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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154122
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20231012BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063197
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田上 直紀
(72)【発明者】
【氏名】姫野 徹
(72)【発明者】
【氏名】池原 正成
(72)【発明者】
【氏名】内田 行紀
(72)【発明者】
【氏名】松崎 宣敏
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 毅
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人の動線のシミュレーションを行うことができるプログラムを提供する。
【解決手段】プログラムは、施設内の空間における人の動線情報、及び、変更後レイアウト情報を取得する取得ステップS11、S14と、取得された動線情報、及び、取得された変更後レイアウト情報に基づいて、変更後のレイアウトにおける人の動線に関するパラメータをシミュレーションするシミュレーションステップS16と、シミュレーションの結果を出力する出力ステップS17とをコンピュータに実行させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の空間であって、物品及び前記物品が載置または収容される構造体が配置された空間における人の動線情報であって実測された動線情報を取得する第一取得ステップと、
前記物品、及び、前記構造体の少なくとも一方のレイアウトを変更したと仮定した場合の、前記物品、及び、前記構造体の少なくとも一方の変更後のレイアウトを示す変更後レイアウト情報を取得する第二取得ステップと、
取得された前記動線情報、及び、取得された前記変更後レイアウト情報に基づいて、前記変更後のレイアウトにおける人の動線に関するパラメータをシミュレーションするシミュレーションステップと、
前記シミュレーションの結果を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【請求項2】
前記動線情報は、一人の人の動線情報である
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記動線情報は、複数人の動線情報である
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第二取得ステップにおいては、ユーザによって手動入力される前記変更後レイアウト情報が取得される
請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
さらに、取得された動線情報と、AI(Artificial Intelligence)とを用いて前記変更後レイアウト情報を生成する生成ステップを含み、
前記第二取得ステップにおいては、生成された前記変更後レイアウト情報が取得される
請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記人の動線に関するパラメータには、所定期間(例えば、1日)における、前記空間に位置する人の総移動距離が含まれる
請求項1~5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記人の動線に関するパラメータには、所定期間(例えば、1日)における、前記空間に位置する人の総移動時間が含まれる
請求項1~6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記動線情報は、前記空間に位置する人が所持する第一通信装置、及び、前記空間に設置された第二通信装置の一方から他方へ送信される無線通信信号の受信信号強度に基づいて実測される
請求項1~7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第一通信装置は、前記第一通信装置の位置の変化を検出するセンサを備え、
前記動線情報は、前記受信信号強度に基づいて定まる前記第一通信装置の絶対的な位置と、前記センサによって検出される前記位置の変化とに基づいて実測される
請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記動線情報は、前記受信信号強度と、前記無線通信信号の受信角度とに基づいて実測される
請求項8に記載のプログラム。
【請求項11】
前記動線情報は、前記空間に設置された複数の前記第二通信装置のそれぞれから前記第一通信装置へ送信される無線通信信号の到達時刻の時間差、及び、前記無線通信信号の受信方向に基づいて、実測される
