IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特開2023-154170汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置
<>
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図1
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図2
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図3
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図4
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図5
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図6
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図7
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図8
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図9
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図10
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図11
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図12
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図13
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図14
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図15
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図16
  • 特開-汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154170
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 5/02 20060101AFI20231012BHJP
   G01N 17/04 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
G01N5/02 A
G01N17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063306
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広崇
(72)【発明者】
【氏名】茶円 豊
(72)【発明者】
【氏名】原口 智
(72)【発明者】
【氏名】長 広明
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050BA05
2G050CA01
2G050EB03
2G050EC01
(57)【要約】
【課題】汚損物質の付着量を精度よく測定することができる汚損物質検出センサ、汚損物質量測定装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の汚損物質検出センサは、水晶板と、水晶板を挟む電極対と、を備える水晶振動子センサを有する。電極対の少なくとも一方の電極が、複数種の金属からなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶板と、前記水晶板を挟む電極対と、を備える水晶振動子センサを備え、前記電極対の少なくとも一方の電極が、複数種の金属からなる、汚損物質検出センサ。
【請求項2】
前記電極の表面に1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、前記第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備え、前記第1領域と前記第2領域とが隣接する、請求項1に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項3】
前記電極が、1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、前記第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備え、前記第1領域と前記第2領域とが部分的に接触する、請求項1に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項4】
前記電極が、前記水晶板上に設けられ1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、基材と、前記基材上に島状に設けられ、前記第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する島状部とを備える、請求項1に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項5】
前記基材と、前記水晶板との間に、1以上の中間層をさらに備える、請求項4に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項6】
前記島状部が、単独の金属粒子からなる請求項4または5に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項7】
前記島状部が、複数の金属粒子からなる請求項4または5に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項8】
前記島状部間の距離が1μm以下である、請求項4または5に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項9】
前記島状部の最大高さが前記基材の厚さ以下である、請求項4または5に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項10】
前記電極が、前記水晶板上に設けられ、1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、基材と、前記基材上に設けられ、前記第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する多孔質層とを備える、請求項1に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項11】
前記基材と、前記水晶板との間に、1以上の中間層をさらに備える、請求項10に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項12】
前記多孔質層が、複数の金属粒子からなる請求項10または11に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項13】
前記第1金属の標準電極電位が、前記第2金属の標準電極電位よりも低い、請求項10または11に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項14】
前記電極の表面に、相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙がある、請求項1または2に記載の汚損物質検出センサ。
【請求項15】
請求項1または2に記載の汚損物質検出センサを備える汚損物質量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁材料の絶縁特性は、材料自体の経年劣化や汚損物質などにより低下する。例えば、電力設備の絶縁材料の絶縁特性が低下した場合、設備停止に至る恐れがある。
【0003】
大気中の汚損物質を評価するセンサとして、水晶振動子マイクロバランス法(QCM法)を用いたセンサが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-237651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、汚損物質の付着量を精度よく測定できる汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の汚損物質検出センサは、水晶板と、水晶板を挟む電極対と、を備える水晶振動子センサを持つ。電極対の少なくとも一方の電極が、複数種の金属からなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る汚損物質量測定装置の構成を示す概略図。
図2】第1実施形態に係る汚損物質検出センサの平面図。
図3図2の汚損物質検出センサのA-A線に沿った断面図。
図4】第1実施形態に係る汚損物質量測定装置の汚損物質検出センサに汚損物質が付着した際の腐食反応を説明する説明図。
図5】第1実施形態に係る汚損物質量測定装置の汚損物質検出センサに汚損物質が付着してから時間が経過した後の状態を示す断面図。
図6】第1実施形態に係る汚損物質量算出装置30の構成を示す概略ブロック図。
図7】汚損物質量算出装置を実装するコンピュータの構成を示す概略ブロック図。
図8】第2実施形態に係る汚損物質量測定装置の構成を示す概略図。
図9】第2実施形態に係る汚損物質検出センサの平面図。
図10図9の汚損物質検出センサのB-B線に沿った断面図。
図11】第3実施形態に係る汚損物質量測定装置の構成を示す概略図。
図12】第3実施形態に係る汚損物質検出センサの平面図。
図13図12の汚損物質検出センサのC-C線に沿った断面図。
図14】第4実施形態に係る汚損物質量測定装置の構成を示す概略図。
図15】第4実施形態に係る汚損物質検出センサの平面図。
図16図15の汚損物質検出センサのD-D線に沿った断面図。
図17】第4実施形態に係る汚損物質量測定装置の汚損物質検出センサに汚損物質が付着してから時間が経過した後の状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の汚損物質検出センサおよび汚損物質量測定装置を、図面を参照して説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る汚損物質量測定装置10の構成を示す概略図である。
