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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154116
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231012BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20231012BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231012BHJP
【FI】
F21S2/00 432
F21S8/04
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063187
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公史
(72)【発明者】
【氏名】松田 康平
(72)【発明者】
【氏名】石井 健吾
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA50
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA12
(57)【要約】
【課題】高い意匠性を実現しつつ、製造コストを抑えた照明器具を得ることを目的とする。
【解決手段】照明器具は、被取付部に取り付けられる器具本体と、器具本体に取り付けられ、第1の光を出射する第1の発光部と第2の光を出射する第2の発光部とを有する光源ユニットと、を備え、光源ユニットは、第1の発光部を保持するフレームと、フレームを支持し、第2の発光部を保持する化粧枠と、フレームに対し一方向に延びるように設けられ、第1の発光部から出射した光を導く散乱板と、散乱板から化粧枠に向かって傾斜するように設けられ、第2の発光部から出射した光を導く拡散板と、を有し、散乱板に対向する拡散板の端面は、照射対象側から散乱板且つ内側に向かって傾斜している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に取り付けられる器具本体と、
前記器具本体に取り付けられ、第1の光を出射する第1の発光部と第2の光を出射する第2の発光部とを有する光源ユニットと、を備え、
前記光源ユニットは、
前記第1の発光部を保持するフレームと、
前記フレームを支持し、前記第2の発光部を保持する化粧枠と、
前記フレームに対し一方向に延びるように設けられ、前記第1の発光部から出射した光を導く散乱板と、
前記散乱板から前記化粧枠に向かって傾斜するように設けられ、前記第2の発光部から出射した光を導く拡散板と、を有し、
前記散乱板に対向する前記拡散板の端面は、照射対象側から前記散乱板且つ内側に向かって傾斜している
照明器具。
【請求項2】
前記拡散板は、枠状をなしており、
前記散乱板から離れるに従って拡がるように延びている
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記拡散板は、
前記散乱板に対向する対向部と、
前記対向部から前記照射対象側に向かって傾斜する傾斜部と、を有し、
前記対向部と前記傾斜部とが一体化されている
請求項1又は2記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被取付部に固定具によって取り付けられる器具本体と、器具本体に取り付けられる光源ユニットとを備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被取付部に固定具によって取り付けられる器具本体と、器具本体に取り付けられる光源ユニットとを備える照明器具が知られている。特許文献1には、光源ユニットとして、散乱板を有する第1の光源ユニットと、拡散板を有する第2の光源ユニットとを備える照明器具が開示されている。特許文献1は、水平に延びるように設けられた散乱板と、傾斜して設けられた拡散板の端面とが対向している。拡散板の端面は散乱板に沿って延びる平面部となっている。散乱板と平面部との間をシールすることによって、器具本体の内部に粉塵及び虫等が侵入することを抑制している。散乱板の傾斜部と平面部とは、例えば2枚のアクリル板を接着することによって形成される。特許文献1において、照射対象側から照明器具を視認した際に、拡散板の平面部が発光していることを視認されることを回避するために、例えば拡散板の平面部を傾斜方向に対して折り返すことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-26796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された照明器具において、2枚のアクリル板を接着する場合、製造の手間がかかると共に、接着強度が不足するおそれがある。