(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154204
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】待機場所指示装置、待機場所指示システム及び待機場所指示方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20231012BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231012BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20231012BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/09 F
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063367
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 彩加
(72)【発明者】
【氏名】古城 直樹
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181AA27
5H181BB04
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF32
5H181LL09
5H181MA02
5H181MA07
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】乗車場所におけるユーザの待ち時間を短縮できる待機場所指示装置、待機場所指示システム及び待機場所指示方法を提供する。
【解決手段】配車待ち車両が待機する待機場所候補を抽出し、待機場所候補ごとに、待機場所候補に対応する乗車場所として、待機場所候補周辺の乗車場所を抽出し、乗車場所ごとに、ユーザが配車要求をしてから乗車場所に到着するまでの配車余裕時間を算出し、乗車場所に対応する待機場所候補から乗車場所までの車両の移動時間が配車余裕時間以内であるか否かを判定し、待機場所候補に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが、車両の移動時間が配車余裕時間以内であると判定した移動可能乗車場所である場合には、当該待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として、待機場所まで走行させる制御指示を配車待ち車両に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が配車要求の取得を待つための待機場所を前記車両に指示するプロセッサを備える待機場所指示装置であって、
前記プロセッサは、
前記車両が待機可能な待機場所と、前記車両に乗車可能な乗車場所とを記憶する記憶部と、
車内に乗客がいない、かつ、所定時間内に配車予定のない配車待ち車両を検出する車両検出部と、
前記車両検出部によって検出した前記配車待ち車両が待機する待機場所を特定する待機場所特定部と、
前記待機場所特定部によって特定した前記待機場所まで走行させる制御指示を前記配車待ち車両に送信する制御指示部と、を備え、
前記待機場所特定部は、
前記記憶部によって記憶した前記待機場所から、前記配車待ち車両が待機する待機場所候補を抽出し、
前記待機場所候補ごとに、前記待機場所候補に対応する乗車場所として、前記待機場所候補周辺に位置する乗車場所を抽出し、
前記乗車場所ごとに、前記乗車場所において前記車両を配車した配車履歴情報に基づいて、ユーザが配車要求をしてから前記乗車場所に到着するまでの配車余裕時間を算出し、前記乗車場所に対応する前記待機場所候補から前記乗車場所までの前記車両の移動時間が前記配車余裕時間以内であるか否かを判定し、
前記待機場所候補に対応する前記乗車場所のうちの少なくともひとつが、前記車両の移動時間が前記配車余裕時間以内であると判定した移動可能乗車場所である場合には、前記待機場所候補を前記配車待ち車両の待機場所として特定する待機場所指示装置。
【請求項2】
前記待機場所特定部は、対応する前記乗車場所のうちの少なくともひとつが前記移動可能乗車場所である前記待機場所候補が2以上ある場合には、前記移動可能乗車場所が最も多い前記待機場所候補を前記配車待ち車両の待機場所として特定する請求項1に記載の待機場所指示装置。
【請求項3】
前記待機場所特定部は、
対応する前記乗車場所のうちの少なくともひとつが前記移動可能乗車場所である前記待機場所候補が2以上ある場合には、前記乗車場所ごとに、前記ユーザが前記乗車場所を利用する可能性を評価した評価値を算出し、
前記待機場所候補ごとに、前記待機場所候補に対応する前記乗車場所の前記評価値を合計した合計評価値を算出し、
前記合計評価値が最も大きい前記待機場所候補を前記配車待ち車両の待機場所として特定する請求項1又は2に記載の待機場所指示装置。
【請求項4】
前記待機場所特定部は、前記乗車場所ごとに、前記乗車場所における過去の利用実績、又は、前記乗車場所周辺の特性に基づいて、前記評価値を算出する請求項3に記載の待機場所指示装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記配車履歴情報に基づいて、前記ユーザが前記車両に乗車したことのある場所を前記乗車場所として記憶する請求項1又は2に記載の待機場所指示装置。
【請求項6】
前記待機場所特定部は、前記配車待ち車両から所定範囲内に位置する待機場所を待機場所候補として抽出する請求項1又は2に記載の待機場所指示装置。
【請求項7】
前記待機場所特定部は、前記配車待ち車両のバッテリ残量に基づいて、前記待機場所候補から前記バッテリ残量で移動可能な範囲内に位置する前記乗車場所を、前記待機場所候補に対応する前記乗車場所として抽出する請求項1又は2に記載の待機場所指示装置。
【請求項8】
車両が配車要求の取得を待つための待機場所を前記車両に指示するプロセッサを備える待機場所指示システムであって、
前記プロセッサは、
前記車両が待機可能な待機場所と、前記車両に乗車可能な乗車場所とを記憶し、