汚損物質量測定装置10は、汚損物質検出センサ20と、汚損物質量算出装置30とを有する。なお、第1実施形態の汚損物質量測定装置10では、汚損物質検出センサ20は、汚損物質量算出装置30と有線で接続している。なお、汚損物質検出センサ20は、汚損物質量算出装置30と無線で接続していてもよいし、インターネットなどのネットワークを介して接続していてもよい。汚損物質検出センサ20は、汚損状態を推定する対象物Oの近傍に設置される。汚損物質量算出装置30は、汚損物質検出センサ20に付着した塩分量を算出し、対象物Oの汚損状態を推定する。
【0010】
(汚損物質検出センサ)
図2は、第1実施形態に係る汚損物質検出センサ20の構造を示す平面図である。図3は、第1実施形態に係る汚損物質検出センサ20のA-A線に沿った断面図である。汚損物質検出センサ20は、水晶振動子センサ21と、温湿度センサ23と、を備える。
【0011】
水晶振動子センサ21は、第1電極211と、第2電極212と、水晶板213と、発振回路215と、周波数計測回路216とを備える。第1電極211および第2電極212は、複数種の金属からなる電極である。複数種の電極は、例えば、互いに接触する第1部分(基材)と、第2部分(島状部)とを有し、第1部分と第2部分とが異なる金属からなる。電極が複数種の金属からなるので、異なる金属間で局部電池が形成され、腐食が進む。これによって、汚損物質の検出感度を向上することができる。第1電極211および第2電極212が水晶板213を挟む電極対となる。水晶振動子センサ21は、例えば、QCM(水晶振動子マイクロバランス)センサである。水晶板213は、第1電極211と第2電極212とで挟まれる。発振回路215は、第1電極211と第2電極212との間に電圧を印加する。第1電極211と第2電極212との間に電圧が印加されることで、水晶板213が振動し、電気信号を出力する。周波数計測回路216は、水晶振動子センサ21が出力する電気信号の周波数を計測する。
【0012】
温湿度センサ23は、水晶振動子センサ21の近傍に設けられ、水晶振動子センサ21の周囲の温度および相対湿度を計測する。
【0013】
水晶板213は水晶振動子に用いられる公知の水晶板を用いることができる。
【0014】
第1電極211は、当該表面に1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備える。第1電極211の表面において、第1領域と第2領域とは、隣接する。第1領域の例として、第1基材217を用い、第2領域の例として、第1島状部218を用いた例を説明する。
【0015】
第1電極211は、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第1基材217と、第1基材217上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第1島状部218とを備える。第1島状部218は複数あることが好ましい。第1島状部218は、「島状部」の例である。第1基材は、「基材」の例である。
【0016】
第1基材217の主成分が第1金属であることが好ましい。主成分として第1金属の含有量は、第1基材217の全質量に対して、50質量%以上である。複数の第1金属を含有する場合は、第1金属の含有量は、その合計の含有量とする。第1基材217は、単一の第1金属から構成されていてもよいので、第1金属の含有量の上限は100質量%である。第1基材217は、第1島状部218と局部電池が形成され、腐食が進行するのであれば、第1金属の含有量が100質量%でなくてもよい。第1金属の含有量は、第1基材217の全質量に対して、60質量%以上が好ましい。より好ましくは、第1金属の含有量は80質量%以上である。さらに好ましくは第1金属の含有量は、99.0質量%以上である。第1金属の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で測定できる。EDXで測定する場合は、第1金属の含有量は、第1基材217において、ランダムに選択した5か所で測定した平均値とする。第1金属が2種以上である場合は、第1金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0017】
第1基材217の第1金属の標準電極電位は、第1島状部218の第2金属の標準電極電位よりも低いことが好ましい。標準電極電位(standard electrode potential)は、ある電気化学反応(電極反応)について、標準状態(反応に関与する全ての化学種の活量が1かつ平衡状態となっている時)の電極電位である。第1金属は、例えば、Al(標準電極電位:-1.676V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Ag(標準電極電位:0.799V)などである。第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも低ければ、第1基材217中の第1金属と第1島状部218中の第2金属とで局部電池が形成された場合に、第1基材217において、後述する腐食が進行する。第1島状部218よりも体積が大きい第1基材217側が腐食されるので、より多くの汚損物質の量を計測することができる。これによって、精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0018】
第1島状部218は、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を含有する。複数の第2金属を含有する場合は、第2金属の含有量は、その合計の含有量とする。第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも高ければ、第2金属は、特に限定されない。第2金属は、Ag(標準電極電位:0.799V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Au(標準電極電位:1.520V)、Pt(標準電極電位:1.188V)などである。例えば、Auを第2金属とする場合は、第1金属としてAuよりも標準電極電位が低いAl、Cu、Agなどを用いることができる。第2金属の含有量は、第1島状部218の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。第2金属の含有量は、例えば、EDXで測定できる。EDXで測定する場合は、第2金属の含有量は、第1島状部218のランダムに選択した5か所で測定した値の平均値とする。第2金属が2種以上である場合は、第2金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0019】
第1島状部218間の距離は、1μm以下であることが好ましい。第1島状部218間の距離が1μm以下であると、第1島状部218間の第1基材217の露出する(大気と接触する)面積が小さくなり、腐食が進行しやすくなる。第1島状部218間の距離は、10nm以上であることが好ましい。第1島状部218間の距離が10nm以上であれば、吸着した水によって形成される水膜の厚さを10nm以上にすることができる。吸着水による水膜の厚さが10nm以上になれば、腐食反応を促進することができる。第1島状部218間の距離は、ランダムに第1島状部218を選択し、各第1島状部218間の距離を10か所測定した測定値の平均値としてもよい。
【0020】
第1島状部218の最大高さは、第1基材217の厚さ以下であることが好ましい。
【0021】
第1島状部218は、単独の金属粒子250からなる。金属粒子250の平均粒径は、10nm以上であればよい。金属粒子250の大きさが10nm以上であれば、大気中の水が表面に吸着して形成される水膜の厚さが10nm以上となり、腐食が進行しやすくなるので好ましい。金属粒子250の平均粒径は、第1基材217の厚さ以下であればよい。金属粒子250の平均粒径が第1基材の厚さ以下であれば、第1島状部218と第1基材217との間の空隙に、10nm以上の厚さの水膜が形成される。平均粒径は、例えば、汚損物質検出センサ20の断面を走査型電子型電子顕微鏡(SEM)でランダムに10個観察し、その平均値を平均粒径としてもよい。
【0022】
第1島状部218が島状に形成されることで、第1電極211の表面に相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙があることが好ましい。空隙は、第1基材217と第1島状部218との間または、第1島状部218間に形成される。例えば、温度としては、-10℃~40℃の間である。毛管凝縮ができる空隙については、公知の式(例えば、Kelvinの毛管凝縮の式)を用いて計算することができる。
【0023】
第2電極212は、当該表面に1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備える。第2電極212の表面において、第1領域と第2領域とは、隣接する。第1領域の例として、第2基材219を用い、第2領域の例として、第2島状部220を用いた例を説明する。
【0024】
第2電極212は、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第2基材219と、第2基材219上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第2島状部220とを備える。第2島状部220は、「島状部」の例である。第2基材219は、「基材」の例である。
【0025】
第2基材219の主成分が第1金属であることが好ましい。主成分として第1金属の含有量は、第2基材219の全質量に対して、50質量%以上である。第2基材219は、単一の第1金属から構成されていてもよいので、第1金属の含有量の上限は100質量%である。第2基材219は、第2島状部220と局部電池が形成され、腐食が進行するのであれば、第1金属の含有量が100質量%でなくてもよい。第1金属の含有量は、第2基材219の全質量に対して、60質量%以上が好ましい。より好ましくは、第1金属の含有量は80質量%以上である。さらに好ましくは第1金属の含有量は、99.0質量%以上である。第1金属の含有量は、例えば、EDXで測定できる。EDXで測定する場合は、第1金属の含有量は、第2基材219において、ランダムに選択した5か所で測定した平均値とする。第1金属が2種以上である場合は、第1金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0026】
第2基材219の第1金属の標準電極電位は、第2島状部220の第2金属の標準電極電位よりも低いことが好ましい。第1金属は、例えば、Al(標準電極電位:-1.676V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Ag(標準電極電位:0.799V)などである。第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも低ければ、第2基材219中の第1金属と第2島状部220中の第2金属とで局部電池が形成された場合に、第2基材219において、後述する腐食が進行する。第2島状部220よりも体積が大きい第2基材219側が腐食されるので、より多くの汚損物質の量を計測することができる。これによって、精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0027】