これを解消することを目的として、拡散板を真空成形する方法が考えられるが、散乱板と散乱板との境界部分がアンダーカットとなるため、形状に制約が生じる。これにより、拡散板の平面部を傾斜方向に対して折り返すことが困難である。仮に実現しようとすると、射出成型に使用される金型の構造が複雑となって、金型の費用がかさむ。このように、高い意匠性を実現しつつ、製造コストを抑えることが望まれている。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、高い意匠性を実現しつつ、製造コストを抑えた照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明器具は、被取付部に取り付けられる器具本体と、器具本体に取り付けられ、第1の光を出射する第1の発光部と第2の光を出射する第2の発光部とを有する光源ユニットと、を備え、光源ユニットは、第1の発光部を保持するフレームと、フレームを支持し、第2の発光部を保持する化粧枠と、フレームに対し一方向に延びるように設けられ、第1の発光部から出射した光を導く散乱板と、散乱板から化粧枠に向かって傾斜するように設けられ、第2の発光部から出射した光を導く拡散板と、を有し、散乱板に対向する拡散板の端面は、照射対象側から散乱板且つ内側に向かって傾斜している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、散乱板に対向する拡散板の端面は、照射対象側から散乱板且つ内側に向かって傾斜している。このため、照射対象側から拡散板の端面を視認し難い。また、金型等を別途用意する必要がない。従って、高い意匠性を実現しつつ、製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明器具を示す分解斜視図である。
図2】実施の形態1に係る光源ユニットを示す斜視図である。
図3】実施の形態1に係る照明器具の光源ユニットを示す側面図である。
図4】実施の形態1に係る照明器具の拡散板の形状を示す模式図である。
図5】従来の照明器具の形状を示す模式図である。
図6】従来の照明器具の形状を示す模式図である。
図7】実施の形態2に係る照明器具の拡散板の形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る照明器具の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、明細書の全文において、床面から天井に向かう方向を「上方向」と呼び、天井側を「上側」と呼ぶこととする。また、同様に、天井から床面に向かう垂直な方向を「下方向」と呼び、床面側を「下側」と呼ぶこととする。また、各構成部材において、照明器具1の中央部分に設けられた開口側を「内側」と呼び、照明器具1の外部側を「外側」と呼ぶこととする。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具1を示す分解斜視図である。図1に示すように、照明器具1は、天井又は壁等の被取付部(図示せず)に取り付けられ、光を照射するものである。被取付部には、照明器具1が埋め込まれる埋め込み穴(図示せず)が形成されている。被取付部には、照明器具1を取り付けるための複数の吊り下げボルト(図示せず)が設けられ、被取付部を介して電線(図示せず)及び信号線(図示せず)が延びている。電源線は、電源を供給するものであり、信号線は、制御信号を伝達するものである。本実施の形態1では、照明器具1が、日向部と日陰部とを疑似的に再現するものである場合について例示している。照明器具1は、器具本体2と、光源ユニット3とを備えている。
【0011】
実施の形態1に係る照明器具1は、散乱板70の出射面である下面から第1の光である青色光が出射される第1の発光部61を備えている(図3参照)。また、照明器具1は、散乱板70の出射面と交差する向きに配置された拡散板80の発光面から第2の光である白色光を出射する第2の発光部62とを備えている(図3参照)。拡散板80の発光面は、U字型を形成するように3方向に設けられている。
【0012】
従って、拡散板80の発光面が当該3方向から白色光を出射し、散乱板70の下面全体から青色光が出射される。青色光の強度は、白色光の強度よりも弱くなるように構成されている。当該構成により、実施の形態1に係る照明器具1は、窓枠越しに青空を見るような奥行き感のある視覚効果を演出する。また、第1の発光部61の散乱板70の出射面と拡散板80との間に遮光部を介在させることで、散乱板70の出射面から拡散板80に光が入り込むことを防止している。これにより、上述の視覚効果の低下が抑制される。
【0013】
