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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154193
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/84 20060101AFI20231012BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20231012BHJP
   G01L 1/20 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H01L29/84 B
G01L5/00 101Z
G01L1/20 Z
G01L1/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063345
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 賢智
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
【テーマコード(参考)】
2F051
4M112
【Fターム(参考)】
2F051AB06
2F051AB07
2F051BA07
4M112AA07
4M112BA01
4M112CA03
4M112CA04
4M112CA07
4M112CA09
4M112CA11
4M112CA16
4M112DA20
4M112EA20
4M112FA20
(57)【要約】
【課題】伸縮性を有する基板に実装されたセンサ素子によるセンシングの信頼性を向上させることが可能な電子機器を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る電子機器は、第1基板と第2基板とを備える。第1基板は、第1絶縁基材と配線層とセンサ電極とを含む。第1絶縁基材は、複数の第1島状部と、隣接する第1島状部を接続する複数の第1帯状部とを含み、メッシュ状に形成される。配線層は、第1帯状部の上に配置される。センサ電極は、第1島状部の上に配置される。第2基板は、第2絶縁基材と共通電極とセンサシートとを含む。第2絶縁基材は、複数の第2島状部と、隣接する第2島状部を接続する複数の第2帯状部とを含み、メッシュ状に形成される。共通電極は、第2島状部および第2帯状部の下に配置され、メッシュ状に形成される。センサシートは、第2島状部と重なり、共通電極の下に配置される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、を備え、
前記第1基板は、
複数の第1島状部と、隣接する2つの第1島状部を接続する複数の第1帯状部とを含み、メッシュ状に形成された第1絶縁基材と、
前記第1帯状部の上に配置される配線層と、
前記第1島状部の上に配置され、前記配線層と電気的に接続されるセンサ電極と、を含み、
前記第2基板は、
複数の第2島状部と、隣接する2つの第2島状部を接続する複数の第2帯状部とを含み、メッシュ状に形成された第2絶縁基材と、
前記第2島状部および前記第2帯状部の下に配置され、メッシュ状に形成された共通電極と、
平面視において前記第2島状部と重なり、前記共通電極の下に配置されるセンサシートと、を含む、
電子機器。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、を備え、
前記第1基板は、
複数の第1島状部と、隣接する2つの第1島状部を接続する複数の第1帯状部とを含み、メッシュ状に形成された第1絶縁基材と、
前記第1帯状部の上に配置される配線層と、
前記第1島状部の上に配置され、前記配線層と電気的に接続されるセンサ電極と、
前記第1島状部の上に配置され、平面視において前記センサ電極と重ならないように配置される共通電極と、を含み、
前記第2基板は、
複数の第2島状部と、隣接する2つの第2島状部を接続する複数の第2帯状部とを含み、メッシュ状に形成された第2絶縁基材と、
前記第2島状部の下に配置されるセンサシートと、を含む、
電子機器。
【請求項3】
前記センサ電極と前記センサシートとは互いに対向し、
前記センサ電極と前記センサシートとの間には空隙が設けられる、
請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1島状部と前記第2島状部とは平面視において互いに重なり、
前記第1帯状部と前記第2帯状部とは平面視において互いに重なる、
請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
