケージ12と、ケージ12の奥側に設けられた電気コネクタ13とを有しており、光モジュール40を挿抜(着脱)できるようになっている。光モジュール40をポート11に装着すると、光モジュール40側の電気コネクタ42(図6参照)が電気コネクタ13と電気的に接続される。
【0036】
筐体内ヒートシンク15は、筐体10の内部において、底面15aをケージ12の一側面に当接して設けられたヒートシンクである。これにより、ケージ12内に収容された光モジュール40から発生した熱が、ケージ12を介して筐体内ヒートシンク15より放熱される。
【0037】
冷却用のファン16は、筐体10の一面、例えば、ポート11が設けられた筐体面に対向した面に取り付けられている。冷却用のファン16は、外部の空気を筐体10内に取り込み筐体内ヒートシンク15の方に風を送り込んで、筐体内ヒートシンク15を空冷するようになっている(図1において破線で示された矢印参照)。あるいは、冷却用のファン16は、筐体10内の空気を外部に排出することにより、ポート11が設けられた筐体面側から空気を取り込んで筐体内ヒートシンク15を空冷するようにしてもよい。
【0038】
導風板17は、冷却用のファン16により空冷する際に、筐体10の内部において筐体内ヒートシンク15に風を効率的に導くためのガイドとして設けられている。
【0039】
図5(b)に示すように、筐体10においてポート11が設けられた筐体面には、ポート11を挟んで2つのスロット10a、10bが形成されている。冷却アタッチメント20の使用時には、第1のベース板21の測定装置本体2側の端部が、スロット10aに通され、第2のベース板22の測定装置本体2側の端部が、スロット10bに通されるようになっている。これにより、冷却アタッチメント20を測定装置本体2に固定することができる。なお、図5(b)では、他の端子、ポートなどの構成要素は図示を省略している。
【0040】
本実施形態では、冷却アタッチメント20が測定装置本体2に固定される構成であるが、この構成に限定されず、冷却アタッチメント20を光モジュール40に装着し、冷却アタッチメント20と測定装置本体2とは連結しない構成であってもよい。
【0041】
[光モジュール]
次に、光モジュール40について説明する。
【0042】
図6は、光モジュール40の構成例を示す斜視図である。図6に示す光モジュール40は、QSFP-DD規格による光モジュールであるが、光モジュールの規格はこれに限定されず、本実施形態に係る冷却アタッチメント20が適用できるものであれば、いずれの通信規格の光モジュールであってもよい。光モジュール40は、光信号と電気信号を相互に変換する入出力インタフェースとして機能するものであり、可搬型測定装置1の測定装置本体2に設けられたポート11に着脱できるようになっている。
【0043】
図6に示すように、光モジュール40は、モジュール本体41、電気コネクタ42、光コネクタ43、放熱部44、およびプルタブ45を備えている。プルタブ45は、光モジュール40を測定装置本体2に設けられたポート11のケージ12から引き抜くときに用いられる。
【0044】
光コネクタ43は、モジュール本体41の一端に設けられ、図示しない光ファイバケーブルの端部に形成された光コネクタが接続されるようになっている。また、電気コネクタ42は、モジュール本体41の他端に設けられ、測定装置本体2側のケージ12の内奥に設けられた電気コネクタ13に電気的に接続されるようになっている。
【0045】
光モジュール40は、測定対象から光ファイバケーブルを介して送信された光信号を、光コネクタ43を介して受信して電気信号に変換し、電気コネクタ42を介して測定装置本体2側の信号処理部に送るようになっている。また、光モジュール40は、可搬型測定装置1により生成された電気信号を、電気コネクタ42を介して受け取って光信号に変換し、光コネクタ43を介して光ファイバケーブルに送出するようになっている。
【0046】
放熱部44は、光モジュール40の発熱部に対応したモジュール本体41の側面に取り付けられ、光モジュール40の発熱部が発生した熱を放熱するようになっている。この放熱部44は、光モジュール40をケージ12に装着したとき、測定装置本体2の筐体10の外部に位置するようになっている。
【0047】
[冷却アタッチメント]
次に、冷却アタッチメント20について説明する。
【0048】
図2(a)は冷却アタッチメント20の平面図であり、図2(b)は図2(a)のA-A断面図である。図1および図2(a)、(b)に示すように、冷却アタッチメント20は、第1のベース板21と、第1のベース板21に対し間隔をあけて対向した第2のベース板22と、第1のベース板21と第2のベース板22を、第1のベース板21と第2のベース板22の間隔を変更可能に支持する支持部27と、第1のベース板21に取り付けられたヒートシンク28と、第2のベース板22に取り付けられたヒートシンク29とを備えている。そして、冷却アタッチメント20は、測定装置本体2に装着された光モジュール40を測定装置本体2の外部で第1のベース板21と第2のベース板22により挟んで冷却するようになっている。本明細書において、挟むとは、物理的接触を伴って挟むことをいう。