第2島状部220は、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を含有する。第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも高ければ、第2金属は、特に限定されない。第2金属は、例えばAg(標準電極電位:0.799V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Au(標準電極電位:1.520V)、Pt(標準電極電位:1.188V)などである。例えば、Auを第2金属とする場合は、第1金属としてAuよりも標準電極電位が低いAl、Cu、Agなどを用いることができる。第2金属の含有量は、第2島状部220の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。第2金属の含有量は、例えば、EDXで測定できる。EDXで測定する場合は、第2金属の含有量は、第2島状部220のランダムに選択した5か所で測定した値の平均値とする。第2金属が2種以上である場合は、第2金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0028】
第2島状部220間の距離は、1μm以下であることが好ましい。第2島状部220間の距離が1μm以下であると、第2島状部220間の第2基材219の露出する(大気と接触する)面積が小さくなり、腐食が進行しやすくなる。第2島状部220間の距離は、10nm以上であることが好ましい。第2島状部220間の距離が10nm以上であれば、吸着した水によって形成される水膜の厚さを10nm以上にすることができる。第2島状部220間の距離は、ランダムに第2島状部220を選択し、各第2島状部220間の距離を10か所測定した測定値の平均値としてもよい。
【0029】
第2島状部220の最大高さは、第2基材219の厚さ以下であることが好ましい。
【0030】
第2島状部220は、単独の金属粒子251からなる。金属粒子251の平均粒径は、10nm以上であればよい。金属粒子251の大きさが10nm以上であれば、大気中の水が金属粒子251の表面に吸着し、金属粒子251間に形成される水膜の厚さが10nm以上となるので、好ましい。金属粒子251の平均粒径は、第2基材219の厚さ以下であればよい。金属粒子251の平均粒径が第1基材の厚さ以下であれば、第2島状部220と第2基材219との間の空隙に、10nm以上の厚さの水膜が形成される。10nm以上の厚さの水膜があることで、水膜中のイオンの移動が容易になり、腐食が進行しやすくなる。
【0031】
第2島状部220が島状に形成されることで、第2電極212の表面に相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙があることが好ましい。相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙は、第2基材219と第2島状部220との間または、第2島状部220間に形成される。この空隙において、毛管凝縮が発生し、水膜が形成される。温度は汚損物質検出センサ20が置かれる環境によるので、特に限定されない。例えば、温度としては、-10℃~40℃の間である。毛管凝縮ができる空隙については、公知の式(例えば、Kelvinの毛管凝縮の式)を用いて計算することができる。
【0032】
(汚損物質が付着した際の汚損物質検出センサの挙動)
図4は、汚損物質が第1電極211に付着した際の腐食反応を説明するための説明図である。大気中の水分が第1電極211に吸着することで水膜300が形成される。これによって、第1基材217と第1島状部218との間に局部電池が形成される。第1実施形態において、第1基材217の第1金属が第1島状部218の第2金属に比べて卑の電位である。即ち第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも低い場合、第1基材217の溶解に相当するアノード反応が促進される。これによって、第1基材217のイオン化が促進され、腐食速度が上昇する。
【0033】
吸着した水膜300の抵抗値は、大気側から結露した蒸留水であるので、抵抗値が高い。そのため、この状態の腐食速度は遅い。しかし、第1電極211の表面にイオン性の汚損物質400(例えば、塩化ナトリウムなど)が付着した場合、水膜300の電気伝導度が上がり、水膜300の抵抗値が低下する。水膜300の抵抗値が低下することで、電池の化学反応が促進されるとともに、腐食生成物500の安定皮膜が形成されなくなることで、腐食が進行する。
【0034】
腐食反応により形成された腐食生成物500による質量変化を、汚損物質検出センサ20を用いて周波数変化として測定することができる。腐食速度は、イオン性汚損物質の存在量と相関があることから、汚損物質検出センサ20の水晶振動子センサ21の周波数変化から、第1電極211上の汚損物質の存在量を推定することができる。具体的には、第1電極211上の汚損物質400の存在量を等価塩分量として表し、種々の等価塩分量のレベルで汚損させた汚損物質検出センサ20の周波数変化量のデータを取得する。得られたデータを用い、検量線を作成する。次に、汚損物質検出センサ20の出力から検量線を用いて、等価塩分量に換算することで、汚損物質の存在量を推定することができる。なお、第1実施形態の場合は、第1電極211および第2電極212上にある汚損物質の存在量となる。
【0035】
図5は、第1実施形態に係る汚損物質量測定装置の汚損物質検出センサに汚損物質が付着してから時間が経過した後の状態を示す断面図である。第1基材217の第1金属が第1島状部218の第2金属に比べて卑の電位であるので、腐食による減肉は第1基材217から始まる。このとき、第1基材217は、第1島状部218よりも十分な体積があるので、第1電極211に付着した汚損物質を腐食反応によって全て消費することができる。また、第1島状部218は、減肉されないので、第1電極211の表面上に形成された微細な空隙を維持できる。そのため、水膜300の厚さを維持しやすくすることができる。また、第1基材217の腐食により形成された凹部350の毛管凝縮によって、更に水が吸着しやすくなる。
【0036】
(汚損物質量算出装置)
図6は、第1実施形態に係る汚損物質量算出装置30の構成を示す概略ブロック図である。汚損物質量算出装置30は、データベース31、計測データ保存部32、温度補正部33、平滑化部34、変動量演算部35、検量線決定部36、塩分量演算部37および出力部38を有する。
【0037】
データベース31には、補正をするための水晶振動子センサ21の温度特性および湿度特性のデータなどを保存する。
【0038】
計測データ保存部32は、汚損物質検出センサ20から計測データを一定の時間ステップで読み出し、記憶する。時間ステップは、特に制限はないが、例えば1分である。具体的には、計測データ保存部32は、周波数計測回路216が計測した水晶振動子センサ21の共振周波数、および温湿度センサ23が計測した温度および相対湿度を記憶する。
【0039】
温度補正部33は、計測データ保存部32に記録された温度と、データベース31に記録された水晶振動子センサ21の温度特性とに基づいて、計測データ保存部32に記録された水晶振動子センサ21の共振周波数を補正する。具体的には、温度補正部33は、温度特性関数(補正用の温度特性の関数)に温度を代入することで周波数偏差を求め、共振周波数を基準温度(例えば25℃)の共振周波数に補正する。以下、温度補正部33によって補正された共振周波数を補正周波数という。
【0040】
平滑化部34は、水晶振動子センサ21の補正周波数、並びに相対湿度の単位時間ごとの移動平均値を求める。例えば、平滑化部34は、1分間隔の時系列データについて、12時間を窓として移動平均値を求める。
【0041】
変動量演算部35は、第1電極211の腐食に起因する水晶振動子センサ21の周波数の変動量の時間微分を求める。変動量演算部35は、例えば、水晶振動子センサ21の補正周波数の移動平均値を一定時間で除算することで、周波数の変化量を求める。
【0042】
検量線決定部36は、平滑化部34が算出した相対湿度の移動平均値をデータベース31が記憶する検量線の勾配を導出するための関数に代入することで検量線の勾配を決定する。
【0043】
塩分量演算部37は、検量線決定部36が決定した勾配に係る検量線と変動量演算部35が算出した周波数の変動量とに基づいて、汚損物質検出センサ20に付着した塩分量を判定する。
【0044】
出力部38は、塩分量演算部で算出された塩分量(汚損物質の推定量)のデータをディスプレイまたは記憶装置に出力する。
【0045】
(コンピュータ構成)
図7は、汚損物質量算出装置30を実装するコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ50は、プロセッサ51、メインメモリ53、ストレージ55、インタフェース57を備える。コンピュータ50は、汚損物質量算出装置30を実装する一例であり、汚損物質量算出装置30を実装する装置はこれに限定されない。
【0046】
上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ55に記憶されている。プロセッサ51は、プログラムをストレージ55から読み出してメインメモリ53に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ51は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ53に確保する。プロセッサ51の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0047】
プログラムは、コンピュータ50に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ50は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ51によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0048】
ストレージ55の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。ストレージ55は、コンピュータ50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース57または通信回線を介してコンピュータ50に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ50に配信される場合、配信を受けたコンピュータ50が当該プログラムをメインメモリ53に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ55は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0049】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ55に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0050】