平面視において前記第1帯状部および前記第2帯状部と重なる位置に配置され、前記センサ電極と前記センサシートとを接着する接着層をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
平面視において前記第1島状部および前記第2島状部の外周と重なる位置に配置され、前記センサ電極と前記センサシートとを接着する接着層をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項7】
前記共通電極は、有機系の導電材料により形成される、
請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項8】
前記共通電極は、金属材料により形成される、
請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項9】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板を封止する伸縮部材と、を備え、
前記第1基板は、
複数の第1島状部と、隣接する2つの第1島状部を接続する複数の第1帯状部とを含み、メッシュ状に形成された第1絶縁基材と、
前記第1帯状部の上に配置される配線層と、
前記第1島状部の上に配置され、前記配線層と電気的に接続されるセンサ電極と、を含み、
前記第2基板は、
複数の第2島状部と、隣接する2つの第2島状部を接続する複数の第2帯状部とを含み、メッシュ状に形成された第2絶縁基材と、
前記第2島状部および前記第2帯状部の下に配置され、メッシュ状に形成された共通電極と、
平面視において前記第2島状部および前記第2帯状部と重なり、前記共通電極の下に配置され、メッシュ状に形成される感圧層と、を含む、
電子機器。
【請求項10】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板を封止する伸縮部材と、を備え、
前記第1基板は、
複数の第1島状部と、隣接する2つの第1島状部を接続する複数の第1帯状部とを含み、メッシュ状に形成された第1絶縁基材と、
前記第1帯状部の上に配置される配線層と、
前記第1島状部の上に配置され、前記配線層と電気的に接続されるセンサ電極と、
前記第1島状部の上に配置され、平面視において前記センサ電極と重ならないように配置される共通電極と、を含み、
前記第2基板は、
複数の第2島状部と、隣接する2つの第2島状部を接続する複数の第2帯状部とを含み、メッシュ状に形成された第2絶縁基材と、
平面視において前記第2島状部および前記第2帯状部と重なり、前記共通電極の下に配置され、メッシュ状に形成される感圧層と、を含む、
電子機器。
【請求項11】
前記感圧層は、前記センサ電極と前記共通電極との間に配置される、
請求項9または請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1島状部と前記第2島状部とは平面視において互いに重なり、
前記第1帯状部と前記第2帯状部とは平面視において互いに重なる、
請求項9または請求項10に記載の電子機器。
【請求項13】
前記共通電極は、有機系の導電材料により形成される、
請求項9または請求項10に記載の電子機器。
【請求項14】
前記共通電極は、金属材料により形成される、
請求項9または請求項10に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可撓性及び伸縮性を有したフレキシブル基板の利用が種々の分野で検討されている。一例を挙げると、センサ素子がマトリクス状に配列されたフレキシブル基板を、電子機器の筐体や人体等の曲面に貼り付ける利用形態が考えられる。
しかしながら、このようなフレキシブル基板に実装されたセンサ素子によるセンシングにおいては、当該フレキシブル基板の伸縮前後で誤差が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/140967号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、伸縮性を有する基板に実装されたセンサ素子によるセンシングの信頼性を向上させることが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る電子機器は、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、を備える。前記第1基板は、第1絶縁基材と、配線層と、センサ電極と、を含む。