(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154140
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】溶剤再生装置
(51)【国際特許分類】
B01D 3/00 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
B01D3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063240
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】596168605
【氏名又は名称】大川 光治郎
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】大川 光治郎
【テーマコード(参考)】
4D076
【Fターム(参考)】
4D076AA12
4D076AA22
4D076BB01
4D076BB23
4D076BC03
4D076CA11
4D076CB02
4D076CB12
4D076DA22
4D076FA03
4D076FA04
4D076FA11
4D076HA05
4D076JA03
(57)【要約】
【課題】蒸留による溶剤の再生を効率よく行う。
【解決手段】内部にヒータ23を有し使用済み溶剤Sxが導入される蒸留槽14と、使用済み溶剤Sxのうち沸点に高低差のある2種の溶剤をそれぞれ回収する高沸点溶剤回収部31及び低沸点溶剤回収部32を下部に有する回収槽15を、隔壁16を介して形成する。隔壁16の一部に、下側を蒸留槽14、上側を回収槽15として流体を一方へ流下させる流下板部16aを形成する。高沸点溶剤回収部31は流下板部16aの下に隣接して形成し、回収槽15の上部における流下板部16aと高沸点溶剤回収部31の上方を除く位置に冷却コイル36を設け、この下方に低沸点溶剤回収部32を形成する。回収槽15における流下板部16aの前段には再生処理する溶剤を導入する導入口34を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にヒータを有し使用済み溶剤が導入される蒸留槽と、前記使用済み溶剤のうち沸点に高低差のある2種の溶剤をそれぞれ回収する高沸点溶剤回収部及び低沸点溶剤回収部を下部に有する回収槽が隔壁を介して形成され、
前記隔壁の一部に、下側を前記蒸留槽、上側を前記回収槽として流体を一方へ流下させる流下板部が形成されるとともに、
前記高沸点溶剤回収部が前記流下板部の下に隣接して形成され、
前記回収槽の上部における前記流下板部と前記高沸点溶剤回収部の上方を除く位置に凝縮器が設けられ、
前記凝縮器の下方に前記低沸点溶剤回収部が形成され、
前記回収槽における前記流下板部の前段に、再生処理する溶剤を導入する導入口が形成された
溶剤再生装置。
【請求項2】
前記蒸留槽に備えられる凝縮器が前記流下板部の上端よりも高い位置に設けられ、
前記蒸留槽の前記凝縮器と前記回収槽の前記凝縮器が同一の冷凍機に接続された
請求項1に記載の溶剤再生装置。
【請求項3】
前記蒸留槽の溶剤を前記導入口に循環させる再生循環路が設けられ、
前記再生循環路には、前記高沸点溶剤回収部に回収された高沸点溶剤を受け入れる液送路と、前記液送路を経て送られる高沸点溶剤を廃棄する廃液路が接続された
請求項1または請求項2に記載の溶剤再生装置。
【請求項4】
前記低沸点溶剤回収部の後段に、沸点が低い方の低沸点溶剤を導入して水を分離する水分離槽が備えられるとともに、
前記蒸留槽と前記水分離槽との間に、前記蒸留槽で蒸留された溶剤を前記水分離槽に移送するバイパスが設けられた