(水晶振動子センサの製造方法)
第1基材217上に複数の第1島状部218を形成する方法は特に限定されない。例えば、スパッタ蒸着や電子ビーム蒸着などの物理蒸着が1つの例として挙げられる。スパッタ条件として真空度を通常よりも低くすることが好ましい。これによって、ターゲット粒子の平均自由工程を短くし、第1基材217と第1島状部218との密着性を低減することができる。また、ターゲット粒子がガス分子とぶつかることによって冷却が進み、球状のまま第1基材217の表面に蒸着する。真空度の条件は、使用する材料に応じて適宜設定することができる。また第1基材217の露出がある程度必要であるので、非常に短時間のスパッタ時間、または基材を斜めに傾け蒸着させ堆積密度を下げることが好ましい。スパッタ時間は、蒸着する材料に応じて適宜設定することができる。
【0051】
別の例としては、第1島状部218となる金属粒子250を用意し、第1基材217に塗布し電子ビームなどの加熱方法で第1基材217と金属粒子250とを焼結させる方法がある。
【0052】
以上、第1実施形態に係る汚損物質検出センサ20および汚損物質量測定装置10を説明した。このように第1実施形態に係る汚損物質検出センサ20は、水晶板と、前記水晶板を挟む電極対と、を備える水晶振動子センサを備え、前記電極対の少なくとも一方の電極が、複数種の金属からなる。これにより、異なる金属間で局部電池が形成されることで、汚損物質による腐食を促進することができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下においても、汚損物質の量を測定することができる。
【0053】
第1実施形態の汚損物質検出センサ20において、第1電極211が、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第1基材217と、第1基材217上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第1島状部218とを備える。そのため、第1基材217と複数の第1島状部218との間で、局部電池が多数形成され、より腐食しやすくすることができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下において、より精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0054】
第1実施形態に係る汚損物質検出センサ20において、第1基材217の第1金属の標準電極電位は、第1島状部218の第2金属の標準電極電位よりも低い。これによって、第1基材217が腐食されるので、より多くの汚損物質を検出することができる。
【0055】
ここでは、第1電極211が第1基材217と第1島状部218とを備える場合を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。
【0056】
第2電極212が第2基材219と第2島状部220とを備える場合で説明したが、本発明はこの構成に限定されない。
【0057】
汚染物質検出センサ20は、第1基材217と水晶板213との間に、1以上の図示しない中間層をさらに備えてもよい。中間層としては、例えば、第1金属と異なる金属からなる層、絶縁体からなる層などが挙げられる。
【0058】
汚染物質検出センサ20は、第2基材219と水晶板213との間に、1以上の図示しない中間層をさらに備えてもよい。中間層としては、例えば、第1金属と異なる金属からなる層、絶縁体からなる層などが挙げられる。
【0059】
第1実施形態では、第1電極211および第2電極212がともに複数種の金属から形成されていたが、少なくとも1方の電極が複数種の金属から形成されていてもよい。
【0060】
第1電極211の第1金属と第2電極212の第1金属は同一でもよいし、異なっていてもよい。第1電極211の第2金属と第2電極212の第2金属は同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0061】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態の汚損物質量測定装置10Aを、図8を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0062】
図8は、第2実施形態に係る汚損物質量測定装置10Aの構成を示す概略図である。
汚損物質量測定装置10Aは、汚損物質検出センサ20Aと、汚損物質量算出装置30とを有する。汚損物質検出センサ20Aは、汚損状態を推定する対象物Oの近傍に設置される。汚損物質量算出装置30は、汚損物質検出センサ20に付着した塩分量を算出し、対象物Oの汚損状態を推定する。
【0063】
(汚損物質検出センサ)
図9は、第2実施形態に係る汚損物質検出センサ20Aの構造を示す平面図である。図10は、第2実施形態に係る汚損物質検出センサ20AのB-B線に沿った断面図である。汚損物質検出センサ20Aは、水晶振動子センサ21Aと、温湿度センサ23と、を備える。
【0064】
水晶振動子センサ21Aは、第1電極211Aと、第2電極212Aと、水晶板213と、発振回路215と、周波数計測回路216とを備える。第1電極211Aおよび第2電極212Aは、複数種の金属からなる電極である。電極が複数種の金属からなるので、異なる金属間で局部電池が形成され、腐食が進む。これによって、汚損物質の検出感度を向上することができる。第1電極211Aおよび第2電極212Aが水晶板213を挟む電極対となる。水晶振動子センサ21Aは、例えば、QCM(水晶振動子マイクロバランス)センサである。水晶板213は、第1電極211Aと第2電極212Aとで挟まれる。発振回路215は、第1電極211Aと第2電極212Aとの間に電圧を印加する。第1電極211Aと第2電極212Aとの間に電圧が印加されることで、水晶板213が振動し、電気信号を出力する。周波数計測回路216は、水晶振動子センサ21Aが出力する電気信号の周波数を計測する。
【0065】
第1電極211Aは、1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備える。第1電極211Aにおいて、第1領域と第2領域とが部分的に接触する。第1領域の例として、第1基材217を用い、第2領域の例として、第1多孔質層218Aを用いた例を説明する。
【0066】
第1電極211Aは、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第1基材217と、第1基材217上に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第1多孔質層218Aとを備える。第1多孔質層218Aは、「多孔質層」の例である。
【0067】
第1基材217の主成分が第1金属であることが好ましい。主成分として第1金属の含有量は、第1基材217の全質量に対して、50質量%以上である。第1基材217は、単一の第1金属から構成されていてもよいので、第1金属の含有量の上限は100質量%である。第1基材217は、第1多孔質層218Aと局部電池が形成され、腐食が進行するのであれば、第1金属の含有量が100質量%でなくてもよい。第1金属の含有量は、第1基材217の全質量に対して、60質量%以上が好ましい。より好ましくは、第1金属の含有量は80質量%以上である。さらに好ましくは第1金属の含有量は、99.0質量%以上である。第1金属の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で測定できる。EDXで測定する場合は、第1金属の含有量は、第1基材217において、ランダムに選択した5か所で測定した平均値とする。第1金属が2種以上である場合は、第1金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0068】
第1基材217の第1金属の標準電極電位は、第1多孔質層218Aの第2金属の標準電極電位よりも低いことが好ましい。第1金属は、例えば、Al(標準電極電位:-1.676V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Ag(標準電極電位:0.799V)などである。第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも低ければ、第1基材217中の第1金属と第1多孔質層218A中の第2金属とで局部電池が形成された場合に、第1基材217において、後述する腐食が進行する。第1多孔質層218Aよりも体積が大きい第1基材217側が腐食されるので、より多くの汚損物質の量を計測することができる。これによって、精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0069】
第1多孔質層218Aは、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を含有する。第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも高ければ、第2金属は、特に限定されない。第2金属は、Ag(標準電極電位:0.799V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Au(標準電極電位:1.520V)、Pt(標準電極電位:1.188V)などである。例えば、Auを第2金属とする場合は、第1金属としてAuよりも標準電極電位が低いAl、Cu、Agなどを用いることができる。第2金属の含有量は、第1多孔質層218Aの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。第2金属の含有量は、例えば、EDXで測定できる。EDXで測定する場合は、第2金属の含有量は、第1多孔質層218Aにおいて、ランダムに選択した5か所で測定した値の平均値とする。第2金属が2種以上である場合は、第2金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0070】
第1多孔質層218Aは、複数の金属粒子250Aからなる多孔質の層である。金属粒子250Aは、1種以上の第2金属を50質量%以上含有する。測定精度を向上するためには、単一の第2金属からなる金属粒子250Aが好ましい。
【0071】