前記第1絶縁基材は、複数の第1島状部と、隣接する2つの第1島状部を接続する複数の第1帯状部とを含み、メッシュ状に形成される。前記配線層は、前記第1帯状部の上に配置される。前記センサ電極は、前記第1島状部の上に配置され、前記配線層と電気的に接続される。前記第2基板は、第2絶縁基材と、共通電極と、センサシートと、を含む。前記第2絶縁基材は、複数の第2島状部と、隣接する2つの第2島状部を接続する複数の第2帯状部とを含み、メッシュ状に形成される。前記共通電極は、前記第2島状部および前記第2帯状部の下に配置され、メッシュ状に形成される。前記センサシートは、平面視において前記第2島状部と重なり、前記共通電極の下に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る電子機器の概略的な平面図である。
図2図2は、図1に示した第1基板の一部を拡大した平面図である。
図3図3は、図1に示した第2基板の一部を拡大した平面図である。
図4図4は、図2および図3のA-B線に沿って切断された電子機器の断面図である。
図5図5は、図4に示した電子機器の形成工程の一例を示す断面図である。
図6図6は、図4に示した電子機器の形成工程の一例を示す断面図である。
図7図7は、図4に示した電子機器の形成工程の一例を示す断面図である。
図8図8は、図4に示した電子機器の形成工程の一例を示す断面図である。
図9図9は、比較例に係る電子機器の概略構成例を示す断面図である。
図10図10は、比較例に係る伸縮前の電子機器に圧力が加えられた場合を説明するための図である。
図11図11は、比較例に係る伸縮後の電子機器に圧力が加えられた場合を説明するための図である。
図12図12は、第1実施形態に係る電子機器の一構成例を示す断面図である。
図13図13は、第2実施形態に係る電子機器の一構成例を示す断面図である。
図14図14は、各実施形態に係る電子機器の一構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電子機器1の概略的な平面図である。本実施形態においては、図示したように第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3を定義する。第1方向D1および第2方向D2は、電子機器1の主面と平行であり、互いに交わる方向である。第3方向D3は、第1方向D1、第2方向D2に対して垂直な方向であり、電子機器1の厚さ方向に相当する。第1方向D1と第2方向D2は、本実施形態では垂直に交わるが、垂直以外の角度で交わってもよい。本明細書において、第3方向D3を示す矢印の先端に向かう方向を「上」と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を「下」と称する。また、第3方向D3を示す矢印の先端側に電子機器1を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向D1および第2方向D2で規定されるD1-D2平面を見ることを平面視という。
【0009】
電子機器1は圧力センサであり、図1に示すように、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、回路基板2と、コントローラ3と、を備えている。回路基板2は、例えばフレキシブルプリント回路基板であり、第1基板SUB1の端子領域TAにおいて各端子と電気的に接続されている。コントローラ3は、回路基板2に実装されているが、第1基板SUB1に実装されていてもよい。第1基板SUB1と第2基板SUB2とは、外周シール4により接着されている。第1基板SUB1と第2基板SUB2とは、可撓性および伸縮性を有している。
【0010】
図1に示すように、電子機器1は、アクティブ領域AAと、当該アクティブ領域AAを囲む額縁状の周辺領域PAと、を有している。アクティブ領域AAは、後述するセンサ素子が配置される領域であり、センシング領域と称されてもよい。周辺領域PAは、後述する各種ドライバなどの周辺回路を配置する領域である。
【0011】
図1に示すように、電子機器1は、複数の走査線GL、複数の信号線SL、複数のセンサ素子5、走査線ドライバDR1、信号線ドライバDR2、などをさらに備えている。複数の走査線GL、複数の信号線SLおよび複数のセンサ素子5は、アクティブ領域AAに配置され、走査線ドライバDR1および信号線ドライバDR2は、周辺領域PAに配置されている。複数の走査線GLは、それぞれ第1方向D1に延出し第2方向D2に並んでいる。複数の走査線GLは、それぞれ走査線ドライバDR1に接続されている。複数の信号線SLは、それぞれ第2方向D2に延出し第1方向D1に並んでいる。複数の信号線SLは、それぞれ信号線ドライバDR2に接続されている。複数のセンサ素子5は、それぞれ走査線GLと信号線SLとの交差部に位置し、走査線GLおよび信号線SLと電気的に接続されている。なお、センサ素子5の具体的な構成例については後述する。