請求項8~10のいずれか1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の動線のシミュレーションを行うためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫等におけるピッキングまたは品出し作業の効率化が目指されている。特許文献1には、作業者の作業実績に基づいて、作業者毎に高能力を発揮可能な作業を割り出し、当該作業に基づいて、作業者毎に作業を割りつける作業管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-128268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、人の動線のシミュレーションを行うことができるプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るプログラムは、施設内の空間であって、物品及び前記物品が載置または収容される構造体が配置された空間における人の動線情報であって実測された動線情報を取得する第一取得ステップと、前記物品、及び、前記構造体の少なくとも一方のレイアウトを変更したと仮定した場合の、前記物品、及び、前記構造体の少なくとも一方の変更後のレイアウトを示す変更後レイアウト情報を取得する第二取得ステップと、取得された前記動線情報、及び、取得された前記変更後レイアウト情報に基づいて、前記変更後のレイアウトにおける人の動線に関するパラメータをシミュレーションするシミュレーションステップと、前記シミュレーションの結果を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、人の動線のシミュレーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態に係る動線シミュレーションシステムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る動線シミュレーションシステムによるシミュレーションの対象となる施設内の空間を示す図である。
図3図3は、動線シミュレーションシステムの動作例1のフローチャートである。
図4図4は、エリア分けの一例を示す図である。
図5図5は、エリア間の移動回数の算出結果を表として示す図である。
図6図6は、シミュレーション結果を示す表示画面の一例を示す図である。
図7図7は、シミュレーション結果を示す表示画面の別の例を示す図である。
図8図8は、動線シミュレーションシステムの動作例2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0009】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0010】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る動線シミュレーションシステムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る動線シミュレーションシステム10の機能構成を示すブロック図である。図2は、実施の形態に係る動線シミュレーションシステム10によるシミュレーションの対象となる施設内の空間を示す図である。
【0011】
動線シミュレーションシステム10は、測位システム40によって実測された施設内の空間50における人の位置の時系列データに基づいて、人の動線のシミュレーションを行うことができるシステムである。図2に示されるように、施設内の空間50とは、例えば、工場内の部品を保管するための空間である。つまり、この空間50は、部品(物品の一例)、及び、部品が載置または収容される棚(構造体の一例)が配置された空間である。
【0012】
動線シミュレーションシステム10は、具体的には、シミュレーション装置20と、情報端末30と、測位システム40とを備える。
【0013】
シミュレーション装置20は、施設内または施設外に設けられるコンピュータ装置であり、具体的には、エッジサーバ、または、クラウドサーバなどである。シミュレーション装置20は、具体的には、通信部21と、情報処理部22と、記憶部23とを備える。
【0014】
通信部21は、シミュレーション装置20が、情報端末30、及び、測位システム40と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部21によって行われる通信は、例えば、有線通信であるが、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0015】
情報処理部22は、測位システム40によって実測された施設内の空間50における人の位置の時系列データを取得し、取得した時系列データに基づいて施設内の空間50における人の動線にシミュレーションを行う。情報処理部22は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部22は、機能的な構成要素として、取得部24、シミュレーション処理部25、出力部26、及び、生成部27を有する。取得部24、シミュレーション処理部25、出力部26、及び、生成部27の機能は、例えば、情報処理部22を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部23に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。取得部24、シミュレーション処理部25、出力部26、及び、生成部27のそれぞれの詳細な機能については後述する。