【0049】
第1のベース板21と第2のベース板22は、ほぼ同じサイズであり、平面視で一辺が光モジュール40の短手方向の幅(すなわち、図6において放熱部44が設けられたモジュール本体41の側面の幅)より大きい矩形であり、例えば、伝熱特性の良いアルミニウム、鉄、銅などの金属製である。ただし、第1のベース板21と第2のベース板22の平面形状は矩形に限定されず、任意の平面形状にしてもよい。第1のベース板21は、ヒートシンク28と別部材としてもよいし、一体で構成してもよい。同様に、第2のベース板22は、ヒートシンク29と別部材としてもよいし、一体で構成してもよい。本実施形態では、第1のベース板21と第2のベース板22は、板状の部材であるが、板形状に限定されず、網状、格子状など別形状であってもよい。
【0050】
ヒートシンク28、29は、例えば直方体形状あるいは立方体形状であり、例えば、伝熱特性の良いアルミニウム、鉄、銅などの金属製であり、効率的に放熱するために複数のフィンを備えている。ヒートシンク28は、第1のベース板21において第2のベース板22に対向する側とは反対側の面に取り付けられている。ヒートシンク29は、第2のベース板22において第1のベース板21に対向する側とは反対側の面に取り付けられている。
【0051】
本実施形態では、2個のヒートシンク28、29が用いられているが、個数はこれに限定されず、ヒートシンク28、29のどちらか一方だけでもよいし、3個以上のヒートシンクを用いてもよい。第1および第2のベース板21、22の各々には、複数のヒートシンクを設けてもよい。また、本実施形態では、ヒートシンク28、29は、それぞれ第1および第2のベース板21、22の対向している側とは反対側の面に取り付けられているが、取り付ける面はこれに限定されず、第1および第2のベース板21、22が対向している側の面に取り付けてもよい。
【0052】
支持部27は、第1のベース板21と第2のベース板22との間隔を所定の範囲で調整可能に第1のベース板21と第2のベース板22を支持するようになっている。具体的には、支持部27は、第1のベース板21と第2のベース板22の間隔を、少なくとも、第1のベース板21と第2のベース板22の間を光モジュール40がくぐることのできる第1の間隔と、測定装置本体2に装着された光モジュール40を測定装置本体2の外部で第1のベース板21と第2のベース板22により挟むことのできる第2の間隔とに変更することができる。これにより、第1のベース板21と第2のベース板22の間隔を広げた状態(第1の間隔)で光モジュール40を第1のベース板21と第2のベース板22の間にくぐらせてベース板間に配置し、第1のベース板21と第2のベース板22の間隔を狭めた状態(第2の間隔)にして使用することができるので、光モジュール40のサイズに合わせて冷却アタッチメント20を容易に着脱することができる。
【0053】
より具体的には、支持部27は、4本の支柱23と、各支柱23の上部に設けられた付勢部24とを備えている。各支柱23は、一端が第2のベース板22に固定され、他端が第1のベース板21に設けられたガイド孔21bに挿通されている。付勢部24は、
第1のベース板21と第2のベース板22が光モジュール40を弾力的に挟むように第1のベース板21を第2のベース板22の方向に付勢するようになっている。
【0054】
図3は、冷却アタッチメント20の支持構造を示す図である。図2および図3に示すように、支持部27の付勢部24は、各支柱23の上部(他端側)にて長手方向に間隔を開けて固定された第1の固定ストッパ26aと第2の固定ストッパ26cとを備えている。支持部27は、第1の固定ストッパ26aおよび第2の固定ストッパ26cの間に移動自在に設けられた可動ストッパ26bを備えている。第1の固定ストッパ26aと可動ストッパ26bとの間には、支柱23に沿ってバネ25が設けられている。バネ25により、第1のベース板21と第2のベース板22が光モジュール40を弾力的に挟むように、第1のベース板21を第2のベース板22の方向に付勢するようになっている。これにより、第1のベース板21は、第1の固定ストッパ26aと第2の固定ストッパ26cとの間の所定の可動範囲にて復元力の作用下で支柱23に沿って移動できるようになっている。
【0055】