【0012】
図2は、図1に示した第1基板SUB1の一部(アクティブ領域AA)を拡大した平面図である。第1基板SUB1は、走査線GLおよび信号線SLを支持する絶縁基材10(第1絶縁基材)と、センサ素子5を構成するセンサ電極SEと、を備えている。
【0013】
絶縁基材10は、複数のボディ部11(第1島状部)と、ボディ部11と一体的に形成されたヒンジ部12および13(第1帯状部)とを備え、開口部OPを有したメッシュ状に形成されている。絶縁基材10は、可撓性を有し、例えばポリイミドで形成することができるが、この例に限られない。
【0014】
複数のボディ部11は、互いに間隔を置いて第1方向D1および第2方向D2にマトリクス状に並んでいる。ボディ部11の各々は、平面視において、例えば四角形状(菱形状)に形成されている。なお、ボディ部11は、他の多角形状に形成されていてもよいし、円形状や楕円形状に形成されていてもよい。
【0015】
ヒンジ部12は、概ね第1方向D1に延出し、第2方向D2に並んでいる。ヒンジ部12は、第1方向D1に並んだ複数のボディ部11を接続している。ヒンジ部13は、概ね第2方向D2に延出し、第1方向D1に並んでいる。ヒンジ部13は、第2方向D2に並んだ複数のボディ部11を接続している。ヒンジ部12および13は、それぞれ平面視で蛇行形状(ミアンダ形状)に形成されている。
【0016】
走査線GLは、ヒンジ部12と重なって延出している。信号線SLは、ヒンジ部13と重なって延出している。つまり、走査線GLおよび信号線SLは、いずれも蛇行形状に形成されている。
走査線GLおよび信号線SLは、後述するコンタクトホールを通じてセンサ電極SEと電気的に接続されている。
【0017】
図3は、図1に示した第2基板SUB2の一部(アクティブ領域AA)を拡大した平面図である。第2基板SUB2は、センサ素子5を構成する共通電極CEおよびセンサシートSSと、共通電極CEおよびセンサシートSSを支持する絶縁基材30(第2絶縁基材)と、を備えている。
【0018】
絶縁基材30は、複数のボディ部31(第2島状部)と、ボディ部31と一体的に形成されたヒンジ部32および33(第2帯状部)とを備え、開口部OPを有したメッシュ状に形成されている。絶縁基材30は、可撓性を有し、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシロキサン等で形成することができるが、この例に限られない。
【0019】
複数のボディ部31は、互いに間隔を置いて第1方向D1および第2方向D2にマトリクス状に並んでいる。ボディ部31の各々は、平面視において、例えば四角形状(菱形状)に形成されている。なお、ボディ部31は、他の多角形状に形成されていてもよいし、円形状や楕円形状に形成されていてもよい。
【0020】
ヒンジ部32は、概ね第1方向D1に延出し、第2方向D2に並んでいる。ヒンジ部32は、第1方向D1に並んだ複数のボディ部31を接続している。ヒンジ部33は、概ね第2方向D2に延出し、第1方向D1に並んでいる。ヒンジ部33は、第2方向D2に並んだ複数のボディ部31を接続している。ヒンジ部32および33は、それぞれ平面視で蛇行形状(ミアンダ形状)に形成されている。
【0021】
ボディ部31は、絶縁基材10のボディ部11と同様な形状を有し、平面視において当該ボディ部11と重なっている。ヒンジ部32は、絶縁基材10のヒンジ部12と同様な形状を有し、平面視において当該ヒンジ部12と重なっている。ヒンジ部33は、絶縁基材10のヒンジ部13と同様な形状を有し、平面視において当該ヒンジ部13と重なっている。
【0022】
共通電極CEは、ボディ部31と、ヒンジ部32および33とに重なって延在している。つまり、共通電極CEは、上記した絶縁基材30と同様に、開口部OPを有したメッシュ状に形成されている。センサシートSSは、ボディ部31に重なっている。
【0023】
図4は、図2および図3のA-B線に沿って切断された電子機器1の断面図である。ここでは、主に、センサ素子5の構成について説明する。
図4に示すように、センサ素子5は、スイッチング素子SW、センサ電極SE、センサシートSS、共通電極CE、などを備えている。
【0024】
まず、第1基板SUB1側の構成について説明する。絶縁基材10の上には、絶縁層21が配置される。絶縁基材10は、例えば10μmの膜厚を有している。絶縁層21の上には、スイッチング素子SWのゲート電極として機能する走査線GLが配置される。