【0016】
記憶部23は、動線のシミュレーションに必要な情報、及び、情報処理部22が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリなどによって実現されてもよい。
【0017】
情報端末30は、ユーザが動線のシミュレーションを行うためのユーザインターフェースとして機能する装置であり、具体的には、パーソナルコンピュータまたはタブレット端末などである。情報端末30は、操作受付部31と、表示部32とを備える。
【0018】
操作受付部31は、ユーザの、動線のシミュレーションを指示する操作等を受け付ける。操作受付部31は、キーボード、マウス、及び、タッチパネルなどのデバイスの少なくとも1つによって実現される。
【0019】
表示部32は、動線のシミュレーション結果等を表示する。表示部32は、液晶パネルまたは有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される。
【0020】
なお、シミュレーション装置20と、情報端末30は、1つのサーバコンピュータで実現されてもよい。例えば、シミュレーション装置20と情報端末30との機能は、業務用等のサーバコンピュータにインストールされたソフトウェアによって、実現されてもよい。
【0021】
測位システム40は、第一通信装置41の位置を計測し、計測した位置の時系列データを空間50に位置する人の動線情報としてシミュレーション装置20に提供する。測位システム40は、具体的には、複数の第一通信装置41と、複数の第二通信装置42と、測位サーバ43とを備える。
【0022】
第一通信装置41は、施設内の空間50に位置する人が所持する通信装置である。第一通信装置41は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯型の情報端末である。第一通信装置41は、複数の第二通信装置42それぞれから受信したビーコン信号の受信信号強度を計測し、計測した受信信号強度を示す受信信号強度情報を測位サーバ43へ送信する。第一通信装置41は、ビーコン信号の受信機として機能する装置であればよく、ビーコン信号を受信する専用装置であってもよい。なお、ビーコン信号は、無線通信信号の一例であり、具体的には、電波信号である。
【0023】
第二通信装置42は、施設内の空間50に分散配置される通信装置である。第二通信装置42は、ビーコン信号の送信機として機能する装置であり、例えば、ビーコン信号を送信する専用装置である。第二通信装置42は、空間50に設置された照明装置などの他の装置に内蔵されていてもよい。
【0024】
測位サーバ43は、施設内または施設外に設けられるコンピュータ装置であり、具体的には、エッジサーバ、または、クラウドサーバなどである。
【0025】
測位サーバ43は、第一通信装置41から受信信号強度情報を受信し、受信した受信信号強度情報に基づいて第一通信装置41の施設内の空間50における位置を計測する。測位サーバ43は、具体的には、受信信号強度情報によって示される受信信号強度を距離に換算することで、複数の第二通信装置42のそれぞれと第一通信装置41との間の距離を特定することができる。
【0026】
ここで、測位サーバ43は、複数の第二通信装置42のそれぞれの設置位置(空間50における座標)を管理していることから、上記特定した距離と、複数の第二通信装置42のそれぞれの設置位置とに基づいて、第一通信装置41の現在位置(空間50における座標)を計測することができる。
【0027】
なお、第一通信装置41の位置の計測は、定期的に行われ、測位サーバ43の記憶部には、第一通信装置41の位置の時系列データが動線情報として記憶される。つまり、測位サーバ43の記憶部には、第一通信装置41を保持する人の動線情報が記憶される。また、第一通信装置41から送信される受信信号強度情報には、第一通信装置41のIDが含まれている。したがって、測位サーバ43は、複数の第一通信装置41を区別することができ、測位サーバ43の記憶部には、複数の第一通信装置41のそれぞれの位置の時系列データが記憶される。つまり、測位サーバ43の記憶部には、空間50内に位置する複数の人の動線情報が記憶される。
【0028】
なお、測位システム40の具体的な態様は特に限定されない。例えば、測位システム40は、各々がビーコン送信機として機能する複数の第一通信装置41と、各々がビーコン受信機として機能する複数の第二通信装置42と、測位サーバ43とを備え、測位サーバ43は、第一通信装置41が発するビーコン信号の複数の第二通信装置42それぞれにおける受信信号強度に基づいて第一通信装置41の位置を計測してもよい。つまり、測位システム40は、上記の説明とビーコン信号の送信及び受信の関係性が逆の構成を有していてもよい。