車内に乗客がいない、かつ、所定時間内に配車予定のない配車待ち車両を検出し、
記憶した前記待機場所から、前記配車待ち車両が待機する待機場所候補を抽出し、
前記待機場所候補ごとに、前記待機場所候補に対応する乗車場所として、前記待機場所候補周辺に位置する乗車場所を抽出し、
前記乗車場所ごとに、前記乗車場所において前記車両を配車した配車履歴情報に基づいて、ユーザが配車要求をしてから前記乗車場所に到着するまでの配車余裕時間を算出し、
前記乗車場所に対応する前記待機場所候補から前記乗車場所までの前記車両の移動時間が前記配車余裕時間以内であるか否かを判定し、
前記待機場所候補に対応する前記乗車場所のうちの少なくともひとつが、前記車両の移動時間が前記配車余裕時間以内であると判定した移動可能乗車場所である場合には、前記待機場所候補を前記配車待ち車両の待機場所として特定し、
特定した前記待機場所まで走行させる制御指示を前記配車待ち車両に送信する待機場所指示システム。
【請求項9】
車両が配車要求の取得を待つための待機場所を前記車両に指示するプロセッサによって実行される待機場所指示方法であって、
前記プロセッサは、
前記車両が待機可能な待機場所と、前記車両に乗車可能な乗車場所とを記憶し、
車内に乗客がいない、かつ、所定時間内に配車予定のない配車待ち車両を検出し、
記憶した前記待機場所から、前記配車待ち車両が待機する待機場所候補を抽出し、
前記待機場所候補ごとに、前記待機場所候補に対応する乗車場所として、前記待機場所候補周辺に位置する乗車場所を抽出し、
前記乗車場所ごとに、前記乗車場所において前記車両を配車した配車履歴情報に基づいて、ユーザが配車要求をしてから前記乗車場所に到着するまでの配車余裕時間を算出し、
前記乗車場所に対応する前記待機場所候補から前記乗車場所までの前記車両の移動時間が前記配車余裕時間以内であるか否かを判定し、
前記待機場所候補に対応する前記乗車場所のうちの少なくともひとつが、前記車両の移動時間が前記配車余裕時間以内であると判定した移動可能乗車場所である場合には、前記待機場所候補を前記配車待ち車両の待機場所として特定し、
特定した前記待機場所まで走行させる制御指示を前記配車待ち車両に送信する待機場所指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待機場所指示装置、待機場所指示システム及び待機場所指示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の不足台数が0より大きい候補地区において、移動対象車両のモビリティサービス提供後の位置から待機場所までの移動距離が最小化されるように待機場所を決定し、決定した待機場所を移動対象車両の移動目的地として決定する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、待機場所からユーザの乗車地までの車両の移動時間に基づいて待機場所を決定しないため、車両が待機場所から乗車地まで移動するのに時間がかかると、ユーザが車両の利用要求をしてから乗車地に到着するのにかかる時間によっては、ユーザの乗車地における待ち時間が長くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、乗車場所におけるユーザの待ち時間を短縮できる待機場所指示装置、待機場所指示システム及び待機場所指示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、配車待ち車両が待機する待機場所候補を抽出し、待機場所候補ごとに、待機場所候補に対応する乗車場所として、待機場所候補周辺の乗車場所を抽出し、乗車場所ごとに、ユーザが配車要求をしてから乗車場所に到着するまでの配車余裕時間を算出し、乗車場所に対応する待機場所候補から乗車場所までの車両の移動時間が配車余裕時間以内であるか否かを判定し、待機場所候補に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが、車両の移動時間が配車余裕時間以内であると判定した移動可能乗車場所である場合には、当該待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として、待機場所まで走行させる制御指示を配車待ち車両に送信することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗車場所におけるユーザの待ち時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る待機場所指示装置及び方法を用いた待機場所指示システムの概略を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る待機場所指示方法を実行する場面の一例を示す図である。
【
図3】待機場所指示装置にて実行される待機場所指示方法の処理例を示すフローチャートである。
【
図4】
図3のステップS6で実行される配車可能判定の処理例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明に係る待機場所指示装置及び方法を用いた待機場所指示システム100を説明する。
図1は、本実施形態に係る待機場所指示装置1及び方法を用いた待機場所指示システム100の概略を示すブロック図である。本実施形態に係る待機場所指示システム100は、配車要求に応じて車両を配車する配車サービスにおいて、車両が待機する待機場所を指示するシステムである。待機場所は、配車要求の取得を待つ配車待ち車両が待機する場所である。配車待ち車両は、例えば、車内に乗客がいない、かつ、所定時間以内に配車予定がない車両である。
【0010】
本実施形態では、待機場所指示システム100が車両の配車サービスに適用される例を挙げて説明する。配車サービスは、配車計画にしたがってユーザを車両に乗車させて目的地まで輸送するサービスであり、たとえば有人タクシー、無人タクシー、自律走行機能を備えた営業用車両といった車両を利用する。例えば、配車サービスでは、ユーザの携帯端末から配車管理サーバに配車要求が送信されると、配車管理サーバは、ユーザに配車する車両を選定し、選定した車両に、配車計画を含む配車要求を送信する。車両は、配車管理サーバから配車要求を取得すると、配車計画にしたがって乗車場所を経由してユーザを目的地まで輸送する。