【0025】
絶縁層21の上には、絶縁層22が配置される。絶縁層22は、走査線GLを覆っている。絶縁層22の上には、スイッチング素子SWを構成する半導体層SCが配置される。半導体層SCは、例えば多結晶シリコン(例えば低温ポリシリコン)によって形成されるが、アモルファスシリコンや酸化物半導体によって形成されてもよい。絶縁層22の上には、絶縁層23が配置される。絶縁層23は、半導体層SCを覆っている。絶縁層23の上には、スイッチング素子SWのソース電極として機能する信号線SLと、スイッチング素子SWのドレイン電極DEとが配置される。信号線SLは、絶縁層23に形成されたコンタクトホールCH1を通じて半導体層SCに接続されている。信号線SLは、例えば金属材料や透明導電材料で形成することができ、単層構造であってもよいし積層構造であってもよい。ドレイン電極DEは、絶縁層23に形成されたコンタクトホールCH2を通じて半導体層SCに接続されている。ドレイン電極DEは、例えば信号線SLと同一材料によって形成されている。ドレイン電極DEは、平面視において走査線GLと重なっている。絶縁層23の上には、絶縁層24が配置される。絶縁層24は、信号線SLおよびドレイン電極DEを覆っている。
【0026】
絶縁層24の上には、センサ電極SEが配置される。センサ電極SEは、絶縁層24に形成されたコンタクトホールCH3を通じてドレイン電極DEに接続されている。センサ電極SEは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成された透明電極である。センサ電極SEは、ボディ部11と重なる位置に配置され、ヒンジ部13(および、図4には図示されないヒンジ部12)と重なる位置や、開口部OPには配置されない。
【0027】
スイッチング素子SWは、絶縁基材10のボディ部11とセンサ電極SEとの間に位置している。図4に示したスイッチング素子SWは、シングルゲート構造であるが、ダブルゲート構造であってもよい。また、図4に示したスイッチング素子SWは、半導体層SCの下にゲート電極(走査線GL)が配置されるボトムゲート構造であるが、半導体層SCの上にゲート電極(走査線GL)が配置されるトップゲート構造であってもよい。
【0028】
絶縁層21~23は、いずれも、シリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(SiN)、シリコン酸窒化物(SiON)などの無機絶縁材料によって形成された無機絶縁層である。絶縁層24は、アクリル樹脂などの有機絶縁材料によって形成された有機絶縁層である。絶縁層24の上面は実質的に平坦化されている。
【0029】
次に、第2基板SUB2側の構成について説明する。絶縁基材30の下には、共通電極CEが配置されている。絶縁基材30は、例えば50μmの膜厚を有している。共通電極CEは、ボディ部31およびヒンジ部33(および、図4には図示されないヒンジ部32)と重なる位置に配置され、開口部OPには配置されない。共通電極CEは、有機系の導電材料によって形成される。
【0030】
センサシートSSは、共通電極CEの下に配置され、センサ電極SEと対向している。センサシートSSは、ボディ部31と重なる位置に配置され、ヒンジ部33(および、図4には図示されないヒンジ部32)と重なる位置や、開口部OPには配置されない。
【0031】
センサ電極SEとセンサシートSSとは、接着層ADにより接着されている。別の表現によれば、センサ素子5を構成する第1基板SUB1側の要素と第2基板SUB2側の要素とは、接着層ADにより接着されている。接着層ADは、絶縁層24と共通電極CEとの間に配置される。センサ電極SEとセンサシートSSとの間には空隙が設けられ、第2基板SUB2側から圧力が加えられると、センサシートSSはセンサ電極SEに接触する。電子機器1は、センサシートSSがセンサ電極SEに接触することによって生じる接触抵抗の変化を検出し、当該接触抵抗の変化に基づいて、電子機器1に加えられた圧力を測定する。
【0032】
図5図8は、図4に示したセンサ素子5の形成工程の一例を順に示す断面図である。
まず、第1基板SUB1側の構成が形成される。具体的には、図5に示すように、ガラス基板100の全面に亘って、絶縁基材10が形成される。絶縁基材10の上に、絶縁層21が形成される。絶縁層21の上に、走査線GLが形成される。走査線GLは、ボディ部11、および、図5では図示されないヒンジ部12が形成される位置に形成される。
【0033】