【0029】
このように、動線情報は、空間50に位置する人が所持する第一通信装置41、及び、空間50に設置された第二通信装置42の一方から他方へ送信されるビーコン信号(無線通信信号)の受信信号強度に基づいて実測されればよい。
【0030】
また、測位システム40は、受信信号強度に加えて、ビーコン信号の受信角度(AoA:Angle of Arrival)を用いて第一通信装置41の現在位置を計測してもよい。この場合、動線情報は、受信信号強度と、ビーコン信号の受信角度とに基づいて実測される。
【0031】
測位システム40は、上記ビーコン信号を用いた測位手法に、第一通信装置41が備える加速度センサ等(第一通信装置の位置の変化を検出するセンサ)を用いたPDR(Pedestrian Dead Reckoning)と呼ばれる測位手法を組み合わせて第一通信装置41の現在位置を計測してもよい。この場合、動線情報は、受信信号強度に基づいて定まる第一通信装置41の絶対的な位置と、上記センサによって検出される位置の変化とに基づいて実測される。
【0032】
また、測位システム40は、UWB(Ultra Wide Band)通信に基づいて第一通信装置41の現在位置を計測してもよい。この場合、動線情報は、空間に設置された複数の第二通信装置42のそれぞれから第一通信装置41へ送信される無線通信信号(UWB通信に用いられる無線通信信号)の到達時刻の時間差、及び、無線通信信号の受信方向に基づいて、実測される。
【0033】
[動作例1]
次に、動線シミュレーションシステム10の動作例1について説明する。図3は、動線シミュレーションシステム10の動作例1のフローチャートである。
【0034】
まず、シミュレーション装置20の通信部21は、空間50に位置する人の動線情報を測位システム40から受信し、取得部24は、受信された動線情報を取得する(S11)。この処理は、例えば、情報端末30の操作受付部31が、動線情報のインポートを指示する操作を受け付けたことを契機に行われる。このとき、ユーザは、一人の人の動線情報(第一通信装置41の1台分の動線情報)をインポートするか、複数の人の動線情報(第一通信装置41の複数台分の動線情報)をインポートするかを選択することができる。ここでは、複数の人の動線情報がインポートされるものとして説明が行われる。
【0035】
次に、シミュレーション処理部25は、取得された動線情報に基づいて、1日、1週間、または、1ヶ月などの所定期間における、空間50におけるエリア間の人の移動回数を算出する(S12)。
【0036】
まず、エリアについて説明する。エリアとは、施設内の空間50を複数に仮想的に分割したものである。図4は、エリア分けの一例を示す図である。図4に示されるように、例えば、施設内の空間50は、6つのエリアA1~A6に仮想的に分割される。各エリアには、部品が載置または収容された棚が設置されている。説明の簡略化のため、図4においては、エリアA1には、部品C1が載置または収容された棚B1が設置されている、というように、エリアと部品と棚とが1対1で対応付けられている。このようなエリア、部品、及び、棚の位置関係を示す情報は、あらかじめ記憶部23に記憶されている。
【0037】
次に、エリア間の移動回数の算出結果について説明する。図5は、エリア間の移動回数の算出結果を表として示す図である。エリア間の移動回数とは、上記の所定期間において人がエリア間の移動を行った総数である。例えば、図5では、エリアA1からエリアA2に移動した総数は、FROM側のエリアA1の列とTO側のエリアA2とが交わる欄に示される311回である。
【0038】
次に、出力部26は、エリア間の移動回数の算出結果を示す算出結果情報を情報端末30に出力する(S13)。この結果、情報端末30の表示部32には、図5のエリア間の移動回数の算出結果が表示される。なお、算出結果が表示される場合には、移動回数が相対的に多い欄(または移動回数が相対的に少ない欄)が色つきで表示されることなどにより、ユーザが移動回数の多寡を把握することが容易となる。
【0039】
次に、通信部21は、部品、及び、棚の少なくとも一方のレイアウトを変更したと仮定した場合の、部品、及び、棚の少なくとも一方の変更後のレイアウトを示す変更後レイアウト情報を情報端末30から受信し、取得部24は、受信された変更後レイアウト情報を取得する(S14)。この処理は、例えば、ユーザがステップS14において表示された算出結果を見ながら変更後レイアウト情報の入力操作を行い、情報端末30の操作受付部31がこの入力操作を受け付けたことを契機に行われる。つまり、変更後レイアウト情報は、ユーザによって手動入力される。
【0040】
次に、シミュレーション処理部25は、取得された変更後レイアウト情報が示す変更後のレイアウトにおけるエリア間の標準移動距離を算出する(S15)。シミュレーション処理部25は、例えば、エリア間の移動が部品に起因して発生しているものとみなし、元々エリアA1の棚B1に載置または収容されていた部品C1がエリアA2の棚B2に収容するように変更された場合、部品C1が収容されるエリアの変更に応じて図5の算出結果における各欄の移動距離を修正することで、図5の各欄に対応した、レイアウト変更後のエリア間の移動あたりの標準移動距離を設定する。なお、変更後のレイアウトにおけるエリア間の移動距離はアルゴリズムを用いて自動に行われてもよい。