【0011】
図1で示されるように、本実施形態に係る待機場所指示システム100は、配車管理センター等に設けられた待機場所指示装置1と、ユーザに利用される複数の車両20がそれぞれ有する車載制御装置2と、を備える。待機場所指示装置1は、電気通信回線網を構成するネットワークを介して複数の車両20と接続されている。車両20は、ユーザに配車される配車車両である。
図1では、一つの待機場所指示装置1及び一つの車載制御装置2を示すが、本実施形態の待機場所指示システム100を構成する待機場所指示装置1及び車載制御装置2のそれぞれの台数は、特に限定されない。
【0012】
待機場所指示装置1は通信部16を備え、車載制御装置2は通信部22を備え、インターネットなどの電気通信回線網NWを介して相互に情報の送受信が可能とされている。なお、通信経路は有線であっても無線であってもよい。なお、本実施形態では、車両20として、バッテリから供給される電力で駆動されるモータを駆動源とする電気自動車を例に説明するが、電気自動車以外の自動車、例えば、ガソリンエンジンを駆動源とする自動車や、エンジンとモータの両方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよい。
【0013】
待機場所指示装置1は、
図1に示されるように、少なくともプロセッサ10と、データベース11とを備える。プロセッサ10は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータを備えており、このコンピュータはプログラムを格納したROMと、ROMに格納されたプログラムを実行するCPUと、アクセス可能な記憶装置として機能するRAMを含むものである。プロセッサ10は、機能ブロックとして、記憶部12と、車両検出部13と、待機場所特定部14と、制御指示部15と、通信部16と、を含んで構成され、上記各機能を実現する又は各処理を実行するためのソフトウェアと、ハードウェアとの協働により各機能を実行する。なお、本実施形態では、プロセッサ10が有する機能を5つのブロックとして分けた上で、各機能ブロックの機能を説明するが、プロセッサ10の機能は必ずしも5つのブロックに分ける必要はない。
【0014】
記憶部12は、車両20が待機可能な待機場所と、車両に乗車可能な乗車場所とをデータベース11に記憶する。例えば、一つのサービスエリアに一又は複数の待機場所が予め設定されている。待機場所は、いわゆる駐車場であり、配車サービスで用いられる配車車両専用に管理する駐車場や、民間経営する時間貸しの駐車場、スーパーなど商業施設の一時的に利用可能な駐車場などである。
【0015】
また、記憶部12は、配車履歴情報に基づいて、ユーザが車両に乗車したことのある場所を乗車場所として記憶する。配車履歴情報は、ユーザが過去に配車サービスを利用した時の乗車場所の情報を含む。また、記憶部12は、ユーザが乗車場所として指定する可能性のある場所を乗車場所として記憶する。例えば、記憶部12は、地図情報に含まれるエリアの特性に基づいて、乗車場所を記憶する。記憶部12は、駅エリアや繁華街エリアなど滞在人口が多いエリア周辺の場所を乗車場所として記憶する。記憶部12は、配車サービス提供者が入力操作によって入力した乗車場所を記憶してもよい。
【0016】
車両検出部13は、配車待ち車両を検出する。配車待ち車両は、例えば、車内に乗客がいない、かつ、所定時間内に配車予定のない車両である。本実施形態では、車両検出部13は、車両20が乗客を降車場所で降車させて配車サービスを終了した場合、配車サービスを終了した車両20から、配車サービスを終了したことを示す配車完了情報を受信する。車両検出部13は、配車完了情報を受信すると、配車完了情報を送信した車両の配車予約情報を参照し、所定時間以内に配車予定がなければ、当該車両を配車待ち車両として検出する。
【0017】
待機場所特定部14は、車両検出部13によって検出した配車待ち車両が待機する待機場所を特定する。待機場所特定部14は、まず、データベース11に記憶された待機場所から待機場所候補を抽出する。待機場所特定部14は、配車待ち車両の位置情報を取得し、配車待ち車両の位置情報に基づいて、配車待ち車両の位置から所定範囲内に位置する待機場所を待機場所候補として抽出する。抽出される待機場所候補は、ひとつであってもよいし、複数であってもよい。
【0018】
待機場所特定部14は、待機場所候補を抽出した後、抽出した待機場所候補ごとに、待機場所候補に対応する乗車場所として、待機場所候補周辺に位置する乗車場所を抽出する。例えば、待機場所特定部14は、待機場所候補の位置情報を取得し、待機場所候補の位置から所定範囲内に位置する乗車場所を、待機場所候補に対応する乗車場所として抽出する。抽出される乗車場所は、ひとつであってもよいし、複数であってもよい。
【0019】
また、待機場所特定部14は、配車待ち車両から、配車待ち車両のバッテリ残量の情報を取得し、バッテリ残量に基づいて、配車待ち車両が待機場所候補からバッテリ残量で移動可能な範囲内に位置する乗車場所を、待機場所候補に対応する乗車場所として抽出してもよい。例えば、待機場所特定部14は、配車待ち車両が待機場所候補まで移動するのに必要な必要バッテリ量を算出し、配車待ち車両のバッテリ残量に基づいて、バッテリ残量から必要バッテリ量を差し引いて、車両20が待機場所候補に到着した場合のバッテリ残量を算出する。そして、待機場所特定部14は、車両20が待機場所候補に到着した場合のバッテリ残量に基づいて、配車待ち車両が待機場所候補からバッテリ残量で移動可能な範囲内に位置する乗車場所を抽出する。
【0020】
待機場所特定部14は、抽出された乗車場所ごとに、乗車場所において車両20を配車した配車履歴情報に基づいて、ユーザが配車要求をしてから乗車場所に到着するまでの配車余裕時間を算出する。
【0021】