図1に示すように、照明器具1の器具本体2は、直方体状の箱形に形成され、下側が開口している。光源ユニット3は、器具本体2の開口内部に配置される。器具本体2は、図1に示すように、主面21と、4つの側面22とを有している。主面21は、正方形の板状に形成されている。また、側面22のそれぞれは、細長い長方形の板状に形成されている。側面22のそれぞれは、主面21に対して垂直な方向に、主面21の4辺のそれぞれから下方向に向かって延びるように設けられている。
【0014】
また、器具本体2の4つの側面22のうち、対向する2つの側面22の内側の面には、Vばね取り付け金具(図示せず)が取り付けられている。Vばね取り付け金具は、光源ユニット3に設けられた後述するVばね51を引掛けて保持する。
【0015】
また、図1に示すように、主面21の両側端部には、ボルト孔23が形成されている。また、被取付部の埋め込み穴からは、吊り下げボルト(図示せず)が吊り下げられている。器具本体2は、ボルト孔23に吊り下げボルトが挿入された後、吊り下げボルトがナットで締められることで、被取付部に固定される。
【0016】
また、主面21には、電線孔24が形成されるとともに、端子台(図示せず)が設けられている。端子台は、電源端子台と信号線端子台とを有する。図1において、電源端子台及び信号線端子台は図示を省略している。電線孔24からは、電線及び信号線が引き出される。電線孔24から引き出された電線は、端子台の電源端子台に電気的に接続される。また、電線孔24から引き出された信号線は、端子台の信号線端子台に電気的に接続される。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る光源ユニット3を示す斜視図である。図2に示すように、光源ユニット3は、器具本体2に取り付けられる四角形状をなしており、光を照射するものである。光源ユニット3は、第1の発光部61及び第2の発光部62を有している。更に具体的には、光源ユニット3は、点灯装置30と、フレーム40と、化粧枠50と、Vばね51と、第1の発光部61と、第2の発光部62と、散乱板70と、拡散板80とを備える。光源ユニット3は、Vばね51がVばね取り付け金具に係合することで吊り下げられて、器具本体2に取り付けられる。なお、照明器具1が天井の埋め込み穴に取り付けられた状態のとき、化粧枠50は埋め込み穴の縁を覆う。従って、照明器具1が天井の埋め込み穴に取り付けられた状態のとき、照明器具1が設けられた部屋の住人等からは埋め込み穴が見えない。
【0018】
(点灯装置30)
点灯装置30は、第1の発光部61及び第2の発光部62のそれぞれに、電力を供給するものである。点灯装置30は、長尺状をなしており、フレーム40に取り付けられる。点灯装置30は、第1の発光部61及び第2の発光部62のそれぞれに、電力を供給する。点灯装置30は、第1の発光部61及び第2の発光部62のそれぞれに設けられた各LEDを調光する。
【0019】
点灯装置30は、各LEDの色別に独立して設けるようにしてもよい。具体的には、例えば、第1の発光部61の青色LED用、白色LED用、及び、緑色LED用に、各3台の点灯装置30を割り当ててもよい。また、第2の発光部62の昼色用LED、及び、暖色用LEDに、各2台の点灯装置30を割り当てる。その場合、点灯装置30の個数は5台である。あるいは、第1の発光部61の白色LED用及び緑色LED用に、1台の点灯装置30を割り当てて、白色LEDと緑色LEDとを纏めて調光するようにしてもよい。その場合、点灯装置30の個数は4台である。
【0020】
(フレーム40)
フレーム40は、平面視で正方形状且つ枠状をなす部材であり、第1の発光部61を保持するものである。
【0021】
(化粧枠50)
化粧枠50は、平面視で正方形状且つ枠状をなす部材である。化粧枠50は、器具本体2の開口内部から水平方向の外側に向かって突出するように配置されている。化粧枠50は、例えば金属から構成されている。
【0022】
(Vばね51)
Vばね51は、化粧枠50の側方に取り付けられている。Vばね51は、器具本体2のVばね取り付け金具の位置に合わせて、合計4個設けられている。Vばね51は、金属製の線材をV字状に曲げて形成された線ばねである。
【0023】
(第1の発光部61)
図3は、実施の形態1に係る照明器具1の光源ユニット3を示す側面図である。図3に示すように、第1の発光部61は、フレーム40に保持されており、第1の発光部61から出射された光は、フレーム40から水平方向内側に向かって進む。第1の発光部61は、2つの板状の基板を有している。第1の発光部61は、散乱板70の長手方向に延びた対向する2つの端面に平行になるように配置される。また、第1の発光部61は、それらの基板に配置された複数のLEDを備える。それらの複数のLEDは、例えば、青色LED、白色LED、及び、緑色LEDを含む。第1の発光部61に設けられた青色LED、白色LED、及び、緑色LEDは、点灯装置30により調光される。