【0041】
次に、シミュレーション処理部25は、変更前のレイアウトにおける人の総移動距離と、変更後のレイアウトにおける人の総移動距離とを算出する(S16)。シミュレーション処理部25は、図5の各欄における移動回数と標準移動距離と乗算し、乗算した結果を合計することで変更前のレイアウトにおける人の総移動距離を算出することができる。
【0042】
次に、出力部26は、レイアウトの変更前後の総移動距離を示すシミュレーション結果情報を情報端末30に出力する。つまり、出力部26は、シミュレーションの結果を出力する(S17)。この結果、情報端末30の表示部32には、シミュレーション結果が表示される。図6は、シミュレーション結果を示す表示画面の一例を示す図である。図6に示されるように、表示部32には、例えば、レイアウト変更前後の総移動距離が表示される。
【0043】
なお、表示部32には、シミュレーション結果として、変更後のレイアウトを可視化した情報が表示されてもよい。変更後のレイアウトを可視化した情報は、例えば、変更後のレイアウトを示す、空間50のマップ情報である。これにより、ユーザは、変更後のレイアウトを確認しつつ、レイアウト変更前後の総移動距離を把握することができる。
【0044】
以上説明したように、動線シミュレーションシステム10は、施設内の空間50における人の動線情報、及び、変更後レイアウト情報を取得する取得部24と、取得された動線情報、及び、取得された変更後レイアウト情報に基づいて、変更後のレイアウトにおける人の動線に関するパラメータをシミュレーションするシミュレーション処理部25と、シミュレーションの結果を出力する出力部26とを備える。
【0045】
このような動線シミュレーションシステム10は、実測された動線情報を用いて動線のシミュレーションを行うことで、従来の動線に関する理論値を用いてシミュレーションを行うシステムよりも現実に近いシミュレーション結果を得ることができる。なお、ここまでの移動距離は、移動時間で代替されてもよい。
【0046】
なお、上記の動作例1では、人の動線に関するパラメータとして総移動距離がシミュレーションされたが、総移動距離に代えて、または、総移動距離に加えて、総移動時間がシミュレーションされてもよい。図7は、シミュレーション結果を示す表示画面の別の例を示す図である。図7に示されるように、表示部32には、例えば、レイアウト変更前後の総移動時間が表示される。例えば、図5の各欄に、エリア間の移動あたりの標準移動時間が定められていれば、シミュレーション処理部25は、図5の各欄において移動回数と標準移動時間と乗算し、乗算した結果を合計することで変更前のレイアウトにおける人の総移動時間を算出することができる。なお、標準移動時間は移動距離÷標準移動速度として定義される。これにより、例えば、総移動時間は総移動距離÷標準移動速度として算出されることができる。
【0047】
[動作例2]
次に、動線シミュレーションシステム10の動作例2について説明する。図8は、動線シミュレーションシステム10の動作例2のフローチャートである。
【0048】
まず、シミュレーション装置20の通信部21は、空間50に位置する人の動線情報を測位システム40から受信し、取得部24は、受信された動線情報を取得し(S21)、シミュレーション処理部25は、取得された動線情報に基づいて、所定期間における、空間50におけるエリア間の人の移動回数を算出する(S22)。ステップS21及びステップS22の処理は、ステップS11及びステップS12の処理と同様である。
【0049】
次に、生成部27は、エリア間の移動回数の算出結果を示す算出結果情報に基づいて、部品、及び、棚の少なくとも一方のレイアウトを変更したと仮定した場合の、部品、及び、棚の少なくとも一方の変更後のレイアウトを示す変更後レイアウト情報を生成(算出)する(S23)。取得部24は、生成された変更後レイアウト情報を取得する(S24)。
【0050】
つまり、生成部27は、AI(Artificial Intelligence)を用いて変更後レイアウト情報を生成する。生成部27は、例えば、機械学習モデル(学習済みモデル)に算出結果情報(図5のような情報)を入力することで、移動距離または移動時間が最小になるような変更後レイアウト情報を生成する。機械学習モデルを構築するための機械学習は、例えば、強化学習でもよいし、深層学習でもよい。また、生成部27は、確率的勾配降下法等を用いて、移動距離または移動時間が最小になるような変更後レイアウト情報を生成してもよい。
【0051】
次に、シミュレーション処理部25は、取得された変更後レイアウト情報が示す変更後のレイアウトにおけるエリア間の移動距離を算出する(S25)。ステップS24における処理は、ステップS15における処理と同様である。
【0052】
次に、シミュレーション処理部25は、変更前のレイアウトにおける人の総移動距離と、変更後のレイアウトにおける人の総移動距離とを算出する(S26)。ステップS26の処理は、ステップS16における処理と同様である。