配車余裕時間は、過去に当該乗車場所で車両に乗車したユーザが、配車要求してから乗車場所まで移動するのにかかった移動時間である。ユーザが配車要求をした位置はユーザによって異なるため、ユーザが同じ乗車場所を利用したとしても、ユーザが配車要求をした位置から当該乗車場所まで移動するのにかかる移動時間も異なる。そのため、例えば、本実施形態では、過去に当該乗車場所で乗車したユーザの平均移動時間を当該乗車場所の配車余裕時間として算出する。例えば、待機場所特定部14は、対象となる乗車場所で車両20に乗車した全てのユーザの配車履歴情報を取得する。待機場所特定部14は、ユーザごとに、取得した配車履歴情報に含まれる、ユーザが配車要求した時のユーザの位置情報と、乗車場所の位置情報とに基づいて、ユーザの移動距離を算出する。例えば、ユーザが配車要求した時とは、ユーザの携帯端末から配車要求が送信された時であり、ユーザが配車要求した時のユーザの位置情報とは、配車要求を送信したユーザの携帯端末の位置情報である。待機場所特定部14は、ユーザの移動距離と一般的な歩行速度とに基づいて、ユーザが配車要求をした位置から乗車場所まで移動するのにかかったユーザ移動時間を算出する。また、ユーザ移動時間は、ユーザが配車要求した時刻とユーザが乗車場所に到着した時刻との間の時間であってもよい。そして、待機場所特定部14は、算出した各ユーザ移動時間の平均移動時間を配車余裕時間として算出する。
【0022】
また、配車余裕時間は、ユーザの平均移動時間に限らず、例えば、ユーザ移動時間の中央値、最頻値、最大値であってもよい。待機場所特定部14は、乗車場所で車両に乗車した全てのユーザのユーザ移動時間を算出し、ユーザ移動時間の分布を生成する。そして、待機場所特定部14は、ユーザ移動時間の分布に基づいて、ユーザ移動時間の中央値、最頻値又は最大値を算出する。また、配車余裕時間は、時間の幅であってもよい。例えば、待機場所特定部14は、ユーザ移動時間の度数分布を生成し、データ数が最も多い階級の時間の幅を配車余裕時間として算出してもよい。また、待機場所特定部14は、ユーザ移動時間の平均値、中央値、最頻値又は最頻値を算出し、算出した値を中心とした所定範囲の時間の幅を配車余裕時間として算出してもよい。また、待機場所特定部14は、全てのユーザのユーザ移動時間に基づいて、配車余裕時間を算出することに限らず、直近の所定期間内に乗車場所で乗車したユーザのユーザ移動時間に基づいて、配車余裕時間を算出してもよい。
【0023】
また、待機場所特定部14は、乗車場所ごとに、乗車場所に対応する待機場所候補から乗車場所までの車両20の移動時間を算出する。例えば、待機場所特定部14は、待機場所候補と乗車場所との間の距離と車両の平均車速とに基づいて、車両20の移動時間を算出する。また、待機場所特定部14は、配車余裕時間と同様に、配車履歴情報に基づいて、車両20の移動時間を算出してもよい。そして、待機場所特定部14は、乗車場所ごとに、車両20の移動時間が配車余裕時間以内であるか否かを判定する。車両20の移動時間が配車余裕時間以内であると判定した場合には、待機場所特定部14は、対象となる乗車場所を移動可能乗車場所と判定する。すなわち、移動可能乗車場所は、車両20の移動時間が配車余裕時間以内であると判定された乗車場所である。本実施形態では、待機場所特定部14は、待機場所候補に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所である場合には、当該待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として特定する。
【0024】
また、待機場所特定部14は、待機場所候補に対応するすべての乗車場所に対して、移動可能乗車場所か否かの判定をした後、待機場所候補が配車可能待機場所か否かを判定してもよい。配車可能待機場所は、待機場所候補のうち、車両20が配車余裕時間以内にいずれかの乗車場所に移動できる待機場所候補である。例えば、待機場所特定部14は、待機場所候補に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所であるか否かを判定する。待機場所候補に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所であると判定した場合には、待機場所特定部14は、当該待機場所候補を配車可能待機場所と判定する。待機場所特定部14は、抽出されたすべての待機場所候補に対して、配車可能待機場所か否かの配車可能判定を実行する。
【0025】
待機場所特定部14は、抽出されたすべての待機場所候補に対して、配車可能判定を実行した後、配車可能判定結果に基づいて、抽出された待機場所候補のうち、配車可能待機場所があるか否かを判定する。すなわち、待機場所特定部14は、抽出された待機場所候補のうちの少なくともひとつが配車可能待機場所であるか否かを判定する。配車可能待機場所があると判定した場合には、待機場所特定部14は、配車可能待機場所が2以上であるか否かを判定する。また、配車可能待機場所がないと判定した場合には、待機場所特定部14は、配車待ち車両最寄りの待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として特定する。配車可能待機場所が2以上ではないと判定した場合、すなわち、配車可能待機場所がひとつしかない場合には、待機場所特定部14は、ひとつしかない配車可能待機場所を配車待ち車両の待機場所として特定する。
【0026】
また、待機場所特定部14は、配車可能待機場所が2以上ある場合には、配車可能待機場所ごとに、対応する移動可能乗車場所の数を比較する。そして、待機場所特定部14は、対応する移動可能乗車場所が最も多い配車可能待機場所を配車待ち車両の待機場所として特定する。一例として、配車可能待機場所が、配車可能待機場所Xと配車可能待機場所Yのふたつある場合を例に挙げて説明する。例えば、配車可能待機場所Xに移動可能乗車場所が2つあり、配車可能待機場所Yに移動可能乗車場所が2つである場合には、移動可能乗車場所が最も多い配車可能待機場所Xが配車待ち車両の待機場所として特定される。
【0027】
また、待機場所特定部14は、配車可能待機場所が2以上ある場合には、配車可能待機場所ごとに、評価値を算出し、配車可能待機場所の評価値に応じて、配車待ち車両の待機場所を特定することとしてもよい。評価値は、ユーザが、配車可能待機場所に対応する移動可能乗車場所を利用する可能性を評価した値である。評価値は、ユーザが移動可能乗車場所を利用する可能性が高いほど、高く算出される。まず、待機場所特定部14は、移動可能乗車場所ごとに評価値を算出する。評価値の算出方法は、後述する。