金属粒子250Aの平均粒径は、10nm以上であればよい。金属粒子250Aの大きさが10nm以上であれば、吸着水によって金属粒子250A間に形成される水膜の厚さが10nm以上となるので、好ましい。金属粒子250Aの平均粒径は、第1基材217の厚さ以下であればよい。金属粒子250Aの平均粒径が第1基材の厚さ以下であれば、第1多孔質層218Aを構成する金属粒子250Aと第1基材217との間の空隙に、毛管凝縮によって10nm以上の厚さの水膜が形成される。
【0072】
第1多孔質層218Aの厚さは、第1基材217の厚さ以下であることが好ましい。
【0073】
第1多孔質層218Aが第1基材217上に形成されることで、第1電極211の表面に相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙が形成される。空隙は、第1基材217と第1多孔質層218Aの間または、第1多孔質層218A中の空隙に形成される。例えば、温度としては、-10℃~40℃の間である。毛管凝縮ができる空隙については、公知の式(例えば、Kelvinの毛管凝縮の式)を用いて計算することができる。
【0074】
第2電極212Aは、1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備える。第2電極212Aにおいて、第1領域と第2領域とが部分的に接触する。第1領域の例として、第2基材219を用い、第2領域の例として、第2多孔質層220Aを用いた例を説明する。
【0075】
第2電極212Aは、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第2基材219と、第2基材219上に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第2多孔質層220Aとを備える。第2多孔質層220Aは、「多孔質層」の例である。
【0076】
第2基材219の主成分が第1金属であることが好ましい。主成分として第1金属の含有量は、第2基材219の全質量に対して、50質量%以上である。第2基材219は、単一の第1金属から構成されていてもよいので、第1金属の含有量の上限は100質量%である。第2基材219は、第2多孔質層220Aと局部電池が形成され、腐食が進行するのであれば、第1金属の含有量が100質量%でなくてもよい。第1金属の含有量は、第2基材219の全質量に対して、60質量%以上が好ましい。より好ましくは、第1金属の含有量は80質量%以上である。さらに好ましくは第1金属の含有量は、99.0質量%以上である。第1金属の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で測定できる。EDXで測定する場合は、第1金属の含有量は、第2基材219において、ランダムに選択した5か所で測定した平均値とする。第1金属が2種以上である場合は、第1金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0077】
第2基材219の第1金属の標準電極電位は、第2多孔質層220Aの第2金属の標準電極電位よりも低いことが好ましい。第1金属は、例えば、Al(標準電極電位:-1.676V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Ag(標準電極電位:0.799V)などである。第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも低ければ、第2基材219中の第1金属と第2多孔質層220A中の第2金属とで局部電池が形成された場合に、第2基材219において、後述する腐食が進行する。第2多孔質層220Aよりも体積が大きい第2基材219側が腐食されるので、より多くの汚損物質の量を計測することができる。これによって、精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0078】
第2多孔質層220Aは、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を含有する。第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも高ければ、第2金属は、特に限定されない。第2金属は、Ag(標準電極電位:0.799V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Au(標準電極電位:1.520V)、Pt(標準電極電位:1.188V)などである。例えば、Auを第2金属とする場合は、第1金属としてAuよりも標準電極電位が低いAl、Cu、Agなどを用いることができる。第2金属の含有量は、第2多孔質層220Aの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。第2金属の含有量は、例えば、EDXで測定できる。EDXで測定する場合は、第2金属の含有量は、第2多孔質層220Aにおいて、ランダムに選択した5か所で測定した値の平均値とする。第2金属が2種以上である場合は、第2金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0079】
第2多孔質層220Aは、複数の金属粒子251Aからなる多孔質の層である。金属粒子251Aは、1種以上の第2金属を50質量%以上含有する。測定精度を向上するためには、単一の第2金属からなる金属粒子251Aが好ましい。
【0080】
金属粒子251Aの平均粒径は、10nm以上であればよい。金属粒子251Aの大きさが10nm以上であれば、吸着水によって金属粒子251A間に形成される水膜の厚さが10nm以上となるので、好ましい。金属粒子251Aの平均粒径は、第2基材219の厚さ以下であればよい。金属粒子251Aの平均粒径が第1基材の厚さ以下であれば、第2多孔質層220Aを構成する金属粒子251Aと第2基材219との間の空隙に、毛管凝縮によって10nm以上の厚さの水膜が形成される。
【0081】
第2多孔質層220Aの厚さは、第2基材219の厚さ以下であることが好ましい。
【0082】
第2多孔質層220Aが第2基材219上に形成されることで、第2電極212Aの表面に相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙が形成される。空隙は、第2基材219と第2多孔質層220Aとの間または、第2多孔質層220A中の空隙に形成される。
【0083】
(水晶振動子センサの製造方法)
第1基材217上に第1多孔質層218Aを形成する方法は特に限定されない。第1多孔質層となる金属粒子250Aを用意し、第1基材217に塗布する。その後、電子ビームなどの加熱方法で第1基材217と金属粒子250Aとを焼結させる。
【0084】
以上、第2実施形態に係る汚損物質検出センサ20Aおよび汚損物質量測定装置10Aを説明した。このように第2実施形態に係る汚損物質検出センサ20Aは、水晶板と、前記水晶板を挟む電極対と、を備える水晶振動子センサを備え、前記電極対の少なくとも一方の電極が、複数種の金属からなる。これにより、異なる金属間で局部電池が形成されることで、汚損物質による腐食を促進することができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下においても、汚損物質の量を測定することができる。
【0085】
第2実施形態の汚損物質検出センサ20Aにおいて、第1電極211が、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第1基材217と、第1基材217上に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第1多孔質層218Aとを備える。そのため、第1基材217と第1多孔質層218Aとの間で、局部電池が多数形成され、より腐食しやすくすることができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下において、より精度高く汚損物質の量を測定することができる。また、第1多孔質層218Aの空隙において、毛管凝縮が起こり、厚さ10nm以上の水膜を形成することができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下においても、より精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0086】
第2実施形態に係る汚損物質検出センサ20Aにおいて、第1基材217の第1金属の標準電極電位は、第1多孔質層218Aの第2金属の標準電極電位よりも低い。これによって、第1基材217が腐食されるので、より多くの汚損物質を検出することができる。
【0087】
汚染物質検出センサ20Aは、第1基材217と水晶板213との間に、1以上の図示しない中間層をさらに備えてもよい。中間層としては、例えば、第1金属と異なる金属からなる層、絶縁体からなる層などが挙げられる。
【0088】
汚染物質検出センサ20Aは、第2基材219と水晶板213との間に、1以上の図示しない中間層をさらに備えてもよい。中間層としては、例えば、第1金属と異なる金属からなる層、絶縁体からなる層などが挙げられる。
【0089】
<第3実施形態>
次に、本発明に係る第3実施形態の汚損物質量測定装置10Bを、図11を参照して説明する。なお、この第3実施形態においては、第1実施形態および第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0090】
図11は、第3実施形態に係る汚損物質量測定装置10Bの構成を示す概略図である。
汚損物質量測定装置10Bは、汚損物質検出センサ20Bと、汚損物質量算出装置30とを有する。汚損物質検出センサ20Bは、汚損状態を推定する対象物Oの近傍に設置される。汚損物質量算出装置30は、汚損物質検出センサ20Bに付着した塩分量を算出し、対象物Oの汚損状態を推定する。
【0091】
(汚損物質検出センサ)
図12は、第3実施形態に係る汚損物質検出センサ20Bの構造を示す平面図である。図13は、第3実施形態に係る汚損物質検出センサ20BのC-C線に沿った断面図である。汚損物質検出センサ20Bは、水晶振動子センサ21Bと、温湿度センサ23と、を備える。
【0092】
水晶振動子センサ21Bは、第1電極211Bと、第2電極212Bと、水晶板213と、発振回路215と、周波数計測回路216とを備える。第1電極211Bおよび第2電極212Bは、複数種の金属からなる電極である。電極が複数種の金属からなるので、異なる金属間で局部電池が形成され、腐食が進む。これによって、汚損物質の検出感度を向上することができる。第1電極211Bおよび第2電極212Bが水晶板213を挟む電極対となる。水晶振動子センサ21Bは、例えば、QCM(水晶振動子マイクロバランス)センサである。水晶板213は、第1電極211Bと第2電極212Bとで挟まれる。発振回路215は、第1電極211Bと第2電極212Bとの間に電圧を印加する。第1電極211Bと第2電極212Bとの間に電圧が印加されることで、水晶板213が振動し、電気信号を出力する。周波数計測回路216は、水晶振動子センサ21Bが出力する電気信号の周波数を計測する。