【0053】
次に、出力部26は、レイアウトの変更前後の総移動距離を示すシミュレーション結果情報を情報端末30に出力する。つまり、出力部26は、シミュレーションの結果を出力する(S27)。この結果、情報端末30の表示部32には、シミュレーション結果が表示される。動作例1と同様に、表示部32には、例えば、図6のようなレイアウト変更前後の総移動距離が表示される。
【0054】
なお、表示部32には、シミュレーション結果として、変更後のレイアウトを可視化した情報が表示されてもよい。変更後のレイアウトを可視化した情報は、例えば、変更後のレイアウトを示す、空間50のマップ情報である。これにより、動線シミュレーションシステム10は、変更後のレイアウトをユーザに提案することができる。
【0055】
以上説明したように、動線シミュレーションシステム10は、動線情報とAIとを用いて変更後レイアウト情報を生成する生成部27を備える。シミュレーション処理部25は、施設内の空間50における人の動線情報、及び、生成された変更後レイアウト情報変更後のレイアウトにおける人の動線に関するパラメータをシミュレーションする。
【0056】
このような動線シミュレーションシステム10は、実測された動線情報を用いて動線のシミュレーションを行うことで、従来の動線に関する理論値を用いてシミュレーションを行うシステムよりも現実に近いシミュレーション結果を得ることができる。
【0057】
なお、上記の動作例2では、人の動線に関するパラメータとして総移動距離がシミュレーションされたが、動作例1と同様に、総移動距離に代えて、または、総移動距離に加えて、総移動時間がシミュレーションされてもよい。この場合、表示部32には、図7のようなレイアウト変更前後の総移動時間が表示される。
【0058】
[効果等]
以上説明したように、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムは、施設内の空間であって、物品及び物品が載置または収容される構造体が配置された空間における人の動線情報であって実測された動線情報を取得する第一取得ステップと、物品、及び、構造体の少なくとも一方のレイアウトを変更したと仮定した場合の、物品、及び、構造体の少なくとも一方の変更後のレイアウトを示す変更後レイアウト情報を取得する第二取得ステップと、取得された動線情報、及び、取得された変更後レイアウト情報に基づいて、変更後のレイアウトにおける人の動線に関するパラメータをシミュレーションするシミュレーションステップと、シミュレーションの結果を出力する出力ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0059】
このような動線シミュレーションシステム10は、人の動線の実績に基づいて、最適なレイアウトを算出し、最適なレイアウトに変更後の人の動線の移動距離および移動時間等を算出することができる。
【0060】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、動線情報は、一人の人の動線情報である。
【0061】
このような動線シミュレーションシステム10は、一人の人の動線の実績に基づいて、最適なレイアウトを算出し、最適なレイアウトに変更後の人の動線の移動距離および移動時間等を算出することができる。
【0062】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、動線情報は、複数人の動線情報である。
【0063】
このような動線シミュレーションシステム10は、複数の人の動線の実績に基づいて、最適なレイアウトを算出し、最適なレイアウトに変更後の人の動線の移動距離および移動時間等を算出することができる。
【0064】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、第二取得ステップにおいては、ユーザによって手動入力される変更後レイアウト情報が取得される。
【0065】
これにより、動線シミュレーションシステム10は、ユーザが設定した任意のレイアウトにおいて、人の動線の移動距離および移動時間等を算出することができる。
【0066】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、さらに、取得された動線情報と、AI(Artificial Intelligence)とを用いて変更後レイアウト情報を生成する生成ステップを含み、第二取得ステップにおいては、生成された変更後レイアウト情報が取得される。
【0067】
これにより、動線シミュレーションシステム10は、AIによって、最適なレイアウトを算出し、最適なレイアウトに変更後の人の動線の移動距離および移動時間等を算出することができる。これにより、動線シミュレーションシステム10は、より効率的な動線を実現するレイアウトを提案することができる。
【0068】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、人の動線に関するパラメータには、所定期間(例えば、1日)における、空間に位置する人の総移動距離が含まれる。