【0028】
待機場所特定部14は、移動可能乗車場所ごとに評価値を算出した後、配車可能待機場所ごとに、配車可能待機場所に対応する移動可能乗車場所の評価値を合計して配車可能待機場所の評価値を算出する。待機場所特定部14は、すべての配車可能待機場所の評価値を算出し、各配車可能待機場所の評価値を比較する。そして、待機場所特定部14は、評価値が最も大きい配車可能待機場所を配車待ち車両の待機場所として特定する。すなわち、本実施形態では、ユーザに利用される可能性が高い乗車場所に配車余裕時間以内に移動できる待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として特定する。
【0029】
一例として、配車待ち車両の待機場所候補として、配車可能待機場所Xと配車可能待機場所Yとが抽出されている場合を挙げて説明する。配車可能待機場所Xに対応する移動可能乗車場所Aの評価値と移動可能乗車場所Bの評価値がそれぞれ10点と8点で、配車可能待機場所Yに対応する移動可能乗車場所Cの評価値と移動可能乗車場所Bの評価値がそれぞれ2点と8点であるとする。この場合、配車可能待機場所Xの評価値は、10点と8点を合計して、18点と算出される。配車可能待機場所Yの評価値は、2点と8点を合計して、10点と算出される。待機場所特定部14は、配車可能待機場所Xの評価値18点と配車可能待機場所Yの評価値10点とを比較して、評価値が最も大きい配車可能待機場所Xを配車待ち車両の待機場所として特定する。
【0030】
ここで、待機場所候補の評価値を算出する方法について説明する。例えば、待機場所特定部14は、移動可能乗車場所ごとに、乗車場所における過去の利用実績に基づいて評価値を算出する。待機場所特定部14は、データベース11から、ユーザが移動可能乗車場所で車両20を利用した配車履歴情報を取得し、過去にユーザが乗車場所で車両20に乗車した利用回数を算出する。例えば、利用回数は、移動可能乗車場所を乗車場所として利用した配車履歴の数である。待機場所特定部14は、利用回数に応じて、評価値を算出する。利用回数は、配車サービス開始時から現在までの累積利用回数であってもよいし、直近の所定期間内における利用頻度であってもよい。評価値は、利用回数が多いほど大きい値に算出される。例えば、乗車場所Aにおける過去の累積利用回数が50回、乗車場所Bにおける過去の累積利用回数が100回、乗車場所Cにおける過去の累積利用回数が20回である場合には、待機場所特定部14は、乗車場所Aの評価値を5点、乗車場所Bの評価値を10点、乗車場所Cの評価値を2点と算出する。
【0031】
また、過去の利用実績は、時間帯別に取得されたものであってもよい。例えば、データベース11には、時間帯別の利用回数が記憶されている。待機場所特定部14は、乗車場所の評価値を算出する時の現在の時間帯を特定し、現在の時間帯と同じ時間帯の過去の累積利用回数を取得する。待機場所特定部14は、当該時間帯の過去の累積利用回数に応じて、評価値を算出する。
【0032】
また、待機場所特定部14は、乗車場所周辺の特性に基づいて、移動可能乗車場所の評価値を算出する。待機場所特定部14は、データベース11から地図情報を取得し、地図情報に含まれる移動可能乗車場所周辺の特性情報を取得する。移動可能乗車場所周辺の特性は、例えば、繁華街エリア、駅エリア、自宅エリアなどのエリアの属性である。本実施形態では、エリアの属性ごとに、配車サービスの利用されやすさに応じて、予め評価値が設定されている。各エリアでは、駅周辺、繁華街周辺、自宅周辺の順に、滞在人口も多く、移動のために配車サービスを利用する需要も多いため、評価値が大きく設定されている。例えば、繁華街エリアの評価値は3点、駅エリアの評価値は6点、自宅エリアの評価値は1点に設定されているとする。乗車場所A周辺が繁華街エリアである場合、乗車場所Aの評価値は3点と算出され、乗車場所B周辺が駅エリアである場合、乗車場所Bの評価値は6点と算出され、乗車場所C周辺が自宅エリアである場合、乗車場所Cの評価値は1点と算出される。
【0033】
また、乗車場所の特性は、乗車場所における許容できる待ち時間であってもよい。本実施形態では、エリアの属性(繁華街エリア、駅エリア、自宅エリア)ごとに、許容待ち時間が設定されている。例えば、許容待ち時間は、駅エリア、繁華街エリア、自宅エリアの順に、短く設定されている。駅周辺では、配車サービスを利用するユーザは移動中であることが多いため、繁華街エリアや自宅エリアよりも、許容できる待ち時間が短い。一方で、繁華街エリアであれば、他の場所で待つことができ、自宅エリアであれば、出発の準備をすることから時間に余裕があるなど、許容できる待ち時間が駅エリアよりも長い。評価値は、許容待ち時間が短いほど大きく設定されている。待機場所特定部14は、乗車場所における許容できる待ち時間に応じて、評価値を算出する。
【0034】
また、待機場所特定部14は、過去の利用実績と乗車場所の特性とを両方用いて評価値を算出することとしてもよい。例えば、待機場所特定部14は、過去の利用実績に基づく評価値と乗車場所の特性に基づく評価値を算出し、算出した評価値を合計した値を配車可能待機場所の評価値として算出してもよい。例えば、乗車場所Aの過去の利用実績に基づく評価値が5点で、乗車場所Aの乗車場所周辺の特性に基づく評価値が3点である場合には、待機場所特定部14は、乗車場所Aの評価値を8点と算出する。
【0035】
制御指示部15は、待機場所特定部14によって特定した待機場所まで走行させる制御指示を配車待ち車両に送信する。
【0036】
ここで、
図2を用いて、本実施形態における待機場所を特定する場面の一例を説明する。
図2では、配車待ち車両の待機場所候補として、待機場所候補PW1、PW2が抽出された後、待機場所候補PW1に対応する乗車場所として、乗車場所PB2、PB3、待機場所候補PW2に対応する乗車場所として、乗車場所PB1、PB3が抽出されている。また、乗車場所PB1、PB2、PB3の配車余裕時間は、1~2分、3~5分、5~10分と算出されたとする。一般に、配車余裕時間は乗車場所ごとに異なる。例えば、乗車場所はそれぞれ周辺環境が異なるため、周辺環境によってユーザが乗車場所から遠い位置で配車要求をすることが多いか、近い位置で配車要求をすることが多いかが変わってくる。すなわち、乗車場所から遠い位置で配車要求をするユーザが多い乗車場所では、配車余裕時間は長くなり、乗車場所から近い位置で配車要求をするユーザが多い乗車場所では、配車余裕時間は短くなる。