【0093】
第1電極211Bは、当該表面に1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備える。第1電極211Bの表面において、第1領域と第2領域とは、隣接する。第1領域の例として、第1基材217を用い、第2領域の例として、第1島状部218Bを用いた例を説明する。
【0094】
第1電極211Bは、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第1基材217と、第1基材217上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第1島状部218Bとを備える。第1島状部218Bは、「島状部」の例である。第1基材は、「基材」の例である。
【0095】
第1基材217の主成分が第1金属であることが好ましい。主成分として第1金属の含有量は、第1基材217の全質量に対して、50質量%以上である。第1基材217は、単一の第1金属から構成されていてもよいので、第1金属の含有量の上限は100質量%である。第1基材217は、第1島状部218Bと局部電池が形成され、腐食が進行するのであれば、第1金属の含有量が100質量%でなくてもよい。第1金属の含有量は、第1基材217の全質量に対して、60質量%以上が好ましい。より好ましくは、第1金属の含有量は80質量%以上である。さらに好ましくは第1金属の含有量は、99.0質量%以上である。
【0096】
第1基材217の第1金属の標準電極電位は、第1島状部218Bの第2金属の標準電極電位よりも低いことが好ましい。第1金属は、例えば、Al(標準電極電位:-1.676V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Ag(標準電極電位:0.799V)などである。第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも低ければ、第1基材217中の第1金属と第1島状部218B中の第2金属とで局部電池が形成された場合に、第1基材217において、後述する腐食が進行する。第1島状部218Bよりも体積が大きい第1基材217側が腐食されるので、より多くの汚損物質の量を計測することができる。これによって、精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0097】
第1島状部218Bは、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を含有する。第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも高ければ、第2金属は、特に限定されない。第2金属は、Ag(標準電極電位:0.799V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Au(標準電極電位:1.520V)、Pt(標準電極電位:1.188V)などである。例えば、Auを第2金属とする場合は、第1金属としてAuよりも標準電極電位が低いAl、Cu、Agなどを用いることができる。第2金属の含有量は、第1島状部218Bの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。第2金属の含有量は、例えば、EDXで測定できる。EDXで測定する場合は、第2金属の含有量は、第1島状部218Bのランダムに選択した5か所で測定した値の平均値とする。第2金属が2種以上である場合は、第2金属の含有量は、それらの金属の合計値とする。
【0098】
第1島状部218B間の距離は、1μm以下であることが好ましい。第1島状部218B間の距離が1μm以下であると、第1島状部218B間の第1基材217の露出する(大気と接触する)面積が小さくなり、腐食が進行しやすくなる。第1島状部218B間の距離は、10nm以上であることが好ましい。第1島状部218B間の距離が10nm以上であれば、吸着した水によって形成される水膜の厚さを10nm以上にすることができる。第1島状部218B間の距離は、ランダムに第1島状部218Bを選択し、各第1島状部218B間の距離を10か所測定した測定値の平均値としてもよい。
【0099】
第1島状部218Bの最大高さは、第1基材217の厚さ以下であることが好ましい。
【0100】
第1島状部218Bは、単独の金属粒子250Bからなる。金属粒子250Bの平均粒径は、10nm以上であればよい。金属粒子250Bの大きさが10nm以上であれば、大気中の水が表面に吸着して形成される水膜の厚さが10nm以上となり、腐食が進行しやすくなるので好ましい。金属粒子250Bの平均粒径は、第1基材217の厚さ以下であればよい。金属粒子250Bの平均粒径が第1基材の厚さ以下であれば、第1島状部218Bと第1基材217との間の空隙に、10nm以上の厚さの水膜が形成される。
【0101】
第1島状部218Bが島状に形成されることで、第1電極211Bの表面に相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙があることが好ましい。空隙は、第1基材217と第1島状部218Bとの間または、第1島状部218B間に形成される。例えば、温度としては、-10℃~40℃の間である。毛管凝縮ができる空隙については、公知の式(例えば、Kelvinの毛管凝縮の式)を用いて計算することができる。第2金属の含有量は、第1島状部218Bの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。
【0102】
第2電極212Bは、当該表面に1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備える。第2電極212Bの表面において、第1領域と第2領域とは、隣接する。第1領域の例として、第2基材219を用い、第2領域の例として、第2島状部220Bを用いた例を説明する。
【0103】
第2電極212Bは、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第2基材219と、第2基材219上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第2島状部220Bとを備える。第2島状部220Bは、「島状部」の例である。第2基材219は、「基材」の例である。
【0104】
第2基材219の主成分が第1金属であることが好ましい。主成分として第1金属の含有量は、第2基材219の全質量に対して、50質量%以上である。第2基材219は、単一の第1金属から構成されていてもよいので、第1金属の含有量の上限は100質量%である。第2基材219は、第2島状部220Bと局部電池が形成され、腐食が進行するのであれば、第1金属の含有量が100質量%でなくてもよい。第1金属の含有量は、第2基材219の全質量に対して、60質量%以上が好ましい。より好ましくは、第1金属の含有量は80質量%以上である。さらに好ましくは第1金属の含有量は、99.0質量%以上である。
【0105】
第2基材219の第1金属の標準電極電位は、第2島状部220Bの第2金属の標準電極電位よりも低いことが好ましい。第1金属は、例えば、Al(標準電極電位:-1.676V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Ag(標準電極電位:0.799V)などである。第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも低ければ、第2基材219中の第1金属と第2島状部220B中の第2金属とで局部電池が形成された場合に、第2基材219において、後述する腐食が進行する。第2島状部220Bよりも体積が大きい第2基材219側が腐食されるので、より多くの汚損物質の量を計測することができる。これによって、精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0106】
第2島状部220Bは、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を含有する。第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも高ければ、第2金属は、特に限定されない。第2金属は、Ag(標準電極電位:0.799V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Au(標準電極電位:1.520V)、Pt(標準電極電位:1.188V)などである。例えば、Auを第2金属とする場合は、第1金属としてAuよりも標準電極電位が低いAl、Cu、Agなどを用いることができる。第2金属の含有量は、第2島状部220Bの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。
【0107】
第2島状部220B間の距離は、1μm以下であることが好ましい。第2島状部220B間の距離が1μm以下であると、第2島状部220B間の第2基材219の露出する(大気と接触する)面積が小さくなり、腐食が進行しやすくなる。第2島状部220B間の距離は、10nm以上であることが好ましい。第2島状部220B間の距離が10nm以上であれば、吸着した水によって形成される水膜の厚さを10nm以上にすることができる。第2島状部220B間の距離は、ランダムに第2島状部220Bを選択し、各第2島状部220B間の距離を10か所測定した測定値の平均値としてもよい。
【0108】
第2島状部220Bの最大高さは、第2基材219の厚さ以下であることが好ましい。
【0109】
第2島状部220Bは、複数の金属粒子251Bからなる。複数の金属粒子251Bから第2島状部220Bがなるので、金属粒子251B間に毛管凝縮で10nm以上の水膜が形成されやすい。
【0110】
金属粒子251Bの平均粒径は、10nm以上であればよい。金属粒子251Bの大きさが10nm以上であれば、大気中の水が金属粒子251Bの表面に吸着し、金属粒子251B間に形成される水膜の厚さが10nm以上となるので、好ましい。金属粒子251Bの平均粒径は、第2基材219の厚さ以下であればよい。金属粒子251Bの平均粒径が第1基材の厚さ以下であれば、第2島状部220Bと第2基材219との間の空隙に、10nm以上の厚さの水膜が形成される。10nm以上の厚さの水膜があることで、水膜中のイオンの移動が容易になり、腐食が進行しやすくなる。
【0111】
第2島状部220Bが島状に形成されることで、第2電極212Bの表面に相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙があることが好ましい。相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙は、第2基材219と第2島状部220Bとの間または、第2島状部220B内の金属粒子251B間に形成される。この空隙において、毛管凝縮が発生し、水膜が形成される。温度は汚損物質検出センサ20Bが置かれる環境によるので、特に限定されない。例えば、温度としては、-10℃~40℃の間である。毛管凝縮ができる空隙については、公知の式(例えば、Kelvinの毛管凝縮の式)を用いて計算することができる。