上記構成により、支持部27は、第1のベース板21と第2のベース板22との間隔を所定の範囲で調整可能に第1のベース板21と第2のベース板22を支持するようになっているので、光モジュール40のサイズに合わせて第1のベース板21と第2のベース板22の間に光モジュール40を確実に挟むことができる。これにより、光モジュール40から第1および第2のベース板21、22を介して第1および第2のヒートシンク28、29への熱伝達を確実に行うことができる。これにより、高発熱量の光モジュール40の放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる。しかも、第1のベース板21と第2のベース板22の間隔を、復元力をもって広げることができるとともに、第1のベース板21と第2のベース板22が光モジュール40を弾力的に挟むことができる。
【0056】
本実施形態に係る可搬型測定装置1において、冷却アタッチメント20が光モジュール40に取り付けられたとき、ヒートシンク28の設けられた第1のベース板21が、光モジュール40のモジュール本体41の外面に設けられた放熱部44に当接するようになっている。この構成により、測定装置本体2への装着時に外部に露出するモジュール本体41の外面に取り付けられた放熱部44を、効率的に冷却することができる。
【0057】
本実施形態に係る可搬型測定装置1は、測定装置本体2の筐体10の内部に設けられた筐体内ヒートシンク15と、筐体10に取り付けられた冷却用のファン16と、ファン16により生じる気流をガイドする導風板17とを備えている。この構成により、光モジュール40をさらに効率的に冷却することができる。
【0058】
図4は、第1のベース板21と筐体内ヒートシンク15との連結構造を示す図である。冷却アタッチメント20は、測定装置本体2に設けられたポート11に光モジュール40が装着されたとき冷却アタッチメント20を測定装置本体2に連結するための第1連結部として、第1のベース板21の測定装置本体2側の端部21aを備えている。また、筐体内ヒートシンク15は、第1連結部としての端部21aと連結するための第2連結部として、筐体内ヒートシンク15の端面に設けられた凹部15bを備えている。
【0059】
光モジュール40が測定装置本体2のポート11に装着されるとき、第1のベース板21の端部21aが、筐体10のスロット10aを通って筐体内ヒートシンク15の端面の凹部15bに取り外し可能に嵌合する。第2のベース板22の測定装置本体2側の端部は、筐体10のスロット10bを通って筐体10内に挿入される。
【0060】
この構成により、冷却アタッチメント20が測定装置本体2にしっかりと固定されるとともに、第1のベース板21と筐体内ヒートシンク15が熱的に連結される。これにより、測定装置本体2の外部に露出している光モジュール40の放熱部44からの熱を筐体内ヒートシンク15から放熱することができるので、光モジュール40をさらに効率的に冷却することができる。
【0061】
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態に係る可搬型測定装置1は、冷却アタッチメント20が、測定装置本体2に設けられたポート11に装着された光モジュール40を、測定装置本体2の外部でヒートシンク28の取り付けられた第1のベース板21とヒートシンク29の取り付けられた第2のベース板22とで挟んで冷却するようになっている。この構成により、冷却性能を上げるために内部空間を拡張することができない可搬型の測定装置であっても、測定装置本体2の外部から高発熱量の光モジュール40の放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる。
【0062】
また、本実施形態の可搬型測定装置1は、冷却アタッチメント20の支持部27が、第1のベース板21と第2のベース板22を、ベース板間の間隔を変更可能に支持するようになっている。この構成により、冷却アタッチメント20を光モジュール40に着脱する際に、第1のベース板21と第2のベース板22の間隔を広げることにより着脱操作が容易になる。
【0063】
また、本実施形態の可搬型測定装置1において、支持部27は、第1のベース板21と第2のベース板22が光モジュール40を弾力的に挟むように第1のベース板21を第2のベース板22の方向に付勢する付勢部24を備えている。この構成により、光モジュール40のサイズに合わせて第1のベース板21と第2のベース板22とで光モジュール40をしっかり挟むことができるので、光モジュール40から第1のベース板21および第2のベース板22に取り付けられたヒートシンク28、29への熱伝達を確実に行うことができる。これにより、高発熱量の光モジュール40の放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる。
【0064】