請求項1または請求項2に記載の溶剤再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば硝子基板、液晶表示板、電子部品、光学部品、精密部品、金属部品などのような被洗浄物の洗浄に使用された溶剤を再生する溶剤再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済み溶剤の再生には溶剤を蒸留して回収する方法が採用されている。使用済み溶剤が互いに沸点の異なる二種類の溶剤の混合液である場合にも、再生には蒸留が用いられる。
【0003】
下記特許文献1には、低沸点のフッ素系溶剤と高沸点のHCが混合した混合液からフッ素系溶剤とHCを分離する溶剤分離装置が開示されている。この装置は、フッ素系溶剤の沸点とHCの沸点との間の温度に加熱されて混合液を流下させる流下板を備え、流下板の下流にHC回収槽が形成されている。HC回収槽に隣接する位置であって流下板から離れた位置にはフッ素系溶剤回収槽が形成されており、フッ素系溶剤回収槽の上方には流下板上を流下する過程で流下板の熱で蒸発する溶剤、すなわちフッ素系溶剤を凝縮する冷却液化手段が設けられている。
【0004】
ところで、このような二種類の溶剤からなる混合液(使用済み溶剤)は、例えば有機EL用の蒸着工程でメタルマスクに付着した有機材の除去に際して生じる。
【0005】
すなわち、メタルマスクなどの被洗浄物は、まず炭化水素系溶剤(HC)に浸漬して洗浄する。この洗浄では、溶剤によって有機材を溶解し除去する。このような洗浄を複数段階にわたって行ったあと、HCよりも低沸点のフッ素系溶剤であるハイドロフルオロエーテル(HFE)でリンス乾燥する。HFEは水分よりも、またHCよりも比重が大きく、表面張力はHCよりも小さい。
【0006】
リンス乾燥工程では、被洗浄物に付着しているHCを溶解して除去するとともに、被洗浄物に付着したHFEを気化させ乾燥させる。この後さらに真空(減圧)乾燥されて被洗浄物の微量のHFEが完全に気化される。
【0007】
このため、リンス乾燥工程で使用されたリンス液であるHFE(使用済み溶剤)にはHCが含まれているが、HFEの割合の方がHCの割合よりも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように使用済み溶剤におけるHFEの割合はHCよりも多いので、加熱により気化される経路が一つでは溶剤の再生効率が悪い。
【0010】
そこでこの発明は、溶剤の再生を効率よく行うことを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのための手段は、内部にヒータを有し使用済み溶剤が導入される蒸留槽と、前記使用済み溶剤のうち沸点に高低差のある2種の溶剤をそれぞれ回収する高沸点溶剤回収部及び低沸点溶剤回収部を下部に有する回収槽が隔壁を介して形成され、前記隔壁の一部に、下側を前記蒸留槽、上側を前記回収槽として流体を一方へ流下させる流下板部が形成されるとともに、前記高沸点溶剤回収部が前記流下板部の下に隣接して形成され、前記回収槽の上部における前記流下板部と前記高沸点溶剤回収部の上方を除く位置に凝縮器が設けられ、前記凝縮器の下方に前記低沸点溶剤回収部が形成され、前記回収槽における前記流下板部の前段に、再生処理する溶剤を導入する導入口が形成された溶剤再生装置である。
【0012】
この構成では、蒸留槽内に導入された使用済み溶剤はヒータで加熱されて、そのうちの低沸点溶剤は気化されたのち冷却されて液化する。これと同時に、ヒータで加熱された使用済み溶剤は、隔壁の流下板部を加熱する。これによって、回収槽の導入口から導入された再生処理する溶剤、すなわち蒸留槽に導入される使用済み溶剤と同等の溶剤や当該溶剤再生装置を循環する溶剤の低沸点溶剤を、流下板部上で気化する。気化しない高沸点溶剤は高沸点溶剤回収部に貯留され、気化した低沸点溶剤は凝縮器によって冷却液化されて低沸点溶剤回収部に貯留される。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、蒸留による再生は蒸留槽と回収槽の双方で同時に行われるので、再生処理が効率よく行える。しかも、蒸留のためのヒータは双方の蒸留において共通して使用されるので、エネルギーの点でも効率がよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0016】