【0112】
(水晶振動子センサの製造方法)
第1基材217上に複数の第1島状部218Bを形成する方法は特に限定されない。
例えば、第1島状部218Bとなる金属粒子250Bを用意し、第1基材217に塗布する。とした後、電子ビームなどの加熱方法で第1基材217と金属粒子250Bとを焼結させることで、第1島状部218Bを形成してもよい。
【0113】
以上、第3実施形態に係る汚損物質検出センサ20Bおよび汚損物質量測定装置10Bを説明した。このように第3実施形態に係る汚損物質検出センサ20Bは、水晶板と、前記水晶板を挟む電極対と、を備える水晶振動子センサを備え、前記電極対の少なくとも一方の電極が、複数種の金属からなる。これにより、異なる金属間で局部電池が形成されることで、汚損物質による腐食を促進することができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下においても、汚損物質の量を測定することができる。
【0114】
第3実施形態の汚損物質検出センサ20Bにおいて、第1電極211Bが、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第1基材217と、第1基材217上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第1島状部218Bとを備える。そのため、第1基材217と複数の第1島状部218Bとの間で、局部電池が多数形成され、より腐食しやすくすることができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下において、より精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0115】
第3実施形態に係る汚損物質検出センサ20Bにおいて、第1基材217の第1金属の標準電極電位は、第1島状部218Bの第2金属の標準電極電位よりも低い。これによって、第1基材217が腐食されるので、より多くの汚損物質を検出することができる。
【0116】
第3実施形態において、第1島状部218Bおよび第2島状部220B中の金属粒子間の空隙において、毛管凝縮が起こり、厚さ10nm以上の水膜を形成することができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下においても、より精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0117】
ここでは、第1電極211Bが第1基材217と第1島状部218Bとを備える場合を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。
【0118】
第2電極212Bが第2基材219と第2島状部220Bとを備える場合で説明したが、本発明はこの構成に限定されない。
【0119】
汚染物質検出センサ20Bは、第1基材217と水晶板213との間に、1以上の図示しない中間層をさらに備えてもよい。中間層としては、例えば、第1金属と異なる金属からなる層、絶縁体からなる層などが挙げられる。
【0120】
汚染物質検出センサ20Bは、第2基材219と水晶板213との間に、1以上の図示しない中間層をさらに備えてもよい。中間層としては、例えば、第1金属と異なる金属からなる層、絶縁体からなる層などが挙げられる。
【0121】
第3実施形態では、第1電極211Bおよび第2電極212Bがともに複数種の金属から形成されていたが、少なくとも1方の電極が複数種の金属から形成されていてもよい。
【0122】
第1電極211Bの第1金属と第2電極212Bの第1金属は同一でもよいし、異なっていてもよい。第1電極211Bの第2金属と第2電極212Bの第2金属は同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0123】
<第4実施形態>
次に、本発明に係る第4実施形態の汚損物質量測定装置10Cを、図14を参照して説明する。なお、この第4実施形態においては、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0124】
図14は、第4実施形態に係る汚損物質量測定装置10Cの構成を示す概略図である。
汚損物質量測定装置10Cは、汚損物質検出センサ20Cと、汚損物質量算出装置30とを有する。汚損物質検出センサ20Cは、汚損状態を推定する対象物Oの近傍に設置される。汚損物質量算出装置30は、汚損物質検出センサ20Cに付着した塩分量を算出し、対象物Oの汚損状態を推定する。
【0125】
(汚損物質検出センサ)
図15は、第4実施形態に係る汚損物質検出センサ20Cの構造を示す平面図である。図16は、第4実施形態に係る汚損物質検出センサ20CのD-D線に沿った断面図である。汚損物質検出センサ20Cは、水晶振動子センサ21Cと、温湿度センサ23と、を備える。
【0126】
水晶振動子センサ21Cは、第1電極211Cと、第2電極212Cと、水晶板213と、発振回路215と、周波数計測回路216とを備える。第1電極211Cおよび第2電極212Cは、複数種の金属からなる電極である。電極が複数種の金属からなるので、異なる金属間で局部電池が形成され、腐食が進む。これによって、汚損物質の検出感度を向上することができる。第1電極211Cおよび第2電極212Cが水晶板213を挟む電極対となる。水晶振動子センサ21Cは、例えば、QCM(水晶振動子マイクロバランス)センサである。水晶板213は、第1電極211Cと第2電極212Cとで挟まれる。発振回路215は、第1電極211Cと第2電極212Cとの間に電圧を印加する。第1電極211Cと第2電極212Cとの間に電圧が印加されることで、水晶板213が振動し、電気信号を出力する。周波数計測回路216は、水晶振動子センサ21Cが出力する電気信号の周波数を計測する。
【0127】
第1電極211Cは、当該表面に1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備える。第1電極211Cの表面において、第1領域と第2領域とは、隣接する。第1領域の例として、第1基材217Cを用い、第2領域の例として、第1島状部218Cを用いた例を説明する。
【0128】
第1電極211Cは、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第1基材217Cと、第1基材217C上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第1島状部218Cとを備える。第1島状部218Cは、「島状部」の例である。第1基材は、「基材」の例である。
【0129】
第1基材217Cの主成分が第1金属であることが好ましい。主成分として第1金属の含有量は、第1基材217Cの全質量に対して、50質量%以上である。第1基材217Cは、単一の第1金属から構成されていてもよいので、第1金属の含有量の上限は100質量%である。第1基材217Cは、第1島状部218Cと局部電池が形成され、腐食が進行するのであれば、第1金属の含有量が100質量%でなくてもよい。第1金属の含有量は、第1基材217Cの全質量に対して、60質量%以上が好ましい。より好ましくは、第1金属の含有量は80質量%以上である。さらに好ましくは第1金属の含有量は、99.0質量%以上である。第1金属の含有量は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で測定できる。
【0130】
第1基材217Cの第1金属の標準電極電位は、第1島状部218Cの第2金属の標準電極電位よりも高い。第1金属は、例えば、Ag(標準電極電位:0.799V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Au(標準電極電位:1.520V)、Pt(標準電極電位:1.188V)などである。第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも高ければ、第1基材217C中の第1金属と第1島状部218C中の第2金属とで局部電池が形成された場合に、第1島状部218Cにおいて、後述する腐食が進行する。これによって、精度高く汚損物質の量を測定することができる。例えば、Auを第1金属とする場合は、Auよりも標準電極電位が低いAl、Cu、Agなどを第2金属として用いることができる。
【0131】
第1島状部218Cは、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を含有する。第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも低ければ、第2金属は、特に限定されない。第2金属は、Al(標準電極電位:-1.676V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Ag(標準電極電位:0.799V)などである。第2金属の含有量は、第1島状部218Cの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。
【0132】
第1島状部218C間の距離は、1μm以下であることが好ましい。第1島状部218C間の距離が1μm以下であると、第1島状部218Cの密度が高くなり、腐食が進行しやすくなる。第1島状部218C間の距離は、10nm以上であることが好ましい。第1島状部218C間の距離が10nm以上であれば、吸着した水によって形成される水膜の厚さを10nm以上にすることができる。第1島状部218C間の距離は、ランダムに第1島状部218Cを選択し、各第1島状部218C間の距離を10か所測定した測定値の平均値としてもよい。
【0133】
第1島状部218Cの最大高さは、第1基材217Cの厚さ以下であることが好ましい。
【0134】
第1島状部218Cは、単独の金属粒子250Cからなる。金属粒子250Cの平均粒径は、10nm以上であればよい。金属粒子250Cの大きさが10nm以上であれば、大気中の水が表面に吸着して形成される水膜の厚さが10nm以上となり、腐食が進行しやすくなるので好ましい。金属粒子250Cの平均粒径は、第1基材217Cの厚さ以下であればよい。金属粒子250Cの平均粒径が第1基材の厚さ以下であれば、第1島状部218Cと第1基材217Cとの間の空隙に、10nm以上の厚さの水膜が形成される。
【0135】
第1島状部218Cが島状に形成されることで、第1電極211Cの表面に相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙があることが好ましい。空隙は、第1基材217Cと第1島状部218Cとの間または、第1島状部218C間に形成される。例えば、温度としては、-10℃~40℃の間である。毛管凝縮ができる空隙については、公知の式(例えば、Kelvinの毛管凝縮の式)を用いて計算することができる。