絶縁層21の上には、走査線GLを覆うようにして絶縁層22が形成される。絶縁層22の上に、半導体層SCが形成される。半導体層SCは、ボディ部11が形成される位置に形成される。絶縁層22の上には、半導体層SCを覆うようにして絶縁層23が形成される。平面視において、絶縁層23と半導体層SCとが重なる位置に、2つのコンタクトホールCH1およびCH2が形成される。絶縁層23の上に、信号線SLおよびドレイン電極DEが形成される。信号線SLは、ボディ部11およびヒンジ部13が形成される位置に形成され、コンタクトホールCH1を通じて半導体層SCに接続される。ドレイン電極DEは、ボディ部11が形成される位置に形成され、コンタクトホールCH2を通じて半導体層SCに接続される。
【0034】
絶縁層23の上には、信号線SLおよびドレイン電極DEを覆うようにして絶縁層24が形成される。平面視において、絶縁層24とドレイン電極DEとが重なる位置に、コンタクトホールCH3が形成される。絶縁層24の上に、センサ電極SEが形成される。センサ電極SEは、ボディ部11が形成される位置に形成され、コンタクトホールCH3を通じてドレイン電極DEに接続される。
【0035】
続いて、図6に示すように、絶縁層24の上に接着層ADが設けられる。別の表現によれば、ボディ部11が形成される位置以外に接着層ADが設けられる。但し、図6に示すように、接着層ADはセンサ電極SEの端部を覆っており、ボディ部11の外周と重なる位置には設けられる。
【0036】
ここでは図示を省略しているが、第1基板SUB1側の構成とは別に、第2基板SUB2側の構成が形成される。具体的には、絶縁基材30の上に共通電極CEが形成される。共通電極CEの上に、センサシートSSが設けられる。センサシートSSは、ボディ部31が形成される位置に設けられる。以上の工程により、第2基板SUB2側の構成が形成される。
【0037】
次に、図7に示すように、第1基板SUB1側の構成と第2基板SUB2側の構成とが貼り合わされる。これによれば、図7に示すように、センサ電極SEとセンサシートSSとが接着層ADにより接着され、ボディ部11(ボディ部31)が形成される位置において、センサ電極SEとセンサシートSSとが空隙を介して対向した状態のセンサ素子5を形成することができる。
【0038】
しかる後、図8に示すように、開口部OPを形成する領域にレーザ光LZが照射され、当該開口部OPが形成される。これによれば、図2に示したように、絶縁基材10には、ボディ部11と、蛇行形状のヒンジ部12および13とを形成することができ、絶縁基材10をメッシュ状にすることができる。また、図3に示したように、絶縁基材30には、ボディ部31と、蛇行形状のヒンジ部32および33とを形成することができ、絶縁基材30をメッシュ状にすることができる。さらに、図3に示したように、共通電極CEもメッシュ状にすることができる。なお、ここでは、開口部OPを形成するためにレーザ光LZを照射するとしたが、開口部OPはプラズマを照射することで形成してもよい。
最後に、ガラス基板100が剥離され、図4に示したセンサ素子5が形成される。
【0039】
以下では、比較例を用いて、本実施形態に係る電子機器1の効果について説明する。なお、比較例は、本実施形態に係る電子機器1が奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、本実施形態と比較例とで共通する構成や効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0040】
図9は、比較例に係る電子機器1Aの概略構成例を示す断面図であり、図10は、伸縮前の電子機器1Aに圧力が加えられた場合を説明するための図であり、図11は、伸縮後の電子機器1Aに圧力が加えられた場合を説明するための図である。比較例に係る電子機器1Aは、図9に示すように、第2基板SUB2側の要素がメッシュ状に形成されていない点、センサシートSSが複数のセンサ素子5に亘って配置されている点、センサシートSSとセンサ電極SEとが接着層ADにより接着されていない点で、本実施形態に係る構成と相違している。
【0041】
図9に示した構成においては、図10(a)に示すように、伸縮前のセンサシートSSの第1部分SS1の長さL1Aと、伸縮前のボディ部11の長さL1Bとは同じであり、かつ、伸縮前のセンサシートSSの第2部分SS2の長さL2Aと、伸縮前のヒンジ部13(ヒンジ部12)の長さL2Bとは同じである。センサシートSSの表面は、図10(b)に示すように、多数の凹凸が不規則に並んだ形状をしており、所定の大きさの圧力が加えられると、破線で囲んだ部分において、センサシートSSとセンサ電極SEとは接触する。電子機器1Aは、センサシートSSとセンサ電極SEとの接触面積に応じた接触抵抗の変化を検出し、電子機器1Aに加えられた圧力の大きさを測定する。