【0024】
このように、点灯装置30が各LEDを調光することにより、第1の発光部61が発する光を、全体として青色にし、且つ、当該青色光の色調を変化させることができる。それにより、照明器具1は、様々な青空を模した視覚効果を演出することができる。点灯装置30は、LEDのそれぞれの色別に独立して設けてもよい。又は、白色LED及び緑色LEDをまとめて点灯装置30で調光してもよい。その場合、点灯装置30の個数を減らすことができる。また、時刻に合わせて、青色光の色調を変化させるようにしてもよい。具体的には、例えば、午前8:00~午後5:00までの日中の時間帯は、明るい青色にし、それ以外の時間帯は暗い青色になるように、調光するようにしてもよい。このように、第1の発光部61は、光源を有する光モジュールである。光源は、LEDに限定されず、他の発光素子又は発光装置を用いてもよい。
【0025】
第1の発光部61の2つの基板は、散乱板70の長手方向に延びた2つの端面に対して、それぞれ対向するように配置される。第1の発光部61から出射した光は、散乱板70の端面に入射され、散乱板70の上面と下面とで全反射しながら散乱板70内を進む。散乱板70内を進む光の一部は、散乱板70内の散乱体に当たると散乱する。散乱板70の出射面である下面から、第1の光である青色光が出射する。
【0026】
(第2の発光部62)
図3に示すように、第2の発光部62は、化粧枠50に保持されており、第2の発光部62から出射された光は、化粧枠50から水平方向内側に向かって進む。第2の発光部62は、平面視で、U字型に設けられている。即ち、第2の発光部62は、長方形の3辺を形成するように構成されている。第2の発光部62は、板状の3つの基板と、3つの基板のそれぞれに設けられた白色LEDとを有している。隣接する基板同士のなす角度は90°になっている。このように、第2の発光部62は、光源を有する光モジュールである。光源は、LEDに限定されず、他の発光素子又は発光装置を用いてもよい。第2の発光部62は、3つの基板のそれぞれに設けられた白色LEDから、内側に向かって白色光を出射する。このように、第2の発光部62はU字型を構成する3方向から白色光を出射する。第2の発光部62は、フレーム40の内側に配置され、フレーム40によって保持される。
【0027】
(散乱板70)
散乱板70は、板状に形成される。散乱板70は、平面視で、正方形状に形成されている。散乱板70は、第1の発光部61から出射された光を透光させて、出射面である下面から青色光を出射する。また、散乱板70は、光を散乱させる粒子である散乱体を内部に備える。散乱板70は、アクリル樹脂で形成される。散乱板70は、散乱体として、例えばシリカを含む。
【0028】
散乱板70の上面は、全反射するために平滑である。散乱板70の上面は、鏡面仕上げであることが望ましい。照明器具1の組み立て作業中に、散乱板70の上面に傷がつくと、傷がついた箇所で全反射が起こりにくくなる。そのため、上面の傷がついた箇所に対応する下面の一部分が白っぽく光って見えてしまい、青空を演出できなくなるおそれがある。そこで、散乱板70の上面の傷つきを防止するために、散乱板70の上面を反射シートで覆うようにしてもよい。
【0029】
ここで、散乱板70の上面を反射シートで覆う際、散乱板70の上面と反射シートとの間に隙間を空けずに貼り付けると、散乱板70の上面で全反射が起こりにくくなる。散乱板70の上面で確実に光を全反射させるためには、散乱板70と反射シートとの間に空気層が必要となる。空気層を形成するために、散乱板70の上面に対向する反射シートの反射面は、マット加工されている。マット加工とは、すりガラス上に微細な凹凸を形成する加工である。反射シートの反射面がマット加工されることにより、散乱板70と反射シートとの間に空気層を設けることができる。また、反射シートに散乱板70に固定する目的で、反射シートの縁に接着部を設けてもよい。
【0030】
なお、第1の発光部61と散乱板70とは、出射面から第1の光である青色光を出射する第1の光学部材を構成している。
【0031】
(拡散板80)
拡散板80は、平面視で、正方形状且つ枠状に形成されている。拡散板80は、例えば、乳白色等の白色の樹脂から構成される。拡散板80は、上側と下側とが開口した四角錐台に形成される。従って、拡散板80の4つの側面のそれぞれは、垂直方向に対して予め設定された角度で傾斜している。拡散板80の4つの側面のそれぞれは、台形形状の拡散板80から構成され、上辺の長さが下辺の長さよりも短くなっている。また、拡散板80の4つの側面のそれぞれが傾斜している関係で、平面視で、上辺の位置が、下辺の位置よりも内側になるように配置されている。それにより、拡散板80の内部空間は、下方向に向かってテーパ状に大きくなっている。拡散板80は、上述したように、4枚の台形形状の拡散板80を組み合わせて形成される。しかしながら、この形成方法に限らず、拡散板80を一体成型で形成してもよい。