図1に、溶剤再生装置11の概略構造を示す。溶剤再生装置11は、適宜の洗浄装置(図示せず)に併設され、互いに沸点が異なる2種の溶剤が混合した使用済み溶剤Sxを導入して、沸点が低い方の低沸点溶剤を沸点が高い方の高沸点溶剤から分離して、再生液Sとして洗浄装置への供給を可能にする。
【0017】
溶剤再生装置11は、本体部12と水分離槽13を有し、本体部12には蒸留槽14と回収槽15が隔壁16を介して一体に結合された状態で備えられている。
【0018】
蒸留槽14は使用済みの溶剤Sxが導入される槽であり、使用済み溶剤Sxが流入する入口21を有し、槽内部の下側部分が溶剤を貯留する液相空間22である。蒸留槽14の内底部には溶剤を所定温度に加熱するヒータ23が備えられている。
【0019】
蒸留槽14の槽内部の上側部分は気相空間24であり、蒸気通路24aの周囲に液体受け部24bを備え、液体受け部24bの上方に凝縮器としての冷却コイル25が備えられている。
【0020】
液体受け部24bに隣接する位置には、蒸留された液体を溜める蒸留液貯留部26が備えられる。蒸留液貯留部26は、貯留した蒸留液を水分離槽13へ移送するバイパスとしての第1移送路27を有している。
【0021】
蒸留槽14を構成する壁部のうち回収槽15と隣り合う隔壁16の一部、すなわち隔壁16における液相空間22に対応する部分の一部には、流体を一方へ流下させる流下板部16aが形成されている。流下板部16aは、下側を蒸留槽14、上側を回収槽15とするものであって、全体として斜めに傾斜した構造である。流下板部16aより上と下の部分には垂直に延びる垂壁16b,16cが形成されている。
【0022】
流下板部16aは液体が時間をかけてゆっくり流れるようにするものである。図示例の流下板部16aは断面形状が階段状に形成されたものであるが、傾斜板状でその上面に邪魔板を有する構成など、流下板部16aには適宜の構成を採用することができる。
【0023】
蒸留槽14の底部に備えられる前述のヒータ23は、流下板部16aの下方にも備えられている。
【0024】
回収槽15は使用済み溶剤Sxから高沸点溶剤を100%取り除く槽である。回収槽15は高沸点溶剤を回収する高沸点溶剤回収部31と、低沸点溶剤を回収する低沸点溶剤回収部32を槽内部の下側部分に有しており、上側部分には上部空間33を有している。この上部空間33は、前述した隔壁16の流下板部16aの上方と、高沸点溶剤回収部31及び低沸点溶剤回収部32の上方に一体に広がっている。
【0025】
上部空間33における流下板部16aの前段に、再生処理する溶剤を導入する導入口34が設けられ、流下板部16aの上流端部の上方には、導入口34から噴出される液体を受けて流下板部16aの上流端部に滴下させる邪魔板35が備えられている。
【0026】
高沸点溶剤回収部31は、流下板部16aを流れる流体が溜まるように流下板部16aの下に隣接して形成される。すなわち高沸点溶剤回収部31は、流下板部16aよりも下に形成された垂壁16cを境にして形成されている。
【0027】
低沸点溶剤回収部32は、高沸点溶剤回収部31の隣であって流下板部16aから離れた位置に形成されている。言い換えれば、槽内部の上部空間33における流下板部16aと高沸点溶剤回収部31の上方を除く位置に凝縮器としての冷却コイル36が設けられ、この冷却コイル36の下方に低沸点溶剤回収部32が形成されている。
【0028】
なお、回収槽15の冷却コイル36は流下板部16a上で気化した蒸気を凝縮させるものであるので、必ずしも流下板部16aよりも高い位置になくてもよい。一方、蒸留槽14の冷却コイル25は、流下板部16aが液相空間22にあることから、流下板部16aの上端よりも高い位置に設けられることになる。
【0029】
低沸点溶剤回収部32の上方には、内部のエアを抜くエア抜き路37が形成されており、このエア抜き路37は蒸留槽14の気相空間24のうち冷却コイル25に近い位置に接続されている。