また、本実施形態の可搬型測定装置1において、冷却アタッチメント20は、測定装置本体2に設けられたポート11に光モジュール40が装着されたとき、冷却アタッチメント20の第1のベース板21の端部21aを測定装置本体2に設けられた筐体内ヒートシンク15の凹部15bと嵌合するようになっている。この構成により、冷却アタッチメント20を測定装置本体2に固定するとともに、冷却アタッチメント20と筐体内ヒートシンク15とを熱的に結合することができる。これにより、測定装置本体2の外部に露出している光モジュール40の放熱部44からの熱を筐体内ヒートシンク15から放熱することができるので、光モジュール40をさらに効率的に冷却することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る可搬型測定装置1について、図面を参照して説明する。
【0066】
第2の実施形態に係る可搬型測定装置1は、冷却アタッチメント20Aの支持部27Aの構成が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
【0067】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る冷却アタッチメント20Aの概略構成を示す図である。図7に示すように、本実施形態に係る冷却アタッチメント20Aは、ヒートシンク28が取り付けられた第1のベース板21Aと、ヒートシンク29が取り付けられた第2のベース板22Aと、第1および第2のベース板21A、22Aを支持する支持部27Aとを備えている。支持部27Aは、冷却アタッチメント20Aが光モジュール40に着脱可能なように、第1のベース板21と第2のベース板22を、両ベース板の間隔あるいは相対位置を変更可能に支持するように構成されている。
【0068】
具体的には、支持部27Aは、第1のベース板21Aの一端縁から所定角度で延在する第1の回動部27A1と、第2のベース板22Aの一端縁から所定角度で延在する第2の回動部27A2と、第1の回動部27A1に続く第1の把持部27A3と、第2の回動部27A2に続く第2の把持部27A4とを有している。第1の回動部27A1と第2の回動部27A2は、それぞれの中間部に設けられた共通の軸部27A5を中心に、相互に逆方向に回動可能となっている。第1の回動部27A1と第2の回動部27A2とは、例えば図7に示すようにバネ27A6により連結されている。バネ27A6は、第1の回動部27A1の把持部側と第2の回動部27A2の把持部側とを連結するようにしてもよい。また、支持部27Aは、第1および第2の回動部27A1、27A2の回動角度を制限するストッパ27A7を備えている。
【0069】
この構成により、第1の把持部27A3と第2の把持部27A4とを把持し、バネ27A6による復元力に抗して両者の間隔を広げると、第1の回動部27A1と第2の回動部27A2が軸部27A5を中心に互いに逆方向に旋回して、第1のベース板21Aと第2のベース板22Aの間隔が開くようになる。この状態で、光モジュール40を側方から第1のベース板21Aと第2のベース板22Aの間の空間に配置する。そして、第1の把持部27A3と第2の把持部27A4を放すと、バネ27A6による復元力により第1のベース板21Aと第2のベース板22Aは間隔が狭まる方向に移動し、光モジュール40を弾力的に挟んで冷却することができる。
【0070】
このように、本実施形態の可搬型測定装置1は、冷却性能を上げるために内部空間を拡張することができない可搬型の測定装置であっても、光モジュール40の放熱効率を高めて効果的に冷却することができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができる。また、第1および第2の把持部27A3、27A4を握って放すという簡単な操作により冷却アタッチメント20Aを光モジュール40に容易に着脱することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上述べたように、本発明は、冷却性能を上げるために内部空間を拡張することができない可搬型の測定装置であっても、高発熱量の光モジュールの放熱効率を高めることができ、それにより信頼性の高い測定結果を得ることができるという効果を有し、可搬型測定装置の全般に有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 可搬型測定装置
2 測定装置本体
10 筐体
10a、10b スロット
11 ポート
12 ケージ
13 電気コネクタ
15 筐体内ヒートシンク
15a 下面
15b 凹部(第2連結部)
16 ファン
17 導風板
20、20A 冷却アタッチメント
21、21A 第1のベース板
21a 端部(第1連結部)
21b ガイド孔
22、22A 第2のベース板
23 支柱
24 付勢部
25 バネ
26a、26c 固定ストッパ
26b 可動ストッパ
27、27A 支持部
27A1、27A2 回動部
27A3、27A4 把持部
27A5 軸部
27A6 バネ
27A7 ストッパ
28、29 ヒートシンク
40 光モジュール
41 モジュール本体
42 電気コネクタ
43 光コネクタ
44 放熱部
45 プルタブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7