【0037】
例えば、乗車場所PB1が、駅に近い乗車場所である場合、多くのユーザが駅で配車要求をして、駅に近い乗車場所PB1で車両に乗車する。そのため、配車余裕時間は短くなると考えられる。一方で、例えば、乗車場所PB2が、住宅街にある乗車場所である場合、乗車場所PB2を利用するユーザは自宅で配車要求をしてから乗車場所PB2まで移動することが多い。住宅街周辺に乗車場所PB2しか乗車場所がないような場合には、自宅から乗車場所PB2までの距離がある程度遠かったとしても、多くのユーザが乗車場所PB2を利用することがある。このような場合には、配車余裕時間は長くなると考えられる。
【0038】
また、待機場所候補PW1から乗車場所PB2までの車両移動時間が3~5分、待機場所候補PW1から乗車場所PB3までの車両移動時間が1~2分であるとする。また、乗車場所PB1、PB2、PB3の評価値はそれぞれ、2点、1点、3点とする。
【0039】
プロセッサ10は、待機場所候補ごとに、配車可能判定を実行する。まず、プロセッサ10は、待機場所候補PW1に対して配車可能判定を実行する。プロセッサ10は、乗車場所PB2の配車余裕時間が3~5分で、待機場所候補PW1から乗車場所PB2までの車両移動時間が3~5分であることから、乗車場所PB2を待機場所候補PW1の移動可能乗車場所と判定する。また、プロセッサ10は、乗車場所PB3の配車余裕時間が5~10分で、待機場所候補PW1から乗車場所PB3までの車両移動時間が1~2分であることから、乗車場所PB3を待機場所候補PW1の移動可能乗車場所と判定する。プロセッサ10は、待機場所候補PW1に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所であるため、待機場所候補PW1を配車可能待機場所と判定する。
【0040】
次に、プロセッサ10は、待機場所候補PW2に対して配車可能判定を実行する。プロセッサ10は、乗車場所PB1の配車余裕時間が1~2分で、待機場所候補PW2から乗車場所PB1までの車両移動時間が1~2分であることから、乗車場所PB1を待機場所候補PW2の移動可能乗車場所と判定する。また、プロセッサ10は、乗車場所PB3の配車余裕時間が5~10分で、待機場所候補PW2から乗車場所PB3までの車両移動時間が5~10分であることから、乗車場所PB3を待機場所候補PW2の移動可能乗車場所と判定する。プロセッサ10は、待機場所候補PW2に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所であるため、待機場所候補PW2を配車可能待機場所と判定する。
【0041】
プロセッサ10は、配車可能待機場所が2以上あるため、配車可能待機場所の評価値に基づいて、配車待ち車両の待機場所を特定する。プロセッサ10は、乗車場所PB2の評価値1点と乗車場所PB3の評価値3点とを合計して、待機場所候補PW1の評価値4点を算出する。また、プロセッサ10は、乗車場所PB1の評価値2点と乗車場所PB3の評価値3とを合計して、待機場所候補PW2の評価値5を算出する。そして、プロセッサ10は、配車可能待機場所の評価値を比較し、待機場所候補PW2の評価値が待機場所候補PW1の評価値よりも大きいため、待機場所候補PW2を配車待ち車両の待機場所として特定する。
【0042】
車載制御装置2は、車両Vの制御処理を実行する制御部21と、待機場所指示装置1などの外部装置と通信を行う通信部22と、車両Vの乗員が情報を入力するための入力部23と、車両Vの乗員に情報を提示するための表示部24と、GPS受信機などから構成される位置検出部25と、を備える。
【0043】
制御部21は、位置検出部25を用いて取得した車両Vの現在の位置情報を、待機場所指示装置1に送信する。さらに、制御部21は、ディスプレイなどの表示部24を用いて待機場所指示装置1から送信された制御指示に含まれる待機場所の情報を、車両Vの乗員に提示する。入力部23は、乗員の手動操作による入力が可能なボタンスイッチ、ディスプレイ上のタッチパネル、乗員の音声による入力が可能なマイクロフォンなどを用いることができ、タッチパネル・ディスプレイを用いて表示部24と兼用してもよい。
【0044】
なお、車載制御装置2は、自律走行制御機能を備える構成としてもよい。自律走行制御機能は、自車両の走行をドライバーの操作に依ることなく自律制御するための機能である。自律走行制御機能は、自車両の走行速度を自律制御する自律速度制御機能と、自車両の操舵を自律制御する自律操舵制御機能とを含む。ドライバーの操作に依ることなく自律制御することには、一部の操作をドライバーにより行うことも含まれる。
【0045】
データベース11は、各種情報を格納するデータベースである。データベース11は、乗車場所情報と待機場所情報とを格納する。待機場所情報は、車両が待機可能な待機場所の位置情報(緯度及び経度)を含む。また、乗車場所情報は、ユーザが車両に乗車可能な乗車場所の位置情報を含む。本実施形態では、ユーザは、データベース11に記憶されている乗車場所から、ユーザが希望する乗車場所を選択する。
【0046】
また、データベース11は、配車履歴情報を記憶する。配車履歴情報は、ユーザが過去に配車サービスを利用した時の乗車場所、乗車時刻、移動時間、降車場所、降車時刻などの情報を含む。また、配車履歴情報は、ユーザが配車要求をした時のユーザの位置情報を含む。
【0047】
また、データベース11は、車両20の車両情報を含む。車両情報は、車両ID情報、車両の位置情報を含む。車両情報は、車種、仕様、搭乗可能人数、積載荷重、バッテリ残量、保守状況、その他の車両情報を含むこととしてもよい。また、データベース11は、配車計画情報を含む。データベース11は、配車計画を車両20ごとに記憶するデータベースである。
【0048】