【0030】
低沸点溶剤回収部32には、上層に浮く水Wを排出する水抜き路38と、下層に溜まる低沸点溶剤を水Wから分離して排出する管体39を有している。
【0031】
蒸留槽14と回収槽15には、それぞれ冷却コイル25,36が備えられるが、これら冷却コイル25,36は同一の冷凍機17に接続されており、所定の同一温度に温度制御された冷却液が流通するように構成されている。
【0032】
蒸留槽14の底部には溶剤を導入口34に循環させる再生循環路41が設けられている。再生循環路41には循環ポンプ42が備えられ、循環ポンプ42と導入口34との間に廃液を排出する廃液路43を切り換え弁44を備えて分岐させている。
【0033】
また、回収槽15における高沸点溶剤回収部31の底部には、高沸点溶剤回収部31内の高沸点溶剤を再生循環路41に送る液送路45が設けられている。具体的には、液送路45は前述の再生循環路41における循環ポンプ42と蒸留槽14との間に切り換え弁46を備えて接続している。
【0034】
水分離槽13は低沸点溶剤を導入して水Wを分離する装置である。この水分離槽13は、低沸点溶剤回収部32の後段に設けられており、低沸点溶剤回収部32の管体39に接続される第2移送路51を介して接続されている。
【0035】
水分離槽13内は、隙間をあけて上下方向で互いにオーバーラップする垂下壁52と起立壁53で2つに区分されており、上流側に位置する前段空間54の上部に第2移送路51が接続されている。前段空間54の液面に相当する部位には、浮いた水Wを排出する水抜き路55が接続されている。下流側に位置する後段空間56は、低沸点溶剤のみが溜まる部分であり、後段空間56の底部からは、分離された低沸点溶剤を再生液Sとして供給する供給路57が延設されている。図中、58は供給路57において再生液Sを送る液送ポンプである。
【0036】
前段空間54と後段空間56の上部には、内部のエアを抜くエア抜き路59が形成されており、このエア抜き路59は蒸留槽14の気相空間24のうち冷却コイル25に近い位置に接続されている。
【0037】
なお、蒸留槽14や蒸留液貯留部26、高沸点溶剤回収部31など必要な部位には液位を検出する液面計(図示せず)が設けられて、駆動制御に利用されている。
【0038】
以上のように構成された溶剤再生装置11は、沸点に高低差のある2種の溶剤が混ざった使用済み溶剤Sxを次のようにして再生する。ここでは、背景技術の項で例示した溶剤、つまり有機ELの蒸着工程でメタルマスクに付着した有機材を除去するための洗浄に使用した溶剤を再生する例を示す。
【0039】
使用済み溶剤Sxには、低沸点溶剤としてのハイドロフルオロエーテル(HFE)に高沸点溶剤としての炭化水素系洗浄溶剤(HC)が混じっている。HFEは水やHCよりも比重が大きく、表面張力はHCよりも小さい。またHFEの沸点はおおよそ60℃程度であり、HCの沸点は100℃を超える。この使用済み溶剤SxにはHFEとHCがおおよそ6:4の割合で混合している。
【0040】
使用済み溶剤Sxは本体部12の蒸留槽14の入口21に導入されて、槽内部の液相空間22における流下板部16aの高さよりも上の位置まで貯留される。蒸留槽14内の溶剤はヒータ23で加熱されるが、このときの温度はHFEの沸点より高くHCの沸点よりも低い所定の一定温度、例えば低沸点溶剤の沸点より5℃~10℃高い温度に設定する。この設定温度は厳格に制御される。
【0041】
蒸留槽14内の溶剤が加熱されることにより、溶剤のうち低沸点溶剤は沸騰して気化するとともに、その温度で流下板部16aが加熱される。
【0042】
蒸留槽14内で気化した低沸点溶剤は、気相空間24において冷却コイル25で冷却されて液化し、液体受け部24bから蒸留液貯留部26に貯留される。蒸留液貯留部26の底部は第1移送路27を通って水分離槽13に移送される。
【0043】