【0032】
拡散板80の4つの側面のうち、3つの面は発光面であり、他の1つの面は非発光面である。3つの発光面は、コの字型の第2の発光部62に合わせて、U字形状に配置されている。
【0033】
ここで、拡散板80の4つの側面のそれぞれにおいて、拡散板80の内部空間に面している内側の面を前面と呼び、外側の面を背面と呼ぶこととする。
【0034】
拡散板80は、第2の発光部62の内側に配置される。そのため、拡散板80の発光面のそれぞれの背面側に、第2の発光部62が配置されることになる。第2の発光部62から出射された白色光は、拡散板80の発光面の背面から入射して、発光面を透過して、発光面の前面から出射される。発光面のそれぞれが傾斜しているため、3つの発光面の前面から出射される白色光は、斜め下方向を照射する。
【0035】
拡散板80の非発光面の背面には、遮光シートが貼付され、非発光面から光が漏れないように構成されている。遮光シートは、図示を省略している。
【0036】
このように、拡散板80は、白色光を発する3つの発光面と、光を発しない1つの非発光面とを組み合わせた構成を有している。そのため、拡散板80から発せられる光は、3方向からの光となるため、太陽光に照らされた日向の窓枠、又は、日陰の窓枠越しに、外からの光が差し込んでいるような奥行き感のある視覚効果を演出することができる。
【0037】
なお、拡散板80と第2の発光部62とは、発光面から第2の光である白色光を出射する第2の光学部材を構成している。拡散板80から出射する光は面発光であるため、拡散された光となり、柔らかい光となる。
【0038】
照明器具1は、発光面から出射される白色光により、発光面の斜め下方向を照らすものとして用いることができる。なお、散乱板70から出射される青色光は、青空を見るような視覚効果を演出するための照明であって、照明用として用いる場合には光束が不足する。一方、発光面から出射される光は、照明用として用いる場合の光束を満たしている。このように、発光面から出射される白色光の光強度は、散乱板70の出射面から出射される青色光の光強度と異なり、白色光の光強度の方が、青色光の光強度よりも強い。
【0039】
なお、発光面から出射される白色光は、単一の色温度の白色光でなくてもよい。即ち、具体的には、第2の発光部62が、色温度の異なる2種類の白色LEDを備えるようにしてもよい。このように、第2の発光部62が、白色LEDとして、1種類の白色LEDのみを備えていてもよく、又は、昼色用の白色LEDと暖色用の白色LEDとの2種類の白色LEDを備えるようにしてもよい。第2の発光部62が2種類の白色LEDを備えている場合、2種類の白色LEDの調光率を変化させることにより、発光面から、様々な色温度及び様々な光束の白色光を出射することができる。
【0040】
また、時刻に合わせて、昼色用の白色LEDと暖色用の白色LEDとを切り替えて使用するようにしてもよい。具体的には、例えば、午前8:00から午後5:00までの日中の時間帯は昼色用の白色LEDを用い、それ以外の時間帯は暖色用の白色LEDを用いるようにしてもよい。なお、これらの時間帯は、単なる一例であって、これらに限定されず、適宜設定してよい。
【0041】
なお、第2の発光部62に用いられる白色LEDの配光は、広角タイプである。第2の発光部62に広角タイプのLEDを用いることにより、拡散板80の傾斜角度を変化させても、拡散板80から発せられる光の光度を変化し難くすることができる。従って、傾斜角度が異なる拡散板80に対して、同じタイプの第2の発光部62を用いることができる。
【0042】
図4は、実施の形態1に係る照明器具1の拡散板80の形状を示す模式図である。次に、拡散板80の形状について更に詳細に説明する。図4に示すように、拡散板80は、対向部81と、傾斜部82とを有している。対向部81は、散乱板70に対向するものであり、散乱板70に沿って延びている。対向部81は、器具本体2の内部に粉塵又は虫等が侵入することを防止するために境界部分をシールするときに必要となる。傾斜部82は、対向部81から照射対象側且つ化粧枠50側に向かって傾斜するものである。ここで、散乱板70に対向する拡散板80の端面81aは、照射対象側から散乱板70且つ内側に向かって傾斜している。ここで、照射対象側とは、照明器具1が部屋の天井に取り付けられている場合、部屋の床側を示す。また、拡散板80の端面81aは、部屋の床から垂直に延びる方向に対して、照明器具1の中央側に傾斜している。第2の発光部62から出射した光は、拡散板80の傾斜部82に沿って導かれ、対向部81に達する。対向部81に達した光は、対向部81に沿って端面81aに導かれる。本実施の形態1では、拡散板80の端面81aが照射対象側から散乱板70且つ内側に向かって傾斜しているため、照明器具1が設けられた部屋の住人等が照明器具1を見たときに、拡散板80の端面81aが見え難い。このため、端面81aに導かれた光が、住人の視野に入り難い。なお、傾斜角度θは、0°より大きく90°より小さい範囲で適宜設定される。傾斜角度θが過剰に大きいと加工性が悪くなるため、対向部81の長さを長くする必要がある。一方、傾斜角度θが過剰に小さいと住人の視野に入ってしまう。