また、データベース11は、地図情報を含む。地図情報は、少なくとも車両Vが走行可能な道路リンク情報を含んだ、いわゆるナビゲーション地図である。地図情報は、この他に、道路標識、路面標示、レーンマークなどの交通環境情報を含む。また、地図情報は、エリア情報を含む。例えば、エリア情報は、エリアごとに、特性情報を含む。特性情報は、例えば、各場所の属性である。各場所の属性は、例えば、各場所が位置する周辺エリアである。周辺エリアは、例えば、繁華街エリア、駅エリア、自宅エリアが例として挙げられる。また、乗車場所の特性は、各場所で許容できる待ち時間であってもよい。特性情報は、エリアごとに許容待ち時間が記憶されている。本実施形態では、プロセッサ10は、乗車場所の特性情報を取得する。また、ユーザが歩行するルートを演算するための歩行者道路リンク情報を含んでもよい。
【0049】
次に、
図3を用いて、待機場所指示装置1によって実行される待機場所指示方法の処理の一例を説明する。
図3は、待機場所指示装置1にて実行される待機場所指示方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
【0050】
ステップS1において、プロセッサ10は、車両20が待機可能な待機場所と、車両20に乗車可能な乗車場所とをデータベース11に記憶する。ステップS2では、プロセッサ10は、配車待ち車両を検出する。例えば、プロセッサ10は、車内に乗客がいない、かつ、所定時間内に配車予定のない車両を配車待ち車両として検出する。ステップS3では、プロセッサ10は、ステップS1で記憶した待機場所から、ステップS2で検出した配車待ち車両が待機する待機場所候補を抽出する。例えば、プロセッサ10は、配車待ち車両の位置情報に基づいて、配車待ち車両の現在位置から所定範囲内に位置する待機場所を待機場所候補として抽出する。
【0051】
ステップS4では、プロセッサ10は、nの値を0に設定する。ステップS5では、プロセッサ10は、nの値に1を加えてnの値を更新する。ステップS6では、プロセッサ10は、n番目の待機場所候補について配車可能判定を実行する。配車可能判定は、判定対象となる待機場所候補に対して、ユーザの配車余裕時間以内に、待機場所候補から待機場所候補に対応する乗車場所まで車両を配車可能か否かの判定を行う処理である。配車可能判定の処理例の詳細は後述する。
【0052】
ステップS7では、プロセッサ10は、nの値が待機場所候補数に等しいか否かを判定する。例えば、ステップS3で抽出された待機場所候補の数が3つである場合には、プロセッサ10は、nの値が3であるか否かを判定する。nの値が待機場所候補数に等しいと判定した場合には、プロセッサ10は、ステップS8に進む。nの値が待機場所候補数に等しくないと判定した場合には、プロセッサ10は、ステップS5に戻り、以下フローを繰り返す。すなわち、プロセッサ10は、抽出された待機場所候補すべての配車可能判定を行うまで処理フローを繰り返し、抽出された待機場所候補すべての配車可能判定を行うと、ステップS8に進む。
【0053】
ステップS8では、プロセッサ10は、配車可能と判定された待機場所候補を配車可能待機場所として、ステップS3で抽出された待機場所候補のうち、配車可能待機場所があるか否かを判定する。配車可能待機場所があると判定した場合には、プロセッサ10は、ステップS9に進む。配車可能待機場所がないと判定した場合には、プロセッサ10は、ステップS13に進む。ステップS9では、プロセッサ10は、配車可能待機場所が2つ以上あるか否かを判定する。配車可能待機場所が2つ以上あると判定した場合には、プロセッサ10は、ステップS10に進む。配車可能待機場所が2つ以上ないと判定した場合には、プロセッサ10は、ステップS12に進む。すなわち、配車可能待機場所がひとつの場合には、プロセッサ10は、ステップS12に進む。
【0054】
ステップS10では、プロセッサ10は、配車可能待機場所ごとに評価値を算出する。たとえば、プロセッサ10は、配車可能待機場所に対応する乗車場所ごとに、乗車場所の特性等に基づいて評価値を算出し、乗車場所の評価値を合計して、配車可能待機場所の評価値を算出する。ステップS11では、プロセッサ10は、配車可能待機場所の評価値を比較し、評価値の最も大きい配車可能待機場所を配車待ち車両の待機場所として特定する。
【0055】
ステップS12では、プロセッサ10は、配車可能待機場所を配車待ち車両の待機場所として特定する。ステップS13では、プロセッサ10は、ステップS3で抽出した待機場所候補のうち、配車待ち車両の最寄りの待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として特定する。ステップS11では、特定した待機場所まで走行させる制御指示を配車待ち車両に送信する。
【0056】
次に、
図4を用いて、
図3のステップS6における配車可能判定の処理例について説明する。
図4は、
図3のステップS6における配車可能判定の処理手順を示すフローチャート図である。プロセッサ10は、
図3のステップS5でnの値に1を加えてnの値を更新した後、ステップS21から処理フローを開始する。
【0057】
ステップS21では、プロセッサ10は、n番目の待機場所候補に対応する乗車場所を抽出する。例えば、プロセッサ10は、n番目の待機場所候補の位置情報に基づいて、n番目の待機場所候補から所定範囲内に位置する乗車場所を抽出する。ステップS22では、プロセッサ10は、mの値を0に設定する。ステップS23では、プロセッサ10は、mの値に1を加えてmの値を更新する。ステップS24では、プロセッサ10は、抽出された乗車場所のうち、m番目の乗車場所の配車履歴情報を取得する。ステップS25では、プロセッサ10は、ステップS24で取得した配車履歴情報に基づいて、ユーザが車両20の配車要求をしてからm番目の乗車場所まで移動するまでにかかった配車余裕時間を算出する。例えば、プロセッサ10は、m番目の乗車場所で車両20に乗車したすべてのユーザについて、ユーザが配車要求をしてから乗車場所まで移動するのにかかったユーザ移動時間を取得し、すべてのユーザのユーザ移動時間の平均時間を配車余裕時間として算出する。
【0058】