【0042】
伸縮時は、センサシートSSは一様に伸縮するのに対し、ボディ部11およびヒンジ部13(ヒンジ部12)は、ヒンジ部13(ヒンジ部12)のみ伸縮する。このため、図9に示した構成では、図11(a)に示すように、伸縮後のセンサシートSSの第1部分SS1の長さL1A’と、ボディ部11の長さL1Bとが異なってしまう。つまり、伸縮後の第1部分SS1の長さL1A’は、伸縮前の第1部分SS1の長さL1Aとも異なってしまう。このため、伸縮後の電子機器1Aに対して、図10(b)に示した場合と同じ大きさの圧力が加えられたとしても、センサシートSSとセンサ電極SEとの接触面積は、図11(b)に示すように、図10(b)の場合とは異なってしまう。これによれば、伸縮前後で同じ大きさの圧力を加えているにも関わらず、伸縮前後で異なる大きさの圧力が測定されてしまい、信頼性に欠けるといった問題がある。
【0043】
これに対し、本実施形態に係る電子機器1においては、第1基板SUB1側の要素だけでなく、第2基板SUB2側の要素もメッシュ状に形成されており、伸縮時には、第1基板SUB1および第2基板SUB2の両方で、ボディ部11および31を伸縮させずに、ヒンジ部12,13および32,33のみを伸縮させる構成を実現することができる。これによれば、伸縮前後でセンサシートSSの第1部分SS1の長さが変化せず、伸縮前後でセンサシートSSとセンサ電極SEとの接触面積が変わってしまうことを防ぐことができるので、圧力測定の信頼性を向上させることが可能である。
【0044】
また、本実施形態に係る電子機器1においては、センサシートSSとセンサ電極SEとが接着層ADにより接着されているため、圧力が加えられた際にセンサシートSSが過剰に伸縮してしまうこと、センサシートSSがずれてしまうこと、を抑制することが可能である。センサシートSSにずれが生じてしまうと、センサシートSSとセンサ電極SEとの間で擦れが生じてしまうため、センサシートSSが過剰に摩耗してしまう恐れがあるが、本実施形態に係る電子機器1においては、上記した擦れの発生を抑制することができるので、センサシートSSの過剰な摩耗を防ぐことが可能である。
【0045】
以上説明した第1実施形態では、接着層ADが、ボディ部11が形成される位置以外に配置される構成、つまり、ヒンジ部12および13が形成される位置にも接着層ADが配置される構成を例示したが、接着層ADは、ヒンジ部12および13が形成される位置には配置されなくてもよい。この場合、図12に示すように、接着層ADは、センサ電極SEの端部とセンサシートSSの端部とを接着するために、ボディ部11の外周と重なる位置にのみ配置される。
【0046】
ボディ部11と重なる部分や、ヒンジ部12および13と重なる部分の剛性は、膜厚の3乗に比例する。このため、本構成によれば、接着層ADがヒンジ部12および13と重なる位置にも配置される構成に比べて、ヒンジ部12および13と重なる部分の剛性を下げることができ、より小さい力で伸縮させることが可能である。
【0047】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図13は、第2実施形態に係る電子機器1’の概略構成例を示す断面図である。第2実施形態に係る電子機器1’は、第1基板SUB1および第2基板SUB2が伸縮部材EMにより覆われている点、接着層ADが設けられていない点、センサシートSSの代わりに感圧層40が設けられている点で、第1実施形態に係る電子機器1と相違している。以下では、第1実施形態に係る電子機器1と異なる構成についてのみ説明し、同様な構成についての説明は省略する。
【0048】
図13に示すように、第1基板SUB1および第2基板SUB2は、伸縮部材EMにより覆われている。これによれば、センサ素子5を構成する第1基板SUB1側の要素と第2基板SUB2側の要素とを伸縮部材EMにより固定することができるため、接着層ADを省略することが可能である。つまり、接着層ADをパターニングする工程(図6に示した工程)を省略することが可能である。
【0049】
なお、第2実施形態に係る電子機器1’においては、上記した伸縮部材EMが第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に入り込んでしまうことを防ぐために、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に空隙を設ける必要のない感圧層40を配置する構成が望ましい。