【0043】
本実施の形態1によれば、散乱板70に対向する拡散板80の端面81aは、照射対象側から散乱板70且つ内側に向かって傾斜している。このため、照射対象側から拡散板80の端面81aを視認し難い。また、金型等を別途用意する必要がない。従って、高い意匠性を実現しつつ、製造コストを抑えることができる。また、照明器具1を小型化することができるため、意匠性が向上する。
【0044】
図5は、従来の照明器具の形状を示す模式図である。次に、従来の照明器具について説明する。第2の発光部62から出射した光は、拡散板80の傾斜部82に沿って導かれ、対向部81に達する。対向部81に達した光は、対向部81に沿って端面81aに導かれる。導かれた光は、端面81aに集まり輝度が高くなる。従来の照明器具1において、図5に示すように、拡散板80の端面81aは、上下方向に延びているため、住人が照明器具1を見ようとすると、輝度が高い拡散板80の端面81aが視界に入る。このため、意匠性を損なう。
【0045】
図6は、従来の照明器具の形状を示す模式図である。照射対象側から照明器具を視認した際に、拡散板80の平面部が発光していることを視認されることを回避するために、図6に示すように、例えば拡散板80の平面部を傾斜方向に対して折り返すことが考えられる。しかしながら、拡散板80を製造する上で2枚のアクリル板を接着する場合、製造の手間がかかると共に、接着強度が不足するおそれがある。これを解消することを目的として、拡散板80を真空成形する方法が考えられるが、散乱板70と拡散板80との境界部分がアンダーカットとなるため、形状に制約が生じる。これにより、拡散板80の平面部を傾斜方向に対して折り返すことが困難である。仮に実現しようとすると、射出成型に使用される金型の構造が複雑となって、金型の費用がかさむ。
【0046】
これに対し、本実施の形態1は、散乱板70に対向する拡散板80の端面81aは、照射対象側から散乱板70且つ内側に向かって傾斜している。このため、照射対象側から拡散板80の端面81aを視認し難い。また、金型等を別途用意する必要がない。従って、高い意匠性を実現しつつ、製造コストを抑えることができる。なお、真空成形に限らず、2色成形が困難な成形方法で形成されればよい。
【0047】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る照明器具1の拡散板80の形状を示す模式図である。本実施の形態2では、散乱板70に対向する拡散板80に、不透過処理が施されている点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態2では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0048】
図7に示すように、拡散板80の対向部81に不透過処理が施されている。ここで、不透過とは、光を透過させないことをいう。具体的には、拡散板80には不透過の塗装90が施されている。これにより、第1の発光部61から出射した光と、第2の発光部62から出射した光とが混ざらない。従って、それぞれの光色が混ざることを抑制することができる。なお、不透過の塗装90に限らず、不透過のテープが拡散板80に貼付されてもよい。
【0049】
拡散板80が一体的に成形されると、傾斜部82及び対向部81のいずれもが乳白色といった同一色の材料となってしまう。このため、散乱板70と対向部81との境界部分において、第1の発光部61における青色光と、第2の発光部62における白色光とが混ざってしまう。ここで、境界部分に、不透過の部品を接着したり、インサート成形が行われたりすると、製造工程及び金型費用が増加してコストアップにつながる。これに対し、本実施の形態2は、拡散板80の対向部81に不透過処理が施されているため、第1の発光部61から出射した光と、第2の発光部62から出射した光とが混ざらない。従って、それぞれの光色が混ざることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 照明器具、2 器具本体、3 光源ユニット、21 主面、22 側面、23 ボルト孔、24 電線孔、30 点灯装置、40 フレーム、50 化粧枠、51 Vばね、61 第1の発光部、62 第2の発光部、70 散乱板、80 拡散板、81 対向部、81a 端面、82 傾斜部、90 塗装。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7