ステップS26では、プロセッサ10は、車両20がn番目の待機場所候補からm番目の乗車場所まで移動するのにかかる車両移動時間を算出する。ステップS27では、プロセッサ10は、ステップS26で算出した車両移動時間が、ステップS25で算出した配車余裕時間以内か否かを判定する。車両移動時間が配車余裕時間以内であると判定した場合、プロセッサ10は、ステップS28に進む。車両移動時間が配車余裕時間以内ではないと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS29に進む。ステップS28では、プロセッサ10は、m番目の乗車場所を、待機場所候補から配車余裕時間以内に移動できる移動可能乗車場所と判定する。本実施形態では、車両移動時間が配車余裕時間以内ではないと判定した場合、プロセッサ10は、m番目の乗車場所を移動可能乗車場所と判定せずにステップS29に進む。
【0059】
ステップS29では、プロセッサ10は、mの値が、ステップS21で抽出された乗車場所数と等しいか否かを判定する。mの値が、抽出された乗車場所数と等しいと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS30に進む。mの値が、抽出された乗車場所数と等しくないと判定した場合、プロセッサ10は、ステップS23に戻り、以下フローを繰り返す。すなわち、プロセッサ10は、抽出されたすべての乗車場所に対して、移動可能乗車場所であるか否かを判定するまでフローを繰り返す。
【0060】
ステップS30では、プロセッサ10は、n番目の待機場所候補に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所か否かを判定する。n番目の待機場所候補に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所であると判定した場合、プロセッサ10は、ステップS31に進む。ステップS31では、プロセッサ10は、n番目の待機場所候補を配車可能待機場所と判定する。n番目の待機場所候補に対応する乗車場所すべてが移動可能乗車場所ではないと判定した場合、プロセッサ10は、
図3のステップS7に戻る。すなわち、本実施形態では、プロセッサ10は、n番目の待機場所候補に対応する乗車場所すべてが移動可能乗車場所ではないと判定した場合には、n番目の待機場所候補を配車可能待機場所と判定せずに
図3のステップS7に進む。
【0061】
以上のように、本実施形態では、車両が配車要求の取得を待つための待機場所を車両に指示するプロセッサによって実行される待機場所指示方法であって、プロセッサは、車両が待機可能な待機場所と、車両に乗車可能な乗車場所とを記憶し、車内に乗客がいない、かつ、所定時間内に配車予定のない配車待ち車両を検出し、記憶した待機場所から、配車待ち車両が待機する待機場所候補を抽出し、待機場所候補ごとに、待機場所候補に対応する乗車場所として、待機場所候補周辺に位置する乗車場所を抽出し、乗車場所ごとに、乗車場所において車両を配車した配車履歴情報に基づいて、ユーザが配車要求をしてから乗車場所に到着するまでの配車余裕時間を算出し、乗車場所に対応する待機場所候補から乗車場所までの車両の移動時間が配車余裕時間以内であるか否かを判定し、待機場所候補に対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが、車両の移動時間が配車余裕時間以内であると判定した移動可能乗車場所である場合には、待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として特定し、特定した待機場所まで走行させる制御指示を配車待ち車両に送信する。これにより、乗車場所におけるユーザの待ち時間を短縮できる。
【0062】
また、本実施形態では、対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所である待機場所候補が2以上ある場合には、移動可能乗車場所が最も多い待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として特定する。これにより、移動できる乗車場所が多い待機場所を配車待ち車両の待機場所として特定できる。
【0063】
また、本実施形態では、対応する乗車場所のうちの少なくともひとつが移動可能乗車場所である待機場所候補が2以上ある場合には、乗車場所ごとに、ユーザが乗車場所を利用する可能性を評価した評価値を算出し、待機場所候補ごとに、待機場所候補に対応する乗車場所の評価値を合計した合計評価値を算出し、合計評価値が最も大きい待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として特定する。これにより、ユーザに利用される可能性が高い乗車場所に移動できる待機場所候補を配車待ち車両の待機場所として特定できる。
【0064】
また、本実施形態では、乗車場所ごとに、乗車場所における過去の利用実績、又は、乗車場所周辺の特性に基づいて、評価値を算出する。これにより、ユーザが乗車場所を利用する可能性を求めることができる。
【0065】
また、本実施形態では、配車履歴情報に基づいて、ユーザが車両に乗車したことのある場所を乗車場所として記憶する。これにより、実際にユーザが利用した場所を乗車場所として選択できる。
【0066】
また、本実施形態では、配車待ち車両から所定範囲内に位置する待機場所を待機場所候補として抽出する。これにより、配車待ち車両の近辺に位置する待機場所を配車待ち車両の待機場所として選択できる。
【0067】
また、本実施形態では、配車待ち車両のバッテリ残量に基づいて、待機場所候補からバッテリ残量で移動可能な範囲内に位置する乗車場所を、待機場所候補に対応する乗車場所として抽出する。これにより、車両が乗車場所まで移動するまでに充電が必要になり、車両の到着時刻が遅くなることを防止できる。
【0068】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0069】
100…待機場所指示システム
1…待機場所指示装置
10…プロセッサ
12…記憶部
13…車両検出部
14…待機場所特定部
15…制御指示部
11…データベース
2…車載制御装置