【0050】
図13に示すように、感圧層40は、センサ電極SEを覆うようにして絶縁層24の上に配置される。感圧層40は、ボディ部11およびヒンジ部13(および、図13では図示されないヒンジ部12)と重なる位置に配置され、開口部OPには配置されない。つまり、感圧層40もまた、開口部OPを有したメッシュ状に形成されている。感圧層40は、絶縁体41と導電性粒子42とを含んでおり、第2基板SUB2側から圧力が加えられると、感圧層40に含まれる導電性粒子42はセンサ電極SEおよび共通電極CEと接触する。電子機器1’は、導電性粒子42がセンサ電極SEおよび共通電極CEに接触したことにより生じる接触抵抗の変化を検出し、電子機器1’に加えられた圧力の大きさを測定する。
【0051】
以上説明した第2実施形態に係る電子機器1’においても、第1基板SUB1側の要素(絶縁基材10)と第2基板SUB2側の要素(絶縁基材30、共通電極CE、感圧層40)との両方がメッシュ状に形成されている点に変わりはないため、上記した第1実施形態の構成と同様に、圧力測定の信頼性を向上させることが可能である。
【0052】
また、第2実施形態に係る電子機器1’においては、第1基板SUB1および第2基板SUB2が伸縮部材EMにより固定されているため、圧力が加えられた際にセンサ素子5を構成する要素にずれが生じてしまうことを抑制することが可能である。
【0053】
なお、以上説明した各実施形態では、絶縁基材10のヒンジ部12および13や、走査線GL、信号線SL、絶縁基材30のヒンジ部32および33、共通電極CEが、いずれも蛇行形状に形成されている場合を説明したが、これらは、ジグザグ線状に形成されてもよいし、曲率の異なる複数の湾曲を組み合わせた湾曲線状に形成されてもよい。
【0054】
また、以上説明した各実施形態では、共通電極CEが有機系の導電材料により形成されており、当該共通電極CEは開口部OPを形成する過程で、レーザ光LZによりパターニングされるとしたが、共通電極CEは金属材料により形成されても構わない。この場合、金属材料で形成された共通電極CEは、レーザ光LZでパターニングすることができないため、開口部OPを形成する位置に共通電極CEを配置しないように、当該共通電極CEを別途パターニングする必要はあるものの、共通電極CEを金属材料で形成することにより、共通電極CEが有機系の導電材料で形成される場合に比べて配線抵抗を小さくすることができる。
【0055】
蛇行形状に形成される共通電極CEは、当該共通電極CEが直線状に形成される場合に比べて配線抵抗が大きく、電圧降下の影響を受けやすいといった問題がある。このため、アクティブエリアAAの外周近辺に印加される電圧と、アクティブエリアAAの中央近辺に印加される電圧との間に、大きな差が生じてしまうことがある。しかしながら、共通電極CEを金属材料で形成することで、上記した配線抵抗を小さくすることができ、上記した電圧降下の影響を抑制することが可能である。これによれば、アクティブエリアAAの外周近辺に印加される電圧と、アクティブエリアAAの中央近辺に印加される電圧との差を小さくすることが可能である。
【0056】
さらに、以上説明した各実施形態では、共通電極CEは第2基板SUB2側に配置されるとしたが、例えば図14に示すように、共通電極CEは第1基板SUB1側に配置されてもよい。この場合、共通電極CEはセンサ電極SEと同層に配置される。また、この場合、共通電極CEは、ボディ部11と重なる位置にのみ配置され、ヒンジ部13(および、図14には図示されないヒンジ部12)と重なる位置や、開口部OPには配置されない。このため、上記したレーザ光LZによるパターニングを考慮する必要がなく、共通電極CEを金属材料で形成することが可能である。
【0057】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、伸縮性を有する基板に実装されたセンサ素子によるセンシングの信頼性を向上させることが可能な電子機器を提供することが可能である。
【0058】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…電子機器、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、10…絶縁基材、11…ボディ部、12,13…ヒンジ部、GL…走査線、SL…信号線、SE…センサ電極、30…絶縁基材、31…ボディ部、32,33…ヒンジ部、CE…共通電極、SS…センサシート。
図1
図2
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