【0136】
第2電極212Cは、当該表面に1種以上の第1金属を50質量%以上含有する、第1領域と、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を50質量%以上含有する第2領域とを備える。第2電極212Cの表面において、第1領域と第2領域とは、隣接する。第1領域の例として、第2基材219C用い、第2領域の例として、第2島状部220Cを用いた例を説明する。
【0137】
第2電極212Cは、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第2基材219Cと、第2基材219C上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第2島状部220Cとを備える。第2島状部220Cは、「島状部」の例である。第2基材219Cは、「基材」の例である。
【0138】
第2基材219Cの主成分が第1金属からなることが好ましい。主成分として第1金属の含有量は、第2基材219Cの全質量に対して、50質量%以上である。第2基材219Cは、単一の第1金属から構成されていてもよいので、第1金属の含有量の上限は100質量%である。第2基材219Cは、第2島状部220Cと局部電池が形成され、腐食が進行するのであれば、第1金属の含有量が100質量%でなくてもよい。第1金属の含有量は、第2基材219Cの全質量に対して、60質量%以上が好ましい。より好ましくは、第1金属の含有量は80質量%以上である。さらに好ましくは第1金属の含有量は、99.0質量%以上である。
【0139】
第4実施形態において、第2基材219Cの第1金属の標準電極電位は、第2島状部220Cの第2金属の標準電極電位よりも高い。第1金属は、例えば、Ag(標準電極電位:0.799V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Au(標準電極電位:1.520V)、Pt(標準電極電位:1.188V)などである。第1金属の標準電極電位が第2金属の標準電極電位よりも高ければ、第2基材219C中の第1金属と第2島状部220C中の第2金属とで局部電池が形成された場合に、第2島状部220Cにおいて、後述する腐食が進行する。これによって、精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0140】
第2島状部220Cは、第1金属とは異なる1種以上の第2金属を含有する。第4実施形態において、第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも高い。第2金属は、第2金属の標準電極電位が第1金属の標準電極電位よりも高ければ、特に限定されない。第4実施形態において、第2金属は、Al(標準電極電位:-1.676V)、Cu(標準電極電位:0.340V)、Ag(標準電極電位:0.799V)などである。第2金属の含有量は、第2島状部220Cの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、第2金属の含有量は、80質量%以上である。さらに好ましくは、第2金属の含有量は99.0質量%以上である。第2金属の含有量の上限は100質量%である。
【0141】
第2島状部220C間の距離は、1μm以下であることが好ましい。第2島状部220C間の距離が1μm以下であると、第2島状部220Cの密度が上昇し、腐食が進行しやすくなる。第2島状部220C間の距離は、10nm以上であることが好ましい。第2島状部220C間の距離が10nm以上であれば、吸着した水によって形成される水膜の厚さを10nm以上にすることができる。第2島状部220C間の距離は、ランダムに第2島状部220Cを選択し、各第2島状部220C間の距離を10か所測定した測定値の平均値としてもよい。
【0142】
第2島状部220Cの最大高さは、第2基材219Cの厚さ以下であることが好ましい。
【0143】
第2島状部220Cは、複数の金属粒子251Cからなる。複数の金属粒子251Cから第2島状部220Cがなるので、金属粒子251C間に毛管凝縮で10nm以上の水膜が形成されやすい。
【0144】
金属粒子251Cの平均粒径は、10nm以上であればよい。金属粒子251Cの大きさが10nm以上であれば、大気中の水が金属粒子251Cの表面に吸着し、金属粒子251C間に形成される水膜の厚さが10nm以上となるので、好ましい。金属粒子251Cの平均粒径は、第2基材219Cの厚さ以下であればよい。金属粒子251Cの平均粒径が第1基材の厚さ以下であれば、第2島状部220Cと第2基材219Cとの間の空隙に、10nm以上の厚さの水膜が形成される。10nm以上の厚さの水膜があることで、水膜中のイオンの移動が容易になり、腐食が進行しやすくなる。
【0145】
第2島状部220Cが島状に形成されることで、第2電極212Cの表面に相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙があることが好ましい。相対湿度60%以下の範囲において毛管凝縮が可能な空隙は、第2基材219Cと第2島状部220Cとの間または、第2島状部220C内の金属粒子251C間に形成される。この空隙において、毛管凝縮が発生し、水膜が形成される。温度は汚損物質検出センサ20Cが置かれる環境によるので、特に限定されない。例えば、温度としては、-10℃~40℃の間である。毛管凝縮ができる空隙については、公知の式(例えば、Kelvinの毛管凝縮の式)を用いて計算することができる。
【0146】
(汚損物質が付着した際の汚損物質検出センサの挙動)
図17は、第4実施形態に係る汚損物質量測定装置の汚損物質検出センサに汚損物質が付着してから時間が経過した後の状態を示す断面図である。第1基材217Cの第1金属が第1島状部218Cの第2金属に比べて貴であるので、腐食による減肉は第1島状部218Cから始まる。第1島状部218Cは減肉によって縮小していく。そのため、第1島状部218Cの量が汚損物質に対して十分でない場合、第1島状部218Cの消失によって、腐食が第1基材217Cで進行し始めるなど、腐食の進行形態が変化する可能性がある。第1島状部218Cが消失することによって電極表面の凹凸が平坦に近づき、吸着水による水膜が薄くなる可能性がある。水膜が薄くなるとイオンの移動が困難になり、腐食反応速度が遅くなる可能性がある。
【0147】
(水晶振動子センサの製造方法)
第1基材217上に複数の第1島状部218Cを形成する方法は特に限定されない。第1実施形態と同様の製造方法で第1島状部218Cを形成することができる。
【0148】
以上、第4実施形態に係る汚損物質検出センサ20Cおよび汚損物質量測定装置10Cを説明した。このように第4実施形態に係る汚損物質検出センサ20Cは、水晶板と、前記水晶板を挟む電極対と、を備える水晶振動子センサを備え、前記電極対の少なくとも一方の電極が、複数種の金属からなる。これにより、異なる金属間で局部電池が形成されることで、汚損物質による腐食を促進することができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下においても、汚損物質の量を測定することができる。
【0149】
第4実施形態の汚損物質検出センサ20Cにおいて、第1電極211Cが、水晶板213上に設けられ、第1金属を50質量%以上含有する、第1基材217と、第1基材217上に島状に設けられ、第2金属を50質量%以上含有する、第1島状部218Cとを備える。そのため、第1基材217と複数の第1島状部218Cとの間で、局部電池が多数形成され、より腐食しやすくすることができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下において、より精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0150】
第4実施形態において、第1島状部218Cおよび第2島状部220C中の金属粒子間の空隙において、毛管凝縮が起こり、厚さ10nm以上の水膜を形成することができる。これによって、相対湿度60%以下の低湿度環境下においても、より精度高く汚損物質の量を測定することができる。
【0151】
ここでは、第1電極211Cが第1基材217Cと第1島状部218Cとを備える場合を説明したが、本発明はこの構成に限定されない。
【0152】
第2電極212Cが第2基材219Cと第2島状部220Cとを備える場合で説明したが、本発明はこの構成に限定されない。
【0153】
汚染物質検出センサ20Cは、第1基材217Cと水晶板213との間に、1以上の図示しない中間層をさらに備えてもよい。中間層としては、例えば、第1金属と異なる金属からなる層、絶縁体からなる層などが挙げられる。
【0154】
汚染物質検出センサ20Cは、第2基材219Cと水晶板213との間に、1以上の図示しない中間層をさらに備えてもよい。中間層としては、例えば、第1金属と異なる金属からなる層、絶縁体からなる層などが挙げられる。
【0155】
第4実施形態では、第1電極211Cおよび第2電極212Cがともに複数種の金属から形成されていたが、少なくとも1方の電極が複数種の金属から形成されていてもよい。
【0156】
第1電極211Cの第1金属と第2電極212Cの第1金属は同一でもよいし、異なっていてもよい。第1電極211Cの第2金属と第2電極212Cの第2金属は同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0157】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、汚損物質検出センサは、水晶板と、水晶板を挟む電極対と、を備える水晶振動子センサを有する。電極対の少なくとも一方の電極が、複数種の金属からなる。これにより、汚損物質検出センサ20に付着する汚損物質の付着量が水晶振動子センサ21の振動数の変化として現れる。よって、汚損物質検出センサ20を用いることで、汚損物質の付着量を精度よく測定することができる。
【0158】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0159】
10…汚損物質量測定装置 20…汚損物質検出センサ 21…水晶振動子センサ 211…第1電極 212…第2電極 213…水晶板 215…発振回路 216…周波数計測回路 23…温湿度センサ 30…汚損物質量算出装置 31…データベース 32…計測データ保存部 33…温度補正部 34…平滑化部 35…変動量演算部 36…検量線決定部 37…塩分量演算部 38…出力部 50…コンピュータ 51…プロセッサ 53…メインメモリ 55…ストレージ 57…インタフェース 300…水膜 400…汚損物質 500…腐食生成物 O…対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17