このように蒸留槽14内で蒸留されて低沸点溶剤が分離される一方で、蒸留槽14内の溶剤は、液送路45から再生循環路41を通って、回収槽15に送られて分離がなされる。
【0044】
すなわち、回収槽15の導入口34から噴出された溶剤は、邪魔板35に当たってから流下板部16a上に流下する。このとき、流下板部16aは低沸点溶剤の沸点以上に加熱されているので、溶剤中の低沸点溶剤は蒸発・沸騰して気化する。
【0045】
気化した低沸点溶剤は上昇し、冷却コイル36によって冷却されて液化し、低沸点溶剤回収部32内に貯留される。低沸点溶剤回収部32では、低沸点溶剤は比重により水Wと分離されて下層に溜まり、上層に浮く水Wは水抜き路38を経て排出される。
【0046】
溶剤のうち流下板部16aの温度で蒸発・沸騰しない高沸点溶剤は、流下板部16a上を流れ下りて、高沸点溶剤回収部31に貯留される。ヒータ23による加熱温度が溶剤の沸点に基づいて適切に設定されることによって、高沸点溶剤は100%回収される。
【0047】
高沸点溶剤回収部31に貯留された高沸点溶剤は、切り換え弁46,44の切り換えによって、液送路45から再生循環路41と廃液路43を経て排出される。
【0048】
低沸点溶剤回収部32に貯留された低沸点溶剤は、管体39を通って排出され、第2移送路51を経て水分離槽13に移送される。
【0049】
第2移送路51を経て導入された低沸点溶剤は、水分離槽13内において、第1移送路27を経て導入された低沸点溶剤と共に、まず前段空間54に貯留されて比重により水Wと分離され、上層の水Wは水抜き路55を通って排出される。
【0050】
一方、下層の低沸点溶剤は、垂下壁52と起立壁53の間を通って後段空間56に移り、供給路57通って再生液Sとして洗浄装置に供給される。
【0051】
このように使用済み溶剤Sxのうちの低沸点溶剤は、第1移送路27と第2移送路51を通る2系統を経て再生される。つまり、蒸留による再生は蒸留槽14と回収槽15の双方で同時に行われるので、再生処理が効率よく行える。しかも、蒸留槽14と回収槽15は有機的に結合されており、蒸留のためのヒータ23は双方の蒸留において共通して使用されるので、エネルギーの点でも効率がよい。
【0052】
また、冷却液化のための冷却コイル25,36も同一の冷凍機17に接続されているので、この点でも効率がよく、そのうえ溶剤再生装置11をコンパクトに構成できる。
【0053】
蒸留槽14と回収槽15が一体になった溶剤再生装置11は、蒸留槽14で回収されない高沸点溶剤が回収槽15において100%回収される構成であるので、エネルギー効率がよいだけではなく、溶剤の無駄のない再生がより簡易に行える。
【0054】
しかも、再生循環路41には、高沸点溶剤回収部31に回収された高沸点溶剤を受け入れる液送路45と、液送路45を経て送られる高沸点溶剤を廃棄する廃液路43が接続されているので、この点からも装置をコンパクトにまとめることができる。
【0055】
さらに、低沸点溶剤回収部32の後段に、低沸点溶剤から水Wを分離する水分離槽13が備えられ、この水分離槽13に蒸留槽14で分離された低沸点溶剤を導入するためのバイパスとして第1移送路27が接続されている。このため、2つの水分離槽を設ける場合に比べて、溶剤再生装置11をコンパクトに構成できる。
【0056】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0057】
例えば、低沸点溶剤はフッ素系洗浄剤であってもよい。
【0058】
導入口34に導入する溶剤は蒸留処理を受けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0059】
11…溶剤再生装置
13…水分離槽
14…蒸留槽
15…回収槽
16…隔壁
16a…流下板部
17…冷凍機
23…ヒータ
27…第1移送路
31…高沸点溶剤回収部
32…低沸点溶剤回収部
34…導入口
36…冷却コイル
41…再生循環路
43…廃液路
45…液送路
51…第2移送路
Sx…使用済み溶剤
S…再生液