【0069】
これにより、動線シミュレーションシステム10は、人の動線の総移動距離を算出することができる。これにより、動線シミュレーションシステム10は、距離的観点からレイアウトを最適化することができる。
【0070】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、人の動線に関するパラメータには、所定期間(例えば、1日)における、空間に位置する人の総移動時間が含まれる。
【0071】
これにより、動線シミュレーションシステム10は、人の動線の総移動時間を算出することができる。これにより、動線シミュレーションシステム10は、時間的観点からレイアウトを最適化することができる。
【0072】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、動線情報は、空間に位置する人が所持する第一通信装置41、及び、空間に設置された第二通信装置42の一方から他方へ送信される無線通信信号の受信信号強度に基づいて実測される。
【0073】
これにより、動線シミュレーションシステム10は、人の位置をリアルタイムで計測することができる。
【0074】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、第一通信装置41は、第一通信装置41の位置の変化を検出するセンサを備え、動線情報は、受信信号強度に基づいて定まる第一通信装置41の絶対的な位置と、センサによって検出される位置の変化とに基づいて実測される。
【0075】
これにより、動線シミュレーションシステム10は、より精度高く、人の位置を計測することができる。
【0076】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、動線情報は、受信信号強度と、無線通信信号の受信角度とに基づいて実測される。
【0077】
これにより、動線シミュレーションシステム10は、人の存在する方向についても、より精度高く、人の位置を計測することができる。
【0078】
また、動線シミュレーションシステム10などのコンピュータが実行するプログラムにおいて、動線情報は、空間に設置された複数の第二通信装置42のそれぞれから第一通信装置41へ送信される無線通信信号の到達時刻の時間差、及び、無線通信信号の受信方向に基づいて、実測される。
【0079】
これにより、動線シミュレーションシステム10は、より精度高く、人の位置を計測することができる。
【0080】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0081】
例えば、上記実施の形態において、動線シミュレーションシステムは、複数の装置によって実現された。この場合、動線シミュレーションシステムが備える構成要素(特に、機能的な構成要素)は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0082】
また、動線シミュレーションシステムは、単一の装置として実現されてもよい。例えば、動線シミュレーションシステムは、シミュレーション装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。また、動線シミュレーションシステムは、シミュレーション装置、及び、情報端末の両方の機能を有する単一の装置として実現されてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態で説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。また、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。
【0084】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0085】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0086】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、動線シミュレーションシステムなどのコンピュータが実行する動線シミュレーション方法として実行されてもよいし、このような動線シミュレーション方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0087】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10 動線シミュレーションシステム
20 シミュレーション装置
21 通信部
22 情報処理部
23 記憶部
24 取得部
25 シミュレーション処理部
26 出力部
27 生成部
30 情報端末
31 操作受付部
32 表示部
40 測位システム
41 第一通信装置
42 第二通信装置
43 測位サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8